2022年1月26日 (水曜日)

SUPER TAKANAKA LIVE 再び

高中正義の1970年代〜1980年代前半のリーダー作が、サブスク解禁されたみたいで、今一度、全てのアルバムを聴き直している。で、リアルタイムで一番聴いた、1970年代〜1980年代前半のリーダー作って何だったっけ、と思い立った。恐らく、一番聴いたのは学生時代。下宿で、古墳調査の車の中で、行きつけの喫茶店で、聴きまくった盤である。

高中正義『SUPER TAKANAKA LIVE』(写真左)。1980年3月のリリース。1979年12月23日〜24日に日本武道館にて行われた井上陽水とのジョイント・ライヴの模様を収録した盤である。「ジョイント・ライヴ」とは懐かしい響き(笑)。

ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), 石川清澄, 小林“MIMI-CHAN”泉美 (key), 上原ユカリ, 井上“SHI-CHAN”茂 (ds), 高橋ゲタ夫 (el-b), 椎名和夫 (el-g), 土岐英史 (sax), 中島御, 菅原“SUGA-CHIN”裕紀 (perc)。当時の「高中バンド」のベスト・メンバーである。

選曲が『JOLLY JIVE』から4曲、LP時代のA面を占める。そして、LP時代のB面を占めるのは『SEYCHELLES』『BRASILIAN SKIES』『TAKANAKA』からそれぞれ1曲ずつ、サディスティック・ミカ・バンドのアルバム『黒船』から1曲である。LP1枚の収録時間上限、45分程度を考えると、当時のほぼベスト盤的な選曲で、この選曲がこのライヴ盤の一番の魅力。
 

Super_takanaka_live 

 
ライヴ音源なので、当時の高中バンドのテクニックとパフォーマンスの凄さが良く判る。出だしの1曲目の「BLUE LAGOON」は、高中作の永遠のインスト名曲であるが、スタジオ録音より速いテンポで、疾走感溢れる弾きっぷりに思わず耳を奪われる。そして、2曲目「EXPLOSION」も高速フレーズが目玉の1曲で、爽快感溢れるノリで弾きまくり。

3曲目の「珊瑚礁の妖精」では、ワウワウなど、アナログなアタッチメントを駆使した、耽美的で幻想的なフレーズを披露する。これ、相当に高いテクニックで弾きまくってる。「TROPIC BIRD」「DISCO “B”」「READY TO FLY」は高中作のベストな楽曲で、聴いていてとにかく気持ちが良い。高中のギターが映えに映える。

そして、僕の個人的にこの盤の一番の目玉がラストの「黒船」。サディスティック・ミカ・バンドのアルバム『黒船』の6曲目(A面のラスト)の「黒船(嘉永六年六月四日)」で、3分弱の演奏だが、これが名曲中の名曲。聴いていて、気持ち良いこと、この上無し。

LP時代の音源で、トータルで45分弱しかないので、今の耳にはちょっと聴き足りない感じではある。が、内容的には充実した、当時の高中バンドのテクニックとパフォーマンスを手っ取り早く体感出来る、素晴らしいライヴ盤。今でも、気軽に聴くことが出来る、上質の「高中印のライヴ盤」である。
 
 
 
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2022年1月23日 (日曜日)

高中正義『T-WAVE』を聴き直す

高中正義の1970年代〜80年代前半、「Kitty Records」時代のリーダー作がサブスク解禁になったようで、1st.作から11th.作まで、一気に聴き直している。すると、意外と今の耳で聴いてみると、リリース当時など、以前に聴いた印象とは違った音が聴こえてきて、意外と面白い。恐らく、歳を取るにつけ、耳が肥えて、良い意味で音に対する許容度が高くなってきたのだろう。

高中正義『T-WAVE』(写真)。1980年6月のリリース。高中6枚目のオリジナル盤。セルフ・プロデュースで、パーソネルも曲毎に異なるが、基本は、高中正義 (g), 小林"MIMI"泉美 & 石川清澄 (key), 高橋ゲタ夫 & 田中章弘 (b), 井上茂 (ds), 菅原裕紀 (perc)。当時のフュージョン・ジャズ畑のミュージシャンとは一線を画した、「高中の音世界」独特のメンバーである。

冒頭の目覚まし時計の音で始まる「Early Bird」から、爽快で疾走感溢れる高中のギターが疾走する。演奏の内容的には「クロスオーバー・ロック」。ロックとジャズが融合した「クロスオーバー」な演奏だが、リズム&ビートは「ロック」。当然、オフビートではあるが「ファンクネス」は皆無。しかし、8ビートが疾走するギター・インストのテイストは「クロスオーバー」。
 

Twave_masayoshi_takanaka

 
そして、3曲目「Mambo No.6」に至っては、ロック・ビートに乗ったマンボな演奏が繰り広げられる。ラテン系のテイストが個性の「高中の面目躍如」。ロックとマンボの融合。フュージョン(融合)なロックである。4曲目「Crystal Memories」やラストの「Le Premier Mars」は、当時の流行である、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズなテイストのギター・インストがメインの演奏。

今の耳で聴きながら思うに、この盤って、日本人ならではの「クロスオーバー〜フュージョン・ジャズ」なのではないか、と感じている。米国の「クロスオーバー〜フュージョン・ジャズ」とは異なり、リズム&ビートは「ロック」、それでいて、疾走感溢れる「弾きまくるギター」はクロスオーバー・ジャズに近いし、ソフト&メロウなギター・インストは、明らかにフュージョン・ジャズ。

特にこの『T-WAVE』は、高中のリーダー作の中でも完成度が高く、テクニック的にも内容的にも、米国のフュージョン・ジャズと比肩するレベル。そういう面からも、この盤は日本人ならではの「クロスオーバー〜フュージョン・ジャズ」の傑作の1枚と評価しても良いかと思う。今の耳で聴くと、この盤のクールな爽快感と疾走感はしっかりと耳に残る。日本のクロスオーバー〜フュージョンの名盤の1枚だろう。
 
 
 
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2022年1月22日 (土曜日)

「高中」流のフュージョンの傑作

高中正義は日本のギタリストのレジェンド。日本の既成の音楽ジャンルに収まらないボーダーレスでクロスオーバーのギターが個性。加えて、ハイ・テクニック。音の志向の個性として特徴的なのは、マンボやサンバなど、ラテン・ミュージックに造詣が深いこと。そんな高中正義のアルバムが、ほぼ全部、サブスク解禁になったようで、めでたいことである。

高中正義『Saudade(サダージ)』(写真左)。1982年9月10日にリリースされた、高中の9枚目のオリジナルアルバムである。キャッチコピーは「身体(からだ)が揺れて心も揺れて…」。何ともこそばゆい、バブルの入口の時代の成せるキャッチコピーである。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), Joaquin Lievano (g), Narada Michael Walden (ds), T.M. Stevens (b), Frank Martin (key), Sheila Escovedo (perc)。プロデューサーにドラムも担当している、ナラダ・マイケル・ウォルデンを起用している。

時代はフュージョン・ジャズの流行後期。この盤の音世界はフュージョン・ジャズ、時々、スムース・ジャズな雰囲気で、エコーがタップリ効いている分には、スムース・ジャズ的な傾向が強い。しかし、ビートがしっかり立った楽曲については、スピード感も豊か、演奏テクニックも「バカテク」で、この辺は、当時、流行真っ只中のフュージョン・ジャズど真ん中。
 

Saudade_masayoshi_takanaka

 
冒頭の「A Fair Wind」は、エコーがたっぷり効いた、爽快でキャッチャーなフレーズが心地良い「スムース・ジャズ」志向の演奏。メンバーそれぞれの演奏のテクニックも素晴らしく、とても端正で整った演奏には、思わず聴き入ってしまう。いつもの高中盤と雰囲気がちょっと違うのは、プロデュースを他人に任せて、高中自身は「1人のフュージョン・ギタリストに徹している」ところだろう。高中はギター小僧よろしく、喜々としてエレギをアコギを弾きまくっている。

スチール・パンやパーカッションが活躍して、雰囲気は「カリビアン」なのに、出てくる旋律はマイナー調で、和風な哀愁感がそこはかとなく漂うタイトル曲「Saudade」は、いかにも和風なフュージョン・ジャズ」といったもので、これぞ高中の音世界らしい演奏。その他、ディスコ・チューンあり、ジャム・ナンバーな曲あり、ラストの「Manifestation」では、高中がロックなエレギをギンギンに弾きまくっている。

この盤、「高中正義」流のフュージョン・ジャズの傑作盤だろう。音の要素はジャズあり、ロックあり、ディスコあり、カリビアンあり、ラテン調あり、シャッフルあり、高中が得意とする音楽ジャンルをごった煮して、ギターを弾きまくった傑作。米国西海岸フュージョンの強烈なリズム隊に乗って、高中のギターが唄いまくっている。
 
 
 
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2016年11月25日 (金曜日)

ながら聴きのクロスオーバー

高中正義。日本が誇るエレギ奏者。特にそのインスト・エレギは唯一無二。思いっきり、高中ならではの個性で固められている。1曲聴けば、直ぐに高中と判るほどの個性。しかし、その個性的な音は「ジャンルレス」。ロックとも言えず、ジャズとも言えず。一言で言えば「高中」。

僕はそんな高中のインスト・エレギを「クロスオーバー」と位置づけている。ロックとフュージョン、そしてラテンなどなど、色々なジャンルの音楽の美味しいところを混ぜこぜにしている。リズムの基本はロック、混ぜこぜのところはクロスオーバー・ジャズ。スッキリ整った、エネルギッシュな「クロスオーバー」。

そんな「クロスオーバー」なインスト・エレギを堪能出来るアルバムの一枚がこれ。高中正義『Ocean Breeze』(写真左)。高中正義の2枚目のライブ盤。1982年のリリース。1980年代初頭、高中正義がノリに乗っている頃に敢行された「Power Play」と銘打ったライヴ・ツアーの模様が収録されたもの。
 

Oecean_breeze

 
このライブ盤、初期の頃からの「高中者」からすると、充実な内容なのだ。冒頭の「メドレー」を聴けば、高中がソロとして活躍するようになった初期の代表曲が、メドレー形式で演奏されているもの。どっかで聴いたことのある「高中フレーズ、高中節」がどんどん出てくる。しかも、メドレーとは言え、しっかりアレンジされていて、聴き心地満点。

2曲目の「Plastic Tears」以降、高中の往年の名曲、名演がズラリと並ぶ。ゆったりしたバラードあり、爽快なアップテンポの曲あり、様々なフォーマット、様々なリズム&ビートに乗って、高中がエレギを弾きまくる。弾きまくってはいるが、さすがは高中。徹頭徹尾「メロディアス」。流麗なアドリブ・フレーズが止めども無く沸き出でる。

このライブ盤、実は聴き流しに最適。僕はこのライブ盤には、社会人になって独身寮の休みの朝、必ずこのライブ盤を聴いていた時期がある。この盤の持つ爽快感が良い。メロディアスでテクニカルなエレギの音が良い。朝の起き抜けに心がポジティブになる様な、アグレッシブに一日を過ごせるように背中を押してくれるような「高中サウンド」が実に見事だった。

 
 

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2014年7月30日 (水曜日)

夏だ、高中だ、40周年盤だ

夏だ海だ高中だ。夏になると高中正義のアルバムを流すことが多くなる。夏真っ盛り、相当な蒸し暑さの中なので、高中のエレギ・インストを聴き込むのはちょっと辛い。昔ならカセット・テレコで、今なら、iPodに入れてちょっとしたスピーカーを繋いで、夏の日の木陰で、さりげなく「流す」のがちょうど良い。

高校時代、サディスティック・ミカ・バンドで高中正義のエレギと出会って以来、なんやかんや言いながら、夏から秋にかけてのシーズンには、高中正義のアルバムを流すことが多い。大学時代は『Jolly Live』と『T-WAVE』がヘビロテで、気分転換に『TAKANAKA』が登場。社会人の若かりし頃は『虹伝説』と『OCEAN BREEZE』がヘビロテ。そして、今では『SADISTIC TAKANAKA』と「これ」がお気に入り。

「これ」とは、高中正義のデビュー40周年盤の『40年目の虹』(写真左)。高中正義プロデビュー40周年の2011年にリリースされた、高中正義の集大成盤。昔からのヒット曲をアレンジをし直したり、メドレーにしたりで、しっかりと織り込んでいる。これが、我々、40年前からの往年の「高中者」からすると、聴いていてとても楽しい。

収録曲は以下のとおりなんだが、なかなかでしょ。8曲目の「BLUE LAGOON 'K'」、12曲目のメドレーなどは耳にするだけで、懐かしさがこみ上げてきて涙涙。でも、アレンジは最新のアレンジで、これがバッチリ決まっている。最新のアレンジで、心地良く気持ち良く、優しくアグレッシブに弾き進めていく。
 

40nenme_no_niji

 
1.『夏窓』
2.Nightmare
3.40年目の虹
4.Alone(GUITAR MAGAZINE FESTIVAL LIVE)
5.Walking Toward the Rainbow
6.Seasons
7.夏の日の恋
8.BLUE LAGOON 'K'
9.南方囃子
10.ミスター
11.Left Alone
12.YOU CAN NEVER COME TO THIS PLACE
  〜珊瑚礁の妖精 〜獅子座流星群
  〜黒船嘉永6年6月4日 (GUITAR MAGAZINE FESTIVAL LIVE)

 

この40周年盤での高中のエレギ、アコギの音がすっごく魅力的。むっちゃええ音しています。エレギ者にはたまらん音です。さすがは高中大先生です。高中独特のギター・インストの音世界。フュージョンでも無く、クロスオーバーでも無い。ロック・ビートに乗った高中独特のエレギ・インスト。

ジャズが専門の僕としては、11曲目の「Left Alone」は高中の新境地だと感じています。ジャズ・スタンダードの「Left Alone」。このスタンダード・バラードを朗々と粛々と弾き進めていく。その雰囲気が実にジャジー&ブルージー。こんな感じで、ジャズ・スタンダードをギター・インストした企画盤を出して欲しいなあ。

夏だ海だ高中だ。夏になると高中正義。今年、2014年は高中正義プロデビュー43周年になるのかあ。ずっと第一線で活躍している高中も凄いと思うが、43年間、飽きもせず高中を聴き続けている我々「高中者」もなかなか凄いなあ、と思う今日この頃である(笑)。

 
 

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2014年6月 5日 (木曜日)

サディスティックスのライブ盤

確かに振り返ると6月に良く聴く。明らかに初夏のシーズン向けの爽快な楽曲、僕が高中正義の楽曲の中でのお気に入りな名曲「Ready to Fly」。

この「Ready to Fly」は高中の代表曲として、様々な高中のアルバムに収録されている。どのバージョンもそれなりに楽しめるんだが、どうも高中のアルバムはどれも、高中のギターが全面に出過ぎるきらいがある。

まあ、高中がリーダーのアルバムだから、演奏だから仕方がないけど、もっと、バンドの総合力で楽しめる、その総合力の中で高中のギターも楽しめる演奏は無いのか、と常に思う。が、これがあるんですな(笑)。大学時代にこのアルバムに出会って以来、このアルバムは、この僕の大好きな「Ready to Fly」を心ゆくまで堪能できるお気に入り盤として君臨している。

そのアルバムとは、サディスティックス(Sadistics)の『LiveShow』(写真左)。サディスティックス(sadistics)は、1975年末のサディスティック・ミカ・バンド解散後、1976年春に結成、1978年まで活動した。このライブ盤は1978年6月の録音。

サディスティックスのメンバーは高橋幸宏 (ds), 高中正義 (g), 後藤次利 (b), 今井裕 (key)。つまり、サディスティック・ミカ・バンドから、ギター+リズム・セクションをごっそり抜いて、ギター・インスト・バンドを結成した訳だ。とにかく、このメンバーを見れば、そこから出てくる音の凄さは想像に難くない。

サディスティックスの音源は、たった2枚のスタジオ録音盤と1枚のライブ盤のみ。まあ、活動期間が2年程度なので仕方が無いが、このライブ盤『LiveShow』については貴重な一枚ではある。

このライブ盤ではツイン・ドラム構成なんだが(ジャケット写真を見れば判る)、もう一人のドラマーのクレジットが無い。このもう一人のドラマーは村上ポンタ秀一。クレジットが無いのは、これは、このアルバムのリリース直後に、ポンタがヘロイン所持で捕まったからである。
 

Live_show

 
というトリビア話はさておき、このアルバムは、LP時代のA面はフュージョン・ジャズな演奏仕様(Type I、We Are Just Taking Off、Hard Score)、B面は高中サウンドな演奏仕様(あこがれのセイシェル、Blue Curacao、Ready To Fly)となっていて、演奏の雰囲気の違いはあるが、どちらの面も十分に楽しめる内容。その日の気分でA面、B面と選んで聴けるところも、LP時代のこのライブ盤の良いところだった。

どの演奏も、それぞれの楽器の演奏バランスが良く、このサディスティックスの演奏を総合的に堪能できる。エレギはエレギとして、エレベはエレベとして、ドラムはドラムとして、キーボードはキーボードとして、心ゆくまで堪能できる。特に、後藤次利のエレベは当時衝撃的で、彼のチョッパー・ベースにはたまげました。

そうそう、高橋幸宏のドラムも素晴らしいですね。叩き出されるリズム&ビートを聴くだけで、高橋幸宏のドラミングだと直ぐに判ります。それほどまでに個性的なドラミングで、その縦ノリのグルーブ感と共に、このライブ盤では心ゆくまで堪能できます。クレジットは無いのですが、村上ポンタ秀一のドラムも負けずに素晴らしい。

そして、今井裕のキーボードはお洒落で乾いたファンクネスをそこはかと無く湛えたフレーズは、LP時代のA面のフュージョン・ジャズな演奏で、より堪能できます。当時の日本で、これだけお洒落なフュージョン・キーボードはなかなか聴けるものではありませんでした。

そしてそして、そんな素晴らしいリズム・セクションをバックに、高中正義のエレギが抜群に映えます。特に、ラストの「Ready to Fly」は素晴らしいの一言。空へ翔び上がって行くが如く、爽快感溢れるギターの奏でるフレーズの高揚感が圧倒的で、バックの優秀なリズム・セクションも負けじと飛翔していきます。爽やかな上昇気流のような、このエレギとリズム・セクションの相乗効果がなんとも言えず素晴らしい。

「Ready to Fly」については、このサディスティックスのライブ盤『LiveShow』が最高でしょう。特に、この6月の季節に映えまくります。明らかに初夏のシーズン向けの爽快な楽曲、それは、このライブ盤『LiveShow』で最高に堪能できます。お勧めです。

 
 

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2014年6月 4日 (水曜日)

僕の「6月ヘビロテの高中正義」

6月も4日になる。昨日のブログで、6月は「湿気は多いが、気温的には実に過ごしやすい季節である」と書いた。気温的に過ごしやすい、この夏の初めの季節はまだまだ暑さは本格的では無いので、ジャズのアルバムもフュージョン・ジャズ時代のアルバムを選ぶことが多くなる、とも書いた。

確かに、6月にはフュージョン・ジャズを選ぶことが多くなる。そして、加えて、日本のロック・ギタリストの雄、高中正義のアルバムを好んで聴くのも、この6月なのだ。6月から7月の2ヶ月間は、僕の中では「高中正義」月間なのである。

特に、このアルバムについては、確かに振り返ると6月に良く聴く。というか、6月にしか聴かないアルバムなのだ。そのアルバムとは、高中正義『TAKANAKA』(写真左)。1977年のリリース。高中のセカンド・アルバムになる。このアルバムが、このアルバムを手にした1979年以来、毎年6月に集中して聴くことが多い、不思議なアルバムなのである。

前作『SEYCHELLES』は爽やかなギターが売りのアルバムだったのですが、このセカンド盤『TAKANAKA』では、エレギの音が太くなり、爽やかというよりは力強い、体育会系のマッチョなノリが全面に押し出された音作りに変化しています。

加えて「マンボNo.5」などのラテン色の強いナンバーもあって、所属ジャンル不明でファンクネス希薄な、日本純正のギター・インスト盤に仕上がっています。このアルバムのリズム&ビートを聴いていて、このアルバムの演奏はフュージョン・ジャズでは無いですね。かといって、ロック色豊かな、海外のロックギター・インストともちょっと違う、独特の音世界を維持しています。
 

Takanaka_takanaka

 
このエレギの音が太い、体育会系のマッチョなノリが、まず真夏の暑い盛りにはズバリ暑苦しい。爽やかではあるが物寂しい秋にはちょっと空々しく感じる。冬には寒々しく感じる。うららかな春の季節にはちょっとしんどい。まだまだ暑さは本格的では無い、気温的に過ごしやすい夏の初めの季節にはピッタリ心地良く感じるのだ。

これって僕だけの感覚なのかなあ(笑)。確かに、このアルバム『TAKANAKA』を購入したのが、1979年6月。ずっと聴いていて「いいなあ」と思っていたんだが、8月になる頃には全く聴かなくなったっけ。それでも、毎年5月の下旬から6月になると、この『TAKANAKA』を思い出したように引きずり出してきて、思いっきり聴きまくるのだ。そして、7月下旬頃になると「お蔵入り」(笑)。

「夏だ、海だ、高中だ・・・」とよく言われるが、僕にとっては、高中のアルバムは、意外と初夏、そして秋に聴くことが多い。夏真っ盛りに聴いて爽快なアルバムもあるのですが、夏は夏でも、夏の後半から夏の終わり、お盆の頃から晩夏の頃に良く聴く。でも、このアルバム『TAKANAKA』は6月のアルバムなのだ。

そして、このアルバム『TAKANAKA』の中で、僕が高中の楽曲の中でのお気に入りな名曲「Ready to Fly」が明らかに初夏のシーズン向けの爽快な楽曲なのだ。ヴォイス・パーカッションから始まる冒頭部はちょっと怪しげなのですが、そこから伴奏が盛り上がっていって、いきなり高中のエレギが滑り込む様に入ってくる。そこから空へ翔び上がって行くが如く、爽快感溢れるギターの奏でるフレーズの高揚感が素晴らしい。

この「Ready to Fly」と「Blue Lagoon」は、僕にとっては6月の愛聴曲。よって、6月のバーチャル音楽喫茶『松和』では、高中正義の『TAKANAKA』と『JOLLY JIVE』がヘビーローテーションでかかります。
 
 
 
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2014年3月15日 (土曜日)

春から初夏にかけての高中正義

「夏だ、海だ、高中だ」という、今から思えば、えらく偏ったキャッチフレーズだと思うんだが、1970年代後半から1980年代にかけて、高中のギター・インストと言えば「夏」そして「海」、というイメージで押し通した。

確かに、高中正義の演奏って、季節をイメージすることが出来る、音の色彩が豊かなものが多いと思っています。恐らく、ギターの使い分け、ギターの音色の豊かさ、そして、表現力を支える高いテクニックが、それを可能としているんだと思います。

では、高中正義のギター・インストのアルバムの全てが「夏」御用達なのか、と言えば、僕としては「No」。例えば、この高中正義『T-WAVE』(写真左)については、僕にとっては「春」から「初夏」にかけてよく聴くアルバムなのだ。

さて、この『T-WAVE』というアルバムは、1980年6月のリリース。前年の1979年に、あのインスト名曲の「BLUE LAGOON」を収録した『JOLLY JIVE』をヒットさせ、続く『SUPER TAKANAKA LIVE !』を1980年3月にリリース。これまたヒットして、ギター・インストの雄として、高中正義の人気が定着した後、満を持してリリースしたスタジオ録音盤である。

冒頭の「EARLY BIRD」が、この『T-WAVE』というアルバムの雰囲気を代表している。今やアンティックとなった、アナログな目覚まし時計のベルが鳴り響き、イントロでピアノが気持ち良く響き、その後、高中のギターが滑り出てくる。ロックを基調としたインスト・ナンバーでありながら、雰囲気は実にポップ。聴き易くノリ易い。
 

T_wave

 
そして、3曲目には、高中の専売特許となりつつあったマンボ・ナンバー『MANBO No.6』が炸裂する。思わず、口元が緩む。マンボ・ナンバーって、変にアレンジすると、思いっきり俗っぽくなってしまうんだが、高中はそこのところを上手くコントロールする。俗っぽくなる一歩手前で、ユーモアで包んで、小粋な展開に持ち込む。上手いなあ。

4曲目「CRYSTAL MEMORIES」やラストの「Le Premier Mars」は、当時、1980年の流行だった、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズなテイストのインスト・ナンバー。優れたアレンジもさることながら、高中のエレギが実に良い音を出している。この2曲は秀逸だ。非常に内容のあるフュージョン・ジャズなナンバーである。

「CRYSTAL MEMORIES」のイントロのヴォリューム・ペダルの使い方が上手い。思わず、顔を上げ目を見張る。「Le Premier Mars」の明らかにストラトの音が凄くクール。高中はギターの使い分けが上手い。確かに、この曲のフーレズはストラト向きだ。

僕にとって、この『T-WAVE』は、春から初夏にかけてのヘビロテ盤の一枚。恐らく、冒頭の「EARLY BIRD」と、この4曲目「CRYSTAL MEMORIES」やラストの「Le Premier Mars」のフュージョン・ジャズなテイストのインスト・ナンバーの存在が、僕の中で、春の雰囲気にピッタリと合うんだろうな。

アルバム・ジャケットのデザインは、あんまし良くないなあ(笑)。ハメコミで金髪外人美女にオープン・カー。趣味が悪いし、安直だ。このジャケット・デザインだけが問題だけど、このアルバムは、高中正義を代表する一枚だと思います。

 
 

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2014年2月22日 (土曜日)

夏にも良いが冬にも良い盤です

寒いですね。今年はかなり寒い、我が千葉県北西部地方。先週、先々週と大雪にも見舞われ、寒いのが嫌いな僕としては、とにかく辛い毎日です。まあ、去年の今頃よりは良いかな。昨年の今頃は、大手術の後のまだ2ヶ月経っただけの頃。流石に体調が全くまだまだで、通勤するので精一杯でした。

寒い時に寒い曲を聴くことは無い。寒い時には心が暖まる曲が良い。再びまた巡り来る春、夏の季節を思い起こさせる曲が良い。そして、難しいことを考えること無く、ポップで明るいロック調の曲が良い。

そんなポップで明るいロックな曲。寒い時に心温まる曲。あっけらかんとリラックスしたい時、僕はこのアルバムを選ぶ。高中正義『JOLLY JIVE』(写真左)。1979年リリースの高中正義の出世作、大ヒットアルバムである。

「夏だ、海だ、高中だ」という魅力的なキャッチ・フレーズで表現された高中正義。しかし、このキャッチ・フレーズで、高中の音楽は夏の音楽という、強烈な先入観を植え付けられた。加えて、高中はそれに呼応して、夏向きの曲を演奏を優先的に繰り出し続けた。

でも、この夏向けアルバムの代表格である『JOLLY JIVE』にも「パラレル・ターン」(写真右)という完全に冬向きな曲や「RAINY DAY BLUE」なんていう梅雨時にピッタリな曲も入っている。決して、この『JOLLY JIVE』は、夏向き専用のアルバムという訳では無い。冬に聴けば冬に聴いただけ、それなりの味わい深さがある。
 

Jolly_jive

 
それって僕だけかなあ。冒頭の「BLUE LAGOON」を冬に聴くと心が暖かくなる。きっとまた再び巡りくる夏を思い、夏を感じて、なんだか心がワクワクする。続く「RADIO RIO」もそうだ。ちょっと緩やかなサンバのリズムに乗って、心がパッと明るくなるようだ。これが寒い冬に聴くと格別なものがある。逆に真夏に聴くと、ちょっと暑苦しい(笑)。

「EXPLOSION」や「TAJ MAHAL」など、ポップでダイナミックでエネルギッシュな曲が良い。これって、確かに真夏に聴くと、ちょっと暑苦しい。寒い冬に聴くと、なんだかほのぼのするから面白い。緩やかで漂う様な「珊瑚礁の妖精」だって、聴いているとなんだか、気持ちが暖かくなってくる。

「夏だ、海だ、高中だ」という魅力的なキャッチ・フレーズの印象だけで、高中のアルバムを夏だけのアルバムとしてしまうのは惜しい。確かに、季節の良い春や秋には、高中の音はちょっと合わないかなあ、とは思うが、夏と同様に、季節にメリハリのある寒い冬に、高中の音は、夏とは違った意味で合うと思っている。

真冬に聴く『JOLLY JIVE』の暖かで楽しいこと楽しいこと。僕は、決まって、寒い冬の1月から2月にかけて、この『JOLLY JIVE』を必ず愛でる。とにかく、寒い時期に合うんですよね。特に、昼下がり辺りの時間帯が良いですね〜。

寒い時には心が暖まる曲が良い。再びまた巡り来る春、夏の季節を思い起こさせる曲が良い。そして、難しいことを考えること無く、ポップで明るいロック調の曲が良い。そんな時、この『JOLLY JIVE』はピッタリの好盤です。

 
 

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2014年2月 9日 (日曜日)

冬に『Super Takanaka Live』

「夏だ、海だ、高中だ!」という凄いベタなキャッチコピーで売り出した「高中正義」。そのキャッチ通りに、高中のアルバムは夏にのみ聴くのか、と問われれば「否」と応える。しかし、春や秋という季節の良い時期には聴かないなあ。しかし、不思議と、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、高中のアルバムのいくつかを「冬真っ只中」に聴いたりする。

高中の全てのアルバムが対象では無い。ある特定のアルバムだけ、冬に聴くことが多い。恐らく、学生時代に、冬の季節にヘビロテだったことが原因だと思っている。そのアルバムの演奏を聴くと、その時の情景が浮かんでくるのだが、その情景が、電気ストーブであったり、暖かいコーヒーであったり、熱々のチキンラーメンだったりするのだ(笑)。

そんな冬真っ只中で聴いたりする高中のアルバムのひとつが『Super Takanaka Live』(写真)である。『Jolly Jive』発売に合わせて、1979年12月23〜24日に日本武道館で井上陽水とジョイント・コンサートを行った時のライブ音源。このジョイント・コンサートについては、音楽雑誌などを通じて情報を入手。東京ってええなあ、と羨ましく思ったことを覚えている。

1980年3月のリリースなので、なぜ、このライブ盤について、冬に聴くことが多くなったのか、なんだが、このアルバムを入手したのが1980年の11月、ちょうど秋から冬への季節の変わり目であり、このライブ盤が、当時、ヘビロテ状態になったのが、1980年の12月から1981年の3月にかけての冬真っ只中だったことが理由。
  

Super_takanaka_live

 
それでも違和感は無いですけどね(笑)。冒頭の「BLUE LAGOON」はスタジオ録音とは全く違ったアレンジで、テンポが速い。ちょっと軽めの演奏。高中のギターは弾きまくっているんですが、緊張からフレーズが硬い。当時のライブ音源ならではのライブ感が良く伝わってはくる内容なんですが、絶好調っていう感じでは無いです。

が、2曲目以降の高中のギターはエンジン全開、素晴らしいフレーズを素晴らしいテクニックで弾きまくっています。この弾きまくりがとても熱い。この「熱さ」が冬の季節にも合うんでしょうね。冒頭の「BLUE LAGOON」で、突っ込みすぎで、前掛かり気味だったギターが上手く軌道修正されて、2曲目の「EXPLOSION」は疾走感溢れるノリで弾きまくり。

3曲目の幻想的な「珊瑚礁の妖精」で一息ついて、熱いコーヒーなどを飲み始める。チキンラーメンであれば、この「珊瑚礁の妖精」で、麺をすすり始める(笑)。そして、やってくる4曲目の「RAINY DAY BLUE」以降、「TROPIC BIRD」「DISC"B"」の高中の弾きまくりに、炬燵の暖かさの中、感動する。

そして、ラス前の「READY TO FLY」とラストの「黒船」は、なぜか電気ストーブで暖まった部屋の中のイメージが漂う(笑)。このラス前、ラストの2曲は、夏に聴くと、ちょっと暑苦しいほどの濃厚なテクニック満載のギター弾きまくりな名演なので、やっぱり、この2曲は冬の季節に聴くかぎるんだろうな(笑)。確かに、この寒い冬に聴くと、良い感じのライブ名演です。

「夏だ、海だ、高中だ!」と言いますが、冬の季節にピッタリの高中のアルバムも幾枚かあるんですよね。まずはこの『Super Takanaka Live』。あと2〜3枚あるんですが、それはまた、後ほどのご紹介ということで・・・。

 
 

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