2024年2月29日 (木曜日)

縦ノリのグルーヴ 『Gaddabout』

久々にフュージョン・ジャズ盤をチョイス、である。

年配のジャズ者ベテランの方々からは、概ね「ジャズの徒花」扱いされるフュージョン・ジャズであるが、クロスオーバー・ジャズも含めて、内容のある、聴き応えのある傑作、好盤は多々ある。ジャズの裾野は広く、ジャズは柔軟。フュージョン・ジャズの中にも「良い音楽」は沢山ある。

Steve Gadd『Gaddabout』(写真左)。1984年7月、NY「A&R Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds, vo), Lew Soloff (tp), George Young (sax), Ronnie Cuber (bs), Jeff Mironov (g), Richard Tee (key, syn), Neil Jason (b), David Matthews (arr)。

日本のフュージョン・ジャズ・レーベルの「Electric Bird」から、1984年のリリース。「Electric Bird」は日本のジャズ・レーベルながら、フュージョン系の好盤を多数リリースしている。今回の『Gaddabout』は、そんな中の一枚。

パーソネルを見渡すと、バリサクにロニー・キューバー、キーボードにリチャード・ティー、そして、ドラムにリーダーのスティーヴ・ガッド。後に、ガッドが1986年に結成する「The Gadd Gang」のメンバー5人中、3人がこのセッションに参加している。そして、この盤に詰まっている「音」がファンキー&ソウルフル、縦ノリのグルーヴが、まさに「The Gadd Gang」のプロトタイプ。
 

Steve-gaddgaddabout

 
トランペットにルー・ソロフ、サックスにジョージ・ヤングは、マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)のフロント2管。アレンジに、MJQのリーダー&ピアノ担当のデヴィッド・マシューズなので、その縁での召集だったのだろうか。この2管がキューバーのバリサクと組んで、見事なフロント3管を形成している。

このフロント3管のアンサンブル、ユニゾン&ハーモニー、そして、ソロ・パフォーマンスが見事で訴求力抜群。この盤での一番の聴きもの。ガッドの縦乗りグルーヴに鼓舞されて、ファンキー&ソウルフルなフレーズを、ダイナミックに骨太に吹き上げている。これがとても良い。

ジェフ・ミロノフのギターがユニーク。職人ワザが光るカッティング。ソウルフルな泣きのフレーズ。渋いバッキングで、バンド全体にファンキーな風味を色濃くする。ニール・ジェイソンのジャズ・ファンクなエレベもファンクネス濃厚。重心の低いベース・ラインが演奏全体の「底」をガッチリ支えている。

「gadabout=ブラブラ歩き」に引っかけたタイトルも「粋」。気ままに鼻歌交じりに楽しくドラムを叩きまくるガッドが素敵。ガッド独特の縦乗りのグルーヴが、ファンキー&ソウルフルな曲想にバッチリ。

フュージョン・ジャズの好盤の一枚です。こんなに内容のある、素敵なフュージョン・ジャズ盤が、日本のレーベル「Electric Bird」からリリースされたことを嬉しく思います。「Electric Bird」はなかなか隅におけないフュージョン・ジャズのレーベルですね。
 
 

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2024年2月27日 (火曜日)

『Johnny Griffin Sextet』 です

1957年、ブルーノートより『 Introducing Johnny Griffin』をリリースし、初リーダー作デビュー。その後、ブルーノートに『A Blowin' Session』『The Congregation』の2枚の好盤を残したジョニー・グリフィン(Johnny Griffin)。1958年、満を辞して、リヴァーサイド・レコードに移籍する。

『Johnny Griffin Sextet』(写真左)。1958年2月25日の録音。リヴァーサイド・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Pepper Adams (bs), Donald Byrd (tp), Kenny Drew (p), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。

リーダーのグリフィンのテナー、アダムスのバリサク、バードのトランペットの3管フロント。バックのリズム隊は、ドリューのピアノ、ウエアのベース、フィリージョーのドラム。セクステット編成になる。

直訳すると「ジョニー・グリフィンの6重奏団」なんていう、味もしゃしゃらも無いタイトルなんだが、リヴァーサイド移籍第一弾のグリフィンのリーダー作である。

この時代、テナー、トランペットときたら、トロンボーンが定番の3管フロントなんだが、この盤ではトロンボーンでは無く、バリサクの入った3管フロント。グリフィンの骨太でデカい音のテナーとの相性を考慮したチョイスだと思われる。

リズム隊は、黒い重量感あるドリューのバップ・ピアノ、ダイナミックでオフェンシブなフィリー・ジョーのバップ・ドラム、そして、ちょっと捻れ感のある、プログレッシヴなウエアのバップ・ベース。
 

Johnny-griffin-sextet

 
セクステットのハードバップ演奏として、聴き慣れた感、「またか」感を回避すべく、フロント3管の楽器の組み合わせと、リズム隊の奏でるリズム&ビートの新鮮さに工夫の後が見える。オリン・キープニュースの深慮遠謀を感じる。

で、その内容だが、いやはや、素晴らしい内容のハードバップ。流麗で重厚感溢れる3管フロント。テクニック確かでブリリアントなバードのトランペット、重量感豊かに流麗に吹き回すペッパーのバリサクの効果的に響く。そこに、骨太でメロディアスなデカい音のグリフィンのテナーが前面に推し出てくる。この3管フロントがこの盤の最大の聴きもの。

リズム隊も良い音出している。ドリューの黒い重量感が心地良い、疾走感溢れるバップなピアノが、演奏全体に活力を供給する。ちょっと捻れた不思議な響きが新鮮なウエアのベースラインが、フロント3管の創造力を刺激する。そして、フィリー・ジョーのダイナミックなバップ・ドラミングが演奏全体を煽り、鼓舞する。

収録曲全5曲、どの演奏も充実したハードバップだが、特に、有名スタンダード曲の「What's New?」と「Woody 'n' You」が良い。3曲目の「Woody 'n' You」のみ、アダムスとバードが抜けて、グリフィンのワンホーン・カルテットの演奏になっていて、グリフィンのテナーの個性と特徴がよく判る。

これだけ充実した6重奏団のハードバップな演奏が詰まった優秀盤だが、我が国では、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で取り上げられることは殆ど無い。が、ジャケもなかなか「ジャズしてる」し、ジャケ良し内容良しの「隠れ名盤」だと、僕は評価している。今でも時々、ひっぱり出しては聴き直す、永遠のヘビロテ盤でもある。
 
 

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2024年2月25日 (日曜日)

Art Farmer『The Aztec Suite』

邦題『アズテック組曲』。キューバの作曲&編曲家、指揮者のチコ・オファリル(Chico O'Farrill)のアレンジによるアフロ・キューバン・ジャズ。トランペットのアート・ファーマーがリーダーの12人編成のスモール・ビッグ・バンドのたエキゾチックな雰囲気が芳しい企画盤。アル・コーンが音楽監督を務めている。

Art Farmer『The Aztec Suite』(写真)。 1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer, Bernie Glow, Nick Travis (tp), Jimmy Cleveland, Frank Rehak (tb), Jim Buffington (French horn), Zoot Sims, Seldon Powell (ts), Hank Jones (p), Addison Farmer (b), Charlie Persip (ds), José Mangual (perc), Chico O'Farrill (arr)。

3トランペット、2トロンボーン、2テナーにフレンチホルンを加えた8管フロントに、パーカッションを加えたリズム・セクションをバックに、エキゾチックでミステリアスな響きのする、ブラスのパンチが効いたアフロ・キューバン・ジャズの演奏で全編、埋め尽くされている。8管フロントのアンサンブルが迫力満点で、しばしば圧倒される。
 

Art-farmerthe-aztec-suite

 
さすが、キューバ出身のチコ・オファリルのアレンジが優秀で、アレンジの問題で、ややもすれば俗っぽく安っぽくなるリスクのあるアフロ・キューバン・ジャズを、鑑賞に耐える、聴き応えのあるものに仕立て上げているのは見事。東海岸ジャズの中、優れたアレンジで、西海岸ジャズを意識した様な「聴く為のジャズ」を実現している。

「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットが、アフロ・キューバンなグルーヴの中でブリリアントに響き、アフロ・キューバンな熱いアンサンブルの中で「流麗でウォーム」なフレーズがくっきりと浮き出てくる。

アフロ・キューバンにファーマーのトランペット。水に油かと思ったら、意外と相性バッチリなのにちょっビックリする。流麗バップなハンク・ジョーンズのピアノも、しっかりアフロ・キューバンして、いつになく熱いフレーズを叩き出している。アレンジ上々、整って聴き応えのあるアフロ・キューバン・ジャズの佳作です。
 
 

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2024年2月17日 (土曜日)

北欧らしい Swedish Standards

北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。

Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンのサン・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p), Mattias Svensson (b), Rasmus Kihlberg (ds)。

ピアノのヤン・ラングレンがリーダーのピアノ・トリオ。トリオの3人ともスウェーデン出身。この「純スウェーデン人トリオ」の母国、スウェーデンの古謡を取り上げ、ジャズ化した秀作。

米国にも日本にも馴染みの無い、不思議なメロディとモチーフとしたフォーキーなフレーズがいかにも「スウェーデンの古謡」らしい。そんな「スウェーデンの古謡」を北欧ジャズの雰囲気濃厚なアレンジと録音で「トリオ・ジャズ」化している。独特な雰囲気が魅力のトリオ演奏。

この「スウェーデンの古謡」の北欧ジャズ化を聴くと、北欧ジャズの個性と特徴がとてもよく判る。とてもシンプルで地味目の「古謡フレーズ」なので、ダイナミックでドラスティックな米国ジャズを良しとする向きには「単調で退屈」だろう。
 

Jan-lundgren-trioswedish-standards  

 
しかし、欧州ジャズ者、ECMジャズ者の方々なら、すんなり受け入れて、その優れた内容を理解することができるだろう。欧州ジャズを理解できないと北欧ジャズを理解することは難しい。

古謡をベースにしながら、そのジャズ化に無理が無い。古謡の持つ不思議なメロディとモチーフが、北欧ジャズの個性と特徴に合致するのだろう。

そして、ラングレンの、美しいタッチ、歌心に溢れたフレージング、端正で流麗なリズム感、3拍子揃った、北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノが的確に古謡のフレーズをジャズ化している。

加えて、スヴェンソンの間合いの効いたリリカルなベース、フォーキーにリズム&ビートを刻むシェールベリのドラムが、そんなラングレンの北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノをガッチリ支え鼓舞する。

こういう、その国や地域に密着したジャズはどれもが美しい。米国ジャズだって、和ジャズだって同じ「その国や地域に密着したジャズ」。優劣は無い。

改めて、この『Swedish Standards』は、実に北欧ジャズらしいピアノ・トリオの優れたパフォーマンスである。
 
 

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2024年2月12日 (月曜日)

ショウの優秀作『Rosewood』

ウディ・ショウ(Woody Shaw)のリーダー作を聴き直している。聴けば聴くほど、早くに亡くしたのは実に惜しいトランペッターだった。そんな気持ちがどんどん募ってくる。

ショウのトランペットは、1960年代の最先端のモード・ジャズを掘り下げて、新しい響きと新しいフレーズ展開を具現化したもの。今の耳で振り返ればそれが良く判る。明らか1960年代のモードには無いし、1980年代の純ジャズ復古以降、新伝承派のジャズマン達にも、ショウの響きは無かった。

Woody Shaw『Rosewood』(写真左)。1977年12月15–19日の録音。ちなみにパーソネルは、Woody Shaw (tp, flh), Carter Jefferson (ts, ss), Joe Henderson (ts), Frank Wess, Art Webb (fl), James Vass (ss, as), - Steve Turre, Janice Robinson (tb), Onaje Allan Gumbs (ac-p, el-p), Clint Houston (b), Victor Lewis (ds), Sammy Figueroa (congas), Armen Halburian (perc), Lois Colin (harp)。

この盤での一番の聴きどころは「ウディ・ショウ」。この盤では、ショウの「演奏、作曲、バンドリーダー」の力量を遺憾無く発揮した優秀作。切れ味の良いソリッドで柔軟なトランペットの響きが個性的。そして、収録曲の全てを自作曲で埋め尽くし、この自作曲の中で、ショウの個性を最大限にアピールする。

テクニックについては、当時の人気ナンバーワン・トランペッターだったハバードと比肩する高いレベル。その響きとテクニックで、それまでに無い、新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏を繰り広げる。
 

Woody-shawrosewood

 
バックのメンバーについては、さすが、大手のCBSレコードでの録音で、純ジャズが一番苦しかった頃なので、新旧入り乱れたパーソネルではあるが「豪華絢爛」。ショウの新しい響き、新しいフレーズのモーダルな演奏にしっかりと追従し、しっかりとバッキングしている。

フロント楽器に同じ管楽器、テナー、アルト、トロンボーン、フルートなどを配しているが、前面に目立って出てくるのは、ショウのトランペット。1970年代の純ジャズ・シーンに現れ出た、不世出の偉大なスタイリストであるショウ。そんなショウの個性と特質が、この盤にぎっしりと詰まっている。

この盤で、ショウの「新しい響きのモーダルなジャズ」のイメージが固まった感がある。1960年代、決定打を欠いて、次世代に影響を与えるスタイリストになり切れなかったハバードを越え、次世代のジャズ・トランペッターに強い影響を与えたスタイリスト、ウディ・ショウの「基本」がこの盤に確実に存在している。

我が国では、何故かハバードがもてはやされ、ショウはハバードの後塵を拝する存在とされたが、それは間違いなことがこの盤を聴けば判る。ショウのモード・トランペットはハバードの後継では無い。ショウのモード・トランペットは、マイルスのモード・トランペットの延長線上、発展した先にあると僕は思う。

この盤を聴いていて、ショウは絶対に再評価されるべきスタイリストだ、ということを改めて強く思った。これからしっかりとショウのリーダー作を、今一度、聴き直してみたい。
 
 

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2024年2月11日 (日曜日)

エヴァンスの『Half Moon Bay』

ジャズ・ピアノの伝説のレジェンド、ビル・エヴァンスが生前、リーダー作の録音を残したレーベルは、Riverside、Verve、Fantasy、Warner Bros.、Elektra が主だったところ。Milestoneレーベルからのリリースは「発掘シリーズ」。エヴァンスの逝去後、発掘された音源を、マネージャーだったヘレン・キーンと判断して正式リリースしたもの。

Bill Evans『Half Moon Bay』(写真)。1973年11月4日、カリフォルニア州ハーフムーン・ベイのバッハ・ダンシング・アンド・ダイナマイト・ソサエティでのライヴ録音。1998年、マイルストーン・レーベルからのリリース。ビル・エヴァンス逝去後、Milestoneレーベルからの「発掘シリーズ」の一枚。

ダイナミズム溢れるバップな弾きっぷりのエヴァンスが聴ける。ライヴでの録音なので、その時のエヴァンスの気分、調子がダイレクトに伝わってくる。この時、エヴァンスは「躁状態」だったようだ。とにかく、アドリブ・フレーズは、とりわけダイナミックにドライブするが如く弾(ひ)きまくる。

そんなエヴァンスに引っ張られて、ベースのゴメスも唄うが如く、アドリブ・フレーズを弾(はじ)きまくる。ゴメスはこの頃から、ライヴではピックアップを使用し始めたみたいで、うるさいくらいに「ブンブンブン」とソリッドに力感溢れるベース・ラインを弾(はじ)きまくる。
 

Bill-evanshalf-moon-bay

 
同じく、そんなエヴァンスに引っ張られて、理知的なドラミングが身上のモレルも、いつになく雄弁でスインギーなビートを叩き出している。モレルって、こんなにダイナミックに力感溢れるドラミングができるんだ、とちょっとビックリする。

そして、そんな「ダイナミックにドライブするが如く、弾(ひ)きまくる」エヴァンスが、「Waltz For Debby」「Autumn Leaves」「Someday My Prince Will Come」といった往年の超人気曲を再演しているのだから堪らない。エヴァンスオリジナルの「Time rememberd」も聴き応え十分。エヴァンスの本質である「バップなピアノ」が心ゆくまで楽しめる。

ビル・エヴァンスのピアノって「耽美的でリリカル」と思っている向きには、このライヴ盤の内容は「驚き」であり、これはエヴァンスではない、という感じになるだろうなあ。でも、この「バップ・ピアノ」な方がエヴァンスの本質なんで、この盤には違和感はありません。エヴァンスってライヴの時は、その時の気分や体調に大きく左右されるみたいですね。

発掘音源だけに、音質、録音バランスについては「やや難あり」。エヴァンス初心者の方々はパスしても良いライヴ盤で、エヴァンスの名盤を聴き続けて、エヴァンスの本質を理解し始めた、エヴァンス中級者の方々にお勧めのライヴ盤だと思います。
 
 

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2024年1月31日 (水曜日)

ECMのギター・トリオの秀作

3日ほど前まで、しばらくの間、冷たい北西の季節風が吹き荒れ、外出するのが憚られた。とにかく冷える。気温は上がらない。そんな日に外出〜散歩なんて、とんでもない。風邪をひいたらどうするんだ、ということで、暖房の効いた室内で、終日、読書とジャズ鑑賞に勤しむことになる。

こんな真冬の冷え冷えした日の昼下がり、暖かい室内で聴くジャズは、意外とECMレコードの「耽美的で静的でクリスタルでリリカル」な即興演奏メインの欧州風ニュージャズのアルバムが良い。真冬の寒い昼下がり、そんなECMの現代の欧州風ニュー・ジャズにじっくりと聴き耳を立てるのが僕の好み。

Wolfgang Muthspiel, Scott Colleyf & Brian Blade『Dance of the Elders』(写真左)。2022年2月、米国オークランドでの録音。ちなみにパーソネルは、Wolfgang Muthspiel (g), Scott Colley (b), Brian Blade (ds)。ヴォルフガング・ムースピールのギター、 スコット・コリーのベース、ブライアン・ブレイドのドラム、ピアノレスのギター・トリオ編成の演奏。

以前より聴いたことの無い、初聴きのアルバムに出会った時、聴く前にする幾つかの見極めポイントがあるんだが、その見極めポイントの一つに「ブライアン・ブレイドがドラムを担当するアルバムに駄盤はない」というのがある。このムースピール、コリー 、ブレイドの3者共同リーダーの新盤についても、ドラムにブレイドの名前を見つけて、これは聴いて大丈夫、と踏んで、初聴きと相成った。

ヴォルフガング・ムースピールは、オーストリア出身のギタリスト。1965年生まれなので、今年で59歳、還暦一歩手前のベテラン・ギタリスト。1989年に初リーダー作をリリースして以来、1〜2年に一枚のペースでリーダー作をコンスタントにリリース、特に、2014年の『Driftwood』から、ECMお抱えのギタリストとして、今回のアルバム含めて、5枚のリーダー作をECMからリリースしている。
 

Wolfgang-muthspiel-scott-colleyf-brian-b

 
ムースピールの名前を真っ先に挙げたのは他でもない、この3者共同リーダーの新盤については、共同リーダー作でありながらも、ムーズピールのギターが全面に押し出されていて、このムースピールのギターを心ゆくまで堪能できるアルバムとして仕上がっている。

少しくぐもった、ストレートな伸びの素性の良いギター。明らかに欧州風でECM好みの「耽美的で静的でクリスタルでリリカル」なギターの音世界。冒頭の1曲目「Invocation」から、明らかにECMレコードの音の傾向をしっかり踏まえていて、録音も含め、ECMレコードの音世界を堪能できる。

フォーキーで耽美的なムースピールのギターが心地良い響き。今回の新盤ではクラシックな響きも見え隠れする。そんなムースピールの魅惑的なギターを、コリーのソリッドで重量感溢れるベースと、ブレイドの変幻自在、硬軟自在、緩急自在でポリリズミックなドラムがしっかりサポートしている。

そして、このムーズピールのギター、コリーのベース、ブレイドのドラムの3者一体となった、濃密なインタープレイな展開も聴き応え満点。よくよく聴けば、コリーのベースもかなりゴリゴリアコベの低音を轟かせ、ブレイドのドラムもかなりダイナミックでスケールの大きいドラミングを披露している。それでいて、ダイナミックな展開の傍で、繊細でスリリングな表現も抜群。

なるほど「3者共同リーダー」なのも納得、3者均等の素晴らしいパフォーマンスである。ECMの音世界、欧州的な響きが芳しい。即興演奏が基本のギター・トリオのパフォーマンス。そんなECMの現代の欧州風ニュー・ジャズは聴き応え十分。
 
 

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2024年1月28日 (日曜日)

ジャンゴの名盤『Djangology』

Django Reinhardt(ジャンゴ・ラインハルト)は「ジャズ・ギターの創始者」とされる。

ジャンゴ・ラインハルトは1910年、ベルギー生まれ。父母ともに旅芸人の音楽家&ダンサー、つまりジプシー。旅から旅へのキャラバン育ち。ジャンゴの音楽性に、この「ジプシーのキャラバン育ち」の影響は明らかで、汎欧州的、欧州の様々な国の音楽の要素が混ざった、ユニークな音楽性がジャンゴのギターの個性。

18歳の頃、キャラバンが火事を出し、ジャンゴは火を消し止める為、火に飛び込び、左手の薬指と小指に大火傷を負う。ところがジャンゴは、残った3本の指だけで健常者のギタリストを凌駕する、超絶技巧のスタイルを生み出す。しかし、1953年5月、スイス公演を行っていたジャンゴは指の障害や頭痛に悩まされるようになり、フランスへ戻った5月16日、友人の経営する店で突然倒れ、その日の夕方に脳出血にて逝去している。

Django Reinhardt『Djangology』(写真左)。1949年1月~2月、ローマでの録音。ちなみにパーソネルは、Django Reinhardt (g), Stéphane Grappelli (vln), Gianni Safred (p), Carlo Pecori (b), Aurelio de Carolis (ds)。ローマのクラブに出演した際に、アマチュアの手で録音されたものらしい。

ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリ率いるフランス・ホット・クラブ五重奏団の代表作。というか、ビ・バップ期の欧州ジャズの名盤中の名盤。録音状態は中の下だが、逆に、ジャンゴのギターが硬質でアグレッシブな音で捉えられているので、ジャンゴの超絶技巧さを感じるには、こんな感じの録音が良いのかもしれない。
 
Django-reinhardtdjangology
 
しかし、凄まじいほどの、オーバー・ドライブ気味の思いっきりスインぎーなジャンゴのギターとグラッペリのバイオリン。どちらも超絶技巧、疾走感溢れるアドリブは思わず「手に汗握る」迫力がある。それでいて、意外と耳につかないのが面白い。アドリブ・フレーズが流麗で淀みがないからだと思われる。

米国東海岸のビ・バップなど目じゃないほど、圧倒的なスイング感と迫力ある流麗なアドリブで圧倒するジャンゴ。ほんまに3本指での演奏なんかい、と突っ込みたくなる。

そして、その傍らで、ジャンゴのパフォーマンスをしっかと受け止めて、ジャンゴと同様、圧倒的なスイング感と迫力ある流麗なアドリブで、ジャンゴに応戦するグラッペリのバイオリン。この二人のインタープレイは見事という他ない。聴いていて、自分の口があんぐり開き始めるのが判る。

ジャンゴは「ジャズ・ギターの創始者」と言われる。チャーリー・クリスチャンは「バップ・ギターの祖」とされる。ジャズ・ギターは、このジャンゴとクリスチャンの二人の途方も無い、超絶技巧で歌心溢れるギターから始まったと思って良い。特に、ジャンゴは「欧州ジャズ」の雰囲気を色濃く宿していて、「欧州ジャズの祖」と評価しても良いかと思う。

それほどまでにジャンゴのギターは凄い。ジャンゴを知るにはこの盤が一番の近道。ちなみに。ジョン・ルイス作曲、MJQの名演、多くのジャズマンのカヴァー演奏で有名な名曲「ジャンゴ」は、このジャンゴ・ラインハルトにちなんだ名曲。ジャンゴの持つ個性的な「哀愁感」を的確に捉えている。
 
 

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2024年1月27日 (土曜日)

ジェリとカートの孤高のデュオ盤

形体が全く異なるのだが、ピアノとギターは良く似た性格の楽器である。ピアノとギターは音のスケールも似通っている。

ギターについては、単音のみならず和音も出る。アルペジオも出来る。弦を掻きむしることもできるし、和音をストロークで連続することで、リズム楽器としての機能を果たすことも出来る。

ピアノについては、和音と単音を右手と左手に分けて別々に同時に出せるし、リズム部と旋律部を同時に奏でることが出来る。つまりは、ピアノ一台で楽器表現の全てを出すことが出来る訳で、ピアノは「一人オーケストラ」という異名を持つくらいである。

良く似た楽器同士のデュオ演奏は難度が高い。演奏者同士が我を出すと音がぶつかったり、伴奏と旋律との役割分担がスムースに行かなくなる。音のコンフリクト(ぶつかり)を瞬時に感じて、それを回避するには、演奏者に相当のテクニックが必要になるし、何より、相手の音をしっかり聴き分ける高い能力が必要になる。

ピアノとギターのデュオは難度が高い。双方の演奏家としての力量のバランスが取れていないと成立しないし、お互いに演奏家としての人間性の高さが要求される。とにかく、俺が私がと「我を出しては」ピアノとギターのデュオは成立しない。

Geri Allen, Kurt Rosenwinkel『A Lovesome Thing』(写真左)。2012年9月5日、フィルハーモニー・ド・パリでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Geri Allen (p), Kurt Rosenwinkel (g)。2017年に惜しくも逝去した、女流ジャズ・ピアニスト最高峰の1人、ジェリ・アレンと、現代ジャズ・ギターの雄の一人、カート・ローゼンウィンケルとのデュオでのライヴ音源。
 

Geri-allen-kurt-rosenwinkela-lovesome-th

 
ジェリ・アレンのピアノは「男勝り」の力強いタッチのモーダルなピアノ、というイメージがあるが、それは彼女のピアノの「一面」。このデュオでは柔軟で繊細なタッチで、相棒のギターに寄り添うが如く、語らうが如く、囁くが如く、リリカルで耽美的なピアノを弾き進めている。

ローゼンウィンケルのギターは、オーソドックスなトーンでありながら「新しい」響きとフレーズが芳しい、現代ジャズ・ギターの正統派で繊細な弾き回しで、ジェリのリリカルで耽美的なピアノに相対する。ギターの暖かい丸いエッジと、ピアノの切れ味の良い硬質のタッチとの対比が美しい。

1〜2曲目のスタンダード曲でも、双方、攻めに攻めているが、お互い、相手の音をしっかり聴き、持ち味はしっかり出しているのが良く判る。しかも、お互いの持ち味をしっかり確認して、二人共通の「音の個性」を紡ぎ出している様に感じる。双方の音の個性の底が「似通っている」ことが良く判る。

そして、双方の技術の高さは、5曲目の「Ruby My Dear」で良く判る。このセロニアス・モンクの難曲をジェリとカートは二人で見出した、二人共通の「音の個性」で、二人なりのモンク曲の解釈で、ガンガンに攻めまくる。この難曲をリリカルに耽美的に、難なく弾き進めるデュオ。素晴らしいパフォーマンスである。

素晴らしいピアノとギターのデュオ演奏。これがライヴで演奏された音源だとは。あのピアノとギターのデュオ演奏の名作、ビル・エヴァンス&ジム・ホールの『Undercurrent』に匹敵する、すばらしいデュオ盤の登場である。

ジェリは生前、このカートとのデュオ演奏によるスタジオ・アルバムの制作を熱望していたそうだが、このライヴ音源を聴けば、それが実感できる。しかし、こんなに素晴らしいデュオ演奏のライヴ音源が約10年もの間、お蔵入りだったとはなあ。今回、よくリリースされたなあ。その幸運を素直に喜びたい。
 
 

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2024年1月26日 (金曜日)

新生「バッド・プラス」の新作

1960年代は、1950年代のハードバップをベースとした「ジャズの多様化」の時代だった。エンターテインメント志向としては、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、イージーリスニング・ジャズ。アーティステック志向としては、モード・ジャズ、フリー・ジャズ。聴く側の嗜好と演奏する側の志向とで、様々なバリエーションのジャズが展開された。

この「ジャズの多様化」は、1960年代以降、意外と綿々と続いている。1970年代のクロスオーバー・ジャズ、フュージョン・ジャズ、そして、1980年代のスムース・ジャズも、この「多様化」の一つだろう。

21世紀に入っては、以前のジャズのトレンドやスタイルのリニューアル、例えば、ネオ・ハードバップとか、ネオ・モード。そして、8ビートがメインのクロスオーバーなインストに特化した、ネオ・フュージョンなどが「多様化」の成果だろう。

『The Bad Plus(2022)』(写真左)。2022年の作品。2021年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Reid Anderson (b), Dave King (ds), Ben Monder (g), Chris Speed (ts, cl)。音楽性については、グランジ・ロック、テクノ、フリー・ジャズ等の要素を取り入れた、ジャジーなインスト志向のプレイが身上の「バッド・プラス」の新作になる。

「バッド・プラス」は、2001年、イーサン・アイヴァーソン (p)、リード・アンダーソン (b)、デヴィッド・キング (ds) のトリオでデビュー。2018年、ピアノがオリン・エヴァンスに変わり、2021年に脱退。ピアノが空席となる。
 

The-bad-plus2022  

 
ここで意外にも、オリジナル・メンバーのアンダーソンとキングは、ピアニストの後継を補充するのでは無く、新しい楽器、ギターとサックスを引き入れる。
 
「バッド・プラス」は、ピアノ・トリオから、ギターとサックスがフロントのピアノレス・カルテットとして生まれ変わった。現代のインスト志向のピアノ・トリオから、インスト志向のエレ・カルテットに変身した。

当然、音楽性は変わる。超絶技巧インスト系プログレッシヴ・ロックの雰囲気漂う、クロスオーバー志向のジャズ・ロック、もしくは、現代の「ネオ・フュージョン」と評しても良い、成熟したフュージョン・ジャズ。

そんな音世界に大変身。但し、テクニック抜群、独特の疾走感溢れる、メロディアスでドラマチックな展開の「ジャジーなインスト志向のプレイ」は変わらない。

スムースでメロディアス、エネルギッシュで切れ味良い演奏は聴き応え十分。インスト志向のジャズ・ロック、もしくは、インスト系クロスオーバー。新生「バッド・プラス」、ピアノからギター+サックスへの変更は大成功。

オリジナル・メンバーのアンダーソン曰く「「デビュー・アルバムのようなエネルギーを持ったレコードを出すことができるのなら、僕にとっては、それは意味があることなんだ。これこそが自分自身を改革することなんだ」。納得である。
 
 

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