アメリカン4の「契約消化」盤
キースのアメリカン・カルテット。『The Survivors' Suite(邦題:残氓)』を録音した時点で、グループとして終わっていた。続く、ライヴ盤『Eyes of the Heart(邦題:心の瞳)』では、もうカルテットの演奏としても終わっている。キースの曲をキースの指示通り演奏することに「痺れを切らした」レッドマンが、完全にキースのカルテットから離反した。
このアメリカン・カルテットの終焉を記録した2枚のアルバムは、ECMレーベルからのリリース。元々、アメリカン・カルテットは、インパルス・レーベル主体に録音を進めてきた。もうアメリカン・カルテットとしては終わっていたにも関わらず、インパルス・レーベルには、契約が残っていた。キースをはじめとしたアメリカン・カルテットのメンバーは、この契約消化のために、アルバム2枚分の演奏を残さなければならなかった。
Keith Jarrett『Byablue』(写真左)と『Bop-Be』(写真右)である。どちらのアルバムも録音は、1976年10月14–16日。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, misc. perc), Dewey Redman (ts, misc. perc), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, perc)。「アメリカン・カルテット」再集結。記録によると、14-16日の間に、全19曲を録音している。いわゆる「アメリカン・カルテットのマラソン・セッション」である。
それまでのアメリカン・カルテットのアルバムの収録曲は全て、キースが書いていたのだが、このアメリカン・カルテットの契約消化アルバムについては、キースだけでなく、メンバーそれぞれの自作曲を演奏している。例えば、『Byablue』は、全7曲中、キースの曲は1曲だけ、あとはヘイデンの曲が5曲、マーゴット(キースの妻)の曲が1曲。『Bop-Be』では、全7曲中、キースの曲は1曲だけ。レッドマンの曲が3曲、ヘイデンの曲が2曲、ジャズ・スタンダード曲が1曲。
それぞれのアルバムで、キースは1曲ずつしか提供していない。『Bop-Be』は、レッドマン、ヘイデン、キースの曲が混在。ピアノは全てキースが弾いているので、何とか、アルバムの音の一貫性は最低限保たれているが、アルバム全体の印象はバラエティーに富んだ印象。『Byablue』は7曲中5曲がヘイデンの曲なので、キースのアメリカン・カルテットの音というよりは、ヘイデンのリーダー作の様な雰囲気。
『Byablue』と『Bop-Be』、どちらのアルバムも、キースのアメリカン・カルテットの音世界と捉えることは難しい。それぞれの曲の出来は良いし、演奏自体のレベルは高く、内容もある。だが、アメリカン・カルテットとしての一体感、個性は薄まっていて、アメリカン・カルテットならではの演奏として印象に残るものは無い。やはり、この2枚、アメリカン・カルテットの「消化試合」やったんやなあ、と改めて感じた次第。実に残念なラスト2枚である。
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