2022年6月28日 (火曜日)

猛暑の日々にラテン・ジャズ

先日、梅雨が明けた関東地方。梅雨明けしたら、しばらく暑い日が続くと言うが、それにしても暑い。暑過ぎる。連日の真夏日。朝からエアコンが無ければ、家の中でも過ごせない。これだけ暑いと思考も鈍る。もはや難しいジャズは聴きたくない。聴いて良く判る、聴いて楽しいジャズが良い。

『The Latin Jazz Quintet』(写真)。1960~61年、NYにて録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (fl, b-cl, sax), Felipe Diaz (vib), Bobby Rodriges (b), Artur Jenkins (p), Tommy Lopez (congas), Luis Ramirez (timbales)。こってこてポップなラテン・ジャズ。しかし、フロント管に、エリック・ドルフィーが参加している異色盤である。

パーソネルを見て「なんなんだ、この盤」と思った。ドルフィー以外、ほとんど知らないメンバーばかり。タイトルから「ラテン・ジャズ」をやっている盤。しかも、ドルフィーがラテン・ジャズをやる、とな? これは途方も無い「駄盤」か、意外と面白い「異色盤」かのどちらかだ。しかし、この最近の酷暑で、難しいジャズは嫌だ。ということで、この不思議なラテン・ジャズ盤を聴くことにした。
 

The-latin-jazz-quintet_1

 
ドルフィーは独特に捻れたサックスを封印して、メンバーの一員として、調和の取れたパフォーマンス。しかし、サックスの基本が相当しっかりしているのだろう、良い音出している。フルートもバスクラも良い音出している。ラテン・ジャズの独特の旋律を、とても良い音で、とても良いブロウで吹き上げている。ドルフィーの全く違った、しかし別の優れた側面を聴いた様な気がして、不思議な高揚感にかられる。

収録曲が面白い。ラテン・ジャズの演奏でありながら、収録曲はジャズ・スタンダード曲がメイン。ラテン・ジャズの企画盤なので、ラテン・ミュージックのヒット曲などを選曲するのが常套手段だが、この盤は違う。ラテン・ジャズの企画盤なのに、収録された演奏は、ジャズ・スタンダードをラテン・ジャズ風にアレンジしたものばかり。これが聴いていて面白い。難しいことを考えること無く、ラテン・ジャズ風にアレンジするとこうなるのか、とあっけらかんと感心するばかりである。

全体の雰囲気は「ラウンジ・サウンド」風なんだが、演奏の基本がしっかりしているので、意外と聴き応えのある「ラテン・ジャズ」に仕上がっているのだから面白い。猛暑の日々に、肩肘張らずにリラックスして楽しんで聴けるジャズ。こういうジャズもたまには良い。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年6月15日 (水曜日)

レアで幻のアルト・サックス奏者

長年、Twitterを利用している。自らも定期的にツイートしているが、他のジャズ者の皆さんのツイートの中に、小粋なジャズ盤の紹介ツイートがあって、いつも楽しく拝見している。これは、という小粋なジャズ盤のご紹介があった時などは、いそいそと該当盤を探し当てて、早速聴いている。一度も聴いたことの無い初見の盤もあるし、昔、聴いたことがあるが、しばらく御無沙汰だった盤もある。

『Jenkins, Jordan and Timmons』(写真左)。1957年7月26日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Jenkins (as), Clifford Jordan (ts), Bobby Timmons (p), Wilbur Ware (b), Dannie Richmond (ds)。ハードバップ全盛期、デビューわずか1年で消えた、幻のアルト・サックス奏者、ジェンキンスが、テナーのジョーダン、ピアノのティモンズとの共同リーダーで、クリフォード・ジョーダンのテナー・サックスと2管フロントを構えたクインテット編成。

ジョン・ジェンキンスは、幻のアルト・サックス奏者。リーダー作をブルーノートからもリリースしているので、アルト・サックスの腕前は確かなもの。癖の無いストレートで、少しファンクネスのかかったアルト・サックスが個性。しかし、1957年に録音活動を集中して行った後、デビューわずか1年でその活動は途絶え、唯一、逝去直前、1990年にクリフォード・ジョーダンのビッグバンドに参加したが、1962年以降は完全に引退状態。
 

Jenkins-jordan-and-timmons

 
そんなジョン・ジェンキンスの数少ないリーダー作(共同リーダー作ではあるが)の一枚がこの『Jenkins, Jordan and Timmons』。リズム隊が一流どころで固めているので、安定したハードバップな演奏を聴くことが出来る。ジェンキンスのアルト・サックスは、少しファンクネスのかかった、癖の無いストレートで明るいものなので、クリフォード・ジョーダンの無骨でブラック・ファンクなテナーとのバランスが良く、フロント2管の演奏はなかなかの出来。

リズム隊の要、ピアノのティモンズは「ファンキー・ピアノ」の代表格の一人だが、この盤では、こってこてファンキーなピアノをグッと押さえて、アーバンで小粋なバッキングに注力している。ベースのウエアはちょっと捻りの効いたベースで、当時のハードバップな演奏にちょっとした「新しい響き」を与え、リッチモンドのドラミングは堅実そのもの。1957年のハードバップな演奏としては水準以上のレベルで、こってこてハードバップな演奏をしっかりと楽しめる。

プレスティッジ・レーベルからのリリースなので、ジャケットはほとんど「やっつけ」。それでも、今の目で見れば、ちょっと味のあるデザインかな、とも思う(笑)。録音とマスタリングは、かの「ルディ・ヴァン・ゲルダー」が担当しているので、音はまずまず良い。歴史に残る名盤というものではありませんが、ハードバップな演奏を楽しく聴くことの出来る「隠れ好盤」として、良い感じのアルバムでした。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年5月 1日 (日曜日)

欧州の新しい響きの純ジャズ

雑誌Jazz Lifeの「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を眺めていて、つくづく思うのは、現代では、意外と欧州でメインストリーム系の純ジャズが深化している様に感じる。本場米国では、どちらかと言えば、静的なスピリチュアル・ジャズや、ラップなどのストリート・ミュージックとの融合を目指したコンテンポラリー・ジャズが、新しいトレンドとなっている様だ。

Emile Parisien『Louise』(写真左)。2021年6月、仏アミアンでの録音。独の「現代の重要レーベル」ACT Musicからのリリース。ちなみにパーソネルは、Emile Parisien (ss), Theo Croker (tp), Roberto Negro (p), Manu Codjia (g), Joe Martin (b), Nasheet Waits (ds)。リーダーのエミール・パリジーンは、1982年生まれのフランス出身のサックス奏者。

リーダーのパリジーンとギターのマニュ・コジア(46歳)はフランス出身、ピアノのロベルト・ニグロ(40歳)はイタリア出身。ドラムのセオ・クロッカー(36歳)、ベースのジョー・マーティン(51歳)、ドラムのナシート・ウエィツ(50歳)は3人とも米国出身。欧州+米国の混成セクステットになる。年齢的にも中堅が中心の充実のセクステットである。
 

Emile-parisienlouise

 
このセクステットの表現する音世界は、従来は米国の新伝承派やM-BASE派がやっていたメインストリーム系の純ジャズ。加えて、その音は懐古趣味なものでは無く、21世紀の現在のメインストリーム系の純ジャズの響きをしっかりと反映して、最先端の「メインストリーム系の純ジャズ」なパフォーマンスが展開されている。

宣伝のキャッチに「現代のヨーロピアン・ジャズとアメリカン・ジャズが有機的に溶け合う、スリリングなグローバル・ジャズ」とあるが、これが実に「言い得て妙」。この盤に溢れるモーダルな音世界は、欧州ジャズの環境だからこそ、深化したものである。モード・ジャズの老舗、米国ジャズの伝統のパワーと、欧州で深化した純ジャズのスタイリッシュさが相互作用を引き起こして、新しい響きの純ジャズを展開している。

全9曲(うち組曲が3曲)聴き応えのある演奏ばかりで感心する。意外と我が国のジャズ・シーンでは注目度は低いみたいだが、この盤に詰まっている最新の「メインストリーム系の純ジャズ」は一聴に値する。もしかしたら、メインストリーム系の純ジャズの深化については、21世紀は「欧州ジャズ」が担うかもしれない。そんな予感がする優秀盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年4月17日 (日曜日)

ECM発マチェイ・オバラの新盤

欧州ジャズ・レーベルの老舗レーベルの「ECM(Edition of Contemporary Music)」。1969年、マンフレート・アイヒャーにより創設。以降、米国ジャズの基本となったハードバップとは一線を画する、欧州ジャズの特質を明確に宿した、即興演奏を旨とした「ニュー・ジャズ」をメインに活動した。

限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音が特徴で、ファンクネス皆無、透明度が高く、演奏のテクニックが高度な演奏が繰り広げられる。即興演奏を旨とするが、決して、フリー・ジャズに偏らない。というか、意外とフリー・ジャズ、アバンギャルド・ジャズは少数派。即興演奏を旨とするが、基本的にリズム&ビートはキープした中での、モーダルな演奏、無調な演奏がメイン。

新人ジャズマン、有望ジャズマンの発掘も積極的。特に、欧州各国における代表的ジャズマンの発掘に長けている。そんなECMレーベル、21世紀に入ってもその活動は順調で、毎年、コンスタントに新盤を一定数リリースし続けている。カタログに入っているアルバムも相当数に登っていて、最近ではカタログ番号順に聴き進めることは諦めた。カタログを見て、これは、と思った盤を聴くことにしている。

Maciej Obara『Three Crowns』(写真左)。2019年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Maciej Obara (as), Dominik Wania (p), Ole Morten Vagan (b), Gard Nilssen (ds)。リーダーのアルト・サックスとピアノがポーランド、ベースとドラムがノルウェー出身の混成カルテット。

いかにも、ECMレーベルらしい音世界に思わず聴き入ってしまう。限りなく静謐で豊かなエコーをはじめ、半世紀以上続くECM独特の音世界なのだが、演奏するメンバーが個性的なので飽きることは無い。
 

Three-crowns_maciej-obara

 
この盤のリーダー、マチェイ・オバラのアルト・サックスの音だって、ちょっと聴けば「ヤン・ガルバレクか?」と思うが、暫く聴き進めると、ガルバレクよりも音が少し明るく丸く暖かく、フリー&アバンギャルドな演奏にも長けているところがオバラ独特の個性。

オバラ作が6曲、Henryk Mikolaj Grecki(ヘンリク・ミコワジ・ゴレツキ)作が2曲。冒頭の「Three Pieces in Old Style (Part 1)」は漂う様な、ECMらしい繊細なバラードで、あまりの静謐さに「これはちょっと」と思うが、2曲目の「Blue Skies for Andy」の哀愁感溢れる、アグレッシヴでモーダルな演奏に俄然、聴く気が湧いてくる。現代の即興演奏に重点を置いたモード・ジャズの典型的な演奏が良い。ラストの「Mr. S」はしっとりとしたメロディーがキャッチャーな、自由度の高いバラード演奏。

他、即興演奏に重点を置いた印象的なモード・ジャズをメインに、フリー・ジャズあり、アバンギャルド・ジャズあり、現代のコンテンポラリーな純ジャズの良いところがギッシリ詰まっている。ワニアのピアノはリリカル、バーガンのベースはテクニック優秀で重量感豊かでしなやか、ニッセンのドラムは柔軟かつ堅実。実に充実したカルテット演奏である。

タイトルの「Three Crowns」は、ポーランド南部のピエニィニ山脈のトルツェコロニー山脈の頂上にちなんだもの、とのこと。ジャケットも前衛的なECMらしいものでグッド。

実を言うと、僕はこのジャケットに惹かれてこの盤を聴くに至った、いわゆる「ジャケ買い」盤だった。しかし、聴いて感心することしきり、さすがECM、現代のコンテンポラリーな純ジャズのいいところを押し出してきた。現代の欧州ジャズの注目株である。
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年4月 2日 (土曜日)

最近出会った小粋なジャズ盤・1

以前から、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で取り上げられることが滅多に無いジャズの優秀盤をピックアップして、「小粋なジャズ」と名付けて流しているのだが、この「小粋なジャズ」の対象になるジャズ盤って、結構あるから面白い。ネットの時代になって、海外でリリースされたジャズ盤の情報が入手出来る様になって、更にその数は増えているから楽しい。

Jerome Richardson with Tete Montoliu Trio『Groovin' High In Barcelona』(写真左)。1988年5月22日、スペイン・バルセロナの「Estudi Gema」での録音。ちなみにパーソネルは、Jerome Richardson (as, ss), Tete Montoliu (p), Reggie Johnson (b), Alvin Queen (ds)。ジェローム・リチャードソンのサックスがフロント1管のカルテット編成。

Jerome Richardson(ジェローム・リチャードソン)は、米国出身のサックス奏者。1920年11月生まれで、2000年6月、79歳で惜しくも逝去している。リーダー作は5枚程度と少ない。しかし、サイドマンとして参加したアルバムは相当数に登る。僕はこのサックス奏者の名前を、ファンク・フュージョンの人気バンド、Crusadersの『Street Life』での冒頭タイトル曲でのアルト・サックスの印象的なブロウで知った。
 

Groovinhigh-in-barcelona

 
Tete Montoliu(テテ・モントリュー)は、スペイン・バルセロナ出身の盲目のバップ・ピアニスト。欧州ジャズの中でのネオ・ハードバップなバップ・ピアノが見事で、僕の大好きなピアニストの1人だ。そんなテテのピアノが、この盤の冒頭1曲目の「A Child is Born」の前奏から炸裂する。タッチは硬質でアタックが強いが、右手のフレーズは変則的に流麗。独特の音の飛ばし方が堪らない。この盤全般に渡って、テテのピアノがリチャードソンのサックスを好サポートしている。

リチャードソンのサックスがとても良い。テクニックは確か、音は少し丸みがあって、ストレートで凄く聴き心地が良い。時々、引用のユーモアを交えながら、魅力的なフレーズを吹きまくっている。速いフレーズも、ゆったりとしたフレーズも淀みや揺らぎや迷いが無く、スッと真っ直ぐに吹き切るリチャードソンのサックスは爽快だ。テテのピアノとの相性も抜群で、欧州ジャズの「ネオ・ハードバップ」な演奏のレベルの高さを実感する。

ベースのレジー・ジョンソン、ドラムのアルヴィン・クイーンも好演につぐ好演で、このクインテットの演奏のスイング感とグルーヴ感は「癖になる」。切れ味良く、クールで透明感があって、端正で明確。そんな欧州ジャズのハードバップの良いところがグッと凝縮されたような優秀盤です。こういう盤を「小粋なジャズ」盤って言うんだろうな。何度聴いても味わい深く、聴く度に新しい発見があります。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月31日 (木曜日)

ユッコの『Colorful Drops』

jazzLife誌の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を読んでいて、久し振りに「ユッコ・ミラー」の名前に出会った。当音楽喫茶『松和』でも、2019年10月27日の記事で、この人の3rdアルバムを取り上げたことを思い出した。

このサックス奏者が出てきた時は、「我が国もここまできたか」とビックリするやら嬉しいやら。キャンディー・ダルファーを知った時、「ジャズもここまできたか」とビックリしたのだが、このユッコ・ミラー、和製キャンディー・ダルファーと形容するのがピッタリな、コンテンポラリーなジャズ・ロック&ジャズ・ファンクを得意としている。

そもそも「ユッコ・ミラー」とは何者か、である。エリック・マリエンサル、川嶋哲郎、河田健に師事。19歳でプロデビュー。 2016年9月、キングレコードからファーストアルバム「YUCCO MILLER」を発表し、メジャーデビュー。「サックスYouTuber」としても爆発的な人気を誇る、実力派サックス奏者である。確かに、彼女のサックスは正統派なもの。テクニックもブロウも確かなもの。決して、ヴィジュアル指向ではない。

ユッコ・ミラー(Yucco Miller)『Colorful Drops』(写真左)。2021年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、ユッコ・ミラー (as, ss, vo, ewi), 岡聡志 (g), 半田彬倫 (key, vln, program), 須藤満, 岡田治郎 (b), 則竹裕之, 渡邊シン (ds)。ユッコ・ミラーの 4thアルバムである。ジャケットを見て引いてはいけない。正統派な、現代のジャズ・ロックとジャズ・ファンクがギッシリと詰まっている好盤である。
 

Colorful-drops_yucco-miller

 
冒頭のジャズ・ファンク「Smoky Light」を聴けば、ユッコ・ミラーは素姓確かなサックス奏者であることが良く判る。続く「New Experience」はアップテンポの難曲なのだが、ユッコ・ミラーは元気一杯の明るいブロウを披露する。これが実に良い。3曲目のスローなファンク・チューン「Be Myself」では、大らかな吹き回しの中に、そこはかとなく漂う哀愁感に耳が引かれる。

ユッコ・ミラーのサックスは、音がしっかり出て淀みが無い。速いフレーズは流麗に、ゆったりしたフレーズは情感豊かに吹き上げる。聴いていて耳に付かない、聴き心地の良い音はしっかりと印象に残る。ジャズ・ファンクの中にそこはかとなく漂う「マイナーな哀愁感」は、ユッコ・ミラー独特の個性。僕は「日本人らしいなあ」としみじみと聴いた。

6曲目の「Stream」のユッコと半田のピアノとのデュエットも哀愁メロディー・オンリーで訴求し、8曲目のジャズ・スタンダード曲「Fly Me to the Moon」のボサノバ基調のカヴァーも秀逸。ユッコのボーカルも味があって良い。

先に書いたが「ジャケットを見て引いてはいけない」。正統派な、現代のジャズ・ロックとジャズ・ファンクがギッシリと詰まっている好盤である。フュージョン・ジャズ者の方々には一聴をお勧めしたい盤ですね。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月30日 (水曜日)

今の耳には優秀なハードバップ

1960年代前半のジャズ・シーンって、面白かったんだろうな、と思う。ハードバップが成熟し、その成熟したハードバップを基に「ジャズの多様化」の時代になったのが1960年代前半。コマーシャルな面に力点を置いたのが「ファンキー・ジャズ」「ソウル・ジャズ」で、LPやEP(ジュークボックス)での売上に貢献した。アーティステックな面に力点を置いたのが「モード・ジャズ」「フリー・ジャズ」で、様々な「実験的なチャレンジ」が行われていた。

『Jackie Mclean Quintet (Blue Note)』(写真左)。1962年6月14日の録音。 ブルーノートの4116番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Kenny Dorham (tp), Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのマクリーンのアルト・サックスとケニー・ドーハムのトランペットがフロント2管のクインテット編成。

実はこの盤、ブルーノートお得意の「内容が良いのに何故かお蔵入りになった」盤の一枚である。4116番というカタログ番号まで用意されていたのに、録音当時はお蔵入り、その後、BN-LAのシリーズで、1967年の未発表と併せて『Hipnosis』(写真右)というタイトルの2枚組の中で発表されている。パーソネルを見渡すと「聴いてみたい」と触手が伸びる面子で、再発され、その後、順調にCDりいしゅーされたことを素直に喜びたい。
 

Jackie-mclean-quintet-blue-note

 
内容的には「成熟したハードバップ」である。フロントのマクリーンもドーハムも好調。長年、手慣れた「ハードバップ」のマナーの中で、バリバリ吹きまくっている。ソニー・クラーク以下のリズム隊もフロントのブロウに合わせて、「成熟したハードバップ」風のリズム&ビートを供給する。ファンキーでも無ければ、モードでも無い。ひたすら「ハードバップ」な演奏を繰り広げる。

そんな中で、ピアノのソニー・クラーク(以下、ソニクラと略す)が良い味を出している。このひたすら「ハードバップ」な演奏の中に、そこはかとなくマイナーでファンキーな雰囲気を醸し出しているのが、ソニクラのピアノだ。転がる様な流麗な右手が、フロントの2管を刺激する。負けずに流麗で疾走感溢れるブロウが、ソニクラのピアノに引き出される。

1960年代前半は「ジャズの多様化」の時代。セールスを追求するなら、モード・ジャズ(新主流派)やジャズ・ロック、ファンキー&ソウル・ジャズのいずれかでないと厳しかった時代。リアルタイムでこの「成熟したハードバップ」風の好盤をリリースするには、セールス的に厳しい、という判断があったのでは無いか。今の耳には優秀な「成熟したハードバップ」盤。1990年代、単独リイシューされて良かったと思う。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

2022年3月14日 (月曜日)

マクリーン独特のモード&フリー

ジャキー・マクリーン(Jackie Mclean)は進化するジャズマンだった。1950年代前半にNYに出てきて、いきなり、マイルスらにいじられ、鍛えられ、ハードバップ時代を代表するアルト・サックス奏者の1人になった訳だが、マクリーンはハードバップに安住すること無く、コマーシャルに走ること無く、当時のジャズの先進的な演奏スタイルに敢然と挑戦していった。

Jackie Mclean『Let Freedom Ring』(写真左)。ブルーノートの4106番。1962年3月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Walter Davis, Jr. (p), Herbie Lewis (b), Billy Higgins (ds)。マクリーンのアルト・サックスがフロント1管の「ワン・ホーン・カルテット」。マクリーンのアルト・サックスのパフォーマンスが堪能出来る演奏編成。

前作『A Fickle Sonance』で、部分的に「少しフリーキーで自由度の高いモーダルな吹奏」にチャレンジしていたのだが、今回の『Let Freedom Ring』では、全面的に、時々フリーに、時々アブストラクトに傾きつつ、限りなく自由度の高いモーダルな演奏にチャレンジいている。マクリーンの吹奏には迷いが無く、確信に満ちた「フリー若しくはモーダル」な演奏は爽快である。
 

Let-freedom-ring

 
冒頭の「Melody for Melonae」を聴けば、それが良く判る。いきなり、アブストラクトにモーダルに力強くアルト・サックスを吹きまくるマクリーン。良く聴けば、コルトレーンのモード、オーネット・コールマンのフリーを上手く吸収して、マクリーンならではの「モード&フリー」な演奏を繰り広げている。

マクリーンの「モード&フリー」は、あくまで、軸足をハードバップに残しつつ、限りなく自由度の高い演奏を求めて「モード&フリー」な展開にチャレンジしている。この「軸足をハードバップに残しつつ」の部分が、マクリーン独特の感覚で、この『Let Freedom Ring』の4曲には、そのマクリーン独特の「モード&フリー」な演奏が詰まっていて、しかもそれが成功している。

バックのリズム隊、特に、ウォルター・ビショップJrのピアノの、マクリーン独特の「モード&フリー」な演奏に対する適応力にはちょっとビックリ。もともと能力に高いピアニストである。バックに回った時のサポートには、その能力の高さを再認識する。このリズム隊の健闘も含め、バンド全体が、マクリーン独特の「モード&フリー」な演奏に邁進している様は聴き応え十分である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2022.03.13 更新。

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2022.03.13 更新。

  ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2022.03.13 更新。

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2022年3月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・231

今からかれこれ、もう15年も前になるのか。2007年当時、ITunesストアでジャズ盤が販売され、ネット経由で手軽にジャズ盤の音源データがダウンロード出来る様になっていた。それも、CDショップで見ることの無いアルバムがアップされていて、その盤の素姓を調べるのが大変だった。

ジャケットは違うがオリジナルの音源と内容は同じものとか、市場に恒常的に出回っているブート盤とか、見たことの無いジャケットだからといって、今まで聴いたことの無い盤と判断するのには問題が多かった。この盤もジャケットを見ただけでは、どこかブート盤っぽい感じが怪しくて、素姓が明確になるまで、手に取ることが出来なかった盤である。

『What Happens?... - Art Farmer - Phil Woods Together』(写真左)。1968年10月12日、ローマでの録音。リリースは1977年。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Phil Woods (as), Martial Solal (p), Henry Textier (b), Daniel Humair (ds)。アート・ファーマーのトラペット、フィル・ウッズのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。

アルバムの素姓は判ったので、入手と相成ったが、その主な動機は「安い」。確か500円程度でダウンロード出来たのではないか。輸入盤CDと比べても半額程度の安さだったので、内容が悪くても仕方が無い、と割り切って購入した思い出がある(笑)。しかし、聴いてみたら「あらら」。なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップで、聴き応え満載。

そもそも、ウッズとファーマーがフロントで共演するのも珍しいし、ベースとドラムは、フィル・ウッズ主宰の「ヨーロピアン・リズムマシーン」在籍。加えて、ピアノがマーシャル・ソラール。ピアノが、ジョルジュ・グルンツだったら「ヨーロピアン・リズムマシーン」with アート・ファーマーだったな(笑)。しかし、このピアノのソラールがむっちゃ良かったりするのだ。
 

What-happens

 
録音はイタリアのローマだったらしいので、この盤は欧州ジャズの範疇で語られるべき好盤であろう。リリース当時、1977年はフュージョン・ジャズの大ブーム真っ只中。この盤の様な上質のハードバップは欧州のマーケットに限られていたように思う。逆にさすがイタリアである。良く、この面子でハードバップな演奏をやらせたなあ、と感心することしきり、である。

冒頭のタイトル曲、ミシェル・ルグラン作曲の「What Happens?」を聴けば、この盤の良さが判る。ウッズのアルトが良く鳴っている。そして、ファーマーのフリューゲルホーンが気合い十分で熱いブロウ。バックのソラールのピアノが率いるリズム・セクションが、素晴らしいバッキングで応酬する。3曲目のドーハム作曲の「Blue Bossa」でも、ウッズのアルトは充実、ファーマーのトランペットは何時になく熱い。

2曲目のストレイホーン作の「Chelsea Bridge」は、ウッズのアルトのワンホーン。5曲目の「The Day After」は、ファーマーのトランペットのワンホーン。どちらも、ワンホーンでも素晴らしいパフォーマンスを披露する。特に、ファーマーのバラード演奏、かなり熱が入っていて聴き応えがある。

この盤の聴きどころは、ウッズのアルトの充実、ファーマーの熱い、気合いの入ったトランペット。そして、ウッズの「充実」とファーマーの「熱さ」を引き出したのが、マーシャル・ソラールのピアノが率いるリズム・セクション。特に、ダニエル・ユメールのドラミングが、ウッズとファーマーを熱く効果的に鼓舞している。

「幻の名盤」とは言い過ぎですが、なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップが楽しめる「ウラ名盤」だと思います。久し振りに聴きましたが、しばらく「息の長いヘビロテ盤」になりそうです。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2022年2月25日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・229

最近、ジャキー・マクリーン(Jackie Mclean)のリーダー作を聴き直しているのだが、マクリーンのリーダー作の一覧を見直してみると、今まで聴いたことが無かったリーダー作もちょっとあることが判った。

あれぇ〜、おかしいなあ、と思うのだが、何故か聴いたことが無かった盤がある。恐らく、パーソネルを事前に見て、後にしよう、と思ったか、ジャケットを見て、これはあかんやろ、と思ったかのどちらかが理由だったんだろう。

Jackie Mclean『Lights Out!』(写真)。1956年1月27日の録音。PrestigeレーベルのPRLP 7035番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Donald Byrd (tp), Elmo Hope (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。 録音当時は、ハードバップ全盛期。録音メンバーも、ハードバップ黄金時代を彩った、一流どころで占められている。

リーダーのマクリーンのアルト・サックスと、ドナルド・バードのトランペットがフロント2管のクインテット編成。ピアノに早逝の天才バップ・ピアニスト、エルモ・ホープ、そして、これまた、早逝の天才ベーシスト、ダグ・ワトキンスと、伝説の職人ドラマー、アート・テイラーがリズム・セクションで、フロント2管を盛り立てる。
 

Lights-out

 
冒頭のタイトル曲、マクリーン作の「Lights Out」が良い演奏だ。いかにもハードバップらしい長尺の演奏で、13分の演奏時間の中で、参加メンバーそれぞれが、しっかりとアドリブ・パフォーマンスを聴かせてくれる。これがまあ、内容が濃く、マクリーンのアルト・サックスは、この時点で既に歌心溢れるブロウを備えており、バードのトランペットはジャジーでブリリアント。とにかく、フロント2管のパフォーマンスが実に見事に「ハードバップ」している。

ピアノを担当するエルモ・ホープのバッキングが見事。もともとビ・バップなピアニストなので、ハードバップとしてはどうかしら、と思っていたが、この盤のバッキングを聴いて考え方を変えた。切れ味の良い、エッジの少し立ったピアノのバッキングは「爽やか」な雰囲気。フロントのブロウのフレーズの合間合間を埋めて、フロントを鼓舞しつつ、しっかりとリズム&ビートのキープに努めるとこなどは「職人芸」である。早逝が惜しまれるピアニストであった。

ダグ・ワトキンスのベースは骨太でブンブン唸るウォーキング・ベースが凄く魅力的。アート・テイラーのドラミングは硬軟自在、演奏の「質」に合わせて、変幻自在に叩き分けるテイラーはこれまた見事な「職人芸」。

聴き終えて、この盤、実にハードバップらしい好盤ではないか、というのが僕の感想。なんで最近まで聴かなかったのか。恐らく、このジャケットが悪いのだと思う。プレスティッジお得意の「どーでもよいジャケ」(写真左)が、この盤をブート盤に見せたのかも。このジャケじゃあなあ、触手が伸びないよな。 
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

AOR Blue Note LTシリーズ Blue Noteレーベル Candidレーベル CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops Prestigeレーベル R&B Riversideレーベル rock Savoyレーベル SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アイク・ケベック アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーマッド・ジャマル イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エディ・ハリス エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キング・クリムゾン キース・ジャレット ギラッド・ヘクセルマン ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリスマスにピッタリの盤 クリフォード・ブラウン クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ケニー・バロン ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サイラス・チェスナット サザンロック サド=メル楽団 サム・リヴァース サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 シャイ・マエストロ ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョニー・グリフィン ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・マクラフリン ジョン・レノン ジョージ・ケイブルス ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・サンプル ジョー・ヘンダーソン スタッフ スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スティーヴ・ガッド スティーヴ・キューン スパイロ・ジャイラ スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ ズート・シムス セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チック・コリア(再) チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ デヴィッド・マレイ トニー・ウィリアムス トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ナット・アダレイ ネイティブ・サン ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バディ・リッチ バド・パウエル バリトン・サックス バリー・ハリス パット・マルティーノ パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビリー・チャイルズ ビル・エバンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブレッカー・ブラザース プログレッシブ・ロックの名盤 ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・ゴルソン ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ティモンズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マイルス(エレ) マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ワン・フォー・オール ヴィジェイ・アイヤー 上原ひろみ 僕なりの超名盤研究 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 増尾好秋 夜の静寂にクールなジャズ 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 深町純 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年7月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー