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2014年6月 9日 (月曜日)

困ったちゃんなアルバムである

上原ひろみの新譜『Alive』が出た。実は、よくバーチャル音楽喫茶『松和』で、マスターは上原ひろみはどうなの、って訊かれる。僕は決まって「う〜ん」と唸って曖昧に答えを避ける。上原ひろみというピアニストには熱狂的なファンが多く存在する。どうにも、上原ひろみについては評価しかねるところがあって、この「上原ひろみってどうなの」という質問はとっても困るのだ。

まあ、私、松和のマスターとしても、実は上原ひろみのアルバムは全て所有している。熱狂的なファンが、皆こぞって「凄い凄い」を連発するもんだから、やはり、しっかり聴いて、自分なりの解釈を持たないとなあ、というノリである。

2007年リリースの『Time Control』までは、まずまず、何とか楽しんで聴いていた。あれれ、と思い始めたのは、2009年リリースの『Beyond Standard』からである。さすがにスタンダード曲を手掛けると、そのジャズ・ピアニストの資質と個性が露わになる。そこで、僕は上原ひろみに対して「あれれ」という感じを抱くようになった。

その「あれれ」の頂点が、2012年リリースの『Move』(写真左)。このアルバムを聴いて、その「あれれ」がなんとなく納得出来た。ちなみにパーソネルは、Hiromi (p)・Simon Phillps (ds)・Anthony Jackson (b)。上原ひろみ THE TRIO PROJECT featuring Anthony Jackson & Simon Phillips名義のアルバムの2枚目。

とにかく上手い。とにかく良く練られている。とにかく練習している。破綻するところは全く無い。テクニックも抜群。アドリブ・フレーズも速い速い。だけど、何かが足らない。何なんだろう、何か2つから3つ位足らない。演奏は水準以上の素晴らしいものなんですけどね。
 

Hiromi_move

 
上原のピアノ・トリオには、ファンクネスはほとんど感じられない。ジャジーな響きがかなり希薄なのだ。日本人の純ジャズと言えば、乾いたファンクネスが特徴だと感じているのだが、上原のピアノには、ファンクネスがほとんど感じられない。これがまた、バックのベースとドラムのリズム・セクションも同様なのだ。

何と形容したら良いのか、そう、上原のピアノは、クラシックの響き、高速で超絶技巧なピアノ・コンチェルトを聴いているような響きを感じる。ジャズ・ピアノというより、クラシック・ピアノな響きを感じるので、何となく「あれれ」という違和感を感じるのだろう。

叩く様な、叩き付けるような、硬質で力強いタッチを連続して繰り広げ続けるインプロビゼーションにも違和感を感じる。この『Move』というアルバムは自作曲ばかりで固めているので、どの曲もほとんどが、硬質で力強いタッチを連続して繰り広げ続ける展開になっていて、聴き進めるうちに、ちょっと飽きてくる。

ジャジーな雰囲気が希薄なジャズ・ピアノ。クラシックの様なジャズ・ピアノ。これをジャズの進歩、ジャズのバリエーションと前向きに評価するかどうかで、この上原ひろみのピアノに対する評価は大きく分かれる。

ジャジーな雰囲気が希薄な分、当然、オフビートな感覚も希薄になる。つまりは、高速で超絶技巧なピアノ・インプロビゼーションでありながら、ノリが薄い、聴いていて乗り切れない、速いパッセージをじっとして聴いてしまうような、不思議な違和感が全編を覆う、どう評価して良いか判らない、困ったちゃんなアルバム『Move』なのである。

 
 

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2012年4月13日 (金曜日)

次作に期待の『Voice』である・・・

上原ひろみは、今や、押しも押されぬ日本人ジャズ奏者として、一番人気の才媛である。出すアルバム出すアルバム、いずれも人気盤となり、ジャズ奏者としては異例の「売れっ子」ぶりである。

バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターなんて名乗っているので、上原ひろみってどうですか、とか、上原ひろみを聴きたいのですが、どのアルバム良いですか、などと問われる時がある。この質問がちょっと「困る」のだ。

2007年リリースの『Time Control』からだろうか。上原ひろみのピアノに、成熟しきった感、というか、豊満感というか、このままのスタイルとアプローチだと、もう行き着くことまで行き着いてしまったので、もう行きようが無い窮屈さ、というか、そんな雰囲気を強く感じて、ちょっと、上原ひろみから距離を置いていたのである。

メジャーなジャズ評論家やジャズ雑誌から絶賛された、2008年リリースの『Beyond Standard』も、なんだか不必要なほど背伸びをしているというか、そこまでやらなくても、という位の「異常に高いテンション」を感じて、キッチリと密閉するようなアレンジメントを施された演奏は、なんだか聴き続けるのが、ちょっとしんどくなるほどタイトで、ヘビロテにはならなかった。

昨年の3月にリリースされて、現時点での最新作である『Voice』(写真左)についても、日本人ジャズ奏者として「時の人」である。しっかりと聴くことは聴いているんだが、どうしても、演奏を聴き込むまでは至らない。内容自体は、実に高度な内容で、質が高く、インプロビゼーションのテクニックも高く、アレンジ&コンポーズの才能も素晴らしいものがある。

でも、このアルバムにも、そこまでやらなくても、という位の「異常に高いテンション」が漂い、ハイノートな速弾きピアノは、聴いていて、ちょっとしんどくなる。
 

Hiromi_voice

 
逆に、聴き易さを追求した結果、速弾きを押さえ、幅広いスケールで悠然と弾き進める新境地も見え隠れするが、これはこれで、これまでの上原ひろみの個性とは全く異なり、なんだか、どこかから借りてきた様な、ちょっとした違和感を感じたりもする。

以前、「Return of Kung-Fu World Champion」で披露して話題をさらった、シンセの音とフレーズもさすがに手垢が付いた感があって、ちょっと新鮮味を薄れてしまっている。確かに、上原ひろみのシンセは、ピアノと違って、ちょっと一本調子になりつつある。もう一工夫、もう一味、もう一捻り、欲しいなあ。

パーソネルを見渡すと、上原ひろみ (p), Anthony Jackson (b), Simon Phillips (ds)。リズム&ビートを担う2人が凄い。この2人をバックに擁してのピアノ・トリオである。もっと「なんか出来た」ような気がする。
  
それまでの上原ひろみの個性の延長線上の、安全運転よろしく既定路線の演奏で終わらせるのは勿体無い。上原ひろみの「もっと凄い何か」を引き出せるようなユニットである。今回のアルバムの内容は、まだまだ「ほんの小手調べ」の様な雰囲気が頼もしい。

このアルバムの音世界は、良い意味で「ワンパターン」。現時点で成熟しきった、上原ひろみの個性を上からなぞった感じが強い。安全運転に徹した、コンテンポラリーなピアノ・トリオ。なんとなく不完全燃焼な感じが残るところが惜しい。何を急いでいるのだろうか。若しくは、もしかしたら「迎合している」のかもしれない。

もっとノンビリとリラックスして弾いた彼女のピアノを聴いてみたいなあ。切れ味鋭く、常に「真剣勝負」的なテンションの高い演奏は凄いし素晴らしいが、長く聴き親しむには、ちょっと辛い。彼女のピアノは、こんなものではないだろう。

排気量の大きい車がゆっくりとしたスピードで走るような、余裕をガッツリかました、良い意味でノンビリ、ほのぼのとした上原ひろみのピアノを聴いてみたいと思う今日この頃。まだまだ期待できる有望株である。次作を期待したい。

 
 

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2011年6月27日 (月曜日)

ベーシストのリーダー作は難しい

ベーシストのリーダー作は難しい。もともとベースは「縁の下の力持ち」的存在。リーダーである当の本人が何をやりたいかが明確になっているか、若しくは、担当のプロデューサーが、リーダーのベーシストの何を表現したいかが明確になっていないと、良いセッション・アルバムにはなかなかならない。
  
スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)の最新作『Stanley Clarke Band』(写真左)を聴いた。53th グラミー賞でBest Contemporary Jazz Albumを受賞したアルバム。一部、上原ひろみも参加したフュージョン・アルバムである。
 
昔から、僕は、グラミー賞の基準が良く判らないでいる。特に、ジャズのジャンルでの選定基準は良く判らない。年間で一番優れた内容でもなさそうだし、一番売れたのでもなさそうだし、その基準が良く判らないでいる。よって、今回のスタンリー・クラークの受賞も正直言うとその理由が良く判らない。
 
スタンリー・クラークの最新作『Stanley Clarke Band』であるが、その内容については、やはり「う〜ん」という感じかなあ。基本的には、ファースト・ソロ・アルバム『Children of Forever』から『School Days』までのアルバムの雰囲気をそのまま踏襲している。
 
『Stanley Clarke Band』全体の雰囲気は、第2期リターン・トゥ・フォーエバーそのもの。やはり、スタンリー・クラークの基本はそこにあるんやなあ。というか、スタンリー・クラーク単独では、どうしても、第2期リターン・トゥ・フォーエバーから出ないというか、第2期リターン・トゥ・フォーエバーが全てになってしまうなあ。
 
さすがに、この時期に及んで、チック・コリアの参戦を促すと、これまた『Children of Forever』と同様、チックの色に染め上げられてしまうというか、全く、2期リターン・トゥ・フォーエバーそのものになってしまうので、クラークとし ても避けたいところ。そこで、上原ひろみの参戦である。
 
 
Stanley_clarke_band
 
 
この『Stanley Clarke Band』では、上原ひろみは「ミニ・チック」というか、 チックの影武者の様な存在になっている。上原ひろみの参加したトラックは、第2期リターン・トゥ・フォーエバーの雰囲気そのもの。クラークのファースト・ソロ・アルバム『Children of Forever』の雰囲気をしっかりと踏襲している。
 
アルバムの内容としては、バラエティに富んでいると言えば聞こえは良いが、クラークのやりたいことを、いつもの様に「ごった煮」に突っ込んだアルバムとも言えるし、このアルバムを覆う統一感は「第2期リターン・トゥ・フォーエバー」をしっかりと踏襲していて、直近のクラークのオリジナリティは特に感じるところは無いとも言える。
 
スタンリー・クラークのソロ・アルバムについては、クラークが一歩引いて、優れたプロデューサーを採用しないことを遺憾に思う。
 
一度、クラークのベースと音楽性を熟知する優れたプロデューサーを採用して、ソロ・アルバムを制作して欲しい。きっと今までとは違ったクラークの魅力が満載のソロ・アルバムが出来ると思うんだが・・・。
 
サイドマンとしては優れたベースを聴かせてくれるだけに惜しいなあと思っています。なんとか、クラークにどこから聴いても「代表作」と呼ばれるようなソロ・アルバムを残して欲しいんですが・・・。
 
ベーシストのリーダー作は難しい。特に「セルフ・プロデュース」は難しい。リーダーである当の本人が何をやりたいのか、そして、それが明確になっているか、が大切なんだが、特にベーシストは「縁の下の力持ち」的存在。フロントをサポートすることは大の得意だが、冷静に見極めて自分自身をサポートすることは、おしなべて苦手のようだ。
 
 

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Fight_3
 
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2009年6月24日 (水曜日)

少ないけど新譜もそこそこ・・・

どうも、このブログ、バーチャル音楽喫茶『松和』って、ジャズの新譜の話が少ないんじゃないの、って、揶揄する声もある。確かに、新譜の紹介は少ないなあ。でも、そこそこに新譜も聴いていますよ。

と言うことで、最近、聴いた新譜で、これはなんだかなあ、と思ったアルバムがある。 The Stanley Clarke Trioの『Jazz in the Garden』。実力派ベテラン・ベーシストのスタンリー・クラークを中心として、なんと、ピアノに「上原ひろみ」が参加するニュー・プロジェクトである。ちなみに、ドラムは、レニー・ホワイト。リターン・トゥ・フォーエヴァーの二人に、ピアノの上原ひろみが参加する形である。

上原ひろみは、日本のジャズ者の中では大の人気者で、今回、上原ひろみが参加している、というだけで、この『Jazz in the Garden』を手放しで褒め称え、5つ星を献上する輩が多いのだが、ちょっと待った。う〜ん、そんなに手放しで褒め称えるような演奏だろうか。

もともと、スタンリー・クラークに「俺はこれだ、これしかない」といった風の確信を持った演奏のコンセプトがある訳では無い。どんな演奏スタイル、コンセプトにも器用に追従することが出来る、それが、スタンリー・クラークの長所でもあり欠点でもある。

そのスタンリー・クラークが一応、このユニットではリーダー格である。でも、このトリオの演奏スタイル、コンセプト、売りが不明瞭のまま、どうも収録が終わってしまったような感じの、実に「不完全燃焼」な、実に「不可思議」なアルバムに仕上がってしまっている。有り体に言うと、メンバー同士での「化学反応」というか「ハプニング」が起こっていない。実に常識的な演奏が続く。
 

Stanley_clarke_trio

 
上原ひろみも、なんだか良く判らない演奏スタイルに終始。レニー・ホワイト。リターン・トゥ・フォーエヴァーの二人を前にして、どうも、遠慮してか、自らそうしたかったのか、チック・コリアを演じてしまったようだ。もったりとして、切れ味がちょっと足りない、ちょっと力足らずのチックのような、実に中途半端なピアノが冒頭から続く。

これはなんだかなあ。リターン・トゥ・フォーエヴァーの二人に、ピアノの上原ひろみが参加して、あまりリハーサルを積み上げ無いまま、演奏コンセプトを議論しないまま、「まあ、皆の好きなように演奏してみよっか」というノリで作っちゃった感じのアルバムで、とにかく、なにが言いたいのか判らない演奏が、冒頭から暫く続く。それぞれも演奏テクニックは流石に一流で、それだけに、このリーダーシップの欠如は惜しい。プロデューサーとしての「スタンリー・クラーク」、しっかりせんかい(笑)。

救いは、ラストの3曲(米国盤ではラストの2曲)、11曲目「Brain Training」、12曲目「Under the Bridge」、13曲目「L's Bop」は、ユニークな演奏。この3曲には、このトリオの個性を感じ取ることが出来る。このラスト3曲(米国盤では2曲)はイケル。上原ひとみのちょっと捻れたピアノ・ソロも面白いし、スタンリー・クラークのベースもグループ・サウンズとして溶け込んでいるし、レニー・ホワイトのドラムも独特のビートを叩き出し始めている。

出来れば、このトリオで、ギグを繰り返して、グループならではの演奏スタイル、コンセプトを確立して、もう一度、スタジオ録音盤をリリースして欲しい。そんな、ポジティブな可能性を感じることの出来るアルバムではある。が、まとまりが無い分、ジャズ者初心者には、お勧めしかねる内容ですね。

このメンバーで、この程度のアルバム内容は納得出来ない。ギグを積み重ねて、演奏スタイル、コンセプトを確立していけば、もっと凄い内容の、現代を代表するピアノ・トリオが現れ出でる可能性がある。
 
 
 
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2008年2月 6日 (水曜日)

続・上原ひろみは「要注目」です

今朝は朝から時雨れて、いや〜な予感の水曜日。案の定、お昼頃から東京は雪。夕方一度、雨に変わったので、ホッと一息と思いきや、午後6時過ぎ、帰宅途中にまたまた雪に変わった。

最寄り駅から家に帰る道すがらでは、うっすらと積もりつつあるではないか。まあ、強い雪じゃないので、積もらないとは思うが。積もったら、積もったで、まためんどうだ。今年の冬は、冬らしい冬やなあ。しっかり寒いぞ、特に今日は。

さて、昨日の続き、上原ひろみのことである。彼女のピアノは、チック・コリアから、スパニッシュな感じとメランコリックな雰囲気を差し引いて、クラシカルなピアノの雰囲気を加えた感じの正統派ジャズ・ピアノである。明らかに、チック・コリアのフォロアーであると僕は思うが、といって、チック・コリアのコピーになっていないところが、上原ひろみの素晴らしいところ。

最初、一聴すると「あれっ、チックかな?」と思うのだが、暫く聴き進めると「あれ〜、チックとは違うな〜」って感じなのだ。ピアノ・タッチは、決して強い方では無い。自分の腕力見合いで、ペダルを上手く活用しながら、ゆったりとピアノを鳴らしている感じが、実に心憎い。雰囲気のある、個性のある、良いジャズ・ピアノです。
 

Time_control

 
さて、彼女の現在の最新作である『タイム・コントロール』(写真左)、ギターのデビット・フュージンスキーを迎えて、レギュラー・グループ化。その名も「Hiromi's sonic boom」。その「Hiromi's sonic boom」の第一作、レギュラー・グループ結成の名刺代わりの一枚である。

ピアノとシンセサイザーをベースとしたトリオなので、音の厚みと音の色彩のバリエーションを求めて、ギターを入れたのは大正解。テナーだと、上原ひろみのオリジナル楽曲の場合、ピアノのコードとかち合い、シンセサイザーとかち合うので、良くない。ギターが正解だろう。確かに、良い感じのグループ・サウンズで、ギターの加わった厚みのある演奏に、これからへの期待感が高まる。

でも、ちょっとツッコミを入れさせてもらえるならば、このアプローチって、まるっきしチック・コリアやん。一曲目の「タイム・ディファレンス」を聴いた時、思わず、チック・コリア・エレクトリック・バンドや〜、と思った(笑)。途中、広々としたゆったりとした楽曲の展開の部分は、パット・メセニー・グループや〜、と思った(笑)。

確かに、マルチ・キーボード+エレキギターのジャズって、チックとメセニーが両横綱として君臨しているので、比較されて聴かれるのは仕方が無い。でも、このアルバムを聴く限り問題無いと思います。十分に「Hiromi's sonic boom」の個性は感じられるから心配無い。次のアルバムから、この個性をベースに、どんなサウンドをどんな展開をグループの幹にするか。コンポーザー&アレンジャーの上原ひろみの腕のふるいどころである。期待している。

『タイム・コントロール』、「Hiromi's sonic boom」の試運転的なアルバムですが、内容は良いアルバムです。グループ結成直後の第一作としては、よくまとまっていて、次のアルバムへの飛躍とグループのポテンシャルを感じさせるのに十分な内容です。でも、期待は、次ですよ、次。

さてさて、そうこうしているうちに、サッカーW杯アジア3次予選の初戦、日本対タイ戦が終わった。4対1での勝利であるが、W杯予選の初戦とはいえ、内容的には頭を抱えたくなる内容だった。勝ち点3を稼いだことで、とりあえず良しとするが、フラストレーションの溜まった内容。1997年、フランス大会アジア最終予選の初戦、ウズベキスタン戦のイメージと重なる。ゆめゆめ油断するなかれ。南アフリカへの道はまだまだ険しい。
 
 
 
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2008年2月 5日 (火曜日)

上原ひろみは「要注目」です

一昨日の雪が、日陰にしっかり残って、今朝もちょっと滑りながらの通勤となって、危ない危ない。しかも、またまた、JRは遅れるし、一旦、大雪になると、いつになっても後遺症が後を引く、我が千葉県北西部地方。

今日の晩ご飯は、秋刀魚の天日干しと鰯の酢漬け。今年の近海ものの秋刀魚は油がのって美味いというが、確かに美味い。鰯の酢漬けは九十九里浜名産で、これまた美味い。これって、故郷大阪では味わえない味で、とにかく美味い。晩酌に芋焼酎のお湯割りをいただきながらの、日本ならではの魚の料理。日本人に生まれて良かったと思う瞬間である。

さて、昨日、チック・コリア&上原ひろみの『デュエット』をご紹介した。今日は、続けて、上原ひろみについてコメントしたい。上原ひろみは、ジャズ・ピアニストとして、要注目の一人です。何をいまさら、とお思いの方々もいらっしゃるでしょうが、確かにそうなんです。今まで黙ってましたけど、他意はありません。美味しいモノは隠しておきたかっただけです m(_ _)m。

デビュー・アルバム『アナザー・マインド』が出た時は、こりゃ〜まあ、凄い女の子が出てきたもんだね〜、くらいで、まあまあ将来性のある若手ピアニストだな、としか思わなかった。ちょっと可愛い女の子がジャズを演奏するだけで、デビュー・アルバムが出てしまう昨今(レコード会社のマンネリ)、2枚目以降が大事だよね、と気にもとめなかった。

そこで、2枚目『ブレイン』(写真左)である。趣味の悪いジャケットに騙されてはいけない。僕は、このアルバムで、上原ひろみが面白いと思った。何が面白いって、まずは冒頭の『Kung Fu World Champion』である。シンセサイザーの音が秀逸。シンセを良く知っている、弾きこなしている。僕は、高校時代からの「プログレ小僧」なので、シンセの音には「敏感」かつ「うるさい」。
 

Hiromi

 
このシンセって「機種」は何だ。調べてみたら「NordLead2」だった。う〜ん渋い。渋い機種選定である。実は、最近、生ピアノのトリオ演奏は、過去の偉大なジャズ・ピアニストが、大勢で、よってたかって極めに極め、その表現、演奏バリエーションについては、そろそろ飽和状態だと思っていた。それより、電子鍵盤を交えた、エレクトリック・キーボード、マルチ・キーボードのジャズには、まだまだ発展の余地、研究の余地があると感じていた。

そんな時に出会った『ブレイン』である。冒頭のシンセに心酔する「Kung Fu World Champion」という曲もあれば「Desert on the Moon」「Green Tea Farm」ではオーソドックスなアコースティックの曲で、そのリリカルな世界に感じ入ったりする。これぞ、マルチ・キーボードのジャズの可能性を示すものだと思う。しかも、収録曲全てが自作曲。コンポーザーとしての可能性も期待できる内容である。

そして、3枚目『スパイラル』(写真右)。趣味の悪いジャケットに騙されてはいけない。僕は、このアルバムで、上原ひろみについて確信した。これは面白い。上原ひろみは「要注目」である。ここまでくると、レコード会社の「やらせ」では無い、アーティストとしての、プロとしての「上原ひろみ」を頼もしく思った。これは、将来、大化けするかもしれない、これからの成長が楽しみな若手ミュージシャンとして「要注目」である。

この『スパイラル』は、前作『ブレイン』の発展形、『ブレイン』と対をなすアルバムだと思います。シンセと生ピアノの特性を十分に生かし切って、全編、自作曲で、自由に演奏しまくってます。バックの、Tony Grey(b) Martin Valihora(ds)も秀逸。このバックの二人がいての、上原ひろみのマルチ・キーボードである。このリズム・セクションは凄い。エレベ+ドラムの世界もここまで、表現できるようになったのか、と舌を巻く優れものである。

ラストの「Return of Kung-Fu World Champion」は絶品。シンセ「NordLead2」の音色と弾きこなしに酔いしれます。コンピューター・ゲーム世代の音。新しいジャズの音が聴こえてきます。この曲がアンコールでかかると一気に盛り上がるそうですが、判る気がするなあ。僕も大好きな曲です。

この『ブレイン』と『スパイラル』の2枚はお勧めです。マルチ・キーボードのジャズ・トリオとして、これからの可能性と発展が期待できる、そのプロトタイプのひとつがここにあります。う〜ん、言葉で全てを表現するのは難しいなあ。聴けば判る。日本盤のCDは価格が高くてなあ、と思われる方は、iTunes Storeなどでダウンロードすると、千円程度安く手に入れることが出来ます。特に、チック・コリアのエレクトリック・バンドが好きな方はマスト・アイテムですね。

では「上原ひろみのジャズ・ピアノって、どんなの?」ってことについては、長くなってきたので、また明日って事で。To Be Continued・・・。
 
 
 
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2008年2月 4日 (月曜日)

チック・コリア&上原ひろみ

案の定、今朝、昨日の雪はしっかり凍って、危ない危ない。10分ほど早めに家を出て、慎重に歩いて駅へ。昨日から、雪の上を歩いているので、歩くにしても、いつもと違う筋肉を使うらしく、左の足の付け根が痛い。

そして、案の定、JRはベタ遅れ。やれ、架線が凍っただの、車両故障だので、ダイヤは大幅に乱れて、そりゃ〜もう、殺人的な混み具合である。会社に行くだけで疲れた、今日の朝の通勤である (>_<)。しかし、学習能力の無いJR東日本である。大雪の時には決まってダイヤは大混乱する。もう21世紀なのに、なんとかならんか。

さて、最近のジャズの新譜から、お勧めのアルバムをご紹介したい。最近、手に入れた新譜で、感心したアルバムが、チック・コリア(Chick Corea)&上原ひろみの『デュエット』(写真左)。

ジャズ・ジャイアント、そして、僕の一番のお気に入りピアニスト、チック・コリアと若手女性ピアニストの有望株、上原ひろみのデュエット・アルバム。昨年9月24日から26日にブルーノート東京にてライヴ録音されたもの。CD2枚に全12曲を収録。僕は、DVD付き限定盤を入手しました。

これが、素晴らしい内容なんですよ。デュエットの神様、チック・コリアですから、さすがとしか言いようのない素晴らしい内容。上原ひろみの才能も再認識できました。素晴らしいピアノ・デュオです。
 

Duet_chick_hiromi

 
2人のオリジナル曲をはじめ、ビル・エヴァンスやセロニアス・モンク、ビートルズのナンバーまで、二人のピアノが一番映える楽曲をチョイスしており、なかなかにニクイ構成に口元が緩みます。ライブの前の日に入念にリハーサルをやったそうですが、その成果が十二分に出ています。

しかし、このピアノ・デュオを聴いて、明らかに上原ひろみは、チック・コリアのフォロアーだということを確信しました。でも、チックの特色であるスパニッシュ&メランコリックな面は全く無く、どう言ったらいいのか、上原ひろみのピアノは、チック・コリアのピアノから、スパニッシュ&メランコリックな面を除いて、メロディアスな面を増幅したような、とでも形容したら良いのでしょうか。どうりで、彼女のアルバムを聴いた時から、なんだか、しっかりと耳に残って、気になるピアニストの一人になった訳だ。

といって、上原ひろみは、チックを向こうに回して、結構、自由に弾いている。その自由なピアノをチックがしっかり支えつつ、チックの個性を爆発させる。それを良く聴いて、上原は、チックのフォロアーよろしく、カカカッと応える。でも、上原の個性をしっかり出して、チックのフォローに応えるところが潔い。チックもいつにも増して楽しそう。

良いデュオアルバムです。加えて、ブルーノート東京のオーディエンスの素晴らしい。良いライブって、良きにつけ悪きにつけ、オーディエンスの支援あってのことなんですよね。今回のオーディエンスは、実に良いオーディエンス。反応も良い。かけ声も小粋。まあ、こんなピアノ・デュオを目の前で見せられたら、普通じゃいられないよね。幸せだったろうな〜、このピアノ・デュオをライブで体験した人たちって。

今年の注目のチック・コリア。加えて、上原ひろみにも注目だ。今年は、上原ひろみの新作は出るんだろうか。出ないかな〜。出してくれないかな〜。
 
 
 
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