ボブ・ジェームスの飽く無き深化
ボブ・ジェームスは、クロスオーバー〜フュージョン〜スムース・ジャズにおける、僕の一番のお気に入りアーティスト。10歳代半ばから、ずっとリアルタイムで、ボブ・ジェームスを聴き続けている。彼自身のキャリアは、60年を越える。フォープレイが解散状態に陥ってからは、自身のピアノ・トリオでの活動が目立っていた感がある。
Bob James『Jazz Hands』(写真左)。2023年10月のリリース。ボブ・ジェームス名義のスタジオ盤としては、2013年の『Alone: Kaleidoscope by Solo Piano』以来10年ぶりになる。ちなみにパーソネルは、以下の通り。
Bob James (p), Ricky Peterson (Hammond B-3 org & Syn), Dave Koz, Andrey Chmut Tom Braxton (sax), David Marchione Sr., Will Patrick, Dwight Sills (g),Michael Palazzolo, Nathan Phillips (b), Carlos Camilo Perez (syn-b, drum programming), John Mahon (ds, perc), Ramon Yslas, Lenny Castro (perc), James Adkins, Jay Williams (ds),
演奏曲によって、適材適所なパーソネルで演奏されている様だが、ボブ・ジェームス作の楽曲、アレンジで固められているので、アルバム全体の一貫性は確保されていて、違和感は全く無い。
人選の基本方針は、昔のフュージョン・ジャズの手だれの名手を起用するより、現代のスムース・ジャズ畑とクラブ・シーンの優れたアーティストを選ぶ方向で人選している様だ。例外として、ディヴ・コズの様なビッグネームも参加しているのだが.... 。
豪華絢爛なパーソネルでのセッションの数々だが、それぞれのセッションの中心にいるのは、ピアノのボブ・ジェームスとアコースティック・ベースのマイケル・パラッツォーロ、ドラムのジェームス・アドキンスの「ボブ・ジェームス・トリオ」。そうすると、ジャジーなピアノ・トリオ+αのネオ・ハードバップな演奏を想起するのだが、ボブ・ジェームスの場合、単純にはそうはならない。
3曲目のタイトル曲「Jazz Hands」では、ラップもこなすR&Bシンガーでプロデューサー/サウンド・クリエイターのシーロー・グリーンを、8曲目の「That Bop」には、ヒップホップ・シーンの重鎮DJ・ジャジー・ジェフをフィーチャーしている。この音世界は、スムースなコンテンポラリー・ジャズとクラブ系ミュージックを融合させた様な音世界。単純なスムース・ジャズでは全く無い。曲のリズム&ビートに、ジャズ、ハウス、テクノ、トランス、ヒップ・ホップなどが見え隠れする。
ボブ・ジェームス自身のパフォーマンスも極上。今までのキャリアからくる、ボブ・ジェームスならではの手癖や決まりフレーズが出てきそうなものだが、音の重ね方、フレーズの展開など、今までのボブ・ジェームスにありそうで無かった、新しい響きのボブ・ジェームスの音が散りばめられている。それでも、アレンジの調子というか、展開というか、アレンジの個性がしっかり、ボブ・ジェームスしているところがニクい。
ボブ・ジェームスは、現在、84歳。これまでの輝かしいキャリアに安住することなく、新しいボブ・ジェームス・サウンドを生み出している様は尊敬に値する、と僕は思う。この盤には「深化」するレジェンド、ボブ・ジェームスがしっかりと「いる」。豪華絢爛なパーソネルのセッションだが、この盤の音の中心には、ボブ・ジェームスがしっかりと「いる」。
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