2022年1月 3日 (月曜日)

エスニック&ユートピアへ変化

明けましておめでとうごさいます。今年もヴァーチャル音楽喫茶『松和』の当ブログをよろしくお願いします。

毎年、年が明けると「エレクトリック・ジャズ」が聴きたくなる。恐らく、マイルス・デイヴィスの1975年伝説の来日公演の思い出がそうさせるのだろう。当時、マイルスの来日公演の収録音源がFMで流れていて、これが当時、「なんだこれ」とショックを受けたと当時に、とても気に入った出来事がそうさせるのだろう。よって今年も、年が明けると「エレ・ジャズ」。

丁度、昨年の暮れから、Weather Report(WR)の聴き直しをしている。WRと言えば、エレ・ジャズ系バンドの最高峰のひとつ。ナイス・タイミングである。

Weather Report『Mysterious Traveller』(写真)。1974年の作品。ちなみにパーソネルは、Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Miroslav Vitouš (ac-b : track 2 only), Alphonso Johnson (b), Ishmael Wilburn (ds), Skip Hadden (ds : tracks 1 and 4 only), Dom Um Romão (perc, ds)。

前作『Sweetnighter』で、創立当時の共同リーダーの1人、ミロスラフ・ビトウスと音楽的志向の相違によって袂を分かって、ウェイン・ショーターとの双頭リーダーになったジョー・ザビヌル。WRの音楽的志向を「エスニック&ユートピア」に舵を切る。リズム&ビートは「ファンク」なんだが、メロディーにはエスニックの味付け。エスニック志向のエレ・ファンクと形容しても良いかもしれない。

その最初の成果がこの『Mysterious Traveller』。冒頭の「Nubian Sundance」を聴くと、その「エスニック志向のエレ・ファンク」という味付けが良く判る。マイルスでも無い、ハービーでも無い、チックでも無い、ザビヌルならではの「エレ・ファンク」。その一番最初のプロトタイプ的な音がこの盤に詰まっている。そういう意味で、この盤は「ザビヌル流エレ・ファンク」の最初の1枚と評価しても良いと思う。
 

Mysterious-traveller

 
WRの変化と言えば、この盤については、双頭リーダーの片割れ「ウェイン・ショーター」の影が薄くなってきている。冒頭の2曲、ショーターは全く目立たない。プライベートにいろいろあったようだが、当時のショーターはWRの活動には、さほど強い興味は無かった様だ。2曲目の「American Tango」の途中、ショーターがやっと出てくる有様。

ただ、6曲目の「Scarlet Woman」では、ショーターのソプラノ・サックスが大活躍。この1曲を聴けば、ショーターのサックスって、WRには必要不可欠だと思う。この迫力と説得力は生のサックスじゃないと、しかもショーター・クラスの一流サックス奏者では出せないもの。決して、シンセサイザーでは代替できない。

ザビヌルはそれを理解していた。よって、ザビヌルはショーターを追い出すことは無かった。この曲は明らかにショーターの「コズミック&ミステリアス」志向の産物だが、ザビヌルはそれを容認している。

しかし、この盤は明らかに「ザビヌルの単独志向」のアルバムである。そのザビヌルの志向である「エスニック志向のエレ・ファンク」を完全表現するまで、ザビヌルのシンセ・テクニックは追いついていないが、その志向を的確に表現しようとする意欲は強く伝わってくる。

新規参入のベーシストについても、複数参加のドラム&パーカッションについては、ゲスト・ジャズメンについても、固定化せず、まだまだ、「エスニック志向のエレ・ファンク」に端緒を付けたばかりのアルバムであることが良く判る。

WRのキャリアを見渡す中で、この盤をWRの傑作と評価する訳にはいかない。それでも、この盤は、「ザビヌル流エレ・ファンク」=「エスニック志向のエレ・ファンク」なWRを表現した最初の1枚であることで、特別な存在であることは確かである。 
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2021年12月10日 (金曜日)

『Sweetnighter』を聴き直す。

1970年代から1980年代前半のジャズ界を駆け抜けた、伝説のスーパー・バンド『Weather Report』(以降、WRと略)。演奏される音世界は唯一無二で、こんな強烈な個性を持ったバンドは恐らく、ジャズ界には二度と現れないだろうと思っている。

当初は、ザヴィヌル・ショーター・ヴィトウスの「3人の共同リーダー体制」からスタート、コズミック&モーダルな音志向を展開し、次に、ザヴィヌル&ショーターの「双頭リーダー体制」へ移行。コズミック&アーシー、そしてファンキーな音志向を展開、最後はザヴィヌルの単独リーダーとなって、ファンキー&ワールドミュージック風な音志向へと変化した。

Weather Report『Sweetnighter』(写真)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Miroslav Vitouš (ac-b, el-b), Andrew White (el-b, English horn), Herschel Dwellingham, Eric Gravatt (ds), Muruga Booker (Moroccan clay drums, roller toy, Israeli jar drums), Dom Um Romão (perc, w-fl)。

ヴィヌル・ショーター・ヴィトウスの「3人の共同リーダー」に、ヴィトウスと同じベーシストが1人、ワールド・ミュージック風のパーカッション奏者が参加。ドラムは、ドン・ウン・ロマンが継続して担当している。ヴィトウスと違うベーシストがもう1人参加、と、ヴィトウスがエレベを弾いている、というところがこの盤の「ミソ」。

冒頭の「Boogie Woogie Waltz」を聴けば、前作までのWRの音志向との「違和感」を覚える。リズム&ビートが「アーシーでありファンキー」なのだ。まるで「エレ・マイルス」。前作までの「コズミック&モーダル」の音世界が「コズミック&アーシー、そしてファンキー」に明らかに変化している。
 

Sweetnighter

 
アルバムを聴き進めて行くと、4曲目「25th Street Congress」、6曲目「Non-Stop Home」も、冒頭の「Boogie Woogie Waltz」と同様の音志向。逆に、2曲目「Manolete」、3曲目「Adios」5曲目「Will」は、前作までと同様、コズミック&モーダルな自由度の高い即興演奏風。

この盤は「WRの音志向の変化」を的確に捉えた盤だと言える。しかし、1枚のアルバムの中で、音の変化を確認出来るアルバムは珍しい。このアルバムの録音時、ザヴィヌルは、WRの音に「ファンクとグルーヴ」を導入することを決定。ショーターは同意し、ヴィトウスはさすがに「ファンク」の導入には賛成出来ず、この盤をもって、WRを脱退することになる。

ヴィトウスの気持ちは良く判る。ヴィトウスのベースに「ファンク&グルーヴ」を持て、と言う方に無理がある。しかし、ザヴィヌルはそれを要請する。当然、プロ・ミュージシャンであるヴィトウスは従わない。当然、脱退である。この盤は、WRの音志向が「コズミック&アーシー、そしてファンキー」に変化したことを捉えたこと、そして、ザヴィヌルが「3人の共同リーダー体制」を破棄〜WRを私物化し始めたこと、この2つの事実を「音」として記録していることに意義がある。

アルバムの録音途中で、音志向を「コズミック&アーシー、そしてファンキー」に変化させたこともあって、アルバム全体の印象は統一感が希薄で、特に新しい音志向の「コズミック&アーシー、そしてファンキー」の楽曲3曲は発展途上な印象は否めない。

確かに当初のWRの音志向「コズミック&モーダル」を推し進めると、ショーターとヴィトウスの存在感は増すが、ザヴィヌルのキーボード・ワークの存在感は希薄になる。ショーターは「コズミック&モーダル」にも「ファンク&グルーヴ」にも適応する。つまり、ザヴィヌルがバンドの中での存在感を高めるには、「ファンク&グルーヴ」を導入することが必須だった。いわゆる「ザヴィヌルを取るか、ヴィトウスを取るか」である。

結果、ザヴィヌルの発言力が勝り、ヴィトウスは去る。同時に、WRの中で「ザヴィヌルのWRの私物化」が始まるのだ。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年12月 3日 (金曜日)

ウエザー『Live in Japan』再び

ジャズ盤はワールド・ワイドに流通しているものが多い。それぞれの国内に留まるものもあるが、一流ジャズマンについては、メジャー扱いで、ジャズが根付いている国に向けて、ワールド・ワイドの販売されている。

しかし、我が国は「ジャズ先進国」。ワールド・ワイドに聴かれている一流ジャズマンのリーダー作でありながら、日本だけで企画され、販売されるジャズ盤が結構な数、あるのだ。

Weather Report『Live in Japan』(写真左)。1972年1月13日、東京 渋谷公会堂でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ss, ts), Joe Zawinul (ac-p, el-p), Miroslav Vitous (el-b), Eric Kamau Gravatt (ds), Dom Um Romao (perc)。WRのセカンド盤『I Sing the Body Electric』のメンバーがそのまま、日本にやってきた「クインテット編成」。

このWRの『Live in Japan』の音源から、メロディアスな部分をピックアップして編集した音源が、WRのセカンド盤『I Sing the Body Electric』のLPのB面を占めている。ファースト盤から、セカンド盤のA面に収録されたスタジオ録音の演奏と比べて、違和感の無いように上手く編集されている。

が、このWRの東京公演、ファースト盤から、セカンド盤のA面に収録されたスタジオ録音とは、違う雰囲気の演奏になっているから面白い。しかも、このライヴ盤の次のサード盤から、「アーシー+ファンクネス」を導入、「エスニック&ユートピア」な音世界をメインとする「ザヴィヌル単独主導」の音志向にガラッと変化するのだから、なおさら面白い。
 

Wr-live-in-japan

 
初期のWRの音世界は「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」であるが、この日本公演の演奏は、エレ・ジャズではあるが、即興性を最大限に押し出した「限りなくフリーに近いモード・ジャズ」もしくは「ECMレーベルに代表される自由度の高いニュー・ジャズ」な演奏ばかりなのだ。

限りなくフリーに近いエレクトリックなモード・ジャズ、時々「どフリー」。そんな即興演奏基調のパフォーマンスが、LP2枚分、約90分弱、繰り広げられるのだ。当時のジャズ者の方々は度肝を抜かれたが、訳が判らなくなったのではないか、と思われる位に、尖ってぶっ飛んだ自由度の高いパフォーマンス。ドラムとパーカッションのリズム隊は、演奏全体のリズム&ビートをコントロールするのに相当苦労したと思われる。

ショーターとヴィトウスのフリーは何となく判る。ザヴィヌルのフリーがとても珍しい。しかも、超一流の「どフリー」をやるのだから、僕もこのライヴ盤を初めて聴いた時は唖然とした。このライヴ盤、発売当時は「日本限定盤」。CDの時代になってもなかなかリイシューされなかった。それでも、1997年にリイシューされ、即ゲットして、すぐに聴いた思い出がある。そして、LP時代の様に「唖然とした」。

当然、米国では直接入手することは出来ず、日本に訪れる若手有望株なジャズマン達が、こぞって、このWRのライヴ盤を探し求めて、CDショップに立ち寄り、喜々としてゲットしていく、という逸話をきいたことがある。それほどまでに、このライヴ盤は、同業の若手ジャズマンにとって、興味深い内容になっているのだ。所謂「玄人好み」のライヴ名盤ということになる。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年11月26日 (金曜日)

I Sing The Body Electric 再び

ウェザー・リポートは、当初は「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」を志向していた。ファンクネス、ポップな要素は皆無、ストイックでモーダルなパフォーマンスが爽快感抜群な「コンテンポラリーなジャズの職人集団」だった。

Weather Report『I Sing the Body Electric』(写真)。1971年11月のスタジオ録音と1972年1月13日の「東京・渋谷公会堂」でのライヴ録音。アルバム後半3曲のライブ録音にはこのアルバムに収録するため編集が施されている。ちなみにパーソネルは、Josef Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Miroslav Vitouš (b), Eric Gravatt (ds), Dom Um Romão (perc)。

この盤は、デビューアルバムで提示した「コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが、違和感無く効果的に融合したエレ・ジャズ」が、ほぼ完璧に成熟している。まず、前半の4曲、LPで言うと「A面」の4曲はスタジオ録音なのだが、いずれの楽曲もその完成度は高い。
 

I-sing-the-body-electric_1

 
そして、この盤の「聴きもの」は、後半の3曲、LPで言うと「B面」の3曲。「Medley: Vertical Invader / T.H. / Dr. Honoris Causa」
「Surucucú」「Directions」。これは、「東京・渋谷公会堂」でのライヴ録音をLPのB面に収める為に編集を施したもの。編集ものでありながら、限りなく自由度の高い「エレクトリックなモード・ジャズ」が凄まじいばかりの迫力で迫ってくる。

限りなくフリー・フォームに近いが、演奏の底で「しっかりとした約束事と規律」をキープしたモード・ジャズは、実にスリリング。そんなスリリングでストイックなジャズを「エレクトリック」でやる。当時として「最先端」のジャズだったと思うし、逆に、これ以上の「エレクトリックなモード・ジャズ」は無いのでは無いか、とも思う。

そういう意味で、この盤は「アーシー+ファンクネス」を導入する前の、ストイックなメインストリーム・ジャズ志向のウェザー・リポートのピークを捉えた盤だと僕は評価している。ウェザー・リポートのアルバムの中で、あまり取り上げられない地味な盤であるが、どうして、その内容は限りなく充実している。もっと評価されて然るべき名盤だと僕は思う。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年11月25日 (木曜日)

『Weather Report』を聴き直す

僕がジャズを聴き始めた頃、お気に入りのバンドは、Weather Report(ウェザー・リポート)。オーストリア出身のJoe Zawinul (key)、米国出身のWayne Shorter (ts)、チェコ出身のMiroslav Vitoušに (b) によって設立された(当初は共同主導)、エレクトリックな純ジャズ・バンドである。クロスオーバー&フュージョンなバンドとする向きもあるが、採用されたリズム&ビート、アドリブ・フレーズ展開の志向から、エレ楽器を活用した、メインストリームな純ジャズと解釈した方が判り易い。

『Weather Report (1971)』(写真)。1971年2-3月の録音、1971年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (ss), Miroslav Vitouš (b), Alphonse Mouzon (ds, vo), Airto Moreira (perc)。今から思えば、凄いメンバーが集結したもんだと改めて思う。このメンバーで、いきなりエレ・ファンクに走らなかったのは、ベースのビトウスの存在が大きかったのだろう。

冒頭の「Milky Way」で度肝を抜かれる。シンセのホワイト・ノイズの浮遊感を最大限活かして、天の川のイメージを表現している。途中で、ショーターのソプラノが「プッ」と鳴って、流れ星を表現している様だ。こんな演奏を先進的なエレ・ジャズ盤の先頭に持ってこられるとは。自然(ネイチャー)というか牧歌的というか、ザヴィヌルの「In a Silent Way」の延長線上の音世界。
 

Weather-report-1971_20211125202001  

 
2曲目「Umbrellas」から、疾走感溢れる、コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズが展開される。ファンクネスは皆無。切れ味良い、スピード感溢れるモーダルなフレーズが出てくる出てくる。リズム&ビートはポリリズムックな8ビート。このファンクネスが皆無なところが、マイルスのエレ・ジャズと一線画するところ。チェコ出身のベーシスト、ヴィトウスの存在感が大きい。エレ・マイルス、エレ・チック、エレ・ハービーとは全く異なるエレ・ジャズでのアプローチ。

5曲目「Morning Lake」、6曲目「Waterfall」は、ザヴィヌルが名曲「In a Silent Way」で、ショーターも名盤『Odyssey of Iska』で表現していた、延長線上の自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズの世界。シンセとソプラノ・サックスで、音の広がり、幽玄さを上手く表現していて、とても良い内容の名演に仕上がっている。ショーター単独作の「Tears」「Eurydice」は、ショーターお得意の「コズミック・ジャズ」の音世界。

コンテンポラリーでモーダルなエレ・ジャズ、自然(ネイチャー)で牧歌的なエレ・ジャズ、コズミックなエレ・ジャズが違和感無く、効果的に融合した、エレクトリック・ジャズの名盤だと思う。マイルス、チック、ハービーのエレ・ジャズとは、完全に一線を画する、今から振り返ると、欧州的な、ECMライクなエレ・ジャズである。この盤にある「エレ・ジャズ」は、今の耳にも唯一無二である。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年5月14日 (金曜日)

メッセンジャーズは変化する。

ブルーノート・レーベルの1500番台、そして、4000〜4423番の中で、アート・ブレイキー単独名義とアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ名義のアルバムを併せると全部で23枚あるのだそうだ。この記録は「第2位」。ちなみに第1位は、ジミー・スミスで27枚。

取りも直さず、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズはブルーノートの看板バンドだったのだが、我が国では意外と盤毎に人気のバラツキがある。ファンキー・ジャズの代名詞的アルバム『Moanin'』は大人気盤なのだが、その次は、と問われれば、意外と具体的な盤名が出てこないジャズ者の方々が多い。どうも、ジャズ・メッセンジャーズって、我が国では意外と人気が薄いのではないか、と思っている(僕にはお気に入りバンドのひとつですが)。

Art Blakey & Jazz Messengers『The Big Beat』(写真左)。1960年3月6日の録音。ブルーノートの4029番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp, flh), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。モーガンのトランペット、ショーターのテナーの2管フロントのクインテット編成。

実はこの盤、かのファンキー・ジャズの代名詞的アルバム『Moanin'』のすぐ後のスタジオ録音盤なのだ。『Moanin'』の録音が1958年10月末なので、この『The Big Beat』は、僅か4ヶ月後の録音になる。メンバーを見渡すと、テナーがベニー・ゴルソンからウェイン・ショーターに代わっているだけ。
 

The-big-beat
 

しかし、この盤を聴くと、内容的に『Moanin'』を踏襲したファンキー・ジャズかと思いきや、これまた違った雰囲気のファンキー・ジャズになっているから面白い。『Moanin'』は「こってこてファンキー」な内容だったが、この『The Big Beat』は、「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズに変化している。

ショーターのテナーが引き金になっている。ショーター以外のメンバーは、ファンキー・ジャズを踏襲した、正統なハードバップ志向だが、ショーターのパフォーマンスだけ、ちょっと響きが異なる。モーダルでクールなフレーズが見え隠れしていて、熱いファンキーな雰囲気というよりは、クールで理知的な雰囲気になっている。そして、他のメンバーが、このショーターの「異質な雰囲気」に感化されて、演奏全体が「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズに変化しているのだ。ショーター恐るべし、である。

曲の雰囲気もどこか「クールで理知的な」雰囲気が漂う楽曲があって、作曲者を見ると、やはりショーターが書いている。正式には全6曲で、その6曲中、半分がショーター作。どこかエキゾチックでどこかモーダルなショーターの曲の存在が、この盤の雰囲気を「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズに変えている。

ジャズ・メッセンジャーズが、こってこてファンキーなジャズからモーダルなジャズへ変貌する、最初の姿がこの盤に記されている。この盤に記録されている「クールで大人でアーバンな」ファンキー・ジャズ、なかなかお洒落で聴き応えがある。特にラストの「It's Only a Paper Moon」はずっと僕のお気に入り曲の1つで、典型的な「クールで理知的な」ファンキー・チューンに仕上がっている。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・Journey『Infinity』1978

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.03.06 更新

  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2020年4月 9日 (木曜日)

The Music Of Wayen Shorter

ジャズ・トランペッターのレジェンド的存在、ウィントン・マルサリスはJALCの芸術監督であり、そのマルサリスが率いるジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラ(The Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis, JLCO)は、JALC(Jazz at Lincoln Center)の常設のジャズ・オーケストラ。現代のジャズ・オーケストラの代表格である。

このJLCOは、ジャズにおいて、興味深い、様々なテーマを設定、それをジャズ・オーケストラの演奏にアレンジ、現代のジャズの演奏トレンドの最先端を意識した「ビッグバンドなパフォーマンス」を披露してきた。デューク・エリントン、キューバン・ジャズ、時には複数のテーマを融合した組曲など、優れたアレンジと演奏で、ジャズ・オーケストラの魅力を我々に見せつけてくれている。

The Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis『The Music of Wayne Shorter』(写真左)。2015年5月に3晩に渡って行われたライヴコンサート「The Music Of Wayen Shorter」のライブ音源。タイトルからして、ずばり「ウェイン・ショーター・トリビュート」。ウィントン・マルサリスが、ウェイン・ショーターの歴史的10曲をJLCO向けにアレンジ、その演奏を収めたCD2枚組のライブ盤である。副題に「feat. Wayne Shorter」とあり、この盤は、JLCOにウェイン・ショーター自身が客演しているのだ。
 
 
The-music-of-wayne-shorter  
 
 
まず、選曲がユニークというか渋い。オープニングはアルバム『ジュジュ』から「イエス・オア・ノー」。以降、『ネイティヴ・ダンサー』から「ダイアナ」、ジャズ・メッセンジャーズ時代の名曲・名演で名高い「ハマー・ヘッド」や「コンテンプレイション」、『ナイト・ドリーマー』から「アルマゲドン」、『アダムス・アップル』から「テル」、『アトランティス』からの「インデンジャード・スピーシーズ」や「ザ・スリー・マリアズ」など、ショーター者であれば、お馴染みの名曲がズラリ。

もともとJLCOの演奏能力は相当に高い。今回の「ウェイン・ショーター・トリビュート」でもその演奏能力を存分に発揮している。ショーター作の楽曲は、メイン・フレーズが基本的に妙に捻れていて、通常の楽曲には無い多国籍感が満載。クラシックはもとより、ジャズ・スタンダードにも無い、不思議で捻れた、通常では演奏し難いフレーズを、いとも軽やかに演奏していくJLCO。総帥のマルサリスのトラペットも、ショーターの楽曲の個性を上手く惹き立てるフレーズが見事だ。

ウェイン・ショーターのテナーも上々。ソロのフレーズを少し聴くだけで「これって、ショーターのソロだよな」と判る、その音の個性は、さすがジャズ・テナーサックスのレジェンドの一人だけある。JLCOのバッキングが、ショーターを鼓舞し、ショーターのフレーズを惹き立てるイメージで、これまた素晴らしいパフォーマンス。いやはや、JLCOは現代のジャズ・オーケストラの代表格であることを再認識した。素晴らしいビッグバンド・サウンドです。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.29
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ ELP「恐怖の頭脳改革」である

【更新しました】2020.04.01
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップのセカンド盤の個性

 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

2020年4月 8日 (水曜日)

モードジャズ初期の成熟を聴く

またまた、Art Blakey & Jazz Messengers(アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ)のお話しである。ジャズ・メッセンジャーズは、ハードバップ系の演奏のスタイルやトレンドを取り入れて、その時代その時代の先端の、流行のスタイルやトレンドを牽引した。それだけ、優れた能力のある若手を入団させていた、ということで、リーダーのアート・ブレイキーのスカウトの目と腕というのは大したものである。

Art Blakey & Jazz Messengers『Meet You at the Jazz Corner of the World』(写真)。1960年9月14日、NYのジャズ・スポット「バードランド」でのライブ録音。LP時代は2枚に分けてリリースされる、ボリューミーな内容。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。前のライブ盤から、サックスが、ハンク・モブレーからウェイン・ショーターに代わっている。

このサックスのウェイン・ショーターの参加がキーポイントで、このライブ盤での演奏の基本は「モード・ジャズ」の変化している。1960年当時、ジャズの演奏トレンドは、ハードバップ系に絞れば、ファンキー・ジャズ、若しくは、モード・ジャズ。ファンキー・ジャズについては、このジャズ・メッセンジャーズは、サックスのベニー・ゴルソン在籍の第1期黄金時代の1958年に『Moanin'』で先鞭を付けている。
 
 
Meet-you-at-the-jazz-corner-of-the-world  
 
 
この盤の録音時、1960年においてはファンキー・ジャズは最早、一般的になっていて、先端の演奏トレンドでは無い。当時、先端の演奏トレンドは「モード・ジャズ」。このモード・ジャズは、当時、最先端でクールな演奏トレンドだった。ブレイキーは、その「モード・ジャズ」を駆使して音楽監督の出来る若手有望ジャズメンを発掘。それが、ウェイン・ショーターだった。

このライブ盤の演奏は明らかに「モード・ジャズ」の雰囲気が濃厚。前ライブ盤の『At the Jazz Corner of the World』と比べるとその音の雰囲気の違いが良く判る。このライブ盤では、メッセンジャーズのメンバー全員が音楽監督のショーターに全てを委ねていて、ショーターも思う存分、その手腕は発揮している。そして、感心するのは、第1期黄金時代の他のメンバー。全員、モード・ジャズに適応しているから凄い。

このライブ盤では、ハードバップから進化したモード・ジャズの雰囲気を感じることが出来る。演奏のそこかしこにハードバップ時代の音の雰囲気が残っている。しかし、メインの演奏トレンドは明らかに「モード・ジャズ」。ハードバップ時代に活躍したメンバーがモード・ジャズをやると、こういう雰囲気になる、という好例がここにある。モード・ジャズ初期の成熟を聴く思いがする。好盤である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

【更新しました】2020.03.29
  ★ まだまだロックキッズ ・・・・ ELP「恐怖の頭脳改革」である

【更新しました】2020.04.01
  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップのセカンド盤の個性

 

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

2019年8月21日 (水曜日)

4300番台の発掘リリース盤・1

ブルーノート・レーベルの4300番台は、リアルタイムで録音してリリースした盤と、以前に録音したが、何らかの理由でお蔵入りした音源を発掘リリースした盤とが混在している。理由は良く判らない。ただ、1960年代終盤、ロックとソウルが台頭し、音楽人気のメインになった頃。それでも、ハードバップやモード・ジャズは人気があったということなんだろうか。
 
ブルーノートの4300番台は、ブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンが、ブルーノート・レーベルを大手レコード会社リバティーに売却した後、スタートしたシリーズ。当然、売上が大前提だったはず。リアルタイムでの録音は、当時の流行を反映しているので、そこそこ売れたとは思うのだが、発掘リリースの音は、ハードバップやモード・ジャズ。時代遅れではあるのだが、やはり売れ筋やったんやろな。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Roots & Herbs』(写真左)。BNの4347番。 1961年2月と5月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons, Walter Davis, Jr. (p), Jymie Merritt (b)。フロント2管のクインテット構成。プロデューサーは、この頃はもちろん、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオン。
 
Roots-herbs  
 
ウェイン・ショーターがテナー・サックス担当。ということは、この盤の音は「モード・ジャズ」。パーソネルを見渡すと、ジャズ・メッセンジャーズの音楽監督が、ベニー・ゴルソンから、ウェイン・ショーターに交代した頃。もしかしたら、まだ、モード・ジャズがジャズ・メッセンジャーズとして、熟れてなかったのかなあ、と思ったが、この盤の音を聴くと「それは違う」。
 
とっても魅力的な、とっても個性的なモード・ジャズが展開されている。しかも、どのモード・ジャズな演奏にもファンクネスが色濃く漂う。不思議な響き、ミステリアスな響きの、ファンキーがかったモード・ジャズ。この頃のショーターって、音楽監督になって覇気が溢れていたのだろう、自作のモード曲のミステリアス度、斬新度が非常に高い。一聴して直ぐに「モードやなあ」と判るほどの尖りぶり。
 
この『Roots & Herbs』、ブルーノート・レーベルのモード・ジャズ盤として「隠れ好盤」な一枚である。という非常に優れた内容でありながら、このジャケットはどうだろう。いや〜酷いジャケットですねえ。往年のブルーノート・レーベルの優れたデザインのジャケットはどこへ行ったのか。とにかく、ブルーノート4300番台のジャケット・デザインは押し並べて劣悪。これが実に残念。でも、この盤、モード・ジャズの好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年2月14日 (木曜日)

ショーター翁の素晴らしき3枚組

ジャズ界のレジェンドはどこまで歳を取っても「超一流」である。老いの衰えから来るレベルダウンがあってもおかしくないのだが、意外とジャズ界のレジェンドは「老い知らず」である。現役の若手のみならず現役の中堅までも置き去りにして、バリバリ吹きまくる。そのレジェンドとは「ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)」。

ウェイン・ショーターはジャズ界のテナー・サックスのレジェンドの一人である。ショーターは1933年生まれ。今年で86歳になる。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズで頭角を現し、マイルスの1960年代黄金のクインテットの一角を担う。1970年代から1980年代半ばまで、伝説のエレジャズ・バンド、ウェザー・リポートの双頭リーダーを務めた。

以降、ソロになってからも、コンテンポラリーな純ジャズでの最先端をいく演奏成果の数々は、その年齢を全く感じさせない素晴らしいものばかり。年齢を重ねる毎に枯れていくどころか、張りのある若い頃のテナーのまま、深みがグッと増して、若い頃の自分のテナーを遙かに超えている。今年で86歳の翁が、である。
 

Emanon

 
Wayne Shorter『Emanon』(写真)。2016年の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (sax), Danilo Perez (p)、John Patitucci (b), Brian Blade (ds), Orpheus Chamber Orchestra。CD2枚組。オリジナルカルテット+オーケストラで1枚、ロンドンでのカルテット単独のライブが2枚、という構成の3枚組CD盤である。

オーケストラとの共演は意外と平凡なイメージ。良くあるパターンですからね。でも、自由度の低いオーケストラの演奏をバックに自由に吹きまくるショーターのサックスは素晴らしい。硬軟自在、変幻自在、遅速自在、縦横無尽にショーターのサックスが乱舞する。アドリブ展開のイマージネーションの豊かさたるや、唖然とする。

しかし、やはり聴きどころはカルテット単独のライブの2枚。相当にぶっ飛んだ、最先端を行くネオ・ハードバップ&フリー・ジャズ。限りなく自由度の高いショーターのテナーとブレイドのドラム。自由に乱舞するテナーとドラムをしっかりとサポートする、パティトゥッチのベースとペレスのピアノ。硬派でキレッキレ、キラキラ煌めく様なカルテット演奏。いやいや、ショーター翁、凄いリーダー作を出したもんだ。もっともっと聴き込みたい。先ずは速報まで。

 
 
東日本大震災から7年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

その他のカテゴリー

AOR Blue Note LTシリーズ Blue Noteレーベル Candidレーベル CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops Prestigeレーベル R&B Riversideレーベル rock Savoyレーベル SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アイク・ケベック アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーマッド・ジャマル イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エディ・ハリス エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キング・クリムゾン キース・ジャレット ギラッド・ヘクセルマン ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリスマスにピッタリの盤 クリフォード・ブラウン クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ケニー・バロン ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サイラス・チェスナット サザンロック サド=メル楽団 サム・リヴァース サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョニー・グリフィン ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・マクラフリン ジョン・レノン ジョージ・ケイブルス ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・サンプル ジョー・ヘンダーソン スタッフ スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スティーヴ・ガッド スティーヴ・キューン スパイロ・ジャイラ スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ ズート・シムス セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チック・コリア(再) チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ デヴィッド・マレイ トニー・ウィリアムス トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ナット・アダレイ ネイティブ・サン ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バディ・リッチ バド・パウエル バリトン・サックス バリー・ハリス パット・マルティーノ パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビリー・チャイルズ ビル・エバンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブレッカー・ブラザース プログレッシブ・ロックの名盤 ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・ゴルソン ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ティモンズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マイルス(エレ) マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ワン・フォー・オール ヴィジェイ・アイヤー 上原ひろみ 僕なりの超名盤研究 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 増尾好秋 夜の静寂にクールなジャズ 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 深町純 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー