2019年11月10日 (日曜日)

カーンの新作に心地良い爽快感

我が国では人気がイマイチだったが、僕はスティーヴ・カーンのギターがお気に入り。超絶技巧に弾きまくる訳では無いが、実はテクニック優秀。印象的にフレーズを弾き回すので明快で判り易い。ギターの音色とフレーズがロック・テイストなのが良い。Steve Khan(スティーヴ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、ずっとお気に入り。

Steve Khan『Patchwork』(写真)。今年の8月、そんなステーィヴ・カーンが新しいリーダー作をリリースした。2019年3月17 and 18日の録音。ちなみにパーソネルは、 Steve Khan (g), Ruben Rodoriguez (b), Dennis Chambers (ds), Marc Quinones (per), Bobby Allends (conga), Rob Mounsey (key), Randy Brecker (flh), Bob Mintzer (ts), Tatiana Parra (vo), Jorge Estrada (key)。

収録曲を見渡すと、1曲目の「Epistrophy」はセロニアス・モンク作。2曲目「C.&D.」と7曲目「T.&T.」がオーネット・コールマン作。3曲目「Bouquet」はボビー・ハッチャーソン作。5曲目「A Shade Of Jade」はジョー・ヘンダーソン作。8曲目「The Journey Home」はキース・ジャレット作。9曲目の「Huracan Clare」のみが、スティーヴ・カーン作。
 
 
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冒頭のセロニアス・モンクの「Epistrophy」、モンクの「癖のある」曲。大体、凡百なジャズメンだとモンク色に染まって、自らの個性を明け渡してしまうところだが、スティーヴ・カーンのギターはそうはならない。曲のコンセプトは踏襲しつつ、演奏の雰囲気は明らかにスティーヴ・カーンの個性に染まっている。冒頭のモンクの曲はそういう雰囲気なので、他の「癖のある」曲もしっかりとスティーヴ・カーンの個性に染まっている。

端正でロック・テイストでちょっと浮遊感のあるスティーヴ・カーンのエレギのフレーズ。ちょっとクロスオーバー・ジャズ寄りの硬派なギター・フュージョン。そんなクールでアグレッシヴなティーヴ・カーンのギターの個性が映える。アレンジも優秀。スティーヴ・カーンのギターが映える様、「癖のある」曲たちに絶妙なアレンジを施している。

完全復調したデニス・チェンバースが久しぶりに参加。リズム&ビートに変化と彩りが加わって、良い効果を生んでいる。ルーベン・ロドリゲスのベースもカーンとの相性は抜群。ロブ・マウンジーのシンセがなかなか良い味出している。こういったバックにも恵まれて、今回のカーンの新作はなかなかの内容に仕上がっている。聴き終わった後、心地良い爽快感が残る。好盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年11月 5日 (火曜日)

西海岸ジャズの入門盤の一枚

米国西海岸ジャズでは、ジャズ・ギターの活躍の場が多いような気がする。西海岸ジャズは演奏全体がしっかりアレンジされていて、そのアレンジの中で洒脱でアーバンな雰囲気を創り出す際、ギターの音色が欠かせないのではないか、と睨んでいる。そんな西海岸ジャズの代表的なギタリストと言えば「バーニー・ケッセル(Barney Kessel)」。

西海岸ジャズのアルバムを聴いていて「洒脱でクールで端正」なハイテク・ギターが出てきたら、ほぼ間違い無く「バーニー・ケッセル」である。トーンも明瞭で耳当たりの良いエッジの立ち具合。ウォームではあるが、音の芯はしっかりと聴き取れる、王道を行くギターの音色。西海岸ジャズの中では、バーニー・ケッセルが「ファースト・コール」なギタリストである。

Barney Kessel『Easy Like』(写真)。1953年は11月14日と12月19日、1956年は2月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Buddy Collette, Bud Shank (as, fl), Arnold Ross, Claude Williamson (p), Harry Babasin, Red Mitchell (b), Shelly Manne (ds)。こうやって、パーソネルの顔ぶれを見ると、西海岸ジャズの名手達、大集合である。
 
 
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バーニー・ケッセルは米国西海岸ジャズを代表するギタリストの一人。洒脱でクールで端正。演奏全体がしっかりアレンジされていて気持ち良く聴けるが、決してイージーリスニングには陥らない。ケッセルはこの盤で、一躍有名になった。小粋な西海岸ジャズ・ギターというキャッチがバッチリ合う、お洒落でウォームで和みのあるギターの音。人気が出て然るべき、である。

この盤に詰まっている演奏自体が「米国西海岸ジャズ」。言い換えると「ウエストコースト・ジャズ」。ジャズ・ギターの小気味良いフレーズ、爽やかに典雅に響くフルート、お洒落にアレンジされ聴き心地抜群な、ギターとアルト・サックスとピアノのユニゾン&ハーモニー。控えめではあるがしっかりと骨太なベース。洒脱なテクニックで「聴かせてくれる」ドラム。出て来る音は明らかに「西海岸ジャズ」。

バーニー・ケッセルは1947〜1960年までの間、各ジャズ雑誌の年間最優秀ジャズ・ギタリストに幾度も選出されている。この雰囲気のギターである。人気が出るのも頷ける。そんなケッセルのリーダー作の中でも、この『Easy Like』は出色の出来。この盤は『Gerry Mulligan Quartet Vol.1』と同様、どこから聴いても「米国西海岸ジャズ」。米国西海岸ジャズの入門盤の一枚である。
 
 
 
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2019年10月24日 (木曜日)

端正でロック・テイストで浮遊感

ジャズ・ギターが苦手な私ではあるが、フュージョン・ジャズのギタリストは、まずまず聴きこんできたと思っている。とにかく、純ジャズのギタリストがどうにも苦手で、ケニー・バレルやウエス・モンゴメリー、ジム・ホールがお気に入りになったのは、ジャズを聴き始めてから、20年位経ってからである。

しかし、フュージョン・ジャズ畑のギタリストについては、まずまず聴き込んだかな、と思っている。テイストがロックに通じるものがあるところが馴染めたところなんだろう。リー・リトナーから入って、ラリー・カールトン、パット・メセニー、そして、スティーヴ・カーン。

Steve Khan(スティーヴ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、ずっとお気に入り。カーンのギターはデビュー当時から、ずっとフュージョン・ジャズ系のエレギの音であり、それまでの純ジャズ系のギタリストのスタイルとはちょっと異なる音色とアプローチが個性。
 
 
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Steve Khan『The Blue Man』(写真)。スティーヴ・カーンのソロ第2弾。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Steve Khan (g), David Sanborn (as), Michael Brecker (ts), Steve Gadd (ds), Will Lee (b), Michael Mainieri (Marimba), Ralph MacDonald (per), Don Grolnick (p), Bob James (syn), Randy Brecker (tp) etc。

パーソネルを見れば、錚々たるメンバーではないか。当然、出てくる音は一級品。それぞれのメンバーの個性が見え隠れするバッキング、そこに、端正でロック・テイストでちょっと浮遊感のあるスティーヴ・カーンのエレギのフレーズ。ちょっとクロスオーバー・ジャズ寄りの硬派なギター・フュージョン。

良い感じのギター・フュージョン。当時、この内容にして、我が国では人気がイマイチだったが、僕はこのカーンのギターがお気に入り。弾きまくる訳では無いが、テクニック優秀。明快で判り易い。ロック・テイストなのが、我が国でウケない理由なのかなあ。でも、僕は今でもカーンのギターが好きです。
 
 
 
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2019年10月23日 (水曜日)

いい音している伊ジャズの新盤

こういうコンテンポラリーな純ジャズなアルバムを「発見」すると嬉しくなる。リーダーの名前を見ても、どんな誰なのだか、さっぱり判らない。それでも、アルバムに詰まっている音はとても素敵なジャズで、音は明らかに「今」風。洗練されたリズム&ビートと新しい響きのモーダルなフレーズ。

Enrico Le Noci『Social Music』(写真左)。2019年7月のリリース。Enrico Le Noci (g), Gadi Lehavi (p), Giulio Scianatico (b), Andrea Niccolai (ds), Felix Rossy (tp)。2019年1月、A.MA Records Studioでの録音。ギターとトランペットがフロントで、バックにピアノ・トリオが陣取る、ちょっと変わった構成のクインテット。

Enrico Le Nociは、1996年、イタリアのマルティナ・フランカ生まれ。14歳でギターを始め、Liceo Musicale Architaでクラシックギターを学び、優秀な成績で卒業。その間に彼は、サルバトーレ・ルッソとモダン・ジャズ・ギターの勉強を始め、それが彼をジャズへと導いた。
 
 
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2014年には、彼は米国テキサス州オースティンで過ごし、デューク・エリントン ジャズフェス・オブ・ニューオーリンズなど、アメリカの多くのフェスティバルに参加。その後、イタリアに戻り、様々なミュージシャンとセッションを重ね、オランダに留学し、ハーグ王立音楽院のジャズギター学士号を取得。彼は現在、様々なバンドのサイドマンとして活躍している、とのこと。

さて、このアルバムであるが、コンテンポラリーでモーダルなジャズがメイン。比較的センスの良いクールな曲や明るく判り易いオープンな感じの曲もあって、3曲でトランペットが入る。ギターとトランペットのユニゾン&ハーモニーというのがユニーク。このエンリコ・レ・ノキのギターとフェリック・ロッシーのトランペットのユニゾン&ハーモニーが絶妙。このコンテンポラリーな響きが実に個性的。

バックのピアノ・トリオのリズム・セクションも実に良い音を出している。典型的なアコースティックなピアノ・トリオの音が実に生々しく、とても躍動感溢れる演奏になっていて、聴き応えがある。イタリアのジャズであるが、実にレベルが高い。しかも新しい響きに満ちていて、実に立派な内容だ。
 
 
 
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2019年10月19日 (土曜日)

今もフュージョン・ジャズは健在

1970年代後半から1980年代前半にかけて流行に流行った「フュージョン・ジャズ」。ロックなテイストとジャズのテイストを融合させて、リズム&ビートをそれ専用に整えて、流麗かつキャッチャーなフレーズをエレクトリック楽器中心に展開する。そのフュージョン・ジャズのテイストは、21世紀に入った今でも、キッチリ生きている。

Mike Stern & Jeff Lorber Fusion『Eleven』(写真左)。今年9月のリリース。マイルス門下生、コンテンポラリー・ジャズギターのレジェンド、マイク・スターン(Mike Stern)と、長年フュージョン界を活性化し続けてきた、キーボード奏者ジェフ・ローバー(Jeff Lorber)率いるジェフ・ローバー・フュージョン(Jeff Lorber Fusion)の初のコラボ盤になる。

マイク・スターンのエレギと言えば、マイルス門下生ならではの「適度に捻れたファンキー・ロックギター」なテイストなんだが、今回のジェフ・ローバー・フュージョンとのコラボでは、ジェフ・ローバー・フュージョンの雰囲気に合わせて、極めてフュージョン・ジャズ・テイストな流麗で適度に当たりの柔らかなエレギを弾いている。これが実に魅力的。
 
 
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ちょっと聴けば直ぐに判る、演奏の基本的雰囲気は「ジェフ・ローバー・フュージョン」。ジェフ・ローバー・フュージョンの手癖、フレーズの個性が散りばめられている中、マイク・スターンの流麗で適度の当たりの柔らかなエレギがスッと入っている。しかし、アドリブ部に入ると、適度にちょっと捻れ始めるのが、マイク・スターンの個性。ちょっと引っ掛かりのある、個性的なフュージョン・ジャズの音が新鮮だ。

マイク・スターンとジェフ・ローバー・フュージョンとは息がピッタリとあっていて、まるでレギュラー・グループな演奏にちょっとビックリする。個性的な捻れエレギの一人であるマイク・スターンが、ここまで、正統派な、こってこてのフュージョン・ジャズに適応するとは思わなかった。よくよく聴いていると、ジェフ・ローバーのアレンジがスターンの捻れエレギを実によく理解したものになっているのだ。

実は2人とも(スターンとローバー)今年66歳。ローバーはLA出身でポスト・フュージョンの先駆者の一人、片やスターンはNY出身で、マイルスなど、数々のエレ・ジャズのバンドへの参加を経つつ、自らのソロ盤を多数リリースしている、フュージョン・ジャズギタリストのレジェンド。出身は東と西、正反対なんだが、このコラボ盤ではその相性は抜群。今もフュージョン・ジャズは建材、ということを確信させてくれる好盤である。
 
 
 
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2019年10月14日 (月曜日)

ディ・メオラのスペイン志向

ジャズとスペイン。意外と繋がりがある。マイルス・ディヴィスがモード・ジャズをやる時、好んで「スパニッシュ・キー」を使ったので、ジャズとスペインと間柄は強いと感じる。スペインでジャズが盛ん、という訳では無い。そういう傾向から、ジャズをやる時、スパニッシュな雰囲気の旋律を好んで使うジャズマンも沢山いる。

Al Di Meola『Elegant Gypsy』(写真左)。1976年12月〜1977年1月にかけての録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola (g), Paco de Lucía (g), Jan Hammer, Barry Miles (key), Anthony Jackson (b), Steve Gadd , Lenny White (ds), Mingo Lewis (syn, org, perc)。超絶技巧ギタリスト、アル・ディ・メオラの若き日の好盤である。

曲名を見渡せば、「Midnight Tango」「Mediterranean Sundance」「Race with Devil on Spanish Highway」「Elegant Gypsy Suite」など、スペインを彷彿とする曲名が目立つ。そう、このアルバム、アル・ディ・メオラのスパニッシュ志向な演奏がてんこ盛りなのだ。特に、フラメンコ・ギタリストの「パコ・デ・ルシア」が客演しているのが目を惹く。
 
 
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パコ・デ・ルシアも超絶技巧なギタリストとして有名。「Mediterranean Sundance」など、超絶技巧なギタリストの共演は、その演奏内容は凄まじいばかりの速弾きテクニックの嵐。絶対に間違わない、そして、誰よりも高速に複雑なフレーズを弾きまくる。これはジャズというより、もはやアクロバットである(笑)。速弾きだけでは無く、その凄まじい速弾きに歌心が伴っているから凄い。

この盤は、チック・コリア率いる「リターン・トゥー・フォーエヴァー(RTF)」を辞した後の録音であるが、このコッテコテの「スパニッシュ志向」は、同じ志向のチックとは相性バッチリ。第2期RTFの2代目ギタリストとして有名を馳せたのは当然のこと。この盤では心ゆくまで「スパニッシュ志向」の演奏を追求している。

パコ・デ・ルシアとの共演した「Mediterranean Sundance」。このパコ・デ・ルシアとの共演、ここでのアコギ2本の絡みは、後にアル、パコ、ジョン・マクラフリンによる、いわゆる「スーパー・ギター・トリオ」が誕生する切っ掛けとなった。この「スーパー・ギター・トリオ」については、2007年1月25日のブログを参照されたい。凄い内容ですよ、これも。
 
 
 
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2019年9月17日 (火曜日)

マイク・スターンの初リーダー作

この人のエレギの登場はセンショーナルだった。マイルス・デイヴィスの『The Man with the Horn』の冒頭の「Fat Time」。ディストーションばりばりの爆発的なエレギ。「Fat Time」という曲名は、当時太っていたギターのマイク・スターンが由来。マイルスが付けたニックネームだそうだ。可愛がっていたんだろうな。当時のマイルスの教えは「ジミヘンの様に弾け」。

そのギタリストとは「マイク・スターン(Mike Stern)」。1953年生まれだから、今年で66歳。もう「大御所」やね。マイルスが1981年にカムバックした際、マイルス・バンドのギタリストとして抜擢され、注目を浴びる。僕はそのマイルス・カムバック時のライブ盤『We Want Miles』での自由奔放なエレギが強烈な印象として残っている。そして、その後、『Star People』にも全面的に参加している。

Mike Stern『Neesh』(写真左)。邦題「ファット・タイム」。1983年8月, 9月の録音。ちなみにパーソネルは、Mike Stern (g), Hiram Bullock (g), David Sanborn (as), Tom Barney (b), Victor Lewis (ds), Buggsy Moore (per)。 マイク・スターンの初リーダー作になる。ハイラム・ブロックとのツイン・ギターが迫力。しかし、その上を行く、思いっ切り目立ったアルト・サックスはデイヴィッド・サンボーン。
 
 
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全曲マイク・スターンの作曲。冒頭の「Zee Frizz」から、メカニカルなテーマがユニークでただならぬ雰囲気が漂う。そして、ソロ・パートになっていきなり出てくるのが、あろうことか、リーダーのスターンのエレギでは無く、サイドマンのサンボーンのアルト・サックス。サンボーンのメタリックで切れ味の鋭いアルト・サックスが鳴り響く。この盤って、サンボーンのリーダー作か、と間違うくらいのブリリアントで圧倒的なブロウ。

その後、スターンのエレギが入ってくる。ディストーションばりばりで浮遊感のある、ロック的ではあるがフレーズの弾き回しは「ジャズ」なエレギが圧倒的。サンボーンのアルト・サックスの印象を一掃する迫力。やはり、こうやって聴き直すと、スターンのエレギは只者では無い。ジミヘンの様に弾くが弾き回しはバップ。あくまでジャズに軸足を置いた、自由度の高いエレギ。マイルス仕込みであることは明白。

2曲目以降、ラストの「Neesh Zone」まで、リーダーのスターンとハイラム・ブロックとの「尖ったツイン・エレギ」とサンボーンの「尖ったアルト・サックス」が目立ちに目立ったエレクトリック・ジャズ。マイルスが直々に渾名を付けるくらいの「愛弟子」である。マイルス・スクールの門下生らしく、マイルスの影響が色濃い音作りが微笑ましい。好盤です。
 
 
 
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2019年8月31日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・3

 

しかし、ブルーノート・レーベルのジャケット・デザインって、4300番台に入って一気に崩れるんですよね。4200番台まではそんなに変なジャケット・デザインは無かった。しかし、4300番台に入って、いきなり崩れた。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの引退とリバティへの売却が原因なんだろう。アルバム制作の精神的支柱を失って、ジャケット・デザインが総崩れ、といったところと想像している。
 
今日も、合成写真を使った「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの盤をチョイス。まあ、これは「おどろおどろしい」ジャケット・デザインという程ではないが、どう頑張ったって、アルバムの内容に合致した、アルバムの内容を彷彿とさせるジャケット・デザインでは全く無い。このアルバムの内容を聴いて、どう考えたら、こういうジャケット・デザインを採用できるのか、当時の担当者にとくと訊いてみたい気持ちで一杯だ。

Grant Green『Carryin' On』(写真)。ブルーノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パーソネルを見渡せば、リーダーのぐりーんとドラムのムハンマド以外、全く知らない顔ばかり。ここまでくると、昔のブルーノートの録音パーソネルの充実は今何処、と溜息がでる。
 
 
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この盤は、ズバリ、リーダーのグラント・グリーンのギターを心ゆくまで堪能出来る盤である。意外と話題に上がることが少ないのだが、この盤のグリーンのギターって、こってこてのファンクネス、パッキパキのシングル・トーン、鼻歌を唄うような自然な雰囲気のフレーズの流れ、いわゆる「グラント・グリーンのギターの個性」をしっかりと聴き込める内容になっている。グラント・グリーン後期の好盤として再評価して欲しいですね。

ソウル・ジャズの雰囲気を基調としているが、ポップに過ぎず、メインストリームにして適度にリラックス。時代的に明らかにメインストリーム・ジャズ、いわゆるハードバップな内容では決して無い。といって過度にポップに偏らず、適度にポップな弾きっぷり。シングル・トーンでありながら、メロディーに流されず、しっかりと印象に残るアドリブ・フレーズ。ギターの底に流れるファンクネスによって、ソウル・ジャズな雰囲気が濃厚。
 
1950年代から活躍してきた、いわゆるハードバップな演奏をメインにしてきた、グリーンにとっては、この盤を録音した1960年代末は、ジャズマンとしてかなり厳しい環境ではなかったか、と思う。それでも、グリーンの素晴らしいところは、ポップに走らず、ソウルに迎合せず、あくまでメインストリーム・ジャズに軸足を残していたところ。今の耳に、しっかりと当時の「コンテンポラリーな純ジャズ」として鑑賞に耐える。なかなかの好盤である。ジャケット・デザインに惑わされるなかれ、である。 
 
 
 
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2019年8月 8日 (木曜日)

ジャケットの印象にビビらずに

ブルーノート・レコードの4300番台の聴き直しが順調に進んでいる。4300番台がリリースされる頃には、総帥アルフレッド・ライオンは引退し、ブルーノートを米リバティー社に売却している。売らんが為のアルバム制作にプロデュースが傾き、俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバムも散見される。硬派なブルーノート・ファンからすると「許せん」というアルバムも確かにある。

しかし、逆に従来のブルーノートらしさを継承しているアルバムも沢山ある。この玉石混交としているところがスリリングでもあるのだ。売らんが為の「俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバム」については、当時、ポップスやロックの台頭による圧力が半端ない時代であり、ジャズ全体がその将来について不安視し始めた時代でもあるので仕方の無いことでもある。

Grant Green『Carryin' On』(写真左)。ブルノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パッキパキの一本弾きギター、グラント・グリーンのソウル・ジャズである。
 
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こってこてファンキーな、それでいてダンサフルでポップな演奏が心地良い。オフなリズム&ビートがしっかりと効いているので、ポップな味付けがされていても、イージーリスニングには傾かない。それどころか、それぞれの楽器の演奏には、しっかりと芯があって、明らかにジャズ畑出身の筋金入りのジャジーな演奏なのが良く判る。

グルーヴィー。そして、軽やかでポップ。そして、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。グラント・グリーンの唄うようなアドリブも実にソウルフルで、グリーンの個性である「こってこてのファンクネス」が良い方向に作用する。思わず腰が動き、足でリズムを取り始める。

ジャケットだけがねえ。このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている。このジャケットから、従来のブルーノートらしさを底に秘めた、硬派でしっかりと芯のあるソウル・ジャズがこの盤に溢れている、なんて想像出来ない(笑)。ジャケットの印象にビビらずに、一度は聴いて頂きたい、4300番台らしい好盤です。
 
 
 
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2019年7月20日 (土曜日)

「24丁目バンド」のデビュー盤

僕がジャズを聴き始めた頃は、フュージョン・ジャズ全盛時代。純ジャズは片隅に押しやられて、ジャズ喫茶でリクエストされる盤は「フュージョン・ジャズ」盤が中心。老舗のジャズ雑誌も、フュージョン・ジャズの評論が結構目立って、フュージョン・ジャズ専門の雑誌があった位だ。もともとプログレッシブ・ロックからジャズに転身した身。電気楽器中心の8ビートは親近感があった。

という環境である。行きつけの喫茶店で聴くジャズは「フュージョン・ジャズ」。僕達を含め、常連客の学生達は流したいフュージョン・ジャズ盤をカセットにダビングして持ち込んでいた。とにかく当時流行っていたフュージョン・ジャズの好盤がことごとく流れていた。専門雑誌「ADLIB(アドリブ)」で扱われていた盤はほぼ網羅していた。

『The 24th Street Band』(写真左)。「24丁目バンド」のデビュー盤である。1980年のリリース。ちなみにメンバーは、Hiram Bullock (g), Clifford Carter (key), Will Lee (b), Steve Jordan (ds)。NYの超絶技巧を誇るフュージョン・バンド4人組である。リーダーのギタリスト、ハイラム・ブロックは大阪府堺市の出身。
 
  
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ライヴ・ステージをそのまま、スタジオ録音で再現しようという意図で作られたようで、オーバーダブなど無縁のシンプルでライブ感溢れる演奏の数々は、その「ノリ」がダイレクトに伝わってくる。ボーカル入りのナンバーがほとんどで、適度にポップで、ファンクネスもそこはかとなく漂い、要所要所でロックのテイストが織り込まれていて、とても聴き易く取っ付き易いフュージョン・ジャズ盤に仕上がっている。

当時、他のフュージョン・ジャズ盤に結構溢れていた「ソフト&メロウ」な雰囲気は意外と薄い。それよりも、R&B系のファンクネスやロック・テイストな8ビートを前面に押し出していて、聴いていて、とにかくシンプルでとにかく「ノリが良い」。そして、聴いていてふと憧れる「これだけギターが弾けたらなあ」。とにかく各楽器、テクニックが凄い。聴いていて清々しさすら感じる超絶技巧。

米国のフュージョン・ジャズの様に「ソフト&メロウ」な面が過度に強調されることなく、適度にポップでテクニックに優れるところが、日本人ジャズ者の我々にしっかり訴求する。日本人好みの、ファンクネス控えめの洗練されたフュージョン・ファンク。当時、結構、ヘビロテ盤として重宝しました。今回、やっと高品質CDでリイシューされた様で「メデタシめでたし」。
 
 
 
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