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2018年7月15日 (日曜日)

猛暑に爽やかなアコギ・ジャズ

暑い。とてつも無く暑い。千葉県北西部地方、気象庁の発表では、最高気温33度なんだが、午後1時頃、外を歩くと、体感温度は36〜7度はある感じ。少し歩くと汗が噴き出てきて、買い物をしに百貨店に入るのだが、入ってから暫く、汗が噴き出たまま、汗が引かない。体の芯に暑さが浸みて、体温は恐らく37度越え。加えて湿度が高い。この暑さ「半端ない」。

ここまで気温が上がると、エアコンをつけた部屋の中まで、なんとなく外の熱気が伝わってくる。エアコンをつけても、何となく暑いなあ、という感じ。そん部屋の中で、聴くジャズは、もはや、熱気溢れるハードバップなどは論外である。切れ味良い、テクニック素晴らしい、耳当たりの良いフュージョン・ジャズが良い。

ということで、今日、選んだ盤が、Earl Klugh『The Journey』(写真左)。1997年のリリース。フュージョン・アコギの第一人者、アール・クルーの好盤。オケも加わって、メロディアスでメロウなサウンドを展開。余裕あるテクニック優秀なクルーのアコギが映える。デビュー以来のクルー本来のスタイルを、アルバムの全面に貫いた好盤である。
 

Earl_klugh_the_journey

 
全曲、クルーの作曲&プロデュース。クルーはアコギ(ナイロン弦ギター)をメインにしたギタリスト。アコギの音は切れ味が良いが、どこか丸みがあって、耳当たりが良い。そのアコギの特性をクルー本人が実に良く理解していて、このセルフ・プロデュースのアルバムの中で、アコギのジャズ・フレーズの爽快さ、耳当たりの良さを十二分に表現してみせている。

弾ける音の切れ味が実に良い。弾むような爽やかなアコギのフレーズが実に良い。この『The Journey』は、タイトルは「旅」だが、アルバムに収録されている曲は、どれもが「旅」にまつわるものでは無い。しかし、アルバム全体に流れる一貫性は、クルーのアコギの強烈な個性があってが故のこと。アコギのジャズ・ギターとして、円熟・成熟を十分に感じる、素晴らしい出来である。

我が国では、アール・クルーといえば、1970年代後半、フュージョン全盛時代にリリースしたアルバムだけが、今でも紹介されて、今回、ご紹介した様な1990年代以降のアルバムについては、あまり、まとまって語られることは無い。しかし、この『The Journey』の様に内容充実の盤がほとんどで駄作は無い。もっと評価されてしかるべき、である。

 
 

東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年5月30日 (水曜日)

パット・メセニーの正式初録音盤

パット・メセニー(Pat Metheny)のサイドメン参加のアルバムを聴き進めている。メセニーと言えば、今や、押しも押されぬ現代ジャズ・ギターのレジェンドである。1970年代以降の「ニュー・ジャズ」の範疇でのエレクトリック・ギターは第一人者のポジションを維持している。スインギーな4ビート・ジャズとは全く対極のニュージャズの寵児であるメセニー。

そんなメセニーについては、サイドメン参加に回った時のプレイの方が、メセニーのエレギの特性を強く感じることが出来るのでは無いか、という仮説の下に、パット・メセニーのサイドメン参加のアルバムを聴き始めた。これが、どうも当たりみたいで、サイドメンのプレイの方が、リーダーの音のイメージという「規制」がの下で個性を表出しなければならない、という条件下で、メセニーの個性が強くでるみたいなのだ。

Gary Burton Quintet with Eberhard Weber『Ring』(写真左)。1974年7月の録音。ECMの1051番。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Michael Goodrick (g), Pat Metheny (g, el-12-string g), Steve Swallow (b), Eberhard Weber (b), Bob Moses (ds, perc)。パット・メセニーが、録音アルバムに名を連ねた、最初の正式盤である。
 

Ring

 
メセニーの師匠格であるゲイリー・バートン。バートンの慧眼恐るべしである。1970年代前半、当時、ニュー・ジャズの推進者であたゲイリー・バートン。彼の音楽性に対して、パット・メセニーのエレギはピッタリの存在だったことがこの盤を聴いて良く判る。メロディアスでフォーキーなソロから、怜悧でクールなフリー・インプロビゼーションまで、メセニーの持つ「ギターの個性」が、このバートンのイメージする音世界にピッタリなのだ。

ダブル・ベースにダブル・ギター。編成からして規格外である。この盤でのメセニーのギターについても「規格外」。恐らく、当時、過去を振り返っても、聴いたことの無いエレギの音とインプロビゼーションだったと推察する。バートンのヴァイブのバックで、シャープにウネウネ蠢くエレギの音は明らかにメセニーである。

この頃のバートンの音世界は「クロスオーバー・ジャズの最後期」の音。メセニーはちょっと歪んで捻れたエレギをウネウネ弾きまくる。とは言え、メセニーの後の個性はまだまだ。とにかく、当時のトレンドのエレギを必死で弾いている、という面持ちが微笑ましい。音の個性の確立はもっと後になるが、その萌芽はこの盤でしっかりと感じ取れる。まだ、あまり個性が目立たない、貴重な若き日のメセニーのパフォーマンスである。

 
 

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2018年5月16日 (水曜日)

リピダルの先進的なエレ・ジャズ

暑くも無く寒くも無い。この5月の過ごしやすい季節は、ハードなジャズを聴くのに最適な季節である。まあ、今年の5月の意外と天気が悪く、天気が回復すると途端に夏日と暑くなる。過ごしやすい、というにはちょっと、という感じなのだが、それでも夏や冬の気候に比べたら、圧倒的に過ごしやすい。

この過ごしやすい季節によく聴くジャズのひとつが「ECMレーベル」のアルバム達。夏には暑さを我慢して聴くにはハードなフリー・ジャズや、真冬に聴くと更に寒さを感じる様な、静謐なニュー・ジャズなど、傾聴するに結構ハードな盤が多いレーベルである「ECMレーベル」。このレーベルのアルバムを聴くのは、過ごしやすい季節、初夏そして秋が一番なのだ。

Terje Rypdal『What Comes After』(写真左)。1973年8月の録音。ECMの1031番。ちなみにパーソネルは、Terje Rypdal (g, fl), Erik Niord Larsen (oboe, English horn), Barre Phillips (b), Sveinung Hovensjø (el-b), Jon Christensen (perc, organ)。ノルウェー出身のギタリスト兼作曲家、テリエ・リピダルのリーダー作である。リピダルのギターは、ジャズを中心にロックから現代音楽まで、その表現については幅が広い。
 

What_comes_after

 
特に、幽玄なフレーズを用いた「’ニュー・ジャズ」の音が得意で、ファンクネスは皆無であり、ブルージーな要素は微弱。そういう意味では、リピダルのギターは欧州独特のものだと言える。ギターのパッションな音色の特性を活かしたフリーな表現も得意としており、それまでの4ビート中心のジャズとは明らかに一線を画している。この盤では、そんなリピダルのギターを前面に押し出した「エレ・ジャズ」が展開される。

一聴すると「エレ・マイルス」かな、と感じるんだが、決定的な違いは「ファンクネスの有無」。あまりビートを強調しない、ファンクネス皆無な即興演奏をメインとした音世界は、独特なエコーも伴って、実にECMレーベルらしい。ジャズ、プログレ、クラシック、現代音楽と様々な音楽の要素を織り交ぜて、自由度の高いエレ・ジャズが展開される。今のジャズのトレンドで言うと、クールな「スピリチュアル・ジャズ」な雰囲気も濃厚。

ベースの音も生々しくて魅力的。この盤で聴かれるベースは、自由度が高く、ややサイケデリックな要素も見え隠れする、本場米国には無い、欧州独特、ECM独特のベースの音。リピダルの「エレ・ジャズ」の世界は他の「エレ・ジャズ」とは全く異なり、個性的である。そういう意味では、もう少し評価が高くても良いのではと思う。プログレッシブなエレ・ジャズの好盤。 

 
 

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2018年5月 6日 (日曜日)

ネイチャー・ジャズの極みを聴く

昨日より「ネイチャー・ジャズ」の特集。1970年代に発生した「ニュー・ジャズ」の範疇の中で、スイング感や4ビート感を強調しない、印象的なフレーズやリズムをメインに、自然の景観や雰囲気を想起させるパフォーマンスが存在します。僕はこういうジャズを勝手に「ネイチャー・ジャズ」と呼んでいます。

そんなネイチャー・ジャズの最右翼は「パット・メセニー」。特に、1970年代〜80年代のPMGは、基本「ネイチャー・ジャズ」の響きが満載。そんな中、PMGでは無い、共同名義のアルバムがそんな「ネイチャー・ジャズ」の好盤の中で、ピカイチの存在のアルバムがある。

Pat Metheny & Lyle Mays『As Falls Wichita, so Falls Wichita Falls』(写真左)。邦題『ウィチタ・フォールズ』。1981年、ECMレーベルからのリリース。パットと盟友ライル・メイズとの共同名義のアルバムである。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (el/ac 6-and 12-string g, b), Lyle Mays (p, syn, el-org, autoharp), Naná Vasconcelos (berimbau, perc, ds, vo)。パットがギターとベースを掛け持ちする変則トリオ編成。
 

As_falls_wichita_so_falls_wichita_f  

 
アルバムの隅から隅まで「ネイチャー・ジャズ」の音世界で埋め尽くされている。パットとメイズが共存しているPMGよりも「ネイチャー・ジャズ」の雰囲気が色濃い。恐らく、パットとメイズの共通の音のイメージがこのアルバムに提示されているのであろう。スイング感や4ビート感を強調しない、印象的なフレーズやリズムをメインに、自然の景観や雰囲気を想起させるパフォーマンス。

郷愁を誘い、センチメンタルに傾き、スピリチュアルであり、クールでもある。目を閉じれば、様々な自然のシーンが脳裏に浮かび、思わず心が癒される。そんな「ネイチャー・ジャズ」な音世界。パットのギター、メイズのキーボードが、そんな音世界をイマージネーション豊かに表現していく。クールなエモーショナルで内省的な音世界。独特である。

ナナ・バスコンセロスのパーカッションが印象的かつ効果的。パットとメイズのデュオだけだと、自然独特の動きや躍動感が単調になるきらいがある。ここにバスコンセロスのパーカッションが絡むことによって、躍動感に奥行きとバリエーションが付加されて、演奏に深みが出る。これがこの「ネイチャー・ジャズ」盤の優れた所であり、聴きどころである。「ネイチャー・ジャズ」ここに極まれり、である。

  
  

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2018年4月 5日 (木曜日)

クロスオーバーは奥が深い。

1970年前半から中盤にかけて、ジャズの最先端のトレンドは「ジャズとロックの融合」。誰が名付けたか「クロスオーバー・ジャズ」。リズムの基本は「8ビート」。ギターはエレギ、キーボードはエレピ、ベースはエレベ。つまりは電気楽器がメインの、ロックの手法を前面に押し出したジャズ。どこがジャズなのか。即興演奏の存在が「ジャズ」。

The Eleventh House featuaring Larry Coryell『Aspects』(写真左)。クロスオーバー・ジャズの典型的な演奏例がギッシリ詰まった好盤である。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、Larry Coryell (g), Terumasa Hino (tp, flh), Mike Mandel (key), John Lee (b), Gerry Brown (ds)。おお、日本が誇るトランペッター、日野皓正が参加している。

冒頭の「Kowloon Jag」のイントロのエレギのフレーズを聴いたら、この盤ってハードロックの盤だっけ、と思わず、ジャケットを再確認する。イントロのエレギの歪んだハードで硬質なエレギの音は紛れもなく「ロック」のエレギの音そのもの。これが、高速8ビートに乗って、超絶技巧なテクニックを駆使して、ラリー・コリエルがエレギを弾きまくる。
 

Aspects_1

 
うかっと聴いていると、この盤、ハードロックやん、と思うんだが、聴き込み出すと明らかにロックとは違うことに気付く。まず、コードが複雑。そして、ビートが複雑。ロックをシンプルとすると、ジャズはコンプレックス。そして、必ず、即興演奏的なインプロビゼーションが展開される。これはロックには無いもの。勢い演奏時間は長くなる。大体5〜8分位が平均だろうか。

ゲストとして、ブレッカー兄弟や泣きのサンボーン、パーカッションのムトゥーメなどが参加して、演奏の底にそこはかとなく、濃厚なファンクネスが横たわる。なんとなくブルージーでなんとなくファンキーな要素が見え隠れする。この辺がこの盤の演奏が「ジャズ」である所以。そして、それをバックで支えるジョン・リーのベースとゲイリー・ブラウンのドラムの「超絶技巧な高速8ビート」がとても素晴らしい。

何の戸惑いもなく、ハードロック風のプレイに真摯に取り組むコリエルのエレギが最大の聴きもの。そして、超絶技巧な高速8ビート。これが「クロスオーバー・ジャズ」。優れたクロスオーバー・ジャズは今の耳で聴いても新鮮に響き、聴き込めば聴き込むほど、様々な仕掛けや音色に気がつく。クロスオーバー・ジャズって意外と奥が深いのだ。

 
 

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2018年3月13日 (火曜日)

今まで無いジャズ・エレギである

ジャズの楽器の中で、ギターが一番苦手だった。というか、ジャズ盤を聴き込んでいく際に、楽器別に攻めていった訳だが、何故かギターが一番最後になった。それと、昔ながらのジャズ・ギターの線の細い一本弾きが、どうにも苦手で、攻め口をエレギ中心に持ってくるという発想を得るまで、昔ながらのジャズ・ギターが苦手だった。今は違うけどね〜。

最近のギタリストで、僕のイチ押しは「ジュリアン・レイジ(Julian Lage)」。10代の頃からミュージシャンとして活動し、ブルースやブルーグラス、カントリーのシーンに足を突っ込んできたかと思えば、ゲイリー・バートンのバンドに15歳の若さで加入。とくれば、これって一流ジャズ・ギタリストやん。ゲイリー・バートンのバンドに加入したギタリストと言えば、パット・メセニーやカート・ローゼンウィンケル等々、錚々たる面々なのだ。

20歳のときに録音した初リーダー作『Sounding Point』(2009年)をエマーシーから発表してメジャー・デビュー。そのスタイルは、今まで無い唯一無二なもの。聴けば、これってレイジやん、と判るほどの音の個性。といって、奇をてらっているスタイルでは無い。あくまで正統派ジャズ・エレギの系統で、そのくすんだ音、それでいて流麗で、音の雰囲気はジャズに留まらない。米国ルーツ音楽の要素をそれぞれ取り込んで、ジャズ・エレギに応用した、そんな音作り。
 

Sounding_point_2

 
Julian Lage『Modern Lore』(写真左)。2017年12月のリリース。そんなレイジの最新作。ちなみにパーソネルは、Scott Colley (b), Kenny Wollesen (ds), Julian Lage (g) のトリオ編成。米国ルーツ音楽の要素を偲ばせながら、メリハリの効いたロック風味のエレギが実に格好良く、実に「粋」である。とても、聴き心地が良い。特に、1970年代のロックに親しんで来た耳にかなり訴求する音。ちょっとノイズが乗った様なザラッとしたくすんだ音がとても素敵である。

バックのリズム&ビートを供給するベースとドラムも味がある。決して、派手に目立ったりすることはないのだが、ベースはちょっとゴリっとした骨太のベースで、しっかりとビートの底を支えている。ドラムも一言で言うと「堅実」。変に捻ったり変にポリリズムに走ったりしない。シンプルに堅実にリズムを刻む。これが、レイジのエレギにぴったりと合う。

ジャズ・エレギ盤として、とても良い出来のアルバムだと思います。これまでのフュージョン・ジャズのエレギとは全く異なる、当然、昔のモダンなジャズ・ギターとは全く似ても似つかない、現代のジャズならではの新しいスタイルと響きが個性のジャズ・エレギである。聴いていて心地良いのが一番。もう次作が楽しみになる、ジュリアン・レイジの好盤である。

 
 

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2018年3月12日 (月曜日)

クロスオーバー・ジャズの深化形

ジャズはどんどん深化している。今から30〜40年前に流行ったクロスオーバー・ジャズやジャズ・ファンクが、今の感覚と今のテクノロジーを駆使して、新しく生まれ変わったりする。こういうのを聴くと、ジャズは深化してるな〜、って感じるし、ジャズって裾野が広いなあ、と改めて思ったりする。

Todd Clouser, John Medeski, JT Bates『You the Brave : Live at Icehouse』(写真左)。これが、凄いライブ盤なんですよ。2017年7月24日、ミネソタ州ミネアポリスでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Todd Clouser (g, vo), John Medeski (key), JT Bates (ds)。ギター+キーボード+ドラムのトリオ編成。

冒頭の「Whereas Her Money From」を聴いて、思わずぶっ飛ぶ。ヘビーなギター、うねるオルガン、強烈なファンク・ビート。テンポはゆったりしているが、ヘビーなエレ・ファンク。これって、マイルスやん。1970年代前半の強烈なファンク・ビートをベースにしたエレ・マイルスをゆったりとしたテンポに落とした様な音。僕達にとっては「どこかで聴いた音」。思わず、聴き込み体勢に入る。
 

You_the_brave  

 
すると、5曲目の「You Call When You Want Something」の様に、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏もある。8曲目には「Amazing Grace」のカヴァーまでしている。こんな情緒的で印象的なエレギとキーボードの演奏を聴いていると、まるで、1970年代のプログレッシブ・ロックを聴いている様だ。

ジャズとプログレとの共存。有りそうで今まで無かった、ジャズとプログレとの「融合」。新しい感覚、新しい音世界。クロスオーバー・ジャズの深化形であり、新たな「フュージョン・ジャズ」の拡がりである。そうそう、クルーザーのボーカルは、まさに「今」である。ラップの様でもあり、語りの様でもあり、明らかに新しいジャズ・ボーカルの形である。

とにかく、1970年代のエレ・ファンク、クロスオーバー・ジャズ、プログレッシブ・ロックな要素が混ざり合った、今までに無い音世界である。リズム&ビートも重量級で、ジャズの軽快なスイング感など全く無い、あるのは重量級のファンクネス。反面、情緒的で官能的、加えて、バラード調で哀愁感漂う印象的な演奏をアンチテーゼにして、このライブ盤は全く飽きが来ない。隠れ好盤。

 
 

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2018年3月11日 (日曜日)

カールトンもフュージョンが良い

21世紀になった今でも「フュージョン・ジャズ」の音の雰囲気をしっかり残したジャズメンやグループが幾つか存在している。さすがに生き残りである、かなりレベルの高いフュージョン・ジャズなアルバムをコンスタントにリリースし続けているのだ。昨日、ご紹介したリー・リトナーもそうだが、このラリー・カールトン(Larry Carlton)も、フュージョン・ジャズのレジェンドだ。

リトナーもそうだったのだが、21世紀に入ってからのカールトンのアルバムも、あまり真剣に聴き込んだことが無かった。実は、リトナーの時と同じタイミングで、カールトンのこの盤に出会って、早速、聴き直している。聴き直してみて、やっぱり、カールトンって、フュージョン・ジャズの人やなあ、と改めて感心。その盤とはこれ。

Larry Carlton『Deep Into It』(写真左)。2001年の作品。パーソネルを見渡すと、カールトン以外は、昔のフュージョン・ジャズで活躍していたメンバーはほとんどいない。それでも、出てくる音は、しっかりとフュージョン・ジャズしていて、昔からのフュージョン者である僕としては、懐かしさと嬉しさがこみ上げてきて、思わず何度かリピート聴きした。
 

Deep_into_it  

 
どういう心境の変化があったのか判らないが、この盤では、ギブソンES-355のギター・サウンドがタップリと堪能できる好盤に仕上がってます。従来からのカールトンの泣きのギターが満載。硬派で渋いクールなカールトンのフュージョン・ギターが戻って来た。そんな嬉しい思いがするアルバムです。偶然出会ったが故に喜びは倍増。

収録曲はどれもが良い楽曲ばかりなのですが、クルセイダーズの『Put It Where You Want It』を冒頭に持って来ているのもらしいし、「Roll With It」など、フィラデルフィア・ソウル好きなカールトンらしい。そして、イーグルスの名曲「I Can't Tell You Why」をさりげなくカヴァーしているところなんかは実にニクい。

「Don't Break My Heart」のアコギも実に良い味出しているし、フュージョン・ジャズには、演奏する楽曲の良し悪しに左右されるところがあるんですが、この盤はそこが実に良く出来ている。じっくり聴き込むのに良し、曲によってはダンサフルに足踏みをして聴くも良し。あまり話題にならない盤みたいですが、21世紀に入ってのカールトンの好盤として、お勧めの内容です。

 
 

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2018年3月10日 (土曜日)

リトナーにフュージョンが良い

1970年代半ば辺りから流行始めた「フュージョン・ジャズ」。1970年代後半から1980年前半にかけて大流行。1980年代後半、純ジャズ復古のムーブメントに呼応する様に、一気に衰退、というか、スムース・ジャズという、電気楽器の音の特性を活かして、ムーディーな要素を強調したものに変化していった。

しかし、21世紀になった今でも「フュージョン・ジャズ」の音の雰囲気をしっかり残したジャズメンやグループが幾つか存在していて、さすがに生き残りである、かなりレベルの高いフュージョン・ジャズなアルバムをコンスタントにリリースし続けているのだ。そんなジャズメンの一人が「リー・リトナー(Lee Ritenour)」。フュージョン・ジャズ創始の頃から、ギタリストとして第一線で活躍し続けている、フュージョン界のレジェンドである。

Lee Ritenour『Smoke 'n' Mirrors』(写真左)。2006年のリリース。ネットを徘徊していて、このアルバムに出会った。そう言えば、2000年以降のリー・リトナーって、あまり熱心に聴いたことが無いなあ、と反省しつつ、このアルバムに耳を傾ける。冒頭のタイトル曲から、演奏全体の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。
 

Smoke_n_mirrors

 
このアルバム全体から感じる印象は「収録された曲がどれも良い」ということ。フュージョン・ジャズの良し悪しを決める大事な要素が、収録された曲の出来。電気楽器が中心の演奏なだけに「流麗で滑らか」という特性があって、演奏曲の中にキャッチャーで聴き応えのあるフレーズを持っていないと、印象に引っ掛かるものが無くて、聴いていると飽きる。

しかし、このリトナーのアルバムについては、収録曲それぞれの出来がとても良くて、聴いていて飽きることは無い。加えて、リズム・セクションの出来がとても良い。パーソネルを見ると、ドラムに「ビニー・カリウタ(Vinnie Colaiuta)」がメインに座り、「アレックス・アクーナ(Alex Acuna)」がコンガを担当している。他のドラマーも含め、リズム系が充実している。

フュージョン全盛時代にジャズを聴き始めた、フュージョン・ジャズに限りない愛着のある自分にとっては、こういう内容充実のフュージョン盤に出会うと、なんだか気持ちがウキウキします。いや〜、この盤にはフュージョン・ジャズ純正の音が詰まっています。前年にフュージョン原点回帰したリトナー。やっぱりリトナーにはフュージョン・ジャズが似合いますね。

 
 

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2018年3月 9日 (金曜日)

ウルマーのジャズ・ファンク盤

1970年代後半、僕がジャズを聴き始めた頃は、ジャズの世界は「フュージョン・ブーム」真っ只中。FMのジャズの番組も、かかる演奏は基本的にクロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズがメインだった。深夜帯の僅かな番組だけが、純ジャズをかけていたなあ。これがまた、聴く耳にグッとくるんだよなあ。懐かしいなあ。

当時、貧乏学生にとって、FMは貴重な音源で、夜な夜なエアチェックしていて、翌日、小型のカセットテレコをカバンに入れて、小さなヘッドフォンで聴いて歩いていた。そう、まだ「ウォークマン」が出現する前の時代のことである(笑)。そんなFMエアチェック時代の1980年に入ってからのこと。突如、ステレオを通じて、ヘッドフォンに思いっきりジャズ・ファンクなエレ・ジャズが耳に飛び込んで来た。

James Blood Ulmer『Are You Glad to Be In America?』(写真)である。1980年のリリース。オーネット・コールマンのバック・バンド出身の ギタリストで「ハーモロディック理論」に影響されたジャズ・ファンク。ジャズ界のジミヘンと言われるJames Blood Ulmer=ジェームス・ブラッド・ウルマーのジャズ・ファンク盤。
 

Are_you_glad_to_be_in_america  

 
それはそれは凄まじいギターである。ハードではあるが、しっかりとファンクネスがドップリ染み込んでいて、リズム&ビートが効きまくっていて、グルーヴ感が半端無い。 オーネット・コールマンのバック・バンド出身のギタリストではあるが、音の雰囲気は、これって「エレクトリック・マイルス」である。エレクトリック・マイルスから、おどろおどろしい、ダークなファンクネスを差し引いて、あっけらかんとしたファンクネスを残したような音世界。

この「脳天気」なエレ・ジャズなところが、ジェームス・ブラッド・ウルマーの真骨頂。誰かが表現した「鉈で薪をガシガシ割っていくような」エレギは爽快感満点。混沌としたエレ・ジャズだけど、ビートがしっかりしているので、破綻したり拠れたりすることは無い。整然とキッチリとグルーヴする。躍動感溢れ、耳に心地良い。これもジャズ、である。

ウルマーのウネウネしたギターに、アリのブリブリなベース、さらにマレイの官能的なホーンが絡んで来て、呪術的なダブル・ドラムが乱入し渾然一体となり、1980年の頃は、これってフリー・ジャズなのかなんなのか、何となく隔靴掻痒な感があったのですが、これはもう、現代でいう、躍動感溢れスリリングな「スピリチュアル・ジャズ」です。 いや〜、今の耳にも爽快に響きます。

 
 

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