2024年2月27日 (火曜日)

『Johnny Griffin Sextet』 です

1957年、ブルーノートより『 Introducing Johnny Griffin』をリリースし、初リーダー作デビュー。その後、ブルーノートに『A Blowin' Session』『The Congregation』の2枚の好盤を残したジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)。1958年、満を辞して、リヴァーサイド・レコードに移籍する。

『Johnny Griffin Sextet』(写真左)。1958年2月25日の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Pepper Adams (bs), Donald Byrd (tp), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、アダムスのバリサク、バードのトランペットの3管フロント。バックのリズム隊は、ドリューのピアノ、ウエアのベース、フィリージョーのドラム。セクステット編成になる。

直訳すると「ジョニー・グリフィンの6重奏団」なんていう、味もしゃしゃらも無いタイトルなんだが、リヴァーサイド移籍第一弾のグリフィンのリーダー作である。

この時代、テナー、トランペットときたら、トロンボーンが定番の3管フロントなんだが、この盤ではトロンボーンでは無く、バリサクの入った3管フロント。グリフィンの骨太でデカい音のテナーとの相性を考慮したチョイスだと思われる。

リズム隊は、黒い重量感あるドリューのバップ・ピアノ、ダイナミックでオフェンシブなフィリー・ジョーのバップ・ドラム、そして、ちょっと捻れ感のある、プログレッシヴなウエアのバップ・ベース。
 

Johnny-griffin-sextet

 
セクステットのハードバップ演奏として、聴き慣れた感、「またか」感を回避すべく、フロント3管の楽器の組み合わせと、リズム隊の奏でるリズム&ビートの新鮮さに工夫の後が見える。オリン・キープニュースの深慮遠謀を感じる。

で、その内容だが、いやはや、素晴らしい内容のハードバップ。流麗で重厚感溢れる3管フロント。テクニック確かでブリリアントなバードのトランペット、重量感豊かに流麗に吹き回すペッパーのバリサクの効果的に響く。そこに、骨太でメロディアスなデカい音のグリフィンのテナーが前面に推し出てくる。この3管フロントがこの盤の最大の聴きもの。

リズム隊も良い音出している。ドリューの黒い重量感が心地良い、疾走感溢れるバップなピアノが、演奏全体に活力を供給する。ちょっと捻れた不思議な響きが新鮮なウエアのベースラインが、フロント3管の創造力を刺激する。そして、フィリー・ジョーのダイナミックなバップ・ドラミングが演奏全体を煽り、鼓舞する。

収録曲全5曲、どの演奏も充実したハードバップだが、特に、有名スタンダード曲の「What's New?」と「Woody 'n' You」が良い。3曲目の「Woody 'n' You」のみ、アダムスとバードが抜けて、グリフィンのワンホーン・カルテットの演奏になっていて、グリフィンのテナーの個性と特徴がよく判る。

これだけ充実した6重奏団のハードバップな演奏が詰まった優秀盤だが、我が国では、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で取り上げられることは殆ど無い。が、ジャケもなかなか「ジャズしてる」し、ジャケ良し内容良しの「隠れ名盤」だと、僕は評価している。今でも時々、ひっぱり出しては聴き直す、永遠のヘビロテ盤でもある。
 
 

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2024年2月14日 (水曜日)

ショーターの「白鳥の歌」

2023年3月2日、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)は、89歳で逝去した。ジャズを聴き始めてから、リアルタイムでずっと聴き続けてきたジャズマンが逝去するのは単純に辛い。

ショーターのサックスのベースは「モード」。ショーターのモード奏法は、マイルスのモードの個性とコルトレーンのモードの個性を極端に拡張〜融合した、当時のモード奏法の究極形の様な吹き回し。

確実にステップアップしたモード解釈で、音の「スペースと間」を活かし、音の広がりを活かしたモーダルな展開は、明らかにショーターならではの音世界。確実にショーターは、ジャズ・サックスの偉大なスタイリストの一人だったし、後進に与える影響は大きかった。

Wayne Shorter, Terri Lyne Carrington, Esperanza Spalding, and Leo Genovese『Live at the Detroit Jazz Festival』(写真左)。2017年9月3日、デトロイト国際ジャズフェスティバルでのライヴ録音。2017年6月に逝去した、ピアニストで作曲家のジェリ・アレンの追悼のパフォーマンスでもあった。

ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (sax), Leo Genovese (p, key), Esperanza Spalding (b, vo), Terri Lyne Carrington (ds)。ショーターのサックスがフロント1管の「ワンホーン・カルテット」。

ショーターがテリ・リン・キャリントンやエスペランサ・スポルディング、レオ・ジェノヴェーゼと共演、という「一期一会」のライヴ音源。プロデュースは、テリ・リン・キャリントンが担当している。2022年9月にアルバムとしてリリース。今のところ、2023年に亡くなる前のショーターにとって最後のレコーディングでもあった。
 

Live-at-the-detroit-jazz-festival

 
しかし、このカルテットの編成は凄い。こういう組み合わせもあったのか、と唸った。ショーターのモーダルなサックスは、その個性と特徴をよく理解していないと共演できない類のものだと思うのだが、この「一期一会」のカルテットは、まるでパーマネント・カルテットの様な、一体感溢れる、濃密なつながりの中で、モーダルなインタープレイを展開している。

キャリントンのドラム、スポルディングのベース、ジェノヴェーぜのピアノ、このリズム・セクションがショーターの個性と特徴に精通し、ショーターの音楽性にリスペクトの念を強く抱いていることが、とても良く判る。特に、ジェノヴェーぜのピアノが凄い。変幻自在、緩急自在、硬軟自在なピアノでショーターの音世界に追従する。

フロントのショーターもそれを感じて、実に楽しそうにサックスを吹き上げている。時々、顔を出す「深刻なフレーズ」や「宇宙人との交信フレーズ」が無い。このライヴではショーターは地球人ジャズ・ミュージシャンとのみ、交信している。変に捻れたところが無く、ポジティヴで健康的なショーターのフレーズの数々が印象深い。

スポルディングが参加していることもあって、ボーカル曲も沢山入っている。しかし、そのボーカルも「ショーター調」がしっかり踏まえられていて、「ショーター節」を踏襲した唄い回しが実に微笑ましい。ネオ・ハードバップ&ネオ・モードの最先端の演奏であるが、このエスペランサのボーカルは決して邪魔にならない。どころか、ショーターのモード・ジャズに新しい彩りを添えている。

このショーターのワンホーン・カルテットでの演奏がもっと聴きたかったなあ。この4人でのカルテットの演奏はこのライヴの時だけ。真に「一期一会」のパフォーマンスを捉えた素晴らしいライヴ音源である。

この後、ほどなくショーターは引退し、2023年3月、鬼籍に入る。
 
 

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2024年1月25日 (木曜日)

John Patitucci Trio の秀作です

ジャズ盤の鑑賞については、昔のハードバップやモードを聴くこともあるが、最近の、現代のジャズの新盤も努めて聴く様にしている。1970年代においては「ジャズは死んだ」として、現代のジャズはジャズで無い、とし、コルトレーン逝去前のジャズをジャズとして、1950〜60年代のジャズしか聴かないジャズ者の方々もいたみたいだが、それはかなり極端な見解だろう。

21世紀に入った現在から以前のジャズを聴き直すと、コルトレーン逝去後もジャズは「進化」、やっと1980年代に入って、さすがにジャズの世界では「イノベート」な何かは生まれ出なくなった。

しかし、それまでのジャズのトレンドやスタイルを捉え直して、現代のジャズは「深化」している。以前のトレンドやスタイルをグイグイ掘り下げて、完成度を高め洗練し、新しい解釈を添加する。そんな「深化」は未だに途絶えることは無い。

『John Patitucci Trio: Live in Italy』(写真左)。2022年の夏、イタリアツアーでのライヴ録音。なみにパーソネルは、John Patitucci (b), Chris Potter (sax), Brian Blade (ds)。現代のジャズ・ベースのヴァーチュオーゾの一人、ジョン・パティトゥッチのリーダー作。パーソネルを見れば、フロント一管・サックス、ベース、ドラムのピアノレス・トリオ。

もともと、ジャズ・ベーシストのリーダー作はその数が少ない。もともとリズム・セクションで、バンドの演奏の「ベースライン」を守る楽器。フロント楽器の様な旋律楽器では無いので、バンド演奏の前面に押し出たリーダーとしては振る舞い難い。そんな、数が少ないベーシストのリーダー作であるが、そのリーダー作の内容的傾向は幾つかに分かれる。

リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケース。もう一つは、ベーシストとしてのテクニックの高さを全面的に披露するケース。そして、リーダーとして、グループ・サウンズを統率する役割に徹するケース。
 

John-patitucci-trio-live-in-italy

 
今回のパティトゥッチのリーダー作は、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてのテクニックの高さを全面的に披露するケースのハイブリッド。

ピアノレス・トリオの特性を最大限活かした、ネオ・ハードバップ&ネオ・モード。決して、1950年代から60年代のハードバップやモード・ジャズの焼き直しでは無い。

このピアノレス・トリオの演奏は、基本はモードだが、出てくるフレーズはどれもが新鮮。ベースもドラムもサックスも、躍動感が溢れ、変幻自在、活き活きしたパフォーマンスが全編に渡って繰り広げられている。

パティトゥッチのベースが凄く良い。ジャズの歴代のレジェンド・ベースマンのパフォーマンスに匹敵する素晴らしいウォーキング・ベース、そして、ベースソロ。タイトでソリッドでメロディアスなアコベ。バンド全体の一体感を醸し出す説得力あるアコベ。

ブライアン・ブレイドのドラムがこれまた凄く良い。ブレイドの変幻自在、緩急自在、硬軟自在のドラミングが映えに映える。このピアノレス・トリオの躍動感を一手に引き受けている様な、ポジティヴでアグレッシブで「小粋な」ドラミング。

そして、そんなパティトゥッチのベースとブレイドのドラムをバックに、クリス・ポッターのサックスが飛翔する。これだけレベルの高い、味のあるリズム隊をバックに吹くのだ。イマージネーション豊かに、バリエーション豊かに、自由自在に、在らん限りの様々なフレーズを吹き上げる。

ライヴ音源だけに演奏の躍動感もビンビンに伝わってくる。録音当時、63歳の大ベテランの域に達したパティトゥッチの成熟した、新鮮な響きに満ち溢れた好盤。現代のモダン・ジャズ、現代のネオ・モーダルなジャズが単純に楽しめる秀作。
 
 

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2024年1月14日 (日曜日)

弦をバックに『Waiting Game』

ジャズマンにとって、一流の証の一つに「ウィズ・ストリングス」がある。「ウィズ・ストリングス」とは、オーケストラをバックにしたインプロビゼーション。ストリングスは楽譜でガッチリ固められた定型の演奏。反対に、ジャズマンは即興演奏をメインとして演奏。定型のストリングスをバックに、いかに即興演奏を展開し、自らの個性を表出するか。それは一流のジャズマンでないと出来ない「技」である。

Zoot Sims『Waiting Game』(写真左)。1966年11月28 & 30日の録音。インパルス・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts, vo), David Snell (harp), Gary McFarland (arr), Kenny Napper, (cond, tracks 6 & 7), Jack Parnell (cond, tracks 1–5 & 8–10), Unknown Orchestra。

ズートのサックスは、ストリングスに負けない、力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり。ズートはイマージネーション溢れるアドリブ・ソロを吹く。曲の主旋律は「力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり」で明確にメロディアスに吹く。アドリブ部はズートならではの即興フレーズを吹く。そんなズートの「ウィズ・ストリングス」な企画盤である。
 

Zoot-simswaiting-game

 
「ウィズ・ストリングス」盤はアレンジが「カギ」。アレンジは、ゲイリー・マクファーランド。マクファーランドのメインはジャズのアレンジャー。自らもジャズ演奏する。そんなマクファーランドのアレンジは、「ジャズマン・ファースト」の即興演奏のスペースをしっかり取った、ジャズ志向のアレンジ。この盤では、このアレンジが「成功のカギ」。

「ジャズマン・ファースト」のアレンジに乗って、ズートは気持ち良さそうに、テナーを吹き上げていく。主旋律は明確に、アドリブ部はイマージネーション豊かに吹き進む。軽やかに爽やかにスインギーに、有名スタンダード曲をメインに唄い上げるズートのテナーは優しくリリカル。極上のイージーリスニング・ジャズ。

手に汗握る、はたまた、ブンブンにスイングするジャズではない、ちょっとメインストリームから横道に逸れたジャズではあるが、そのジャズマンの即興演奏の充実があれば、イージーリスニング・ジャズも、純ジャズ同様、「即興演奏の妙」を楽しめる。この盤はそんな「ズート・シムスの即興演奏の充実」を伴った、上質のイージーリスニング・ジャズである。
 
 

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2024年1月13日 (土曜日)

ズートの未発表音源集『Choice』

我が国の20世紀のジャズ盤紹介は、少し偏っていたように思う。特にテナー・サックスについては、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズばかり。ちょっとマニアックなところで、ウェイン・ショーター。テナー・サックスは、ジャズ演奏者の中でも数が多い楽器にも関わらず、コルトレーン、ロリンズ、ショーター以上、終わり、という感じの紹介が多かった。

でも、実は、テナー・サックス奏者については、聴き応えのある、個性溢れるジャズマンが沢山控えている。渋いところでは、デクスター・ゴードン、ズート・シムズ。次世代を担った本格派として、マイケル・ブレッカー、ジョシュア・レッドマン、ブランフォード・マルサリスなどが挙げられる。当ブログでは、これらのサックス奏者についても、積極的に記事にしているので、アルバム評については、ブログ右下の「カテゴリー」からどうぞ。

Zoot Sims『Choice』(写真左)。1954年12月と1959年3月の録音。ちなみにパーソネルは、1954年12月については、Zoot Sims (ts), Gerry Mulligan (bs, p), Bobby Brookmeyer (valve-tb, p), Jon Eardley (tp), Red Mitchell (b), Larry Bunker (ds)。1959年3月については、Zoot Sims (ts), Russ Freeman (p), Billy Bean, Jim Hall (g), Monte Budwig (b), Mel Lewis (ds)。

タイトルが「Choice(選択)」なのは、ズート・シムズのアウトテイク集的なアルバムだから「Choice(選択)」。この『Choice』のリリースが1961年なので、1954年12月と1959年3月の、当時、パシフィック・ジャズに残されていた未発表音源を蔵出してアルバム化したもの。
 

Zoot-simschoice

 
前半の1〜4曲目、1954年12月の録音については、バリサク奏者、ジェリー・マリガンのコンサートにズートが参加したときのライブ音源。後半の5〜7曲目、1959年3月の録音については、女性ジャズ・ボーカリスト、アニー・ロスのアルバム「A Gasser!」(25日録音)のバックの演奏隊だけが、翌日26日に集まってセッションした音源。

2つのセッションの寄せ集めで、パーソネルも演奏曲によって、組み合わせが代わったりするが、ズートのテナーは一貫して「渋い」。力感十分、軽やかに爽やかにスイングするテナーは聴いていて心地良い。特にスタンダード曲においては、歌心溢れ、スインギーで流麗で小粋な個性が全開。

基本、ウエストコースト・ジャズの範疇なので、アレンジも「聴かせる」アレンジで良好。他のメンバーも、さすが、ウエストコーストのスター・ジャズマンの集まりなので、良好極まりない。ウエストコースト・ジャズではあるが、意外とホットな演奏なので、ハードバップな演奏として聴き応えがある。

ズートのサックスは力強くて流麗、説得力抜群の吹きっぷり。この未発表音源集は、決してお蔵入りの「捨て曲」集では無い。録音時期は二つに分かれるが、共通の「秀逸なアレンジ」、そして、ズートの「ブレの無い」吹きっぷりのお陰で、録音時期の違いでの違和感は無い。ズートの優れた未発表音源集として、十分に楽しめる内容になっている。

20世紀の我が国のジャズ者の方々はどちらかと言えば「東海岸ジャズ」優先。そういう背景から、ズート・シムズは「西海岸ジャズ」系に分類されるテナー・マンなので、「覚えめでたい」存在では無かったみたいだが、どうして、なかなかに渋くて小粋な「正統派テナー・マン」で、彼のリーダー作には「ハズレ」が無い。この盤もなかなかに楽しめる好盤です。
 
 

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2024年1月10日 (水曜日)

トミフラ『The Cats』のトレーン

コルトレーンに関する記事の改訂を行なっている。とにかく、当ブログでのコルトレーンの記事は古いものがほとんど。10年以上前のものが大多数で、内容的にも整理されていないものもあり、もう一度、見直さないとなあ、ということで、今回の改訂作業である。

コルトレーンはリーダー作で演奏する場合は、基本的には「我が道を行く」タイプで、サイドマンの音を聴きながら、自分の音を調節したりは滅多にしないタイプ。とにかく、自らの思いのままに「吹きまくる」。

しかし、他のジャズマンのリーダー作にサイドマンとして入る時は、特にリーダーが先輩の場合、「我が道を行く」スタイルを引っ込めで、グループ・サウンドの中で、しっかりと落ち着いて吹き上げることが多い。つまり、コルトレーンの良き個性だけのブロウを捉えるには、意外とサイドマンでの参加のアルバムが良いのでは、と思っている。

Tommy Flanagan『The Cats』(写真左)。1957年4月18日の録音。ちなみにパーソネルは、ちなみにパーソネルは、Idrees Sulieman (tp), John Coltrane (ts), Kenny Burrell (g), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Louis Hayes (ds)。トランペットとテナーの2管+ギターがフロントのセクステット構成。記録では「The Prestige All Stars」と表記されている。

「The Prestige All Stars」=「プレスティッジ・レーベルお得意のジャム・セッション構成」。セクステットとはいえ、その日の急造セクステット。プレスティッジだから、ギャラをケチって、お得意のほとんどリハーサル無しの本番演奏だっただろう。それにしては、この盤の演奏はよくまとまっている。
 

Tommy-flanaganthe-cats

 
その一番の理由は、リーダーのフラナガンのピアノ、ワトキンスのベース、ヘイズのドラムの「ピアノ・トリオ」の演奏が充実しているからだろう。リーダーのフラナガンのピアノは申し分無い。じっくりと渋い、小粋で落ち着いたアドリブを聴かせてくれる。ダグ・ワトキンスもベースも良し、ルイ・ヘイズのドラミングも堅調。

さて、コルトレーンといえば、なかなかのブロウを聴かせてくれる。冒頭の「Minor Mishap」はコルトレーン抜きのクインテットでの演奏。2曲目「How Long Has This Been Going On?」から、コルトレーン登場。明確な「コルトレーン」節でソロを吹く。この時点で、コルトレーンの個性は固まっていたと見て良い、コルトレーンらしい吹奏。

3曲目「Eclypso」では、コルトレーンの高速吹き回しを聴くことが出来る。シーツ・オブ・サウンド一歩手前と言ったところか。続く「Solacium」では、哀愁を漂わせた力感溢れるソロで参加。これもコルトレーンらしい吹奏。そして、ラストの「Tommy's Time」では、流麗なソロを聴かせる。ハードバップ時代のコルトレーンの「良き個性」がこの盤に散りばめられている。

ちなみに、ケニー・バレルのギターがなかなか洒落ている。アドリブ・フレーズは短めだが、イマージネーション溢れるプレイを展開している。逆に、トランペットのシュリーマンだけが「置いてきぼり」。音だけはトランペットらしく鳴るが、テクニック中庸、アドリブは凡庸。シュリーマンだけは「我慢」である。

この盤は、ピアノ+ベース+ピアノのリズム隊の妙技を楽しむのが正解のアルバム。しかし、その中で、コルトレーンとバレルは、上質なパフォーマンスを聴かせてくれる。ハードバップの佳作として、一息つきたくなる時に聴きたくなるジャズ盤の一枚です。
 
 

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2024年1月 6日 (土曜日)

「バレル & コルトレーン」再聴

コルトレーンの共演盤はフリー&スピリチュアル志向のものは「それなり」に評価されているが、ハードバップ時代の共演盤については評価が芳しくない傾向にある。特に、20世紀の我が国の評論にその傾向が強い。どうも、コルトレーンには「共演」が許されていない感じなのだ(笑)。

『Kenny Burrell & John Coltrane』(写真左)。1958年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), John Coltrane (ts), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。ケニー・バレルのギターとジョン・コルトレーンのテナーが2管フロントのクインテット編成。

そもそも、ギターとテナー。音の線の細いギターと音が太くて力感のあるテナー。そもそも、フロントとして相立ち、相入れることが出来るのか。漆黒ブルージーでアーバンなバレルのギターと、豪快でエモーショナルで光速切れ味の良いコルトレーンのテナー。ムードで聴かせるバレルとテクニックで聴かせるコルトレーン。聴く前は、合わないよなあ、と感じる。

冒頭の1曲目「Freight Trane」では、いつもより音量を上げたバレルのギターを全く気にせず、我が道を往くテナーのコルトレーン。この曲ではまだ「良好な一体感」は無い。しかし、これは「我が道を往来たがる」コルトレーンの性格によるものではないか。

2曲目の「I Never Knew」、3曲目の「Lyresto」と聴き進めていくと、コルトレーンがバレルに歩み寄るのが判る。コルトレーンが、シーツ・オブ・サウンド風に光速に吹きまくるのでは無く、、歌心溢れるブルージーなテナーとなって、ブルージーなバレルの漆黒ギターに合わせ始める。いい感じの共演フロントになってくる。
 

Kenny-burrell-john-coltrane

 
そして、4曲目の優しいバラード曲「Why Was I Born?」。この演奏、コルトレーンとバレルのデュオなのだが「絶品」。いつもより音量を上げて音が太くなった、漆黒ブルージーでアーバンなバレルのギターの伴奏に乗って、コルトレーンが歌心溢れる優しいテナーを奏でる。

すると、代わって、漆黒ブルージーでアーバンなバレルのギターが、いつになく「しっとり」と語りかける。「絶品」。この演奏を聴くだけの為に、このアルバムを手に入れても良い位の名演である。

以前、ジャズ盤紹介本で、この盤ってミスマッチの極致の様に書かれていた記憶があるが、本当に自分の耳でしっかり聴いた上での評論だったのだろうか。頭で考えるとバレルとコルトレーンはミスマッチの様に感じるが、聴いてみると実は相性は良い。

バレルとコルトレーン、どちらも優れた一流ジャズマン。フロントに相立ったら、相手の音をしっかり聴きながら、良好なマッチングに持ち込もうとするのがプロと言うものだ。このバレルとコルトレーンの共演盤は正式にリリースされている。アマチュアの我々が聴いて「ミスマッチの極致」などとは決して思わない。

このバレルとコルトレーンの共演盤。バレルとコルトレーンの相性は良いです。迷うことなく聴くことをお勧めします。こういう、フロントのパートナーに寄り添うコルトレーンも聴き応え十分です。
 
 

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    ・米国西海岸ロックの代表的バンドのひとつ イーグルスの記事を移行中。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2024年1月 5日 (金曜日)

『バグス & トレーン』の再聴。

アトランティック・レコード時代のコルトレーンは、シーツ・オブ・サウンドを吹きまくったり、モード・ジャズやソプラノ・サックスにチャレンジするリーダー作は評価が高いが、それ以外のリーダー作については評価がイマイチ。20世紀の時代では、我が国でその傾向は顕著で、我が国のコルトレーン盤の紹介本では、評価は「けちょんけちょん」である。

今となっては、どうして、そんな評価になるのか、その真意はよくわからないが、どうも、コルトレーンは「シーツ・オブ・サウンド」か「モード・ジャズ」か「フリー&スピリチュアル・ジャズ」をやらないといけないらしく、それもワン・ホーンで、コルトレーンのみを愛でることが出来る盤でないと駄目みたいなのだ。しかし、それは余りに偏った評価で、現代においては参考程度に留めておいた方が良いだろう。

Milt Jackson and John Coltrane『Bags & Trane』(写真左)。1959年1月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Coltrane (ts), Hank Jones (p), Paul Chambers (b), Connie Kay (ds)。ミルト・ジャクソンのヴァイブとコルトレーンのサックスがフロントのクインテット編成。

クールでファンキーなミルトのヴァイブと、豪放でバップなコルトレーンのテナー、その個性が正反対のミルト(愛称・バグス)とコルトレーン(愛称・トレーン)の競演の「妙」が楽しめる。よってアルバム・タイトルが「バグス&トレーン」。この正反対の個性の共演、これはとんでもない「ミスマッチ」とするのが、20世紀の我が国のジャズ評論の評価。
 

Milt-jackson-and-john-coltrane_bags-tran

 
しかし、自分の耳で聴くと、ミスマッチどころか、バグスとトレーン、それぞれの個性が、双方の個性を引き立て合っているように聴こえる。正反対の個性なので、ユニゾン&ハーモニーを取るのはちょっと難しい。それでも、ソロ・パフォーマンスの受け渡しでは、クールでファンキーなミルトのヴァイブと、豪放でバップなコルトレーンのテナーの対比がとても印象に残る。

冒頭1曲目の「Stairway to the Stars」、この曲を聴くだけで「それ」が判る。ミルトの美しく響く、ブルージーなヴィブラフォンの調べ、そして、その後に入ってくるコルトレーンの豪快で真っ直ぐなテナー。正反対の個性、好対照な個性の共演。メリハリがあって陰影が深い。それでいて、底はブルースで一体となっている。申し分ないパフォーマンスである。

4曲目の「Be-Bop」は高速バップな演奏。当然、コルトレーンは「シーツ・オブ・サウンド」風の高速フレーズを吹きまくる。すると、ミルトは2本マレットで、これまたブルージーでファンキーな高速フレーズで応戦する。正反対の個性、好対照な個性の高速フレーズの共演。これも「聴きもの」、良好なハードバップなパフォーマンス。

バックのリズム・セクションも無難なハードバップ基調のバッキングをしていて、フロントの二人のパフォーマンスを損なうことは無い。そう、このミルトとコルトレーンの共演盤は「ハードバップ」。成熟したハードバップのアルバムとして聴けば、ミルトのヴァイブもコルトレーンのテナーも全く違和感は無い。

ミルトもコルトレーンものびのび、リラックスして演奏している。これだけ、のびのび、リラックスして演奏しているのだ。演奏している当の本人たちは「ミスマッチ」などとは全く感じていなかっただろう。そもそも、ミスマッチで出来が悪いセッションであれば「お蔵入り」だろう。
 
 

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2024年1月 4日 (木曜日)

心地良きハリスのエレ・グルーヴ

今年の冬は暖冬傾向だとは言うが基本的には冬、当然、寒い日が続く。寒い日には暖かい部屋でジャズを聴く、と言うのが定番なんだが、聴くジャズもクールなジャズは心までがクールになりそうでちょっと。ファンキーでソウルフルなジャズが温まって良い。と言うことで、この冬は「エディ・ハリス」を集中して聴き直している。

「趣味が悪いなあ」と言う声が聞こえてきそうなんだが、それもそのはず。エディ・ハリスは、ソウルフルでグルーヴィーなエレ・ジャズがメイン。電気増幅サックスを導入したことでも知られ、それ故、我が国では「キワモノのテナー奏者」扱いされる傾向がある。彼のテナーは素性が良く、彼の奏でるソウルフルなジャズ・ファンクは今の耳にもしっかりと訴求する優れものである。

Eddie Harris『Plug Me In』(写真左)。1968年3月14 & 15日の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Harris (ts, varitone), Melvin Lastie, Joe Newman, Jimmy Owens (tp), Garnett Brown (tb), Haywood Henry (bs), Jodie Christian (p), Ron Carter, Melvin Jackson (b), Chuck Rainey (el-b), Richard Smith, Grady Tate (ds)。
 

Eddie-harrisplug-me-in  

 
前作『Mean Greens』で、ソウルフルでグルーヴィーなエレ・ジャズへ転身。この盤では、セルマー社が開発した「ヴァリトーン」を大々的に導入している。「ヴァリトーン」とは、サックスのネック部分にピックアップを取り付け、アンプを通して変調させたり、エフェクターのオクターバーやコーラスのようなことができる代物。

冒頭の「 Live Right Now」は、エレクトリック・サックスが炸裂、渋〜いジャズ・ファンクが心地よい。4曲目の「Lovely Is Today」はエレベの絡みが実にファンキー。そして、面白いのは、5曲目の「Theme In Search Of A T.V. Commercial」。ダイナミックでスリリングなアレンジのビッグバンド・ジャズ・ファンクで、ビッグバンドをバックに、ソウルフルなハリスのテナーが乱舞する。

この盤の収録曲、現代においてサンプリングされているものが多い。それだけ、ソウルフルでファンキーで魅力的なフレーズが詰まっている。加えて、自在に音色を変化させ、ノリに乗ったブロウを吹き上げる、エレクトリック・サックスのグルーヴの心地よさ。クロスオーバー・ファンクとして、十分に楽しめる好盤です。
 
 

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2024年1月 2日 (火曜日)

コルトレーン『Traneing In』再び

明けましておめでとうございます。今年最初のブログ記事は、コルトレーン記事のリニューアルからスタート。コルトレーン関連の記事については、2010年代前半に書かれた記事が多く、今を去ること10年以上になる。10年以上にもなると、自分のジャズの「聴き耳」も進歩しているので、昔、聴けなかった音が聴けたり、昔、気が付かなかったフレーズや展開、アレンジに気がついたりする。

John Coltrane『Traneing In』(写真左)。1957年5月31日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Johnnie Splawn (tp), Sahib Shihab (bs), Red Garland (p on 1-3), Mal Waldron (p on 4-6), Paul Chambers (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。基本はフロント3管(テナー、トランペット、バリサク)に、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控える。

この盤、プレスティッジのコルトレーンのリーダー作の中で、唯3枚しかない、在籍録音時に直ぐにリリースされたリーダー作の中の一枚。しかも、この盤、当初は『John Coltrane with the Red Garland Trio』(写真右)のタイトルで1958年にリリースされている。

が、コルトレーンがプレスティッジを去って、アトランティックに移籍して人気を獲得した1961年に、この『Traneing In』のタイトルに変えて、再リリースされている。内容は全く同じ。タイトルとジャケが違うだけ。プレスティッジって、ほんとエゲつないことするなあ。
 
この盤、バックにガーランド or ウォルドロンのトリオが控えた、コルトレーンとトランペットのジョニー・スプローンがフロント2管のクインテット編成。プレスティッジのコルトレーンのリーダー作って、大体がそうなんだが、パーソネルが雑然としている。プレスティッジって、コルトレーンを低く見ていたのか、パーソネルが雑然としている盤が多い。この盤も例に漏れず、である。
 

Johncoltranetraneing_in   

 
しかし、この盤はあまり「パーソネルは関係無し」な盤。この盤は、コルトレーンがフリー〜アバンギャルドに傾いていない頃の演奏で、ハード・バップを基調にした、実に素直な「シーツ・オブ・サウンド」のフレーズを体験することができる。つまり、コルトレーンの初期の「シーツ・オブ・サウンド」を楽しむ、その唯一点に価値がある盤である。

冒頭の「Traneing In」、3曲目の「Bass Blues」、ラストの「Soft Lights and Sweet Music」では、高速の「シーツ・オブ・サウンド」が堪能できる。単に速いだけではない、コードを分解して、いかに高速に、いかに鋭く吹き切るか、を追求する、修道僧のような求道的なコルトレーンを体験できる。

そして、2曲目の「Slow Dance」と4曲目の「You Leave Me Breathless」では、バラードでの「シーツ・オブ・サウンド」が体験できる。コードを分解して、いかに単純に、いかに簡素化して、最短距離でバラードを吹き切るか、を追求する、甘いエモーショナルを排除した、禁欲的なコルトレーンを体験できる。

特にこの盤では「シーツ・オブ・サウンド」へ至る、演奏上のアプローチが体感できる。最初は手探りで入りながら、確信を掴むと一気に吹き切る、ジャズのインプロの「最良のサンプル」のひとつがここにある。全5曲で、トータル38分ちょっと。今のCD前提のアルバムと比べると、ちょっと短い収録時間だが、唯、コルトレーンの初期の「シーツ・オブ・サウンド」を楽しむには問題は無い。

コルトレーンのアルバムの中では、地味な存在で、ジャズ入門本では、滅多に取り上げられることの無いアルバムですが、どうして、コルトレーンの初期の「シーツ・オブ・サウンド」が体感できる、意義のあるアルバムです。マニアだけが知っている「オタク盤」で留めるには勿体ない。もっと、広く聴かれても良いのでは、と僕は思います。
 
 

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