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2016年11月13日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・55

僕はこの盤を「ジャズピアノ・トリオの教科書的アルバムの一枚」としている。ピアノ・トリオで何か一枚だけと請われたら、このアルバムを出すことが多い。とにかく聴き易い。ジャズ者初心者の耳に優しい。しかも、ジャズの持つ最大の魅力、即興演奏の良さも抜群だ。

『Wynton Kelly!』(写真左)。タイトルはこれだけ。「ウィントン・ケリー+ビックリマーク」。1961年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。ドラムにジミー・コブが座っているのが目を惹く。4ヶ月前、マイルスの『Someday My Prince Will Come』を録音した6重奏団のリズム・セクションの3人である。

ケリーのピアノが心ゆくまで楽しめる。そこはかとなく翳りを漂わせたハッピー・スインガーなピアノ。ハッピーな雰囲気のアドリブを展開しながらも、そこはかとなく愁いが漂う。スインギーなタッチに忍ばせるブルージーでファンキーな感覚。この感覚はウィントン・ケリーのピアノならではの個性である。

聴けばそれが直ぐ判る。冒頭の「Come Rain Or Come Shine」から、ケリー節全開である。この1曲で、ウィントン・ケリーの個性のほとんどが確認出来る。過剰一歩手前の素晴らしく趣味の良いスイング感。そして、このハッピーなスイング感の底に濃厚にブルージーな感覚が漂う。
 

Wynton_kelly

 
バックのポール・チェンバースとの相性は抜群だ。ケリーのアドリブ・フレーズを予見するかのように、ケリーの展開にぴったりとフィットするベースラインを供給する。見事だ。プライベートでも仲が良かった、と聞くが「なるほどな」と思う。素晴らしいコンビネーションである。

加えて、このピアノ・トリオの演奏を典雅なものにしているのは、ジミー・コブのドラミングだ。ダイナミックで破天荒なフィリー・ジョーのドラミングと比べると地味な印象を受けるが、どうして、余裕ある間合いのドラミングは迫力十分。スタンダード曲が中心のこのアルバムからすると、ジミー・コブのドラミングの方がバランスが良い。

余裕ある落ち着いたリズム&ビートに乗った「スタンダード曲」中心のケリー節がとても心地良い。小粋な鼻歌を歌うような、ハッピーでスインギーなケリーのフレーズは、余裕ある落ち着いたリズム&ビートの乗った時が一番だ。そういう意味で、このアルバムでのベースとドラムの選択は見事である。

全編35分弱とアルバム全体としては短いが、それぞれの演奏曲については、長すぎず短かすぎず、スタンダード曲の旋律とアドリブを愛でるにはちょうど良い塩梅だ。ウイントン・ケリーのハッピー・スインギーなピアノを堪能出来る、ピアノ・トリオ入門盤としてもお勧めの好盤です。

 
 

震災から5年8ヶ月。決して忘れない。まだ5年8ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2015年3月 1日 (日曜日)

ハッピー・スインガーなピアノ

今日は午後から冷たい雨。結構、まとめて降っている。これでは午後は外出不可。家の中でノンビリ寛ぐこととなる。

雨の日に耽美的、またはリリカルで静的なジャズ・ピアノは精神的に良くない。内省的になって、気分が内に籠もって、ただでさえ、ジャズってマイナー・トーンが多いので、なんだかドンヨリ暗くなる。こういう天気の時には、ハッピー・スインガーなジャズ・ピアノが良い。

そこはかとなくマイナーな翳りを引きずるが、基本的にハッピー・スインガーなジャズ・ピアノと言えば、ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)がいる。今日は、このWynton Kellyの『Piano』(写真左)というアルバムを聴く。

邦題『ウイスパー・ノット』と言われて、ジャケットを見直して「おっ」と思い出すケリーの佳作である。1958年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マイルス・バンドのリズム・セクションを務めていた盟友、ベースのチェンバースに、ドラムのフィリー・ジョーとのトリオ編成に、ブルージーな漆黒ギターのバレルが参入するカルテット構成。

全編に渡り、バレルの参加を得て、美しいメロディアスに漂うブルージーな哀感を楽しめる盤である。しかし、ケリーというピアニストは、器用というか感性豊かというか、客演するミュージシャンの特性に応じて、微妙にピアノのバッキングの雰囲気を変えることが出来るのだ。
 

Wynton_kelly_piano

 
今回の客演は「ミッドナイト・ブルー」なギタリストであるケニー・バレル。バレルのギターはブルージーかつ、そこはかとなくファンキー。このバレルの特性である「ブルージー」な部分にビビットに反応して、このアルバムでのケリーのピアノは、通常よりもとても「ブルージー」。これがケリーの職人芸的なポイントである。

すると面白いことに、この「バレルとケリーのブルージーさ」を際だたせるように、ベースのチェンバ ースとドラムスのフィリー・ジョーがバッキングするのだ。これも職人芸でありプロの技である。なるほど、ケリーにしろ、チェンバースにしろ、フィリー・ジョーにしろ、あの帝王マイルスが手もとに置いたわけだ。

よって、このアルバム、ケリーの他のアルバムよりも「ブルージーさ」が際だつ。1曲目の「Whisper Not」の名演は言うに及ばず、3曲目の「Dark Eyes」、5曲目の「Ill Wind」などは、バレルのブルージーなギターと併せて、ケリーのブルージーでありながらドライブ感豊かな、それでいて、そこはかとなく「翳り」を漂わせたピアノが素晴らしく際立つ。

6曲目の「Don't Explain」などは、メンバーが一丸となった、そのベタベタにブルージーで心地よいスローな演奏に心からリラックスして、 消え入ってしまいそうなほどの名演だ。これだけの表現力を持つハードバップ・ジャズって、そうそう他に無い。

全編、しっとりと落ち着いた、それでいてキッチリとハードバップしている、とても良い演奏です。雨の日に最適な、落ち着いた、それでいて、しっかりとドライブ感もある演奏です。典型的なハードバップ演奏で判り易く、ジャズ者初心者の方々にもお勧めの一枚です。

 
 

震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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