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2017年4月25日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・52

オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。と昨日、書いた。確かにそうやなあ、と思う。昼ご飯が終わった後、食後の珈琲を飲みつつ、天気が良ければ、外の陽射しを楽しみつつ、ちょっと微睡みながら聴くオールド・スタイルのテナーは絶品である。

オールド・スタイルのテナーと言うことで昨日は「ベン・ウェブスター」のリーダー作を聴いた。オールド・スタイルのテナーと言えば、オールド・スタイルのテナーの次に、コールマン・ホーキンスが浮かぶ。ウェブスターは情感溢れるテナーが個性だが、ホーキンスのテナーは元気一杯、明朗に吹きまくるテナーが魅力。

そんな明朗に吹きまくるホーキンスのテナーが楽しめるリーダー作がこれ。Coleman Hawkins『The Hawk Flies High』(写真左)。1957年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Idrees Sulieman (tp), JJ Johnson (tb), Hank Jones (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds)。ギター、トロンボーンも入ったセプテット構成。Riversideレーベルからのリリース。
 

The_hawk_flies_high

 
ホーキンスは収録された全ての曲において、明朗に吹きまくっている。豪快かつ大らかに吹きまくるホーキンスは、とっても頼もしい。加えて、トランペットのシュリーマンが凄く元気に吹きまくる。とにかくすっごく元気なトランペットが明らかに目立っている。ピアノのハンクは渋いバッキングを披露し、J.J.のトロンボーンもアンサンブルの良いアクセントになっている。

1957年の録音だが、演奏の内容は当時のハードバップ最先端にはほど遠い、どちらかと言えば、スイング時代からビ・バップ時代へ移行する時期の、オールド・スタイルのモダン・ジャズという風情。昭和30年代のジャズ喫茶の雰囲気がプンプンする。決して、テクニックに過ぎることは無く、ジャズとして楽しい演奏を繰り出していく。

ホーキンスは明朗に吹きまくるテナーなんだが、そこはかとなく、ブルージーでマイナーな雰囲気が漂うところが良い。春の儚さと良く似た雰囲気。楽しゅうてやがて悲しき、というか、楽しゅうてやがてブルージー。そんなホーキンスのテナーは、ジャズ喫茶の昼下がりによく似合う。

 
 

震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月24日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・51

ジャズにおいて、テナー・サックスはフロント楽器の花形である。ジャズのフロント楽器と言えば、テナー・サックスとトランペットが人気を二分する。特に、テナー・サックスは、音が太く大きく、音の表現のバリエーションが豊か。リード楽器が故に、長い時間、ソロを取ることが出来るところは無敵である。

ジャズの世界で、テナー・サックス奏者は多い。様々な個性、スタイルのテナー奏者がキラ星の如く顔を並べ、ほんと飽きない。飽きないどころが、どんどんテナー奏者の個性の「沼」にずぶずぶと填まっていく。あれも良い、これも良い、としている間に自分の好みが判らなくなる(笑)。

オールド・スタイルのテナーも良い。Ben Webster『Soulville』(写真左)。1957年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Ray Brown (b), Herb Ellis (g), Stan Levey (ds), Oscar Peterson (p)。アーリー・ジャズ期から活躍したベン・ウェブスターのワンホーン、ギター入りクインテット。ヴァーヴ・レコードからのリリースだけど、ジャケットは「やっつけ」(笑)。
 

Soulville_ben_webster  

 
ウエブスターが難しいこと無く、ただ漆黒のブルージーなテナーを吹き上げる。太く力強く、時に優しく、時に繊細に、そして、時々、豪快にテナーを吹き上げる。とっても味のあるテナー・サックスに惚れ惚れする。モードだのコードだの、ビ・バップだのハードバップだの、何処吹く風。ウエブスターは悠然と自分のテナーを吹き上げる。

伴奏上手のオスカー・ピーターソンが何時になく神妙にバッキングし、ウエブスターを支え、レイ・ブラウンのベースがビートの底をガッチリ支える。そして、小粋なハーブ・エリスのギターが渋くファンキーにウエブスターのテナーの音色に彩りを添える。スタン・リービーの乾いたドラムが意外と個性的。バックを支えるジャズメン達は、皆、ウエブスターを支え惹き立てる。

ハードバップ時代の演奏ですが、スイング時代の演奏の様でもあり、時代を超えた、ベン・ウエブスターならではのモダン・ジャズな演奏がここにあります。収録されたどの演奏も明らかに「モダン・ジャズ」。音質に問題のある箇所もあるんだけど気にしない。オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。

 
 

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2017年4月13日 (木曜日)

R&Bのボーカルものは大好き

昔から正統派なジャズ・ボーカルが苦手である。というか、好んで聴くことは全く少ない。なんでかなあ、と思い返してみる。ジャズ・ボーカルの中でも、レジェンドと呼ばれる女性ジャズ・ボーカルが苦手。1940年代から1950年代に活躍した女性ボーカリストって、皆、こぶしを回したり、唸ったりで、これがどうにも「苦手」。

じゃあ、ボーカルものって聴かないのか、と問われれば、いやいや、今を遡ること45年ほど前、中学時代から、R&B系のボーカル、当時は「ソウル・ミュージック」というジャンル名だったが、このR&B系のボーカルは妙に自分の感性にフィットするみたいで、ジャズの合間の耳休めに聴くことが多い。

例えば、『Roberta Flack & Donny Hathaway』(写真)。ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが1972年に連名で発表したスタジオ・アルバム。これを初めて聴いたのは1979年。例の大学の近くの「秘密の喫茶店」で聴かせて貰った。静かなバラード系の曲が多く選曲されていて、とっても落ち着いた、大人のソウル・ミュージックである。
 

Roberta_flack_donny_hathaway

 
両人ともスッと伸びるシュッとした声質、こぶしを回すことも唸ることもなく、シンプルに唄い上げていく。それでいて、さすがに黒人系のR&Bらしく、そこはかとなく漂うファンクネスと仄かな粘り。こういうボーカルであれば全くOKである。というか、聴き心地満点で思わずウットリである。加えて、両人とも歌がとてつもなく上手い。

2曲目のキャロル・キングの「You've got a friend」は絶品だ。バックのエレクトリックな明らかにR&Bな伴奏にのって、ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが、ユニゾン、ハーモニー織り交ぜながら、感情豊かにシンプルに唄い上げていく。他にも、ジャズ・スタンダードな「For all we know」もシンプルで良い。他の曲も...皆...良い。

レジェンドなジャズ・ボーカルは苦手だけど、黒人が主役のR&Bのボーカルものは大好き。この辺が、私こと松和のマスターの複雑なところで、バーチャル音楽喫茶『松和』では、お昼ご飯が済んだ昼下がりに「R&Bのボーカルもの」をよく選盤する。これがまあ微睡むような心地良さで、これがもう「たまらない」。

 
 

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2017年3月 8日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・50

全く無名のテナー奏者だって、凄いプレイを聴かせてくれることがある。ジャズ・テナーって、なにもコルトレーンやロリンズやゲッツだけでは無い。たまに、コアなジャズ盤紹介本を眺めていて、これは、という盤に巡り会う。聞いたこと無い名前だなあ、と思うんだが、これが聴いてみると凄い、ってことがたまにある。

Bruce Eskovitz『One for Newk』(写真左)。テナー奏者ブルース・エスコービッツの好盤。1995年のリリース。ちなみにパーソネルは、Bruce Eskovitz (ts), Lawrence Marable (ds), Ray Drummond (b), Bill Mays (p), Charlie Shoemake (vib)。ヴァイブ入りのクインテット。

タイトルと収録曲の曲目を見ると、この盤は「ソニー・ロリンズ・トリビュート」であることが判る。タイトルの「Newk(ニュークス)」は、1950年代後半、ソニー・ロリンズのニックネーム。ロリンズは顔がニューカムに似ていることから「ニュークス」と呼ばれていた。ニューカムとは、メジャーリーガーのドン・ニューカムのことで、愛称が「ニュークス」なのだ。

とは言え、じゃあ、このエスコービッツのテナーは、ロリンズの様な豪放磊落、大らかでスケールの大きいテナーを吹くのか、と言えばそうではない。ボボボボという低音を響かせて吹き上げる、ちょっとオールド・スタイルの入った、それでいて、テクニカルで疾走感のあるテナー。オールド・スタイルと新しいスタイルが混ざりあった「オールド・スタイルのコルトレーン」の様な雰囲気。
 

One_for_newk1

 
こんなエスコービッツのテナーが、ロリンズゆかりの佳曲を、バリバリ、ブリブリ吹きまくる。テナーの低音部分を上手く使いながら、重心の低い疾走感溢れるアドリブ・フレーズをこれでもか、と言わんばかりに吹きまくる。ドラムがリズム・キープに徹している分、テナーのフレーズが前面に押し出て、とても聴き取り易い。

逆にロリンズがことある毎に避け続けた「ピアノ」については、この盤ではリズム&ビートを供給する役割に重きを置いているので、テナーのフレーズの吹き回しとバッティングすることは無い。それが証拠に、エスコービッツのテナーは自由に吹きたい様に吹きまくっている。

我が国ではほとんど無名なブルース・エスコービッツであるが、このロリンズ・トリビュート盤でのテナーは凄い。他のアルバムももちろん聴いたことは無いが、この盤は素晴らしい。これだけ個性的なテナーをバリバリ吹きまくる様を聴けるアルバムはそうそう無い。これ一枚でも十分に満足だ。

これだけ清々しく吹きまくるテナーって、僕のイメージだと、昼下がりのジャズ喫茶で流すのにピッタリじゃあないかと。客もまばらなジャズ喫茶の昼下がりに、こんな「知る人ぞ知る」、これだけ個性的なテナーをバリバリ吹きまくるアルバムを流す。昼過ぎの微睡みを一掃するような爽快盤。良い感じです。

 
 

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2017年3月 7日 (火曜日)

活き活きとしたハンクが躍動する

いやいや驚いた。こんなライブ盤があったなんて、『僕が選んだ「いい音ジャズ」201枚 〜オーディオファンも聴いておきたい優秀録音盤』を読んで、僕はその存在を初めて知った。いやいや申し訳ない。ハンク・ジョーンズのピアノが大好きなのに、このライブ盤は全くノーマークだった。

Hank Jones『Trio 1979』(写真左)。サブタイトルが「Live in Japan」。1979年、日本は鹿児島でのコンサートのライヴ録音である。2010年にリリースされた。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), George Duvivier (b), Shelly Manne (ds)。

燻し銀なバップ・ピアニストであるハンク・ジョーンズ。典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗。そんな小粋なハンクのピアノを心ゆくまで堪能出来るライブ盤である。こんなライブ音源が残っていたなんて、なんて勿体ない。収録されたスタンダード曲もどれもが魅力的な選曲で、いやはや凄いライブ盤だ。
 

Trio_1979_hank_jones

 
そして、ベースがジョージ・デュビビエ、ドラムがシェリー・マン。ジャズ者ベテランであれば、この二人の名前を見れば「うへへ〜」である。二人ともハードバップ・ジャズの名手中の名手。デュビビエの骨太で鋼の様にしなやかなアコースティック・ベース。マンの様々なテクニックを繰り出すが決して耳に付かない、小粋で職人芸なドラミング。

そしてそして、この3人のトリオのダイナミズムがバッチリ録音されているのだ。この盤、異様なまでに音が良い。1979年の録音であるが、異様なまでに音が良い。生々しく躍動感溢れ、それぞれの楽器の音が自然に響く。コンサートホールの奥行きもしっかり感じられ、ライブ感が半端無い。これ、凄いですぞ。一聴の価値ありです。

2010年5月、91歳で他界したジャズ・ピアノの巨人、ミスター・スタンダードことハンク・ジョーンズの追悼盤。しかし、ハンクはあの世に旅立ってから、もう7年になるのか。しかし、録音資産とは有り難いもので、この盤は僕達を1979年の鹿児島のコンサート会場へ連れて行ってくれる。この『Trio 1979』には、活き活きとしたハンクが躍動している。

 
 

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2017年3月 2日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・49

「これぞジャズじゃ」と皆に言われるよな、こってこてジャジーなハードバップをやろうぜ、とメンバー全員で話し合ったかの様な演奏。始まりの一音から終わりの一音まで、徹頭徹尾、これぞジャズってな感じのハードバップがブワーっと演奏される。そんな思いっきりジャズな演奏がぎっしり詰まったアルバムがある。

The Dave Bailey Sextet『Bash!』(写真)。1961年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Bailey (ds), Kenny Dorham (tp), Curtis Fuller (tb), Frank Haynes (ts), Tommy Flanagan (p), Ben Tucker (b)。

60年代初頭にわずか5枚のアルバムを残しただけで疾風のように消えていった、超幻のレーベル「JAZZTIME/JAZZLINE」の、そのわずか5枚の中の一枚。これがまあ、思いっきりジャズしているのだ。どの楽器の演奏を取っても、どのアドリブ・フレーズを取っても、明らかにジャズなのだ。明らかにハードバップなのだ。

リーダーのデイヴ・ベイリーはドラマー。堅実で多彩なドラミングを披露する。そして、まずドーハムのトラペットの音色に耳を奪われる。いつものドーハムよりもアグレッシブで尖っている。どうしたんだドーハム。凄く格好良いぞ。このテナーって誰だ、と思う位、素晴らしいブロウを繰り広げる、知る人ぞ知る名テナーマンのフランク・ヘインズ。
 

Bash

 
ほんわか優しいフレーズが嬉しいフラーのトロンボーン。バリバリ吹きまくるペットとテナーの音を大きく包んで、ふんわり柔らかなユニゾン&ハーモニーに早変わり。そして、ところどころで、とっても小粋で洒落た、それでいて骨のあるバップなピアノが展開される。あれ、これって、と思う。そうトミフラだ。名盤請負人のトミフラの燻し銀ピアノ。

そして、そんなフロント、そしてリズム・セクションの楽器を底でガッチリ支えて、ブンブンと重低音を響かせてのし歩くベン/タッカーのベース。このタッカーのアコベの音がとても骨太で生々しい。

そう、このアルバム、加えて音が良い。良い音が録音されている。1961年の録音である。多少のノイズはある。でも、そのノイズを凌駕する「ジャジーな音」。

こんなに明確にジャズしているアルバムも珍しい。演奏全体の雰囲気は明らかにハードバップ。アルバムの最初から最後まで「これぞジャズじゃ」。良いアルバムです。ジャケット・デザインも明らかにジャズしていて良好。いやはや、このアルバムには参った参った。

 
 

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2017年2月 8日 (水曜日)

渋いテナー・サックス盤もう一枚

昨日に引き続き、ジャズ喫茶御用達な、粋で聴き応え満点の渋い渋いサックスのアルバムをもう一枚。こういう渋いアルバムって、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌などには、まずその名が挙がることは無い。

Buck Hill『This Is Buck Hill』(写真左)。1978年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Buck Hill (ts). Buster Williams (b), Billy Hart (ds), Kenny Barron (p)。さすが、SteepleChaseレーベルからのリリース。メンバーが実に良い。バックを務めるピアノ・トリオのラインナップを見るだけで、この盤の音の確かさが想像出来る。

バック・ヒルは1927年生まれ。今年で90歳になる。まだ鬼籍に入ったという報は聞いたことがないので存命なのだろう。この『This Is Buck Hill』というアルバムは、バック・ヒルの初リーダー作で51歳の時の作品になる。明らかに遅咲きのテナーマンである。しかし、さすがはSteepleChaseレーベル、目の付け所が違う。よくぞ、このテナーマンのプレイに着目して録音を重ねたもんだ。
 

This_is_buck_hill1

 
さて、このアルバム、バック・ヒルのテナーのワンホーン・カルテットの作品なので、心ゆくまで、バック・ヒルのテナーを愛でることが出来る。豪快かつ流麗なアドリブ・フレーズ。何の捻りも無い、ただただストレートかつ爽快なブロウ。これぞテナー・サックス、と言いたくなるような、気持ちの良いテナー・ブロウを聴かせてくれる。

ベースを担当するバスター・ウイリアムス作の「Tokudo」が魅力的。個性溢れるストレートアヘッドな純ジャズ・テナーを聴かせてくれる。2曲目のスタンダードなバラード名曲「Yesterdays」では、バック・ヒルのテナーの素性の良さとハードバップな展開を愛でることが出来る。そして、3曲目のミュージシャンズ・チューンであるロリンズの「Oleo」では、バックの優秀なピアノ・トリオと一体となった、素晴らしい、雄々しいテナーを聴かせてくれるのだ。

この冒頭の3曲で、バック・ヒルのテナーの優秀性を魅力を十分に体感することが出来る。後は推して知るべし。こんなに素晴らしい内容のワン・ホーン・カルテットの演奏が、1978年の録音されていたなんて。目から鱗なバック・ヒルの好盤です。

 
 

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2017年2月 4日 (土曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・48

冬にジャズ・ギターが良く似合う。気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう季節は、暖かい部屋の中で珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター(略してアコギ)。

一昨日、そんなフレーズを書いた。アコギの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤をもう一枚。

John Scofield『Quiet』(写真左)。1996年のリリース。捻れエレギのジョン・スコフィールド(略してジョンスコ)。素敵に捻れたエレギを弾く、現代ジャズ・ギターの代表格の一人。1951年生まれなので65歳になる。もう大ベテランの域に達している。そんなジョンスコが45歳の時に録音した、ジョンスコがアコギを弾いたアルバムである。

ジョンスコのエレギは「捻れ」のフレーズが個性。マイルス・デイヴィスのバンドにも招聘された、とっても素敵に「捻れた」エレギの使い手である。そんなジョンスコである。さぞかし「捻れたアコギ」のプレイを聴かせてくれるのだろう、と期待するのだが、そもそも「捻れたアコギ」ってどんな音なんだ(笑)。
 

Quiet_john_scofield

 
最初の一曲目「After The Fact」のジョンスコのアコギを聴けば、そんな期待は良い意味で裏切られる。ジョンスコのアコギは、徹頭徹尾、真っ当な正統派、オーソドックスなジャズ・アコギのプレイである。しかも上手い。

「エレギとアコギは違う」とギタリスト達は口を揃えて言う。僕もちょっとだけギターを弾けるので、ギタリストらの意見は理解出来る。エレギの使い手は必ずしもアコギの使い手にはあらず、ということなんだろうが、一昨日ご紹介したディ・メオラや、今日のジョンスコはその法則には当てはまらない。

アドリブ・フレーズは流麗ではあるが悠然。コマーシャルな雰囲気は一切無い。ここまで凜としてストイックなアコギのプレイは、実にアーティスティック。使っているアコギはナイロン弦。このナイロン弦のアコギはジャズ・ギターとしてのもの。決して、クラシックギターのそれでは無い。このアルバムを聴く限り、ジャズとしてジョンスコのアコギは、なかなかに健闘していると感じる。

フレンチホルン、バス・クラリネットなどを加えた異色なホーン編成のバッキングを聴いていると、思わず「ギル・エバンス楽団」を思い出してしまいます。よい雰囲気のバッキングを得て、ジョンスコのアコギは誠実に内省的に、リリカルで印象的なフレーズを紡ぎ上げていきます。

 
 

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2017年2月 2日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・47

日中の気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう時は暖かい部屋の中で、コクのある珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター。

アコースティック・ギターの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤を探す。

『Di Meola Plays Piazzolla』(写真左)。1996年のリリース。超絶技巧なエレギで一世を風靡したアル・ディ・メオラ(Al Di Meola)。そんなアル・ディ・メオラがアコギを弾きまくる。

しかも、タンゴの革命児、モダン・タンゴの父と言われる、アルゼンチン出身のBandoneon奏者&作曲家 Astor Piazzolla(アストル・ピアソラ)の名曲を弾きまくるという、凄い内容の企画盤。

ディ・メオラがタンゴを弾く。どんなタンゴになるんだ、と思いながら聴く。と、これが「絵に描いた様なタンゴ」な演奏にはならない。さすがはディ・メオラ。自ら迎合することは絶対に無い。
 

Di_meola_plays_piazzolla1

 
ピアソラ・トリビュートなアルバムながら、正統なタンゴ演奏にはならず、ピアソラの名曲の旋律の美しさを、ディ・メオラ独特のフュージョン・ジャズなフィーリングで弾きまくる。

エレギだと、あまりの超絶技巧な弾きっぷりに、ちょっとお腹いっぱいになってしまいがちなディ・メオラであるが、これがアコギになると、あ〜ら不思議。お腹にもたれることも無く、スッキリすんなり心地良く耳に響くのだ。ディ・メオラの超絶技巧さが良い方向に作用している。

そんなスッキリすんなり心地良く耳に響くアコギの音色に乗って、ピアソラの哀愁感溢れる名曲の旋律が駆け抜けていく。アコギの音色にタンゴの哀愁感が良く似合う。程良く抑制されたアコギの音色がタンゴの哀愁感を増幅させる。

ドラムは無い。ベースも無い。伴奏にピアノが入り、パーカッションがリズムを刻むのみ。バンドネオンの哀愁感溢れる音色が良いアクセント。基本的にディ・メオラのアコギがメイン。超絶技巧なディ・メオラのギターにはそれで十分。心地良い音の密度である。

 
 

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2016年12月26日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・46

クリスマス週間もあっという間に終わり、もう年の瀬である。今年もあと5日で終わり。年の瀬は「穏やかに」過ごしたい。特に、昼ご飯を済ませた、この年の暮れの昼下がりには、本当に「穏やかな時間」が欲しいなあ、と心から思う。

さて、この年の暮れの昼下がりを穏やかに過ごすには、ジャズは「ピアノ・トリオ」が良い。それも、オーソドックスな、ハードバップな、何処から聴いても「ジャズ」を感じることができる「ピアノ・トリオ」盤が良い。

ということで、今年の新盤からこのアルバムを選択。Massimo Farao Trio『Groovin’』(写真左)。2016年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Massimo Farao (p),  Aldo Zunino (b), Steve Williams (ds)。ビーナス・レコードからのリリース。

Massimo Farao(マッシモ・ファラオ)は、人気イタリアン・ピアニスト。1965年3月生まれなので、今年で51歳。中堅〜ベテラン・ジャズメン。端正でダイナミック、小粋にスマートにスイングするピアノが個性。そんな人気イタリアン・ピアニストの完璧なハードバップ盤。徹頭徹尾「ジャズの見本」の様な盤。

収録された曲は以下のとおり。どうやって選んだのか、とにかく「渋い渋い」スタンダード曲がずらりと並ぶ。皆が知っている、初心者向けの「ど・スタンダード曲」を選んでいないのが良い。このラインアップは「ジャズ者初心者向け」ではないだろう。これは「ジャズ者上級者向け」でしょう。
 

Massimo_farao_groovin

 
 
1. It's All Right With Me (C. Porter)
2. If I Should Lose You (R. Rainger)
3. It's A Blue World (R. Wright)
4. For Sentimental Reasons (W. P. Best)
5. Awful Mean (J. C. Adderley)
6. Bye Bye Blackbird (R. Henderson)
7. Sugar Ray (P. Newborn, Jr)
8. The Nearness Of You (H. Carmichael)
9. Teach Me Tonight (G. De Paul)
10. Temperance (W. Kelly)
 

端正でブルージー。清々しいファンクネスが爽やか。さすが、イタリア産のハードバップ・ジャズである。とにかく、カッチリと作り込まれている。絵に描いた様なハードバップ。ベースはブンブン唸りを上げ、ドラムはストンすととん、とスインギーにリズム&ビートを供給する。聴いていて「あ〜ジャズって良いなあ」と唸ってしまう。

あまりに絵に描いた様なハードバップなピアノ・トリオ盤なので、もしかしたら、硬派なジャズ者の方々からしたら「こんなん聴けへんわ」と敬遠するかもしれませんが、そんな野暮なことを言ってはいけません。

暮れも押し詰まった頃、慌ただしい暮れを穏やかに過ごすには、オーソドックスな、ハードバップな、何処から聴いても「ジャズ」を感じることができる「ピアノ・トリオ」盤も良いもんですよ。こだわりを捨てて、一時、楽しみましょう。

 
 

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