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2017年1月23日 (月曜日)

ながら聴きのジャズも良い・15

植田典子とは誰か。ネットのレビューからの転載になるが「1997年バークリー音楽大学卒業、1998年よりニューヨークを拠点に活動するジャズ・ベーシスト。現代のNYのファースト・コール・ベーシストの一人」とある。ふ〜ん、知らなかった。

しかし、この盤の音を聴くと合点がいく。むっちゃ魅力的な音が鳴り響くアコベである。ブンブンブンと胴と弦が唸りを上げる。それも、実に上品なベース音である。ネットのレビューには「哀愁とガッツ」とある。なるほど、女性ベーシストならではの音の響きが実に「典雅」。

植田典子トリオ『Debut』(写真左)。2015年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、植田典子 (b), テッド・ローゼンタール(p), クインシー・デイヴィス (ds)。正統なピアノ・トリオである。ジャケットもなかなか良い感じのデザインで、これまた正統なジャズ盤のイメージである。
 

Debut

 
これだけベースが正統な純ジャズ基調なのである。当然、ローゼンタールのピアノも、クインシー・デイヴィスのドラムも正統な純ジャズ路線ど真ん中である。現代のネオ・ハードバップな音世界を踏襲しながら、モードありコードあり、メインの旋律はあくまで「哀愁感溢れるマイナーな響き」。

このトリオの音は圧倒的に「絵に描いた様な純ジャズなピアノ・トリオ」。はたまた、このアルバムは「現代の純ジャズの教科書」の様なアルバムである。ピアノ・トリオの美味しいところが、アルバム一杯にガッツリと盛り込まれている。現代のジャズ・ピアノ・トリオとはこれ、と差し出したくなるような演奏内容である。

良いアルバムです。これだけ「現代の純ジャズの教科書」な内容だと、スピーカーに対峙して聴き込むというよりは、静かな部屋の中で、本でも読みながらの「ながら聴き」に最適なアルバムだと思います。ピアノ・トリオの音の響きがとっても素敵なアルバムです。

 
 

震災から5年10ヶ月。決して忘れない。まだ5年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年1月19日 (木曜日)

プログレなフュージョン盤です

CASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)がお気に入りで良く聴く。特に、新参入のキーボードが殊の外お気に入り。向谷の後任である大高清美である。基本はオルガニスト。ジャズ・オルガンというよりは、プログレ・オルガンといって良いほどの手癖が魅力。

そんな大高清美がスーパー女子高生ドラマー・川口千里とユニットを組んでいる。その名は「Kiyo*Sen」(キヨセン)。キャッチフレーズが「<仲良く★激しく★美しく>最強の女子力ユニット」。このユニット、オルガンとドラムなので、あとベースがいれば、オルガン・トリオが成立する。

そんな「Kiyo*Sen」がファースト・アルバムをリリースしたのが2014年。Kiyo*Sen『Chocolate Booster』(写真左)である。2014年のリリース。改めてパーソネルは、大高清美(Organ、Keyboards、Programming), 川口千里(Drums、Percussion), 矢堀孝一(Guitar / M-4(Guitar Solo)、M-5、M-9)。一部にエレギがゲスト参加。

アルバム全体で一貫した「オルガン+エレギの思いっきりプログレ」なフュージョン・ジャズ。まず、大高清美のオルガン、シンセの音の雰囲気が思いっきり「プログレ」なのだ。具体的に言えば「キース・エマーソン」。あの体育会系プログレバンドEL&Pのレジェンドなキーボード奏者である「キース・エマーソン」の音色、手癖がところどころに出てくる。プログレ者からするとこれが堪らない。
 

Chocolate_booster  

 
加えて、大高のキーボードの疾走感は半端無い。バカテクをひけらかされて「うぇ〜」という感じでは無い、なんかちょっと余裕をかました感じで、シュッと引き切ってしまう様な「清々しさ漂う疾走感」。アドリブ・フレーズもキャッチャーで、疾走感と相まって、サラッとしていて聴いていて気持ちが良い。

そんな大高の疾走感溢れるキーボードを更に煽り、更に鼓舞しつつ、自らも飛ぶように叩きまくる川口千里のドラミングも見事。重量感がありつつ、適度にスインギー。この娘のドラムは「ロックなドラム」では無い。この娘のドラムは「フュージョンなドラム」だ。疾走感に加えてスインギーな雰囲気漂い、オフビートなドラミングが大高のキーボードにしっかりとフィットする。

ゲストの矢堀孝一のエレギの雰囲気も実に良い。これがまあ、これまた「プログレ」なエレギの響きなのだから堪らない。プログレっぽくて、フュージョンぽいエレギのフレーズが面白い。このエレギの参入をアルバム全体の中で良い「アクセント」になっている。

ベースが入っていたほうが良い、という見方もあるが、実は僕もそう思う。但し、重量感を増す方向でのベースの参入は疑問。演奏のベースラインをしっかり押さえた「爽やかなベース」が良いだろう。

良い雰囲気のオルガン・フュージョン。オルガン・フュージョン自体が珍しいので、この盤、異色のフュージョン盤として、お勧めのアルバムです。ふふっ、「プログレ」オルガン・フュージョンですかね(笑)。

 
 

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2016年12月27日 (火曜日)

Shanti 初のカヴァーベスト盤

暮れも押し詰まって、素晴らしいアルバムを見つけた。これは良い。今年もあと4日で終わり。年の瀬は「穏やかに」過ごしたい。穏やかに過ごす時間のバックにこのバラード集は良い。とても良い。

この12月21日のリリースと聞く。『SHANTI sings BALLADS』(写真左)。Shanti(シャンティ)の初のカヴァー・ベスト・アルバム。シャンティはそれぞれのアルバムで、極上のカヴァー曲を収録している。そんなシャンティがこれまで発表した7枚のアルバムから選りすぐりのバラード・カバー曲と共に、今回は新録も3曲収録。

いや〜、これが実に良い雰囲気。バラードばかりなので、ちょっと温和しめで、5〜6曲聴くと飽きるかなあ、なんて思って聴いていて、これがまあ、飽きないんですね。アレンジが優れていて、バラードの伴奏なんだけど、しっかりとリズム&ビートが効いていて、シャンティのボーカルにもシッカリと芯が入っていて飽きない。

収録曲は以下の通り。ほんま、実に魅力的はカヴァー曲がズラリと並ぶ。ほんま、ええ選曲やなあ〜。面白いのは、僕達が中学から高校、大学時代に聴き親しんだポップス系、ロック系の曲が見え隠れするのが良い。そして、1980年代から90年代のロック系の名曲もカヴァーしているところに、抜群なセンスの良さを感じる。

特に、3曲目のElton John「Your Song(僕の歌は君の歌)」、9曲目のLennon&McCartney「Across The Universe」、11曲目のStevie Wonder「Overjoyed」のシャンティのカヴァーはたまらん。
 

Shanti_sings_ballads1

 

01. Home At Last [Traditional](新録)
02. Lullabye (Goodnight My Angel) [Billy Joel]
03. Your Song [Elton John / Bernie Taupin]
04. Fields Of Gold [Sting / Gordon M.Summer]
05. Estrada Branca [Vinicius de Moraes & Gene Lees / Antonio Carlos Jobim]
06. Time After Time [Robert Hyman / Cyndi Lauper]
07. Ev’ry Time We Say Goodbye [Cole Porter]
08. Over The Rainbow [E.Y. Harburg / Harold Arlen](新録)
09. Across The Universe [John Lennon / Paul McCartney]
10. Fly Me To The Moon [Bart Howard]
11. Overjoyed [Stevie Wonder]
12. Hard Times Come Again No More [Stephen Foster](新録)

 

加えて、ジャズ・スタンダード曲も良い出来だ。「Ev’ry Time We Say Goodbye」「Over The Rainbow」「Fly Me To The Moon」など、とっても出来が良い。ポップなスムース・ジャズ系のボーカルとして十分に楽しめる。

この年の暮れも押し詰まった日に、ほんと良いアルバムに巡り会った。思わず、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、緊急ヘビロテ盤となって、時ある毎に流しています。穏やかに過ごす時間のバックにこのバラード集は良い。

 
 

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2016年12月 1日 (木曜日)

WRのピアノ・トリオ盤が良い

昨日、ミロスラフ・ヴィトウスの新盤の話題で盛り上がった。ヴィトウスの言えば、かの伝説のエレジャズ・バンドのWeather Report(以下WRと略す)の初代ベーシスト。で、そう言えば、最近、このWRのカヴァー盤の記事を目にした様な、そんな気がしたんだけど〜。

そうそうジャズの月刊誌の記事で見たんでした。この新盤でした。クリヤ・マコト/納浩一/則竹裕之『Acoustic Weather Report』(写真左)。昨年、クリヤ・マコト(ピアノ)、納浩一(アコベ)、則竹裕之(ドラムス)の3人で結成された「アコースティック・ウェザー・リポート」。

かの伝説のエレジャズ・バンドのWRの名曲の数々をピアノ・トリオでカヴァー。徹頭徹尾、アコースティック楽器での硬派なメンストリーム・ジャズ。エレ楽器の持つ捻れた表現をバッサリ捨てて、楽曲の持つ「骨格となる旋律」を抜き出してアレンジすることで、WRの名曲の数々の「肝」の部分を再体験。

ピアノ・トリオという最小限の編成で、あのエレ楽器を活用することで「分厚い」アンサンブルを実現していたWRの音はどうなるのか。実に興味津々、逆に不安一杯のピアノ・トリオの企画盤です。
 

Acoustic_weather_report

 
で、これがですね。なかなか素晴らしい内容なんです。WRのアレンジを含めた「丸ごとカヴァー」では無い、ピアノ・トリオならではの独自で大胆な解釈が基本的に「成功」しています。特に、WRの中で印象的な旋律を持つ楽曲が良い出来です。冒頭の「Cannon Ball」や2曲目「Elegant People」、7曲目の「Young and Fine」が良い例です。

逆に、ジャコ・パストリアスの天才エレベやウェイン・ショーターのサックスが活躍する楽曲、「Teen Town」や「A Remark You Made」はちょっと苦しい展開。エレベとアコベは弾き方が全く異なるし、ジャコのエレベをピアノでカヴァーするのは余りに単純すぎる。また、ショーターの強烈個性のサックスの音をシンプルなピアノの音でカヴァーするのはちょっとしんどい。

ただ、ちょっと苦しいだけで、個性的で挑戦的なアレンジなどの工夫はしっかりと評価すべきでしょう。とにかくレンジを含めた「丸ごとカヴァー」では無く、ピアノ・トリオをしっかりと前提にして、ピアノ・トリオならではのフォーマットを活かすアレンジを施しているところに魅力を感じます。

WRを聴き込んだ「WR者」の方々は絶対に楽しめると思います。実は僕もこの新盤については興味津々で、この「アコースティック・ウェザー・リポート」トリオのアレンジの妙と演奏テクニックの高さに感心することしきりです。内容の濃い、聴いて楽しい企画盤です。

 
 

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2016年10月16日 (日曜日)

70年代フュージョンのテイスト

最近、米国でも日本でも、フュージョン・ジャズのテイストがベースのアルバムに良く出くわす。フュージョン・ジャズといっても、1970年代後半から1980年代初頭の頃の「フュージョン・ジャズ全盛時代」の音のテイストがリバイバルしている様に感じる。

今年、メジャーデビューを飾ったこのサックス奏者のアルバムもそんな音のテイストである。寺地美穂『Beautiful Maic』(写真左)。宣伝文句を見ると「瑞々しく爽やかな美貌のサックス・プレイヤー、寺地美穂」とある。まだまだ元気な日本人女性ジャズ・サックス奏者の新人である。

冒頭の「Beyond The Rainbow」を聴くと、思わず「ああ、懐かしい音やなあ」としみじみする。明らかに1970年代後半のフュージョン・ジャズの音世界である。アルト・サックスもしっかり鳴っているので、最初、聴いていたら「あれ、これってナベサダさん?」と思う。が暫く聴いていて「ナベサダさんとはちゃうなあ」ということで落ち着く。

ナベサダさんのアルトと音色は良く似ていてるのだが、力強さとアルトのブリリアントな鳴りがちょっと弱い。アドリブラインの吹きっぷりが繊細で、ビ・バップ仕込みの豪快な展開とは異なる。それでも、テクニックは申し分無く、アドリブ・ラインの吹き回しも堂々としている。でも今まで聴いたことの無いアルト。「で、誰だこれ」となる。
 

Beautiful_magic

 
1970年代後半のフュージョン・ジャズのテイストのハイライトが、5曲目の「Savanna Hot Line」。前奏から最初のメイン・フレーズを聴けば、1970年代後半のフュージョン・ジャズを聴きまくったジャズ者であれば直ぐに判る。日本フュージョン・ジャズを代表するバンド、ネイティブ・サンの名曲である。うわ〜懐かしい。しかし寺地美穂、ソプラノもいける。

音が素直で綺麗なアルトで最後まで楽しく聴かせてくれます。メジャー・レビューのスタジオ録音ですが、ここまで活き活きと元気にアルト・サックスを吹き上げることが出来れば及第点。1970年代後半のフュージョン・ジャズのテイストが上手くフィットしていて、なかなか聴いていて楽しいフュージョン盤に仕上がっています。

プロデュースは米米CLUBの金子隆博 (a.k.a Flash Kaneko)。なるほどな、と感心。この1970年代後半のフュージョン・ジャズのテイストをズバリ当て込んだプロデュースは、ちょっと変わった、個性的なプロデューサーなんだろうなあ、と想像したんですが、ビンゴ、でした(笑)。

これからが期待できる日本人女性サックス奏者の出現である。しかし、日本人女性ジャズ・ミュージシャン、まだまだ元気ですなあ。しかも、内容のある、まずまず聴き応えのあるアルバムが多くて、ちょっとウキウキしています。

 
 

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2016年10月13日 (木曜日)

Miles Reimaginedな好盤・1

今から40年ほど前、マイルス・デイヴィスのエレクトリック・ジャズについては、なかなか理解されることが少なかった。酷い時は、酔狂なマイルスの余興とか、マイルスの乱心とか、散々な言われようだった。

まあ、当時のジャズ者の方々は、ジャズと言えばアコースティックしか許さない、というのが主流だったので、エレクトリックな楽器を使ってのエレ・ジャズなど邪道中の邪道。そんな時代でした、今から40年ほど前のジャズ・シーンって。

ということで、あれから数十年経って、エレ・マイルスのフォロワーが多数現れ出でて、エレ・マイルスの音楽的要素が発展して、21世紀の新しいエレ・ジャズを生み出すなんて想像だにしなかった。なので、このアルバムを聴いた時はたまげた。

菊地成孔DCPRG『Report From Iron Mountain(アイアンマウンテン報告)』(写真左)。2001年のリリース。DCPRGとは「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN(デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデン)」の頭文字を取って並べたもの。マイルスに私淑する菊地成孔 (sax) がリーダー。

菊地の私淑するエレ・マイルスを演奏コンセプトに据えつつ、アフロポリリズムや現代音楽などの要素を取り入れ、エレ・マイルスと同じ到達点、いわゆる「ダンスミュージック」を標榜した音世界。いや〜、この音世界にはビックリした。
 

Report_from_iron_mountain

 
見事なまでに、エレ・マイルスの忠実なフォロワーであった。しかも日本人のバンドがエレ・マイルスをやる。いや〜長年、エレ・マイルスの偏見に耐えてきた日々を思うと、思わず溜飲が下がる思いがした。とにかく、最初から最後まで良い。エレ・マイルス者であれば絶対に気に入る。思わず、ニヤニヤしながら聴いてしまう。

4曲目の「CIRCLE / LINE ~HARD CORE PEACE」を聴くと、思わず歓声を上げてしまう。1980年リリースの菊地雅章の名盤『ススト』に収録された名曲「Circle/Line」。dCprGのライブでは必ず演奏されているらしいこの名曲。実に良い感じでリニューアルされている。

僕もこの『ススト』というアルバムは大のお気に入りで、この「Circle/Line」も大好きな曲。この名曲を忠実にカバーしつつ、そこはかとなく新しい感覚、展開を織り交ぜて、ちょっとリニューアルした感じがとても良い。

エレ・マイルスを基本に、新しい響きを宿した「ダンスミュージック」を創造するDCPRG。エレ・マイルス者の我々にとっては、実に魅力的なバンドである。そして、この『アイアンマウンテン報告』は愛聴盤です。

 
 

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2016年9月10日 (土曜日)

伝説のザ・プレイヤーズである

1970年代後半から1980年代前半、我が国でのフュージョン・ブームをリアルタイムで体験した世代としては、純日本製のフュージョン・バンドと言えば、カシオペア、スクエアが二大バンド。そして、僕にとっては「ザ・プレイヤーズ(The Players)」の存在が印象に残っている。

ザ・プレイヤーズとは、「和製スタッフ」「和製ウェザーリポート」の異名をった、純日本製のフュージョン・グループ。メンバーは、鈴木宏昌 (key), 松木恒秀 (g), 岡沢章(b), 渡嘉敷祐一 (ds), 山口真文 (sax) で結成。スタジオ・ミュージシャンが大集結したバンドだったので、テクニック抜群、構成抜群。

WRのザビヌル、エレ・ハービーの要素を取り込んだ、当時の最先端のキーボード・プレイが格好良い鈴木宏昌、スタッフのエリック・ゲイルばりのギターを弾きまくる松木恒秀、アンソニー・ジャクソンばりの太いベースをバッシバシ弾く岡沢章、スティーヴ・ガッドの縦ノリビートが新鮮な渡嘉敷祐一のドラムス、ウェイン・ショーターからの影響が顕著な山口真文のサックス。

そんなザ・プレイヤーズ、僕が初めて聴いた盤が、このセカンド盤『WONDERFUL GUYS』(写真左)。1980年のリリース。このアルバムを聴いて、思わず良い意味で「唖然」。「和製スタッフ」「和製ウェザーリポート」とはよく言ったもので、収録されている曲の雰囲気が「スタッフ」であり「ウエザーリポート」なのだ。
 

Wonderful_guys

 
加えて、エレ・ハービーっぽい楽曲もあり、当時、米国東海岸で流行っていた「東海岸フュージョン」のいいとこ取りをしている。いいとこ取りとは言うが、チープな「コピー」や「カヴァー」だったりはしない。音の雰囲気としては、明確に「和製フュージョン」的な音作りであり、ブラインドで聴いていて、米国系のフュージョンとして聴き間違うことは無い。

なんて言ったら良いのか、「スタッフ」「ウエザーリポート」「エレ・ハービー」から、黒人ならではのファンクネスをごっそり引いて、日本人らしい乾いたオフビートを前面に押し出した音、とでも形容したら良いだろうか。「スタッフ」「ウエザーリポート」「エレ・ハービー」の様な旋律を持ちながら、リズム&ビートは明快に「純日本」なのだ。

これが、僕にとっては実に良かった。特に、ジャズを聴き始めて3年目。このザ・プレイヤーズの存在は、僕の芽生え始めた「マニア心」を思いっきり刺激した。とにかく、この『WONDERFUL GUYS』は当時のヘビロテ盤。朝起きて朝食摂りながら、昼行きつけの喫茶店珈琲飲みながら、夜論文読みながら、朝昼晩と『WONDERFUL GUYS』である(笑)。

しばらく廃盤状態が続いて、LPからのデジタル音源で凌いでいたが、タワレコ+ソニーミュージックの企画盤としてリイシューされました。やっと状態の良いCDで聴くことが出来る様になって、ホッと一息です。

 
 

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2016年8月29日 (月曜日)

日本の夏のフュージョン・ジャズ

今年の夏は思いっきり「蒸し暑かった」。これだけ蒸し暑いと不快指数MAXで、体調もボロボロ、気分も優れず、なんか今年の夏はパッとしなかったなあ。で、今日も台風10号が近づいていて、抜群に蒸し暑い。体調もボロボロである。

僕達が子供の頃の、蒸し暑さはほどほど、カラッと晴れ上がった夏の日が懐かしい。このアルバムのジャケットがそんな昔の夏の日のイメージをピッタリと表現してくれている。ということで、この盤は毎夏、必ず聴く。

松岡直也『夏の旅』(写真左)。1984年の作品。日本の夏のフュージョン・ジャズとして、この盤は格好の内容。曲名を見ても、ああ夏の盤やなあ、という感じが思いっきりする。「日傘の貴婦人」「田園詩」「夏の旅」「風のしらべ」「虹のしずく」「雲のゆくえ」などなど、日本の夏の季節を彷彿とさせるタイトルが実に魅力的。
 

Natsu_no_tabi  

 
松岡直也と言えば「ラテン・フュージョン」なんだが、このアルバムでは、ラテン・フュージョンな演奏は「日傘の貴婦人」と「風のしらべ」くらいで、あとは正統派フュージョン・ジャズのオン・パレード。実に聴き応えのある、良質なフュージョン・ジャズが展開されている。ハイテクニックかつ歌心満載。キャッチャーな旋律を持った楽曲が実に良い雰囲気。

今泉洋と斉藤英夫のツイン・ギター、高橋ゲタ夫の強烈ベース、ノリノリにビートを刻む広瀬徳志のドラム。そんなゴキゲンでアグレッシブなリズム・セクションをバックに、松岡直也のピアノが突っ走る。

本作は少年時代の「故郷の夏」。それぞれの曲を聴いていると、昔の夏の日のイメージや風景が浮かんでは消えていく。これだけイメージが明確でストーリー性のある企画型のフュージョン・ジャズって、なかなかありそうで無い。希少価値な一枚である。

 
 

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2016年8月 5日 (金曜日)

カシオペアの傑作フュージョン

CASIOPEA『Eyes of The Mind』で、明確に音が変化したカシオペア。腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズ。ハーヴィー・メイソンのプロデュースの賜であった。 これだけ音の変化したカシオペア。次作はどうなるのか。当時、興味津々であった。

その次作が、CASIOPEA『Cross Point』(写真左)。1981年10月のリリース。この盤は、ハーヴィー・メイソンを日本に呼んで、リズム・トラックのプロデュースを依頼した作品。前作『Eyes of The Mind』で得た「それまでと違うビート感」を日本のレコーディングでも出したい、というのが動機らしい。

で、リリース当時、聴いてみたら、ちょっと違うんですよね。リズム&ビートの部分の雰囲気が。なんか違う。当時、確か、そんな記事を「ADLIB」誌で読んで聴き比べましたね〜。具体的にどう違うんだ、と。そして、聴いたら明らかに音の乾き方というか、抜け方というか、『Eyes of The Mind』がドライで、『Cross Point』がウェットな雰囲気に感じるんですよね。面白いなあ、と単純に思いました。

そういう音のニュアンスの違いはあったんですが、『Cross Point』単体で聴けば、カシオペアとして、実にバランスの取れた演奏が印象的です。さを前面に押し出した「イケイケ」のカシオペアと腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズのカシオペアの割合が「3対7」くらい。
 

Cross_point

 
つまり、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くす「イケイケ」のカシオペアとくて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョンのカシオペアのミックス度合いが絶妙なんですね。野呂・向谷・神保・桜井の4人の演奏のバランスも絶妙で、バンドとしての音がガッチリと固定されたアルバムだと僕は感じています。

以前のブログ記事で「カシオペア者(カシオペア・ファン)に大歓迎された、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くされたアルバム『Make Up City』。そして、今回の『Eyes of The Mind』は『Make Up City』とは、全く対極にある音。この二極性がカシオペアの音作りの個性として定着していく。」と書きましたが、この『Eyes of The Mind』の音の完成形が『Cross Point』だと思います。

改めて聴き直してみても、良い音だしてますよね。日本を代表するフュージョン・バンドとしても全く異論の無い音が、このアルバムに充満しています。カシオペア者の皆さんからも評価の高いアルバムなのも頷けます。日本フュージョン・ジャズの代表的アルバムの一枚です。

 
 

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2016年7月22日 (金曜日)

森園勝敏「バッドアニマ」

プリズムのアルバムを聴いていて、このギタリストの名前を思い出した。プリズム初期のギタリスト「森園勝敏」。

長梅雨の季節には、爽やかで聴き心地の良いフュージョン・ジャズが良い。ゆったりと寛いで聴けるフュージョン・ジャズが良い。となれば、森園勝敏のソロ・アルバムの中で、打ってつけの一枚がある。森園勝敏『Badanima(バッドアニマ)』(写真左)。

四人囃子のギタリストとしても知られる森園勝敏の1978年リリースのソロ・アルバム。タイトルの「BADANIMA」は、人間を含むすべての生き物に共通する本能的な部分、あるいはそうした要素を意味する。このアルバムには、森園の「本能的な部分」いわゆる森園のギターの個性を構成する「本能的に基本となるギター」のインストがギッシリと詰まっている。

このアルバムでの森園のギターは、ロックのエレギの音では無い。既に、フュージョン・ジャズとしてのエレギの音を獲得している。しかも、ファンクネスは皆無。その音の響き、8ビートの刻みは、日本人ならではのもの。このアルバムには、日本人フュージョン・ジャズの好例がギッシリとてんこ盛りに詰まっている。
 

Badanima

 
アルバム全体の雰囲気は、ほどよく抑制された上質のフュージョン・ジャズ。日本人がここまで趣味の良い、内容のあるフュージョン・ジャズを創造することが出来るんや、とリリース当時、心底感心した。1978年のことである。

パーソネルには、相良宗男、村上秀一、秋元良一、小原礼、久米大作、伊藤弘毅、中村哲、森園勝敏といったクロスオーバーからフュージョンの強者ミュージシャンが名を連ねる。演奏内容はいきおい「高度かつ流麗」。歌心満載のフュージョン・ジャズ。

なかでも、メロウなフュージョン・ジャズ・ナンバー「You'll Stay In My Heart」が秀逸。逆に、森園のボーカルはちょっと「イマイチ」。それでも、このアルバムの内容は秀逸で、当時の日本のフュージョン・ジャズを代表する一枚に挙げて全く遜色の無い素晴らしい内容。

この森園勝敏、2012年4月の金子マリさんの京都磔磔の1週間ライブの最終日に脳塞栓で倒れたものの、奇跡的に復活。良かった。鬼籍に入るには未だ若い。もっともっと、心地良く爽やかなフュージョン・ジャズなエレギを聴かせて欲しい。

 
 

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