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2018年1月16日 (火曜日)

モンク・トリビュートの好盤

そんなモンクの楽曲であるが、プロのジャズメンとしても、モンクの楽曲は無視出来ない存在みたいで、いつの時代でも「モンク・トリビュート」なアルバムがコンスタントに定期的にリリースされている。即興性や自由度の高い、そして意外性のあるジャズならではの展開がてんこ盛りなモンクの楽曲は、ジャズメンにとっても取り組み甲斐のある素材なのだろう。

と、昨日書いた。確かにそうで、僕はこの「モンク・トリビュート」なアルバムが好きだ。まず、そのジャズメンのスキルが明確に判る。演奏する楽器のテクニック、モンクの楽曲のアレンジ能力、そして、なにより、その演奏するジャズメンの個性が、手に取るように判る。モンクの楽曲って、モンクの奏法って、本当に不思議だ。

Paul Motian『Monk in Motian』(写真)。1989年のリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Motian (ds), Joe Lovano (ts), Bill Frisell (el-g), Geri Allen (p), Dewey Redman (ts)。純ジャズ復古の号令がかかって、純ジャズの良作がどんどん量産され始めた頃。良質の「モンク・トリビュート」なアルバム。
 

Monk_in_motion

 
ポール・モチアンは柔軟でハイテクニックな職人ドラマー。メインストリームなジャズもいける。しかも、1970年代は、フリーなジャズをガンガンやった。メインストリームなドラミングも、フリーなドラミングもどちらも優秀。そんな柔軟かつ想像性豊かなドラマーがモンク・トリビュートをやる。つまり、モンクの楽曲の「リズム&ビート」に着目した「モンク・トリビュート」。

モンクの奏法のパーカッシヴな個性は、フロントのロバーノのテナーとフリゼールのエレギで緩和しつつ、モンクの楽曲の個性的なフレーズを浮き彫りにすることに成功している。そこにガッツリ絡む、モチアンのドラミング。モンクの楽曲の持つ独特の「リズム&ビート」をしっかりと印象付けてくれる。

面白いのは、ジェリ・アレンのアコピ。多くのアコピの使い手が陥る状態なんだが、モンクが乗り移ったが如く、モンクのコピーの如く、モンクそっくりに弾く。これではピアニストの個性が全く判らん(笑)。どうも、アコピの使い手にはモンクの楽曲は鬼門なのかもしれない。このアレンのアコピはご愛嬌。このモチアンの『Monk in Motian』、「モンク・トリビュート」の好盤である。

 
 

東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年12月23日 (土曜日)

チックとガッドの新プロジェクト

チック・コリアは、僕のお気に入りピアニストの筆頭。1941年生まれなので、今年で76歳。結構な高齢になってきたのだが、まだまだ現役。もはや「生きたレジェンド」状態なのだが、まだまだ時代の最先端をいく、コンテンポラリーな純ジャズを中心に活動している。そんなチックがドラムのスティーヴ・ガッドと組んで、新しいバンドを立ち上げた。

Chick Corea & Steve Gadd『Chinese Butterfly』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Steve Gadd (ds), Lionel Loueke (g), Steven Wilson (sax, fl), Carlitos Del Puerto (b), Luisito Quintero (per)。チック・コリアとスティーヴ・ガッドという巨匠二人による新プロジェクトのデビュー盤。日本で11月22日発売。世界に先駆けて日本大幅先行発売である(海外は来年の1月18日のリリース予定)。

もともとチックは、ガッドのドラムと相性が良い。たまにしか組まないのだが、組んだ時のパフォーマンスはどれもが素晴らしい出来。切れ味良く固いタッチのチックのピアノに、縦ノリの柔軟度の高いガッドのドラミングは、硬のチック、軟のガッドという対比で相性が良いのだと理解している。
 

Chinese_butterfly  

 
このチックとガッドの新しいコラボの成果である『Chinese Butterfly』においても、その相性は抜群で、演奏全体の雰囲気としては、アコに拘らずエレに偏らない、アコとエレが見事に融合したフレッシュなサウンドが良い。現代のコンテンポラリーな純ジャズとは「かくあるべし」と言う感じの示唆に富んだ展開の数々が魅力的。

ジョン・マクラフリン作が1曲目、ルエケとチック・コリア作が7曲目、他は全曲コリア作。どの演奏もチックとガッドの相性がとても良いことが良く判る。メロディアスでメリハリが効いていて、硬軟自在、変幻自在、まあ、チックとガッドが組んでのコンテンポラリーな純ジャズである。悪かろう筈が無い。

6曲目「Return To Forever」の再演では、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのフィリップ・ベイリーがゲスト参加している。この辺が今回の新プロジェクトのキモなのかなあ、と睨んでいる。現在における成熟した「Return to Forever」を再現するつもりなのかなあ、とボンヤリと感じた次第。次作が楽しみである。

 
 

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2017年12月13日 (水曜日)

明らかに新しいジャズ・オルガン

昨日に引き続き、この人のオルガンも、ほんのりファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」している。逆に、アグレッシブで音の太い、ストレートな音がこの人の個性。従来のジャズ・オルガンの音からすると、あきらかに対極にある音。この人とは、サム・ヤヘル(Sam Yahel)。1970年生まれだから今年で47歳。バリバリの中堅オルガニスト。

『Yaya3』(写真左)というアルバムがある。Yaya3=ヤヤ・キューブド(cubedは数字の3乗)と読む。2002年の作品。ちなみにパーソネルは、Joshua Redman (ts), Sam Yahel (org), Brian Blade (ds)。ヤエルがNYのジャズ・クラブ「スモールズ」で行なっていたライヴにジョシュアが参加して、このプロジェクト=Yaya3 は立ち上がった。

このプロジェクト=Yaya3の実質的なリーダーは、サム・ヤヘル。そして、このヤヘルのオルガンが実に魅力的なのだ。こってこてのファンクネスはかなり希薄。つまり、オルガンの演奏スタイルは、ジャズ・オルガンの大御所、ジミー・スミスの様なものでは無く、オルガンのコルトレーンと呼ばれたラリー・ヤングに近い。軽快でスッキリ、アグレッシブで音の太い、ストレートな音。
 

Yaya3

 
ストイックなまでにアグレッシブなオルガンの音色は、ストレートなグルーブ感を生み出して、シャープにうねる。音の雰囲気とくすみは明らかにジャズのものであり、このアルバムでのヤヘルのオルガンは、ストレート・アヘッドな純ジャズ系のオルガンである。コマーシャルに走らず、あくまで硬派にモード・ジャズを極めていく。

そんなヤヘルのオルガンに、ジョシュアのテナーが魅力的に絡む。ジョシュアのテナーは、コルトレーンとロリンズを足して2で割って、ロリンズ寄りに個性を寄せた感じ。硬派でストレートではあるが歌心に富んだテナーは、他に有りそうで無い個性。それが、軽快でスッキリ、アグレッシブで音の太い、ストレートなヤヘルのオルガンに絡むのだ。新しいオルガン・ジャズの響きが芳しい。

そして、そんな二人を鼓舞する、ポリリズミックな千手観音ドラミングのブライアン・ブレイド。硬軟自在、緩急自在なドラミングが、旋律をアドリブ・ラインを自由度高く司るフロント二人を手厚くサポートする。そして、アルバムを聴き終えた後、耳に一番残っているのはヤヘルのオルガン。現代の、明らかに新しいジャズ・オルガンの音である。

 
 

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2017年12月 2日 (土曜日)

ドラムが活躍するフリー・ジャズ

ECMレーベルが立ち上がったのが1969年。当時、ジャズ界の演奏トレンドは「フリー・ジャズ」。ロックの台頭に押されて、ポップス・ジャンルのマイナーな存在に追いやられつつあったジャズ。そのロックの要素を取り込んで、新しいジャズを創造する傍ら、即興演奏の側面を極限まで突き詰めたフリー・ジャズが当時の演奏トレンドになっていた。

米国ジャズでのフリー・ジャズは、オーネット・コールマンから始まり、コルトレーンが牽引した、本能の赴くまま、スピリチュアルでエモーショナルなインプロビゼーションを旨とし、熱気溢れる激しいブロウが特徴。不協和音も出しまくって、とにかく「五月蠅い」。

演奏の本質を理解出来れば、これはこれで立派なジャズなんだが、この不協和音と嘶くようなブロウは、一般の音楽ファンを遠ざけた。まあ、耳当たりは良くないよな。ECMレーベルの初期の頃のカタログには、そんな時代背景を反映して、このフリー・ジャズな演奏がメインの盤が多く存在する。

しかし、ECMレーベルは欧州のジャズ・レーベル。ECMのフリー・ジャズは欧州のフリー・ジャズのスタイル。現代音楽風の要素も見え隠れする、静謐で怜悧、インパクトと間を活かしたビートレスの即興演奏。熱いブロウを繰り広げることもあるが、短時間で冷たく熱気を帯びたブロウなのが特徴。米国ジャズの様に汗飛び散る熱気では無い。
 

Conception_vessel

 
Paul Motian『Conception Vessel』(写真左)。ECM1028番。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Motian (ds, perc), Keith Jarrett (p, fl), Sam Brown (g), Leroy Jenkins (vln), Becky Friend (fl), Charlie Haden (b)。若き日のキース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンが参加している。さすがECMレーベルである。

ポール・モチアンは伝説のドラマー。特に、ビル・エヴァンス、スコット・ラファロとのトリオ演奏が有名で、独特の空間と間を生かしたドラミングは唯一無二。ブラシ・ワークやシンバル・ワークも繊細かつ躍動的。ジャズ・ドラマーの中でも、理知的なドラミングが個性だったと理解しています。そんなポール・モチアン、1970年代は、ECMレーベルで活躍していたんですね。

このアルバムでは、徹頭徹尾、欧州式のフリー・ジャズを展開しています。リーダーがドラマーな分、ドラムが活躍します。ドラムが活躍するフリー・ジャズって、ありそうでない。この盤はそういう面でも貴重な存在です。フリー・ジャズである分、モチアンのドラミングの妙というか特徴が如実に出ています。

ドラムが活躍する欧州式フリー・ジャズ。適度なテンションが盤全体に漂っていて、最後まで飽きの来ないフリーな演奏に感心します。こういう演奏をしっかり記録しているECMレーベル、なかなかやりますね。

 
 

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2017年11月25日 (土曜日)

従来の純ジャズに無い響きが新鮮

僕はこの人のドラミングが気に入っている。Brian Blade(ブライアン・ブレイド)。1970年7月25日生まれ。今年で47歳になる。中堅ドラマー。ポリリズミックなドラミング、理知的なハイハット、切れ味の良いバスドラ。今までのジャズ・ドラマーに無い「佇まい」を感じる。

そんなブライアン・ブレイドがデビュー以降、現在まで活動を続けているフェローシップ・バンド。このアルバムは、このフェローシップ・バンドを率いての約3年ぶり新作。Brian Blade & The Fellowship Band『Body and Shadow』(写真左)。今年の10月のリリース。

ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ds), Jon Cowherd (p, harmonium, mellotron), Chris Thomas (b), Melvin Butler (ts), Myron Walden (as, b-cl), Dave Devine (g)。コンテンポラリー・ジャズな響きをしっかりと宿した演奏で、従来の純ジャズに無い音の響きが新鮮。ハーモニウム、メロトロンなど、珍しい鍵盤楽器の存在が面白い。
 

Body_and_shadow

 
音作りの根底に、ジャズを始めとして、ロック・カントリーなどの音の要素が取り込まれている様で、意外とポップ。ファンクネスは適度に抑えられていて、流麗で耳当たりの良い音は、ちょっと聴いていると「スムース・ジャズか」と感じる。全編抑え気味というか、全体的に静謐な感じ。しかし、しっかりと適度なテンションが張っていて、全編聴き通して飽きることは無い。

しかし、ブレイドのドラムとクリス・トーマスのベースが、しっかりとメンストリーム・ジャズなリズム&ビートを供給するので、この流麗で耳当たりの良い音は「純ジャズ」の範疇にしっかりと留まっている。ゆったり目の演奏が多い中、リズム・セクションの「引き締め」と「鼓舞」は重要な役割を果たすのだが、ブレイドのドラムとトーマスのベースは素晴らしいの一言。

ジャケットを見れば、これは「スムース・ジャズ」ですね。とても、コンテンポラリーな純ジャズな盤だとは思えない。これだけがマイナス点かな(笑)。実に知的で流麗、それでいて適度に張ったテンションが心地良い、なかなかの好盤だと思います。聴けば聴くほど味が出る、そんな盤です。

 
 

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2017年10月27日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・90

ジャズ演奏の編成って、かなりのバリエーションがある。基本は、ピアノ+ベース+ドラムのリズム・セクションに、フロントの管楽器が、今のジャズの基本構成と言ってよいんだろうけど、それだけには留まらない。ソロ、デュオも当たり前の様にあるし、デュオの楽器の組合せも様々。まあ、とにかく「定型」ってものが無い。そういう編成のバリエーションの柔軟性というのも、ジャズの特質だろう。

しかし、このアルバムのジャズ演奏の編成を知った時には「こんなんもアリかあ〜」と唸った。最初、聴いていたら、ピアノとドラムのデュオだと単純に思う。へ〜ぇ、ピアノとドラムのデュオってあるのか、なんて単純に感心したりする。しかし、聴き進めていくうちに「あれっ」と思う瞬間が来る。ピアノの音が弾きっぷりが、ちょっと変化するのだ。

それでも最初は、このピアニスト、変化の付け方が上手いなあ、これだけ音と弾きっぷりを変化させるのって、意外とテクニックがいるんだよな〜、この盤のピアニスト、凄いよな〜なんて思ってしまう。が、アルバムの演奏がどんどん進んで行くと、ピアノの音と弾きっぷりについて、明らかに雰囲気が異なる演奏が交互に来る。そして思う。これ、ピアノが2台、ピアニストが2人いるのか?
 

Double_play

 
Russ Freeman and André Previn『Double Play!』(写真左)。1957年4月〜5月の録音。「名手二人のピアノ連弾+マンの職人ドラムの変則編成」のピアノ・ジャズ。改めてパーソネルは記しておく。Russ Freeman, André Previn (p), Shelly Manne (ds)。ラス・フリーマンは、1950年代西海岸ジャズの名脇役ピアニスト。アンドレ・プレヴィンは、本業はクラシックの指揮者兼ピアニスト。ジャズ・ピアニストとしても一流。

プレヴィンはクラシック出身で、当然、テクニック上々だが、この盤で、フリーマンの指が良く回るのに、ちょっとビックリする。名脇役、伴奏上手のフリーマンなので、情感を優先に弾くのが上手い、と勝手に思っていたのだが、テクニック優秀な弾き回しにビックリ。テクニック優秀な二人が連弾形式で弾きまくる。ドライブ感抜群。マンのドラミングもガンガンにフロント2台のピアノを鼓舞していて素晴らしい。

演奏されている曲も楽しい。アルバム・ジャケットからも想像できるのだが、野球にまつわる曲ばかり。特に冒頭の「Take Me Out To The Ball Game」の「聴いて楽しい」ジャズ・アレンジ版はこの盤でしか、僕は聴いたことが無い。しかし、「名手二人のピアノ連弾+職人ドラム」の変則編成。こういったユニークな編成があるのもジャズならでは、である。

 
 

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2017年8月28日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・88

長年ジャズを聴いていると、勘が働くことがある。この盤って絶対良いよ、と言いたげなジャケット。よく「ジャケ買い」という言葉があるが、それに近い感覚かな。なんか良い音するぜ、とピピッと来る。そういう時は迷わず「ポチッ」として良いのだ(笑)。

最近のそんな一枚がこれ。Eric Ineke『Let There Be Life, Love and Laughter』(写真左)。まず、リーダーのEric Ineke=エリック・イネケとは誰か。オランダの正統派ベテラン・ドラマー。1947年4月生まれなので、今年で70歳になる。この盤はイネケの70歳の誕生日に作られた盤で、1968年から2014年のキャリアの中から8曲選んだもの、とのこと。

この8曲が面白い。Eddie“Lockjaw”Davis(ts), Dexter Gordon(ts), Johnny Griffin(ts), Grant Stewart(ts), David Liebman(ts), Clifford Jordan(ts), Lucky Thompson(ts), George Coleman(ts)、と8人の個性溢れるベテラン・テナーマンとのライブ演奏を集力しているのだ。名前を見るだけで、その癖のある、一筋縄ではいかない、実に魅力的なテナーマン達。キャリアが長く共演テナーマンが多いイネケだから出来る、実に面白い内容の企画盤である。
 

Let_there_be_life_love_and_laughter

 
これだけ個性あるテナーマンがフロントに入れ替わり立ち替わり立つのであるが、これが面白い事に、アルバム全体がしっかりと一定のトーン、演奏の雰囲気で統一されているのだ。聴き通してみると判るのだが、やはりリーダーのイネケのドラミングがそんな「統一感」の源なのだ。

ちょっとラフで半拍ほど遅れて入るオフビートなんだが、しっかりとグルーブ感を醸し出していて、細波のようにシンプルなビートがアルバム全編に渡って溢れている。このグルーブ感がフロントのテナーをしっかりとサポートし、しっかりと鼓舞する。テナー・ソロを惹き立てる、伴奏上手なドラミング。イネケのドラミングの実力の高さを思い知る。

リーブマンによるライナーノーツが書かれているが、そこには「エリック・イネケがドラムなら、必ずスイングする」と書かれている。う〜ん、この一言に尽きるなあ。細波の様にパルスの拡がりでスイングするイネケのドラミング。ハイハットの多用、呼応するように合いの手の様に入るラフなスネア。米国には無い、独特な個性の和蘭のドラミングである。

 
 

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2017年7月29日 (土曜日)

アフロビートなハードバップ

毎月毎月、途切れること無くジャズの新盤がリリースされる。若手のコンテンポラリーな純ジャズもあれば、アーバンでお洒落なスムース・ジャズもある。そして、ベテランの渋いネオ・ハードバップなジャズもある。そんな中、初顔のものもある。かなりのベテランの新盤でも「初顔」の場合もある。

Tony Allen『A Tribute To Art Blakey and the Jazz Messengers』(写真左)。今年の5月のリリース。収録曲は4曲。ミニアルバム、レコードの仕様からすると「10inch vinyl」である。ジャケットからして雰囲気がある。

しかし、僕は「Tony Allen(トニー・アレン)」の名を知らない。ジャケット写真から見ると「ドラマー」であることは判る。タイトルからすると「アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース(以降「JM」と略す)」のトリビュート作品だということは判る。この雰囲気あるジャケットが凄く気になる。さて、トニー・アレンとは。調べれば「ナイジェリア出身の伝説のドラマー」。1940年8月生まれなので、今年で77歳になる大ベテランである。
 

A_tribute_to_art_blakey_and_the_jaz

 
アフロビートの創始者、フェラ・クティの右腕として活動とある。僕がメインストリートなモダン・ジャズを中心に聴いてきて、アフロビートな音を聴き始めたのはつい10年前から。恐らく、出会う機会が無かったのだろう。そんなトニー・アレンが、ドラム叩くきっかけとなった若き頃からのアイドルがJM。なるほど、それでトリビュート盤なのね。

とても雰囲気のあるコンテンポラリーな純ジャズである。JMのトリビュート盤であるから、収録曲は全てJMの代表曲ばかりだが、この盤での演奏の雰囲気は決して「ハードバップ」では無い。さすがアフロビートがメインのドラマー、トニー・アレンである。アフロビートなジャズ・メッセンジャースがここにある。トニー・アレン含む8ピース・バンドが同じ部屋でライヴ一発録り。音も良い。でも、音の雰囲気は「アフロビート」。

むっちゃ魅力的なネオ・ハードバップである。アフロビートなネオ・ハードバップ。ミニアルバムでは無い、フルサイズの音が聴きたい。そんな思いを強く抱かせる秀作である。ブレイキーはビバップ、ハード・バップ、アレンはアフロ・ビートの創生者の一人。アレンはまだ現役である。

 
 

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2017年7月11日 (火曜日)

ライトハウスのエルヴィンです

ジャズのライブ録音で有名な「ライブハウス」がある。例えば、米国東海岸ニューヨークでは、ブルーノート、ヴィレッジヴァンガード、バードランドなどが有名。それでは、米国西海岸では、と問えば、まず、ロサンゼルスのハモサビーチにある「ライトハウス」が浮かぶ。「ライトハウス」かあ。

ライトハウス、と聴いて、まず思い浮かぶライブ盤が、Elvin Jones『Live at the Lighthouse』(写真左)。1972年9月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Steve Grossman (ts, ss), Dave Liebman (ts, ss, fl), Gene Perla (b)。ブルーノート・レーベルからのリリース。

リーダーのエルヴィンのドラムにフロントの2サックス、そしてベース。おや、ピアノがいない。そう、このライブ演奏、ピアノレスの変則トリオ。フロントにサックスが2本。当時、中堅に差し掛かった頃のスピリチュアルなブロウの担い手、スティーヴ・グロスマンとデイヴ・リーブマン。バックにポリリズムの権化、エルヴィン・ジョーンズが控える。
 

Elvin_jones_live_at_the_lighthouse

 
ピアノが無い。打楽器の役割も果たせるピアノが無い。ドラムのエルヴィンはより自由に叩きまくる。メロディー楽器の役割も果たせるピアノが無い。コードを規定するピアノが無い。フロントの2サックスは、思いっきり自由に吹きまくる。マイルス・バンドから抜けたばかりのグロスマンと、これからマイルス・バンドに参加するリーブマン。目眩く、凄い素晴らしい「吹きまくり」。

しかし、である。当然ながら、リーダーのエルヴィン・ジョーンズのドラミングがとても素晴らしい。フロントの2テナーを鼓舞するばかりか、巧みなドラミングでビートもしっかりと供給しており、これではベースは不要ではないか。確かにベースのジーン・パーラは「しんどそう」。エルヴィンの盟友らしいのだが、このライブでのエルヴィンは手加減しない。何かに取り憑かれたが如く、バッシバッシと叩きまくる。

コンプリート盤も出ているが、まずはリリース時と同様のLP2枚組編成のCDをお勧めしたい。録音のトータル時間も適度で、飽きること無く、心地良いテンションの下、このライブ盤を愛でることが出来る。そうそう、このアルバムのジャケットのイラストには「引いてはいけない」。中身はホットで、吹きまくりテナー&叩きまくりドラムの好盤です。

 
 

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2017年7月 7日 (金曜日)

ドラムでモードをやっている

ドラマーがリーダーの作品って、録音されたその時代の最先端を行くジャズのパフォーマンスの「トレンド」を採用し、展開するケースが多い。自らも先進的なドラミングを披露しつつ、パーソネルの人選もそれを意識して、最先端を行くジャズのパフォーマンスを体現できるジャズメンをチョイスする。

例えば、Pete La Roca『Basra』(写真左)。1965年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Pete La Roca (ds), Joe Henderson (ts), Steve Kuhn (p), Steve Swallow (b)。録音年とパーソネルを見ただけで、このアルバムに詰まっている音が「只者では無い」ことが容易に想像出来る。

Pete La Roca=ピート・ラロカと読む。ラロカのドラミングは、一聴すると「あれ、ロイ・ヘインズかな」と思うんだが、聴き進めるにつけ、このドラマーの持つ、よりモダンで現代的な響きと、整然としているが重心が低く、ちょっと野太い音が「ロイ・ヘインズとは異なる」。叩き方がまるでドラムでモード・ジャズをやっている感じなのだ。
 

Basra1

 
ピート・ラロカの、ドラムでモードをやっている様な、限りなくフリーだが伝統的な枠内にギリギリ残ったドラミングが、今の耳にも新鮮に響く。この自由度の高いモダンなドラミングに鼓舞されて、これまた、モード・ジャズの申し子の様な、モーダル・テナーの第一人者、ジョーヘンがウネウネブララ〜と吹き上げる。

そこに不思議なラインとタイム感覚を持ったスワローのベースが底を支える。そして、耽美的な響きではあるが、切れ味良く妖気漂う様な、少し危険な響きが芳しいスティーヴ・キューンのピアノ。冒頭の「Malaguena」なんて、イスラムを感じさせる独特なメロディーラインにラテンな雰囲気を塗したような、妖艶な捻れが魅力のモード・ジャズの典型。

とにかく「アクの強い」ドラマーがリーダーの盤。こういう先進的な音をしっかりと捉えてアルバムとして後世に残しているなんて、さすがブルーノート・レーベルである。後にジャズ・ドラマーから弁護士に転職するという変わった遍歴を持つピート・ラロカ。しかし、こういう先進的なリーダー作を残し、後世に名を残している。たいしたものである。

 
 

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