2020年1月10日 (金曜日)

BNLTシリーズの聴き直しは楽し

ブルーノート・レーベルは1967年、リバティに買収される。当然、ブルーノートの録音テープは全てリバティのものになった。1970年代に入り、純ジャズは過去の音楽資産になった。ブルーノート・レーベルは忘れ去られた存在になる。しかし、ジャズはそう簡単に「死なない」。1979年、UA社のレコード部門をEMIが買収したのを好機と捉え、音源発掘男マイケル・カスクーナはキャピトルと談判、ブルーノートの未発表音源を発掘した。

BNLTシリーズである。1979〜81年に発掘盤ばかりLP40数タイトルが発表された時にはビックリした。まだ、こんな純ジャズな音源が残っているんやなあ、とジャズの懐の深さに感心することしきりであった。このBNLTシリーズは、もともとはブルーノート・レーベルの下、総帥のアルフレッド・ライオンが録音したにはしたが、何らかの理由でLPとしての発売を見送った(お蔵入りの)音源のアルバム化である。お蔵入りの音源なので、通常のジャズ・レーベルでは演奏自体に問題があるものばかりなのだが、ブルーノートの場合はそうではない。

お蔵入りの音源とはいえ、一定以上の演奏水準を保ったものばかりで、「何故この音源がリリースされなかったのか」が判らない優れた内容の音源も多々ある。このブルーノートのBNLTシリーズを順番に聴き直すのが、最近の密かな楽しみである。意外と優れた演奏が多いのだ。しかも、リラックスして聴けるものが多く、肩肘張らずに楽しめる。シビアなジャズを聴いた後、ちょっと箸休めの感じで、このBNLTシリーズのアルバムを聴くのは、なかなか「オツ」なものである。
 
 

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今日のBNLTシリーズのアルバムは、Jackie Mclean『Consequence』(写真)。1965年12月の録音。LT-994番である。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Lee Morgan (tp), Harold Mabern (p), Herbie Lewis (b), Billy Higgins (ds)。ハードバップ時代からのベテランの二人、マクリーンとモーガンをフロントに据え、当時、まだ若手だったリズム・セクションを起用した、新旧ジャズメンの邂逅的なアルバムである。

新旧ジャズメンの邂逅とは言え、何か特殊な化学反応が起こったかと言えばそうではない。フロントのマクリーンとモーガンが絶好調で、明らかにベテランのフロント二人の「勝利」である。とにかく、この絶好調のベテラン二人がこのアルバムに収録されたセッションを牽引している。演奏の内容が徹頭徹尾「良質なハードバップ」で占められている。録音された時期が1965年なので、この徹頭徹尾「良質なハードバップ」という内容は逆に違和感がある。

この演奏が1960年前後に録音されていたら、それはそれで座りが良いのだが、1965年という録音時期、そして、バックのリズム・セクションが当時の優れた若手陣を採用していることから、「良質なハードバップ」な中身は明らかに時代遅れと取られても仕方が無い。でも、今の耳で振り返ると、この未発表音源の内容って「優れたハードバップ」で、これはこれで内容のあるアルバムだと僕は思う。

絶好調なマクリーンのアルト、そして、モーガンのトランペットは溌剌としていて、1960年前後でもこれだけ吹きまくる二人の演奏にはなかなか出会わないだろう。1965年の優れたハードバップ盤として、今の耳には好盤の一枚です。リラックスして聴けるハードバップ盤として、ジャズ者ベテランの方々にお勧めの一枚でしょうか。BNLTシリーズって、聴き直すと新しい発見が結構あったりして面白いですよ。
 
 
 
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年12月29日 (日曜日)

邦題『昼と夜のバド・シャンク』

さて、年の暮れである。今年もあと2日を残すのみ。当ブログ「ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ」も今年の最後のアップになる。明日から1月2日まで、記事のアップはお休み。年末年始のご挨拶のみをアップする予定。今年も我がブログをご愛顧いただき、ありがとうございました。uu: も1,000を超える様になり、記事を書く励みになりました。ありがたいことです。

今年は米国西海岸ジャズのアルバムを結構、しっかり聴き込んで来たのではないか、と思っている。今年の「ジャズ鑑賞」の最大の成果は、この米国西海岸ジャズのアルバム・コレクションの見直しと聴き直しであろう。米国西海岸ジャズの主なアルバムを100枚程度、聴き込むことによって、米国西海岸ジャズの個性や特徴を再認識した。聴いた事の無いアルバムも多く発掘した。実りある一年であった。

さて、今日はこのアルバムである。『Bud Shank-Shorty Rogers-Bill Perkins』(写真)。邦題が『昼と夜のバド・シャンク』。1954〜55年の録音。LP時代、LPのA面が「デイ・サイド」、B面が「ナイト・サイド」。パーソネルについては、Bud Shank (as, fl, ts, bs)は「昼夜両方」に出演。デイ・サイドについては、Shorty Rogers (Flh), Jimmy Rowles (p), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds)。ナイト・サイドについては、Bill Perkins (as, ts, fl), Hampton Hawes (p), Red Mitchell (b), Mel Lewis (ds)。
 

Bud-shankshorty-rogersbill-perkins

 
米国西海岸ジャズにおける人気アルト・サックス奏者、バド・シャンクの傑作である。昼は、フリューゲルホーンのショーティ・ロジャースとの双頭フロントにしたクインテット編成、夜は、シャンクと同じサックスを担当するビル・パーキンスを双頭フロントとしたクインテットによる編成。米国西海岸ジャズを代表するピアニスト二人がそれぞれ担当するリズム・セクションに鼓舞されて、シャンクが吹きまくる。

バド・シャンクはアルト・サックスがメインだが、テナーもバリトンも出来る。サックス奏者の「ポピュラーな余芸」とされるフルートも良い。この『昼と夜のバド・シャンク』では、シャンクの演奏する楽器の全てが網羅されている。そういう意味でも、この盤は、サックス奏者「バド・シャンク」を知る上で、最適のリーダー作だと言えるだろう。確かに、「デイ・サイド」部分でも「ナイト・サイド」部分でも、バド・シャンクは好調である。

バックの2種類のリズム・セクションも好調で甲乙付けがたい。ちなみにこの盤、LP時のジャケットが粋。表面が日中の景色で、6曲目までの演奏メンバーと曲が書かれており(写真左)、裏面は同じ景色の夜の風景で、7曲目からのメンバーと曲が書かれている(写真右)。ネットや雑誌の紹介記事にはジャケットの表面しか出てこないので、「あれ? ビル・パーキンスは何処いった」となるんだが、実は裏面にいるんですね。
 
 
 
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2019年11月18日 (月曜日)

ブラジル音楽と米国西海岸ジャズ

米国西海岸ジャズの好盤を漁っている。米国西海岸ジャズのアルバムは、まだまだ聴いたことの無いアルバムがゴロゴロしている。1980年代の終わりまで、我が国では米国西海岸ジャズはマイナーな存在だったことが大きな要因。そもそも我が国で米国西海岸ジャズのアルバムが流通する様になったのは、1990年代の後半辺りからか、と記憶している。
 
Laurindo Almeida & Bud Shank『Brazilliance Vol.1』(写真)。ブラジルの名ギタリスト、ローリンド・アルメイダが、米国西海岸ジャズのアルト奏者バド・シャンクを迎えたカルテット編成。1953年9月、1954年4月22日、ロサンゼルス にての録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as), Harry Babasin (b), Roy Harte (ds), Laurindo Almeida (g)。
 
ブラジル音楽の伝道師ギタリスト、ローリンド・アルメイダ。アルメイダ。米国西海岸ジャズ屈指のアルトサックス奏者バド・シャンクと組んだ好盤。バド・シャンクのアルトは、端正で切れ味の良い鮮烈さに溢れた音。アルメイダの洗練された柔らかなアコースティック・ギターと好対象。この対比が実に良い。
 
 
Brazilliance-vol1_1
 
 
ブラジル音楽とジャズとの邂逅。米国西海岸ジャズのアレンジの優秀さと西海岸ジャズメンのテクニックの優秀さ。それらが『ゲッツ/ジルベルト』よりも10年も早くジャズとブラジルの融合を実現していた。ラテン音楽のどことなく俗っぽいところ(そこが良いのだが)を、西海岸ジャズのアレンジがソフィスティケートし、落ち着いた聴き応えのある上質のジャズに昇華させている。
 
ピアノレスという編成で、アルメイダのギターを抑制しなかったのが正解だろう。とにかくお洒落で粋。それでいて、しっかりとジャズしていて、ブラジル音楽している。これがこの盤の一番凄いところ。当時の米国西海岸ジャズの懐の深さが偲ばれる。加えて、この盤、いろいろなジャケットのバージョンがあるが、僕はこの鋭い目のブラジルの踊り子のイラストのジャケットが好きだ(写真左)。
  
ちなみに、この『Brazilliance』シリーズは、このVol.1から、1958年のVol.2、1963年のVol.3 まで3アルバムある。Vol.2以降は、ブラジル音楽とジャズの融合ってこんな感じだよね、という予定調和なところや慣れたところが見え隠れする。そういう観点では、Vol.1が初めてのラジル音楽とジャズの融合の記録ということでスリリングな部分や新鮮な部分が散りばめられていて、一番聴き応えがある。
 
 
 
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2019年10月27日 (日曜日)

ユッコ・ミラーを初めて聴いた

しかし、日本ジャズの女子力は衰えることを知らないようだ。今回、このサックス奏者の新盤を聴いて、改めて思った。ルックスは「カラフルでド派手」。どうも人気優先、話題優先のサックス女子かと思って、暫く静観してきた。が、今回の新盤はさすがに「聴いた」。で、思った。やっぱり日本ジャズの女子力は素晴らしい。

その新盤とは、ユッコ・ミラー『Kind of Pink』(写真左)。サックス奏者ユッコ・ミラーの3rdアルバム。今年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Yucco Miller ユッコ・ミラー (as, ss), Simon Cosgrove (p), Pat Glynn (b), Gene Jackson, Dennis Frehse (ds)。ゲストとして、David Matthews (p), Luis Valle (tp), 川嶋哲郎 (ts)。うむむ、知っている名前は、ゲストのマシューズとテナーの川嶋くらいだぞ。

まずは「ユッコ・ミラー」とは何者か、である。エリック・マリエンサル、川嶋哲郎、河田健に師事。19歳でプロデビュー。 2016年9月、キングレコードからファーストアルバム「YUCCO MILLER」を発表し、メジャーデビュー。10万人を超えるチャンネル登録者数が今なお増え続け、「サックスYouTuber」としても爆発的な人気を誇る、実力派サックス奏者ユッコ・ミラー。と、僕は彼女の名前を最近知った。
 

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「名探偵コナン」メイン・テーマや吹奏楽シーンでも圧倒的人気を誇る「宝島」などの人気曲を、グラミー賞受賞の世界的アレンジャーであるデビッド・マシューズが本格ジャズ・アレンジして披露している。ポップで聴いていて楽しい演奏の数々。まず、ユッコ・ミラーのサックスの音が凄く良い。カラフルでド派手なルックスだけで、決して「キワモノ」と思うなかれ。流麗かつ力強さがあるレベルの高いブロウ。聴き応え充分である。

彼女の奏でる音楽スタイルは、ファンク&フュージョンがメイン。自作曲にはハイブリッドなコンテンポラリー・ジャズもあって、意外と硬派な一面が垣間見える。流麗なサックスで聴き易くはあるが、決してイージーリスニング・ジャズには走らない。バックのリズム&ビートがしっかりとジャズしているので、決して、ポップロック風にも流れない。しっかりとファンク&フュージョン・ジャズに軸足を置いているところが実に潔い。

でも、なんで女子力ばかりなのか。良く判らないが、この新盤を聴いて、日本ジャズの女子力の裾野の広さを改めて思い知った。以前の様に、ルックス優先、ルックス頼りの人気優先の女子ジャズ奏者はもういない。実力のあるジャズ奏者ばかりなのだ。逆にルックス優先、ルックス頼りの女子ジャズ奏者はデビュー早々に陶太される。凄い時代になったもんだ。
 
 
 
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2019年9月 3日 (火曜日)

ソニー・クリスの個性を聴く

米国西海岸ジャズのアルト・サックス奏者、アート・ペッパー、そして、バド・シャンク。そう言えばもう一人いる。ソニー・クリスである。テネシー州のメンフィスに生まれ、15歳でロサンゼルスに移住。1956年にニューヨークのインペリアル・レコードと契約し、一連の好盤を録音している。1965年にはプレスティッジ・レコードと契約し、ポップなハードバップ盤をリリースし、ヒットさせている。

Sonny Criss『Jazz- U.S.A.』(写真左)。Imperialレコードからのリリース。1956年1月26日、2月24日、3月23日の3セッションからの選曲。ちなみにパーソネルは、Sonny Criss (as), Bill Woodson (b), Chuck Thomson (ds), Barney Kessel (g), Kenny Drew (p)。パーソネルを見渡すと、西海岸ジャズの中堅の優れ者達が集結している。時は1956年。一番、西海岸ジャズが充実していた頃。この盤の音は期待出来る。

ソニー・クリスのアルト・サックスはとても特徴的な音がする。アルト・サックスが目一杯、鳴っているような、強く真っ直ぐブリリアントな音。音の強弱はあまり考えずに、目一杯、アルト・サックスを吹き上げる。いかにも「アルト・サックスらしい」音。そんなポジティブで「根明」なアルト・サックス。そんなソニー・クリスの音が心ゆくまで堪能出来る。
 
 
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このポジティブで「根明」なアルト・サックス。恐らく、好き嫌いが分かれるだろうなあ。陰影に乏しいところがあるんで、そこが「表現力に乏しい」と評されるのではないか、と危惧する。陰影には乏しいかもしれないが、強弱でその部分をカバーしている。ので、表現力に乏しい、という感じは全く無い。

アドリブ・フレーズも聴き応えのある展開で、この「根明」なアルト・サックス飽きるかな、と思ったが、意外と全編聴き通して飽きることが無い。バックのバーニー・ケッセルのギターを含めたリズム・セクションも、さすが名うての名手たち、手慣れた感じで、内容のあるバッキングを展開している。西海岸ジャズらしく、端正で整った演奏は安心して楽しめる。

ソニー・クリスのアルト・サックスは「あっけらかん」としている。とにかく、アルト・サックスを吹くのが楽しくて仕方が無い、という感じで、脳天気に吹きまくる。これもまた彼のアルト・サックスの魅力である。明らかに、チャーリー・パーカーの影響は受けているが、根明な音の裏に「翳りと哀愁」を感じさせる、これもまたソニー・クリスの個性である。この盤、ソニー・クリスの個性を確認するのに最適な盤だろう。好盤です。
 
 
 
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2019年9月 2日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・155

米国西海岸ジャズをいろいろ聴いていて、アルト・サックスのバド・シャンク(Bud Shank)って、西海岸ジャズのキーマンの一人だと思うのだ。我が国では、米国西海岸ジャズのサックス奏者としては、アート・ペッパーばかりがクローズアップされて、他のサックス奏者については、殆ど語られることは無い。ほんと、1980年代までの日本のジャズ・シーンって、西海岸ジャズに冷たかったんやなあ、と改めて思う次第。
 
米国西海岸ジャズのアルバムを聴き進めていて、好盤と評価されるアルバムのパーソネルを都度確認すると、結構、バド・シャンクの名前が挙がっていることに気付く。バド・シャンクは白人のアルト・サックス奏者で、少しエッジに丸みのある切れ味の良いブロウと流麗で洒落たアドリブ・ラインが個性。テクニックも優秀。僕は、このアルバムを1991年に入手して、バド・シャンクの個性に初めて触れた。

『The Bud Shank Quartet』(写真左)。Pacific Jazz 1215番。1956年1月25日、ハリウッドは「Capitol Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as, fl), Claude Williamson (p), Don Prell (b), Chuck Flores (ds)。バド・シャンクのアルト・サックスがフロントのワンホーン・カルテット。「Featuring Claude Williamson」のサブタイトルが付いていて、ピアノのクロード・ウィリアムソンもメインに扱われている。
 
 
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西海岸ジャズらしく、アレンジも良好、しっかりとリハーサルを積んで、本録音に臨んでいる様子が、演奏を通じて良く判る。とにかく破綻が無く流麗なのだ。特に、バックのベースとドラムはリズム&ビートのキープに集中しているが、非常に正確な、とても味のあるリズム・キープを実現している。雰囲気は流麗で洒落たビ・バップなリズム&ビートである。
 
そんなリズム隊をバックに、バド・シャンクのアルト・サックスが実に雰囲気のあるブロウを聴かせてくれる。とっても趣味の良いアルト・サックスである。西海岸ジャズらしからぬ、力感溢れるブロウも披露するが、やはり洒脱で流麗。そこが東海岸ジャズと異なるところ。そして、ピアノのウィリアムソンが実にいい音を出していて、思わず聴き耳を立てる。芯があるが柔らかで流麗なタッチが実に西海岸ジャズらしい。
 
ジャケット・デザインもバド・シャンクの上半身のイラストをあしらっていて趣味が良い。リリースしたレーベルは「パシフィック・ジャズ」。ベツレヘム・レコードと並んで、米国西海岸ジャズ御用達のジャズ・レーベルである。そう、パシフィック・ジャズも米国西海岸ジャズを語る上で、絶対に外せないジャズ・レーベルである。パシフィック・ジャズについても、探求する必要がありそうだ。
 
 
 
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2019年8月29日 (木曜日)

おどろおどろしいジャケ・1

ブルーノート・レーベルと言えば、そのジャケット・デザインのアート性が非常に高く評価されている。しかし、ブルーノート・レーベルの4300番台には、かなり「おどろおどろしい」ジャケットが沢山ある。どうして、そういうデザインを採用したのかはよく判らない。合成写真、イラストと表現手法は違えど、その「絵」の雰囲気は「おどろおどろしい」か「気色悪い」である(笑)。

4300番台がリリースされていた当時は、サイケデリック・アートやヒッピー・ムーヴメントが流行った時代。そういうトレンドに反応して、こういう「おどろおどろしい」ジャケット・デザインを採用したのだろうが、ジャズには全く合わない。しかも、その盤の内容にも、全く合致していないのだから始末が悪い。どうやって考えたら、こうなるのか。当時の担当者にその理由をしっかりと聞いてみたいものだ。

Lou Donaldson『Everything I Play Is Funky』(写真)。ブルーノートの4337番。1969年8月22日と1970年1月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Melvin Sparks (g), Idris Muhammad (ds) は録音両日共通。1970年1月9日は、Blue Mitchell (tp),Lonnie Smith (org), Jimmy Lewis (b) が加わる。1969年8月22日は、Eddie Williams (tp), Charles Earland (org) が加わる。2セッションでメンバーの多少の入り繰りはあるが、音の統一感は揺るがない。
 
 
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さすがに4300番台。ポップで楽しみやすいジャズを追求している。冒頭の「Everything I Do Gon' Be Funky (From Now On)」はアラン・トゥーサンの曲で、もうこれはソウルそのもの。ソウル・ジャズというよりは、モータウンに通じるソウル・ミュージックそのもの。ソウルは声帯で唄うが、ドナルドソンはアルト・サックスで唄う。演奏全体のファンクネスの濃さは半端ない。
 
2曲目「Hamp's Hump」以降、ソウル・ジャズな演奏がズッと続くのだが、5曲目の「West Indian Daddy」はいきなり「カリプソ・ジャズ」が展開される。これが楽しい。ファンクネスを控えめに、ポップ度を増して、ルーさんが楽しく旋律を吹き上げる。この曲が始まると、周りの雰囲気がパッと明るくなる様な気がする。良い曲、良い演奏だ。そして、ラストの「Minor Bash」に至っては、ルーさんが大の得意の「ファンキー・ジャズ」。
 
切れ味良く、適度なテンションを張りながら、アルト・サックスで唄うようにファンキーなフレーズを連発する。これぞルーさん、と思わず声をかけたくなる、ご機嫌な「ファンキー・ジャズ」。おどろおどろしいジャケットだけど、中身は「ルーさん」てんこ盛り。しかし、どうやったら、こんなサイケで、おどろおどろしいジャケットになるのかなあ。ブルーノートの4300番台は不思議なことだらけである。
 
 
 
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2019年8月24日 (土曜日)

印象的なデュオ演奏が良い。

スティープルチェイス・レーベルは「欧州のブルーノート・レーベル」と呼ばれる。カタログを見れば、その喩えが良く判る。まず、ビ・バップ時代やハードバップ時代から活躍しているジャズメンの録音が沢山ある。決してトレンドに流されない。1970年代からの活動ではあるが、クロスオーバー〜フュージョンには一切手を出さない。

あるのは純ジャズばかり。誠に硬派なジャズ・レーベルである。純ジャズを専門に、編成はソロからデュオ、トリオ、カルテット、クインテットが殆どで、小規模構成のジャズがメインである。ビッグバンドなど大編成のジャズは無い。恐らく、予算の問題があったのではないか、と思っている。しかし、この小規模編成のそれぞれの演奏が実に見事に録音されている。

Lee Konitz & Red Mitchell『I Concentrate On You』(写真)。SteeplechaseのSCS1018番。1974年7月30日、デンマークはコペンハーゲンの録音拠点「Rosenberg Studio」での録音。 ちなみにパーソネルは、この盤はデュオ演奏なので、Lee Konitz (as), Red Mitchell (b, p)の2人。コニッツは録音時は44歳。ミッチェルは47歳。油ののった中堅である。
 

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ビ・バップ時代のクール派でならしたリー・、コニッツがデュオ演奏にチャレンジしているところがミソ。コニッツは、1950年代、クール派のアルト・サックス奏者である。どれだけクールなブロウを聴かせてくれるのかと思いきや、結構ホットに吹いている。ハードバップ風のメリハリのある「味のあるブロウ」で、淡々と数々のスタンダード曲を吹き上げていく。
 
そして、この盤を聴いて、ちょっとビックリするのが、レッド・ミッチェルのベース。デュオなので、淡々とアルト・サックスのバックに回って、ウォーキング・ベースを弾き続けるのかな、と思ったら「とんでもない」。非常にイマージネーション豊かに唄うが如く、旋律に抑揚、緩急を効果的に付けつつ、コニッツのアルトに「リズム&ビート」を供給する。
 
大向こう張った、大仕掛けの吹き回しは全く無いが、淡々と適度にテンションを張りつつ、印象的なデュオ演奏を繰り広げる。このデュオ盤、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介されているのを見たことが無い。しかし、とても良い内容のデュオである。コニッツのアルトの個性、ミッチェルのベースの個性、それぞれ良く表現されていて、意外とこの盤「買い」である。スティープルチェイス・レーベル侮り難し、である。
 
 
 
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2019年8月23日 (金曜日)

4300番台の発掘リリース盤・3

この盤のジャケット・デザインを見れば、この盤がリリースされた1970年のジャズのトレンド、ソウル・ジャズやフラワー・ムーブメントをベースとしたサイケデリック・ジャズをベースとした内容ではないか、と想像する。しかし、いかに前進する改革精神旺盛なジャキー・マクリーンでも、まさか純ジャズを捨てて、売らんが為のトレンドの追求に走るかなあ、とも思う訳だ。

その盤とは、Jackie Mclean『Demon's Dance』(写真左)。BNの4345番。1967年12月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Woody Shaw (tp, flh), LaMont Johnson (p), Scotty Holt (b), Jack DeJohnette (ds)。フランシス・ウルフのプロデュース。まだ、ブルーノート・レーベルらしさが残っている時代の録音である。
 
この盤、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で採り上げられることが多い盤で、このジャケット・デザインから、ソウル・ジャズやフラワー・ムーブメントをベースとしたサイケデリック・ジャズを想起してしまい、なんでジャズ入門盤として相応しいか、よく理解出来ない時代が続いた。が、1990年代、紙ジャケ再発されて、やっと入手し、この盤を聴いて「あれ、これってモード・ジャズやん」と思った次第。
 
 
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慌てて録音年月日を確認したら1967年とある。発売が1970年、しかもこのジャケット・デザイン。何故、内容的には硬派なモード・ジャズなのに、このサイケデリックなジャケット・デザインになるのか。やはり、ブルーノート・レーベルの4300番台は理解に苦しむ盤が多い。しかし、確かにこの盤に録音されている音は、内容のある「新主流派の音=モーダルなジャズ」である。
 
パーソネルを見渡せば、トランペットのウッディ・ショウ、ドラムのジャック・ディジョネットが興味深い。どちらもほぼ完璧にモード・ジャズを演っている。特にディジョネットのドラミングは今の耳にも新しく響く。で、リーダーのマクリーンは、と聴けば、これもまたほぼ完璧にモード・ジャズを演っている。そう、このおどろおどろしい、サイケなジャケット盤、実はモード・ジャズの成熟した演奏を聴かせてくれる好盤なのだ。
 
年長のマクリーンが、ほぼ一回りも若い若手と組んで、年長のマクリーン自身が、モーダルでちょっとアバンギャルドな「新主流派ジャズ」の音世界を吹きまくるのに刺激されて、若手の他のメンバーが溌剌とした演奏を繰り広げる。モード・ジャズの成熟した演奏を楽しむ事の出来る好盤。モード・ジャズって何?、の答えにもなる様な、モード・ジャズのお手本の様な好盤でもある。
 
 
 
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2019年8月20日 (火曜日)

欧州での純ジャズの「深化」

1970年代、メインストリーム・ジャズ(純ジャズ)は欧州で深化していた。米国ではジャズのポップス化、いわゆるクロスオーバー〜フュージョン・ジャズがメインとなり、メインストリーム・ジャズは絶えずに深化してはいたが、1960年代前半までの様に活発な状況では無かった。米国のジャズメンも米国では仕事が無くなり、欧州へ移住する者も少なくなかった。

ジャズを聴き始めた1970年代後半、いろいろと数少ないジャズ本を読んで、欧州にもジャズが根付いていることを知って、驚いた事を覚えている。そうか、ジャズって米国と日本だけのものじゃ無かったんだ、欧州にも広がっていたんや、と妙に感動した。その時に知った欧州のレーベルが、ECMレーベルであり、Enjaレーベルであり、Steeplechaseレーベルであった。
 
Jackie McLean featuring Gary Bartz『Ode to Super』(写真)。Steeplechaseレーベルの「SCS1009番」。1973年7月17日、デンマークはコペンハーゲンの「Soundtrack Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean, Gary Bartz (as, vo), Thomas Clausen (p), Bo Stief (b), Alex Riel (ds)。
 
 
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このSteeplechase盤を聴けば、メインストリーム・ジャズが欧州、それも北欧で深化していたことが良く判る。リーダーのマクリーンはもともと進化を旨とするジャズマン。ブルーノート・レーベルでの諸作を聴けば、リーダー作を重ねる毎に自らのジャズを進化させているのが良く判るのだが、1970年代のSteeplechaseでの諸作でも、マクリーンは絶えず「深化」している。常に新しいイメージのマクリーンを聴かせてくれる。

この『Ode to Super』でも、マクリーンは、フリーでスピリチュアルなアルト・サックス奏者のゲイリー・バーツとガッチリ組んで、バーツと比べても遜色ない、スピリチュアルなブロウを聴かせてくれる。スピリチュアルな響きが魅力の「Ode To Super」、ばっちり決まったファンキー・チューン「Great Rainstreet Blues」、モダンでスインギーな「Red Cross」など、全編に渡って、新しい響きのメインストリームなジャズを聴かせてくれるのが嬉しい。
 
1970年代のメインストリーム・ジャズの「深化」については、欧州のジャズ・シーンの貢献度が高い。1970年代のジャズの「深化」を追体験するには、SteepleChaseレーベルの諸作は欠かせない。そう言う意味でも、SteepleChaseレーベルって、あって良かったなあ、と思うのだ。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、 ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
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