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2016年7月11日 (月曜日)

ながら聴きのジャズも良い・8

いよいよ本格的に蒸し暑くなってきた。この蒸し暑さは大の苦手。特に、昼からの暑さのピークは外に出たくない。これは今から40年ほど前、学生時代の頃からずっとそうだ。

学生時代、この蒸し暑い真夏日の午後は、決まって「秘密の喫茶店」に逃げ込む。ジャズを聴き始めてまだ1〜2年。何を聴いて良いか判らない頃、この「秘密の喫茶店」には本当にお世話になった。この蒸し暑い真夏日の昼下がり、エアコンの効いた店の中で、ちょっと微睡みながら聴くに相応しいジャズ盤などを教えてくれた。

そんな「蒸し暑い真夏日の昼下がり、エアコンの効いた店の中で、ちょっと微睡みながら聴くに相応しい」フュージョン盤の一枚がこのアルバム。David Matthews Orchestra & Earl Klugh『Delta Lady』(写真左)。1980年、キング・レコードのフュージョン専門レーベルとして人気があったエレクトリック・バードからリリースされました。

David Matthews Orchestra名義の作品で、アレンジャー&ピアニストのデヴィッド・マシューズが、アコギのジャズ・ギタリスト、アール・クルーの参加を想定して作曲&アレンジしたものに、ずばりクルーがゲストとして参加したスタジオ・セッションを記録した音源です。音作りとしては一発録りに近い、ライブな演奏が魅力です。
 

Delta_lady

 
僕は、ポップで端正なマシューズのアレンジがお気に入りです。一説には「ポップ過ぎる」とか「端正が過ぎて面白く無い」とか、揶揄されることもあるマシューズのアレンジですが、ポップで端正で整然としているところが僕は好きです。癖が無くて聴き易くて耳当たりが良い。これって「音楽」にとって大事なことだと思います。

そんなマシューズのアレンジに乗って、ありそうで無い「ナイロン弦のアコギ」を駆使したジャズ・ギターが、その個性的で魅力的な音が鳴り響きます。柔軟で粘りがあって、柔らかではあるが芯がしっかり通ったナイロン弦アコギの音色はアール・クルー独特の個性です。そんなクルーのナイロン弦の音が、実に心地良く響いて、相当な心地よさ、相当良い耳当たりです。

収録された曲もどれもが良い曲ばかり。軽いファンク調の曲やカリビアンでトロピカルな雰囲気の曲、サンバ調の曲など、明らかにフュージョン・ジャズを彷彿とさせてくれる楽曲は、ほんと聴き心地が良い。ジャズ・オーケストラを十分に活かしたアレンジの勝利ですね。

これが、蒸し暑い真夏日の昼下がり、エアコンの効いた店の中で、ちょっと微睡みながら聴くに相応しい音なんですね〜。ジックリ聴き込むというよりは、本を読みながらとか、ちょっと微睡みながらとか、適度に聴き流すのが良い感じです。

 
 

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2014年6月23日 (月曜日)

ジャズ・メッセンジャーズの個性

先週の木曜日、突如として眩暈が酷くなり、金曜日は強烈な頭痛、土曜日は胃炎から大腸炎を併発。木曜日から日曜日まで、基本的に伏せっていました。昨日の昼過ぎから、なんとか体調が上向きに。今日はなんとか本業に勤しんできました。が、大変に疲れた。

この4日間ほど、基本的に音楽を聴けない状態だったので(体調の悪化で音楽を聴きたいという欲求が芽生えない)、なんか殺伐とした日々を送って来たような感じです。やっぱり、音楽の無い生活って不毛ですよね。今朝からやっと音楽に耳を傾ける様になりましたが、やっぱり音楽って良いです。

さて、今日のお題は、Manhattan Jazz Quintet(略してMJQ)。MJQと略しても、Modern Jazz Quartetではありません。マンハッタン・ジャズ・クインテットです。このMJQも結成されてから、はや25年以上が経過しました。もはや、老舗中の老舗バンドです。2009年、そんなMJQが結成25周年の記念アルバムをリリースしました。そのタイトルが『25 -Tribute To Art Blakey』(写真左)。

あの正統派ジャズの老舗中の老舗バンドであった、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのトリビュート盤です。2009年2月27、28日 ニューヨーク での録音。ちなみにパーソネルは、David Matthews (p,arr), Lew Soloff (tp), Andy Snitzer (sax), Charnett Moffett (b), Victor Lewis (ds)。やはり、マシューズのアレンジが楽しみです。

さて、その内容はというと・・・。一言で言うと「う〜ん」。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズは、リーダーのアート・ブレイキーが、その時代時代で、メンバーの中から音楽監督(アレンジャーも兼ねる)を任命し、ジャズ・メッセンジャーズの音作りを全て、その「音楽監督」に任せて来ました。

そして、今回、このMJQのトリビュート盤を聴いて、ジャズ・メッセンジャーズって、音楽監督が替われど、ジャズのトレンドが変われど、ジャズ・メッセンジャーズ節とでも形容できる、ジャズ・メッセンジャーズならではの音作りが基本にあるということに気が付きました。

音楽監督が替わっても、その音作りの本質と響きの基本は変わない。そんなジャズ・メッセンジャーズの音作りの基本に触れた気がして、ちょっと感動しました。
 

Mjq_25_tribute_art

 
ジャズ・メッセンジャーズの音作りの基本は、やはり「ゴルソン・ハーモニー」と、リーダーのブレイキーのドラミング。ベニー・ゴルソンが編み出した、ファンクネスの強い独特のユニゾン&ハーモニーの重ね方。この「ゴルソン・ハーモニー」の礎の部分は、どの音楽監督の時代にもしっかりと踏襲され、ブレイキーのドラミングの個性と相まって、ジャズ・メッセンジャーズの音の根幹を担っています。

さすがに、MJQの総帥デヴィッド・マシューズは、この「ゴルソン・ハーモニー」を踏襲することは避けています。まあ、踏襲してしまうとジャズ・メッセンジャーズの音そのものになってしまうので、それでは単なる「物真似」。それは、マシューズはどうしても避けたかった様です。

で、ジャズ・メッセンジャーズの有名曲を他のアレンジ、ここではマシューズのアレンジで焼き直しているんですが、この試みはあまり成功しているとは思えません。ユニゾン&ハーモニーの音自体が単純で薄くなってしまう。ジャズ・メッセンジャーズのゴルソン・ハーモニーのぶ厚くて複雑な音の重なりと溢れ出てくるファンクネスが、マシューズのアレンジでほとんど希薄になってしまっている。

これでは、色濃いファンクネスが売りのジャズ・メッセンジャーズの楽曲をトリビュートとしてアレンジし直した甲斐が無い。併せて、バンドの演奏も、ユニゾン&ハーモニーからアドリブに至るまで、何時になく荒い。どうも、アレンジがしっくりきていない様な雰囲気をありありと感じます。

このジャズ・メッセンジャーズのトリビュート盤を聴いて、逆に、ジャズ・メッセンジャーズの音の個性が、如何にワン・アンド・オンリーなものかが良く判りました。誰にも真似出来ない、ジャズ・メッセンジャーズ独特の個性。しかも、それを1950年代後半以降、1990年にブレイキーが鬼籍に入るまで、30年以上も保ってきたという事実。いや〜、アート・ブレイキー恐るべし、です。

マシューズの卓越したアレンジ、MJQのメンバーの凄腕を持ってしても難しい「Tribute To Art Blakey」。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの音の個性は、なかなか他のアレンジではしっくりいかない様です。

 
 

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2013年6月21日 (金曜日)

80年代MJQサウンドの完成形

マンハッタン・ジャズ・クインテット(以降、MJQと略す)のアルバムには、駄作がありません。どれもが水準以上の出来を保っているので、どのアルバムを選んで聴くかは、皆さん各々の選択基準で選んで差し支えないと思います。ですが、先ずは、デビュー盤から3作目までの、MJQのコンセプトが形となって定着するまでの初々しい盤を聴くのが良いでしょう。

今日は、その第3作目『My Funny Valentine』(写真左)です。この3作目からは、オリジナル・メンバーだった、ベースのチャーネット・モフェットが退団し、代わりにエディ・ゴメス(写真右)がベースに加わっています。

ゴメスはスティーヴ・ガッドと共演も多いので間柄で相性も良く、丁々発止と変幻自在なベテランの技を見せつけてくれます。やはり、ガッドのドラムには、ゴメスのベースの方が相性が良いですね。このリズム・セクションの技に耳を傾けているだけでも楽しい第3作です。

このゴメスとガッドのいわゆる「デジタルチックなリズム・セクション」が、このMJQの特徴である「デジタル録音時代の新しいフォービート・ジャズの形」を更に発展させています。選曲も、この「デジタル・リズム・セクション」の特徴を活かせる曲を優先して選曲されているのが「ニクイ」。
 

Mjq_my_funny

 
この第3作目でも、相変わらず、マシューズのアレンジは冴え渡っています。どの曲も素晴らしい演奏ばかりですが、個人的には、ビリー・ジョエルの「New York State Of Miind(ニューヨークの想い)」が大のお気に入りです。

僕にとって、この曲、ビリーのオリジナルについても大好きな曲でして、MJQが、どうしてこの曲を選んで、ジャズ化したのかは判りませんが、素晴らしい選曲だと思います。 今から思えば、ニュー・スタンダードの走りですね。今ではしっかりと、ジャズ・スタンダードの1曲になっています。

MJQはこの3作目で、グループとしてのサウンドがひとつの完成形に達した感があります。結成当初のコンセプトであった「日本人好みの当時最先端のメインストリーム・ジャズ」から「日本人好み」の部分が取れて「当時最先端のメインストリーム・ジャズ」のひとつの形を提示したものと僕は思っています。

難しくなく、聴き易く、それでいて、結構、マニアックな事もやっている。ジャズ者初心者からベテランまで、様々な角度から楽しめる、非常に優れたグループ・サウンズだと思います。

 
 

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2013年6月19日 (水曜日)

新しい響きがグングン迫る

人間臭さが全く感じられないとか、人工的とか商業的とか、とかく、なにかと批判されがちな Manhattan Jazz Quintet(マンハッタン・ジャズ・クインテット)ですが、僕はそうは思いません。

メンバーはそれぞれ、職人気質のミュージシャンばかりですし、フュージョンでならしたデヴィッド・マシューズのアコースティック・ピアノと、スティーブ・ガッドのフォービート・ドラムは十分に個性的。

そのマシューズの優れたアレンジと相まって、フォービート・ジャズの新しいサウンドと志向で、他に与えた影響は大きいと思います。デジタル時代の新しいフォービート・ジャズの形のひとつと言っても差し支えないと思います。

マシューズのピアノ、スティーヴ・ガッドのドラムでフォービート・ジャズをやるという斬新な企画。このサウンドが斬新に響き、ファースト・アルバムは売りに売れました。

確かに、ガッドのメリハリの効いたドラムとマシューズの秀逸なアレンジの影響で、全体のサウンドがガッチリと「まとまった印象」。このアルバムの音作りは、その後のジャズの音作りにいろいろと好影響を与えています。
 

Mjq_autumn_leaves

 
Manhattan Jazz Quintet『Autumn Leaves』(写真左)。この新しい勢いの中で制作されたセカンド・アルバムです。

2作目も有名なスタンダード・ナンバーのオンパレードですが、マシューズの優れたアレンジが冴えまくって、旧来の手垢のついたスタンダード・ナンバーが、なかなか小粋な印象に変身。従来からのスタンダードに親しんできた耳にも、新しく新鮮に聴こえます。この部分がこのセカンド・アルバムの「ミソ」です。

2作目になってグループの方向性が固まり、演奏も長めになって、全体的に余裕が出て来たような感じが実に心地良い。1作目よりもリラックスして聴けます。適度なテンションが心地良いですね。

ガッドのドラムがバシバシとリズムをキメているのが気持ち良い。逆に、自由度の高い、自由を求めるモフェットのベースとのコンビネーションにはちょっと違和感を感じますが、アルバムを鑑賞する上では、これは大きな問題ではありません。

とにかく洗練された渋いサウンドが心地良い。手垢のついたスタンダード曲もこれだけ上手くアレンジされて、しかも、これだけの「職人集団」で演奏されたら、新しい響きがグングン迫ってきて、なかなかの迫力です。

 
 

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2013年6月18日 (火曜日)

この盤でのMJQは初々しい

マンハッタン・ジャズ・クインテット(以降、MJQと略す)は、1970年代を席捲したフュージョン・ ブームが完全に行き詰まってしまい、ジャズ界全体が閉塞感に包まれ出した頃、フュージョンのアレンジャー&キーボード奏者として活躍していたデビッド・マシューズがリーダーとなり、1980年代の新しいメイン・ストリーム・ジャズを担うグループとして、1984年、日本人の企画により誕生しました。

「日本人の企画により」という部分が「ミソ」で、50年代〜60年代のハード・バップ、ファンキー・ジャズをベースとしながらも、1980年代の最新のジャズの要素も取り入れた、つまり「日本人好みの、当時最先端のメインストリーム・ジャズ」がコンセプトです。

「です」というのも、2013年になった今でも、このMJQはバリバリの現役バンドとして活躍しています。いやいや、まさか、30年近くもバンドが継続されるとは、デビュー当時は思いもしませんでした。

ファースト・アルバムのタイトルはあっさりと『Manhattan Jazz Quintet』(写真左)。1984年7月の録音。結成当時の5人のメンバーはというと、Lew Solloff (tp), George Young (ts), Daviid Matthews (p), Charnett Moffett (b), Steve Gadd (ds) の5人。当時、新人のベーシスト、チャーネット・モフェット以外、いずれも1970年代のフュージョン・ジャズの時代の荒波を泳ぎ切った、名うての「個性派のジャズメン達」である。

この「個性派のジャズメン達」という部分が曲者で、ここを上手く捉えないと、MJQを表面上だけで聴いてしまって、「人工的」だとか「商業主義」だとか「人間臭さが無い」とか評したりするのだ。
 

Manhattan_jazz_quintet

 
確かに1950年代のハード・バップの演奏に比べると、テクニックよろしく整然としていて隙が無いし、感情の起伏が上手くコントロールされていて、ミスが無い。しかし、なぜそれが「良く無い」となるのか。ジャズは日々進歩しているんだから、これだけの高度な技術を持ち合わせたバンドが出現しても不思議では無い。

まあ「作られた様な」という部分は判らないでもないですけどね(笑)。これは、ひとえにデビッド・マシューズの優れたアレンジが原因で、そういう印象を持ったりするんだろうと思う。

それほど、このMJQでのマシューズのアレンジは冴え渡っている。アレンジが冴え渡っている分、それを「作られた様に」感じるジャズ者の方もおられるのだと思う。クラシックの曲にこの傾向が多い。あまりに出来の良い曲に対して「あまりに作られた感じがする」と言われることが多いのと同じ理由だろう。

このファースト・アルバムでは、マシューズの秀逸なアレンジが「個性派のジャズメン達」を上手く活かしつつ、更なる輝きを与えている。エモーショナルなソロフのトランペット、コルトレーン的ではあるが、 コルトレーンより聴きやすく親しみやすいヤングのテナー、モフェットの初々しいベースも好感度良好。

とにかく、このアルバムでのMJQは初々しい。フュージョンが行き詰まってしまった後、ジャズ界全体を取り巻く閉塞感の中で、喜々として高らかにメインストリーム・ジャズの復権を宣言しているような躍動感溢れるアルバムだ。アルバム・ジャケットのデザインも良い。今でも良く聴きます。

 
 

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2011年5月23日 (月曜日)

安心感抜群の「定番クインテット」

マンハッタン・ジャズ・クインテット。1984年、もともとは、純ジャズ系ではなかったメンバーで、4ビートなジャズをやるという、意表をついた企画だった。ちなみに、結成時のメンバーは、Lew Soloff(tp), George Young(ts), David Matthews(p), Charnett Moffett(b), Steve Gadd(ds)。

デビュー・アルバムは、現在までに累計20万枚以上を売り上げたヒット作だったが、一方、あまりに整い過ぎていて、あまりに上手過ぎて面白くない、などとベテランジャズ者の方々から揶揄もされた。しかし、整い過ぎているというのは、リーダーのデビット・マシューズのアレンジが優れているからであり、上手過ぎて面白くない、なんていうのは、今でも良く判らない評価だ。

僕は、このマンハッタン・ジャズ・クインテットは、非常に優れたクインテットだと評価している。メンバーチェンジはあったが、もう既に25年以上続いている。とにかく、マシューズのアレンジが素晴らしく、歴代のメンバーは素晴らしいテクニックと歌心の持ち主ばかりだ。安心感抜群、これぞジャズっていう演奏を随所で聴かせてくれる。 

今日、聴いていたのは、6枚目の『My Favorite Things』(写真左)。1987年4月、中野サンプラザでのライヴ録音である。珍しく、オリジナルは収録曲の半分の3曲を占める。このオリジナル曲の演奏も良好、お得意のジャズ・スタンダードの演奏も素晴らしく、安心感抜群のライブ盤となっている。
 
Mjq_my_favorite_things
 
メンバーについては、ベースが、結成当初のメンバーだった Charnett Moffettから、Eddie Gomezに代わっただけで、ガッド特有の縦ノリのドラミングは健在。独特のリズム&ビートに乗って、フロントのペットのソロフ、テナーのヤングが大活躍。ライブの迫力を良く捉えた録音も秀逸である。

もともと、マンハッタン・ジャズ・クインテット、演奏のダイナミックレンジが広く、ピアニッシモからフォルテッシモまで、音の強弱の幅が広い。ピアニッシモに聴き耳を立てたくて、イヤホーンのボリュームを上げようものなら、いきなりの盛り上がりでフォルテッシモに駆け上がった途端、耳に「うぎゃー」と言うくらい、大きな音が耳に突き刺さったりする。電車の中で、この状態になろうものなら、かなりの顰蹙ものである(笑)。

やはり、マシューズのアレンジの賜でしょう、とにかく破綻が無く、聴いていて安心感がある。といって、1950年代のハードバップの展開をコピーすることなく、その時代、その時代のジャズの先端の展開を織り交ぜているところが、このクインテットの優れたところであり、このクインテットの純ジャズな演奏が「懐メロ」っぽく響かないところだ。僕は、このクインテットの「新しい響き」に、常に魅力を感じてきた。 

演奏のダイナミックレンジが広いのと、ジャズの先端の展開を織り交ぜている部分が、ちょっとジャズ者初心者の方々には重荷かもしれません。ジャズを聴き始めて数年、ジャズ者中級者に差し掛かる位の頃に、ちょうどフィットする内容だと思います。良いライブ盤です。

 

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2008年12月13日 (土曜日)

1980年代「純ジャズ復古」の頃...

今日は休みとはいいながら、午前中は、遅まきながら、インフルエンザの予防接種を受けに内科へ行き、午後からは、年の暮れでもあり、身だしなみを整える為、散髪に行った。都合、駅前まで2往復したことになる。ちょっとした運動になった。

さて、久しぶりに、マンハッタン・ジャズ・クインテット(以下略称MJQ)を聴いた。アルバムは『Live at Pit Inn』(写真左)。1986年のリリースである。このMJQ、日本で企画された「メインストリーム・ジャズ・コンボ」で(元々は『スイングジャーナル』誌とキングレコードの発案)、メインストリーム・ジャズの「ツボ」をしっかり押さえた、見方によっては、商業的に「ツボ」をしっかり押さえた演出が、当時受けに受けました。

MJQのファースト・アルバムがリリースされたのは1984年。1970年代後半、ハービー・ハンコック率いる「V.S.O.P.」クインテットの活躍をきっかけに、「純ジャズ復古」の動きが加速する。最初は、懐メロ的な評価だったが、ベテラン・ミュージシャンから若手有望株まで、目覚ましい活躍、素晴らしい演奏を繰り広げるに至り、メインストリーム・ジャズは本格的に甦った。1984年とは、そんな「純ジャズ復古」の真っ只中。

絵に描いたような、企画モノの「純ジャズ・コンボ」だったので、当時、評論家やジャズファンから、酷評もされました。「作られたジャズはジャズでは無い」。でも、このMJQの演奏を良く聴けば判るのですが、決して、商業的成功を目指して「作られたジャズ」をやっていた訳では無い。メンバを集めて、MJQを立ち上げたまでは、確かに「作られた純ジャズ・コンボ」かもしれないが、出てくる音は、安易に「作られた音」では無かった。
 

Mjq_pitinn

 
リーダーのデヴィッド・マシューズ(ピアノ)の、アレンジとリーダー・シップが秀逸で、単なる過去の「ハード・バップ」の回顧ではない、単なる過去の「モーダルな演奏」の回顧では無い、当時として、新しい響きの「メインストリーム・ジャズ」をやっている。今の耳にも十分耐える、良い内容のジャズです。デビュー・アルバムから、僕はファンです。1984年がMJQのデビューだから、ファンになって、もう24年になるのか〜(笑)。

特に、この『Live at Pit Inn』は、六本木ピット・インのライブで、当時のMJQの真の実力が良く判ります。とにかく、メンバー皆、上手いですね。ちなみに、パーソネルは、 Lew Soloff(tp), George Young(ts), David Matthews(p), Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds)。特に、先に書いた、このMJQの持つ「新しい響き」については、 Eddie Gomez(b), Steve Gadd(ds)のリズム・セクションに負うところが大きいと思ってます。

特に、Steve Gaddのドラムって「縦ノリ」なんですよね。今までのジャズ・ドラムって、スイングするという言葉通り「横ノリ」なんですが、Steve Gaddのドラムは、「スチャスチャスチャ」って感じの「縦ノリ・デジタル」って感じの、実にデジタルチックなノリ。そこに、硬質でスクエアなEddie Gomezのベースが絡む訳ですから、「スチャスチャブンブン」と、デジタルなノリが増幅されています。「オンオフオンオフ」って感じの「縦ノリ」なんですが、しっかりとスイング感が出ているのには感心します。

MJQは、2008年の現在でも、メンバーを多少入れ替えつつ、活動継続中です。単なる「コマーシャルな」コンボだったら、こんなにも長く活動が続くことは無かったでしょう。ジャズ・ファンの耳って、結構確かですからね。純ジャズ・コンボのリーダーとして、デヴィッド・マシューズの意地と矜持を感じます。
 
 
 
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