最近のトラックバック

2018年9月19日 (水曜日)

カシオペアの「最高の演奏」盤

Casiopea(カシオペア)は、日本発のフュージョン・バンド。1979年11月、セカンド盤の『Super FlightL』で出会って以来、ずっとリアルタイムで聴き続けている。爽快感溢れる、高テクニックで流麗なフレーズ、タイトでシャープなリズム&ビート。疾走感溢れる、カッ飛ぶバンド・サウンド。今でも大好きなフュージョン・ジャズ・バンドである。

Casiopea『Mint Jams』(写真)。1982年5月のリリース。カシオペアの7枚目のアルバム。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)。この盤はライブ盤である。が、聴けば判るが、観客のノイズ(拍手や掛け声)がほとんど無い。非常に人工的なライブ盤である。しかしながら、この作りで聴くカシオペア・サウンドがいかにも「カシオペアらしい」。

「ライブの迫力とスタジオ録音の緻密さが一緒になった盤」がコンセプトで、アルバム制作のマテリアルとして、築地会館における2日間の単独ライブ音源が使用され、入念なリミックスが施されている。スタジオで一部、トリートメント処理はなされているが、オーバー・ダビングは一切無いとのこと。そして、観客のノイズを「Domino Line」と「Swear」の一部を除きカット。
 

Mint_jams  

 
以上の様な経緯を経て、スタジオ録音の様な緻密さとライブ録音の様な演奏の迫力が両立した、素晴らしい内容のアルバムに仕上がっている。選曲もふるっていて、当時のベスト盤的な選曲で、特にライブ映えする楽曲がズラリと並んでいる。「Take Me」「Asayake」「Time Limit」「Domino Line」など、爽快感抜群。何から何まで「カシオペア・サウンド」である。

このライブ盤、音がとても良い。ライブ音源をベースにしているが、楽器の分離も良い。ギターの音は切れ味良く、キーボードの音は疾走感溢れ、ドラムの音はスピード感抜群。これだけ、楽器の音の分離が良い分、演奏全体のダイナミズムは半端ない。聴き始めたらあっと言う間の37分。収録された秀逸な楽曲と相まって、この盤、今でもお気に入りです。

アルバム・タイトルの『Mint Jams』、mint-condition (作りたての、真新しいの意) の「mint」と jam-session(ジャム・セッション)の「jam」を合わせた造語で「最高の演奏」を意味するとのこと。なるほど、この盤に詰まっている音を聴けば、その「最高の演奏」の意味するところが良く判る。カシオペアのベスト盤の位置づけとして、今でもお気に入り盤の一枚です。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年9月16日 (日曜日)

T-スクエア者として外せない盤

日本発のフュージョン・グループといえば、カシオペアとT-スクエア。この2つのバンドはリアルタイムでずっと聴き続けて来た。T-スクエアって、最初は「ザ・スクエア」って読んでいたんですよね。もともと、バンドメンバーが4人だから「ザ・スクエア」のノリで命名されたらしいのだが、1989年に「T-スクエア」に改名している。

それは米国でこのアルバムを発売するにあたって、米国では既に、同じ様な名前のバンド「SQUARES」があったため、米国で「T-SQUARE」と名乗り、そのバンド名をそのままに、日本でも活動するようになった。その年が1989年。そして、その改名のきっかけになったアルバムとは、T-SQUARE『TRUTH』(写真)である。日本では1987年4月のリリース。

この『TRUTH』というアルバム、T-スクエアといえば『TRUTH』と言われるくらい、T-スクエアを代表するアルバムである。T-スクエアのバンド・サウンドが成熟し、完成した時期の録音であり、そんなT-スクエアの良い部分がこのアルバムに充満している。当人たちが自らを「ポップ・インストゥメンタル・バンド」と呼んでいるが、まさにこの盤は「ポップ・インストゥメンタル・バンド」の面目躍如である。
 

Tsquare_truth

 
この盤のタイトル曲「TRUTH」、この曲のとても印象的なイントロを聴けば、一般の方々も「これは聴いたことがある」となるのではないか。そう、フジテレビ系の「F1グランプリ」のテーマ曲である。この曲は本当によく出来た曲で、T-スクエアのバンドの個性を凝縮したような名曲である。他の曲もその出来は大変良い。「TRUTH」ばかりがクローズアップされる盤ではあるが、他の曲も含めて、この盤の内容は濃い。

音作りの面でも大きな変化がある。それまでのデッドな録音が、リバーブ(残響)が深い録音に変わっている。いわゆる純日本風の録音から米国風の録音への変化。メリハリが思いっきり効いて、演奏自体の躍動感が飛躍的に向上したように感じる。デッドな録音が悪いと言っている訳では無い。この頃のT-スクエアのバンド・サウンドには、このリバーブ(残響)が深い録音の方がより適している、と感じるのだ。

この盤は、ザ・スクェアとしてリリースされたアルバムの12枚目。この盤で、T-スクエアのバンド・サウンドが成熟し完成した。そして、バンド名を「T-スクエア」と改名。T-スクエアにとって、この盤はバンドとして「記念碑」的な盤であり、マイルストーン的な盤である。ということで、T-スクエアを愛でる上で、T-スクエア者(T-スクエアのファン)として、この『TRUTH』は絶対に避けられない盤なのだ。
 
 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年9月12日 (水曜日)

カシオペアの高いポテンシャル

日本発のフュージョン・バンド、カシオペア(CASIOPEA)。カシオペアは、僕がジャズを聴き始めた頃、1979年にデビュー盤をリリース。それを聴いて一発で好きになって、リアルタイムでずっと聴き続けて来た。昨年辺りから、またまたカシオペアが聴きたくなって、順番にオリジナル盤を聴き直している。今は1980年代に入って1982年である。

CASIOPEA『4×4 FOUR BY FOUR』(写真)。1982年10月12日の録音。アルファ・レコード時代のカシオペア作品集の第2弾。カシオペアが、来日公演を行う直前だったリー・リトナーのグループと共演した、珍しい内容のアルバムである。カシオペアのメンバー4人とリトナー・グループのメンバー4人でのセッションだったので「4×4」というアルバム・タイトルになった。

ちなみにカシオペアのメンバーは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b, per), 神保彰 (ds)、リトナー・グループのメンバーは、 Lee Ritenour (g), Don Grusin (key), Nathan East (b), Harvey Mason (ds)。いやはや、リトナー・グループのメンバーは凄腕揃い。セッションするに相手に不足は無い、どころか、相手が凄すぎるのではないか、という不安がよぎるくらいの凄腕揃い。
 

Casiopea_44  

 
冒頭の「Mid-Manhattan」は聴けば、思わず「おおっ」と思う。凄腕揃いのリトナー・グループを向こうに回して、カシオペアのメンバーは全くひけを取らない演奏を繰り広げている。1982年当時、僕はこのアルバムを聴いて、この日本発のフュージョン・バンドは政界的に十分に通用するレベルなんだ、と確信した。それにしても「Mid-Manhattan」って良い曲ですよね。

2曲目の「亡き王女のためのパヴァーヌ」(Pavane -Pour Une Infante Dẻfunte-)が素晴らしい。2つの優秀なフュージョン・バンドを一体となって融合した演奏は官能的でかつ、実に印象的。リトナーと野呂の泣きのギターの共演は今の耳で聴いても惚れ惚れする。そうそう、メイソンと神保のダブル・ドラムを素晴らしい。弾け飛ぶようなビートはまさに爽快。

このレコーディング・セッションは「リハーサル無し、僅か9時間で演奏を終了」と当時、雑誌で読んだかと思う。当時、リハーサル無しにはビックリした。リハーサル無しでこれだけのクオリティーの演奏を叩き出せるとは、カシオペアというバンドの高いポテンシャルを再認識したアルバムであった。もう迷うことは無い、カシオペアについては解散するまでついていこう、この盤を聴いて、そう思った。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年9月 3日 (月曜日)

山下洋輔『30光年の浮遊』です

山下洋輔はジャズを聴き始めた頃から聴いている。全くのジャズ初心者なので、ハードバップの名盤を大人しく聴き進めて行けば良いものを、やっぱりハードなフリー・ジャズこそが「真のジャズ」なのではないか、などという大いなる曲解をして、フリー・ジャズを聴こうとする。そういう時は「やはりまずは日本人のフリー・ジャズを」などという変な解釈をして、山下洋輔に出会った。

そんな山下洋輔、当時、完璧なフリー・ジャズの最右翼であったが、何故かジャズ者初心者の僕には聴き易かった。何故かは判らない。『寿限無』『キアズマ』『ミナのセカンド・テーマ』『木喰』など、彼のアルバムを密かに聴いていた。そう、当時、フリー・ジャズを聴いているなんて他人に言えない。変人扱いされて終わりである(笑)。

山下のタッチは明快。弾き回しのテクニックは秀逸。フリーな展開になっても、アドリブ・フレーズの底にはしっかりとしたビートが流れ、その演奏が破綻することは「まれ」。破綻するときは、ご本人の体調が悪い時だけでしょう(笑)。体調良く、真剣に弾き倒す時の山下洋輔は「無敵」である。そういう山下洋輔を長きに渡って聴き続けて来た。
 

_30  

 
そして、今年の新盤である。山下洋輔『30光年の浮遊』(写真左)。山下洋輔ニューヨーク・トリオ結成30周年記念アルバム。ちなみにパーソネルは、Yosuke Yamashita (p), Cecil McBee (b), Pheeroan akLaff (ds)。「ドバラダ2018」「チャタリング」「ワン・フォー・T」といった山下のセルフ・カヴァーも含まれる。どんな音が出てくるか。

聴き始めて、あれっ、と思う。カッ飛ぶようなフリー・ジャズでは無い。メインストリームな純ジャズである。モーダルで自由で、現代の新しい響きのする純ジャズ。統制が取れ、抑制も効いている。決して走らない、じっくりと、現代の「王道を行く純ジャズ」がどんどん湧き出てくる。うお〜、山下洋輔がいよいよメインストーム・ジャズに手を染め出した。そう感じた。

山下洋輔も、1942年生まれなので、今年で76歳になる。76歳にもなって、カッ飛ぶようなフリー・ジャズも無い様な気がする。この『30光年の浮遊』には、山下洋輔ニューヨーク・トリオの抑制の効いた、それでいて枯れていない、クールな躍動感のある純ジャズがぎっしり詰まっている。そして、ラストの「早春賦」で心がホンワカ穏やかになる。この曲がジャズになるなんて思わなかった。まさに柔軟性溢れる山下洋輔ニューヨーク・トリオである。まだまだ隅に置けない存在である。

 
 

東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年5月 5日 (土曜日)

名付けて「ネイチャー・ジャズ」

お久しぶりです。昨日、松和のマスター、南半球はオセアニア、ニュージーランドから帰還しました。17年振りのオセアニア訪問。北島、南島共に豊かな自然の風景が見事。特に南島。氷河が創り出した圏谷、峡湾。このカール、フィヨルドについては日本ではほとんど見られない景観。あってもスケールが桁違い。圧倒的な自然の景観に心の底から癒されました。

さて、ジャズの話。「自然」つながり。1970年代に発生した「ニュー・ジャズ」の範疇の中で、スイング感や4ビート感を強調しない、印象的なフレーズやリズムをメインに、自然の景観や雰囲気を想起させるパフォーマンスが存在します。僕はこういうジャズを勝手に「ネイチャー・ジャズ」と呼んで、ジャズを聴き初めて40年。意外と好んで聴いています。

癒されるんですよね〜。例えば、1970年代〜80年代のパット・メセニー・グループ(PMG)、オレゴンなどが代表的な存在としてあげられます。ニュージーランドで圧倒的な自然の景観に心の底から癒されたこともあり、ちょっとばかし、この「ネイチャー・ジャズ」の好盤を挙げてみたいと思います。
 

Spiritual_nature

 
まずは、我が国のジャズから。我が国のジャズが誇る精鋭ジャズマンが一堂に会して創作した「ネイチャー・ジャズ」の好盤がこれ。富樫雅彦『Spiritual Nature』(写真左)。1975年4月の録音。ちなみにパーソネルは、富樫雅彦 (per,celesta), 渡辺貞夫 (fl,ss,as), 鈴木重雄 (fl,ss), 中川昌三 (fl,bfl), 佐藤允彦 (p,marimba,Glockenspiel), 翠川敬基 (b, cello), 池田芳夫 (b), 中山正治 (per), 豊住芳三郎 (per), 田中昇 (per)。

日本の前衛ジャズ界の先駆者的存在であるジャズ・パーカッション奏者、富樫雅彦のスピリチュアル・ジャズの好盤。アルバム・ジャケットのイメージがそのままの自由度の高い、限りなくフリーなジャズ。当時の日本ジャズの精鋭、現在でのレジェンドの面々が、それぞれの力量を遺憾なく発揮したスピリチュアル・ジャズ。耳に馴染まない、楽器の嘶きやエモーショナルな表現とは全く無縁な「ネイチャー・ジャズ」の世界。

ジャズ評論的には「日本のフリージャズとしては歴史に残るアルバム」だが、音の雰囲気は、オレゴンの音世界に比肩する「ネイチャー・ジャズ」。特にリーダーの富樫雅彦のパーカッションの表現の豊かさは特筆に値する。全体を覆うサウンドの「湿潤」な印象、森林から発生する朝霧のような肌触りの音。日常の音や自然の音を散りばめた様な演奏で日本の風景を見せてくれる様な、侘び寂びのあるパフォーマンスに心から癒される。

 
 

東日本大震災から7年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年4月26日 (木曜日)

新スタンダードへのチャレンジ

ジャズには「スタンダード曲」というのがあって、1930年代や1940年代のミュージカルをメインに、ジャズにアレンジし易い曲をチョイスして、様々なジャズメンがこれを演奏するに至って、スタンダード曲となっている。1950年代は、ミュージシャンズチューン、いわゆる、ジャズメンの作曲した曲が他の多くのジャズメンにも演奏されて、スタンダード曲となっている。

で、この「スタンダード曲」が1950年代から演奏され続けていて、これがまあ、今でも演奏されているのだから凄い。ジャズの場合、演奏の素材になる原曲は何でも良いと言えば何でも良いので、50〜60年の長きの間、演奏され続けるというもの判らない訳では無い。でも、いつもいつも同じ曲ばかりがあちらこちらで演奏されると、ちょっと食傷気味になる。

1960年代後半から1970年代にかけて、ロック&ポップスの世界で、良い旋律を持って、ジャズに合いそうな曲は沢山ある感じなので、この年代の曲で、もっとスタンダード化される曲があってもよいのだが、これがなかなか無い。これが不思議で、ジャズメンって、意外にチャレンジ精神に欠けるのでは、と密かに思ったりもする。
 

Timeless__keiko_lee  

 
KEIKO LEE『TIMELESS - 20th Century Japanese Popular Songs Collection -』。昨年10月のリリース。キャッチフレーズが「日本のジャズ歌姫ケイコ・リーが、20世紀のエヴァーグリーンなJポップの数々を上質なジャズで歌いあげる。日本ジャズのネオ・スタンダードへのチャレンジ」。おお、ネオ・スタンダードへのチャレンジか。僕はこのフレーズにからしき弱い。

収録曲を見渡して、思わずほくそ笑む。いやいや〜渋い渋い。1947年の「胸の振り子」から1991年の「ラブ・ストーリーは突然に」まで、日本の歌謡曲&ポップスの名曲をジャズ・ボーカル曲として、ケイコ・リーが唄い上げている。そう、ケイコ・リーって、以前からチャレンジ精神が旺盛で、そう言えば、クイーンの「ウィ・ウイル・ロック・ユー」をむっちゃ格好良くカバッてたっけ。

アレンジが良い。選曲された日本の歌謡曲&ポップスがしっかりと「ジャズ化」している。唄い上げるケイコ・リーのボーカルの素晴らしさは言うまでも無い。個人的には、懐かしの「我が良き友よ」が気に入っている。とってもジャジーでクール。こういうチャレンジってウェルカム。他のジャズメンも、もっともっとやって欲しい。意外と新しいジャズが現れ出でるかもしれない。

 
 

東日本大震災から7年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年3月28日 (水曜日)

山崎千裕のソロ・セカンド盤

ここ2〜3年の、最近の日本のジャズを聴いている。ジャズって、マイナーな音楽ジャンルだと思っているので、毎月毎月、日本のジャズの世界で、新人が出てくるのにはちょっと当惑する。その新人ジャズメンが食べていけるだけの需要が、今の日本にあるのか、と思わず心配になる。CDの売上やライブの売上、そんなにあるのかなあ。

加えて、このマイナーな音楽ジャンルで、かつ、ほとんどが男性で占められるマニアな音楽ジャンルなのに、数年に一人は「かわい子ちゃん」なミュージシャンがデビューする。これがとっても不思議で、男性で占められるマニアな世界だから、アイドルっぽい女性ジャズ・ミュージシャンはウケる、とレコード会社は考えているのだろうか。

山崎千裕『Sweet thing』(写真左)。2017年の作品になる。アルバム・ジャケットを見てみるとお判りの様に、ピンク地の背景をバックに、これは完全にアイドル路線まっしぐら、である(笑)。これは硬派なジャズ者に方々、特に年配の方々がCDショップで直接購入するにはハードルが高い。僕もそうで、ダウンロードサイトがあって良かったなあ、とつくづく思ったものである(笑)。
 

Sweet_thing  

 
この盤は、山崎千裕のソロセカンドアルバムになる。山崎千裕はトランペッター。東京芸大卒。2010年、自身のバンド山崎千裕+ROUTE14bandを立ち上げ、本格デビュー。女性トランペッターではあるが、音はしっかりしている。当然、音の大きさについては割り引いても、無理をしない演奏テクニックとふらつきの無いブロウは聴き易く、好感が持てる。ん〜、なかなかやるやん、って感じかな。

スタンダード曲を持って来て、従来のモードやコードの純ジャズをやって、ハードバップって良いですね、なんて演奏をせず、自作曲を中心に、演奏全体のアレンジも、ありきたりのハードバップ基調ではない、どちらかといえば、パット・メセニーなどの、ファンクネス皆無のフォーキーでネーチャーな、米国ルーツ・ミュージック的な雰囲気。これが今までにありそうで無い、なかなかユニークなもの。

演奏全体のアレンジと雰囲気が今までに無い、個性豊かなもので、それが故に、インストものが実に聴きやすく印象的に響く。爽快感と暖かみのある音作りは聴き心地が良く、意外と飽きずに全編を聴き通してしまう。春のジャズ喫茶の昼下がりにさりげなく流す、なんてシチュエーションが思い浮かぶ様な、ながら聴きに好適な盤である。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年3月27日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・31

最近の日本ジャズのトレンドのひとつが「クラブ・ジャズ」。いわゆる「クールに踊れるジャズ」、クールに踊れることを前提に創作されたジャズである。ネットで上げられていた「クラブ・ジャズ」の解釈が秀逸なので、ここで引用させていただくと、踊らせること、クラブでDJによってプレイされることを目的として作られた「ダンスミュージック」とある。とても判り易い解釈だ。

H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』(写真左)。今年の3月のリリース。リリースしたてのホヤホヤ、H ZETTORIOの通算4枚目のオリジナル・アルバムである。H ZETTRIO=エイチゼットリオ、と読む。純日本のジャズ・ピアノ・トリオ。メンバー3名は、鼻を青・赤・銀に着色。ちなみにパーソネルは、H ZETT M (p), H ZETT NIRE (b), H ZETT KOU (ds)。リアルな姓名は伏せられている。

H ZETTRIOは「大人も子どもも“笑って踊れる”」をテーマに掲げるピアノトリオ・バンドである。この最新盤でもそのポリシーが踏襲されている。とにかくトリオのメンバーそれぞれのテクニックが秀逸。「笑って踊れる」部分をファンキーなリズム&ビートに頼ったりはしない。H ZETTRIOの演奏は「笑って踊れる」をテーマにしながら、ファンクネスは全く皆無。疾走感溢れる、パルシヴなオフビートがダンサフルを引き出す。
 

Mysterious_superheroe  

 
演奏の雰囲気はポップでジャジー。ダンサフルで明朗なサウンド・トーン。シンプルで判り易い。リズム&ビートも判り易いし、メロディー・ラインも判り易い。判り易いということは「ノリ易い」。さらに、メロディー・ラインはポジティヴ。ポジティヴだからこそ「笑って踊れる」。とても良く練られた演奏コンセプトである。

アルバムに収録されている楽曲は、それぞれ、ちょっと「ミステリアス」な雰囲気が加味されていることが、この盤の「ミソ」。一曲一曲、対峙して聴き込むのでは無く、そのシンプルでノリの良い、ハイテクニックでポジティヴな演奏は「ながら聴き」に最適。「大人も子どもも“笑って踊れる”」演奏は「ながら聴き」にも向く。

先週の週末から、いきなり暖かくなった。すっかり春である。春の暖かな晴れた午後。ゆったりホッコリのんびり。こういう時間は聴き流しのジャズが良い。あまり、ガッチガチに相対する様な、聴き込む様なジャズは疲れる。ゆったりと気持ちを休ませるには「聴き流し」のジャズが良い。今の僕にとっては、H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』は、ゆったり「聴き流しのジャズ」。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年3月26日 (月曜日)

日本人による「ジャズで踊る盤」

元来、1960年代から、日本のジャズはなかなかの線を行っている。穐吉敏子や渡辺貞夫らがいち早く、バークリー音楽院に留学し、ジャズ演奏のノウハウを日本に持ち帰ったことが一番大きい理由だが、その頃、日本では戦後、あこがれの米国の環境に追いつくべく、クラシック中心に楽器演奏についての環境が急速に整いつつあったこともある。

今でも、ジャズの演奏については、日本の水準は西洋諸国と比肩するレベルを維持しており、毎月、なかなかの内容のジャズ盤がコンスタントにリリースされている。逆に、こんなに多くのジャズ盤がリリースされていて、はたして今の日本にそれだけの需要はあるのかしらん、と不安になるくらいである。

松浦俊夫グループ『LOVEPLAYDANCE』(写真左)。2018年3月のリリース。発売ホヤホヤのアルバムである。世界規模での活躍を続けるDJ松浦俊夫(写真右)、初の自己名義作品。 宣伝の触れ込みは「自身のDJキャリアにおけるマイルストーン的ナンバーをカバーしたアルバム」。ん〜? 松浦俊夫の役割と言えば、そうか、コンダクター、もしくはプロデューサーなのか、なるほど。
 

Love_play_dance  

 
立ち上がりから暫くは「エレ・マイルス」の様な音が続く。これが良い。エレ・マイルスというと、ノスタルジックな雰囲気が漂うのだが、この盤での演奏はそうはならない。しっかりと今の音を紡いでいる。とにかくリズム&ビートの響きが新しい。音の展開も決して1970年代では無い。明確に「ジャズでクールに踊る」という音作り。クラブ・ジャズの真骨頂である。

5曲目「KITTY BEY」の様に、サイケデリックの様なアブストラクトな展開がユニークなエレ・ジャズもある。8曲目の「AT LES」の様に、ユーロリズミックなエレ・ジャズもある。いづれも「ジャズでクールに踊る」ということを前提とした演奏で、さすが、DJ松浦俊夫のコンダクト&プロデュースである。

今回の楽曲はすべてロンドン録音で、英国のミュージシャンを起用している。録音された音の響きや楽器の音が米国でもなければ欧州でも無い。不思議な音やなあ、と思っていたが、なるほど英国のミュージシャンでロンドン録音なのね。妙に納得しました。スウィンギン・ロンドンの聖地で、明確に「ジャズでクールに踊る」という盤をコンダクト&プロデュース。これが日本人の手によるジャズ盤なのか、と思い切り感心した次第。日本のジャズのレベルは明らかに高い。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年1月24日 (水曜日)

井上銘の「リーダー作第3弾」

雑誌「ジャズライフ」のディスク・グランプリ、「ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を細かにチェックしていて、久し振りにこのギタリストのリーダー作を雑誌で見た。井上 銘(May Inoue)である。彼のデビュー盤の『First Train』を聴いて、これは将来、楽しみなギタリストやなあ、という印象を持ったのが、2011年のこと。

それから、2013年に、セカンド盤の『Waiting For Sunrise』をリリース。それから、昨年の2017年まで、リーダー作が途絶えている。6年間で2枚のリーダー作はあまりに少なすぎる。でも、Twitterを見ている限り、元気にプレイしているみたいで、なかなかリーダー作をリリースする機会に恵まれないだけか、とちょっと安心はしていた。

で、「ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」で、昨年、3枚目のリーダー作をリリースしていたことに気がついた。ほんま、知らんかった。その3枚目のリーダー盤とは、井上 銘『STEREO CHAMP』(写真左)。ちなみにパーソネルは、井上 銘 (g), 類家 心平 (tp), 渡辺 ショータ(key,p),  山本 連 (b), 福森 康 (ds)。
 

Stereo_champ_1

 
内容的には、ずばり「エレ・マイルス」。類家のトランペットが、ちょっとマイルスのトランペットに似ていて、バックのリズム&ビートが「エレ・マイルス」を想起させる。曲によっては、明らかに「ウェザー・リポート」を想起させる。エレギが活躍する「エレ・マイルス」もしくは「ウェザー・リポート」。いわゆる「エレクトリック・ジャズ」好きには「ツボ」な内容である。

しかし、このリーダー盤で、リーダーの井上はエレギを弾きまくる訳では無い。どちらかと言えば、バッキングに回って、フロントの類家のトランペットの惹き立て役に回っている感じなのだ。確かに、類家のトランペットが目立っている。というか目立ちすぎの様な感じがする。エレギとトランペット、フロントを分け合うには、音の線が細い分、エレギはちょっと分が悪い。

とは言え、井上のエレギは随所に光るものがある。このリーダー盤では、ギタリストというよりは、演奏全体を組み立て展開する、いわゆる「プロデューサー」的な、総合的なジャズメンとしての魅力の方が前面に出ている。エレギ+キーボード・トリオの組合せでやって欲しいなあ。井上のエレギは「ウェザー・リポート」的雰囲気の演奏が合っている様な感じがする。

 
 

東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

AOR | CTIレーベル | ECMレーベル | jazz | Miles Reimaginedな好盤 | Pops | R&B | rock | SteepleChaseレーベル | T-スクエア | The Great Jazz Trio | Yellow Magic Orchestra | こんなアルバムあったんや | ながら聴きのジャズも良い | アキコ・グレース | アダムス=ピューレン4 | アブドゥーラ・イブラヒム | アラウンド・マイルス | アル・ディ・メオラ | アンドリュー・ヒル | アート・ブレイキー | アート・ペッパー | イエス | イスラエル・ジャズ | イタリアン・ジャズ | イタリアン・プログレ | インパルス!レコード | イーグルス | ウィントン・ケリー | ウィントン・マルサリス | ウェイン・ショーター | ウェザー・リポート | ウェス・モンゴメリー | ウエストコースト・ジャズ | エリック・クラプトン | エリック・ドルフィー | エルトン・ジョン | エンリコ・ピエラヌンツィ | オスカー・ピーターソン | オーネット・コールマン | カシオペア | カーラ・ブレイ | キャノンボール&ナット・アダレイ | キャンディド・レーベル | キング・クリムゾン | キース・ジャレット | ギル・エバンス | クインシー・ジョーンズ | クイーン | クリスマスにピッタリの盤 | クロスオーバー・ジャズ | グラント・グリーン | グレイトフル・デッド | グローバー・ワシントンJr | ゲイリー・バートン | コンテンポラリーな純ジャズ | サイケデリック・ジャズ | サザンロック | サンタナ | ザ・クルセイダーズ | ザ・バンド | ジャケ買い「海外女性編」 | ジェフ・ベック | ジミ・ヘンドリックス | ジャキー・マクリーン | ジャコ・パストリアス | ジャズ | ジャズの合間の耳休め | ジャズロック | ジャズ・アルト | ジャズ・オルガン | ジャズ・ギター | ジャズ・テナー | ジャズ・トランペット | ジャズ・トロンボーン | ジャズ・ドラム | ジャズ・ピアノ | ジャズ・フルート | ジャズ・ボーカル | ジャズ・レジェンド | ジャズ・ヴァイオリン | ジャズ喫茶で流したい | ジョニ・ミッチェル | ジョン・コルトレーン | ジョン・スコフィールド | ジョン・レノン | ジョージ・ハリソン | ジョー・ヘンダーソン | スタン・ゲッツ | スティング | スティング+ポリス | スティービー・ワンダー | スピリチュアル・ジャズ | セロニアス・モンク | ソウル・ミュージック | ソニー・クラーク | ソニー・ロリンズ | ソロ・ピアノ | タンジェリン・ドリーム | チック・コリア | チャールズ・ミンガス | チューリップ | テテ・モントリュー | デイブ・ブルーベック | デイヴィッド・サンボーン | デクスター・ゴードン | デュオ盤 | デューク・ジョーダン | デヴィッド・ボウイ | トミー・フラナガン | トランペットの隠れ名盤 | ドゥービー・ブラザース | ドナルド・バード | ハンプトン・ホーズ | ハービー・ハンコック | バリトン・サックス | パット・メセニー | ビッグバンド・ジャズは楽し | ビル・エバンス | ビートルズ | ビートルズのカヴァー集 | ピアノ・トリオの代表的名盤 | ファンキー・ジャズ | フィニアス・ニューボーンJr | フィル・ウッズ | フェンダー・ローズを愛でる | フュージョン・ジャズの優秀盤 | フリー | フリー・ジャズ | フレディー・ハバード | ブッカー・リトル | ブラッド・メルドー | ブランフォード・マルサリス | ブルース・スプリングスティーン | ブルーノート | ブレッカー・ブラザース | プレスティッジ・レーベル | プログレッシブ・ロックの名盤 | ベーシストのリーダー作 | ホレス・シルバー | ホレス・パーラン | ボサノバ・ジャズ | ボビー・ハッチャーソン | ボブ・ジェームス | ポップス | ポール・サイモン | ポール・マッカートニー | マイケル・ブレッカー | マイルス・デイヴィス | マッコイ・タイナー | マル・ウォルドロン | マンハッタン・ジャズ・クインテット | マンハッタン・トランスファー | ミシェル・ペトルチアーニ | ミルト・ジャクソン | モダン・ジャズ・カルテット | ヤン・ハマー | ラテン・ジャズ | ラリー・カールトン | リトル・フィート | リバーサイド・レーベル | リンダ・ロンシュタット | リー・モーガン | リー・リトナー | レイ・ブライアント | レジェンドなロック盤 | レッド・ガーランド | レッド・ツェッペリン | ロック | ロッド・スチュワート | ローランド・カーク | ヴィーナス・レコード | 上原ひろみ | 北欧ジャズ | 吉田拓郎 | 和ジャズの優れもの | 四人囃子 | 夜の静寂にクールなジャズ | 天文 | 天文関連のジャズ盤ジャケ | 太田裕美 | 寺井尚子 | 尾崎亜美 | 山下達郎 | 山中千尋 | 旅行・地域 | 日本のロック | 日本男子もここまで弾く | 日記・コラム・つぶやき | 映画・テレビ | 書籍・雑誌 | 欧州ジャズ | 歌謡ロック | 渡辺貞夫 | 渡辺香津美 | 米国ルーツ・ロック | 荒井由実・松任谷由実 | 西海岸ロックの優れもの | 趣味 | 青春のかけら達・アーカイブ | 音楽 | 音楽喫茶『松和』の昼下がり | 高中正義 | 70年代のロック | 70年代のJポップ

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ