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2017年11月26日 (日曜日)

「ハッピーな演奏」が実に良い

ジャズはコンスタントに新作をリリースし続けている。我が国では、ジャズはマイナーな音楽ジャンルと言われて久しい。しかも難解な音楽で苦手だ、聴く気にならない、という人が多い。それなのに我が国でも、なぜ一定数、毎月毎月、コンスタントに新作がリリースされ続けているのか。不思議と言えば不思議である。

ジャズは年齢がいけばいくほど、奥が深く渋みが出て、味わいの深いものになる。これは演奏する方も聴く方も同じで、ジャズにおいては、ベテランの役割は重要である。60歳以上のベテランの新作も、かなりの割合でリリースされ続けている。これは実に喜ばしいことである。ベテランのプレイは滋味に富んでいる。聴き心地が良く、聴き応えがあるものが大多数である。

Vincent Herring『Hard Times』(写真左)。先月の下旬のリリース。ちなみにパーソネルは、Vincent Herring (as, ss), Cyrus Chestnut (p, fender rhodes), Yasushi Nakamura (b), Carl Allen (ds)。special guests : Nicolas Bearde (vo), Russell Malone (g), Steve Turre (tb), Brad Mason (tp), Sam Dillon (ts)。サイラス・チェスナットのピアノをベースにしたリズム・セクションに、ヴィンセント・ハーリングのサックスのワンホーン・カルテットがメイン。
 

Vincent_herring_hard_times

 
現代ジャズ・アルトのレジェンド、ハーリングが溌剌としたプレイを繰り広げている。バックは、長年の盟友、チェスナットのピアノ・トリオ。これがまた、実に具合が良い。極上のハードバップ演奏が実に心地良い。この盤の演奏を聴いていると、難しい理屈などいらないよ、と言われているみたいな「ハッピーな演奏」が実に良い。

「音楽は常に私にとってポジティブなものでした。音楽によって私はいつも気分を持ち直すことができたのです」とはハーリングの弁。よって「少なくとも1時間くらいは、現代生活の混乱を和らげられるような作品にしたい、と願って制作」された、とのこと。良い話である。確かに、この作品は「ハッピーな内容」で埋め尽くされている。

聴いていて、心から「ジャズって良いなあ」と思える、素敵な盤である。ネオ・ハードバップの良いところがギッシリと詰まっている。こういう盤が、今、この時代にリリースされることを頼もしく思う。ジャズを聴いてきてよかったなあ、と思える瞬間である。

 
 

東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年11月21日 (火曜日)

ファンキーなドナルドソンを聴け

ファンキー・ジャズに凝っている。ファンキー・ジャズの特徴のひとつが、ファンキー・ジャズに欠かせない「ギターやらオルガンやら」が入っていること。僕はこの「オルガン」の存在が大のお気に入りで、ファンキー・ジャズに入っているオルガンは特に良い。こってこてにファンキーなオルガン、欠かせないよな〜。

こってこてにファンキーなオルガン、と言う言葉からこの盤が浮かんだ。Lou Donaldson『The Natural Soul』(写真左)。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Tommy Turrentine (tp), Grant Green (g), Big John Patton (org), Ben Dixon (ds)。ファンキー・ジャズに必須のアイテムである「ギターやらオルガンやら」がしっかり入っている、典型的な「ファンキー・ジャズ」盤。

アルト・サックスのレジェンド、1962年当時でベテランの域に達しつつあった「ルー・ドナルドソン」。当時36歳。若手の頃はチャーリー・パーカーから大きな影響を受けた「ビ・バップ」なアルト・サックスがメイン。これがまあ、1960年代に入って、ファンキー・ジャズが流行りだしたら大変身。ビ・バップなアルトが、ファンキーなアルトに大変身。それでも、このルーさんのファンキー・アルトが実に良い感じだから「許せる」。
 

The_natural_soul

 
バックのオルガンが切れ味良く思いっきりファンキー。ジョン・パットンである。当時、ほぼ新人だったというから驚き。これだけ、こってこての骨太なファンキー・オルガンを弾き倒すなんて、新人とは思えない。加えて切れ味が良い。ズバッと切れ込むようにアドリブに差し掛かる瞬間が実に良い。そうそう、トミタレ(トミー・タレンタイン)のトランペットもファンクネスだだ漏れ。

そして、この盤で大活躍なのが、ギターのグラント・グリーン。パッキパキのコッテコテな、シングル・トーンでソロにバッキングに大活躍。ファンキー・ジャズはこってこてファンキーな音の塊なので、ちょっともたれる感じになる時があるのだが、そんなところに切れ込むグラント・グリーンのシングル・トーンは爽快。

ジャケットもブルーノート・レーベルらしからぬ、俗っぽさ満載の「ふぁんき〜」なジャケット。でも、これが良い。タイポグラフィーもばっちり決まって、なんだか、こってこてなファンクネスが滴り落ちるような、そんなファンキーなジャズが聴こえてきそうなジャケットもまた良し。ファンキー・ジャズって楽しいなあ。 

 
 

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2017年11月10日 (金曜日)

これぞ、ファンキー・ジャズな盤

ファンキー・ジャズは、1950年代終盤から1960年代中盤にかけて流行ったジャズの演奏トレンドのひとつで、ハードバップのサブカテゴリー、若しくは後継のトレンドとされる。演奏の基本はメインストリーム・ジャズ。電気楽器はエレクトリック・ピアノ、若しくはオルガンのみ。ゴスペル的な要素が大幅に取り入れられ、これがファンクネスを強調する。

そんなファンキー・ジャズの代表盤の一枚が、Cannonball Adderley『Mercy, Mercy, Mercy(Live at 'the Club')』(写真左)。1966年10月、ロスのキャピトルでのスタジオ・ライブの音源。Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Joe Zawinul (ac-p, el-p), Victor Gaskin (b), Roy McCurdy (ds)。アダレイ兄弟がフロントに座ったクインテット構成。

後に、Weather Reportを結成するジョー・ザヴィヌルがキーボード担当と音楽監督を兼任している。このザヴィヌルの存在が「キモ」で、このザヴィヌルの書いた曲がすべからく「こってこてのファンキー」。その代表作がタイトル曲の「Mercy, Mercy, Mercy」。もう、これでもか〜、という位の「オーバー・ファンク」な演奏。
 

Mercy_mercy_mercy

 
この「Mercy, Mercy, Mercy」の存在が、音が、このアルバムの雰囲気を決定付けている。教会の賛美歌の様な響き、ゴスペルのようなフレーズの「畳みかけるような繰り返し」。そこに、スタジオ・ライブならではの、タイミングの良い観客の掛け声と口笛。徐々に高揚していく繰り返しフレーズに、どんどん高まっていくファンクネス。

この徐々に高揚していくリフの繰り返しがファンキー・ジャズの「ミソ」で、この繰り返すリフがブルージーなコードであれば、その時点で「ファンクネス抜群」ってな感じになる。ビートはロックなビートの「エイト・ビート」。これがファンキー・ジャズ特有の粘りを伴って、まるで「うねり」のように耳に迫ってくる。迫力も満点である。

他の人達から「ファンキー・ジャズ」ってどんな音なのか、と問われた時、取り出すアルバムの一枚がこの『Mercy, Mercy, Mercy』。ファンキー・ジャズって、「純ジャズが全て」という様なシリアスなジャズ者の方々からすると、あまり評価の良くないジャンルですが、聴いていてノリが良く、聴いていて楽しいので、僕にとっては結構お気に入りです。音が楽しい、だから「音楽」。お後がよろしいようで(笑)。

 
 

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2017年11月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズには、一流ジャズメン達がリーダーになって、気合いを入れて創作するアルバムもあるが、気心知れたジャズメン達が、ちょっと集まって、ジャムセッション風に録音して制作するアルバムもある。そして、意外に、この気心知れたジャズメン達がちょっと集まって録音したアルバムが、実に滋味に富んだ、実に心地良いモダン・ジャズなアルバムになっていたりするから面白い。

例えば、Paul Desmond『First Place Again』(写真)。1959年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。ピアノの代わりにギターが入ったカルテット構成。この構成とこのパーソネルを見るだけで、この盤に詰まっている音が期待出来る。

ポール・デスモンドは、デイブ・ブルーベックのカルテットに参加して人気のアルト奏者。そこに、ジャズ・ギターの名手ジム・ホールが加わり、ベースとドラムは、モダン・ジャズ・カルテットから、パーシー・ヒースとコニー・ケイが参加。いや〜、当時、人気の一流ジャズメンばかり、しかもバリバリの中堅。粋で渋い、聴くからにジャズらしい音を出す4人である。
 

First_place_again

 
選曲も渋くて、スタンダード曲かトラディショナル曲で占められる(CD再発の時にデスモンド作が入るがオリジナルLPには無い)。冒頭のコール・ポーター作の「I Get a Kick Out of You」や、ジョン・ルイス作の「Two Degrees East, Three Degrees West(2度東3度西)」など、聴いていて惚れ惚れする。典型的なモダン・ジャズ、典型的なハードバップである。

ここまで来ると、もう理屈やないなあ、と思ってしまう。優秀な一流ジャズメン達が、ちょっと集まって録音すると、きっと適度にリラックスした演奏になるんだろう、本当に和やかで優れた内容である。聴く側も適度にリラックスして、微笑みを湛えながら、ちょっと足でリズムを取りながら、首は左右に微かに触れてスイングする。そんな雰囲気の演奏が実に心地良い。

ポール・デスモンドのアルトが興味深い。ブルーベック・カルテットの時には、丸くて和やかで温和なアルトを吹いているのだが、ブルーベック・カルテットを離れて、一人で他流試合に参加した時には、結構、力強いアルトを吹く。どちらが彼の本質なのか、聴いていてとても興味深い。最初から最後まで、心地良いモダン・ジャズがてんこ盛り。隠れ好盤です。

 
 

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2017年10月26日 (木曜日)

80年代の「ブラジルの渡辺貞夫」

ナベサダさん(渡辺貞夫)には、ビ・バップの顔、フュージョン&スムースの顔、そして、ブラジルの顔がある。日本人ジャズメンとして、いち早く、ボサノバ&サンバの「ブラジル音楽」に着目し、早くも、1966年12月には『JAZZ & BOSSA』を吹き込んで、日本中にボサノバブームを巻き起こした。

そんなナベサダさんが、1980年代に残した「ブラジルの顔」の面での好盤がある。Sadao Watanabe『ELIS』(写真左)。988年の作品。1960年代後半、音楽に文化に魅せられ続けたブラジルで実現した20年振りの念願のレコーディング。歌姫、エリス・レジーナに捧げたアルバム。米のラジオ&レコード誌ジャズ・チャート4週連続1位を獲得した好盤である。

ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), セザール・カマルゴ・マリアーノ (key), エイトール・テイシェイラ・ペレイラ (g), ニコン・アスンサゥン (b), パウリーニョ・プラーガ (ds), パペーチ (perc), そして、ゲスト参加のトッキーニョ (g, vo)。う〜ん、トッキーニョ以外、知らない名前ばかりだ。しかし、この盤を聴けば判るが、凄く上手い。ブラジルのミュージシャンのレベルの高さに驚く。
 

Watanabe_sadao_elis

 
ブラジルの歌姫「エリス・レジーナ」の追悼盤。この『ELIS』の魅力は、ほのぼのとした情の深い音。優しく愛情たっぷりな柔和な音。聴いていてなんだか、心から「ほっこり」としてしまう、そんな素晴らしい感覚が満載のフュージョン・ジャズ盤。バックのリズム・セクションが素晴らしく優秀なので、ナベサダさんは安心しきって、芯のある力感溢れる、とびきり優しいフレーズを吹き上げる。

しかし、ブラジルって凄いなあ。改めて「音楽王国」であることを再認識。なに、このハイレベルのバッキング。さすが、ボサノバ&サンバの原点。セザールのアレンジも実に良好。なるほど、米のラジオ&レコード誌ジャズ・チャート4週連続1位も納得の内容である。収録された全ての演奏の内容が良い。甲乙付けがたい演奏が満載。

このナベサダさんの「ブラジルの顔」、とても素敵である。ボサノバ&サンバな曲については、とってもダンサフル。芯のある力感溢れる、とびきり優しいフレーズと相まって、実にメリハリのある、飽きの来ない、充実の内容になっている。そして、1980年代のナベサダさんのアルバムは、どれも「デジタル臭く無い」。アナログっぽくて柔軟な音はもっと評価されても良い。好盤です。

 
 

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2017年10月25日 (水曜日)

硬派で熱いワシントン・ジュニア

Grover Washington Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア)と言えば、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの代表ジャズメンの一人。1980年の『Winelight』がその代表盤。シングルカットされた「Just the Two of Us(クリスタルの恋人たち)」は大ヒットした。

しかし、ワシントン・ジュニアは、デビュー当時からずっと「ソフト&メロウ」なアルト・サックスを吹いていた訳では無い。ワシントン・ジュニアは意外と多作の人で、このソフト&メロウの代名詞的アルバム『Winelight』までに、先行して10作のリーダー盤がある。この頃のワシントン・ジュニアって、結構、ソウルフルでエモーショナルなアルトを吹いていたのだ。

それがよく判るライブ盤が、Grover Washington jr.『Live At the Bijou』(写真)。1977年5月、ペンシルベニア州フィラデルフィアの「Bijou Cafe」でのライブ録音。パーソネルを見渡しても、当時のフュージョン・ジャズにおける有名なジャズメンの名は見当たらない。つまり、ワシントン・ジュニアは、クロスオーバーからフュージョンへの主要ラインから、少し「外れていた」と思える。
 

Live_at_the_bijou_cafe

 
このライブ盤『Live At the Bijou』を聴けば、それが良く判る。出てくる音は、クロスオーバーでも無ければフュージョンでも無い。演奏は電気楽器が交じったクロスオーバー風だが、ワシントン・ジュニアのサックスは、バラードチックな曲では限りなくソウルフルに、アップテンポの曲では限りなくフリーでエモーショナルに吹き上げる。意外に硬派なメインストリームなジャズの響き。

このライブ盤には、ソフト&メロウなワシントン・ジュニアはいない。ソウルフルでエモーショナルなワシントン・ジュニアがいる。実に硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズが展開されている。このライブ盤でのワシントン・ジュニアのサックスは芯の入った重心の低い、男気溢れるテナーを吹き上げる。なんと、バリサクやテナーまでも吹いている。力感溢れるワシントン・ジュニアのサックスは熱い。

このライブ盤のプロデューサーはクリード・テイラー。ワシントン・ジュニアの本質である「硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズ」な個性をこのライブ盤で見事に浮き上がらせている。『Winelight』の印象しか無いフュージョン者の方々には、この『Live At the Bijou』のテナー奏者が「グローヴァー・ワシントン・ジュニア」であることを見抜けないだろう。しかし、この盤は明らかに、ワシントン・ジュニアの好盤の一枚である。

 
 

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2017年10月23日 (月曜日)

80年代純ジャズのナベサダさん

渡辺貞夫(愛称:ナベサダさん)のリーダー作を聴き直している。今、1980年代真っ只中。フュージョン・ジャズに転身し、『カリフォルニア・シャワー』や『モーニング・アイランド』などのヒット作を連発。テレビのコマーシャルなどにも顔を出して、ジャズの枠を超えて、日本ポップスの人気者となったナベサダさん。

その勢いそのままに米国フュージョン界にチャレンジし、最高の成果を残したのが、この1980年代。ナベサダさんのジャズが本国に認められた時代でした。この時代のナベサダさんのアルバムはどれもが素晴らしい出来のものばかり。加えて、録音方式がアナログからデジタルに移行した時期で、皆、結構、このデジタル録音に苦戦したのですが、ナベサダさんのアルバムには、この時代独特のデジタル臭さがほとんどありません。これがまた「良い」。

1980年代は「フュージョン・ジャズのナベサダ」という印象が強かったのですが、時折、自らの音の原点を確かめる様に、メインストリームなジャズに立ち返っています。そんな瞬間を捉えたアルバムが、渡辺貞夫『Parker's Mood(Live at BRAVAS CLUB '85』(写真左)と『Tokyo Dating』(写真右)の2枚。

『Parker's Mood』はタイトル通り「ブラバス・クラブ '85」でのスタンダード・ジャズ・セッションによる興奮のワンナイト・ライブの録音。演奏の基本は「ビ・バップ」。ビ・バップな雰囲気の純ジャズ・パフォーマンスを、当時のジャズ界の先端の演奏スタイルを交えて表現している。ライブ盤だけに、演奏全体の雰囲気は「アグレッシブ」。
 

Parkers_mood_tokyo_dating

 
『Tokyo Dating』は、前出の『Parker's Mood』と同パーソネルによる、メインストリームなジャズのスタジオ録音盤。こちらも、演奏の基本は「ビ・バップ」。昔からあるナベさんの曲をうまくアレンジして、当時のジャズ界の先端の演奏スタイルをメインにした展開となっていて、結構、聴き応えのある内容になっている。

ちなみに、どちらもアルバムも、パーソネルは、Sadao Watanabe (as), James Williams (p), Charnett Moffett (b), Jeff Watts (ds)。当時、メインストリーム・ジャズ志向の若手ジャズメンから、将来有望株とおぼしき者をチョイスしている。演奏を聴くと、さすが若さ故、弾き過ぎ、叩き過ぎな面もあるが、スカッとするくらいに弾きまくっている。細かいことは抜きにして、躍動感溢れ、抑揚を上手くコントロールする様は、なかなかに優秀な若手リズム・セクションである。

この爽快な若手リズム・セクションをバックに、ナベサダさんは、個性溢れる音色でアルト・サックスを吹きまくる。若手リズム・セクションをグイグイ引っ張るように、吹きまくる様は迫力満点。ナベサダさんのアルトに鼓舞されて、さらに頑張る若手リズム・セクションの健闘が光る。清々しいセッションである。

このメインストリームなジャズの2枚のアルバム、1985年の録音なんだが、デジタル臭さが無くて、とてもジャズっぽい音が僕は好きだ。1980年代のジャズ盤の録音としては、あまり多く無い、安心して聴ける盤であり、1980年代の「ビ・バップ」な演奏の雰囲気はなかなかにお洒落で小粋。この2枚のアルバム、1980年代の純ジャズのナベサダさんを捉えた盤として貴重なものです。

 
 

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2017年9月26日 (火曜日)

チャーリー・マリアーノの個性

ジャズでは、初リーダー作がそのジャズメンの個性を如実に表す、と言われる。逆に、初リーダー作でそのジャズメンの個性が良く判らないってことは余り無い、というか記憶に無い。

ジャズでは初リーダー作が一番面白い。飾ることも虚勢を張ることも無い。そのローダーのジャズメンの個性がそのままに表れる。初リーダー作ではないんだが、本人の名前を冠したアルバムって、初リーダー作に近い内容があると思っている。

なんせ、アルバム・タイトルがズバリ、リーダーである自分の名前そのままなんだからね。表札というか名刺というか、この盤って俺の音だよね、という感じが強くする。

『Charlie Mariano』(写真左)というアルバムがある。タイトルはリーダーの名前そのまま。1956年リリースのベツレヘム盤。ちなみにパーソネルは、Charlie Mariano (as), John Williams (p), Max Bennett (b), Mel Lewis (ds)。 アルトサックス奏者、チャーリー・マリアーノのワンホーンカルテットである。

リーダーのチャーリー・マリアーノは、アルトサックス奏者。米国マサチューセッツ州ボストンの出身だが、アルトの音は「西海岸ジャズ」の雰囲気を宿している。マリアーノのアルトは良い意味で「無臭」。クセの無い、伸びの良いブリリアントなアルトサックス。
 

Charlie_mariano_bethlehem

 
ほんと、スーッと真っ直ぐな伸びの良い爽やか音。これがマリアーノのアルトサックスの個性である。アドリブ・フレーズには、アルトサックスの神様、チャーリー・パーカーっぽいフレーズが見え隠れし、マリアーノは白人ながら、パーカーのフレーズのクセ、パターンを良く身につけている。

しかし、そのパーカーっぽいフレーズも爽やかでクセの無い、伸びの良いアルトサックスで吹き上げる。爽やかなパーカー。ちょっと引っ掛かりに欠け、印象に残りにくく、少し損をしている。

ルディー・ヴァン・ゲルダーのスタジオで録音されており、音が良い。マリアーノのアルトサックスとは如何なるものか、という問いには、このアルバムで応えることにしている。マリアーノの名前そのままのアルバムタイトル『Charlie Mariano』。

クセの無いところが玉に瑕だったのか、不思議と活躍が限られ、リーダー作も少なく、今ひとつマイナーな存在。それでも、このリーダー作では、マリアーノのアルトサックスが躍動している。

 
 

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2017年9月 1日 (金曜日)

好盤なばかりがジャズでは無い

昨日の夜から、思いっきり涼しくなった、我が千葉県北西部地方。少なくとも半袖では寒くていけない。長袖のカッターシャツでも、ちょっと寒い。夏のジャケットを羽織ってやっと良い感じの涼しさである。聞けば、10月上旬の涼しさとか。あれ、今日はまだ9月1日なんですけど(笑)。

でも、これだけ涼しくなると、ジャズ盤鑑賞については、何でもOKである。ハードなフリージャズだって、これだけ涼しいともうOKである。で、今日は思いっきり硬派でハードバップな演奏を聴こうと思い立った。それも切れ味の良い、爽やかどころの、コッテコテのハードバップが良い。で、選んだ盤がこれ。

Lee Konitz『Live At the Half Note』(写真)。1959年2月〜3月、NYのライブハウス、ハーフノートでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Warne Marsh (ts), Bill Evans (p), Jimmy Garrison (b), Paul Motian (ds)。目を惹くのは、ピアノにビル・エバンスが座り、ベースはギャリソン、モチアンがドラム。なんか凄い面子ではないか。が、絵に描いた様な好盤かと言えば、そうでも無いところがこの盤の面白いところ。
 

Live_at_the_half_note

 
ではあるが、良い感じのハードバップなコニッツである。しかしながら、当時は発表されず、10数年前にようやく発売されたようだが、ながらく入手困難状態が続いた。そんなにチープな内容だったのか、と思いつつ聴くと、まず、コニッツは我関せず、マイ・ペースで吹きまくっている。意外と硬派に、ほんのりアブストラクトに吹きまくる。

そこに、ビル・エバンスのピアノが、これまた意外とアブストラクトに入ってくる。もともと、ハード・バッパーなピアノが基本のエバンスである。かなり硬派にガンガンいく。しかも、タイミングがおかしかったり。アブストラクトなエバンスに慣れてない方には違和感があるだろうな。しかし、これもまた、エバンスの本質である。ある日ある時の、普通なハードバップのライブ・セッションを切り取ったドキュメントなライブ盤なのだ。

確かに絵に描いた様な、素晴らしいハードバップ盤では無いかもしれない。でも、この盤にはハードバップなエネルギッシュな演奏がギッシリである。これを良しと聴くか、これを良く無いと聴くか。それは聴く側の自由。しかし、僕はこの盤に詰まっている、綺麗事ばかりじゃない、このドキュメンタリーの様なハードバップなジャズの雰囲気が意外と好きだ。

 
 

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2017年8月30日 (水曜日)

ジャキー・マクリーンは進化の人

ジャキー・マクリーンは進化の人であった。デビューはハードバップ前半期。ちょっとピッチの外れたストレートなブロウが個性で、クラシックの世界であれば、絶対にあり得ない「アルト・サックス」であった。しかし、ちょっとピッチの外れたストレートなブロウを個性と捉えて愛でるのが「ジャズ」である。懐が深いというか、柔軟性が高いというか(笑)。

そんなマクリーン、ハードバップから端を発しているが、そこに留まらなかった。ハードバップからモーダルなジャズへ、そして、フリーキーでアブストラクトなジャズに世界にスタイルを広げる。1960年代後半の諸作は「決して成功作とは言えない」などど揶揄されたが、この1970年代前半の録音成果を聴くと、マクリーンのスタイルの拡大は意外と成功を収めていたのでは無いか、と感じている。

Jackie Mclean & The Cosmic Brotherhood『New York Calling』(写真左)。1974年10月の録音。SteepleChaseレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (ts), Billy Skinner (tp), René McLean  (ss, as, ts), Billy Gault (p, arr),  James Benjamin (b), Michael Carvin (ds)。フロントが3管のセクステット構成である。
 

New_york_calling

 
René McLeanは、リーダーJackie Mclean =ジャッキー・マクリーンの息子(ジャッキー・マクリーンは継父)。それ以外のメンバーは実は知らない。しかし、この盤を聴けば判るが、それなりの実力を持った、ハードバッパーなジャズメン達である。演奏を聴いていても安心感があるし、抑揚もよく効いていて、聴いていてダレるところが無い。

演奏全体の雰囲気は、モーダルなコルトレーンである。フリーに手を染める前、モード・ジャズを追求していたコルトレーンから、シーツ・オブ・サウンドを引いた雰囲気と形容したら良いだろうか。徹頭徹尾、自由度の高いモード・ジャズの嵐である。適度に勢いも有り、爽快感もある。コルトレーンに比べれば、ちょっと迫力不足ではあるが、アンサンブルなどはカッチリとまとまっていて清々しい。

コルトレーンのモード・ジャズよりは、シンプルで難しく無く聴き易い。1950年代のハードバップ時代のジャキー・マクリーンのアルトをイメージするとかなり戸惑うが、単純にコルトレーンのモード・ジャズを踏襲していることを意識しながら聴くと、意外と聴き易く親しみ易い演奏であることに気付く。コルトレーンのモード・ジャズを踏襲したマクリーンもなかなかのもの。好盤です。

 
 

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