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2017年8月17日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・87

昨日は「とあるバンドの武道館ライブ」に参戦していて、ブログを書くことができませんでした。でも、久し振りの「生の音」に触れることが出来て、実に有意義で楽しい夜でした。ライブには足を運ばないとね。活きた音を体感するからこそ、ステレオから出てくる音も楽しめるというもの。 

さて、ジャズの世界に戻ります。最近、1980年代の、フュージョン・ブームが下火になりつつある頃の「メインストリーム・ジャズ」に興味があって、アルバムを探し漁っています。個人的にはジャズを聴き初めて5〜10年経った頃。何と無く、ジャズが判ってきて、個人的な好き嫌いもハッキリしてきた頃かと思います。

Art Farmer『Maiden Voyage』(写真左)。1983年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Masahiko Satoh (key, arr), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds) のジャズ・カルテットをベースに、ストリングスがバックにつきます。日本ジャズの鬼才と言われる佐藤允彦のモダンなストリング・アレンジに乗って、ファーマーのフリューゲル・ホルンが飛翔する。そんな雰囲気が素敵な企画盤です。
 

Maiden_voyage_art_farmer

 
この盤を聴くと、ちょうど録音時期が1983年。フュージョン・ブームが下火になりつつあって、メインストリーム・ジャズに回帰しそうな、そんな雰囲気の強いアルバムがリリースされ始めた時期。それらの演奏には、フュージョン・ジャズの良いところを上手く伝統的なメインストリーム・ジャズに反映して、1980年代前半ならではの「新しい響き」を湛えた演奏内容になっているところが個性的です。

特に、佐藤允彦のストリング・アレンジが振るっている。特にタイトル曲「処女航海」のストリングス・アレンジは絶品。美しい、の一言。と言って、イージーリスニング風にはなっておらず、あくまでジャズの範疇に収まっているところが、この企画盤の優れたところ。僕は当時、この盤を聴いて、ジャズの新しい「伸びしろ」を感じて、まだまだジャズは深化するなあ、と明るい希望を持ったことを覚えています。

かつてデンオン(現デノン)から発売されていた日本制作の企画盤ですが、日本発の企画盤らしからぬ、内容はとても充実しています。フュージョン・ジャズのブームの後の、未来志向のメインストリーム・ジャズのひとつのプロトタイプを提示してくれた、なかなかの内容だと思います。なかなか入手するのが難しいのですが、一度は聴いて欲しい好盤です。

 
 

東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年8月 2日 (水曜日)

懐かしのハーブ・アルパート

昨日の雨の後、空気がそっくり入れ替わったのか、とても涼しい千葉県北西部地方である。部屋の中に涼風が駆け抜ける。部屋の中でジッとしていると寒いくらいだ。あの〜8月2日なんですけど。もう9月中旬の陽気である。でも、この涼しさも明日くらいまで。徐々に暑くなってきて、来週の半ばには蒸し暑い夏に戻るんだろうなあ。

でも、これだけ涼しくなると、ジャズを聴くのも楽しくなる。これだけ涼しくなると、フュージョン・ジャズもど〜んと来い、である。で、ネットを徘徊していたら、このアルバムの存在に気がついた。Herb Alpert『Beyond』(写真)。1980年の作品。フュージョン・ブーム真っ只中の「思いっきりフュージョン」なアルバムである。

アーバンでクール。ハーブ・アルパートのトランペットがブリリアントで躍動感溢れ、バックのリズム隊が明確なリズム&ビートを叩き出す。エレクトリック楽器中心の演奏なんだが、決して耳触りにならない。メロディアスでメリハリが効いたフレーズの連発。ラテンな雰囲気を醸し出しつつ、コンテンポラリーな先取性溢れるトレンドの取り込み。
 

Beyond

 
演奏の底はしっかりとジャズなので、これぞフュージョン・ジャズ、と思わず感心してしまう内容。なんて表現したら良いのかなあ。このアルバム全体の流れが一番の個性なんですよね。1曲1曲の曲それぞれの出来が凄く良いのでは無くて、アルバムに収録されている曲がどんどん繋がっていって、そのアルバム全体の流れが凄く良い。あ〜っ、これがフュージョン・ジャズやな〜、って思うんですね。

それと、あまり指摘されていないようですが、このアルバム、アレンジが秀逸。今の耳にも古さは殆ど感じさせないほどの、普遍的なアレンジが素敵です。フュージョン・ジャズってこういうアレンジで攻めるよな、というアレンジのサンプルがどっさり詰め込まれているアルバムでもある、と感じています。

とにかく懐かしいフュージョン盤。1980年のリリース以来、学生時代の残り2年間、この盤は結構聴きまくりました。実は、このルバム、しばらく入手困難な状態で、忘れ去れてたアルバムになっていました。今までのビヨンドのCD化は日本のみ。昨年やっと米国でもCDリイシューされたそうで、その流れの中で僕もこの盤をゲット出来たということで、実に喜ばしい出来事でした。

 
 

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2017年7月26日 (水曜日)

マイルス・ミュージックの再現

この人のトランペットは気になりながらも、あまり聴く機会が無かった。Nicholas Payton(ニコラス・ペイトン)。1973年、ニュー・オーリンズ生まれ。音楽一家に育ったサラブレット。力感溢れる、それでいて流麗でブリリアントなトランペットは、明らかに、ウィントン・マルサリスに次ぐ、次世代トランペッターの代表の一人である資格は十分。

そんなペイトンも今年で44歳、中堅の年頃に差し掛かり、ジャズメン人生の中で、一番充実した時間を過ごしつつあるのではないか。そして、今年リリースされた新盤が、Nicholas Payton『Afro-Caribbean Mixtape』(写真)。ちなみにパーソネルは、Nicholas Payton (tp, p, vo), Kevin Hays (key), Vicente Archer (b), Joe Dyson (ds), Daniel Sadownick (per), DJ Lady Fingaz (turntablist)。

本作は、タイトル通り、アフロ〜カリビアンなカリプソな雰囲気漂うサウンドから、アーバンかつクールなモード・ジャズから、硬派なアコ・ジャズから柔軟なエレ・ジャズまで、基本的に「クールでコンテンポラリーなジャズ」を収録していて、ミックステープのような曲間の無い作りになっている。
 

Afrocaribbean_mixtape

 
ペイトンは基本的にはトランペッターですが、マルチプレイヤーの側面も持ち合わせていて、キーボードやドラム・プログラミング等の楽器や、はたまたボーカルもこなす。そんなマルチな個性を活かして、R&Bやヒップホップ、ワールドミュージックといった要素も織り込んで、フュージョン寄りのコンテンポラリーな純ジャズを展開する。

こういう音を聴いていると、マイルス・デイヴィスを思い出す。マイルスも常にその時代時代のクールな「音楽のトレンド」を取り込み、当時として革新的な「クールでコンテンポラリーなジャズ」を誰よりもいち早く展開していた。ペイトンの音世界は革新的ではないにせよ、現代の「音楽のトレンド」を積極的に取り込み、マイルス・ミュージックの現代版を表現している様で、とても意欲的だ。

収録された演奏はどれもが充実していて聴き応えがある。が、CD2枚組、トータル時間2時間以上の収録時間の長さはさすがに「トゥー・マッチ」。それぞれの演奏のメインテーマを整理して、2枚の異なったアルバムに収斂した方が良かったと思う。プロデュースしきれなくて「ミックステープ」風にアルバム化してしまうにはあまりに惜しい。それほど、個々の演奏の内容は濃いものがある。「トゥー・マッチ」ではあるが好盤。

 
 

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2017年7月25日 (火曜日)

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」

この5年ほど前から気になるトラペッターがいる。Ambrose Akinmusire、片仮名表記すると「アンブローズ・アキンムシーレ」と書く。1982年生まれ。ナイジェリアの血を引き、カリフォルニア州オークランド育ち。今年31歳になる若き中堅ジャズ・トランペッター。今年で35歳。中堅に差し掛かる年頃である。

アンブローズ・アキンムシーレのトランペットは知的。乾いてはいるが、重心が低く、ぶ厚く骨太な音色。緩やかにウネウネと不思議な抑揚を伴った思索的なフレーズ。ちょっとくすんだような、夕暮れ時の様な、やや薄暗い雰囲気のトランペットはとっても個性的。そんなアキンムシーレが、NYの老舗ライブハウス、ビレッジ・バンガードでライブ録音をした。

Ambrose Akinmusire『A Rift In Decorum : Live At the Village Vanguard』(写真左)。CD2枚組のボリューム。4晩に渡り録音し、その中から厳選した16曲を収録。ちなみにパーソネルは、Ambrose Akinmusire (tp), Sam Harris (p), Harish Raghavan (b), Justin Brown (ds)。今年の6月のリリースになる。
 

A_rift_in_decorum

 
アキンムシーレのトランペットは「スピリチュアルな」ブロウが個性と思っていたが、このライブ盤を聴けば、その印象は脆くも崩れる。基本は限りなく自由度の高いモード・ジャズなんだが、かなりの割合でフリー・ジャズの演奏が入っている。かなり高度なテクニックを前提とした、限りなく現代音楽的なフリー・ジャズ。アーティスティックな響きをビンビンに感じる。

このフリーな演奏は明らかに以前の「フリー・ジャズ」の焼き直しである。決して、最近流行のスピリチュアルな演奏では無い。本当に「フリー」なのだ。このフリー・ジャズな演奏をどう聴くか、によって、このライブ盤の評価は変わるだろう。しかし、無手勝流のフリー・ジャズでは無い。しっかりと練られた、思索に溢れる、現代的なフリー・ジャズである。

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」。ジャズを「アート」と捉え、現代音楽の一種と捉えることが出来る人のみが、このライブ盤を観賞可能な盤にすることが出来る。決してポップでは無い。聴いて楽しむ演奏では無い。この自由度の高い演奏を「アート」として捉えてのみ、このライブ盤の楽しさは倍増する。

 
 

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2017年7月23日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・23

今日は一日中曇り空。こういう日は気温が30度程度に抑えられて、猛暑日になることは無い。風も適度に吹いて、今日は午前中はエアコン要らず。しかし、午後からは気温は30度程度で昨日よりは遙かに過ごしやすいのだが湿度が高い。湿度の高さは苦手で、遂に夕方、エアコンに手を出した。もう高い湿度にへとへとである(笑)。

エアコンを入れたことによって、湿度がグッと下がる。ちょっと爽やかさが帰って来たので、なんか爽快感溢れるフュージョン・ジャズは無いのか、と物色する。すると、トランペット片手に、波打ち際で波を蹴って戯れるおっちゃんのジャケットが目にとまる。なんか波打ち際で涼しげではないか(笑)。

Rick Braun『Around The Horn』(写真左)。今年2月の新作になる。Rick Braun(リック・ブラウン)は、1955年生まれの米国のトランペット奏者である。活躍の中心は「スムース・ジャズ」。今年62歳の大ベテラン。スムース・ジャズが主戦場であるが故、我が国では全く無名に近い。
 

Around_the_horn

 
でも、聴けば判るんだが、ちょっとハープ・アルパートを想起させる様な、ブリリアントで躍動感溢れる、ストレートで判り易いトラペットを吹く。いわゆる「スムース・ジャズ向け」のトランペットで、聴いていると、耳の中が爽快感で満たされていくのが良く判る。この説得力のあるトランペットの音を聴けば、米国スムース・ジャズのビック・ネームの一人ということが心底納得できる。

加えて、このアルバムは全編に渡ってアレンジが秀逸で、アーバンなムードで落ち着いた雰囲気の、大人のコンテンポラリーなジャズを聴かせてくれる。とりわけ、カヴァー曲の3曲、4曲目の「We Don’t Talk Anymore」はチャーリー・プース、6曲目「In Common」はアリシア・キーズ、10曲目の「Yellow」はコールドプレイと、最近の新進のポップ・アーティストの秀曲を選曲しているセンスは隅に置けない。

アーバンなムードで落ち着いた雰囲気が魅力の好盤のジャケットが、トランペット片手に、波打ち際で波を蹴って戯れるおっちゃんのジャケットなのか理解に苦しむが、最近の米国ジャズ界の出来事なので、特に驚くことも無い。まずはこのジャケットの先入観を断ち切って、この盤に詰まっている上質なスムース・ジャズなトランペットに耳を傾けて欲しい。ながら聴きに最適。良い音出してます。

 
 

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2017年6月15日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・22

トランペットを吹くボーカリスト。ぱっと浮かぶのは、サッチモ、そして、チェット・ベーカー。日本では、う〜ん、いたぞいたぞ。そう「TOKU」である。キャッチフレーズが「日本で唯一のボーカル&フリューゲルホルンプレイヤー」。確かに、トランペットを吹くボーカリスト。日本にはそうそういない。

ジャケットが良い。モダンアートっぽい、原色を活かしたジャケット。こういうの僕は大好き。思わず、これは「ジャケ買い」レベル。きっと音は良いに違いない。で、どんな音になっているのか。

そのアルバムとは、TOKU『Shake』(写真左)。今年のこの6月7日のリリース。聴いて楽しいコンテンポラリー・ジャズの饗宴。ゲストとの共演が基本。このゲスト陣が大変豪華。名前を挙げると、SUGIZO、Yasei Collective、AISHA、ZEEBRA、DABO、シシド・カフカ、ゴスペラーズ、多和田えみ、大黒摩季、NAOTO等々。

収録されている曲もとってもコンテンポラリー。僕達の世代が泣いて喜ぶカバー曲の数々。デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」以下、ローリング・ストーンズやプリンス、ドナルド・フェイゲンやレナード・コーエンといったロック・レジェンドの名曲がズラリと並ぶ。これらをアーバンなコンテンポラリー・ジャズな雰囲気に仕立て上げる。
 

Toku_shake

 
どこかで聴いたことある雰囲気やなあ、と思っていたらピンと来た。1970年代後半のエレ・ハンコックである。クインシー・ジョーンズに憧れて追求した、ファンクネス溢れるR&Bとの融合が芳しいエレ・ハンコックのボーカル曲の世界。TOKUのダンディズム溢れる、力感豊かな、しなやかなボーカルに、日本人独特の乾いたファンクネスがそこはかとなく漂う。

現代のフュージョン・ジャズである。R&B、ブラコン、ハウス、ユーロ、もちろんジャズの要素も色濃く反映して、ライトでアーバンな新しい雰囲気のフュージョン・ジャズがこのアルバムに展開されている。パッと聴けばジャズじゃない。じっくり聴き進めれば、確かにフュージョン・ジャズである。まあ難しいことは言いっこなし。聴いて「ええ感じ」やったらOK。

TOKUのフリューゲルホルンも良い。演奏の中で、ここぞというところで、ブワーっと入ってくる。決して刺激的ではない。フリューゲルホルンの柔らかくて丸い音の特性を活かした優しい音。このフリューゲルホルンが独特の雰囲気を醸し出す。明らかにTOKUの個性である。

良い雰囲気の現代のフュージョン・ジャズ。純ジャズな雰囲気とはほど遠いが、フュージョン・ジャズとして聴くと、とても良い内容だ。演奏のレベルも高く、ボーカルもゲスト含めて個性的で聴き応えがあって良い感じ。何度か聴き直しているうちに、ながら聴きに最適なことに気がつきました。

 
 

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2017年6月 4日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・106

この盤は確実に「ジャケ買い」であった。このジャケットを見た時は、この盤の素性は全く知らない。ただ、このジャケットにグッと心を掴まれた。このトランペッターは誰だ。ジャケットの文字を見たら、トム・ハレルとある。トム・ハレルの名前は知っている。あと、サイドメンの名前が連なる。総合力勝負のピアニストのケニー・バロンの名が見える。

「これはイケるに違いない」。で、即ポチである。そのアルバムとは、Tom Harrell『Moon Alley』(写真左)。1985年12月の録音。意外と古い録音。ちょうど、純ジャズ復古の時代、老舗のジャズ・レーベルが復活し、純ジャズが復権していった頃。なるほど。その時代が故にパーソナルがふるっている。

ちなみにパーソネルは、Tom Harrell (tp, flh), Kenny Garrett (as, fl), Kenny Barron (p), Ray Drummond (b), Ralph Peterson (ds)。いやいや、今の目でみれば錚々たるメンバーではないか。新しい響きのアルトはケニー・ギャレット。切れ味の良い、躍動感としなやかさが共存した、新しい感覚のリズム&ビートが魅力のドラモンドのベースとピーターソンのドラム。
 

Moon_alley1

 
そして、サイドメンの絶品は、総合力勝負のピアニスト、ケニー・バロン。伴奏の職人、バロンの流麗で洒脱なバッキングは、耳に好印象を残してくれる。高テクニックを擁しながらもグッと押さえて、程良い音数で印象的にフレーズを紡ぎ上げつつ、フロントのトランペットとアルトを推し上げる。

しかしながら、リーダーなので当然ではあるが、トム・ハレルのトランペットが素晴らしく良い。力強く躍動感溢れ、紡ぎ出すフレーズは流麗そのもの。トランペットそのものが実に魅力的に鳴っている。日本ではあまり名前が通っていないが、ハレルのトランペットは一級品。切れ味良く、エッジは程良く心地良く立っていて、聴いていてとっても心地良い。

基本はネオ・ハードバップ。コードとモードを程良くブレンドしつつ、躍動感溢れる、雄弁なソロを繰り出していく。リズム・セクションも強力。こういうネオ・ハードバップの好盤をつい最近まで知らなかった。いやはや、ジャズは奥が深い、ジャズは裾野が広い。いや〜、ほんとジャズって良いですね。

 
 

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2017年6月 1日 (木曜日)

トランペットの隠れ名盤・6

ピアノ・トリオのブームが、昨日辺りから「トランペット・ジャズ」に移りつつある。朝夕涼しい陽気がそうさせるのだろうか。流麗でストレートに鳴るトランペットが聴きたくなる。そうすると、やはりテクニックに優れた、肺活量豊かなトランペッターのアルバムを漁ることになる。

テクニックに優れた肺活量豊かなトランペッター、とすると、まずは「フレディ・ハバード」の名が浮かぶ。でもなあ、ハバードって、テクニックが優れる余り、そのテクニックをこれでもか、とひけらかす傾向が強くて、そのハイレベルのテクニックが耳に付くのだ。加えて「目立ちたがり」。共演者がいると、そっちのけで「俺が俺が」と前へ出る。これが耳に付く。

このアルバムも最初見た時、ハバードの名前があったので聴かずにパス。しかも共演者がいる。それもトランペッター、ハバードに良く似たタイプのウディ・ショウ。これ、絶対にハバード、テクニックをひけらかすぞ、絶対に前へ出るぞ、で聴かずにパス。しかし、つい最近、ちょっと怖い物見たさに「聴いてみようかな」と(笑)

Freddie Hubbard & Woody Shaw『Double Take』(写真左)。邦題「トランペット伝説」。1985年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp, flh), Woody Shaw (tp), Kenny Garrett (as, fl), Mulgrew Miller (p), Cecil McBee (b), Carl Allen (ds)。同じフロントにケニー・ギャレットのアルト。バックのリズム・セクションが、当時の新進気鋭の若手で固められている。
 

Double_take1

 
聴いてみて「あれれ」と思う。良い方向に「あれれ」なんだが、ハバードがあまり目立たない。テクニックよろしく、前へ前へ出ようとしているようなんだが、そうならない。恐らく、ウディ・ショウの存在がそうさせるのだろう。ハバードと同じくらいにテクニック優秀、そして、共演者との協働を良しとし、前へ前へと出ない「奥ゆかしさ」。このショウの存在が、いつものハバードにブレーキをかけているみたいなのだ。

実は、テクニックをひけらかすこと無く、目立ちたがりを控えたハバードのトランペットは、とても素晴らしい。しかし、ハバードの性格上、そんな状態のアルバムって、なかなかお耳にかかれないのだが、この『Double Take』というショウとの共演盤でのハバードが、そんな「素晴らしい」ハバードなのだ。聴き応えありまっせ。

ハバードに相対するショウのトランペットも味わい深い。テクニック優秀、ストレートでふくよかなブラスの響き、流麗かつ爽快なアドリブ・フレーズ。トランペットがよく鳴っている。ショウは1989年、44歳で亡くなっているので、この盤の時点では40歳になったところ。40歳を迎えたショウのプレイは余裕が出来て、ほど良く流麗なプレイは、かえって「凄みを感じさせる」もの。惜しいトランペッターを亡くしたものだ、と改めて淋しくなる。

「素晴らしい」ハバードと「凄みを感じさせる」ショウのトランペットの共演。アルトのギャレットも負けずに出来が良く、バックのリズム・セクションがこれまた優れていて立派。録音年が1985年。純ジャズ復古前夜の頃。さすが復活したレーベル、ブルーノートの「マジック」である。

 
 

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2017年5月29日 (月曜日)

トランペットの隠れ名盤・5

我が千葉県北西部地方では、朝夕、初夏の清々しい日々が続いている。朝は海風、夜は山風と、この季節はメリハリの効いた風が吹く。気温は22〜3度程度。風力2程度の風が心地良い。今の季節が一年の中で一番良いなあ。日も長いしね。

こういう季節は、ジャズを聴くのに打って付け。空気も清々しいし、暑くも無く寒くも無く、気持ちの良い雰囲気の中で聴くジャズは格別のものがある。こういう清々しい日には、トランペットが主役のジャズが良く似合う。と言うことで、トランペットが主役のちょっとマニアックな盤を探す。

Johnny Coles『New Morning』(写真左)。1982年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Coles (flh), Reggie Johnson (b), Billy Hart (ds), Horace Parlan (p)。このパーソネルを見るだけで、この盤は期待出来る。1982年辺りは、フュージョン・ジャズが下降線を辿りだし、ジャズの流行にポッカリと穴が空いたような時期。
 

New_morning1

 
そんな時期にこの渋い内容のハードバップ盤である。まず、リーダーのジョニー・コールズのフリューゲル・ホーンの音が実に良い。本当によく鳴るフリューゲル・ホーン。真鍮をブリブリ響かせながら、す〜っと音が伸びていく。アドリブ部では流麗なフレーズに思わず耳を峙たせる。ジョニー・コールズって、こんなに魅惑的な音を出すトランペッターだったっけ、と嬉しい思案投げ首状態になる。

ジョニー・コールズと言えば『Little Johnny C』という好盤があるが(2014年1月16日のブログ・左をクリック)、柔軟でありながら輪郭がはっきりした、しっかりと音の出る、しなやかな鋼の様なコールズの個性的なブロウについては、この『New Morning』の方が一枚上を行くのではないか。それほど、この盤でのコールズのブロウは魅力的だ。

バックのリズム・セクションも堅実でホットな演奏で、コールズのブロウを盛り立て、そして支える。1980年代前半、ネオ・ハードバップの走り。ジャケット・デザインも魅力的。こういう魅力的なジャケットは内容を裏切らない。渋い、そして聴き応えのある「トランペットの隠れ名盤」の一枚として愛聴しています。

 
 

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2017年5月16日 (火曜日)

初リーダー作は個性と志向満載

我々は通常、アルバムというものを通じて、そのミュージシャンやグループの個性や志向を感じ、愛でる。

70年代ロックやJポップは、ファースト・アルバムというよりは、セカンド・アルバムの方が、そのミュージシャンやグループの個性がハッキリ出ていることが多いと感じている。だから、学生時代から(今を去ること40年以上前・笑)70年代ロックやJポップのミュージシャンやグループのアルバムはセカンド・アルバムを重視してきた。

しかし、ジャズの世界では、初リーダー作というものが、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出していて、僕はジャズでは「ファースト・アルバム」を重視している。逆に、初リーダー作で、その個性や志向をハッキリ出せないジャズメンは大成しない。ジャズは「即興演奏と個性」を楽しむものだからなあ。

そんな、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出ている初リーダー作の好例がこの盤。Art Farmer『Early Art』(写真左)。1954年1月と11月の録音。1月の録音のパーソネルは、Art Farmer (tp),Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p),  Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。11月のパーソネルは、Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Addison Farmer (b), Herbie Lovelle (ds)。
 

Early_art_1

 
1月の録音は、当時の若き新進気鋭のテナーマン、ソニー・ロリンズとフロントを張った、リズム・セクションも錚々たるメンバーのクインテット構成。11月の録音は、ファーマーのワンホーン・カルテット。リズム・セクションは、1月のセッションに比べるとちょっと地味になる。けど、ファーマーのワンホーンは魅力。

この1954年1月の録音部分が、アート・ファーマーの初リーダー・セッションということになる。まあ、1954年の録音は皆、初リーダー作としても良いのではないか。それほど、これらのセッションでは、アート・ファーマーのトランペットの個性と志向がバッチリと記録されていて、聴いていてとても楽しい。

とにかく溌剌としているところが良い。ファーマーのトランペットの個性である、音が心地良くラウンドしているところも、この初リーダー・セッションで如実に表れている。淀みなく流れるような流麗なアドリブ・フレーズも、既にこのアルバムでハッキリと聴いてとれる。アート・ファーマーのトランペットの個性と志向が満載のアルバムである。

ジャケットはファーマーのアップでシンプルなものだが、意外とジャズっぽくて渋い。アート・ファーマーの個性と志向満載のアルバム。好盤です。

 
 

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