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2015年4月 4日 (土曜日)

太田裕美『十二月の旅人』です

太田裕美のマニアである私、松和のマスターであるが、それでは今を去ること30年以上前、大学時代より今まで、一番、聴いたアルバムはどれだろうと振り返ってみると、恐らく、このアルバムだろうと思われる。

太田裕美『十二月の旅人』(写真左)。1980年12月のリリース。このアルバムはリアルタイムでゲットした。大滝詠一の「さらばシベリア鉄道」が入っていたのと、浜田金吾と網倉一也、二人のソングライターの曲が中心の構成になっていたことが決め手。アルバム・ジャケットもシンプルなんだが、この太田裕美の写真の雰囲気が良かった。

この頃は、松本・筒美両巨匠とのコラボを解消し、新しい路線にチャレンジしていた頃。そのチャレンジはなかなか内容のあるものばかりで、アイドル・シンガー太田裕美では無く、アーティスト太田裕美としてのチャレンジなんだ、ということがひしひしと感じられて、太田裕美のマニアである我々としては、しっかりと見守らなくては、と思っていた矢先のアルバムである。

でも、当時は、シングルチャートではトップ50位内の壁を破れず、レコード会社も明らかに力を抜いた対応に、太田裕美は大丈夫なのか、と不安になっていたのも確かである。しかし、このアルバムを聴いて安心した。今でいう「シティ・ポップ系」の秀曲がズラリと並ぶ。しかも、アルバムとしての統一感が素晴らしく、太田裕美のボーカルも安定感抜群。

今から振り返れば、この『十二月の旅人』は、太田裕美のアルバムの中でも、屈指の出来で、マニアの間でも評価の高いアルバムなのだ。LP時代のA面は網倉一也の曲が、B面は浜田金吾の曲がメイン。そのど真ん中に、あの大滝詠一の名曲「さらばシベリア鉄道」(写真右)が配置される、素晴らしい布陣。
 

Hiromi_ohta_traveller_december

 
網倉一也の曲については、シティ・ポップ系の曲想が新鮮で、1980年春のシングル「南風」で久々のヒットをもたらしたことでも、太田裕美との相性は良い。浜田金吾の曲については、1979年4月の「青空の翳り」が凄く印象に残る。良い歌でした。1979年の『Feelin’ Summer』『Little Concert』でもほぼ半数の曲を作曲した当時のキーマンである。

日本のシティ・ポップの佳作の一枚に数えても良い内容が素晴らしい。冬の旅人をイメージしたジャケットや、温かみのある手書きの歌詞カードも含めて、トータルコンセプトを強く感じる。とにかく、歌謡曲のジャンルを超え、当時流行のニューミュージックの範疇を超えた、シティ・ポップ系の楽曲が爽やかだ。 

冒頭の「Sail For Our Life」の米国西海岸AOR系のイントロなど、完璧にシティ・ポップな香りがする。続く「25年目の冬に」は歌謡曲風でちょっと「およっ」と思うが、3曲目の「海に降る雪」のシットリしたフォーキーな「太田裕美ど真ん中」ソングで持ち直して、以降、良い感じにシティ・ポップ化。

その最高地点が「さらばシベリア鉄道」。さすがにこの曲は良い。歌謡曲でも無く、ニューミュージックでも無い。明らかにジャパニーズ・ポップである。太田裕美マニアの間では、何かと評判の悪い、このアルバムでの「さらシベ」の存在だが、僕は良いと思います。歌詞の内容は確かに統一感を損ねているかもしれませんが、曲は思いっきりシティ・ポップです。

さて、この曲「さらばシベリア鉄道」を最高地点として、LP時代のB面はシティ・ポップの連発。さすが浜田金吾。歌いこなす太田裕美も素晴らしい。アーティストとしての太田裕美の存在感抜群。ラストの「HAPPY BIRTHDAY TO ME」で心地良い余韻を残して、このアルバムは完結する。

 
 

震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2015年3月22日 (日曜日)

太田裕美『手作りの画集』です

前作の『心が風邪をひいた日』は、女性ボーカリスト太田裕美の歌世界の原点としてのポジションを占める佳作である、と書いた。そして、続くアルバムは、太田裕美『手作りの画集』(写真左)である。

作詞は全楽曲を松本隆が担当するのは同じ。作曲は全楽曲を筒美京平が担当するのも同じ。松本隆×筒見京平がタッグを組んだ、太田裕美をボーカリストとしての「実験」が本格化している。

『心が風邪をひいた日』では、ユーミンの曲をアクセントにおいて、今までの歌謡曲とは違う、新しい感覚の「Jポップ」な雰囲気を漂わせたのであるが、この『手作りの画集』ではそういう混ぜ物は一切無し。「松本隆×筒美京平」のみで勝負している。

松本隆の歌詞は、もう太田裕美に歌わせることを前提に書かれているみたいで、太田裕美のボーカルの雰囲気にバッチリ合っている。デビュー当時の「良家の深窓のご令嬢」という雰囲気から(あまり受けなかった)、カジュアルなお姉さんという雰囲気にイメージチェンジ完了である。

筒見京平の曲については、新しい感覚の「Jポップ」な雰囲気を十分に漂わせている楽曲と、従来の歌謡曲の雰囲気に留まっている楽曲とが混在しているのは前作と同じなんだが、新しい感覚の「Jポップ」な雰囲気を十分に漂わせている楽曲の占める割合が増している。
 

Hiromi_ohta_tedukuri_no_gasyu

 
松本隆の新しい感覚の歌詞と筒美京平の新しい感覚の「Jポップ」な雰囲気とが相まって、この『手作りの画集』は、リリースが1976年6月でありながら、かなり新しい感覚の楽曲が詰まった、異色の歌謡曲アルバムに仕上がっている。というか、このあるばむについては、もはや「歌謡曲」のジャンルには留まらない、来る「ニューミュージック」と呼ばれる、新しい感覚のJポップな雰囲気が濃厚である。

収録されたどの曲も魅力的なんだが、やはりシングルカットされた「赤いハイヒール」(写真右)は出色の出来である。若い男女のダイアローグという書きっぷりは「木綿のハンカチーフ」の二番煎じっぽいが、この「赤いハイヒール」では主人公は女性。マイナー調の寂しげな雰囲気に女性の独白部分と。転調してリズミカルに展開するサビの部分の男性の独白部分の対比が見事。筒美京平の面目躍如。

冒頭の「オレンジの口紅」も良い。「少女以上大人未満」の20歳前後位の女性の切ない思いを綴った松本隆の歌詞は、それまでの歌謡曲やフォークソングの世界には無い、新しい感覚のもの。初めて聴いた時には「唖然」としたのを思い出す。曲の出来も良く、松本隆×筒見京平タッグの傑作の一曲。

ラストの「茶色の鞄」も良いなあ。太田裕美のファンとして、太田裕美のアルバムをよく聴いた学生時代。このアルバムに収録されている楽曲は、全て学生時代の想い出とオーバーラップする。セピア色をした青春時代をリアルに思い出したりして、聴いていて、知らず知らずのうちに「口元が緩む」アルバムでもあります(笑)。

 
 

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2015年3月 7日 (土曜日)

『心が風邪をひいた日』を聴く

このヒット曲によって、僕は太田裕美に注目し始めた。そのヒット曲とは「木綿のハンカチーフ」(写真右)。女性ボーカルをメインに、男の台詞、女の台詞を交互に対話するように配した松本隆の詩の世界が素晴らしく印象的で、その歌詞をやや舌っ足らずで、ファルセットが印象的な太田裕美のボーカルが唄い上げていく。

そして、このヒット曲をメインにした太田裕美のアルバムが『心が風邪をひいた日』(写真左)。1975年発表のサード・アルバム。デビュー当時の「良家の深窓のご令嬢」という雰囲気があまり受けず、カジュアルなお姉さんという雰囲気にイメージチェンジしている最中のアルバムである。

収録曲としては、デビュー当時からのコッテコテの純歌謡曲風の曲と、当時、流行始めていたポップなニューミュージック風な曲とが混在していて、アルバムとしての統一感については若干欠けるところはあるが、このポップなニューミュージック風な曲がとにかく良い。新しい感覚な「Jポップ」な雰囲気が、当時、とても新しく感じた。

そのポップなニューミュージック風な曲の筆頭が「木綿のハンカチーフ」である。ちなみにこの「木綿のハンカチーフ」は、アルバム・バージョンとシングル・バージョン、2種類のアレンジ・バージョンがある。シングル・カットされたバージョンは、主にストリングスの効果を変えて演奏に厚みを加えているが、僕はシンプルで軽快な雰囲気のアルバム・バージョンのアレンジの方がお気に入りだ。
 

Ohta_hiromi_kokoro_kaze

 
「木綿のハンカチーフ」の続いて、ユーミンの作なる「袋小路」「ひぐらし」の存在が目を惹く。ユーミン独特のニューポップな感覚は太田裕美のボーカルにバッチリ。加えて、筒美京平の作曲ではあるがポップで新しい感覚の「銀河急行に乗って」や「夕焼け」も印象的。このアルバムでのこのポップなニューミュージック風な曲が以降の太田裕美の十八番となっていく。

作詞は全て松本隆なのは変わらないが、松本隆の作詞の内容も、ポップなニューミュージック風な曲に合うような内容に変化してきている。この松本隆の作詞の世界が、カジュアルな日常にありそうな身近な内容に変化したことが、太田裕美の歌世界を新しい世界に変化させた。

このアルバムから太田裕美の歌世界は、歌謡界で独特な個性、他に無いポップでカジュアルな歌世界がメインとなって、1970年代後半を駆け抜けていく。ベースは歌謡曲ではあるが、音の傾向はニューミュージック側に力点を置いた太田裕美の歌世界は唯一無二な存在だった。加えて、ちょっと舌っ足らずでファルセットが美しい太田裕美のボーカルも、これまた唯一無二だった。

このアルバム『心が風邪をひいた日』は、女性ボーカリスト太田裕美の歌世界の原点としてのポジションを占める佳作である。僕は、このアルバムの歌世界から、太田裕美者(太田裕美ファン)になった。

 
 

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2013年8月25日 (日曜日)

太田裕美の「夏のアルバム」

今を去ること30数年前、僕の大学時代、僕は「太田裕美」のファンだった。今でもしっかりとファンである。彼女の特徴あるボーカルが大好きで、実は彼女のアルバムは、ほとんど全て所有している。

デビュー初期の頃の歌謡曲時代、「雨だれ」「たんぽぽ」「木綿のハンカチーフ」「赤いハイヒール」の時代も大好きだ。特に、「木綿のハンカチーフ」「赤いハイヒール」は大好きで、今でも同世代で行くカラオケでは、思わず歌ったりする(笑)。

ニューミュージック時代の太田裕美のオリジナル・アルバムは、僕にとっては「絶品揃い」である。『12ページの詩集』あたりからのオリジナル・アルバムはいずれも愛聴盤である。ニューミュージック系の歌世界と太田裕美のボーカルが絶妙にマッチしていて、僕は大好きだ。

シングルのみの楽曲も大好きだ。「しあわせ未満」「青空の翳り」「南風 - SOUTH WIND -」「恋のハーフムーン」などなど、絶品揃えである。特に、ニューミュージック系からシティ・ポップ系のシングルは、歌詞・作曲・アレンジ含めて実に出来が良い。

そんな太田裕美のアルバムの中で、夏のアルバムとして、愛聴しているアルバムがある。1979年6月リリースの10thアルバム『Feelin' Summer』(写真左)。このアルバム、太田裕美のアルバムの中でも、ちょっと異色のアルバムで、ヒット曲をバンドルしていない、全て、オリジナル曲で揃えている。同時期発売のシングル「青空の翳り」「シングルガール」も収録していない。

タイトル通り夏のイメージ満載のアルバムである。収録された楽曲の雰囲気も、歌謡曲な雰囲気が完全に払拭されて、ニューミュージック系からシティ・ポップ系作品で固められており、これが実にマニアの心をくすぐる内容で、「太田裕美とそのスタッフってスゲーなー」と、当時、思いっきり感心しました。
 

Hiromi_ohta_feelin_summer

 
マニア的に語ると、ソロ・デビュー前の浜田金吾の楽曲を積極的に起用、アレンジには、当時、新進気鋭の戸塚修を起用していているところなどが実にニクイ。当時、流行のニューミュージックの先を行く、シティ・ポップの雰囲気を先取りしている内容が実にニクイ。

同時にボーカルのスタイルも少し変えていて、歌謡曲・アイドル路線の延長線上の「舌足らずの甘ったるい歌声」を押さえつつ、太田裕美本来の、力強くて素直で伸びやかな高音が素敵なボーカルが前面に押し出されています。これには、ビックリしました。でも、このアルバム以降の太田裕美本来のボーカルはとても個性的で良い感じです。 

ミディアム・テンポで、眩しい日差しと気怠い昼下がりの日陰感のイメージがしっかりと詰まっていて、夏のシティ・ポップなアルバムとして、かなり上出来な内容です。ただ、同時期発売のシングル「青空の翳り」(写真右)、「シングルガール」など、アルバムの核となる「メリハリの強い曲」が無い分、インパクトにはちょっと乏しい内容にはなっています。

でも、それが良いんですね。アルバム全体のトーンが整っていて、トータルアルバムとして実に良い雰囲気です。地味そうで、実は聴き込んでいくと意外と聴き甲斐のアルバムで、長年聴き続けることができる「長年に渡るヘビロテ盤」になっています。今の耳で聴くと、70年代後半のシティ・ポップ系の佳作として、とても良い内容に改めて感心します。

ちなみにこのアルバム・ジャケットの裕美さんの写真、すごく可愛い。リリース当時から、僕のお気に入りナンバーワンのジャケットで、これは絶対にLPサイズで持っていたいですね。大学当時、ジャケットを部屋に飾っていたことを思い出しました(笑)。

 
 

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2013年2月10日 (日曜日)

密かに太田裕美のマニアである

太田裕美。今を去ること、ずーと昔のこと、今を去ること35年ほど前のこと、高校〜大学時代の僕は、密かに太田裕美のマニアであった(今もだけど・・・笑)。太田裕美といえば、かの有名な「木綿のハンカチーフ」で一世を風靡し、その当時はアイドル歌手としてその名を馳せた女性ボーカリストである。

その太田裕美であるが、当時、珍しいポジションにいた。当時は、まだまだ歌謡曲全盛の時代、やっとニューミュージックという言葉が出始めた頃、太田裕美は歌謡界に身を置きながら、歌う曲はニューミュージック系の佳作が多かった。少し舌っ足らずな、印象の残るボーカルで、結構、身にしみる佳曲の数々を歌いこなしていた。そして、時代が進むにつれ、シティポップ系の楽曲に馴染んでいく。非常にユニークな存在だった。

『太田裕美の軌跡 〜 First Quarter 〜』(写真左)という、太田裕美マニア垂涎のボックス盤がある。

その中身といえば、まずはシングル特集。シングルのA面B面がズラーっとデビューから現在まで並んでいる。この企画は僕のようなマニアにはたまらない企画です。それと、未発表・別バージョン音源とボーカルとして参加している音源。そして、CM音源とライブ音源。この辺りになってくると、かなりマニアック。加えて、おまけに「書き下ろしの新曲」。マニアにとっては、至れり尽くせりの内容。

このボックス盤を聴き返していて、ふと思う。なぜ、高校〜大学の多感な頃にマニアになったのか。彼女の風貌に惚れたわけでは無い。当時、流行のシンガーソングライター出身でも無い。つまるところ、僕は純粋に、太田裕美というシンガーの、その「個性」に惚れ込んだのだった。

やや舌っ足らずの歌い方に、ハスキーで丸いファルセット(ウラ声)。それと、彼女の唄う歌の「個性(やはり、松本隆と筒見京平のコンビが絶妙)」に惚れ込んだのだった。それと、彼女の唄うそれぞれの曲は、高校〜大学時代の青春時代の経験と想い出とが、かなりの点でオーバーラップするのだ(つまり、追体験できる曲が多かったですね)。太田裕美のボックス盤のCDを聴きながら、太田裕美の個性と自分の青春時代の想い出が交錯するところが実に良い。

「雨だれ」でデビューした太田裕美ではあるが、このデビュー曲から暫くは、何の変哲もない、アイドル路線まっしぐらの、いかにも歌謡曲らしい曲が続く。
 

Hiromi_ohta_first_quarter

 
しかし、その流れの中で唯一輝く「木綿のハンカチーフ」だけは白眉。まず、出だしの弦のアレンジ。これがたまらん。このアレンジがこの曲を名曲にしたといっても過言ではない。それと、斬新な印象の恋人の間の会話形式の歌詞。この「木綿のハンカチーフ」の歌詞は、当時としては実に新鮮だった。この曲が流行った頃、僕は高校2年生の冬。歌詞の内容にある男の心情の変化に憤慨しながら(笑)、この曲のアレンジには強い印象を持ったことを覚えている。

この名曲のバリエーションが「赤いハイヒール」。「木綿のハンカチーフ」に比べると歌詞のまとまり感はやや落ちるが、僕はこの曲の歌詞の内容の方が圧倒的に好き(僕は基本的にハッピーエンド好き)。曲としては、マイナー調から途中でメジャー調に転調する部分が僕にはたまらん。どうも、転調したり、リズムが変わったりする曲にからきし弱い(大好き)、という僕の音楽の嗜好の一つに、生まれて初めて、気がついたのがこの曲である。

しかし、僕が思うに、「しあわせ未満」あたりから、太田裕美の世界が変わっていったのではないかと。明らかにこの「しあわせ未満」から、太田裕美の歌の世界は変わっている。急速に、当時で言う「ニューミュージック化」していくのだ。

当時珍しいボサノバ調の「恋愛遊戯」、そして、最初のピークが「九月の雨」。「車のワイパー、透かして見てた、都会に煌めくイルミネーション」、出だしの歌詞が結構ふるっている。まだまだ、松本隆/筒美京平のゴールデンコンビの曲ではあるが、従来の歌謡曲の歌詞には無い展開であり、アレンジも旧来の展開から急速に脱皮していく。明らかに「ニューミュージック」の影響が見て取れるのだ。

その影響が進んで、ついにニューミュージック系のミュージシャンから曲の提供を受け始める。「失恋魔術師」(吉田拓郎)、「君と歩いた青春」(伊勢正三)、「青空の翳り」(来生えつこ/浜田金吾)、「さらばシベリア鉄道」・「恋のハーフムーン」(大滝詠一)などなど、きら星の如く、ニューミュージック〜シティポップ系の秀作が並ぶ。

1977年から1981年までの約5年間、太田裕美の世界は、ニューミュージック〜シティポップ系の「隠れた名曲」の宝庫といっても過言ではない。「歌謡曲のジャンルの中でのニューミュージック〜シティポップ系の曲を歌う」という不思議なポジションと、どれもが追体験できそうな、その歌詞の内容の「繊細さと身近さ」と、ニューミュージックをベースとしたその曲調とアレンジ。

太田裕美の歌う曲は、僕の浪人〜学生時代の中で、それぞれが輝いていた。僕の「隠れたお気に入り」である。

 
 

大震災からもうすぐ2年。でも、決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

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2008年5月29日 (木曜日)

さらばシベリア鉄道・その1

大学時代、太田裕美がお気に入りだった(今でもだけど)。これ、僕の秘密で、あまり他の人たちに話したことが無い。

大学時代当時は、ロックからジャズに走り出しており、ロックは、AORやアメリカン・ルーツ・ロック、ウェストコースト・ロックが専門の渋好み。周りからは、ちょっと「通」な趣味をしている、と思われていたので、太田裕美が実はお気に入りだなんて、他人には決して言えない(笑)。

ジャズのアルバム購入にバイトで稼いだ金をつぎ込みながらも、密かに、太田裕美のベスト2枚組アルバムを買ったり、貸レコード屋で、オリジナル・アルバムを借りてきてカセットにダビングしたりで、大学3回生の頃には、太田裕美のアルバム・コレクションは完結していたくらいの熱の入れようだった。

彼女の歌の世界が好きなのだ(キャラクターもちょっと好きかな)。特に、松本隆作詞の世界を唄わせたら天下一品。「木綿のハンカチーフ」を聴けば判るでしょう。もともとは、高校時代にこの「木綿」と「赤いハイヒール」「しあわせ未満」など、彼女のシングルを密かに好きになったことが伏線にある。どれもが松本隆の世界なのだ。
 

H_ohta_siberia

 
彼女のオリジナル・アルバムもなかなかに充実したものが多く、聴き応えがある。様々な有名なミュージシャンや職業作詞家、職業作曲家が楽曲を提供している。これが、なかなか優れたものが多い。僕は、今では、太田裕美のアルバムをCDで全て持っている位だ(笑)。

好きな曲は多々あるが、特に好きな曲のひとつに「さらばシベリア鉄道」がある。シングルでも発売され、アルバムでは『十二月の旅人』に収録されている。これも、松本ワールド。この曲は彼女にとって「振り向けばイエスタディ」以来6曲ぶり、2年ぶりの松本作品だった。

松本隆お得意の、コール&レスポンス、つまり「木綿のハンカチーフ」や「赤いハイヒール」でおなじみの、前半を女性の心境で語り、後半を男性の心境で返す、という構成になっている。作曲は大瀧詠一。絶品である。やはり、松本隆の世界を歌わせると雰囲気が出る。太田裕美に合っていると感じた大滝詠一の読みは、まさにピッタリであったと思う。でも、売れなかったなあ。でも、好きです、この曲。
 

悲しみの裏側に何があるの?
涙さえも氷りつく白い氷原
誰でも心に冬を かくしてると言うけど
あなた以上冷ややかな人はいない

君の手紙読み終えて 切手を見た
スタンプにはロシア語の 小さな文字
独りで決めた別れを 責める言葉探して
不意に北の空を追う

伝えておくれ 十二月の旅人よ
いついついつまでも、待っていると。

『さらばシベリア鉄道』
松本隆:作詞 大瀧詠一:作曲
 
 
 
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