2022年1月13日 (木曜日)

BN4000番台の「異質」な存在

ブルーノート・レーベルは、ニューヨークに拠点を置く老舗ジャズ・レーベル。当然、東海岸の「モダン・ジャズ」がメイン。しかし、1500番台にも、4000番台にも、ブルーノートのカタログの中で、明らかに異質なアルバムが「1枚だけ」存在する。これが実に不思議な存在で、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの、カタログに入れた「真実」を訊きたい気持ちで一杯である。

1500番台では、Gil Melle『Patterns In Jazz』、ブルーノートの1517番が有名な「異質なアルバム」だろう。東海岸のハードバップの最先端のアルバムがひしめく中で、爽やかでお洒落なウエストコースト・ジャズ。西海岸で録られた音源を持って来たのかと思いきや、1956年4月の録音だが、しっかりと、Hackensackの「Van Gelder Studio」で録音されている。ブルーノートの確固たる意志で録音されたものだが、1500番台のアルバムの中で明らかに違和感がある。

Kenny Clarke, Francy Boland & Co. 『The Golden 8』(写真左)。1961年5月、西ドイツ(当時)のケルンでの録音。ルディ・ヴァン・ゲルダーはマスタリング担当。ブルーノートの4092番。ちなみにパーソナルは、Kenny Clarke (ds), Francy Boland (p), Dusko Gojkovic (tp), Raymond Droz (alto horn), Derek Humble (as), Karl Drevo (ts), Chris Kellens (euphonium), Jimmy Woode (b)。
 

The-golden-8  

 
ケニー・クラークをリーダーとしたオクテット編成。音の雰囲気はもはや「ビッグバンド」。ブルーノートの4000番台は、ハードバップの多様化をタイムリーに捉えたアルバムがてんこ盛りなのだが、そんな中に、やや古風な「ビッグバンド」志向なオクテット編成の演奏がいかにも「異質な存在」である。しかもバリバリ正統派なビッグバンド志向の音に、ブルーノートらしく無くて、ちょっと戸惑ってしまう。

リーダーでドラムのクラークとベースのウッドは米国出身だが、ピアノのボランはベルギー、トランペットのゴイコヴィッチはボスニア、アルト・ホルンのドローはスイス、アルト・サックスのハンブルは英国、テナー・サックスのドレヴォはオーストリア、ユーフォニウムのケレンスはベルギー。米国2人、欧州6人の欧州ジャズのオクテットなので、出てくる音にファンクネスは殆ど感じられない。端正で統制の取れた、如何にも欧州らしい「ビッグバンド」志向な音が、これまた、ブルーノートらしく無くて、ちょっと戸惑ってしまう。

メンバーの中に、若き日のバルカンの至宝トランペッター、ダスコ・ゴイコヴィッチが参加していたり、オクテットの演奏レベルは高い。アフロキューバンなリズムとモードを採用しているところが、欧州ジャズの中ではユニークで、ここから、クラーク=ボラン・ビッグバンドに発展していく、記念すべき盤でもある。しかし、欧州ジャズな「ビッグバンド」志向なオクテットは、ブルーノート4000番台の中では「異質」ではある(笑)。
 
 
 
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2022年1月 5日 (水曜日)

「モード・ジャズ」の名盤の1枚

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズは、1954年から1990年の36年間、活動し続けた伝説のジャズ・バンド。リーダーはアート・ブレイキー。しかし、リーダー以外の他のメンバーはそれぞれの時代で、総替えイメージで入れ替わる。そして、このジャズ・メッセンジャーズに所属して活躍したジャズマンは、皆、一流のジャズマンとして独り立ちしている。

このジャズ・メッセンジャーズの、それぞれの時代毎の演奏のスタイル、トレンドを聴けば、ハードバップ系のジャズの演奏スタイルの変遷、1950年代前半のハードバップ誕生〜ファンキー・ジャズ〜モード・ジャズ〜1970年代のハードバップ〜新伝承派ジャズ〜ネオ・ハードバップまで、それぞれの時代の「音楽監督」の存在と共に、ジャズ演奏のスタイル、トレンドを押さえることが出来る。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Mosaic』(写真)。1961年10月2日の録音。ブルーノートの4090番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Jymie Merritt (b)。ハバード〜フラー〜ショーターの「伝説のフロント3管」のセクステット編成。この時点でのメッセンジャーズの音楽監督は、テナーのウェイン・ショーター。
 

Mosaic

 
僕はこの時代のメッセンジャーズの音が大好きだ。テクニック優秀、歌心もあり、出て来る音も迫力満点の「伝説のフロント3管」のユニゾン&ハーモニーは官能的でファンキー。ソロ・パフォーマンスに入れば、バリバリ「モーダルな」インプロビゼーション。メンバーそれぞれが自作曲を持ち寄り、モーダルなアレンジを施して演奏される「モーダルなハードバップ」演奏の数々。

モード・ジャズは、即興演奏の幅を拡げ、アドリブ・フレーズの類似化を避け、高度な演奏テクニックを要求する、とっても「ジャズ」らしい演奏スタイル。この難度の高いモード・ジャズを、物の見事に、何事も無いかの様にやってのける。バックのブレイキー〜ウォルトン〜メリットのリズム隊も、フロント3管のモーダルな演奏をガッチリとサポートしていて見事。

この盤については、モード・ジャズの名演を収めた、モード・ジャズの代表的名盤の1枚と言って良いだろう。音楽監督のショーターの手腕と、それを実現するブレイキーのリーダーシップの成せる技。ジャケットもブルーノートらしくて、良き時代のジャズをビンビンに感じさせてくれる。
 
 
 
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2021年12月22日 (水曜日)

スティープルチェイスの異色盤

スティープルチェイス・レーベルは、1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫。

そんな「欧州発ハードバップ」の宝庫にも、1970年代、当時にして新しい「コンテンポラリーな純ジャズ」なアルバムがあったりするから面白い。

Michael Carvin『The Camel』(写真左)。1975年7月8日の録音。スティープルチェイス・レーベルのSCS1038番。ちなみにパーソネルは、Sonny Fortune (as. ss), Cecil Bridgewater (tp, flh), Ron Burton (p), Calvin Hill (b), Michael Carvin (ds)。リーダーは、ドラムのマイケル・カーヴィン。フォーチュンのサックス、ブリッジウォーターのトランペットが2管のクインテット編成。

欧州ジャズの世界に、バリバリ、エレ・マイルスの世界で吹きまくっていたサックス奏者と、マックス・ローチの長年の右腕トランペッター、セシル・ブリッジウォーターを迎えてのレコーディング。
 

The-camel

 
冒頭「Osun」から、カリプソチックでトロピカルな雰囲気の、ワールド・ミュージック志向な「ニュー・ジャズ」が展開される。フォーチュンとブリッジウォーターがノリに乗って、陽気に吹きまくっているのが面白い。どう聴いたって「欧州ジャズ」の雰囲気じゃない(笑)。リーダーのカーヴィンのドラムもノリに乗っている。

2曲目の「Naima」は、コルトレーンのバラードの名曲。ゆったりと展開するリズム&ビートをバックに、フォーチュンが素敵なソプラノ・サックスを披露する。静的なフレーズから、ラストはサイケデリックでスピリチュアルなフレーズで締めくくる。コルトレーン・ジャズへのオマージュ的演奏。

アルバム全体の雰囲気は、当時の米国ジャズの最前線のコンテンポラリーな純ジャズ。ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズあり、コルトレーンのオマージュあり、スピリチュアルなバップ曲あり、で、当時の欧州ジャズのトレンドからは逸脱した、1970年代の米国に流行っていた「コンテンポラリーな純ジャズ」な雰囲気が面白い。

スティープルチェイス・レーベルの諸作の中では異色盤でしょう。ジャケット・デザインも「強面」なので、あまり人気が無いみたいですね。それでも、一度聴けば、意外と時々引っ張り出して来て聴く「息の長いヘビロテな盤」になるのではないでしょうか。意外と充実した内容の好盤です。
 
 
 
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2021年12月12日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・224

僕のお気に入りのサックス奏者の1人だった「ボブ・バーグ(Bob Berg)」。ボブ・バーグが急逝したのが19年前、2002年12月5日のこと。バーグはニューヨーク州イースト・ハンプトンで自宅近くを運転中に、セメント・トラックに追突されて死亡した。51歳。ジャズ・ミュージシャンとしては「これから成熟度を増していく」年齢だった。

バーグのサックスは、メインストリーム系の「実直で正統な」もので、ダイナミックな吹きっぷりが個性。特に自由度の高いモーダルな展開における高い演奏力には一目置くべき存在。全音域を駆使しつつ、歌心のあるサックスは、実にオーソドックス。そのテクニックとともに、聴き始めると、ついつい引き込まれてしまうような、不思議な魅力のあるサックスである。

Bob Berg, Randy Brecker, Dennis Chambers, Joey DeFrancesco『The JazzTimes Superband』(写真左)。January 28 & 29, 2000年1月28, 29日、NYでの録音。コンコード・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、 Bob Berg (sax), Randy Brecker (tp, Flh), Dennis Chambers (ds), Joey DeFrancesco (org), Paul Bollenback (g)。

ボブ・バーグのサックス、ランディ・ブレッカーのトランペットがフロント2管のオルガン・カルテット(ベースはオルガンが兼ねている)。ギターのポール・ボーレンバックが客演の位置づけ。リーダーは取り立てて立てずに、メンバーそれぞれが並列の立場で参加している。
 

The-jazztimes-superband

 
スタジオ録音であるが、演奏の躍動感は半端ない。参加メンバーいずれもノリにノッている。すっきり切れ味のあるファンキーな演奏で、さしずめ「現代のファンキー・ジャズ」と表現して良い趣き。ボブ・バーグのダイナミックな歌心溢れるサックスが全編に渡って効いている。

ファンキーなランディのトランペット、バーグとのサックスとの相性がバッチリで、ユニゾン&ハーモニーは心地良く、ソロでは爽やかなファンクネスを撒き散らします。そして、デフランセスコのオルガンが実に効いている。モダンなフレーズが新鮮、演奏全体のファンクネスを増強する。そんな躍動感溢れる現代のファンキー・ジャズのリズム&ビートをコントロールしているのが、デニー・チェンバースのドラミング。

「Friday Night at The Cadillac Club」など、聴いていてとても楽しい。思わず体が左右に揺れ、足でリズムを取り始める。また聴いてちょっとビックリしたのが「Oleo」。こんな高速「Oleo」って聴いたことが無い。オルガン、ギター共に協奏をしているかように、競るような早弾きに思わず唖然とする。

ボブ・バーグは、リーダー作としては十数作しか残しておらず(サイドマンとしての参加盤は結構あるみたいだが)、見つけたら躊躇わず、必ず聴くことにしている。今回のこの『The JazzTimes Superband』については、全く縁が無く、半年前にやっと手にしたアルバムになる。聴いて満足。内容の濃い、ネオ・ハードバップな好盤である。
 
 
 

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2021年11月10日 (水曜日)

ストリーミング解禁の「恩恵盤」

ジャズにおいて、アルバムのネット経由のストリーミング聴きについては、かなり恩恵があるように思う。LP時代にリリースされたが、CD時代にリイシューされなかった音源や、一度CDでリリースされたがその後、廃盤状態になったままの音源が、一定数ある。

そんな廃盤状態の音源が、気が付けば、ストリーミング聴きの「サブスク・サイト」に、さり気なくアップされていたりする。今まで長らく廃盤状態だった音源が、ストリーミングで気が付いたら、すぐに聴ける。これが実に助かるのだ。

ECMレーベルがストリーミング解禁になって久しいが、ECMレーベルの音源がカタログ順にほぼ漏れなくリイシューされたのにはビックリした。当初、何らかの理由でストリーミング解禁されなかった音源も、現在、気が付けば、ほぼ漏れなくリイシューされている。アップル・ミュージックなどは、音質については「ハイレゾ」対応していて、録音の良いECMの音源が良い音で聴くことが出来るので、まったく有り難いことである

Jack Dejohnette's Directions『New Rags』(写真)。1977年5月、独LudwigsburgのTonstudioでの録音。ECM 1103番。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ds, p), John Abercrombie (el-g, el-mandolin), Alex Foster (ts, ss), Mike Richmond (el-b, ec-b)。リーダーのポリリズミックな職人ドラマー、ジャック・デジョネットがピアノも兼ねた、カルテットな編成。
 

New-rags

 
このアルバム、何を基準にLPで廃盤にしたのか、理由が判らないのだが、LPではリリースされたが、CDリイシューされなかった音源である。21世紀になって、ストリーミング配信されたのにはビックリ。なんせ40年振りくらいの「再会」である。

パーソネルを見渡すと、なんとECMらしい、渋い人選であることか。出てくる音は、やはりECMらしい「ニュー・ジャズ」な音か、と想像したら、なんと、硬派でストイックな、米国モード・ジャズの最先端の、限りなく自由度の高い、創造性豊かな音が出てくるのだから、またビックリ。ただ、音的には、音のエコー含めて、どこまでもECMで、この音源、ECMの音世界の中では、かなり異質な内容だと改めて思う。

キースの「アメリカン・カルテット」の音を想起させる様な内容なのだが、この盤では、ピアノレス・カルテットの演奏が、限りなく自由度が高くて凄まじい。フリー的な展開もところどころあるにはあるが、絶対にフリーには傾かない。あくまで、伝統の範囲内に留まった、限りなく自由度の高いモード・ジャズ・オンリーで疾走する。かなりハイレベルなメインストリーム・ジャズである。

ECMの中の「米国モード・ジャズ」の最先端の演奏。それでいて、音の質、音の雰囲気は「欧州ジャズ」。僕の中で約40年ほど、その存在すら忘れ去られていた盤ではあるが(ECMレーベルのカタログ本に辛うじて、その存在は記されていた)、その内容は、当時のメインストリーム・ジャズの一級品。秀作である。
 
 
 
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2021年11月 8日 (月曜日)

スティープルチェイスのフリー盤

ジャキー・マクリーン(Jackie McLean)は、前進するアルト・サックス奏者だった。ハードバップ前期に第一線に躍り出て、人気ジャズマンとして、多くのリーダー作、サイドマンとしての参加作を残した。そして、ジャズの演奏スタイルの深化と多様化の時代に入ると、ハードバップから、モード、フリーと、変化を恐れず、演奏スタイルを自らが変化させていった。

Jackie McLean & Michael Carvin『Antiquity』(写真左)。1974年8月16日、コペンハーゲンでの録音。Steeplechaseレーベルの SCS 1028番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as, p, vo, bamboo-fl, bells, temple block, perc), Michael Carvin (ds, vo, temple block, bells, bamboo-fl, kalimba, perc)。マクリーンとカルヴィンがマルチ奏者として、デュオ演奏に臨んでいる。

マイケル・カルヴィンは、米国ヒューストン出身のジャズ・ドラマー。1970年辺りから頭角を現した「遅れてきた」純ジャズなドラマー。そのパフォーマンスは、当時の先端を行く正統なジャズ・ドラミング。しかし、当時、ジャズは斜陽の「ポップス音楽」となっていて、その優秀なドラミングがほとんど話題にならなかったのは気の毒であった。
 

Antiquity

 
マクリーンとカルヴィンがマルチ奏者して演奏しているので、基本は多重録音。グループでの一発録りの「切れ味とスピード感」に欠けるのは仕方の無いこと。但し、どちらも演奏テクニックは極上の一流ミュージシャンなので、録音されたパフォーマンスは水準点以上。特に、マクリーンの本業のアルト・サックス、カルヴィンの本業のドラムについては、その演奏内容は申し分無い。

この盤に詰まっているジャズは「フリー・ジャズ」そして「スピリチュアル・ジャズ」。1960年代のマクリーンのフリー・ジャズへのチャレンジはお世辞にも成功しているとは思えない演奏もあったが、この盤では、既にフリー・ジャズは一定の成熟を迎えているので、その成功例を基に、マクリーン&カルヴィンはまずまずのフリー・ジャズを展開している。が、どこか「安全運転」風な感じがするのは、多重録音であるが故の弱点かもしれない。

2人のボーカルも入っていて、その雰囲気は「スピリチュアル・ジャズ」。まあ、これはご愛嬌。スティープルチェイスの「スピリチュアル・ジャズ」は、どこか寝ぼけたようなボーカルが入っていることが多くて、これについては、Nils Wintherのプロデュースには疑問符が付くなあ(笑)。欧州ジャズらしいといえば、欧州ジャズらしい安全運転の「フリー・ジャズ」。あまり尖っていない分、どこか物足りなさが残る。
 
 
 
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2021年10月20日 (水曜日)

スタンダーズのフォロワーか?

ピアノ・トリオについては、バド・パウエルのフォロワーが先行し、ビル・エヴァンスのフォロワーがその後を継ぎ、しばらく、大きく分けて、パウエル派とエヴァンス派の2つのスタイルが主流だった。が、21世紀に入って、ブラッド・メルドー、チック・コリアのフォロワーが現れ、今では、メルドー派とコリア派が加わって、ジャズ・ピアノについては、その演奏スタイルについては広がりを見せている。

そんな広がりの中、以前、1970年代辺りから、3大ジャズ・ピアニストなるものが我が国で囁かれ始め、キース・ジャレット、ハービー・ハンコック、チック・コリア、この3人が「3大ジャズ・ピアニスト」として、人気ジャズ・ピアニストとして君臨していた思い出がある。しかし、その中でフォロワーを生んだのはチック・コリアだけで、キース・ジャレットとハービー・ハンコックのフォロワーというのは、今までお目にかかったことが無い。

Kevin Hays, Ben Street, Billy Hart『All Things Are』。2021年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Kevin Hays (p), Ben Street (b), Billy Hart (ds)。オーソドックスなピアノ・トリオ編成。演奏曲は、リーダーのケヴィン・ヘイズのオリジナルが6曲とスタンダード曲「For Heaven’s Sake」で全部で7曲。
 

All-things-are-1

 
テーマが良い意味で抽象的な曲が多く、その抽象的なテーマをイマージネーションよろしく膨らませて、ダイナミックかつリリカルな展開に持ち込み、ピアノ、ベース、ドラムの3者平等のインタープレイを展開する。聴いていて、どこか「キース・ジャレットのスタンダーズ」を彷彿とさせる。そう、このトリオ、Keith Jarrett standardsの正統なフォロワーである。

ヘイズのピアノは、リリカルで耽美的でテクニカル。キースのピアノを更に洗練して端正にした様なピアノ。ビリー・ハートのドラムについても、縦横無尽、硬軟自在なポリリズミックなドラミングは、どこかJack Dejohnetteを想起させるから面白い。ベン・ストリートのベースは、ヘイズのピアノの「ベース・ライン」をしっかり支え、ドラムと流麗にうねるようなスインギーなビートを生み出している。

今年リリースのピアノ・トリオ盤だが、なかなかの内容に次作が早くも期待される。明らかに「キース・ジャレットのスタンダーズ」のフォロワー的音作り(キースの様な「粘着性」は希薄で、スタンダーズより端正でシンプルなのだが)なので、次作はどう出るのだろう。
 
 
 
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2021年10月18日 (月曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・7

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズは、1954年から1990年の36年間、アート・ブレイキーの下、活動し続けた、伝説のジャズ・バンドである。リーダーはブレイキーだが、他のメンバーはそれぞれの時代で入れ替わる。しかも、このジャズ・メッセンジャーズに所属して活躍したジャズマンは、おおよそ、一流のジャズマンとして育っていった。

Art Blakey & The Jazz Messengers『At the Cafe Bohemia, Vol. 1&2』(写真)。1955年11月23日、NYのライヴ・スポット「カフェ・ボヘミア」でのライヴ録音。ブルーノートの1507 & 1508番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Kenny Dorham (tp). Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Doug Watkins (b)。ブレイキーとシルヴァーが共存した時代のザ・ジャズ・メッセンジャーズの傑作ライヴである。

1955年と言えば、ハードバップ初期から中期への移行期。ハードバップについて、その演奏の方法、雰囲気、音楽理論が体験的に整理され、その方法論が確立された時期。この『カフェ・ボヘミア』は、そんな時期にライヴ録音された、奇跡的なハードバップ演奏の記録である。なんせ、このライヴ盤2枚に録音されている内容については「文句の付けようが無い」。
 

At-the-cafe-bohemia

 
演奏の要は「ブレイキーとシルヴァー」。ブレイキーのドラミングは、ハードバップ期の代表的ドラミングの1つ。演奏のリズム&ビートを牽引し、フロント楽器を鼓舞し、フロント楽器の展開をコントロールする。コードがベースのハードバップにおいて、シルヴァーのピアノの演奏スタイルは、ハードバップ期の流行スタイルの1つ。後のファンキー・ピアノの先駆。ワトキンスのベースは、ブレイキーとシルヴァーとの「ビート」の橋渡し役。このバンド演奏の「ビート」の方向性を示し続けている。

フロント楽器に目を転じると、このライヴ盤でのハンク・モブレーは何時になく絶好調。というか、モブレーのサックス奏者としての生涯最高のブロウかもしれない。それほどまでに内容が素晴らしい。ケニー・ドーハムのトランペットも同様。そのパフォーマンスがバラツキがちなドーハムが、優れたテクニックでバリバリ吹きまくっている。このフロント2管のパフォーマンスは、ハードバップ期を代表するものの1つだろう。

このライヴ盤のハードバピッシュ度は相当に高い。ハードバップ演奏の良好なサンプルであり、ショーケースでもある。ハードバップとは何か、に迷ったら、僕はこの盤を聴く。この盤にある演奏の好要素を記憶に留めて、他のハードバップの演奏を聴く。ハードバップ演奏の基準となる演奏がこのライヴ盤に詰まっている。
 
 
 
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2021年10月 5日 (火曜日)

バップ・ドラミングの伸びしろ

Joe Farnsworth(ジョー・ファンズワース)。1968年、米国マサチューセッツ州生まれのジャズ・ドラマーである。10歳の頃からドラムを習い始め、大学在学時に出会ったエリック・アレキサンダーとは頻繁に共演している。それから、ベニー・ゴルソン、ファラオ・サンダース、ハロルド・メイバーンのリーダー作に参加しているのを聴いている。

僕は、このアレキサンダーのリーダー作で、ファンズワースの名前を知った。明らかに伝統的なバップ・ドラミングだが、変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、新しい響きのするドラミングで、伝統的なバップ・ドラミングの可能性について、認識を改めた思い出がある。

堅実でシンプルなドラミングである。ファンズワースのドラム・セットを写真で見たことがあるが、至ってシンプルな構成。数多くのシンバル類やタムタムを使用するドラマーも多々いて、音の変化やスピード感を、セット数の多さでカヴァーしている。しかし、ファンズワースはこのシンプルなセットで、変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングを披露する。相当高度なテクニックの持ち主である。

Joe Farnsworth『Time to Swing』(写真左)。2019年12月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Farnsworth (ds), Kenny Barron (p), Peter Washington (b), Wynton Marsalis (tp)。ファンズワースのトリオに、トランペットの巨匠、ウィントン・マルサリスが冒頭の「The Good Shepherd」から、4曲目の「Down by the Riverside」までの4曲にのみに客演する編成。
 

Time-to-swing-joe-farnsworth

 
ファンズワースのトラミングは伝統的なバップ・ドラミング。伝統的な響きで実に味のあるドラミング。伝統的なドラミングであるが、その変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングは見事の一言。こうやってファンズワースのドラミングを聴くと、モダン・ジャズのドラミングは「かくあるべし」という気分になる。このドラミングをバックにすると、フロント楽器もさぞ吹きやすいだろうと強く思うのだ。

そういう観点で聴き耳を立てると、まず、ウィントンのトランペットが実に良い感じで吹きまくっている。もともとサイドマンに回ったウィントンは素晴らしいパフォーマンスを披露する傾向にあるのだが、このファンズワース+バロン+ワシントンのリズム・セクションのバッキングが素晴らしい分、フロント1管のウィントンが実に気持ちよさそうに、トランペットを吹き上げている。この盤でのウィントンは「文句無し」。

で、このバックのリズム・セクションのみとなった5曲以降の演奏を聴くと、これまた、ピアノのバロンとベースのワシントンが気持ちよさそうに弾きまくる。ファンズワースのドラミングがとても伴奏上手であり、「鼓舞」上手なのだ。叩き出すリズム&ビートが、決して他の楽器の邪魔をしない。

このピアノ・トリオの演奏も実に味わい深いものがある。そんな中、やはり、ファンズワースのドラミングに耳がいく。何の変哲も無い「伝統的な」バップ・ドラミングだが、その高い表現力が故、実に新しい響きに感じる。まだまだ可能性のあるバップ・ドラミングの「伸びしろ」。こういう盤の存在、実に頼もしく感じる。
 
 
 
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2021年10月 3日 (日曜日)

将来のピアノ・トリオ名盤候補

これは最近の「ジャケ買い」の一枚。年齢の入った大ベテラン・ジャズマンの風情。それも「まだまだ現役」風に気合いの入った目。タイポグラフィーがシンプル過ぎてイマイチだが、実にインパクトのあるジャケット写真。しかし、これ誰だったけ。ジャケットの表面にはリーダー名が無い。でも、どっかで見た顔なんだよな〜。

Albert "Tootie" Heath Trio『Philadelphia Beat』(写真)。2014年10月5&7日、フィラデルフィアの「Turtle Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Albert "Tootie" Heath(ds), Ethan Iverson(p), Ben Street(b)。ベテラン・レジェンド級のドラマー、アルバート・ヒースがリーダーのピアノ・トリオ盤。ヒースは1935年生まれなので、この盤、79歳でのリーダー作になる。ジャケ写の主はこの「アルバート・ヒース」でした。

冒頭のスタンダード曲「Bag’s Groove」の曲名を見て、いやはや、懐メロ・ハードバップな演奏集か、と思いきや、静かなパーカッションのソロから入って、テーマ部の主旋律をベースに弾かせて、やっとピアノが出てくるという、一癖も二癖もあるアレンジに、この盤は只者では無い雰囲気が色濃く漂う。さすが、ドラマーがリーダーの盤だけあって、随所にドラミングの妙が聴き応え十分。
 

Philadelphia-beat-1

 
で、これまた、音を選び、間を活かした流麗なセロニアス・モンクの様な癖のあるピアノは誰あろう、イーサン・アイバーソンは、バッド・プラスの中心人物。このアイバーソンのピアノが実にユニーク。今までに無い個性のピアノで、どの曲でも、彼のピアノは、聴いていて実にユニーク。いや〜、このピアノ、癖になるなあ。

3曲目の有名ディスコ曲「I Will Survive(恋のサバイバル)」のカヴァーでのアイバーソンのピアノを聴けば、そのユニークさが良く判る。そんなユニークなピアノに、ほど良く絡んで、間を埋めるベン・ストリートのベースも見事。当然、リーダーのレジェンド、ヒースのドラミングは変幻自在、硬軟自在、緩急自在にアイバーソンのピアノを支え、時に、技を繰り出して前面に踊り出る。

結構、有名スタンダード曲を選んでいるのだが、曲毎のアレンジがユニークなのと、アイバーソンのピアノがユニークなのとで、「手垢の付いた」感や「またか」感が全く無い。どころか、あまりのユニークさに、気が付けばスピーカーに対峙して、じっくり聴き入っている自分がいる。ポップ感や懐メロ感も全く無く、内容的には実に新しいネオ・ハードバップな盤である。これって、将来、ピアノ・トリオの名盤扱いになるんじゃなかろうか、と思ってます。
 
 
 
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