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2018年2月15日 (木曜日)

SteepleChaseの成せる技

SteepleChaseレーベルとは。マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。

さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である。このSteepleChaseレーベルのアルバムを、ある程度、カタログ番号順に確保できたので、順番に聴き始めている。デンマークのコペンハーゲンにある、ライブハウス・モンマルトルをホームグラウンドにしたライブ音源が貴重。1970年代の欧州ハードバップの状況がとても良く判る。

Jackie Mclean『A Ghetto Lullaby』(写真左)。1973年7月18〜19日、デンマークはコペンハーゲン、ライブハウス・モンマルトルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Kenny Drew (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel (ds)。マクリーンのアルト一本、ワンホーン・カルテット編成である。
 

A_ghetto_lullaby_1  

 
SteepleChaseレーベルのライブ録音は、モンマルトルでの一発録りがほとんどで、このモンマルトル、音的にデッドで意外に音が良い。素直でナチュラルな音という感じ。音の分離が良く、ジャズの様な小編成の楽器演奏に向いている。そして、この一発録りのライブ音源をほとんど加工すること無く、アルバムにしているようで、これがとても良い。所謂、当時のライブ演奏そのままをアルバムにしている感じなのだ。

このマクリーンのライブ盤も、ライブ録音そのままの感じで、何の細工も加工も無い感じ、これが良い。1970年代、ジャズはクロスオーバー〜フュージョンの時代で、米国本国では純ジャズが角に追いやられている感じだったが、欧州では、純ジャズがメインだった、そんな当時の状況が、このマクリーンの熱いブロウを聴いていて良く判る。

ドリューのピアノはエモーショナルで典雅、ペデルセンのベースは骨太で躍動感抜群。リールのドラムは堅実。そんなリズム・セクションをバックに、マクリーンは自由度の高いブロウを思う存分繰り広げている。モンマルトルの聴衆の雰囲気も上々。何の装飾も無いライブ盤なんだが、結構、聴き応えのあるところが、さすがは、SteepleChaseレーベルの成せる技である。

 
 

東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年1月22日 (月曜日)

「温故知新」なビ・バップ

雑誌「ジャズライフ」のディスク・グランプリ、「2017年度ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」が発表された。この「ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」って実に重宝で、これが前年のジャズを振り返る良いチャンスで、毎年毎年、雑誌に挙がっているアルバムを順番に聴き直すのだ。これで、前年のジャズのトレンドがまとめて体感出来る。

渡辺貞夫『Re-Bop』(写真左)。昨年2017年のリリース。ナベサダさんが、自身のルーツであるビ・バップをテーマにした、5年ぶりの純ジャズ盤。ちなみにパーソネルは、Sadao Watanabe (as), Cyrus Chestnut (p), Christopher Thomas (b), Brian Blade (ds)。う〜ん、むっちゃ魅力的な、むっちゃ説得力のある人選である。

この盤を聴いてみると良く判るんだが、ナベサダさんのこの盤、メインストリームな純ジャズな内容なんだけど、リズム・セクションの演奏が、とっても「最新式」なのだ。特に、ドラムに、ブライアン・ブレイドを採用しているところが「ニクい」。唄うが如く、ブレイドのビートが明らかに「最新式」なのだ。そこに、安定安心のクリストファー・トーマスのベースが追従する。
 

Rebop

 
この「最新式」のリズム&ビートをバックに、ナベサダさんが「ビ・バップ」なアルトをガンガンに吹き上げていくのだ。最新式の純ジャズのビートに乗った「ビ・バップ」。聴いていて「温故知新」という故事成語を思い出した。正に「故きを温ねて、新しきを知る」演奏内容に感心することしきり。ナベサダさんは、決して「懐古趣味」には走らない。ナベサダさんのアドリブ・フレーズは「新しい」響きに満ちている。

そして、このナベサダさんの「温故知新」なビ・バップに、しっかりと寄り添うように、現代の「ビ・バップ」フレーズを繰り出すサイラス・チェスナットのピアノが、これまた「ニクい」。このチェスナットのピアノも「古くない」。ビ・バップしているんだが「古くない」。このチェスナットの「温故知新」なビ・バップ・ピアノも聴きものだ。ナベサダさんの伴奏に回ったチェスナットのピアノは絶品である。

この盤の触れ込みであった「自身のルーツであるビ・バップをテーマにした純ジャズ盤」を初めて目にした時、いよいよ昔の「ビ・バップ」の音世界の再現に行き着くのか、と感じたのだが、申し訳ありませんでした。昔の「ビ・バップ」の音世界の再現など、とんでもない。旧来のビ・バップの焼き直しでは無い、正に現代の最新式のビ・バップがここにある。聴き応えのある好盤です。

 
 

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2017年11月26日 (日曜日)

「ハッピーな演奏」が実に良い

ジャズはコンスタントに新作をリリースし続けている。我が国では、ジャズはマイナーな音楽ジャンルと言われて久しい。しかも難解な音楽で苦手だ、聴く気にならない、という人が多い。それなのに我が国でも、なぜ一定数、毎月毎月、コンスタントに新作がリリースされ続けているのか。不思議と言えば不思議である。

ジャズは年齢がいけばいくほど、奥が深く渋みが出て、味わいの深いものになる。これは演奏する方も聴く方も同じで、ジャズにおいては、ベテランの役割は重要である。60歳以上のベテランの新作も、かなりの割合でリリースされ続けている。これは実に喜ばしいことである。ベテランのプレイは滋味に富んでいる。聴き心地が良く、聴き応えがあるものが大多数である。

Vincent Herring『Hard Times』(写真左)。先月の下旬のリリース。ちなみにパーソネルは、Vincent Herring (as, ss), Cyrus Chestnut (p, fender rhodes), Yasushi Nakamura (b), Carl Allen (ds)。special guests : Nicolas Bearde (vo), Russell Malone (g), Steve Turre (tb), Brad Mason (tp), Sam Dillon (ts)。サイラス・チェスナットのピアノをベースにしたリズム・セクションに、ヴィンセント・ハーリングのサックスのワンホーン・カルテットがメイン。
 

Vincent_herring_hard_times

 
現代ジャズ・アルトのレジェンド、ハーリングが溌剌としたプレイを繰り広げている。バックは、長年の盟友、チェスナットのピアノ・トリオ。これがまた、実に具合が良い。極上のハードバップ演奏が実に心地良い。この盤の演奏を聴いていると、難しい理屈などいらないよ、と言われているみたいな「ハッピーな演奏」が実に良い。

「音楽は常に私にとってポジティブなものでした。音楽によって私はいつも気分を持ち直すことができたのです」とはハーリングの弁。よって「少なくとも1時間くらいは、現代生活の混乱を和らげられるような作品にしたい、と願って制作」された、とのこと。良い話である。確かに、この作品は「ハッピーな内容」で埋め尽くされている。

聴いていて、心から「ジャズって良いなあ」と思える、素敵な盤である。ネオ・ハードバップの良いところがギッシリと詰まっている。こういう盤が、今、この時代にリリースされることを頼もしく思う。ジャズを聴いてきてよかったなあ、と思える瞬間である。

 
 

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2017年11月21日 (火曜日)

ファンキーなドナルドソンを聴け

ファンキー・ジャズに凝っている。ファンキー・ジャズの特徴のひとつが、ファンキー・ジャズに欠かせない「ギターやらオルガンやら」が入っていること。僕はこの「オルガン」の存在が大のお気に入りで、ファンキー・ジャズに入っているオルガンは特に良い。こってこてにファンキーなオルガン、欠かせないよな〜。

こってこてにファンキーなオルガン、と言う言葉からこの盤が浮かんだ。Lou Donaldson『The Natural Soul』(写真左)。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Tommy Turrentine (tp), Grant Green (g), Big John Patton (org), Ben Dixon (ds)。ファンキー・ジャズに必須のアイテムである「ギターやらオルガンやら」がしっかり入っている、典型的な「ファンキー・ジャズ」盤。

アルト・サックスのレジェンド、1962年当時でベテランの域に達しつつあった「ルー・ドナルドソン」。当時36歳。若手の頃はチャーリー・パーカーから大きな影響を受けた「ビ・バップ」なアルト・サックスがメイン。これがまあ、1960年代に入って、ファンキー・ジャズが流行りだしたら大変身。ビ・バップなアルトが、ファンキーなアルトに大変身。それでも、このルーさんのファンキー・アルトが実に良い感じだから「許せる」。
 

The_natural_soul

 
バックのオルガンが切れ味良く思いっきりファンキー。ジョン・パットンである。当時、ほぼ新人だったというから驚き。これだけ、こってこての骨太なファンキー・オルガンを弾き倒すなんて、新人とは思えない。加えて切れ味が良い。ズバッと切れ込むようにアドリブに差し掛かる瞬間が実に良い。そうそう、トミタレ(トミー・タレンタイン)のトランペットもファンクネスだだ漏れ。

そして、この盤で大活躍なのが、ギターのグラント・グリーン。パッキパキのコッテコテな、シングル・トーンでソロにバッキングに大活躍。ファンキー・ジャズはこってこてファンキーな音の塊なので、ちょっともたれる感じになる時があるのだが、そんなところに切れ込むグラント・グリーンのシングル・トーンは爽快。

ジャケットもブルーノート・レーベルらしからぬ、俗っぽさ満載の「ふぁんき〜」なジャケット。でも、これが良い。タイポグラフィーもばっちり決まって、なんだか、こってこてなファンクネスが滴り落ちるような、そんなファンキーなジャズが聴こえてきそうなジャケットもまた良し。ファンキー・ジャズって楽しいなあ。 

 
 

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2017年11月10日 (金曜日)

これぞ、ファンキー・ジャズな盤

ファンキー・ジャズは、1950年代終盤から1960年代中盤にかけて流行ったジャズの演奏トレンドのひとつで、ハードバップのサブカテゴリー、若しくは後継のトレンドとされる。演奏の基本はメインストリーム・ジャズ。電気楽器はエレクトリック・ピアノ、若しくはオルガンのみ。ゴスペル的な要素が大幅に取り入れられ、これがファンクネスを強調する。

そんなファンキー・ジャズの代表盤の一枚が、Cannonball Adderley『Mercy, Mercy, Mercy(Live at 'the Club')』(写真左)。1966年10月、ロスのキャピトルでのスタジオ・ライブの音源。Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Joe Zawinul (ac-p, el-p), Victor Gaskin (b), Roy McCurdy (ds)。アダレイ兄弟がフロントに座ったクインテット構成。

後に、Weather Reportを結成するジョー・ザヴィヌルがキーボード担当と音楽監督を兼任している。このザヴィヌルの存在が「キモ」で、このザヴィヌルの書いた曲がすべからく「こってこてのファンキー」。その代表作がタイトル曲の「Mercy, Mercy, Mercy」。もう、これでもか〜、という位の「オーバー・ファンク」な演奏。
 

Mercy_mercy_mercy

 
この「Mercy, Mercy, Mercy」の存在が、音が、このアルバムの雰囲気を決定付けている。教会の賛美歌の様な響き、ゴスペルのようなフレーズの「畳みかけるような繰り返し」。そこに、スタジオ・ライブならではの、タイミングの良い観客の掛け声と口笛。徐々に高揚していく繰り返しフレーズに、どんどん高まっていくファンクネス。

この徐々に高揚していくリフの繰り返しがファンキー・ジャズの「ミソ」で、この繰り返すリフがブルージーなコードであれば、その時点で「ファンクネス抜群」ってな感じになる。ビートはロックなビートの「エイト・ビート」。これがファンキー・ジャズ特有の粘りを伴って、まるで「うねり」のように耳に迫ってくる。迫力も満点である。

他の人達から「ファンキー・ジャズ」ってどんな音なのか、と問われた時、取り出すアルバムの一枚がこの『Mercy, Mercy, Mercy』。ファンキー・ジャズって、「純ジャズが全て」という様なシリアスなジャズ者の方々からすると、あまり評価の良くないジャンルですが、聴いていてノリが良く、聴いていて楽しいので、僕にとっては結構お気に入りです。音が楽しい、だから「音楽」。お後がよろしいようで(笑)。

 
 

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2017年11月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズには、一流ジャズメン達がリーダーになって、気合いを入れて創作するアルバムもあるが、気心知れたジャズメン達が、ちょっと集まって、ジャムセッション風に録音して制作するアルバムもある。そして、意外に、この気心知れたジャズメン達がちょっと集まって録音したアルバムが、実に滋味に富んだ、実に心地良いモダン・ジャズなアルバムになっていたりするから面白い。

例えば、Paul Desmond『First Place Again』(写真)。1959年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。ピアノの代わりにギターが入ったカルテット構成。この構成とこのパーソネルを見るだけで、この盤に詰まっている音が期待出来る。

ポール・デスモンドは、デイブ・ブルーベックのカルテットに参加して人気のアルト奏者。そこに、ジャズ・ギターの名手ジム・ホールが加わり、ベースとドラムは、モダン・ジャズ・カルテットから、パーシー・ヒースとコニー・ケイが参加。いや〜、当時、人気の一流ジャズメンばかり、しかもバリバリの中堅。粋で渋い、聴くからにジャズらしい音を出す4人である。
 

First_place_again

 
選曲も渋くて、スタンダード曲かトラディショナル曲で占められる(CD再発の時にデスモンド作が入るがオリジナルLPには無い)。冒頭のコール・ポーター作の「I Get a Kick Out of You」や、ジョン・ルイス作の「Two Degrees East, Three Degrees West(2度東3度西)」など、聴いていて惚れ惚れする。典型的なモダン・ジャズ、典型的なハードバップである。

ここまで来ると、もう理屈やないなあ、と思ってしまう。優秀な一流ジャズメン達が、ちょっと集まって録音すると、きっと適度にリラックスした演奏になるんだろう、本当に和やかで優れた内容である。聴く側も適度にリラックスして、微笑みを湛えながら、ちょっと足でリズムを取りながら、首は左右に微かに触れてスイングする。そんな雰囲気の演奏が実に心地良い。

ポール・デスモンドのアルトが興味深い。ブルーベック・カルテットの時には、丸くて和やかで温和なアルトを吹いているのだが、ブルーベック・カルテットを離れて、一人で他流試合に参加した時には、結構、力強いアルトを吹く。どちらが彼の本質なのか、聴いていてとても興味深い。最初から最後まで、心地良いモダン・ジャズがてんこ盛り。隠れ好盤です。

 
 

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2017年10月26日 (木曜日)

80年代の「ブラジルの渡辺貞夫」

ナベサダさん(渡辺貞夫)には、ビ・バップの顔、フュージョン&スムースの顔、そして、ブラジルの顔がある。日本人ジャズメンとして、いち早く、ボサノバ&サンバの「ブラジル音楽」に着目し、早くも、1966年12月には『JAZZ & BOSSA』を吹き込んで、日本中にボサノバブームを巻き起こした。

そんなナベサダさんが、1980年代に残した「ブラジルの顔」の面での好盤がある。Sadao Watanabe『ELIS』(写真左)。988年の作品。1960年代後半、音楽に文化に魅せられ続けたブラジルで実現した20年振りの念願のレコーディング。歌姫、エリス・レジーナに捧げたアルバム。米のラジオ&レコード誌ジャズ・チャート4週連続1位を獲得した好盤である。

ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), セザール・カマルゴ・マリアーノ (key), エイトール・テイシェイラ・ペレイラ (g), ニコン・アスンサゥン (b), パウリーニョ・プラーガ (ds), パペーチ (perc), そして、ゲスト参加のトッキーニョ (g, vo)。う〜ん、トッキーニョ以外、知らない名前ばかりだ。しかし、この盤を聴けば判るが、凄く上手い。ブラジルのミュージシャンのレベルの高さに驚く。
 

Watanabe_sadao_elis

 
ブラジルの歌姫「エリス・レジーナ」の追悼盤。この『ELIS』の魅力は、ほのぼのとした情の深い音。優しく愛情たっぷりな柔和な音。聴いていてなんだか、心から「ほっこり」としてしまう、そんな素晴らしい感覚が満載のフュージョン・ジャズ盤。バックのリズム・セクションが素晴らしく優秀なので、ナベサダさんは安心しきって、芯のある力感溢れる、とびきり優しいフレーズを吹き上げる。

しかし、ブラジルって凄いなあ。改めて「音楽王国」であることを再認識。なに、このハイレベルのバッキング。さすが、ボサノバ&サンバの原点。セザールのアレンジも実に良好。なるほど、米のラジオ&レコード誌ジャズ・チャート4週連続1位も納得の内容である。収録された全ての演奏の内容が良い。甲乙付けがたい演奏が満載。

このナベサダさんの「ブラジルの顔」、とても素敵である。ボサノバ&サンバな曲については、とってもダンサフル。芯のある力感溢れる、とびきり優しいフレーズと相まって、実にメリハリのある、飽きの来ない、充実の内容になっている。そして、1980年代のナベサダさんのアルバムは、どれも「デジタル臭く無い」。アナログっぽくて柔軟な音はもっと評価されても良い。好盤です。

 
 

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2017年10月25日 (水曜日)

硬派で熱いワシントン・ジュニア

Grover Washington Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア)と言えば、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの代表ジャズメンの一人。1980年の『Winelight』がその代表盤。シングルカットされた「Just the Two of Us(クリスタルの恋人たち)」は大ヒットした。

しかし、ワシントン・ジュニアは、デビュー当時からずっと「ソフト&メロウ」なアルト・サックスを吹いていた訳では無い。ワシントン・ジュニアは意外と多作の人で、このソフト&メロウの代名詞的アルバム『Winelight』までに、先行して10作のリーダー盤がある。この頃のワシントン・ジュニアって、結構、ソウルフルでエモーショナルなアルトを吹いていたのだ。

それがよく判るライブ盤が、Grover Washington jr.『Live At the Bijou』(写真)。1977年5月、ペンシルベニア州フィラデルフィアの「Bijou Cafe」でのライブ録音。パーソネルを見渡しても、当時のフュージョン・ジャズにおける有名なジャズメンの名は見当たらない。つまり、ワシントン・ジュニアは、クロスオーバーからフュージョンへの主要ラインから、少し「外れていた」と思える。
 

Live_at_the_bijou_cafe

 
このライブ盤『Live At the Bijou』を聴けば、それが良く判る。出てくる音は、クロスオーバーでも無ければフュージョンでも無い。演奏は電気楽器が交じったクロスオーバー風だが、ワシントン・ジュニアのサックスは、バラードチックな曲では限りなくソウルフルに、アップテンポの曲では限りなくフリーでエモーショナルに吹き上げる。意外に硬派なメインストリームなジャズの響き。

このライブ盤には、ソフト&メロウなワシントン・ジュニアはいない。ソウルフルでエモーショナルなワシントン・ジュニアがいる。実に硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズが展開されている。このライブ盤でのワシントン・ジュニアのサックスは芯の入った重心の低い、男気溢れるテナーを吹き上げる。なんと、バリサクやテナーまでも吹いている。力感溢れるワシントン・ジュニアのサックスは熱い。

このライブ盤のプロデューサーはクリード・テイラー。ワシントン・ジュニアの本質である「硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズ」な個性をこのライブ盤で見事に浮き上がらせている。『Winelight』の印象しか無いフュージョン者の方々には、この『Live At the Bijou』のテナー奏者が「グローヴァー・ワシントン・ジュニア」であることを見抜けないだろう。しかし、この盤は明らかに、ワシントン・ジュニアの好盤の一枚である。

 
 

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2017年10月23日 (月曜日)

80年代純ジャズのナベサダさん

渡辺貞夫(愛称:ナベサダさん)のリーダー作を聴き直している。今、1980年代真っ只中。フュージョン・ジャズに転身し、『カリフォルニア・シャワー』や『モーニング・アイランド』などのヒット作を連発。テレビのコマーシャルなどにも顔を出して、ジャズの枠を超えて、日本ポップスの人気者となったナベサダさん。

その勢いそのままに米国フュージョン界にチャレンジし、最高の成果を残したのが、この1980年代。ナベサダさんのジャズが本国に認められた時代でした。この時代のナベサダさんのアルバムはどれもが素晴らしい出来のものばかり。加えて、録音方式がアナログからデジタルに移行した時期で、皆、結構、このデジタル録音に苦戦したのですが、ナベサダさんのアルバムには、この時代独特のデジタル臭さがほとんどありません。これがまた「良い」。

1980年代は「フュージョン・ジャズのナベサダ」という印象が強かったのですが、時折、自らの音の原点を確かめる様に、メインストリームなジャズに立ち返っています。そんな瞬間を捉えたアルバムが、渡辺貞夫『Parker's Mood(Live at BRAVAS CLUB '85』(写真左)と『Tokyo Dating』(写真右)の2枚。

『Parker's Mood』はタイトル通り「ブラバス・クラブ '85」でのスタンダード・ジャズ・セッションによる興奮のワンナイト・ライブの録音。演奏の基本は「ビ・バップ」。ビ・バップな雰囲気の純ジャズ・パフォーマンスを、当時のジャズ界の先端の演奏スタイルを交えて表現している。ライブ盤だけに、演奏全体の雰囲気は「アグレッシブ」。
 

Parkers_mood_tokyo_dating

 
『Tokyo Dating』は、前出の『Parker's Mood』と同パーソネルによる、メインストリームなジャズのスタジオ録音盤。こちらも、演奏の基本は「ビ・バップ」。昔からあるナベさんの曲をうまくアレンジして、当時のジャズ界の先端の演奏スタイルをメインにした展開となっていて、結構、聴き応えのある内容になっている。

ちなみに、どちらもアルバムも、パーソネルは、Sadao Watanabe (as), James Williams (p), Charnett Moffett (b), Jeff Watts (ds)。当時、メインストリーム・ジャズ志向の若手ジャズメンから、将来有望株とおぼしき者をチョイスしている。演奏を聴くと、さすが若さ故、弾き過ぎ、叩き過ぎな面もあるが、スカッとするくらいに弾きまくっている。細かいことは抜きにして、躍動感溢れ、抑揚を上手くコントロールする様は、なかなかに優秀な若手リズム・セクションである。

この爽快な若手リズム・セクションをバックに、ナベサダさんは、個性溢れる音色でアルト・サックスを吹きまくる。若手リズム・セクションをグイグイ引っ張るように、吹きまくる様は迫力満点。ナベサダさんのアルトに鼓舞されて、さらに頑張る若手リズム・セクションの健闘が光る。清々しいセッションである。

このメインストリームなジャズの2枚のアルバム、1985年の録音なんだが、デジタル臭さが無くて、とてもジャズっぽい音が僕は好きだ。1980年代のジャズ盤の録音としては、あまり多く無い、安心して聴ける盤であり、1980年代の「ビ・バップ」な演奏の雰囲気はなかなかにお洒落で小粋。この2枚のアルバム、1980年代の純ジャズのナベサダさんを捉えた盤として貴重なものです。

 
 

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2017年9月26日 (火曜日)

チャーリー・マリアーノの個性

ジャズでは、初リーダー作がそのジャズメンの個性を如実に表す、と言われる。逆に、初リーダー作でそのジャズメンの個性が良く判らないってことは余り無い、というか記憶に無い。

ジャズでは初リーダー作が一番面白い。飾ることも虚勢を張ることも無い。そのローダーのジャズメンの個性がそのままに表れる。初リーダー作ではないんだが、本人の名前を冠したアルバムって、初リーダー作に近い内容があると思っている。

なんせ、アルバム・タイトルがズバリ、リーダーである自分の名前そのままなんだからね。表札というか名刺というか、この盤って俺の音だよね、という感じが強くする。

『Charlie Mariano』(写真左)というアルバムがある。タイトルはリーダーの名前そのまま。1956年リリースのベツレヘム盤。ちなみにパーソネルは、Charlie Mariano (as), John Williams (p), Max Bennett (b), Mel Lewis (ds)。 アルトサックス奏者、チャーリー・マリアーノのワンホーンカルテットである。

リーダーのチャーリー・マリアーノは、アルトサックス奏者。米国マサチューセッツ州ボストンの出身だが、アルトの音は「西海岸ジャズ」の雰囲気を宿している。マリアーノのアルトは良い意味で「無臭」。クセの無い、伸びの良いブリリアントなアルトサックス。
 

Charlie_mariano_bethlehem

 
ほんと、スーッと真っ直ぐな伸びの良い爽やか音。これがマリアーノのアルトサックスの個性である。アドリブ・フレーズには、アルトサックスの神様、チャーリー・パーカーっぽいフレーズが見え隠れし、マリアーノは白人ながら、パーカーのフレーズのクセ、パターンを良く身につけている。

しかし、そのパーカーっぽいフレーズも爽やかでクセの無い、伸びの良いアルトサックスで吹き上げる。爽やかなパーカー。ちょっと引っ掛かりに欠け、印象に残りにくく、少し損をしている。

ルディー・ヴァン・ゲルダーのスタジオで録音されており、音が良い。マリアーノのアルトサックスとは如何なるものか、という問いには、このアルバムで応えることにしている。マリアーノの名前そのままのアルバムタイトル『Charlie Mariano』。

クセの無いところが玉に瑕だったのか、不思議と活躍が限られ、リーダー作も少なく、今ひとつマイナーな存在。それでも、このリーダー作では、マリアーノのアルトサックスが躍動している。

 
 

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