2022年12月20日 (火曜日)

メイバーン初期のソロ・ピアノ

Harold Mabern(ハロルド・メイバーン)は、僕のお気に入りのピアニストの1人である。メイバーンはテネシー州メンフィス出身。1936年3月生まれ、2019年9月17日に惜しくも鬼籍に入っている。享年84歳。1968年に初リーダー作、意外とサイドマンでの活躍が目立っているが、リーダー作は多い。自身では2002年にヴィーナス・レコードに録音した『Kiss of Fire』が一番売れたリーダー作だ、としている。

Harold Mabern『Joy Spring』(写真左)。1985年の録音。ちなみにパーソネルは、Harold Mabern (p)。ドライブ感溢れるファンキー・ピアニスト、ハロルド・メイバーンのソロ・ピアノ盤。カナダのトロントの「カフェ・デ・コパン」でのライヴ録音。ラジオでも放送されたとのこと。

活動初期の頃のソロ・ピアノ盤なので、演奏するピアニストの個性がシンプルに判り易い。そして、このライヴ盤は、収録曲のほとんどはスタンダード曲で占められている。他のピアニストとの比較がし易い。メイバーンのピアノを理解するには恰好のアルバムである。
 

Harold-mabernjoy-spring

 
メイバーンのピアノは、明快で切れ味の良い、重量感溢れるタッチ。適度なテンションの下、アグレッシヴでポジティヴな、ドライヴ感溢れる弾き回し。濃厚に漂うファンクネス。このメイバーンのピアノ・ソロを聴いていて、思わず、レイ・ブライアントの『Alone at Montreux』を思い出した。

しかし、どこか似ているのだが、基本的にメイバーンのタッチの方がエッジが立っていて硬質。フレーズはメイバーンの方が「シュッと」している。こってこてファンキーなピアノであることには違いない。この「スッキリ&カッチリしたファンクネス」がメイバーンの個性であり、他のファンキー・ピアニストとの「差異化要素」である。

このスッキリ&カッチリしたファンキー・ピアノでスタンダード曲をユッタリとしたドライブ感を醸し出しながら、淀みなく、破綻無く弾き進めていく。スタンダード曲の解釈も良い感じ。ファンキーでありながら、どこか小粋でアーバンな「お洒落な」雰囲気が漂うところが「ニクい」。なかなかに聴き応えのあるソロ・ピアノ盤だと思う。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて        

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」 

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2022年11月18日 (金曜日)

エヴァンスの「多重録音」第3弾

ビル・エヴァンスのワーナー時代、最晩年のリーダー作を再度、聴き直している訳だが、実は6枚しかない。1977年8月、ワーナーに移籍して録音を始めたら、なんと1980年9月15日には鬼籍に入ってしまったのだから、ワーナー時代は実質3年ほどしかない。リーダー作が少ないのは仕方が無い。

Bill Evans『New Conversations』(写真)。1978年1月26~28日30日、2月13~16日録音。パーソネルは、Bill Evans (ac-p,el-p)のみ。ビル・エヴァンスのソロ盤ですが、作りは「多重録音」。アコピとフェンダー・ローズをオーバーダビングするという手法を駆使して録音した作品。邦題は『未知との対話ー独白 対話 そして鼎談』。なんと仰々しい邦題であることか(笑)。

ワーナーに移籍して最初に録音したのが『You Must Believe in Spring』だったのだが、何故かお蔵入りになって(1981年、エヴァンスの没後にリリース)、この多重録音の『New Conversations』がワーナー移籍後の初リーダー作になる。

エヴァンスは多重録音によるソロ・パフォーマンスが好みな様で、ヴァーヴ時代に『Conversations with Myself』(1963年)、『Further Conversations with Myself』(1967年)と2枚の「多重録音」盤を出している。そして、今回ご紹介する『New Conversations』は、この「対話シリーズ」の第三弾になる。
 

Bill-evansnew-conversations

 
第3弾となって、やっとこの「多重録音」での個性の表出が上手く出来る様になった感がある。前の2作にあった違和感、喧噪感が無い。多重録音による「良い効果」を自己表現出来る様になった。この多重録音による「良い効果」によって、ビル・エヴァンスのアコピとエレピの個性というものがハッキリ感じ取れる。

アコピにせよ、エレピにせよ、出てくるフレーズは「エヴァンス・オリジナル」なもので、全く異論は無い。特にこの時期のエヴァンスのアコピの特徴である、タッチは明快でフレーズは切れ味良く耽美的、エヴァンス独特の音の響きを伴った「流麗なバップ・ピアノ」な弾き回しが良く判る。

また、この盤を聴いて、改めて感心したんだが、エヴァンスはエレピが上手い。特に、フェンダー・ローズの扱いが上手い。軽く聴いていたら、どこかチック・コリアに似た、ローズの特性を十分に把握した、とてもリリカルでエモーショナルな弾き回しは見事。エヴァンスのエレピについては十分に評価するべきだろう。当時としても、このエレピの弾き回しは秀逸。

ワーナーに移籍して最初のリーダー作に「ソロ・パフォーマンスの多重録音」盤を持って来た理由は図りかねるが、録音当時のエヴァンスのピアニストとしての特徴が良く判る内容になっている。「ソロ・パフォーマンスの多重録音」はどこか際物の匂いがするが、気にすることは無い。エヴァンスのソロ・パフォーマンスを愛でるに十分なアルバムである。
 
 

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2022年11月 4日 (金曜日)

ソロライヴ「ボルドーのキース」

2017年2月15日の米「カーネギーホール」でのコンサート以降、一切公演を行っていないキース・ジャレット。その後、2018年2月と5月、2度の脳卒中を起こし、左半身が麻痺。1年掛けてかなりリハビリしたものの、片手でしか演奏できず、キースいわく「両手演奏のピアノ曲を聴くと、非常にもどかしく感じる」。それから、3年が経過している。キースの状態はどうなんだろう。

最近、キースはNPRからのインタヴューを受けたらしく、現在はニュージャージー州北西部の自宅で静かにリハビリを続けていて、ピアノの前に座り、インプロヴィゼーション、スタンダード、ビバップを右手で弾いていると明かしているそうだ。復帰する、しないに関わらず、回復して欲しいと切に思う。

Keith Jarrett『Bordeaux Concert』(写真左)。2016年7月6日、フランスのボルドーでのライヴ録音。キース・ジャレットのソロ・パフォーマンスの記録。

キースの最後の欧州ツアーの最初に録音された『ブダペスト・コンサート』、その欧州ツアーの最後に録音された『ミュンヘン2016』は既にリリースされている。今回リリースされた『ボルドー・コンサート』は、同じ最後の欧州ツアーにおけるブダペストのコンサートから3日後、ミュンヘンのコンサートの10日前に録音された作品。

ブタペストでは、前半は「バルトークへの生涯の愛着にインスパイアされたソロ・パフォーマンス」、後半は「耽美的でメロディアスで躍動的でジャジーなパフォーマンス」で構成されていた。
 

Keith-jarrettbordeaux-concert

 
ミュンヘンでは、前衛音楽の様なフリーキーな即興演奏から、アーシーなリズム&ビートを伴ったアメリカン・フォーキーな演奏、モーダルで限りなく自由なスタンダード演奏まで、なかなかバリエーションに富んだ内容だった。
 
このボルドーでは、ブダペストやミュンヘンと同じく、往年の「長尺の演奏で、起伏のある抒情的なメロディアスな曲」とは異なる、短尺の曲が志向を変えて入れ替わり立ち替わり展開されるという構成は変わらない。

オープニングは抑えめな曲調で、現代音楽風の無調なインプロから始まるが、後半になるに従って、ブタペストの様な「耽美的でメロディアスで躍動的でジャジーなパフォーマンス」になって、特に「美しい曲想」のパフォーマンスが多い。前半は「現代音楽〜現代クラシック」の志向が強く、後半は「極上の耽美的で躍動的なジャズ」の志向が強くなる。

キースのソロ・パフォーマンスのショーケースの様な内容で、適度なテンションの中、切れ味の良い、ダイナミックかつ繊細な、極上なピアノ・ソロの連続に、これはこれで良いよな、と一気に13の即興演奏を聴き通してしまう。

最近のインタヴューで、同じツアーで既に発売されている2作(ブタペスト、ミュンヘン)と本作以外に、他に訪れてライヴ演奏をした、ウィーンとローマも発表したいとのこと。そちらのリリースも大いに期待したい。
 
 
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2022年7月17日 (日曜日)

エロール・ガーナーのソロ盤

最近、天候が不安定な千葉県北西部地方。梅雨明けしたのは良いが、その後、1週間ほど酷暑の日が続いたと思ったら、一転、2週間前の土曜日辺りから、ほどんど晴れない、雨模様の日々、そして、いきなりゲリラ豪雨と、特にこの2週間、戻り梅雨のような状態になって鬱陶しい。おまけに天気予報が当たらない。その日になっても予報が当たらないなんて、どんな予報システムをしているのやら。

鬱陶しい不安定な日に加えて、湿度が異常に高くて、不快指数MAX。ここまでくると、エアコンの効いた部屋の中でも、難しいジャズは聴けない。パッと聴いてパッと判って楽しめる、シンプルなジャズが良い。ピアノ・ソロやピアノ・トリオ、そして、爽快感溢れるハードバップなジャム・セッション。聴いて心地良く疲れるフリー・ジャズなどは控えたくなる。

Erroll Garner『Afternoon of An Elf』(写真)。1955年3月14日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Erroll Garner (p)。孤高のスライド・ピアノの名手、エロール・ガーナーのピアノ・ソロ盤。聴かせるジャズ・ピアノ。エンタテインメント性バリバリのジャズ・ピアノのソロ・パフォーマンスが満載である。
 

Erroll-garnerafternoon-of-an-elf

 
エロール・ガーナーとは、1921年生まれ。1977年1月没。左手のベースラインをメインに、メロディを弾く右手は自由自在にタイム感を後ろにずらす「ビハインド・ザ・ビート」が特徴。エロール・ガーナーは、生涯楽譜が全く読めなかったとのことだが、ジャズも場合、それは全く関係無い。ジャズとは「感性」の音楽である。二度と同じフレーズが無い、究極の即興演奏が、このソロ・ピアノ盤に詰まっている。

難解なところは全く無い。オープンで大らかでハッピー・スインガーなガーナーの面目躍如。スイング・ジャズを踏まえたスインギーなフレーズ、当時の流行の弾き方だったブギウギ・ピアノで大立ち回り、スライド・ピアノで歌心満点な弾き回しを披露する。ピアノ・ソロだけに、ガーナーのピアノの個性にだけ集中出来るのが良い。「ビハインド・ザ・ビート」が心地良く耳に響く。

妖しい魅力を持った、打楽器的ピアノ・エンタテインメント。独創性溢れる究極の即興演奏。これが難しく響かず、判り易く心地良く聴くことが出来る「聴かせる」ピアノ・ソロ。エンタテインメント性バリバリのピアノ・ソロ。ガーナーのピアノは「ブレ」が無い。聴いて爽快な「ビハインド・ザ・ビート」。パッと聴いてパッと判って楽しめる、シンプルなピアノは個性濃厚である。
 
 

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2022年7月 7日 (木曜日)

パークスの初ソロ・ピアノ集です

アーロン・パークス(Aaron Parks)。1983年10月、シアトルの生まれ。16歳でNYに移り、マンハッタン音楽学校に編入。18歳の時、ケニー・バロンの推薦でテレンス・ブランチャードのバンドに参加。24歳でブルーノートから『Invisible Cinema』でメジャーデビュー。2010年代は、ECMレーベルに所属。現代ジャズにおける「リリカルで耽美的なピアノ」の代表格。

Aaron Parks『Arborescence』(写真左)。2011年11月、マサチューセッツ州ウースターの「Mechanics Hall」での録音。ECMレーベルからのリリース。アーロン・パークスの自己名義3作目。初のソロ・ピアノ演奏集になる。パークスの個性が露わとなるソロ・パフォーマンスの塊である。

パークスのピアノには、本人も語っているが、音の展開や音の重ね方などに、キース・ジャレットの影響が感じられる。パークスのピアノの個性の基本は「リリカルで耽美的なピアノ」。そこに、ECMレーベルでの歴代のソロ・ピアノの特徴がしっかりと反映されている。そして、パークスのソロ・パフォーマンスのパークス独特の特徴が「構築美と完成度」。
 

Aaron-parksarborescence

 
今までの歴代のソロ・ピアノは「即興演奏」に重点を置いて、パフォーマンスのイメージを、ピアノを弾きながら具体的に固めていきながら、音を紡いで行くのだが、パークスの場合、このパフォーマンスのイメージがピアノを弾く前に具体的になっていて、その具体的なイメージをしっかりと即興演奏として音にしていく感じなのだ。これが、今までの歴代のソロ・ピアノと異なる雰囲気である。

パークスの場合、そういう前提があるので、雰囲気に流されること無く、自己陶酔に陥ることも無く、つまり、演奏が長くなることも無く、同じフレーズを重ねることも無い。クラシック・ピアノの美しさを底に忍ばせた、聴いていて爽快感すら感じる「構築美と完成度」を個性とした「リリカルで耽美的な」ソロ・ピアノである。

キース・ジャレット、チック・コリア、ポール・ブレイ、リッチー・バイラークなど、ECMレーベルの音のカラーをダイレクトに反映した「リリカルで耽美的な」ソロ・ピアノの特徴をしっかり継承しつつ、自らの独特の個性を加味したアーロン・パークスのソロ・ピアノ。見事である。
 
 

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2022年4月23日 (土曜日)

ブラッキーン最後のソロ・ピアノ

自分のアルバム・カタログを見渡していて、久々に、Joanne Brackeen(ジョアン・ブラッキーン)の名前が目に留まった。1938年7月26日、米国カリフォルニア州バンチュラ生まれ。今年で84歳の高齢になる。ジュリアード音楽院を卒業し、フレディ・ハバードのグループでデビュー。69年にはメッセンジャーズに参加。力強く前衛的、捻りが効いた柔軟でリリカルな弾き回しが個性。

Joanne Brackeen『Popsicle Illusion』(写真左)。2000年の作品。ジョアン・ブラッキーンのソロ・ピアノ盤になる。彼女のキャリアの中で、ソロ・ピアノ盤は数枚あるが、その最後の盤。彼女のディスコグラフィーを確認したら、この盤を最後に、ブラッキーンのリーダー作は途絶えている。このソロ・ピアノ盤については、彼女のピアノの個性が非常に良く判る、優れた内容になっている。

ブラッキーンのピアノは端正でタッチが強い。とても明快なピアノである。しかし、アレンジはちょっと「捻くれている」。素直に、ハードバップ風な、モード・ジャズ風なアレンジかと思いきや、変則拍子であったり、いきなりアブストラクトに走ったり、転調を繰り返したり。でも、それが実に自然に展開するのだから素晴らしい。この「捻くれている」ことが、ブラッキーンの最大の個性なのだ。
 

Popsicle-illusion_joanne-brackeen

 
このソロ・ピアノ盤も、その「捻くれている」個性が随所に現れていて、ブラッキーンのピアノやなあ、と思わず感心するのだ。冒頭の「If I Were A Bell」、ストライド奏法で始まる。スタンダード曲をストライド奏法。と思いきや、4分の7拍子で演奏している。いや〜「捻くれている」(笑)。何か不思議な雰囲気の「If I Were A Bell」。

タイトル曲で自作の「Popsicle Illusion」は、ブラッキーンらしい複雑な曲。逆に、ビートルズの名曲カヴァー、2曲目の「Michelle」は、味わい深くリリカルなタッチで聴かせる。4曲目のスタンダード曲「From This Moment On」のダイナミズム溢れる弾きっぷりは、ブラッキーンならではのもの。7曲目の「Telavivision」も変拍子で硬派に攻めた演奏。演奏ラス前の「Prelude To A Kiss」は歌心満点なバラード演奏。

このソロ・ピアノ盤の録音当時、ブラッキーンは62歳。ジャズ・ピアニストとして、まだ老け込む年齢では無いし、隠遁する年齢でも無い。このソロ・ピアノ盤以降、ブラッキーンについてはリーダー作の無い状態が続いていて(現在、バークリー音楽院で教鞭を執っているようだ)、ちょっと惜しいなあ、という気持ちにさせてくれるソロ・ピアノ盤。最後に、このアルバムのラストに収録されている「Interview With Joanne(インタヴュー音源)」は「蛇足」ですね。
 
 

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2021年11月28日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・11

ジャズ・ピアニストの中で、一番ユニークな存在が「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」。ジャズ・ピアノを聴き始めて、ジャズ・ピアノ盤の紹介本を見ながら、名盤を聴き進めて行って、まず、ぶち当たる壁が「セロニアス・モンク」である。クラシックやポップスのピアノをイメージして、モンクのピアノを聴くと、まず訳が判らなくなる。

通常のクラシック・ピアノなどのフレーズの流れが「常識」だとすると、モンクのピアノは「非常識」。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが唯一無二。協調和音中心という次元から、かなり離れたもので、リズム的にも自然発生的な変則拍子が中心という、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極にあるモンクのピアノである。

Thelonious Monk『Thelonious Himself』(写真左)。1957年4月の録音。セロニアス・モンクのソロ・ピアノである。モンクのキャリアの絶頂期でのソロ・ピアノなので、モンクのピアノの真の個性が良く判る。違和感をバリバリに感じる不協和音。決してメロディアスとは言えない、ゴツゴツしたフレーズ。独特のスクエアな、幾何学的なスイング感。外れているようで、しっかりと独特なフレーズが流れている。おおよそ、普通の人達にとっては、今までに聴いたことが無いピアノ。
 

Thelonious-himself_1

 
しかし、僕が思うに、これが「ジャズ」であり、これが「ジャズ・ピアノ」の最右翼なのだ。即興演奏を旨とするジャズ、新しい音を創造するジャズ、そういうジャズが、本来の「ジャズ」とするなら、このモンクのピアノは明らかに「ジャズ」の極みに位置するものだ、と僕は思う。ジャズをとことん好きになるかどうかは、このモンクのピアノを受け入れられるかどうかにある位に思っている。

Original CD reissue (1987) のバージョンがお勧めなのだが、このバージョンのラストに入っている「'Round Midnight (In Progress)」を聴いて欲しい。22分に及ぶ長いトラックの中で、モンクはあれこれ考えながら、何度も慎重に音を選び直しながら、ブツブツと「あーでもないこーでもない」とつぶやきながら、演奏を組み立てていく。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方が、即興演奏を前提として、考え抜かれたもの、選び抜かれたものだということが良く判る。

この究極の即興演奏の様なモンクの音世界は、填まればとことん癖になります。僕がジャズを本格的にジャズを聴き初めて、これはジャズやなあ、と初めて心底感心したのが、このモンクのピアノであり、このモンクのソロ盤『Thelonious Himself』でした。ジャズを聴く、って理屈では無くて、パッと聴いてパッと感じるものだと思いました。その感覚は「ジャズを聴く時の心構え」として、僕の中にあります。いわゆる「モンクのピアノの教え」ですね。
 
 
 
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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

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2021年10月10日 (日曜日)

橋本一子のソロ・ピアノ『View』

日本人ジャズは1950年代の終盤から現在まで、ずっと進化している。ビ・バップの模倣から始まり、ハードバップの模倣からオリジナリティーを発揮し始め、1970年代に入ると、フリー・ジャズも得意ジャンルとし、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズは独自の進化を確立した。純ジャズ復古以降、ハードバップは自家薬籠中のものとなり、コンテンポラリーなジャズは様々な形式、パターンで深化している。

橋本一子『View』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、橋本一子 (p), 菊地成孔(as), 類家心平(tp), 藤本敦夫(ds, b)。コンテンポラリー・ジャズ、および、ニューエイジなど、ボーダーレスなジャンルで、魅力的なリーダー作をリリースしてきた、橋本一子の、なんと12年振りのソロ・リーダー作となる。しばらく、リーダー作が途絶えて「どうしているのか」と思っていた矢先の嬉しい新作である。

橋本一子の名は、YMOのサポート・メンバーの時に知った。矢野顕子の後任だったと記憶するが、キーボードの演奏スタイルは、基本的に矢野顕子に準ずる。しかし、矢野よりも耽美的でリリカルで流麗。しかし、格好良さを追求する演奏スタイルは共通で、これは凄い女性ピアニストが出現した、とビックリしたことを記憶している。それから、橋本一子のリーダー作は漏れなく追いかけてきた。
 

View-ichiko-hashimoto

 
今回の新作、基本は橋本のソロ・ピアノ。橋本の耽美的でリリカルで流麗なピアノは健在。音の広がりが素晴らしく、流麗でユッタリとしたテンポの演奏などは「静的なスピリチュアル」な要素が溢れんばかり。そんな魅惑的なソロ・ピアノに、橋本本人のボーカル、そして、ゲストのアルト・サックス、トランペット、ドラム、ベースが絡む。橋本のボーカルとゲストの楽器はあくまで、橋本のソロ・ピアノを引き立たせ役。この盤は橋本のソロ・ピアノをとことん愛でることができるのだ。

収録曲は、ブラジリアン・ミュージックとジャズ・スタンダード曲のカヴァー6曲とオリジナル楽曲が5曲。特に、ブラジリアン・ミュージックとジャズ・スタンダード曲のカヴァー6曲の出来が秀逸。アレンジに一癖二癖あり、一筋縄ではいかないパフォーマンスで、思わずスピーカーに対峙して聴き込んでしまう。自作曲の演奏が優れているのは言うまでも無い。

この橋本のソロ盤、その静謐で耽美的なピアノは、アンビエント・ミュージックとコンテンポラリー・ジャズの融合。そのスタイリッシュでリリカルで流麗なピアノは、静的なスピリチュアル・ジャズ。日本人ジャズの中でも、唯一無二、橋本一子独特の「ジャズ」がこの盤に詰まっている。ジャズにおいても「精魂込めた美しい音」は無敵である。
 
 
 

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2021年9月30日 (木曜日)

スタンリー・カウエルのピアノ

ジャズマンの個性については、初めて聴いてスッと、その個性を掴めるジャズマンもあれば、ちょっと聴いただけでは、その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまうジャズマンもいる。

しかし、力量のあるジャズマンは長く第一線で活躍し続ける。初めて聴いて、その個性が掴めず、忘れてしまったジャズマンの中にも、10年、20年経った後、そのリーダー作を聴いて、やっと、そのジャズマンの個性を掴む、そんなこともたまにある。

僕にとって、ピアニストのスタンリー・カウエル(Stanley Cowell)が、そんな「その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまう」ジャズマンの1人だった。

初めてカウエルのリーダー作を聴いたのは、ECMからリリースされた『Illusion Suite(幻想組曲)』。この盤は、ジャズを聴き始めた、1970年代の新主流派のピアノだったが、ECM独特のニュー・ジャズな雰囲気だけが印象に残り、カウエルのピアノは、と問われれば、後から振り返れば「?」であった。

Stanley Cowell『Angel Eyes』(写真左)。 1993年4月、デンマークのランペンボーでの録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p)。スタンリー・カウエルのソロ・ピアノ盤である。1989年にスティープルチェイス・レーベルに移籍後、5枚目のリーダー作。
 

Angel-eyes-stanley-cowell

 
カウエルのソロ・ピアノについては、この『Angel Eyes』以前、何枚か出ているみたいだが、今まで耳にしたことが無い。この『Angel Eyes』についても、出会ったのは、21世紀に入ってからである。スティープルチェイス・レーベルのカタログを眺めていて、その存在に気がついて、即入手して聴いたのが、約10年前かと記憶している。

このカウエルのソロ・ピアノを聴いて、カウエルのピアノの個性をやっと掴むことが出来た。確かに紡ぎ出されるフレーズは「新主流派」。モーダルで耽美的なフレーズが出てくる出てくる。そして、意外と多弁である。耽美的なフレーズが得意みたいなのだが、間を活かすよりは、間を音符で埋める「多弁」な個性。例えて言うと、リッチー・バイラークの硬質なタッチを流麗なタッチに変えたようなピアノ、かな。

収録曲は全9曲。4曲が自作曲。4曲がスタンダード曲。セロニアス・モンク作の「Eronel」を選曲しているところがユニーク。モンク独特のフレーズを、モーダルで耽美的なフレーズにアレンジして聴かせてくれる。そして、1曲がポップス曲のカヴァー。ジョン・レノンの「Imagine」。イマジンをモーダルで多弁で耽美的なフレーズで唄い上げるのだ。多弁でモーダルな展開の中に「イマジン」の印象的なフレーズをしっかりと織り込んで聴かせる。絶品である。

このスティープルチェイスのソロ盤で、やっとカウエルのピアノの個性を掴むことが出来た。内容的には、ジャジーでメインストリームなソロ・ピアノで聴き応えがある。そして、カウエルのアレンジの才能もしっかりと感じ取ることが出来た。このソロ盤、なかなかの内容である。
 
 
 

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2021年8月12日 (木曜日)

1974年のトミフラのソロ盤です

ネット上の音楽のサブスク・サイト。月額の一定料金で、様々なアルバムを聴くことが出来るのは便利なんだが、以前にリリースされた既出のアルバムのジャケットが、オリジナルと全く違っていることが多くあって、これには困りもの。お目当てのジャズ盤を特定する有力情報の1つが「ジャケット」。これが、全く違うものになっていると、その「特定」に困ることがある。

Tommy Flanagan『Solo Piano』(写真左)。1974年2月25日、スイスのチューリッヒでの録音。「名盤請負人」の誉れ高い、トミー・フラナガン(愛称「トミフラ」)の貴重なピアノ・ソロ作品である。が、あれっ、と思う。1975年録音のパブロレーベルから発売された『Comeback』、1977年にデノンから発売された『Alone Too Long』が彼の最初のソロ作品と言われていたはず。

この「やっつけ感」満載のいい加減なジャケットが故、最初「パチモン盤」かと思って見過ごしていたのだが、この盤、実は再発で、最初、2005年にリリースされた時、音源に別なピアニストが収録されていたことが発覚、即座にカタログから外され、長期にわたり廃盤になっていたもの。今回、その別なピアニストの音源を削って再発したものらしい。何だか、素性が怪しげなトミフラのソロ・ピアノ盤ではあるが、聴いてみると、恐らく全てのソロ・パフォーマンスがトミフラのものであると思われる。
 

Solo-piano-tommy-flanagan
 

このソロ・ピアノのパフォーマンスについては、トミフラが、エラ・フィッツジェラルドの歌伴を勤めていた1974年にスイスのチューリッヒで録音されたものとのこと。先に書いたが、これまでは1975年録音の『Comeback』、1977年リリースの『Alone Too Long』が、トミフラの最初のソロ作品だったのだが、このソロ・ピアノ盤は、さらにその前の録音になる。が、まあ、そんな記録的な要素は、トミフラのピアノを愛でるのには、あまり重要なことでは無い。

僕が聴いた音源は、収録曲は全11曲、収録時間46分のソロ・パフォーマンスである。収録曲は有名スタンダード曲で占められ、トミフラのピアノの個性とソロ・パフォーマンスとしての「アレンジの妙」がしっかりと確認出来る優れた内容。トミフラのパップでダイナミックな弾きっぷりが心地良い。

一旦活動を休止していたトミフラのカムバック盤は、パブロからリリースされた『A Day in Tokyo』(1975年の録音)とされていたので、その盤より1年早い、トミフラのソロ・ピアノ盤。そういう意味で、トミフラのカムバックは1974年ということになるのか。いやはや、不思議なソロ・ピアノ盤がリイシューされたものだ。2021年になっても、まだこういう音源がリイシューされるのだから、ジャズって面白い音楽ジャンルだと思うのだ。
 
 
 
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