2023年9月10日 (日曜日)

コルトレーンとドルフィーと....

ジョン・コルトレーンとエリック・ドルフィー。この2人、どうにも「曰く言い難し」の間柄だと感じているのだが、このコルトレーンとドルフィーの共演ライヴというのは、今では「伝説」になっている。

かの有名な、1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでの共演時のライブ録音が中心になるのだが、共演時のリアルタイムでリリースされた、コルトレーン名義のドルフィーとの共演ライヴの音源は、全てが「コルトレーンはまずまず、ドルフィーは目立たない」ものばかりだった。

21世紀直前まで「やっぱりコルトレーンは凄い、ドルフィーはコルトレーンの前で萎縮して、それほどでも無い」というのが定説だったのだが、1997年、コルトレーン没後30年を記念してリリースされた『The Complete 1961 Village Vanguard Recordings』で、1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでの共演の全貌が明らかになる。

実は、共演のエリック・ドルフィーが素晴らしい出来で、コルトレーンはドルフィーに当てられてかどうかは判らないが、あまり良いパフォーマンスを残していない、ということが判っている。

が、コルトレーン信奉者は我が国にも沢山いて、そんなコルトレーン信奉者を中心に「1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでの不調はたまたまで、それを記録されたコルトレーンはついてなかった、なんていう見方もあるのだから、コルトレーンの人気って凄いものがある。

『Evenings At The Village Gate: John Coltrane with Eric Dolphy』(写真左)。1961年8月、NYのライヴハウス、ヴィレッジゲイトでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ss,ts), Eric Dolphy (b-cl, as, fl), McCoy Tyner (p), Reggie Workman (b), Art Davis (b), Elvin Jones (ds)。コルトレーンのテナーorソプラノ、ドルフィーのバスクラ orアルト or フルートがフロント2管、タイナーのピアノ、エルヴィンのドラム、そして、ワークマンとデイヴィスのダブル・ベースの変則セクステット編成。

1961年11月のヴィレッジ・ヴァンガードでの共演時のライヴ録音が、コルトレーンとドルフィーの共演の「伝説」だった訳だが、今回の未発表ライヴ音源の登場で、伝説のヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ録音より3ヶ月前、1961年8月のヴレッジゲイトでの共演時のライヴ音源がその「伝説」に加わった。
 

Evenings-at-the-village-gate-john-coltra

 
資料によると「このライヴ音源は、1961年当時、新しい音響システムのテストの一環としてエンジニアのリッチ・アルダーソンによって録音。その後、テープが行方不明になっていたが、近年、ニューヨーク公共図書館にて発見されたもの」とのこと。いや〜、こういう音源がまだまだ残ってるんですね。しかも、内容が抜群の良いし、音も問題無いレベル。素晴らしい発掘ライヴ音源です。

収録曲は「My Favorite Things」「When Lights Are Low」「Impressions」「Greensleeves」「Africa」の5曲。全編1時間20分の圧倒的名演の数々。全ての曲において、コルトレーンは豪快に吹きまくっている。しかし、ドルフィーはそんなコルトレーンを置き去りにして、別次元での即興演奏を展開する。

コルトレーンは明らかに、11月のヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴより吹けていて、コルトレーンもドルフィーも、モーダルな即興演奏の究極を追求しているが、ドルフィーだけが、その特異性、特殊性において、突出している。コルトレーンは、ドルフィーの前では「トラディショナル」。従来のモーダルな演奏の枠の中で即興性を追求している様に感じる。

バックのリズム隊、タイナーのピアノは「いつも通り」の安定度の高い平常運転。エルヴィンはコルトレーンにもドルフィーにも平等に強烈なビートであおり立てる。そして、ワークマンとディヴィスのダブル・ベースは超弩級の重低音ベースで、激烈なフロント2管のインプロの「底」を支える。

このヴィレッジゲイトの発掘ライヴ音源の登場で、ドルフィーのパフォーマンスが「異次元」の輝きを見せていたことを再認識した。コルトレーン名義のドルフィーとの共演盤を聴くと「コルトレーンの前ではドルフィーのパフォーマンスはイマイチやな」と思ってきたが、『The Complete 1961 Village Vanguard Recordings』と『Evenings At The Village Gate: John Coltrane with Eric Dolphy』を聴き通して、ドルフィーのパフォーマンスの方が圧倒的で創造性に優れていることが良く判った。

コルトレーンとドルフィー。コルトレーンが劣っているのではない。コルトレーンはコルトレーンで素晴らしい、他のサックス奏者を寄せ付けない即興性と創造性に溢れていると思う。しかし、ドルフィーは全く別の次元にいる。従来のジャズの即興性、創造性を凌駕して、ドルフィー独自の唯一無二の即興性&創造性を獲得している。全く以て、ドルフィーの早逝が惜しまれる。

しかし、この2つの未発表ライヴ音源『The Complete 1961 Village Vanguard Recordings』と『Evenings At The Village Gate: John Coltrane with Eric Dolphy』が発掘リリースされて良かった。ドルフィーの「真の姿」が確認出来て良かった。
 
 

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2023年9月 4日 (月曜日)

ショーターのエレ・ジャズの完成

『Phantom Navigator』(1987年)は、バックの演奏はフレーズはプログラミング、リズム&ビートは打ち込み中心。今の耳で聴いても、ショーター、これはやり過ぎやろ、と思う。ショーターのサックスを愛でるには最適の録音だったが、ジャズのパフォーマンスとして聴いた時、疑問符が付いたのは否めない。

Wayne Shorter『Joy Ryder』。1988年のリリース。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (sax), Patrice Rushen (key), Herbie Hancock(syn), Geri Allen (p, synth), Nathan East (b), Darryl Jones (b), Terri Lyne Carrington (ds), Frank Colon (perc), Dianne Reeves (vo)。

基本はショーターのサックスのワンホーン・フロント、キーボード+ベース+ドラムのカルテット編成。パーカッションとボーカルが追加で参加して、サウンドに彩りを添えている。

さすが、ショーター、『Phantom Navigator』はやり過ぎた、と思ったのだろうか。楽曲、演奏の雰囲気は前作『Phantom Navigator』、前々作『Atlantis』と変わらないが、パーソネルを見渡すと、バックのメンバーのネーム・バリューが違う。当時のエレ・ジャズ、コンテンポラリーな純ジャズの有望新人から第一線で活躍する強者がズラリ。それも、さすがはショーター、一捻りも二捻りもした人選には感心する。

サウンド志向の基本はウェザー・リポート(WR)。それも、後期WRから「ザヴィヌルのサウンド志向」を抜いて、当時のジャズ最先端、マイルスなどが追求していた、コンテンポラリーでメインストリームなエレ・ジャズのサウンド志向を反映している。そこに、ブラジリアン、プログレ、コズミック、そして黒魔術。そんなショーターの嗜好が理路整然と反映されているとところは、前作、前々作と変わらない。
 

Wayne-shorterjoy-ryder

 
しかし、同サウンド志向の前作、前々作はバックの演奏はあくまで「ショーター好みのサウンドの雰囲気作り」な役割に止めて、ショーターのサックスだけが前面にでれば良かったのだが、この盤では、バックの演奏はバックの演奏として、その個性、特徴をしっかり発揮して、ショーターのサックスに相対している。つまり、グループの演奏全体のパフォーマンスで、ショーター・ミュージックが楽しめる内容に変化している。

ショーターのサックスの素晴らしさは変わらない。が、この盤ではバックの演奏の質とレベルが格段にアップしている。ショーター好みの響き、ニュアンスをメンバーそれぞれが理解して、それをメンバーそれぞれの個性の下で音にする。つまり「人」がバック演奏を務めて、その上にショーターのサックスが吹き上げられていく。

血の通ったエレ・ジャズとでも形容しようか。冒頭「Joy Ryder」から、ラストの「Someplace Called "Where"」まで、ショーターの個性が散りばめられた、上質のコンテンポラリーでメインストリームなエレ・ジャズが展開されている。

WRにおけるキーボード=ザヴィヌルの役割は、ラッシェンとアレン、そしてハンコックが分担して担当。WR時代に人選に苦労し続けたリズム隊、ドラムには、当時、有望若手の女性ドラマー頭角を現したテリ・リン・キャリントン、ベースは、後にストーンズのサポート・メンバーで名をあげるダリル・ジョーンズと、エレ・ジャズ・ベースの名手の1人、ネイザン・イーストが担当して、充実のパフォーマンスを繰り広げる。

『Atlantis』『Phantom Navigator』と続いた、ショーターなりの後期WRサウンド、いわゆるコンテンポラリーなエレ・ジャズの追求は、この『Joy Ryder』でピリオドを打つ。それほどまでに、バックの演奏を含め、当時として、最先端のコンテンポラリーなエレ・ジャズの記録がこの『Joy Ryder』に満載。逆に、この盤以上の内容を追求する必要がないくらいに、この盤の内容は充実している。

ショーターは、この『Joy Ryder』をリリース後、リーダー作については、1995年の『High Life』まで約7年間、沈黙する。
 
 

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2023年9月 3日 (日曜日)

ショーターの異質なエレ・ジャズ

ウェザー・リポート(WR)を解散させ、ソロ・デビューしたウェイン・ショーター。ソロ・デビュー盤『Atrantis』では、サウンド志向のベースはWR、具体的に表現すると、後期WRから「ザヴィヌル志向」を消して、当時のジャズ最先端、マイルスなどが追求していた、コンテンポラリーでメインストリームなエレ・ジャズの音志向を反映した。

この盤はさすがショーターといった盤で、コンテンポラリーでメインストリームなエレ・ジャズをバックに、ショーター独自のモーダルなフレーズ、展開を散りばめ、ショーターのサウンド嗜好が理路整然と反映した、全面的にショーターの作曲と、ショーターのサックスの音を聴くアルバムに仕上がった。

Wayne Shorter『Phantom Navigator』(写真左)。1987年の作品。パーソネルは曲毎にメンバーを選定しているので、ここでは割愛する。楽器を見渡すと、キーボード系はシンセサイザーを大々的に導入し、プログラミングを積極活用。リズム&ビートもほぼ全面打ち込み。そんなデジタルな演奏をバックに、ショーターがサックスを吹きまくっている。
 
まるで、ザヴィヌル主導のWRのサウンドを、全てシンセサイザーやコンピューターに置き換えて、WRでやるなら、これくらいのレベルのことをやらないと、とでも言いたげなショーターのデジタルチックなアプローチ。この盤も、つまるところ、全面的にショーターの作曲と、ショーターのサックスの音を聴くアルバムなのだ。
 

Wayne-shorterphantom-navigator  
 
コンピューターのビートを積極導入し、曲によって多重録音による一人サックス・アンサンブルを披露。加えてヴォーカルも披露するという、大はしゃぎのショーター。WR時代、ザヴィヌルにサウンド志向において主導権を握られたストレスを、この盤で一気に解消しているような、そんなデジタルチックな内容。

ショーターのサックスが素晴らしいので、この盤はしっかり聴き通すことが出来る。が、バックの演奏はあくまで打ち込みであり、キーボードなどのアドリブも譜面にきめ細やかに書かれたものを、プログラミングにて打ち込まれた人工的なもの。バックがデジタルチックな分、ショーターのサックスのアナログな魅力が引き立つので、それはそれで効果的かな、とも思うが.....。

2曲目「Mahogany Bird」だけが、アコースティックっぽさを前面に出した演奏になっている。ピアノはチック・コリア、ベースはジョン・パティトゥッチが特別参加。ビートは打ち込みだが、チックとパティトゥッチのお陰で、しっかり純ジャズな雰囲気をキープしているのはさすが。ショーターのスローで流麗なソプラノが一層映えているのも、チックとパティトゥッチのお陰。今の耳で聴くと、この曲の存在が凄く効いている。

時代の流行に合わせた、そんな時代の最先端のジャズの音だとは思うが、この音作りが根付くことはなかった。やはり、ジャズは「人」がメインで演奏されるべき音楽なんだろう。この『Phantom Navigator』を聴いていて、つくづくそう思う。
 
 

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2023年9月 2日 (土曜日)

ショーター独自のエレ・ジャズ

ウェザー・リポート(Weather Report・WRと略)が解散したのが1986年。実にあっけない幕切れだった。

『Weather Report(1981)』のリリース後、ベースのジャコ・パストリアス、ドラマーのピーター・アースキンが抜けて、新生WRは明らかにザヴィヌル志向の音作り。アルバムを重ねる毎に、この「ザヴィヌル志向」は強くなり、ラストの『This Is This!』では、双頭リーダーの相棒、ショーターは名前を連ねているだけになっていた。

このWRのラスト『This Is This!』の音作りを聞けば、ザヴィヌルのサウンド志向は良く判る。ファンク・グルーヴを湛えたワールド・ミュージック志向なジャズロック。エスニック、アフリカンな響きが特徴。ザヴィヌルはWR解散後、ウェザー・アップデート、ザヴィヌル・シンジケートと次々にバンドを結成し、後期WRの影を追い続けた。

Wayne Shorter『Atlantis』(写真左)。1985年の録音・リリース。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (ss, ts), Joseph Vitarelli (key), Michael Hoenig (syn), Yaron Gershovsky, Michiko Hill (ac-p), Larry Klein (el-b), Ralph Humphrey (ds), Alex Acuña (ds, perc), Lenny Castro (perc), Jim Walker (fl)。

このアルバムには有名ジャズマンはいない。ショーターのソロアルバムには、必ずと言って良いほどその名を連ねていた、盟友のハンコックすら無関係である。これには驚いた。セッションへの参加ジャズマンは沢山いるが、演奏全体の印象は「ショーターのワン・ホーン・アルバム」。全面的にショーターの作曲と、ショーターのサックスの音を聴くアルバムである。
 

Wayne-shorteratlantis

 
それほど、この盤は「ショーターで一杯」。それまでのショーターの「ニュー・ジャズ」における個性である、ブラジリアン、プログレ、コズミック、そして黒魔術。そんなショーターの嗜好が理路整然と反映されたショーターのソロ・アルバムである。

WRの双頭リーダーの片割れ、ウェイン・ショーターはどんなサウンドを追求するのか。この答えがこのショーターのリーダー作にある。実はこのアルバム、WRのラストの『This Is This!』の前にリリースされている。WRもショーターも同じレコード会社Columbia。どうして、こういう順番のリリースになったのか、当時は戸惑ったものだ。

それもそのはず、この『Atlantis』の音志向の基本はWR。それも、後期WRから「ザヴィヌル志向」を消して、当時のジャズ最先端、マイルスなどが追求していた、コンテンポラリーでメインストリームなエレ・ジャズの音志向を反映している。その音志向の中で、ショーター独自のモーダルなフレーズ、展開が散りばめられていて、これが実は「真の後期WRの音」じゃなかったのか、と強く感じるくらい、インパクトある音世界だった。

ショーターは自伝に「海(航海)を大きなテーマに全体を統べたハンコックの『処女航海』のように、コンセプチュアルなアルバムでもある」とショーターは自伝に書いているが、全体を聴き通してみて、ふ〜んそうなんか、と思うくらい。それでも、それぞれの演奏が実に充実していて、何回聴いても、聴く度に新しい発見があって、なかなか「飽きない」。

ショーターのリーダー作の中でも、エレ・ジャズの歴史の中でも地味な存在なアルバムだが、どうして、これ「エレ・ジャズの名盤」の1枚かと。とにかく聴いていて楽しいし心地良い。良いエレ・ジャズです。
 
 

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2023年8月13日 (日曜日)

ジョーヘンの完全モーダルな盤

ジョー・ヘンダーソン(以降、ジョーヘン)のテナーは、コルトレーンでもなければ、ロリンズでも無い。ストレートな吹奏はコルトレーンの影は引き摺っているものの、ジョーヘンのテナーの響きとフレーズは唯一無二。ジョーヘン独特のテナーである。

ブルーノート・レーベルに初リーダー作『Page One』を録音して以降、『Our Thing』『In 'n Out』とブルーノートに立て続けにリーダー作を録音した。が、モーダルなジョーヘンを聴くことは出来るが、唯一無二のジョーヘンならではのモード・テナーにはなりきっていなくて、「ちょっと捻れた」独特のモーダルなテナーは中途半端。恐らく、フロント管のパートナー、ジョーヘンの育ての親を自認していたケニー・ドーハムへの遠慮というか、ドーハムに合わせたところが中途半端なモード・テナーになった理由だろう。

Joe Henderson『Inner Urge』(写真左)。1964年11月30日の録音。ブルーノートの4189番。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Elvin Jones (ds)。4枚目のリーダー作にして、フロント管がジョーヘンのテナー1管の「ワンホーン・カルテット」。しかも、バックのリズム隊はバリバリ、モードに精通した強者のトリオ。

それまで、フロント管のパートナーだったケニー・ドーハムと分かれて、ジョーヘンのテナー1本でのカルテット演奏。しかも、バックを固めるのが、タイナー・クランショウ・エルヴィンの「鉄壁のモーダル・リズム・セクション」。
 

Joe-hendersoninner-urge

 
ジョーヘンは、このリーダー作第4弾にして、ジョーヘンの完全モーダルな、ちょっと捻れた「ウネウネ」テナーが、思う存分、自由自在に疾走する。タイナー・クランショウ・エルヴィンの「鉄壁のモーダル・リズム・セクション」との相性もバッチリ。演奏の精度と密度は相当に高く、ブルーノートのアルバムの中でもその内容の充実度は上位に位置する。

ジョーヘンのモーダルなテナーは、ウネウネの振れ幅が穏やかで、ハードバップなリズム&ビートに良く「乗る」。例えば、ウェイン・ショーターのモーダルなテナーの「ウネウネ度合い」は振れ幅が大きくて、慣れていないとちょっと聴くに辛いところがある。

が、ジョーヘンは違う。ジョーヘンのモーダルなテナーのフレーズは、ハードバップのマナーに則った、従来のモダン・ジャズの枠内に収まったモーダルな展開で、聴いていて取っ付き易く聴き易い。

このブルーノートでのリーダー作第4弾は、ジョーヘンのモーダルなテナーを的確に捉えている。ジョーヘンも自由に、吹きたい様に吹きまくっている様が良く判る。ハードバップの延長線上にあるジョーヘンのモーダルな展開は、難解と思われているモード・ジャズを、とても聴き易いものにしている。これが、ジョーヘンのモード・ジャズの、他のジャズマンに無い個性だろう。この盤は、ジョーヘンのモーダルなテナーを理解するのに最適な盤。ジャケも小粋で良い。
 
 

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2023年8月 7日 (月曜日)

ハンク・モブレーの『転換点』

ブルーノートの4100番台は、カタログ順に聴き進めていると意外と面白い。ジャズの多様化の時代、1950年代のハードバップが成熟し、そのハードバップな演奏に留まる者。逆に、ハードバップから新しい演奏トレンド、モード・ジャズやフリー・ジャズに進化する者、

はたまた、ジャズの大衆化に沿って、大衆のジャズに対するニーズに応えるべく、ファンキー&ソウル・ジャズにステップアップする者、それぞれ、苦心して、ジャズに対する新しいニーズに応えようとしているのが、実に見事に記録されている。

Hank Mobley『The Turnaround!』(写真左)。1963年3月7日(#2-3)、1965年2月4日(#1, 4-6)の2セッションからの収録。ブルーノートの4186番。

ちなみにパーソネルは以下の通り。1963年3月7日の録音は、Hank Mobley (ts) Donald Byrd (tp), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Philly Joe Jones (ds)。1965年2月4日の録音は、Hank Mobley (ts), Freddie Hubbard (tp), Barry Harris (p), Paul Chambers (b), Billy Higgins (ds)。

1965年7月、LPでの初リリース時は全6曲。収録曲は以下の通り。

1. The Turnaround
2, East of the Village
3. The Good Life (Sacha Distel, Jack Reardon)
4. Straight Ahead
5. My Sin
6. Pat 'n' Chat
 

Hank-mobleythe-turnaround

 
ちなみにCDリイシュー時、1989年のCDリイシューはLP時の収録曲のシークエンスに対応しておらず、1963年のセッションが省略され、1965年2月5日のセッションが収録された。これは酷い。 
 
我が国では、2014年11月に限定SHM-CDでリリース。オリジナルのLPシーケンスに加え、『ストレート・ノー・フィルター』のCD版に収録されていた1963年のセッションの2曲、および1965年のセッションの残りのトラックで構成されている。この記事では、1965年7月、LPでの初リリース時の6曲シークエンスを前提に話を進める。

2曲目「East of the Village」と3曲目「The Good Life」が、クールなハードバップ志向。1963年3月7日の録音で、ドラムがフィリージョー。ピアノにハンコックがいるが、ドラムが「こってこてハードバップ」のフィリージョーだとモードに走る訳にはいかない。ただ、録音年が1963年だとすると、内容的には「手垢が付いた」と感じるところは否めない。

1曲目「The Turnaround」と、6曲目「Pat 'n' Chat」がジャズロック志向。アドリブにモードなフレーズが見え隠れ。4曲目「Straight Ahead」と5曲目「My Sin」がモード・ジャズ志向。モブレー固有のモーダルなテナーが聴ける。ただし、ちょっとやりにくそう。逆にフロントの相棒、ハバードは喜々としてモダールなフレーズを吹きまくっている。

タイトルの「The Turnaround」は「転換点」を意味するのか。とあれば、この盤は、モブレーの「転換点」を記録した番と解釈出来る。1963年3月7日のクールなハードバップ志向、1965年2月4日の録音のジャズロック&モード志向。この2つの録音の間にある「転換点」をこの盤で表現しているのか。

そうであれば、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンのアルバム企画力には脱帽。確かに、明らかに、この盤では、2つの「顔」のモブレーが確認出来る。
 
 

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2023年7月25日 (火曜日)

新主流派の名演・名盤の1枚

1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルはかなり「懐が深い」。1500番台からそんな傾向は出ていた訳だが、とにかく、その時その時に出現した、ジャズの「新しいトレンド&奏法」に長けたジャズマンをチョイスして、しっかりリーダー作を録音させている。4100番台を見渡すと、当時、ジャズの最先端を走るフリー・ジャズやモード・ジャズにもしっかりと対応しているから凄い。

Sam Rivers『Fuchsia Swing Song』(写真左)。1964年12月11日の録音。ブルノートの4184番。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts), Jaki Byard (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。新主流派の中でも先進的で尖ったテナーのサム・リヴァースがリーダー。ピアノに、これまた新主流派で尖ったジャッキー・バイヤード。ロンとトニーは新主流派のリーダー格。

サム・リヴァースの初リーダー作。リヴァースは、1923年生まれなので、40歳を過ぎての遅い初リーダー作になる。僕がリヴァースを初めて知ったのは、マイルスの『イルス・イン・トーキョー』でのサックス・プレイ。モーダルではあるが、かなり前衛的で、マイルスの下で限りなくフリーに走ったり、ちょっとだけアヴァンギャルドに傾いたり、当時として「かなりヤバい」サックス奏者だった。
 

Sam-riversfuchsia-swing-song

 
そんなリヴァースの初リーダー作。収録曲は全てリヴァースの自作曲。メンバーは皆、新主流派。当然、出てくる音はモードなんだが、かなりヤバいモードである。とにかく、フリーか、と思う位の自由度の高いモーダルな展開、最低限、伝統のジャズの範疇には留まって、最低限の決め毎に従って演奏してはいるが、とにかく尖っている。それでも、今の耳には五月蠅くない、しっかりとしたモード・ジャズをやっているのだから、その力量たるや、目を見張るものがある。

バックのリズム・セクション、バイヤードのピアノ、ロンのベース、トニーのドラム、皆、喜々として、リヴァースの相当に限りなくフリーに近いモーダルな吹奏に追従している。バイヤードがカチカチ硬質なモーダル・フレーズを叩き出し、ロンの自由奔放なベースラインが蠢き、トニーが安全装置を外して暴走叩きまくり。それでも、しっかりと伝統のジャズの範疇に留まった演奏でまとめているのだから、このリズム隊の力量も凄いものがある。

何だか、とんでもない「モーダルな」内容の演奏の数々だが、フリーに走っても、アブストラクトに傾いても、ちゃんと伝統のジャズの範疇に着地するのだから、このアルバムは素晴らしい。当時の新主流派の演奏の中でも、とびきり硬派でとびきりカッ飛んだ内容のアルバムで、21世紀の今から振り返ってみると、この盤、新主流派の名盤の1枚として評価してよいかと思う。
 
 

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2023年7月14日 (金曜日)

ブレイスのブルーノート最終作

ジョージ・ブレイス(George Braith)。 ブルーノート4100番台の異色の存在だろう。ブレイスは、NY出身のソウル・ジャズ・サックス奏者。ブレイスの一番の特徴は「ローランド・カークが開発したテクニックで、循環呼吸を活用して、一度に複数の管楽器を演奏する」ところ。但し、カークの様に難度高く複雑にモーダルに展開することは無く、平易にシンプルなフレーズに終始する。

George Braith『Extension』(写真左)。1964年3月27日の録音。ブルーノートの4171番。ちなみにパーソネルは、George Braith (sax), Billy Gardner (org), Grant Green (g), Clarence Johnston (ds)。ブレイスがブルーノートに残したリーダー作の3枚目、最終作になる。3作ともドラムはコロコロ変わるが、グラント・グリーンのギターとビリー・ガードナーのオルガンは不変。

この盤、聴き進めると「あれれ」と思う。ブレイスの一番の特徴は「ローランド・カークが開発したテクニックで、循環呼吸を活用して、一度に複数の管楽器を演奏する」ところ、が鳴りを潜め、サックス1本でストレートに吹きまくっている。これだと、聴いていて誰なのか判らない。ブレイスのサックス1本だけの吹奏を取ると、これと言って強烈な個性が無いのだから困る。

しかし、アルバム全体としては「間の抜けた調子外れのテーマを吹いていたブレイスは何処へ行った」なんだけど、ブレイスの曲が良くて、そのテーマを吹くブレイスのサックスが良い感じで聴こえるから不思議。この盤は、収録されたブレイスの自作曲の「曲の良さ」に救われている。とにかく、ブレイス曲の格好良さが耳に残る。
 

George-braithextension

 
演奏の雰囲気はソウル・ジャズが基本なんだが、演奏のスピード感は「こってこてのハードバップ」。冒頭の「Nut City」から「Sweetville」まで、ブレイスはストレートにサックスを吹きまくる。

そして、やはりグラント・グリーンの「ぱっきぱき硬質で、こってこてファンキーなシングルトーン・ギター」が効いている。グリーンのギターがファンクネスをどっぷり供給して、この盤はソウル・ジャズに留めている。グリーンのファンキー・ギターが、ブレイスの吹くストレートにハードバップなサックスの中に漂うソウルフルな要素を呼び起こして、演奏全体の雰囲気をソウル・ジャズに引き戻している。

ラストのコール・ポーター作の有名スタンダード曲「Ev'ry Time We Say Goodbye」は、ブレイスの面目躍如。スローでバラードチックに演奏されることが多いこの曲を、「ローランド・カークが開発したテクニックで、循環呼吸を活用して、一度に複数の管楽器を演奏する」個性の封印を解いて、軽快なテンポで、ややアバンギャルドな響きのする叙情的な吹奏を繰り広げるブレイスが実に格好良い。

実はこのラストのスタンダード曲の吹奏で、「ああ、この盤のリーダーって、ブレイスなのね」と判る。そして、ブルーノートのブレイスとは、このラストの「Ev'ry Time We Say Goodbye」で、お別れなのだ。何だか意味深ですね。
 
 

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2023年7月 8日 (土曜日)

モーダルなジョーヘン参上です。

ブルーノート4100番台はモード・ジャズについても、様々なジャズマンが手掛ける、様々な表現形態のモード・ジャズを記録している。どれとして、同じ表現をしているジャズマンはいない。モードは表現の自由度がかなり高いと言われるが、この辺りは「至極納得」である。皆、それぞれの感性・感覚で、それぞれの個性的なモード・ジャズをやっている。

モード・ジャズというのは、かなりアーティステックで、聴いていても、ちょっと判り難い。音楽理論を学んだ経験のある人は「ははん」と、何となく理解出来るのだが、音楽理論に触れていない方には、説明されてもよく判らないところが本音だろう。ということで、モーダルなジャズって、当時もセールス的には厳しかったと思うのだが、ブルーノートはかなり積極的に、モード・ジャズの録音を残している。さすがである。

Joe Henderson『In 'N Out』(写真左)。1964年4月10日の録音。ブルーノートの4166番。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Kenny Dorham (tp), McCoy Tyner (p), Richard Davis (b), Elvin Jones (ds)。ウネウネなモーダル・テナーのジョー・ヘンダーソン(以降、略してジョーヘン)とケニー・ドーハムのトラペットがフロント2管のクインテット編成。

この盤でのジョーヘン、基本はモード・ジャズでキメている。ピアノのタイナー、ベースのディヴィス、ドラムのエルヴィンは、コルトレーン仕込みのモード・ジャズの担い手なので、この盤、こってこてのモード・ジャズなんだろうなあ、と思うのだが、トランペットにドーハムがいるのがちょっと違和感。ドーハムってモード・ジャズ、イケたんでしたっけ、と思わず思ってしまう。
 

Joe-hendersonin-n-out

 
ジョーヘンのモーダルなフレーズって、他の新主流派のフレーズとはちょっと雰囲気が違う。新主流派のモーダルなジャズは、マイルス仕込みとコルトレーン仕込みと、2つに大きく分かれると感じている。マイルス仕込みは、ハンコック、コリア、ショーター、ロン、トニーなど、マイルス・バンドの面々で、間と拡がりと緩急を活かしたモード。コルトレーン仕込みは、タイナー、エルヴィン、ハバード。シーツ・オブ・サウンドをベースとした、吹くまくり、弾きまくりのモード。

ジョーヘンのモードは、ウネウネと捻れて、あんまり起承転結の無い、いつまで続くんだ〜って感じの縦横に伸び縮みするフレーズが特徴。1曲きけば直ぐに判る。熱くなることは無い。どこまでもクールにウネウネ捻れて縦横に伸び縮みするモーダルなフレーズ。今の耳で聴くと、ちょっとレトロな雰囲気漂う、古き良き時代のモーダルなフレーズ。これが、ジョーヘン独特で唯一無二なのだ。

この『In 'N Out』、そんなジョーヘンのモーダルなフレーズが心ゆくまで楽しめる。そして、バップなトランペッター、ドーハムもしっかりモードに対応している。バップな響きで端正で明確なトランペットで「モーダルなフレーズ」を吹きまくっている。ドーハムのトランペットが端正な分、ウネウネ捻れて縦横に伸び縮みするジョーヘンのテナーとの対比がとても良いフロント2管である。

ジャケットも優秀。ブルーノートらしい「タイポグラフィ」が凄く良い。タイトルの「In 'N Out」の先頭の「i」の点の部分にジョーヘンの写真が小さくあしらわれていて、これがまた「粋」。良いジャケには良いジャズが宿る。そんな「格言」の典型的な例だろう。ジョーヘンのモーダルなジャズの好盤です。
 
 

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2023年7月 7日 (金曜日)

「ロイドの温故知新」の追記です

1984年、EMI傘下のジャズ・レーベルとして復活した「ブルーノート」。復活の手始めに「85100 シリーズ」として、 Stanley Jordan『Magic Touch』を1985年にリリースして以降、1987年まで、当時のメインストリーム志向の純ジャズを立て続け40枚弱、リリースしている。

Charles Lloyd Qartet『A Night In Copenhagen』(写真左)。サブタイトルが「Live At The Copenhagen Jazz Festival, 1983」。ブルーノートのBT 85104番。1983年7月11日、コペンハーゲン・ジャズフェスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, Chinese oboe), Michel Petrucciani (p), Palle Danielsson (b), Woody Theus (ds, perc), Bobby McFerrin (vo,on #4 only)。

この盤は、2020年10月25日に「ロイド・カルテットの温故知新」(ここをクリック)と題して、記事をアップしている。が、今回、再びこのライヴ盤を聴き直して、ちょっと追記したくなってので、以下に追記部分をまとめてみました。

機を見て敏なるテナー・サックス奏者、チャールズ・ロイドが1管フロント。ミシェル・ペトルチアーニがピアノ、スウェーデン出身のベーシスト、パレ・ダニエルソン、そして、米国出身のウッディ・ゼウスがドラマー、のリズム・セクション。ロイドのワンホーン・カルテットになる。

コルトレーンの「軽いコピー」という、ちょっと胡散臭さ漂うテナーのロイドは、1970年代、ジャズシーンから姿を消していた。何処へ行った、という状態だったが、何と欧州にいた。というか、1981年、欧州にて、ペトルチアーニのツアーに参加する形で復活していた。その流れの中で、このライヴ盤はロイドがリーダーのカルテットとして、コペンハーゲン・ジャズフェスの出演した時のライヴ録音である。
 

A-night-in-copenhagen_live-at-the-copenh

 
ロイドのテナー・サックスは、相変わらず「コルトレーンぽい」のだが、クロスオーバー〜フュージョン時代を通過した、ポップで流麗でかなり判り易いコルトレーンになっている。1960年代のコルトレーンをベースに、1980年代のモーダルで軽快な、少しスピリチュアルなテナー・サックスに再構築されている。

ここまで、以前のコルトレーンの雰囲気とかけ離れたものになったのだから、この時点でのロイドの吹奏は「ロイド・オリジナル」と評価して良いかと思う。軽いが情感溢れるモーダルなフレーズは聴いていて心地良い。

そういう意味では、ロイドはペトルチアーニとの出会いによって復活し、確固たる個性を獲得したことになる。そんなロイドの記録がこのライヴ盤。ペトルチアーニ、ダニエルソン、ゼウスのリズム・セクションのパフォーマンスも実に良い感じなんだが、このライヴ盤では、自らの個性を確立したロイドのテナー・サックスを第一に愛でるべき盤だろう。

演奏される曲は、コルトレーン・ライクなスピリチュアルな吹奏はちょっと横に置いて、硬派で真摯なモードあり、ボサノバ調な軽快な演奏あり、ボーカルものあり、意外と「とっちらかって」いるのだが、以前より聴き手に迎合する傾向のある、機を見て敏なるロイドについては、まあこれも「アリ」だろう。

1981年の復活で自らの個性を獲得し、やっと「胡散臭さ」が抜けたロイドのテナー・サックス。このライヴ盤でのロイドの吹奏はオリジナリティー満点。復活して良かった、と心から思える素敵な内容のライヴ盤です。
 
 

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