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2014年12月25日 (木曜日)

「しみじみ」とするジャズが良い

年末である。今年もあと僅かである。こういう時期は、聴いて「しみじみ」とするジャズが聴きたい。「しみじみ」とする音色と言えば、やはり「管楽器」だろう。そう、サックスだ。サックス系の音色で「しみじみ」したい。

ということで選んだアルバムがこれ。Roland Kirk『The Inflated Tear』(写真左)。1967年11月27〜30日の録音。「ジャズの虚無僧」、ローランド・カークの名盤である。ちなみにパーソネルは、Ron Burton (p), Steve Novosel (b), Jimmy Hopps (ds), Dick Griffin (tb), そして、Roland Kirk (tenor saxophone, manzello, stritch, clarinet, flute, whistle, cor anglais, flexafone)。

ローランド・カークは、マルチ・リード&マルチ・インストルメント奏者であるが、やはり、まずはテナーが秀逸。冒頭の「The Black and Crazy Blues」のゆったりとした、漢字で書くと「哀歌」と書くような、思いっきりブルージーなテナーの音色が心を揺さぶる。思わず「しみじみ」する。とこれは、テナーとクラリネットの2本吹きの効果が出ているのかなあ。

この1曲目の「The Black and Crazy Blues」については、ローランド・カークは「俺が死んだらこの曲を流して欲しい」と語っていたという。なるほど、ニューオーリンズ伝統の葬送行進曲に則った曲なのね。感涙の名演、名曲です。ほんと、心が揺さぶられる様に「しみじみ」します。
 

The_inflated_tear

 
そして、ローランド・カークはフルートの名手でもある。2曲目の「A Laugh for Rory」を聴けば、その腕前が良く判る。なんと愛らしいフルートだろう。これがあの強面の「ジャズの虚無僧」、ローランド・カークが奏でる音だろうか。カークの強面な表情とこのフルートの愛らしい音色とのギャップが激しい。でも、これが良い。あっけらかんと「しみじみ」する。

そして、5曲目のタイトル曲「The Inflated Tear」。これがまた、心揺さぶられる「しみじみ」さ。哀愁の咆哮です。複数管楽器の同時吹きで、思いっきり個性的で重厚なハーモニーが耳に押し寄せます。音として「怒り・悲しみ・喜び」を織り交ぜ、マルチ・リード&マルチ・インストルメントで唄い上げた、感涙の名演、名曲です。

この「しみじみ」系の名演、名曲が要所要所に配置されて、他の曲は聴いていて楽しいモダン・ジャズの演奏の数々。しみじみしつつも、躍動的な演奏にもポジティブに心揺さぶられる。いやはや、この『The Inflated Tear』って、聴けば聴くほど、その良さにどんどん填まっていく、そんなジャズ名盤です。

ローランド・カークのリーダー作の中で、普通に聴いていて、あまり違和感の無いアルバムがこの『The Inflated Tear』だと思います。ローランド・カークの入門盤としても最適でしょう。そして、「しみじみ」とする名曲、名演を聴きたければ、このアルバムはイチ押しの一枚です。

 
 

震災から3年9ヶ月。決して忘れない。まだ3年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2014年9月17日 (水曜日)

カークの初リーダー盤は初々しい

Roland Kirk(ローランド・カーク)のアルバムを探求している。21世紀になるほんの手前で、僕はやっとのことで、ローランド・カークにたどり着いた。ローランド・カークは「マルチ楽器奏者」。マルチリード奏者では無い「マルチ楽器奏者」。

一人で、サックス、フルート、トランペット、オーボエ、ピッコロなど、多種多様な管楽器が演奏可能。しかも、同時に数本のリード楽器を吹き回し、時に、鼻でフルートを鳴らしながらスキャットを口ずさみ、同時に手回しサイレンやホイッスルを鳴らす。

呼吸の間も絶え間なく、口から空気を吐き出すことによって、息継ぎの無音時間をなくす演奏技法である「循環呼吸」の実践者でもある。簡単に言うと「息継ぎ」が無い。ず〜っと吹き続けるという感じ。これが、カークの吹く音にとてつもない個性を与えている。

僕はカークを「ジャズの虚無僧」と喩える。複数本のサックスを同時にエモーショナルに吹き鳴らしている時も、その音の底にブラコン的な響きやソウル・ミュージック的な響きが感じられるところが、ちょっと俗世っぽくて、なんとなく「虚無僧」って感じがするのだ。

そんな「ジャズの虚無僧」のデビュー盤がこれ。Roland Kirk『Third Dimension』(写真左)。1956年11月の録音。ローランド・カークの初リーダー盤である。ちなみにパーソネルは、Carl Pruitt (b), Henry Duncan (ds), James Madison (p), Roland Kirk (ts, manzello, strich)。ローランド・カーク以外は、ほぼ無名のジャズメンである。
 

Third_dimension

 
本作ではテナー・サックス、加えてマンツェロとストリッチという楽器を併用し、複数の楽器を一度に吹いてハーモニーをつけたり、多重録音なども試みている。カーク21歳の時の録音である。

さすがにカーク21歳の録音、かつ、初リーダー盤。溌剌としたテナーが初々しい。意外とストレートで大きな音を出すテナーである。このストレートで大きな音を出す、というところがジャズの世界ではとても大切。加えて、テクニックが優秀であれば、基本的に将来有望。この初リーダー盤でのカークは、まさにそれがピッタリと当てはまる。 
 
意外とノーマルなスタイルで、すっと気持ち良く伸びたストレートなテナー。良く動く指。テナー以外にマンツェロとストリッチを駆使するが、まだまだ「マルチ楽器奏者」って感じの、同時に数本のリード楽器を吹き回し、時に、鼻でフルートを鳴らしながらスキャットを口ずさみ、同時に手回しサイレンやホイッスルを鳴らす、とまでは至らない。

それでも、ところどころで、複数の楽器を一度に吹いてハーモニーを付けたりして、後のローランド・カークの個性の片鱗を聴かせてくれている。ぼ〜っと聴いていると、あれ、このアルバム、テナーが2本いるんだ、なんて感じて納得してしまう様な、自然体な「一気吹き」が初々しくて良い。

後の大器の片鱗を十分に聴かせてくれる、ローランド・カークの初リーダー盤だと思います。まあ、カークのアルバムの「いの一番」に聴く内容では無いと思いますが、カークのアルバムを数枚聴いて、その個性の源は何処か、と思い至った時に聴くにピッタリな初リーダー盤だと思います。 

 
 

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2014年8月16日 (土曜日)

脳髄を刺激する「曼荼羅な音世界」

台風が西日本を南北に横断して以来、完全に天候不順に陥った日本列島。ここ千葉県北西部地方では、涼しい日が続いたり、急に思いっきり蒸し暑くなったり、今日などは梅雨の天気に逆戻りしたような曇天。

体調もかなり気候変動についていけなくなってきて、ちょっとへたり気味。こういう時は、耳当たりの良いフュージョン・ジャズなんかよりは、ガツンとくるメインストリームなジャズが良い。脳髄を刺激し、気分を思いっきり変えてくれる個性派ジャズが良い。

そこで選んだアルバムが「これ」。Roland Kirk『Volunteered Slavery』(写真左)。1968年7月と1969年7月の録音。10曲収録中、後半の5曲が、1968年7月7日のニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ音源。前半の5曲が1969年7月のスタジオ録音になる。

ローランド・カークの演奏はライブ録音とスタジオ録音に差が無く、演奏のレベルにバラツキが無いのが凄い。基本的には、ライブ録音の方が荒くなる傾向にあるのだが、カークはそうはならない。テクニック・レベルが相当に高いのだろう。安定したレベルの高度な演奏を常に聴かせてくれる。

カークのリード奏者としてのテクニックは折り紙付き。端正かつ力感のあるリード・プレイは一級品である。加えて、ローランド・カークの個性は「マルチ・プレイヤー」。複数のリード楽器を一気に咥えて吹き鳴らすとか、唄いながらフルートを吹くとか、サイレンを鳴らすとか「マルチ・プレイヤー」としての個性である。そんな個性を存分に楽しむことが出来るアルバムが、この『Volunteered Slavery』なのだ。
 

Volunteered_slavery

 
冒頭の「Volunteered Slavery」から、ラストの「Three For The Festival」まで、目眩くローランド・カークの音世界が思いっきり展開される。徹頭徹尾、エモーショナルでエキサイティングなジャズが展開される。これだけ活き活きとしたリード楽器のプレイはそうそうあるものではない。

しかも、1968年から1969年という時代、ジョン・コルトレーンが急逝し、フリー・ジャズが迷走し始め、商業ロックが台頭し、ジャズがポップな音楽の座から転落し始めた時代。そんな時、これだけ、アーティスティックなメインストリーム・ジャズを展開していたことに驚く。

安易にフリー・ジャズに走ること無く、安易にクロスオーバー・ジャズに走ること無く、カークの個性のみを追求したプレイは感動の一言。コール&レスポンス、ゴスペル、スピリチュアルな歌詞にハンド・クラッピング、といった黒人教会の伝統的な音楽要素がてんこ盛りで、米国ルーツ音楽を深掘りしたジャズとしても興味が尽きない、ローランド・カークの「曼荼羅な音世界」である。

とりわけ、3曲目のスティーヴィー・ワンダーの佳曲のカバー「My Cherie Amour」と、9曲目の敬愛するジョン・コルトレーンの捧げたメドレー「A Tribute To John Coltrane: Lush Life/Afro-Blue/Bessie's Blues」にめっちゃめちゃ感動する。脳髄を刺激し、気分を思いっきり変えてくれる個性派ジャズである。

しかし、この『Volunteered Slavery』の邦題が凄い。『志願奴隷』。1970年代、このアルバムがレコード店に並んでいた時の邦題がこの『志願奴隷』。しかし、確かに直訳したら「志願苦役」なのだが、これはこれであんまりな邦題だろう。この邦題から、この素晴らしいアルバムの内容を想像するのは難しい。アルバム・タイトルに拘らずにこの名盤をご鑑賞いただきたい。

 
 

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2014年5月27日 (火曜日)

やや中途半端なカークのアルバム

日本ではどうにもマイナーな存在のローランド・カーク。「グロテスク・ジャズ」と形容され、「黒眼鏡の怪人」と呼ばれ、カークの音楽性や音の個性を純粋に評価される以前に、とんでもない形容、誤解をされることが多い。今では、もうその名前さえ、挙がることも少なくなった。

複数のリード楽器を一気に咥えて吹き鳴らすとか、唄いながらフルートを吹くとか、サイレンを鳴らすとか、そんな個性全快のアルバムが一番良いのだが、ジャズ雑誌などで、ローランド・カークを紹介される場合、そんな個性を控えめに奥にしまいこんで、テナー・サックスを中心としたリード楽器とフルートの演奏力を全面に押し出した端正なアルバムを紹介されることが多い。

例えば、このRoland Kirk『Domino』(写真左)などはその好例だろう。1962年4月の3つのセッションを基に編集されたアルバム。その3つのセッションのパーソネルを見渡すと、Wynton Kelly (p), Andrew Hill (p), Herbie Hancock (p) と当時の若手有望ピアニストが3人、名を連ねている。なるほどね。アルバム紹介の時に話題にはなるなあ。

といって、この3人のピアニストがそれぞれのセッションでピアノを担当したからといって、ローランド・カークの演奏の質が変わるとか、化学反応が起きて一期一会の名演が展開されるとか、そういう劇的な出来事はここでは起きない。敢えて言えば、ローランド・カークには、ウィントン・ケリーのハッピー・スインガーなピアノが合うなあ、ということ位だろうか。

ローランド・カークとハービーとかヒルとの間には、あまり目立ったことは起こっていない。特に、ハービーのモーダルなピアノには、カークは合わないだろうな。ヒルのやや前衛的でパーカッシブなモーダル・ピアノにも合わないだろうな。何故って、カークのサックスこそがフルートこそが誰よりもモーダルであり、前衛的であり、パーカッシブであるからである。
 

Roland_kirk_domino

 
そういう意味で、この『Domino』というアルバムでのローランド・カークの個性は、共演者との相性という面でかなり抑制されており、聴けば聴くほど、このアルバムでのカークのパフォーマンスは常識的であり、端正であり、正統派な演奏が中心になっている。

アルバムの後半、6曲目の「3-In-1 Without The Oil」では、カークの個性全開の兆しが聴けるが、次の「Get Out Of Town」では、常識的な演奏に立ち戻る。どうにも、カークの個性全開、フルスロットルというところまでは行かない。「端正」かつ「正統」なテナーとフルートが全面に押し出されていることが実にもどかしい。

この『Domino』というアルバムを、ローランド・カークの初期の傑作とするには、ちょっと個性不足だろう。「端正」かつ「正統」なテナーとフルートが全面に押し出されているところが注目ポイントとするなら、僕は、1961年8月録音の Roland Kirk『We Free Kings』を推したい。

でも、ローランド・カークの初期の傑作として、この『Domino』を推す日本の評論家は多い。まあ、ピアノにWynton Kelly, Andrew Hill, Herbie Hancockという有名どころが名を連ねているので、話題にし易いし、評論もし易いんだろう。でも、この3人のピアニストとの組合せでカークが輝くことが無いという点を考えると、このアルバムは、ローランド・カークの初期の傑作とは言い切れないと思う。

但し、内容的には悪くは無い。中の上。ところどころカークの個性が垣間見えるところが良くもあり、もどかしくもあり。カークの個性を愛でるなら、もっと良い内容のアルバムがある、と思ってしまう、なんとも中途半端なアルバムではある。

 
 

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2014年2月17日 (月曜日)

ローランド・カークの入門盤

ローランド・カーク(Roland Kirk)は、とにかくその風貌、その演奏スタイル、その演奏の雰囲気、等々から、誤解されることの多かったジャズメンである。「グロテスク・ジャズ」と形容され、「黒眼鏡の怪人」と呼ばれたり、カークの音楽性や音の個性を純粋に評価される以前に、とんでもない形容、誤解をされることが多かった。

しかし、である。ローランド・カークは純粋に優れたジャズメンである。正統なメインストリーム・ジャズとして、正統に評価されるべきジャズメンである。そんなローランド・カークの個性を確認できるアルバムが、1961年8月録音の Roland Kirk『We Free Kings』(写真左)である。

Mercuryレーベルからのリリースになる。ちなみにパーソネルは、Roland Kirk (ts, manzello, stritch, fl, siren), Richard Wyands (p), Art Davis (b), Charlie Persip (ds)のカルテットと、Roland Kirk, Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Charlie Persip (ds)のカルテット、2種類の組合せで構成される。といっても、この2種類のカルテット、そんなに音の差がある訳ではないので、あまり気にすることは無いでしょう。

このアルバムでのローランド・カークは、一言で言うと「端正」。ローランド・カークの個性、複数のリード楽器を一気に咥えて吹き鳴らすとか、唄いながらフルートを吹くとか、サイレンを鳴らすとか、そんな個性を控えめに奥にしまいこんで、カークのテナー・サックスを中心としてリード楽器とフルートの演奏力を、通常のジャズメンと同様に全面に押し出した「端正」かつ「正統」な、ジャズ盤である。

通常のジャズメンとしてのローランド・カークは「端正」。そして、その音色には、そこはかとないジャジーな感覚が漂っていて、普通に吹くだけでも「ジャジーでブルージー」。
 

We_free_kings

 
それでいて、テナーというよりは、ちょっとアルトっぽい、高めのキーで軽く吹き上げる感じなので、どっぷりファンキーにはならない。爽快感のある、ストレートなファンクネスが、ローランド・カークのリード楽器の個性。

そして、ローランド・カークはフルートが上手い。ストレートに濁りの無いフレーズは、なかなかの聴きものである。運指もバッチリ決まっていて、淀みの無いストレートな音は、ローランド・カークのフルートの個性。エモーショナルで端正なフルートは、聴いていて気持ちが良い。

そんな「端正」かつ「正統」なテナーとフルートを中心に、通常のジャズメンとしてのローランド・カークを確認することが出来る。そして、そんな通常のジャズメンとしてのカークの中に、少しずつ、カークの別の個性、複数のリード楽器を一気に咥えて吹き鳴らすとか、唄いながらフルートを吹くとか、サイレンを鳴らすとか、そんな別の個性を織り交ぜていく。

特に、複数のリード楽器を一気に咥えて吹き鳴らすユニゾン&ハーモニーは、カーク独特の個性であり音である。これはワン・フレーズ聴くだけで、ローランド・カークだということが判る。それくらいに個性的。唄いながらフルートを吹くところは他のフルート奏者にもあることなので、まあまあという感じだが、いきなりサイレンを鳴らすところなんざあ、やっぱりこれはカークしかいない、ですよね(笑)。

ローランド・カークとは如何なるジャズメンか、と問われたら、まずはこの一枚ですね。初期のアルバムの中では、出色の出来です。このアルバムは、ローランド・カークの入門盤として、ローランド・カークの通常のジャズメンとしての個性が十分に確認することの出来る、お勧めの一枚です。

 
 

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2014年2月14日 (金曜日)

カークを「あっさり」と楽しむ

実質的なデビュー作だった『Introducing Roland Kirk』。それから、約1年後、ローランド・カークは、プレスティッジ・レーベルにアルバムを残す。そのアルバムとは、Roland Kirk『Kirk's Work』(写真左)。

1961年7月の録音になる。ちなみにパーソネルは、Roland Kirk (ts, manzello, stritch, fl, siren), Jack McDuff (org), Joe Benjamin (b), Art Taylor (ds) 。

さすがはプレスティッジ。リズム・セクションになかなかのメンバーを持ってきています。ベースがジョー・ベンジャミン、ドラムがアート・テイラー。良いですね。

そして、今回のカークのお相手は、オルガンのジャック・マクダフ。ジャジーで、こってこてファンキーなマクダフのオルガンとの共演が、この『Kirk's Work』の肝になります。

このアルバムでのローランド・カークは、極力、普通のジャズメンの様に吹こう、と心がけているように思える。複数のリード楽器を一気に加えて、思いっきり個性的なユニゾン&ハーモニーを奏でまくる、ということ無しに、控えめに思いっきり個性的なユニゾン&ハーモニーを奏でながらも、普通のジャズメンの様にリード楽器を吹き上げている。
 

Kirks_work

 
この普通に吹くリード楽器だからこそ、カークのリード楽器の音色やフレーズの個性が良く判る。カークのリード楽器の音色やフレーズが、とてもブルージーなのが良く判る。ブルージーだからこそ、マクダフのファンキーなオルガンにぴったし合うのだ。

カークのブロウは軽めのブルージ−。そこに、ファンクネスをグッと押さえた、ちょっとあっさり目のマクダフのオルガンが寄り添う。これが「あっさりしていて」とても良い雰囲気なのだ。とにかく、聴いていて、ブルージーでファンキーなんだけど、耳にもたれない。

カークのブロウは、テクニックは確かではあるが、テクニックでは勝負しない、音色やフレーズの雰囲気や個性を全面に押し出してくる、雰囲気で聴かせるタイプ。バリバリに吹きまくらず、ファンクネスを押し出し過ぎず、趣味の良い、あっさりとしたブロウが、このアルバムでのカークの特色。

ところどころにラテンな響きもあり、ソウルフルな響きもあり、聴き易い聴き疲れない、カークのアルバムの中では、なかなかに取っ付き易いアルバムです。カークをあっさりと楽しむことのできる佳作。

カークのリード楽器の音色とフレーズを確かめるのに「この一枚」です。アルバム全体で33分と、ちょっと収録時間が短いのが「玉に瑕」でしょうか。でも、なかなか良い雰囲気のアルバムです。僕は結構気に入っています。

 
 

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2014年2月10日 (月曜日)

ローランド・カークを感じるには

この数年来、Roland Kirk(ローランド・カーク)のアルバムを探求している。ローランド・カークのプレイに度肝を抜かれたのが、『The Inflated Tear(溢れ出る涙)』というリーダー作を聴いた時。ジャズを聴き始めてから、約20年も経ってからのこと。21世紀になるほんの手前で、僕はやっとのことで、ローランド・カークにたどり着いた。

ローランド・カークは盲目のジャズメン。1935年か1936年の生まれ。1977年に鬼籍に入っている。僅か42年の生涯。ローランド・カークは「マルチ楽器奏者」。マルチリード奏者では無い「マルチ楽器奏者」。

一人で、サックス、フルート、トランペット、オーボエ、ピッコロなど、多種多様な管楽器が演奏可能。しかも、同時に数本のリード楽器を吹き回し、時に、鼻でフルートを鳴らしながらスキャットを口ずさみ、同時に手回しサイレンやホイッスルを鳴らす。

しかも、呼吸の間も絶え間なく、口から空気を吐き出すことによって、息継ぎの無音時間をなくす演奏技法である「循環呼吸」の実践者でもある。簡単に言うと「息継ぎ」が無い。ず〜っと吹き続けるという感じ。これが、カークの吹く音にとてつもない個性を与えているのだ。

この途方も無いカークの個性はどの辺りから顕著となったのか。彼の実質的なデビュー作、Roland Kirk『Introducing Roland Kirk』(写真左)を聴けば良く判る。
 
1960年6月、シカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Ira Sullivan (tp, ts), Roland Kirk (ts, manzello, stritch, whistle), William Burton (org, p), Donald Garrett (b), Sonny Brown (ds) 。カーク以外、ほとんど無名のローカル・ミュージシャンばかり。

しかし、この実質的なデビュー作『Introducing Roland Kirk』で、既にカークの個性は全開である。冒頭の「The Call」の演奏を聴くだけで、このローランド・カークというジャズメンは、途方も無い個性の持ち主であることが良く判る。他の類を見ない、途方も無い個性。音だけなので、どうやってこの不思議な響きを宿した「ユニゾン&ハーモニー」が奏でられるのかが判らない。
 

Introducing_roland_kirk

 
実にミステリアスな響き。ユーモラスでありながら、どこか悲しみを宿した様な、ブルージーな響き。肉声に近い、エモーショナルな響き。純ジャズ的なブルージーな響きというよりは、R&B、ソウル・ミュージック的なブラコン的な響きがポップでクール。
 
セロニアス・モンクにも通じる独特なタイム感覚。カークは、ジャズの歴史の中でも、途方も無く個性的なジャズメンなのだ。

セロニアス・モンクを「ジャズの高僧」と比喩するのであれば、ローランド・カークは「ジャズの虚無僧」と喩えたい。複数本のサックスを同時にエモーショナルに吹き鳴らしている時も、その音の底にブラコン的な響きやソウル・ミュージック的な響きが感じられるところが、ちょっと俗世間っぽくて、なんとなく「虚無僧」って感じなんですよね〜。

しかしながら、3つの管楽器を首の周りに巻きつけ、3つの管楽器を同時に加えて吹き、さらにフルートやホイッスルなど様々な楽器を身体にまとわりつかせて演奏する写真を見て、日本では「グロテスク・ジャズ」と紹介されていた時期がある。

なんと悲しいことだろう。真っ先にカークの音を正しく評価することなく、その「マルチ楽器奏者」として演奏する姿・形を見て、グロテスク・ジャズと形容した、当時のジャズ者の方々の感性を悲しく思う。

ローランド・カークは、音的に正統なジャズを踏襲し、メンストリーム・ジャズ的な音を旨とし、テクニックのレベルは高い。純ジャズとして評価されるべき、硬派でクールなジャズである。決して「ゲテモノ的」なジャズでは全く無い。もっと、ローランド・カークのリーダー作に耳を傾け、その途方も無い個性を体感していただきたい。

やはり、ローランド・カークを感じるには、この実質的なデビュー作である『Introducing Roland Kirk』を聴くのが良い。カークを探求するには、この『Introducing Roland Kirk』から順番に一枚一枚、リーダー作を辿っていくのが正攻法だろう。これからのローランド・カークの探求はとても楽しみだ。

 
 

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