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2017年11月16日 (木曜日)

円熟のロイ・ハーグローブである

ネットのジャズ盤紹介を読み直して「これは聴いてないぞ」盤の聴き直し。ネットのジャズ盤紹介のブログは、ジャズ評論家の方々が扱わない、本当に内容の良い「隠れ好盤」について語ってくれているので助かる。自分の耳でしっかり聴いて、自分の感じたことを赤裸々に書いてくれているので、本当に参考になる。

例えば、この盤などはネットのジャズ盤紹介のブログから教えて貰った。Roy Hargrove『Earfood』(写真左)。2008年の作品。レギュラー・クインテットでの純ジャズ盤。聴き込むうちにその素晴らしさがじわじわと沁みる。ちなみにパーソネルは、Justin Robinson (as, fl), Danton Boller (b), Montez Coleman (ds), Gerald Clayton (p), Roy Hargrove (tp,fgh)。

ロイ・ハーグローヴ(以降、略して「ロイハー」)のEmarcy移籍第一弾作品。このクインテット盤は「純ジャズ」追求盤。ロイハーのストレートなブロウ、精巧なフィンガリングを駆使して、流麗で歌心のあるトランペットが飛翔する。ちょっと抑え気味のブロウなので、最初聴いた時は「なんか地味やなあ」と思うんだが、聴き込む毎にその素晴らしさがじわじわジワジワ沁みてくる。ブリリアントで滑らかなトランペット。
 

Roy_hargroveearfood

 
ピアノのジェラルド・クレイトンが良い。聴いていて惚れ惚れする様な、艶があって音の抜けが良く、切れ味抜群なピアノは個性的。クレイトンは和蘭生まれ、南カリフォルニアア育ちで、ベーシストのジョン・クレイトンの息子。素性確かなジャズ・ピアノである。アドリブ・ソロに感心する。良く練れているというか、直感的な反応が良いというか、センスを感じる、理知的なフレーズを感じる。以降「要注目」ピアニストである。

アルト・サックスのジャスティン・ロビンソンは、ロイハーのトランペットと相性が良い。ユニゾン&ハーモニーなど、アンサンブルの響きが抜群である。前作からメンバーは一新されているのだが、アルトのロビンソンだけ残ったというのも頷ける。作り込み過ぎない、吹きすぎないシンプルなアドリブ・フレーズは印象に残る。また聴きたくなる。

ロイハーは、この盤をリリースした時が39歳。中堅トランペッターとして、ロイハーの円熟度合いをしっかり確認出来る、バリバリのハードバップ盤である。聴き込み度にじわじわ沁みてくる、噛めば噛むほど味が出る「スルメの様な」好盤である。ジャズ者の皆さん全般にお勧め。

 
 

東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年10月13日 (金曜日)

オールスター・セッションの理想

ブルーノート・レーベルはジャズの老舗レーベル。クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズが席巻した1970年代から1980年代前半は全くその姿は見えなかったが、ハードバップ黎明期から全盛期の1950年代から、ジャズの多様化の時代1960年代にかけて、はたまた、純ジャズ復古の1980年代以降、現代に至るまで、ブルーノート・レーベルはジャズ・シーンを常にリードしてきた。

さすが、それぞれの時代のジャズを牽引してきたレーベル、その時代毎に、魅力的なメンバー選択で、オールスター・セッションを立ち上げ、それぞれの時代の先端を行くジャズのトレンド、ジャズの演奏スタイルを具現化してきた。ブルーノートのオールスター・セッションは、他の人気取り優先のオールスター・セッションとは異なる、実に真摯で誠実なパフォーマンスを提供してきた。アルフレッド・ライオンを始めとした、その時代毎のプロデューサーの慧眼と敏腕の成せる技である。

Blue Note All-Stars『Our Point of View』(写真左)。つい先日2017年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Ambrose Akinmusire (tp), Marcus Strickland (ts), Lionel Loueke (g, vo), Robert Glasper (p, rhodes), Derrick Hodge (ac-b, el-b), Kendrick Scott (ds), Guests : Wayne Shorter (ss), Herbie Hancock (p) Disc Two 1。いや〜魅力的なメンバーがずらり。どんな音が出てくるんだ、と期待が高まるパーソネル。
 

Our_point_of_view

 
この盤もブルーノート・レーベルお得意の、現代の若手選りすぐりのオールスター・セッションである。メンバーを見渡せば、ブルーノートと契約のある若手から中堅の優れものジャズメンが集結。現代の現時点での先端を行くジャズのトレンドな音を創造し、我々に具体的に聴かせてくれている。ネオ・ハードバップ+モード・ジャズ、加えて、フリー一歩手前の耳に優しいスピリチュアル・ジャズ。そして、ボイスを活かした静的なラップ的な雰囲気も今の耳に新しく響く。

選曲がふるっている。ウェイン・ショーターの代表作『スピーク・ノー・イーヴル』に収録されている「ウィッチ・ハント」そして、「マスカレロ」が選ばれているところがグッと目を惹く。特に「マスカレロ」では、スペシャル・ゲストとしてウェイン・ショーター本人とハービー・ハンコックが参加しているが、このオールスターズのメンバーは、このレジェンド2人にひけを取るどころか、音の新しさという面で、レジェンド2人を置き去りにしている。

新進気鋭の若手から中堅ジャズメン達の創造する、現代の、今の最先端を行くジャズのトレンド、ジャズの演奏スタイル。その時代毎に、ブルーノート・レーベルのオールスター・セッションは、その時代毎の先端を行くジャズのトレンド、ジャズの演奏スタイルを具現化してきた。この盤『Our Point of View』もそうである。CD2枚組だが一気に聴き通してしまうくらい、充実した内容のある演奏が詰まっている。好盤。

 
 

東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年10月12日 (木曜日)

不思議ちゃんな企画盤である

Electric Bird(エレクトリック・バード)。純日本のジャズ・レーベルである。1980年代、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求したレーベル。日本のジャズ・レーベルなので、企画に問題があることが多い。このElectric Birdにも「これはなあ〜」と溜息が出るような「不思議ちゃんな企画盤」がある。

Dizzy Gillespie『Closer To The Source』(写真左)。1985年の作品。当時「あのディジー・ガレスピーがフュージョン・ジャズをやった」と話題になったアルバムである。バックに、Sonny Fortune (as), Branford Marsalis (ts), Kenny Kirkland (key), Hiram Bullock (g), Marcus Miller (el-b), Buddy Williams (ds) らの名前がある。加えて、Stevie Wonder (syn,harmonica) が参加。う〜ん、さすがバブル時代の企画盤である。

しかし、である。ディジーのトランペットであるが、バックがフュージョン系メインストリーム・ジャズであるが故、ちょっと聴くと「チャック・マンジョーネ」を想起してしまう。ちょっとディジーに失礼やね(笑)。よくよく聴くと、音にしっかりと芯が入っていて、音が限りなくブリリアント、トランペットが凄くよく鳴っている感じが「これは只者ではないぞ」と襟元を正したりするのだ。
 

Closer_to_the_source

 
さすがはディジー、バックの音がフュージョン系メインストリーム・ジャズであろうがなかろうが、我関せず、ディジーならではのトランペットを朗々と鳴らしまくる。そういう意味では、この盤、ディジーのトラペットのお陰で「平凡なフュージョン・ジャズ盤」とならずに、グッと内容が締まったフュージョン系メインストリーム・ジャズの好盤に仕上がっている。ディジーのトランペットさまさまである。

よくよく聴くと、バックの音は、フュージョン系メインストリーム・ジャズとは言うが、どちらかと言えば「フュージョン・ジャズ」寄り。ファンキーな雰囲気も色濃く見え隠れして、よくまあ、ディジーが収録をOKしたもんだ、と感心することしきり。この盤、もっと純ジャズ寄りにアレンジしたら、もっと素晴らしいフュージョン系メインストリーム・ジャズの好盤に仕上がっていたのでは、と思います。

しかし、当時として、ジャズ・トランペットのレジェンド、ビ・バップ創始者の一人、ディジー・ガレスピーににフュージョン・ジャズをやらせるなんて、凄く乱暴な発想であり企画ではある。ディジーのレベルのトランペットになれば、何もバックの音をフュージョン仕立てにする必要も無いでしょうにね。「これはなあ〜」と溜息が出るような「不思議ちゃんな企画盤」である。

 
 

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2017年10月11日 (水曜日)

ルー・ソロフのトランペット

Electric Bird(エレクトリック・バード)。純日本のジャズ・レーベルである。1980年代、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求したレーベル。エレクトリック中心のフュージョンのブームの後、メインストリーム・ジャズの要素をしっかり押さえたフュージョン系のジャズは、当時、結構、人気があった。そのElectric Birdレーベルのアルバムを一気聴きの最中である。

今日の選盤は、Lew Soloff『Yesterdays』(写真左)。1986年の作品。ちなみにパーソネルは、Lew Soloff (tp), Charnett Moffett (b), Elvin Jones (ds), Mike Stern (g)。ルー・ソロフのトランペット1管のバックのリズム・セクションは「ギター+ベース+ドラム」のピアノレス。

この1管+ピアノレスなカルテット編成については、フロントのソロフのトランペットが心ゆくまで堪能出来る。エルヴィンのドラミングはダイナミックなポリリズム。ピアノがいると、ピアノのリズムキープとバッティングすることが多い。するとリズムが増幅されて、フロントの管の音が目立たなくなってしまう。今回の「ピアノレス」はそれを未然に防止する。
 

Lew_soloff_yesterdays  

 
この盤は、ルー・ソロフのトランペットの個性がとても良く判る、ソロフのトランペットの個性を愛でる盤である。ハイノート・ヒッター、かつ流麗でメロディアス。加えて、ダイナミックでテクニカル。聴き応えのある、素晴らしい内容のトランペットである。惚れ惚れする。

さすが、1968〜73年の間、ブラス・ロックを代表するスーパー・バンド「ブラッド・スウェット&ティアーズ」の一員として、はたまた、ギル・エヴァンスのオーケストラに、ギルが亡くなる1988年まで参加し活躍しただけはある、実力あるトランペッターの優れたパフォーマンスがこの盤に記録されている。

このルー・ソロフ、あまりに上手過ぎる、という理由で日本では人気がイマイチだった。日本のジャズ者として実に残念であり、ばかばかしくもある。この盤のソロフのプレイを聴いて欲しい。当時、人気がイマイチだったことが信じられない。それほど、溌剌としてブリリアントなソロフのプレイがこの盤には記録されている。お勧めの好盤です。

 
 

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2017年9月20日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・59

Gary Burton=ゲイリー・バートンは、ヴィブラフォン奏者。1960年代後半、若かりし頃は、ヴァイブ引っさげ、尖ったジャズロックをガンガンやって、時々、アバンギャルドな雰囲気の硬派なジャズをやったり、とにかく尖ったヴァイブ奏者だった。1970年代は、ピアノのチック・コリアと組んで、ピアノとヴァイブのデュオ演奏で一世を風靡した。

が、バークリー音楽院で教鞭を執る立場にあったこと、かつ、1980年代になって、人間的に充実した落ち着きを身につけたのか、リーダーとしてバンド全体を上手くまとめながら、純ジャズ復古の波にも上手く乗りつつ、内容充実のメインストリームな純ジャズ盤をコンスタントにリリースするようになる。

僕はこのバートンのジャズメンとしての変遷をリアルタイムで体験してきて、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、バンドを通じて有望な若手を発掘するバンドリーダーとして活躍するバートンを頼もしく思ってきた。若い才能の発掘者として、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、もっとバートンは評価されて然るべきだと思っている。
 

Gary_burton_depature

 
Gary Burton & Friends『Departure』(写真左)。1996年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), John Scofield (g), John Patitucci (b), Fred Hersch (p), Peter Erskine (ds)。フレッド・ハーシュのピアノ・トリオをリズムセクションに、バートンのヴァイブとジョンスコのギターがフロントを張るクインテット構成。

とっても魅力的な、リラックスしたセッションが繰り広げられる。そんな中で、ジョンスコのギターが冴えまくっている。彼は特に、こういうスタンダードで純ジャズなセッションで、その実力を遺憾なく発揮するタイプなのだが、このバートンのリーダー作でも、そんなジョンスコがガンガンに弾きまくっている。

パティトゥッチのベースとアースキンのドラムが供給するリズム&ビートは安定の極み。ハーシュのピアノはリリカルで耽美的なフレーズを醸し出す。意外とこのリズム・セクションの今までに無い独特の個性が、このスタンダードなアルバムを惹き立てている様です。これもバートンのリーダーシップの成せる技。素敵なジャケット共々、お勧めの好盤です。

 
 

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2017年9月19日 (火曜日)

地域の拡がりとしての深化

世界的に見て、ジャズ人口って増えているんだろうか。少なくとも、ジャズの裾野は広がっている。基本的には米国中心だったジャズだが、欧州各国に渡り、日本にも中南米にも渡り、豪州にも渡り、もはやジャズは世界的な拡がりを持つ、クラシックに比肩する裾野の拡がりを持った音楽ジャンルになっている。

例えば、David Sanchez『The Departure』(写真左)。1993年11〜12月の録音。ちなみにパーソネルは、David Sanchez (sax), Tom Harrell (tp), Danilo Perez (p), Andy Gonzalez, Peter Washington (b), Leon Parker (ds), Milton Cardona (per)。サックス&トランペット2管フロントのパーカッション入りセクステット。

硬派なメインストリーム・ジャズである。胸の空くような、切れ味の良い自由度の高い演奏がてんこ盛りである。演奏に耳を傾けていると、そこはかとなく「中南米」な雰囲気が見え隠れする。明らかに米国や欧州、日本などのジャズとは雰囲気が違う。それもそのはず。リーダーのDavid Sanchez=デビッド・サンチェスはプエルトリコ出身のテナー奏者なのだ。 
 

David_sanchez_the_departure

 
このアルバム『The Departure』は、サンチェスのデビュー盤。ジャズは初リーダー作に、そのジャズメンの個性がはっきりと表れるというが、確かにこのアルバムを聴くと、他のジャズメンとは異なる個性がそこかしこに感じるのだ。僕にとってはまだまだ勉強しなければならないジャンルである「ラテン・アメリカの伝統音楽」な雰囲気が独特の個性である。

僕がジャズを聴き始めた頃、今から40年ほど前、メインストリームなジャズに、ラテン・アメリカの伝統音楽の要素が融合されるなんて、思ってもみなかった。明らかにジャズ表現のバリエーションが深化していると感じる。ジャズは世界的な地域の拡がりの中で、各国の伝統音楽と融合し、そのバリエーションを深化させている。

明らかに新しい響きのするメインストリーム・ジャズ。サンチェスのサックスが理知的で爽快。とても良く考えられたサックスの展開。もう一方のフロント、トム・ハレルのトランペットも良い音を出している。こういう硬派でメインストリームなジャズが、プエルトリコの優れたサックス奏者によって創造される。ジャズの国際化、地域の拡がりとしてのジャズの深化を目の当たりにする。そんな実感をひしひし感じる好盤である。

 
 

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2017年9月14日 (木曜日)

セルビアはベオグラードのジャズ

欧州を旅して思うのだが、訪れたどの国にもジャズがある。地元のエンタメ系の雑誌やお店の案内カードを見ていると、必ず、ジャズのライブ・ハウスの紹介がある。ということで、その国を訪れたら、必ず、その国のジャズを探し、その国のジャズを聴く。すると、それぞれ、国によってジャズの音が違うのだ。国毎の個性とでも言うのだろうか。これって、意外と面白い。

アップル・ミュージックなど、ダウンロード・サイトが充実してきたお陰で、様々な国のジャズを聴ける様になった。ネットの中でも、様々な国のジャズに関する情報が充実してきており、知識レベルの情報の入手も楽になった。良い時代になった。昔は、米国ジャズでも情報不足の感があって、情報を得るのに雑誌を読んだり、本を読んだり。大変でした。

Bojan Zulfikarpasic『Solobsession』(写真左)。今日聴いた欧州ジャズ。ピアニストである。2008年の作品。まず、リーダーの名前を何て呼んだら良いか、判らない(笑)。「Bojan Zulfikarpasic=ボヤン・ズルフィカルパシチ」と読むそうだ。ボヤンは判る。でも、セカンド・ネームが判らない。この名前からすると「北欧系」か、と思うが、冒頭の演奏を聴くと「違う」。

北欧系独特の響きの拡がりとクリスタル感が希薄。加えて、ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。そうすると、英国系若しくは仏蘭西系は無い。ましてや独系でも無い。ん〜、どこのジャズなん?
  

Bojan_zulfikarpasicsolobsession

 
実は、旧ユーゴスラビア、ベオグラード出身でフランスを舞台に活躍するジャズ・ピアニストとのこと。名前が長いので、通称「Bojan Z」で通しているらしい。なるほど、ベオグラードだから、今の国名で言うと「セルビア」。この盤に詰まっていろ音は「セルビア」のジャズ、東欧のジャズである。

この『Solobsession』は、ボヤンのソロ・ピアノ盤である。よって、ボヤンのピアノの個性が露わになる。ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易く、ピアノの響きを美しい。テクニックも優秀。緩急自在なインプロビゼーションで、アルバム全編を一気に聴き切ってしまう。

ピアノの特殊奏法を駆使した演奏、プログレの様な変拍子の演奏、フリーキーな展開をところどころ「チラ見せ」しつつ、どこかポップな響きのインプロビゼーションは今風のスピリチュアルな響き。今までにありそうで無かったピアノ・ソロで、一度填まると、暫く、病みつきになるほどの個性。

しかし、アルバム・ジャケットの雰囲気と「Bojan Zulfikarpasic」という姓名の文字の雰囲気から、これ「北欧ジャズ」系ね、と思ってしまうんだが、これがまあ、全く違うんですね。でも、タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易い。と良い方に転んで、この盤の魅力にドップリと填まってしまいます。

 
 

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2017年9月11日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・89

今日は、昨日のコンサート明けの「お疲れ休み」。そうそう、昨日はとある中堅ミュージシャンのコンサートに参戦していて、ブログは急遽お休みしました。3時間20分超、立ちっぱなしのコンサートに参戦して、家に帰りついたのが22時過ぎ。さすがにブログは打てません(笑)。

さて、午前中はまだ良かったんですが、今日の午後は昨日のコンサートの疲れで、ずっと伏せっていました(笑)。そんな時はゆったりとした、聴いて耳当たりの良いジャズが良いですよね。さて、何が良いか。ピアノ・ソロはありきたりだし、ソロかデュオ盤が良いんでしょうが、ということで選んだ盤がこれ。

Courtney Pine『Song(The Ballad Book)』。2015年のリリース。ちなみにパーソネルは、Courtney Pine (b-cl), Zoe Rahman (p)。Courtney Pine=コートニー・パイン。1964年生まれのジャマイカ系イギリス人。サックス奏者。しかし、この盤では「バス・クラリネット」一本で吹きまくる。これが実にユニーク。
 

Courtney_pine_song

 
女流ジャズピアニスト最注目のゾーイ・ラーマンとのデュオ。ピアノとバス・クラリネットとのデュオ。バス・クラリネットと言えば「エリック・ドルフィー」が浮かぶが、僕の記憶の中では、他にこの組合せの盤を知らない。が、僕はこの盤を聴いて、心から感心した。バス・クラリネットのソロの音色は静的ではあるが「スピリチュアルでエモーショナル」。

バス・クラリネットの音がこんなに心地良いものと感じたのは久し振り。エリック・ドルフィー以来。しかも、ピアノとのデュオが実に合う。素早いフレーズには不向きな感じだが、ゆったりとしたフレーズには、本当に「その威力を発揮する」。ダニー・ハサウェイ、デューク・エリントン、サム・リバース、サド・ジョーンズ、ブライアン・マクナイトのヒット曲などを演奏していますが、どれもが「スピリチュアルでエモーショナル」。

この盤、とっても良いです。バス・クラリネットの音色がこんなに「スピリチュアルでエモーショナル」だとは思わなかった。そういう意味では、1960年代早々から、バス・クラリネットを吹いていたエリック・ドルフィーは先見の明があった。そして、バス・クラリネットの魅力を再発掘したコートニー・パインは素晴らしい。ジャズ者中堅〜ベテランの方々に、一度は聴いて欲しい好盤。

 
 

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2017年9月 6日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・112

先週、台風が太平洋上を北上、北の冷えた空気が一気に流れ込んで、思わず、10月上旬の涼しさになった、我が千葉県北西部地方。3日前の日曜日は台風一過でとっても良い天気だった。が、である。今週に入って、なんだか思いっきり天気が悪い。悪いはずで、天気図を見ると、知らないうちに「秋雨前線」が張っているではないか。天気が悪いはずである。

こういう梅雨の愚図ついた天気の時は、スカッと爽快なジャズが良い。今日は、今年の新盤を聴いていて、この「スカッと爽快な」ジャズ盤に出会った。もともと、この盤のパーソネルを見ていて「これはもしかしたら、スカッと爽やか系のボーカル盤かも」と薄々想っていた。そのパーソネルとは、MARLENE (vo), Jiro Yoshida (g), Makoto Kuriya (p)。純日本メンバーでの構成。

この3人のユニット名は「THREESOME」。日本語訳で「三人組」。まんまやん(笑)。フィリピンはマニラ出身で、長く日本の音楽シーンに君臨する歌姫マリーン、シンディ・ローパーやセルジオ・メンデス等、多くのコラボ・セッションを重ねるギタリストの吉田次郎、そして、日本の中堅、コンテンポラリーなジャズ・ピアニストにして、その地位を揺るぎないものとしつつあるクリヤ・マコト。この3人が組んでのボーカル盤。

THREESOME『Whatever!』(写真左)。2016年春にリリースした第1弾『Cubic Magic』に続く2枚目のアルバム。基本的には、ギターとピアノのデュオにボーカルが乗っかるのだが、今回はゲストに、納浩一 (b) と則竹裕之 (ds) を迎えての、ビートの聴いたパフォーマンスも魅力である。このメンバー構成である。出てくる音が悪かろう筈が無い。
 

Threesome_whatrver

 
選曲が良い。お馴染みの大スタンダード曲もあれば、ポップスの名曲中の名曲もある。個人的には、エルヴィス・プレスリーの代表的なバラード「好きにならずにいられない」、カーペンターズのヒットナンバー「雨の日と月曜日は」、ナット・キング・コールやビング・クロスビーのヒットで知られる「ルート66」などが凄く良い。

マリーンのボーカルが良い。切れ味良く、ダイナミズムがあってパンチがある。逆に、繊細な表現も豊かで、本格的正統なジャズ・ボーカルが素晴らしい。聴いていて、思わず耳を峙て、思わず聴き惚れる。そして、1曲聴き終える毎にスカッとする。素晴らしいボーカルである。こんなにスカッとするコンテンポラリーなジャズ・ボーカルってそうそう無い。

バックの吉田次郎のギター、そして、クリヤマコトのピアノも素晴らしいバッキングで盛り立ててくれる。実に良い感じだ。シャンソンの代表的な曲「枯葉」のデュオは絶品。思わず聴き惚れる。いや〜、このTHREESOMEの『Whatever!』って、結構良いぞ。これだけ爽快感溢れるボーカル盤って、思わず、我がバーチャル音楽喫茶『松和』のヘビロテ盤である。

こういうボーカル盤が出てくるなんて、日本のジャズも深化したなあ、と感じる。ちなみに、この新盤、音がめっちゃ良い。音の良さも特筆すべきボーカル盤。いやいや、良いもの聴かせて貰いました。好盤です。

 
 

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2017年8月24日 (木曜日)

現在のジャズの「深化」を感じる

ジャズって確実に「深化」しているなあ、って感じることが多い。1950年代から1960年代、ハードバップからモード・ジャズとメインストリーム・ジャズは変遷していったが、このハードバップにしても、モード・ジャズにしても、21世紀の現在でも演奏されるジャズ・フォーマットである。

といって、1950年代から1960年代の演奏をそのまま「なぞっている」のでは無い。演奏のレベルは高くなっているし、演奏の展開にも様々な工夫が聴かれる。演奏の響きも明らかに純度が高くなっているし、アレンジの工夫も難度が高いが、とても考えられた音作りがなされている。つまり、ジャズは「深化」しているのだ。

Jack DeJohnette, Larry Grenadier, John Medeski & John Scofield『Hudson』(写真左)。今月の新盤なのだが、僕はこの新盤を聴いて、その「ジャズの深化」を強く感じた。参加メンバーが並列の関係で構成されたテンポラリー・バンドなので、パーソネルに連なる4人の名前がズラリと並ぶ。改めて、パーソネルは、Jack DeJohnette (ds), Larry Grenadier (b), John Medeski (key), John Scofield (g)。
 

Hudson

 
デジョネットは1942年生まれなので、今年で75歳。ジョンスコは1951年生まれなので、今年で66歳。グレナディアは1966年生まれなので、今年で51歳。メデスキは1965年生まれなので、今年で52歳。大レジェンドのデジョネット、中レジェンドのジョンスコ、そして、中堅ベテランの2人がガッチリ組んだ、明らかに硬派な「コンテンポラリーな純ジャズ」である。

とりわけ、ジョンスコが凄い。弾きまくっている。デジョネットが心なしか、大人しいというか落ち着いたドラミングで終始している分、ジョンスコの弾け方が印象深い。メデスキのプログレッシブなオルガンも効いている。グレナディアが全体のビートをガッチリと押さえている。聴き始めると知らない間に一気に聴き切ってしまうほどの充実度。

Bob Dylan「Lay Lady Lay」「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、The Band「Up on Cripple Creek」、Jimi Hendrix「Wait Until Tomorrow」、Joni Mitchell「Woodstock」のカバーが目を惹く。70年代ロック者からすると感動のカバー。出来も良い。他のメンバーの自作曲もなかなか。現在のジャズの「深化」がガッツリと感じられる好盤である。

 
 

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