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2019年7月 3日 (水曜日)

今時の日本人ジャズは「良い」

さて、今日も日本人ジャズの新盤を。僕はこのサックス奏者のデビュー盤からずっと見守ってきた。アルバム・デビューは2010年6月の『NORTH BIRD』。デビュー当時は現役の女子高生。雑誌やネットでの紹介文の触れ込みとしては「山下洋輔、渡辺貞夫、日野皓正など、数々の巨匠との共演を誇る話題の天才少女」。僕の印象は「器用で上手い」。ただ「上手い」。これからどう成長していくのか、楽しみに思った。

しかし、それからレコード会社の思惑に乗って、何枚かアルバムを出して、そのまま何処かに行ってしまうかなあ、と不安に思っていたが、彼女はそうでは無かった。2011年、日本人初のプレジデント・フルスカラーシップ(授業料、寮費免除)を獲得し、アメリカのバークリー音楽大学に留学。2015年に同音大を卒業し、活動の拠点をNYに移す。それまで、2枚ほどアルバムを出すが、単身、NYで活動を続け、アルト・サックスについて研鑽を重ねる。

寺久保エレナ『Absolutely Live!』(写真左)。今年4月のリリース。2019年1月14日、新宿ピットインでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、寺久保エレナ (as), 片倉真由子 (p), 金森もとい (b), 高橋信之介 (ds)。純日本人カルテット。最新アルバム『リトル・ガール・パワー』収録曲を中心に、彼女のオリジナル曲からスタンダード・ナンバーまで、彼女の「今」を感じるに十分な内容である。
 
 
Absulutely-live-terakubo  
 
 
このライブ盤を聴けば、彼女がデビュー当時から米国に渡って、NYで活動するに至るまで、アルト・サックスについて、ジャズについて、研鑽に研鑽を重ねてきたことがとても良く判る。「器用で上手い」アルト・サックスは、ジャジーで個性溢れる、プロフェッショナルなアルト・サックスに変わっていた。このライブ盤を聴き進めるにつけ、嬉しさがこみ上げてくる。個性もしっかり確立され、明らかにジャズなアルト・サックスが鳴り響く。
 
モーダルな展開も、フリーキーな咆哮も、メロディアスで耽美的なバラードも、いずれもしっかりとした、地に足着いたブロウを展開する。いや〜大きくなったなあ。もう立派なプロのジャズ・ウーマンだ。頼もしい寺久保エレナがこのライブ盤にいる。そうそう、バックのリズム・セクション(レギュラー・カルテット)も実に良い音を出している。特にピアノの片倉真由子。ちょっと線の細かったピアニストが、なかなかに骨太で歌心溢れるバップ・ピアニストに変身している。
 
デビュー当時から、自らの才能に浮かれること無く、日々研鑽を重ねて、個性をしっかりと確立して、ジャズのプロフェッショナルとして地に足着いたパフォーマンスを繰り広げる寺久保エレナと片倉真由子。この二人の成長とジャズ・ウーマンとしての個性の確立を確認出来る、素晴らしい内容のライブ盤である。選曲も今を活躍する若手らしいものでこれも十分楽しめる。好盤です。今時の日本人ジャズ、なかなかやるなあ。
 
 
 
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年6月25日 (火曜日)

若き二人の白熱のハードバップ

若き二人の白熱のハードバップ

「この盤、聴いたこと無いなあ」と適当に選盤して、CDトレイに盤を置いて、スタートボタンを押す。流れてくるのは、典型的なハードバップ。出だしの曲のリズム&ビートを聴くだけで判る。出てくるアルト・サックスは ...、あれ誰だ。ということで、リーダーを確認する。確か、そうそう「フィル・ウッズ」であった。
 
そして、トランペットが出てくる。ブリリアントでよく鳴るトランペットだ。しかもテクニックは上々。流れる様なアドリブ展開。そして、アドリブ展開にどこか理知的な雰囲気を感じる。良く考えられたアドリブ展開。いや〜知的なトランペッターやなあ。と感心する。そして「誰だ?これ」。

Phil Woods『The Young Bloods』(写真左)。1956年11月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Phil Woods (as), Al Haig (p), Teddy Kotick (b), Charlie Persip (ds)。ハードバップ時代のフィル・ウッズの意外と多くないリーダー作。バックのリズム・セクションも、アル・ヘイグのピアノをメインに、個性派ベースのコティック、堅実ドラムのパーシップ。若いのに実に渋いリズム・セクションである。
 
 
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さて、この盤で目立ちに目立っているトランペッターは「ドナルド・バード」でした。リーダーのフィル・ウッズのアルト・サックスはさすがの吹きっぷりですが、この盤でのバードのトランペットは部分部分では、リーダーのウッズのアルト・サックスを凌駕する勢い。いやはや、とにかくよく鳴るトランペットです。
 
よく鳴るトランペットなんですが、決して耳触りにはならない。アドリブ展開が意外に冷静で理知的なんですよね。バードは感情にまかせて勢いでアドリブ・フレーズを吹くタイプでは無い。また、バードのトランペットは強烈な個性が無いので、アドリブ展開でのフレーズの個性で勝負するタイプ。音の本質はブリリアント、アドリブ展開のフレーズは理知的。これがドナルド・バードのトランペットである。
 
パーカー直系のウッズのアルト・サックスも熱くて流麗。ねじり上げる様な後の個性はまだ余り感じられないが、テクニック上々、フレーズは熱くてクールで流麗。録音当時、ウッズは25歳、トランペットのバードは24歳、最年長のピアノのヘイグが34歳。この盤全体に若い溌剌とした「白熱のハードバップ」。プレスティッジ・レーベルらしい、良く判らないジャケットにひかずに、一度は耳を傾けて欲しい。そんな好盤である。 
 
 
 
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年6月15日 (土曜日)

西海岸系のフュージョンの先駆

今日は一日雨。とにかく結構強めに降る雨で「これは梅雨の雨やないなあ」と思っていたら、そう言えば、今年の梅雨入りについては、九州北部、四国、中国、近畿地方はまだ正式に梅雨入りしていないことに気がついた。今年の梅雨はちょっと変則な梅雨で、寒暖差も激しく、体がついていかない。
 
これだけの雨の日になると、ジャズも難しい純ジャズは精神的にしんどい。こういう時は疾走感&爽快感溢れるフュージョン・ジャズが良い。確かに、梅雨時の我がバーチャル音楽喫茶『松和』については、フュージョン・ジャズを選択するケースが多いかな。特に米国西海岸系のフュージョンが爽やかで良い。そういうことで、今日選んだ盤の中で印象的だったのが、この盤。

『Tom Scott and the L.A. Express』(写真左)。1974年のリリース。サンボーンと並んでフュージョン・アルトの雄、トム・スコットのThe L.A. Expressとの共演盤。ちなみにパーソネルは、Tom Scott (sax & Woodwinds), Larry Carlton (g), Max Bennett (b), Joe Sample (p, key), John Guerin (ds, pers)。今の目で振り返れば、サックスにスコット、キーボードにサンプル、ギターにカールトン。レジェンド級のメンバーがいる。
 
 
Tom-scott-la-express  
 
 
クロスオーバー・ジャズが全盛の1974年のリリースであるが、演奏内容としては、既に後のフュージョン・ジャズの音を先取りしている。テンポの速い曲もミドルテンポの曲も、楽器の演奏能力は非常に高く、しっかりとソフト&メロウしている。流麗なフレーズの連続であるが、甘さに流されることは無い。演奏のフレーズの中にしっかりと芯が感じられ、意外と硬派なアドリブ展開は魅力的。
 
米国西海岸のフュージョンだけあって、ファンクネスは抑え気味、リズム&ビートも切れ味優先、それでも出てくるオフビートは8ビートで強烈にスイングする。流麗なジャズファンク。リーダーのトム・スコットのアルト・サックスが疾走感溢れるアドリブ・フレーズを吹きまくる。カールトンのギターとサンプルのキーボードがバックで醸し出す流麗なグルーヴ感。堪らない。
 
ジャケットも秀逸。この爽やかなエロティシズム漂うジャケットが、この盤に詰まっているフュージョン・ジャズの「音の充実」を保証する。とにかく切れ味抜群のフュージョン・ジャズの先駆。こういう盤はいつの時代にも古びることは無い。今の耳でも聴く度に新しい発見がある好盤です。特に、フュージョン・ジャズ者の方々にお勧め。
 
 
 
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2019年6月11日 (火曜日)

後のフュージョンの先駆けです。

BN-LAシリーズは、後のフュージョン・ジャズを先取りした様な、ソフト&メロウでライトにファンキーなジャズが多く存在する。恐らく、当時のブルーノート・レーベルはマーケットへの訴求が足らなかったのだろう、上手くやれば結構ヒットしたんでは無いか、と思わせてくれる、ポップで聴き易い内容のアルバムが多く存在する。
 
Lou Donaldson『Sweet Lou』(写真左)。1974年3月の録音。ちなみにパーソネルは総勢20名以上。ボーカル&コーラス入りのエレクトリック・ジャズの編成。名前を見渡して見ても、今の目で振り返っても知っている名前はほとんど無い。エレギのDavid Spinozza, Cornell Dupree くらいかなあ、知っている名前は。恐らく、ルーさんの顔見知りのミュージシャンばかりやないかなあ。
 
冒頭の「You're Welcome, Stop On By」からファンクネス炸裂。女性ボーカルのコーラスがいかにもジャズ・ファンクっぽい。さすがブルーノートで、女性ボーカルのコーラスが入っても「ユルユル」な雰囲気にはならないし、迎合してポップに傾きすぎることも無い。ジャズとしての最低限の矜持を維持しつつ、音の雰囲気は「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズ基調。
 
  
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女声コーラスでポップでソウルフルに染まった伴奏の中に、スッとルーさんもアルト・サックスが入ってくる。これがバップ仕込みの芯がシッカリ入ってブリリアントな響き。この冒頭の曲を聴いていて、グローバー・ワシントンJr.の『ワインライト』を思い出した。意外とソフト&メロウではあるが、フロントは硬派なブロウで演奏全体を引き締める。これって、フュージョン・ジャズの「ヒットの極意」のひとつ。
 
もしかして、このルーさんのこの『Sweet Lou』っていうアルバム、効果的なプロモーションをしっかりとやっていたら、意外とヒットしたかも、と思えるくらい、それそれの曲のアレンジも良好、リーダーでありフロントのルーさんのアルト・サックスも好調、バックのエレギの尖った魅力的なフレーズも印象的。要所要所で入る女性ボーカル&コーラスも効果的。フュージョン・ジャズの先駆けとして、もうちょっと評価されても良い盤だと思います。
 
実はこの盤、ルーさんが長年付き合ってきたブルーノート・レーベルでも最終盤になる。ライトなジャズ・ファンクは健在。ルーさんのバップなアルト・サックスも健在。「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズ基調が心地良い。上手くやればヒットしたんじゃないかなあ、と残念になるほどの良質なフュージョン・ジャズの先駆け。しかし、ジャケットは...。往年のブルーノート・レーベルの優れたデザイン・センスは何処へやら、である(笑)。
 
 
 
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2019年6月10日 (月曜日)

モード・ジャズが好きである。

ジャズの奏法の中で、言葉で説明すると何が何だか判らない奏法なんだが、音を聴くと「たちどころに判る」不思議な奏法。モード・ジャズが好きである。言葉で書くと「コード進行よりもモード(旋法)を用いて演奏されるジャズ。」(Wikipediaより)。モード・ジャズではコード進行は単純化し、音階(モード)の中でアドリブを展開し、フレーズの変化を作り出す。
 
やっぱり文字にするとよく判らないなあ。ということで、モード・ジャズということになると、まず、かける盤が、George Russell『Ezz-Thetics(エズセティックス)』(写真左)。1961年5月の録音。ちなみにパーソネルは、George Russell (p, arr), Don Ellis (tp), Dave Baker (tb), Eric Dolphy (as, b-cl), Steve Swallow (b). Joe Hunt (ds)。フリー志向強めなモード・ジャズ。
 
冒頭のタイトル曲「Ezz-Thetics」がモード・ジャズ。出だしはトロンボーンのデイブ・ベイカー、トランペットのドン・エリスと続いて、エリック・ドルフィーのアルト・サックスが出てくると「これがモード・ジャズなんだ」と確信する。モード・ジャズの場合、アドリブの演奏時間は長くなるが、その柔軟性、その意外性、強烈なドライブ感は抜きん出る。これこそがモード・ジャズの醍醐味。
 
 
Ezzthetics-george-russell  
 
 
2曲目の「Nardis」は、スローテンポなアレンジが施されているが、この曲の持つエキゾチックさが増幅され、モーダルなアドリブがより一層際立つのだ。ドン・エリスのトランペットが良い雰囲気を出している。そうそうラストの「'Round Midnight」でのドルフィーが凄い。「炸裂」の単語がピッタリのモーダルなアドリブ。逆にモードじゃないと、こんなに自由度の高い、意外性の高いアドリブは出来ないだろう。
 
若きマイルス・デイヴィスとのやり取りの中にあった「全てのサウンドのChangeを知りたい」という言葉も切っ掛けになり、ジョージ・ラッセルにより考案されたリディアン・クロマティック・コンセプト(Wikipediaより)。そして、これを切っ掛けとしてモード・ジャズが生まれる。とにかくモード・ジャズは面白い。ただ弾き手をシビアに選ぶ奏法である。しかし、そこがまた面白い。
 
「リディアン・クロマティック・コンセプトを考案した」なんて小難しそうなので、敬遠されるのかなあ。意外と我が国では知られていないのだが、このジョージ・ラッセルの『Ezz-Thetics』は、マイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』と双璧をなすモード・ジャズの教科書の様なアルバムです。とにかく、ドルフィーが凄い。完璧にモード奏法をマスターしてます。
 
 
 
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2019年5月29日 (水曜日)

ルーさんのジャズ・ファンク

ブルーノート・レーベルの4300番台は、とにかく「ジャズのポップス化」がメイン。様々な中堅ジャズマンが、この「ジャズのポップス化」の洗礼を浴びている。しかし、ブルーノート・レーベルのポップス化されたジャズの音は、意外と「シュッと」していて、切れ味が良く、演奏内容は濃い。ただただ売れんが為のポップス化で無いところが「隅に置けない」。
 
ジャケットだってそうだ。ブルーノート・レーベルといえば、そのジャケットのデザイン・センスは芸術の域。しかし、この4300番台のジャケットは「芸術」な側面はどこへやら。思いっきり俗っぽいデザインばかり。しかし、当時のサイケデリックやフラワー・ムーヴメントを意識したデザインが多くあって、今の目で振り返ると、意外と「イケて」たりするから面白い。

Lou Donaldson『Hot Dog』(写真左)。1969年4月25日の録音。ブルーノートの4318番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Ed Williams (tp), Charles Earland (org), Melvin Sparks (g), Leo Morris (ds)。この時、ルーさんは43歳。ジャズマンとして脂の乗り切った中堅。オルガンのアーランドは28歳。ギターのスパークスは23歳。ドラムのモリスは30歳。
 
 
Hot-dog-lou  
 
 
ルーさんは一回りも年下のメンバーと組んで、真剣に「ジャズのポップス化」に取り組んでいる。決して適当にやっているのではない。ルーさんのアルト・サックスの音は、ハードバップ時代そのままの艶やかでブリリアント。とても魅力的で訴求力抜群。キレ味良く、躍動感に満ちている。ブルーノート・レーベルの音の矜持をしっかりと維持しているところが素晴らしい。
 
バックの若手メンバーも良い演奏をしている。特にアーランドのオルガンが良い雰囲気。いやいや、モリスのドラミングのグルーヴ感も侮れない。スパークスのギターの適度に緩んだキレ味も捨てがたい。ルーさんとの相性はバッチリ。ライトですっきりファンキーなグルーヴ感が良い。爽快すっきりなジャズ・ファンク。
 
しかし、この盤のジャケットの凄いこと(笑)。ホットドックを持って笑う女性。雰囲気はフラワー・ムーヴメント濃厚。このジャケット、以前はとても評判が悪かったんですよね。ついでに演奏内容も硬派なジャズ者の方々からは散々な評価でした。でも、最近ではライトなジャズ・ファンクとしてしっかりと再評価され、このケバいジャケットもフラワー・ムーヴメント時代のアートとして再評価されています。目出度し目出度し。
 
 
 
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2019年5月12日 (日曜日)

キャノンボールのエレ・ファンク

やっと5月らしい気温に落ち着いた。湿度も低く、長袖のラガーシャツでウォーキングしても汗ばまず、清々しい気分。思い返せば、日本の一年間の中で、数少ない「過ごしやすい時期」である。これだけ過ごしやすい気候になれば、日頃、耳にすることが疎遠になったジャズマンのアルバムを聴き直したくなる。
 
キャノンボール・アダレイが気になってきた。そういえば暫く疎遠になっている。ファンクネスこってこてのファンキー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがメインのアルト・サックスのレジェンドである。ビートとメリハリの効いた「オーバー・ファンク」な演奏はとにかく熱い。本格的な夏が来る前に聴き直さないと、また半年後辺りに繰り延べになる。
 
ということで、キャノンボール・アダレイである。僕はキャノンボールの「ジャズ・ファンク」が大好きである。電気楽器をバリバリに取り入れ、ソウル・ミュージックのエッセンスを大々的に取り入れ、こってこてファンキーでダンサフルなジャズ。明らかに時代の流行に迎合している、と「ファンクの商人」などと揶揄されたりするが気にしない。良い音楽は良い。
 
 
Inside-straight
 
 
Cannonball Adderley『Inside Straight』(写真左・右はLP時代)。1973年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Hal Galper (el-p), Walter Booker (b), Roy McCurdy (ds), King Errisson (perc)。Fantasy Studioで行ったスタジオ・ライブの録音盤になる。ライブならではの「一発録り」のテンションが心地良い。
 
1973年の録音であるが、内容はフュージョン・ジャズを先取りした様な、こってこてファンキーでダンサフルではあるが、どこか「ソフト&メロウ」な雰囲気漂うジャズ・ファンクである。一時よりも落ち着いたリズム&ビートが、この頃のキャノンボール・クインテットの雰囲気をバッチリ「キメている」。
 
1975年8月、キャノンボールは急逝するから、逝去2年前の晩年のパフォーマンスがこの盤に詰まっていることになる。「ファンクの商人」と揶揄されようが、あくまでポップス音楽としてのジャズを追求した、キャノンボールのジャズ・ファンク。今の耳にもさほど古さは感じず、聴いて楽しいキャノンボールのエレ・ファンク。さて、キャノンボールのリーダー作をここから遡ってみるとするか。
 
 
 
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2019年5月 9日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・69

いろいろと異論はあるだろうが、私、松和のマスターにとっては、ジャズ・トロンボーンを愛でるのは、この初夏の季節が一番である。初夏の心地良く暖かな気候の中で聴く、ホンワカ、ホノボノなトロンボーンの音色。かなり心地良く耳に響いて、心が晴れ晴れ。スカッとストレス解消と相成る。
 
ということで、最近、トロンボーンが主役のアルバムを聴きまくっている。ジャズ・トロンボーンの奏者って、数が少ないのだけれど、ジャズの歴史を振り返って、結構、好盤の率が高い。トロンボーンの音色って、ホンワカ、ホノボノしているので、なかなか単体だと印象が薄くなる。そこでアレンジの出番。トロンボーンがメインのジャズ盤って、押し並べて、アレンジが優れている。

『3 Bones And A Quill』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、Frank Rehak, Jim Dahl, Jimmy Cleveland (tb), Gene Quill (as), Whitey Mitchell (b), Charlie Persip (ds), Hank Jones, Nat Pierce (p)。リーダー格で、フロントを担当するのが、アルト・サックスのジーン・クイル(写真右)。フィル・ウッズと結成した、2アルト・サックス・ユニット「フィル&クイル」での活動が有名。
 
 
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そして、もう一方のフロントを担当するのが、なんとなんと、ジミー・クリーブランド、ジム・ダール、フランク・リハクという当時最高のトロンボーン奏者3人がフロントを張っているのだ。このトロンボーン3本による、豊かで趣味の良いアンサンブルが、チャーリー・パーカー直系のクイルのアルト・サックスを際立たせている。

演奏自体はハードバップだが、とにかく、トロンボーン3本のユニゾン&ハーモニーのアレンジがとても優れている。加えて、トロンボーン3本それぞれのアドリブ・ソロも端正で流麗。しっかりとフレーズを立たせていて、聴いていてワクワクする。フロントのアルト・サックス、そしてトロンボーン、それぞれの音色はファンキー際立つジャジーな雰囲気が濃厚。
 
選曲も捻りが効いていて、聴いていて楽しい。トロンボーン3管の特徴を生かしたユニークな演奏。癒し系のトロンボーンとクイルの超高速アルトのアンサンブル&チェイスが印象的。演奏自体もアレンジが良く効いていて聴き易い。この初夏の季節、ジャズ喫茶の昼下がりにピッタリの好盤です。
 
 
 
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2019年4月25日 (木曜日)

貞夫さんの躍動感が半端ない

渡辺貞夫と呼ぶよりは「貞夫さん」。日本ジャズ界が世界に誇るアルト・サックス奏者である。今までのジャズの様々な成果を鑑みると、日本ジャズ界でダントツの存在である。1933年生まれなので今年で86歳。未だ第一線の先頭に立って、日本ジャズ界を牽引している様は「素晴らしい」の一言。
 
僕は貞夫さんを聴き続けて40年余。気合いを入れて聴き始めたのは、例のフュージョンの好盤『California Shower』からである。とにかく僕は貞夫さんのアルト・サックスの音が大好きだ。スッと伸びた明るくブリリアントな響き。流麗ではあるが芯がしっかり入ったフレーズ。ビ・バップ仕込みの光速テクニック。しかし、一番の魅力はフレーズに溢れる「歌心」。
 
そんな貞夫さんの最新作が『Re-Bop the Night』(写真左)。昨年の日本ツアーから8か所のベスト・テイク12曲。ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), Russell Ferrante (p), Ben Williams (b), Kendrick Scott (ds)。イエロージャケッツのオリジナルメンバーであるベテラン、フェランテのピアノを核に、新世代ジャズシーンを担うベースとドラムがバックを支える。
 
 
Rebop-the-night-sadao  
 
 
今年で86歳なんて嘘だろう、と思う。貞夫さんのアルト・サックスは絶好調。特に、この盤、ライブ録音盤だけに、貞夫さんのアルトの躍動感が半端ない。力の入れ具合も塩梅良く、力感溢れるバップなフレーズから、優しさを湛えたバラードなフレーズまで、硬軟自在、変幻自在、質実剛健なアルト・サックスが素晴らしい。
 
貞夫さんのアルトの素晴らしさの次に、しっかりと耳に残るのが、フェランテのピアノの良い響き。ファンクネスが殆ど感じられない、自然や空間を想起するネイチャー・ジャズの側面と、現代の新主流派と呼んで良いほどの、静的でスピリチュアルなモード・ジャズの側面の両方を上手くハイブリッドした様なピアノは聴きものである。
 
このライブ盤での貞夫さんのアルト・サックスの躍動感が実に心地良い。バックのフェランテがメインのリズム・セクションも隅に置けない素晴らしさ。実に聴いていて楽しく、聴き応えのあるメインストリーム・ジャズ。それぞれの楽器の音も良好。万人にお勧めの「貞夫流ネオ・ハードバップ」な演奏に感心することしきり、である。
 
 
 
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2019年4月18日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・112

フィル・ウッズのアルト・サックスは爽快である。切れ味の良い、ストレートな吹きっぷり。唄うが如く、伸びやかに吹き回すアドリブ・フレーズ。ファンクネスはそこそこに抑えられ、オフビートの躍動感とジャジーな雰囲気を前面に押し出した音色。フィル・ウッズも個性派プレイヤーの一人である。
 
そんなフィル・ウッズも2015年9月に鬼籍に入ってしまった。既に3年が経過している。それでもまだ未発表集やリイシュー盤が出てくるのだから、ウッズってやっぱり人気のアルト・サックス奏者やったんやなあ、と改めて感心する。そんなリイシュー盤の一枚が、Phil Woods『I Remember』(写真左)。1978年3月の録音。
 
僕はこの盤を知らなかった。ジャズ雑誌の新盤紹介を読んで初めて知った。で、早速入手して聴いてみた。冒頭は、キャノンボール・アダレイ作の「Julian」。ビッグバンドをバックにウッズが吹きまくる。エレピが印象的なゴスペル調のファンキーな演奏だ。うむむ、格好良いでは無いか。ビッグバンドのバックがちょっと甘さを感じさせるが、ウッズのアルトがグッと引き締める。
 
 
I-remember-phil-woods  
 
 
以降、収録曲を眺めてみると、ウッズが敬愛する8人のミュージシャンを追悼したものであることが判る。しかも、これらの曲をオリジナルとは全く別の、ウッズ・オリジナルのアレンジを施してカヴァーしているのだ。このアレンジがどれも良く出来ている。バックにオーケストラ付きの演奏もあるが、決して陳腐になっていない。ぎりジャズとして成立しているアレンジが見事。
 
どの演奏でも、やはりウッズのアルト・サックスの音色が印象的だ。どこで吹いてもしっかりと爽やかに目立っている。思わず、ビリー・ジョエルの「素顔のままで(Just the Way You Are)」での、あの伝説のソロ・パフォーマンスを想起する、ウッズ独特の唄うが如く伸びやかな、切れ味の良い、ストレートな吹きっぷり。聴き応え十分である。
 
ウッズのアルト・サックスをとことん愛でることが出来る、加えて、ウッズのアレンジの才を確認出来る好盤です。盤全体の雰囲気は、アコースティックがメインの演奏ではあるが、ソフト&メロウ、そしてソウルを追求したフュージョン・ジャズっぽい雰囲気が僕は大変気に入りました。早速、今月のヘビロテ盤の仲間入りをしています。
 
 
 
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