最近のトラックバック

2015年12月20日 (日曜日)

ウィントンらしいXmas曲集

この頃の季節になると、クリスマス曲が街中に流れる様になる。クリスマスの言葉が聞ける季節になると、今年も押し詰まってきたなあ、と感慨深い思いに包まれる。なんだかしみじみしてしまう。

クラシックのジャンルでは、クリスマス曲と言えば、バロック系のバッハとかの宗教音楽系や賛美歌がメインになる。クラシックについては、さすがに歴史があるジャンルなので、曲のバリエーションが豊富。それでも曲の作りはバロック時代のものが殆どなので、飽きると言えば飽きる。

ポップスのジャンルでは、定番のクリスマス・ソングをカバーするが、アレンジが一様なのであまり面白く無い。ポップスで採り上げられる曲は、スタンダード系で数十曲で、様々なミュージシャンが寄ってたかって、その数十曲を一様なアレンジでやるもんだから、基本的に飽きる。

ジャズのジャンルについては、採り上げられる曲の数については、ポップスと事情は似たり寄ったりなんだが、アレンジのバリエーションが圧倒的に豊富だ。ジャズの演奏スタイルについても数十種類のスタイルがあり、ジャズメンの数だけ個性がある。同一曲でも同じアレンジ、表現になることは無く、そういう意味では一番飽きが来ない。

例えば、このアルバムは、そんなジャズのジャンルにおけるクリスマス曲のアレンジの面白さを伝えてくれる。Wynton Marsalis『Crescent City Christmas Card』(写真左)。1989年リリースの、ジャズ・トランペットの貴公子、ウィントン・マルサリスの初クリスマス・ソング集である。
 

Crescent_city_christmas_card

 
この頃のウィントンは「自分のルーツ探し」にご執心の時期で、ブルースだのディキシーだの、ジャズのルーツと言われる米国ルーツ・ミュージックに触手を伸ばしていて、このクリスマス曲集でも、内容的にはオールド・ジャズをベースにしたスタイルのアレンジで固めている。いわゆる「ニューオリンズらしさ」を出したデキシーランド・ジャズなスタイルの演奏が特徴的。 

とにかく優秀なメンバーを集めて、優等生なウィントンが完璧なテクニックと理屈っぽいアレンジを施して制作したクリスマス曲集である。とにかく全編、ある種の「生真面目さ」が充満している。思わず襟元を正して聴いてしまう、そんな堅苦しさはある。

しかし、聴いて楽しいばかりがジャズでは無い。このアルバムには、真摯なジャズを前提にした、ある種、敬虔な雰囲気が漂う、優れたクリスマス曲集に仕上がっている。ポップスのクリスマス曲集の様な楽しさは無いが、メインストリームなジャズとしては聴き応えのある作品ではある。

このクリスマス曲集は、ダイレクトに当時のウィントンらしさが反映された作品でしょう。しかし、サンタの格好をして、トランペットを片手にはにかんでいるウィントン・マルサリスの写真をあしらったアルバム・ジャケットには、いつもながら「ひき」ますね〜(笑)。

 
 

震災から4年9ヶ月。決して忘れない。まだ4年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2014年4月29日 (火曜日)

魅力的な若かりし頃のウィントン

ウィントン・マルサリスがメジャー・デビューを飾った年が1981年。アルバム『Wynton Marsalis』、邦題『ウィントン・マルサリスの肖像』であった(2007年12月10日のブログ・左をクリック)。この初リーダー作でのデビューには、当時、ビックリしたのを覚えている。とにかく上手い。そして、トランペットを素晴らしく魅力的に鳴らし切っている。そして、アドリブ・ラインの魅力的なこと。惚れ惚れした。

メジャー・デビュー当時、ウィントンは弱冠20歳。弱冠20歳でこのパフォーマンスには驚いた。確かにこの時代、若かりし頃のウィントンは相当に魅力的なトランペッターだった。一心不乱に吹きまくるウィントンは素晴らしい。特に、そんな若かりし頃の魅力的なパフォーマンスを愛でるにはライブ盤が一番相応しい。

ここに『With Art Blakey's Messengers I』(写真左)と『With Art Blakey's Messengers II』(写真右)の2枚のライブ盤がある。ウィントンが、アート・ブレイキーが主宰する「Jazz Messengers」に所属していた時代のライブ音源である。

1980年10月、フロリダのレストランでの録音になる。ちなみにパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Bobby Watson (as), Charles Fambrough (b), Jimmy Williams (p), Billy Pierce (ts), Art Blakey (ds)。Art Blakey & Jazz Messengersとしてのライブ演奏である。

演奏内容としては、コッテコテのハードバップである。1980年のジャズ・メッセンジャーズ。まずまずの演奏内容であり、まずまずの演奏レベルである。そんな中、さすがである、ウィントン・マルサリスのトランペットとアート・ブレイキー御大のドラムが突出している。後のメンバーはまずまずの出来かな。突出はしていないが平凡では無い。
 

Wynton_with_art_blakey_12

 
とにかくバリバリに吹きまくる19歳のウィントンが魅力的である。まだ弱冠19歳なので、バリバリ吹きまくるアドリブ・フレーズに音のニュアンスとしての深みは感じられない。とにかく最高なテクニックで吹きまくる。しかし、そのテクニックのレベルが半端ではない。恐らく、ジャズ史上の最高レベルに匹敵するテクニック。思わず、クリフォード・ブラウン、フレディ・ハバードを想起する。

Art Blakey & Jazz Messengersとしてのライブ演奏なので、演奏される曲のほどんどがスタンダード曲なのも嬉しい。ウィントンの非凡なスタンダード曲の解釈が良く判る。これが19歳の解釈であり、これが19歳での演奏なのか、と感じ入ってしまう。メジャー/デビュー当時、天才ウィントンと謳われたのも改めて納得出来る。

このライブ盤『With Art Blakey's Messengers I & II』については、準ブートレグ的なアルバムであり、様々なジャケットで販売されていたり、CD2枚組にまとめて販売されていたりで実に紛らわしい。もし、このライブ音源を所望するのであれば、是非とも間違わずに選んで欲しいなあ、と願っています。

ウィントンの若かりし頃の魅力的なパフォーマンスを愛でるにはライブ盤が一番相応しい。というか、ウィントンの本質を確認するにはライブ・パフォーマンスが一番。ライブ・パフォーマンスにおいては、そのジャズメンの本質が如実に表れる。ウィントンは熱い魂と矜持を持ったジャズ・トランペッターである。

 
 

大震災から3年1ヶ月。決して忘れない。まだ3年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2014年4月28日 (月曜日)

ウィントンの盤はしっかり選ぶ

ウィントン・マルサリスは、若くから、素晴らしいテクニックの持ち主で、しかも切れ者で、リンカーンセンターのジャズ音楽監督も務める才人です。が、とかく、誤解されやすいミュージシャンです。ハッキリものを言い過ぎというか、品行方正が過ぎるというか、とにかく真面目。その真面目が類い希な才能を持ち合わせている訳です。まあ、誤解され易いタイプそのものですよね(笑)。

しかし、彼の持つジャズ・スピリッツは素晴らしいものがあります。ウィントン・マルサリスと言えば、10歳台の若さから、天才的なテクニックの持ち主として名を馳せる一方、才人でもある。例えば、ニューヨークのリンカーンセンターのジャズ音楽監督としても知られ、学術的な一面も持ち合わせる。

父は、ジャズ・ピアニストのエリス・マルサリス。兄は、同じジャズのサックス奏者として有名な、ブランフォード・マルサリス。所謂、音楽一家に育った、ジャズ界のエリートとも言える存在である。

さて、そのウィントン、若い頃は、ジャズ界の先進気鋭の若手ミュージシャンとして将来を嘱望され、評論家筋からも評判は上々、日本でも人気はうなぎ登りだった。が、しかし、その絶妙なテクニックを駆使してクラシック界へ進出、幾つかのアルバムも発売し、クラシック界からも注目されるに至った頃から、ウィントンに対する風向きが変わりだした。

先にも書いたニューヨークのリンカーンセンターのジャズの音楽監督に就いて、ジャズの歴史を遡ったジャズ・オーケストラ中心の学術的なアルバムを数々発表。決定的だったのは、これを判らないのはジャズが判らないのと同じだ、と評論家筋とやりあったり、ジャズのルーツはニューオリンズで、ニューオリンズのデキシーランド・ジャズを評価出来ない奴はおかしい、とか挑発的な言動をやったことだった。それ以来、やれ「あいつは生意気だ」とか、「あいつは頭でっかちで、ジャズ・スピリッツが無い」とか、散々な評価を頂戴した。
 

Wynton_standard_time_5

 
まあ、リンカーンセンターのジャズの音楽監督としての活動を通じてのアルバムには、確かに、ちょっといただけないアルバムが幾つかあるので、評論家やアンチ・ウィントン派の批判は、部分的には当たっていると言えば当たっているなあ、と思うが、「あいつには頭でっかちで、ジャズ・スピリッツが無い」と一方的に決め付けるのはどうかと思う。

その証拠のひとつがこのアルバム。Wynton Marsalis『Standard Time, Vol.5:The Midnight Blues』(写真左)。1998年のリリース。ちなみに中核となるパーソネルは、Wynton Marsalis (tp), Eric Reed (p), Reginald Veal (b), Lewis Nash (ds)。

というのも、このアルバムはウィズ・ストリングス盤である。オーケストラの伴奏にのって、ウィントンがトランペットを朗々と吹き上げていく。しかも、曲はスタンダードが中心。様々なミュージシャンがチャレンジして、その解釈に手垢がついた曲ばかりだが、ウィントンはこともなげに唄い上げていく。

なにしかトランペットの音が凄い。ブリブリと真鍮がビビットに震える様な音を出しながら、朗々と数々のスタンダードを奏でていく。それはそれは、素晴らしい演奏で、このトランペットのどこが、ジャズ・スピリッツの欠落と言えようか。

でも、リンカーンセンターのジャズ音楽監督関連のウィントンの作品には首を傾げたくなる作品がある。クラシックに走ったアルバムについては、ジャズメンという観点で見た時に、その必然性については疑問符満載(笑)。

でも、反面、凄い盤もあるんだ。若き日のウィントンには、同じウィズ・ストリングス盤で『Stardust』というアルバムがある。そして『Marsalis Standard Time, Vol.1』がある。ジャズ史に残る名盤である。ウィントンのアルバムは「しっかりと選ぶ」必要がある。そして、その選択を誤るとウィントンを嫌いになるし、その選択が正解だとウィントンは素晴らしいと思う。なかなか厄介なジャズメンではある。

 
 

大震災から3年1ヶ月。決して忘れない。まだ3年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2014年1月 6日 (月曜日)

名演を引き出した「若き才能」

真に優れたミュージシャンとは「現金なもの」である。V.S.O.P.での演奏がマンネリに傾き、最後のスタジオ録音盤であった『Five Stars』などは、ピリッとしたところが無い、漫然とした内容に陥った。そのV.S.O.P.のリズム・セクションが、Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) の3人。1979年7月の東京録音であった。

それから丁度2年後。1981年7月、同じ東京の録音。しかし、今回はちょっと違う。メインストリーム・ジャズの若き才能とのセッションの記録である。その若き才能とは、そんじょそこらの若き才能とは違う。10年から20年に一人の逸材。天才トランペッター、ウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)とのセッションである。

その若き才能との邂逅のセッションを記録したアルバムが、Herbie Hancock『Quartet』(写真左)。1981年、LPでのリリースは、2枚組のボリュームだった。ジャケットのデザインも良く、このアルバムは内容が期待出来た。

そして、出てくる音は「真剣勝負」そのもの。V.S.O.P.の最後のスタジオ録音盤でのマンネリな雰囲気と、ちょっとダルな演奏とは打って変わって、リズム・セクションを担う、Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) の3人の演奏は、切れ味鋭く、テクニック抜群。テンション高く、そのインプロビゼーションは真剣そのもの。

これだけ、このベテランな3人を本気にさせるトランペッター、ウィントン・マルサリスとは如何なるものか、と思うんだが、冒頭の「Well You Needn't」を聴くだけで、その若き才能とは、そんじょそこらの若き才能とは違うことが判る。それまでの普通のトランペッターとは、全く次元が違う演奏であり、個性であり、音の響きである。
 

Herbie_hancock_quartet

 
この10年から20年に一人の逸材との邂逅が、元マイルス・デイヴィスの黄金の第二期クインテットのリズム・セクションを担った、Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) の3人の「本気」を思い切り引き出している。本当に、真に優れたミュージシャンとは「現金なもの」である(笑)。

天才トランペッター、若き日のウィントン・マルサリスの演奏も素晴らしいが、それ以上に素晴らしいのが、Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) の3人の演奏。内容、テクニック、展開、音の響き、いずれも彼らのその時点でのベスト・プレイに近い高レベルの演奏を全編に渡って繰り広げている。3人とも当時としては、例外的に弾きまくっている。

そう弾きまくりである。こんなにアコピを弾きまくるハービーも珍しいし、ピッチもあってアコベらしい音を響かせながら、真剣にモーダルなベースを弾きまくるロンも珍しい。逆に、程良い小粋な抑制を効かせながら、ビシバシとドラミングをキメまくるトニーも珍しい。まるで、マイルス・デイヴィスをバックを務めている時のようだ。

この『Quartet』というアルバムは、ウィントンの希有な「若き才能」のお陰で、元マイルス・デイヴィスの黄金の第二期クインテットのリズム・セクションを担った、Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) の3人の本気の演奏を愛でることの出来る優秀盤である。

そして、ハービーはリーダーとして、ウィントンのトランペットを上手くコントロールし、ウィントン自身の初リーダー作よりも、より魅力的にウィントンのトランペットを唄わせているところが見事である。ウィントンを唄い手になぞらえてみると、なるほど「伴奏のハービー」の面目躍如である。

 
 

大震災から2年9ヶ月。決して忘れない。まだ2年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2013年10月21日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・28

ジャズは懐深い音楽ジャンルで、他の大抵のジャンルの音楽と融合したり、そのエッセンスを吸収したり、他の音楽ジャンルに対して、かなり柔軟な音楽フォーマットである。

古くは、ラテン音楽のエッセンスを吸収して「ラテン・ジャズ」が流行ったり、ボサノバのエッセンスを吸収して「ボサノバ・ジャズ」が流行ったり、ロックの8ビートと誘導して「クロスオーバー・ジャズ」が流行ったり、クロスオーバー・ジャズにAORのソフト&メロウな要素を吸収して「フュージョン・ジャズ」が流行ったり、アフリカのネイティブな民族音楽と融合してみたり、ジャズは他のジャンルの音楽に対して、かなり柔軟である。

ジャズのミュージシャンと他のジャンルのミュージシャンと共演する、いわゆる「異種格闘技」的なセッションも厭わない。この「異種格闘技」的なセッションは、時に素晴らしい「化学反応」を起こし、単なる「共演」の音を通り越した、ジャズ+αの唯一無二な音世界が展開されたりする。

さて、その「異種格闘技」的なセッションとして、2011年4月ニューヨーク、リンカーン・センターで、エリック・クラプトンとウイントン・マルサリスの共演による、ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合によるスペシャル公演の模様を収録したライブ盤、Wynton Marsalis and Eric Clapton『Play The Blues - Live From Jazz At Lincoln Center』(写真左)がリリースされた。2011年9月の事である。

この「異種格闘技」的セッションの触れ込みは「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」。ウイントン・マルサリスが全ての曲をアレンジするほどの気合いの入れよう。また、クラプトン自身は、ジャズに対する畏敬の念を持っており、どこかでジャズとの「異種格闘技」を期待していたようである。
 

Play_the_blues

 
かっての「ジャズ界の貴公子」ウィントン・マルサリス、「ブルース・ギターの神様」エリック・クラプトン。さて、この2大ミュージシャンが「異種格闘技」をしたら、どんな化学反応が起こるのか。このライブ盤の興味はその一点に尽きる。

しかし、ちょっと肩すかしを食らう。「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」が狙いであったのだが、どうも全編に渡って「融合」したという雰囲気は無い。当然、化学反応も起こっていない。演奏のレベルは高いものがあるだけに実に惜しい。

ニューオリンズ・ジャズの部分は、さすが腕利きミュージシャンを集めてのセッションなので、まずまず聴き応えがある。が、なんだかちょっと「きれい」なのが気がかり。ジャズならではの、良い意味でのラフさが無い。書かれた譜面を基に演奏しているような、綺麗なニューオリンズ・ジャズ。

ブルース・ギターの方は、ジャズを意識しすぎたのか、ブルース・ギターのブルージーさが、ジャズのブルージーさの取って代わって、なんだか良くわかならい雰囲気の演奏になってしまった。誤解してほしくはないのだが、クラプトンのプレイは水準以上で、なかなかのプレイを披露してくれている。しかし、いつもの、感性でバリバリ弾きまくるクラプトンでは無いのだ。

「なんだかなあ」という内容は実に残念。特に、あの名曲「レイラ」をジャズ・ボーカル風なバラード・チックなアレンジに仕立てあげた意味が良く判らない。「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」の一例として、一度聴く価値はあるとは思うが、ヘビー・ローテーションにはならないだろう。それぞれの演奏は水準以上なのだが、何かが足らないのだ。

「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」としては、こんなアルバムあったんや、なんですが・・・。「ブルース・ギターとニューオーリンズ・ジャズの融合」の化学反応を狙って、予定調和に陥ってしまったようなライブ盤。演奏のレベルは高いものがあるだけに実に惜しい。
 
  
 
大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

2010年2月 1日 (月曜日)

ジャズと異種格闘技・1

ジャズは非常に懐の深い音楽である。ジャズ単体でも、様々なフォーマット、様々なジャンルの演奏形態がある。異種格闘技、いわゆる他の音楽ジャンルとの共演、融合も「お手のもの」。ロックとの融合、クロスオーバーから端を発したフュージョン・ジャズというジャンルもあるし、フュージョン・ジャズにAORの要素を融合して、スムース・ジャズというジャンルもある。

ジャズの得意とするところの「異種格闘技」。最近、リラックスしたい時に聴く「異種格闘技系ジャズ」のアルバムに、Willie Nelson & Wynton Marsalis の『Two Men with the Blues』(写真左)。このウィリー・ネルソンとウイントン・マルサリスとの共演ライブ盤が、実に良い感じなのだ。

ウィリー・ネルソンと言えば、米国のシンガーソングライターであり、カントリー界の大御所。1933年4月生まれだから、今年77歳、喜寿である。このカントリー&ウエスタンの大御所と、ジャズ界で最も著名なジャズ・ミュージシャンであり、トランペッターであるウィントン・マルサリスとの共演である。まとめると「カントリー&ウエスタン」と「ジャズ&ブルース」の異種格闘技的ライブである。

「カントリー&ウエスタン」と「ジャズ&ブルース」、どちらも米国ルーツ・ミュージックの根幹をなすものである。意外と相性が良いのには感心した。2007年1月にNYで行われた二夜限りの共演コンサートのライブ録音なんだが、それはそれは素晴らしいパフォーマンスだ。

ウィントン率いるジャズ・バンドを従えて、ネルソンが、カントリー&ウエスタンの、はたまた、ジャズのスタンダード曲を、いぶし銀のような渋さで歌い上げていく、そんな感じの1時間。
 

Nelson_wynton

 
ネルソン十八番のカントリー&ウエスタンのスタンダード曲は、とにかく楽しい。そして、カントリー&ウエスタンの曲のバッキングを担当するウィントン率いるジャズ・バンドの適応力というか、ジャズをベースにした「カントリー&ウエスタン」風のバッキングがとても素晴らしい。ウィントンのトランペットは、テクニック、そして歌心共に「鳥肌もの」。いや〜凄いわ、これは・・・。

逆に、カントリー界の大御所のネルソンが歌い上げるジャズ・スタンダード曲も素晴らしいの一言。カントリー&ウエスタンをベースにした「ジャズ」風の、そして「ブルース」風のボーカルが実に素晴らしい。ジャズには無い、米国中西部の風が吹く。「Stardust」そして「Rainy Day Blues」のネルソンのボーカルなど、これまた「鳥肌もの」である。

「Georgia on My Mind」や「Down By the Riverside (Bonus Track)」などは大感激。実は僕は、カントリー&ウエスタンの曲調が大好き。「Down By the Riverside」などは涙もの。そして、カントリー&ウエスタンの名曲のバックで、スウィング感溢れるバッキングを披露するウィントン率いるジャズ・バンドの「ハイテクニック&ジャジー感」。いや〜、この異種格闘技は素晴らしいの一言です。

余裕を持って全編を聴き通して頂きたいライブ盤です。ライヴならではの即興プレイも心地良く、まことに素晴らしい「カントリー&ウエスタン」と「ジャズ&ブルース」の異種格闘技的ライブ盤です。一期一会とはこのことでしょう。
  
寒い。今日夜半から雪になる、とのことだったが、帰宅途中で既に雪に変わった、我が千葉県北西部地方。これは積もるなあ。今年の冬は雪が降らないのでは、と油断していたら、いきなり雪である。でも、この天気って、2月の終わりから3月上旬の春を呼ぶ雪の気圧配置ではないのかと・・・。やっぱり、今年は1ヶ月ほど早く季節が動いている感じがする。

不意を打つ 見上げる顔に みぞれ雪
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。 
 

2008年7月12日 (土曜日)

アート・ブレイキー、晩年の快進撃

朝は強い日差しの暑い朝。午前中は、玄関の納戸の大掃除をして、傘のメンテナンス。汗ビッショリになりながら、いや〜、働きました。よって午後はちょっと昼寝。それから、夕方は、ロシア旅行のブログ作りに没頭。そして、夕飯は、茄子とトマトのスパゲッティーを作って、今、寛ぎながら、ブログを打っている。いや〜、どうってことはないんですが、なんだか、ちょっと充実した一日でした (^_^)v。

さて、昨日は、1980年のアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースをご紹介した。着目すべきは、この1980年の録音に、後のジャズ界のリーダー格のひとりになるウィントン・マルサリスが、ジャズ・メッセンジャースに参加していることである。

このウィントン参加のジャズ・メッセンジャースが、アート・ブレイキーの晩年の快進撃の狼煙になった。1981年の終わりには、兄貴のブランフォード・マルサリスも参加し、フロントに、マルサリス兄弟が、トランペットとアルトサックスを担当するという、今になって思えば、凄いことになっていたのだ。

ここで面白いのが、兄貴のブランフォード・マルサリスが、アルト・サックスを手にしていること。本来、彼はテナー・サックス奏者である。恐らく、当時、ジャズ・メッセンジャースには、優れたテナー奏者、ビル・ピアースがいたので、ブランフォードはアルト・サックスを手に取ったんだろう。それほどまでに、ジャズ・メッセンジャースの参加は魅力だったのだろうか。
 

Keystone_3

 
1982年録音の『Keystone 3』(写真左)を聴いてみると、ブランフォードがアルト・サックスに持ち替えてまでも、ジャズ・メッセンジャースに参加したかったのかが判る。強烈なアート・ブレイキーのリーダー・シップの下、新しい響き、新しいアプローチ、新しい解釈を兼ね備えた、最先端のハード・バップが演奏されている。ちなみに、パーソネルは、Wynton Marsalis (tp),Branford Marsalis (as),Billy Pierce (ts),Donald Brown (p),Charles Fambrough (b),Art Blakey (ds) 。

聴き始めると、早々に冒頭の「In Walked Bud」でぶっ飛ぶ。この容易にはノリにくい、セロニアス・モンクの名曲を、6人一丸となって、ノリノリで飛ばしまくる。参加したての2年前、1980年の演奏に比べて、ウィントンは格段に上手くなっている。というか、余裕と風格さえ感じられる。

次の「イン・ア・センティメンタル・ムード」では、ブランフォードの泣きのアルトが良い。続く、「フラー・ラヴ」は、ボビー・ワトソンの作曲。格好良い曲です。その格好良い曲を、実に格好良く演奏する。今の耳で聴いても、実に「クール」な演奏です。

ウィントン作の「ウォーターフォールズ」、続くラストナンバー「ア・ラ・モード」と、アート・ブレイキーの強烈なリーダー・シップと、フロントの3人を煽りまくるドラミングは凄い。フロントの3人、ウィントン、ブランフォード、ピアースも負けじと吹きまくる。しかし、この若手大物3人、一丸となった、ありったけの力を振り絞った演奏を、ブレイキーは余裕を持ってガッチリ受け止め、新しいジャズの創造の世界に送り出す。素晴らしい疾走感。

1967年7月、ジョン・コルトレーンが亡くなり、1970年代、フュージョン全盛となり、旧来の純ジャズは廃れた。「ジャズは死んだ」とまことしやかに語られた時代。ところがどっこい、ジャズは生きていた。ハード・バップは生きていた。生きていたどころか、過去に無い、新しい響きと新しいアプローチ、新しい解釈を引っさげて、ジャズは帰ってきた。

その母体のひとつだったのが、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース。それぞれの時代のジャズ・メッセンジャースの演奏を聴けば良く判る。いかなる時代も「ジャズは死なない」。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信して下さい。
 

2008年7月 3日 (木曜日)

Lincoln Center Jazz Orchestra

今朝は梅雨時には珍しく、湿気をタップリ含んだ強い南風。この時期の南風は雨にはならないが、不快指数が最大になること間違い無し。案の定、朝から湿度が高く、不快指数最大の千葉県北西部地方。今日は特に、西日本では蒸し暑かったみたいですね〜。

さて、昨日は、ウィントン・マルサリスについて語った。このウィントン・マルサリスが芸術監督を務める「ジャズ・アット・リンカーン・センター(Jazz at Lincoln Center・写真右)」。このJazz at Lincoln Centerの「Lincoln Center Jazz Orchestra」については、その演奏成果について、幾枚か優れたアルバムになって残されている。

僕が今回手にれたのは「Live in Swing City - Swingin' With Duke」(写真左)。タイトルから判るように、デューク・エリントンの曲を取り上げたライブ盤。ビッグ・バンド形式の演奏で、1999年のリリース。当時の精鋭ミュージシャンを集めて結成した「Lincoln Center Jazz Orchestra」。その演奏は実に素晴らしい。

構成メンバーの詳細が判らないので申し訳ないが、恐らくは、現代ジャズの名うての強者、技術的に優れた、志の高いミュージシャンが参加していると思われる。演奏のテクニック、密度、アンサンブル、ハーモニーを聴けば直ぐに判る。とにかく上手い。でも、テクニック馬鹿では無い。歌心もあるし、ユーモアもある。教科書的な真面目一辺倒な演奏かといえば違う。その演奏は手加減無く、現代ジャズの最先端をいくテクニックなのだ。
 

Live_in_swing_city

 
アレンジは、デューク・エリントン楽団のオリジナルに近い。しかし、デューク・エリントン楽団のコピーでは無い。演奏の中に、過去から現在までのジャズの演奏スタイル、フリー、ファンキー、スイング、ビ・バップなどが、上手くアレンジされており、トラディショナルなデューク・エリントン楽団のアレンジと様々な過去からのジャズの演奏スタイルが上手く融合されていて、聴いていて実に興味深い。

収録曲は以下の通り。

1. Happy Go Lucky Local
2. Main Stem
3. C Jam Blues
4. Multi Colored Blue
5. Chinoiserie
6. Black And Tan Fantasy
7. Cottontail
8. Mood Indigo
9. Bli Blip
10. Harlem Air Shaft
11. Portrait of Louis Armstrong

選曲も良く考えられており、聴いて楽しい。ジャズの楽しさが体感でき、ジャズの歴史が理解できる、デューク・エリントンの曲を選んでいるのが良く判る。

これが、このウィントン・マルサリスが芸術監督を務める「Jazz at Lincoln Center」の「Lincoln Center Jazz Orchestra」の真の姿だとすると、この成果は、ジャズにとって素晴らしいものである。ジャズの歴史とスタイルの変遷、そして今日のジャズが一聴して判る、教科書のような演奏の数々。

米国が羨ましい。日本は、米国よりもジャズに対して造詣が深いと言われるが、この「Jazz at Lincoln Center」の活動を見ていると、日本はジャズなどの音楽系の芸術文化に対して、本当に投資しない国だと思う。これではいけない、と思う。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 

2008年7月 2日 (水曜日)

ウィントンの「考えるジャズ」

梅雨なのでスカッと晴れないまでも、雨が降ることも無く、朝はとても涼しい、我が千葉県北西部地方。とにかく涼しい朝が続いていて、毎朝、飽きもせず、通勤する僕にとっては「やさしい」朝である。このまま、ずっとこの感じで秋になればいいのに(笑)。
 
最近、ウィントン・マルサリスのアルバムを聴きなおしている。マルサリスは、現代において、著名で、かつ重要なジャズ・ミュージシャンの一人。ジャズ・アット・リンカーン・センター(Jazz at Lincoln Center)の芸術監督を務めており、伝統的ジャズの再評価と復刻、保存、発展をテーマに積極的に活動している。

ウィントンは誤解されることが多い(その殆どが並外れた彼の才能へのやっかみが原因なんだが)。この伝統的ジャズの再評価と復刻、保存、発展についても、とやかく言われることが多い。まあ、ストイックなスイング、ビ・バップからハード・バップが「伝統的なメインストリーム・ジャズ」であり、エレクトリック・ジャズ、フュージョン・ジャズ、フリー・ジャズ、ファンキー・ジャズなどは、本来のジャズでは無い、という旨の、偏った発言をしたこともあり、誤解されても仕方がないんだけれど・・・。

やれ、ウィントンは頭でっかちだの、頭だけでジャズを演奏するだの、理屈で演奏するジャズは面白くないだの、上手すぎて面白く無いだの、すましていて小憎らしいだの、とにかく、ウィントンの様々な成果については、必ずと言って良いほど、「アンチ・ウィントン派」が必ずいる。

本当のところはどうなんだ、と思う時は、自分の耳で確かめてみる、というのが、正しい音楽ファンの作法だろう。例えば、今回、ご紹介する2005年8月にリリースされた『Live at the House of Tribes』(写真左)を聴いてみる。
 

Wynton_live_1

 
このライブ盤を聴くと、ウィントンの「考えるジャズ」が良く判る。演奏全体の雰囲気は「超絶技巧」。とにかく、メンバー皆上手い。しかし、その「超絶技巧」をひけらかすことなく、グッと抑えて演奏している。楽曲のベースは「ブルース」。ファンキーな雰囲気は、極力押さえ込まれ、音の裏側にうっすらと感じるだけ。

音の重ね方、リズムの取り方、アドリブの旋律、どれを取っても、過去に聴いたことの無い響きが全体を支配する。ところどころに顔を出す、デューク・エリントンに対するオマージュと、近代ジャズのルーツとされるニューオリンズ・ジャズからスイング・ジャズの奏法。ハード・バップの様に単純に受け渡されるのではない、実に検討され工夫されたインプロビゼーションの展開。

恐らく、このライブ盤の演奏は、現代のジャズにおいて、かなり新しい、先端を行く、「クール」な演奏だと思う。

でも、じゃあ判り易くて、親しみ易いかというとこれが「分かり難い」。それぞれの演奏曲についてだが、テーマがメロディアスでなく、メロディーが追えないのだ。つまり、一般の音楽ファンやジャズ初心者の方々が、このライブ盤を聴くと、凄く演奏は上手いということは判るが、何が素晴らしいのか、恐らく良く判らないだろう。「メロディーが追えない」、この事実がジャズを難しく感じさせる原因である。

このウィントンの『Live at the House of Tribes』は、ミュージシャンズ・ミュージシャンならぬ、「ミュージシャンズ・アルバム」だろう。プロのジャズ・ミュージシャンや年季の入ったジャズ・マニアには、このアルバムの意味するところが判るが、一般の音楽ファンには分かり難い、実に厄介なアルバムである。このアルバムは、決して、ジャズ初心者向けではありません(笑)。

とはいえ、現代ジャズの環境において「優れた演奏であるにもかかわらず、一般受けしない」というのは悪いことでは無いと僕は思う。これも「ジャズ」という音楽ジャンルの中の「ひとつの成果」である。聴きやすく、一般受けするばかりが「ジャズ」ではないだろう。このライブ盤を否定することは、ジャズのアーティスティックな面を否定することになる。

確かに売れないけれど、一般受けしないけれど、ここには、現代ジャズにおける、かなり新しい、先端を行く「クール」な演奏がある。でも、判り難いんだよな〜。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
 

2007年12月10日 (月曜日)

ウイントン・マルサリスの肖像

今日は久しぶりに予定休。基本的に、一ヶ月にどこかで1回は予定休にして、有給休暇を消化がてら、日頃、時間が無くて出来ない、趣味に関するまとまった作業の時間に充てている。

今回は、フフフッ、ステレオのメイン・アンプを買い換えまして...(^_^)v。今まで使っていたメイン・アンプは13年間使いこなしてきたんですが、さすがに10年以上使ってきて、つまみのあちこちにゴミが溜まってきたのか、たまに右チャンネルから音が出なくなったり、ボリュームをさわるとガリガリと大きなノイズが出たり、少しずつ問題が出始めた。

メイン・アンプなので壊れてからでは遅い。とにかく、CD鑑賞が日頃の趣味で、これが無類の楽しみなので、アンプが壊れて、暫くの間、メイン・システムでCDが聴けなくなるのは辛い。
 
ということで、3ヶ月前から、我が家の金融庁と交渉、陳情を繰り返した結果、今年の冬のボーナスで購入OKの許可が下りた。メイン・アンプの買い換えは、ちょっとハンパな額じゃないんでねえ (^_^)v。

その買い換えたアンプのセッティングをしたくて、今日は予定休。とにかく、アンプ自体が25㎏程度あって、ハンパな重さじゃない。加えて、今回はスピーカー・ケーブルを全て張り替えて、スピーカーのスタビライザーも全て、最新の鋳鉄製に交換するので、とにかく手間ヒマがかかる。朝からセッティングし始めて、終わったのが、午後2時過ぎ。

いや〜、投資したおかげで、メイン・システムは、素晴らしい音になりました。書庫のサブ・システムもメインのアンプのお古を回したので、これまた音はグレード・アップ。
 
しかも、今回は、サブ・システムのアンプが余ったので、寝室にサブサブ・システムをくみ上げた。これが、またまたいい音で鳴る。これで、生活空間全てで、音楽がいい音で聴ける環境が出来たことになる。学生時代の夢がまた一つ叶ったことになった。喜ばしい限りである。
 
さて、その素晴らしい音にアップ・グレードしたメイン・システムで、音出しテスト。今回、手に入れた『ウィントン・マルサリスの肖像』(写真左)も、アップ・グレードした良い音で聴くことが出来た。
 
こ のアルバム、現在のジャズ界のトランペッターの最高峰のみならず、ジャズ界全体のリーダー格の一人である「ウィントン・マルサリス」(写真右)の栄えある 初リーダー作である。有名盤でありながら、暫くの間、廃盤になっていたのであるが、今回、やっと再発された。LPでは所有しているが、CDは無い。今回 やっとCDで購入。
 

Wynton_first

 
聴いてみると、面白いことに気がつく。ウィントンが、全力を出さずに、抑えに抑えて、ペットを吹いているのが感じてとれるのだ。録音メンバーは、Branford Marsalis (sax), Jeff Watts (ds), Clarence Seay (b), Kenny Kirkland (p),Wynton Marsalis (tp) Herbie Hancock (p) Ron Carter(b)Tony Williams(ds) Charles Fambrough (b)と新旧入り乱れての録音となっている。

この初リーダー作を録音した時、ハービー御大は「100%吹き切らなくて良い。70%位が一番良いんだ」とアドバイスしたそうだが、ウィントンは、融通が利かず、全体的に70%減じての演奏になって、なんだか不完全燃焼的な演奏になっている。

「70%の力でやれ」って言われたら、本来は「良い所、効果的な所」は残し、「やり過ぎの所、過剰な所」は省いて、70%に減じるのだが、ここでのウィントンは「良い所、効果的な所、やり過ぎの所、過剰な所」を全て併せた全体から、単純に30%減じた演奏になっていて、なんだか、ウィントンの生真面目な性格を垣間見るようで面白い。

賛否両論が渦巻いたデビュー作でした。確かに「良い所、効果的な所、やり過ぎの所、過剰な所」を、全て併せた全体から、単純に30%減じた演奏になっているので、賛否両論渦巻くのは判ります。
 
でも「良い所、効果的な所、やり過ぎの所、過剰な所」を全て併せた全体から、単純に30%減じた演奏で、これだけの演奏を残せたのですから、本来の「良い所、効果的な所」は残し、「やり過ぎの所、過剰な所」は省いて、70%に減じることが出来たら、どんな成果が出るのか、空恐ろしい感じがします。

しかしながら、このデビュー作から16年経った今でも、ウィントンの演奏は、未だに本来の「良い所、効果的な所」は残し、「やり過ぎの所、過剰な所」は省いて、70%に減じる、という方法について、悩んでいるフシが見え隠れするので、ジャズというのは、面白くもあり、厄介なものでもあります。

でも、僕は、この「生真面目な」ウィントンの演奏が好きです。若いうちから、小手先で受け狙いをしながら、世渡り上手な演奏する輩よりは、はるかに好感が持てます。頑張れ、ウィントン。もう少し、年齢を重ねたら、それが出来るようになる。

ジャズはライブであり、ジャズはインプロビゼーションである。ジャズの歴史を学び、理解するのは大切だと僕も思う。でも、歴史を音楽にし、歴史をジャズで語るのは、ちょっと違うのではないかと思っている。ジャズは過去の音楽では無い。ジャズは今でも進化しているのだから。
 
 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

その他のカテゴリー

AOR | jazz | Miles Reimaginedな好盤 | Pops | R&B | rock | Yellow Magic Orchestra | こんなアルバムあったんや | ながら聴きのジャズも良い | アキコ・グレース | アダムス=ピューレン4 | アラウンド・マイルス | アート・ブレイキー | アート・ペッパー | イエス | イスラエル・ジャズ | イタリアン・プログレ | インパルス!レコード | イーグルス | ウィントン・ケリー | ウィントン・マルサリス | ウェイン・ショーター | ウェザー・リポート | ウェス・モンゴメリー | ウエストコースト・ジャズ | エリック・クラプトン | エリック・ドルフィー | エルトン・ジョン | エンリコ・ピエラヌンツィ | オスカー・ピーターソン | オーネット・コールマン | カシオペア | キャノンボール&ナット・アダレイ | キース・ジャレット | クインシー・ジョーンズ | クイーン | クリスマスにピッタリの盤 | コンテンポラリーな純ジャズ | サザンロック | サンタナ | ザ・バンド | ジャケ買い「海外女性編」 | ジェフ・ベック | ジミ・ヘンドリックス | ジャキー・マクリーン | ジャズ | ジャズの合間の耳休め | ジャズロック | ジャズ・アルト | ジャズ・オルガン | ジャズ・ギター | ジャズ・テナー | ジャズ・トランペット | ジャズ・トロンボーン | ジャズ・ドラム | ジャズ・ピアノ | ジャズ・ボーカル | ジャズ・レジェンド | ジャズ喫茶で流したい | ジョニ・ミッチェル | ジョン・コルトレーン | ジョン・スコフィールド | ジョージ・ハリソン | スタン・ゲッツ | スティング | スティービー・ワンダー | セロニアス・モンク | ソウル・ミュージック | ソニー・ロリンズ | ソロ・ピアノ | タンジェリン・ドリーム | チック・コリア | チューリップ | デイブ・ブルーベック | デイヴィッド・サンボーン | デクスター・ゴードン | デュオ盤 | デューク・ジョーダン | デヴィッド・ボウイ | トミー・フラナガン | ハンプトン・ホーズ | ハービー・ハンコック | パット・メセニー | ビッグバンド・ジャズは楽し | ビル・エバンス | ビートルズ | ビートルズのカヴァー集 | ピアノ・トリオの代表的名盤 | フィル・ウッズ | フェンダー・ローズを愛でる | フュージョン・ジャズの優秀盤 | フリー | フリー・ジャズ | ブラッド・メルドー | ブランフォード・マルサリス | ブルース・スプリングスティーン | ブルーノート | ブレッカー・ブラザース | プレスティッジ・レーベル | プログレッシブ・ロックの名盤 | ベーシストのリーダー作 | ホレス・シルバー | ボサノバ・ジャズ | ボビー・ハッチャーソン | ボブ・ジェームス | ポップス | ポール・サイモン | ポール・マッカートニー | マイケル・ブレッカー | マイルス・デイヴィス | マッコイ・タイナー | マンハッタン・ジャズ・クインテット | ミシェル・ペトルチアーニ | ミルト・ジャクソン | モダン・ジャズ・カルテット | ヤン・ハマー | ラリー・カールトン | リンダ・ロンシュタット | リー・リトナー | レイ・ブライアント | レジェンドなロック盤 | レッド・ガーランド | レッド・ツェッペリン | ロック | ロッド・スチュワート | ローランド・カーク | 上原ひろみ | 北欧ジャズ | 吉田拓郎 | 和ジャズの優れもの | 四人囃子 | 天文 | 天文関連のジャズ盤ジャケ | 太田裕美 | 寺井尚子 | 尾崎亜美 | 山下達郎 | 山中千尋 | 旅行・地域 | 日本のロック | 日本男子もここまで弾く | 日記・コラム・つぶやき | 映画・テレビ | 書籍・雑誌 | 歌謡ロック | 渡辺貞夫 | 米国ルーツ・ロック | 荒井由実・松任谷由実 | 西海岸ロックの優れもの | 趣味 | 青春のかけら達・アーカイブ | 音楽 | 音楽喫茶『松和』の昼下がり | 高中正義 | 70年代のロック | 70年代のJポップ

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ