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2017年9月28日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・60

今日は朝から雨。結構、激しい雨で、久し振りにレインコートのズボンを履いて駅まで歩く。そして、グッと涼しくなった。もう秋の気温。明日から天気も良くなるみたいだし、やっと暑さを追いやったなあ、とホッと一息である。ここまで涼しくなると、ジャズを聴くのが楽しくなる。

僕の中では、スムース・ジャズは「あり」である。メインストリーム・ジャズしか認めない、フュージョン・ジャズは時代の徒花だ、なんて意見もあるが、僕は自分にとって「良い響きやなあ」とか「良いフレーズやなあ」と感じる音がある演奏であれば、ジャンルは問わない。スムース・ジャズでも「良い物は良い、悪いものは悪い」。

Jeff Kashiwa『Fly Away』(写真左)。今年の新作である。ジェフ・カシワ。サックス奏者。聞いたことがあるような名前なんだが、思い出せない。それでも、この盤を聴くと、良い音だしている。スッと伸びて、まろやかなエモーショナルを湛えた、ブリリアントなサックス。一度聴くと、グッと惹き込まれる。
 

Fly_away

 
Jeff Kashiwa=ジェフ・ユキオ・カシワ。米国出身の日系アメリカ人3世。スムース・ジャズで活躍するサックス奏者である。1963年生まれなので、今年で54歳。意外とベテランである。1991年にサックス奏者としてザ・リッピントンズに加入、1999年には脱退しソロ活動を開始。2009年に再びリッピントンズに復帰している。

伸びやかで爽やかなサックス。アルバム全編でそのサックスを存分に楽しめる。スムース・ジャズなので、耳当たりがとても良い楽曲がてんこ盛り。ちょっと似通った曲が多いのが玉に瑕だが、ジェフ・カシワのサックスが流れる様に吹き上げられていくので、あんまり気にならない。

ジャズ喫茶の昼下がりに、こっそり流すのが良い雰囲気です。ジェフ・カシワのまろやかなエモーショナルを湛えた、ブリリアントなサックスがとっても印象的。心地よさ満点、心からリラックスして聴き流すことができます。これが「スムース・ジャズ」の良いところですよね。良いアルバムです。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年9月27日 (水曜日)

アル・コーンの個性と人気

ジャズとは面白いもので、初リーダー作がそのジャズメンの個性を如実に表す、なんて言うんだが、初リーダー作でなくても、そのジャズメンの個性が良く判るリーダー作というものがある。リーダーが管楽器であれば、ワンホーンか、2管フロントくらいがそのジャズメンの個性が良く判る。

例えばこの盤、Al Cohn『Cohn On the Saxophone』(写真左)。1956年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Al Cohn (ts), Frank Rehak (tb), Hank Jones (p), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds)。米国西海岸ジャズ寄りのメンバー構成。コーンのテナー、レハックのトロンボーンの2管フロント。

長年コンビで活躍した相棒のズートに比べると人気の点では劣って見えるアル・コーン。特に、我が国では、アル・コーンというテナー奏者の名前を知っている、というだけで「ジャズ者中級者」と目されるくらい。どうしてだろう、と不思議に思いつつ、この『Cohn On the Saxophone』を聴いて、何となく、その理由が判ったような気がした。
 

Cohn_on_the_saxophone_1

 
冒頭「We Three」から、アル・コーンのテナーは全開である。しっかりと吹き上げられた、しっかりとした音程、大らかで大きな音、流麗なアドリブ・ライン。2曲目「Idaho」以降、クセの無い、伸びの良いブリリアントなテナーが全開。アル・コーンのテナーサックスは良い意味で「無臭」。昨日、ご紹介した、チャーリー・マリアーノのアルトサックスと同じ雰囲気だ。

スーッと真っ直ぐな伸びの良い爽やか音。ちょっと引っ掛かりに欠け、印象に残りにくい。恐らく、そういうテナーだからこそ、テクニックも申し分無く、演奏のレベルも高いにもかかわらず、人気という面で遅れをとったのだと思う。この「無臭」で、演奏的に総合点の高いところが、逆に聴き手にとってはクセにならないのだろう。

とはいえ、この盤でのアル・コーンのテナーの演奏レベルは高い。歌心も満載である。この盤には、アル・コーンの個性がギッシリと詰め込まれている。それでも、人気の面では劣るとはジャズって面白い。ジャズでの人気ジャズメンって、そう言えばクセのあるプレイヤーばっかりですな。ジャズにとって「無臭」「端正」「クセが無い」というのは禁句なのかもしれない。

 
 

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2017年9月19日 (火曜日)

地域の拡がりとしての深化

世界的に見て、ジャズ人口って増えているんだろうか。少なくとも、ジャズの裾野は広がっている。基本的には米国中心だったジャズだが、欧州各国に渡り、日本にも中南米にも渡り、豪州にも渡り、もはやジャズは世界的な拡がりを持つ、クラシックに比肩する裾野の拡がりを持った音楽ジャンルになっている。

例えば、David Sanchez『The Departure』(写真左)。1993年11〜12月の録音。ちなみにパーソネルは、David Sanchez (sax), Tom Harrell (tp), Danilo Perez (p), Andy Gonzalez, Peter Washington (b), Leon Parker (ds), Milton Cardona (per)。サックス&トランペット2管フロントのパーカッション入りセクステット。

硬派なメインストリーム・ジャズである。胸の空くような、切れ味の良い自由度の高い演奏がてんこ盛りである。演奏に耳を傾けていると、そこはかとなく「中南米」な雰囲気が見え隠れする。明らかに米国や欧州、日本などのジャズとは雰囲気が違う。それもそのはず。リーダーのDavid Sanchez=デビッド・サンチェスはプエルトリコ出身のテナー奏者なのだ。 
 

David_sanchez_the_departure

 
このアルバム『The Departure』は、サンチェスのデビュー盤。ジャズは初リーダー作に、そのジャズメンの個性がはっきりと表れるというが、確かにこのアルバムを聴くと、他のジャズメンとは異なる個性がそこかしこに感じるのだ。僕にとってはまだまだ勉強しなければならないジャンルである「ラテン・アメリカの伝統音楽」な雰囲気が独特の個性である。

僕がジャズを聴き始めた頃、今から40年ほど前、メインストリームなジャズに、ラテン・アメリカの伝統音楽の要素が融合されるなんて、思ってもみなかった。明らかにジャズ表現のバリエーションが深化していると感じる。ジャズは世界的な地域の拡がりの中で、各国の伝統音楽と融合し、そのバリエーションを深化させている。

明らかに新しい響きのするメインストリーム・ジャズ。サンチェスのサックスが理知的で爽快。とても良く考えられたサックスの展開。もう一方のフロント、トム・ハレルのトランペットも良い音を出している。こういう硬派でメインストリームなジャズが、プエルトリコの優れたサックス奏者によって創造される。ジャズの国際化、地域の拡がりとしてのジャズの深化を目の当たりにする。そんな実感をひしひし感じる好盤である。

 
 

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2017年9月18日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・112

台風は関東から去った。台風一過の良い天気というのは簡単だが、北海道に到達しつつ勢力は衰えること無く、逆に発達したりしているので、北海道は予断を許さない。九州を中心に被害は大きかった。中学の頃に体験したが、水害って後始末が大変。災害に遭われた地域の方々にはお見舞い申し上げます。

さて、ジャズ盤紹介本を読んでいて、このテナー奏者の名前をすっかり忘れていたことに気がついた。Joe Van Enkhuizen=ジョー・ヴァン・エンキューゼン、和蘭のテナー奏者である。骨太で朗々とブラスを響かせながら吹き上げるテナーは実に聴き応えがあって、このテナーでミッドテンポからスローテンポの曲を朗々と吹かれると、もうドップリ聴き耳立てて、思わず聴き込んでしまう。

Horace Parlan, Joe Van Enkhuizen, Rufus Reid & Al Harewood『Joe Meets the Rhythm Section』(写真左)。入手が比較的し易くて、そんなジョー・ヴァン・エンキューゼンのテナーを堪能出来る盤である。ワンホーンのカルテット構成。カルテット4人が平等に4人名義のアルバムであるが、メインは、ホレス・パーランとジョー・ヴァン・エンキューゼン。
 

Joe_meets_the_rhythm_section

 
改めてパーソネルは、Horace Parlan (p), Joe Van Enkhuizen (ts), Rufus Reid (b), Al Harewood (ds)。1986年7月の録音。エンキューゼンのワン・ホーン、ホレス・パーランのピアノ・トリオがリズム・セクションを務める。ベースがルーファス、ドラムがヘアウッドなので、このリズム・セクションには間違いは無い。

やはり、聴きものは、エンキューゼンのテナー。ほんと良い音出している。和蘭のテナーマンなので、さすがにファンクネスは希薄。しかし、骨太で朗々とブラスを響かせながら吹き上げる中、仄かな色気が漂って、実に硬派で男気溢れる妖艶テナーである。このテナーで、小粋なミューシャンズ・チューンを中心に、鯔背に聴かせるのだから堪らない。

バックのホレス・パーランのピアノ・トリオも良好。エンキューゼンのテナーを盛り立てつつ、自らもちょっと捻りを効かせた、小粋なピアノ・トリオのパフォーマンスを聴かせてくれる。ジャズ盤紹介本などに全く出てこない盤ですが(ネットでは若干コメントされているのが心強い)良い内容の盤です。ダウンロード・サイトから比較的入手し易いので、一聴をお勧めします。

 
 

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2017年9月11日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・89

今日は、昨日のコンサート明けの「お疲れ休み」。そうそう、昨日はとある中堅ミュージシャンのコンサートに参戦していて、ブログは急遽お休みしました。3時間20分超、立ちっぱなしのコンサートに参戦して、家に帰りついたのが22時過ぎ。さすがにブログは打てません(笑)。

さて、午前中はまだ良かったんですが、今日の午後は昨日のコンサートの疲れで、ずっと伏せっていました(笑)。そんな時はゆったりとした、聴いて耳当たりの良いジャズが良いですよね。さて、何が良いか。ピアノ・ソロはありきたりだし、ソロかデュオ盤が良いんでしょうが、ということで選んだ盤がこれ。

Courtney Pine『Song(The Ballad Book)』。2015年のリリース。ちなみにパーソネルは、Courtney Pine (b-cl), Zoe Rahman (p)。Courtney Pine=コートニー・パイン。1964年生まれのジャマイカ系イギリス人。サックス奏者。しかし、この盤では「バス・クラリネット」一本で吹きまくる。これが実にユニーク。
 

Courtney_pine_song

 
女流ジャズピアニスト最注目のゾーイ・ラーマンとのデュオ。ピアノとバス・クラリネットとのデュオ。バス・クラリネットと言えば「エリック・ドルフィー」が浮かぶが、僕の記憶の中では、他にこの組合せの盤を知らない。が、僕はこの盤を聴いて、心から感心した。バス・クラリネットのソロの音色は静的ではあるが「スピリチュアルでエモーショナル」。

バス・クラリネットの音がこんなに心地良いものと感じたのは久し振り。エリック・ドルフィー以来。しかも、ピアノとのデュオが実に合う。素早いフレーズには不向きな感じだが、ゆったりとしたフレーズには、本当に「その威力を発揮する」。ダニー・ハサウェイ、デューク・エリントン、サム・リバース、サド・ジョーンズ、ブライアン・マクナイトのヒット曲などを演奏していますが、どれもが「スピリチュアルでエモーショナル」。

この盤、とっても良いです。バス・クラリネットの音色がこんなに「スピリチュアルでエモーショナル」だとは思わなかった。そういう意味では、1960年代早々から、バス・クラリネットを吹いていたエリック・ドルフィーは先見の明があった。そして、バス・クラリネットの魅力を再発掘したコートニー・パインは素晴らしい。ジャズ者中堅〜ベテランの方々に、一度は聴いて欲しい好盤。

 
 

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2017年9月 5日 (火曜日)

改めてグリフィンの初リーダー盤

ジャズメンの個性は「初リーダー盤」で露わになる。ロックなどはファースト盤より、熟れて慣れて、本来の実力が遺憾なく発揮できるセカンド盤に個性が露わになることが多い。しかし、ジャズは絶対に初リーダー盤である。それまでにサイドメンで様々なセッションに参加しているし、基本的に個性が確立されていることが殆ど。

そんな初リーダー盤を聴くのは楽しい。今日は、ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)の初リーダー盤を久し振りに選択。グリフィンのサックスは、力強くて音が大きくハッキリして、こぶしが効いた節回し、そして、大らかな歌心、そして、早弾きさせたら、それはもう超絶技巧。果たして、この彼の個性が「初リーダー盤」で露わになっているのか。改めて聴き込む。

Johnny Griffin『JG』(写真左)。1956年、地元シカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Wilbur Ware (b), Buddy Smith (ds), Junior Mance (p)。ウエアのベース、スミスのドラム、マンスのピアノというなかなか渋いリズム・セクションを従えての「初リーダー盤」である。
 

Jg

 
聴いてみて、いや〜と感心することしきり。やはり、この「初リーダー盤」には、グリフィンの個性がてんこ盛り。初リーダー盤なので、ちょっと抑え気味に吹いてはいるんだが、グリフィンの個性はハッキリと出ている。力強くて音が大きくハッキリして、こぶしが効いた節回し、そして、大らかな歌心、そして超絶技巧。これだけ、個性がはっきり出ている初リーダー盤、嬉しくなってくる。

そして、ジョニー・グリフィン愛すべし、と想うのは、この初リーダー盤で、グリフィンは実に神妙にブロウしているのだ。初リーダー盤での喜びと不安。そんな人間っぽいグリフィンが、はしゃぐこと無く、しっかりと神妙にグリフィン独特のテナーを吹き上げている。これが良い。実に可愛いグリフィンである。その雰囲気が何か判るんですよね〜。

そうそう、このグリフィンの初リーダー盤、ジャケットが面白い。真ん中でパカッと分かれて、中身のレコードが取り出せるもの。ジャズのジャケットでは珍しい(ロックではよくあるんだけど)。ギミックばかりで無く、デザインも優秀。そして、詰まっている音も良い感じ。グリフィンの初リーダー盤、なかなかの聴きものです。

 
 

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2017年8月 1日 (火曜日)

エアコンに「北欧ジャズ」である

午後から雨が降って、湿度は高いがちょっと涼しくなった我が千葉県北西部地方。ちょっと涼しくなったが、湿度の高さは相変わらずで、仕事帰りの疲れた体に良くないので、結局、部屋にはエアコンである。エアコンをかけると、当然、窓を閉めるので、室内は静かになる。エアコンで湿度が和らいで静かな室内。

そんな部屋には「北欧ジャズ」である(笑)。いや、冗談無しにエアコンで湿度が和らいだ部屋には「北欧ジャズ」が良く似合う。北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。思わず「北欧やな〜」と唸ってしまう(笑)。

今日選んだ「北欧ジャズ」盤は、Hans Ulrik & Lars Jansson『EQUILIBRIUM+』(写真左)。デンマークの人気サックス奏者ハンス・ウルリク(写真右)をフロントに迎えた、スウェーデンの抒情派ピアノ名手ラーシュ・ヤンソン率いるトリオの作品である。
 

Equilibrium

 
タイトルに「+」が付いているのは何故か。この盤は、収録曲をよくよく見ると判るのだが、2012年録音の新作『Equilibrium』全11曲から9曲をセレクト、更に、同じくウルリクとヤンソンの共演による1994年録音のウルリク名義の『Strange World』全12曲からの5曲をプラスした日本独自編集盤である。だから「+」が付くのか。なるほど。

冒頭の「Downward Dog」から、完璧な「北欧ジャズ」である。ところどころ、4ビートのゴスペルチックなフレーズが出てくるんだが、これが実に良い雰囲気。僕はこの展開が大好きだ。でも、決して「黒くならない」。ファンクネスも漂わない。それでも、思いっきりジャジーなビートが実にスインギー。フォーキーで牧歌的な寛ぎのフレーズが心地良い。

ウルリクの開放感溢れる、ストレートに伸びた大らかなサックスと、ほど良く抑制された躍動感&透明感溢れるヤンソンのピアノ。ウルリクとヤンソンの持つ「北欧ジャズ」特有のリリカルな美しさがこの盤に満載である。いや〜「北欧ジャズ」は素晴らしい。

 
 

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2017年7月28日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・56

この2日ほど、ここ千葉県北西部地方はとても涼しい。天気は良くないのだが、最高気温が25度程度なので涼しく感じる筈だ。当然、夜寝る時もエアコンは不要。送風で十分。雰囲気は「戻り梅雨」状態である。今日も最高気温は32度まで上がったが、それでも夕方から夜にかけて、風が吹いてとりあえず涼しい。

これだけ涼しいと、スピリチュアルで朗々としたバラードチックなジャズをゆったりと聴きたくなる。暑い夏には、どうにも朗々としたバラードチックなジャズは聴いていると、じんわりと汗ばんでくるようで、あんまし宜しくないんだが、この2〜3日の陽気はそうでも無い。で、そんな盤を物色する。

Dayna Stephens『Peace』(写真左)。2014年のリリース。僕は、この盤のジャケットに思いっきり惹かれた。明らかにこの盤は、スピリチュアルで朗々としたバラードチックなジャズがぎっしり詰まっていますよ、って面構えをしている(笑)。実はこの盤は、そんな「ジャケ買い」。で、聴いてビックリ、そのイメージ通りの演奏がぎっしり詰まっている。
 

Dayna_stephens_peace

 
Dayna Stephens(デイナ・ステファンズ)。ブルックリン生まれのサックス奏者。1978年生まれなので、今年で39歳。バリバリ中堅のテナー奏者である。朗々とテナーを鳴らす。ブリリアントなテナー。ブラスがブルブルと心地良く鳴る。そんなテナーで全編、バラードチックな演奏でギッシリと埋め尽くす。こんなにテナーが素敵に鳴るアルバムはそうそう無い。

ちなみにパーソネルは、Dayna Stephens (ts,ss,bs), Brad Mehldau (p), Julian Lage (g), Larry Grenadier (b), Eric Harland (ds)。この盤、聴いていて、とっても印象的なピアノが鳴っているんだが、なんとブラッド・メルドーだったんですね。なるほどなるほど。伴奏上手なメルドー。フロントのデイナを鼓舞し、しっかりと支える。ほんと充実した密度の濃い演奏の数々。

ジャズ喫茶の昼下がりの「ノンビリとした静寂」にピッタリのバラード集。スピリチュアルで朗々としたバラードチックなジャズ。そんなジャズを約50分間に渡って、聴き手を飽きさせずに聴かせるのだ。充実のバラード集。こんなに素敵に朗々となるテナー。そう言えば、今までに無いことに気が付いた。

 
 

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2017年7月18日 (火曜日)

ジェームス・ムーディーを知る

ジャズはマイナーな音楽ジャンルだ、と言われるようになって久しいが、マイナーマイナーと言われながら、ジャズメンの全体数は相当数にのぼる。ジャズを聴き始めて40年、結構数のジャズメンを知るようになったが、それでも「これって誰」と言いたくなるジャズメンもまだまだいる。

ジェームス・ムーディー(James Moody)がそういう「これって誰」と言いたくなるミュージシャンだった。そもそも、ムーディーの名前を初めて見たのが、Prestigeレーベルのカタログを入手した頃だから、2000年辺りではないか。ジェームス・ムーディーのリーダー作って、Prestigeレーベルのカタログの中である一定数あって、当時、それなりにメジャーな存在だったことが窺い知れる。

でも、僕は知らなかった。ムーディーは、ジャズ界の巨匠、ジャズ・テナーのマスターと呼ばれるが、僕は全く知らなかった。1925年生まれ、2010年、85歳で逝去。1950年代は、30歳を超えたくらいの年齢なので、ハードバップ時代は中堅ジャズメンの位置づけ。それでも親しみが無かったのだから、よっぽど縁が無かったのだろう。
 

James_moody_hifi_sax_and_flute

 
Prestigeレーベルの7011番は、James Moody『Hi Fi Party』(写真左)。1955年8月の録音。ハードバップ時代前期の終わり。パーソネルは今から見れば無名のジャズメンがほとんど。ムーディーの気心知れたジャズメン達と推察する。ハードバップ前期のクラシカルなコンボの好盤と評価される向きもある盤である。アンサンブルの良さはあるが、ムーディーのテナーを愛でるには、ちょっと地味なパフォーマンスである。

逆に、James Moody『Sax & Flute Man』(写真右)は、タイトル通り、ムーディーのテナー・サックスとフルートを十分に堪能出来る好盤。全編に渡ってムーディーのブロウがフィーチャーされている。バックを務めるオルガンの音もファンクネスだだ漏れ。1973年PAULAに残したマイナー作品ではあるが、実に雰囲気のあるグルーヴィーなソウル・ジャズの好盤に仕上がっていて立派。こちらの盤の方がムーディーを体験するのには良いと思います。

21世紀になってその存在とそのプレイの個性を知った「ジェームス・ムーディー」。Prestigeレーベルの他のリーダー作を中心に、もっともっと掘り下げている所存。ジャズの裾野は広く奥が深い。今回、ジェームス・ムーディーのリーダー作を聴いて、改めて思った。

 
 

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2017年7月15日 (土曜日)

チャールズ・ロイド・リターンズ

ジャズを聴き始めた頃、ジャズ盤紹介本で「チャールズ・ロイドは良い」とあちらこちらで書かれていて、どうかな〜、と思っていたんだが、評論を書いている人は皆、バックのキース、デジョネット、マクビーのリズム隊を絶賛しているついでに、ロイドのテナーを「判り易いコルトレーン」風に評価している。なんだか胡散臭いので長年聴くことは無かった。

そもそも、ロイドの人気が高かったのは、1960年代後半、Atlanticレーベル時代の時。「Love & Peace」のフラワー・ムーブメントの波に乗って、ロイドのテナーは人気があった。しかし、その人気は、ロイドのしたたかなビジネス手腕と時代を見据えたアンテナの成果。ポスト・コルトレーンとしては荷が重すぎたのか、1970年代、フュージョン・ジャズのブームの中、その名は徐々にマイナーな存在になった。

が、1966年録音の人気ライブ盤『Forest Flower』(写真右)を聴いてみると、演奏全体に爽やかな風が吹き向けるような「フォーキー」な演奏全体の雰囲気が実に印象的です。僕はこの『Forest Flower』を初めて聴いたのは、2000年になってから。聴いてみて、確かにバックのリズム隊の凄まじさが前面に押し出ているんですが、ロイドのテナーも爽やかでシンプルで聴き易いもので、これはこれで一つの個性です。
 

Charles_lloyd_i_long_to_see_you

 
そんなロイドですが、2015年からブルーノート・レーベルに転籍したのですが、このAtlanticレーベル時代の時。「Love & Peace」のフラワー・ムーブメントの波に乗っていた頃の、演奏全体に爽やかな風が吹き向けるような「フォーキー」な演奏に戻った様な感じがします。逆に「したたかなビジネス手腕と時代を見据えたアンテナ」が不要になった今の時代、ロイドの爽やかでシンプルで聴き易いテナーが意外とマッチします。

Charles Lloyd & Marvels『I Long To See You』(写真左)。2015年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts,fl), Bill Frisell (g), Greg Leisz (pedal steel), Reuben Rogers (b), Eric Harland (ds)。捻れ不思議ギターのビル・フリーゼルの参加が目を惹く。グレッグ・レイズのスチール・ギターも目新しい。どんなジャズになるんや?

ロイドという人はつくづく、バック・ミュージシャンに恵まれてこそ、この個性を発揮できる人なんやなあ、と思う。フリーゼルとレイズの参加で、米国ルーツ・ミュージックをベースにした、フォーキーでカントリーな雰囲気が見え隠れする、コンテンポラリーな純ジャズな展開になっている。これが実に心地良い響きで、安らぎの雰囲気満載なのだ。

 
 

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    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
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常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
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