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2017年6月23日 (金曜日)

ジャズ・テナーの裾野は広く深い

梅雨に入ったには入ったらしいが、あまり梅雨らしい日が無い、雨が降っても続かない、我が千葉県北西部地方である。朝は結構涼しいし、夜は夜で、湿ってはいるが涼しい風が吹き抜ける。今年はなかなか良い感じの夏至の季節である。こういう時は、スカッと吹き抜けるテナーの音色が良い。バリバリ吹き上げるテナーが良い。

誰が良いかな〜、とアルバムを物色して選んだアルバムがこれ。Booker Ervin『Booker 'N' Brass』(写真左)。1967年9月の録音。フレディ・ハバード、チャールズ・トリヴァーらが参加したブラス・アンサンブルをバックに、ブッカー・アービンがテナーを吹きまくる。ブッカー・アービン with ブラス・セクション。

ブッカー・アービンのテナーは、フリージャズ基調のブロウという印象が強いが、意外とオーソドックスなブロウが多い。確かに、モーダルなブロウがメインで、限りなく自由度の高いブロウが得意ではあるが、決して、フリー・ジャズの人では無い。意外と伝統の範囲内で、限りなく自由度を高めつつも、従来のジャズの枠の中に留まるブロウで、これはこれで好ましい。
 

Booker_n_brass1

 
バックのブラス・アンサンブルもテクニック豊かでドライブ感も抜群なのだが、それにも増して、アービンのテナーが素晴らしい。フリーなブロウは限りなく封印して、意外と正統派な、重厚なテナーを聴かせてくれる。そう、この盤はブッカー・アービンのテナーを心から愛でる盤である。それほどまでに、アービンのテナーは素晴らしい。

ブルージーである。そしてソウルフル。シュッとしたスッキリしたファンクネス濃厚。速いフレーズが耳に心地良く響く。もしかしたら、アービンのベストプレイのひとつかもしれない。コッテコテの電光石火のアービンのブロウ。ジャズのテナーってこれほどまでに吹きまくることが出来るんやなあ、と変に感心してしまう。

シンプルな旋律が個性のアービン。ジャズ・テナーを愛でるのに最適の一枚である。僕がこの盤に出会ったのは10年ほど前。この盤を聴いた時は「目から鱗」ならぬ「耳から鱗」(笑)。コルトレーンとロリンズに比肩するテナーは無い、と思っていたが、アービンも凄い。ジャズ・テナーの裾野は広く深い。以来、僕はジャズ・テナーの森を彷徨っている。

 
 

東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年6月 9日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・54

ジャズを聴き続けてはや40年以上になるが、それでもまだまだ「この盤は聴いたことがないなあ」という盤に出会うことも時々ある。特に1980年代から1990年代の純ジャズ復古の時代、ネオ・ハードバップ系の盤はこの10年くらいかなあ、やっとリイシューされてきた状況で、初めて聴く盤も多くある。

そんな「聴いたことがないなあ」盤の一枚が、Charlie Rouse『Soul Mates』(写真左)。1988年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Rouse (ts), Sahib Shihab (bs), Claudio Roditi (tp), Santi Debriano (b), Victor Lewis (ds), Walter Davis Jr. (p) 。

リーダーにいぶし銀テナーのチャーリー・ラウズ(録音当時64歳)。バリトン・サックスの怪人、サヒブ・シハブ(録音当時63歳)がこの盤の隠し味。加えて、ブラジル出身の溌剌トランペットのクラウディオ・ロディッティ(録音当時42歳)。まず、この3人のフロントが素晴らしい。一番の若手でロディッティの42歳だから、ベテランの味、ベテランの演奏が心ゆくまで味わえる。

チャーリー・ラウズのテナーが好調である。悠然とタメを入れながらブイブイ吹き上げる。64歳のブロウとは思えない。この盤の録音の3ヶ月後、鬼籍に入るなんて全く想像できない。振り返れば、この盤でのラウズのブロウって「白鳥の歌」ではないか。ユッタリしたバラード調の情感を込めたブロウも良い。疾走感溢れる速い吹き回しも良い。
 

Soul_mates

 
サヒブ・シハブのバリトン・サックスも好調である。低音をブリブリいわせながら唄う様にスイングする。低音ブリブリがスイングする音って実にファンキー。芯がしっかり入ったバリサクの音。加えて、シハブのアドリブ・フレーズは常に「捻れて」いる。捻れてスイングする「バリサクの怪人」サヒブ・シハブ。実は、このシハブもこの盤の録音から1年2ヶ月後に鬼籍に入った。

そうそう、クラウディオ・ロディッティのトランペットも絶品。ブリリアントという形容がピッタリの、溌剌としてポジティブで、ブラスの明るい輝きが眩しい感じの根明なトランペット。なるほどブラジル出身なのか。ブラジル出身という雰囲気が実に頼もしい。テクニックも確かでフレーズは流麗。聴きどころ満載である。

パナマ出身のベーシストサンティ・デブリアーノ(録音当時33歳)、フレキシブルでシャープなビクター・ルイス(録音当時38歳)のドラミング、端正かつファンクネス忍ぶウォルター・デイヴィス・ジュニア(録音当時56歳)のピアノ。新旧のジャズメンががっちりとタッグを組んだ様な、ドライブ感溢れる端正なリズム・セクション。ウォルター・デイヴィス・ジュニアは、この盤の録音から1年10ヶ月後に鬼籍に入っている。

ラウズ、シハブ、ウォルター・デイヴィス、3人の「白鳥の歌」に近い演奏なんですが、そんなことを全く感じさせない、躍動感溢れ、小粋でコクのあるインプロビゼーションは凄く魅力的です。加えて録音が良い。調べてみたら、ルディ・ヴァン・ゲルダーの録音でした。この盤、ジャズ者の方々の全てにお勧めの「隠れ好盤」です。

 
 

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2017年6月 8日 (木曜日)

ショーターの初リーダー作です

セロニアス・モンクのピアノは「個性が強い」。唯一無二。決して真似することは出来ない。そして、ウェイン・シューターのテナーは、モンクに負けずに「個性が強い」。こちらも唯一無二。決して真似をすることは出来ない。両者とも、フォロワーがいそうでいない。それだけ、個性が強すぎるのだ。

そんなウェイン・ショーターの聴き直しを2年ほど前、進めていた。が、聴き逃しているリーダー作もまだまだあって、今回、落ち穂拾い的に、ウェイン・ショーターの聴き直しを再開した。そう言えば、ショーターの初リーダー作、いわゆるVee-Jay レーベルの3部作を聴き逃していた。いかんいかん。

まずは、Wayne Shorter『Introducing Wayne Shorter』(写真左)。1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Lee Morgan (tp), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。当時のジャズ・メッセンジャーズのフロント2管にマイルス・バンドからリズム・セクションを借りてきた様なクインテット構成である。
 

Introducing_wayne_shorter1

 
ジャズメンの個性は初リーダー作に詰まっているというが、このウェイン・ショーターの初リーダー作についても例外では無い。明らかにそれまでの「ハードバップ」的な常識的なフレーズは全く感じられない。基本はモード。でも、どこからどうとっ掛かってモーダルなフレーズを展開するのかが皆目判らない。

当の本人は「宇宙と交信しながらフレーズを紡ぐ」なんて言っているが、このショーターのあまりに個性的でモーダルなフレーズを聴いていると、それって本当かも、と思う瞬間があるから怖い(笑)。それほど、この盤でのショーターのフレーズは個性的。トランペットのモーガンを始めとした他のジャズメンは「ハードバップ」的な常識的なフレーズ。ショーターは突出していて全く異なる。

アルバム全体の演奏はまだまだ未熟なところはあるが、リーダーのショーターを始めとして、参加したジャズメンの個性がハッキリと掴める、宝石の原石の様な盤である。錚々たる参加メンバーなんだが、そんな中で、ショーターのテナーだけが「浮いている」。しかし、この「不思議ちゃん」な個性溢れるショーターのテナーは意外と填まる。中毒性のある「宇宙人との更新」テナーである。

 
 

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2017年5月27日 (土曜日)

(欧州ジャズ+米国ジャズ) な盤

このところ、梅雨空の様に鬱陶しい曇り空が続く。昨日などは午前中はまとまった雨。久し振りに雨道具総動員である。が、今日は朝から回復基調。午前中は夏の到来を告げるような蒸し暑い陽気。午後から空気が入れ替わったのか、涼しい風が吹き抜けて、半袖ではちょっと肌寒さを感じる清々しい陽気に。

こういう清々しい初夏の陽気の中、耳を傾けるジャズは「欧州ジャズ」が良い。しかし、ブルージーでファンクネス濃厚な米国ジャズも捨てがたく、その双方のジャズの雰囲気を併せ持つジャズ盤は無いのか、と思いを巡らす。と、あったあった。欧州ジャズと米国ジャズのハイブリッド盤の様な雰囲気を持った盤が。

Sacha Distel & John Lewis『Afternoon In Paris』(写真左)。1956年12月、パリでの録音。ちなみにはパーソネルは、John Lewis (p), Sacha Distel (g), Barney Wilen (ts), Pierre Michelot, Percy Heath (b), Connie Kay, Kenny Clarke (ds)。オリジナルLPのA面3曲のベースとドラムがPierre MichelotとConnie Kay、B面3曲がPercy HeathとKenny Clarkeとなっています。
 

Afternoon_in_paris1

 
以前より、パリに対する限りない憧れを抱いていたジョン・ルイス(写真右)が、フランスの人気ジャズ・ミュージシャン、サッシャ・ディステル、バルネ・ウィラン、ピエール・ミシェロとパリで録音した盤。この盤のタイトル『Afternoon In Paris』は録音事情「そのまま」。フランスのジャズメン3人の演奏の内容が良い。米国ジャズメンと対等の濃密で個性的な演奏に耳を奪われる。

盤全体、とても洒脱な演奏になっています。とっても趣味の良いハードバップ。繊細さ流麗さ有り、ダイナミックな力感のある展開も有り。それでいて、演奏の雰囲気は、ブルージーでファンクネス濃厚な米国のジャズとは少し異なる、ちょっとあっさりとしたファンクネス希薄な、そう、欧州ジャズ独特のクラシックの素養をベースとした、耽美的でリリカルな音の響き。

録音も良く、演奏の良さと相まって、実に清々しい堅実な内容のハードバップです。フランスのジャズって、お国柄、ちょっとラフな印象があったので、この盤のカッチリした内容にちょっとビックリ。大向こうを張る様なジャズではありませんが、玄人好みの渋い内容の盤についつい耳を傾ければ、今日もそろそろ夕暮れ時。良い一日でした。

 
 

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2017年5月12日 (金曜日)

現代ジャズの「深化」の成功例

「ジャズは死んだ」という評価は1970年代から始まった。しかし、僕は1970年代後半にジャズを聴き始めた。ジャズを聴き始めた頃、ジャズ界は空前の「フュージョン・ジャズ」のブーム。フュージョン・ジャズも沢山聴いた。でも「ジャズは死んだ」とは感じなかった。逆に「進化している」と感じた。

1950年代後半に大ブームとなった「ハードバップ」がジャズの全て、とする極端な意見もある。ジャズの進化は「コルトレーンの死と共に終わった」と言い切る人もいる。1970年代以降のフュージョン・ジャズはジャズじゃない、と切り捨てる人もいる。でも今、21世紀になってもジャズは世界中で多くの人に聴かれている。

さすがに21世紀になって、革新的な演奏方式やアプローチが出てくる可能性は少なくなってきたように思う。しかし、旧来の演奏方式、例えば「ハードバップ」や「モード・ジャズ」などを深く掘り下げたり、新たな演奏バリエーションを生み出すこと、また、他の音楽ジャンルとの融合、いわゆるフュージョンの裾野を広げること、など、まだまだジャズは「深化」していると感じる。
 

Symbols_of_light

 
Greg Osby『Symbols of Light』(写真左)。2001年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Greg Osby (sax), Scott Colley (b), Nioka Workman (cello), Marlon Browden (ds, perc), Jason Moran (p), Judith Insell-Stack (viola), Christian Howes, Marlene Rice-Shaw (vln)。パーソネルを見れば判るが、サックスのワンホーン・カルテットに弦楽四重奏が絡む。

結構「キワモノ」の編成であるが、この盤は「成功例」。サックスのワンホーン・カルテットのジャズに弦楽四重奏が違和感無く溶け込んでいる。新たな演奏バリエーションの成功例である。弦楽四重奏のメインはクラシックであり、ジャズにクラシックの要素をしっかりと溶け込ませている。いわゆる、フュージョンの裾野を広げているのだ。

アルバムの演奏を聴けばヒシヒシと感じるのだが、アレンジが行き届いている。適当にワンホーン・カルテットと弦楽四重奏を合わせている訳では無い。実に良く考えてアレンジされている様がとても良く伝わってくる。これだけ優れたアレンジを施しているとは、オズビー恐るべしである。結果、新しいジャズの響きを生み出している。これぞ、ジャズの「深化」である。

 
 

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2017年4月28日 (金曜日)

ジャケットに惚れて入手した盤

実はこの盤はジャケットに惚れて入手した。イラストっぽいジャズメン達も良し、タイポグラフィーも良し。とにかくデザインが良い。とてもジャズっぽい。見た瞬間に「これは」と思った。ジャズ盤のジャケットって、こんなデザイン的に優れたものが多い。

ジャケットのデザインが優れたジャズ盤の内容に外れは無い。この盤もその格言に外れることは無い。1996年当時の優れた内容のネオ・ハードバップ。パーソネルを見渡すと、オールスター・ジャムセッションか、と思うんだが、どうして、しっかりとアレンジされた、一期一会のまさにジャズらしい演奏がぎっしりと詰まっている。これには感心した。

そのジャズ盤とは、Jerry Bergonzi & Bobby Watson『Together Again For The First Time』(写真左)。1996年の作品。ちなみにパーソネルは、Jerry Bergonzi (ts), Bobby Watson (as/ss), Kenny Barron (p), David Finck (b on 1-4,6,9), Curtis Lundy (b on 5,7,8), Victor Lewis (ds)。

バーガンジィーのテナー、ワトソンのアルト&ソプラノの2管フロントのクインテット構成。全編に渡って、バーガンジィーのテナーとワトソンのアルト&ソプラノの2管による応酬は聴き応え十分。破綻無く、とても端正で流麗。アドリブフレーズは歌心満載で聴いていてウキウキする。
 

Together_again_for_the_first_time1

 
そうそう、ジェリー・バーガンジーとは、いわゆるボストン派テナー・サックスの重鎮。圧倒的なテクニックと鮮やかなアドリブ・フレーズが個性。1947年生まれなので、今年で70歳になる。この盤の録音時は49歳。ベテランの域に達しつつある充実の頃。

バックのリズム・セクションも良い。ピアノがケニー・バロン、これがまあ、端正で堅実なバッキングを繰り広げている。この盤の安定はバロンのピアノによるところが大きいのでは。そして、ビクター・ルイスのドラミングが素敵だ。凄くハードバップしている。この盤の爽快感とスピード感はルイスのドラミングによるところが大きい。

1996年の時代に、これだけ内容のあるネオ・ハードバップな演奏が繰り広げられていたとは改めて感心した。ジャズって確実に進化していたんですね。しっかりとアレンジされた、一期一会のまさにジャズらしい演奏は、その爽快感とスピード感がゆえ、1950年代のハードバップには無いものです。1996年の時代だからこそ為し得た、ジャズの成果だと感じます。

ジャケットに惚れて入手して、その盤聴いて感心する。ジャズ盤をずっとコレクションして聴き続けてきて、なんだか幸せだなあ、と思う瞬間です。

 
 

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2017年4月25日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・52

オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。と昨日、書いた。確かにそうやなあ、と思う。昼ご飯が終わった後、食後の珈琲を飲みつつ、天気が良ければ、外の陽射しを楽しみつつ、ちょっと微睡みながら聴くオールド・スタイルのテナーは絶品である。

オールド・スタイルのテナーと言うことで昨日は「ベン・ウェブスター」のリーダー作を聴いた。オールド・スタイルのテナーと言えば、オールド・スタイルのテナーの次に、コールマン・ホーキンスが浮かぶ。ウェブスターは情感溢れるテナーが個性だが、ホーキンスのテナーは元気一杯、明朗に吹きまくるテナーが魅力。

そんな明朗に吹きまくるホーキンスのテナーが楽しめるリーダー作がこれ。Coleman Hawkins『The Hawk Flies High』(写真左)。1957年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Idrees Sulieman (tp), JJ Johnson (tb), Hank Jones (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds)。ギター、トロンボーンも入ったセプテット構成。Riversideレーベルからのリリース。
 

The_hawk_flies_high

 
ホーキンスは収録された全ての曲において、明朗に吹きまくっている。豪快かつ大らかに吹きまくるホーキンスは、とっても頼もしい。加えて、トランペットのシュリーマンが凄く元気に吹きまくる。とにかくすっごく元気なトランペットが明らかに目立っている。ピアノのハンクは渋いバッキングを披露し、J.J.のトロンボーンもアンサンブルの良いアクセントになっている。

1957年の録音だが、演奏の内容は当時のハードバップ最先端にはほど遠い、どちらかと言えば、スイング時代からビ・バップ時代へ移行する時期の、オールド・スタイルのモダン・ジャズという風情。昭和30年代のジャズ喫茶の雰囲気がプンプンする。決して、テクニックに過ぎることは無く、ジャズとして楽しい演奏を繰り出していく。

ホーキンスは明朗に吹きまくるテナーなんだが、そこはかとなく、ブルージーでマイナーな雰囲気が漂うところが良い。春の儚さと良く似た雰囲気。楽しゅうてやがて悲しき、というか、楽しゅうてやがてブルージー。そんなホーキンスのテナーは、ジャズ喫茶の昼下がりによく似合う。

 
 

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2017年4月24日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・51

ジャズにおいて、テナー・サックスはフロント楽器の花形である。ジャズのフロント楽器と言えば、テナー・サックスとトランペットが人気を二分する。特に、テナー・サックスは、音が太く大きく、音の表現のバリエーションが豊か。リード楽器が故に、長い時間、ソロを取ることが出来るところは無敵である。

ジャズの世界で、テナー・サックス奏者は多い。様々な個性、スタイルのテナー奏者がキラ星の如く顔を並べ、ほんと飽きない。飽きないどころが、どんどんテナー奏者の個性の「沼」にずぶずぶと填まっていく。あれも良い、これも良い、としている間に自分の好みが判らなくなる(笑)。

オールド・スタイルのテナーも良い。Ben Webster『Soulville』(写真左)。1957年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Ray Brown (b), Herb Ellis (g), Stan Levey (ds), Oscar Peterson (p)。アーリー・ジャズ期から活躍したベン・ウェブスターのワンホーン、ギター入りクインテット。ヴァーヴ・レコードからのリリースだけど、ジャケットは「やっつけ」(笑)。
 

Soulville_ben_webster  

 
ウエブスターが難しいこと無く、ただ漆黒のブルージーなテナーを吹き上げる。太く力強く、時に優しく、時に繊細に、そして、時々、豪快にテナーを吹き上げる。とっても味のあるテナー・サックスに惚れ惚れする。モードだのコードだの、ビ・バップだのハードバップだの、何処吹く風。ウエブスターは悠然と自分のテナーを吹き上げる。

伴奏上手のオスカー・ピーターソンが何時になく神妙にバッキングし、ウエブスターを支え、レイ・ブラウンのベースがビートの底をガッチリ支える。そして、小粋なハーブ・エリスのギターが渋くファンキーにウエブスターのテナーの音色に彩りを添える。スタン・リービーの乾いたドラムが意外と個性的。バックを支えるジャズメン達は、皆、ウエブスターを支え惹き立てる。

ハードバップ時代の演奏ですが、スイング時代の演奏の様でもあり、時代を超えた、ベン・ウエブスターならではのモダン・ジャズな演奏がここにあります。収録されたどの演奏も明らかに「モダン・ジャズ」。音質に問題のある箇所もあるんだけど気にしない。オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。

 
 

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2017年4月23日 (日曜日)

グリフィンとドリューの好演

いきなり初夏の陽気が数日続いたと思ったら、天候は不安定になって、昨日から4月上旬の気候に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと身体がついていかない。我が千葉県北西部地方、今年の春は気候が不順でいけない。

せめてジャズは不順は避けたい。こういう天候不順で体調が優れない時は、鉄板の「ハードバップ」な演奏が良い。ハードバップとはいえ、1950年代後半から1960年代前半の伝統的なハードバップでは無く、1980年代の「純ジャズ復古」以降の洗練され尽くしたハードバップが安心で良い。しかし、そんなアルバムあったっけ?

Johnny Griffin Quartet feat. Kenny Drew『Catharsis』(写真左)。1989年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Jens Melgaard (b), Ole Steenbert (ds)。リトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンのカルテット。ベースとドラムは、ごめんなさい、僕は知りません。しかし、ピアノには大ベテラン、ケニー・ドリューが座る。
 

Catharsis_1

 
録音場所はコペンハーゲン。といって、スティープルチェイスの本拠地モンマルトルでは無い。しかし、音の雰囲気は確かに北欧。欧州ジャズらしい、スッキリとしてはいるが、音に芯の入った切れ味の良いもの。グリフィンの豪快で切れ味の良いテナーが心地良く響くところが良い感じ。

アルバム全体の演奏は明らかに「ハードバップ」。モーダルなアドリブ・ラインもあるが、全体の傾向は明らかに伝統的はハードバップ。エネルギッシュでパワフルなグリフィンのテナーが素晴らしい。加えて、そんなグリフィンに呼応するように力の入ったバップ・ピアノを披露するケニー・ドリューも聴きものだ。グリフィン〜ドリューの掛け合い、アドリブの応酬。

僕は知らないとしたドラムとベースも堅調。しっかりとリズム&ビートの底を支えています。1980年代後半、二人のレジェンド(グリフィンとドリュー)が、これだけ洗練し尽くされたハードバップを演奏していたとは、ちょっと驚きです。当時のグリフィン・カルテットの実力の高さが窺い知れます。

 
 

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2017年4月22日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・80

我が千葉県北西部地方、不安定な天気が続いている。曇ったと思ったら晴れ間が覗き、ちょっと濃い灰色の雲が近づいてきたと思ったら、パラパラとにわか雨が降ってくる。こういう日はなんとなく気分が優れず、なんとなく憂鬱な雰囲気に包まれる。

憂鬱な雰囲気につつまれる中で聴くジャズもなんとなく、アンニュイな雰囲気に包まれる。なんか乗らないなあ、なんて思って、アルバムの棚を眺めながら・・・・、あれっ、こんなアルバム持ってたっけ、と不謹慎な思いを持ってしまうアルバムが出てくる。決して声を出して言えない。声を出して言おうものなら、嫁はんに聞かれたら絶対に怒られる(笑)。

そんな、ちょっとした驚きをもって発掘したアルバムが、松本英彦『Four Wings』(写真左)。1979年10月の録音。パーソネルは、松本英彦 (ts, fl /1926年生まれ), 菅野邦彦 (p/1936年生まれ), 鈴木勲 (b/1933年生まれ), ジョージ大塚 (ds/1937年生まれ) 。このパーソネルは一期一会セッションで、結果的にはラストとなった貴重な記録になります。

こんなアルバム、持ってたんや〜、と思いつつ、アルバムを手に取ると、1979年の録音。加えて、パーソネルは基本的に日本ジャズのベテラン中心の構成。ふ〜ん、あんまし期待できへんなあ、と思いながらも、ジャケットのデザインの趣味の良さから、とにかく聴いてみることにした。
 

Four_wings

 
日本のジャズ界において伝説のカルテット、リーダーのスリーピーこと松本英彦を筆頭に、スガチンのピアノ、オマスズのベース、ジョージのドラム。ちょっとレトロな響きのジャズが出てくるかな、と思いつつ、CDプレイヤーのスタートボタンを押すと、冒頭の「Speak Low」の楽器の音の生々しさ、演奏全体を包む強烈なスイング感に思わず身を乗り出します。

ハードバップなモダンジャズの良いところを全て集めたような、非常に内容のある演奏がギッシリ詰まっています。加えて、日本人のモダンジャズらしく、ファンクネスは希薄、切れ味の良い乾いたオフビートが底に流れている。いや〜びっくりしました。このアルバムの演奏内容は「目から鱗」です。

当時53歳、既に大ベテランの域に達していた松本英彦がこんな緊張感溢れる、先進的な内容のアルバムを出していたなんて、とにかくビックリ。とりわけ、菅野邦彦 (p), 鈴木勲 (b) の参加が効いているなあ、と思います。二人の先進的なハードバップな演奏が、受け狙いのドラミングに傾きがちなジョージ大塚のドラミングを堅実かつ味のあるドラミングに変身させているようです。

この菅野・鈴木・大塚のリズム・セクションがこのアルバムの先進性を決定付けている。そんなリズム隊をバックに悠然とスリーピーこと松本英彦がテナーをフルートを吹き上げている。誠に上質のハードバップ。一期一会の好盤です。日本ジャズも隅に置けない。

 
 

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