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2017年6月15日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・22

トランペットを吹くボーカリスト。ぱっと浮かぶのは、サッチモ、そして、チェット・ベーカー。日本では、う〜ん、いたぞいたぞ。そう「TOKU」である。キャッチフレーズが「日本で唯一のボーカル&フリューゲルホルンプレイヤー」。確かに、トランペットを吹くボーカリスト。日本にはそうそういない。

ジャケットが良い。モダンアートっぽい、原色を活かしたジャケット。こういうの僕は大好き。思わず、これは「ジャケ買い」レベル。きっと音は良いに違いない。で、どんな音になっているのか。

そのアルバムとは、TOKU『Shake』(写真左)。今年のこの6月7日のリリース。聴いて楽しいコンテンポラリー・ジャズの饗宴。ゲストとの共演が基本。このゲスト陣が大変豪華。名前を挙げると、SUGIZO、Yasei Collective、AISHA、ZEEBRA、DABO、シシド・カフカ、ゴスペラーズ、多和田えみ、大黒摩季、NAOTO等々。

収録されている曲もとってもコンテンポラリー。僕達の世代が泣いて喜ぶカバー曲の数々。デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」以下、ローリング・ストーンズやプリンス、ドナルド・フェイゲンやレナード・コーエンといったロック・レジェンドの名曲がズラリと並ぶ。これらをアーバンなコンテンポラリー・ジャズな雰囲気に仕立て上げる。
 

Toku_shake

 
どこかで聴いたことある雰囲気やなあ、と思っていたらピンと来た。1970年代後半のエレ・ハンコックである。クインシー・ジョーンズに憧れて追求した、ファンクネス溢れるR&Bとの融合が芳しいエレ・ハンコックのボーカル曲の世界。TOKUのダンディズム溢れる、力感豊かな、しなやかなボーカルに、日本人独特の乾いたファンクネスがそこはかとなく漂う。

現代のフュージョン・ジャズである。R&B、ブラコン、ハウス、ユーロ、もちろんジャズの要素も色濃く反映して、ライトでアーバンな新しい雰囲気のフュージョン・ジャズがこのアルバムに展開されている。パッと聴けばジャズじゃない。じっくり聴き進めれば、確かにフュージョン・ジャズである。まあ難しいことは言いっこなし。聴いて「ええ感じ」やったらOK。

TOKUのフリューゲルホルンも良い。演奏の中で、ここぞというところで、ブワーっと入ってくる。決して刺激的ではない。フリューゲルホルンの柔らかくて丸い音の特性を活かした優しい音。このフリューゲルホルンが独特の雰囲気を醸し出す。明らかにTOKUの個性である。

良い雰囲気の現代のフュージョン・ジャズ。純ジャズな雰囲気とはほど遠いが、フュージョン・ジャズとして聴くと、とても良い内容だ。演奏のレベルも高く、ボーカルもゲスト含めて個性的で聴き応えがあって良い感じ。何度か聴き直しているうちに、ながら聴きに最適なことに気がつきました。

 
 

東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年6月 4日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・106

この盤は確実に「ジャケ買い」であった。このジャケットを見た時は、この盤の素性は全く知らない。ただ、このジャケットにグッと心を掴まれた。このトランペッターは誰だ。ジャケットの文字を見たら、トム・ハレルとある。トム・ハレルの名前は知っている。あと、サイドメンの名前が連なる。総合力勝負のピアニストのケニー・バロンの名が見える。

「これはイケるに違いない」。で、即ポチである。そのアルバムとは、Tom Harrell『Moon Alley』(写真左)。1985年12月の録音。意外と古い録音。ちょうど、純ジャズ復古の時代、老舗のジャズ・レーベルが復活し、純ジャズが復権していった頃。なるほど。その時代が故にパーソナルがふるっている。

ちなみにパーソネルは、Tom Harrell (tp, flh), Kenny Garrett (as, fl), Kenny Barron (p), Ray Drummond (b), Ralph Peterson (ds)。いやいや、今の目でみれば錚々たるメンバーではないか。新しい響きのアルトはケニー・ギャレット。切れ味の良い、躍動感としなやかさが共存した、新しい感覚のリズム&ビートが魅力のドラモンドのベースとピーターソンのドラム。
 

Moon_alley1

 
そして、サイドメンの絶品は、総合力勝負のピアニスト、ケニー・バロン。伴奏の職人、バロンの流麗で洒脱なバッキングは、耳に好印象を残してくれる。高テクニックを擁しながらもグッと押さえて、程良い音数で印象的にフレーズを紡ぎ上げつつ、フロントのトランペットとアルトを推し上げる。

しかしながら、リーダーなので当然ではあるが、トム・ハレルのトランペットが素晴らしく良い。力強く躍動感溢れ、紡ぎ出すフレーズは流麗そのもの。トランペットそのものが実に魅力的に鳴っている。日本ではあまり名前が通っていないが、ハレルのトランペットは一級品。切れ味良く、エッジは程良く心地良く立っていて、聴いていてとっても心地良い。

基本はネオ・ハードバップ。コードとモードを程良くブレンドしつつ、躍動感溢れる、雄弁なソロを繰り出していく。リズム・セクションも強力。こういうネオ・ハードバップの好盤をつい最近まで知らなかった。いやはや、ジャズは奥が深い、ジャズは裾野が広い。いや〜、ほんとジャズって良いですね。

 
 

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2017年6月 1日 (木曜日)

トランペットの隠れ名盤・6

ピアノ・トリオのブームが、昨日辺りから「トランペット・ジャズ」に移りつつある。朝夕涼しい陽気がそうさせるのだろうか。流麗でストレートに鳴るトランペットが聴きたくなる。そうすると、やはりテクニックに優れた、肺活量豊かなトランペッターのアルバムを漁ることになる。

テクニックに優れた肺活量豊かなトランペッター、とすると、まずは「フレディ・ハバード」の名が浮かぶ。でもなあ、ハバードって、テクニックが優れる余り、そのテクニックをこれでもか、とひけらかす傾向が強くて、そのハイレベルのテクニックが耳に付くのだ。加えて「目立ちたがり」。共演者がいると、そっちのけで「俺が俺が」と前へ出る。これが耳に付く。

このアルバムも最初見た時、ハバードの名前があったので聴かずにパス。しかも共演者がいる。それもトランペッター、ハバードに良く似たタイプのウディ・ショウ。これ、絶対にハバード、テクニックをひけらかすぞ、絶対に前へ出るぞ、で聴かずにパス。しかし、つい最近、ちょっと怖い物見たさに「聴いてみようかな」と(笑)

Freddie Hubbard & Woody Shaw『Double Take』(写真左)。邦題「トランペット伝説」。1985年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp, flh), Woody Shaw (tp), Kenny Garrett (as, fl), Mulgrew Miller (p), Cecil McBee (b), Carl Allen (ds)。同じフロントにケニー・ギャレットのアルト。バックのリズム・セクションが、当時の新進気鋭の若手で固められている。
 

Double_take1

 
聴いてみて「あれれ」と思う。良い方向に「あれれ」なんだが、ハバードがあまり目立たない。テクニックよろしく、前へ前へ出ようとしているようなんだが、そうならない。恐らく、ウディ・ショウの存在がそうさせるのだろう。ハバードと同じくらいにテクニック優秀、そして、共演者との協働を良しとし、前へ前へと出ない「奥ゆかしさ」。このショウの存在が、いつものハバードにブレーキをかけているみたいなのだ。

実は、テクニックをひけらかすこと無く、目立ちたがりを控えたハバードのトランペットは、とても素晴らしい。しかし、ハバードの性格上、そんな状態のアルバムって、なかなかお耳にかかれないのだが、この『Double Take』というショウとの共演盤でのハバードが、そんな「素晴らしい」ハバードなのだ。聴き応えありまっせ。

ハバードに相対するショウのトランペットも味わい深い。テクニック優秀、ストレートでふくよかなブラスの響き、流麗かつ爽快なアドリブ・フレーズ。トランペットがよく鳴っている。ショウは1989年、44歳で亡くなっているので、この盤の時点では40歳になったところ。40歳を迎えたショウのプレイは余裕が出来て、ほど良く流麗なプレイは、かえって「凄みを感じさせる」もの。惜しいトランペッターを亡くしたものだ、と改めて淋しくなる。

「素晴らしい」ハバードと「凄みを感じさせる」ショウのトランペットの共演。アルトのギャレットも負けずに出来が良く、バックのリズム・セクションがこれまた優れていて立派。録音年が1985年。純ジャズ復古前夜の頃。さすが復活したレーベル、ブルーノートの「マジック」である。

 
 

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2017年5月29日 (月曜日)

トランペットの隠れ名盤・5

我が千葉県北西部地方では、朝夕、初夏の清々しい日々が続いている。朝は海風、夜は山風と、この季節はメリハリの効いた風が吹く。気温は22〜3度程度。風力2程度の風が心地良い。今の季節が一年の中で一番良いなあ。日も長いしね。

こういう季節は、ジャズを聴くのに打って付け。空気も清々しいし、暑くも無く寒くも無く、気持ちの良い雰囲気の中で聴くジャズは格別のものがある。こういう清々しい日には、トランペットが主役のジャズが良く似合う。と言うことで、トランペットが主役のちょっとマニアックな盤を探す。

Johnny Coles『New Morning』(写真左)。1982年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Coles (flh), Reggie Johnson (b), Billy Hart (ds), Horace Parlan (p)。このパーソネルを見るだけで、この盤は期待出来る。1982年辺りは、フュージョン・ジャズが下降線を辿りだし、ジャズの流行にポッカリと穴が空いたような時期。
 

New_morning1

 
そんな時期にこの渋い内容のハードバップ盤である。まず、リーダーのジョニー・コールズのフリューゲル・ホーンの音が実に良い。本当によく鳴るフリューゲル・ホーン。真鍮をブリブリ響かせながら、す〜っと音が伸びていく。アドリブ部では流麗なフレーズに思わず耳を峙たせる。ジョニー・コールズって、こんなに魅惑的な音を出すトランペッターだったっけ、と嬉しい思案投げ首状態になる。

ジョニー・コールズと言えば『Little Johnny C』という好盤があるが(2014年1月16日のブログ・左をクリック)、柔軟でありながら輪郭がはっきりした、しっかりと音の出る、しなやかな鋼の様なコールズの個性的なブロウについては、この『New Morning』の方が一枚上を行くのではないか。それほど、この盤でのコールズのブロウは魅力的だ。

バックのリズム・セクションも堅実でホットな演奏で、コールズのブロウを盛り立て、そして支える。1980年代前半、ネオ・ハードバップの走り。ジャケット・デザインも魅力的。こういう魅力的なジャケットは内容を裏切らない。渋い、そして聴き応えのある「トランペットの隠れ名盤」の一枚として愛聴しています。

 
 

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2017年5月16日 (火曜日)

初リーダー作は個性と志向満載

我々は通常、アルバムというものを通じて、そのミュージシャンやグループの個性や志向を感じ、愛でる。

70年代ロックやJポップは、ファースト・アルバムというよりは、セカンド・アルバムの方が、そのミュージシャンやグループの個性がハッキリ出ていることが多いと感じている。だから、学生時代から(今を去ること40年以上前・笑)70年代ロックやJポップのミュージシャンやグループのアルバムはセカンド・アルバムを重視してきた。

しかし、ジャズの世界では、初リーダー作というものが、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出していて、僕はジャズでは「ファースト・アルバム」を重視している。逆に、初リーダー作で、その個性や志向をハッキリ出せないジャズメンは大成しない。ジャズは「即興演奏と個性」を楽しむものだからなあ。

そんな、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出ている初リーダー作の好例がこの盤。Art Farmer『Early Art』(写真左)。1954年1月と11月の録音。1月の録音のパーソネルは、Art Farmer (tp),Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p),  Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。11月のパーソネルは、Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Addison Farmer (b), Herbie Lovelle (ds)。
 

Early_art_1

 
1月の録音は、当時の若き新進気鋭のテナーマン、ソニー・ロリンズとフロントを張った、リズム・セクションも錚々たるメンバーのクインテット構成。11月の録音は、ファーマーのワンホーン・カルテット。リズム・セクションは、1月のセッションに比べるとちょっと地味になる。けど、ファーマーのワンホーンは魅力。

この1954年1月の録音部分が、アート・ファーマーの初リーダー・セッションということになる。まあ、1954年の録音は皆、初リーダー作としても良いのではないか。それほど、これらのセッションでは、アート・ファーマーのトランペットの個性と志向がバッチリと記録されていて、聴いていてとても楽しい。

とにかく溌剌としているところが良い。ファーマーのトランペットの個性である、音が心地良くラウンドしているところも、この初リーダー・セッションで如実に表れている。淀みなく流れるような流麗なアドリブ・フレーズも、既にこのアルバムでハッキリと聴いてとれる。アート・ファーマーのトランペットの個性と志向が満載のアルバムである。

ジャケットはファーマーのアップでシンプルなものだが、意外とジャズっぽくて渋い。アート・ファーマーの個性と志向満載のアルバム。好盤です。

 
 

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2017年5月 9日 (火曜日)

ビ・バップ系の盤も味わい深い

古い古いアルバムである。もちろん、録音の質はあまり良く無い。切れ味の悪い、もそっとした音の輪郭。それでも、出てくるトランペットやサックスのソロは迫力満点。耳にググッと迫り来るアドリブ。ジャズは音の質は二の次、というジャズ者の方々もいるが、こういう古い録音のビ・バップ系のアルバムを聴くと、それもありかな、と思う。

Fats Navarro『Nostalgia』(写真左)。1946年から1947年に渡る3つのセッションから成る寄せ集め盤。それでも、足かけ2年の間での3セッションなので、演奏の雰囲気にしっかりと統一感がある。演奏形式は明らかにビ・バップ。約3分前後の演奏時間の中にアドリブ・ソロを凝縮している。

Fats Navarro(ファッツ・ナヴァロ)は、1923年9月生まれ。1950年7月に早逝している。享年26歳。故に彼の活動期間は極めて短い。しかし、彼は1940年代のビ・バップという、当時の流行の演奏スタイルのパイオニアの一人なのだ。しかも、彼のトランペットのテクニックは極めて高く、トランペットを非常に良く鳴らすのだ。

このナヴァロのトランペットの奏法スタイルと音色、高いテクニックについては、後の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンに多大な影響を与えたとされる。この『Nostalgia』のナヴァロのプレイを聴けば、なるほどな、と思う。
 

Nostalgia_1

 
ナヴァロのペットと同じ位に、テナー・サックスが良く鳴っている。ビ・バップなマナーのテナー。迫力満点である。流麗なナヴァロのペットに相対する無骨で太いテナー・サックスのアドリブ・ソロ。流麗でブラスの輝きキラキラするナヴァロのペットに相対する音の塊の様な、テクニック溢れるテナーの音。

バックのピアノを中心としたリズム・セクションは上手いんだが、あくまでリズム&ビートを維持する脇役。あくまでメインはトランペットとテナー・サックス。たった3分前後の演奏時間の中で、そのテクニックとイマージネーションを凝縮する。

実はこのアルバムの演奏、それぞれの演奏に仄かに香る「色気」があって、意外と聴き応えがある。テクニック優先のビ・バップ盤とは一味違うところがこの盤の「旨味」である。

ジャケット・デザインも「味がある」。一目で「サヴォイ・レーベル」の盤だと目星が付くのだが、サヴォイらしからぬデザインのまとまり方。かなりレトロな雰囲気ではあるのだが、今にもナヴァロのペットが聴こえてきそうな、なかなか味わいのあるジャケットも「良し」。

 
 

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2017年4月25日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・52

オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。と昨日、書いた。確かにそうやなあ、と思う。昼ご飯が終わった後、食後の珈琲を飲みつつ、天気が良ければ、外の陽射しを楽しみつつ、ちょっと微睡みながら聴くオールド・スタイルのテナーは絶品である。

オールド・スタイルのテナーと言うことで昨日は「ベン・ウェブスター」のリーダー作を聴いた。オールド・スタイルのテナーと言えば、オールド・スタイルのテナーの次に、コールマン・ホーキンスが浮かぶ。ウェブスターは情感溢れるテナーが個性だが、ホーキンスのテナーは元気一杯、明朗に吹きまくるテナーが魅力。

そんな明朗に吹きまくるホーキンスのテナーが楽しめるリーダー作がこれ。Coleman Hawkins『The Hawk Flies High』(写真左)。1957年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Idrees Sulieman (tp), JJ Johnson (tb), Hank Jones (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds)。ギター、トロンボーンも入ったセプテット構成。Riversideレーベルからのリリース。
 

The_hawk_flies_high

 
ホーキンスは収録された全ての曲において、明朗に吹きまくっている。豪快かつ大らかに吹きまくるホーキンスは、とっても頼もしい。加えて、トランペットのシュリーマンが凄く元気に吹きまくる。とにかくすっごく元気なトランペットが明らかに目立っている。ピアノのハンクは渋いバッキングを披露し、J.J.のトロンボーンもアンサンブルの良いアクセントになっている。

1957年の録音だが、演奏の内容は当時のハードバップ最先端にはほど遠い、どちらかと言えば、スイング時代からビ・バップ時代へ移行する時期の、オールド・スタイルのモダン・ジャズという風情。昭和30年代のジャズ喫茶の雰囲気がプンプンする。決して、テクニックに過ぎることは無く、ジャズとして楽しい演奏を繰り出していく。

ホーキンスは明朗に吹きまくるテナーなんだが、そこはかとなく、ブルージーでマイナーな雰囲気が漂うところが良い。春の儚さと良く似た雰囲気。楽しゅうてやがて悲しき、というか、楽しゅうてやがてブルージー。そんなホーキンスのテナーは、ジャズ喫茶の昼下がりによく似合う。

 
 

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2017年4月11日 (火曜日)

ハワード・マギーって誰?

長年、そうやなあ、かれこれ40年、ジャズを聴き続けているんだが、名前は聞いたことがあるが、そのジャズメンのリーダー作を聴いたことがない、未だにそんなことがたまにある。

そういうジャズメンのリーダー作って、そもそも人気が無くてリイシューされないとかが理由なんだけど、人気が無い、というのは、そもそもジャズ評論家がそのジャズメンのリーダー作を好んで紹介しない、それに併せて、レコード会社がリイシューしない、というのが、日本では殆どではないか、と思っている。

そんな可哀相な境遇に陥ったジャズメンの一人が「ハワード・マギー(Howard Mcghee)」。ディジー・ガレスピー, ファッツ・ナヴァロ、アイドリース・シュリーマンなどと並んでビバップの最初のトランペット奏者の一人である。が、日本では殆どその名を聞くことは無い。マイナーな存在に甘んじている。

ハワード・マギーは麻薬禍で、何度か引退〜復帰を繰り返している。一定期間、コンスタントに成果を上げた期間が無く、そういう点が評論家筋から受けないのだろうか。麻薬が教育的に良く無い、とは理由にならない。なぜなら、従来のジャズ評論がこぞって良い良いとべた褒めもチャーリー・パーカーやバド・パウエルなんて筋書き入りのジャンキーである。麻薬が過ぎて命を縮めたクチである。

ネットの世の中になって、一般のジャズ者の方々が思い思いもアルバム評論をアップする様になり、やっと、このハワード・マギーのリーダー作が評価される様になり、最近になって、やっと米国本国でCDリイシューされたり、ダウンロードサイトにアップされたりし出した。最近では、幾枚かのリーダー作が入手可能になっている。
 

Dusty_blue

 
さて、そんなハワード・マギーのアルバムで最初に僕が触れた盤が、Howard Mcghee『Dusty Blue』(写真左)。マギーの最高傑作の誉れ高い、1960年6月録音のリーダー作。ベツレヘム・レーベルからのリリースで、このジャケットとタイトルの雰囲気で、この盤の内容が楽しみになる。「ダスティ・ブルー(くすんだ蒼)」とは「けだし名タイトル」。

全9曲。4曲は、マギーのペットに、ベニー・グリーンのボーン、ペッパー・アダムスのバリサク、ローランド・アレキサンダーのテナーの4管フロントに、トミフラのピアノ、ロンのベース、ボルデンのドラムのリズム・セクションをバックにしたセプテット構成。アレンジの妙が決め手の聴いて楽しいハードバップ。

残りの5曲は、トミフラのピアノ、ロンのベース、ボルデンのドラムのリズム・セクションをバックにマギーのペットのワン・ホーンな演奏。速い運指、高音で知られたハワードのトランペットが堪能出来る。これが良い。

ハワードのペットってどっかで聴いたことのある音やなあ、と聴いていたら、そうそう、ケニー・ドーハムに似ている。溌剌とした切れ味の良いドーハムって感じがする。ブルージーではあるが、決してマイナーに偏らない。ポジティブでビ・バッパーなペットが個性的。いや、年代的にはドーハムがハワードに似ているのか(笑)。

アルバム・ジャケットがベツレヘムらしからぬ洒脱さ。盤全体を覆う「ブルージーでアーバンな雰囲気」。これがたまらなく良い。ドラッグに溺れながらも見事な復活を遂げた盤であるが、1960年代中期に再び、麻薬禍にて引退状態に。次に録音したのは1976年というから凄い。筋金入りジャンキーの「つかの間の傑作」である。

 
 

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2017年4月 8日 (土曜日)

典型的なハードバップな演奏

風邪をひいた。喉が腫れて咳が酷い。今日は一日「風邪の週末」。朝は内科へ整骨院へ。午後からはとにかく寝る。こうなってくると、なかなか薬も効かず、憂鬱な時間を過ごすことになる。

床に伏せりながらも、無音の状態は気分が塞ぐので、ジャズをBGMっぽく流しながらの寝床になる。こういう時は難しいジャズはいけない。判り易く聴き易い、典型的なハードバップな盤が良い。典型的なハードバップを耳に刺激を与えぬよう、心地良い音量で流すのだ。

今日の選盤は『Dizzy Atmosphere』(写真)。1957年2月の録音。パーソネルを見渡せば、このメンバー、親分のディジー・ガレスピー抜きの当時のガレスピー楽団。有名どころでは、Wynton Kelly (p), Lee Morgan (tp) らが参加している。演奏を聴けば判るが、ビッグバンドのアレンジを施した典型的なハードバップな演奏。
 

Dizzy_atmosphere_1

 
とりわけピアノのウィントン・ケリーが元気だ。コロコロと転がる様なフレーズを繰り出すハッピー・スインガーなんだが、そこはかとなく漂う哀愁感がたまらない、そんなケリーのピアノがこの盤には溢れている。

この盤ではホーン・セクションは皆元気である。そんな元気なホーン・セクションの中でも、とりわけリー・モーガンのトランペットが絶好調。バリバリに吹きまくる「鯔背なトランペッター」モーガン。ウィントン・ケリーの哀愁感漂うバッキングを受けて、とりわけブルージーに吹き上げるモーガンのトランペットは絶品。

この盤、僕がジャズを聴き始めた頃、LPで入手して、以来40年、聴き続けている好盤です。ビッグバンドのアレンジがメインの演奏なので、ハードバップでありながら、そこはかとなくスインギーな雰囲気や、ガレスピーが活躍したビ・バップなアドリブ展開があったりして、正統派なジャズの香りが漂う、それが魅力のエバーグリーンな好盤です。

 
 

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2017年3月22日 (水曜日)

キャンディドらしい音・3

このアルバムもキャンディド・レーベル(Candid Label)らしいアルバムだろう。収録された演奏といい、録音された音といい、アルバム・ジャケットのデザインといい、この盤も明らかに「キャンディド・レーベル」ならではの盤である。アルバムとしての佇まいはとても良い雰囲気である。

Richard Williams『New Horn In Town』(写真)。1960年9月の録音。CJM 8003番。ちなみにパーソネルは、Richard Williams (tp), Leo Wright (as, fl), Richard Wyands (p), Reginald Workman (b), Bobby Thomas (ds)。フロントがトランペットとアルトサックスの2管フロントのクインテット構成。

この番、音が良い。リチャード・ウィリアムスのトランペットがとっても良く鳴っている。ブリリアントに朗々とトランペットが鳴る。トランペットの音がこれほど良く朗々と鳴っている盤も珍しい。バックバンドの音もキャンディドの音らしく、音の厚みと中低音域の充実した音圧が心地良い。
 

New_horn_in_town

 
アップテンポの曲では優れたテクニックを駆使して、よどむこと無く流麗な運指でトランペットを吹き進めていく。スローテンポのバラードでは、ブラスの音をブリブリ振るわせるように響かせながら、説得力のある堅実なフレーズを滑らかに力強く吹き上げる。いや〜リチャード・ウィリアムスって上手いね〜、とほとほと感心する。

そんなトランペットの演奏の中で、特にバラードプレイが秀逸である。2曲目の「I Remember Clifford」、6曲目の「Over the Rainbow」のバラードプレイは落涙ものである。主旋律を捻ること無く素直に朗々と吹き上げ、アドリブ・フレーズではスローテンポではあるが、揺らぎの無い堅実で芯のある音で惹き付ける。

フロントの相棒、レオ・ライトのアルトも大健闘、バックのリズム・セクションも良好なパフォーマンスを繰り広げていて、アルバム・トータルの出来としても上々。ハードバップなトランペットの好盤の一枚です。ジャズ盤の紹介本には、なぜかその名前が挙がることが少ない盤ですが、ジャズ者万民にお勧めの好盤です。

 
 

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