2021年11月28日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・11

ジャズ・ピアニストの中で、一番ユニークな存在が「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」。ジャズ・ピアノを聴き始めて、ジャズ・ピアノ盤の紹介本を見ながら、名盤を聴き進めて行って、まず、ぶち当たる壁が「セロニアス・モンク」である。クラシックやポップスのピアノをイメージして、モンクのピアノを聴くと、まず訳が判らなくなる。

通常のクラシック・ピアノなどのフレーズの流れが「常識」だとすると、モンクのピアノは「非常識」。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが唯一無二。協調和音中心という次元から、かなり離れたもので、リズム的にも自然発生的な変則拍子が中心という、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極にあるモンクのピアノである。

Thelonious Monk『Thelonious Himself』(写真左)。1957年4月の録音。セロニアス・モンクのソロ・ピアノである。モンクのキャリアの絶頂期でのソロ・ピアノなので、モンクのピアノの真の個性が良く判る。違和感をバリバリに感じる不協和音。決してメロディアスとは言えない、ゴツゴツしたフレーズ。独特のスクエアな、幾何学的なスイング感。外れているようで、しっかりと独特なフレーズが流れている。おおよそ、普通の人達にとっては、今までに聴いたことが無いピアノ。
 

Thelonious-himself_1

 
しかし、僕が思うに、これが「ジャズ」であり、これが「ジャズ・ピアノ」の最右翼なのだ。即興演奏を旨とするジャズ、新しい音を創造するジャズ、そういうジャズが、本来の「ジャズ」とするなら、このモンクのピアノは明らかに「ジャズ」の極みに位置するものだ、と僕は思う。ジャズをとことん好きになるかどうかは、このモンクのピアノを受け入れられるかどうかにある位に思っている。

Original CD reissue (1987) のバージョンがお勧めなのだが、このバージョンのラストに入っている「'Round Midnight (In Progress)」を聴いて欲しい。22分に及ぶ長いトラックの中で、モンクはあれこれ考えながら、何度も慎重に音を選び直しながら、ブツブツと「あーでもないこーでもない」とつぶやきながら、演奏を組み立てていく。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方が、即興演奏を前提として、考え抜かれたもの、選び抜かれたものだということが良く判る。

この究極の即興演奏の様なモンクの音世界は、填まればとことん癖になります。僕がジャズを本格的にジャズを聴き初めて、これはジャズやなあ、と初めて心底感心したのが、このモンクのピアノであり、このモンクのソロ盤『Thelonious Himself』でした。ジャズを聴く、って理屈では無くて、パッと聴いてパッと感じるものだと思いました。その感覚は「ジャズを聴く時の心構え」として、僕の中にあります。いわゆる「モンクのピアノの教え」ですね。
 
 
 
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2021年10月10日 (日曜日)

橋本一子のソロ・ピアノ『View』

日本人ジャズは1950年代の終盤から現在まで、ずっと進化している。ビ・バップの模倣から始まり、ハードバップの模倣からオリジナリティーを発揮し始め、1970年代に入ると、フリー・ジャズも得意ジャンルとし、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズは独自の進化を確立した。純ジャズ復古以降、ハードバップは自家薬籠中のものとなり、コンテンポラリーなジャズは様々な形式、パターンで深化している。

橋本一子『View』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、橋本一子 (p), 菊地成孔(as), 類家心平(tp), 藤本敦夫(ds, b)。コンテンポラリー・ジャズ、および、ニューエイジなど、ボーダーレスなジャンルで、魅力的なリーダー作をリリースしてきた、橋本一子の、なんと12年振りのソロ・リーダー作となる。しばらく、リーダー作が途絶えて「どうしているのか」と思っていた矢先の嬉しい新作である。

橋本一子の名は、YMOのサポート・メンバーの時に知った。矢野顕子の後任だったと記憶するが、キーボードの演奏スタイルは、基本的に矢野顕子に準ずる。しかし、矢野よりも耽美的でリリカルで流麗。しかし、格好良さを追求する演奏スタイルは共通で、これは凄い女性ピアニストが出現した、とビックリしたことを記憶している。それから、橋本一子のリーダー作は漏れなく追いかけてきた。
 

View-ichiko-hashimoto

 
今回の新作、基本は橋本のソロ・ピアノ。橋本の耽美的でリリカルで流麗なピアノは健在。音の広がりが素晴らしく、流麗でユッタリとしたテンポの演奏などは「静的なスピリチュアル」な要素が溢れんばかり。そんな魅惑的なソロ・ピアノに、橋本本人のボーカル、そして、ゲストのアルト・サックス、トランペット、ドラム、ベースが絡む。橋本のボーカルとゲストの楽器はあくまで、橋本のソロ・ピアノを引き立たせ役。この盤は橋本のソロ・ピアノをとことん愛でることができるのだ。

収録曲は、ブラジリアン・ミュージックとジャズ・スタンダード曲のカヴァー6曲とオリジナル楽曲が5曲。特に、ブラジリアン・ミュージックとジャズ・スタンダード曲のカヴァー6曲の出来が秀逸。アレンジに一癖二癖あり、一筋縄ではいかないパフォーマンスで、思わずスピーカーに対峙して聴き込んでしまう。自作曲の演奏が優れているのは言うまでも無い。

この橋本のソロ盤、その静謐で耽美的なピアノは、アンビエント・ミュージックとコンテンポラリー・ジャズの融合。そのスタイリッシュでリリカルで流麗なピアノは、静的なスピリチュアル・ジャズ。日本人ジャズの中でも、唯一無二、橋本一子独特の「ジャズ」がこの盤に詰まっている。ジャズにおいても「精魂込めた美しい音」は無敵である。
 
 
 

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2021年9月30日 (木曜日)

スタンリー・カウエルのピアノ

ジャズマンの個性については、初めて聴いてスッと、その個性を掴めるジャズマンもあれば、ちょっと聴いただけでは、その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまうジャズマンもいる。

しかし、力量のあるジャズマンは長く第一線で活躍し続ける。初めて聴いて、その個性が掴めず、忘れてしまったジャズマンの中にも、10年、20年経った後、そのリーダー作を聴いて、やっと、そのジャズマンの個性を掴む、そんなこともたまにある。

僕にとって、ピアニストのスタンリー・カウエル(Stanley Cowell)が、そんな「その個性の全貌が掴めず、しばらくすると存在すら忘れてしまう」ジャズマンの1人だった。

初めてカウエルのリーダー作を聴いたのは、ECMからリリースされた『Illusion Suite(幻想組曲)』。この盤は、ジャズを聴き始めた、1970年代の新主流派のピアノだったが、ECM独特のニュー・ジャズな雰囲気だけが印象に残り、カウエルのピアノは、と問われれば、後から振り返れば「?」であった。

Stanley Cowell『Angel Eyes』(写真左)。 1993年4月、デンマークのランペンボーでの録音。スティープルチェイス・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p)。スタンリー・カウエルのソロ・ピアノ盤である。1989年にスティープルチェイス・レーベルに移籍後、5枚目のリーダー作。
 

Angel-eyes-stanley-cowell

 
カウエルのソロ・ピアノについては、この『Angel Eyes』以前、何枚か出ているみたいだが、今まで耳にしたことが無い。この『Angel Eyes』についても、出会ったのは、21世紀に入ってからである。スティープルチェイス・レーベルのカタログを眺めていて、その存在に気がついて、即入手して聴いたのが、約10年前かと記憶している。

このカウエルのソロ・ピアノを聴いて、カウエルのピアノの個性をやっと掴むことが出来た。確かに紡ぎ出されるフレーズは「新主流派」。モーダルで耽美的なフレーズが出てくる出てくる。そして、意外と多弁である。耽美的なフレーズが得意みたいなのだが、間を活かすよりは、間を音符で埋める「多弁」な個性。例えて言うと、リッチー・バイラークの硬質なタッチを流麗なタッチに変えたようなピアノ、かな。

収録曲は全9曲。4曲が自作曲。4曲がスタンダード曲。セロニアス・モンク作の「Eronel」を選曲しているところがユニーク。モンク独特のフレーズを、モーダルで耽美的なフレーズにアレンジして聴かせてくれる。そして、1曲がポップス曲のカヴァー。ジョン・レノンの「Imagine」。イマジンをモーダルで多弁で耽美的なフレーズで唄い上げるのだ。多弁でモーダルな展開の中に「イマジン」の印象的なフレーズをしっかりと織り込んで聴かせる。絶品である。

このスティープルチェイスのソロ盤で、やっとカウエルのピアノの個性を掴むことが出来た。内容的には、ジャジーでメインストリームなソロ・ピアノで聴き応えがある。そして、カウエルのアレンジの才能もしっかりと感じ取ることが出来た。このソロ盤、なかなかの内容である。
 
 
 

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2021年8月12日 (木曜日)

1974年のトミフラのソロ盤です

ネット上の音楽のサブスク・サイト。月額の一定料金で、様々なアルバムを聴くことが出来るのは便利なんだが、以前にリリースされた既出のアルバムのジャケットが、オリジナルと全く違っていることが多くあって、これには困りもの。お目当てのジャズ盤を特定する有力情報の1つが「ジャケット」。これが、全く違うものになっていると、その「特定」に困ることがある。

Tommy Flanagan『Solo Piano』(写真左)。1974年2月25日、スイスのチューリッヒでの録音。「名盤請負人」の誉れ高い、トミー・フラナガン(愛称「トミフラ」)の貴重なピアノ・ソロ作品である。が、あれっ、と思う。1975年録音のパブロレーベルから発売された『Comeback』、1977年にデノンから発売された『Alone Too Long』が彼の最初のソロ作品と言われていたはず。

この「やっつけ感」満載のいい加減なジャケットが故、最初「パチモン盤」かと思って見過ごしていたのだが、この盤、実は再発で、最初、2005年にリリースされた時、音源に別なピアニストが収録されていたことが発覚、即座にカタログから外され、長期にわたり廃盤になっていたもの。今回、その別なピアニストの音源を削って再発したものらしい。何だか、素性が怪しげなトミフラのソロ・ピアノ盤ではあるが、聴いてみると、恐らく全てのソロ・パフォーマンスがトミフラのものであると思われる。
 

Solo-piano-tommy-flanagan
 

このソロ・ピアノのパフォーマンスについては、トミフラが、エラ・フィッツジェラルドの歌伴を勤めていた1974年にスイスのチューリッヒで録音されたものとのこと。先に書いたが、これまでは1975年録音の『Comeback』、1977年リリースの『Alone Too Long』が、トミフラの最初のソロ作品だったのだが、このソロ・ピアノ盤は、さらにその前の録音になる。が、まあ、そんな記録的な要素は、トミフラのピアノを愛でるのには、あまり重要なことでは無い。

僕が聴いた音源は、収録曲は全11曲、収録時間46分のソロ・パフォーマンスである。収録曲は有名スタンダード曲で占められ、トミフラのピアノの個性とソロ・パフォーマンスとしての「アレンジの妙」がしっかりと確認出来る優れた内容。トミフラのパップでダイナミックな弾きっぷりが心地良い。

一旦活動を休止していたトミフラのカムバック盤は、パブロからリリースされた『A Day in Tokyo』(1975年の録音)とされていたので、その盤より1年早い、トミフラのソロ・ピアノ盤。そういう意味で、トミフラのカムバックは1974年ということになるのか。いやはや、不思議なソロ・ピアノ盤がリイシューされたものだ。2021年になっても、まだこういう音源がリイシューされるのだから、ジャズって面白い音楽ジャンルだと思うのだ。
 
 
 
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2021年8月11日 (水曜日)

変わった素性のピアノ・ソロ盤

とても変わった素性のピアノ・ソロ盤もある。音を聴けば、明らかにキース・ジャレットなんだが、タッチが少し違う。ピアノのタッチが重き霧クラシック寄りなのだ。しっかり堅実、端正に鍵盤を叩き、押し込む。昔、社会人になりたての頃、「秘密の喫茶店」で、ママさんにブラインド・テストみたいに聴かされた盤なんだが、しばらく忘れていた。

Dennis Russell Davies『Keith Jarrett / Ritual』(写真)。1977年6月の録音。1982年、ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Dennis Russell Davies (p)。デニス・ラッセル・デイヴィスのソロ・ピアノ盤。

デニス・ラッセル・デイヴィスは米国ジュリアード音楽院出身のクラシックの指揮者。ピアニストでもある。本業は指揮者、ピアニストは副業の位置づけだが、クラシック・ピアニストとしても十分に認められているらしい。 1944年生まれなので、このソロ盤の録音時は、まだ33歳。若きクラシックの有望株である。

改めて、この盤、キース・ジャレット作曲のピアノ・ソロ曲を、デニス・ラッセル・デイヴィスがピアノで弾く、という、ちょっと変わったソロ・ピアノ盤である。くどいようだが、キースは作曲のみで、演奏はしていない。
 

Ritual-dennis-russell-davis

 
さすがに、キース・ジャレットの作曲なので、演奏のそこかしこに「キース節」が散りばめられている。演奏を聴いていると、演奏の構成自体は、キースのソロ・パフォーマンスと同様で、キースのソロ・ピアノの即興演奏をそのまま、楽譜に落とした様な趣である。しかし、しばらく聴いていて「これってキースやん」って判る位なので、キースの紡ぎ出すフレーズって、思いっ切り個性的なんだなあ、と改めて感心する。

デニス・ラッセル・デイヴィスのピアニストとしての個性はほぼ無い。キースと比較すると、キースより、ピアノ・タッチがしっかり堅実、端正に鍵盤を叩き、押し込んでいる。高音域の切れ味についてはキースの方が先鋭的。アブストラクトにフリーに即興演奏として自由度を追求することは無い。あくまで基本はクラシック・ピアノ。キースの譜面通りに弾き進めている様子が強く感じられる。

このピアノ・ソロ盤の中にあるのは、キース独特の手癖やフレーズ、音のカラーや重ね方で、そういう意味では、デニス・ラッセル・デイヴィスのクラシックのピアニストとしての技術は相当高いものが有るように思う。

しかし、ユニークなソロ・ピアノ盤である。ネット上でのアルバム評を見ていると、この盤をキースのソロ・ピアノ盤と勘違いしている向きもある。まあ、無理も無いですね。でも、確かに、このピアノ・ソロ盤、キースのソロ・パフォーマンスの代わりとしても楽しめる内容になっています。
 
 
 
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2021年8月10日 (火曜日)

ケニー・ワーナーのソロ・ピアノ

このところ、酷暑の日が続くわ、台風は来るわ、で、エアコンの効いた部屋の中で、大人しく、シンプルで聴き心地の良いソロ・ピアノ盤を好んで聴いている。ソロ・ピアノというのは、そのジャズ・ピアニストの個性と志向がとても良く判る。そのピアニストの持つテクニックのレベルも判るし、今までに体験してきた音楽のトレンドも良く判る。

ケニー・ワーナー(Kenny Wener)。1951年11月、米ブルックリン生まれのジャズ・ピアニスト&コンポーザー。高校在学中からマンハッタン音楽大学のコースに参加、クラシックへの思いを深める。その後、ジャズへ転向。1970年にバークレー音楽大学へ編入。以降、多数の一流ミュージシャンと共演。また、盟友ジョー・ロヴァーノとのアルバムでも好演が聴ける。現在、NY在住で活動中。

Kenny Werner『Solo In Stuttgart』(写真左)。1992年6月10日、独シュトゥットガルトのSDR(Süddeutscher Rundfunk)のスタジオホールでの録音。ケニー・ワーナーのソロ・ピアノ盤。ケニー・ワーナーがシュトゥットガルト公演に臨んだ1992年は、ソロ・ピアノのパフォーマンスを追求し始めた頃。恐らく、ワーナーの初ソロ・ピアノ盤だと思う。
 

Solo-in-stuttgart

 
収録曲は「Dolphin Dance」「Lorraine My Sweet」「Blue in Green」「All the Things You Are」「Anniversary Waltz」「In Your Own Sweet Way」と、「グレイト・アメリカン・ソングブック(アメリカン・スタンダーズ)」をベースにしたもの。ソロ・パフォーマンスと相まって、ワーナーのピアノの個性と志向がとても良く判る。

テクニックはとびきり優秀。高速パッセージも難なくこなす。破綻や揺らぎは全く無い。リズム&ビートは仄かにアーシーではあるが、ファンクネスは希薄。欧州ジャズ系のピアノの響きである。タッチがやや骨太ではあるが、耽美的でリリカルな表現も上々で、エレガンス漂う洗練されたもの。尖った繊細さは無い。アブストラクトな表現も控えめではあるが素性確かなもの。

我が国ではあまり馴染みの無いピアニストではあるが、このソロ盤を聴く限り、本場NYで評価が高く、多くのジャズマンからの共演オファーを受けているのも頷ける。特にアメリカン・スタンダーズ曲における、その親しみやすいメロディに乗せたクリエイティヴなパフォーマンスは素晴らしいの一言。このケニー・ワーナーというピアニスト、もっと他のリーダー作を聴いてみたくなった。
 
 
 
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2021年8月 9日 (月曜日)

イブラヒムのピアノの近況。

僕の大好きなピアニストの1人。フォーキーでワールド・ミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを全面的に押し出して、そのまんまのジャズ・ピアノをずっとイチ押しで弾き続けているピアニストが「Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)」。

1934年10月、南アフリカ連邦のケープタウン生まれ。1965年に米国に渡り、1968年にはイスラム教に改宗。モンクやエリントンの影響を受けつつ、独特な音世界を確立。絵に描いた様な、フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノは聴いていて、ジャズの音の原風景を彷彿とさせてくれる。

Abdullah Ibrahim『Dream Time』(写真左)。2019年3月17日、ドイツのゼルフーベン「Hirzheim Concert Hall」でのライヴ録音。ENJAレコードからのリリース。本盤の録音時、85歳の大ベテラン、アブドゥーラ・イブラヒムのソロ・ピアノ。ソロ・ピアノなので、イブラヒムのピアノの近況が良く判る内容となっている。
 

Dream-time-1

 
長短含め全20曲。最初の6曲くらいは、耽美的でリリカルでクールなピアノ・ソロが続いて、ちょっと「あれっ」と思う。しかし、7曲目の「Capetown District Six」から、徐々に「アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノ」が前面で出てくる。以前は重心が低く、アーシーな度合いが高かったが、この盤では、シュッとクールにスマートになって、「クールでアーシー、クールでゴスペルチック」な雰囲気が新しく感じる。

ブルースあり、エリントン・トリビュートあり、ボレロあり、バラードあり、とても多彩なソロ・ピアノ。イブラヒムのピアニストとしての力量と経験の豊富さがビンビンに伝わってくる。様々な雰囲気の曲と多彩な弾きっぷりで、長短含め全20曲、緩むことは全く無いし、飽きることは全く無い。非常に充実したピアノ・ソロである。これが、録音当時、85歳のパフォーマンスというのだから「恐れ入る」。

録音当時は85歳、今年で87歳。もはや「レジェンド」である。しかし、このソロ・ピアノを聴くと、とてもそんな高齢のパフォーマンスとは思えない。特に、前半6曲の新境地っぽい「耽美的でリリカルなピアノ」は、音に張りがあって、指捌きは的確。まだまだ第一線で活躍出来るな、と頼もしく思った。イブラヒムのピアノ、まだまだ衰えることは無い。
 
 
 
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2021年8月 3日 (火曜日)

90年代のブレイのソロ・ピアノ

Paul Bley(ポール・ブレイ)。久しく、このピアニストの名前を忘れていた。基本は「余白」を活かしたリリカルで耽美的なピアノであるが、アドリブ部は突如フリーキーに展開し、アブストラクトにブレイクダウンする。この「落差」が堪らない。このダイナミックな展開が「即興演奏の魅力」であり、ジャズの「創造力の魅力」であると思うのだ。

Paul Bley『Sweet Time』(写真左)。1993年8月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Bley (p)。ポール・ブレイのソロ・ピアノ盤になる。ポール・ブレイのソロ・ピアノ盤と言えば『Open, to Love』(ECM・1972)が頭に浮かぶが、基本的な部分は変わっていないが、ECM盤に漂う「小難しさ」は無く、ブレイの個性がシンプルに判り易いソロ・ピアノになっている。

ポール・ブレイは、カナダ・モントリオール出身のピアニスト。1960年代はフリー・ジャズがメイン。高いテクニックで、フリーキーにアブストラクトに展開するパフォーマンスは圧巻。ではあるが、とにかく「難解」。フリー・ジャズの好きなジャズ者の方々には必須アイテムではあるが、通常のジャズ者の方々にはかなりの「重荷」になる音世界である。
 

Sweet-time-1

 
さて、このライブ盤『Sweet Time』であるが、ECM時代の「気難しい」ところは全く無く、どこか「スッキリ」していて、ブレイのピアノの特徴である「美しくリリカルな」ものと、その合間に「激しいアブストラクトなブレイクダウン」と「思索的で静的なフリー・ジャズ」の交錯がとても良く判る。1980年代くらいまでの「強い毒気や静的な熱気」は影を潜めてはいるが、「美しくリリカル、突然フリーキー」という唐突さ、不思議な雰囲気はしっかり維持されている。

優れたバラード演奏がてんこ盛りなのもこの盤の魅力で、冒頭の「Never Again」、3曲目「Turnham Bay」、5曲目「Lost Love」、8曲目の「Started」、続く9曲目の「As Beautiful As the Moon」など、クールな浮遊感を伴ったリリカルで耽美的な、そして、時々フリーキーなバラード演奏は筆舌に尽くしがたい。崩れそうで崩れないが、時々ブレイクダウンして唐突に疾走するブレイのバラード演奏。即興演奏の極みである。

ブレイのソロ・ピアノって、基本的な部分は、1972年の初ソロ・ピアノ盤『Open, to Love』と変わっていない。この『Open, to Love』から「気難しい」表現を差し引いて、リリカルで耽美的な表現を前面に押し出したものが、この『Sweet Time』になるのかな。フリーな表現も結構入るので、単なる「美しい」ピアノ・ソロ盤では無い。ジャズ者初心者の方は気をつけていただきたい。
 
 
 
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2021年6月14日 (月曜日)

マルのソロ盤『All Alone』です

唐突であるが、ジャズ・ピアニストって、やっぱり個性がハッキリしていた方が面白い、と思うのだ。21世紀に入ってから、特にその傾向が強くなっていると感じるのだが、出てくる有望な新人ピアニストは「総合力で勝負するタイプ」が多くなった。

この総合力で勝負するタイプって、一聴して直ぐ判る様な強烈な個性が無い分、ピアニスト個人の判別は難しい。しかし、テクニック、歌心、バッキングなど、ピアニストの総合力で勝負するタイプである。このタイプ、数が多いと皆、同じに聴こえてくるから始末が悪い。

逆に、個性的なスタイルや奏法を「ウリ」にするタイプは、聴けば「あ〜あの人や」と判る位の強烈な個性で、例えば、バド・パウエルやビル・エヴァンス、マッコイ・タイナーなど、1950年代のレジェンド級のピアニストは皆、強烈な個性の持ち主である。

Mal Waldron『All Alone』(写真左)。1966年3月1日、イタリアのミラノでの録音。Mal Waldron (p) のソロ・ピアノ盤になる。1968年度 スイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞 銀賞を受賞している好盤(この頃のイングジャーナル ジャズ・ディスク大賞は信頼できる)。
 

All-alone
 

ソロ・ピアノって、そのジャズ・ピアニストの個性がハッキリ判る演奏フォーマットで、特に、個性的なスタイルや奏法を「ウリ」にするタイプについては、このソロ・ピアノの演奏を聴けば、個性が強烈な場合はワン・フレーズ聴けば、通常は1曲レベル、3〜4分聴けば、おおよそ、このソロ・ピアノは誰のピアノかが判る。

このマル・ウォルドロンのソロ・ピアノ盤、聴けば直ぐにマルのピアノだということが良く判る。思いっ切り硬質で力感溢れるタッチ、歯切れの良いアドリブ・フレーズ、叩く様なコンピング、ブルージーなブロックコード。そして、演奏全体に漂う哀愁感。

冒頭のタイトル曲「All Alone(オール・アローン〜映画「マンハッタンの哀愁」より)」を聴くだけで、このピアノの主は「マル・ウォルドロン」だと判る位、その個性が強い。マルのピアノには、最近の有望な新人ピアニストによくある「流麗さ」や「ロマンティシズム」は皆無。ダンディズム溢れ「哀愁感漂う」、硬派で純ジャズなピアノがマルのピアノの個性である。

このマルのソロ盤、当時の日本のレコード会社の制作と聞く。1960年代の日本のレコード会社の企画盤って、結構、優秀な内容が多い。1970年代以降の「売らんがため」では無い、良いジャズのアルバムを制作するという、純粋にアーティスティックな「志」の下で制作された雰囲気が強く漂う。ジャケ・デザインも優秀。好盤です。
 
 
 

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2021年6月10日 (木曜日)

チック・コリアの遺作盤である。

チックが亡くなったのが、今年の2月9日。4ヶ月が経ったことになる。僕の大のお気に入り、一番推しのピアニストだっただけに、ショックはかなり大きかった。チックが亡くなってまだ4ヶ月しか経っていないのに、もう相当長い時間が経った、と思う位に喪失感は大きい。今でも信じられない位だ。

Chick Corea『Plays』(写真)。2020年8月のリリース。Chick Corea (p) のソロ・ライヴ盤である。2018年、欧州や米国のコンサート・ホールでのソロ・パフォーマンスを収録。ちなみにパーソネルは当然のことながら Chick Corea (p), 2曲のみ異なるピアノストとのデュオで、Yaron Herman(p. 2-8)、Charles Heisser(p, 2-9)となる。

CD2枚組のボリュームでのソロ・ピアノなので「飽きるかな」と聴く前はちょっと心配したが、杞憂であった。他人の曲を前半に、後半に自作曲を持ってくるなど、選曲や曲順について十分な配慮がなされており、CD2枚組、聴き始めたら一気に最後まで聴き切ってしまった。まあ、僕の大のお気に入り、一番推しのピアニストなので当然と言えば当然か。
 

Plays-chick-corea
 

ガーシュイン、モンク、スカルラッティ、エヴァンス、ジョビン、ショパン、スクリャービン、ワンダー等、そして自作曲と、自らを含めた、偉大な作曲家の系譜を探求するかの如き選曲であり、パフォーマンスである。タッチやフレーズはもちろん「チックのマナー」で弾き進められる。

冒頭の「Mozart: Piano Sonata in F, KV332」の冒頭の1フレーズを聴くだけで「ああ、これはチックのピアノだ」とすぐ判る位、チックの個性全開で、全てのソロ・パフォーマンスが展開される。他の誰かの作曲の曲だって、あの癖の強いモンクの曲だって、全てがチックのピアノなのだ。しかも、迷い、淀み、マンネリなど微塵も感じられない。

確信に満ちた、切れ味の良い、ビート感溢れるチックのソロ・パフォーマンスは見事という他は無い。温かくウィットに富んだ観客との対話も興味深く(声を聞くだけでしみじみする)、本当に楽しそうにチックはピアノを弾いている。現時点でのこのアルバムが、チック・コリアの遺作となる。演奏だけでなくコリアの語りも収録した本作は、チック者の僕にとっては聴き応え十分。

ああ、もっともっとチックのピアノを聴きたかったなあ。
 
 
 

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