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2017年8月28日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・88

長年ジャズを聴いていると、勘が働くことがある。この盤って絶対良いよ、と言いたげなジャケット。よく「ジャケ買い」という言葉があるが、それに近い感覚かな。なんか良い音するぜ、とピピッと来る。そういう時は迷わず「ポチッ」として良いのだ(笑)。

最近のそんな一枚がこれ。Eric Ineke『Let There Be Life, Love and Laughter』(写真左)。まず、リーダーのEric Ineke=エリック・イネケとは誰か。オランダの正統派ベテラン・ドラマー。1947年4月生まれなので、今年で70歳になる。この盤はイネケの70歳の誕生日に作られた盤で、1968年から2014年のキャリアの中から8曲選んだもの、とのこと。

この8曲が面白い。Eddie“Lockjaw”Davis(ts), Dexter Gordon(ts), Johnny Griffin(ts), Grant Stewart(ts), David Liebman(ts), Clifford Jordan(ts), Lucky Thompson(ts), George Coleman(ts)、と8人の個性溢れるベテラン・テナーマンとのライブ演奏を集力しているのだ。名前を見るだけで、その癖のある、一筋縄ではいかない、実に魅力的なテナーマン達。キャリアが長く共演テナーマンが多いイネケだから出来る、実に面白い内容の企画盤である。
 

Let_there_be_life_love_and_laughter

 
これだけ個性あるテナーマンがフロントに入れ替わり立ち替わり立つのであるが、これが面白い事に、アルバム全体がしっかりと一定のトーン、演奏の雰囲気で統一されているのだ。聴き通してみると判るのだが、やはりリーダーのイネケのドラミングがそんな「統一感」の源なのだ。

ちょっとラフで半拍ほど遅れて入るオフビートなんだが、しっかりとグルーブ感を醸し出していて、細波のようにシンプルなビートがアルバム全編に渡って溢れている。このグルーブ感がフロントのテナーをしっかりとサポートし、しっかりと鼓舞する。テナー・ソロを惹き立てる、伴奏上手なドラミング。イネケのドラミングの実力の高さを思い知る。

リーブマンによるライナーノーツが書かれているが、そこには「エリック・イネケがドラムなら、必ずスイングする」と書かれている。う〜ん、この一言に尽きるなあ。細波の様にパルスの拡がりでスイングするイネケのドラミング。ハイハットの多用、呼応するように合いの手の様に入るラフなスネア。米国には無い、独特な個性の和蘭のドラミングである。

 
 

東日本大震災から6年5ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年7月29日 (土曜日)

アフロビートなハードバップ

毎月毎月、途切れること無くジャズの新盤がリリースされる。若手のコンテンポラリーな純ジャズもあれば、アーバンでお洒落なスムース・ジャズもある。そして、ベテランの渋いネオ・ハードバップなジャズもある。そんな中、初顔のものもある。かなりのベテランの新盤でも「初顔」の場合もある。

Tony Allen『A Tribute To Art Blakey and the Jazz Messengers』(写真左)。今年の5月のリリース。収録曲は4曲。ミニアルバム、レコードの仕様からすると「10inch vinyl」である。ジャケットからして雰囲気がある。

しかし、僕は「Tony Allen(トニー・アレン)」の名を知らない。ジャケット写真から見ると「ドラマー」であることは判る。タイトルからすると「アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャース(以降「JM」と略す)」のトリビュート作品だということは判る。この雰囲気あるジャケットが凄く気になる。さて、トニー・アレンとは。調べれば「ナイジェリア出身の伝説のドラマー」。1940年8月生まれなので、今年で77歳になる大ベテランである。
 

A_tribute_to_art_blakey_and_the_jaz

 
アフロビートの創始者、フェラ・クティの右腕として活動とある。僕がメインストリートなモダン・ジャズを中心に聴いてきて、アフロビートな音を聴き始めたのはつい10年前から。恐らく、出会う機会が無かったのだろう。そんなトニー・アレンが、ドラム叩くきっかけとなった若き頃からのアイドルがJM。なるほど、それでトリビュート盤なのね。

とても雰囲気のあるコンテンポラリーな純ジャズである。JMのトリビュート盤であるから、収録曲は全てJMの代表曲ばかりだが、この盤での演奏の雰囲気は決して「ハードバップ」では無い。さすがアフロビートがメインのドラマー、トニー・アレンである。アフロビートなジャズ・メッセンジャースがここにある。トニー・アレン含む8ピース・バンドが同じ部屋でライヴ一発録り。音も良い。でも、音の雰囲気は「アフロビート」。

むっちゃ魅力的なネオ・ハードバップである。アフロビートなネオ・ハードバップ。ミニアルバムでは無い、フルサイズの音が聴きたい。そんな思いを強く抱かせる秀作である。ブレイキーはビバップ、ハード・バップ、アレンはアフロ・ビートの創生者の一人。アレンはまだ現役である。

 
 

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2017年7月11日 (火曜日)

ライトハウスのエルヴィンです

ジャズのライブ録音で有名な「ライブハウス」がある。例えば、米国東海岸ニューヨークでは、ブルーノート、ヴィレッジヴァンガード、バードランドなどが有名。それでは、米国西海岸では、と問えば、まず、ロサンゼルスのハモサビーチにある「ライトハウス」が浮かぶ。「ライトハウス」かあ。

ライトハウス、と聴いて、まず思い浮かぶライブ盤が、Elvin Jones『Live at the Lighthouse』(写真左)。1972年9月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Steve Grossman (ts, ss), Dave Liebman (ts, ss, fl), Gene Perla (b)。ブルーノート・レーベルからのリリース。

リーダーのエルヴィンのドラムにフロントの2サックス、そしてベース。おや、ピアノがいない。そう、このライブ演奏、ピアノレスの変則トリオ。フロントにサックスが2本。当時、中堅に差し掛かった頃のスピリチュアルなブロウの担い手、スティーヴ・グロスマンとデイヴ・リーブマン。バックにポリリズムの権化、エルヴィン・ジョーンズが控える。
 

Elvin_jones_live_at_the_lighthouse

 
ピアノが無い。打楽器の役割も果たせるピアノが無い。ドラムのエルヴィンはより自由に叩きまくる。メロディー楽器の役割も果たせるピアノが無い。コードを規定するピアノが無い。フロントの2サックスは、思いっきり自由に吹きまくる。マイルス・バンドから抜けたばかりのグロスマンと、これからマイルス・バンドに参加するリーブマン。目眩く、凄い素晴らしい「吹きまくり」。

しかし、である。当然ながら、リーダーのエルヴィン・ジョーンズのドラミングがとても素晴らしい。フロントの2テナーを鼓舞するばかりか、巧みなドラミングでビートもしっかりと供給しており、これではベースは不要ではないか。確かにベースのジーン・パーラは「しんどそう」。エルヴィンの盟友らしいのだが、このライブでのエルヴィンは手加減しない。何かに取り憑かれたが如く、バッシバッシと叩きまくる。

コンプリート盤も出ているが、まずはリリース時と同様のLP2枚組編成のCDをお勧めしたい。録音のトータル時間も適度で、飽きること無く、心地良いテンションの下、このライブ盤を愛でることが出来る。そうそう、このアルバムのジャケットのイラストには「引いてはいけない」。中身はホットで、吹きまくりテナー&叩きまくりドラムの好盤です。

 
 

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2017年7月 7日 (金曜日)

ドラムでモードをやっている

ドラマーがリーダーの作品って、録音されたその時代の最先端を行くジャズのパフォーマンスの「トレンド」を採用し、展開するケースが多い。自らも先進的なドラミングを披露しつつ、パーソネルの人選もそれを意識して、最先端を行くジャズのパフォーマンスを体現できるジャズメンをチョイスする。

例えば、Pete La Roca『Basra』(写真左)。1965年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Pete La Roca (ds), Joe Henderson (ts), Steve Kuhn (p), Steve Swallow (b)。録音年とパーソネルを見ただけで、このアルバムに詰まっている音が「只者では無い」ことが容易に想像出来る。

Pete La Roca=ピート・ラロカと読む。ラロカのドラミングは、一聴すると「あれ、ロイ・ヘインズかな」と思うんだが、聴き進めるにつけ、このドラマーの持つ、よりモダンで現代的な響きと、整然としているが重心が低く、ちょっと野太い音が「ロイ・ヘインズとは異なる」。叩き方がまるでドラムでモード・ジャズをやっている感じなのだ。
 

Basra1

 
ピート・ラロカの、ドラムでモードをやっている様な、限りなくフリーだが伝統的な枠内にギリギリ残ったドラミングが、今の耳にも新鮮に響く。この自由度の高いモダンなドラミングに鼓舞されて、これまた、モード・ジャズの申し子の様な、モーダル・テナーの第一人者、ジョーヘンがウネウネブララ〜と吹き上げる。

そこに不思議なラインとタイム感覚を持ったスワローのベースが底を支える。そして、耽美的な響きではあるが、切れ味良く妖気漂う様な、少し危険な響きが芳しいスティーヴ・キューンのピアノ。冒頭の「Malaguena」なんて、イスラムを感じさせる独特なメロディーラインにラテンな雰囲気を塗したような、妖艶な捻れが魅力のモード・ジャズの典型。

とにかく「アクの強い」ドラマーがリーダーの盤。こういう先進的な音をしっかりと捉えてアルバムとして後世に残しているなんて、さすがブルーノート・レーベルである。後にジャズ・ドラマーから弁護士に転職するという変わった遍歴を持つピート・ラロカ。しかし、こういう先進的なリーダー作を残し、後世に名を残している。たいしたものである。

 
 

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2017年7月 6日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・61

ロイ・ヘインズのドラミングが個性的で面白い。どうも填まったようだ。バシャバシャとラフにディレイする様なスネア、粋に切れ味良く芯を貫いたようなシンバル、小粋におかずの様に合間合間に入るタムタム。曲の出だしのドラミングをちょっと聴くだけで「ロイ・ヘインズ」と判る様な「明確な個性」。

そんなロイ・ヘインズを心から愛でることが出来るピアノ・トリオ盤に出くわした。『The Roy Haynes Trio』(写真左)である。1999年9月〜11月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), Danilo Perez (p), John Patitucci (b)。パナマ出身の実力派ピアニスト、ダニーロ・ペレスの参加が目を惹く。そして、ベースは、ベーシスト界最高峰の一人、ジョン・パティトゥッチ。

冒頭、バド・パウエルの「Wail」の出だしを聴くだけで「おお、このドラムはヘインズだ」と判る。どんどん聴き進めて行くと、このピアノ・トリオのドラムは、明らかに「ロイ・ヘインズ」だと確信する。そう、このピアノ・トリオ盤、全編に渡って、ロイ・ヘインズの個性的なドラミングが溢れている。この盤を聴き通せば、ロイ・ヘインズの個性、手癖、タイム感覚が実感を通じて理解出来る。
 

The_roy_haynes_trio

 
ヘインズ御大、この盤の録音時は74歳。かなり高齢なので「大丈夫か」と思うのだが、大丈夫どころか「凄い」。これだけ、硬軟自在、縦横無尽、変幻自在に叩きまくるドラミングをあまり聴いたことが無い。しかも、切れ味良くスイングする。曲想によって、曲のテンポによって、タイム感覚を変化させ、間合いの取り方をダイナミックに変えていく。これだけ柔軟なジャズ・ドラムはそうそうに無い。繰り出す繰り出す変拍子。

ダニーロ・ペレスのピアノも個性的だ。今までにありそうで無かった、耽美的ではあるが硬質で切れ味の良い、活き活きしたフレーズ。線が細くならない、繊細な弾き回し。ロイ・ヘインズの柔軟度の高いドラミングにピッタリ合う。そして、ヘインズのドラム、ペレスのピアノをしっかりと繋ぎ止め支えるのが、パティトゥッチのベース。

なかなか内容の濃い、出来の良いピアノ・トリオ盤です。2000年以降にリリースされたピアノ・トリオ盤の中では屈指の出来だと思います。21世紀の、現代のコンテンポラリーな純ジャズ路線をしっかりと踏まえた『The Roy Haynes Trio』。選曲も実に趣味が良い。加えて録音も良い。21世紀のピアノ・トリオの好盤の一枚です。

 
 

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2017年7月 3日 (月曜日)

デジタルな千手観音ドラミング

ドラマーの個性。聴けば聴くほど面白い。叩き方度合いというか、間の取り方というか、叩く密度についてもドラマーは皆それぞれ異なる。間を取って叩く密度が粗いものもあれば、間が無く叩く密度が高いものがある。

この人のドラミングは「間が無く叩く密度が高い」ドラミングの最右翼に当たる。「腕が何本あるのか判らない」くらいの手数の多さ、いわゆる「千手観音ドラミング」である。1980年代、新しいメインストリーム・ジャズの世代から現れ出でた、新しいタイプのジャズ・ドラマーである。その名は「Dave Weckl(デイヴ・ウェックル)」。

そんなデイヴ・ウェックルの「千手観音ドラミング」は、このアルバムで堪能出来る。Dave Weckl『Master Plan』(写真左)。1990年の作品。当時のチック・コリア一派から(Chick Corea (p), Eric Marienthal (sax))、新しいメインストリーム・ジャズの担い手たち(Michael Brecker (ts), Steve Gadd (ds), Anthony Jackson (b))が全面的にバックアップした、ウェックルの初リーダー作である。
 

Dave_weckl_master_plan

 
この盤でのウェックルの手数の多さに「いったいどうやって叩いているのやら」全くのところ理解に苦しむ、圧倒的な「千手観音ドラミング」である。とにかく賑やかこの上無い。一聴すると「無駄な音もあるよな」なんて揶揄したくなるのだが、聴き込むにつれ「これはこれでありやなあ」なんて感心してしまうドラミング。ありそうでなかなか無い「千手観音ドラミング」である。

「千手観音ドラミング」と言えば、1970年代、ビリー・コブハムが初代「千手観音ドラミング」で一世を風靡した。このコブハムのドラミングに比べて、ウェックルのドラミングはデジタルっぽく切れ味が鋭い。コブハムの「千手観音ドラミング」はアナログっぽく、ウェックルの「千手観音ドラミング」はデジタルっぽい。

圧倒的に聴き応えのあるドラミング。コンテンポラリーな純ジャズ風の演奏の中で、「腕が何本あるのか判らない」くらいの手数の多さ、いわゆる「千手観音ドラミング」が映えに映える。喧しい、と怒るなかれ。これもジャズ・ドラミングの個性のひとつである。圧倒的な高テクニックの産物である。

 
 

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2017年7月 2日 (日曜日)

ヘインズ meets 怪人テナー

10年ぶりにCDプレイヤーを買い換えた。というか、前のプレイヤーはDVDとのコンパチだったので、純粋な単体CDプレイヤーとしては、23年ぶりの買い換えになる。今回はもしかしたら、生涯で最後のモデルになる可能性もあるので、アンプとのバランスを取りつつ、予算的には十分に考慮した。で、やはり良い音が鳴る。暫くは、手持ちのCDを全て聴き直せる。

聴き直しCDの中で、最近の僕のジャズCD鑑賞のトレンドである「ドラマーがリーダーのアルバム」が幾枚かがある。その中でも、その出来に一番感心したのが、Roy Haynes『Out of the Afternoon』(写真左)。1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds), Roland Kirk (ts, manzello, stritch, C flute, nose flute), Tommy Flanagan (p), Henry Grimes (b)。

チャレンジのレーベル「Impulse!」からのリリース。百戦錬磨の強者ドラマー、ロイ・ヘインズが、怪人テナー、ローランド・カークを従えてのワンホーン・カルテット。怪人テナーのカークをヘインズがリーダーとして、どうコントロールするのか、聴きものである。バックのリズム・セクションの重要な相棒のピアノには、燻し銀ピアニスト、トミー・フラナガンが控える鉄壁の布陣である。

冒頭の「Moon Ray」の出だしから、ロイ・ヘインズ親分はドラムソロで一発かます。その豪快で柔軟なドラミングを聴きつつ、神妙にテナー・ソロに入るローランド・カークが可愛い。まずは無難な出だし。少し新しい響きを宿した純正なハードバップ風の演奏に終始する。まずは基本から、である。
 

Out_of_the_afernoon1  

 
続く「Fly Me to the Moon」でも、出だしヘインズ親分が一発かますが、後に出てくるカークのソロについては、最大限の自由を与えている。好きに吹き始めるローランド・カークが迫力満点。怪人テナーの面目躍如。フリーでは無い、限りなく自由度の高い、カーク独特のモーダルなテナーソロに思わず「のけぞる」。これが「ローランド・カーク」だ、と言わんばかりの迫力のブロー。ヘインズ親分はバッシバッシ鼓舞する。

軽やかで柔軟なヘインズのドラミングが秀逸。収録されたどの曲でもヘインズのドラミングは絶好調。ヘインズのドラミングを体験するだけでもこの盤は存在価値がある。加えて、ローランド・カークの素晴らしいパフォーマンス。もともとバップなピアニスト、トミフラも積極参戦して、3曲目を過ぎる辺りで、先進的で硬派なメインストリーム・ジャズと相成る。

ジャケット・デザインは「?」。森の中にそれぞれの楽器を持って佇んでいる訳だが、リーダーのロイ・ヘインズはシンバルだけを持って立っている。なんてジャケットなんだ。このジャケットだけは意味不明だが、内容的には先進的で硬派なメインストリーム・ジャズが詰まっているのだから、大目に見ようではないか。今の耳にも新鮮な響きが詰まった好盤である。

 
 

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2017年6月28日 (水曜日)

トニーを忘れてはならない

このところ、ジャズ・ドラムの個性について振り返っている。ロイ・ヘインズ、アート・ブレイキー、そして、エルヴィン・ジョーンズ。そうそう、そう言えば、この人のドラミングも個性的だ。シンバル・ハイハットを多用、凄まじいスピードで刻まれるビート。怒濤の様なバスドラ、高速の4ビート。圧倒的なハイテクニック。

トニー・ウィリアムスである。マイルス率いる1960年代黄金のクインテットのドラマー。疾走するハイハット。高速4ビート。60年代後半はフリー・ジャズ、70年代はロックに傾倒し、そのドラミングは「神」の域に達する。迫力満点、手数の多い、疾走感と切れ味が拮抗する、限りなく自由度の高いリズム&ビート。

トニー・ウィリアムスは、アート・ブレイキーやマイルス・ディヴィスと同様、有望な若手ジャズメンを自らのバンドに引き入れ、育成することに力を入れた。1980年代後半から、新生Blue Noteレーベルから立て続けにメインストリーム指向のアルバムをリリース、この中で、有望な若手を育て上げている。

Tony Williams『Native Heart』(写真左)。1989年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Williams (ds), Ira Coleman, Bob Hurst (b), Mulgrew Miller (p). Wallace Roney (tp). Bill Pierce (ts, ss)。今から振り返ってパーソネルを見渡すと、いや〜錚々たるメンバーですなあ。
 

Native_heart

 
内容的には、1960年代マイルス・クインテットの音世界を、テクニック的にグッとステップアップして、限りなく自由度の高い、モーダルな純ジャズを展開している。凄まじい内容である。ジャズという音楽ジャンルの表現バリエーションがこんなに「複雑で深く広い」ということに思わずビックリする。しかも「判り易い」。

リーダーのトニーのドラミングが凄い。派手なパフォーマンスを経て、このアルバムでは、普通にバックに控えてフロントを盛り立てる役割に徹しているが、この余裕ある状況でのトニーのドラミングは殊の外、素晴らしい。余裕ある中で限りなく自由度の高いリズム&ビートを叩き出し、高速の4ビートで疾走する。

そんなトニーにリズム・セクションの一員として追従する、ピアノのマルグリュー・ミラーが良い。煌びやかなアドリブ・フレーズを醸し出しながら、左手のブロックコードでビートの底をガーンと押さえる。このミラーのピアノが白眉。僕はこの人のピアノが大好きで、これが聴きたいから、この頃のトニー・ウィリアムスのバンドのアルバムを聴き漁ったものだ。

そんなトニーは、1997年、胆嚢の手術の後の心臓発作により死去(51歳)、そして、マルグリュー・ミラーも、2013年、脳卒中を起こして入院していた病院で死去(57歳)。どちらも、あまりに若すぎる死であった。しかし、この『Native Heart』には、二人の素晴らしいプレイが残されている。好盤である。

 
 

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2017年6月27日 (火曜日)

目眩く圧倒的なポリリズムです

ジャズ・ドラムの個性を愛でるのは意外と楽しい。最初はドラムの音って、皆、同じに聴こえるのだが、ジャズを聴き込むに従って、ジャズ・ドラムの音が個性に満ちているのが判る様になる。ジャズ・ドラムの個性が判る様になると楽しい。少なくとも1曲聴けば、個性が強いドラムの音だと誰のドラミングなのかが判るようになる。

この人のドラミングも個性的だ。1曲聴き込めば直ぐに判るほど強い個性である。粘りのあるシャープなドラミング。そして、何本腕があるんだ、この人のタイム感覚はどうなってるんだ、と思うほどの圧倒的なポリリズム。フロント楽器をポリリズムで煽るところなんぞは圧巻である。その人とは、Elvin Jones(エルヴィン・ジョーンズ)。

そんなエルヴィン・ジョーンズのドラミングを堪能出来るアルバムがこれ。Elvin Jones『The Ultimate』(写真左)。1968年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds). Joe Farrell (ts, ss, flute), Jimmy Garrison (b)。パーソネルを見て「おおっ」と思う。ドラマーがリーダーのピアノレス・トリオである。
 

The_ultimate1

 
フロント楽器がピアノによるコードの束縛を嫌って、ピアノレス・トリオ編成にするというのは良くあるのだが、ドラマーがリーダーのピアノレス・トリオは他に記憶が無い。が、聴いてみると、風通しが良いというか、音通しが良いというか、それぞれの楽器演奏の輪郭がクッキリ浮かび上がる。

特にドラムの音がこんなにハッキリ聴きとれるとは思わなかった。そういえば、ピアノは打楽器の役割(リズムのキープ)も担う。つまり、ピアノがいるということはリズム・キープの役割をする楽器が2つ被るということなのか。まあ、普通のドラマーであればそれで良いかと思う。しかし、エルヴィンの様に、圧倒的なポリリズムを供給するドラマーとしては、逆にピアノの存在は邪魔なんだろう。

凄まじいばかりのドラミング。圧倒的なポリリズムで煽られて、ファレルのテナーがソプラノがフルートが飛翔する。そして、黙々と重低音を響かせながらビートを供給するギャリソンのベースも聴きものだ。圧倒的なポリリズムでリズムを一手に引き受け、エルヴィン・ジョーンズは叩きまくる。このアルバム、圧倒的です。

 
 

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2017年6月25日 (日曜日)

ドラムの個性は演奏の個性

ドラム。打楽器である。素人目には「誰が叩いても同じ音がする」ように感じる楽器だが、実はそうでは無い。叩き方も様々、叩き方が変わると音も変わる。叩き方もそれぞれドラマーによって「癖」があって、それが個性になる。単に「叩く」だけの楽器なのだが、意外と奥が深い。

ジャズにおいても、聴き込むにつけ、ドラムの個性を感じるのが楽しい。ジャズ者初心者の頃はフロント楽器、サックスとかトランペットとかに耳が行ってドラムの妙技に耳を傾ける事はほとんど無い。ピアノ・トリオを聴くにしたって、メインのピアノを聴くことが多く、ドラムとベースは付けたしになることが多い。

しかし、ジャズにおいて、ドラムの個性はとてもバラエティーに富んでいて、大いに楽しめる。初心者の頃は、どうしてもフロント楽器の音に耳を奪われてしまうので、なかなかドラムの音に耳を傾ける事が少ないのだが、ジャズを聴き込むにつれ、ドラムの音の個性に気がつき、その個性を聴き分けることが出来るようになる。

例えば、この盤。Art Blakey『Paris Jam Session』(写真左)。1959年12月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Jymie Merritt (b) は全曲に渡って、Walter Davis Jr. (p) は3-4曲目のみに参加、Barney Wilen (as), Bud Powell (p) は1-2曲目のみに参加。
 

Paris_jam_session  

 
ジャズ・ドラムのレジェンドの一人、アート・ブレイキー率いる「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」がパリに訪れた時に、フランス出身のアルト・サックス奏者、バルネ・ウィランとパリに移住していた、モダン・ジャズ・ピアノの祖、バド・パウエルをゲストに迎えたセッションを記録したもの。

これ、バルネ・ウィランとバド・パウエルがゲスト参加した1〜2曲目が聴きもの。フランス出身のアルト・サックス奏者とモダン・ジャズ・ピアノの祖、バド・パウエルが参加している。フロント楽器にフランス出身のアルトの音、ピアノには、ビ・バップ・スタイルのピアノの音が「混入」しているのにも関わらず、その演奏の音は「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」になっている。

明らかに演奏全体の音の雰囲気を決定付けているのが、アート・ブレイキーのドラミング。個性溢れるアート・ブレイキーのドラミングがバックに流れると、そのジャズの演奏は「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」の音になる。「ナイアガラ瀑布」と形容されるドラム・ロール、ドラミングの合間に入る「カカカカカ」という合いの手。フロントを鼓舞するスネアの音。これらは明らかに「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」の音なのだ。

ドラムの音に耳を傾け、注意深く聴き込めば、ジャズ・ドラムの音は、意外と演奏全体の雰囲気を決定付ける重要な要素の一つになっていることに気がつく。そう、ジャズ・ドラムは面白い。このジャズ・ドラムの音に耳を傾け、ジャズ・ドラム毎の音の個性の違いに気がつく様になると、ジャズ鑑賞の耳は「ジャイアント・ステップ」することになる。

 
 

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