2023年11月 5日 (日曜日)

黒田卓也『Midnight Crisp』良好

我が国の中堅ジャズ・トランペッターの黒田卓也。1980年2月21日生まれ。兵庫県芦屋市出身。20歳でバークリー音楽大学へ短期留学。2003年に渡米、NYのニュースクール大学ジャズ科に進学。2014年、リーダー作『Rising Son』(Blue Note)でメジャー・デビュー。日本国内では、JUJU、orange pekoeなどのアルバムにアレンジャーやプレイヤーとして参加している。

黒田卓也『Midnight Crisp』(写真左)。2022年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Takuya Kuroda(黒田卓也) (tp), Corey King (tb, vo), Craig Hill (ts), Lawrence Fields (p, key), Rashaan Carter (b), Adam Jackson (ds)。前作『Fly Moon Die Soon』から約2年ぶりとなった最新作。前作同様、プログラミングと生演奏が絶妙に融合したリズム&ビートに乗った、現代のコンテンポラリーなエレ・ジャズ的な内容。「Miles Reimagined」な好盤である。

前作からの音志向を踏襲。基本はエレ・ファンク。メインストリーム志向の展開をしているので、黒田がトランペッターということもあって、まるで1970年代から1980年代のマイルス・デイヴィスのエレ・ファンクを聴いている気分になる。しかし、ファンクネスは日本人らしく、乾いていて軽い。それでも、プログラミングしているのであろうビートが切れ味よく効いていて、「Miles Reimagined」な好盤として楽しむことができる。
 

Midnight-crisp

 
トータルで33分程度の演奏なので、EP扱いとなっているみたいだが、内容が濃いので、ひとつのフル・アルバムとして聴いても何の違和感もない。これまでの「ファンク、ソウル、ジャズ、バップ、フュージョン、ヒップホップ」などの音の要素を取り込んで、現代における、21世紀における「Miles Reimagined」なエレ・ファンクに仕上がっているところが聴きどころ。特に、プログラミングと生演奏が絶妙に融合したリズム&ビートの処理が上手い。

そんなプログラミングと生演奏が絶妙に融合したリズム&ビートをバックに、黒田の切れ味良く、伸びの良い、テクニック優秀な、存在感抜群のトランペットが映えに映える。エレピやシンセなどのキーボード類の弾き回しも、しっかりエレ・ファンクしていて聴き味抜群。プログラミングと生演奏が絶妙に融合したリズム&ビートとエレ・ファンクしたエレピやシンセとが相乗効果を生んで、独特のグルーヴ感を醸し出している。

トランペット、テナー、トロンボーンのフロント3管が強力なアンサンブルを奏で、活力あるインタープレイを繰り広げる。リーダーの黒田として、トランペッターとしてのみならず、プロデューサー&コンポーザー、ビートメイカーとしての能力を遺憾無く発揮したエレ・ファンク基調のコンテンポラリーな純ジャズとして、十分に鑑賞に耐える、内容良好のなかなかの力作だと思う。
 
 

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2023年10月18日 (水曜日)

小沼ようすけのソロ・ギター盤

マイルスの聴き直しをちょっと離れて、最近のジャズの新盤のストックが溜まったので、順に聴き進めている。ここ1年、グロ=バルなジャズにおいても、和ジャズにおいても、内容の優れたアルバムが多いので、世界的にジャズのレベルはさらに上がったなあ、と感じるし、聴いていてとても楽しい。

現代ジャズ・ギターの名手の一人、カート・ローゼンウィンケルのギター・ソロ盤を聴いていて、我が国の現代ジャズ・ギターというのは、どういう状況になっているのだろうと思った。そういえば、ホーン楽器やピアノについては、我が国では古くから、優秀なミュージシャンが多く出ているが、ギターは? と問われれば、すぐに名前が出てこないのが正直なところ。

小沼ようすけ『Your Smile』(写真左)。2023年9月のリリース。名実ともに日本を代表するジャズ・ギタリスト小沼ようすけによる初のソロ・ギター・アルバム。仰向けに寝転びながらギターを弾く猫のイラストのジャケットが可愛い。アルバム『Jam Ka』(2010年)以降からコロナ禍までに書き溜めた曲から厳選されて録音されている、とのこと。

21世紀に入って、我が国のジャズ・ギター・シーンについては、確かに、小沼ようすけが第一人者だろう。純ジャズからワールドミュージックまで、幅広く音楽志向を広げて、様々な楽曲を展開してきたので、このソロ・アルバムもバラエティーに富んだ音楽志向のソロ演奏かと思いきや、徹頭徹尾、メインストリームな純ジャズ志向のソロ・パフォーマンスで埋め尽くされているのには、小沼の矜持を強く感じて、頼もしく感じた。
 

Your-smile

 
ウォームでエッジが丸い、やや太めの音色が個性的。テクニックは抜群。和ジャズらしく、ファンクネスはとても希薄、それでいて、しっかりオフビートしていて、ブルージーでジャジーな音色は、ガッツリ「ジャズしている」。小沼のオリジナル曲で占められているが、どの曲も流麗で温和で聴き心地が良いので「独りよがり感」は全くない。逆に、オリジナル曲がゆえ、小沼のギターの個性が強く感じられて良い。

テンポ的には、ミッド・テンポがメインなので、曲を聴き進めるうちに「飽きるかなあ」とちょっと危惧していたが、どうして、小沼のギターは、ところどころにアレンジや弾き方の面で、様々な工夫を施していて(これは相当高度なテクニックが無いとできない)、へ〜っ、ほ〜っと感心したり、聴き耳を立てているうちに、あっという間にラスト曲になってしまう。演奏の展開のバリエーションの豊かさと表現方法の引き出しの多さには感心することしきり、である。

2001年にデビュー・アルバム『nu jazz』をリリースして以降、ジャズ・ギターの優れた内容のリーダー作を順調にリリースしているが、まだ、我が国で人気がイマイチなのが残念。僕は、小沼ようすけのリーダー作はリリースされる度に聴いているのだが、ネット上を見てみても、小沼の人気はまだまだ。

しかし、小沼のジャズ・ギターは素性が良い。個性も独特の個性を持っていて、まだまだ伸びしろはある。人気の伸びしろもまだまだある。このソロ盤辺りから、そろそろブレイクして欲しいなあ。
 
 

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2023年9月25日 (月曜日)

日本人によるディキシーランド

我が国のジャズ・ピアノの雄、小曽根 真(おぞね まこと)。1984年に初リーダー作『OZONE』で、メジャー・デビューして以来、はや39年。小曽根は1961年生まれなので、今年で62歳になる。もうベテランの域。つい最近デビューして、活躍してんな〜、なんて思いつつ、リーダー作は目についたら、まめに聴いていたのだが、もう62歳になるんやね〜。

小曽根 真『Park Street Kids』(写真左)。2022年の作品。渋谷 BODY & SOULでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、小曽根 真 (p), 中川 喜弘 (tp, vo), 中川 英二郎 (tb, vo), 中村 健吾 (b), 高橋 信之介 (ds) のクインテット編成に、スペシャル・ゲストとして、北村 英治 (cl) が参加している。

冒頭「MississippiRag」から、ディキシーランド・ジャズ志向の演奏全開。ジャケを見て、北村英治のクラリネットがフィーチャリングされているので、スイング・ジャズかと思って身構えて聴き始めたら、ディキシーランド・ジャズがボワッと出てきたので、思わず仰け反る(笑)。現代の硬派なメインストリーム志向の純ジャズのテイストで、ディキシーランド・ジャズをやる。ウィントン・マルサリスが聴いたら、怒ってくるかも(笑)。
 

Park-street-kids

 
端正で切れ味良く、重心が低くファンクネス控えめの「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズが展開されていて、聴き応えは抜群に良い。ストライドやブギウギのフレーズも織り交ぜながら、骨太で硬質タッチで流麗な小曽根のピアノが良い味を出している。単純に聴いていて、とても楽しいオールド・スタイルのピアノ。ラグタイムも良い味を出している。小曽根のピアノ・テクニック恐るべしである。

そんな「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズの中に、北村英治の小粋で流麗、真摯で明るいクラリネットが飛翔する。北村英治って、1929年(昭和4年)生まれなので、今年で94歳。この盤での北村のクラリネットの力感と流麗な運指を聴いていると、とても93歳(録音当時)とは思えない。まだまだ現役、まだまだ第一線のクラリネットが、実に良い雰囲気で鳴り響く。

今のジャズ、今の音で表現した「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズ。聴いていて、なんだかリラックス出来て、何となく幸せな気分に浸りながら、ゆったりとディキシーランド・ジャズに身を委ねことが出来る。テンションの高い純ジャズとは正反対の音作り。でも、これはこれで良い雰囲気。これはこれで「良いジャズ」である。
 
 

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2023年5月12日 (金曜日)

和クロスオーバーの好盤です。

この4〜5年の間に「和フュージョン」の名盤・好盤がリイシューされている。今までは、フュージョン・ブーム当時、売れた実績のあるアルバムのみがリイシューされてきたきらいがあるが、この4〜5年の間のリイシューはちょっと様相が違う。

フュージョン・ブームの時、確かにリリースされているが、内容的にマニア好み、若しくはレコード会社が販売に力を入なかった、そんな理由で、あまり売れること無く、ひっそりと廃盤になっていった「和クロスオーバー」「和フュージョン」の名盤・好盤がリイシューされているのだ。

我々、フュージョン・ジャズ者からすると、とても嬉しい、とても懐かしいリイシューである。いいぞ、どんどん出してくれ、と心の中で叫びながら、せっせとそんなアルバム達を聴き直している。

山岸潤史『Really?! - ほんまか』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、鳴瀬喜博, 小原礼, 田中章弘 (b), 村上"ポンタ"秀一, ジョニー吉長, 上原裕 (ds), 国府輝幸, 難波弘之, 緒方泰男 (key), ペッカー, マック清水 (perc), 金子マリ, 亀淵友香, 上村かをる (chorus) 等。ホーン・セクションはスペクトラム。ゲストにGary Boyle (g)。特にバックスバニーのメンバーはギター以外、全員参加である。

現在ニューオーリンズに拠点を移し活動中の日本人ギタリスト、山岸潤史の初リーダー作。曲者揃いのパーソネル。音的には、フュージョン・ジャズというよりは、クロスオーバー・ジャズがピッタリ合う。
 

Really

 
ギタリストの山岸潤史。1953年6月生まれ。今年で70歳。もともとは、渋い和ロックのブルース・バンド「ウエスト・ロード・ブルース・バンド」のギタリストでデビュー。当時は「日本のジミ・ヘン」と形容されたアグレッシヴでブルージーなエレギでその名を馳せた。その後、ソウル・バンドのソー・バッド・レビューに加入。その後、ソロとして、この『リアリー?!』をリリースしている。

この盤での山岸のエレギは、まだブルース・ロックに軸足を残しているようで、ゲストのゲイリー・ボイルのジャジーなエレギに、山岸はブルース・ベースのフレーズで応対している。これがなかなかスリリングで、なかなかにユニーク。ジャズ・ギターとブルース・ギターとの融合。クロスオーバー・ジャズと形容するのが一番落ち着く。

僕は山岸のエレギについては、ウエスト・ロード・ブルース・バンドのデビュー作『Blues Power』で知った。日本人でも、こんなブルース・ギターがギンギンに弾けるんや、とビックリするやら、頼もしく思うやら。

そんな山岸のブルース・エレギが大活躍しているのが、この『リアリー?!』。ブルース・エレギを基調としながら、ファンクなフレーズも醸し出していて、アルバム全体の雰囲気は「クロスオーバー・ファンク・ロック」でしょうか。ギターインストのファンク・ミュージック、そのオフビートの音世界が、どこかジャズにつながっている。そんな感じかな。

いやはや、とにかく、思いっ切り「懐かしい」、和クロスオーバーなアルバムがリイシューされたもんです。ジャケットもとてもユニークで印象的。タイトルの『リアリー?!』は、ライナーには「ほんまか?!」と振り仮名がある。この「ほんまか?!」の方が、山岸のソロ・アルバムらしいネーミングですね。
 
 

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2023年4月28日 (金曜日)

MALTA『High Pressure』再び

ここ4〜5年の間、日本人によるフュージョン・ジャズ、いわゆる「和フュージョン」の名盤、好盤がリイシューされている。

それまでは、和フュージョン盤のリイシューについては、過去に圧倒的に人気があった盤のみがリイシューされていて、売れなかったが内容的に優れている盤とか、マニアックな人気を獲得していた盤などは、レコード会社の方で「再発しても採算が取れない」と判断したんだろう、今まで、廃盤のままでリイシューされることは無かった。

が、何故かはよく判らないが、そういった「不採算」な和フュージョン盤がリイシューされる様になった。僕は、フュージョン・ブームについては、学生時代、リアルタイムで体験しているので、そんな「不採算」な和フュージョン盤は、ジャケを見るだけで音が聴こえてくるくらい、当時、聴き込んだ懐かしい盤ばかりである。

MALTA『High Pressure』(写真左)。1987年の作品。ちなみにパーソネルは、MALTA (sax), Don Grusin (key), Dann Haff (el-g, ac-g), Nathan East (el-b), Vinni Colaiuta (ds), Paulinho Da Costa (perc)。日本のフュージョン系のサックス奏者、マルタの5枚目のリーダー作。

マルタは1949年生まれ。鳥取県出身。本名「丸田 良昭」。今年で74歳。1973、東京芸大を卒業後、バークリー音楽大学に留学。1978年、ミンガスの『Me, Myself An Eye』『Something Like A Bird』の録音に参加。1979年より、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターを務め、1983年にJVCと契約し、初リーダー作『MALTA』をリリース。フュージョンをメインに活動。演奏以外にも、芸大にて教鞭を執る傍ら、音楽発展に尽力、とある。
 

Maltahigh-pressure

 
MALTAって、ミンガスのアルバムに参加しているんですよね。聴いたことがありますが、硬派でメインストリームな活きの良いサックスでした。MALTAのサックスって、素姓の良い、基本がしっかりしたサックスで、とっても良い音で鳴り、テクニックも優秀。もっと注目されても良いサックス奏者だと思います。

さて、『High Pressure』は、1987年、我が国でのバブル期にリリースされ、これは「売れた」。路線としては、ディヴィッド・サンボーンあたりだと思うが、サンボーンよりも、サックスの音が柔軟で素直で流麗。ブリリアントで癖が無くテクニックは優秀。そんなMALTAのサックスをとことん聴いて楽しむ事が出来る好盤である。

今回、改めて聴いてみて(20年ぶりくらいでした)、MALTAのサックスがとても良い音で鳴っているのは勿論のこと、バックの演奏が結構エグい。キーボードからギターからベースからドラムまで、相当、凄い演奏を繰り広げているに気がついて、思わず、スピーカーの前でしっかり聴き込む。

キーボードのフレーズはセンス良く、ギターはスピード感溢れ切れ味良く、だが、エレベが相当エグい。誰だろう、とパーソネルを確認したら、若き日のネイザン・イーストでした。納得。そして、ドラムがそれ以上にエグい。ポリリズミックな高速ドラミングで、8ビートでスイングするような疾走感。こんなエグいメンバーをバックに、MALTAは悠然とサックスを吹き上げ、疾走する。

和フュージョンの名盤として、聴き応え満点の『High Pressure』。バブル期のお洒落なフュージョンとは一線を画した、ワールドワイドで勝負出来る、フュージョン・ジャズの名盤だと思います。もう一回、聴き直したくなった。
 
 

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2023年3月19日 (日曜日)

小粋なジャズの相性抜群なコンビ

小粋なジャズ盤を探索して聴き漁っているうちに、小粋なジャズ盤に必須の「小粋な演奏」を量産出来る「相性抜群のコンビ」というものが存在するんじゃないか、と思い始めた。オスカー・ピーターソンとハーブ・エリスとか、ビル・エヴァンスとジム・ホールとか、この二人をコンビを組んで演奏すれば、絶対に「小粋なジャズ」が出来上がる。そんな「相性抜群なコンビ」というものがどうもあるみたいなのだ。

『Teddy Wilson Meets Eiji Kitamura』(写真左)。1970年、テディ・ウィルソンが来日時に北村英治とレコーディングしたセッションをLP化したもの。ちなみにパーソネルは、北村英治 (cl), Teddy Wilson (p), 原田政長 (b), Buffalo Bill Robinson (ds), 増田一郎 (vib)。第5回(1971年度)ジャズ・ディスク大賞(スイング・ジャーナル誌主催)最優秀録音賞を受賞した優秀盤である。

ウィルソンと北村が「相性抜群なコンビ」によってつくりあげたスタンダード集。『After You've Gone』(写真右)というタイトルで再発されているものもあるみたいだが、どちらの盤も聴いてみたが違いは無い。冒頭の「On The Sunny Side Of The Street」から抜群に良い雰囲気。リラックスして、穏やかだが力強い。ゆったりとしたスイング感。ゆったりとしたテンポに漂うファンキーなグルーヴ感。
 

Teddy-wilson-meets-eiji-kitamura

 
この盤に漂う抜群のスイング感とグルーヴ感は、北村のクラリネットのウィルソンのピアノによる「賜物」。北村のクラリネットは穏やかだが力強くスインギー。そのバックでリズム・セクションとして北村のクラリネットをサポートし鼓舞するウィルソンのピアノがファンキーでグルーヴィーでスインギー。この二人の相乗効果で、この素晴らしくスインギーで小粋なスタンダード集が出来上がっている。

北村のクラリネットは「スイング・ジャズ」志向。ウィルソンのピアノは「スイングからハードバップ直前の中間派」志向。どちらもハードバップ志向のジャズとは雰囲気が違うが、モダンなジャズには変わりが無い。スタンダード曲の解釈とアドリブ部の展開について、北村とウィルソン双方の嗜好がバッチリ合っているみたいで、二人のユニゾン&ハーモニー、そして、インタープレイに淀みが無い。

こんな「中間派」の小粋なジャズって、聴いていて、ほのぼのして、リラックス出来て、しみじみする。そして、ずっと演奏を聴き進めて行くと、このクインテットの演奏って、それぞれの楽器のテクニックと歌心が抜群で、凄く聴き応えがあるのが判ってくる。こういう「小粋なジャズ」って捨てがたい魅力満載。今でも、たまに引っ張り出しては聴く好盤です。
 
 

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2023年2月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・258

Jazz Lifeの「2022年度 Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を見ていると、日本のジャズも頑張ってるなあ、って思う。バブルが弾けた後、1990年代前半、日本のジャズは沈滞して行ったが、1990年終盤から少しずつ上向き始め、2000年代にはいって、ピアニストの山中千尋がデビュー盤をリリースすることから、日本のジャズは復活し、活性化していった。

そして、こうやって、ジャズライフ誌の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を毎年読んできて、日本のジャズ・シーンは完全に復活し、深化している。最近、有望新人の出現が緩やかになってきているが、既に中堅〜ベテランの域に達した、2000年代に出現した有望新人達が堅実に活躍している。

『魚返明未 & 井上銘』(写真左)。2022年の作品。 ちなみにパーソネルは、魚返明未 (p), 井上銘 (g)。ピアノとギターのデュオ。「魚返 明未」= おがえり あみ、と読む。「井上 銘」= いのうえ めい、と読む。難度の高い「ピアノとギターのデュオ」のチャンジブルなパフォーマンスの記録である。

魚返明未(おがえり あみ)は、1991年東京都生まれ。4歳からピアノを始め、高校でモダンジャズ研究部に入部し、ジャズピアノに転向。 2015年7月、初リーダーアルバムをリリース。 2017年3月に東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業。新進気鋭のピアニストとして、ジャズ・シーンをメインに活動中。

井上 銘(いのうえ めい)は、1991年生まれ、神奈川県出身の日本のギタリスト/コンポーザー。幼少期よりピアノ、ドラムなどの楽器に親しみ、15歳でマイク・スターンの演奏に触れて、ギターを始める。高校在学中よりジャズ・クラブで演奏活動を始め、高校3年で鈴木勲のグループに参加。2011年、初リーダーアルバムをリリース。中堅ギタリストとして、様々なシーンで活躍中。
 

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ピアノとギターのデュオは難しい、と言われる。楽器の音量が違いすぎて、アンサンブルで、デュオ演奏で一番大事な「お互いに聴きあう」ということが難しい。そして、どちらの楽器も、メロディーとコード、どちらも弾けるので、メロディー弾きとコード弾きが、双方の意に背いて重なる危険性が高い。特にジャズは「即興の音楽」ゆえ、どちらのリスクも突発的に連続して起きる可能性がある。

ピアノとギターのデュオで思い出すのは、ビル・エヴァンスとジム・ホールのデュオ。この2人のデュオは見事だった。ピアノとギターのデュオのリスクを、綿密なリハーサルで乗りきり、高テクニックで疾走感溢れ、歌心満点でスリリングな、奇跡的な、唯一無二のデュオ演奏を残している。

そのデュオ演奏と単純に比較するのは酷だが、それでも『魚返明未 & 井上銘』のデュオは大健闘している。リハーサルをしっかり積んだんだろう、ということは演奏を聴いて直ぐに判る。とても堅実に慎重に演奏を進めている様子が良く判る。それでも、演奏の疾走感は保たれているし、ユニゾン&ハーモニーに淀みが無い。日本人ジャズ独特の「ファンクネスは希薄だが、切れ味の良いオフビート」が心地良い。

印象派絵画の様な、耽美的でリリカルな風景を見るような印象的なデュオ演奏は、どこか、パット・メセニーとライル・メイズのデュオを想起する。想起するどころか「比肩」するレベルではないか。と、僕は聴いた。

少しだけの「もったり感」が気になる部分があったが、あと2枚ほど、この2人のデュオを聴いてみたい。出来れば、チック・コリア&ゲイリー・バートンの様な「パーマネントな名デュオ・ユニット」として名を残して欲しい、位に思っている。
 
 

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2022年12月29日 (木曜日)

ジャズって判り易いのが一番

僕がまだジャズ者初心者だった頃、FMラジオは貴重な音源だった。当時、ジャズがメインのFM番組は結構沢山あって、リアルタイムで聞くか、リアルタイムで聞けない時は、タイマー起動でカセットデッキに録音しておいて、家に帰ってきてから、ずっと聞いていた記憶がある。

FM番組でそのジャズLP盤の一部を聴いて、その内容が気に入って、次の日にレコード屋に走ってゲットしたアルバムも結構あった様な気がする。一生懸命、ジャズ入門本やジャズ雑誌を読んだりしているのだが、それでも知らない名前のジャズマンが出てきたら、しっかりメモって、ジャズ人名辞典を引いたりして勉強していたなあ。当時はネットが無かったから、書籍とラジオだけが貴重な情報源だった。

Teddy & Eiji『Live Session』(写真)。1971年7月、東京ヤマハ・ホールとイイノ・ホールでのライヴ音源。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、テディ・ウィルソン "Teddy Wilson" (p), 北村英治 (cl), 尾田悟 (ts), 薗田憲一 (tb), 光井章夫 (tp), 増田一郎 (vib), 池沢行生 (b), 須永ひろし (ds)。テディのピアノ・トリオを中心に、日本を代表するスイング系の名手が勢揃い。内容的には「スイング・ジャズ」が基本。
 

Teddy-eijilive-session

 
この盤の一部をNHKーFMで聴いて、どの曲に感動したかは覚えていないのだが、テディのスインギーでジャジーなピアノと北村英治の小粋で流麗なクラリネット、横揺れにスイングするリズム隊が凄く印象的に耳に残って、演奏の展開もとても判り易く、これはアルバム全体が聴きたい、と翌日、LPをゲットした思い出の盤である。

今の耳で聴き直してみても、テディのピアノはやっぱり良いし、北村のクラリネットは絶品。バックに控える日本を代表するスイング系の名手達のパフォーマンスも端正で流麗で見事。スイングが基調の演奏なんだが、今の耳にも古さは全く感じさせない、鮮度の高い横揺れスイングの上質のモダン・ジャズがこの盤に詰まっている。

こういう演奏を聴くと、やっぱり、ジャズって判り易いのが一番やな、と思ってしまう。加えて、演奏するジャズマンの演奏テクニックが高ければ高いほど、その演奏は判り易くなるのだから、やっぱりジャズって面白い。この盤の「セント・ジェームス病院」を聴いていて、そんなことを強く思った次第。
 
 

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2022年7月10日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・241

1970年代、和ジャズのピアニストは、管楽器に比べて、地味な存在が多かった。皆、テクニックは優秀、個性もしっかり備えているのにも関わらず、米国本場の有名ピアニストが常に優先され、もてはやされた。酷い時は、ちょっと聴いただけで、米国本場のピアニストの物真似、と揶揄されたこともある。

しかし、皆、一流のジャズ・ピアニストであったと思っている。しかも、シッカリとした個性を兼ね備えていたと思う。それでも、レコード屋ではなかなかリーダー作に出会うことは無かった。僕はジャズを聴き始めた頃、専ら、大学近くの「秘密の喫茶店」で聴かせて貰っていた。

板橋文夫トリオ『濤(Toh)』(写真左)。1976年3月1日、東京、第一生命ホールでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、板橋文夫 (p), 岡田 勉 (b), 楠本卓司 (ds)。和ジャズを代表するピアニストの1人、板橋文夫の初リーダー作である。

板橋のピアノの個性が良く判るピアノ・トリオでの録音。僕はこの盤を1979年に聴いている。そして、今回、約40年振りに再び聴くことが出来た、懐かしの盤である。
 

Toh

 
当時は「マッコイ・タイナーにそっくり」なんて言われたが、そんなことは全く無い。左手の和音の弾き方が同じ「ハンマー奏法」なだけで、和音の重ね方とかファンクネスの濃淡など、タイナーとは全く異なる個性である。タイナーよりも弾き回しが冷静で、モーダルな展開がアーティスティックに響くところが良い。

2曲目「Good-bye」がとても良い曲。板橋の自作曲であるが名曲だと思う。タッチは硬質だが、弾き回しは「耽美でリリカル、そして叙情的」。板橋独特の個性であり、もちろんタイナーには無い個性である。

LP時代、B面を占めていたタイトル曲「濤」は壮大な展開。約20分弱の長尺な演奏だが、ダレたところが全く無い。ずっとテンションを張ったまま、ヴァイタルな弾き回しを展開する板橋は素晴らしい。これがライヴでの演奏なのだから恐れ入る。究極のモーダルな即興演奏が展開される。

これが板橋の初リーダー作。ジャズ・ピアニストとしては完成されていて、その実力は、国際的に十分に通用するレベルである。これが1976年の演奏なのだから、我が国にジャズ演奏のレベルは当時からして、相当に高かったことが良く判る。和ジャズのピアノ・トリオ名盤の一枚。
 
 
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2022年6月22日 (水曜日)

CASIOPEA 3rdとしての音の変化 『4010』

正統派フュージョン&バカテクのバンドであるカシオペア(CASIOPEA)。2006年にすべての活動を一旦休止。2012年にCASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)として活動を再開。活動再開と同時に長年のオリジナル・メンバーであった、キーボード担当の向谷の脱退を受け、その後任として、大高清美の加入により現在の形態になる。ギターが野呂一生、ベースが鳴瀬喜博、キーボード大高清美、そしてドラムが神保彰(サポート)の4人編成。

フュージョンというよりは、ロック色が色濃くなり、ボンヤリ聴いていると「これってプログレッシブ・ロック」って思ってしまうほど。バカテクのプレグレ、という雰囲気。恐らく、大高のキーボードが、今回、さらに「キース・エマーソン」風になっているということ。成瀬と神保のリズム隊が、大高のキーボードに呼応して、ロックっぽくなっていること。それらが大きく作用している。

CASIOPEA 3rd & INSPIRITS『4010』 Both Anniversary Gig(写真左)。2017年12月24日、東京「EX THEATER ROPPONGI」にてのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 鳴瀬喜博 (b), 大高清美 (key), 神保彰 (ds, サポート)。ISSEI NORO INSPIRITS と、CASIOPEA 3rd & INSPIRITS 両バンド・メンバーによる白熱のライヴを収録している。

2017年のライヴ音源。カシオペアとしては、2012年に「CASIOPEA 3rd」として再出発して、5年目のライヴ・パフォーマンス。直近のT-スクエアは、スムース・ジャズ化していったのだが、CASIOPEA 3rd は、ジャズ・ロック化していったようだ。
 

Casiopea-3rd-inspirits4010-both-annivers

 
このライヴ音源を聴いてビックリしたのが「CASIOPEA 3rdとしてのバンド・サウンドの変化」。CASIOPEA 3rd 結成当初の「バカテクのプレグレ」から、ポップなジャズ・ロック志向に変化しているように感じる。切れ味鋭い、バカテクな正統派フュージョン・ジャズとしてのカシオペアの面影はほぼ無くなっている。

大高のキーボードが前面に押し出される割合が増えているのが理由だろう。ポップなジャズ・ロック化が悪いといっているのではない。CASIOPEA 3rdとなって、再びサウンドが変化し、加えて「バカテク」という要素が後退、オリジナル「カシオペア」の音世界がほぼ払拭されたサウンドに変化した、ということである。長年の「カシオペア」者の方々の中には、この変化を「良しとしない」向きもあるだろうな。それほど、大きくサウンドは変化している。

サポートメンバーとして活動に帯同してた神保が、2022年5月28日のビルボードライブ大阪公演をもって卒業。新メンバーを補充して、CASIOPEA 3rd としての活動は継続するそうだが、新メンバーを迎えて更に、CASIOPEA 3rdとしての音世界は変化するだろう。

T-スクエアといい、カシオペアといい、時代の流れに伴う「変化」だから仕方が無いこととは言え、デビュー当時からずっと聴き親しんできた僕としては、このバンド・サウンドの変化について、どこか寂しい印象は拭えない。あの頃の音はアルバムで聴き返すしか無いんだろうなあ。
 
 

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