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2017年10月12日 (木曜日)

不思議ちゃんな企画盤である

Electric Bird(エレクトリック・バード)。純日本のジャズ・レーベルである。1980年代、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求したレーベル。日本のジャズ・レーベルなので、企画に問題があることが多い。このElectric Birdにも「これはなあ〜」と溜息が出るような「不思議ちゃんな企画盤」がある。

Dizzy Gillespie『Closer To The Source』(写真左)。1985年の作品。当時「あのディジー・ガレスピーがフュージョン・ジャズをやった」と話題になったアルバムである。バックに、Sonny Fortune (as), Branford Marsalis (ts), Kenny Kirkland (key), Hiram Bullock (g), Marcus Miller (el-b), Buddy Williams (ds) らの名前がある。加えて、Stevie Wonder (syn,harmonica) が参加。う〜ん、さすがバブル時代の企画盤である。

しかし、である。ディジーのトランペットであるが、バックがフュージョン系メインストリーム・ジャズであるが故、ちょっと聴くと「チャック・マンジョーネ」を想起してしまう。ちょっとディジーに失礼やね(笑)。よくよく聴くと、音にしっかりと芯が入っていて、音が限りなくブリリアント、トランペットが凄くよく鳴っている感じが「これは只者ではないぞ」と襟元を正したりするのだ。
 

Closer_to_the_source

 
さすがはディジー、バックの音がフュージョン系メインストリーム・ジャズであろうがなかろうが、我関せず、ディジーならではのトランペットを朗々と鳴らしまくる。そういう意味では、この盤、ディジーのトラペットのお陰で「平凡なフュージョン・ジャズ盤」とならずに、グッと内容が締まったフュージョン系メインストリーム・ジャズの好盤に仕上がっている。ディジーのトランペットさまさまである。

よくよく聴くと、バックの音は、フュージョン系メインストリーム・ジャズとは言うが、どちらかと言えば「フュージョン・ジャズ」寄り。ファンキーな雰囲気も色濃く見え隠れして、よくまあ、ディジーが収録をOKしたもんだ、と感心することしきり。この盤、もっと純ジャズ寄りにアレンジしたら、もっと素晴らしいフュージョン系メインストリーム・ジャズの好盤に仕上がっていたのでは、と思います。

しかし、当時として、ジャズ・トランペットのレジェンド、ビ・バップ創始者の一人、ディジー・ガレスピーににフュージョン・ジャズをやらせるなんて、凄く乱暴な発想であり企画ではある。ディジーのレベルのトランペットになれば、何もバックの音をフュージョン仕立てにする必要も無いでしょうにね。「これはなあ〜」と溜息が出るような「不思議ちゃんな企画盤」である。

 
 

東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年10月11日 (水曜日)

ルー・ソロフのトランペット

Electric Bird(エレクトリック・バード)。純日本のジャズ・レーベルである。1980年代、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求したレーベル。エレクトリック中心のフュージョンのブームの後、メインストリーム・ジャズの要素をしっかり押さえたフュージョン系のジャズは、当時、結構、人気があった。そのElectric Birdレーベルのアルバムを一気聴きの最中である。

今日の選盤は、Lew Soloff『Yesterdays』(写真左)。1986年の作品。ちなみにパーソネルは、Lew Soloff (tp), Charnett Moffett (b), Elvin Jones (ds), Mike Stern (g)。ルー・ソロフのトランペット1管のバックのリズム・セクションは「ギター+ベース+ドラム」のピアノレス。

この1管+ピアノレスなカルテット編成については、フロントのソロフのトランペットが心ゆくまで堪能出来る。エルヴィンのドラミングはダイナミックなポリリズム。ピアノがいると、ピアノのリズムキープとバッティングすることが多い。するとリズムが増幅されて、フロントの管の音が目立たなくなってしまう。今回の「ピアノレス」はそれを未然に防止する。
 

Lew_soloff_yesterdays  

 
この盤は、ルー・ソロフのトランペットの個性がとても良く判る、ソロフのトランペットの個性を愛でる盤である。ハイノート・ヒッター、かつ流麗でメロディアス。加えて、ダイナミックでテクニカル。聴き応えのある、素晴らしい内容のトランペットである。惚れ惚れする。

さすが、1968〜73年の間、ブラス・ロックを代表するスーパー・バンド「ブラッド・スウェット&ティアーズ」の一員として、はたまた、ギル・エヴァンスのオーケストラに、ギルが亡くなる1988年まで参加し活躍しただけはある、実力あるトランペッターの優れたパフォーマンスがこの盤に記録されている。

このルー・ソロフ、あまりに上手過ぎる、という理由で日本では人気がイマイチだった。日本のジャズ者として実に残念であり、ばかばかしくもある。この盤のソロフのプレイを聴いて欲しい。当時、人気がイマイチだったことが信じられない。それほど、溌剌としてブリリアントなソロフのプレイがこの盤には記録されている。お勧めの好盤です。

 
 

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2017年10月 4日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・90

涼しくなった。というか今日は夕方から少し寒い。一気に季節が動いたようで、もう晩秋の様な雰囲気である。この極端に涼しくなるのも、あと2日くらいだそうなので、まあええか、という感じである。まあ、ここまで涼しくなると、トランペット盤も抵抗なく聴けるようになる。暑いと、特に蒸し暑いと、どうにもトランペット盤は敬遠してしまいがちである。

ということで選んだ盤が、Kenny Dorham『Short Story』(写真左)。1963年12月19日、コペンハーゲンのMontmatre Jazzhusでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Tete Montoliu (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel (ds),  Allan Botschinsky (flh)。スティープルチェイス・レーベルからのリリースである。

まず、パーソネルを見れば触手が伸びる。「北欧のジャズの殿堂」、コペンハーゲンの老舗ジャズハウス「カフェ・モンマルトル」を支えた守護神の一人、ドラマーのアレックス・リエル、北欧ベースの巨人ペデルセン、そして、スペインの哀愁のピアニストであるテテ・モントリュー。そこに、ハードバップな哀愁トランペッターのケニー・ドーハムがリーダーとして、フロントに座るのだ。
 

Short_story

 
そして、CDプレイヤーのスタートボタンを押すと、絶好調に吹きまくるドーハムにちょっとビックリする。もともと、ドーハムは好不調の波があるトランペッター。哀愁のトランペッターなどと喩えられることがあるが、単に不調で覇気が無かっただけ、という盤も時にはある。しかし、乗った時のドーハムは「ブリリアント」。トランペットの真鍮をブルブル震わせるが如く、ポジティブに吹き上げる。

そんな好調時のドーハムがこのライブ盤に「いる」。この盤、全編で50分程度なので、もしかしたら、1963年12月19日のカフェ・モンマルトルでのドーハムのパフォーマンスは全てが絶好調ではなかったかもしれない。それでも、この全編50分のアルバムに編集し収録されたドーハムのパフォーマンスは見事だ。当時、ドーハムは39歳。中堅のジャズメンで、一番、溌剌としていた頃だったのかもしれない。

ジャケットがあまりにシンプル過ぎて、かなり損をしているライブ盤だと思いますが、手に入れて損の無い、ジャズ・トランペットを十分に楽しめる「隠れ好盤」だと思います。何も『Quiet Kenny(静かなるケニー)』だけがドーハムの代表盤ではありません。哀愁のトランペッターと形容するよりは、バップでブリリアントなトランペッターと形容する方が、ドーハムの本質を突いているかもしれません。

 
 

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2017年9月29日 (金曜日)

これからの季節のトランペット盤

今朝からグッと涼しくなった千葉県北西部地方。もう空気は秋である。やっと秋である。今年の夏は天候不順で蒸し暑かったからなあ。お腹を切ってから、とにかく湿度の高いのに弱くなった。特に、夏の湿度の高い暑さは体力が取られて、すぐに疲れてバテてしまう。カラッとした暑さなら平気なのにね。でも、今朝の涼しさは「秋」である。

これだけ涼しくなって空気が澄んでくれば、トランペットの音が聴きたくなる。蒸し暑い夏には、トランペットの音はちょっと辛い。そう言えば、今年の夏は、トランペットの音を極力敬遠してきた。聴いたトランペットと言えば、禁断症状が出た時の「マイルス・デイヴィス」だけである。ということで、選んだトランペット盤がこれ。

Dizzy Reece『Star Bright』(写真左)。ブルーノートの4023盤。1959年11月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Hank Mobley (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。録音場所は「Van Gelder Studio, Englewood Cliffs」とあるので、米国はNYでの録音である。

Dizzy Reece=ディジー・リースは、ジャマイカ出身、ヨーロッパ在住のトランペッター。英・仏で活動。1958年、ドナルド・バードやアート・テイラーのレコーディング・セッションに加わり、マイルス・デイヴィスやソニー・ロリンズなどから称賛されて、1959年に渡米。しかしながら、1960年代のニューヨークは苦闘の日々だったようだ。

この『Star Bright』は、渡米すぐの録音である。サイドメンは、ブルーノートのお抱え優れどころで固めている。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの意気込みがダイレクトに感じられる。それに応える様に、ディジー・リースは、ブリリアントで端正で流麗なトランペットを聴かせてくれる。
 

Star_bright

 
そして、面白いのは、テナーのハンク・モブレー。この盤でのモブレーのテナーは溌剌としていて、活き活きとしている。デジー・リースのトランペットなんて何するものぞ、って感じで、バリバリ吹きまくる。モブレーって、共演者が自分よりも格下、若しくは人気が無いだと、なぜか溌剌とテナーを吹きまくる傾向にあるみたいなんだよな〜。

逆に共演者が格上、若しくは実力が上となると、てきめん萎縮して、こぢんまりとした大人しいブロウで終始してしまう。実に愛すべき「人間らしい」テナーマンである。そんなモブレーが溌剌とテナーを吹きまくるところもこの盤の聴きどころ。

この盤を聴いていて、ディジー・リースのトランペットって、スーッと真っ直ぐな伸びの良い爽やか音。ちょっと引っ掛かりに欠け、印象に残りにくい。恐らく、そういうトランペットだからこそ、テクニックも申し分無く、演奏のレベルも高いにも関わらず、人気という面で割を食ったのではないか。とっても流麗でとってもブリリアントなんですけどね。

やはり、ジャズにとって「無臭」「端正」「クセが無い」というのは禁句なのかなあ。ディジー・リースのトランペットって聴き心地満点なんだけどなあ。でも、僕はこのディジー・リースのトランペット盤、結構、昔から気に入ってます。聴き心地の良いトランペットって、やっぱり良いよね。特にこの秋の季節に良く合います。秋のトランペット盤、これからの季節の愛聴盤です。

 
 

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2017年9月 8日 (金曜日)

バード&アダムスの傑作ライブ盤

ジャズと言えば、やはり「ハードバップ・ジャズ」が鉄板だと思う。ジャズの様々なフォーマットや奏法、例えば「ビ・バップ」とか「モード・ジャズ」とか「クロスオーバー」とか「フュージョン」とか、魅惑的なジャズのフォーマットや奏法があるが、一般の人達が「ジャズ」を想起するのは、やはり「ハードバップ・ジャズ」だと思う。

Doneld Byrd『At the Half Note Cafe, Vol.1 & 2』(写真)。November 11, 1960年11月11日、NYのライブハウス「Half Note」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Pepper Adams (bs), Duke Pearson (p), Laymon Jackson (b), Lex Humphries (ds)。ドナルド・バードのトランペットとペッパー・アダムスのバリサクの2管フロントのクインテット構成。

2管フロントのクインテット構成って、ハードバップ・ジャズの王道な構成だと思うのだが、2管のひとつにバリトン・サックスが入っているところがこのクインテットのお洒落なところである。ブリブリブリとバリサクが魅力的なアドリブ・フレーズを撒き散らす。そこに、トランペットの輝かしいブラスの響きが割って入る。素晴らしい対比、素晴らしいユニゾン&ハーモニー。
 

At_the_half_note_cafe_vol1_2

 
この2枚に分散されたライブ盤、その演奏の迫力、流麗さ、楽しさ、どれをとっても「これぞ、ハードバップ」な演奏である。冒頭のピアソン作の「My Girl Shirl」から、楽しい楽しいハードバップな演奏がてんこ盛り。漂う芳しきファンクネス、愁いを帯びたマイナーなアドリブ・ライン。聴いていると「ああ〜、ええ感じのジャズやな〜」なんてウットリしつつ、夢見心地。

しかしまあ、このライブ盤でのドナルド・バードは凄く溌剌としていてブリリアント。こんなにバリバリ吹きまくるドナルド・バードって珍しいのではないか。このライブ盤のブロウを聴けば、なるほど、ハードバップ時代の第一線を走るトランペッターだったことが良く判る。加えて、やはり、ペッパー・アダムスのバリサクが魅力的。この重低音を響かせながら、疾走感あふれるソロは爽快である。

ちなみに、このライブでの司会は「ルース・ライオン」。ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンの細君である。このルースの司会の声、そのアナウンスに呼応する聴衆の歓声。そして、滑り出るようにハードバップないきなりブワーッと展開する。うへ〜、思いっきりジャズである。この2枚のライブ盤を聴く度に思う。ハードバップってええなあ、って。

 
 

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2017年9月 7日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズを聴き始めてから、かれこれ40年になる。もうそんなになるのか。所有するCDも相当数に登り、もうデータベースにしておかないと所有しているのかいないのか、聴いたことがあるのか無いのか、判らなくなっている。それでも、ジャズは飽きない。飽きないどころか、どんどん深みにはまっていっている。

そんなジャズ大好き人間の僕が、この盤は聴いたことも見たことも無かった。つい先日、ネットを徘徊していて、誰かのブログにぶち当たって、見慣れないジャケット写真が目に入って、その紹介文を読んでみたら「え〜、この盤、知らんなあ」。しかし、である。この盤のジャケットの写真、これが凄く魅力的。「良い音出してるよ〜」って語りかけてくる様なジャケット。「ジャズ喫茶で流したい」ネタな盤である。

Count Basie and Dizzy Gillespie『The Gifted Ones』(写真)。1977年の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Dizzy Gillespie (tp), Joe Pass (g), Ray Brown (b), Mickey Roker (ds)。ガレスピーのトランペットのフロント1管。ギター+ピアノ、そしてベース+ドラムのリズム・セクション。
 

The_gifted_ones

 
いや〜、むっちゃ趣味の良いハードバップ。まず、カウント・ベイシーのピアノが絶品。音数少なく、ポロンポロンと絶妙の間とテンポの無茶苦茶に個性的なピアノ。シンプルそして侘び寂び。そんなむっちゃ粋な静かなピアノ。そこにガレスピーのバップなトランペットが鳴り響く。トランペットの音にベイシーのピアノはかき消されるのか、と思いきや、その存在感たるや驚きの「静謐なピアノ」である。

ガレスピーのトランペットも凄く良い。エモーショナルなブロウもあれば、流麗で語りかける様な優しいブロウもある。あのビ・バップなトランペット一辺倒のガレスピーが、これだけ変幻自在、硬軟自在なブログを繰り広げるとは思わなかった。メリハリ効いたガレスピーのトランペットと音数少なく、ポロンポロンと絶妙の間とテンポのベイシーのピアノ。素晴らしい対比。

パスのギター、ブラウンのベース、ロッカーのドラム、職人気質のリズム・セクションが、そんな主役の二人、ガレスピーとベイシーをしっかりとサポートする。いや〜、これぞジャズって感じの演奏に思わず聴き惚れる。しかし、こんな盤があったなんて。パブロ・レーベルからのリリースなのでメジャーな盤の類。日本で何故ジャズ雑誌なので、絶賛&紹介されなかったのか、が不思議な、思い切り充実の内容。好盤です。
 
 
 

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2017年8月17日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・87

昨日は「とあるバンドの武道館ライブ」に参戦していて、ブログを書くことができませんでした。でも、久し振りの「生の音」に触れることが出来て、実に有意義で楽しい夜でした。ライブには足を運ばないとね。活きた音を体感するからこそ、ステレオから出てくる音も楽しめるというもの。 

さて、ジャズの世界に戻ります。最近、1980年代の、フュージョン・ブームが下火になりつつある頃の「メインストリーム・ジャズ」に興味があって、アルバムを探し漁っています。個人的にはジャズを聴き初めて5〜10年経った頃。何と無く、ジャズが判ってきて、個人的な好き嫌いもハッキリしてきた頃かと思います。

Art Farmer『Maiden Voyage』(写真左)。1983年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Masahiko Satoh (key, arr), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds) のジャズ・カルテットをベースに、ストリングスがバックにつきます。日本ジャズの鬼才と言われる佐藤允彦のモダンなストリング・アレンジに乗って、ファーマーのフリューゲル・ホルンが飛翔する。そんな雰囲気が素敵な企画盤です。
 

Maiden_voyage_art_farmer

 
この盤を聴くと、ちょうど録音時期が1983年。フュージョン・ブームが下火になりつつあって、メインストリーム・ジャズに回帰しそうな、そんな雰囲気の強いアルバムがリリースされ始めた時期。それらの演奏には、フュージョン・ジャズの良いところを上手く伝統的なメインストリーム・ジャズに反映して、1980年代前半ならではの「新しい響き」を湛えた演奏内容になっているところが個性的です。

特に、佐藤允彦のストリング・アレンジが振るっている。特にタイトル曲「処女航海」のストリングス・アレンジは絶品。美しい、の一言。と言って、イージーリスニング風にはなっておらず、あくまでジャズの範疇に収まっているところが、この企画盤の優れたところ。僕は当時、この盤を聴いて、ジャズの新しい「伸びしろ」を感じて、まだまだジャズは深化するなあ、と明るい希望を持ったことを覚えています。

かつてデンオン(現デノン)から発売されていた日本制作の企画盤ですが、日本発の企画盤らしからぬ、内容はとても充実しています。フュージョン・ジャズのブームの後の、未来志向のメインストリーム・ジャズのひとつのプロトタイプを提示してくれた、なかなかの内容だと思います。なかなか入手するのが難しいのですが、一度は聴いて欲しい好盤です。

 
 

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2017年8月 2日 (水曜日)

懐かしのハーブ・アルパート

昨日の雨の後、空気がそっくり入れ替わったのか、とても涼しい千葉県北西部地方である。部屋の中に涼風が駆け抜ける。部屋の中でジッとしていると寒いくらいだ。あの〜8月2日なんですけど。もう9月中旬の陽気である。でも、この涼しさも明日くらいまで。徐々に暑くなってきて、来週の半ばには蒸し暑い夏に戻るんだろうなあ。

でも、これだけ涼しくなると、ジャズを聴くのも楽しくなる。これだけ涼しくなると、フュージョン・ジャズもど〜んと来い、である。で、ネットを徘徊していたら、このアルバムの存在に気がついた。Herb Alpert『Beyond』(写真)。1980年の作品。フュージョン・ブーム真っ只中の「思いっきりフュージョン」なアルバムである。

アーバンでクール。ハーブ・アルパートのトランペットがブリリアントで躍動感溢れ、バックのリズム隊が明確なリズム&ビートを叩き出す。エレクトリック楽器中心の演奏なんだが、決して耳触りにならない。メロディアスでメリハリが効いたフレーズの連発。ラテンな雰囲気を醸し出しつつ、コンテンポラリーな先取性溢れるトレンドの取り込み。
 

Beyond

 
演奏の底はしっかりとジャズなので、これぞフュージョン・ジャズ、と思わず感心してしまう内容。なんて表現したら良いのかなあ。このアルバム全体の流れが一番の個性なんですよね。1曲1曲の曲それぞれの出来が凄く良いのでは無くて、アルバムに収録されている曲がどんどん繋がっていって、そのアルバム全体の流れが凄く良い。あ〜っ、これがフュージョン・ジャズやな〜、って思うんですね。

それと、あまり指摘されていないようですが、このアルバム、アレンジが秀逸。今の耳にも古さは殆ど感じさせないほどの、普遍的なアレンジが素敵です。フュージョン・ジャズってこういうアレンジで攻めるよな、というアレンジのサンプルがどっさり詰め込まれているアルバムでもある、と感じています。

とにかく懐かしいフュージョン盤。1980年のリリース以来、学生時代の残り2年間、この盤は結構聴きまくりました。実は、このルバム、しばらく入手困難な状態で、忘れ去れてたアルバムになっていました。今までのビヨンドのCD化は日本のみ。昨年やっと米国でもCDリイシューされたそうで、その流れの中で僕もこの盤をゲット出来たということで、実に喜ばしい出来事でした。

 
 

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2017年7月26日 (水曜日)

マイルス・ミュージックの再現

この人のトランペットは気になりながらも、あまり聴く機会が無かった。Nicholas Payton(ニコラス・ペイトン)。1973年、ニュー・オーリンズ生まれ。音楽一家に育ったサラブレット。力感溢れる、それでいて流麗でブリリアントなトランペットは、明らかに、ウィントン・マルサリスに次ぐ、次世代トランペッターの代表の一人である資格は十分。

そんなペイトンも今年で44歳、中堅の年頃に差し掛かり、ジャズメン人生の中で、一番充実した時間を過ごしつつあるのではないか。そして、今年リリースされた新盤が、Nicholas Payton『Afro-Caribbean Mixtape』(写真)。ちなみにパーソネルは、Nicholas Payton (tp, p, vo), Kevin Hays (key), Vicente Archer (b), Joe Dyson (ds), Daniel Sadownick (per), DJ Lady Fingaz (turntablist)。

本作は、タイトル通り、アフロ〜カリビアンなカリプソな雰囲気漂うサウンドから、アーバンかつクールなモード・ジャズから、硬派なアコ・ジャズから柔軟なエレ・ジャズまで、基本的に「クールでコンテンポラリーなジャズ」を収録していて、ミックステープのような曲間の無い作りになっている。
 

Afrocaribbean_mixtape

 
ペイトンは基本的にはトランペッターですが、マルチプレイヤーの側面も持ち合わせていて、キーボードやドラム・プログラミング等の楽器や、はたまたボーカルもこなす。そんなマルチな個性を活かして、R&Bやヒップホップ、ワールドミュージックといった要素も織り込んで、フュージョン寄りのコンテンポラリーな純ジャズを展開する。

こういう音を聴いていると、マイルス・デイヴィスを思い出す。マイルスも常にその時代時代のクールな「音楽のトレンド」を取り込み、当時として革新的な「クールでコンテンポラリーなジャズ」を誰よりもいち早く展開していた。ペイトンの音世界は革新的ではないにせよ、現代の「音楽のトレンド」を積極的に取り込み、マイルス・ミュージックの現代版を表現している様で、とても意欲的だ。

収録された演奏はどれもが充実していて聴き応えがある。が、CD2枚組、トータル時間2時間以上の収録時間の長さはさすがに「トゥー・マッチ」。それぞれの演奏のメインテーマを整理して、2枚の異なったアルバムに収斂した方が良かったと思う。プロデュースしきれなくて「ミックステープ」風にアルバム化してしまうにはあまりに惜しい。それほど、個々の演奏の内容は濃いものがある。「トゥー・マッチ」ではあるが好盤。

 
 

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2017年7月25日 (火曜日)

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」

この5年ほど前から気になるトラペッターがいる。Ambrose Akinmusire、片仮名表記すると「アンブローズ・アキンムシーレ」と書く。1982年生まれ。ナイジェリアの血を引き、カリフォルニア州オークランド育ち。今年31歳になる若き中堅ジャズ・トランペッター。今年で35歳。中堅に差し掛かる年頃である。

アンブローズ・アキンムシーレのトランペットは知的。乾いてはいるが、重心が低く、ぶ厚く骨太な音色。緩やかにウネウネと不思議な抑揚を伴った思索的なフレーズ。ちょっとくすんだような、夕暮れ時の様な、やや薄暗い雰囲気のトランペットはとっても個性的。そんなアキンムシーレが、NYの老舗ライブハウス、ビレッジ・バンガードでライブ録音をした。

Ambrose Akinmusire『A Rift In Decorum : Live At the Village Vanguard』(写真左)。CD2枚組のボリューム。4晩に渡り録音し、その中から厳選した16曲を収録。ちなみにパーソネルは、Ambrose Akinmusire (tp), Sam Harris (p), Harish Raghavan (b), Justin Brown (ds)。今年の6月のリリースになる。
 

A_rift_in_decorum

 
アキンムシーレのトランペットは「スピリチュアルな」ブロウが個性と思っていたが、このライブ盤を聴けば、その印象は脆くも崩れる。基本は限りなく自由度の高いモード・ジャズなんだが、かなりの割合でフリー・ジャズの演奏が入っている。かなり高度なテクニックを前提とした、限りなく現代音楽的なフリー・ジャズ。アーティスティックな響きをビンビンに感じる。

このフリーな演奏は明らかに以前の「フリー・ジャズ」の焼き直しである。決して、最近流行のスピリチュアルな演奏では無い。本当に「フリー」なのだ。このフリー・ジャズな演奏をどう聴くか、によって、このライブ盤の評価は変わるだろう。しかし、無手勝流のフリー・ジャズでは無い。しっかりと練られた、思索に溢れる、現代的なフリー・ジャズである。

このライブ盤は「聴く人を選ぶ」。ジャズを「アート」と捉え、現代音楽の一種と捉えることが出来る人のみが、このライブ盤を観賞可能な盤にすることが出来る。決してポップでは無い。聴いて楽しむ演奏では無い。この自由度の高い演奏を「アート」として捉えてのみ、このライブ盤の楽しさは倍増する。

 
 

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