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2018年5月25日 (金曜日)

ジャズは深化し多様化している

ジャズは深化している。ジャズは多様化している。ジャズが生まれて約100年。それぞれの時代で、ジャズ演奏のトレンドがあった。スイング、ビ・バップ・ハードバップ、ファンキー、モード、エレ・ファンク、クロスオーバー、フュージョン、ネオ・ハードバップなどなど。そんなジャズ演奏のトレンドそれぞれに「後を継ぐ者」が現れ出でている。

いわゆるフォロワーなジャズメン達が、それぞれのジャズ演奏のトレンドを引き継いで、深化させていく。今では、それぞれの時代のジャズ演奏のトレンド毎に、後を継ぐジャズメンが必ず存在する。そして、それぞれのジャズ演奏のトレンドを深化させ、極めていく。ジャズは死なない。ジャズは生きている。ジャズは多様化し、深化している。

Lynne Arriale『Give Us These Days』(写真左)。2017年12月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Lynne Arriale (p), Jasper Somsen (b), Jasper van Hulten (ds), Kate McGarry (vo on 9)。素敵なピアノ・トリオである。実は、この盤を入手した動機は「ジャケ買い」。この魅力的な笑顔の女性ジャズメンの横顔が素敵なジャケットを見て、珍しく、内容を確認せず、いきなり購入を決意した。
 

Give_us_these_days

 
リーダのピアニストは「Lynne Arriale(リン・アリエル)」。1957年、米国ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。今年で61歳になる。過去、dmp、TCB、Motema Music、In+Out等から続々とリーダー作をリリースしてきている。61歳だから、大ベテランの入り口にいるアリエルであるが、日本ではほとんど無名。しかし、そのタッチといい、節回しといい、1970年代のECMレーベルのピアノ・トリオを彷彿とさせる内容に思わずニンマリする。

素敵なピアノ・トリオ。内容はヨーロピアンなピアノ・トリオ。耽美的であり、構築美を誇りつつ、自由度の高い、フリー一歩手前の演奏で疾走する、いわゆる「ヨーロピアンな」ピアノトリオ演奏。モード・ジャズからニュー・ジャズ辺りのトレンドをしっかり押さえて、お手本の様なピアノ・トリオ演奏を披露する。

ベースのイェスパー・サムセン、ドラムのイェスパー・ファン・フルテン、というオランダ出身の腕利き2人が秀逸なバッキングを聴かせてくれる。非常に優れたモード・ジャズ。自由度高く、堅実でもあり、歌心もある。良いピアノ。ついつい一気に聴き通してしまう位の、適度なテンションを張った、よく考えられた、よく寝られたトリオ演奏。こういうアルバムがポッといきなり出てくるから、今でもジャズから目を離せない。

 
 

東日本大震災から7年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年10月31日 (月曜日)

秋深まる季節にボサノバ・ジャズ

この秋深まる季節に「ボサノバ・ジャズは合わないよな」と思うのは性急ではある。確かに、この秋真っ只中の季節、朝と夜はちょっと寒い。寒い中で聴くボサノバ・ジャズは「殺風景」である。軽妙洒脱のリズム&ビートが寒々と感じる。

しかし、である。この秋深まる季節、ちょっと暖かな「小春日和」な昼下がり、ホンワカ暖かい部屋の中で、ブラック珈琲を傾けながら聴くボサノバ・ジャズは、意外に「オツなもの」である。昼ご飯をお腹いっぱい食べた後、ちょっと眠くなってきて微睡みながら聴くボサノバ・ジャズは、一時の「至福の時」である(笑)。

微睡みながら聴くボサノバ・ジャズは、微睡みの「至福の時」を妨げる様な、難しい演奏はいけない、複雑な演奏もいけない。イージーリスニング一歩手前の、ほとんどイージーリスニングでも良い、聴いていて心地良い、難しいことを考えず、聴く耳をそばだてることも無い、聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズが良い。

そんな聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズ盤を選盤する。Laurindo Almeida『Guitar From Ipanema』(写真左)。1964年の作品。ローリンド・アルメイダは、1917年生まれのブラジルのギタリスト。惜しくも1995年7月逝去しました。アルメイダは、生粋のボサノバ系ギタリストというよりは、ボサノバ・ジャズ系のギタリストという印象が強い。テクニックはかなり高く、聴いていて爽快かつ深みのあるギター。
 

Guitar_from_ipanema

 
ジャック・マーシャルの口笛をフィーチャーしているのが面白い。口笛をフィーチャーすれば、もはやこれは純ジャズでは無いだろう。しかし、このジャック・マーシャルの口笛が心地良い。「The Girl From Ipanema」の口笛の気持ちよさ、「 Old Guitaron」のボーカルの愛らしさ。

とにかく全編に渡ってユルユルの緩さ。この緩さが堪らなく心地良い。ボサノバのリズム&ビートは純正で、ボサノバ・ジャズ独特のライトさと心地良さ満点。メインストリーム・ジャズとは対極の「ユルユル」イージーリスニングなジャズである。
 
硬派なジャズ者の方々からすると「けしからん」ボサノバ・ジャズ盤でしょう。でも、そういう時は、この盤はイージーリスニング盤と解釈して耳を傾けていただければ、と思います。

ジャケットも全くジャズらしからぬ「ユルユルさ」。でも、この緩さが堪らない。この秋深まる季節、ちょっと暖かな「小春日和」な昼下がり、ホンワカ暖かい部屋の中で、ブラック珈琲を傾けながら聴くボサノバ・ジャズは、意外に「オツなもの」。固いこと抜きで、この盤に詰まっている、聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズを楽しみましょう。

 
 

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2016年6月 9日 (木曜日)

2015「ヴォーカル部門・金賞」

朝から結構な雨で気が滅入った。雨は好きでは無い、というか「嫌い」。子供の頃から圧倒的な「晴れ男」ゆえに、雨はどうしても好きになれない。まず「濡れる」という行為が駄目だ。ちょっとでも「濡れる」と心が暗くなる。つまりは「梅雨」という季節は、僕にとっては最悪。そんな最悪な季節が「今」である。

とにかく、朝から結構な雨で気が滅入る。こういう時はどんなに硬派でテクニック優秀なジャズを聴いても楽しめない。逆に、こんなに素晴らしいジャズをなんで雨の日に聴かにゃあならんのや、と思って更に気が滅入る。こういう時には「ボーカル」を聴くのが一番良い。特に女性ボーカルが一番良い。

それも、キュートで清楚なボーカルが良い。肉食系な女性ボーカルはいけない。あくまで、キュートで理知的なボーカルが良い。ということで選んだアルバムがこれ。Chiara Pancaldi『I Walk a Little Faster』(写真)。

「キアラ・パンカルディ」と読む。イタリアの若手ジャズ・シンガーである。今年の「ジャズ批評」のオーディオ・ディスク大賞2015「ヴォーカル部門・金賞」に輝いた、先進気鋭な女性ボーカリストである。僕はこのキアラについては、この2015「ヴォーカル部門・金賞」受賞の記事で初めてその存在を知った。
 

I_walk_a_little_faster1

 
早速、ゲットである。聴いてみると、透明感のある歌声で究めてオーソドックス。適度にキュートで、誠実に唄い上げるその様は実に理知的。いい女性ボーカルではないか。アルバム全体がしっかりと創られていて、エコーも印象的で雰囲気が良い。これは良いボーカル盤である。冒頭の2曲、マイ・フェア・レディ名曲「Wouldn't It Be Loverly」と「Show Me」を聴くだけで、もう惚れ惚れ。

そして、聴き進めていくと、バックのピアノ・トリオが素晴らしい。誰だろうとパーソネルを見ると、Cyrus Chestnut (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。このトリオのバッキングが絶品。チェスナットって歌伴が上手い。キアラのボーカルと同じレベルで、そのパフォーマンスは素晴らしい。確実に、このボーカル盤をワンランク・アップさせている。

雨の日に爽やかで切れ味の良いピアノ・トリオとキュートで清楚で理知的な女性ボーカル。雨で滅入った気持ちを十分に癒してくれる。良い女性ボーカル盤です。聴き応え満載です。

さてついでにもう一つ。ジャケットも魅力。表カバーの彼女の左下方向の目線が何とも言えない色気を発しているんだが(写真左)、内ジャケを見ると同じ様な写真かと思いきや、目線が正面の向きに凛々しく変化している(写真右)。これがまた良い。ジャケットもなかなか秀逸。そういう意味で、この女性ボーカル盤、総合点でかなりの高得点を獲得していますね。好盤です。 

 
 

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2014年4月27日 (日曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その10

ジャケ買い「海外女性編」と題して、最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを、そして、第2シリーズは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」なアルバムをご紹介していました。今回は、その第2シリーズの最終回。

フュージョンのアルバムの中から「脚線美の誘惑」がテーマのジャケットは無いのか、といろいろ探してみたが、これがなかなか無い。もともとフュージョンのアルバムって、ジャケット・デザインに注意を払っているものって、かなり少ないので仕方がない。

そうそう、フュージョンのアルバムって、純ジャズほど、ジャケット・デザインに金かけてないんだよね。まあ、フュージョン全盛時代は、ロック衰退基調の中、商業音楽を一身に背負っていたのだから、しょーがいないんだけど・・・。

そんな中、ありました、ありました。しかも、身近も身近、日本のフュージョンにありました。そのアルバムとは、スクエア(The Square)の、その名もズバリ『脚線美の誘惑』(写真)。そのアルバムのジャケット・デザインも、ズバリ!『脚線美の誘惑』(笑)。1982年11月のリリースである。
 

Kyakusennbi_no_yuwaku

 
スクエアって、フュージョン・バンドなの?、って思われる方もあるでしょうが、デビュー当時の出身からすると、立派なフュージョン・バンドでしょう。ロックの様でロックじゃないので、日本人の大好きな「ジャンル」分けから外れがちなスクエアですが、サウンド的にはフュージョンに入れて問題無いでしょう。

この『脚線美の誘惑』は、スクエアがロック色を強め始めた頃の秀作です。とにかく、1曲目の「ハワイへ行きたい」から、ロック調のご機嫌な曲が続きます。このアルバムを聴き通すと、確かに、アドリブ調の展開部が無く、4ビート系のオフビートなリズムも無く、アルバム全体にジャズ的雰囲気が全く希薄で、確かに、他のフュージョン・アルバムとはちょっと感じが異なります。

ロックのインスト・アルバムとして見ると、あまりに演奏が巧すぎて、ロックの持つ、良い意味での独特の野暮ったさが無い、ということになって「どっちつかず」。実は、ここにスクエアの特色があると思います。フュージョンでも無ければロックでも無い。不思議な立ち位置の音世界です。

でも、このアルバムの爽やかさ、僕は好きです。まあ、音楽のジャンルなど気にせずに、良いものは良い、というノリで楽しめれば良いと思っています。

 
 

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2014年3月10日 (月曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その9

デビュー当時のザ・スクエア(The Square)は「馬鹿テク、爽快、気持ちいい」。これが、デビュー当時のスクエアの良さ。

セカンド盤では、余裕のあるテンポでの余裕のある展開。ギンギンにテンションを張ること無く、ゆったり余裕をもって、ちょっと硬派ではあるが、基本的にはソフト&メロウなフュージョン・ジャズを展開。それでいて、ジャジーな雰囲気は希薄で、どちらかと言えば、ロックな雰囲気が強い。では、ロック・インストかと問われれば「否」と答える微妙な立ち位置。

そして、このサード盤『Make Me A Star』(写真左)である。1979年6月のリリース。さあどうだ、このジャケ写。当時はLPサイズである。このビキニの迫力、長い足の誘惑。僕達は大学2回生、大学時代真っ只中。このアルバムは、結構、皆、こっそりと持っていた(笑)。このハーフの女の子の健康美溢れるビキニのジャケ写、当然、手に入れて、当然、部屋に飾っていた(笑)。

さて、このザ・スクエアのサード盤、この健康美溢れるビキニのイメージとは全く関係無く、ジャジーな雰囲気から更に離れて、ポップ・インストっぽく、加えて、ファンクネスの適用が特徴の、ポップ&ファンキーなフュージョン・ジャズを展開している。あれれ、前作のソフト&メロウなフュージョン・ジャズはどこへ行った?(笑)。

ジャジーな雰囲気が希薄なザ・スクエア。故に、ザ・スクエアはジャズじゃない、フュージョンじゃないと揶揄されたりした。が、そこでジャジーな雰囲気を色濃くして、世間に迎合する様なザ・スクエアでは無い(笑)。

逆に、よりジャジーな雰囲気をそぎ落として、よりポップな展開を重視し、日本人独特の乾いたファンクネスを導入。しかし、このファンクネスが個性的。乾いてあっさりスクエアなファンクネスとでも形容したら良いだろうか。ファンクネスと言われて、パッと頭に浮かぶファンクネスでは無い。
 

Make_me_a_star

 
ポップな雰囲気のインストは、まるで「ロック・インスト」の雰囲気バリバリなんだが、リズム&ビートが、乾いているので良く聴かないと判らないが、しっかりとジャズ系のオフビートしているので、ポップなギターインストな展開にも関わらず、ロック・インストっぽくはならない。この辺が、ザ・スクエアの面白いところ。冒頭の「Mr. Coco's One」がその雰囲気を象徴しています。

ゆったりとした劇的な展開のバラード曲、6曲目の「I Will Sing A Lullaby」などは、余裕のある展開と素晴らしいバカテク演奏で、このアルバムの聴きものの一曲です。4曲目の「Stiff Nails」の躍動感溢れる展開も捨てがたいですね。

1978年から1979年当時、純ジャズからフュージョン・ジャズへの転身組として、渡辺貞夫や日野皓正がいた。フュージョン・ジャズのグループとしては、ネイティブ・サンやカシオペアがいた。フュージョン・ロックとしては、高中正義や四人囃子がいた。

そんな中で、独特な音世界と立ち位置で個性を発揮したザ・スクエアではあるが、そんなちょっと微妙な立ち位置が故に、ザ・スクエアはなかなかビッグな人気を獲得するに至らなかった。とにかくマニアックで、ちょっと捻った個性は、填まるととことん、なんですけどね〜。

それでも、このジャケットは良かった。ハーフの女の子の健康美溢れる、迫力あるビキニのジャケ写。裏ジャケットのサイドからのジャケ写も魅力的で、このジャケ写の「スラッとした足」も魅力的で、このアルバムのジャケットも「脚線美の誘惑」の一枚である。懐かしいなあ。LP、取っておけば良かった(笑)。

 
 

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2014年3月 2日 (日曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その8

前回が2013年10月18日のアップだったから、約4ヶ月ぶりになります。しばらくぶりの特集再開。ちょっとネタ集めに手間取っていました(笑)。

ジャケ買い「海外女性編」と題して、最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを、そして、第2シリーズは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」なアルバムをご紹介していました。

で、再開の今回は、約4ヶ月前のテーマを踏襲して「脚線美の誘惑」。この「脚線美の誘惑」ジャケットであるが、今回は、純日本のフュージョン・バンドの草分け、スクエア(The Square)のファースト・アルバム『Lucky Summer Lady』(写真左)を採り上げます。

さて、このアルバム・ジャケット、表ジャケット(写真左)を見て、どこが脚線美なんじゃい、と思いきや、裏ジャケ(写真右)を見ると、いやいや、実に立派な「脚線美の誘惑」ではないか(笑)。

発売当時、この裏ジャケットは話題になりましたねえ。表ジャケは何の変哲もない、というか、かなりベタな、あんまし趣味の良くない平凡なジャケ写なのだが、その裏ジャケを見ると「あらビックリ」。
 

Lucky_summer_lady_2

 
このアルバムは、1978年の発売。1978年といえば、まだまだ、日本がウブな時代。そんな時代に、この裏ジャケットですよ。とにかくビックリ。当時、多くの学生がレコード屋に走ったのは言うまでも無い(笑)。

さてさて、このアルバムの内容であるが、これが、この衝撃的なジャケットから想像出来ない位に、完成度の高いフュージョン・ジャズがギッシリ詰まっている。そう、このアルバムは、あのスクエアの記念すべきファースト・アルバム。つまり、デビュー・アルバムである。

さすがに、初々しいスクエアが聴ける。全編に渡って当時流行していたフュージョン・ジャズ的な雰囲気バリバリの演奏が聴ける。テクニック的には後年の馬鹿テクには及ばないまでも、既にこの時点でテクニックは秀逸。発売当時、このアルバムを聴いて、あまりのテクニックに呆れかえったのを覚えている。

でも、この馬鹿テクさが実に爽快で、気持ちが良くて、繰り返し聴いてしまうのだ。「馬鹿テク、爽快、気持ちいい」。これが、スクエアの良さでしょうね。しかし、そんな馬鹿テク爽快集団スクエアも、5曲目「I Won't Last A Day Without You(愛は夢の中に)」のような、実にベタなインスト演奏を残しているのに、思わずニンマリとしてしまうなあ。実に初々しい。

ジャケットも含め、人間味溢れ、そこはかとなく親しみ覚える、スクエアのファースト・アルバム。良いアルバムです。

 
 

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2013年10月18日 (金曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その7

ジャケットの「一目惚れ・ジャケ買い」なアルバムをテーマにシリーズでご紹介しています。最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを、そして、一昨日からは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」なアルバムをご紹介しています。

さて、今日の「脚線美の誘惑」なジャケットは、Johnny Smith(ジョニー・スミス)の『Walk, Don't Run!』(写真左)。1954年の録音。ジャケットの「脚線美」は、ちょっと地味だけど、これはこれでなかなかお洒落なジャケット写真である。また、この写真の雰囲気が、このアルバムの内容を代弁している。

ジョニー・スミスは、大ベテランのジャズ・ギタリスト。惜しくも、今年の6月、鬼籍に入ってしまいました。享年90歳。ジャズ・ギターの音としては、シングルトーンで実にシンプル。ソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しはしない、とにかく判り易いギターが特徴。

ジョニー・スミスのギターは、シンプルが故に繰り返し集中して聴いていると、ちょっと飽きが来ますが、ときおり引き出してきては聴き耳を立てると、そのシンプルさ故に、凄く判り易く、そのソフト&メロウな弾き回しは、実にしみじみとしていて、聴き応えがある。

しかし、このジョニー・スミス、何故か良く判りませんが、日本では不当過ぎるほど知られてはおらず、また評価もされていません。ジャズ・ギターの紹介本なんかでも、辛うじて、スタン・ゲッツ、ズート・シムズを迎えた名盤『バーモントの月』がたまに挙げられるくらいでしょうか。
 

Walk_dont_run

 
渋すぎるんでしょうね。米国では恐らく、日本よりももっと受けが悪いのではないかと推察しています。とにかく、ソフトでシンプル。大がかりな仕掛けなど無縁、シングルトーンをベースに、スタンダードの美しいメロディを紡ぎ上げ、小粋な節回しでインプロビゼーションを展開する。

とにかく良い意味で地味なんですね。そういう観点から見ると、日本人好みのギターと言えるのですが、あまりにレコード会社やジャズ評論家の扱いが低過ぎる。これでは評価されるはずがありません。

このJohnny Smith『Walk, Don't Run!』は、そんなジョニー・スミスのギターを愛でるのに、実に相応しいアルバムです。スタンダード曲ばかりを、シングルトーンで実にシンプル。ソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しはしない、とにかく判り易いギターで弾き上げています。あっさり味ではあるが心地よい余韻を残しつつのギターは実に味がある。

収録された各曲は、収録時間が2〜3分と短いものが多いのですが、この短さが潔い。変に多弁に冗長なアドリブを繰り広げるのでは無く、瞬間芸の様に、シンプルで印象的なフレーズをパパパッと弾き上げて、あっさりと仕上げる。シンプル・イズ・ベストを地で行くようなギター。実に潔い、実に粋なジャズ・ギターです。

「Walk, Don't Run」を和訳すると「急がば回れ」。なるほど「急がば回れ」の精神で、ゆったりとソフトなタッチと洗練されたインプロビゼーション、決して難しい弾き回しをしない。まるで美味しいあっさり味の「お茶漬け」の様なジャズ・ギター。一旦はまると癖になります。

 
 

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2013年10月17日 (木曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その6

最近、ちょくちょくと、ジャズのアルバム・ジャケットの「一目惚れ・ジャケ買い」をテーマにシリーズで語っています。最初のシリーズでは、何故か外国人女性のアップ写真をあしらった、アーティスティックで魅力的なアルバム・ジャケットを4枚ほどご紹介しました。

そして、昨日からは、ちょっと目線を変えて「脚線美の誘惑」をテーマに、「一目惚れ・ジャケ買い」な、アーティスティックで魅力的なアルバムについて、語っています。さて、今日の「脚線美の誘惑」なジャケットは、Ryan Kisor(ライアン・カイザー)の『Donna Lee』(写真左)。

このアルバム・ジャケット、どう見たって、いかついジャズのアルバム・ジャケットには見えないですよね。おそらくは、アルバム・タイトルの『ドナ・リー』から連想した、イメージ写真なのかしら、と想像しています。こちらのジャケット写真は、赤が基調で、赤のワンピースに赤のパンプス、表題の文字まで赤。まあ、デザイン的には「普通」かな。

加えて、CDの帯紙が金色で下の方がピンクには参った。女性をターゲットにした、ソフト路線を意識しすぎているのでは無いか。まあ、全体的に言って、ちょっと目の保養にはなるアルバム・デザインではあるが、まあ平均点レベルかな。

さて、アルバムの中身の演奏は、と言えば、これが「当たり」なのですね。「ジャケットの優れたアルバムに、ハズレは無い」という格言の逆をいく、嬉しい誤算的なアルバムなのですね、これが。ちなみに、パーソネルは、Ryan Kisor (tp), Sam Yahel (org), Peter Bernstein (g), Greg Hutchinson (ds)。2003年11月の録音になります。
 

Ryan_kisor_donna_lee

 
このライアン・カイザーという名前、もしかしたら馴染みの薄い名前かもしれないので、彼の経歴を簡単にご紹介しておきます。1973年4月、アイオワ州生まれのジャズ・トランペッター。

1990年「モンク・ジャズ・コンペティション」で優勝。1992年『One For Miles』でデビュー。ギル・エヴァンス・オーケストラやミンガス・ビッグ・バンドを経て、現在はマンハッタン・ジャズ・オーケストラにも参加。今や、中堅トランペッターの一人です。

さて、このアルバム、どこが「当たり」なのかっていうと、まずは、4曲目の表題曲「Donna Lee」が凄い。この曲、かのチャーリー・パーカーの名曲なのだが、これをトランペットとドラムスのデュオで演奏。圧倒的で、スリリングな演奏を聴かせており、まさに名演。緊張感あふれるトランペットが聴ける。

他の曲のどれも楽しく、聴きやすいものばかり。特に、冒頭のホレス・シルヴァー作の「Song For My Father」、7曲目、ナット・アダレイ作の「Work Song」、3曲目、ケニー・ドーハム作「Short Story」等のファンキー・チューンが楽しい。

「脚線美の誘惑」第2弾のRyan Kisor『Donna Lee』。どの曲でも、ライアン・カイザーの自由奔放で爽快感溢れるペットが堪能でき、印象的なフレーズが耳に優しい。ライアンのアルバムの中でのベストなアルバムと言っても、差し支えないほどの出来だ。

 
 

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2013年10月16日 (水曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その5

ジャズのアルバム・ジャケットの中で、今回は「一目惚れ・ジャケ買い」がテーマである。ジャズのアルバムには、何故か外国人女性の写真をあしらった、アーティスティックで、魅力的なアルバムを4枚ほどご紹介した。

今回からは、ちょっと目線を変えて「脚線美」をテーマに、「一目惚れ・ジャケ買い」な、アーティスティックで、魅力的なアルバムを何枚か、ご紹介したい。

ジャズのアルバム・ジャケットには、なぜか女性の美しい足を中心とした、優れたデザインのジャケットがある。僕は、70年代ロックのアルバム・コレクターでもあるのだが、ジャズの様に「女性の足」を中心としたジャケットってほとんど無い。ジャズならではのデザインなんだろう。そこで、今回のテーマが「脚線美の誘惑」(笑)。

ジャズのアルバム・ジャケットで「脚線美の誘惑」とくれば、ジャズ鑑賞のベテランの方々、皆、パッと浮かぶのが「これ」でしょう。ブルーノートの1588番、Sonny Clark『Cool Struttin'』(写真左)。

スリット入りのタイト・スカートを履いたキャリア・ウーマンらしき女性が、颯爽とマンハッタンを闊歩しているジャケット。く〜っ格好いい。しかも、白黒写真に白抜きの文字、そして、黄色の文字がさりげないアクセント。ジャズメンの写真を使わず、これだけインパクトのある、粋なセンスのジャケットはそうそう無いと思う。

クール・ストラッティン(Cool Struttin')とは、スラングで「いかした歩き方」てな意味になるそうな。やや短めのタイト・スカートから、太すぎず細すぎず、ほのかに色気漂う白い足と黒のスカート&パンプスの対比が実に素晴らしい。
 

Cool_struttin

 
この足の部分だけで美人を想像させるなんざぁ、いや〜小憎らしい演出である。CDサイズでもなかなかだが、LPジャケットサイズになると、迫力が増して、実に鑑賞に堪えうる、実に素晴らしいデザインとなるのだ。

さて、アルバムの中身の演奏と言えば「ジャケットの優れたアルバムに、ハズレは無い」。まず、ソニー・クラークのオリジナルが良い。ジャケット写真通りの「いかした歩き方」をジャズ演奏に置き換えたかの様な、覚えやすいメロディのタイトル曲がまず良い。ゆったりとしたテンポで、実にファンキーな演奏だ。

そして、マイナー調の2曲目「Blue Minor」でため息。このマイナー調のファンキーな演奏は、ハード・ バップ代表する名演だろう。ジャズの雰囲気バッチリです。あっという間にその世界に引き込まれてしまいます。

この冒頭2曲の演奏は実に強力。アート・ファーマーとジャッキー・マクリーンをフロントとする2管クインテットが素晴らしく、そのマクリーンの、ちょっとはずれたような泣きのアルトが情感たっぷりで大満足。

他の演奏もすこぶる好調で、ソニー・クラークのちょっと翳りのあるファンキーなピアノを愛でるに相応しい、優れた演奏ばかりです。しかし、どうしてこのアルバムが、アメリカのジャズ雑誌「ダウンビート」での初出時の評価が三つ星だったのか。日本では人気投票で常に上位に入る大名盤なのにね。

1958年録音の本作を聴くと、即座にハード・バップ全盛期にタイム・スリップ。とにかくこのアルバムには「これがハード・バップ、これがファンキー・ジャズ」といった当時の雰囲気が充満しているのだ。

 
 

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2013年10月 7日 (月曜日)

ジャケ買い「海外女性編」その4

ジャズのアルバム・ジャケットの中で、今回は「一目惚れ・ジャケ買い」がテーマである。ジャズのアルバムには、何故か外国人女性の写真をあしらった、アーティスティックで、男性にとっては実に魅力的なアルバムが多々ある。

さて今日はジーン・ディノヴィ(Gene Dinovi)の快作である。非常に口当たりの良い音を聴かせてくれるマシュマロ・レーベルの看板ピアニストであるジーン・ディノヴィが、70歳半ばにもなる年齢(録音当時)にも拘わらず、優しくも品のある、ダイナミックな演奏を聴かせてくれる、なかなかのアルバムなのだ。

そのアルバムとは、Gene Dinovi『So in Love』(写真左)。2001年3月、カナダでの録音。ちなみにパーソネルは、Gene DiNovi (p), Neil Swainson (b), Terry Clarke (ds)。

さて、ジーン・ディノヴィというジャズ・ピアニストの名前、あんまり馴染みの無い方もおられるでしょうから、ここでちょっとご紹介しておきましょう。

ジーン・ディノヴィは、1928年5月26日ニューヨーク生まれ。1945年、ニューヨーク52番街でジャズ・ピアニストとしての音楽生活を始める。16歳の時ディジィー・ガレスビーのバンドに参加。ペギー・リーやリナ・ホーン、ダイナ・ショアの伴奏も務め、サヴォイ・デッカ等に録音を残す。

ニューヨークの活動の後、1960年代にはハリウッドに渡り、映画やテレビの音楽を担当。1970年代にはカナダのトロントに移りカナダのラジオ・テレビに出演。コンサート・クラブやレコーディング等の音楽活動を経て、1990 年来日時にマシュマロレコードと契約し、初のリーダーアルバム「Preciious Moment」をリリース。

その後、マシュマロレコードから計5枚のリーダーアルバムを出す。という経歴からすると、ジャズ・シーンでは、あんまり目立った活躍をすることなく、1990年代になって、なぜがブレイクしたという変わり種ピアニストです。
 

So_in_love

 
「非常に口当たりの良い音」と聞いて、ビル・エバンスを思いっきり甘ったるくした、ムード音楽のような耽美的なピアノを思い浮かべて「そりゃ勘弁」と思われる方も多いでしょう。その印象を持って、1曲目の「So in Love」の冒頭の演奏を聴くと「そら見たことか」となるのですが、この曲の途中の展開部から様相が変わります。

結構、ダイナミックな演奏が繰り広げられ、スイング感も抜群。このダイナミックな展開を演奏するピアニストが、本当に70歳半ばなのか、と耳を疑いたくなる。とにかく、しっかりとした、ダイナミックな、正統派な素晴らしいジャズ・ピアノです。是非とも、ご一聴を。

このアルバム、魅力的な女性の写真もさることながら、ジャケット全体の作りが非常に良い。CD時代になって、はや四半世紀が過ぎようとしている。その長い歴史の割には、ジャケットがお粗末のままだと思いませんか?

未だに、新譜などは味気ないプラスティック・ケース仕様が主流を占め、あまりCDならではのジャケット・デザインも見あたらない。紙ジャケットも良いが、CD時代ならではの、CDサイズ前提のアルバム・ジャケットはないものか、と思っていた矢先にこのアルバムに出逢った。

デジ・パック仕様でありながら安っぽさは全く無く、ジャケットは厚いコーティングを施した上質なもの。インナーはジャケットにしっかりと綴じ付けされており、本のようにページをめくりながら読めるのも楽しい。サイズも一回り大きく、迫力もあって、魅力的な女性のジャケット写真がグッと迫る感じ。

ジャケットは内容を表すというが、このジャケットを見て、ジーン・ディノヴィが「口当たりが良く、優しく品のある、ダイナミックな演奏を聴かせてくれる」ことを至極納得した次第です。

 
 

大震災から2年半。決して忘れない。まだ2年半。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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