2022年1月27日 (木曜日)

ファンキーなモード・ジャズ

ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)って、健康優良児的なファンキーで明るいタッチのピアニストなんだが、意外と結構、起用で、前進するピアニストだったと思うのだ。特に、1959年〜61年のVee Jay絵Rーベル時代の諸作については、パーソネルに「ウェイン・ショーター」がいたりして、かなり先進的な内容になっている。

Wynton Kelly『Kelly Great』(写真左)。1959年8月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。モーガンのトランペット、ショーターのテナー・サックスがフロント2管のクインテット編成。ベースがポルチェン、ドラムがフィリージョーということで、当時のほぼベストの布陣である。

前リーダー作までRiversideレーベルで、ファンキーでハードバップど真ん中なサウンドを聴かせていたのだが、この盤では、ちょっと雰囲気が異なる。基本が「モード」なのだ。あのモード・ジャズ独特の旋律の響きがこの盤に充満している。これはパーソネルに名を連ねている「ウェイン・ショーター」の仕業だろう。ショーターが全5曲中2曲がショーター作で、バリバリ「モード」な曲なのだ。
 

Kelly-great

 
このショーターの存在が、この盤の「モード」な雰囲気を醸し出していることは明確。ショーターのテナーがどの曲においても「モード」なのだ。ケリーのピアノがファンキーだろうが、モーガンのトランペットがハードバップだろうが容赦無い(笑)。しかし、そこは一流ジャズマンの集まり。ショーターの「モード」の挑戦状をしっかと受けて立っているところがこの盤の聴きどころ。

ケリーが「健康優良児的なファンキーで明るいタッチ」のモーダルなピアノを弾いている。ショーターのモーダルなテナーに戸惑う事無く、逆にショーターの宇宙的なウネウネフレーズに、仄かに明るいファンクネスを塗している。健康優良児的な明るいモーダル・フレーズって、これ、ケリーにしか弾けないのでは。ケリーのピアノのポテンシャルを見せ付けられた様な気分になる快演である。

モーガンも負けじとモーダルに対応して、この盤は「ファンキーなモード・ジャズ」大会の様な雰囲気が蔓延している。この「ファンキーなモード・ジャズ」をもっと深掘りして欲しかったなあ、と思えるほど、意外とユニークな内容になっていて、そこに漂う不思議な訴求力が、この盤の最大の魅力である。
 
 
 
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2022年1月20日 (木曜日)

ポップなウィントン・ケリー盤

ウィントン・ケリーのピアノは、健康優良児的なファンキーで明るいタッチ。しかし、その奥に見え隠れするブルージーな哀愁感が堪らない。転がる様に軽く飛び跳ねるように軽快なフレーズの中に、そこはかとなく漂う粘り。ケリーのピアノは、実に親しみ易いもので、聴いていて楽しく、リラックス度満点のピアノである。

Wynton Kelly『It's All Right!』(写真左)。1964年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds), Candido Camero (conga)。6曲目の「The Fall of Love」には、The Tommy Rey Caribe Steel Bandという、スティール・パン&マラカス軍団が加わっている様だ。

この盤は、Verveレコードからのリリース。Verveレコードは当時、大衆向け音楽の大手レーベル。ジャズについても、大衆向けのファンキー・ジャズやソウル・ジャズを量産していた。このケリーの『It's All Right!』は、そんなVerveのジャズ大衆路線の一環。プロデューサーは、後の「フュージョンの仕掛け人」、クリード・テイラー。
 
Its-all-right_wynton-kelly

 
アルバム全体の印象は、聴いて楽しい、アーバンでダンサフルな「ソウル・ジャズ&ラテン・ジャズ」。垢抜けたソウル・ジャズ、そして、当時流行のラテン・ジャズ。Verveのジャズ大衆路線の面目躍如。ケリーの親しみ易い、聴いて楽しいピアノが、この「大衆向けのジャズ」にピッタリ。

キャンディドのコンガが効いている。ゲスト参加のスティール・パン&マラカスが効いている。特に、ラテン・ジャズ志向の演奏については両者、効きまくっている。ポップでダンサフルな雰囲気を撒き散らしている。そして、ケニー・バレルの漆黒アーバン・ギターもバッチリ効いている。アーバンで夜のジャズな雰囲気を思いっ切り増幅する。

ジャケットも、独特な「American cartoon(米国漫画)」風のユニークなジャケットで、とてもジャズのアルバムとは思えない。さすがは、Verveレコードである。ともあれ、お気楽なポップ志向のジャズ盤っぽいが、ケリーのピアノ、バレルのギター、それぞれの個性を最大限発揮していて申し分無い。気楽に聴き流して楽しいケリー盤である。
 
 
 
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2022年1月19日 (水曜日)

ウィントン・ケリー入門盤です

リヴァーサイド・レコード(Riverside Records)は、1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって設立されたジャズ・レーベル。アルバムをカタログ順に聴き直していて思うのは、意外と硬派なレーベルだということ。ハードバップ全盛期に活発な活動を誇ったレーベルだが、意外と聴衆に迎合した、大衆的なアルバムは少ない。

セロニアス・モンク、ビル・エヴァンス、マックス・ローチ、ランディ・ウエストン等、リヴァーサイドの看板ジャズマンは皆、硬派なハードバップをやる人達。ポップで判り易い大衆的なところは無い。ファンキー・ジャズをやるウィントン・ケリーや、ボビー・ティモンズ、キャノンボール・アダレイだって、意外と硬派でストイックなファンキー・ジャズをやっている。

Wynton Kelly『Kelly Blue』(写真左)。1959年2月19日と3月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Nat Adderley (cor, tracks 1 and 5), Bobby Jaspar (fl, tracks 1 and 5), Benny Golson (ts, tracks 1 and 5), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。セクステット編成が2月19日、ピアノ・トリオ編成が3月10日の録音になる。
 

Kelly-blue

 
1曲目の「Kelly Blue」と5曲目の「Keep It Moving」が、フロント3管のセクステット編成。その他がピアノ・トリオ編成。フロント3管のセクステット編成の演奏が、リヴァーサイドとしては珍しく、典型的なファンキー・ジャズで、ユニゾン&ハーモニーもキャッチャーで、ちょっと気恥ずかしくなるくらいに、演奏全体の雰囲気がポップ。

確かに、セクステット編成の演奏はそうなんだが、ケリーのピアノをメインとするピアノ・トリオ編成の演奏は、意外とストイックで、ケリーのピアノの個性、健康優良児的にハッピーな弾き回しだが、その底にそこはかとなく漂う哀愁とマイナー感が良く判る内容で、ケリーのピアノを理解するに最適な演奏となっている。

この盤、リヴァーサイドの中でも「ポップでキャッチャーな内容のファンキー・ジャズ盤」として、ジャズ者初心者向けのアルバムとして、よくそのタイトル名が上がる盤。しかし、冒頭の「Kelly Blue」だけで、ジャズ者初心者向けのジャズ入門盤とするには、あまりに短絡的すぎる。セクステット編成の演奏の中でも、ケリー節は唸っている。この盤、ウィントン・ケリーのピアノを理解する、「ケリー入門盤」として捉えた方がしっくりくる。
 
 
 
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2021年6月13日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・207

ブルーノート・レーベルには、今となっては「ほぼ無名」だが、個性溢れるジャズマンの数少ない録音がある。それも、とても「ブルーノート」らしい音で記録されているのだから、絶対に無視出来ない。こういう内容のある、希少価値のある録音が残っているところが、ブルーノートは「ジャズの老舗レーベル」と一目置かれる所以である。

Sonny Redd『Out of the Blue』(写真)。全8曲中、1-6曲目が1959年12月5日、7-8曲目が1960年1月23日の録音。ブルーノートの4032番。ちなみにパーソネルは、1-6曲目が、Sonny Red (as), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Roy Brooks (ds)、7-8曲目が、Sonny Red (as), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。CDリイシュー盤は、この8曲に5曲のボートラが追加されている。このボートラ部分の録音は、7-8曲目と同じく1960年1月23日の録音。

ブルーノート・レーベルのアルバム作りには珍しく、複数に録音日がまたがる構成になっている。聴いてみても、あまり明確な理由は見当たらない。CDリイシュー盤の全13曲仕様を全曲聴き通すと、1959年12月5日の録音と1960年1月23日の録音、共にリーダーのソニー・レッドのアルト・サックスと、リズム隊の要、ウィントン・ケリーのピアノが、突出して良いパフォーマンスを展開しているのが印象に残る。
 

Out-og-blue

 
リーダーのソニー・レッドのアルト・サックスの音がとても良い。とても良く鳴っている。ブラスのブリリアントな響きを伴って、とても良い音で気持ちよさそうにアルト・サックスを吹き上げている。テクニックは中庸、速弾きをする訳でも無いし、情感タップリにバラードを吹き上げる訳でも無い。レッドはとても良い音で、ゆったりとしたミッド・テンポで、スタンダード曲を自作曲を印象的なフレーズで吹き上げる。

そして、そのアルト・サックスを支えるのが、ウィントン・ケリーのハッビー・スインガーなピアノ。そこはかとないファンクネスとマイナーな響きを宿しつつ、明るくハッピーでスインギーなピアノで、フロントのレッドのアルトを鼓舞し、サポートする。ベースとドラムのリズム隊はいずれも、安心かつ安定したハードバップなリズム&ビートを供給する。

録音年が1959-60年。ハードバップ全盛期を過ぎて「ハードバップ多様化」の時代。そんな時代に「ハードバップど真ん中」な、とりたてて注目する特徴は無いが、とても良い音でアルト・サックスが鳴る。そして、そんなアルト・サックスに、ブルーノート・レーベルらしい独特のエコーがかかって、それはそれはとてもブルーノートらしい音で鳴り響く。ジャケ・デザインもブルーノートらしくて秀逸。ジャケ良し、演奏良し、録音良し、有名盤では無いけど、一聴に値する3方良しの好盤です。
 
 
 

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2021年1月23日 (土曜日)

整然と整ったモブレー=モーガン

ブルーノート・レーベルのアルバムは「ジャケット・デザイン」の面でも優れたものを多く残している。この盤も例に漏れず、実に粋なアルバム・ジャケットである。セッションを録音したであろうオープンリール・テープを運ぶキャリング・ケースをあしらったデザイン。そして、それにそぐった絶妙なロゴタイプ。

Hank Mobley & Lee Morgan『Peckin' Time』(写真左)。1958年2月9日の録音。ブルーノートの1574番。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Lee Morgan (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Charlie Persip (ds)。双頭リーダーのハンク・モブレーのテナー、リー・モーガンのトランペットがフロント2管のクインテット構成。整然と整った躍動感溢れるスッキリとした演奏で、ジャズの良さがギッシリ詰まった盤。

共演者が同年代若しくは年下の時のモブレーは好調だ。ケリーのピアノもご機嫌。モーガンのペットも溌剌。アルバム全体を通して、モブレーのリーダー作の中で、一番、内容が整った盤ではないか。もともと、モブレーとモーガンの相性は良く、この2人の2管コンビには外れが無い。その2人が絶好調なこの盤。アレンジも良好、フロント2管のバランスも良くて、ほんと整った内容に惚れ惚れする。
 
 
Peckin-time  
 
 
特に、唯一のスタンダード、3曲目の「Speak Low」はアレンジも良好、フロント2管が朗々と鳴り響いて、とても素敵な演奏に仕上がっている。ほんと、この盤ではモブレーがテナーを伸び伸びと吹いている。伸び伸びと吹く分、テクニックにも良い影響を与えていて、ミスの無い流麗なアドリブ・フレーズは特筆すべきもの。もしかしたら、この盤、総合的に見て、ハンク・モブレーの一番出来の盤かもしれない。

バックのリズム・セクションの活躍も見逃せない。もともと、モブレーとベースのポール・チェンバースも相性が良い。そして、ハッピー・スインガーでそこはかとなくブルージーなウィントン・ケリーのピアノが、モブレー=モーガンのフロント2管のスピード感とバッチリ合っていて、演奏全体のスピード感の供給に貢献、そして、パーシップのドラムが演奏全体のリズム&ビートをしっかりと「締めて」いる。

ブルーノート・レーベルのアルバムの中でも、ジャズの即興演奏でありがちな「破綻」が全く無い。スリリングな演奏を好む向きには、ちょっと物足りないかも。しかし、フロント2管の抑制がほどよく効いたバリバリな吹きまくりと、バックのリズム隊の躍動感と疾走感。アーティステックな側面を強く感じる、素敵なハードバップ盤である。
 
 
 

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  ・『The More Things Change』1980

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  ・The Band『Stage Fright』

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  ・僕達は「タツロー」を聴き込んだ

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2016年11月13日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・55

僕はこの盤を「ジャズピアノ・トリオの教科書的アルバムの一枚」としている。ピアノ・トリオで何か一枚だけと請われたら、このアルバムを出すことが多い。とにかく聴き易い。ジャズ者初心者の耳に優しい。しかも、ジャズの持つ最大の魅力、即興演奏の良さも抜群だ。

『Wynton Kelly!』(写真左)。タイトルはこれだけ。「ウィントン・ケリー+ビックリマーク」。1961年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。ドラムにジミー・コブが座っているのが目を惹く。4ヶ月前、マイルスの『Someday My Prince Will Come』を録音した6重奏団のリズム・セクションの3人である。

ケリーのピアノが心ゆくまで楽しめる。そこはかとなく翳りを漂わせたハッピー・スインガーなピアノ。ハッピーな雰囲気のアドリブを展開しながらも、そこはかとなく愁いが漂う。スインギーなタッチに忍ばせるブルージーでファンキーな感覚。この感覚はウィントン・ケリーのピアノならではの個性である。

聴けばそれが直ぐ判る。冒頭の「Come Rain Or Come Shine」から、ケリー節全開である。この1曲で、ウィントン・ケリーの個性のほとんどが確認出来る。過剰一歩手前の素晴らしく趣味の良いスイング感。そして、このハッピーなスイング感の底に濃厚にブルージーな感覚が漂う。
 

Wynton_kelly

 
バックのポール・チェンバースとの相性は抜群だ。ケリーのアドリブ・フレーズを予見するかのように、ケリーの展開にぴったりとフィットするベースラインを供給する。見事だ。プライベートでも仲が良かった、と聞くが「なるほどな」と思う。素晴らしいコンビネーションである。

加えて、このピアノ・トリオの演奏を典雅なものにしているのは、ジミー・コブのドラミングだ。ダイナミックで破天荒なフィリー・ジョーのドラミングと比べると地味な印象を受けるが、どうして、余裕ある間合いのドラミングは迫力十分。スタンダード曲が中心のこのアルバムからすると、ジミー・コブのドラミングの方がバランスが良い。

余裕ある落ち着いたリズム&ビートに乗った「スタンダード曲」中心のケリー節がとても心地良い。小粋な鼻歌を歌うような、ハッピーでスインギーなケリーのフレーズは、余裕ある落ち着いたリズム&ビートの乗った時が一番だ。そういう意味で、このアルバムでのベースとドラムの選択は見事である。

全編35分弱とアルバム全体としては短いが、それぞれの演奏曲については、長すぎず短かすぎず、スタンダード曲の旋律とアドリブを愛でるにはちょうど良い塩梅だ。ウイントン・ケリーのハッピー・スインギーなピアノを堪能出来る、ピアノ・トリオ入門盤としてもお勧めの好盤です。

 
 

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2015年3月 1日 (日曜日)

ハッピー・スインガーなピアノ

今日は午後から冷たい雨。結構、まとめて降っている。これでは午後は外出不可。家の中でノンビリ寛ぐこととなる。

雨の日に耽美的、またはリリカルで静的なジャズ・ピアノは精神的に良くない。内省的になって、気分が内に籠もって、ただでさえ、ジャズってマイナー・トーンが多いので、なんだかドンヨリ暗くなる。こういう天気の時には、ハッピー・スインガーなジャズ・ピアノが良い。

そこはかとなくマイナーな翳りを引きずるが、基本的にハッピー・スインガーなジャズ・ピアノと言えば、ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)がいる。今日は、このWynton Kellyの『Piano』(写真左)というアルバムを聴く。

邦題『ウイスパー・ノット』と言われて、ジャケットを見直して「おっ」と思い出すケリーの佳作である。1958年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マイルス・バンドのリズム・セクションを務めていた盟友、ベースのチェンバースに、ドラムのフィリー・ジョーとのトリオ編成に、ブルージーな漆黒ギターのバレルが参入するカルテット構成。

全編に渡り、バレルの参加を得て、美しいメロディアスに漂うブルージーな哀感を楽しめる盤である。しかし、ケリーというピアニストは、器用というか感性豊かというか、客演するミュージシャンの特性に応じて、微妙にピアノのバッキングの雰囲気を変えることが出来るのだ。
 

Wynton_kelly_piano

 
今回の客演は「ミッドナイト・ブルー」なギタリストであるケニー・バレル。バレルのギターはブルージーかつ、そこはかとなくファンキー。このバレルの特性である「ブルージー」な部分にビビットに反応して、このアルバムでのケリーのピアノは、通常よりもとても「ブルージー」。これがケリーの職人芸的なポイントである。

すると面白いことに、この「バレルとケリーのブルージーさ」を際だたせるように、ベースのチェンバ ースとドラムスのフィリー・ジョーがバッキングするのだ。これも職人芸でありプロの技である。なるほど、ケリーにしろ、チェンバースにしろ、フィリー・ジョーにしろ、あの帝王マイルスが手もとに置いたわけだ。

よって、このアルバム、ケリーの他のアルバムよりも「ブルージーさ」が際だつ。1曲目の「Whisper Not」の名演は言うに及ばず、3曲目の「Dark Eyes」、5曲目の「Ill Wind」などは、バレルのブルージーなギターと併せて、ケリーのブルージーでありながらドライブ感豊かな、それでいて、そこはかとなく「翳り」を漂わせたピアノが素晴らしく際立つ。

6曲目の「Don't Explain」などは、メンバーが一丸となった、そのベタベタにブルージーで心地よいスローな演奏に心からリラックスして、 消え入ってしまいそうなほどの名演だ。これだけの表現力を持つハードバップ・ジャズって、そうそう他に無い。

全編、しっとりと落ち着いた、それでいてキッチリとハードバップしている、とても良い演奏です。雨の日に最適な、落ち着いた、それでいて、しっかりとドライブ感もある演奏です。典型的なハードバップ演奏で判り易く、ジャズ者初心者の方々にもお勧めの一枚です。

 
 

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  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
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  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
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