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2018年3月12日 (月曜日)

クロスオーバー・ジャズの深化形

ジャズはどんどん深化している。今から30〜40年前に流行ったクロスオーバー・ジャズやジャズ・ファンクが、今の感覚と今のテクノロジーを駆使して、新しく生まれ変わったりする。こういうのを聴くと、ジャズは深化してるな〜、って感じるし、ジャズって裾野が広いなあ、と改めて思ったりする。

Todd Clouser, John Medeski, JT Bates『You the Brave : Live at Icehouse』(写真左)。これが、凄いライブ盤なんですよ。2017年7月24日、ミネソタ州ミネアポリスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Todd Clouser (g, vo), John Medeski (key), JT Bates (ds)。ギター+キーボード+ドラムのトリオ編成。

冒頭の「Whereas Her Money From」を聴いて、思わずぶっ飛ぶ。ヘビーなギター、うねるオルガン、強烈なファンク・ビート。テンポはゆったりしているが、ヘビーなエレ・ファンク。これって、マイルスやん。1970年代前半の強烈なファンク・ビートをベースにしたエレ・マイルスをゆったりとしたテンポに落とした様な音。僕達にとっては「どこかで聴いた音」。思わず、聴き込み体勢に入る。
 

You_the_brave  

 
すると、5曲目の「You Call When You Want Something」の様に、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏もある。8曲目には「Amazing Grace」のカヴァーまでしている。こんな情緒的で印象的なエレギとキーボードの演奏を聴いていると、まるで、1970年代のプログレッシブ・ロックを聴いている様だ。

ジャズとプログレとの共存。有りそうで今まで無かった、ジャズとプログレとの「融合」。新しい感覚、新しい音世界。クロスオーバー・ジャズの深化形であり、新たな「フュージョン・ジャズ」の拡がりである。そうそう、クルーザーのボーカルは、まさに「今」である。ラップの様でもあり、語りの様でもあり、明らかに新しいジャズ・ボーカルの形である。

とにかく、1970年代のエレ・ファンク、クロスオーバー・ジャズ、プログレッシブ・ロックな要素が混ざり合った、今までに無い音世界である。リズム&ビートも重量級で、ジャズの軽快なスイング感など全く無い、あるのは重量級のファンクネス。反面、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏をアンチテーゼにして、このライブ盤は全く飽きが来ない。隠れ好盤。

 
 

東日本大震災から7年。決して忘れない。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年3月 6日 (火曜日)

現代のジャズ・ファンク・バンド

ジャズ・オルガンと聞くと、その代表的存在、ジミー・スミスの存在とイメージが強く浮かんで、「ファンキー・ソウル・ムーディー」と音世界が頭の中をよぎる。こってこてファンキーなアドリブ・フレーズ。唸りを上げるレスリー・スピーカー。そして、ジャズ・オルガンと言えば、ハモンド・オルガン。

と、まあ、ジャズ・オルガンに対する先入観はこんな感じなのだが、1980年代以降、21世紀になる頃には、このジャズ・オルガンの先入観をガラッと変える、ソリッドでストイックでアグレッシブな、限りなく硬派でプログレッシブなジャズ・オルガンが出現している。これがまた実に良いのだ。まだまだ、ジャズ・オルガンには深化の「のりしろ」があった、ということ。

Medeski Martin & Wood『Uninvisible』(写真左)。2002年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、John Medeski (key), Billy Martin (ds), Chris Wood (b)。オルガン・トリオ。3人の姓をとって、 「メデスキ、マーティン・アンド・ウッド」というバンド名で活躍している。
 

Mmw_uninvisible

 
メデスキ、マーティン・アンド・ウッド(略称:MMW)は、米国のジャズ・ファンク・バンド。ジャズ・ファンクとヒップ・ホップを融合し、即興演奏の妙と前衛音楽のアブストラクトな面を織り交ぜ、先取的でコンテンポラリーなジャズがメイン。この『Uninvisible』では、ジャズ・ファンクがメインの音世界に、仄かにクロスオーバーなサウンドを織り交ぜた、ソリッドなグルーブ感が堪らない。

クールなオルガン・ファンク。そんなキャッチフレーズがピッタリ。ゴリゴリとソリッドなベースも硬派で格好良く、ポリリズミックでビシッと決まるドラミングも実に「鯔背」である。そうそう、メデスキって色々なキーボードにも手を染めていて、なんとメロトロンを弾いているんですよね。もうまるで、1970年代のプログレッシブ・ロックの雰囲気です。

現代のジャズ・ファンク。1960年代後半から1970年代にかけてのジャズ・ファンクの要素を様々なキーボードの音に置き換えて、リズム&ビートを最先端のものに置き換えて、21世紀の時代、独特のグルーヴ感が素晴らしい。そして、これだけ先進的なジャズ・ファンク・バンドは、ジャズの名門レーベル、ブルーノートからリリースされている。ブルーノート恐るべしである。

 
 

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2018年2月24日 (土曜日)

Dr.ロニー・スミスの快ライブ盤

最近のジャズのアルバムもちょくちょく聴いている。新盤の情報収集にネットを徘徊する訳だが、時々「おおっ」と思わず「喝采」の声を上げてしまう新盤リリースの情報もある。今回、この人の新盤リリースの報には、思わず「おおっ」と声を上げた。もともと、前作『Evolution』(2017年1月28日のブログ参照)が快作だった思い出があるので、今回の新盤にも期待が高まる。

この人とは「Dr. Lonnie Smith=Dr.ロニー・スミス」。1942年生まれなので、今年で75歳になる。Hammond B-3 オルガンの使い手である。頭にターバンを巻いたその出で立ちは、どう見てもジャズメンには見えない(笑)。そんな出で立ちで、白熱の指捌きを披露しつつ、エモーショナルで流麗かつファンキーなフレーズを叩き出す。思わず仰け反ってしまいます。

Dr. Lonnie Smith『All in My Mind』(写真左)。昨年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dr. Ronnie Smith (hammond B-3), Jonathan Kreisberg (g), Johnathan Blake (ds)。そんな「Dr.ロニー・スミス」のバリバリのオルガン・トリオである。2017年夏、NYのJazz Standardで行われた生誕75周年記念ライブの音源である。
 

All_in_my_mind_1  

 
正統派ジャズ・オルガンの好盤である。ジャズ・オルガンの個性、特徴、利点がこの盤に溢れている。Dr.ロニー・スミスのオルガンは実にオーソドックス。攻撃的なところも無く、甘くムードに流れることも無い。こってこてのファンクネスを湛えつつ、75歳とは思えないほど端正で正確な指捌きから弾き出される、ソウルフルなフレーズ。そして、何より「音」に芯があって柔らかい。

共演のジョナサン・クライスバーグのギターがこれまた「良い」。もともとロック畑のギタリストである。アドリブ・フレーズの中に、おやっと思うくらいに明確なロックなフレーズがとっても素敵。ジョンナサン・ブレイクのドラミングも味があって秀逸。特にロニー御大のオルガンのリズム&ビートの先導役&扇動役を堅実に決めているところが好印象。

最後にこのライブ盤、選曲も良い。ウェイン・ショーターの1965年ブルーノート盤『Juju』のタイトル曲からスタートするところなど、思わず「渋い」と唸ってしまう。さらにポール・サイモンのヒット曲 「50 Ways to Leave Your Lover」 がオルガン・ジャズ化されているが、これがまた良い内容。他の曲も「捨て曲無し」。オルガン・ジャズの好盤である。

 
 

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2018年2月16日 (金曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・44

実は「Impulse!レーベル」のアルバムもカタログ順にコレクションし続けてきて、なんとかカタログ順にずっと聴き続けることが出来るまでになった。インパルス! レーベルは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人と謳われた「クリード・テイラー」が、1960年に設立したジャズレーベルである。

コルトレーンの後期〜逝去するまで、そして、コルトレーンの影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが有名だが、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ギル・エヴァンスといった、当時のジャズ・レジェンドのアルバムや、アレンジに長けたアルバムなど、正統派な純ジャズの小粋で内容のあるアルバムをリリースした、ジャズの歴史の中で、欠かすことの出来ないレーベルの1つです。

Ray Charles『Genius + Soul = Jazz』(写真左)。Original seriesのカタログ番号2番。1960年12月の録音。「ソウルの神様」Ray Charles(レイ・チャールズの Hammond B-3 オルガンとボーカルをメインに、バックにビッグバンドを従えた、実にゴージャズなアルバムである。
 
Genius_soul_jazz_2
 
ビッグバンドのアレンジは、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)とRalph Burns(ラルフ・バーンズ)とが、ほぼ均等に分担して担当している。特に、Q(クインシー・ジョーンズ)のアレンジ担当の曲は、明らかにQのアレンジと判る、とても個性的なもの。ビッグバンドに参加したメンバーは、それぞれ、名うての名手揃いで、実にパンチのある、メリハリの効いたビッグバンド・サウンドを聴かせてくれる。

そんなビッグバンド・サウンドに負けずに、しっかりバックに従えて、レイのオルガンがうねり歩く。ファンクネスだだ漏れ、こってこてソウルフルなレイのオルガン。これ、聴きものです。むっちゃ格好良いオルガンです。レイのボーカル曲はほとんど無く、この盤はレイのソウルフルなオルガンを聴き倒す盤である。

この盤も、Impulse!レーベルの特徴である見開きのジャケットで、黒とオレンジ色で統一されたデザインが特徴的。良い感じのデザインである。「Impulse!レーベル」は隅に置けないレーベル。他には無い、レイ・チャールズの「オルガン」に着目して、ビッグバンドをバックにした、とてもゴージャスなオルガン・ジャズ盤をものにした。

 
 

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2018年2月 1日 (木曜日)

安心安定なオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。知る人ぞ知る話なんだが、内容的に優れた盤が多く存在する。さすがはブルーノートで、こってこてファンキーなノリノリ・ジャズだけでは終わらない。どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分がある。これによって、アルバム全体が引き締まり、飽きることが無い。これが良い。

そんなブルーノートのオルガン・ジャズの一枚がこれ。 Big John Patton『Let 'Em Roll』(写真左)。1965年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Bobby Hutcherson (vib), Grant Green (g), Otis Finch (ds)。まだまだ、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが関与している。アルバム全体がカッチリまとまっている。

ジョン・パットンのオルガンは「明らかにファンキーなハモンド・オルガン」な音。太くて丸く、くすんで伸びのある音色。ファンキーでソウルフルであるが、どこか抑制されていて、どこか品の良いところがある、整ったフレーズ。とっても適度でファンキーなオルガンである。破綻が無く、荒れたところが無いところが、実にブルーノートらしい。
 

Let_em_roll

 
そんなジョン・パットンのオルガンに、これまた、こってこてジャジーでファンキーなグラント・グリーンのギターが絡む。太いソリッドなシングル・トーンがオルガンのトーンに良く合う。ユニゾン&ハーモニーが実にファンキーで躍動的。太くて躍動感溢れるグラント・グリーンのギターは、オルガン・ジャズに良く似合う。ファンクネスが増幅される。

そして、この盤において「インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分」の担い手は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン。ハッチャーソンのヴァイブは思索的で知的。オルガンやギターのホットな躍動感の中に、スッと切れ込むヴァイブのクールな躍動感が実にアーティスティック。ハッチャーソンのヴァイブが、アルバムに詰まったホットなファンクネスをクールダウンさせ、芳しいインテリジェンスを漂わせる。

徹底したオフビートのフィンチのドラムもこの盤の雰囲気にピッタリ。無理に煽ることなく、堅実に的確にビートを供給する。赤が基調のとってもファンキーなジャケット・デザインもこの盤の「ウリ」。破綻なく、適度なファンネスを漂わせ、どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックなオルガン・ジャズ。安心安定の一枚です。

 
 

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2018年1月31日 (水曜日)

端正で堅実なオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルのRVGリマスター盤のリイシューが始まって以来、オルガン・ジャズのアルバムが手に入り出した。実は、ブルーノート・レーベルはオルガン・ジャズの宝庫で、かのジャズ・オルガンの第一人者、Jimmy Smith(ジミー・スミス)を見出し、スターに仕立て上げたレーベルがブルーノートである。総帥アルフレッド・ライオンの慧眼の成せる技である。

ブルーノート・レーベルのアルバム入手し易くなる、ということは、ブルーノート・レーベルのオルガン・ジャズのアルバムの入手もし易くなるということ。ジミー・スミスを始めとして、ブルーノート・レーベルのお抱えジャズ・オルガニスト達のアルバムを次々と入手し、聴き漁った。幸せな時代であった。

そんな中、Freddie Roach(フレディー・ローチ)のアルバムにも出会う。ローチは1931年生まれのジャズ・オルガニスト。1980年に鬼籍に入っているので、49歳の若さでこの世を去ったことになる。ローチのオルガンは「変な癖が無く、端正で堅実」。ギミックを入れたり、変に音を捻ったりはしない。実に「ハモンド・オルガン」らしい音を出す。
 

Down_to_earth

 
このリーダー盤を聴けば、それが良く判る。Freddie Roach『Down to Earth』(写真左)。1962年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Roach (org), Percy France (ts), Kenny Burrell (g), Clarence Johnston (ds)。ギターのケニー・バレルが入っているが、基本的にローチのオルガンをメインにフィーチャーした「ジャズ・オルガン」盤である。

ローチは端正で堅実なオルガンを奔放に弾きまくる。端正で堅実なので、フレーズの展開に破綻を感じたり、ふらつきやつっかえを感じることもない。実に安心して聴けるオルガンである。逆に言えば、安全な弾き回しが中心なので、整い過ぎてスリルに欠ける部分もあるにはある。それでも、これだけ端正で堅実な弾き回しで、自由奔放にアドリブ・フレーズを展開する様は圧巻である。

「ハモンド・オルガン」らしい、くすんだ伸びのある音は、とてもファンキー。ローチの端正で堅実なオルガンと収録された曲の良さが楽しめる、アーシーなオルガン・ジャズの魅力満載の好盤。「変な癖が無く、端正で堅実」なオルガンなので聴き易い。ジャズ者初心者の方々にとっての「オルガン・ジャズ」入門盤にも良さそうです。

 
 

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2018年1月30日 (火曜日)

ベビーフェイスはお気に入り

オルガンの音が好きである。もともと、子供の頃、クラシック・ピアノを習っていたので、アコピの音はとても馴染みがあって好きなんだが、オルガンの音は、僕にとっては別格。ピアノ教室に置いてあった、ハモンド・オルガンの音は特にお気に入り。なんて言ったら良いのか、オルガンのくすんだような伸びのある、ゴスペルチックでファンキーな音色は、聴いていてワクワクする。

当然、ジャズでもオルガンのジャズが良いのだが、僕がジャズを聴き始めた1970年代後半、オルガンがメインの純ジャズ盤はなかなか手に入らなかった。まだ、ジャズ盤専門店に通うなんて技は知らないから、普通のレコード屋では、まず見当たらない。オルガン・ジャズのアルバムが手に入り出したのは、ブルーノートのRVGリマスター盤のリイシューが始まってからである。

そのブルーノートのRVGリマスター盤のリイシューが始まって、真っ先に入手したオルガン・ジャズ盤が、Baby Face Willette『Face to Face』(写真左)。1961年1月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Baby Face Willette (org), Grant Green (g), Fred Jackson (ts), Ben Dixon (ds)。いや〜異色のパーソネル。ブルーノートならではですね。
 

Face_to_face

 
僕は、この攻撃的でストイックなオルガンの音色が大好き。ファンクネスを前面に押し出しながらも聴き手に迎合せず、攻めのオルガンを貫き通すベビーフェイスは「僕のお気に入り」。オルガンの音色もストレートで切れ味良く、甘さは無い。ダンディズム溢れる、硬派で雄々しいオルガンのフレーズは聴いていて爽快感抜群。

サイドメンも好演に次ぐ好演。豪快なR&B系テナー、フレッド・ジャクソンの参加が珍しい。ストレートにダイナミックにテナーを吹き上げる。テクニックとか二の次、テナーらしい豪快な吹きっぷりが楽しい。そして、パキパキ、シングルトーンなファンキー・ギター、グラント・グリーンが良い。ベビーフェイスのオルガンとの相性が抜群。双方の魅力的な音色が相乗効果を生み出して、爽やかなファンクネスを創出している。

ベン・ディクソンのドラムも演奏全体のリズム&ビートを一手に引き受け、ダイナミックなオルガン、テナー、ギターを鼓舞しまくる。ブルーノート・レーベルならでは、鏡絵の様なロゴタイプが粋なアルバム・ジャケットも、とってもお洒落。オルガン・ジャズ盤の好盤であり、入門盤でもある。僕のオルガン・ジャズの愛聴盤です。

 
 

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2017年12月17日 (日曜日)

あっさりとしたオルガンの音色

この人のオルガンは非常に特徴がある。従来のジャズ・オルガンにあるものが全く備わっていない。いわゆる「どファンキー」なニュアンスが全く感じられず、レスリー・スピーカーを駆使した、ぐわーっと迫り来るオルガン独特の迫力も無い。あっさりとしたオルガンの音色が実に個性的。

そのオルガニストとは、ラリー・ヤング(Larry Young)。若いジャズ者の方々には全く馴染みの無い名前であろう。それもそのはずで、ラリー・ヤングは、1940年10月生まれなんだが、1978年3月、37歳で鬼籍に入っている。今から、もう40年も前のことになる。それでも、プレスティッジとブルーノートを中心に、十数枚のリーダー作を残してくれているので、彼のユニークなオルガンを追体験することが出来る。

そんなラリー・ヤングのあっさりオルガンを追体験できるアルバムが、Larry Young『Unity』(写真左)。1965年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Larry Young (org), Woody Shaw (tp), Joe Henderson (ts), Elvin Jones (ds)。ショウのトラペットとヘンダーソンのテナーを2管フロントに据えたオルガン・ジャズである。
 

Unity

 
ラリー・ヤングのオルガンは「オルガン界のコルトレーン」と形容される。しかし、この盤では、フロントにショウとヘンダーソンを迎え、ヤングは伴奏に徹している感がある。しかも、ドラムにはあのポリリズムの巨匠、エルヴィン御大が据わっているので、ダイナミズムは御大に任せている。つまり、この盤では、ヤングの新しい感覚の「オルガンの伴奏」が聴けるのだ。

決して前に出ることの無い、あっさりとしたオルガンなんだが、ソロ・パートに入ると、コルトレーンばりの「シーツ・オブ・サウンド」で弾きまくる。この弾きまくりを聴くと「オルガン界のコルトレーン」の形容に合点がいく。そして、伴奏に回った時のあっさりとした、それでいてしっかりツボを押さえたオルガンはスマートで、実に趣味の良いもの。

あっさりとしたオルガンの音色は、従来のジャズ・オルガンの音からすると、あきらかに対極にある音。それが、ラリー・ヤングのオルガンの個性。しかし、ソロ・パートに入ると、いきなり「オルガン界のコルトレーン」に変身し、「シーツ・オブ・サウンド」で弾きまくる。この人のオルガンは聴いていて面白い。他のアルバムも絶対に体験せねばならない。

 
 

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2017年12月13日 (水曜日)

明らかに新しいジャズ・オルガン

昨日に引き続き、この人のオルガンも、ほんのりファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」している。逆に、アグレッシブで音の太い、ストレートな音がこの人の個性。従来のジャズ・オルガンの音からすると、あきらかに対極にある音。この人とは、サム・ヤヘル(Sam Yahel)。1970年生まれだから今年で47歳。バリバリの中堅オルガニスト。

『Yaya3』(写真左)というアルバムがある。Yaya3=ヤヤ・キューブド(cubedは数字の3乗)と読む。2002年の作品。ちなみにパーソネルは、Joshua Redman (ts), Sam Yahel (org), Brian Blade (ds)。ヤエルがNYのジャズ・クラブ「スモールズ」で行なっていたライヴにジョシュアが参加して、このプロジェクト=Yaya3 は立ち上がった。

このプロジェクト=Yaya3の実質的なリーダーは、サム・ヤヘル。そして、このヤヘルのオルガンが実に魅力的なのだ。こってこてのファンクネスはかなり希薄。つまり、オルガンの演奏スタイルは、ジャズ・オルガンの大御所、ジミー・スミスの様なものでは無く、オルガンのコルトレーンと呼ばれたラリー・ヤングに近い。軽快でスッキリ、アグレッシブで音の太い、ストレートな音。
 

Yaya3

 
ストイックなまでにアグレッシブなオルガンの音色は、ストレートなグルーブ感を生み出して、シャープにうねる。音の雰囲気とくすみは明らかにジャズのものであり、このアルバムでのヤヘルのオルガンは、ストレート・アヘッドな純ジャズ系のオルガンである。コマーシャルに走らず、あくまで硬派にモード・ジャズを極めていく。

そんなヤヘルのオルガンに、ジョシュアのテナーが魅力的に絡む。ジョシュアのテナーは、コルトレーンとロリンズを足して2で割って、ロリンズ寄りに個性を寄せた感じ。硬派でストレートではあるが歌心に富んだテナーは、他に有りそうで無い個性。それが、軽快でスッキリ、アグレッシブで音の太い、ストレートなヤヘルのオルガンに絡むのだ。新しいオルガン・ジャズの響きが芳しい。

そして、そんな二人を鼓舞する、ポリリズミックな千手観音ドラミングのブライアン・ブレイド。硬軟自在、緩急自在なドラミングが、旋律をアドリブ・ラインを自由度高く司るフロント二人を手厚くサポートする。そして、アルバムを聴き終えた後、耳に一番残っているのはヤヘルのオルガン。現代の、明らかに新しいジャズ・オルガンの音である。

 
 

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2017年12月12日 (火曜日)

軽快でスッキリしたオルガン奏者

ジャズ・オルガンが大好きである。もしかしたら、ピアノより好きかもしれない。ジャズにおいて、オルガンとは「こってこてファンキー・ジャズ」の必需品。特に、オルガンの音を「シュワシュワ」揺らす装置、レスリー・スピーカーなどを使って、ハモンド・オルガンを太い音で「グワ〜ッ」とやると、もうそこは漆黒ファンキーの世界。

もともとハモンド・オルガンの音って、協会のゴスペルの伴奏をする楽器というイメージがあって、その音そのものが「ファンキー」なんですよね。フット・ペダルでベース・ラインを押さえる演奏家も多く、このベース音が、これまた太い低音鳴り響き、ブンブンいう音がやっぱり「ファンキー」なのだ。

しかし、この人のジャズ・オルガンは、ファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」している。ファンクネス度合いもベッタベタなファンクネスというよりは、ライトなファンクネス。オーバー・ファンクな音世界が苦手なジャズ者の方々が一目置く存在。その名は「シャーリー・スコット(Shirley Scott)」。ジャズ界では稀少の女性のオルガン奏者である。

Shirley Scott『On A Clear Day』(写真左)。1966年1月の録音。"Queen of the Organ"と呼ばれたシャーリー・スコットのリーダー盤。ちなみにパーソネルは、Shirley Scott (org), Ron Carter (b), Jimmy Cobb (ds)。シャーリー・スコットは、ベースは本職のベーシストに任せて、オルガンで旋律を弾くタイプ。
 

On_a_clear_day

 
ベースを本職のベーシストに任せているので、ベース・ラインが柔軟でバリエーション豊か。演奏全体に音の陰影と緩急をしっかりと与えている。ベースの生音というのは、結構、切れ味良くスピード感があるので、耳にもたれない。所謂オーバー・ファンクに陥ることは無い。ここがシャーリーのオルガンの「ミソ」で、ベースを本職のベーシストに任せることで、オルガンの演奏自体が、ァンキーなんだけど「軽快でスッキリ」するのだ。

ジミー・コブのドラミングも見事。オルガンのアドリブ・フレーズって、音が伸びるので、ピアノの様に歯切れ良く、間が空くことが少ない。そういう連続した音の羅列を、鼓舞するが如く、刺激するが如く、歯切れの良い硬軟自在なドラミングは、シャーリーのファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」なオルガンに相性抜群である。

選曲もスタンダード中心で、ライトな感覚のシャーリーのオルガンがしっかりと馴染む。シャーリーの軽快なオルガンが、軽快なスイング感を供給してくれる。決して、オーバー・ファンクに偏って耳にもたれることは無い。ファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」したオルガンだからこそ、ボサノバの名曲、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Corcovado」をカバーすることだって出来るのだ。

 
 

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