2024年3月 1日 (金曜日)

モンクの 『ソロ・オン・ヴォーグ』

ジャズの高僧・セロニアス・モンク。バップの開拓者の一人、そして、バップを超えて、唯一無二のオリジナリティを確立した「孤高のジャズ・ピアニスト」である。このピアニストの「音」は、ワンフレーズ聴いただけで直ぐに判る。出てくるハーモニー、タッチのタイミング、間の取り方、どれをとっても、それまでの西洋音楽の「音」では全く無い。

他の音楽ジャンルには無い、ジャズというジャンルで初めて現れ出た「音」。しかも、同じフレーズが繰り返されることは皆無。究極の「即興演奏」を旨としたピアノ。ジャズの中で「一番ジャズらしい」ピアノとも言える。フレーズの音の「跳び方」も、他の音楽ジャンルには「ありえない」跳び方。しかし、その「ありえない」跳び方には、しっかりとジャジーで鋭角なスイング感が潜んでいて、独特のグルーヴ感を醸し出している。

Thelonious Monk『Solo 1954/Piano Solo』(写真左)。邦題『ソロ・オン・ヴォーグ』(写真右)。1954年6月、パリでの録音。パーソネルは、Thelonious Monk (p) のみ。フランスのレーベル、Disques Vogue からリリース。セロニアス・モンクの生涯初のソロピアノ・アルバム。元々はラジオ放送用の音源だったらしい。音的にはまずまずのレベル。最新のCDはリマスターが効いていて鑑賞に耐えるレベルになっている。
 

Thelonious-monksolo-1954piano-solo1

 
モンクだけのソロピアノの演奏なので、モンクのピアノの特殊性、独創性がとても良く判る。クラシックをメインとする西洋音楽、それをベースとしたポップスやロックを聴き慣れた耳には「違和感」ありまくり、のモンクのピアノ。しかし、このジャズというジャンルで初めて現れ出た、究極の「即興演奏」を旨としたピアノの特徴がとても良く判る。

モンクのピアノは自作曲で一番輝く。この盤では、「'Round About Midnight」「Evidence」「Well, You Needn't」といったモンク作の名曲の自演が素晴らしい。しかし、この盤に収録されている、モンク流のアレンジによる、スタンダード曲の「Smoke Gets in Your Eyes(煙が目にしみる)」の革新的なカヴァーも素晴らしい。

この『ソロ・オン・ヴォーグ』は、モンク・ミュージックを構成する「要素」が完璧に記録されている、モンク・ミュージック入門に相応しい名盤。ジャズ者初心者の方々には、最初は「違和感」ありまくりかもしれない。それでも、ジャズに対する理解が深まるにつれ、この盤を聴く度に、モンクのピアノの「真髄」に触れる機会が多くなる。そんな長いレンジで聴き親しむ類の名盤だと思います。
 
 

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2024年2月23日 (金曜日)

後を継ぐ者・ニタイのソロ盤

2018年、キース・ジャレットが脳卒中に倒れ、復帰の見込みが立たなくなって、キースの様な耽美的でリリカル、クラシック風味の創造的なソロ・ピアノの担い手が見当たらなくなった。というか、この10年くらい、キース以外で、ソロ・ピアノのアルバムがめっきり少なくなったと感じている。

Nitai Hershkovits『Call On The Old Wise』(写真左)。2022年6月、スイス ルガノのコンサート ホール「Auditorio Stelio Molo RSI」での録音。ECMレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Nitai Hershkovits (p)。イスラエル出身の若手有望ピアニスト、ニタイ・ハーシュコヴィッツのソロ・ピアノ盤である。

ニタイ・ハーシュコヴィッツ(Nitai Hershkovits)は、1988年2月21日イスラエル生まれ。モロッコ人の母とポーランド人の父の間に生まれる。15歳でピアノに転向、テルアビヴ近郊のジャズ・コンクールで何度か優勝したが、その後、ジャズとクラシック両方を学ぶ。そして、アヴィシャイ・コーエンのトリオに5年間在籍した後(2011~2016年)、NYに活動拠点を移動し、現在に至る。若手ジャズ・ピアニストの有望株である。

さて、このソロ・ピアノ盤、短いものは1分ちょっと、長くても4分ちょっとの短いパフォーマンスが18曲続く。が、曲毎のトーンとイメージが整っているので、1曲毎の曲の短さは気にならない。曲毎にキーやフレーズやタッチが異なるので、バリエーション豊かなロング・レンジのソロ・パフォーマンスにも聴こえる。
 

Nitai-hershkovitscall-on-the-old-wise

 
即興演奏を中心としたソロ・パフォーマンスで、ジャズの文脈を基本とするが、クラシックの音要素が見え隠れする。タッチは明確、フレーズは耽美的でリリカル。キースと比較すると、キースより弾き回しはドライで、感情移入も控えめ。フレーズの展開は詩的でシンプルで、キースよりもクラシック的要素は濃い。

スタジオ録音なので、よく吟味され、リハーサルされたであろう、一期一会の即興フレーズが止めどなく流れてくる。感情移入が控えめなので、フレーズの抑揚は少し地味に聴こえるが、弾き回しは色彩豊かで軽快で単調にはならないので、聴いていて飽きがこない。

親しみやすいメロディー、明確で暖かいタッチは、キースとチックの間を行くような感じの「ニタイならでは」のソロ・パフォーマンス。ピアノの腕前はかなりレベルの高いところにあって、そういう面でも、キースとかチックとかのソロ・ピアノの「後を継ぐ」逸材が現れ出た、という感じを強く持った。

マンフレート・アイヒャーがプロデュース。さすがアイヒャー、ソロ・ピアノのなかなかの逸材を発掘したなあ、と感心する。アイヒャーの慧眼恐るべし、である。
 
 

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2024年1月21日 (日曜日)

ハービーのソロ『The Piano』

ハービー・ハンコックは「2つの顔」を持つ。一つは、メインストリーム系、アコピをモーダルに弾きまくるバリバリ硬派な「純ジャズ志向」、もう一つは、判り易くてポップな、エレピやシンセを駆使した「ジャズ・ファンク志向」。どちらの顔も超一流。どちらの志向も、ジャズ史に残る立派な成果をしっかりと残している。

Herbie Hancock『The Piano』(写真左)。1978年10月25–26日の録音。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (p)。ハービー・ハンコックのキャリアの中で唯一のアコースティック・ピアノ一本のソロ・パフォーマンス。

1978年、ハービー・ハンコックが来日時、ジャズ・ファンク志向の『Directstep』録音の後、一週間後、同じく新設のSME信濃町スタジオに入り、『Directstep』と同様に、ダイレクト・カッティング方式で録音したアルバム。翌年1月に日本限定盤として、『Directstep』と併せてリリースされている。

アナログディスク、いわゆるLPでのA面は大スタンダード大会。「My Funny Valentine」「On Green Dolphin Street」「Some Day My Prince Will Come」。どこから聴いても「大スタンダード曲」。

これがかなりスッキリした出来で肩透かしを喰らう。アレンジも平易、弾きっぷりもシンプル。キースやチックと比べると、明らかに物足りなさを感じる。ただし、リリカルさと耽美的なフレーズはハービーらしからぬ、ハービーとして新しい響き。これは「聴きもの」。
 

Herbie-hancockthe-piano

 
アナログディスク、いわゆるLPでのB面は、ハービー・ハンコックの自作曲集。こちらの方は、ハービー自らの作曲らしく、ハービーのモーダルな弾きっぷりが映えるアレンジと展開が備わっていて聴き応えがある。

B面2曲目の「Sonrisa」は、そんな中でも名曲名演。ハービーはスタンダード曲よりもファンクネスの濃い、ジャズ・ファンク志向の自作曲の方が、ソロ・ピアノの素材に合っているようだ。

ただ、このハービーのキャリアの中で唯一のアコピ一本のソロ・アルバムを聴いていると、ハービーって、ピアノ・ソロって、あんまり好きじゃなかったのではないか、と思う。ダイレクト・カッティング方式という「一発勝負」の録音環境と相まって、かなり安全運転的な弾き回しになっていて、ちょっと隔靴掻痒というか、何となく物足りなさを感じてしまう。

僕はこの盤を入手して以来、CDリイシューを入手してからも、LP時代のB面ばかりを聴いている。このB面の4曲には、辛うじて「ハービーらしさ」が詰まっている。ハービーらしさとは、理知的なモードと軽やかなファンクネス。このハービー唯一のソロ・ピアノ盤は、CDでの4曲目から7曲目が聴きもの。

そうそう、CDのボートラの8曲目以降はオミット。ハービーの『The Piano』は、LP時代の7曲だけで十分である。
 
 

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2023年12月25日 (月曜日)

ビルのThe Solo Sessions, Vol.2

録音当時、直ちにリリースされた訳では無く、エヴァンスの死後、1985年に「The Complete Riverside Recordings」というBOX Setの中で初めて日の目を見た「お蔵入り」音源。アルバム化は、1989年に、まず「Vol.1」が、そして、1992年に「Vol.2」が単体でリリースされた。

ビル・エヴァンスのソロ・ピアノ盤『The Solo Sessions, Vol.1&2」。リリース当時、不当と思われるほど、不憫な評価を受けている。その評価を読んで、エヴァンスの唯一の駄盤として、遠ざけているジャズ者の方々も沢山いる。しかし、こういう不憫な評価を受けている盤は、本当に「エヴァンスの駄盤」なのかどうか、実際に自分の耳で聴いてみるのが一番。

Bill Evans『The Solo Sessions, Vol.2』(写真左)。1963年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p) ただ一人。そう、この盤はビル・エヴァンスのソロ・ピアノ集。『The Solo Sessions, Vol.1』の続編として、1992年にリリースされている。

この盤でも、エヴァンスの「即興演奏の妙」が楽しめる。「Vol.1」と同じく、全曲スタンダード曲で、ビル独特の「音色と弾き回し」が確認し易く、即興演奏化していくビル独特の感覚を感じ取ることが出来る。
 

Billevansthesolosessionsvol2

 
また、「ビル独特のバップな弾き回し」と「フレーズの音の広がりと間を生かした、耽美的でリリカルな弾き回し」の2面性が、この盤でもしっかり確認できる。この2面性がビルの重要な個性でもある。

「All the Things You Are」や「I Loves You,Porgy」は、「フレーズの音の広がりと間を生かした、耽美的でリリカルな弾き回し」の最たるものだし、ビルのお気に入り「"Santa Claus Is Coming to Town」や、チャーリー・パーカーの「Ornithology」は、飛び跳ねるように軽快な「ビル独特のバップな弾き回し」の最たるもの。

いきなりスタジオに入って、ピアノの前に座って、いきなり即興演奏として、お気に入りのスタンダード曲を弾くのだから、演奏の精度、曲全体の出来には、少しばらつきがあったりするのは仕方が無いだろう。このビルのソロ・ピアノの演奏は、美術で言う「デッサン」もしくは「下書き」の様な雰囲気。つまりは、ピアノ演奏の完成形の土台になるものなので、何度聴いても、新しい発見があって、興味は尽きない。

ということで、このビルのソロ・ピアノ盤『The Solo Sessions, Vol.2』についても、決して、聴くに値しない駄盤ではなく、ビルのピアノのビル独特の「音色と弾き回し」を確認できる、意外と面白い内容のソロ・ピアノ盤なのだ。
 
 

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2023年12月24日 (日曜日)

ビルのThe Solo Sessions, Vol.1

ビル・エヴァンスは、ビルは後続のジャズ・ピアニストに多大な影響を与えた「ジャズ・ピアノの代表的スタイリスト」の一人。フレーズの作り方、音の重ね方、音の響き、それぞれにビル独特の「音色と弾き回し」がある。そんなビルの「音色と弾き回し」を感じるには、ソロ・ピアノが一番。

Bill Evans『The Solo Sessions, Vol.1』(写真左)。1963年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p) ただ一人。そう、この盤はビル・エヴァンスのソロ・ピアノ集。ただ、録音当時、直ちにリリースされた訳では無く、エヴァンスの死後、1985年に「The Complete Riverside Recordings」というBOX Setの中で初めて日の目を見た「お蔵入り」音源。

アルバム化は、1989年に、まず「Vol.1」が、そして、1992年に「Vol.2」が単体でリリースされている。ビルのソロ・ピアノ盤の2枚であるが、リリース当時は、不当と思われるほど、不憫な評価を受けているから不思議だ。その主な理由が「契約の消化演奏のようなもの」と「リハーサルもどきの演奏が混在する」そして「ベーシストのラファロが事故死で失った後、そのショックから演奏の雰囲気が退廃的で陰鬱」の3点に集中している。

「契約の消化演奏のようなもの」というのは、確かにこのソロ演奏は、Verve移籍が決まり、Riversideとの契約を消化するためにスタジオ入りして録音したものなので、消化試合みたいなもので、気合が入っていない、という評価。それって、契約消化する為の録音だから「取るに足らない」と決めつけるのはどうかと思う。まずはしっかり聴いてからの評価にして欲しいものだ。

続く「リハーサルもどきの演奏が混在する」というのは、このソロ演奏、事前に譜面やモチーフを用意して、繰り返しリハを積んで録音に臨んだもので無く、ピアノに座って、いきなり即興演奏の如く弾き進めたものらしい。
 

Bill-evansthe-solo-sessions-vol1

 
それって、キース・ジャレットらのソロ演奏と同じ類のもので、当然、フレーズやリズムを決めるまで、コンピングや同じフレーズを連続してイマージネーションが出てくるの待つ様な瞬間は、即興演奏には必ずあって、それを「リハーサルもどき」と評価するなら、純粋な即興演奏など存在しないことになる。それはジャズ演奏を評価する上で疑問である。

そして「ベーシストのラファロが事故死で失った後の録音で、そのショックから演奏の雰囲気が退廃的で陰鬱」とあるが、この『The Solo Sessions, Vol.1』は僕のお気に入り盤として、何度も繰り返し聴いてきているのだが、退廃的で陰鬱、と感じたことは無い。

ビルのピアノの個性の一つである「フレーズの音の広がりと間を生かした、耽美的でリリカルな弾き回し」は散見されるが、基本はビル独特のバップなピアノ。それを「退廃的で陰鬱」と決めつけるのはどうかと思う。それでは『Waltz for Debby』や『Moon Beams』も同類な評価となる。それは違うだろう。

全曲スタンダード曲なのも、ビル独特の「音色と弾き回し」が確認し易い理由の一つ。有名スタンダード曲を、ビル独特の感覚で即興演奏化していく様は実に興味深い。

冒頭の「What Kind of Fool Am I?」のフレーズを聴くだけで、これはビル・エヴァンスと判るほどの「音色と弾き回し」は、さすが「ジャズ・ピアノの代表的スタイリスト」の一人なんだ、ということを強烈に再認識する。

2曲目の「Medley: My Favorite Things/Easy to Love/Baubles, Bangles, & Beads」や、4曲目の「Medley: Spartacus Love Theme/Nardis」は、メドレーの演奏が故、ビル独特の即興演奏の妙と面白みを十分に感じることが出来る。

ということで、このビルのソロ・ピアノ盤については、決して、聴くに値しない駄盤ではなく、ビルのピアノのビル独特の「音色と弾き回し」を確認できる、意外と面白い内容のソロ・ピアノ盤なのだ。
 
 

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2023年10月 3日 (火曜日)

チックの個性が出揃ったソロ盤

チック・コリアの逝去の伴い、2022年5月、今一度、チック・コリアのリーダー作を「今の耳」で聴き直す作業に入った訳だが、今年に入って、いろいろ、私生活で面倒なことが相次ぎ、8ヶ月間、開店休業状態だった。が、やっと整理できて、今日、再開である。

チック・コリアはデビュー当時、新主流派の一歩先を行く、ばりばりのメンストリーム系の純ジャズの担い手で、モードからフリーまで、硬派な純ジャズをガンガンやっていた。そして、マイルスにスカウトされ、エレ・マイルスのバンドでキーボードを担当。チック独特のモードから現代音楽っぽいフリーなマナーで、ローズをバリバリに弾きまくっていた。当然、マイルスからの影響は大きく、1969年5月録音の『Sundance』まで、マイルスの影響は大であった。

が、チックは、その「エレ・マイルスからの音楽的影響」からの脱却を図る。チック自身のオリジナリティーを表現する為、欧州のECMレーベルと契約する。ECMレーベルの総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの下、米国ジャズの影響下から脱して、欧州ジャズにおける「チック独特のモードから現代音楽っぽいフリー」を追求する。

Chick Corea『Piano Improvisations, Vol.1』(写真左)。1971年4月21, 22日の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p) のみ。チック・コリアの初ソロ・ピアノ盤。ソロ・ピアノは、その演奏するピアニストの個性が露わになる、というが、このチックのソロ盤は「その通り」の、ソロ・ピアノの名盤である。
 

Chick-coreapiano-improvisations-vol

 
チック;コリアの音楽性の1つに「ファンタジーとロマンティシズム」があるが、これは、恐らく、クラシック音楽からの影響、特に、欧州ジャズのジャズ・ピアノ(特に北欧ジャズなど)に触発されて表出した個性だと思われる。その表出が、このソロ盤のA面にある。冒頭の「Noon Song」など、チックの「ファンタジーとロマンティシズム」が蔓延している。これは、当時のジャズとして、新しい表現だった。メロディアスで流麗、キャッチャーなフレーズ。チックの面目躍如である。

そして、欧州ジャズの影響下での「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」は、A面の2曲目以降、「Song for Sally」から「Sometime Ago」に満載。この欧州ジャズの影響下での「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」が、チックの、この盤以降の「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」の基本となっていく。後のアルバムに現れる個性的なフレーズの断片が、このA面に散りばめている。

B面は「チック独特のフリーな演奏」がてんこ盛り。この欧州ジャズの影響下でのチックのフリーなピアノ演奏は圧巻。フレーズの基本は「現代音楽」と「現代クラシック」。そこにハイテクニックで硬質なタッチのチックが、様々なバリエーションの、チック独特のフレーズが湯水の如く湧いて来る。イマージネーションの幅広さと奥深さ。チックの才能の凄さを再認識する。

ECMレーベルに移籍して、まずは『A.R.C.』で、「限りなく自由度の高いモーダルな演奏からフリー」をぶっ放したチックであるが、このソロ・ピアノ盤で「ファンタジーとロマンティシズム」、そして「チック独特のキャッチャーでモーダルな演奏」が露わになった。この『Piano Improvisations, Vol.1』で、チックの個性が出揃った。ECMレーベルに移籍して正解だったことになる。
 
 

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2023年9月22日 (金曜日)

ザイトリンのソロ・ピアノ集

この3日間、中京地区に逗留していた訳だが、往き帰りの新幹線の中は、またとない「ジャズ盤傾聴」の機会。意外と新幹線の車内は静かで、ジャズ盤がしっかり聴き込むことが出来る。今回もソロピアノを中心に聴き込んだのだが、これがまたなかなか内容のある盤ばかりでご満悦である。

デニー・ザイトリン(Denny Zeitlin)は、「医師とジャズ・ピアニスト」という二足の草鞋を履く異色の人物。しかも、医師は医師でも精神科医。本業である精神科医の仕事をこなす傍ら、プロのピアニストとしての活動も続けてきた「異色中の異色なジャズ・ピアニスト」である。

Denny Zeitlin『Crazy Rhythms・Exploring George Gershwin』(写真左)。2018年12月7日「Piedmont Piano Company, Oakland」での録音。ちなみにパーソネルは、Denny Zeitlin (p) のみ。「異色中の異色なジャズ・ピアニスト」であるデニー・ザイトリンのソロ・ピアノのライヴ録音。現時点でのザイトリンの最新作になる。

ザイトリンは、この2018年に開かれたコンサートでアメリカの偉大な作曲家「ジョージ・ガーシュイン」のトリビュートとして、このソロ・ピアノのライヴ盤を録音している。が、このソロ・ピアノのパフォーマンス、ザイトリンのピアノの個性が手に取るように判るパフォーマンスがしっかり記録されていて、ザイトリンの個性を確認するのに最適なライヴ盤になっている。
 

Denny-zeitlincrazy-rhythmsexploring-geor

 
前のブログで「ザイトリンのピアノは、ビル・エヴァンスのピアノから、翳りを除いて硬質で明快なタッチに置き換えた様な、明るい弾き回し。しかし、音の重ね方やヴォイシングはエヴァンスより複雑で個性的」と書いたが、このザイトリンのピアノの特徴が、このソロ・ピアノのライブ盤でとても良く判るのだ。

冒頭の「Summertime」。この手垢の付いた「超スタンダード」な楽曲なのだが、冒頭の弾き回しを聴いていると「あれ、ビル・エヴァンスかな」と思うんだが、聴き進めると、まず音の重ね方が違う。エヴァンスよりも複雑で陰影が濃い。そして、タッチが違う。ザイトリンの方が硬質で調高速な弾き回しに破綻が無い。そもそも、ビル・エヴァンスは、こんな超高速な弾き回しはしない。そして、ヴォイシングが違う。そもそも音の選び方が、聴いて直ぐ判るくらいに違う。

加えて、アレンジが秀逸。演奏されるどの曲もひと味もふた味も違うアレンジが施されているのだが、特に「The Man I Love」など、今までの「The Man I Love」のアレンジはしっとりとしたバラード調のものばかりだったが、ザイトリンのアレンジは、アグレッシブでスクエア。まるで流麗な「モンク」が弾き進めている様な音作り。この辺が、ザイトリンのアレンジの個性的なところである。

全編聴き通すと、確かに「エヴァンス派」と呼べなくはないのだが、弾き回しのニュアンスが似通っているだけで、後は皆、違う個性なのだから、ザイトリン独特の個性として認めても良いのでは無いか、と思う。それほど、このライヴ盤ではザイトリンの個性が際立っている。
 
 

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2023年8月 2日 (水曜日)

スヴェンソンのソロ・ピアノ盤

北欧ジャズがずっと、お気に入りである。そして、突如、今年になって、北欧ジャズをしっかり聴き直そうと思い立った。米国ジャズから始まって、和ジャズ、欧州ジャズ、そして、最後に北欧ジャズ。ジャズを約半世紀、ずっと聴いてきたが、ようやく北欧ジャズを聴き直すタイミングになってきた。

北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、クールに盛り上がるエモーショナルな表現。耽美的でリリカル、情感溢れるフレーズ。北欧ジャズには独特の響きがある。これが良い。

Esbjörn Svensson『HOME.S.』(写真左)。2008年春の録音。ちなみにパーソネルは、Esbjörn Svensson (p)。北欧ジャズで有名なエスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.) のリーダー、スヴェンソンのソロ・ピアノ盤。

エスビョルン・スヴェンソンが、2008年6月14日、ストックホルム近くの小島で、スキューバダイビング中の不慮の事故で亡くなるわずか数週間前に、彼の自宅で録音されたソロ・ピアノ音源。スヴェンソンの急逝後、妻のエヴァ・スヴェンソンによって、ハードディスクの中から発見された未発表音源。
 

Esbjorn-svenssonhomes

 
44歳での録音。天国からの贈り物。全9曲がオリジナル。それぞれの曲名がちょっと不思議なタイトルで、これって何だ、と思っていたのだが、資料によると、スヴェンソン本人が急逝した為、全ての曲のタイトルは決められていなかったので、宇宙が好きだった彼の想いを汲み、ギリシャ語のアルファベットにしたとのこと。なるほど。

硬質で力感溢れる打鍵、流麗な高速フレーズ。踊るように弾むタッチ、麗しい高揚感。内省的で静的、そして透明感溢れる響き。そして、フレーズの底に流れる「ジャジー&ブルージー」な感覚。耽美的でリリカル、それでいて力強く、強い意志を感じる、素晴らしいソロ・ピアノ。北欧ジャズの個性の全てを反映、包含したスヴェンソンのピアノは限りなく美しい。

「クールな熱気」ある弾き回しに思わず引き込まれる。スヴェンソン独自のメロディックな即興演奏。北欧ジャズを代表するソロ・ピアノのパフォーマンスの記録だろう。よくぞ発見されたと思う。

妻のエヴァ・スヴェンソン曰く「まるでエスビョルンの声が部屋の中に聞こえるようです。彼はまだ言いたいこと、伝えたいことがあるのです」。激しく合意する。久々に聴き応えのあるソロ・ピアノに出会った。
 
 

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2023年7月15日 (土曜日)

メルドーのビートルズのジャズ化

ジャズ・ピアノの次世代を担うリーダー格の「ブラッド・メルドー」。1990年代、キース・チック・ハービーの後を継ぐ正統な後継者と目されて以来、初リーダー作から30年が経って、今年でメルドーも53歳。ジャズ・ピアニストとしては、充実し切った中堅の時代。流麗で耽美的でリリカルでモーダルな、ビル・エヴァンス以降のモダン・ピアノの後継として、その存在は実に大きい。

メルドーは若手の時代から、チャレンジ精神旺盛で、ビートルズの楽曲のジャズ化にチャレンジしたり、スタンダード曲も殆どマイナーな存在の曲を選曲したりして、聴き手に迎合すること無く、自らのやりたい、演奏したいピアノ・ジャズを積極的に展開してきた。最近では、プログレッシヴ・ロックの有名曲のジャズ化にチャレンジ、素晴らしい成果を披露している。

これが実に見事なプログレのジャズ化で、思わずひどく感心してしまった。実は僕は今を去ること50年ほど前、バリバリの「プログレ小僧」で、今でも時々、プログレを聴いてしみじみしたりしている。もちろん、メルドーのカバッているプログレ曲は全て判る。そんな背景もあって、このメルドーのジャズ化については「度肝を抜かれた」。完璧にジャズ化されているプログレ名曲の数々。素晴らしい成果だった。

Brad Mehldau『Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles』(写真左)。2020年9月、フィルハーモニー・ド・パリでのライヴ録音。2023年2月のリリース。パーソネルは、Brad Mehldau (p) のみ。ブラッド・メルドーのソロ・ピアノによる「ビートルズのカヴァー」盤。

これがまあ見事な内容で、聴いてビックリした。ビートルズの楽曲ってコード進行がヘンテコな曲が多くて、ジャズ化の難度が高い。ジャズ化がやり易い曲もあって、「Here, There And Everywhere」や「Something」は結構、内容の良いジャズ化がなされている。
 

Your-mother-should-know-brad-mehldau-pla

 
が、概ね、ビートルズの楽曲の特別な旋律をなぞる「イージーリスニング」風のアレンジが多くて、即興演奏を旨とするモダン・ジャズ化についてはあまり進んでいたとは言い難い。

が、このメルドーのビートルズ曲のジャズ化はとても良く出来ている。ビートルズの楽曲の持つ特別な旋律のイメージをしっかり保持しつつ、ヘンテコなコード進行の曲を、モーダルなフレーズに変換して、ジャジーなアドリブ展開にも十分耐える、そんなアレンジが見事。曲名だけ見たら、このビートルズ曲をジャズ化したのか、上手くいったのかなあ、と心配してしまう曲がズラリと並ぶが、見事にジャズ化のアレンジが施されていて、違和感が全く無い。

また、ビートルズの楽曲って、リズム&ビートがユニークな曲が多くて、単純な4ビートや8ビートに乗せると、かなり単調なジャズ曲に聴こえてしまうリスクが高いのだが、メルドーは、メルドーのピアノの個性のひとつ「右手と左手が別人格」な弾き回しを駆使して、ビートルズのそれぞれの楽曲の持つ、特徴あるリズム&ビートのジャズ化を実現している。

メルドーのビートルズ曲のジャズ化って、ビートルズ曲のジャズ化としても、ジャズ化したビートルズ曲としても、どちらの側面でもしっかりと楽しめるし、聴き応えがある。このビートルズ曲がをジャズ化するとこうなるのか、とも思うし、これってジャズ化されたあのビートルズ曲やね、とも思う。実に良く出来たビートルズのジャズ化の数々である。

メルドーのピアノの個性全開、素晴らしいアレンジと弾き回しで、この盤のビートルズ曲のジャズ化は成功している。見事である。ちなみにラストの「Life on Mars?」は、ビートルズ曲では無いです。これ、デヴィッド・ボウイの名曲のジャズ化です。
 
 

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2022年12月20日 (火曜日)

メイバーン初期のソロ・ピアノ

Harold Mabern(ハロルド・メイバーン)は、僕のお気に入りのピアニストの1人である。メイバーンはテネシー州メンフィス出身。1936年3月生まれ、2019年9月17日に惜しくも鬼籍に入っている。享年84歳。1968年に初リーダー作、意外とサイドマンでの活躍が目立っているが、リーダー作は多い。自身では2002年にヴィーナス・レコードに録音した『Kiss of Fire』が一番売れたリーダー作だ、としている。

Harold Mabern『Joy Spring』(写真左)。1985年の録音。ちなみにパーソネルは、Harold Mabern (p)。ドライブ感溢れるファンキー・ピアニスト、ハロルド・メイバーンのソロ・ピアノ盤。カナダのトロントの「カフェ・デ・コパン」でのライヴ録音。ラジオでも放送されたとのこと。

活動初期の頃のソロ・ピアノ盤なので、演奏するピアニストの個性がシンプルに判り易い。そして、このライヴ盤は、収録曲のほとんどはスタンダード曲で占められている。他のピアニストとの比較がし易い。メイバーンのピアノを理解するには恰好のアルバムである。
 

Harold-mabernjoy-spring

 
メイバーンのピアノは、明快で切れ味の良い、重量感溢れるタッチ。適度なテンションの下、アグレッシヴでポジティヴな、ドライヴ感溢れる弾き回し。濃厚に漂うファンクネス。このメイバーンのピアノ・ソロを聴いていて、思わず、レイ・ブライアントの『Alone at Montreux』を思い出した。

しかし、どこか似ているのだが、基本的にメイバーンのタッチの方がエッジが立っていて硬質。フレーズはメイバーンの方が「シュッと」している。こってこてファンキーなピアノであることには違いない。この「スッキリ&カッチリしたファンクネス」がメイバーンの個性であり、他のファンキー・ピアニストとの「差異化要素」である。

このスッキリ&カッチリしたファンキー・ピアノでスタンダード曲をユッタリとしたドライブ感を醸し出しながら、淀みなく、破綻無く弾き進めていく。スタンダード曲の解釈も良い感じ。ファンキーでありながら、どこか小粋でアーバンな「お洒落な」雰囲気が漂うところが「ニクい」。なかなかに聴き応えのあるソロ・ピアノ盤だと思う。
 
 

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