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2017年12月11日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・93

最近のネットのダウンロード・サイトって、とっても便利。時々、サイトの中を彷徨って、これは、という盤に出会ったら、試聴をかまして吟味する。そうやって「こんなアルバムあったんや〜」とビックリするやら、感心するやら、今まで聴いたことの無い盤に出会って、感謝感謝である。

Allan Holdsworth『Blues for Tony』(写真左)。そうやって、ダウンロード・サイトで出会った好ライブ盤。2009年のリリースになる。かつてホールズワースが在籍していた、トニー・ウィリアムス・ニューライフタイムの再現ライブ。トニーは1997年2月に亡くなっているので、このライブは、亡くなったトニーに捧げる演奏を記録したものになる。

2007年5月のヨーロピアン・ツアーの模様を収めたもので、パーソネルは、Allan Holdsworth (g), Alan Pasqua (key), Chad Wackerman (ds), Jimmy Haslip (b) のカルテット構成。凄まじいばかりのハイテクニックを駆使してのエレ・ジャズではあるが、決してフュージョンでは無い。演奏を聴けば判るが、明らかに硬派な純ジャズ系のエレ・ジャズ。
 

Blues_for_tony

 
収録曲は、ホールズワースが在籍していた、トニーのニューライフタイム名義のアルバム『Believe It』に収録されている「Fred」「Proto-Cosmos」「Red Alert」を中心に、メンバーのオリジナル曲を併せて全11曲。CD2枚組のボリュームですが、全演奏時間は90分程度で、演奏のテンションが高くて、内容もバラエティに富んでいるので、一気に聴いても飽きることは無い。充実にライブ演奏です。

スピード感を十分、それぞれの楽器の音もタイトで切れ味良く、とても気持ち良く聴けます。特にホールワースのギターは絶好調で、切れ味良く、クイックに捻れ、ポジティブな音は「ホールワースやなあ」と感心し笑みがこぼれるばかりの強烈な個性です。パスクアのキーボードも素敵に歪みつつ、切れ込むような疾走感を伴ってガンガン弾きまくります。

この弾きまくるホールワースは、あらゆるロック・ギターの演奏を吹っ飛ばしてしまうばかりの迫力とテクニック。しかも、アドリブ・フレーズにも聴きどころ満載で、こんなライブ盤が2009年にリリースされていたなんて、とにかくビックリしました。以前のニューライフタイムの演奏よりも緻密で高度。聴きどころ満載の好ライブ盤です。

 
 

東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年12月 5日 (火曜日)

ECMレーベルらしい音・6

西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。そんな、アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」が独特の個性で、ECMレーベルにしかない音世界というものが存在する。

例えば、Ralph Towner with Glen Moore『Trios Solos』(写真左)。1972年11月の録音。ECM1025番。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (g, p), Glen Moore (b), Paul McCandless (oboe), Collin Walcott (tabla)。タウナーとムーアの共同名義のアルバムですが、このメンバー構成は、当時の「Oregon」オリジナル・メンバーですね。

恐らく契約の関係で、ECMレーベルから「Oregon」名義でアルバムをリリース出来なかったのでは無いかと推察しています。しかも演奏フォーマットは、トリオとソロの2種類。4人合わせての演奏は無いんですよね。しかし、この盤で奏でられている音世界は、まさしく「Oregon」そのものです。
 

Trios_solos

 
この音世界がECMレーベル独特の「美意識」と呼べるもので、とりわけ、ラルフ・タウナー(写真右)の美しいメロディーと繊細かつ力強いタッチのギターが素晴らしい。ECMレーベルの「美意識」を12弦ギターで紡ぎ上げていきます。この12弦ギターのパフォーマンスが圧倒的。4曲目「1×12」、7〜9曲目の「Suite: 3×12」の12弦ギター1本だけの演奏は凄いテンションで凄まじいばかり。 

音の洪水である。しかしながら、怜悧な音の洪水で姦しさは全く無く、静謐感をしっかりと留めているところが印象的。ニューヨークでの録音であるが、リミックスを施して完全にECMレーベルの音世界に仕立て上げている。これが不思議。ECMレーベルの音のマジックである。独特なエコーを伴って、その音空間は広め、楽器毎の分離は良好、定位感は抜群。ECMレーベルらしい音の「美意識」がここにある。

ファンクネスは皆無。透明感と静謐感がメイン、かつ自由度の限りなく高い「ニューエイジ・ジャズ」。初期ECMレーベルでのタウナーのリーダー作の「Diary」や「Solo Concert」などと並んで、珠玉の逸盤です。ほんと、ECMレーベルらしい音がぎっしりと詰まっています。聴き応え満点です。

 
 

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2017年11月27日 (月曜日)

ECMレーベルらしい音・4

僕はこのアルバムで、パット・メセニーに出会った。大学の友人宅で聴かせて貰った。当時、ロックしか知らない音楽野郎で、ジャズは全く知らなかった。そして、その友人は「お前のキャラからするとECMやなあ」とブツブツ良いながら、このアルバムをかけてくれた。スピーカーから出てきた音は、今までの音楽体験の中で、全く、聴いたことの音世界だった。

Pat Metheny『Watercolors』(写真左)。1977年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g, 12-string g, 15-string harp-g), Lyle Mays (p), Eberhard Weber (b), Danny Gottlieb (ds)。Pat Metheny Group(PMGと略)で盟友となるピアノのライル・メイズとの初共演盤になる。

こんなジャズがあったんや、と感動した。それまでのジャズの印象とは全く違う、というか、全く新しいジャズの形だと思った。ファンクネスは皆無。黒さは全く感じられず、逆に米国ルーツ・ミュージックの1つである「フォーク、カントリー、ポップス」の要素を取り込み、自然の風景や気候を感じさせる、フォーキーでメロディアスなフレーズが特徴。僕は勝手に「ネーチャー・ジャズ」と形容している。
 

Watercolors

 
タイトルが「色とりどりの水」なので、全編聴き通すと「水」にまつわる様々な景色、模様が浮かんできます。面白いです。印象画の様なコンテンポラリー・ジャズとでも言いましょうか、穏やかではあるが、濃密かつ親密な音世界がとても魅力的です。音で情景を紡ぎ上げていく。そして、適度に豊かなエコー。典型的な「ECMレーベル」の音世界です。

ゴットリーブのドラムが印象画の様な音世界に適した「躍動感」を与えている。ウェーバーの柔軟で流麗なアコベとエレベが、パットのギターのベース・ラインに寄り添って、パットのギターをグッと浮き立たせ、グッと惹き立たせている。そして、ライル・メイズのピアノは「言わずもがな」、パットのギターに最適なピアノの音を止めども無く供給し続ける。とにかくリラックス出来る好盤。

フォーキーでメロディアスなフレーズが爽やかで優しい。パットの切れ味良く、やや捻れ気味にウォームなエレギの音は一度聴いたら忘れられないほど「個性的」。このパットのギターの音色とひねり出すフレーズが気に入るか、気に入らないかで、パットの評価は正反対に二分されるだろう。で、僕はパットのギターが大好きです。ジャズを聴き始めた頃に、この『Watercolors』に出会ったことは、僕にとって実に幸運な出来事でした。

 
 

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2017年11月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズには、一流ジャズメン達がリーダーになって、気合いを入れて創作するアルバムもあるが、気心知れたジャズメン達が、ちょっと集まって、ジャムセッション風に録音して制作するアルバムもある。そして、意外に、この気心知れたジャズメン達がちょっと集まって録音したアルバムが、実に滋味に富んだ、実に心地良いモダン・ジャズなアルバムになっていたりするから面白い。

例えば、Paul Desmond『First Place Again』(写真)。1959年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。ピアノの代わりにギターが入ったカルテット構成。この構成とこのパーソネルを見るだけで、この盤に詰まっている音が期待出来る。

ポール・デスモンドは、デイブ・ブルーベックのカルテットに参加して人気のアルト奏者。そこに、ジャズ・ギターの名手ジム・ホールが加わり、ベースとドラムは、モダン・ジャズ・カルテットから、パーシー・ヒースとコニー・ケイが参加。いや〜、当時、人気の一流ジャズメンばかり、しかもバリバリの中堅。粋で渋い、聴くからにジャズらしい音を出す4人である。
 

First_place_again

 
選曲も渋くて、スタンダード曲かトラディショナル曲で占められる(CD再発の時にデスモンド作が入るがオリジナルLPには無い)。冒頭のコール・ポーター作の「I Get a Kick Out of You」や、ジョン・ルイス作の「Two Degrees East, Three Degrees West(2度東3度西)」など、聴いていて惚れ惚れする。典型的なモダン・ジャズ、典型的なハードバップである。

ここまで来ると、もう理屈やないなあ、と思ってしまう。優秀な一流ジャズメン達が、ちょっと集まって録音すると、きっと適度にリラックスした演奏になるんだろう、本当に和やかで優れた内容である。聴く側も適度にリラックスして、微笑みを湛えながら、ちょっと足でリズムを取りながら、首は左右に微かに触れてスイングする。そんな雰囲気の演奏が実に心地良い。

ポール・デスモンドのアルトが興味深い。ブルーベック・カルテットの時には、丸くて和やかで温和なアルトを吹いているのだが、ブルーベック・カルテットを離れて、一人で他流試合に参加した時には、結構、力強いアルトを吹く。どちらが彼の本質なのか、聴いていてとても興味深い。最初から最後まで、心地良いモダン・ジャズがてんこ盛り。隠れ好盤です。

 
 

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2017年10月20日 (金曜日)

素晴らしき『Summer Nights』

ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌などに滅多に紹介されないのだが、ジャズ喫茶に行くと何気なく流れていて、これがまあ、全く聴いたことの無い、素晴らしい内容の盤だったりして、思わず、カウンターに直行して「これ何?」と訊いたり、アルバムのジャケットを見渡して、アルバムのタイトルとリーダーのジャズメンの名前をメモったりするのだ。

そんな、ジャズ喫茶御用達の「隠れ好盤」の一枚がこれ。Joe Pass『Summer Nights』(写真左)。1989年12月、カルフォルニアはハリウッドでの録音。ちなみにパーソネルは、Joe Pass, John Pisano (g), Jim Hughart (b), Colin Bailey (ds)。ジョー・パス御大とジョン・ピサーノの2本のギターに、ピアノレスのリズム・セクション。ちょっとクールな編成。

1989年なので、純ジャズ復古の大号令がかかって、純ジャズが復権し始めた頃。そんな時期に、こってこてメインストリームなジャズが展開されている。とにかく、冒頭の「Summer Night」から、ラストの「Them There Eyes」まで、パッキパキ硬派なギター・ジャズ。音の雰囲気はしっかりと1980年代後半の音なんだが、この盤は奇跡的にデジタル臭さが無い。これが良い。
 

Summer_night

 
流麗な指捌きが素敵なジョー・パス御大なんだが、実はとってもアグレッシブ。ソロにバッキングに変幻自在、硬軟自在な職人的ギター。リラックスなピッキングではあるが、出てくる音にはガッツリと芯が入っている。フルアコ・オンマイクの良さが全面に出ている。これだけ力感溢れるジョー・パスのギターは他ではなかなか聴けない。

この盤、実は録音が抜群に良い。ライブ音源なのだが、ギターもベースもドラムも録音された音が実に生々しい。バックでベースとドラムが軽快に、しかしながらブンブンビンビン鳴って、躍動感満載である。流麗で聴き心地の良い、メロディアスな演奏なんだが、しっかりとガッツの入ったアドリブ・フレーズはとっても清々しい。

良いライブ盤です。ピアノレスのギター2本の変則カルテットな編成ですが、これがバッチリと填まって、メリハリのある演奏がとても印象的。特に、主役のジョー・パス御大の状態がとても良かったのだろう、とても軽やかに流麗に、印象的なアドリブ・フレーズをガンガン連発する。オーディオ的にも音が良く、お勧めのライブ盤です。現在、ちょっと入手し難いのが難点ですが、中古盤中心に探し当てて欲しいと思います。

 
 

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2017年10月19日 (木曜日)

クライスバーグを聴かねば

1980年代後半、マンネリがたたって、飽きられ廃れたフュージョン・ジャズ。ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは、その音世界の洗練度合いを向上させて「スムース・ジャズ」というサブ・ジャンルを形成するに至り、これが一定の人気を維持している。

しかし、21世紀になった今でも、1970年代後半から1980年代前半が全盛期の「フュージョン・ジャズ」の雰囲気をしっかりとキープした好盤が一定量リリースされ続けている。「時代の徒花」なんて揶揄する評論家の方々もいらっしゃるが、やはり、フュージョン・ジャズの音作りと演奏全体の雰囲気に魅力があるということだろう。

Jonathan Kreisberg『The South of Everywhere』。2007年のリリース。「ジョナサン・クライスバーグ」。長い名前だ。1972年生まれだから、今年で45歳。中堅である。元プログレバンドのテクニシャン・ギタリストが、ギターをホーンのように使用した奏法を多用した演奏が印象的。聴いていて、フュージョンやなあ、と心から思えるアルバムである。
 

The_south_of_everywhere

 
「ジョナサン・クライスバーグ」は我が国での知名度は低い。不思議である。これだけ手を抜かない、ハイテクニックで流麗なエレギ。アダム・ロジャース、カート・ローゼンウィンケルと並ぶコンテンポラリー系ギタリストを代表する一人。しかし、この盤などを聴いて貰えれば、この気持ち、判って貰えると思います。

クライスバーグ自身のオリジナル6曲にスタンダード2曲の構成。時に流麗に、時には攻撃的に展開するクライスバーグのギターは聴き所満載です。もともとロック畑のギタリストである。今のフュージョン・ギタリストのフレーズの中に、おやっと思うくらいに明確なロックなフレーズがとっても素敵である。エレギの取り回し、アドリブ・フレーズはしっかりとフュージョン・ジャズの雰囲気をキープしている。

現代のコンテンポラリーなジャズの中で、注目すべきギタリストの一人だと思います。クライスバーグの持つ、ギタリストとしてのテクニックと感性は素晴らしい。クライスバーグをもっと聴き込まねば、とこの盤『The South of Everywhere』を聴いて自省した次第です。

 
 

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2017年10月17日 (火曜日)

一聴瞭然なフュージョンの音

1970年代後半から1980年代前半がフュージョン・ジャズのブームだったんだが、この頃のアルバムを聴くと、フュージョン・ジャズにはフュージョン・ジャズなりの「音の雰囲気」がある。口で言葉で表現するのはちょっと難しいのだが、アルバムの音を聴いていただければ「一目瞭然」ならぬ「一聴瞭然」である。

John Tropea『Short Trip to Space』。1977年の作品。ジャズ者駆け出しの頃、学生時代、ヘビロテだったトロペイの好盤。ソロ第2弾。当時、邦題は訳の判らん『宇宙楽園』。ギター・フュージョンのお手本みたいな盤である。アレンジは、クロスオーバー・ジャズの寵児デオダート。ホーン&ストリングスを贅沢に使った、明らかにフュージョン・アレンジの先鞭をつけたような、ソフト&メロウな雰囲気。

トロペイは、フル・アコースティック・ギターを抱えたフュージョン・ギタリストの一人。他に、スタッフのエリック・ゲイル、ウェスト・コーストの名手デヴィッド・T・ウォーカーがいる。これが独特の音で、ウォームなソフト&メロウな音にウットリする。この音が「フュージョン・ジャズ」の音世界の特徴である。
 

Short_trip_to_space

 
加えて、ダンサフルな「ディスコ・ミュージック」を意識したメリハリのある音作りも「フュージョン・ジャズ」の音世界の特徴。あからさまにやると、ちょっと耳につくが、上品にやると、実にリズミカルでダンサフルな、小粋で程良いビートの効いた音になる。しかも、R&Bからの影響というよりは、ソウル・ミュージックからのフレーズの引用というところが工夫である。自然と「ソフト&メロウ」となる。

しかも、この盤は音が分厚い。親友デヴィッド・スピノザとのツイン・ギター、スティーヴ・ガッド、リック・マロッタのツイン・ドラム、ドン・グロルニックのキーボード、ウィル・リーのベース。加えて、ブレッカー・ブラザースを含む豪華なホーン・セクション。名うての名手達が一堂に会して、様々なバリエーションのフュージョン・ジャズを繰り広げている。 

この盤の優秀なところは、大向こうを張った派手なアレンジとか、目の覚めるような超絶技巧なテクニックを前面に押し出すのではなく、余裕のある、聴き応えのある、悠然とした演奏をメインに据えているところ。「せせこましく」無く、大味な音でも無い。メリハリの効いた明らかに優秀な「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズの音。フュージョン者におかれては、一聴をお勧めしたい。

 
 

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2017年10月16日 (月曜日)

チャック・ローブを偲んで ・・・

我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、フュージョン・ジャズも分け隔て無く聴く。特に、僕がジャズを聴き始めた頃は1970年代後半で、ジャズ界は「猫も杓子もフュージョン・ジャズ」の大ブームであった。アコースティック楽器メインの純ジャズなんて「古い」と言われて、片隅に追いやられていた。

それだけ、当時のフュージョン・ジャズは多くのファンを持っていた。1980年代に入って、さすがにマンネリ化して、飽きられ廃れたが、マンネリ化して飽きられただけである。フュージョン・ジャズの黄金期、1970年代後半から1980年代初頭にかけての、フュージョン・ジャズには好盤が多い。フュージョン・ジャズ自体のコンセプトに問題があった訳では無い。

それでも1980年代後半、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは、その音世界の洗練度合いを向上させて「スムース・ジャズ」というサブ・ジャンルを形成するに至り、これが一定の人気を維持している。しかし、21世紀になった今でも、フュージョン・ジャズの雰囲気をしっかりと維持した好盤がリリースされたりして、フュージョン者の耳を楽しませてくれる。
 

Unspoken

 
Chuck Loeb『Unspoken』。2016年のリリース。このアルバムは、聴けば判るのだが、しっかりと、1970年代後半のフュージョン・ジャズの雰囲気をキープしている。今でも、フュージョン・ジャズは生きている。このギター・フュージョン盤がそれを証明している。スムース・ジャズとは一線を引く、フュージョン・ジャズの雰囲気。

フュージョン独特の軽快・爽快なリズムに乗って、チャックの華麗なエレギのフレーズが煌めく様に乱舞する。チャックのギターは、目立つように、大ぶりな高速フレーズを弾きまくるのでは無い、音を選んで、シンプルなフレーズをメインに、短く印象的なアドリブ・フレーズを積み上げていく。そんな「粋」なフュージョン・ギターである。そして、アレンジが秀逸。

ボーカルをフィーチャーした、ソフト&メロウな曲もあり、アルバムとしてのバランスも良い。実は、今年7月31日、チャック・ローブは他界しました。享年61歳。ジャズメンとしては、まだまだ、これから成熟、老練の域に入る年頃だったのに実に残念です。このチャックのギターの個性が堪能出来る盤『Unspoken』が遺作になりました。合掌。

 
 

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2017年10月 3日 (火曜日)

デビティは「ソフト&メロウ」

フュージョン・ジャズの前身が「クロスオーバー・ジャズ」。クロスオーバー・ジャズの前身が「イージーリスニング・ジャズ」。1960年代後半辺りから、着実に進歩し、着実に発展、そして、1970年代後半から1980年代前半にかけて一世を風靡した「フュージョン・ジャズ」。フュージョン・ジャズの個性は、バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」。

David T. Walker『Press On』(写真左)。 1973年の作品。ジャケットも渋い。David T. Walker(デヴィッド・T・ウォーカー=略して「デビティ」)は、モータウン黄金期を支えた世界一ソウルフルなギタリスト。ジャズ、ファンク、R&Bの数々の名盤を支えてきたギタリストである。デビティのエレギは「メローギター」、そして、ソウルフルな「フィルインフレーズ」。

1973年の作品なんですが、この『Press On』でのデビティのエレギは「フュージョン・ジャズ」。バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」。伸びの良いトーンと流麗なアドリブ・フレーズの弾き回し。ちょっとくすんだ切れ味の良い弦の響き。これが1973年、ジャズのトレンドは「クロスオーバー・ジャズ」の時代に、フュージョン・ジャズな音を完全に先取りしている。
 

Press_on

 
グルービー満載のタイトル曲の「Press On」、4曲目、The Delfonicsの名曲「Didn't I Blow Your Mind ThisTime」のカヴァーでは、バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」なデビティのエレギが炸裂。ビートルズのカヴァー、5曲目の「With a Little Help from My Friends」では、途中、ホーン・セクションが絡んで、どんどん熱くファンキーな展開になっていくところが格好良い。原曲よりファンキーな、6曲目の「Superstition」。

収録されたいずれの楽曲も雰囲気は統一されていて「フュージョン・ジャズ」。決して「クロスオーバー・ジャズ」では無い。ちなみにパーソネルを見渡して見ると、リーダーのDavid T. Walker (g), Harvey Mason (ds), Charles Larkey (b), Joe Sample (key), Bobbye Hall (cong) など。明らかに、フュージョン・ジャズを代表するミュージシャンがズラリ。しかし、この盤は1973年にリリースされている、というところが凄いのだ。

フュージョン・ジャズを3〜4年も先取りした、デビティの『Press On』。Ode3部作の2作目にあたり、この盤『Press On』を聴くと、残りの『David T. Walker』(1971年作品)、『On Love』(1976年作品)も一気に聴きたくなります。バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」なエレギの音。伸びの良いトーンと流麗なアドリブ・フレーズの弾き回し。デビティのエレギは「ソフト&メロウ」です。

 
 

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2017年10月 2日 (月曜日)

1990年代のフュージョン盤

1970年代後半から1980年代前半に、一世を風靡した「フュージョン・ジャズ」。1980年代後半、メンストリーム・ジャズ復古の煽りを受けて衰退するが、1990年代は「スムース・ジャズ」を中心にしっかりと生き残る。1990年代は、フュージョン・ジャズは、米国では「スムース・ジャズ」と呼ばれて、意外と人気のジャンルとなっていた。

そんな1990年代のスムース・ジャズの好盤の一枚が、Norman Brown『Just Between Us』(写真左)。1992年の作品。Norman Brown(ノーマン・ブラウン)とは誰か。1970年、米国はカンサス・シティ生まれ。ということは今年で47歳。ジャズ界ではバリバリの中堅である。

ノーマン・ブラウンは、ソウルの名門モータウンが、1992年にジャズ・レーベルとして立ち上げた「MoJazzレーベル」の第一号アーティスト。2002年度のグラミー賞で「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」を獲得している。米国では名の通ったフュージョン・ギタリストだが、残念ながら、我が国ではあまり知られていないようだ。
 

Just_beetween_us

 
聴けば判るが、ウエスやベンソン、捻りをいれて「ジミヘン」の影響が色濃い。つまりは70年代ロック小僧好みのフュージョン・ギタリスト。彼のエレギは、基本は、明らかに「ジョージ・ベンソン」のフォロワーの音で、ピッキングの正確さは群を抜いている。速いフレーズも緩やかなフレーズもパッキパキで覇気溢れる弾き回し。聴いていてスカッとする。

この盤の音の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。フレーズは流麗だけど、ブラウンのギターはちょっとゴツゴツしていて捻れていて、スムース・ジャズという雰囲気では無い。1970年代後半のパッキパキ尖ったフュージョン・エレギの雰囲気。フレーズとリズムは流麗で、スムース・ジャズや、と言われれば「そうかいな」とも思うが、ブラウンのエレギの音を聴く限り、この盤の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。

アース(ウインド&ファイアー)のホーンセクションがまるごと参加、アースのナンバーをカヴァーした4曲目「Love's Holiday」、リード・ヴォーカルにステーヴィー・ワンダーが参加した6曲目「Too High」など、コッテコテ「ソウル系」のカヴァー曲がむっちゃ格好良い。スムース・ジャズと言うよりも、フュージョン、あるいはソウル、ファンクのエッセンスが芳しい、魅力的な「1990年代のフュージョン盤」です。

 
 

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