2023年9月27日 (水曜日)

「CASIOPEA-P4」の2nd.盤

日本のフュージョン・ジャズ(和フュージョン・ジャズ)の名盤・好盤を聴き直していると、必ず、ぶち当たるフュージョン・ジャズのグループが2つある。ひとつは、1977年結成の「CACIOPEA(カシオペア)」、もうひとつは、1976年結成の「T-SQUARE(ティー・スクエア)」。和フュージョン・ジャズの老舗中の2つの老舗バンド。

その老舗バンドのひとつ、カシオペアは、バリバリ硬派な、思いっ切りハイ・テクニックな、疾走感と切れ味抜群のフュージョン・バンドだった。デビューは1977年。幾度かのメンバー変遷と2006年から2011年までの活動休止期間を経て、第1期〜第2期「CACIOPEA」、第3期「CASIOPEA 3rd」、第4期「CASIOPEA-P4」とバンド名をマイナーチェンジしながら、現在も活動中。

CASIOPEA-P4『New Beginning(Live at EX THEATER ROPPONGI Dec.11.2022)』(写真左)。2022年12月11日、EX THEATER ROPPONGIでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 大高清美 (key), 鳴瀬喜博 (b), 今井義頼(ds)。CASIOPEA-P4名義の2枚目のアルバムになる。

もともと、カシオペアは、フロント楽器がギターで、バックにリズム・セクションという編成で、長らくギター・サウンドが前面に押し出された「ギター・バンド」志向なフュージョン・ミュージックが身上だった。
 

Casiopeap4_new-beginning

 
が、CASIOPEA-P4になって、野呂のギターはそのままだが、大高のキーボードがフロントの一定の割合をコンスタントに担う様なサウンド構成に変化している。今回のこのライヴ盤は、そんなギター+キーボードが双頭フロントのバリバリ硬派な、思いっ切りハイ・テクニックな、疾走感と切れ味抜群のフュージョン・バンドのパフォーマンスが、CD2枚組の中にギッシリ詰まっている。

CASIOPEA-P4名義の初アルバム『NEW TOPICS』では、キーボードがかなり前面に出ていた印象があるが、このライヴ盤では、イーブン・イーブンの割合になっていて、バランスが取れている印象。

1970年代のプログレッシブ・ロック、もしくは、キーボードがメインのジャズ・ロックの様な音志向に変化はしたが、このライヴ盤を聴く限り、デビュー当時のバンドのキャッチ・フレーズである「スリル・スピード・スーパーテクニック」はしっかり踏襲されている。

逆に、キーボードが前面に出たことによって、アダルト・オリエンテッドな雰囲気が濃厚になって、大人のフュージョン・ジャズという雰囲気がとても魅力的。まだまだ、我が国における、最高峰のエレ・ジャズ・バンドの位置をキープしている。僕はこのCASIOPEA-P4の音を好ましく聴いた。
 
 

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2023年9月26日 (火曜日)

T-SQUARE45周年記念アルバム

最近、日本のフュージョン・ジャズ(和フュージョン・ジャズ)の名盤・好盤を聴き直しているのだが、意外と内容充実の盤が多い。演奏テクニックは申し分無く、歌心もあり、オリジナルの楽曲もメロディーラインの魅力的な佳曲ばかりで、十分、世界と渡り合えるレベルのアルバムを量産していたことを再認識している。

そんな和フュージョンの名盤・好盤を聴き直していくと、必ず、ぶち当たるフュージョン・ジャズのグループが2つある。ひとつは、1977年結成の「CACIOPEA(カシオペア)」、もうひとつは、1976年結成の「T-SQUARE(ティー・スクエア)」。和フュージョン・ジャズの老舗中の2つの老舗バンド。フュージョン・バンド・ブームの中、この2つのグループで人気を二分して大いに盛り上がっていた。

T-SQUARE『Vento De Felicidade 〜しあわせの風〜』(写真左)。2023年5月31日のリリース。T-SQUARE45周年記念アルバム。現メンバーの伊東たけしと坂東慧に加え、歴代のメンバーの中から、安藤正容、河野啓三、仙波清彦、久米大作、田中豊雪、長谷部徹、則竹裕之、須藤満、本田雅人、松本圭司、宮崎隆睦、サポート・メンバーの田中晋吾、白井アキト、外園一馬、山崎千裕が顔を揃えている。加えて、ゲストとして、渡辺香津美と鳥山雄司、TOKUが参加。
 

Tsquarevento-de-felicidade

 
『WISH』では、確実にスムース・ジャズ化したT-SQUARE。アルバムの出来はそつなく優秀、よく聴けば、T-SQUAREらしさは押さえられている。しかし、今回の「スムース・ジャズ志向」の耳当たりの良いサウンドは、恐らく「賛否両論」だろう、と感じた。ポップス度、ロック志向が強かったサウンドが、一気にスムース・ジャズ化したのだから無理は無い。

以前は「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」とは言っても、ジャズ度はほどよく漂い、演奏のフレーズには、どこかジャズ・ライクな捻りや「引っ掛かり」があったりして、ポップでロックな雰囲気はあるが、基本的にはフュージョン・ジャズの音志向を貫いていたと思う。と思っていたら、この最新盤では、そんな従来からのT-SQUAREサウンドが戻って来ている。

爽快感に溢れた、落ち着いた雰囲気の、大人の「ポップでロックなフュージョン・ジャズ」、大人のT-SQUAREサウンドが、実に心地良く響いてくる。従来からのT-SQUAREサウンドが戻って来て、安心して聴ける、T-SQUARE45周年記念アルバム。もう結成から45年経ったなんて思えない、フレッシュで若々しい明るいサウンドが、とても気持ち良い。気分爽快な和フュージョン・ジャズ盤である。
 
 

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2023年9月25日 (月曜日)

日本人によるディキシーランド

我が国のジャズ・ピアノの雄、小曽根 真(おぞね まこと)。1984年に初リーダー作『OZONE』で、メジャー・デビューして以来、はや39年。小曽根は1961年生まれなので、今年で62歳になる。もうベテランの域。つい最近デビューして、活躍してんな〜、なんて思いつつ、リーダー作は目についたら、まめに聴いていたのだが、もう62歳になるんやね〜。

小曽根 真『Park Street Kids』(写真左)。2022年の作品。渋谷 BODY & SOULでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、小曽根 真 (p), 中川 喜弘 (tp, vo), 中川 英二郎 (tb, vo), 中村 健吾 (b), 高橋 信之介 (ds) のクインテット編成に、スペシャル・ゲストとして、北村 英治 (cl) が参加している。

冒頭「MississippiRag」から、ディキシーランド・ジャズ志向の演奏全開。ジャケを見て、北村英治のクラリネットがフィーチャリングされているので、スイング・ジャズかと思って身構えて聴き始めたら、ディキシーランド・ジャズがボワッと出てきたので、思わず仰け反る(笑)。現代の硬派なメインストリーム志向の純ジャズのテイストで、ディキシーランド・ジャズをやる。ウィントン・マルサリスが聴いたら、怒ってくるかも(笑)。
 

Park-street-kids

 
端正で切れ味良く、重心が低くファンクネス控えめの「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズが展開されていて、聴き応えは抜群に良い。ストライドやブギウギのフレーズも織り交ぜながら、骨太で硬質タッチで流麗な小曽根のピアノが良い味を出している。単純に聴いていて、とても楽しいオールド・スタイルのピアノ。ラグタイムも良い味を出している。小曽根のピアノ・テクニック恐るべしである。

そんな「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズの中に、北村英治の小粋で流麗、真摯で明るいクラリネットが飛翔する。北村英治って、1929年(昭和4年)生まれなので、今年で94歳。この盤での北村のクラリネットの力感と流麗な運指を聴いていると、とても93歳(録音当時)とは思えない。まだまだ現役、まだまだ第一線のクラリネットが、実に良い雰囲気で鳴り響く。

今のジャズ、今の音で表現した「日本人の、日本人による、日本人のための」ディキシーランド・ジャズ。聴いていて、なんだかリラックス出来て、何となく幸せな気分に浸りながら、ゆったりとディキシーランド・ジャズに身を委ねことが出来る。テンションの高い純ジャズとは正反対の音作り。でも、これはこれで良い雰囲気。これはこれで「良いジャズ」である。
 
 

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2023年9月 5日 (火曜日)

浅利史花の初リーダー作です

我が国のジャズ・シーンについては、まだまだ有望な若手ミュージシャンがデビューしてくるので、毎月の新盤のチェックは欠かせない。

今年の4月26日に、浅利史花のセカンド盤『Thanks For Emily』(左をクリック)について語った訳だが、それでは彼女のデビュー盤はどうなんだろう、とアルバムを遡ってみた。

Fumika Asari(浅利史花)『Introducin'』(写真左)。2020年の作品。ちなみにパーソネルは、オール・ジャパンなメンバーで、浅利史花 (g), 中牟礼貞則 (g), 江澤茜 (as), 駒野逸美 (tb), 北島佳乃子, 石田衛 (p), 小杉敏, 三嶋大輝 (b), 木村紘, 柳沼佑育 (ds)。

ベースとドラムは2人ずつ、曲毎に使い分けているが、演奏の基本は、浅利のギターがフロントに、バックにベースとドラムが付くトリオ編成。曲によりピアノが客演(4曲かな)。アルト・サックス、トロンボーンは2曲のみの客演。中牟礼貞則のギターは、3曲目「Black Orpheus」のみの客演。客演の楽器も浅利のギターより目立つことは無く、しっかりとサポートに回っている。

セカンド盤を聴いて感心下「スインギーでジャジー、テクニックも優秀な、正統派ジャズ・ギター」は、このデビュー盤でもしっかり個性を発揮している。テクニックも優秀だが、そのインプロビゼーションは堅実そのもの。速弾きやオクターブ奏法など、決して無理はしない。
 

Fumika-asariintroducin

 
伝統的なジャズ・ギターを着実に堅実に弾き回しているところは実に初々しい。しかも、歌心も備えているのだから隅に置けない。この浅利の個性と弾きっぷりは、デビュー盤として大いに評価して良いだろう。

初々しいからといって、稚拙なところは微塵も無い。堅実に弾き回している故、破綻は無い。安全運転と言えば安全運転で、スリリングな面に欠ける、といった辛口の評価もあろうかと思うが、僕は、この堅実な安全運転な弾き回しは好ましいと感じている。何故なら、堅実でミッドテンポがメインなのだが、特にアドリブ部で露わになるスイング感が、堅実で安全な弾き回しが故に、しっかりと前面に出ている。これはプロデュースの賜物だろう。

加えて、ギターの音が抜群に良い。ギター自体が、恐らく、相当質の良いヴィンテージものだと思われる。そして、録音が良い。浅利の弾きっぷりによるギターの響きや胴鳴りがダイレクトにスピーカーを通じて伝わってきて、聴いていてとても心地良い。アコギ、セミアコギの音はこうでなくては。浅利の弾きっぷりも良いが、このギターの音の良さが、浅利の個性を更に引き立てている。

良きアレンジ、良きプロデュースに恵まれた、浅利のファースト・リーダー作。浅利史花は1993年生まれ。今年で30歳。ジャズ界ではまだまだ「若手」。意外と、これだけ、オールドスタイルのヴィンテージ・ジャズギターはなかなかいない。デビューは堅実、安全運転で良し。焦らず、しっかり個性とテクニックを着実に進化していって欲しい。
 
 

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2023年4月29日 (土曜日)

本多の『Easy Breathing』再び

和フュージョンの専門レーベルとして有名なのは「ERECTRIC BIRD(エレクトリック・バード)」。世界に通用するフュージョン・レーベルを目標に、1970年代後半にキングレコードが立ち上げた、フュージョン専門レーベルである。この専門レーベルが持つ和フュージョンの音源が続々とリイシューされている。これが、僕にとっては実に懐かしいリイシューとなっている。

Toshiyuki Honda(本多俊之)『Easy Breathing』(写真)。1979年9-10月の録音。1980年、ERECTRIC BIRDからのリリース。ちなみにパーソネルは、本多俊之 (sax), 和田アキラ (el-g), 大徳俊幸 (key), 渡辺健 (el-b), 奥平真吾 (ds)。Seawindの Jerry Hey (tp, Flh), Larry Hall (tp, Flh), Bill Reichenbach (tb), Larry Williams (ts, fl, ac-p), Kim Hutchcroft (ts, bs), いわゆる「シーウィンド・ホーン・セッション」と、Paulinho Da Costa (perc)がゲスト参加。

帯紙のコピーを見れば「耳を澄ましてごらん。L.A.のそよ風が歌ってる。俊之とシーウィンドの友情溢れる再会セッション」とある。前半の「耳を澄ましてごらん〜」は思わず歯が浮くような、気恥ずかしいキャッチコピーだが、後半の「シーウィンドの...再会セッション」には思わず目を見張る。そうか、バックのブラスの充実度が高いのは、シーウィンド・ホーン・セッションのメンバーがバックアップしているからか、と納得。
 

Toshiyuki-hondaeasy-breathing

 
帯紙のコピーは続く。「アドリブ誌選出「日本のクロスオーバー・ベスト・レコード」2年連続受賞に輝く、サックスの俊英、待望の第3作!」。そう、この盤は、本多俊之のリーダー作『Barning Wave』『Opa! Com Deus』に次ぐリーダー作第3弾であった。本多俊之が初めて自身のバンド、自身のアレンジでL.A.レコーディングに臨んでいる。

当時の和フュージョン盤らしい曲揃えで、「あるある」のブラジリアン・フュージョンの2曲目「Samba Street」、乾いたグルーヴ感が心地良く浮遊感漂う3曲目「Loving You Slowly」、和フュージョンぽくて格好良いタイトル曲の5曲目「Easy Breathing」、ジャズ・ファンクの6曲目「Living In The City」は、メロウでドープなフレーズが粋。和フュージョン盤の傑作として、なかなか魅力的な演奏が詰まっていて楽しい。

海外のクラブシーンでも評価の高い本多俊之だが、このリーダー第3作目の『Easy Breathing』も聴き直してみて、なかなかの傑作だと思う。どうも、以前より、我が国ではフュージョン・ジャズが未だに正統に評価されないところがあるのだが、最近の和フュージョンの名盤・好盤の相次ぐリイシューで、そろそろ再評価の機運が高まってくるのかもしれない。
 
 

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2023年4月28日 (金曜日)

MALTA『High Pressure』再び

ここ4〜5年の間、日本人によるフュージョン・ジャズ、いわゆる「和フュージョン」の名盤、好盤がリイシューされている。

それまでは、和フュージョン盤のリイシューについては、過去に圧倒的に人気があった盤のみがリイシューされていて、売れなかったが内容的に優れている盤とか、マニアックな人気を獲得していた盤などは、レコード会社の方で「再発しても採算が取れない」と判断したんだろう、今まで、廃盤のままでリイシューされることは無かった。

が、何故かはよく判らないが、そういった「不採算」な和フュージョン盤がリイシューされる様になった。僕は、フュージョン・ブームについては、学生時代、リアルタイムで体験しているので、そんな「不採算」な和フュージョン盤は、ジャケを見るだけで音が聴こえてくるくらい、当時、聴き込んだ懐かしい盤ばかりである。

MALTA『High Pressure』(写真左)。1987年の作品。ちなみにパーソネルは、MALTA (sax), Don Grusin (key), Dann Haff (el-g, ac-g), Nathan East (el-b), Vinni Colaiuta (ds), Paulinho Da Costa (perc)。日本のフュージョン系のサックス奏者、マルタの5枚目のリーダー作。

マルタは1949年生まれ。鳥取県出身。本名「丸田 良昭」。今年で74歳。1973、東京芸大を卒業後、バークリー音楽大学に留学。1978年、ミンガスの『Me, Myself An Eye』『Something Like A Bird』の録音に参加。1979年より、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターを務め、1983年にJVCと契約し、初リーダー作『MALTA』をリリース。フュージョンをメインに活動。演奏以外にも、芸大にて教鞭を執る傍ら、音楽発展に尽力、とある。
 

Maltahigh-pressure

 
MALTAって、ミンガスのアルバムに参加しているんですよね。聴いたことがありますが、硬派でメインストリームな活きの良いサックスでした。MALTAのサックスって、素姓の良い、基本がしっかりしたサックスで、とっても良い音で鳴り、テクニックも優秀。もっと注目されても良いサックス奏者だと思います。

さて、『High Pressure』は、1987年、我が国でのバブル期にリリースされ、これは「売れた」。路線としては、ディヴィッド・サンボーンあたりだと思うが、サンボーンよりも、サックスの音が柔軟で素直で流麗。ブリリアントで癖が無くテクニックは優秀。そんなMALTAのサックスをとことん聴いて楽しむ事が出来る好盤である。

今回、改めて聴いてみて(20年ぶりくらいでした)、MALTAのサックスがとても良い音で鳴っているのは勿論のこと、バックの演奏が結構エグい。キーボードからギターからベースからドラムまで、相当、凄い演奏を繰り広げているに気がついて、思わず、スピーカーの前でしっかり聴き込む。

キーボードのフレーズはセンス良く、ギターはスピード感溢れ切れ味良く、だが、エレベが相当エグい。誰だろう、とパーソネルを確認したら、若き日のネイザン・イーストでした。納得。そして、ドラムがそれ以上にエグい。ポリリズミックな高速ドラミングで、8ビートでスイングするような疾走感。こんなエグいメンバーをバックに、MALTAは悠然とサックスを吹き上げ、疾走する。

和フュージョンの名盤として、聴き応え満点の『High Pressure』。バブル期のお洒落なフュージョンとは一線を画した、ワールドワイドで勝負出来る、フュージョン・ジャズの名盤だと思います。もう一回、聴き直したくなった。
 
 

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2023年4月26日 (水曜日)

浅利史花のセカンド・アルバム

和ジャズにおいては、21世紀に入った途端に、ビッグバンでも起こったかのように、様々な新人が毎月の様に現れ出でるようになった。しかも、ボーカリストを除いては、どの楽器もかなりの確率でしっかり残って、今では、和ジャズの中堅として活躍しているジャズマンの沢山いるから立派だ。

Fumika Asari(浅利史花)『Thanks For Emily』(写真左)。2023年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、浅利史花 (g), 壷阪健登 (p), 三嶋大輝 (b), 山崎隼 (ds), ゲストに、片山士駿 (fl), 曽我部泰紀 (ts) が入っている。邦題が「エミリー・レムラーに捧ぐ」。今回の彼女のセカンド盤は、浅利が尊敬する伝説の女性ジャズギタリスト、エミリー・レムラーにちなんだセットリストを録音、とのこと。

浅利史花は1993年生まれ。今年で30歳。2012年、大学進学に伴い上京。和ジャズのギタリスト岡安芳明、潮先郁男に師事。2015年には、ギブソン・ジャズギター・コンテスト決勝進出。2020年11月に初リーダー作『Introducin'』をリリースしている。

彼女の「Official Web Site」を覗いてみると、使用ギターに、1957年製 Gibson ES-17 フルアコ、1946年製 Gibson L-4 フルアコ、Zemaitice V22SH DBM セミアコとある。ロックやR&B、そして、現代のジャズ・ギター奏者があまり用いないフル・アコースティックのエレクトリック・ギターを2本チョイスしている。これって、本格的なメインストリームな純ジャズ・ギターを志向しているに他ならない。

アルバムを聴いてみると、それが良く判る。フュージョンっぽさ、スムースっぽさは皆無。スインギー&ジャジーで、明らかに、メインストリームな純ジャズ・ギターである。シンプルで流麗、ジャジーでアーバンな弾きっぷりは、ジム・ホール、もしくは、ケニー・バレルを想起する。良い音だ。
 

Fumika-asarithanks-for-emily

 
弾きっぷりは、とにかく、真摯で実直、素直で真面目なギターで、砕けたところや捻れた「癖」は無い。和ジャズらしく、乾いたファンクネスは薄ら漂うが、黒っぽさは無い。ジム・ホールやケニー・バレルっぽくもあるのだが、アーバン感やグルーヴ感は希薄で、とても健康的で明るいジャジーさが濃厚なジャズ・ギターである。

全9曲、オリジナルが5曲、スタンダードが4曲。特に、スタンダード曲の演奏を聴けば、浅利のギターの個性が良く判る、素直なギターで、決して、砕けたり飛んだり跳ねたりする「やんちゃ」なギターでは無い。

そういう個性は反面、イージーリスニング風になってしまったり、面白味に欠けてしまったりする危険性があるのだが、この盤ではそうはならないところが良い。バックのリズム隊の成せる技。むっちゃ硬派で純ジャズで今様のリズム&ビートを繰り出して、フロントの浅利を盛り上げる。

ちょっと緊張感が高まっているのか、と感じるところもあるんだが、概ね、スインギーでジャジー。テクニックも優秀で、最初から最後まで安全運転で確実に弾き回す。これが初々しさ、瑞々しさとするか、面白味に欠けるとするかで、評価は分かれるかと思うが、僕は良い意味での個性だと感じている。彼女のソロ・ライヴを聴いてみたい。恐らく、バリバリ弾きまくるのでないか、と推測している。

ジャズとしては、年齢的にはまだまだ若手なので、真面目実直なところも長所として捉えることが出来る。あとは、バリバリに弾き回したり、ちょっと砕けたり捻れたりできる楽曲に出会えるかどうか、やなあ。安全運転が前提の有名スタンダード曲は避けた方が良いだろう。彼女をプロデュースする「力」にかけてみたいところもある。

さらなる鍛錬の後、成熟度を増した次作を早く聴いてみたい。素姓確かな、メインストリームな純ジャズ・ギターであることは確かなのだ。
 
 

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2023年4月25日 (火曜日)

河野啓三『Dreams』を聴く

和ジャズもしっかり聴く様にしている。最近では、サブスク・サイトで、和ジャズのアルバムが結構な数、アップされているので、試聴するには事欠かない。しかも、特定のサブスク・サイトでは「音が良い」。いわゆるハイレゾ対応されているので、CDで聴くのと同じくらい、若しくはそれ以上の音で聴くことができるが有り難い。

河野啓三『Dreams』(写真左)。2011年の作品。ちなみにパーソネルは、河野啓三 (kb), 宮崎隆睦, 平家徹也 (EWI, sax), 吉井俊倫, 布川俊樹 (g), 田中豊雪, 岡田治朗 (b), 岡野大介, 斎藤たかし (ds, perc), 伊沢麻美 (vo)。21世紀に入っての「T-Square」のキーボード奏者、河野啓三の初リーダー作。

冒頭「First Impression」の出だしのフレーズを初めて聴いた時、「あれ、T-Squareの盤と間違えたか」と慌てたくらい、T-Squareの音世界である。ディストーションを効かせたエレギ、シンセの様なユニークな音が出る吹奏楽器EWIの特徴のある伸びのある音、そのバックでリズム&ビートを刻むエレピ。作曲は河野自身で、河野はT-Squareでも楽曲提供しているので、T-Squareの音っぽくなっても仕方の無いことか。
 

Dreams

 
しかし、2曲目「Across The Sky」を聴いていると、確かに「T-Square」風の音の展開なんだが、演奏するメンバーが異なるので、演奏の音のテイストは「T-Square」とは違う。

「T-Square」はロック寄りのバカテク・フュージョンなんだが、河野のこの盤の音は、ポップなフュージョン・ジャズってな感じで、ノリが良くて聴きやすく、ジャジーな雰囲気も見え隠れし、フレーズは印象的でメロディアスで判り易い。河野の作曲のセンスの良さがとても良く判る。

河野のアコピが良い感じなんですよね。6曲目の「衣川館」での、河野のアコピ、布川のギター、宮崎のソプラノで醸し出すジャジーな雰囲気は、他のメロディアスで活きのよいポップな楽曲との対比に、思わず聴き入ってしまう。

そして、僕はこの盤での河野のシンセの音が大好きだ。ばりばり、アナログシンセの音。音が太くて、ちょっとノイジーで、変に捻れて、音がヒューンと伸びる。1970年代のプログレにおけるアナログシンセの音。このアナログシンセの音でソロ・フレーズを弾き回すところが、とにかく格好良くて素敵である。
 
 

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2023年3月23日 (木曜日)

ユッコ・ミラー『City Cruisin’』

最近、ユッコ・ミラーの新盤を「生活のBGM」で聴くことが多い。彼女のアルト・サックスは素姓が良く、オリジナリティーがある。作曲^アレンジの才にも長け、なかなか聴き応えがある。

そもそも「ユッコ・ミラー」とは何者か、である。エリック・マリエンサル、川嶋哲郎、河田健に師事。19歳でプロデビュー。 2016年9月、キングレコードからファーストアルバム「YUCCO MILLER」を発表し、メジャーデビュー。「サックスYouTuber」としても爆発的な人気を誇る、実力派サックス奏者である。

ジャケ写を見ると、ピンクヘアーの奇抜なルックス、結構、すっ飛んだ出で立ちをしているので「アイドル系、もしくはヴィジュアル系」か、と眉をひそめるジャズ者の方々も多いが、決して、ヴィジュアル指向ではない。確かに、彼女のサックスは正統派なもの、テクニックもブロウも確かなもの。それは彼女のリーダー作を聴けば良く判る。

Yucco Miller(ユッコ・ミラー)『City Cruisin'』(写真左)。2022年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、ユッコ・ミラー (as,vo), 曽根麻央 (p, key), 中村裕希 (b), 山内陽一朗 (ds)。ユッコ・ミラーのアルト・サックスがワンホーンのカルテット編成。メジャー・デビュー後5作目となるアルバム。YouTubeチャンネルの「サックスで吹いてみたカヴァー曲シリーズ」で反響の大きかった楽曲と、ユッコ・ミラー自身によるオリジナル楽曲2曲を収録。

特にこの「カヴァー曲」が秀逸。最近の大ヒット曲、YOASOBIの「夜に駆ける」、Adoの「うっせいわ」、米津玄師「Lemon」、1980年代の我が国のシティポップから、德永英明の「レイニーブルー」、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」、それから、ユニークな選曲としては、アニメの世界から『名探偵コナン』メイン・テーマ、【となりのトトロ】風のとおり道 。
 

Yucco-millercity-cruisin

 
これが素晴らしく良い出来。こういうキャッチャーなヒット曲やテーマ曲をジャズ化すると、どうしても、主旋律のメロディーが印象的に残って、砂糖菓子の様に甘い、聴き心地が良いだけのイージーリスニング風なカヴァー演奏になりがちなのだが、ユッコ・ミラーの場合、そうはならない。アレンジが素晴らしく良くて、しっかりとジャズになっている。

「うっせいわ」や「Lemon」など、その歌の持つ主旋律のメロディーが強烈なので、ジャズ化は難しいのではと思ったが、アレンジが秀逸。主旋律のメロディーの崩しも良いし、アドリブへの展開も自然で滑らかで「取って付けた」感が無い。いや〜、久し振りに「優れた日本のポップス曲のジャズ・カヴァー」を聴いた気がする。

ユッコ・ミラーのアルト・サックスは以前にも増して、力強さ感が溢れていて聴き応えがある。このユッコ・ミラーの正統派なテクニックも十分なアルト・サックスだからこそ、「優れた日本のポップス曲のジャズ・カヴァー」が成立するのだと思う。

当然、フロントのユッコ・ミラーのアルト・サックスがこれだけ鳴っているのだ。バックのリズム・セクションの演奏も、そのアルトの鳴りに呼応して、素晴らしいパフォーマンスを披露している。

このカルテットの演奏の実力の高さは、ユッコ・ミラー作のオリジナル2曲の演奏を聴けば判る。「優れた日本のポップス曲のジャズ・カヴァー」で固めた盤だから、とか、ピンクヘアーの奇抜なルックス、結構、すっ飛んだ出で立ちだから、とかで、この盤を「ゲテモノ」扱いしてはならない。アレンジ、演奏共に、実に良く出来た現代のフュージョン・ジャズの優秀盤です。
 
 

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2023年3月19日 (日曜日)

小粋なジャズの相性抜群なコンビ

小粋なジャズ盤を探索して聴き漁っているうちに、小粋なジャズ盤に必須の「小粋な演奏」を量産出来る「相性抜群のコンビ」というものが存在するんじゃないか、と思い始めた。オスカー・ピーターソンとハーブ・エリスとか、ビル・エヴァンスとジム・ホールとか、この二人をコンビを組んで演奏すれば、絶対に「小粋なジャズ」が出来上がる。そんな「相性抜群なコンビ」というものがどうもあるみたいなのだ。

『Teddy Wilson Meets Eiji Kitamura』(写真左)。1970年、テディ・ウィルソンが来日時に北村英治とレコーディングしたセッションをLP化したもの。ちなみにパーソネルは、北村英治 (cl), Teddy Wilson (p), 原田政長 (b), Buffalo Bill Robinson (ds), 増田一郎 (vib)。第5回(1971年度)ジャズ・ディスク大賞(スイング・ジャーナル誌主催)最優秀録音賞を受賞した優秀盤である。

ウィルソンと北村が「相性抜群なコンビ」によってつくりあげたスタンダード集。『After You've Gone』(写真右)というタイトルで再発されているものもあるみたいだが、どちらの盤も聴いてみたが違いは無い。冒頭の「On The Sunny Side Of The Street」から抜群に良い雰囲気。リラックスして、穏やかだが力強い。ゆったりとしたスイング感。ゆったりとしたテンポに漂うファンキーなグルーヴ感。
 

Teddy-wilson-meets-eiji-kitamura

 
この盤に漂う抜群のスイング感とグルーヴ感は、北村のクラリネットのウィルソンのピアノによる「賜物」。北村のクラリネットは穏やかだが力強くスインギー。そのバックでリズム・セクションとして北村のクラリネットをサポートし鼓舞するウィルソンのピアノがファンキーでグルーヴィーでスインギー。この二人の相乗効果で、この素晴らしくスインギーで小粋なスタンダード集が出来上がっている。

北村のクラリネットは「スイング・ジャズ」志向。ウィルソンのピアノは「スイングからハードバップ直前の中間派」志向。どちらもハードバップ志向のジャズとは雰囲気が違うが、モダンなジャズには変わりが無い。スタンダード曲の解釈とアドリブ部の展開について、北村とウィルソン双方の嗜好がバッチリ合っているみたいで、二人のユニゾン&ハーモニー、そして、インタープレイに淀みが無い。

こんな「中間派」の小粋なジャズって、聴いていて、ほのぼのして、リラックス出来て、しみじみする。そして、ずっと演奏を聴き進めて行くと、このクインテットの演奏って、それぞれの楽器のテクニックと歌心が抜群で、凄く聴き応えがあるのが判ってくる。こういう「小粋なジャズ」って捨てがたい魅力満載。今でも、たまに引っ張り出しては聴く好盤です。
 
 

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