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2017年10月29日 (日曜日)

スティングの考えるジャズ再び

密かに「スティング(Sting)」がお気に入りである。「スティング」とは、ロックバンド「ポリス」のベーシスト兼ボーカルとして活躍、ポリス活動休止後はソロ・アーティストに転向。グラミー賞など数々を受賞し、今では、ロック界のレジェンドの一人に数えられる。

スティングのソロの音楽性がお気に入りである。ポリス時代は「ソリッドでストレート」なロックで一世を風靡したが、ソロになってのスティングは、音楽性の幅をグッと広げて、ロックを基調にはしているものの「クロスオーバー&フュージョン」な音世界はスティング独特なもの。これが凄く聴きもので、ソロ第1弾以降、スティングは密かに愛聴している。

そのソロ第一弾が『The Dream of the Blue Turtles』(写真左)。邦題『ブルー・タートルの夢』。1985年の作品。バックにジャズ畑の若手ミュージシャンを採用して、ロックを基調としながらも、ジャズをメインとした米国ルーツ・ミュージックの要素を大胆に取り入れた、スティング独特の音世界を創出している。

ポリス時代のソリッドでテンションの高い音世界が、ジャズの要素を上手く取り込んだことでビートの振れ幅が広くなり、余裕のある、良い感じにリラックスした、聴き心地の良い「大人のロック」な音世界に変化している。
 

The_dream_of_the_blue_turtles

 
その伝説となったパーソネルは、Sting (vo), Omar Hakim (ds), Darryl Jones (b), Kenny Kirkland (key), Branford Marsalis (sax)。オマー・ハキム+ダリル・ジョーンズ+ケニー・カークランドのリズム・セクションに、フロント1管でブランフォード・マルサリスのサックス。1985年当時、若手ジャズメンとしての優秀どころを集めて、バックを張らせる。スティングの戦略、恐るべしである。

若手ジャズメンの起用がバッチリ当たっている。ロックを基調としつつ、ジャズの要素を通じてファンクネスが仄かに漂い、米国ルーツ・ミュージックへのアプローチがスムーズ。ロック寄りのフュージョン・ミュージックとして、当時として「新しい響き」がこの盤に充満している。優秀なリズム隊をバックに、程良く余裕をもって悠然と唄うスティングは実に格好良い。

ブランフォードのサックスも聴き逃すことは出来ない。特に4曲目の「Children's Crusade」のスティングのボーカルに続く、ブランフォードのソプラノ・サックスによるソロは圧巻。

バックをジャズメンで固めたとは言え、そこはスティング、音的にジャズ色べったりにはならない。ジャズをメインにした米国ルーツ・ミュージックを上手く取り込んで個性を固めた、基本は「ロック」である。

 
 

東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2015年7月14日 (火曜日)

スティングのジャズ・ロック

1980年代に入ると、フュージョン・ジャズは成熟し、AORへの傾倒を始めて、もはやジャズとは呼べない「ブラコン」なポップスになる一方、ロックとの交流を深めながら、逆にロックに新しいリズム&ビートを導入し、ロックの世界で新たな音の展開を生み出したりした。なるほど、ジャズは懐の深い音楽ジャンルではある。

ジャズがロックに新しいリズム&ビートを導入し、ジャズがロックの世界で新たな音の展開を生み出した例として、僕が良く挙げるのが「スティング(Sting)」。ポリスのベーシストして、ロック界にて一世を風靡し、ソロに転身して、敬愛するジャズのイディオムを大々的に導入。ロックとジャズを融合させた、新たな「スティングとしての音世界」を現出した。

その最初の成果が、Sting『The Dream of the Blue Turtles』(写真左)。邦題『ブルー・タートルの夢』。1985年にリリースされた、スティングのソロ第1作である。これがまあ、ロックにフュージョン・ジャズのイディオムを導入して新たに構築した、新しいロックな音世界である。

バックを固めるパーソネルが凄い。Omar Hakim (ds), Darryl Jones (b), Kenny Kirkland (key), Branford Marsalis (ss, ts)。当時のメインストリーム・ジャズの中堅・精鋭でガッチリと固めている。このバックだけでも、相当に硬派でクールなメンストリーム・ジャズな演奏が繰り広げられる、そんな凄い面子である。

しかし、このバック・バンドをして、そのバックの演奏がメインストリーム・ジャズにならないところが素晴らしい。あくまで、スティングの音楽を前面に押し出し、スティングの音楽を前提に、ジャズのイディオムを導入するにはどうしたらよいか、ということを常に考えながら、それぞれのプレイを進めている。
 

Sting_the_dream_of_the_blue_turtles

 
ちなみにこのバック・バンドの音は「ジャズ」では無い。このアルバムを「ジャズっぽい」と評した評論家が当時大勢いたが、このアルバム、絶対に「ジャズっぽくは無い」。あくまで、リズム&ビートはロックであり、ロックを前提にジャズのイディオムを織り込んで、スティングのボーカル、音世界の個性をいかに際立たせるか、という一点のみを目標に展開されている。

さすがにこれだけの面子が集まってのパフォーマンスである。ロックを前提にしているので、音の雰囲気は硬派でクールなフュージョン・ジャズである。このバックのジャズ者4人で、こんな硬派でクールなフュージョン・ジャズばりばりの音が出るなんて、思ってもみなかった。ジャズ・ミュージシャンの一流どころは凄い

スティングは伸び伸びと自らの個性をボーカルに音作りに曲作りに展開している。まあ、これだけのバック・バンドを従えているのだからねえ。スティングは、この素晴らしいメインストリーム・ジャズなバック・バンドの音を自家薬籠中のものとして、スティングのソロとしての音世界をバッチリ確立している。

今の耳で振り返ると、ジャズがロックに新しいリズム&ビートを導入し、ジャズがロックの世界で新たな音の展開を生み出した例として、このアルバム『ブルー・タートルの夢』は素晴らしい成果である。

スティングのAOR、スティングの大人のロックと表現しても良いと思う。それぞれの曲を見ても、政治的な主張を持った優れた内容の楽曲もあり、アートなロック・アルバムとして傾聴に値するものだと僕は思う。

 
 

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