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2018年12月19日 (水曜日)

ジミー・スミスの未発表音源集

希少なブルーノートの未発表音源を収めた『ブルーノートBNLT999シリーズ』。それぞれの盤を聴き進めて行くと「おおこれは」と思わず耳をそばだててしまう音源にしばしば出会う。この音源って、どの時代の録音だろう、とか、どのアルバムの未発表音源なんだろう、とか想像しながら聴くのがとても楽しい。

Jimmy Smith『Confirmation』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), George Coleman (tracks: A1, B), Lou Donaldson (tracks: A2) (as), Art Blakey (ds), Kenny Burrell (g), Tina Brooks (tracks: A2) (ts), Trombone – Curtis Fuller (tracks: A1, B) (tb), Lee Morgan (tp)。録音日は「Confirmation」が1958年2月25日、その他2曲は 1957年8月25日。

聴いてみて、なんかどっかで聴いた編成やなあ、とか、どっかの盤で聴いたよな、という感覚を持ったので、これって、ブルーノートでの既発表のアルバムの未発表音源だなあ、と。で、どのアルバムの未発表音源なのか、とライナーノーツなどを読みあさる。収録された3曲とも、ジミー・スミスのオールスター・ジャム・セッション収録の『House Party』『The Sermon!』の未発表音源。
 

Comfirmation_jimmy_smith  

 
聴いていて、このテナーは誰か、このアルトは誰か、と思うのだが、全く判らない。これは誰かと思ったテナーはティナ・ブルックス、これは誰かと思ったアルトはジョージ・コールマンでした。この盤、録音の少ないブルックスや、アルトを吹いている初期のコールマンの演奏が聴けるんですね。アルト・サックスのジョージ・コールマンなんて、想像も出来ませんでした。

『House Party』『The Sermon!』の未発表音源なので、内容は素晴らしいです。お蔵入りになったのは、かなりの長尺演奏なのと、ジミー・スミスがあまり目立っていないところかと想像しています。ジミー・スミスって、かなり自己顕示欲が旺盛な方だったらしいので、自分が思いっきり目立たない音源ってオミットだったのでしょうか。本当だったら、その未発表音源となった理由って、人間臭くて僕は好きです。

目立たない、と言っても、要所要所で素晴らしいソロを展開しているので、この未発表音源についても、ジミー・スミスのオルガンは素晴らしいです。他のサイドメンの演奏も負けずに素晴らしい。そんな内容ある演奏で、しかも長尺。かなり迫力のある演奏で、この盤のリリースによって陽の目を見たのは、幸運なことだったと思います。

 
 
東日本大震災から7年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年11月17日 (土曜日)

これが日本人女子の音とはなあ

日本のジャズについては、若手有望株というと「女子」がメイン。女子の若手有望株ばかりが目立って、男子の若手有望株は片手に余る印象である。もうこの「印象」が長く続いて久しい。21世紀のなった頃からずっと、女性上位の傾向が続いている。まあ、自分については「男尊女卑」の傾向は全く無いので、女子だろうが男子だろうが、内容のある「若手有望株」が多数出てきた、ということは実に喜ばしいことである。

この人のキーボードについては初めて聴いた時、思わず仰け反った。これってプログレやん。オルガンの響き、シンセの響き、どこを聴いても「キース・エマーソン」。伝説のプログレ・バンド「Emerson, Lake & Parlmar(EL&P)。」のキーボード奏者がキース・エマーソン。この人のキーボードの音が思いっきり「キース・エマーソン」しているのだ。これは僕の大好物。コレって誰だ、と焦って調べ始めた。

大高清美。このキーボード奏者の名前である。名前を初めて見た時はまだ男子だと思っていた。しかも、僕と同じ世代やな、と踏んでいた。しかし、ネットでバイオグラフィーと写真を見た時、ビックリした。女子である。1966年10月生まれなので、今年で52歳。僕とは8歳違いなので、EL&Pをリアルタイムで体験している世代では無い。そして、この大高清美、現在はあの「CASIOPEA 3rd」のキーボード担当でもあるのだ。
 

Trick_or_treat_1  

 
KIYO*SEN『Trick or Treat』(写真左)。昨年のリリース。「KIYO*SEN(キヨセン)」とは、キーボードの大高清美の「KIYO」に、ドラムの川口千里の「SEN」を合わせたユニット名。このユニットがとんでも無い実力の持ち主で、とんでも無い演奏をするのだ。聴けば判るのだが、基本は「プログレ」。演奏の展開が「即興演奏」をメインにしているので、コンテンポラリーなジャズ演奏だが、キーボードの音は明らかに「プログレ」している。

大高のキーボードはテクニック豊かで、展開にメリハリがあって大仕掛け。これはもう「プログレッシブ・ロック」のキーボードの代表的傾向なのだが、大高のキーボードはこれを踏襲している。これが痛快。逆に、川口千里のドラムは明らかに「フュージョン・ジャズ」。切れ味良く、ファンクネス皆無な爽快感溢れるドラミングは「フュージョン」。この川口のドラムが、この盤の全体雰囲気を決定付けている。そうそう、川口千里は1997年1月生まれの今年21歳のバリバリ若手のドラマーです。

とにかく聴いていて楽しい。1970年代が全盛の「プログレ者」の我々からすると、キーボードがフロントのフュージョン・ジャズとして楽しめ、音の響きとしては、テクニックがずば抜けて素晴らしい「プログレッシブ・ロック」としても楽しめる、1枚で2度美味しい盤である。しかし、これが日本人女子の音とはなあ。脱帽である。

 
 

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2018年10月 6日 (土曜日)

ユルユルのグルーヴ感が堪らない

ブルーノート・レーベルはジャズの基本レーベルのひとつ。ジャズの歴史の殆どを網羅するレーベルは、実はブルーノート・レーベルしかない。他のレーベルはジャズの歴史の部分部分をサポートする存在。ブルーノート・レーベルがジャズのレーベルの中で「No.1」とされる所以である。

そんなブルーノート・レーベルの約80年の歴史は決して平坦なものでは無かった。1979年に一旦活動を停止、1984年、EMIの傘下でジャス・レーベルとして復活。以降、ネオ・ハードバップから、それぞれの時代の最先端のジャズのアルバムをリリースし続けている。ブルーノート・レーベルの特徴は、その「それぞれの時代の最先端のジャズ」を記録してきたこと。時にはユニークな盤をリリースしていたりする。

特に1960年代後半からのジャズ・ファンク、1970年代「ニューノート」の異名で知られる70年代のフュージョンの時代にユニークな盤がてんこ盛りである。同時代のソウルやファンクとも共鳴する新しい感覚のブラック・ミュージックを積極的にアルバム化している。これが面白い。硬派なジャズ者の方々からすると「これはジャズではない」のだが、僕は「これもジャズ」と思っている。
 

Set_us_free_reuben_wilson

 
Reuben Wilson『Set Us Free』(写真左)。1971年7月23日の録音。パーソネルは書かない。もうこの時代のジャズ・ファンクの盤になると、参加ジャズメンの名前は知らない名前ばかり。当時のスタジオ・ミュージシャン辺りが集結したイメージである。しかも、ジャズには無かった楽器も散見される。この盤ではハープが参加している。でも、ジックリ見渡せば、ベースにリチャード・デイヴィス、エレギにデヴィッド・スピノザが見える。

リーダーのリューベン・ウィルソンはオルガン奏者。ジミー・スミスばりの硬派なオルガン奏者では全く無い。正反対の「ユルユル」なオルガンである。しかし、この「ユルユル」が不思議なグルーヴを醸し出す。この不思議なグルーヴを、これまた「ユルユル」のエレギとサックスとコンガが増幅する。この独特の「ユルユル」のグルーヴ感が堪らない。

そこにファンクネスてんこ盛り。このファンクネスが心地よさを増幅する。女性コーラス・グループして、メロウさも増幅。「踊れる、グルーブ感がある」ものとして発掘され、再評価を受けた過去の楽曲である「レア・グルーヴ」。この盤も「レア・グルーヴ」。現代のクラブ・シーンでサンプリングされている。

 
 

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2018年8月 3日 (金曜日)

ジミー・スミスの「別の顔」

オルガン・ジャズを聴き進める上では、ジミー・スミス(Jimmy Smith)は外せない。ジミー・スミスは、オルガン・ジャズの祖であり、最大のレジェンドである。オルガン・ジャズと言えば、ジミー・スミス。オルガン・ジャズについては、ジミー・スミスだけを聴いていれば良い、とまで極論するジャズ者の方もいるくらいである。

確かにそれはあながち間違いではない。ジミー・スミスのアルバムに入っている、オルガンの弾き方、音色、雰囲気の全てが、オルガン・ジャズのお手本となるものばかり。ジミー・スミス以降のオルガン・ジャズは、ジミー・スミスの弾き方、音色、雰囲気を踏襲した「フォロワー」ばかり。ジミー・スミスの個性を踏襲しながら自らの個性を織り交ぜる「変化、深化」の積み上げである。そんなジミー・スミスのリーダー作であるが、どれが良いのか。

実はどれもが良いので、オルガン・ジャズを極めるには、ジミー・スミスのリーダー作を全部聴いて下さい、と言った方が早い、と思っている。事実、僕も今までにジミー・スミスのリーダー作は結構な数を聴き込んでいる。彼のリーダー作の7割は聴いたことがあるかな。ジミー・スミスのリーダー作には駄盤は無い。どれもが水準以上のもの。晩年のプレイはちょっとマンネリ気味ではあったが、それでも演奏テクニックやアドリブの弾き回しは超一品であった。
 

Root_down  

 
さて、そんなジミー・スミスのリーダー作の中で、最近のお気に入りは、Jimmy Smith『Root Down』(写真)。1972年2月8日、ロサンゼルスは、The Bombay Bicycle Clubでのライブ録音。目を引くのは、Wilton Felder (b)。クルセイダーズのベーシストウィルトン・フェルダーがベースを担当している。ということは、R&B志向のオルガン・ジャズかな、と思うんだが ・・・。

冒頭の「Sagg Shootin' His Arrow」のオルガンを聴くと、これってプログレッシブ・ロックか、と感じる。ドラムもロック調の乾いたオフビードなもの。そこに、ウィルトン・フェルダーの粘るベースが絡んでくる。そして、極めつけは、アダムスのエレギ。ワウワウ・ペタルを駆使しつつ、攻撃的でファンキーなリフを繰り返す。思わずエレ・マイルスを彷彿とさせる、エレクトリック・ジャズの響き。リズム&ビートは乾いたロック・ビート。コレってプログレやん(笑)。

攻撃的なプログレ的雰囲気を内包しながら、この盤の音世界は「ジャズ・ロックなオルガン・ジャズ」。エレ・マイルスに刺激を受けたのか、1970年代前半のロック・ムーブメントに触発されたのか、このジミー・スミスのリーダー作はかなりロックしている。あのこってこてファンキーなオルガン・ジャズが得意のジミー・スミスがこんな攻撃的なプログレ風のオルガンを弾き倒すとは。ジミー・スミスのアナザー・サイドを楽しむ事の出来る「好ライブ盤」である。

 
 

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2018年7月17日 (火曜日)

聴き心地良い爽やかなオルガン

夏のオルガン・ジャズは爽やかな耳当たりのものが良い。こってこてファンキーな、レズリー・スピーカー全開のゴワーッというダイナミズムの極致の様なオルガンの音はちょっと夏には堪える。趣味良く、洒落てて、粋なフレーズをシンプルな音で聴かせてくれる。そんなオルガン・ジャズが良い。

最近リリースの新盤を物色していて、おおっこれは、という盤を発見。Larry Goldings Trio『Toy Tunes』(写真左)。今年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Larry Goldings (org), Peter Bernstein (g), Bill Stewart (ds)。ベースのパートはラリー・ゴールディングスがフットペダルでやっている。ベースレス、エレギ入りの典型的なオルガン・トリオである。

実力派オルガン奏者のラリー・ゴールディングス、ギター名手のピーター・バーンスタイン、万能ドラマーのビル・スチュワート。見るからに良い音が出てきそうなオルガン・トリオである。ゴールディングスは、米国ボストン出身のオルガニスト。1968年8月生まれなので、今年50歳。中堅からベテランの域に差し掛かった、脂の乗り切った年齢。余裕を感じる、シンプルで爽やかなオルガンを聴かせてくれる。
 

Toy_tunes

 
ほど良く抑制された、ファンクネス控えめ、趣味良く粋な落ち着いたフレーズが流れる様に次々と出てくる。とっても聴き心地の良い、爽やかなオルガン。流麗でメロディアスな演奏あり、ちょっとアブストラクトにフリーに傾いた演奏もあり、よくよく聴くと、結構バリエーションに富んだ、様々な表情のオルガンを聴かせてくれる。いや〜上手いのなんのって。とっても良い意味で上品なオルガンです。

加えて、ギターのバーンスタインが好調だ。すっきりファンキーな、ちょっとくすんだ音のエレギがとってもブルージー。ゴールディングスのオルガンがファンクネス控えめな分、バーンスタインのエレギでファンクネスを充填している。バーンスタインのエレギも趣味良く粋で落ち着いていて、ゴールディングスのオルガンにピッタリとフィットする。相性の良いエレギである。

そして、演奏全体のリズム&ビートを押さえて、フロントのオルガンとエレギをしっかりと支えるスチュワートのドラミングも見事だ。抑揚と緩急がほど良くコントロールされ、ダイナミックかつ繊細なドラミングで、アルバムの演奏全体をグッと締める。これぞ、正統なオルガン・ジャズ、という雰囲気の音世界が実に心地良い。知らず知らずのうちに「隠れヘビロテ盤」になっていたりする。お勧めの好盤です。

 
 

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2018年7月14日 (土曜日)

教科書の様なオルガン・ジャズ

あまりの「半端ない」蒸し暑さにバテバテである。特に歳を取ると暑さが体に精神に堪える。あまりに暑いと音楽を聴きたくなくなってくる。しかし、暑さでバテバテの精神に刺激を与えて「喝」を入れるには、聴き心地の良い、ノリの良いジャズが良い。そういうジャズといえば、僕にとっては「オルガン・ジャズ」である。

オルガンは、その音の特性、そして、昔から教会音楽で活用されていたということもあり、音の印象は「ファンキー」。ゴスペルの雰囲気を底に偲ばせつつ、その音はファンキーでノリが非常に良い。しかも、音が基本的に真っ直ぐに伸びるので、聴き心地が良い。このファンキー度合いが悪乗りレベルになると、ちょっと下品な音世界になるので、日本の硬派なジャズ者の皆さんからは評判は芳しく無い(笑)。

そんなオルガン・ジャズ。入門盤はどの辺りが良いか。Gene Ludwig『Hands On』(写真左)。2004年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Ludwig (org), Ken Karsh (g), Tom Wendt (ds), Eric Defade (sax)。ジーン・ルートヴィヒとは、ピッツバーグ郊外出身のオルガン・プレイヤー。音的には、ジミー・スミス直系の正統なオルガン・ジャズの音をしているが、ハードバップ期のジャズ・オルガンの音と比べると、クールであっさりとしているのが特徴。
 

Hands_on  

 
さて、この『Hands On』である。テナー、ギター、ドラム、オルガンのカルテット構成。オルガンはベースの担当部分を兼任することが出来るので、オルガン・ジャズには、ベースが入っていないことが多い。逆に、オルガンでベース部を兼任するので、いきおい、そのフレーズが単純化されている。複雑なフレーズは相当に難しい。しかし、その単純化されたベース部のフレーズが、独特のファンキーなグルーヴを生み出している。

これがオルガン・ジャズの肝の部分で、このアルバム、このベース部の音がブンブンと鳴っていて、これが心地良いことこの上無し。テナー、ギターもオルガンに負けずファンキーな味わいを増幅させていて、この盤、オルガン・ジャズのサンプル盤の様な内容で、オルガン・ジャズ好きには、堪えられない内容になっている。そして、そこにルートヴィヒの、クールであっさりとした、正統なハモンド・オルガンが鳴り響く。

全編に渡って、クセの無い、教科書の様なオルガン・ジャズが鳴り響く。教科書の様な、というのは悪い意味では無い。オルガン・ジャズの良い部分、特徴となる部分が全て良い感じで入っている、という意味。シャッフル〜ミディアムなナンバー中心で、大向こう張る派手な弾き回しは無いが、堅実にクールにアドリブを弾きまくり、涼しい音でバッキングを決めてくる。そんなルートヴィヒのオルガンが粋な好盤である。

 
 

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2018年7月 4日 (水曜日)

日本発オルガン・ジャズ・ユニット

ジャズ・オルガンが好きである。あのファンキーな、太くて芯のあるちょっと掠れた音。ピアノの音も好きだが、オルガン、それもハモンド・オルガンの音が大好きだ。しかし、何故か我が国では、ジャズ・オルガンは「キワモノ」とされる。ファンクネスだだ漏れ、どっぷりブルージーな雰囲気は「俗っぽい」とされた。他の楽器と比べて、正当に評価されなかった時期が長かった。

それでも、21世紀に入って、ジャズ・オルガンは正当に評価される様になったのではないか。特に、この2〜3年前から、オルガンを入れたジャズが多くなってきた様に感じる。ソウルフルなジャズが復活している傾向で、ファンキー&ソウルフルな音をメインに添えたアンサンブルが多くなってきていて、そこにオルガンがピタッと填まるんだと思う。

Mahogany Organ All-Stars『100 Landscape』(写真左)。今年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、山本研 (org), 石井裕太 (ts), 鈴木洋一 (g), 岡田真帆 (ds)。純日本のメンバーによるカルテット構成。キャッチーなテーマが印象的なオリジナルを中心とした盤。ジャズとポップスの間を行くユニークな音作りが個性である。
 

100_landscape

 
改めて「マホガニー オルガン オールスターズ(以降、MOAと略)」である。2015年3月に結成。古き良きオルガンジャズのサウンドを、有名なポップス曲やクラシック曲、懐メロをカバーしつつ現代風に蘇らせている、とのこと。確かに、彼らの演奏はシンプルで判り易い。かつ、各楽器の音が実に良い。特にオルガン、良い音出してます。

加えて、アレンジが良い。よくよく考えたアレンジで、それぞれの曲の個性を活かしつつ、オルガン・ジャズに合ったユニゾン&ハーモニーが実に魅力的。オルガンの持つ「過度にファンキーな」「ソウルフルな雰囲気濃厚な」個性に頼ることなく、あっさりと受け流しながら、他の楽器とアンサンブルする中で、オルガンの音が浮かび上がってくる。工夫のアレンジ。

とにかく全編、楽しそうに演奏されているのであろう、その雰囲気は徹頭徹尾「ポジティブ」。緩急のメリハリもシッカリついているので、全編聴き通す中で飽きが来ることは無い。こんなポップでソウルフルなオルガン・ジャズ・ユニットが日本から発信されるとは、素直に驚きである。ポップで聴き易い雰囲気は心地良い。好盤である。

 
 

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2018年6月28日 (木曜日)

オルガン・フュージョンの好盤

実はオルガンの音が大好きである。特に、ハモンド・オルガンの音はたまらない。プログレバンドEL&Pの『展覧会の絵』で、キース・エマーソンのハモンド・オルガンの音に魅了されて以来、オルガンの音が好きだ。そして、ファンクネスだだ漏れのオルガン・ジャズがこれまた大好き。ジャズを聴き初めて、ジミー・スミスのオルガンに出会って「何じゃこれ」(笑)。

我が国のジャズ・シーンでは、オルガン・ジャズはちょっと「キワモノ」扱いで、アコースティック・ピアノが絶対、オルガンは軟弱で俗っぽいもの、とされた。でもねえ、このオルガンの「こってこてファンキーな音」がたまらないんですよ。俗っぽかろうが、キワモノであろうが、心地良いものは心地良い。振り返ってみれば、様々なオルガン・ジャズを聴いてきたような気がする。

Johnny "Hammond" Smith『Gears』(写真左)。1975年のリリース。ジョニー・ハモンド・スミス(以降略して「ジョニハモ」)42歳の時の充実のパフォーマンスである。Hip-Hopのアーティストなどがサンプリングする、グルーヴ感抜群のジャズ・ファンク盤。音的には、下世話な俗っぽさを抑えて、洗練されたファンクネスが心地良い「オルガン・ジャズ」ならぬ「オルガン・フュージョン」と呼んでも良い音作りである。
 

Gears

 
一言で言って、ジャズ・ファンクの好盤。浮遊感溢れる、広大で清々しいサウンドが紡ぎだす、こってこてファンキーで魅惑的なグルーヴ感。ジョニハモの泥臭い黒いグルーヴ溢れるオルガンが良い。ハモンドのB3。意外と洗練されたオルガンで、俗っぽさに傾くことは決して無い。趣味の良いファンクネス溢れる演奏に思わず熱くなる。ついつい、オフビートに足踏みを始め、体が踊るように動き出す。

バックを張るメンバーの音も「こってこてファンキー」。存在感溢れるラフなファンク・ビートを叩き出すハービー・メイソンとそんなファンキー・ドラムに絡む、キレッキレのグルーヴ感満載のチャック・レイニーのベース。爽快さと浮遊感を前面に押し出したマイゼル兄弟のキーボード。それぞれ違うスタイル(カッティングとワウ)で乗っかってくるクレイグ・マクマレンとジョン・ローウインのリズム・ギター。

オルガン・フュージョンの初期の成果。ジョニハモはオルガンだけでなくエレピやシンセサイザーも使いこなしていて、マルチ・キーボード奏者としての才能を遺憾なく発揮している。ミゼル兄弟によるスカイ・ハイ・プロダクションによって制作された、このジョニハモの『Gears』は、今日のクラブ・シーンでサンプリングのネタ元として大いに活用されている。

 
 

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2018年3月12日 (月曜日)

クロスオーバー・ジャズの深化形

ジャズはどんどん深化している。今から30〜40年前に流行ったクロスオーバー・ジャズやジャズ・ファンクが、今の感覚と今のテクノロジーを駆使して、新しく生まれ変わったりする。こういうのを聴くと、ジャズは深化してるな〜、って感じるし、ジャズって裾野が広いなあ、と改めて思ったりする。

Todd Clouser, John Medeski, JT Bates『You the Brave : Live at Icehouse』(写真左)。これが、凄いライブ盤なんですよ。2017年7月24日、ミネソタ州ミネアポリスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Todd Clouser (g, vo), John Medeski (key), JT Bates (ds)。ギター+キーボード+ドラムのトリオ編成。

冒頭の「Whereas Her Money From」を聴いて、思わずぶっ飛ぶ。ヘビーなギター、うねるオルガン、強烈なファンク・ビート。テンポはゆったりしているが、ヘビーなエレ・ファンク。これって、マイルスやん。1970年代前半の強烈なファンク・ビートをベースにしたエレ・マイルスをゆったりとしたテンポに落とした様な音。僕達にとっては「どこかで聴いた音」。思わず、聴き込み体勢に入る。
 

You_the_brave  

 
すると、5曲目の「You Call When You Want Something」の様に、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏もある。8曲目には「Amazing Grace」のカヴァーまでしている。こんな情緒的で印象的なエレギとキーボードの演奏を聴いていると、まるで、1970年代のプログレッシブ・ロックを聴いている様だ。

ジャズとプログレとの共存。有りそうで今まで無かった、ジャズとプログレとの「融合」。新しい感覚、新しい音世界。クロスオーバー・ジャズの深化形であり、新たな「フュージョン・ジャズ」の拡がりである。そうそう、クルーザーのボーカルは、まさに「今」である。ラップの様でもあり、語りの様でもあり、明らかに新しいジャズ・ボーカルの形である。

とにかく、1970年代のエレ・ファンク、クロスオーバー・ジャズ、プログレッシブ・ロックな要素が混ざり合った、今までに無い音世界である。リズム&ビートも重量級で、ジャズの軽快なスイング感など全く無い、あるのは重量級のファンクネス。反面、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏をアンチテーゼにして、このライブ盤は全く飽きが来ない。隠れ好盤。

 
 

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2018年3月 6日 (火曜日)

現代のジャズ・ファンク・バンド

ジャズ・オルガンと聞くと、その代表的存在、ジミー・スミスの存在とイメージが強く浮かんで、「ファンキー・ソウル・ムーディー」と音世界が頭の中をよぎる。こってこてファンキーなアドリブ・フレーズ。唸りを上げるレスリー・スピーカー。そして、ジャズ・オルガンと言えば、ハモンド・オルガン。

と、まあ、ジャズ・オルガンに対する先入観はこんな感じなのだが、1980年代以降、21世紀になる頃には、このジャズ・オルガンの先入観をガラッと変える、ソリッドでストイックでアグレッシブな、限りなく硬派でプログレッシブなジャズ・オルガンが出現している。これがまた実に良いのだ。まだまだ、ジャズ・オルガンには深化の「のりしろ」があった、ということ。

Medeski Martin & Wood『Uninvisible』(写真左)。2002年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、John Medeski (key), Billy Martin (ds), Chris Wood (b)。オルガン・トリオ。3人の姓をとって、 「メデスキ、マーティン・アンド・ウッド」というバンド名で活躍している。
 

Mmw_uninvisible

 
メデスキ、マーティン・アンド・ウッド(略称:MMW)は、米国のジャズ・ファンク・バンド。ジャズ・ファンクとヒップ・ホップを融合し、即興演奏の妙と前衛音楽のアブストラクトな面を織り交ぜ、先取的でコンテンポラリーなジャズがメイン。この『Uninvisible』では、ジャズ・ファンクがメインの音世界に、仄かにクロスオーバーなサウンドを織り交ぜた、ソリッドなグルーブ感が堪らない。

クールなオルガン・ファンク。そんなキャッチフレーズがピッタリ。ゴリゴリとソリッドなベースも硬派で格好良く、ポリリズミックでビシッと決まるドラミングも実に「鯔背」である。そうそう、メデスキって色々なキーボードにも手を染めていて、なんとメロトロンを弾いているんですよね。もうまるで、1970年代のプログレッシブ・ロックの雰囲気です。

現代のジャズ・ファンク。1960年代後半から1970年代にかけてのジャズ・ファンクの要素を様々なキーボードの音に置き換えて、リズム&ビートを最先端のものに置き換えて、21世紀の時代、独特のグルーヴ感が素晴らしい。そして、これだけ先進的なジャズ・ファンク・バンドは、ジャズの名門レーベル、ブルーノートからリリースされている。ブルーノート恐るべしである。

 
 

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