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2017年3月 9日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・78

ラリー・コリエルが亡くなった。僕にとってのコリエルとは、クロスオーバー・ジャズの代表的ギタリストの一人で、彼のエレギはほとんどロック。それもほとんどハード・ロック。バックのリズム・セクションがなんとかジャズのビートに軸足を乗せているので、演奏全体はクロスオーバー・ジャズで落ち着いてはいるが、コリエルのエレギは明らかに「ハード・ロック」。

そんな「ハード・ロック」なクロスオーバー・エレギ、1970年代辺りでその流行は終わったんやろなあ、と思いつつ、コリエルだけが意外と晩年もハード・ロックなクロスオーバー・エレギをやってたんで、コリエルだけが「絶滅危惧種」なんやなあ、なんて感慨に耽っていた。しかし、である。

Csaba Toth Bagi『Aved Ivenda』(写真左)。2012年の作品。チャバ・トス・バギと読むらしい。ここでは「バギ」と呼ばせていただく。宣伝のふれこみは「セルビアが生んだフュージョン・ギターの貴公子」。セルビア出身とは珍しい。さて、このバギのエレギが凄い。徹頭徹尾、ハード・ロックなクロスオーバー・エレギなのだ。ハード・ロックの如く、ギンギンのエレギを弾きまくっている。
 
   
Aved_ivenda1
 
 
しかし、である。アドリブ・フレーズの響きがちょっと「面白い」。どう考えても普通のフレーズでは無い。明らかに「ワールド・ミュージック」がかっている。面白いフレーズがどしどし飛び出てきて、これは単純にハード・ロックなクロスオーバー・エレギでは無い、ワールド・ミュージックを融合したハード・ロックなフュージョン・エレギである。

ネットで調べてみると「両親の故郷ハンガリーやマケドニアなど自身のルーツをベースにしたフュージョン盤」とあって至極納得。なるほど、だから、ワールド・ミュージックを融合したハード・ロックなフュージョン・エレギな雰囲気が色濃く漂っている訳やね。エレギはギンギンに弾きまくり。ハンガリーのゲイリー・ムーアと呼ばれ、欧州ではガッツあるギタリストとして知られる、とある。

このアルバムのバギのプレイを聴いていて、なるほど、と思う。21世紀になって今年で2017年。今の時代に、フュージョン・ジャズの世界で、こんなギンギンに弾きまくる、ハード・ロックなエレギが聴けるとは思わなかった。
 
 
 

震災から5年11ヶ月。決して忘れない。まだ5年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年3月 5日 (日曜日)

ジョンスコ流のニューオリンズ盤

米国って、なんやかんや言って、自分達のルーツ・ミュージックが好きなんだよな〜、と時々思う。英国だってそうだ。なんやかんや言って、自分達のルーツ・ミュージックが好きだ。ロックだってジャズだって、この「ルーツ・ミュージック」の適切な要素を織り込むと、そのアルバムって大体がヒットする。

このアルバムだって、あからさまに米国のルーツ・ミュージックの要素をふんだんに織り込んで、ヴォーカルを入れてのニューオリンズ/R&B寄りサウンドで、米国ジャズ・シーンでは結構売れたらしい。米国では、ゴスペル、R&B、カントリー&ウエスタン、トラッド・フォークの要素を盛り込んだジャズは鉄板らしい。

John Scofield『Piety Street』(写真左)。2009年のリリース。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Jon Cleary (vo, org, p), George Porter, Jr. (b), Ricky Fataar (ds), Shannon Powell (ds, per), John Boutte (vo)。このアルバムは、そんな米国ルーツ・ミュージックの中の「ゴスペル、R&B」の要素をふんだんに盛り込んだもの。
 

Piety_street

 
一言で言うと「ジョン・スコフィールド(ジョンスコ)流ニューオリンズ・アルバム」である。この盤でのジョンスコのエレギは、相変わらず捻れてはいるが、ソウルフルかつブルージーな正統派なエレギである。捻れを押さえて「ゴスペル、R&B」の要素がそこはかとなく浮き出る様に弾き回している。とにかく上手い。

基本的にジャズの演奏って、オルガンの音色とブルージーなちょっとハスキーな声のボーカルが入ると、演奏の雰囲気がグッと「ゴスペル、若しくはR&B」風な音世界にガラッと変わる。いわゆる「こってこてファンキー」な演奏になるのだ。実は僕はこの「こってこてファンキー」な演奏に「からきし弱い」。

アルバム・ジャケットもゴスペル風で、ジャケットだけ見れば、ジャズのアルバムだとは思わないですよね。ジョンスコのキャリアの中では異色のアルバムの位置づけではありますが、内容は充実しています。コンテンポラリーなフュージョン・ジャズの好盤として、特に、米国ルーツ・ミュージック好きのジャズ者の皆さんにお勧めです。

 
 

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2017年2月22日 (水曜日)

ラリー・コリエル、追悼です

2017年2月19日、ラリー・コリエルが亡くなった。ニューヨークのホテルでの自然死だそうだ。享年73歳。クロスオーバー・ジャズの時代の「エレギの寵児」。超絶技巧、ジャズとロックの融合、いわゆるクロスオーバー・ジャズのシーンで大活躍した。あまりの超絶技巧さとジャズの原型を留めない、完璧ロックな演奏をギンギンにやる傾向にあって、我が国では「キワモノ」扱いされることもしばしばであった。

ということで、暫くは「ラリー・コリエル追悼」である。実に悲しい。ということで、まずはこのアルバムを選盤。Larry Coryell & Alphonse Mouzon『Back Together Again』(写真左)。

1977年の作品。このユニークなイラストのジャケットは馴染みがある。ジャズを聴き始めた頃、このアルバムはよく聴いた。1979年の事である。ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Alphonse Mouzon (ds), Philip Catherine (g), John Lee (b)。

このアルバム、バリバリのクロスオーバー・ジャズである。というか、ほとんどロックである。しかし、ロックというには、テクニックがあまりに超絶技巧が過ぎる。とにかく、コリエルのギターは滅茶苦茶に巧い。ロックの世界には、これほどまでに超絶技巧なギターは無い。しかし、リズム&ビートは明らかにロック。
 

Back_together_again  

 
とにかく「やりたい放題」やっている。この時代、クロスオーバー・ジャズの人気楽器だったキーボードの参加が無い、キーボードレスなギター・バンドなので、とにかくギターがメインにドカッと座った、とにかく「豪快」な内容である。

コリエルのギターには一点の曇りも無く、超絶技巧にエレギを弾きまくる。その音は明確にロック。ジャズ・ギターの雰囲気は微塵も無い。しかしながら、ロック・ギターとするには超絶技巧過ぎる。とにかく、ロック・ギターとはテクニックのレベルで明らかに次元が違う弾きっぷりだ。

ムザーンのドラムも「叩きたい放題」。この人のドラミングは聴いていて上手いのか下手なのか、良く判らないが、とにかく手数が多くて、ロックなドラミング。というか、ロックなドラミングとするには手数が余りに多すぎる。また、ムザーンはボーカルも担当しているが、これはまあまあ及第点。

後のフュージョン・ジャズの特徴である「ソフト&メロウ」など微塵も無い。あまりの超絶技巧さとジャズの原型を留めない、完璧ロックな演奏をギンギンにやっている。ジャズロックとするにはあまりにギンギンが過ぎる。これぞ、典型的なクロスオーバー・ジャズ。ラリー・コリエルのプレイが眩しい。ご冥福をお祈りしたい。合掌。

 
 

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2017年2月 5日 (日曜日)

ローゼンウィンケルを思い出した

冬にジャズ・ギターが良く似合う、なんて呟きながら、先週木曜日から、暖かい部屋の中で珈琲をすすりながら聴くアコースティック・ギター(略してアコギ)の好盤を2枚ほど選盤してきた。

で、今度は、現代ジャズのエレクトリック・ギター(略してエレギ)で、冬の季節にぴったり合う好盤は無いか、選盤してみる。シンプルでクールで伸びの良いエレギの音は、意外と冬の季節に合う。特に、冬の静かな昼下がり、一人部屋の中で聴く、クールで伸びの良いエレギのフレーズは何だかしみじみして良い。

ジャズ雑誌の記事を見ていて、このギタリストの名前を久し振りに思い出した。カート・ローゼンウィンケル(Kurt Rosenwinkel)。アメリカ生まれ、現在ドイツのベルリン在住のギタリスト。伸びの良いクールで単音と複雑なコード進行を織り交ぜて弾くアーバンでスムースなエレギが個性。とにかく聴いていて心地良いことこの上無し。
 

Reflections_kurt_rosenwinkel

 
2009年リリースの、Kurt Rosenwinkel『Reflections』(写真左)を聴く。ジャケットのイメージがバッチリの「クールでアーバンでスムースなエレギ」が炸裂。収録された曲名を見ると、これは「ジャズ・スタンダード集」ではないか。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Eric Revis (b), Eric Harland (ds)。

トリオ編成によるジャズ・スタンダード集である。むっちゃ良い感じな演奏内容。聴き耳たてつつ惚れ惚れしてしまうくらいの心地良さ。ただし、素直な「スタンダード集」では無い。曲を見れば、思わず口元が緩む。モンクの「リフレクションズ」「アスク・ミー・ナイ」、ウェイン・ショーターの「フォール」「アナ・マリア」などが選曲されている。思い切り捻りの効いた選曲。

実にオーソドックスな純ジャズ路線のジャズ・エレギである。「静謐な熱気」をはらんだクールなジャズ・ギターは、今までにありそうで無い、ローゼンウィンケルならではの音世界である。彼の繊細で静謐で美しいジャズ・ギターは、現代のジャズ・ギターの先端を行く響きに溢れている。聴き応え良し。好盤です。

 
 

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2017年2月 4日 (土曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・48

冬にジャズ・ギターが良く似合う。気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう季節は、暖かい部屋の中で珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター(略してアコギ)。

一昨日、そんなフレーズを書いた。アコギの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤をもう一枚。

John Scofield『Quiet』(写真左)。1996年のリリース。捻れエレギのジョン・スコフィールド(略してジョンスコ)。素敵に捻れたエレギを弾く、現代ジャズ・ギターの代表格の一人。1951年生まれなので65歳になる。もう大ベテランの域に達している。そんなジョンスコが45歳の時に録音した、ジョンスコがアコギを弾いたアルバムである。

ジョンスコのエレギは「捻れ」のフレーズが個性。マイルス・デイヴィスのバンドにも招聘された、とっても素敵に「捻れた」エレギの使い手である。そんなジョンスコである。さぞかし「捻れたアコギ」のプレイを聴かせてくれるのだろう、と期待するのだが、そもそも「捻れたアコギ」ってどんな音なんだ(笑)。
 

Quiet_john_scofield

 
最初の一曲目「After The Fact」のジョンスコのアコギを聴けば、そんな期待は良い意味で裏切られる。ジョンスコのアコギは、徹頭徹尾、真っ当な正統派、オーソドックスなジャズ・アコギのプレイである。しかも上手い。

「エレギとアコギは違う」とギタリスト達は口を揃えて言う。僕もちょっとだけギターを弾けるので、ギタリストらの意見は理解出来る。エレギの使い手は必ずしもアコギの使い手にはあらず、ということなんだろうが、一昨日ご紹介したディ・メオラや、今日のジョンスコはその法則には当てはまらない。

アドリブ・フレーズは流麗ではあるが悠然。コマーシャルな雰囲気は一切無い。ここまで凜としてストイックなアコギのプレイは、実にアーティスティック。使っているアコギはナイロン弦。このナイロン弦のアコギはジャズ・ギターとしてのもの。決して、クラシックギターのそれでは無い。このアルバムを聴く限り、ジャズとしてジョンスコのアコギは、なかなかに健闘していると感じる。

フレンチホルン、バス・クラリネットなどを加えた異色なホーン編成のバッキングを聴いていると、思わず「ギル・エバンス楽団」を思い出してしまいます。よい雰囲気のバッキングを得て、ジョンスコのアコギは誠実に内省的に、リリカルで印象的なフレーズを紡ぎ上げていきます。

 
 

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2017年2月 2日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・47

日中の気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう時は暖かい部屋の中で、コクのある珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター。

アコースティック・ギターの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤を探す。

『Di Meola Plays Piazzolla』(写真左)。1996年のリリース。超絶技巧なエレギで一世を風靡したアル・ディ・メオラ(Al Di Meola)。そんなアル・ディ・メオラがアコギを弾きまくる。

しかも、タンゴの革命児、モダン・タンゴの父と言われる、アルゼンチン出身のBandoneon奏者&作曲家 Astor Piazzolla(アストル・ピアソラ)の名曲を弾きまくるという、凄い内容の企画盤。

ディ・メオラがタンゴを弾く。どんなタンゴになるんだ、と思いながら聴く。と、これが「絵に描いた様なタンゴ」な演奏にはならない。さすがはディ・メオラ。自ら迎合することは絶対に無い。
 

Di_meola_plays_piazzolla1

 
ピアソラ・トリビュートなアルバムながら、正統なタンゴ演奏にはならず、ピアソラの名曲の旋律の美しさを、ディ・メオラ独特のフュージョン・ジャズなフィーリングで弾きまくる。

エレギだと、あまりの超絶技巧な弾きっぷりに、ちょっとお腹いっぱいになってしまいがちなディ・メオラであるが、これがアコギになると、あ〜ら不思議。お腹にもたれることも無く、スッキリすんなり心地良く耳に響くのだ。ディ・メオラの超絶技巧さが良い方向に作用している。

そんなスッキリすんなり心地良く耳に響くアコギの音色に乗って、ピアソラの哀愁感溢れる名曲の旋律が駆け抜けていく。アコギの音色にタンゴの哀愁感が良く似合う。程良く抑制されたアコギの音色がタンゴの哀愁感を増幅させる。

ドラムは無い。ベースも無い。伴奏にピアノが入り、パーカッションがリズムを刻むのみ。バンドネオンの哀愁感溢れる音色が良いアクセント。基本的にディ・メオラのアコギがメイン。超絶技巧なディ・メオラのギターにはそれで十分。心地良い音の密度である。

 
 

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2017年1月17日 (火曜日)

良い感じのスムース・ジャズです

スムース・ジャズだってジャズである。フュージョン・ジャズもそうだったが、演奏の基本は「ジャズ」。スムース・ジャズと聴くと、スムース・ジャズは「ジャズじゃない」と切り捨てるジャズ者の方々もいるが、それはそれで感じ方、考え方の違いなので、いざ仕方ない。

ところで、バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターこと私にとっては、スムース・ジャズは守備範囲。専門的に聴き込むことは無いが、スムース・ジャズを聴かなかったり否定したりはしたことが無いです。音楽として捉えると「良いものは良い、悪いものは悪い」。良い感じのスムース・ジャズについてはウエルカム。

さて、そんな良い感じのスムース・ジャズの一枚が、Chuck Loeb『Listen』(写真左)。1999年の作品。チャック・ローブはギタリスト。主にスムース・ジャズ、フュージョン・ジャズがメイン。平穏でムーティーな音色とフレーズが特徴。大上段に振りかぶって、仰々しいアドリブ・フレーズを展開する、なんてことは決して無い。暖かく丸くて流麗なアドリブ・フレーズ。
 

Listen_chuck_loeb

 
この『Listen』では、全ての楽曲のおいて、スムース・ジャズが貫かれている。ローブのアルバムは、全編スムース・ジャズというアルバムは少なくて、アレンジ的に捻りをいれて、バラエティーに富んだ内容を追求する向きが強いのであるが、このアルバムは違う。大向こうを張った大袈裟なチャレンジも皆無。

徹頭徹尾、スムース・ジャズしながら、アレンジは控えめに、ストレード・アヘッドなスムース・ジャズを展開する。そして、ローブはただただエレギを弾きまくる。このただただ弾きまくるところがこのアルバムの特徴で、チャック・ローブのエレギを愛でるのに最適な「弾きまくり」を聴くことの出来る好盤なのである。

これぞスムース・ジャズのど真ん中を行く好盤でしょう。リズム&ビートもシンプルで好ましいもの。これだけ、メインのエレギが太く爽やかに響くスムース・ジャズ盤も珍しい。加えて、この盤のローブのエレギは絶好調で、チャック・ローブのエレギの個性を理解するのに最適な盤とも言えると思います。

 
 

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2017年1月 8日 (日曜日)

こういうソロ・ギターは粋である

ギター・ソロって、ちょっと苦手であった。ギターって、音の線が細いところがあるので、演奏される曲の旋律が良く聴きとれないところがある。ましてや、ソロ・ギターになると、ギターの構造上、伴奏と旋律を同時に弾くことが出来ないので、どうしても演奏全体の線が細くなる。好んで聴くところまでに至らなかった。

が、この人のソロ・ギターを聴いてから気が変わった。その音が薄くなる弱点を、ジョー・パスは超絶技巧なテクニックを駆使しつつ弾きまくり、音を敷き詰め、演奏全体の音の密度を濃くした。この工夫によって、このジャズ・ギターのソロ・パフォーマンスについては、結構、ダイナミックな展開を楽しめるのだ。そんなジョー・パスの隠れ好盤がこれ。

Joe Pass『I Remember Charlie Parker』(写真左)。1979年2月の録音。ソロ・ギターの名手、ジョー・パスの好盤である。このアルバム、ジャズ盤紹介本では、まず見たことが無い。しかも、この簡単な、味もしゃしゃらも無いジャケットである。僕がこのアルバムを知ったのは、ジャズを聴き始めてから10年以上経ってからである。

これは実に渋いソロ・ギター盤です。ジョー・パスはガット・ギターで語りかけてきます。気品高く、しみじみと語りかけてきます。夜の静寂にピッタリの極上のソロ・ギターです。一人で静かに聴くのがピッタリの雰囲気。これがまあ、こういうソロ・ギターは粋である。
 

I_remember_charlie_parker1

 
このアルバムは「企画盤」。チャーリー・パーカーゆかりの曲を選曲しているのですが、チャーリー・パーカーらしい高速フレージングを聴かせる「ビ・バップ」な曲というよりは、バラード曲を中心にしっとりと曲の良さを味わわせてくれる内容です。チャーリー・パーカーのバラード曲に注目してソロ・ギターで攻める、というのは、なかなか無い「企画盤」です。

このジョー・パスのソロ・ギターで、チャーリー・パーカーゆかりのバラード曲を演奏してもらうと、パーカーのバラード曲の良さがはっきりと判ります。恐らく、ジョー・パスの演奏テクニックがなせる技でしょう。旋律の美しさがはっきりと判ります。加えて、ジョー・パスのアドリブ部も流麗で、このアドリブ部もパーカーの作曲か、と思ってしまうほど。

演奏内容は、しっかりとしたメンストリーム・ジャズであり、それでいて挑戦的。地味ではあるが、旋律の展開の仕方など、決して古く無い。モーダルに展開するところもあれば、スイングに展開するところもある。ジャズのスタイルの新旧を織り交ぜながら、ジョー・パスならではの個性が溢れている。

実に渋い、実に小粋なソロ・ギターである。しかも、バラード集。夜の静寂を感じながら、一日を振り返りながら、今日のラスト盤に相応しい好盤。しっとりしみじみ、語りかける様なソロ・ギター。この盤って、ジャズ喫茶で聴くよりも、一人でしっとりと聴くに相応しい「隠れ好盤」です。

 
 

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2016年11月20日 (日曜日)

ジョンスコの「C&Wのジャズ化」

ジャズ化の対象というものは、現代では「何でもあり」である。1950年代、ハードバップの時代は、ミュージカルや映画の主題歌や挿入歌をジャズの「スタンダード曲」としてジャズ化した。これは現代でも継続されている。が、最近ではワールドミュージック系の曲やR&Bの名曲まで、なんでもジャズ化する。

ジャズは懐が深いのお〜、と感心しているところへ、このアルバムがリリースされた。John Scofield『Country for Old Men』(写真左)。ジャズ界の「捻れエレギの達人」ジョン・スコフィールド(長いので以下「ジョンスコ」と略)が、カントリー・ミュージックのジャズ化を目論んだアルバムである。

カントリー&ウエスタン(C&W)と言えば、米国ルーツ・ミュージックのメイン・ジャンルの一つ。僕達の子供の頃は、カントリー&ウエスタンと言えば「米国」。カントリー&ウエスタンの音楽がラジオから流れて来たら、遠く見たことも無い憧れの地「米国」を感じたもんだ。

そんなカントリー&ウエスタンをジャズ・アレンジするというこのアルバム、しかも、メインの楽器がエレギである。加えて弾き手が「捻れエレギの達人」ジョンスコ。どうなるんだ、このアルバム。

冒頭の「Mr Fool」を聴く。ジャズのアレンジはされているもののカントリー・ミュージックの雰囲気は色濃く残っている。やっぱり、カントリー・ミュージックのジャズ化は難しいのか、とも思うが、どうして、ジャズはもともと懐が深い。そもそもジャズ化されない音楽ジャンルは無い、と僕は思うのだ。
 

Country_for_old_men

 
2曲目の「I'm So Lonesome I Could Cry」で、アップテンポの4ビートなアレンジで「おお、これはジャズであるな」と感心する。カントリー・ミュージックの持つ郷愁を誘う旋律に、上手くアップテンポのジャジーなアレンジを施して、しっかりジャズ化している。これぞ、アレンジの才の成せる技である。

このアルバム、聴き進めて行くと判るのだが、ジャズのアレンジはされているもののカントリー・ミュージックの雰囲気は色濃く残っているものと、しっかりと4ビートのアレンジを施して明確にジャズ化しているものと上手く組み合わせて収録している。カントリー・ミュージックの雰囲気もしっかり楽しめるし、ジャズの雰囲気も楽しめる。これはプロデュース力の成せる技かな。

意外とジャズの世界で、ジャズ化の対象にカントリー・ミュージックを採り上げることはあまり無いのだが、このジョンスコの新盤には感心した。アレンジの才の成せる技。最後にパーソネルは、John Scofield (g), Larry Goldings (p, org), Steve Swallow (b), Bill Stewart (ds)。2016年4月の録音である。

米国ルーツ・ミュージックが大好きな僕にとっては「即ヘビロテ」。コッテコテのカントリー&ウエスタンはちょっと「ひく」が、このジャズ化は良い。

 
 

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2016年11月 2日 (水曜日)

Paul Jackson Jr.の初ソロ盤

スムース・ジャズって、ムーディーで耳当たりの良い響きがメインなので、どうにも、硬派なジャズ者の方々からは受けが悪い。でも、テクニック優秀、アレンジ優秀、歌心満載、アドリブ全開な内容となると、スムース・ジャズだって、意外と聴き応えがある。なかなか隅に置けないスムース・ジャズの好盤もあったりして、なかなか目が(耳が)離せない。

このアルバムなど、スムース・ジャズの好盤の一枚として、我がバーチャル音楽喫茶「松和」では時々選盤される。Paul Jackson Jr.『I Came to Play』(写真左)。1988年のリリース。ポール・ジャクソン・ジュニアのソロ・デビュー作。

とにかく器用なギタリストなので、あれもこれもと、とっちらかった雰囲気がするが、全編「しっかりと芯が入っていて太い」エレギの音で貫かれている。この印象的なエレギの音、ポール・ジャクソン・ジュニア独特の個性である。

ポール・ジャクソン・ジュニア(Paul Jackson Jr.)とは、1959年ロスアンジェルス生まれ、柔軟性を持つ有名セッション・ギタリスト。セッション・ギタリスト出身の、テクニック「バリバリ」+歌心「満載」+演奏の「幅が広い」ギタリスト。典型的なセッション・ギタリストで、その参加セッションの多さから「セッション王」と呼ばれることもある位である。
 

I_came_to_play

 
さて、このアルバム、内容的には典型的なスムース・ジャズ。様々なスタイルの演奏のてんこ盛りなのだが、このてんこ盛りな音楽性が、このポール・ジャクソン・ジュニアの特質である。但し「八方美人的」な雰囲気は全く無い。ポール・ジャクソン・ジュニアの個性的なエレギの音によって、一本筋の通った統一感がある。

彼はギターを弾きながら歌を歌うのですが、これがまた良い。味がある。この歌の存在が「スムース・ジャズ」である。女性シンガーが微妙に絡むところなんかも「スムース・ジャズ」。でも、ポール・ジャクソン・ジュニアの「しっかりと芯が入っていて太い」エレギの音のお陰で、アルバム全体の雰囲気が「甘くならない」。

ファンクネスも適度に漂っていて、リズム&ビートは打ち込み中心みたいなんですが、意外とジャジーな内容で聴いていて、スムース・ジャズっぽさは気にならない。まずは、ポール・ジャクソン・ジュニアのエレギを愛でて理解するに最適のアルバムだと思います。好盤です。

 
 

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