2022年1月17日 (月曜日)

The Remarkable Carmell Jones

ジャケットを見て「これは」と思う。そして、その盤の素姓をネットで調べて、気に入れば即ゲット。そうやって、今まで聴いたことの無い盤に出会い、その内容がクールだったり、小粋だったりすると、何だか幸せな気分になる。ジャズ盤の蒐集の醍醐味である。

Carmell Jones『The Remarkable Carmell Jones』(写真左)。1961年、Pacific Jazzからのリリース。ちなみにパーソネルは、Carmell Jones (tp), Harold Land (ts), Frank Strazzeri (p), Gary Peacock (b), Leon Pettis (ds)。パーソネルを見渡せば、米国西海岸ジャズの面子で占められている。カーメル・ジョーンズのトランペットとハロルド・ランドのテナーがフロント2管のクインテット編成。

実は、カーメル・ジョーンズについては、その名前しか知らなかった。じっくり聴いたことが無い。数年前、この盤に出会った時、まず思ったのが「何とイカしたジャケではないか」。そして、タイトルの「Remarkable(注目に値する)」が目を引いた。何か良さそうな盤やな〜、と思って、即ゲット。
 

The-remarkable-carmell-jones1

 
何とも端正でブリリアントな、そして、テクニックが確かなトランペットである。調べてみれば、アイドルは「クリフォード・ブラウン(ブラウニー)」。至極納得である。確かに、ブラウニーばりの美しいトーン、ちょっと線が細いのが気にはなるが、それを補ってあまりある、気負いの無い、素姓の良い端正なフレージングは新人離れしている。

2管フロントの相棒「ハロルド・ランド」のテナー・サックスも好調。"ブラウン&ローチ・クインテット時代よりも伸び伸び吹いているかもしれない。カーメル・ジョーンズのトランペットとの相性は良い。このフロント2管が充実しているので、このクインテット盤の内容はグッと締まったものにしている。良い雰囲気のハードバップ・ジャズだ。

雰囲気的には西海岸ジャズというよりは、東海岸ジャズに向いたトランペットだと思うのだが、調べて見たら、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)の名作『Song for My Father』に参加している。そうか、あの印象的な、ちょっとファンキーで端正なトランペットは「カーメル・ジョーンズ」だったのか。ブルーノートの音に実にフィットしたトランペットだった。カーメル・ジョーンズ、東海岸で活動していたら、結構、人気トランペッターになっていたかも、とちょっと思った。
 
 
 
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2022年1月 4日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・226

現在のNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」には、キーになる音楽として、ジャズが出てくる。ルイ・アームストロング(愛称:サッチモ)が演奏し、ボーカルを取る「On The Sunny Side Of The Street」。今、放送中の2代目主人公(女性)の名前が「るい」。ルイ・アームストロングのファーストネームが名前の由来。その主人公が、大阪に出てきてトランペッターに出会う。

そのトランペッターは「サッチモ」ライクなトランペットを吹く。大阪、そして「サッチモ」ライクなトランペット。このトランペッターのモデルは「南里文雄」では無いかと思い立った。南里文雄は大阪出身の伝説のジャズ・トランペッター。彼は1953年にルイ・アームストロングと共演、その折、サッチモ本人から「日本のサッチモ」とあだ名が付けられたほど。和ジャズ初期の伝説のトランペッターである。

南里文雄『栄光のトランペット』(写真左)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、南里文雄 (tp), 前田憲男 (p, arr), 横内章次 (g), 原田政長 (b), 石川晶 (ds), with 宮間利之とニューハード。リーダーのトランペッター、南里文雄がフロント1管のギター入りクインテットがメイン、日本を代表するビッグバンドのひとつ「宮間利之とニューハード」がバックを務める。

アレンジは、ジャズな音の使い手、前田憲男が担当。デキシーランド・ジャズが基調の音世界なのだが、古さ、レトロさを感じさせない、意外と今風のモダンな「ビッグバンド・アレンジ」には、ほとほと感心する。
 

Golden-trumpet

 
この盤を聴けば、南里文雄のトランペットの個性が良く判る。基本は「デキシーランド・ジャズ(ニューオーリンズ・ジャズ)」。この盤のバックにはビッグバンドが控えるが、確かにビッグバンドをバックにすると、更に「映える」トランペットである。バップな影は全く無い。冒頭の「Battle Hymn Of The Republic(リパブリック讚歌)」を聴けば、それがとても良く判る。

テクニック優秀、歌心もバッチリ、端正で流麗、ブラスの音の輝きがキラキラ眩しい、凄く素敵なトランペットである。しかも、実に良く「鳴る」。3曲目の「Stardust」などのバラード演奏は「素晴らしい」一言。思わず、どこで聴いていても、足を止めて、じっくり聴き入ってしまうくらいだ。

南里のトランペットは確かにバップでは無い。また、ジャズの奏法のトレンド(例えばモードとかフリーとか)からは超然としている、普遍的な「純ジャズ」のトランペットである。

ジャズ・トランペットの基本的な音がこの盤に詰まっている。ジャズ者の方々には一度はこの盤に耳を傾けて欲しいな、と思っている。全編に渡って、南里のトランペットを心ゆくまで楽しめる名盤だと思う。
 
 
 
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2021年12月12日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・224

僕のお気に入りのサックス奏者の1人だった「ボブ・バーグ(Bob Berg)」。ボブ・バーグが急逝したのが19年前、2002年12月5日のこと。バーグはニューヨーク州イースト・ハンプトンで自宅近くを運転中に、セメント・トラックに追突されて死亡した。51歳。ジャズ・ミュージシャンとしては「これから成熟度を増していく」年齢だった。

バーグのサックスは、メインストリーム系の「実直で正統な」もので、ダイナミックな吹きっぷりが個性。特に自由度の高いモーダルな展開における高い演奏力には一目置くべき存在。全音域を駆使しつつ、歌心のあるサックスは、実にオーソドックス。そのテクニックとともに、聴き始めると、ついつい引き込まれてしまうような、不思議な魅力のあるサックスである。

Bob Berg, Randy Brecker, Dennis Chambers, Joey DeFrancesco『The JazzTimes Superband』(写真左)。January 28 & 29, 2000年1月28, 29日、NYでの録音。コンコード・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、 Bob Berg (sax), Randy Brecker (tp, Flh), Dennis Chambers (ds), Joey DeFrancesco (org), Paul Bollenback (g)。

ボブ・バーグのサックス、ランディ・ブレッカーのトランペットがフロント2管のオルガン・カルテット(ベースはオルガンが兼ねている)。ギターのポール・ボーレンバックが客演の位置づけ。リーダーは取り立てて立てずに、メンバーそれぞれが並列の立場で参加している。
 

The-jazztimes-superband

 
スタジオ録音であるが、演奏の躍動感は半端ない。参加メンバーいずれもノリにノッている。すっきり切れ味のあるファンキーな演奏で、さしずめ「現代のファンキー・ジャズ」と表現して良い趣き。ボブ・バーグのダイナミックな歌心溢れるサックスが全編に渡って効いている。

ファンキーなランディのトランペット、バーグとのサックスとの相性がバッチリで、ユニゾン&ハーモニーは心地良く、ソロでは爽やかなファンクネスを撒き散らします。そして、デフランセスコのオルガンが実に効いている。モダンなフレーズが新鮮、演奏全体のファンクネスを増強する。そんな躍動感溢れる現代のファンキー・ジャズのリズム&ビートをコントロールしているのが、デニー・チェンバースのドラミング。

「Friday Night at The Cadillac Club」など、聴いていてとても楽しい。思わず体が左右に揺れ、足でリズムを取り始める。また聴いてちょっとビックリしたのが「Oleo」。こんな高速「Oleo」って聴いたことが無い。オルガン、ギター共に協奏をしているかように、競るような早弾きに思わず唖然とする。

ボブ・バーグは、リーダー作としては十数作しか残しておらず(サイドマンとしての参加盤は結構あるみたいだが)、見つけたら躊躇わず、必ず聴くことにしている。今回のこの『The JazzTimes Superband』については、全く縁が無く、半年前にやっと手にしたアルバムになる。聴いて満足。内容の濃い、ネオ・ハードバップな好盤である。
 
 
 

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2021年12月11日 (土曜日)

ジャズの音表現のポテンシャル

ジャズは「娯楽の音楽」である。が、アーティスティックな「表現の音楽」でもある。楽しく聴けるジャズも良し。アートとしてジックリと聴き込むジャズも良し。ジャズの音表現のポテンシャルは高い。演奏するスキル&テクニックが優秀である前提はあるが、ジャズの音表現のバリエーションは無限であるように感じる。

Terence Blanchard『Absence』(写真左)。2021年10月、ブルーノート・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Terence Blanchard (tp), Fabian Almazan (p), Charles Altura (g), David Ginyard (b), Oscar Seaton (ds), with The Turtle Island String Quartet。来年、還暦を迎える大ベテラン・トランペッター、テレンス・ブランチャード率いるバンド「E-Collective」に Turtle Island Quartetも加えた3年振りの力作。

ブランチャードが尊敬してやまない、ジャズ・レジェンド、ウェイン・ショーターへのオマージュ作品。収録曲は、ショーターが書いた作品と、ブランチャードと彼のバンドのメンバーによるオリジナルの作曲で構成されているが、楽曲の雰囲気とイメージは明らかに「ウェイン・ショーターの音世界」オンリーである。
 

Absence_1

 
ブランチャードの「E-Collective」のギター入りクインテットに、ジャズ志向の弦楽四重奏が加わった、音の厚みと表現力の幅が素晴らしい演奏ばかりで思わす圧倒される。音の迫力はジャズ・ビッグバンドを聴いているかの様な「分厚い」もの。それでいて、音の切れ味と歌心溢れるフレーズに、思わず耳が釘付けになる。ジャズって、ここまで音による表現の可能性があるんだなあ、と再認識する。

ウェイン・ショーターの楽曲は、コズミック、ネィチャー、そして、呪術的。楽曲の持つフレーズは、一捻りも二捻りもしていて、必要となる演奏力は格段に高い。しかし、ショーターの楽曲の持つ音の「拡がり、深み、自由度、表現力」は圧倒的。そんな難曲をガンガンに、アーティステックに演奏していく。この「E-Collective」+「The Turtle Island String Quartet」の演奏力と表現力は凄まじいものがある。

コマーシャルな要素、ポップな要素とは全く無縁。全編に渡って、硬派でアーティステック、モーダルで、しっかりと統制の取れた厚みのある音が満載。現代ジャズを構成する奏法、演奏トレンドが総動員、現時点での「ジャズの音表現」の全てが詰まっている。ネット上ではあまり話題になっていない盤ではあるが、ジャズ者ベテランであれば一聴の価値あり、と思う。
 
 
 
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2021年12月 4日 (土曜日)

ルイ・スミスの晩年の好盤です。

米国のジャズ・シーンの居心地が悪くなり、欧州へ移住した一流ジャズマンにリーダー作制作の機会を与え、数々の優秀盤を世に送り出したのが、スティープルチェイス・レーベル。そんな米国出身のジャズマンの中で「こんな人がスティープルチェイスにリーダー作を吹き込んでるんだ」とビックリする様な名前に出くわすことがある。

ルイ・スミス(Louis Smith)。1931年、テネシー州メンフィスの生まれ。ミシガン大学で勉強している間、大学に訪問してくる様々なジャズマンと共演を重ねたが、アトランタのブッカーT.ワシントン高校で音楽教育の仕事の傍らでの、パートタイムのジャズ・ミュージシャンの道を選択。しかしながら、ブルーノート・レーベルに『Here Comes Louis Smith』『Smithville』の2枚の好盤を残している。この2枚の優れたアルバムのお陰で、僕達は「ルイ・スミス」というトランペッターの名前を記憶しているのだ。

Louis Smith『The Bopsmith』(写真左)。2000年4月の録音。スティープルチェイスからのリリース。ちなみにパーソネルは、Louis Smith (tp), Jon Gordon (as), Michael Weiss (p), Jay Anderson (b), Joe Farnsworth (ds)。伝説の堅実誠実なトランペッター、ルイ・スミスのリーダー作。録音当時はリーダーのルイ・スミスは69歳。他のメンバーは、リーダーのルイ・スミスと親子ほど歳の違う30歳代〜40歳代前半。当時の中堅若手ジャズマンを従えたクインテット編成。
 

The-bopsmith_1

 
この盤の冒頭「Val's Blues」を聴けば、ルイ・スミスの堅実誠実なトランペットは、ブルーノートに録音した頃と全く変わってないなあ、と感慨深くなる。結構複雑なフレーズを事も無げに、流麗に堅実に吹き進めていく。とっても味のあるジャズ・トランペットで、ついつい聴き込んでしまうほど。トランペットの音のエッジは程良くラウンドしていて、とても聴き心地の良い音色である。ジャズ・トランペットの「お手本」の様な音はずっと聴いていても飽きない。

しかし、この盤でのルイ・スミス、とっても状態が良い。当時、69歳とは思えない、バイタルな吹きっぷりで、ユッタリしたミッドテンポの曲は、唄う様に説得力のあるフレーズを連発し、速いアップテンポの曲はバリバリと破綻無く、堅実なテクニックで速いフレーズを淀みなく吹き続けて行く。この盤、ルイ・スミスのトランペットを愛でる盤としては、1950年代のブルーノートの2作と比肩するレベルの好盤である。

ちなみに、ルイ・スミスは、1950年代にブルーノートに2作のリーダー作を残した後、1970年代に2枚、1990年代に6枚、2000年代に4枚、計12枚のリーダー作をスティープルチェイス・レーベルに残している。この事実を知った時にはちょっとビックリした。ブルーノートに残した2枚ばかりが「もてはやされている」が、スティープルチェイスのリーダー作についても、どれもがルイ・スミスのトランペットの個性が楽しめる、ハードバップな内容の好盤である。もっと聴かれても良いのではないか、と思う。
 
 
 
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2021年11月 2日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・9

マイルス・デイヴィスは僕のジャズの「最大のアイドル」である。マイルスの足跡、イコール、ビ・バップ以降のジャズの歴史でもある。ジャズの演奏スタイルについては、揺るぎない「信念」があった。フリー、スピリチュアル、フュージョンには絶対に手を出さない。マイルスはアコースティックであれ、エレクトリックであれ、いつの時代も、メインストリームな純ジャズだけを追求していた。

Miles Davis Quintet『The Legendary Prestige Quintet Sessions』(写真左)。1955年11月16日(The New Miles Davis Quintet)と1956年5月11日、10月26日(マラソン・セッション)の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane(ts), Red Garland (p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) 。

マイルス・デイヴィス・クインテットのマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』と、デビュー盤『The New Miles Davis Quintet』のプレスティッジ・レーベルに残したスタジオ録音の音源を録音順に並べたもの(と思われる)と、NYのBasin Streetでのライヴ音源(1955年10月18日)と フィラデルフィアのライヴ音源(1956年12月8日)を収録。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源が録音順に並んでいる(と思われる)のが、この企画ボックス盤の良いところ。マラソン・セッションの録音の流れとスタジオの雰囲気が追体験出来るようだ。4部作は、プレスティッジお得意の仕業、アルバム毎の収録曲については、曲と演奏の雰囲気だけで、てんでバラバラにLPに詰め込んでいる。アルバムとしては良いのだろうが、録音時期がバラバラなのはちょっと違和感が残る。
 

The-legendary-prestige-quintet-sessions_

 
さて、このマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源は、CBSからリリースされた『'Round About Midnight』と併せて、「マイルスの考えるハードバップ」の完成形である。全てが一発録り、アレンジは既に用意されていたようで、それまでに、ライブ・セッションで演奏し尽くしていた曲ばかりなのだろう。

今の耳で聴いても、相当にレベルの高い演奏である。即興演奏を旨とするジャズとしては、この一発録りが最良。マイルスはそれを十分に理解して、このマラソン・セッションを敢行したと思われる。細かいことは割愛するが、一言で言うと「非の打ち所」の無い、珠玉のハードバップな演奏である。これぞジャズ、という演奏の数々。素晴らしい。

1955年10月から1956年12月に渡って、録音順に並んだ音源集なので、振り返ってみるとたった1年2ヶ月の短期間だが、マイルス・デイヴィス・クインテットのバンドとしての成熟度合いと、コルトレーンの成長度合いが良く判る。

バンド・サウンドとしてはもともとレベルの高いところからスタートしているが、段階的に深化、成熟していくのが良く判る。コルトレーンについては、たった1年2ヶ月であるが、最初と最後では全く別人といって良いほどの「ジャイアント・ステップ」である。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』をアルバム毎に分けて聴くも良し、録音順に追体験風に聴くも良し、これら「マイルスの考えるハードバップ」の完成形は、ジャズとして「欠くべからざる」音源である。ジャズ者としては、絶対に聴いておかなければならない音源である。
 
 
 
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2021年10月28日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・221

1980年代、我が国ではバブル景気の追い風を受けて、お洒落で聴き心地の良いジャズがもてはやされた。そんな流行に乗って、我が国発のジャズ・レーベル、例えば「Electric Birdレーベル」などが、お洒落で聴き心地の良いコンテンポラリーな純ジャズ、フュージョン・ジャズをリリースしていた。

が、意外と内容的には平凡なものが多く、しばらくの間(20年ほどかな)、リイシューされること無く、ほぼ全ての盤が廃盤状態になっていた。探すにも流通在庫を探すほか無かったが、2014年、やっとまとめてCDリイシューがなされた。

Lew Soloff『Yesterdays』(写真左)。1986年9月15 &16日、NYのClinton Studiosでの録音。キングレコードの「Electric Bird」からのリリース。ちなみにパーソネルは、Lew Soloff (tp), Mike Stern (g), Charnett Moffett (b), Elvin Jones (ds) のピアノレスでトランペットがワンホーンのカルテット構成。デヴィッド・マシューズがプロデュース、そして、スーパーヴァイザーとして、ギル・エヴァンスが名を連ねている。

「Electric Bird」のリイシューの一枚。「Electric Bird」なので、フュージョン・ジャズかな、とも思うんだが、パーソネルを見ると、これは、コンテンポラリーな純ジャズ、基本はネオ・ハードバップである。ピアノレスなので、ワンホーンのルー・ソロフのトランペットが心ゆくまで楽しめる。ルー・ソロフはメインストリームなトランペッターなのだが、リーダー作が僅少。この盤は貴重なソロフのリーダー作になる。
 

Yesterdays-lew-soloff

 
ハイノート・ヒッターであり、バイタルなトランペッターであるルー・ソロフ。あまりにダイナミックで切れ味の良い吹きっぷりなので、時に耳に五月蠅く響く時があるが、テクニックは優秀、歌心もあるトランペットで聴き応えは十分。冒頭のタイトル曲であり、有名スタンダード曲「Yesterdays」での吹きっぷりは見事。この盤では抑制もしっかり効いていて、耳に付く瞬間は全く無い。安心して聴き耳を立てることが出来るのが嬉しい。

アレンジがとても雰囲気があって、どこかギル・エヴァンスを想起させるのだが、パーソネルを確認したら、スーパーヴァイザー兼ミュージカル・アドバイザーとして「ギル・エヴァンス」の名があった。恐らく、アレンジにも関与していると思われる音作り。これがまた良い。アルバムに収録されたどの曲にも、しっかりアレンジされた、独特の「ギル節」が底に流れていて、しっかりと演奏がまとまっている。

モフェットのベース、エルヴィンのドラムのリズム隊もガッチリしていて、演奏全体のリズム&ビートが安定していて安心して聴ける。そして、1番ビックリしたのが、マイク・スターンのエレギ。コンテンポラリーな純ジャズ風の弾き回しには、ほとほと感心した。

凡盤が多く、ちょっと辟易するくらいの1980年代の国内レーベルのジャズ盤であるが、この盤は違う。バンドサウンドの充実度合いも高く、ルー・ソロフの代表作の一枚と評価しても良いと思う。隠れ名盤の一枚。
 
 
 
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2021年10月24日 (日曜日)

デフランセスコのサプライズ

昨年のコロナ禍にて、ジャズの新盤のリリースが滞った時期もあった。が、2021年も後半に入って、コロナ感染予防を踏まえた録音環境を確保して、新盤のリリースのペースが以前の状態に戻ってきている。コロナ感染予防を踏まえた録音環境として、ソロや多重録音、デュオなど、できる限りの少人数での録音が増えたような感じがしている。

Joey DeFrancesco『More Music』(写真左)。2021年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Joey DeFrancesco (org, tp, ts, key, p, vo), Michael Ode (ds), Lucas Brown (g, org, key)。現代ジャズ・オルガンの名手、ジョーイ・デフランセスコの新たなリーダー作である。オルガン奏者はベースも自分で演奏するので、ベーシストはいない。

この盤を聴き進めていて、なかなか味のあるテナー・サックスが出てくる。ソニー・ロリンズの様に大らかで余裕のあるブロウ。コルトレーンの様にストレートでシンプルな吹きっぷり。チャールズ・ロイドの様に判り易いシンプルでモーダルなアドリブ・フレーズ。このテクニックに走ることの無い、味のあるテナー・サックスは誰だ、と思ってパーソネルを見たら、なんと、デフランセスコ自身が吹いているのだ。これには驚いた。
 

More-music-joey-defrancesco

 
そして、シンプルでクールな、それでいてジェントルなトランペットに気が付く。これも、なかなか味のあるトランペットで、これ誰かなあ、と思って、パーソネルを見たら、なんとこのトラペットもデフランセスコ自身が吹いているのだ。これにも驚いた。リリカルでクール、そして、ウォーム。マイルス・デイヴィスの影響を受けているらしいが、意外とオリジナリティに溢れていて立派なトランペットだ。

デフランセスコがテナー・サックス、もしくはトランペットを吹く時は、ルーカス・ブラウンがオルガン、キーボードを肩代わりしているらしい。で、これが、なかなか良い。安心してデフランセスコが管楽器を吹くことが出来ている。このマルチ・プレイヤーのルーカス・ブラウンの参加が、デフランセスコの演奏表現の幅を拡げている。この盤ではそれが成功している。

管入りのオルガン・ジャズとして、スマートな内容で聴き応えがある。あまり我が国では馴染みが薄いオルガニスト、ジョーイ・デフランセスコであるが、現代のオルガン・ジャズの担い手として、良い音を出している。この新盤では、まず、本職のオルガンの音がとっても良い。その上で、この新盤のサプライズである、デフレンセスコのテナーとトランペットが良い雰囲気を出している。シンプルでクールな、なかなかの内容の新盤である。
 
 
 
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2021年10月 6日 (水曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・6

僕なりのジャズ超名盤研究の6回目。超名盤の類は、僕の場合、基本的にジャズを聴き初めて4〜5年以内に聴いている。ジャズ盤紹介本に絶対にその名が出る、いわゆる「エヴァーグリーン」な盤ばかり。演奏内容、演奏メンバー、そして、ジャケット、どれもが「ジャズ」を強烈に感じさせてくれる優れた盤ばかりである。

Miles Davis『'Round About Midnight』(写真左)。1955年10月26日、1956年9月10日の2セッションの記録。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マイルス・デイヴィス、1950年代「黄金のクインテット」である。

マイルス・デイヴィスは、ジャズを本格的に聴き始めるまでに、既に大のお気に入り。特に、この盤はジャズを本格的に聴き始めて、2ヶ月目くらいに手に入れた。まず、ジャケットが格好良い。スタイリストなマイルスの面目躍如。いまにも、冒頭の名曲「'Round About Midnight」のイントロ、マイルスのクールでアーバンなミュート・トランペットが聴こえてきそうなジャケット。

内容的には、1955年というハードバップの初期から中期に差し掛かる時期に、既に完成された、当時の最先端を行くハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。クールで限りなくシンプルなハードバップ。それでいて、演奏内容はかなり高度なテクニックと小粋なアドリブが満載。聴き易くクールでダンディズム溢れる、マイルス・ミュージックがこの盤に展開されている。
 

Round-about-midnight

 
マイルスのトランペットは申し分無い。というか、当時のベスト・プレイだろう。マイルスのトランペットはクール、そして色気タップリである。「マイルスは下手だ」なんていう評論家がいたが、とんでもない。即興を旨とするジャズにおけるトランペットとしては「ハイ・テクニシャン」の部類だ。

そもそもクラシックのトランペットと比べること自体がナンセンス。そもそも吹き方、表現方法が全く異なる。ジャズに限定すると、マイルスのトランペットは優秀だ。特にミュート・トランペットは絶品。その絶品もミュート・トランペットが、冒頭の1曲目、タイトル曲の「'Round About Midnight」で堪能出来る。

この時期のコルトレーンは「下手くそ」なんて言われていたが、とんでもない。荒削りではあるが、音の存在感、ストレートな吹き味、オリジナリティー溢れるアドリブ展開は、既に他のサックス奏者と比べて突出している。そして、ガーランド+チェンバース+フィリージョーのリズム隊の安定度の高さと伴奏上手なテクニックは特筆もの。マイルスのトランペットを更に引き立たせる「マスト・アイテム」。

収録された全ての演奏が「超優秀」。この『'Round About Midnight』という盤は、マイルスが「超一流」なトランペッターとして、ジャズのイノベーターとしての第一歩を記した、歴史に永遠に残る超名盤だろう。いわゆるハードバップ・ジャズの「基準」であり「試金石」的なアルバム。聴く度に「脱帽」である。
 
 
 

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2021年10月 1日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・77

エディ・ヘンダーソン(Eddie Henderson)。米国のトランペッター。1970年代初頭、ハービー・ハンコックのワンディシバンドのメンバーとして有名になり、その後、約10年間ほど、ハード・バップ〜クロス・オーバー、ファンクなエレ・ジャズを展開したエディ・ヘンダーソン。そう言えば、僕がジャズを聴き始めた頃、結構、メジャーな存在だった。

エレ・ジャズを展開した後、1990年代までには、メインストリームな純ジャズへ転身。ヘンダーソンのユニークなキャリアは「医学の学位を取得し、精神科医とミュージシャンとして並行してキャリアを積んだ」こと。かなり異色なジャズマンである。そう言えば、ピアニストのデニー・ザイトリンが同じ様なキャリアをしていたなあ。ジャズと精神科医。何か因果関係でもあるのだろうか?

さて、エディ・ヘンダーソンのトランペットは「軽快で流麗」である。音色はアコーステッィクなマイルスに似ている、というか、アコ・マイルスの忠実なフォロワーという印象。テクニック的には、高速フレーズやエモーショナルなハイノートとは全く無縁。ミッドテンポで1音1音をしっかり踏まえて、判り易く聴き取り易いフレーズを吹き上げていく。

Eddie Henderson『Shuffle and Deal』(写真左)。2019年12月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Henderson (tp,flh), Donald Harrison (as), Kenny Barron (p), Gerald Cannon (b), Mike Clark (ds)。リーダーのヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンと、ドナルド・ハリソンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。
 

Shuffle-and-deal_eddie-henderson

 
ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの個性である「軽快で流麗」が十分に活かされた佳作である。とにかく、ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの音色が心地良く、ミッドテンポでフレーズの1音1音をしっかり聴かせる個性が、特にスタンダード曲で威力を発揮している。スタンダード曲の持つキャッチャーで美しい旋律をしっかりくっきり聴かせてくれる。

ハリソンのアルト・サックスも、ヘンダーソンの「個性」を踏まえて「軽快で流麗」なフレーズで寄り添う。ヘンダーソンとのユニゾン&ハーモニーはとても心地良い響き。活き活きしたハリソンのアルト・サックスは明るくて確実で判り易い。ヘンダーソンとのフロント・コンビ、この盤の聴きどころである。

そして、この「軽快で流麗」なフロント2管を支えているのが、ケニー・バロンのピアノが率いるリズム隊。さすが「伴奏上手」なピアニストのバロンである。小粋に軽快にフロント2管を支える。決してフロントの邪魔をしない。それでいて、しっかりとフロントを鼓舞する。そして、このバロンのピアノに呼応して、「軽快で流麗」なリズム&ビートを供給するキャノンのベース、クラークのドラムも素敵だ。

内容的にはライトでポジティヴ、軽快で流麗。聴き易く、聴き心地の良い、聴き応えのあるメインストリームな純ジャズ。肩肘張らず、リラックスして、それぞれの演奏を楽しみながら聴ける、ネオ・ハードバップな好盤です。ジャズ喫茶の昼下がりに流すと、何だか素敵に響くネオ・ハードバップだと思います。

ちなみに、ジャケットの表紙に写っている真っ赤なフェラーリは、ヘンダーソンが45年間、同じ車種を乗換ながら、所有している車。1968年からスタートしたエディのフェラーリ、このジャケットにあるフェラーリはなんと6台目とのこと。お後がよろしいようで(笑)。
 
 
 
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