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2018年2月11日 (日曜日)

続・ECMに冬の季節が良く似合う

昨日「ECMに冬の季節が良く似合う」と書いた。演奏内容は、基本的に欧州的なニュー・ジャズの音世界。ECMレーベル独特の深いエコーが、冬の寒い空気にピッタリ合う。ファンクネスは皆無。ハードバップの様な熱気溢れる演奏は基本的に無い。フリーな演奏も怜悧な熱気で覆われる。ECMの音は基本的に冬に良く似合う。

そんなECMレーベルには、レーベルの音を代表する「お抱え」ミュージシャンが何人か存在する。昨日、ご紹介したテナーのヤン・ガルバレク(Jan Garbarek)などは、そんなECMレーベルの「お抱え」ミュージシャンの一人。彼の硬質で切れ味の良い、怜悧でエモーショナルなテナーは、ECM独特の深いエコーに乗って、その個性が増幅されて、確かにECMレーベルの音のイメージにピッタリである。

そんなガルバレクの個性をしっかりと捉えた初期の好盤が、Jan Garbarek『Triptykon』(写真左)。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ss, ts, bs, fl), Arild Andersen (b), Edward Vesala (perc)。ピアノレスのサックス・トリオ。ガルバレクのサックスが心ゆくまで堪能できる編成である。
 

Triptykon

 
冒頭の「Rim」から「Selje」「J.E.V.」「Sang」までの4曲は、ノンストップのインタープレイ。明らかに欧州系のニュー・ジャズ的雰囲気の、適度にテンションを張った中、3者3様の自由度の高いインタープレイが展開される。ECMの独特のエコーがかかっていて、音と音との間の静謐な「間」がクッキリと浮かび上がる。故に動と静のメリハリが効いて、インタープレイの躍動感が増幅される。

6曲目の「Etu Hei!」は、ガルバレクとヴェセラのデュオ。サックスとパーカッションのデュオで、ふと「コルトレーンとラシッド・アリのデュオ」を想起する。フリーな演奏であるが、ガルバレクのアドリブ・フレーズは破綻が無く、端正である。実に欧州的なフリーの演奏。ガルバレクが「欧州のコルトレーン」と呼ばれる理由がここにあるが、コルトレーンのテナーとは全く異なる個性ではある。

そして、ラストの「Bruremarsj」は実に興味深い。まず、この曲の タイトルって何て読むんだ、なんて思うのだが、ノルウェー民謡なんだそうだ。この北欧的なフレーズを持った佳曲を題材に、ガルバレクは素朴に土臭くフォーキーに吹き上げていく。これ、なかなかの内容だと思うのだが、如何だろう。とにかく、この盤、ECMらしい好盤だと思う。今の季節にピッタリで、思わず聴き込んでしまう。

 
 

東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年2月10日 (土曜日)

ECMに冬の季節が良く似合う

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半になるが、純ジャズの世界では従来の老舗レーベルに加えて、欧州系の新興レーベルのアルバムが話題を集めつつあった。欧州系のレーベルとは、ECM、SteepleChase(スティープルチェイス)、Enja(エンヤ)などが代表的なところ。特に、ECMレーベルは日本でも人気のレーベルになっていた。

当時、ECMのLPは高価で、廉価盤などは皆無。雑誌などで採り上げられていないアルバムなどは情報不足で、聴いてみるまでその評価は不明という、新たに購入するには相当にリスキーなレーベルでもあった。しかも、通常のジャズ喫茶ではビ・バップでもハードバップでも無い、ニュー・ジャズと呼ばれるジャンルがメインのECMのアルバムは敬遠気味で、聴くことの出来る機会は少なかった。

そういう面では僕は恵まれていて、大学近くの例の「秘密の喫茶店」では、何故か、ニュー・ジャズと呼ばれる欧州系のレーベルのアルバムが結構キープされていた。ECMレーベルのアルバムは相当数、保有されていた記憶がある。これは有り難かった。特に、冬にはECMのアルバムが良く似合う。冬の季節、珈琲を飲みに行く度に、ECMのアルバムをよくリクエストさせて貰った。
 

Dis

 
ECMに冬の季節が良く似合う。そんなアルバムの一枚が、Jan Garbarek『Dis』(写真左)。1977年のリリース。アルバム・ジャケットを見るからに「冬の季節に合いそうな」面構えをしている。特に、ヤン・ガルバレクのテナーは、硬質で切れ味の良いもので、ECM独特の深いエコーに乗って、怜悧でエモーショナルなテナー。確かに冬の雰囲気によく合ったテナーの音である。

特に、このアルバムは、ガルバレクのテナーと12弦ギターのラルフ・タウナーのデュオが基本なので、ガルバレクの硬質で怜悧なテナーの個性が増幅されている。ファンクネスは皆無。欧州系独特のクリスタルで硬質な音は、ECM独特の音世界を実に良く表現している。ガルバレクのテナーは歌心もあって、聴いていてとても印象的なもの。印象に残る充実の内容。

北欧のコルトレーンと呼ばれるガルバレクではあるが、この盤ではフリーキーに傾くことも無く、アブストラクトに構えることも無い。メロディアスで印象的なフレーズを、硬質で怜悧な伸びのあるテナーで吹き上げていく。印象的なジャケットと相まって、確かに「冬の季節」にピッタリな雰囲気の音世界である。例の「秘密の喫茶店」では昼下がりによく聴いた思い出がある。

 
 

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2018年1月25日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・63

硬派な純ジャズを聴き続けていると、フッと休みたくなる時がある。気分転換したいなあ、という気持ちになる時がある。そんな時、70年代ロックを聴くのも「アリ」なのだが、やっぱりジャズを継続したいなあ、という時は「ジャズ・ロック」を聴くことが多い。クロスオーバーやフュージョンじゃあないところが自分でも面白い。

クロスオーバーやフュージョン・ジャズを聴くときは、確実に「クロスオーバー・ジャズ」や「フュージョン・ジャズ」を聴くのだ、と構えて聴くので、純ジャズの合間の気分転換という感じにはならない。純ジャズの合間の気分転換には「ジャズ・ロック」が良い塩梅なのだ。これは、ジャズを聴き初めて、3年目くらいからズッとである。

で、今日の昼下がりに選んだ「ジャズ・ロック」盤が、Ronnie Laws『Pressure Sensitive』(写真左)。1975年のリリース。パーソネルを眺めても、知らない名前ばかりなので割愛。しかし、70年代ブルーノートのアルバム・ジャケットのデザインって、犯罪的な「ダサさ」である(笑)。これでは、普通のジャズ者の方々は手に取らないだろう。でも、これが良いのだ。
 

Pressure_sensitive

 
聴けば、ライト感覚の、ビートの効いた、ファンクネス溢れる「ジャズ・ロック」である。ビートは「8ビート」。ビートの佇まいはファンク。軽めのファンク。どっしりとグルーブ感がのし歩くのでは無い。あっさりスッキリと軽くファンクネスをかましつつ、8ビートのジャズ・ロック。軽めの「ノリ」なので、聴き易い。1975年の音だが、あまり古さを感じさせないところが不思議。

リーダーのロニー・ロウズは、ヒューバート・ロウズの弟で、フュージョン系のサックス奏者。1950年生まれ。今年で68歳。有名なキャリア話としては、アース・ウインド&ファイアに加入し、彼等のCBSへのデビュー・アルバムに参加した、というところ。なるほど、ジャズらしからぬ、R&Bっぽいファンクネスが漂うのは、そういうキャリアが影響しているんやな。なるほど「合点、合点」である。

70年代ブルーノートは、こういう怪しげな「ジャズ・ロック」のアルバムが多くあって、なかなか味わい深いものがあります。しかし、ジャケットが酷い、というか、凄い(笑)。怪しげな、もしくは意味不明なジャケットがてんこ盛り。これが、ツボに填まるとなかなか味わい深くて、病みつきになったりする。70年代ブルーノートは、コレクターからすると、意外と面白い。

 
 

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2018年1月11日 (木曜日)

ジョーヘンのリーダー作第2弾

初リーダー作『Page One』でのジョーヘンは固かった。吹いている様は「コルトレーン」に似ていた。ジョーヘンの特性である「ちょっと捻れた、素朴でジャジーな」テナーがあまり現れなかった。ピアノのタイナーとの相性が悪かったのだろうか。タイナーがバックでピアノを弾くと、フロントのテナーは「コルトレーン」になってしまうのか。

こぢんまりした素朴でジャジーな「コルトレーン」。これではジョーヘンが、ちょっと可哀相である。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンは「これではいけない」と考えたのかどうか、間髪を入れず、ジョーヘンのリーダー作第2弾を録音する。Joe Henderson『Our Thing』(写真左)。1963年9月の録音。ブルーノートの4152番。

ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Kenny Dorham (tp), Andrew Hill (p), Eddie Khan (b), Pete La Roca (ds)。初リーダー作『Page One』の録音が1963年6月。それから僅か3ヶ月後の録音である。ピアノは、若き鬼才アンドリュー・ヒルに交代。ドラムは、初リーダー作で相性の良かったドラムのラロカとフロントのパートナー、トランペットのドーハムは留任。
 

Our_thing

 
冒頭の「Teeter Totter」を聴けば、リラックスしたジョーヘンのブロウを感じることが出来る。初リーダー作『Page One』とは全く別人の、自然体のジョーヘンが、肩の力の抜けた、素朴でジャジーな個性的テナーを吹き上げていく。まだ、後の個性である「ちょっと捻れた」ところはまだまだ遠慮がちだが、ところどころ変則でモーダルなアドリブ・フレーズは独特の個性である。

そして、へぇ〜っと感心するのが、ケニー・ドーハムのトランペット。溌剌としていて淀みが無い。拠れるところも無く、端正にブリリアントに吹き切る。素朴で力の抜けたジョーヘンのテナーとは対照的な音の力強さで、逆にジョーヘンのテナーを支え、惹き立たせていく。このフロント二人の相性は抜群。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの慧眼恐るべしである。

ジャズ盤の紹介本では、マイナー調の佳曲「Blue Bossa」の存在ゆえ、初リーダー作『Page One』が優先されることがほとんど。リーダー作第2弾の『Our Thing』が採り上げられることは、あまり無いのだが、ジョーヘンの初期の個性を確認するのなら、この『Our Thing』の方が適している。

 
 

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2018年1月10日 (水曜日)

何から何までぶっ飛んだ盤

その直前のリーダー作は、演奏の雰囲気はモードを基調としたジャズ・ロック。モードを基調としているので、ジャズ・ロック的雰囲気とは言え、俗っぽくなく、判り易くは無い。思いっきりモーダルな演奏が8ビートを採用している、といった雰囲気。捻れに捻れるモーダルなアドリブ・フレーズは、ショーターならでは、であった。

が、しかし、この盤でパーソネルも曲想もガラッと変化させた。いきなり、である。Wayne Shorter『Super Nova』(写真左)。1969年8月29日、9月2日の2回に渡るセッションの記録。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ss), John McLaughlin (g), Sonny Sharrock (el-g), Chick Corea (ds, vib), Miroslav Vitous (b), Jack DeJohnette (ds, kalimba), Airto Moreira (perc), Walter Booker (ac-g), Maria Booker (vo), Niels Jakobsen (claves)。

エレ・マイルスのメンバーからのチョイスが基本。この盤は、エレ・マイルスの傑作『Bitches Brew』と同じ年に録音された作品である。このエレ・マイルスの『Bitches Brew』と『Super Nova』の関連性については、大いにあり、と睨んでいる。『Bitches Brew』の録音は、1969年8月19日〜8月21日。もちろん、ショーターも参加している。この『Super Nova』は、その8日後の録音。どうしても影響されるだろう。
 

Super_nova

 
『Bitches Brew』は重厚でファンキーなビート。『Super Nova』は軽快でフォーキーなビート。そんな軽快でフォーキーなビートをベースに、モード、フリー、ボサノバといった、当時の先進的なジャズの要素が渾然一体となって入り乱れる。限りなく自由度の高いモーダルなジャズ。1970年代に向けた、それまでのジャズのスタンダードとの関係を断ち切った「新主流派ジャズ」。

とにかく何から何までぶっ飛んだ内容。エレ・マイルスの『Bitches Brew』は、限りなく自由度が高い演奏だが、圧倒的な「構築美」が素晴らしい。逆に『Super Nova』は、限りなく自由度の高い演奏だが、直感的で即興的で場当たり的ですらある。しかし、両アルバムの共通点は、おどろおどろしい「闇」の雰囲気、そして、異様なほどのテンションの高さ。

この『Super Nova』、ショーターからして、WR結成前夜の唯一無二の傑作です。この盤のぶっ飛び具合からして、宇宙と交信しながら演奏する、というがそれも納得。あまたあるジャズ盤の中でも、突出してぶっ飛んだ内容の盤です。初めて聴くジャズ者の方は、心して聴いて下さい。そう、余談ですが、この盤では、何故か、チック・コリアがドラムとヴァイブで参加している(ピアノでは参加では無い)。不思議です(笑)。

 
 

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2018年1月 4日 (木曜日)

ジョーヘンの初リーダー盤

ジャズのアルバムの中で、まだまだ聴き込んでいないジャズメンが何人かいるのに気がつきました。例えば、ボビー・ハッチャーソンやホレス・パーラン、アンドリュー・ヒル、ジョー・ヘンダーソンなど、聴いてはいますが、今一度、聴き直す機会の少なかったジャズメン達です。そんな中から、新春のトップバッターは「ジョー・ヘンダーソン」。

Joe Henderson、略して「ジョーヘン」。若い頃から今に至るまで「ジョーヘン」で通してます(笑)。1937年4月生まれ。2001年6月に惜しくも鬼籍に入りました。64歳。早過ぎる逝去でした。初リーダー作が1963年、26歳の時でしたから、ちょっと遅咲きでしょうか。ハードバップ後期から頭角を現し、1960年代前半での初リーダー作ですから、新主流派の範疇のテナーマンです。

その初リーダー作が、Joe Henderson『Page One』(写真左)。1963年6月の録音。ブルーノートの4140番。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Butch Warren (b), Pete La Roca (ds)。トランペットのケニー・ドーハムだけがビ・バップ時代からのベテラン。他の4人は新主流派の若手。

この盤、冒頭の「Blue Bossa」の存在が何かとクローズアップされることがほとんど。このマイナー調のボサノバ曲が、1960年代のジャズ者の心を揺さぶったのか、当時から、この曲が良い、この曲が良いという評論ばかり。ケニー・ドーハムが、ハード・バップとボサノヴァのミックスで作曲したものとされている。でも、そんなに良い曲かしらん。
 

Page_one  

 
親しみ易いマイナー調の旋律は聴きやすいが、1970年代以降、リアルでジャズを聴いてきた僕達の世代からすると、以前の日本の演歌を聴くような感じがする。聴き易く親しみ易いマイナー調の旋律なんやけど、ちょっと古くて野暮ったいなあ、という感じなのだ。この「Blue Bossa」の存在よりも、演奏全体の新主流派一歩手前の趣味の良いハードバップな雰囲気が魅力。

主役のジョーヘンのテナーは「す〜っ」と伸びる、ビブラート無しのストレートなブロウが特徴で、ちょっと聴いてだけでは「コルトレーンか」と思う。しかし、ブロウの勢いが弱いというか「優しい」。優しく「す〜っ」と伸びる、ビブラート無しのストレートなブロウなのだ。決して、コルトレーンの様にダイナミックに雄々しくテナーを吹き上げない。ジョーヘンは、優しくジェントルにテナーを吹く。

モーダルなタイナーのピアノ、太く堅実なウォーレンのベース、堅実でポリリズミックなラロカのドラムは、いかにも新主流派のリズム・セクション。タイナーのピアノがあまりに個性的で、特にバラード曲では「これって、コルトレーンの伝説のカルテットの音か」と錯覚してしまうほど。それでいて、ジョーヘンのブローはまだ「捻れて」はいない。ハードバップゆずりのストレートなブロウに終始している。

まだまだ、ジョーヘンのテナーは固い。それでも、後に繋がる「優しく、す〜っと伸びる、ビブラート無しのストレートなブロウ」は、この初リーダー盤でしっかりと確認できる。ドーハムのトランペットだけが、旧来のハードバップの雰囲気を引き摺っていて、これはこれで個性的。ドーハムの存在が、他の4人の若手新主流派の音をグイグイ惹き立てるのだから、組合せの妙って面白い。

 
 

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2017年12月14日 (木曜日)

ECMレーベルらしい音・7

ECMレーベルの初期の頃のアルバムには「フリー・ジャズもの」が多い。恐らく、1970年代前半、欧州のジャズ界は「フリー・ジャズ」のブームだったんだろう。というか、欧州のジャズ者の方々は「フリー・ジャズもの」が好きだ。一定量のフリー・ジャズ者が何時の時代にも存在するみたいだ。

Jan Garbarek『Triptykon』(写真左)。1972年11月の録音。ECM1029番。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ss, ts, bs, fl), Arild Andersen (b), Edward Vesala (perc)。ノルウェー出身のサックス奏者、ヤン・ガルバレクの5枚目のリーダー作。ECMレーベルでは、『Afric Pepperbird』『Sart』に続く3枚目。

ECMレーベル独特の、抑制の効いた、切れ味の良い怜悧な音世界が個性の「フリー・ジャズ」が全編に渡って展開されている。コルトレーンの様ではあるが、コルトレーンの様な「汗飛び散る様な熱気」は全く無い。この盤は「青く怜悧な熱気」に覆われている。随所にエキゾチックなルーツ音楽の要素が散りばめられていて、欧州のフリー・ジャズやなあ、と妙に感心したりする。
 

Triptykon  

 
ガルバレクのサックスはコルトレーンのマナーを踏襲しているが、演奏時のアドリブ・フレーズの展開や旋律の調子は、何となく「オーネット・コールマン」の様な雰囲気を感じる。欧州フリー・ジャズの特徴なんだが、米国フリー・ジャズのいいとこ取りをしつつ、音世界の雰囲気は明らかに「欧州」な雰囲気を前面に押し出す。このガルバレクのフリー盤も同様に傾向をしっかり踏襲している。

ラストのノルウェー民謡である「Bruremarsj」が実に良い雰囲気。典型的な欧州フリー・ジャズの展開を踏襲していて、聴いていて、とても楽しい。素朴でメロディアス、ルーツ・ミュージックな雰囲気がプンプンして、フリーなアドリブ展開も全く気にならずに、楽しんで聴ける。こういう欧州ルーツ・ミュージックをベースにしたジャズ演奏って、勿論、米国には無いもので、ECMレーベルのアルバムの良い個性でもある。

しかし、これだけ徹底したフリー・ジャズって、どれだけ、一般のジャズ者の方々に訴求するのだろう。欧州ではそれなりに市民権は得ている、とは言うが、人数はかなり絞られるのでは無いだろうか。ガルバレクのフリーなテナーはテクニックが確かなので、耳触りでは無い。ECMレーベルのフリー・ジャズを知るのに、格好の一枚である。

 
 

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2017年12月13日 (水曜日)

明らかに新しいジャズ・オルガン

昨日に引き続き、この人のオルガンも、ほんのりファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」している。逆に、アグレッシブで音の太い、ストレートな音がこの人の個性。従来のジャズ・オルガンの音からすると、あきらかに対極にある音。この人とは、サム・ヤヘル(Sam Yahel)。1970年生まれだから今年で47歳。バリバリの中堅オルガニスト。

『Yaya3』(写真左)というアルバムがある。Yaya3=ヤヤ・キューブド(cubedは数字の3乗)と読む。2002年の作品。ちなみにパーソネルは、Joshua Redman (ts), Sam Yahel (org), Brian Blade (ds)。ヤエルがNYのジャズ・クラブ「スモールズ」で行なっていたライヴにジョシュアが参加して、このプロジェクト=Yaya3 は立ち上がった。

このプロジェクト=Yaya3の実質的なリーダーは、サム・ヤヘル。そして、このヤヘルのオルガンが実に魅力的なのだ。こってこてのファンクネスはかなり希薄。つまり、オルガンの演奏スタイルは、ジャズ・オルガンの大御所、ジミー・スミスの様なものでは無く、オルガンのコルトレーンと呼ばれたラリー・ヤングに近い。軽快でスッキリ、アグレッシブで音の太い、ストレートな音。
 

Yaya3

 
ストイックなまでにアグレッシブなオルガンの音色は、ストレートなグルーブ感を生み出して、シャープにうねる。音の雰囲気とくすみは明らかにジャズのものであり、このアルバムでのヤヘルのオルガンは、ストレート・アヘッドな純ジャズ系のオルガンである。コマーシャルに走らず、あくまで硬派にモード・ジャズを極めていく。

そんなヤヘルのオルガンに、ジョシュアのテナーが魅力的に絡む。ジョシュアのテナーは、コルトレーンとロリンズを足して2で割って、ロリンズ寄りに個性を寄せた感じ。硬派でストレートではあるが歌心に富んだテナーは、他に有りそうで無い個性。それが、軽快でスッキリ、アグレッシブで音の太い、ストレートなヤヘルのオルガンに絡むのだ。新しいオルガン・ジャズの響きが芳しい。

そして、そんな二人を鼓舞する、ポリリズミックな千手観音ドラミングのブライアン・ブレイド。硬軟自在、緩急自在なドラミングが、旋律をアドリブ・ラインを自由度高く司るフロント二人を手厚くサポートする。そして、アルバムを聴き終えた後、耳に一番残っているのはヤヘルのオルガン。現代の、明らかに新しいジャズ・オルガンの音である。

 
 

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2017年12月10日 (日曜日)

「動」の宇宙人的モードの演奏

ショーターのディスコ・グラフィー上では、『Speak No Evil』と『The All Seeing Eye』の間を埋める音源で、黒魔術っぽい怪しげで神秘的な宇宙人モードから、正統派な限りなく自由度の高い宇宙人モードへの移行期の音がここにある。Wayne Shorter『The Soothsayer』(写真)。1979年、日本での発売時の邦題が『予言者』。

1965年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Freddie Hubbard (tp), James Spaulding (as), McCoy Tyner (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。録音当時はお蔵入りになった盤。1979年にようやくリリースされている。3管編成でアレンジが非常に凝っている。ショーターの捻れた音世界満載。

『Speak No Evil』と『The All Seeing Eye』の間を埋める、という意味では、この『Et Cetera』と『The Soothsayer』が、当時「お蔵入り」の兄弟盤の様な位置づけで存在しており、この『Et Cetera』は「静」の宇宙人的モードの演奏が収録されている。ちなみに『The Soothsayer』は「動」の宇宙人的モードの演奏が収録されている。この盤においてショーターは絶好調である。
 

The_soothsayer

 
ショーターのテナーは、「動」の宇宙人的モードを繰り出して、捻れに捻れる。この「捻れ」が絶品。フロント3管のパートナーの一人、アルトのジェームズ・スポルディングも大健闘。60年代に活躍したセッション・ミュージシャンなんだが、力感豊かに疾走感溢れるアルトが見事。スポルディングのアルトは、パーカーの影響が感じられない新しいタイプのアルト。どちらかと言えば、ハードバップ後期のコルトレーンの様だ。

トランペットのハバードは、とにかく上手い。しかし、ハードバップ期の様に、俺が俺がと前へ出て目立ちに目立つということは無い。但し、ハバードが大人になった訳では無いようだ。ハバードの上手さが埋もれてしまうほどに、ショーターの「捻れ」が凄まじく、スポルディングの力感溢れるプレイが圧巻なのだ。ハバードは埋もれぬよう、懸命にトランペットを吹き上げる。

フロントを支え煽るリズム隊、トニーのドラム、ロンのベース、タイナーのピアノの内容も素晴らしい。トニーとタイナーは初顔合わせらしいが、全く違和感無く、一体となってフロントを煽っている。この盤も『Et Cetera』同様、録音当時、何故お蔵入りになったのか、理解に苦しむ。モードがベースの新主流派の演奏の良いところが満載。怖じけず入手して後悔の無い、ジャズ者中級者向けの好盤です。

 
 

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2017年12月 7日 (木曜日)

青く燃える様なモーダルな演奏

ウェイン・ショーターは、宇宙と交信しながらアドリブ・インプロビゼーションを展開する。本人がインタビューで度々言及しているので、本当のことなんだろう(笑)。しかし、ショーターのモーダルなアドリブ展開を聴くと、その並外れた変則感と聴いたことの無い音の使い方と重ね方があまりにユニークで、もしかしたら本当に宇宙人と交信しながら演奏しているのか、と思ってしまう。

Wayne Shorter『Et Cetera』(写真)。1965年6月の録音。しかし、録音当時は「お蔵入り」。1980年に初めて陽の目を見た。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Cecil McBee (b), Joe Chambers (ds)。ハービーをピアノに据えたリズム・セクションをバックに、なんと、この盤、ショーターのテナーがワンホーンのカルテット構成。

ショーターのテナーがワン・ホーンなので、ショーターのテナーが心ゆくまで感じ、楽しめる。ショーターのディスコ・グラフィー上では、『Speak No Evil』と『The All Seeing Eye』の間を埋める音源で、黒魔術っぽい怪しげで神秘的な宇宙人モードから、正統派な限りなく自由度の高い宇宙人モードへの移行期の音がここにある。
 

Etcetera

 
『Speak No Evil』と『The All Seeing Eye』の間を埋める、という意味では、この『Et Cetera』と『The Soothsayer』が、当時「お蔵入り」の兄弟盤の様な位置づけで存在しており、この『Et Cetera』は「静」の宇宙人的モードの演奏が収録されている。ちなみに『The Soothsayer』は「動」の宇宙人的モードの演奏が収録されている。

ブルーノートの録音・蓄積の「発掘王」マイケル・カスクーナは本作をショーターの「最高作の一つ」と称え、何故当時発売されなかったか謎だと語っている。この盤では、ショーターの静かに青く燃える炎の様なモード演奏を聴くことが出来る。マクビーのベースは音域広く、かなり個性的。チェンバースの叩き出すドラミングは重力感抜群。ハービーは何かに取り憑かれたかのように、限りなくモーダルな演奏を切れ味良く展開する。確かに僕もカスクーナの意見に激しく同意する。

静謐に展開するモードなアドリブ展開の中に、青く燃える様な熱気を感じるモーダルな演奏。他に無い、ショーターならではの独特の個性。ショーターのアルバム鑑賞の中で、この『Et Cetera』はマスト・アイテム。録音当時「お蔵入り」で、後にリリースされた、ということで、この盤を「訳あり演奏」盤と見切ってはいけない。

 
 

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