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2019年5月12日 (日曜日)

キャノンボールのエレ・ファンク

やっと5月らしい気温に落ち着いた。湿度も低く、長袖のラガーシャツでウォーキングしても汗ばまず、清々しい気分。思い返せば、日本の一年間の中で、数少ない「過ごしやすい時期」である。これだけ過ごしやすい気候になれば、日頃、耳にすることが疎遠になったジャズマンのアルバムを聴き直したくなる。
 
キャノンボール・アダレイが気になってきた。そういえば暫く疎遠になっている。ファンクネスこってこてのファンキー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがメインのアルト・サックスのレジェンドである。ビートとメリハリの効いた「オーバー・ファンク」な演奏はとにかく熱い。本格的な夏が来る前に聴き直さないと、また半年後辺りに繰り延べになる。
 
ということで、キャノンボール・アダレイである。僕はキャノンボールの「ジャズ・ファンク」が大好きである。電気楽器をバリバリに取り入れ、ソウル・ミュージックのエッセンスを大々的に取り入れ、こってこてファンキーでダンサフルなジャズ。明らかに時代の流行に迎合している、と「ファンクの商人」などと揶揄されたりするが気にしない。良い音楽は良い。
 
 
Inside-straight
 
 
Cannonball Adderley『Inside Straight』(写真左・右はLP時代)。1973年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Hal Galper (el-p), Walter Booker (b), Roy McCurdy (ds), King Errisson (perc)。Fantasy Studioで行ったスタジオ・ライブの録音盤になる。ライブならではの「一発録り」のテンションが心地良い。
 
1973年の録音であるが、内容はフュージョン・ジャズを先取りした様な、こってこてファンキーでダンサフルではあるが、どこか「ソフト&メロウ」な雰囲気漂うジャズ・ファンクである。一時よりも落ち着いたリズム&ビートが、この頃のキャノンボール・クインテットの雰囲気をバッチリ「キメている」。
 
1975年8月、キャノンボールは急逝するから、逝去2年前の晩年のパフォーマンスがこの盤に詰まっていることになる。「ファンクの商人」と揶揄されようが、あくまでポップス音楽としてのジャズを追求した、キャノンボールのジャズ・ファンク。今の耳にもさほど古さは感じず、聴いて楽しいキャノンボールのエレ・ファンク。さて、キャノンボールのリーダー作をここから遡ってみるとするか。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月 9日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・69

いろいろと異論はあるだろうが、私、松和のマスターにとっては、ジャズ・トロンボーンを愛でるのは、この初夏の季節が一番である。初夏の心地良く暖かな気候の中で聴く、ホンワカ、ホノボノなトロンボーンの音色。かなり心地良く耳に響いて、心が晴れ晴れ。スカッとストレス解消と相成る。
 
ということで、最近、トロンボーンが主役のアルバムを聴きまくっている。ジャズ・トロンボーンの奏者って、数が少ないのだけれど、ジャズの歴史を振り返って、結構、好盤の率が高い。トロンボーンの音色って、ホンワカ、ホノボノしているので、なかなか単体だと印象が薄くなる。そこでアレンジの出番。トロンボーンがメインのジャズ盤って、押し並べて、アレンジが優れている。

『3 Bones And A Quill』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Rehak, Jim Dahl, Jimmy Cleveland (tb), Gene Quill (as), Whitey Mitchell (b), Charlie Persip (ds), Hank Jones, Nat Pierce (p)。リーダー格で、フロントを担当するのが、アルト・サックスのジーン・クイル(写真右)。フィル・ウッズと結成した、2アルト・サックス・ユニット「フィル&クイル」での活動が有名。
 
 
3-bones-and-a-quill-as
 
 
そして、もう一方のフロントを担当するのが、なんとなんと、ジミー・クリーブランド、ジム・ダール、フランク・リハクという当時最高のトロンボーン奏者3人がフロントを張っているのだ。このトロンボーン3本による、豊かで趣味の良いアンサンブルが、チャーリー・パーカー直系のクイルのアルト・サックスを際立たせている。

演奏自体はハードバップだが、とにかく、トロンボーン3本のユニゾン&ハーモニーのアレンジがとても優れている。加えて、トロンボーン3本それぞれのアドリブ・ソロも端正で流麗。しっかりとフレーズを立たせていて、聴いていてワクワクする。フロントのアルト・サックス、そしてトロンボーン、それぞれの音色はファンキー際立つジャジーな雰囲気が濃厚。
 
選曲も捻りが効いていて、聴いていて楽しい。トロンボーン3管の特徴を生かしたユニークな演奏。癒し系のトロンボーンとクイルの超高速アルトのアンサンブル&チェイスが印象的。演奏自体もアレンジが良く効いていて聴き易い。この初夏の季節、ジャズ喫茶の昼下がりにピッタリの好盤です。
 
 
 
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2019年4月25日 (木曜日)

貞夫さんの躍動感が半端ない

渡辺貞夫と呼ぶよりは「貞夫さん」。日本ジャズ界が世界に誇るアルト・サックス奏者である。今までのジャズの様々な成果を鑑みると、日本ジャズ界でダントツの存在である。1933年生まれなので今年で86歳。未だ第一線の先頭に立って、日本ジャズ界を牽引している様は「素晴らしい」の一言。
 
僕は貞夫さんを聴き続けて40年余。気合いを入れて聴き始めたのは、例のフュージョンの好盤『California Shower』からである。とにかく僕は貞夫さんのアルト・サックスの音が大好きだ。スッと伸びた明るくブリリアントな響き。流麗ではあるが芯がしっかり入ったフレーズ。ビ・バップ仕込みの光速テクニック。しかし、一番の魅力はフレーズに溢れる「歌心」。
 
そんな貞夫さんの最新作が『Re-Bop the Night』(写真左)。昨年の日本ツアーから8か所のベスト・テイク12曲。ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), Russell Ferrante (p), Ben Williams (b), Kendrick Scott (ds)。イエロージャケッツのオリジナルメンバーであるベテラン、フェランテのピアノを核に、新世代ジャズシーンを担うベースとドラムがバックを支える。
 
 
Rebop-the-night-sadao  
 
 
今年で86歳なんて嘘だろう、と思う。貞夫さんのアルト・サックスは絶好調。特に、この盤、ライブ録音盤だけに、貞夫さんのアルトの躍動感が半端ない。力の入れ具合も塩梅良く、力感溢れるバップなフレーズから、優しさを湛えたバラードなフレーズまで、硬軟自在、変幻自在、質実剛健なアルト・サックスが素晴らしい。
 
貞夫さんのアルトの素晴らしさの次に、しっかりと耳に残るのが、フェランテのピアノの良い響き。ファンクネスが殆ど感じられない、自然や空間を想起するネイチャー・ジャズの側面と、現代の新主流派と呼んで良いほどの、静的でスピリチュアルなモード・ジャズの側面の両方を上手くハイブリッドした様なピアノは聴きものである。
 
このライブ盤での貞夫さんのアルト・サックスの躍動感が実に心地良い。バックのフェランテがメインのリズム・セクションも隅に置けない素晴らしさ。実に聴いていて楽しく、聴き応えのあるメインストリーム・ジャズ。それぞれの楽器の音も良好。万人にお勧めの「貞夫流ネオ・ハードバップ」な演奏に感心することしきり、である。
 
 
 
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2019年4月18日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・112

フィル・ウッズのアルト・サックスは爽快である。切れ味の良い、ストレートな吹きっぷり。唄うが如く、伸びやかに吹き回すアドリブ・フレーズ。ファンクネスはそこそこに抑えられ、オフビートの躍動感とジャジーな雰囲気を前面に押し出した音色。フィル・ウッズも個性派プレイヤーの一人である。
 
そんなフィル・ウッズも2015年9月に鬼籍に入ってしまった。既に3年が経過している。それでもまだ未発表集やリイシュー盤が出てくるのだから、ウッズってやっぱり人気のアルト・サックス奏者やったんやなあ、と改めて感心する。そんなリイシュー盤の一枚が、Phil Woods『I Remember』(写真左)。1978年3月の録音。
 
僕はこの盤を知らなかった。ジャズ雑誌の新盤紹介を読んで初めて知った。で、早速入手して聴いてみた。冒頭は、キャノンボール・アダレイ作の「Julian」。ビッグバンドをバックにウッズが吹きまくる。エレピが印象的なゴスペル調のファンキーな演奏だ。うむむ、格好良いでは無いか。ビッグバンドのバックがちょっと甘さを感じさせるが、ウッズのアルトがグッと引き締める。
 
 
I-remember-phil-woods  
 
 
以降、収録曲を眺めてみると、ウッズが敬愛する8人のミュージシャンを追悼したものであることが判る。しかも、これらの曲をオリジナルとは全く別の、ウッズ・オリジナルのアレンジを施してカヴァーしているのだ。このアレンジがどれも良く出来ている。バックにオーケストラ付きの演奏もあるが、決して陳腐になっていない。ぎりジャズとして成立しているアレンジが見事。
 
どの演奏でも、やはりウッズのアルト・サックスの音色が印象的だ。どこで吹いてもしっかりと爽やかに目立っている。思わず、ビリー・ジョエルの「素顔のままで(Just the Way You Are)」での、あの伝説のソロ・パフォーマンスを想起する、ウッズ独特の唄うが如く伸びやかな、切れ味の良い、ストレートな吹きっぷり。聴き応え十分である。
 
ウッズのアルト・サックスをとことん愛でることが出来る、加えて、ウッズのアレンジの才を確認出来る好盤です。盤全体の雰囲気は、アコースティックがメインの演奏ではあるが、ソフト&メロウ、そしてソウルを追求したフュージョン・ジャズっぽい雰囲気が僕は大変気に入りました。早速、今月のヘビロテ盤の仲間入りをしています。
 
 
 
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2019年4月17日 (水曜日)

ルーさん・ウィズ・ストリングス

このジャケットも「もはやジャズでは無い」感じがして、初めて見た時は正直「ひいた」。ジャケットを見た時点では、この盤、初めて見た時点では、ブルーノート・レーベルからのリリースとは思わないだろう。しかも、ブルーノート・レーベル専属のベテランが吹いているのだから、2度ビックリ。
 
Lou Donaldson『Sophisticated Lou』(写真左)。1972年12月の録音。BN-LA024-F。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Eugene Bianco (harp), Joe Venuto (vib), Derek Smith (p,el-p), Jay Berliner (g, 12-string g), Richard Davis (b), Grady Tate (ds), Omar Clay (perc) をメインに、ストリングスがオーバーダビングされている。
 
ルー・ドナルドソン(以降、ルーさんと呼ぶ)は、1926年生まれ。この盤を録音した時点で46歳。既にベテランである。ビ・バップ時代から活躍しており、基本的にブルーノート・レーベルからのリーダー作が多い。ブルーノート・レーベルのお抱えアルト・サックス奏者と言っても良いだろう。そんなルーさんのリーダー作である『Sophisticated Lou』。
 
 
Sophisticated-lou-donaldson_5
 
 
ストリングスをオーバーダビングしているところから、音の雰囲気は「ルー・ドナルドソン・ウィズ・ストリングス」という趣き。ブルーノート・レーベルの製作盤なので、音の作りはしっかりしている。よって、ストリングスの甘きに流された凡盤にはなっていないところが流石である。イージーリスニング・ジャズとして踏みとどまっている。
 
ストリングスのアレンジは1970年代前半の古いイメージのものなので、ストリングスだけ聴くと「ああ、これはイージーリスニング・ミュージックになってしまっているかなあ」と不安になるのだが、ルーさんのアルト・サックスが出てくると、そんな不安は一掃される。ストリングスの存在など全く感じさせず、ルーさんはいつもの「バップなアルト」を吹き上げていく。
 
このルーさんの潔い「バップなアルト」が、この盤をイージーリスニング・ジャズとして踏みとどまらせているのだ。硬派な純ジャズでは無いので、ベテラン・ジャズ者の方々からは眉をひそめられそうな内容ではあるが、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの先駆けとして聴けば、あまり違和感は無い。BN-LA シリーズの盤らしい内容である。
 
 
 
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2019年4月15日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・68

ハードバップ時代の終わり、成熟したハードバップという演奏フォーマットで、かなり渋い内容の演奏が埋もれている。特に、中堅どころの職人的ジャズマンのリーダー作に、渋い内容の成熟したハードバップ演奏が詰まっていたりする。そんなリーダー作を探し、ピックアップし、ジャズ喫茶でかける。ジャズを聴いていて良かった、と思う瞬間である。
 
Gigi Gryce『The Rat Race Blues』(写真左)。1960年6月7日の録音。Prestige RecordsのNew Jazz Label からのリリース。ちなみにパーソネルは、Gigi Gryce (as), Richard Williams (tp), Richard Wyands (p), Julian Euell (b), Mickey Roker (ds)。1960年という録音年から、次のハードバップ時代を担うだろうメンバーが集結している。
 
渋い内容の成熟したハードバップ演奏が詰まっている盤が結構転がっているレーベルが「Prestige RecordsのNew Jazz Label」。このジジ・グライスのリーダー作もそのレーベルからのリリース。いやはや、渋い渋い内容のジャズ演奏がズラリ。決して派手派手しくないし、テクニック的にも中庸を行くもの。しかし、出てくるインプロビゼーションは粋で渋い。ジャジーで味わい深いハードバップ。
 
 
Rat-race-blues-gigi-gryce  
 
 
もともとジジ・グライスのアルト・サックスは渋い。決して大向こうを張るものでは無いし、ハッとするハイ・テクニックで驚かせるものでも無い。どちらかと言えば、リラックスした飄々としたライトなフレーズを吹きながら、ジャジーでファンキーなフレーズを織り込んでいく様な、聴けば聴くほどに味が出てくるような、スルメの様なアルト・サックス。
 
もう一人のフロント楽器、トランペットのリチャード・ウィリアムスが元気溌剌。ハイ・テクニックで歌心を込めつつ、トランペットの真鍮を輝くが如く震わせながら、ブリリアントに吹き上げる。グライスのアルトとは正反対の雰囲気の躍動感溢れる、圧倒的にポジティブなトランペット。グライスとウィリアムス、味わい深いフロント2管である。
 
それまでのハードバップの演奏の成果を踏まえた、味わい深い、小粋な展開に思わずニンマリする。成熟したハードバップだからこそ出来る、ジャズ職人達の素晴らしき「職人芸」。ジャズ喫茶の昼下がり、ノンビリした時間が流れる中、こういう盤の演奏が流れると、その小粋な演奏を、小粋な技を愛でるだけで、「至福の時」が味わえる。
 
 
 
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2019年4月 1日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・111

1960年代以降、ジャズ・テナーの世界で「コルトレーン」は絶対的存在だった。とにかく、ジャズ界はサックスを持つ者、猫も杓子も「コルトレーン・スタイル」を追いかけた。す〜ッと伸びたストレートなブロウ、アドリブではコルトレーン・スタイルの代名詞「シーツ・オブ・サウンド」を駆使、嘶くようなフリーキーなブロウ。サックス奏者であれば、当時は皆がそうだった。
 
John Handy『New View!』(写真左)。1967年6月28日、NYのVillage Gateでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、John Handy (as), Bobby Hutcherson (vib), Pat Martino (g), Albert Stinson (b), Doug Sides (ds)。アルト・サックスがフロントのクインテットだが、ハッチャーソンのヴァイブ、マルティーノのギターが入っている。定番のピアノが入っていない。ちょっと「変則な」クインテットである。
 
リーダーのジョン・ハンディは1933年生まれ。今年で25歳の頃から、チャールス・ミンガスのグループで演奏。1959年に自己のグループを結成以来、1996年辺りまでリーダー作をコンスタントにリリース、ジャズ・アルトサックスの中堅として活躍してきた。しかし、我が国では全く以てメジャーな存在では無い。僕はこの『New View!』というリーダー作でしか、彼の名前を覚えていないくらいだ。逆にこの『New View!』というアルバムはとても良い内容のライブ盤なので、今でもたまに聴いている。
 
 
New-view  
 
 
ジョン・ハンディは1965年のモンタレー・ジャズ・フェスティバルで話題を一人占めした、とある。確かにこの人のアルト・サックスは音が良い。明らかにコルトレーンのフォロワーなんだが、コルトレーンよりも流麗でシュッと伸びた、濁りの無いブロウが個性。アルト・サックスならではの「音の明るさ」も良い方向に作用している。このライブ盤でも、このジョン・ハンディのアルト・サックスの個性的な音が満載で聴き応えがある。
 
「Naima」と「A Little Quiet」「Tears of Ole Miss」の3曲のみの収録曲だが、後者2曲が明らかに「コルトレーン・スタイル」のフォロワーな演奏なんだが、冒頭の「Naima」だけが静的で耽美的。ブロウもコルトレーンのフォローな雰囲気はあまり感じられず、このバラード演奏の吹きっぷりにこそ、ハンディならではの個性を強く感じるのは僕だけだろうか。ハッチャーソンの耽美的なヴァイブとフロントを分け合って、美しい響きのバラード演奏についつい惹き込まれる。
 
特に、LP時代のB面の全てを占める長編の「Tears of Ole Miss」は、コルトレーン派の面目躍如的なブロウで、ライブならではの白熱のプレイを聴くことが出来ます。ジャケ写真の穏やかに微笑むハンディもタイポグラフィーと相まって良好。ジョン・ハンディのこのライブ盤を聴き直して、ハンディの他のリーダー作も聴いてみたくなりました。
 
 
 
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2019年3月24日 (日曜日)

適度な泣きのマクリーンを聴く

1970年代以降のニュー・ジャズや現代のネオ・ハードバップやネオ・スピリチュアルなジャズを最近良く聴く。その演奏の創造性の高さや演奏テクニックの素晴らしさを愛でる訳だが、さすがに同じ傾向のジャズを聴き続けると耳が疲れる。そうするとふと聴きたくなるのがハードバップ。それも1950年代の「純正ハードバップ」な演奏にドップリ浸かりたくなる。
 
Jackie Mclean『A Long Drink of the Blues』(写真左)。1957年8月30日の録音 (#1-2)と同年2月15日の録音 (#3-5)とに分かれる。録音時期が違うので、当然、パーソネルを2つに分かれる。リーダーの Jackie Mclean (as, ts) は変わらないが、8月30日の録音は、Webster Young (tp), Curtis Fuller (tb), Gil Coggins (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)、2月15日の演奏は、Mal Waldron (p), Arthur Phipps (b), Art Taylor (ds)。
 
こういうアルバム曲の編成って「プレスティッジ・レーベル」の仕業と睨んで間違い無い。LP時代のA面、1曲目と2曲目のタイトル曲「A Long Drink of the Blues」はマクリーンのオリジナル曲。1曲目は「false start(出だしの失敗)」で2曲目がやり直しテイクで、フロント3管のセクステット構成。マクリーンは珍しくテナーも吹いている。LP時代のB面、3曲目から5曲目についてはスタンダード曲で、マクリーンのアルト・サックスがフロント1管のカルテット構成。
 
  
A-long-drink-of-the-blues
 
 
演奏の編成が異なる演奏が2種類、分かれているのだが、この盤については意外にそれが気にならない。というか気がつかない。マクリーンのアルト・サックスの音色と演奏が実に目立っていて印象的で、このマクリーンのアルト・サックスが、2種類に分かれる編成の演奏に「統一感」を持たせているのだ。確かに、マクリーンのアルト・サックスは個性的すぎるほど個性的。
 
クラシックではありえないであろう、ピッチが少しフラットした音色。フレーズのほぼ8割がピッチがフラットしているので、聴けば「これはマクリーン」と直ぐに判る。そんな超個性的なマクリーンのアルト・サックスを心ゆくまで愛でることの出来るアルバムの一枚がこの『A Long Drink of the Blues』である。適度にリラックスした雰囲気の中で、朗々とややピッチがずれたアルト・サックスで「鼻歌を唄うように」アドリブ・フレーズを繰り出していく。
 
特に3曲目から5曲目の3曲についてはいずれも有名なバラードで、情感がこもった適度な「泣き」のマクリーンの片鱗を聴くことが出来る。確かにマクリーンはバラード演奏が上手い。この「泣き」のマクリーンが堪らなく良いのだ。アルバム・ジャケットは「やっつけ風」で損をしているが、ハードバップ好きには堪らない内容だと思います。好盤です。


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2019年2月20日 (水曜日)

アフロ・キューバン侮り難し

チューチョ・ヴァルデスの新盤を聴いていて、彼がリーダーとして活躍している「イラケレ」というバンドを思い出した。「イラケレ」は伝説のキューバン・ジャズのグループになる。明らかにアフロ・キューバンなクロスオーバー・ジャズであり、ジャズの要素に中米のリズムを基調としたラテンジャズな雰囲気が個性。

その「イラケレ」の中で、これまた実にアフロ・キューバンなアルト・サックスを吹く輩がいる。パキート・デリヴェラである。アルト・サックスとクラリネットの名手で、場面場面によって、アルト・サックスとクラリネットのサウンドを巧みに使い分けるところが彼の個性。特に、アルト・サックスは人間の肉声に近い音程を持った楽器で、デリヴェラのアルト・サックスは「唄うが如く」である。

パキート・デリヴェラは、1948年6月生まれ。今年で71歳になる。殆どレジェンドの位置づけのアルト・サックス&クラリネット奏者である。アフロ・キューバンな響きを漂わせながら、ハードバップに吹き上げるアルト・サックスが個性。テクニックも高いが、そのテクニックをひけらかすことは無く、アフロ・キューバンなラテンな響きを漂わせながら、流麗に力強くアルト・サックスを吹き上げる。
 

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Paquito D'rivera『En Finlandia』(写真左)。1976年9月の録音。 今から40年以上前にリリースされた、そんなパキート・デリヴェラの好盤。僕はつい最近まで、この盤を知らなかった。我が国では、どうもアフロ・キューバン・ジャズにちょっと冷たいところがあって、イラケレについてもそうなんだが、アフロ・キューバンの本場、キューバ・ジャズについての評価が定まっていない。が、この盤でのデリヴェラのアルト・サックスは見事だ

アルト・サックスのブラスが煌めく様に鳴る。そこに、アフロ・キューバンがメインのラテン風な響きとフレーズが加わり、その音は硬派で芯があって力強く、かつ緻密。雰囲気的には最近のジャズのトレンドである、穏やかではあるが芯があって力強いスピリチュアル・ジャズの雰囲気を先取りしている感じがして、意外と今の耳に馴染む。ジャズ+キューバン+ラテンと、ジャズをベースとしたキューバ+ラテンな雰囲気とフレーズの融合音楽的演奏が実に心地良い。

純ジャズでは無いが、アフロ・キューバンなジャズ、ワールド・ミュージック的要素を取り入れた、コンテンポラリーな純ジャズな演奏が実に骨太であり硬派である。我が国ではあまり正統な評価はされていない印象ですが、このところ来日していたりで、やっと再評価されるつつあるのでしょうか。演奏が基本的にポジティヴなんで、聴いていて楽しいですし、何だかウキウキしてきます。「アフロ・キューバン侮り難し」である。

 
 
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2019年1月28日 (月曜日)

キャノンボールの初リーダー作

最近、レジェンド級のジャズ・ミュージシャンの初リーダー作に興味が湧いて、順番に聴き直している。「栴檀は双葉より芳し」という諺があるが、ジャズについては、リーダー作にそのジャズメンの個性がしっかりと表現されている。つまり、そのミュージシャンの個性がしっかりと感じ取れるのがリーダー作なのだ。

さて、まず最初に選んだ初リーダー作の主は「キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)」。1928年9月、フロリダ州の生まれ。本名は「ジュリアン・エドウィン・アダレイ」。「キャノンボール」はニックネーム。とにかく大食漢だったそうで、「キャノンボール」は、つまりキャンニバル(cannibal : 大食漢)に由来する、とのこと。

『Presenting Cannonball Adderley』(写真)。1955年7月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Jerome Richardson (ts), Kenny Clarke (ds), Paul Chambers (b) が全ての楽曲で演奏している。トランペットとピアノはそれぞれ2名で分担し、Nat Adderley (cor, tracks 1-4 & 6-11),Donald Byrd (tp, tracks 6, 8-9 & 11)。Horace Silver (p, tracks 6-9 & 11), Hank Jones (p, tracks 1-5 & 10)。フルートは Jerome Richardsonが兼任 (tracks 6-9 & 11)。
 

Presenting_cannonball_adderley

 
キャノンボールのアルト・サックスの音と演奏にビックリする。素晴らしいテクニック、大きな音でブリリアントな音色。唄うが如く流麗なフレーズ。これが初リーダー作の音か。もはや、ほぼ完成された音であり、揺らぎやミストーンは全く無い。キャノンボールの個性である、良い意味で「オーバーファンクで根明で脳天気な」アルト・サックスは、この初リーダー作に溢れている。

サボイ・レーベルからのリリースで、ジャケットは完全にレトロ調で「トホホ」なデザインだが、何故か音が良い。このキャノンボールの初リーダー作についても、録音する側にとっては難しいとは思うのだが、大きな音でブリリアントなキャノンボールのアルト・サックスをしっかりと捉えている。

ファンクネス溢れるブリリアントで開放感溢れるアルト・サックスはキャノンボールの真骨頂。どの演奏でも曲のテーマがクッキリと浮き出て、アドリブ・フレーズは常に明快に印象に残る。誤解を恐れず言うなら「とても判り易い」アルト・サックスである。これが良い。そんなキャノンボールのアルト・サックスは、僕にとって長年に渡っての「お気に入り」である。

 
 

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