2023年3月19日 (日曜日)

小粋なジャズの相性抜群なコンビ

小粋なジャズ盤を探索して聴き漁っているうちに、小粋なジャズ盤に必須の「小粋な演奏」を量産出来る「相性抜群のコンビ」というものが存在するんじゃないか、と思い始めた。オスカー・ピーターソンとハーブ・エリスとか、ビル・エヴァンスとジム・ホールとか、この二人をコンビを組んで演奏すれば、絶対に「小粋なジャズ」が出来上がる。そんな「相性抜群なコンビ」というものがどうもあるみたいなのだ。

『Teddy Wilson Meets Eiji Kitamura』(写真左)。1970年、テディ・ウィルソンが来日時に北村英治とレコーディングしたセッションをLP化したもの。ちなみにパーソネルは、北村英治 (cl), Teddy Wilson (p), 原田政長 (b), Buffalo Bill Robinson (ds), 増田一郎 (vib)。第5回(1971年度)ジャズ・ディスク大賞(スイング・ジャーナル誌主催)最優秀録音賞を受賞した優秀盤である。

ウィルソンと北村が「相性抜群なコンビ」によってつくりあげたスタンダード集。『After You've Gone』(写真右)というタイトルで再発されているものもあるみたいだが、どちらの盤も聴いてみたが違いは無い。冒頭の「On The Sunny Side Of The Street」から抜群に良い雰囲気。リラックスして、穏やかだが力強い。ゆったりとしたスイング感。ゆったりとしたテンポに漂うファンキーなグルーヴ感。
 

Teddy-wilson-meets-eiji-kitamura

 
この盤に漂う抜群のスイング感とグルーヴ感は、北村のクラリネットのウィルソンのピアノによる「賜物」。北村のクラリネットは穏やかだが力強くスインギー。そのバックでリズム・セクションとして北村のクラリネットをサポートし鼓舞するウィルソンのピアノがファンキーでグルーヴィーでスインギー。この二人の相乗効果で、この素晴らしくスインギーで小粋なスタンダード集が出来上がっている。

北村のクラリネットは「スイング・ジャズ」志向。ウィルソンのピアノは「スイングからハードバップ直前の中間派」志向。どちらもハードバップ志向のジャズとは雰囲気が違うが、モダンなジャズには変わりが無い。スタンダード曲の解釈とアドリブ部の展開について、北村とウィルソン双方の嗜好がバッチリ合っているみたいで、二人のユニゾン&ハーモニー、そして、インタープレイに淀みが無い。

こんな「中間派」の小粋なジャズって、聴いていて、ほのぼのして、リラックス出来て、しみじみする。そして、ずっと演奏を聴き進めて行くと、このクインテットの演奏って、それぞれの楽器のテクニックと歌心が抜群で、凄く聴き応えがあるのが判ってくる。こういう「小粋なジャズ」って捨てがたい魅力満載。今でも、たまに引っ張り出しては聴く好盤です。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
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2023年3月18日 (土曜日)

「和製のヴァイブの新人」出現

我が国のジャズ・シーンにおいても、コンスタントに有望新人が出ている。何時頃からか、そう、21世紀に入って、2002年、ピアニスト山中千尋が初リーダー作を出した頃から、一気に将来有望な新人がどんどん出てきた。商業主義が反映されたボーカルを除けば、どの楽器でも、出てきた新人の多くは、今でも中堅として活躍している。

吉野智子(Tomoko Yoshino) Quartet『Kaleidoscope』(写真左)。2023年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、吉野智子 (vib), 雨宮彩葉 (p). 鉄井孝司 (b), 小田桐和寛 (ds)。パーソネルを見渡して、リーダーの吉野智子を含め、僕にとっては初見のメンバーばかり。特に、リーダー吉野の担当楽器は「ヴィブラフォン」。

吉野智子。東京都出身。10歳よりマリンバ、国立音楽大学に進学し、本格的に打楽器全般を演奏し始める。在学中、第13回JILA音楽コンクールマリンバ部門第1位を獲得。同大学ビッグバンド・サークルに所属しヴィブラフォンを担当、第40.41回山野ビッグバンドコンテストにて最優秀賞受賞。ジャズヴァイブ・作曲を赤松敏弘に師事。

アマチュア・ビッグバンド所属のヴァイブ担当が独立して、プロのヴァイビストになった訳で、確かに、吉野のヴァイブは素姓が良い。
 

Tomoko-yoshino-quartetkaleidoscope

 
音の個性としては、ファンクネスは皆無。硬質で透明度の高い音で、ヴァイブの音の質としては、4本マレット奏法を駆使している面も含めて「ゲイリー・バートン」に通じるものがある。音がバートンよりも暖かい感じなので、いわゆる「温和なバートン」という雰囲気。

ヴァイブのパフォーマンス自体は申し分無い。テクニックも優秀、弾き回しは流麗。アドリブ展開のスピード感も十分、速いパッセージは切れ味良く、スローなフレーズは歌心十分。初リーダー作とは思えない、完成度の高いヴァイブである。全9曲中、7曲が自作曲で、これがまた出来が良い。作曲の才能にも注目したい。

演奏全体の雰囲気は、モード奏法がメインの「ネオ・ハードバップ」。特にモーダルな展開は、過去の成果を踏まえながら、現代ジャズの響きを湛えていて立派。即興演奏のフレーズには淀みが無く、ポジティブな響きで清々しい。特にスタンダード曲の「I Hear a Rhapsody」では、アレンジが従来のジャズには無いユニークなもので、アレンジ能力も良さも垣間見える。チャレンジ精神も旺盛。

初デビュー作としては申し分の無い出来。吉野のヴァイブの個性も良く判るし、コンポーズ&アレンジの才能も注目に値する。特に、ジャズ演奏の絶滅危惧種の1つである「ヴィブラフォン」を担当する、将来有望な新人の出現である。次作についても、しっかりと見守っていきたい。
 
 

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2023年2月19日 (日曜日)

桑原あいの10周年記念ライヴ盤

「Disc Grand Prix 年間グランプリ」を眺めていて、このピアニストの名前が目に入った。「桑原あい」。ジャズ・ピアニスト。1991年生まれ。そろそろ、ジャズ・ミュージシャンとしては、まだまだ若手。

幼い頃より、天才エレクトーン少女として頭角を現し、中学生後半よりピアノに転向。2012年5月、完全セルフ・プロデュースによる初リーダー作、桑原あい Trio Project『from here to there』をリリース。実は、僕はこの「桑原あい」については、デビュー盤から、リーダー作をほぼ聴き続けているクチである。

彼女のピアノは、明確に「日本人のジャズ・ピアノ」。ファンクネスは希薄、端正で切れの良いオフビートでジャジーな雰囲気を醸し出し、芯の入った繊細でロマンティシズムが仄かに香るタッチと流れる様な弾き回しが特徴。チック・コリア、ブラッド・メルドーに通じるリリカルで切れ味の良い、現代音楽に通じる硬質なタッチが個性。

桑原あい ザ・プロジェクト『Making Us Alive』(写真左)。2022年4月から7月にかけて、全国4ヶ所で開催した「Recording Tour 2022 “Live Takes”」を全編録音し、その中からベスト・テイクを厳選して収録。ちなみにパーソネルは、桑原あい (p), 鳥越啓介 (b), 千住宗臣 (ds)。桑原あいデビュー10周年記念作。日本全国で繰り広げた白熱のトリオ・ライヴ盤である。
 

Making-us-alive

 
真面目である。真摯である。とにかく、息をつく間もない、「真面目で真摯」でストイックなジャズが展開される。聴き手の期待する「コンテンポラリーな純ジャズ志向」のパフォーマンスを堅実に実行している。

なんせ、冒頭の曲が、あのデューク・エリントンの「Money Jungle」である。こんなに硬派で玄人好みの選曲があるだろうか。このエリントンの名演を、桑原なりに解釈し、桑原オリジナルの「Money Jungle」になっている。いや〜、硬派やなあ。

全編ストイックでコンテンポラリーな純ジャズ、正統派のメインストリーム・ジャズで埋め尽くされる。選曲がユニークで、ルー・リードの「Pale Blue Eyes」や、ローリング・ストーンズ「She's a Rainbow」、ウエストサイド・ストーリーから「Cool」、歌劇カルメンから「Habanera」など、他のジャズ・ミュージシャンが選ばない曲を、個性的なアレンジで、なかなか洒落たカヴァーに仕立て上げている。

途中、現代音楽風にアブストラクトに展開したり、フリーに展開したりするところがあるが、これはちょっと「肩に力が入り過ぎ」かな。全編、かなり真面目で真摯でストイックなジャズで統一されているので、硬派にアブストラクトやフリーに展開するなら、ちょっとポップに、ちょっとソウルフルに展開した方が良いアクセントになるんではないかなあ、と思った次第。
 
 

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2023年2月16日 (木曜日)

「CASIOPEA-P4」の1st.盤です

カシオペア。我が国発の老舗フュージョン・バンド。デビューは1977年。幾度かのメンバー変遷と2006年から2011年までの活動休止期間を経て、第1期〜第2期「CACIOPEA」、第3期「CASIOPEA 3rd」、第4期「CASIOPEA-P4」とバンド名をマイナーチェンジしながら、現在も活動中である。

現在は、2022年にレギュラー・サポートメンバーであった神保の脱退を受けて。7月に後任の新ドラマー・今井義頼が正式なメンバーで加入。それを機に、バンド名を「CASIOPEA-P4」に変更して活動中。振り返って見れば、ギターでリーダーの「野呂一生」は不変だが、他のメンバーは総入れ替えになっている。フロント楽器がギターで、バックにリズム・セクションという編成は変わらないが、サウンド的には大きく変化してきている。

CASIOPEA-P4『NEW TOPICS』(写真左)。2022年の作品。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 鳴瀬喜博 (b), 大高清美 (key), 今井義頼 (ds)。結成45周年。25年振りにドラムに正規メンバー、今井義頼を迎え、第4期「CASIOPEA-P4」としての初のスタジオ録音盤。デビュー当時のキャッチコピーである「スリル・スピード・スーパーテクニック」をそのまま継続している様な、スピード感と高テクニック溢れるフュージョン盤である。
 

Casiopeap4new-topics

 
デビュー当時から、フロント楽器がギターで、バックにリズム・セクションという編成で、長らくギター・サウンドが前面に押し出された「ギター・バンド」志向なフュージョン・ミュージックが身上だった様な記憶がある。が、第3期「CASIOPEA 3rd」で、キーボードが大高清美に代わってから、バンド・サウンドの中で、キーボードがフロント楽器の役割を果たす割合が増加、この第4期「CASIOPEA-P4」に至って、キーボードがフロントの一定の割合をコンスタントに担う様なサウンド構成に変化している。

1970年代のプログレッシブ・ロック、もしくは、キーボードがメインのジャズ・ロックの様な音志向になっていて、デビュー当時のキャッチコピーである「スリル・スピード・スーパーテクニック」はしっかり踏襲されているが、ギターとキーボードが半々でフロントを担って、サウンド的には、ギターによる鋭角で切れ味の良い音世界が、マイルドで流麗で爽快感のある音世界に変化して来た様に感じる。

1970年代からのギター小僧からすると「何だこの変化は」だが、1970年代からのキーボード小僧からすると「これは良いぞ」な感じのサウンドなのだ。デビュー当時からの「カシオペア者」の方々からすると賛否両論なんだろうな。それでも、この「CASIOPEA-P4」の音は、我が国のエレ・ジャズ・バンドの最高峰のポジションを維持しているし、グローバルなレベルで見ても、現役ばりばりの「Yellowjackets」などに比肩する、レベルの高いエレ・ジャズ・バンドの位置をキープしている。流石である。
 
 

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2023年2月15日 (水曜日)

「たなかりか」のボーカルが良い

前のブログで「Disc Grand Prix 年間グランプリ」でも、日本のジャズ・ミュージシャンの優秀盤が結構な数、上がっている」と書いた。このジャズ・ライフ誌の年間グランプリは、ジャズ評論家の方々が、忌憚の無い、自らが良いと感じたアルバムをノミネートしている雰囲気が伝わってきて、ノミネートされたアルバムに関して、以前の様な商業主義は殆ど感じ無い。

たなかりか『Japanese Songbook "Winter" with Jazz standards』(写真左)。2022年の作品。ちなみにパーソネルは、たなかりか (vo), 鈴木正人 (b), ハタヤテツヤ (key), 小沼ようすけ (g), 坂田 学 (ds)。ジャパニーズ・ポップスを日本語のままジャズ・カバーする、たなかりかのプロジェクト「ジャパニーズ・ソングブック」の10周年を記念した企画盤。

ジャケット・デザインを見て、ちょっと「眉をひそめる」。これって、バブル時代に量産された、聴き心地が良いだけの「お洒落なイージーリスニング・ジャズ」では無いのか。でも、それでは、ジャズ・ライフ誌の年間グランプリにそのタイトルが上がる筈が無い。でもなあ、このジャケはなあ。でも、パーソネルを見れば、現代の和ジャズの腕利き達がズラリと並ぶ。やっぱり、これは大丈夫や、と聴き始める。

アルバム構成は2枚組で、Disc1:ジャパニーズ・ポップス“冬”の名曲。Disc2:プロジェクト初収録のジャズ・スタンダード。Disc1に収録されたジャパニーズ・ポップスは「冬」をテーマに選曲。Disc2は、人気のジャズ・スタンダード曲集。どちらも、ライトでコンテンポラリーな純ジャズ志向にアレンジされていて、聴き応え十分。

Disc1は「12月のエイプリル・フール(EPO)」から始まって、冬の定番「恋人がサンタクロース(松任谷由実)」、そして、「氷の世界(井上陽水)」「白い恋人達(桑田佳祐)」「ネイティブダンサー(山口一郎)」「恋人よ(五輪真弓)」と続き、「CHRISTMAS TIME IN BLUE(佐野元春)」で締める。
 

Japanese-songbook-22winter22-with-jazz-s

 
ジャパニーズ・ポップス“冬”の名曲の選曲が、僕にとっては素晴らしい。全て学生時代から社会人の生活の中でリアルタイムに聴いた名曲ばかりで「僕好み」の曲が並ぶ。それらが、ライトでコンテンポラリーな純ジャズ志向にアレンジされて、たなかりかが軽快に情感込めて唄い上げる。「恋人がサンタクロース」「氷の世界」「恋人よ」など、涙涙の絶品、絶唱である。

そして、Disc2の人気のジャズ・スタンダード曲集が、これまた絶品。「Fly me to the moon」「My favorite things」「L-O-V-E」「Come rain or come shine」「Bye bye blackbird」「Devil may care」「That’s all」の全7曲。これまた「僕好み」のスタンダード曲がズラリ。特に「Fly me to the moon」「L-O-V-E」「Bye bye blackbird」など、涙涙の絶品、絶唱である。

たなかりかのボーカルは素姓良く、力感もあり、アーバンでスマート。ストレートな歌唱は、現代のコンテンポラリーな純ジャズ志向のアレンジにピッタリで、違和感無く適応している。表現力も豊かで、決して単調にならず、CD2枚組、全14曲を一気に聴かせるパワーを秘めている。

良質な「現代の和ジャズのコンテンポラリーなボーカル」を聴かせてもらった気分。「ジャパニーズ・ソングブック」10周年は「伊達では無い」。バックのリズム・セクションも素晴らしい。フロントのボーカルとバックのリズム隊が一体となった、たなかりかのボーカルの力量がダイレクトに伝わってくる好盤である。
 
 

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2023年2月 9日 (木曜日)

納浩一『琴線/ The Chord』です

もともと、ジャズ・ライフ誌は、日本のジャズの新盤を結構多く扱っているので、その時その時の日本のジャズの活性度合いや活躍度合いが良く判る。「Disc Grand Prix 年間グランプリ」でも、日本のジャズ・ミュージシャンの優秀盤が結構な数、上がっている。頼もしい限りである。

納浩一『琴線/ The Chord』(写真左)。2006年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、納浩一 (b), クリヤ・マコト (p), 則竹裕之 (ds), 小沼ようすけ (g)。「納浩一」=おさむ こういち、と読む。納浩一はベーシスト。和ジャズでは珍しいベーシストのリーダー作。2006年の作品なので、ちょっと古いが、内容は現代の耳にも十分に訴求する優れた内容。

収録曲各曲で、納浩一のベースがしっかりとした存在感を出しつつ、演奏のベースラインをガッチリと支えている。とにかく、納浩一のベースラインが力強く流麗で端正。フロントのフレーズを邪魔すること無く、納浩一のベースラインがクッキリ浮き出てくる。ベースの弾き方が素晴らしくハイテクニックなんだろう。
 

The-chord

 
そして、この盤、選曲が凄く良い。僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、1970年代後半より、リアルタイムで聴いた、新しい世代の名曲がズラリと並ぶ。「Bud Powell」「Three Views Of A Secret」「Some Skunk Funk」「I Wish」などは、原曲がスッと思い浮かぶほどの愛聴曲。これを、シュッとしたクールなアレンジでカヴァーされる。そして、その底に、しっかりとハイテクニックな納浩一のベースがしっかりと流れている。

フロントを担うクリヤ・マコトが、溌剌としてエッジが快く立って、バリバリと躍動感溢れるピアノを弾きまくる。これがかなり「聴きもの」である。そして、ゲストで2曲に参加している小沼ようすけのギターが小粋で良い。たった2曲の参加だが、とても良いアクセント。冒頭の「Actual Proof」と6曲目の「Some Skunk Funk」で、バンバン弾きまくっている。

ベーシストのリーダー作として、内容優秀な好盤。何より選曲が良い。選曲が良くて演奏が良い。日本のジャズのみならず、グローバルなレベルで、このベーシストのリーダー作は高く評価されて然るべき内容だと思う。
 
 

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2023年2月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・258

Jazz Lifeの「2022年度 Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を見ていると、日本のジャズも頑張ってるなあ、って思う。バブルが弾けた後、1990年代前半、日本のジャズは沈滞して行ったが、1990年終盤から少しずつ上向き始め、2000年代にはいって、ピアニストの山中千尋がデビュー盤をリリースすることから、日本のジャズは復活し、活性化していった。

そして、こうやって、ジャズライフ誌の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を毎年読んできて、日本のジャズ・シーンは完全に復活し、深化している。最近、有望新人の出現が緩やかになってきているが、既に中堅〜ベテランの域に達した、2000年代に出現した有望新人達が堅実に活躍している。

『魚返明未 & 井上銘』(写真左)。2022年の作品。 ちなみにパーソネルは、魚返明未 (p), 井上銘 (g)。ピアノとギターのデュオ。「魚返 明未」= おがえり あみ、と読む。「井上 銘」= いのうえ めい、と読む。難度の高い「ピアノとギターのデュオ」のチャンジブルなパフォーマンスの記録である。

魚返明未(おがえり あみ)は、1991年東京都生まれ。4歳からピアノを始め、高校でモダンジャズ研究部に入部し、ジャズピアノに転向。 2015年7月、初リーダーアルバムをリリース。 2017年3月に東京芸術大学音楽学部作曲科を卒業。新進気鋭のピアニストとして、ジャズ・シーンをメインに活動中。

井上 銘(いのうえ めい)は、1991年生まれ、神奈川県出身の日本のギタリスト/コンポーザー。幼少期よりピアノ、ドラムなどの楽器に親しみ、15歳でマイク・スターンの演奏に触れて、ギターを始める。高校在学中よりジャズ・クラブで演奏活動を始め、高校3年で鈴木勲のグループに参加。2011年、初リーダーアルバムをリリース。中堅ギタリストとして、様々なシーンで活躍中。
 

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ピアノとギターのデュオは難しい、と言われる。楽器の音量が違いすぎて、アンサンブルで、デュオ演奏で一番大事な「お互いに聴きあう」ということが難しい。そして、どちらの楽器も、メロディーとコード、どちらも弾けるので、メロディー弾きとコード弾きが、双方の意に背いて重なる危険性が高い。特にジャズは「即興の音楽」ゆえ、どちらのリスクも突発的に連続して起きる可能性がある。

ピアノとギターのデュオで思い出すのは、ビル・エヴァンスとジム・ホールのデュオ。この2人のデュオは見事だった。ピアノとギターのデュオのリスクを、綿密なリハーサルで乗りきり、高テクニックで疾走感溢れ、歌心満点でスリリングな、奇跡的な、唯一無二のデュオ演奏を残している。

そのデュオ演奏と単純に比較するのは酷だが、それでも『魚返明未 & 井上銘』のデュオは大健闘している。リハーサルをしっかり積んだんだろう、ということは演奏を聴いて直ぐに判る。とても堅実に慎重に演奏を進めている様子が良く判る。それでも、演奏の疾走感は保たれているし、ユニゾン&ハーモニーに淀みが無い。日本人ジャズ独特の「ファンクネスは希薄だが、切れ味の良いオフビート」が心地良い。

印象派絵画の様な、耽美的でリリカルな風景を見るような印象的なデュオ演奏は、どこか、パット・メセニーとライル・メイズのデュオを想起する。想起するどころか「比肩」するレベルではないか。と、僕は聴いた。

少しだけの「もったり感」が気になる部分があったが、あと2枚ほど、この2人のデュオを聴いてみたい。出来れば、チック・コリア&ゲイリー・バートンの様な「パーマネントな名デュオ・ユニット」として名を残して欲しい、位に思っている。
 
 

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2022年12月29日 (木曜日)

ジャズって判り易いのが一番

僕がまだジャズ者初心者だった頃、FMラジオは貴重な音源だった。当時、ジャズがメインのFM番組は結構沢山あって、リアルタイムで聞くか、リアルタイムで聞けない時は、タイマー起動でカセットデッキに録音しておいて、家に帰ってきてから、ずっと聞いていた記憶がある。

FM番組でそのジャズLP盤の一部を聴いて、その内容が気に入って、次の日にレコード屋に走ってゲットしたアルバムも結構あった様な気がする。一生懸命、ジャズ入門本やジャズ雑誌を読んだりしているのだが、それでも知らない名前のジャズマンが出てきたら、しっかりメモって、ジャズ人名辞典を引いたりして勉強していたなあ。当時はネットが無かったから、書籍とラジオだけが貴重な情報源だった。

Teddy & Eiji『Live Session』(写真)。1971年7月、東京ヤマハ・ホールとイイノ・ホールでのライヴ音源。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、テディ・ウィルソン "Teddy Wilson" (p), 北村英治 (cl), 尾田悟 (ts), 薗田憲一 (tb), 光井章夫 (tp), 増田一郎 (vib), 池沢行生 (b), 須永ひろし (ds)。テディのピアノ・トリオを中心に、日本を代表するスイング系の名手が勢揃い。内容的には「スイング・ジャズ」が基本。
 

Teddy-eijilive-session

 
この盤の一部をNHKーFMで聴いて、どの曲に感動したかは覚えていないのだが、テディのスインギーでジャジーなピアノと北村英治の小粋で流麗なクラリネット、横揺れにスイングするリズム隊が凄く印象的に耳に残って、演奏の展開もとても判り易く、これはアルバム全体が聴きたい、と翌日、LPをゲットした思い出の盤である。

今の耳で聴き直してみても、テディのピアノはやっぱり良いし、北村のクラリネットは絶品。バックに控える日本を代表するスイング系の名手達のパフォーマンスも端正で流麗で見事。スイングが基調の演奏なんだが、今の耳にも古さは全く感じさせない、鮮度の高い横揺れスイングの上質のモダン・ジャズがこの盤に詰まっている。

こういう演奏を聴くと、やっぱり、ジャズって判り易いのが一番やな、と思ってしまう。加えて、演奏するジャズマンの演奏テクニックが高ければ高いほど、その演奏は判り易くなるのだから、やっぱりジャズって面白い。この盤の「セント・ジェームス病院」を聴いていて、そんなことを強く思った次第。
 
 

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2022年10月10日 (月曜日)

Roland Hanna Trio『Glove』

ローランド・ハナ(Roland Hanna)のピアノは、端正でタッチが堅実、そして、典雅なフレーズ、典雅なアドリブが個性のピアニストである。リーダー作は常に平均点以上の出来をキープし、破綻が無い。逆に、個性的な手癖や弾き回しがある訳では無い。いわゆる「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの1人。

ハナは米国デトロイト出身。1932年生まれ、2002年11月に70歳で鬼籍に入っている。ハードバップ期に若手ジャズ・ピアニストとして活躍したはずなのだが、リーダー作は2作しかない。リーダー作を量産し始めたのは、1970年代に入ってから。ジャズはマニアックな音楽ジャンルに追いやられ、ジャズとしては辛い時代だったのだが、ハナはいきなりリーダー作を量産し始める。

Roland Hanna Trio『Glove』(写真左)。1977年10月15日、日本(東京・青山ビクタースタジオ)での録音。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), George Mraz (b), Motohiko Hino (ds)。ベースに名手ムラーツ、ドラムに我が国の日野元彦を配したトリオ編成。ハナの1970年代量産リーダー作の1枚である。
 

Roland-hanna-trioglove

 
我が国のトリオ・レコードの制作。良好なプロデュースの下、ハナのピアノの個性をしっかりと捉えた好盤である。ハナは「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの中でも、タッチが力強く、ダイナミックでドライブ感が豊か。スタンダード曲を、ハイ・テクニックのアレンジに乗って、破綻の無い、典雅で硬質なタッチで、事も無げに弾き進めていく。

ベースのムラーツが良い。ハナのハイ・テクニックな弾き回しを骨太なブンブン・ベースでガッチリとサポートする。そして、日野元彦のドラミングがこれまた良い。ムラーツのベースラインに寄り添うように、柔軟で堅実なリズム&ビートを供給する。このリズム隊があってのハナのパフォーマンスであることが、この盤を聴いていて良く判る。

良きリズム隊を得て、ハナのピアノが心地良く乱舞する。確か、この盤は当時流行の「ダイレクト・カッティング録音」の盤だったと記憶する。ピアノの音、アコベの音、ドラムの音、どれもが生々しく活き活きとした鮮やかな音で捉えられていて、聴いていてとても気持ちが良い。演奏良し、録音良し。ハナの1970年代リーダー作の代表的な1枚である。
 
 

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2022年9月17日 (土曜日)

Kyoto Jazz Sextet の新作

1960年代以降、我が国のジャズのレベルについては高いものがある。戦前、スイング・ジャズに親しんでいた下地があり、1950年代からの進駐軍経由での本場のジャズの生の経験を活かして、ジャズについては、演奏する方も、鑑賞する方も、米国に次ぐレベルにあったのでは無いか、と感じている。

1970年代に入っても、演奏する方については、米国ジャズ、特に東海岸ジャズに憧れを持ち、米国ジャズのトレンドを追いかけていた。和ジャズならではのオリジナリティーは、まだ確立されてはいない。

和ジャズならではの個性を持ち始めたのは、1990年代に入ってからではないだろうか。1980年代半ばに、米国で「純ジャズ復古」が成った訳だが、この時点で、和ジャズは米国ジャズを追いかけるのでは無く、並走する様になった。

そして、21世紀に入って、山中千尋のデビュー以降、優れた女性ジャズ・ミュージシャンが多数現れ出でて、この女性ジャズ・ミュージシャンが中心となって、21世紀の和ジャズの独特の個性を持つようになる。そして、現在、今でも、和ジャズは独特の個性を保ちつつ、米国ジャズ、欧州ジャズと並走を続けている。
 

Kyoto-jazz-sextetsuccession

 
Kyoto Jazz Sextet『SUCCESSION』(写真左)。2021年11月、2022年1月の録音。ちなみにパーソネルは、類家心平 (tp), 栗原 健 (ts), 平戸祐介 (p), 小泉P克人 (b), 沖野修也(vision, sound effect on 渡良瀬)、そして、featuring 森山威男 (ds)。Kyoto Jazz Sextetの 5年ぶりの新作。Kyoto Jazz Sextetは「ジャズの現在」を表現することをコンセプトとしている。

この新作の音の雰囲気は「コルトレーン・ジャズ」。モード・ジャズを極め、シーツ・オブ・サウンドを極めた、フリー&スピリチュアルに走る直前の、メインストリーム系ジャズの最先端を走っていた頃の「コルトレーン・ジャズ」。ただ、かっての新伝承派の様に、過去のモード・ジャズを焼き直すのでは無く、Kyoto Jazz Sextetならではの解釈で「コルトレーン・ジャズ」をやっている。

特に、フロント2管とピアノは「コルトレーン・ジャズ」の響きをしっかりと宿している。ノンビリ聴いていたら、コルトレーンとマッコイ・タイナーを彷彿とさせる部分があって、あれれ、と思う。但し、コルトレーンの様に「鬼気迫る」ところは無く、出てくるフレーズは洗練されていて、シンプルで判り易い。

「コルトレーン・ジャズ」の「和ジャズの21世紀ならではの解釈」盤が出てくるとは。新しさは感じ無いが、和ジャズの演奏する側のレベルの高さを再認識させてくれる好盤ではある。
 
 

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