2023年8月24日 (木曜日)

モード充実のメッセンジャーズ

一流ジャズマンの「登竜門的ジャズ・バンド」、一流ジャズマンに向けて鍛錬する「ジャズ道場」。そんな位置付けのバンド、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ。1954年に結成、ホレス・シルヴァーから名前を引き継いで、アート・ブレイキーの単独リーダーで、1990年10月にブレイキーが亡くなるまで、36年の長きに渡って、モダン・ジャズの第一線で活躍した。

リーダーのブレイキーは若手の将来有望なジャズマンのスカウトに長けていて、このジャズ・メッセンジャーズ、歴代のバンド・メンバーの中で、一流になっていったジャズマンは数知れず。ウェイン・ショーター、リー・モーガン、ウィントン・マルサリス、フレディ・ハバード、テレンス・ブランチャード、ゲイリー・バーツ、ボビー・ワトソン、ビル・ピアース、ボビー・ティモンズ、シダー・ウォルトン、異色なところで、キース・ジャレット(!)などなど....。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Indestructible』(写真左)。1964年4月24日と5月15日の録音。ブルーノートの4193番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b)。モーガンのトランペットとフラーのトロンボーン、ショーターのテナーが3管フロントのセクステット編成。
 

Art-blakey-the-jazz-messengersindestruct

 
ウェイン・ショーターが音楽監督の時代、この3管フロント+ウォルトンのピアノのブレイキーのリズム隊の編成が、歴代のジャズ・メッセンジャーズの中で、一番、内容充実の時代では無かったかと思う。ジャズ・メッセンジャーズ流のモード・ジャズを完全に自分達のものとし、その音志向に則った作曲もアレンジも素晴らしい。

当然、演奏もハイレベルで、特にこの3管フロントのユニゾン&ハーモニー、そして、アドリブ展開、リズム隊の繰り出す変幻自在でモーダルなリズム&ビート、バンド全体で繰り広げられるテンション高いインタープレイ。とにかく緩んだところが全く無い、淀んだところが全く無い、切れ味抜群、疾走感溢れるジャズ・メッセンジャーズ流のモード・ジャズが見事。もはや、この演奏は「アート」ですらある。

こんな充実した内容の音源だが、リリースは1966年。録音から2年の「お蔵入り」。ブルーノートお得意の「理由の判らないお蔵入り」音源なのだが日の目をみて良かった。当時としては、手垢の付いたジャズ・メッセンジャーズ流のモード・ジャズで、ちょっとマンネリと捉えられたのかもしれない。しかし、今の耳で振り返ると、とても内容充実のオリジナリティー溢れるモード・ジャズで、訴求力抜群。モード・ジャズの優秀盤の1枚です。
 
 

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2023年8月11日 (金曜日)

スコットのドラミングは新しい。

最近、ドラマーのリーダー作を追いかける中で、現在のジャズ・ドラマーの優秀どころのリーダー作を聴いている。21世紀に入った辺りから、現代のジャズ・シーンに繋がる、次世代のドラマーが幾人か出てきている。ブライアン・ブレイドもそんな中の1人だし、最近ではテリー・リン・キャリントン、ジョナサン・ブレイク、マーク・ジュリアナなど、優れた中堅ドラマーがどんどん頭角を現している。

Kendrick Scott『Corridors』(写真左)。2023年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Kendrick Scott (ds, vo), Walter Smith III (ts), Reuben Rogers (b)。

最近のドラマーがリーダーのアルバムの流行なんだろうか、ウォルター・スミスⅢのテナーがフロント1管、ピアノレスのワンホーン・トリオの編成。フロント管のアドリブの自由度とリーダーのドラマーのパフォーマンスの自由度が最大限に広がる編成である。

ケンドリック・スコットも、最近、頭角を現した現代ジャズ・ドラマーの優秀どころの1人。米国ヒューストン出身、現在43歳のバリバリ中堅のジャズ・ドラマー。テレンス・ブランチャードのクインテットでの活躍、それから、我が国の山中千尋『Abyss』『Forever Begins』への参加が印象的。リーダーとしての音作り、サイドマンとしての参加傾向から、現代の「ネオ・ハードバップ」「ネオ・フォービート」志向のドラマーであることが窺える。
 

Kendrick-scottcorridors

 
この『Corridors』を聴くと、スコットのドラミングが実に格好良い。冒頭の「What Day Is It?」では、音数多く炸裂する様なドラミングは見事。高速4ビートの疾走感が堪らない。ドラミングの切れ味が抜群なのだろう、音数が多いにも関わらず、煩くない。逆にキレッキレのビートが耳に心地良い位だ。加えて、スコットのドラミングは重心が低くて、ビートが分厚い。ズンズンと響く重低音がこれまた心地良い。

演奏全体は、オーソドックスな「ネオ・ハードバップ」「ネオ・モード」なんだが、スコットのドラミングが新鮮に響くので、レトロな雰囲気や温故知新な感じは全く無い。どこまでも現代的な、新しいモード・ジャズの響きがとても良い。これだけ自由度の高い、切れ味良く重心の低いドラミングがバックにいるのだ、フロント1管のウォルター・スミス三世は、そんな分厚いビートに乗って、伸び伸び、大らかに豪快に疾走感溢れるテナーを吹き上げる。

印象的で小粋なラインを刻みつつ、ウネウネと波の様に弾性に富んだルーベン・ロジャーズのベースは、このバンド演奏、ネオ・モードの展開の良き「道標」となって、演奏全体の底を支え、リズム&ビートをキッチリと押さえている。これまた見事。

スコットのドラミングは「新しい」。従来のハードバップ、モード・ジャズには無い、新しいドラミングの響きは、オーソドックスな「コンテンポラリーな純ジャズ」に新しい息吹を与えてるかのようだ。今から次作が楽しみ。
 
 

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2023年8月10日 (木曜日)

ジェフ・テイン・ワッツの新作盤

以前の記事で、ブライアン・ブレイドがドラムを担当するアルバムに「駄盤」は無いと言ったが、現代のジャズ・シーンには、ブレイドに比肩する「優れもの」ドラマーが幾人かいる。まずは、1990年代から、聴き込んだアルバムに良く見るドラマーの名前。Jeff "Tain" Watts(ジェフ・テイン・ワッツ)である。1990年代に頭角を現した、優れたドラマーの1人。

ジェフ・テイン・ワッツに初めて出会ったのは、確か、ブランフォード・マルサリスのリーダー作だったかと思う。ブランフォードはリーダー作ではドラムはほぼ「ジェフ・テイン・ワッツ」。よほど相性が良いのだろう。サックスとの相性が良いのかと思っていたら、ピアニストのデヴィッド・キコスキーのサイドマンでのドラミングも見事なので、楽器は厭わない、アドリブ展開の自由度が広がるドラミングが良いのだろう。

Watts, Turner, Le Fleming『Misterioso』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Jeff "Tain" Watts (ds), Mark Turner (ts), Orlando Le Fleming (b)。ピアノレスのテナー1管がフロントの「ワンホーン・トリオ」。

フロント管のアドリブ展開の自由度が広がる、バックのリズム隊の力量がその成否を左右する演奏フォーマット。ピアノレス・トリオの3人が並列に並んでいるが、リーダー格はドラムのジェフ・テイン・ワッツだろう。
 

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全編に渡って、ワッツのドラミングが映えに映えている。ポリリズミックで小粋でダイナミック、硬軟自在、緩急自在、変幻自在のドラミングは見事。特に、これだけ高テクニックが要求されるドラミングだが、重量感があって、実にソリッドでしなやか。聴いていて、全く耳に付かないどころか、ついついドラムの音を追ってしまう。

マーク・ターナーのテナーがこれまた見事。ワッツのダイナミズム溢れるドラミングを推進力として、モーダルなフレーズをバンバン吹き上げていく。ワッツのドラミングに負けない素晴らしい吹きっぷり。ピアノのコードの制限が無い分、ターナーは限りなく自由に、ネオ・モーダルなフレーズを吹くターナーに耳を奪われる。とりわけ、2曲目の「Yesterdays」は素晴らしいインタープレイの応酬。

オーランド・ル・フレミングのベースがピアノレス・トリオ全体のビートの底をしっかり押さえて、限りなく自由度の高いワッツのドラミングとターナーのテナーをしっかりと導いている。フレミングのベースはこのトリオ演奏の中で、かなり重要な役割を果たしている。

この「優れたピアノレス・トリオ」の力量に見合った「玄人好みの選曲」も実に良い。ピアノレス・トリオのパフォーマンスの成否はドラマーが握る、と思っているが、この盤では「さすが、ジェフ・テイン・ワッツ」。ジェフ・テイン・ワッツのドラミングが、素晴らしい内容の「ピアノレス・トリオ」の演奏を引き出している。
 
 

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2023年7月31日 (月曜日)

ジョー・チェンバースの最新作。

昨日、ブライアン・ブレイドの参加アルバムのことを書いて、この1〜2年にゲットして聴いたアルバムを見渡してみたら、意外とドラマーがリーダーの良好盤があることに、改めて気がついた。

ドラマーのリーダー作って、管楽器やピアノがリーダーのアルバムとは、その「作り」はちょっと異なると思う。ドラムという楽器、旋律楽器では無いので、その奏法やスタイルをメインにリーダー作をまとめる訳にはいかない。フロント楽器として演奏の旋律部分を担当する訳にもいかない。ドラマーのテクニックや個性を披露するにも、40〜50分の収録時間、ずっとドラムを叩くわけ訳にもいかない。

リーダーとして、演奏全体の志向や傾向を参加メンバーと意思統一をして、その志向や傾向に従った演奏の中で、リーダーとして、そのドラミングの技や個性を披露することになる。その志向や傾向に則ったアレンジとリーダシップが「鍵」となる。

Joe Chambers『Dance Kobina』(写真左)。2022年の作品。ニューヨークとモントリオールでの録音。ちなみにパーソネルは、Joe Chambers (ds, perc, vib) , Caoilainn Power (as), Ira Coleman, Mark Lewandowski (b), Elli Miller Maboungou (perc), Andrés Vial, Rick Germanson (p), Michael Davidson (vib)。

1960年代から活躍しているベテラン・ジャズ・ドラマー、ジョー・チェンバーズ(以降、ジョーチェン)。1942年生まれなので、今年で81歳。この盤の録音当時は80歳。大ベテランというか、もはや「レジェンド」の域の存在である。

ジョーチェンはエリック・ドルフィー、チャールズ・ミンガス、ウェイン・ショーター、チック・コリアなど多くの著名なアーティストと共演している。ポリリズミックで新主流派なドラミングが身上で、コンテンポラリーな純ジャズが活躍のメイン・フィールド。
 

Joe-chambersdance-kobina

 
ブルーノートに移籍して以降、ジャズ、ラテン、ブラジル、アルゼンチン、アフリカ音楽の間の深い音楽的なつながりを探求した、ブルーノートでの2枚目のリーダー作。ラテン〜アフリカ路線とは言うが、こってこての、あからさまなラテン・ジャズ、および、ワールド・ミュージック志向の音作りでは無い。あくまで、ネオ・ハードバップの範疇の演奏に収めた「ラテン〜アフリカ志向」。
 
収録曲を見渡すと、ジョーチェンの自作曲と、ジャン=ピエール・ヴィアル、クルト・ヴァイル、ジョー・ヘンダーソン、カール・レイツァーなどのミュージシャンズ・チューンで固められている。これらの曲がラテン〜アフリカ志向の音作りに乗って演奏されるのだから堪らない。今までに聴いたことのないイメージの、コンテンポラリーなネオ・ハードバップが実に新鮮に響く。

パーソネルを見渡せば、実は「知らない」ミュージシャンばかり。過去に囚われない、今の、現代の、フレッシュなラテン〜アフリカ志向の演奏を目指していることが、このパーソネルを見ても良く判る。出てくる音はハイ・レベルな演奏の数々。名前は知らないけど、それぞれ実力十分のミュージシャンが参加していることは、演奏を聴いて良く判る。

「ラテン〜アフリカンなグルーヴを聴かせる」志向のビートの効いたパワフルな曲あり、スィートなバラード曲あり、特にバラード曲は、現代のR&Bのソフト&メロウな雰囲気を踏襲している様でもあり、ジョーヘンの曲などは、明らかにモードなんだけど、現代のネオ・モードなアレンジで、1960年代の新主流派の雰囲気は微塵も無い。

アルバム全体を通じて、この盤に詰まっている音は、現代の最新の「コンテンポラリーな純ジャズ」だと感じる。アレンジの過程で、ラテン〜アフリカ志向の音作りになっていて、精緻でテクニカルな純ジャズというよりは、アレンジとグルーヴで聴かせる、現代のラテン・ジャズ、および、アフリカン・ネイティヴなジャズ。硬派なコンテンポラリーな純ジャズな音作りで、聴き応え抜群です。
 
 

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2023年7月30日 (日曜日)

今を行く硬派なギター・トリオ

当代のジャズ・ドラマーで、信頼して聴くことが出来るドラマーが幾人かいる。 ブライアン・ブレイド(Brian Blade)は、そんな「当代の信頼出来るジャズ・ドラマー」の1人。この人のドラミングは、初リーダー作『Brian Blade Fellowship』(1998年)から、ずっと聴いているが、リーダー、サイドマンどちらのドラミングも見事なもので、僕は「ブレイドがドラムを担当するアルバムに駄盤は無い」と思っているくらいである。

Jeff Denson, Romain Pilon, Brian Blade『Finding Light』(写真左)。2022年1月17日,18日の録音。ちなみにパーソネルは、Jeff Denson (b), Romain Pilon (g), Brian Blade (ds)。米国中堅ベーシストのデンソン、フランス出身の才人ギターのピロン、そして、僕が信頼する当代きってのジャズ・ドラマーのブレイド、の3人が邂逅したギター・トリオ。

トリオの3名、並列の共同リーダー作。確かに、3人3様、それぞれがリーダーシップを取り合いながら、素晴らしいパフォーマンスを披露している。オーソドックスなスイング志向あり、変拍子な演奏あり、ジャズ・ファンクあり、ストイックで硬派なインプロビゼーションありで、それぞれのインタープレイの応酬が見事。
 

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コロナ禍で収録スケジュールを3度、変更せざるを得なかったらしいが、間延びせず、鮮度の高いパフォーマンスを繰り広げている。演奏の基本はモード。現代の最先端の「ネオ・モード」な音が実に良い。何気なく、弾き流している様に感じるが、どうして、適度なテンションを張りつつ、かなりマニアックな、かなり難度の高いパフォーマンスが凄い。特に、ピロンのギターが流麗かつ耽美的、そしてリリカル。それでいて、ジャジーな雰囲気をしっかり湛えていて、かなり聴き応えのあるギターが印象的。

ベースとドラムのリズム隊は「素晴らしい」の一言。デンソンのベースは、トリオ演奏の「底」をしっかりと押さえて、他の2人が安心してパフォーマンス出来るベースラインを供給する。ブレイドのドラムは緩急自在、硬軟自在、変幻自在。ポリリズミックな展開も芳しく、トリオというシンプルな演奏の中、リズム&ビートに、ブレイドならはの「彩り」を添えていて、トリオ演奏をバラエティー豊かなものにしている。

現代のコンテンポラリー・ジャズ、「今」を行く硬派なギター・トリオとして、内容ある好盤だと思います。トリオ演奏として、音数は決して多くはないが、それぞれの「間」を上手く活かした、流麗でクールでエモーショナな演奏に、思わず聴き込んでしまう。ブレイドがドラムを担当するアルバムに駄盤は無い」と感じて久しいが、この盤もブレイドがドラムを担当していて、その内容に「間違いは無い」。
 
 

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モーダルな伝説の3管フロント。

1950年代後半、マイルスとビル・エヴァンスが始めたとされる「モード・ジャズ」。マイルスのバンドから派生したのは確実なようで、ここから、コルトレーンが、コルトレーンなりのモード・ジャズを始めた。それからは、マイルスとコルトレーンが中心になって、モード・ジャズが拡大する。

そして、このハードバップの老舗バンド、若手の登竜門「アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ」にも、モードの波がやってきた。その「モードの波」を持ち込んだのが、テナー奏者のウェイン・ショーター。ショーターは、マイルスとコルトレーンのモード・ジャズを参考にしつつ、ショーターなりのモード・ジャズを編み出している。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Free For All』(写真左)。1964年2月10日の録音。ブルーノートの4170番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b)。ハバードのトランペット、フラーのトロンボーン、ショーターのテナーが3管フロントのセクステット編成。ピアノはシダー・ウォルトン。

1961年10月の録音、Art Blakey & The Jazz Messengers『Mosaic』から始まった「ハバード〜フラー〜ショーターの「伝説の3管フロント」。この盤では3年以上が経過し、バンド・サウンドとしてもしっかりまとまって、円熟の極みのモード・ジャズがギッシリ詰まっている。

この「伝説の3管フロント」を擁したメッセンジャーズ。音楽監督はテナーのウェイン・ショーター。このショーターの生み出すモード・ジャズが、「アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ」のモード・ジャズとして定着した。
 

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極端に例えると、コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドをベースとした音の「連鎖と早弾き」を活かしたモード・ジャズとマイルスの音の「拡がりと間」を活かしたモード・ジャズの良いところをハイブリッドした感じのモード・ジャズがショーターのモード・ジャズ。但し、ユニゾン&ハーモニーの音の重ね方や、アドリブ・フレーズの「コズミック」な響きはショーター独特のもので、決して、コルトレーンとマイルスの物真似では無い。

そんなショーター流のモード・ジャズがこの盤でも炸裂している。特に、円熟味を増した「伝説のフロント3管」のユニゾン&ハーモニーは単純に「格好良い」。特に、フラーのモーダルなトロンボーンには驚く。あの速いフレーズや音の上げ下げが苦手な楽器で、いとも容易くショーターのモード・ジャズに適応している。

ブレイキー御大のドラミングをベースにしたリズム・セクションもショーターのモード・ジャズをしっかり理解し、しっかりモーダルなリズム&ビートを供給していて立派。特に、ウォルトンのピアノが良い。モーダルなピアノを自家薬籠中のものとしていて、この盤でははっきりと「ウォルトンなりのモーダルなピアノ」を聴き取ることが出来る。

そして、凄いなあ〜、と感心するのが、ブレイキー御大のドラミング。ショーターのモード・ジャズにしっかり適応し、「伝説の3管フロント」に追従するどころか、リードし鼓舞し、しっかりと支えるドラミングは見事の一言。そうそう、ワークマンのモーダルなベースも良いです。ショーターのモード・ジャズ独特の速いフレーズや音の上げ下げにしっかりと適応しています。

僕は、この時代の「アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ」が大のお気に入り。今でも、この盤の冒頭のタイトル曲「Free for All」の前奏の「伝説の3管フロント」のユニゾン&ハーモニーを聴く度に、ショーターのコズミックなモーダル・テナーを聴く度に、ワクワクしっぱなし、です。良いアルバムです。
 
 

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2023年6月11日 (日曜日)

名盤『Rhapsody And Blues』

1970年代に大活躍した伝説のフュージョン・ファンク・バンド「クルセイダーズ(The Crusaders)」。1971年にグループ名を「ザ・クルセイダーズ」と変更、オリジナル・メンバーは、トロンボーンのウェイン・ヘンダーソン 、サックスのウィルトン・フェルダー、キーボードのジョー・サンプル、そして、ドラムのスティックス・フーパーの4人。1976年にウェイン・ヘンダーソンが脱退、残りの3人でクルセイダーズを維持した。

The Crusaders『Rhapsody And Blues』(写真)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、クルセイダーズのメンバーとしては、Wilton Felder (sax), Joe Sample (key), Stix Hooper (ds, perc)。ゲストに、Alphonso Johnson (b), Bob Mann, Dean Parks, Philip Upchurch, Sr., Roland Bautista (g) らの名前が確認出来る。ベースとギターは客演でまかなっているが、クルセイダーズのサウンドとしては変化は無い。

前作の『Street Life』が大ヒットし、メジャーな存在にのし上がったクルセイダーズの傑作である。前作はフュージョン・ファンクな音作りと、ランディ・クロフォードのボーカルを活かしたタイトル曲が素晴らしい出来だったのだが、この『Rhapsody And Blues』では、フュージョン・ファンクな音作りは踏襲しつつ、ファンキー&ソウルな音志向に、ソフト&メロウな味付けを強化して、いわゆる典型的な「フュージョン・ジャズ」としてまとめられている。
 

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冒頭の「Soul Shadows」は、前作のボーカル入り曲のヒットの「二匹目のドジョウ」を狙ったのであろう、ビル・ウィザースをヴォーカルに迎えて、曲の雰囲気としては、前作のパンチの効いたジャズ・ファンクなものから、この盤では、ソフト&メロウ、そしてアーバンな雰囲気濃厚。フュージョン・ジャズの良い面がしっかりと出ていて良好。

そして何と言ってもタイトル曲の「Rhapsody And Blues」。ソフト&メロウで、叙情的でリリカル、流麗でメロディアス、そして、趣味良く弾むリズム&ビート。とにかく曲が抜群、アレンジが抜群、そして、ジョー・サンプルのキーボードが哀愁感抜群でとにかく美しい。クルセイダーズのみならず、フュージョン・ジャズの名曲名演の1曲である。僕は、この曲が本当に大のお気に入りで、この曲を聴きたさに、何度、このアルバムを聴いただろう。

続くダンサフルな楽曲「Last Call」から、しっとりと叙情的に唄い上げるギターソロに感じ入る「Sweet Gentle Love」まで、この盤のLP時代のB面(CDでは4曲目から6曲目まで)はとりわけ秀逸な内容。フュージョン・ジャズの良いところがギッシリ詰まった、フュージョン・ジャズの名盤の1枚です。この盤を聴く度に「フュージョン・ジャズも良いものは良いなあ」と改めて思います。
 
 

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2023年5月29日 (月曜日)

4100番台のブレイキー盤は ....

ブルーノートの4100番台は、1961年後半から1965年前半の録音がメイン。ブルーノートは、成熟したハードバップを基に、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、モード・ジャズ、フリー・ジャズなど、聴き手に訴求するジャズの様々なニーズに応えていた。が、例外もある。

Art Blakey & The Jazz Messengers『The Freedom Rider』(写真左)。1961年2月12, 18日と5月27日の録音。ブルーノートの4156番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。ウェイン・ショーターが音楽監督を務めた時代の録音。録音当時お蔵入りだった音源の、録音3年後、1964年2月のリリース。

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズについては、1960年の録音でお蔵入りになったアルバム4枚、1961年の録音でお蔵入りになったアルバム1枚、1964年でお蔵入りになったアルバム1枚が、4100番台で五月雨式に、後年にリリースされている。特に1961年録音のお蔵入り盤は、4枚のアルバム共に内容は良好で、未だに、録音して直ぐにアルバム・リリースしなかったのかがよく判らない。
 

Art-blakey-the-jazz-messengersthe-freedo

 
この録音後、遅れてリリースに至ったアルバムは、全て、ショーターが音楽監督を務めた時代の、こってこてモーダルなファンキー・ジャズを展開した時代。モード・ジャズをメインとしていたからといって、難解なところは全く無く、ファンキー・ジャズ志向のアレンジが効いていて、とても判り易く、取っ付き易い、加えて、ジャズ・メッセンジャーズの個性溢れる、優れた内容になっている。

この『The Freedom Rider』についても、ショーターが音楽監督になって、しっかりとショーターのモード・ジャズ志向が根付いて、とても良好なアレンジ、加えて、明らかにジャズ・メッセンジャーズと判る音の響きで、モーダルなファンキー・ジャズを展開している。選曲も、ショーター、モーガン、ブレイキーの曲で占められており、ジャズ・メッセンジャーズ・オリジナルな雰囲気が満載。

4100番台のブルーノート盤の中で、ジャズ・メッセンジャーズだけが、録音ストックの中から五月雨式に、アルバムが遅れてリリースされているのが特徴的。ジャズ・メッセンジャーズの音志向は、あまり、ジャズの演奏トレンドや演奏方式に左右されない、普遍的な音志向なので、ジャズ・メッセンジャーズの音源については、ジャズ・メッセンジャーズのファンに向けてリリースし続けていたのかも知れない。
 
 

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2023年5月15日 (月曜日)

ガッド・ギャング再び、である。

伝説のフュージョン・バンド「スタッフ(Stuff)」、ガッド率いるソウル・フュージョンなバンド「ガッド・ギャング(The Gadd Gang)」は、僕の大のお気に入りのクロスオーバー&フュージョン・ジャズ志向のバンドである。

スタッフとガッド・ギャングはメンバーが結構、重複していて、両バンド共通のメンバーは、ドラムのスティーヴ・ガッド、キーボードのリチャード・ティー、ギターのコーネル・デュプリーが共通。しかし、キーボードのティーとギターのデュプリーは他界してしまった。もはや、スタッフやガッド・ギャングのオリジナル・メンバーでの再結成は永遠に無い状態である。

しかし、スティーヴ・ガッドは今も元気である。今回、ガッド・ギャングのメンバーから、ベースのエディ・ゴメス、バリトン・サックスのロニー・キューバを、ゲストに、ギターのブルーノ・ミュラー、キーボードのボビー・スパークス、ジモン・オスレンダーを招いて、ガッド・ギャングの再現を実現した。

Steve Gadd, Eddie Gomez & Ronnie Cuber feat. WDR Big Band『Center Stage』(写真左)。2022年1月30日ー2月3日、ドイツのケルン「WDR Studio 4」での録音。

ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds), Eddie Gomez (b), Ronnie Cube (bs), Bruno Mülle (g), Bobby Sparks II (Hammond B3, Rhodes), Simon Oslender (p, Hammond B3), Michael Abene (cond, arr), WDR Big Band。

伝説のフュージョン・バンド「スタッフ」のレパートリーでもあった、スティーヴィー・ワンダーの「Signed, Sealed, Delivered」やボブ・ディランの「Watching the River Flow」、ガッド率いるソウル・フュージョンなバンド「ガッド・ギャング」のレパートリーから「I Can't Turn You Loose」「Che Ore So'」「Them Changes」「Way Back home」「Lucky 13」「Honky Tonk/I Can't Stop Loving You」「My Little Brother」等の懐かしの名曲を再演している。
 

Steve-gadd-eddie-gomez-ronnie-cuber-feat

 
「スタッフ」や「ガッド・ギャング」の従来のファンからすると、この盤の演奏内容は「堪らない」ものになっている。しかも、バックに、西部ドイツ放送「WDR」が運営する、現役バリバリのビッグバンド「WDR Bigband」(マイケル・アベネ指揮)がサポートに入っている。音的には、分厚く重厚なソウル・フュージョンな演奏になっていて、とにかく聴き応えがある。

もともと「スタッフ」も「ガッド・ギャング」も、バンドの音志向としては、ファンク、ソウル、R&Bの音要素を融合された「ソウル・フュージョンなサウンド」を個性としているのだが、今回、アレンジ良好な「WDR Bigband」のバッキングが、「ソウル・フュージョンなサウンド」の音の厚み、音のグルーヴ感、音のパンチ力に、とても有効に作用している。

ゲストのギターは、コーネル・デュプリーの様なファンクネス滴るソウルフルなエレギという訳にはいかないが、ブルーノ・ミュラーはシャープで軽めのファンクネスを纏ったギターで健闘。

ゲストのキーボードは、Hammond B3オルガン使いであるボビー・スパークスⅡ世、ジモン・オスレンダー、前者はローズ、後者はピアノも弾きこなす。両者共に、リチャード・ティーのこってこてファンキーでソウルフル濃厚なグルーヴ感溢れるキーボードという訳にはいかないが、スピード感溢れるグルーヴを醸し出すという点で健闘している。

ガッド・ギャングのメンバーの3人については、その演奏内容については、申し分無い。キューバのバリサクは、ソウルフルでグルーヴ感抜群なのは相変わらずだし、ガッドのドラム、ゴメスのベースによる「リズム隊」は、切れ味良くスインギーなリズム&ビートを叩きだし、極上のソウルフルなグルーヴを醸し出すは従来通り。まだまだ現役バリバリである。

良好な内容のソウル・フュージョンなアルバム。スタッフやガッド・ギャングの、ファンク、ソウル、R&Bの音要素を融合されたソウル・フュージョンなサウンドを踏襲して、「ガッド・ギャング再び」なサウンドを再演していて、聴いていてとても楽しい。

バックのWDR Bigband、ゲスト・ミュージシャン含めて、演奏のレベルは高く、演奏の雰囲気はスピード感良好でグルーヴィー。なかなか練られたアレンジが、この盤の演奏内容を、さらに一段、高めていて立派。現代フュージョン・ジャズの好盤だと思います。
 
 

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2023年5月 6日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・261

「小粋なジャズ盤」の探索は続く。手持ちの音源をザッと見直しながら、小粋なジャズか否か、の取捨選択を繰り返しつつ、こんな盤あったんや、と聴いたはずだが、内容を忘れてしまった盤については、しっかり聴き直しつつ、「小粋なジャズ盤」の探索を続けている。

Joey Baron『Down Home』(写真左)。1997年の録音。ちなみにパーソネルは、Joey Baron (ds), Arthur Blythe (as), Bill Frisell (g), Ron Carter (b)。1955年、米国リッチモンド生まれのドラマー、ジョーイ・バロンがリーダーのカルテット編成。豪快なトーンと強烈な個性的アルト・サックスのブライスと、変則チックな自由で捻れたギターのフリゼールがメンバーに入っている。

このパーソネルだと、さぞかし捻れて限りなくフリーな即興インタープレイを想起するのだが、これがまあ、至極オーソドックスな、メンインストリーム志向の純ジャズを展開しているから面白い。当然、過去のハードバップの焼き直しでは無く、新しい響きを宿した、ネオ・ハードバップ志向のファンキー・ジャズがメイン。
 

Joey-barondown-home

 
スインギーな展開から、ファンクネス濃厚な展開、そして、浮遊感溢れるニュー・ジャズ的な展開まで、現代の「ネオ・ハードバップ」の走りのような展開のジャズが繰り広げられている。過去のハードバップやモード・ジャズの焼き直しでは全く無いところがこの盤の個性的なところ。リーダーでドラマーのバロンの志向がもろに反映されているのだろう。全く趣味の良いメインストリーム・ジャズである。

豪快トーンと限りなく自由度の高いモーダルなアルト・サックスのブライスと、変態チックに捻れるギターのフリゼールが、オーソドックスでハードバップ志向のパフォーマンスが面白い。さすが、ところどころに個性的で新鮮な響きやフレーズを織り込みながら、オーソドックスな展開でグイグイ攻める。アンサンブルもインタープレイも、なかなか締まった展開で聴き応えがある。

アバンギャルド・ジャズの中核ジャズマン、ジョン・ゾーンとの共演がメインだったジョーイ・バロンが、この盤では、一転、メンインストリーム志向の純ジャズなドラミングを披露しているのがとても興味深い。録音年は1997年。21世紀以降にジャズの演奏トレンドの1つとなる「ネオ・ハードバップ」の先駆けの様な内容は、聴いていてなかなか楽しめる。
 
 

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