2023年9月27日 (水曜日)

「CASIOPEA-P4」の2nd.盤

日本のフュージョン・ジャズ(和フュージョン・ジャズ)の名盤・好盤を聴き直していると、必ず、ぶち当たるフュージョン・ジャズのグループが2つある。ひとつは、1977年結成の「CACIOPEA(カシオペア)」、もうひとつは、1976年結成の「T-SQUARE(ティー・スクエア)」。和フュージョン・ジャズの老舗中の2つの老舗バンド。

その老舗バンドのひとつ、カシオペアは、バリバリ硬派な、思いっ切りハイ・テクニックな、疾走感と切れ味抜群のフュージョン・バンドだった。デビューは1977年。幾度かのメンバー変遷と2006年から2011年までの活動休止期間を経て、第1期〜第2期「CACIOPEA」、第3期「CASIOPEA 3rd」、第4期「CASIOPEA-P4」とバンド名をマイナーチェンジしながら、現在も活動中。

CASIOPEA-P4『New Beginning(Live at EX THEATER ROPPONGI Dec.11.2022)』(写真左)。2022年12月11日、EX THEATER ROPPONGIでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 大高清美 (key), 鳴瀬喜博 (b), 今井義頼(ds)。CASIOPEA-P4名義の2枚目のアルバムになる。

もともと、カシオペアは、フロント楽器がギターで、バックにリズム・セクションという編成で、長らくギター・サウンドが前面に押し出された「ギター・バンド」志向なフュージョン・ミュージックが身上だった。
 

Casiopeap4_new-beginning

 
が、CASIOPEA-P4になって、野呂のギターはそのままだが、大高のキーボードがフロントの一定の割合をコンスタントに担う様なサウンド構成に変化している。今回のこのライヴ盤は、そんなギター+キーボードが双頭フロントのバリバリ硬派な、思いっ切りハイ・テクニックな、疾走感と切れ味抜群のフュージョン・バンドのパフォーマンスが、CD2枚組の中にギッシリ詰まっている。

CASIOPEA-P4名義の初アルバム『NEW TOPICS』では、キーボードがかなり前面に出ていた印象があるが、このライヴ盤では、イーブン・イーブンの割合になっていて、バランスが取れている印象。

1970年代のプログレッシブ・ロック、もしくは、キーボードがメインのジャズ・ロックの様な音志向に変化はしたが、このライヴ盤を聴く限り、デビュー当時のバンドのキャッチ・フレーズである「スリル・スピード・スーパーテクニック」はしっかり踏襲されている。

逆に、キーボードが前面に出たことによって、アダルト・オリエンテッドな雰囲気が濃厚になって、大人のフュージョン・ジャズという雰囲気がとても魅力的。まだまだ、我が国における、最高峰のエレ・ジャズ・バンドの位置をキープしている。僕はこのCASIOPEA-P4の音を好ましく聴いた。
 
 

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  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年9月26日 (火曜日)

T-SQUARE45周年記念アルバム

最近、日本のフュージョン・ジャズ(和フュージョン・ジャズ)の名盤・好盤を聴き直しているのだが、意外と内容充実の盤が多い。演奏テクニックは申し分無く、歌心もあり、オリジナルの楽曲もメロディーラインの魅力的な佳曲ばかりで、十分、世界と渡り合えるレベルのアルバムを量産していたことを再認識している。

そんな和フュージョンの名盤・好盤を聴き直していくと、必ず、ぶち当たるフュージョン・ジャズのグループが2つある。ひとつは、1977年結成の「CACIOPEA(カシオペア)」、もうひとつは、1976年結成の「T-SQUARE(ティー・スクエア)」。和フュージョン・ジャズの老舗中の2つの老舗バンド。フュージョン・バンド・ブームの中、この2つのグループで人気を二分して大いに盛り上がっていた。

T-SQUARE『Vento De Felicidade 〜しあわせの風〜』(写真左)。2023年5月31日のリリース。T-SQUARE45周年記念アルバム。現メンバーの伊東たけしと坂東慧に加え、歴代のメンバーの中から、安藤正容、河野啓三、仙波清彦、久米大作、田中豊雪、長谷部徹、則竹裕之、須藤満、本田雅人、松本圭司、宮崎隆睦、サポート・メンバーの田中晋吾、白井アキト、外園一馬、山崎千裕が顔を揃えている。加えて、ゲストとして、渡辺香津美と鳥山雄司、TOKUが参加。
 

Tsquarevento-de-felicidade

 
『WISH』では、確実にスムース・ジャズ化したT-SQUARE。アルバムの出来はそつなく優秀、よく聴けば、T-SQUAREらしさは押さえられている。しかし、今回の「スムース・ジャズ志向」の耳当たりの良いサウンドは、恐らく「賛否両論」だろう、と感じた。ポップス度、ロック志向が強かったサウンドが、一気にスムース・ジャズ化したのだから無理は無い。

以前は「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」とは言っても、ジャズ度はほどよく漂い、演奏のフレーズには、どこかジャズ・ライクな捻りや「引っ掛かり」があったりして、ポップでロックな雰囲気はあるが、基本的にはフュージョン・ジャズの音志向を貫いていたと思う。と思っていたら、この最新盤では、そんな従来からのT-SQUAREサウンドが戻って来ている。

爽快感に溢れた、落ち着いた雰囲気の、大人の「ポップでロックなフュージョン・ジャズ」、大人のT-SQUAREサウンドが、実に心地良く響いてくる。従来からのT-SQUAREサウンドが戻って来て、安心して聴ける、T-SQUARE45周年記念アルバム。もう結成から45年経ったなんて思えない、フレッシュで若々しい明るいサウンドが、とても気持ち良い。気分爽快な和フュージョン・ジャズ盤である。
 
 

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2023年9月25日 (月曜日)

日本人によるディキシーランド

我が国のジャズ・ピアノの雄、小曽根 真(おぞね まこと)。1984年に初リーダー作『OZONE』で、メジャー・デビューして以来、はや39年。小曽根は1961年生まれなので、今年で62歳になる。もうベテランの域。つい最近デビューして、活躍してんな〜、なんて思いつつ、リーダー作は目についたら、まめに聴いていたのだが、もう62歳になるんやね〜。

小曽根 真『Park Street Kids』(写真左)。2022年の作品。渋谷 BODY & SOULでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、小曽根 真 (p), 中川 喜弘 (tp, vo), 中川 英二郎 (tb, vo), 中村 健吾 (b), 高橋 信之介 (ds) のクインテット編成に、スペシャル・ゲストとして、北村 英治 (cl) が参加している。

冒頭「MississippiRag」から、ディキシーランド・ジャズ志向の演奏全開。ジャケを見て、北村英治のクラリネットがフィーチャリングされているので、スイング・ジャズかと思って身構えて聴き始めたら、ディキシーランド・ジャズがボワッと出てきたので、思わず仰け反る(笑)。現代の硬派なメインストリーム志向の純ジャズのテイストで、ディキシーランド・ジャズをやる。ウィントン・マルサリスが聴いたら、怒ってくるかも(笑)。
 

Park-street-kids

 
端正で切れ味良く、重心が低くファンクネス控えめの「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズが展開されていて、聴き応えは抜群に良い。ストライドやブギウギのフレーズも織り交ぜながら、骨太で硬質タッチで流麗な小曽根のピアノが良い味を出している。単純に聴いていて、とても楽しいオールド・スタイルのピアノ。ラグタイムも良い味を出している。小曽根のピアノ・テクニック恐るべしである。

そんな「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズの中に、北村英治の小粋で流麗、真摯で明るいクラリネットが飛翔する。北村英治って、1929年(昭和4年)生まれなので、今年で94歳。この盤での北村のクラリネットの力感と流麗な運指を聴いていると、とても93歳(録音当時)とは思えない。まだまだ現役、まだまだ第一線のクラリネットが、実に良い雰囲気で鳴り響く。

今のジャズ、今の音で表現した「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズ。聴いていて、なんだかリラックス出来て、何となく幸せな気分に浸りながら、ゆったりとディキシーランド・ジャズに身を委ねことが出来る。テンションの高い純ジャズとは正反対の音作り。でも、これはこれで良い雰囲気。これはこれで「良いジャズ」である。
 
 

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2023年9月24日 (日曜日)

タイナーのモード・ジャズの帰還

マッコイ・タイナーが、1970年代を駆け抜けたマイルストーン・レコードから、コロンビア・レコードに移籍した訳だが、このコロンビアでリリースした2枚のアルバム『The Legend Of The Hour』(1981年録音)、『Looking Out』(1982年録音)は酷い内容のアルバムだった。

『The Legend Of The Hour』は、何故かラテン・ジャズをベースにした中途半端なフュージョン志向のアルバム。硬派でモーダルなメインストリーム志向のタイナーの面影すら無い。何を求めているのか、何を訴求しているのか全く判らないアルバムになっている。初めて聴いた時、この盤がタイナーのリーダー作とは直ぐに信じられなかった。それほど、酷い内容の落ち込みようであった。

『Looking Out』は、さらに迷走を深め、ヴォーカルをフィーチャー。共演メンバーも、カルロス・サンタナ、スタンリー・クラーク等、完全にフュージョン・ジャズ志向のメンバーで固めて、タイナー自身もシンセサイザーを弾いたりする迷走ぶり。この盤については、前作の迷走ぶりに拍車をかけた、何を狙って、何を表現したかったのかが、全く理解出来ない内容であった。

Mccoy Tyner『Dimensions』(写真)。1983年10月の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, syn), Gary Bartz (as), John Blake (vln), John Lee (b), Wilby Fletcher (ds)。迷走に迷走を重ねたコロンビア・レコードを早々に去り、この盤は、Elektra/Musicianからのリリースになる。メンバー的には、ゲイリー・バーツ以外、知らない名前ばかりが並ぶ。ふと、不安になる。
 

Mccoy-tynerdimensions

 
冒頭の「One For Dea」を聴いて、ホッとする。1970年代のタイナー節、タイナーの音世界が戻って来ている。「ワールド・ミュージックと融合した」タイナーのモード・ジャズが戻って来た。見れば、唯一、タイナーの作曲。タイナーからすれば「戻って来たぞ」と宣言したかったのだろう。この曲の音志向は、絶対に1970年代のタイナーである。

2曲目以降はタイナー作の曲は無いが、ヴァイオリンを入れたり、2曲目「Prelude to A Kiss」はピアノ・ソロ、4曲目「Just In Time」はピアノ・トリオと演奏の編成に変化を持たせていて、どの演奏編成にしても、タイナーのモーダルでパーカッシヴなピアノの個性が引き立つようにアレンジされている。いやはや、タイナーのピアノが、タイナーの音世界が戻って来た良かったなあ、とこの盤を聴いて、つくづく思った。

ちなみに、ジャケット裏面には、各曲の紹介をタイナー自身が書いている力の入れよう。しかも、最後に「I wish you many hours of good listening(何時間も楽しくお聴きいただければ幸いです)」と記して結びとしている。

「タイナー・リターンズ」。タイナーの帰還。本作は当時として、タイナーの自信作だったのだろう。ジャケットは平凡だが、確かに内容の濃いリーダー作。ジャケットは気にせず、一度は手に取って聴いて欲しい佳作である。
 
 

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2023年9月18日 (月曜日)

充実の『アフリカン・ワルツ』

リヴァーサイド・レーベルのキャノンボール・アダレイは、自らの個性を前面に出し、活き活きとしたパフォーマンスを発揮し、数々の傑作をものにしている。ひとえに、リヴァーサイドの総帥プロデューサーのオリン・キープニュースの賜物である、と僕は思っている。キャノンボールは本当に良いレーベルに巡り会えた。

Cannonball Adderley『African Waltz』(写真左)。1961年2, 5月の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ビッグバンドをバックにしたキャノンボール・アダレイの企画盤。

ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley, Joe Newman, Ernie Royal, Clark Terry, Nick Travis (tp), immy Cleveland, George Matthews, Arnett Sparrow, Melba Liston (tb), Bob Brookmeyer (valve-tb), aul Faulise (b-tb), Don Butterfield (tuba), George Dorsey (as, fl), Oliver Nelson (ts, fl), Jerome Richardson (ts, fl, piccolo), Arthur Clarke (bs), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Charlie Persip, Louis Hayes (ds), Michael Olatunji (congas, bongos), Ray Barretto (congas),

要所要所に一流ジャズマンを配置した、内容のあるスキルフルなビッグバンドをバックにした、充実の企画盤。ビッグバンドをバックにしたキャノンボールと言えば、エマーシー時代の「ウケ狙いのイージーリスニング・ジャズ」を想起して、ちょっと眉をひそめるのだが、この盤を聴けば、それは杞憂であったことにホッとする。
 

Cannonball-adderleyafrican-waltz

 
アレンジが良い。アーニー・ウィルキンスのアレンジとのことだが、1960年代のジャズ黄金期の「録音の為のビッグバンド」といった音作りがとても良い。ウィントン・ケリーのピアノ、サム・ジョーンズのベース、チャーリー・パーシップとルイス・ヘイズのドラム、この1960年代ならではのリズム・セクションが、当時の最先端のハードバップらしいリズム&ビートを供給する。これが意外と洒脱なのだ。

ホーン隊は逆に、実に「俗っぽい」。どこから聴いても、下世話なスイングの雰囲気を引き継いだ、どこから聴いても、モダン・ジャズらしい、大衆受けするユニゾン&ハーモニー。新しさは無いが、ジャズ黄金期のブラスの響き、ブリリアントな音の輝きが「どジャズ」していて、とても良い。

そんなビッグバンドをバックに、キャノンボール・アダレイの初のシングルヒット曲「African Waltz」が展開される。これがまた実に良い。ただ、この「African Waltz」は、アドリブ・パートが無くて、ジャズの曲調を借りたビッグバンドをベースとしたイージーリスニング志向の演奏。それでも、曲自体が良くて、音的にもアフリカ色が散りばめられていて良い感じ。

他の曲も、スタンダード曲、若しくは、ミュージシャンズ・チューンがほとんどだが、演奏自体のレベルは良好。さすが、メンバーがメンバーだけに、それぞれのアドリブ・パートや要所要所のユニゾン&ハーモニーは聴き応え十分。

エマーシー時代とは一線を画した、リヴァーサイドでの内容のあるスキルフルなビッグバンドをバックにした、充実の企画盤。本当に、キャノンボールって、リヴァーサイドに移籍して良かったなあ、とこの盤を聴く度に、つくづく思うのだ。
 
 

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2023年9月17日 (日曜日)

ジョンスコのエレ・ファンク。

マイルスの下で活躍するにつれ、エレ・マイルスの洗礼を思いっ切り受けて、ジョン・スコフィールド(以降、略して「ジョンスコ」)の音志向はジャズ・ファンクへ傾倒する。

ただし、マイルスのエレ・ファンクを、そのまま真似するとマイルス御大に怒られること必至。ジョンスコは、マイルスのエレ・ファンクをベースに、ジョンスコ・オリジナルなエレ・ファンクを追求することになる。

マイルスの楽器はトランペット。マイルスのエレ・ファンクの肝はベースとドラム。ベースとドラムが重量級のファンク・ビートを醸し出して、その上にマイルスのトランペットが飛翔する。トランペットの音は基本的に切れ味良く大きい。ブリリアントでメリハリがある音で、トランペットの音は、ベースとドラムが重量級のファンク・ビートに負けない。

ジョンスコの楽器はエレギ。ギターの音は基本的に弦を弾いて出すので、トランペットに比べて音が細い。マイルスのエレ・ファンクの肝だったベースとドラムをそのまま活かすと、主役のエレギの音が負けてしまう。重量級のベースとドラムの音が目立ってしまう。

ジョンスコのエレ・ファンクへのチャレンジの証し、『Electric Outlet』と『Still Warm』『Blue Matter』の3枚で、どうも、ベースとドラムの重量級のファンク・ビートを活かす方向は、エレギが主役のジョンスコのエレ・ファンクには無理があることが判った。

John Scofield『Loud Jazz』(写真左)。1987年12月の録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield (el-g), Robert Aries (key), George Duke (key), Gary Grainger (b), Dennis Chambers (ds), Don Alias (perc)。
 

John-scofieldloud-jazz

 
タイトルは直訳すると「騒々しいジャズ」なんだが、この盤、フュージョン&スムース志向のエレ・ファンクが特徴の盤である。決して「騒々しい」ジャズでは無い。

『Blue Matter』で目立ちに目立ったデニチェンのドラムとグレンジャーのベースが、温和に後ろに下がって、スムースなファンク・ビートを醸し出す。そして、ジョンスコのエレ・ファンクの肝となったのは、ジョンスコ自身のエレギ。ジョンスコ自身のエレギのボリュームを上げ、音色の出し方を工夫して、それまでのエレギのファンク度合いを2倍にも3倍にも引き上げた。

不思議に「ねじれた」というか、ちょっと外れた、というか、とにかく一聴するだけで「ジョンスコ」と判る、とても個性的なエレギに、スムースなファンクネスを纏わせて、ジョンスコのエレ・ファンクを確立させている。

ジョンスコのエレ・ファンクのファンクネスは、ジョンスコのエレギが醸し出し、バックのリズム隊がそのファンクネスを支え、演奏全体に振り撒く。エレギがメインの、エレギがフロントに据わった、フュージョンでスムースなエレ・ファンクが爽やかである。

この盤にて、マイルスのエレ・ファンクをベースに、ジョンスコ・オリジナルなエレ・ファンクを確立する。ジョンスコのエレ・ファンクのファンクネスは、ジョンスコ自身のエレギが醸し出す。リズム隊はそれを支え、演奏全体に伝播する。これがジョンスコのエレ・ファンクの基本。そして、その底には、マイルスのエレ・ファンクのエッセンスが流れている。
 
 

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2023年9月16日 (土曜日)

1980年代タイナーのジャズオケ

1980年代のマッコイ・タイナーの聴き直しに突入。1970年代はほぼマイルストーン・レーベル一本槍で、タイナー・ミュージックの確立期の記録が追体験出来る。1980年代はマイルストーン・レーベルを離れ、複数のレーベルを渡り歩く、タイナー・ミュージックの「成熟と過渡期」の時代。そんな1980年代のタイナーにも魅力満載。

McCoy Tyner『13th House』(写真)。1980年10月の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p, arr), Oscar Brashear (tp), Kamau Muata Adilifu (flh), Slide Hampton (tb, arr), Gregory Williams (french horn), Bob Stewart –(tuba), Hubert Laws (piccolo, fl), Joe Ford (as, ss, fl), Ricky Ford (ts, ss), Frank Foster (ts, ss, cl, arr), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira, Dom Um Romao (perc), Jimmy Heath (arr)。

タイナーのマイルストーン・レーベルの最終作。1972年のタイナー流モード・ジャズの名盤『Sahara』から始まり、毎年1〜2作のペースでリーダー作を発表、この『13th House』で、タイナーの「黄金期」であるマイルストーン時代は一旦の終結を迎える。マイルストーン時代は、タイナーがタイナー流のモード・ジャズを確立し、コルトレーンの「アフリカン・ネイティヴな音志向」を前提としたモーダルなジャズオケ演奏を継承した時代である。

当盤『13th House』は、大編成ジャズ・オーケストラにおけるタイナー・ミュージックの完成形。タイナーの大編成ジャズ・オーケストラなリーダー作は、以前に『Song Of the New World』(1973年)、『Fly With The Wind』(1976年)の2枚がある。いずれも、ジャズ・オーケストラにおけるタイナー・ミュージックの名盤であるが、内容の充実度からすると、今回の『13th House』が頭1つ抜きんでている。
 

Mccoy-tyner13th-house

 
今回はアレンジがとても優れている。資料を紐解くと、スライド・ハンプトン(3曲目「Search For Peace」)、ジミー・ヒース(2曲目「13th House」)、フランク・フォスター(5曲目「.Leo Rising」)の3人が1曲づつ担当、残りの1曲目「Short Suite」と4曲目「Love Samba」の2曲を、リーダーのマッコイ・タイナーが担当。

タイナーのアレンジも良いが、他の3人の「タイナーのアフリカン・ネイティヴな音志向」を前提としたモーダルなジャズオケ演奏を想定したアレンジが、それぞれ個性があって、全く飽きの来ない展開になっているところが良い。

そして、ジャズオケの肝になるリズム・セクションについては、リーダーのタイナーがピアノ、そして、ベースにロン、ドラムがデジョネットと、振り返れば、ビックリする様なレジェンド級のメンバーによる、重厚で柔軟度の高いリズム・セクションで、ジャズ・オケのフロント楽器に全く負けない、逆に、フロント楽器全体を鼓舞しコントロールするリズム・セクションで、このリズム・セクションの存在がとても効いている。

この『13th House』は、タイナーの「アフリカン・ネイティヴな音志向」を前提としたモーダルなジャズオケ演奏のアルバムの中で一番、内容の充実度が高い。タイナーのピアノの充実度も最高レベルに近い。

我が国のジャズ盤紹介本や雑誌の名盤紹介には、タイナーの「アフリカン・ネイティヴな音志向」を前提としたモーダルなジャズオケ演奏のアルバムについては、何故か『Fly With The Wind』ばかりが、ほんの時々『Song Of the New World』が紹介されるが、このこの『13th House』の紹介記事については、ほとんど見たことが無い。タイトルが良く無いのか、ジャケが良く無いのか、それでも内容は、前の2枚『Fly With The Wind』と『Song Of the New World』を凌駕する優れもの。

紹介記事が僅少なのに怯まず、一度は聴いて欲しい優秀作。特に、マッコイ・タイナーのファンには絶対お勧めです。
 
 

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2023年9月15日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・266

キャノンボール・アダレイは、ファンキーで明るいアルト・サックスが身上。しかし、デビューから暫くは、エマーシー・レーベルの下、明るい明確なアルト・サックスをメインに、ストリングスやジャズオケをバックにした、大衆受け狙いの「イージーリスニング・ジャズ」志向のリーダー作を連発。

リヴァーサイド・レーベルに移籍して、ハードバップなジャズにやっと立ち戻ったが、ファンキー・ジャズには未だ至らす。しかし、1959年の『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』で一気にファンキー・ジャズ志向に大転換。以降、暫く、キャノンボール・アダレイは、ファンキー・ジャズ一直線で、売れっ子人気ジャズマンの仲間入り。

Cannonball Adderley『Them Dirty Blues』(写真左)。1960年2月1日はNY、1960年3月29日はシカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Bobby Timmons (p, tracks 5–9) , Barry Harris (p, tracks 1–4), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。

ピアノをバップなピアニストであるバリー・ハリスとファンキーなピアニストであるボビー・ティモンスとで使い分けているが、編成の基本はアダレイ兄弟がフロント2管のクインテット編成。こってこてバップなピアニストのハリスが、とってもファンキーなピアノを弾いている。こってこてファンキーなティモンズのピアノよりファンキーなのでは、と思う位、ファンキーなハリスのピアノが効いている。
 

Cannonball-adderleythem-dirty-blues  

 
ナット・アダレイのファンキー・チューンの名曲、冒頭の「Work Song」が突出して良い出来。コール・アンド・レスポンスでゴスペルチックなテーマ、展開部は徹底的にファンキーなフレーズで埋め尽くす。根明でストレートなキャノンボールのアルト・サックスと、根明でブリリアントなナットのトランペットが映えに映える。

ちなみに、CDリイシュー盤では、バリー・ハリスがピアノを弾いているテイクと、ボビー・ティモンズがピアノを弾いているテイクとを聴き比べることが出来る。聴き比べると判るのは、LP時代、正式に採用されたのは、バリー・ハリスがピアノを弾いたテイク。ハリスがこってこてファンキーに切れ味良く、ファンキーなバップ・ピアノよろしく、フロントのアダレイ兄弟をバッキングしている。うん、やはり、これはハリスのテイクの方が良い。

2曲目以降もファンキー・ジャズ志向の演奏がてんこ盛り。ハリスのファンキー・ピアノが目立っているが、ティモンズのソウルフルなファンキー・ピアノが良い味を出している。

この『Them Dirty Blues』、スタジオ録音での、アダレイ兄弟のファンキー・ジャズ志向を決定付けたエポック・メイキングな盤という位置づけで、ファンキー・ジャズの名盤の1枚として良いのではないか。アルバムのどの曲を聴いても「ファンキー・ジャズ」。アダレイ兄弟の「ファンキー・ジャズ事始め」を、『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』と併せて聴いて確かめたい。
 
 

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2023年9月12日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・99

ジュニア・マンスのピアノはファンキーでソウルフル、端正で明確なタッチが身上。ドライブ感溢れるグルーヴィーな、爽快感溢れる弾きっぷりは爽快感抜群。ビ・バップなピアノを洗練して、ハードバップに乗せたイメージで、高速弾きの曲についても、フレーズが洗練されているので、耳に付かないのが特徴。

Junior Mance『Happy Time』(写真左)。1962年6月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Junior Mance (p), Ron Carter (b), Mickey Roker (ds)。リヴァーサイドの傍系レーベル「Jazzland」からのリリース。ベースにレジェンド、ロン・カーター、ドラムにモーダルなドラマー、ミッキー・ローカー。

伸びるトーンと強靱なビート。当時、最先端をいくモーダルなリズム隊をバックにマンスが弾きまくる。といっても、マンスがモーダルなピアノを弾く訳では無い。バックのリズム隊のロンもローカーも、リズム&ビートの基本はハードバップ。逆に、1963年の録音年で、ロンとローカーがハードバップ志向のリズム&ビートを供給している様は珍しいと言えば珍しい。
 

Junior-mancehappy-time

 
端正で明確なタッチ、ドライブ感溢れる、グルーヴィーで爽快感溢れる弾きっぷりのマンスのピアノを引き立てる様な、伸びるトーンと強靱なビートを供給するこのリズム隊は素晴らしい。こんな素晴らしいリズム隊に恵まれて、マンスは当時としての「ベスト・パフォーマンス」を繰り広げる。

収録されたどの演奏も、マンスのパフォーマンスの良いところが前面に押し出されていて良い出来。乾いたブルース・フィーリングを湛えた、遅れてきたハードバップ・ピアノ・トリオの名盤といった面持ちで、聴いていてとても心地良く、マンスらしい愛嬌や軽妙さが見え隠れして、聴いていてとても楽しい。

マンスの代表的名盤の1枚として良い、優れた内容。ジャケットもシンプルで良好。それでも、マンスの人気については、我が国ではイマイチなのが残念。何がいけないのか、良く判らないが、少なくとも、初リーダー作『Junior』がマンスの最高作と評価している間はどうしようも無いかな。僕は思う。この『Happy Time』の内容は明らかに『Junior』の上を行く。
 
 

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2023年9月11日 (月曜日)

ジャズロック志向にロックオン

ハードバップ時代に、彗星の如く現れたトランペットの若き天才、リー・モーガン。1956年、初リーダー作『Indeed!』でデビューしたのが、なんと弱冠18歳。そしてこの初リーダー作が素晴らしい出来。以来、人気トランペッターとして第一線を走ってきたモーガン。1960年代の「ジャズの多様化」の時代は、22歳〜31歳の若手だが、彼のプレイは既に成熟し完成されていた。

Lee Morgan『The Rumproller』(写真左)。1965年4月の録音。ブルーノートの4199番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), Ronnie Mathews (p), Victor Sproles (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのモーガンのトランペットとジョーヘンのウネウネ捻れモードのテナー・サックスがフロント2管のクインテット編成。

編成はオーソドックス。奇をてらったところが無いのはモーガンのリーダー作の良いところ。録音年は1965年。ジャズは多様化の時代のピーク。前作『Search for the New Land』で、モーガン流のモード・ジャズを確立した訳だが、今回の『The Rumproller』は、前々作『The Sidewinder』の内容に戻している。
 

Lee-morganthe-rumproller

 
冒頭のタイトル曲「The Rumproller」は、怒濤のジャズ・ロック。大ヒット曲「The Sidewinder」に比肩するファンキーでロックな出来。以降、モード有り、ラテン〜ボッサ有り、リリカルなミュートによるバラード有り、とバラエティーに富んだ内容に仕上がっている。この辺も大ヒット盤『The Sidewinder』を踏襲している。

この頃のモーガンは「ジャズ多様化の時代」の中で、どの方向に自らの音志向を持っていこうと、いろいろ迷っていた時代だったのではなかろうか。そして、この『The Rumproller』で、ジャズ・ロックをベースに定め、ジャズ・ロック志向の演奏の中で、モーダルなアドリブや、こってこてハードバップなフレーズなど、ジャズ・トランペットの演奏トレンドや演奏志向を展開する、そういう方向に舵を定めたのでは、と感じている。

話題としては「Desert Moonlight」、我々日本人にとってはお馴染みの童謡「月の沙漠」のジャズ化が2曲目にある。なかなかのアレンジで、日本の童謡を上手くジャズ化している。こういう器用さもモーガンの良き個性。次作『The Gigolo』以降、ジャズロックをベースとした演奏志向を追求〜深化していく。モーガンの鯔背なトランペットが映えに映える。
 
 

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