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2015年6月 9日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・44

春から夏へ。陽気が良くなるにつれ、ハードで硬派なジャズが恋しくなる。この傾向って僕だけかなあ。ハードで硬派なジャズ、そして、アブストラクトなジャズとなると「エリック・ドルフィー」が聴きたくなる。

エリック・ドルフィーは大好きなジャズメンの一人。なぜかジャズ者新人駆け出しの頃からのお気に入り。あの好意的に捻れた、突拍子も無いフレーズに溢れたドルフィーのアルトとフルートは、何処から聴いても堪らない魅力に溢れている。少なくとも、僕にとっては・・・。

さて、今日はそのエリック・ドルフィーのリーダー作では無いのだが、ドルフィーの参加した異色作をご紹介したい。そのアルバムとは、Ken McIntyre with Eric Dolphy『Looking Ahead』(写真左)。1960年6月の録音。

ちなみにパーソネルは、Ken McIntyre (as, fl), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Walter Bishop Jr. (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。前衛的なフロントの二人に、旧来からのリズム・セクションという不思議な組合せ。これでは「組合せの妙」は望めないのでは、と危惧する。

エリック・ドルフィーについては、その強すぎる個性がゆえに、彼のフォロワーについては現れ出でることは無かった。まあ、いったいどうやってイメージし、どうやって出すんだ、と深く考え込んでしまうような、好意的に捻れた、突拍子も無いフレーズである。この突拍子も無い個性をフォローしろ、っていうほうが無理難題というもんだ。
 

Mcintyre_looking_ahead

 
しかし、このアルバムを聴くと、このアルバムのリーダーであるケン・マッキンタイア(Ken McIntyre)はドルフィーのフォロワーだったのでは無いか、と思ってしまう。それほどまでに、マッキンタイアのアルトとフルートはドルフィーをよくフォローしている。

このアルバムでの、マッキンタイアとドルフィーのユニゾン&ハーモニーを聴いていると、ほとんど兄弟の様な似通いようである。良く聴くと、ドルフィーよりもマッキンタイアの方が単純で明るい捻れ方をしている。フレーズの跳ね方もマッキンタイアの方が常識的ではある。それでも、マッキンタイアのブロウは他のアルト奏者とは一線を画する。

ドルフィーを判り易く単純にして、マイナーに捻れるフレーズをメジャーに捻り直した様なフレーズがこのアルバムのマッキンタイアの特徴である。ドルフィーも、このマッキンタイアの個性を十分に理解して、マッキンタイアの個性を優先している。この辺がドルフィーの素晴らしいところ。アルバム全体を無意識にプロデュースしている。

ドルフィー者にとって、このアルバムは実に興味深い内容です。ドルフィーにはフォロワーがいないと思っていたところに、このマッキンタイアを聴いて、なんや、ここにフォロワーがいたやないか、と思わずビックリしてしまうような、とても異色なアルバムです。

まず、ケン・マッキンタイアという名前が珍しいのですが、ドルフィーの参加するアルバムとして興味本位で聴いて、その内容に「あらビックリ」(笑)。思わず心から「こんなアルバムあったんや」と叫びたくなるような、個性溢れるアルバムです。

 
 

震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2015年5月11日 (月曜日)

「正装」のエリック・ドルフィー

いつも感心することなんだが、ブルーノートというレーベルは素晴らしい。1950年代から1960年代にかけて、これはというジャズメンについて、必ず1枚はリーダー作をリリースしている。

しかも、総帥のアルフレッド・ライオンは、駆け出しの時代のジャズメンの演奏を自らの耳で演奏を聴き、しっかりとその才能に着目して、リーダー作のレコーディングを勧めているのだ。

このアプローチに感じ入ることが無いジャズメンなんていない。皆、感じ入って、才能のある若手が気合いを入れて、レコーデディングに赴くのだ。しかも、ブルーノートはリハーサルにまでギャラを払う。しかも、満足いくまでリハーサルをすることができる。その内容は悪かろう筈が無い。

エリック・ドルフィーについても、唯一枚、ブルーノートにリーダー作を残している。これがまだ素晴らしい内容なのだ。そのアルバムとは、Eric Dolphy『Out to Lunch!』(写真左)。1964年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (b-cl, fl, as), Freddie Hubbard (tp), Bobby Hutcherson (vib), Richard Davis (b), Tony Williams (ds)。皆、当時、尖ったジャズメンばかりである。

このブルーノートのエリック・ドルフィーが実に良いのだ。さすがにブルーノートでのリーダー作である。リハーサルを十分に積んだことが容易に想像できる、非常に整った内容である。まず、素晴らしいのがサイドメンの面々。ドルフィーの個性的なフレーズの展開をリハーサル中にしっかりと読んで、本番で、ドルフィーに追従し、ドルフィーに比肩する自由度の高いアドリブ・フレーズを連発する。

とりわけ、ハッチャーソンのヴァイブが素晴らしい。ハッチャーソンのヴァイブは意外とアバンギャルドである。ドルフィーの個性的な展開の癖を良く読んで、ドルフィーのフレーズに追従するヴァイブを展開する。打楽器に近い旋律楽器が特徴である、ヴァイヴの面目躍如である。運指がベースの楽器には無い、意外な音飛びにハッとする。
 

Out_to_lunch

 
ベースのリチャード・デイヴィスも、ドルフィーのブクブク・フレーズに追従するような、おどろおどろしいベースが実に良い。ドルフィーの個性を良く掴んだベース・ラインにワクワクする。

トニー・ウィリアムスのドラムは言うまでも無い。ドルフィーの個性的なフレーズに絶対に合う。このトニーのドラミングが凄い。ドルフィーの個性を十分に読み取って、ドルフィーのフレーズに呼応するようなドラミングを繰り広げる。これって凄い。

惜しいのは、ハバードのトランペット。素晴らしいテクニックの持ち主なので、ドルフィーの個性を読み取って、どんなフレーズを展開するかと思いきや、意外と普通のフレーズを展開していて平凡。ドルフィーのフレーズをこんな感じかなあ、って適当に見切って、吹きやすいフレーズをパラパラって感じで、どうにも感心できない。

ドルフィーは絶好調。さすがブルーノートでの録音である。良い意味で、端正な佇まいのドルフィーのフレーズが聴ける。各収録曲にドルフィーの個性的なフレーズが散りばめられており、ドルフィーの個性のショーケースの様なアルバムに仕上がっていて立派だ。ドルフィーの個性が整った形で聴き込める、アーティスティックな好盤である。

このブルーノートの『Out to Lunch!』は正装のドルフィーが聴ける。しかも、このアルバムのジャケットが秀逸。ドルフィーの音世界の特徴を良く捉えた、秀逸なジャケット・デザインである。ジャケットから内容まで、実に良く出来た「ブルーノートのドルフィー」である。

 
 

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2015年5月 8日 (金曜日)

ドルフィーの初リーダー作です

ジャズ・ミュージシャンの命は「個性」というが、この人ほど、その言葉を実感出来るミュージシャンはいない。そのミュージシャンとは、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)。

エリック・ドルフィーはアルト・サックス奏者。この人の吹くフレーズは、一聴すればすぐに「これは変だ」と感じるはずだ。この「これは変だ」は、ジャズ者初心者の方々のみならず、音楽を趣味で聴く人ならば感じるはず。それだけ、このドルフィーの吹くアルトは「並外れた」個性の塊である。

彼の吹き綴るフレーズは「でたらめ」では無い。どこか調子外れで、変に音程を上げ下げしたり、変なドロドロした旋律をなぞったり、クラシック音楽の耳で聴くと、これは「でたらめ」に聴こえても不思議では無い。
 
しかし、ちゃんと法則や決め事があって、その法則や決め事に従って、調子を外したり、音程を上げ下げしたり、ドロドロとして旋律を展開しているのだ。

伝統的な技法をきちんと押さえつつ、どこまで自由にアドリブ・フレーズを展開出来るのか。ドルフィーは、その一点にかけていたジャズメンである。
 
そういう点を抑えると、エリック・ドルフィーはフリー・ジャズの範疇に入るジャズメンでは無い。あくまで、伝統的なジャズを基本にした「個性」である。

そんなドルフィーを実感できるアルバムは、やはり初リーダー作に遡るのが基本かと思う。ドルフィーの初リーダー作は、Eric Dolphy『Outward Bound』(写真左)。このアルバムを聴けば、いかにドルフィーの個性が、他の追従を許さない、途方も無く尖った個性であることが良く判る。
 

Outward_bound

 
1960年4月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (fl, b-cl, as), Freddie Hubbard (tp), Jaki Byard (p), George Tucker (b), Roy Haynes (ds)。なるほど、ドルフィーの尖った個性にしっかりと追従出来る、ハイ・テクニックの持ち主で、新しい感覚のアドリブが展開出来る、当時の若手から中堅のジャズメンを厳選している。そういうところも、ドルフィーらしいところである。

冒頭の「G.W.」を聴けば、ドルフィーの吹くフレーズが、いかに個性的なのかが良く判る。しかし、その個性がとりわけ実感できるのが、ジャズ・スタンダード曲を素材にした演奏だろう。
 
例えば、2曲目の「On Green Dolphin Street」などがその好例。もともと、半音を効果的に配した、ちょっとエキゾチックな雰囲気が特徴のこのスタンダード曲が、ドルフィーの手にかかると、更にその曲の個性が増幅され、ドルフィーの個性が浮かび上がる。素材曲の個性と演奏家の個性との相乗効果である。

5曲目の「Glad To Be Unhappy」と、6曲目の「Miss Toni」などのスタンダード曲でも、ドルフィーの個性は突出する。他のアルト・サックス奏者が吹くスタンダードとドルフィーが吹くスタンダード、解釈も違えば、吹き上げるフレーズも全く異なる。というか、ドルフィーの「個性」だけが如何に突出しているものであるかが良く理解出来る。

このアルバムがリリースされた当時、この突出した個性が如何に突出していたものであったかは、このアルバムのジャケット・デザインを見れば良く判る。このジャケット・デザインは秀逸である。ドルフィーの他の追従を許さない、途方も無く尖った個性のイメージを上手く表現している。

 
 

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2015年4月24日 (金曜日)

『Memorial Album』は外せない

Eric Dorphy & Booker Littleの歴史的なクインテットが、ファイブスポットで残した記録としては『At the Five Spot』のVol.1とVol.2が有名ですが、もう一枚、このアルバムもなかなかの内容です。

そのアルバムとは、Eric Dorphy『Memorial Album : Recorded Live At The Five Spot』(写真左)。伝説的なファイブ・スポットのライブ盤の三作目。Vol.3 というタイトルでは無いところが面白い。このライブ盤がリリースされたのは、主役のドルフィーが亡くなった後だったので、この『Memorial Album』というタイトル。

パーソネルは、当然、Vol.1 & Vol.2 と同じく、Eric Dolphy (fl, bc, as)、Booker Little (tp), Mal Waldron (p), Richard Davis (b), Eddie Blackwell(ds)というのがメンバーで、1961年7月16日、ニューヨークのライブスポット「Five Spot」の録音。ドルフィーとリトルは、相変わらず、アブストラクトでアバンギャルド。限りなくフリーに近い、自由度の高いブロウを繰り広げている。

そして、このアルバムで目立っているのが、エド・ブラックウェル(Eddie Blackwell)のドラム。バッシャンバッシャンと浮いたような、腰の高いドラミングが、アブストラクトでアバンギャルドなドルフィーとリトルを煽りまくる。珍しく、長編のドラム・ソロも良い感じだ。
 

Eric_dolphy_memorial_album

 
収録曲は、LP時代のA面、収録時間16分30秒の「Number Eight」と、LP時代のB面、収録時間14分39秒の「Booker's Waltz」の長編2曲。
 
どちらも甲乙付けがたい内容。スリル満点の疾走感。どこへどう展開するか判らない、限りなくフリーで自由度の高いアドリブ・フレーズ。この自由度の高い演奏は何度聴いても良い。

『At the Five Spot』のVol.1とVol.2と、加えて『Memorial Album』で、この1961年7月16日のニューヨークのライブスポット「Five Spot」のEric Dorphy & Booker Littleの歴史的なクインテットを堪能できる。Vol.1だけでは物足りない。Vol.2を加えても物足らない。

この『Memorial Album』と併せて、やっとこのEric Dorphy & Booker Littleの歴史的なクインテットの全貌、クインテットの創造力・構築力・自由度を確認することが出来る。う〜ん、やっぱりこの3枚があって、Eric Dorphy & Booker Littleの歴史的なクインテットがある。長年、愛聴の3枚です。

 
 

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2015年4月22日 (水曜日)

Vol.1よりアバンギャルド度が高い

当時、このドルフィー=リトルの演奏は、ちょっと前衛的が過ぎる、と思われていたんだろう。このライブ盤を聴いて思う。昨日、ご紹介した前作より、かなりアグレッシブでプログレッシブな内容に感じ入る。

そのライブ盤とは、Eric Dolphy『At The Five Spot, Vol. 2』(写真左)。録音日はVol.1と同様、1961年7月16日。ニューヨークのライブスポット「ファイブ・スポット」でのライブ録音。ちなみにパーソネルも同様。Eric Dolphy (b-cl, fl), Booker Little (tp), Mal Waldron (p), Richard Davis (b), Ed Blackwell (ds)。

このVol.2でのドルフィーは、バスクラとフルートのみで吹きまくっている。アバンギャルド度では圧倒的にVol.1を上回る。そして、バスクラの演奏の可能性という点では、恐らく、このドルフィーのバスクラ演奏が最高水準であろうと思われる。それほどまで、ドルフィーはバスクラという楽器を理解している。

フルートについては、アブストラクトでエモーショナルなフルートという範疇で、このドルフィーのフルートは最高水準を誇る。バンバンにアバンギャルドに吹きまくっているにも拘わらず、音は割れず、音は破綻せずに、流麗にアドリブ・フレーズを聴かせてくれる。素晴らしいテクニック。捻れまくる運指。

そして、このライブ盤でのブッカー・リトルが、これまた良い。この盤でのリトルを聴くと、限りなくフリーに近い、自由度の高いブロウを繰り広げてはいるが、マイルスのモードをベースとした自由度の高いブロウとは一線を画していることが良く判る。あくまで、リトルの自由度は、ドルフィーの様にトランペットを吹く、という、ドルフィーをベースとした自由度の高いブロウなのだ。
 

At_the_five_spot_vol2

 
このVol.2でのリトルは素晴らしい。Vol.1では、当然ではあるが、リーダーのドルフィーが目立ちに目立っている。が、Vol.2になると、ドルフィーのバスクラ、フルートと同程度に、リトルのトランペットが目立っている。リトルのトランペットを愛でる上で、申し分の無いライブ盤である。

パルシブなウォルドロンのピアノも、ユニークな自由度を誇る。他のピアノには絶対に無い自由度の高い弾き回し。ウォルドロンのピアノも、やはり、ドルフィーの様にピアノを弾く、という、ドルフィーをベースとした自由度の高い弾き回しなのだ。

ライブ演奏の雰囲気は、限りなくフリーに近い、自由度の高い演奏ではあるが、演奏のベースは「純ジャズなバップ」。フリージャズトは解釈、アプローチ共に全く異なる。この雰囲気は、モーダルなアコ・マイルス、限りなくフリーだが伝統的な香りのするオーネット・コールマンの雰囲気に近い。

良いライブ盤です。ジャケットもVol.1とのシリーズ感が溢れていてグッド。収録曲は「Aggression」と「Like Someone in Love」の長尺物の2曲のみですが、長時間のライブ演奏にも拘わらず、全く飽きません。

但し、このアルバム、内容的には、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズがてんこ盛りなので、決して初心者向きではありません。取り扱い注意なライブ盤です。

 
 

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2015年4月21日 (火曜日)

ドルフィー=リトルが素晴らしい

ジャズはやはりライブが一番楽しいだろう。生演奏のハイレベルなジャズは、何時聴いても良いし、ズッと聴いていても飽きない。ただ、日本ではなかなか適当な場所にあるライブ・スポットが少ないので、ジャズの生演奏に触れる機会はそう多くは無い。

ライブスポットの生演奏が叶わないのであれば、次はライブ音源をアルバムにしたライブ盤だろう。ジャズのライブ盤は楽しいものが多い。何故かジャズのライブ盤については、録音の優秀なものが多い。恐らく、録音技術者たちにとって、ジャズの録音にはファイトが湧くんだろう。それだけジャズのライブ録音は技術と経験が必要なのだ。

そんなジャズのライブ盤の中で、特に好きなライブ盤が、 Eric Dolphy『At The Five Spot Vol.1』(写真左)。1961年7月11日、ニューヨークの有名ライブスポット「ファイブ・スポット」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Booker Little (tp), Mal Waldron (p), Richard Davis (b), Ed Blackwell (ds)。

このライブ盤には、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズの成功例が詰まっている。マイルスは、モードという調性を前提に、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズを創り上げた。伝統のジャズを踏襲しつつ、アートとして時代の音楽の最先端にまで昇華したジャズ。

この『At The Five Spot Vol.1』でのドルフィー達は、この調性を超えて、ある一定の決め事の下で、自由に吹きまくり、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズを展開しつつ、伝統のジャズの枠組みを維持するという、相当に高テクニックでクールなジャズを現出している。
 

Eric_dolphy_at_five_spot

 
今の耳で聴くと、マイルスのモードを活用した、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズと、オーネット・コールマンの一定の決め事の中で、自由に吹きまくるフリージャズを足して2で割った様な、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズ。自由度は高く、フレーズは異次元の運指だが、伝統のジャズの枠組みからは外れないという、実にクールなジャズ演奏である。

とにかく、ドルフィーが凄い。異質と言っても良い。どうやって思いつくのか判らない、思いっきり捻れた、グネグネなアドリブ・フレーズ。これをアルトで吹きまくるのだから爽快。バスクラのおどろおどろしい雰囲気の低音の響きと自由度の高い節回しも、すっごく印象的。この伝統のジャズの枠組みを保持しつつのフリーなブロウはドルフィーにしか吹けない。

そして、この宇宙人的なフレーズを連発するドルフィーに相対するブッカー・リトルのトランペットも秀逸。ドルフィーの思いっきり捻れた、グネグネなアドリブ・フレーズに対抗するように吹きまくる、意外と端正なリトルのトランペット。この適度に崩れつながらの端正さがドルフィーとの相性抜群。早逝が惜しまれる。

バックのリズム・セクション、マルのピアノ、デイヴィスのベース、エドのドラムも凄い。ドルフィーとリトルに煽られて(逆じゃ無いのか)、どんどん捻れて、限りなくフリーに近い、自由度の高いリズム・セクションに変貌していく。面白いのは、パルシブなピアノのマルが、捻れながらメロディアスに、限りなくフリーに近い、自由の高いフレーズを連発してところ。

この『At The Five Spot Vol.1』の持つライブ感・臨場感は素晴らしいものがある。ジャズ者には必須のアイテム。但し、このアルバム、内容的には、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズがてんこ盛りなので、決して初心者向きでは無い。初心者に勧めて良いとは思えないのに、初心者向けジャズ盤紹介本でよく取り上げられるのが不思議である。

 
 

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2015年3月24日 (火曜日)

ブッカー・リトルとの初邂逅

昨日、早逝の天才トランペッター、ブッカー・リトルについて語った訳だが、リトルのリーダー作も良いが、早逝の限りなくフリーで個性的なアルト奏者、エリック・ドルフィーとのコラボの方が僕には気になる。ということで、今日はこの盤をご紹介。

LP時代には「盟友ブッカー・リトルとの初邂逅」なんて文字が帯に踊っていたりした盤である。Eric Dolphy『Far Cry』(写真左)。1960年12月21日の録音。この盤が正真正銘、エリック・ドルフィーとブッカー・リトルとの出会いである。

ちなみにパーソネルは、Booker Little (tp), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Jaki Byard (p), Ron Carter (b), Roy Haynes (ds)。今の目から見れば、素晴らしい人選である。限りなく最先端でフリーな演奏をいともたやすく実現してしまう優れもの達の面々でパーソネルが構成されている。

冒頭の「Ode To Charlie Parker」から、エリック・ドルフィーの摩訶不思議な、捻れた様にスクエアにスイングするフルートが全開。そんなエリック・ドルフィーのフルートに絡むように、モーダルに吹き進めていくブッカー・リトルのトラペット。決して、奇をてらったフレーズは無いのだが、ドルフィーのフルートに絡みつくリトルのトランペットは実に妖艶である。

2曲目の「Mrs. Parker of K.C.」のリトルのトランペットはオーソドックスに溌剌としていて、思わずハッと聴き惚れる。そんなリトルのトランペットが、ドルフィーの一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーを展開する。リトルのペットにドルフィーのアルト。相性抜群の二人である。
 

Far_cry

 
このドルフィーとリトルの双頭フロントは、自由度溢れるモーダルなフレーズを連発しながらも、決して小難しくない、逆に判り易いインプロビゼーションを展開する。このインプロビゼーションが絶品なのだ。

リトルのトランペットは正統派なもので、決して奇をてらったものでは無い。逆に、ドルフィーのアルトやバスクラは明らかに捻れた様にスクエアにスイングし、摩訶不思議なフレーズを繰り出す。そんな正反対の性質をした二人がコラボすると、相性バッチリ、一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーを繰り出し、限りなくフリーでモーダルな、尖った純ジャズを展開する。

このドルフィーの『Far Cry』は、そんなブッカー・リトルとエリック・ドルフィーの出会いのアルバムである。以降、この二人は双子の兄弟の様に共演を続け、共にセッションに参加する。その双子の兄弟の様な関係は、ブッカー・リトルが、1961年10月5日、ニューヨークで急逝するまで続くのだ。

そして、ドルフィーは、リトルが逝去した3年後、1964年6月29日にベルリンで客死する。リトルは享年23歳、ドルフィーは享年36歳。早逝の二人であった。

この二人が早逝すること無く、今の時代を生きていたとしたら、リトルは77歳、ドルフィーは87歳。ちょっと現役では厳しい年齢やなあ。でも、二人があと20〜30年ほど長生きだったら、恐らく、ジャズ界のトレンドは大きく変わっていただろう。そんな確信に満ちた「強い想い」を持たせてくれる、そんなリトルとドルフィーのコラボである。

 
 

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2014年11月12日 (水曜日)

Eric Dolphy in Europe, Vol.3

エリック・ドルフィーは音楽理論や読譜に強かったジャズメンで、例えば、ジョン・コルトレーンの『アフリカ/ブラス』のアレンジを担当したことでも、その実力のほどが窺い知れる。つまり、ドルフィーの演奏内容はでたらめでは無いということ。ドルフィーをフリー・ジャズとするのはあまりに単純過ぎる。

彼の吹き綴るフレーズは決して「でたらめ」では無い。どこか調子外れで、変に音程を上げ下げしたり、変なドロドロした旋律をなぞったり、クラシック音楽の耳で聴くと、これは「でたらめ」に聴こえても不思議では無い。

しかし、良く聴くと、フリーに自由に吹き回っている訳では無い。ちゃんと法則や決め事があって、その法則や決め事に従って、調子を外したり、音程を上げ下げしたり、ドロドロとして旋律を展開しているのだ。

伝統的な技法をきちんと押さえつつ、どこまで自由にアドリブ・フレーズを展開出来るのか。ドルフィーは、その一点にかけていたジャズメンである。そういう点を抑えると、エリック・ドルフィーはフリー・ジャズの範疇に入るジャズメンでは無い。

あくまで、伝統的なジャズを前提として、いかにマンネリに陥らず、自由にアドリブ・フレーズを展開するのか。それを死ぬまで追求したジャズメンであった。そういう面では、かのジャズの帝王、マイルス・デイヴィスと同じ志なのだが、どうもマイルスはドルフィーの演奏が気に入らなかった様だ。これまた不思議な感じがするのだが、どうなんだろう。

さて、そんなドルフィーのアルトを存分に体感出来るアルバムが『Eric Dolphy in Europe, Vol.3』(写真左)。一昨日から、Vol.1、Vol.2とご紹介してきたが、今回はそのラストのVol.3。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as, bcl), Bent Axen (p), Erik Moseholm (b), Jorn Elniff (ds)。Vol.1、Vol.2と同じく、1961年9月の録音になる。
 

Eric_dolphy_in_europe_3

 
このVol.3は、ドルフィーのアルトとバス・クラが聴ける。ドルフィーのアルトは如何なるアルトなのか。冒頭の「Woody'n You」を聴けば良く判る。様々なジャズメンが演奏する有名スタンダード曲の「Woody'n You」をドルフィーが演奏したらどうなるのか。

これはもう聴いていただくしか無いのだが、これはまあ、捻れること、外れること、舞い上がったり、ドロドロしたり。それでも、伝統のジャズの範疇にしっかりと留まって、その留まる中で最大限の自由を表現しようとするドルフィーはクールである。

ドルフィーのバス・クラを理解するには、この2曲目の「When Lights Are Low」が良い。この曲も様々なジャズメンが演奏する有名スタンダード曲。そんな有名スタンダード曲を、今でもジャズでは珍しいバス・クラで演奏するとどうなるのか。

これまた、バス・クラでも捻れること、外れること、舞い上がったり、ドロドロしたり。バス・クラの楽器の特質を良く理解している様で、変な音が出たり、耳障りな音が出たりしないところは、さすがドルフィーといったところか。

ラストの「In The Blues (take 1,2,3)」はご愛嬌。1曲扱いではあるが、実は同じ曲を3回繰り返し演奏している。途中で演奏を止めたりしている所などもそのまま収録している。3回の繰り返しの中で、テンポか変えたり、アプローチを変えたり、いろいろと試みてはいるんですが、これを楽しめるのは、ドルフィーのマニアくらいで、このラスト曲はちょっと蛇足かも。

エリック・ドルフィーを体感するには、どのアルバムが適当なのか。僕は『Eric Dolphy in Europe』シリーズを挙げる。vol.1からvol.3までの3枚で構成される『Eric Dolphy in Europe』シリーズ。このライブ音源が、エリック・ドルフィーとは如何なるジャズメンなのか、を教えてくれる。

 
 

震災から3年7ヶ月。決して忘れない。まだ3年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2014年11月11日 (火曜日)

Eric Dolphy in Europe, Vol.2

エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)は、早逝の天才アルト奏者。1928年6月生まれ、1964年6月に鬼籍に入っているので、享年36歳になる。ジャズ・ミュージシャンとしてはこれからという年齢である。まことに惜しい早逝の天才であった。それでも、ドルフィーはまずまずの数の音源を残してくれているので助かる。

そんなエリック・ドルフィーを体感するには、どのアルバムが適当なのか。僕は『Eric Dolphy in Europe』シリーズを挙げる。vol.1からvol.3までの3枚で構成される『Eric Dolphy in Europe』シリーズ。このライブ音源が、エリック・ドルフィーとは如何なるジャズメンなのか、を教えてくれる。

さて、今日は『Eric Dolphy in Europe, Vol.2』(写真左)。昨日のVol.1に続いて、1961年9月6日、コペンハーゲンでのライブ音源。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as,fl), Bent Axen (p), Erik Moseholm (b), Jorn Elniff (ds)。ベースは、Vol.2では、Erik Moseholm一人が務める。リズム・セクションは当時のデンマークを代表するジャズメン達。

このVol.2でも、アルトのドルフィーはまだ出てこない。冒頭「Don't Blame Me」「Don't Blame Me (take 2)」の2連発はフルートのドルフィー。Vol.1のフルートとはちょっとイメージが異なった、エモーショナルで少しフリーキーなアドリブが展開される。ここで、ドルフィーの持つ個性である、アブストラクトで捻くれたフレーズが顔を出す。が本格的では無い。
 

Eric_dolphy_in_europe_vol2

 
この冒頭の「Don't Blame Me」2連発を聴いて思うのは、ドルフィーは本当にフルートが上手いということ。これだけ、ピッチがばっちり合っていてストレートで端正な、エネルギッシュで疾走感溢れるジャズ・フルートはなかなか無い。それでも、ジャズ紹介本で、優れたフルート奏者としてドルフィーが紹介されることはほとんど無い。不思議なことだ。

そして、3曲目の「The Way You Look Tonight」から、いよいよ本職のアルトのドルフィーが炸裂する。この「The Way You Look Tonight」は親しみ易い旋律を持った楽曲なので、ドルフィーも挨拶代わりに意外と端正に吹いているのだが、4曲目の「Les (Miss Ann)」からラストの「Laura」にかけて、ドルフィー節が一気に炸裂する。

ドルフィーのアルトが縦横無尽に虚空の空間を駆け巡る。アドリブ・フレーズはピッチが少し外れての堂々の捻れ方。アブストラクトで複雑なフレーズを織り交ぜつつ、らせん状に捻り上げていくドルフィーのアルト。疾走感と飛翔感がない交ぜになった、幾何学的にフリーキーなインプロビゼーションが凄まじい迫力。

この『Eric Dolphy in Europe, Vol.2』では、ドルフィーはフルートも良いけど、やっぱりアルトがスゲーや、と心から感心するライブ盤である。スゲーのですが、このライブ盤でのドルフィーのアルトはまだまだ大人しい。ドルフィー者の僕にとっては物足りない。逆に、このVol.2のドルフィーのアルトが「どうもな〜」と感じる方は、他のドルフィーのアルバムは聴けないと思う。

 
 

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2014年11月10日 (月曜日)

Eric Dolphy in Europe, Vol.1

ジャズ者を志して以来、エリック・ドルフィーは相当に気になる存在だった。というか、お気に入りである。あの独特の限りなくフリーな変則フレーズが、どうにもこうにも大好きなのだ。

改めて、エリック・ドルフィー(Eric Dolphy)とは何者か。1928年6月、米国ロス生まれのバス・クラリネット、アルト・サックス、フルート奏者である。特に、ジャズにおいて、バス・クラリネットを吹きこなすテクニックについては、ドルフィーの右に出る者はいない。フルートも限りなくフリーキーなブロウで相当なレベルである。

そんなエリック・ドルフィーを体感するには、どのアルバムが適当なのか。僕は『Eric Dolphy in Europe』シリーズを挙げる。vol.1からvol.3までの3枚で構成される『Eric Dolphy in Europe』シリーズ。このライブ音源が、エリック・ドルフィーとは如何なるジャズメンなのか、を教えてくれる。

まずは『Eric Dolphy in Europe, Vol.1』(写真左)を聴く。1961年9月8日、コペンハーゲンでの録音。ちなみにパーソネルは、Chuck Israels (b), Erik Moseholm (b)の二人の使い分けに、Jorn Elniff (ds), Bent Axen (p), Eric Dolphy (fl, b-cl)。
 

Eric_dolphy_in_europe_vol1

 
ドルフィーとイスラエルズの2人のデュオ「Hi-Fly」で幕を開ける。潤いのある低音が素敵なイスラエルズ。そんなベース・ラインに乗って、ドルフィーはフルートを吹く。しっかりと芯の入ったフルートが飛翔する。これがドルフィーのフルートだ。デュオなのが良い。ドルフィーのフルートの個性を心ゆくまで体感出来る。

「Glad To Be Unhappy」のフルートも官能的だ。フルートによる美しいバラード演奏は、ドルフィーの溢れんばかりの歌心を感じさせてくれる。エモーショナルで音色豊かで疾走感のあるフルートは、実に説得力のあるフルートである。

「God Bless The Child」に「Oleo」はエモーショナルでエキサイティングなバス・クラリネットの演奏。ドルフィーの全くの独り吹き。こんなにエモーショナルで音色豊かで柔らかくて芯のあるバス・クラリネットは途方も無く魅力的だ。このドルフィーのバス・クラリネットを聴いてしまうと、暫く、他のバスクラが平坦に聴こえて仕方が無くなる。罪なバスクラだ。

ドルフィーを体験するのに相応しい『Eric Dolphy in Europe, Vol.1』。まずはこの、『At The Five Spot』の様な激しさや『Out To Lunch!』の様な前衛性が影を潜めた、正統なメインストリーム・ジャズど真ん中なライブ音源で、ドルフィーのフルートとバス・クラリネットを体感するのだ。

 
 

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