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2018年8月 3日 (金曜日)

ジミー・スミスの「別の顔」

オルガン・ジャズを聴き進める上では、ジミー・スミス(Jimmy Smith)は外せない。ジミー・スミスは、オルガン・ジャズの祖であり、最大のレジェンドである。オルガン・ジャズと言えば、ジミー・スミス。オルガン・ジャズについては、ジミー・スミスだけを聴いていれば良い、とまで極論するジャズ者の方もいるくらいである。

確かにそれはあながち間違いではない。ジミー・スミスのアルバムに入っている、オルガンの弾き方、音色、雰囲気の全てが、オルガン・ジャズのお手本となるものばかり。ジミー・スミス以降のオルガン・ジャズは、ジミー・スミスの弾き方、音色、雰囲気を踏襲した「フォロワー」ばかり。ジミー・スミスの個性を踏襲しながら自らの個性を織り交ぜる「変化、深化」の積み上げである。そんなジミー・スミスのリーダー作であるが、どれが良いのか。

実はどれもが良いので、オルガン・ジャズを極めるには、ジミー・スミスのリーダー作を全部聴いて下さい、と言った方が早い、と思っている。事実、僕も今までにジミー・スミスのリーダー作は結構な数を聴き込んでいる。彼のリーダー作の7割は聴いたことがあるかな。ジミー・スミスのリーダー作には駄盤は無い。どれもが水準以上のもの。晩年のプレイはちょっとマンネリ気味ではあったが、それでも演奏テクニックやアドリブの弾き回しは超一品であった。
 

Root_down  

 
さて、そんなジミー・スミスのリーダー作の中で、最近のお気に入りは、Jimmy Smith『Root Down』(写真)。1972年2月8日、ロサンゼルスは、The Bombay Bicycle Clubでのライブ録音。目を引くのは、Wilton Felder (b)。クルセイダーズのベーシストウィルトン・フェルダーがベースを担当している。ということは、R&B志向のオルガン・ジャズかな、と思うんだが ・・・。

冒頭の「Sagg Shootin' His Arrow」のオルガンを聴くと、これってプログレッシブ・ロックか、と感じる。ドラムもロック調の乾いたオフビードなもの。そこに、ウィルトン・フェルダーの粘るベースが絡んでくる。そして、極めつけは、アダムスのエレギ。ワウワウ・ペタルを駆使しつつ、攻撃的でファンキーなリフを繰り返す。思わずエレ・マイルスを彷彿とさせる、エレクトリック・ジャズの響き。リズム&ビートは乾いたロック・ビート。コレってプログレやん(笑)。

攻撃的なプログレ的雰囲気を内包しながら、この盤の音世界は「ジャズ・ロックなオルガン・ジャズ」。エレ・マイルスに刺激を受けたのか、1970年代前半のロック・ムーブメントに触発されたのか、このジミー・スミスのリーダー作はかなりロックしている。あのこってこてファンキーなオルガン・ジャズが得意のジミー・スミスがこんな攻撃的なプログレ風のオルガンを弾き倒すとは。ジミー・スミスのアナザー・サイドを楽しむ事の出来る「好ライブ盤」である。

 
 

東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年7月17日 (火曜日)

聴き心地良い爽やかなオルガン

夏のオルガン・ジャズは爽やかな耳当たりのものが良い。こってこてファンキーな、レズリー・スピーカー全開のゴワーッというダイナミズムの極致の様なオルガンの音はちょっと夏には堪える。趣味良く、洒落てて、粋なフレーズをシンプルな音で聴かせてくれる。そんなオルガン・ジャズが良い。

最近リリースの新盤を物色していて、おおっこれは、という盤を発見。Larry Goldings Trio『Toy Tunes』(写真左)。今年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Larry Goldings (org), Peter Bernstein (g), Bill Stewart (ds)。ベースのパートはラリー・ゴールディングスがフットペダルでやっている。ベースレス、エレギ入りの典型的なオルガン・トリオである。

実力派オルガン奏者のラリー・ゴールディングス、ギター名手のピーター・バーンスタイン、万能ドラマーのビル・スチュワート。見るからに良い音が出てきそうなオルガン・トリオである。ゴールディングスは、米国ボストン出身のオルガニスト。1968年8月生まれなので、今年50歳。中堅からベテランの域に差し掛かった、脂の乗り切った年齢。余裕を感じる、シンプルで爽やかなオルガンを聴かせてくれる。
 

Toy_tunes

 
ほど良く抑制された、ファンクネス控えめ、趣味良く粋な落ち着いたフレーズが流れる様に次々と出てくる。とっても聴き心地の良い、爽やかなオルガン。流麗でメロディアスな演奏あり、ちょっとアブストラクトにフリーに傾いた演奏もあり、よくよく聴くと、結構バリエーションに富んだ、様々な表情のオルガンを聴かせてくれる。いや〜上手いのなんのって。とっても良い意味で上品なオルガンです。

加えて、ギターのバーンスタインが好調だ。すっきりファンキーな、ちょっとくすんだ音のエレギがとってもブルージー。ゴールディングスのオルガンがファンクネス控えめな分、バーンスタインのエレギでファンクネスを充填している。バーンスタインのエレギも趣味良く粋で落ち着いていて、ゴールディングスのオルガンにピッタリとフィットする。相性の良いエレギである。

そして、演奏全体のリズム&ビートを押さえて、フロントのオルガンとエレギをしっかりと支えるスチュワートのドラミングも見事だ。抑揚と緩急がほど良くコントロールされ、ダイナミックかつ繊細なドラミングで、アルバムの演奏全体をグッと締める。これぞ、正統なオルガン・ジャズ、という雰囲気の音世界が実に心地良い。知らず知らずのうちに「隠れヘビロテ盤」になっていたりする。お勧めの好盤です。

 
 

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2018年7月14日 (土曜日)

教科書の様なオルガン・ジャズ

あまりの「半端ない」蒸し暑さにバテバテである。特に歳を取ると暑さが体に精神に堪える。あまりに暑いと音楽を聴きたくなくなってくる。しかし、暑さでバテバテの精神に刺激を与えて「喝」を入れるには、聴き心地の良い、ノリの良いジャズが良い。そういうジャズといえば、僕にとっては「オルガン・ジャズ」である。

オルガンは、その音の特性、そして、昔から教会音楽で活用されていたということもあり、音の印象は「ファンキー」。ゴスペルの雰囲気を底に偲ばせつつ、その音はファンキーでノリが非常に良い。しかも、音が基本的に真っ直ぐに伸びるので、聴き心地が良い。このファンキー度合いが悪乗りレベルになると、ちょっと下品な音世界になるので、日本の硬派なジャズ者の皆さんからは評判は芳しく無い(笑)。

そんなオルガン・ジャズ。入門盤はどの辺りが良いか。Gene Ludwig『Hands On』(写真左)。2004年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Ludwig (org), Ken Karsh (g), Tom Wendt (ds), Eric Defade (sax)。ジーン・ルートヴィヒとは、ピッツバーグ郊外出身のオルガン・プレイヤー。音的には、ジミー・スミス直系の正統なオルガン・ジャズの音をしているが、ハードバップ期のジャズ・オルガンの音と比べると、クールであっさりとしているのが特徴。
 

Hands_on  

 
さて、この『Hands On』である。テナー、ギター、ドラム、オルガンのカルテット構成。オルガンはベースの担当部分を兼任することが出来るので、オルガン・ジャズには、ベースが入っていないことが多い。逆に、オルガンでベース部を兼任するので、いきおい、そのフレーズが単純化されている。複雑なフレーズは相当に難しい。しかし、その単純化されたベース部のフレーズが、独特のファンキーなグルーヴを生み出している。

これがオルガン・ジャズの肝の部分で、このアルバム、このベース部の音がブンブンと鳴っていて、これが心地良いことこの上無し。テナー、ギターもオルガンに負けずファンキーな味わいを増幅させていて、この盤、オルガン・ジャズのサンプル盤の様な内容で、オルガン・ジャズ好きには、堪えられない内容になっている。そして、そこにルートヴィヒの、クールであっさりとした、正統なハモンド・オルガンが鳴り響く。

全編に渡って、クセの無い、教科書の様なオルガン・ジャズが鳴り響く。教科書の様な、というのは悪い意味では無い。オルガン・ジャズの良い部分、特徴となる部分が全て良い感じで入っている、という意味。シャッフル〜ミディアムなナンバー中心で、大向こう張る派手な弾き回しは無いが、堅実にクールにアドリブを弾きまくり、涼しい音でバッキングを決めてくる。そんなルートヴィヒのオルガンが粋な好盤である。

 
 

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2018年7月 4日 (水曜日)

日本発オルガン・ジャズ・ユニット

ジャズ・オルガンが好きである。あのファンキーな、太くて芯のあるちょっと掠れた音。ピアノの音も好きだが、オルガン、それもハモンド・オルガンの音が大好きだ。しかし、何故か我が国では、ジャズ・オルガンは「キワモノ」とされる。ファンクネスだだ漏れ、どっぷりブルージーな雰囲気は「俗っぽい」とされた。他の楽器と比べて、正当に評価されなかった時期が長かった。

それでも、21世紀に入って、ジャズ・オルガンは正当に評価される様になったのではないか。特に、この2〜3年前から、オルガンを入れたジャズが多くなってきた様に感じる。ソウルフルなジャズが復活している傾向で、ファンキー&ソウルフルな音をメインに添えたアンサンブルが多くなってきていて、そこにオルガンがピタッと填まるんだと思う。

Mahogany Organ All-Stars『100 Landscape』(写真左)。今年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、山本研 (org), 石井裕太 (ts), 鈴木洋一 (g), 岡田真帆 (ds)。純日本のメンバーによるカルテット構成。キャッチーなテーマが印象的なオリジナルを中心とした盤。ジャズとポップスの間を行くユニークな音作りが個性である。
 

100_landscape

 
改めて「マホガニー オルガン オールスターズ(以降、MOAと略)」である。2015年3月に結成。古き良きオルガンジャズのサウンドを、有名なポップス曲やクラシック曲、懐メロをカバーしつつ現代風に蘇らせている、とのこと。確かに、彼らの演奏はシンプルで判り易い。かつ、各楽器の音が実に良い。特にオルガン、良い音出してます。

加えて、アレンジが良い。よくよく考えたアレンジで、それぞれの曲の個性を活かしつつ、オルガン・ジャズに合ったユニゾン&ハーモニーが実に魅力的。オルガンの持つ「過度にファンキーな」「ソウルフルな雰囲気濃厚な」個性に頼ることなく、あっさりと受け流しながら、他の楽器とアンサンブルする中で、オルガンの音が浮かび上がってくる。工夫のアレンジ。

とにかく全編、楽しそうに演奏されているのであろう、その雰囲気は徹頭徹尾「ポジティブ」。緩急のメリハリもシッカリついているので、全編聴き通す中で飽きが来ることは無い。こんなポップでソウルフルなオルガン・ジャズ・ユニットが日本から発信されるとは、素直に驚きである。ポップで聴き易い雰囲気は心地良い。好盤である。

 
 

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2018年6月28日 (木曜日)

オルガン・フュージョンの好盤

実はオルガンの音が大好きである。特に、ハモンド・オルガンの音はたまらない。プログレバンドEL&Pの『展覧会の絵』で、キース・エマーソンのハモンド・オルガンの音に魅了されて以来、オルガンの音が好きだ。そして、ファンクネスだだ漏れのオルガン・ジャズがこれまた大好き。ジャズを聴き初めて、ジミー・スミスのオルガンに出会って「何じゃこれ」(笑)。

我が国のジャズ・シーンでは、オルガン・ジャズはちょっと「キワモノ」扱いで、アコースティック・ピアノが絶対、オルガンは軟弱で俗っぽいもの、とされた。でもねえ、このオルガンの「こってこてファンキーな音」がたまらないんですよ。俗っぽかろうが、キワモノであろうが、心地良いものは心地良い。振り返ってみれば、様々なオルガン・ジャズを聴いてきたような気がする。

Johnny "Hammond" Smith『Gears』(写真左)。1975年のリリース。ジョニー・ハモンド・スミス(以降略して「ジョニハモ」)42歳の時の充実のパフォーマンスである。Hip-Hopのアーティストなどがサンプリングする、グルーヴ感抜群のジャズ・ファンク盤。音的には、下世話な俗っぽさを抑えて、洗練されたファンクネスが心地良い「オルガン・ジャズ」ならぬ「オルガン・フュージョン」と呼んでも良い音作りである。
 

Gears

 
一言で言って、ジャズ・ファンクの好盤。浮遊感溢れる、広大で清々しいサウンドが紡ぎだす、こってこてファンキーで魅惑的なグルーヴ感。ジョニハモの泥臭い黒いグルーヴ溢れるオルガンが良い。ハモンドのB3。意外と洗練されたオルガンで、俗っぽさに傾くことは決して無い。趣味の良いファンクネス溢れる演奏に思わず熱くなる。ついつい、オフビートに足踏みを始め、体が踊るように動き出す。

バックを張るメンバーの音も「こってこてファンキー」。存在感溢れるラフなファンク・ビートを叩き出すハービー・メイソンとそんなファンキー・ドラムに絡む、キレッキレのグルーヴ感満載のチャック・レイニーのベース。爽快さと浮遊感を前面に押し出したマイゼル兄弟のキーボード。それぞれ違うスタイル(カッティングとワウ)で乗っかってくるクレイグ・マクマレンとジョン・ローウインのリズム・ギター。

オルガン・フュージョンの初期の成果。ジョニハモはオルガンだけでなくエレピやシンセサイザーも使いこなしていて、マルチ・キーボード奏者としての才能を遺憾なく発揮している。ミゼル兄弟によるスカイ・ハイ・プロダクションによって制作された、このジョニハモの『Gears』は、今日のクラブ・シーンでサンプリングのネタ元として大いに活用されている。

 
 

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2018年3月12日 (月曜日)

クロスオーバー・ジャズの深化形

ジャズはどんどん深化している。今から30〜40年前に流行ったクロスオーバー・ジャズやジャズ・ファンクが、今の感覚と今のテクノロジーを駆使して、新しく生まれ変わったりする。こういうのを聴くと、ジャズは深化してるな〜、って感じるし、ジャズって裾野が広いなあ、と改めて思ったりする。

Todd Clouser, John Medeski, JT Bates『You the Brave : Live at Icehouse』(写真左)。これが、凄いライブ盤なんですよ。2017年7月24日、ミネソタ州ミネアポリスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Todd Clouser (g, vo), John Medeski (key), JT Bates (ds)。ギター+キーボード+ドラムのトリオ編成。

冒頭の「Whereas Her Money From」を聴いて、思わずぶっ飛ぶ。ヘビーなギター、うねるオルガン、強烈なファンク・ビート。テンポはゆったりしているが、ヘビーなエレ・ファンク。これって、マイルスやん。1970年代前半の強烈なファンク・ビートをベースにしたエレ・マイルスをゆったりとしたテンポに落とした様な音。僕達にとっては「どこかで聴いた音」。思わず、聴き込み体勢に入る。
 

You_the_brave  

 
すると、5曲目の「You Call When You Want Something」の様に、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏もある。8曲目には「Amazing Grace」のカヴァーまでしている。こんな情緒的で印象的なエレギとキーボードの演奏を聴いていると、まるで、1970年代のプログレッシブ・ロックを聴いている様だ。

ジャズとプログレとの共存。有りそうで今まで無かった、ジャズとプログレとの「融合」。新しい感覚、新しい音世界。クロスオーバー・ジャズの深化形であり、新たな「フュージョン・ジャズ」の拡がりである。そうそう、クルーザーのボーカルは、まさに「今」である。ラップの様でもあり、語りの様でもあり、明らかに新しいジャズ・ボーカルの形である。

とにかく、1970年代のエレ・ファンク、クロスオーバー・ジャズ、プログレッシブ・ロックな要素が混ざり合った、今までに無い音世界である。リズム&ビートも重量級で、ジャズの軽快なスイング感など全く無い、あるのは重量級のファンクネス。反面、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏をアンチテーゼにして、このライブ盤は全く飽きが来ない。隠れ好盤。

 
 

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2018年3月 6日 (火曜日)

現代のジャズ・ファンク・バンド

ジャズ・オルガンと聞くと、その代表的存在、ジミー・スミスの存在とイメージが強く浮かんで、「ファンキー・ソウル・ムーディー」と音世界が頭の中をよぎる。こってこてファンキーなアドリブ・フレーズ。唸りを上げるレスリー・スピーカー。そして、ジャズ・オルガンと言えば、ハモンド・オルガン。

と、まあ、ジャズ・オルガンに対する先入観はこんな感じなのだが、1980年代以降、21世紀になる頃には、このジャズ・オルガンの先入観をガラッと変える、ソリッドでストイックでアグレッシブな、限りなく硬派でプログレッシブなジャズ・オルガンが出現している。これがまた実に良いのだ。まだまだ、ジャズ・オルガンには深化の「のりしろ」があった、ということ。

Medeski Martin & Wood『Uninvisible』(写真左)。2002年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、John Medeski (key), Billy Martin (ds), Chris Wood (b)。オルガン・トリオ。3人の姓をとって、 「メデスキ、マーティン・アンド・ウッド」というバンド名で活躍している。
 

Mmw_uninvisible

 
メデスキ、マーティン・アンド・ウッド(略称:MMW)は、米国のジャズ・ファンク・バンド。ジャズ・ファンクとヒップ・ホップを融合し、即興演奏の妙と前衛音楽のアブストラクトな面を織り交ぜ、先取的でコンテンポラリーなジャズがメイン。この『Uninvisible』では、ジャズ・ファンクがメインの音世界に、仄かにクロスオーバーなサウンドを織り交ぜた、ソリッドなグルーブ感が堪らない。

クールなオルガン・ファンク。そんなキャッチフレーズがピッタリ。ゴリゴリとソリッドなベースも硬派で格好良く、ポリリズミックでビシッと決まるドラミングも実に「鯔背」である。そうそう、メデスキって色々なキーボードにも手を染めていて、なんとメロトロンを弾いているんですよね。もうまるで、1970年代のプログレッシブ・ロックの雰囲気です。

現代のジャズ・ファンク。1960年代後半から1970年代にかけてのジャズ・ファンクの要素を様々なキーボードの音に置き換えて、リズム&ビートを最先端のものに置き換えて、21世紀の時代、独特のグルーヴ感が素晴らしい。そして、これだけ先進的なジャズ・ファンク・バンドは、ジャズの名門レーベル、ブルーノートからリリースされている。ブルーノート恐るべしである。

 
 

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2018年2月24日 (土曜日)

Dr.ロニー・スミスの快ライブ盤

最近のジャズのアルバムもちょくちょく聴いている。新盤の情報収集にネットを徘徊する訳だが、時々「おおっ」と思わず「喝采」の声を上げてしまう新盤リリースの情報もある。今回、この人の新盤リリースの報には、思わず「おおっ」と声を上げた。もともと、前作『Evolution』(2017年1月28日のブログ参照)が快作だった思い出があるので、今回の新盤にも期待が高まる。

この人とは「Dr. Lonnie Smith=Dr.ロニー・スミス」。1942年生まれなので、今年で75歳になる。Hammond B-3 オルガンの使い手である。頭にターバンを巻いたその出で立ちは、どう見てもジャズメンには見えない(笑)。そんな出で立ちで、白熱の指捌きを披露しつつ、エモーショナルで流麗かつファンキーなフレーズを叩き出す。思わず仰け反ってしまいます。

Dr. Lonnie Smith『All in My Mind』(写真左)。昨年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dr. Ronnie Smith (hammond B-3), Jonathan Kreisberg (g), Johnathan Blake (ds)。そんな「Dr.ロニー・スミス」のバリバリのオルガン・トリオである。2017年夏、NYのJazz Standardで行われた生誕75周年記念ライブの音源である。
 

All_in_my_mind_1  

 
正統派ジャズ・オルガンの好盤である。ジャズ・オルガンの個性、特徴、利点がこの盤に溢れている。Dr.ロニー・スミスのオルガンは実にオーソドックス。攻撃的なところも無く、甘くムードに流れることも無い。こってこてのファンクネスを湛えつつ、75歳とは思えないほど端正で正確な指捌きから弾き出される、ソウルフルなフレーズ。そして、何より「音」に芯があって柔らかい。

共演のジョナサン・クライスバーグのギターがこれまた「良い」。もともとロック畑のギタリストである。アドリブ・フレーズの中に、おやっと思うくらいに明確なロックなフレーズがとっても素敵。ジョンナサン・ブレイクのドラミングも味があって秀逸。特にロニー御大のオルガンのリズム&ビートの先導役&扇動役を堅実に決めているところが好印象。

最後にこのライブ盤、選曲も良い。ウェイン・ショーターの1965年ブルーノート盤『Juju』のタイトル曲からスタートするところなど、思わず「渋い」と唸ってしまう。さらにポール・サイモンのヒット曲 「50 Ways to Leave Your Lover」 がオルガン・ジャズ化されているが、これがまた良い内容。他の曲も「捨て曲無し」。オルガン・ジャズの好盤である。

 
 

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2018年2月16日 (金曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・44

実は「Impulse!レーベル」のアルバムもカタログ順にコレクションし続けてきて、なんとかカタログ順にずっと聴き続けることが出来るまでになった。インパルス! レーベルは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人と謳われた「クリード・テイラー」が、1960年に設立したジャズレーベルである。

コルトレーンの後期〜逝去するまで、そして、コルトレーンの影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが有名だが、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ギル・エヴァンスといった、当時のジャズ・レジェンドのアルバムや、アレンジに長けたアルバムなど、正統派な純ジャズの小粋で内容のあるアルバムをリリースした、ジャズの歴史の中で、欠かすことの出来ないレーベルの1つです。

Ray Charles『Genius + Soul = Jazz』(写真左)。Original seriesのカタログ番号2番。1960年12月の録音。「ソウルの神様」Ray Charles(レイ・チャールズの Hammond B-3 オルガンとボーカルをメインに、バックにビッグバンドを従えた、実にゴージャズなアルバムである。
 
Genius_soul_jazz_2
 
ビッグバンドのアレンジは、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)とRalph Burns(ラルフ・バーンズ)とが、ほぼ均等に分担して担当している。特に、Q(クインシー・ジョーンズ)のアレンジ担当の曲は、明らかにQのアレンジと判る、とても個性的なもの。ビッグバンドに参加したメンバーは、それぞれ、名うての名手揃いで、実にパンチのある、メリハリの効いたビッグバンド・サウンドを聴かせてくれる。

そんなビッグバンド・サウンドに負けずに、しっかりバックに従えて、レイのオルガンがうねり歩く。ファンクネスだだ漏れ、こってこてソウルフルなレイのオルガン。これ、聴きものです。むっちゃ格好良いオルガンです。レイのボーカル曲はほとんど無く、この盤はレイのソウルフルなオルガンを聴き倒す盤である。

この盤も、Impulse!レーベルの特徴である見開きのジャケットで、黒とオレンジ色で統一されたデザインが特徴的。良い感じのデザインである。「Impulse!レーベル」は隅に置けないレーベル。他には無い、レイ・チャールズの「オルガン」に着目して、ビッグバンドをバックにした、とてもゴージャスなオルガン・ジャズ盤をものにした。

 
 

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2018年2月 1日 (木曜日)

安心安定なオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。知る人ぞ知る話なんだが、内容的に優れた盤が多く存在する。さすがはブルーノートで、こってこてファンキーなノリノリ・ジャズだけでは終わらない。どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分がある。これによって、アルバム全体が引き締まり、飽きることが無い。これが良い。

そんなブルーノートのオルガン・ジャズの一枚がこれ。 Big John Patton『Let 'Em Roll』(写真左)。1965年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Bobby Hutcherson (vib), Grant Green (g), Otis Finch (ds)。まだまだ、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが関与している。アルバム全体がカッチリまとまっている。

ジョン・パットンのオルガンは「明らかにファンキーなハモンド・オルガン」な音。太くて丸く、くすんで伸びのある音色。ファンキーでソウルフルであるが、どこか抑制されていて、どこか品の良いところがある、整ったフレーズ。とっても適度でファンキーなオルガンである。破綻が無く、荒れたところが無いところが、実にブルーノートらしい。
 

Let_em_roll

 
そんなジョン・パットンのオルガンに、これまた、こってこてジャジーでファンキーなグラント・グリーンのギターが絡む。太いソリッドなシングル・トーンがオルガンのトーンに良く合う。ユニゾン&ハーモニーが実にファンキーで躍動的。太くて躍動感溢れるグラント・グリーンのギターは、オルガン・ジャズに良く似合う。ファンクネスが増幅される。

そして、この盤において「インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分」の担い手は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン。ハッチャーソンのヴァイブは思索的で知的。オルガンやギターのホットな躍動感の中に、スッと切れ込むヴァイブのクールな躍動感が実にアーティスティック。ハッチャーソンのヴァイブが、アルバムに詰まったホットなファンクネスをクールダウンさせ、芳しいインテリジェンスを漂わせる。

徹底したオフビートのフィンチのドラムもこの盤の雰囲気にピッタリ。無理に煽ることなく、堅実に的確にビートを供給する。赤が基調のとってもファンキーなジャケット・デザインもこの盤の「ウリ」。破綻なく、適度なファンネスを漂わせ、どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックなオルガン・ジャズ。安心安定の一枚です。

 
 

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