2020年1月 3日 (金曜日)

正月のジャズ・メッセンジャーズ

2020年が始まりました。昨年の年末、ちょっと冷え込みましたが、このお正月は穏やかな良い天気続きで、特に日中は暖かな三が日でした。と、ボーッと生きていたら、2020年になって、はや3日が経ちました。21世紀になってもう19年が経った訳で、2010年代はあっと言う間に終わっちゃった訳で、なるほど歳を取る訳です。ということで、今年も、我がバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。

新年になって初めて聴くジャズ、いわゆる「今年最初のジャズ盤」である。いつも頭を悩ます問題ではある。まあ、拘る必要が無いと言えば、拘る必要の無い問題で、そんなん、その時聴きたいジャズ盤を聴いたらええやん、というドライなジャズ者の方もいらっしゃるだろうが、僕はそれが出来ない。なんかしら理由を付けて、その理由を反芻し悦に入って、今年のジャズ盤鑑賞を始めたい。

Art Blakey & The Jazz Messengers ‎『A Day With Art Blakey(Live In Japan 1961)』(写真)。1961年1月2日、Sankei Hall(サンケイホール・東京)でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Jymie Merritt (b), Bobby Timmons (p), Wayne Shorter (ts), Lee Morgan (tp)。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの初来日時のライヴ録音。
 
 
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昨年(2019年)は、アート・ブレイキーの生誕100周年の記念の年であった。ということで、Art Blakey & The Jazz Messengersのアルバムをまとめて聴き直している途中である。その流れの中でこのライヴ盤。正月の録音と言えば、真っ先にこのライヴ盤が浮かぶ。当時、相当センセーショナルな出来事で、当時、とても珍しかった外タレが来る、ということで社会現象にもなったほど。大歓迎につぐ大歓迎。おもてなしにつぐ、おもてなしだったそうである。

で、このライヴ盤の演奏内容であるが、かのファンキー・ジャズの大名盤『Moanin'』のパーソネルから、テナー・サックスだけが、ベニー・ゴルソンからウェイン・ショーターに代わっている。いわゆる「音楽監督」的存在が交代した訳で、メンバーの「持ち味」を活かしたアレンジをするゴルソン、自分のやりたいことをバンドにやらせるショーター。ということで、このライヴ盤では「モーダルなジャズ」の雰囲気が濃厚に漂っている。『Moanin'』の演奏イメージを想定していた当時の我が国のジャズ者の皆さんは、かなり面食らったそう。

ハードバップ〜ファンキー・ジャズだ、と思っていたら、全く異なる「モード・ジャズ」が鳴り響いたのだからたまらない。当時の「ジャズの進化」の洗礼を思いっ切り浴びた格好ではある。しかし、それでも、ライヴ盤に記録されている拍手や歓声は熱狂的。演奏中の静寂も含めて、当時の我が国のジャズ者の方々は、ジャズを「アート」と認識していたことがとても良く判る。とても含蓄に富むライヴ盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年12月26日 (木曜日)

70年代のブレイキー&スティット

1970年代は、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの全盛時代で、電気楽器がメインのロックとジャズの融合音楽や、ソフト&メロウな融合音楽が流行に流行った。当時はアコースティック楽器がメインの「純ジャズ」なんて過去の遺物扱いで、誰も見向きもしない様な状況だった。しかし、である。それでも「純ジャズ」の新盤はリリースされ続けていた。コアなマニアが居たんですねえ。「純ジャズ」は死なず、です。

Art Blakey & the Jazz Messengers『In Walked Sonny』(写真)。1975年5月16日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Stitt (as, ts), Art Blakey (ds), Walter Davis, Jr. (p), Bill Hardman (tp), David Schnitter (ts), Yoshio "Chin" Suzuki (b)。ゲストにソニー・スティットのテナー。ビル・ハードマンとデイビット・シュニッター、2管ジャズ・メッセンジャーズとの共演。

1970年代半ばに上質のハードバップ。そのリズム&ビートの雰囲気は往年のジャズ・メッセンジャーズそのもの。1970年代半ばのクロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの全盛時代に、こんな上質のハードバップが新盤として録音されていたとは、ちょっとビックリした。1970年代の「純ジャズ」冷遇時代にも、ジャズ・メッセンジャーズは、こんなに格好良いハードバップをやってたんですねえ。
 

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よく聴けば、ジャズ・メッセンジャーズの全盛時代と比べると見劣りする部分があるかもしれない。それでも、この盤に記録されているハードバップは、十分に水準をキープした、まずまずの内容のハードバップである。そして、肝心の部分をしっかりと締め、しっかりと鼓舞しているのが、客演したソニー・スティットのアルト&テナー・サックスである。

ソニー・スティットのバップ基調の味のあるサックスが良い雰囲気だ。録音当時51歳。さすが、ビ・バップからハードバップを生き残ってきたベテランである。この盤のハイライトは、冒頭のベニー・ゴルソン作の「ブルース・マーチ」、3曲目のフレディ・ハバードの「バードライク」。ソニー・スティットのサックスがこんなにジャズ・メッセンジャーズに合うなんて。良い雰囲気のハードバップである。

ジャケット写真を見ると、ブレイキーもスティットも1970年代のファッションに身を包んでいて、なんだかジャズメンらしくないんですが、この盤に詰まっているジャズは、紛れも無い「ハードバップ」である。さすがはジャズ・メッセンジャーズ。さすがは総帥のアート・ブレイキー。1970年代のジャズ・メッセンジャーズはスランプの時代だ、と言われていますが、どうして、なかなかのハードバップやってます。
 
 
 
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2019年12月21日 (土曜日)

ネオ・ハードバップのブレイキー

先週の日曜日に、ウィントン・マルサリス参加のジャズ・メッセンジャーズの『Art Blakey in Sweden』をご紹介した。確かに、ウィントン・マルサリス参入後のジャズ・メッセンジャーズのハードバップ演奏については、全く新しい響きが充満している。今の耳で振り返れば、いわゆる「ネオ・ハードバップ」の先駆だったことが良く判る。今でも十分に通用する内容に思わず「目から鱗」である。

Art Blakey & the Jazz Messengers『Live At Bubba's Jazz Restaurant』(写真左)。1980年の録音。ウィントン・マルサリス参加のジャズ・メッセンジャーズについては、どのアルバムも内容十分の「ネオ・ハードバップ」を聴くことが出来るが、僕はこの盤を推すことが多い。ウィントンが18歳のデビュー直後にブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして、フロリダのジャズ・クラブ「バッバス」に出演した時の録音。

ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Winton Marsalis (tp), Bobby Watson (as), Billy Pierce (ts), Jimmy Williams (p), Charies Fambrough (b)。見渡すと、ウィントンとワトソン、ピアースが突出した存在。ネオ・ハードバップな響きはこの3人が醸し出していたことになる。今から思えば、凄いフロント3管である。
 
 
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まず、有名なスタンダード曲、例えば「Angel Eyes」や「'Round Midnight」「My Funny Valentine」などの演奏を聴けば、このバンドの演奏の「全く新しい響き」を感じることが出来る。まず、スタンダード曲の旋律に対するアプローチが全く新しい。過去のハードバップ時代の定番フレーズを踏襲することは全く無い。自ら、新たなアプローチとアレンジを施し、それを前提に新しい響きのモーダルなアドリブを展開する。

そして、ジャズ・メッセンジャーズの十八番である「Moanin'」についても、全く新しいアプローチが施されていて、新しい魅力が詰まった「Moanin'」の演奏が実に楽しい。こういう新しいアレンジとアプローチがあるんだ、なんて妙に感心したりする。この盤が初めてリリースされた当時、18歳で抜擢され堂々とフロントを務めるウィントンのプレイに誰もが衝撃を受けた、とあるが、納得である。

しかし、一番驚くのは、アート・ブレイキー御大の柔軟性と応用力の高さ。ウィントン達がネオ・ハードバップな解釈ものもと、新しい響きとアプローチを披露するのだが、ブレイキー御大のドラムはその新しい響きにビビットに反応して、ならではのドラミングに切り替え、逆に、若きフロント達をリードし鼓舞する。なんて懐の深いドラマーだ。超一流なレジェンドは物が違う。この盤では既に「ネオ・ハードバップ」を支え、鼓舞している。
 
 
 
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2019年12月15日 (日曜日)

ジャズ・メッセンジャーズの復活

つい最近知ったのだが、今年って、アート・ブレイキーの生誕100年だそう。そうか、ブレイキーは1919年10月11日生まれだから、確かに今年で100歳になるのか。うっかりしていたなあ。どうりでジャズ雑誌とかで、ブレイキーの特集が組まれてる訳だ。そう言えば、ブレイキーは1990年10月16日に亡くなっているので、来年は没後30周年になる。

アート・ブレイキーと言えば「ジャズ・メッセンジャーズ」。リーダーのブレイキーが1990年に亡くなった時点で活動終了となる迄、35年以上に渡って存在したジャズ・コンボで、優秀な若手ジャズマンの登竜門として、多くの一流ジャズメンを輩出している。そういう面から「ブレイキー・ジャズ道場」とも呼ばれている。

活動のピークは2度ある。最初のピークは、1950年代後半、ベニー・ゴルソンを音楽監督として迎えた時期に「モーニン」「ブルース・マーチ」などのヒットを放った頃から1960年代中盤まで。2回目のピークは、1980年、わずか18歳のウィントン・マルサリスが加入して以降、1980年代後半までである。特に、トランペット奏者に恵まれた時期に、コンボとしての充実期が被る傾向にある(と僕は思っている)。
 
 
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Art Blakey & the Jazz Messengers『Art Blakey in Sweden』(写真左)。1981年の作品。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Wynton Marsalis (tp), Bobby Watson (as), Bill Pierce (ts), James Williams (p), Charles Fambrough (b)。ウィントン・マルサリスとボビー・ワトソン、ビル・ピアースをフロントにフィーチャー。新しい響きだらけのハードバップ。

1970年代後半、スターと呼ぶべき魅力のある若手サイドメンが不在となり、ジャズ・メッセンジャーズの暗黒時代と呼ばれる時期を経て、1980年代初頭、天才トランペッターウィントン・マルサリスの参加によって、ジャズ・メッセンジャーズは完全に息を吹き返し、2度目の活動のピークを迎えることになる。その片鱗が、このライブ盤に詰まっている。とにかく、ハードバップではあるが響きが全く新しい。

1980年代半ばの「純ジャズ復古」に向けて、この新生「ジャズ・メッセンジャーズ」から、新しい時代の、新しいハードバップが始まった。ジャズは即興の音楽。アドリブの音楽。自由度の高い音楽。この新生「ジャズ・メッセンジャーズ」の音を聴いていると、ジャズの可能性はまだまだ無限だなあ、と改めて感じる。『Art Blakey in Sweden』、良いライブ盤である。
 
 
 
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2019年12月14日 (土曜日)

好調な70年代メッセンジャーズ

The Jazz Messengers(ザ・ジャズ・メッセンジャーズ)は、1954年から翌年にかけて、後に単独リーダーとなったアート・ブレイキーがホレス・シルヴァーと結成。1956年のシルヴァー脱退後、リーダーのブレイキーが1990年に亡くなった時点で活動終了とするまで、35年以上に渡って存在したジャズ・コンボである。

もともとこのジャズ・メッセンジャーズは、1950年代後半、ベニー・ゴルソンを音楽監督として迎えた時期に「モーニン」「ブルース・マーチ」などのヒットを放った老舗ジャズ・コンボ。1960年代半ばまで、コンスタントに充実したアルバムをリリース。しかし、ジャズがロックやポップスに押されて人気に翳りが見え始めたのに応じるかのように、1960年代後半から徐々に調子を落としていった。

しかし、今の耳で聴き直してみると、ジャズ・メッセンジャーズは何時の時代も、その時代時代の若手精鋭をメンバーにして、充実したハードバップを展開しているのだ。これにはいつも感心する。リーダーのブレイキーの見識と矜持、そして指導力の賜だろう。そして、そのリーダーの指導と方針に応えるメンバーも素晴らしい。そう、ジャズ・メッセンジャーズは何時の時代も、優れたハードバップ集団だったのだ。
 
 
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Art Blakey & the Jazz Messengers『Child's Dance』。1972年の作品。ジャズ・メッセンジャーズらしく、当時の若手精鋭が参加していて、溌剌したハードバップが展開されている。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Woody Shaw (tp), Buddy Terry (ss), Ramon Morris (ts, fl), Manny Boyd (fl), George Cables (p, el-p), John Hicks (el-p), Mickey Bass, Stanley Clarke (b), Ray Mantilla, Emanuel Rahim (congas), Nathaniel Bettis, Richie "Pablo" Landrum, Sonny Morgan (perc)。

ウッディ・ショウの伸びの良い、溌剌としたトランペットが良い。スタンリー・クラークのウォーキング・ベースが強烈だ。キーボードの2人とサックス+フルート部隊の3人は「必死のパッチ」(笑)。若々しくて良いでは無いか。ブレイキー御大はいつも通り、フロント隊、キーボード、ベースとバンド全体を鼓舞し続ける。この時期の御大は「バックに回ってしっかりと支える」ように鼓舞する。これが良いバランス。

ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌からは全く顧みられない1970年代のArt Blakey & the Jazz Messengersであるが、聴いてみると、どれも味のある、溌剌とした「ハードバップ」をやっている。ハードバップではあるが音が若々しい。それは、ジャズ・メッセンジャーズが若手ジャズマンの登竜門的コンボの位置づけで、何時の時代も若手有望株がメンバーになって、必死に鍛錬を積んでいるからである。
 
 
 
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2019年8月21日 (水曜日)

4300番台の発掘リリース盤・1

ブルーノート・レーベルの4300番台は、リアルタイムで録音してリリースした盤と、以前に録音したが、何らかの理由でお蔵入りした音源を発掘リリースした盤とが混在している。理由は良く判らない。ただ、1960年代終盤、ロックとソウルが台頭し、音楽人気のメインになった頃。それでも、ハードバップやモード・ジャズは人気があったということなんだろうか。
 
ブルーノートの4300番台は、ブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンが、ブルーノート・レーベルを大手レコード会社リバティーに売却した後、スタートしたシリーズ。当然、売上が大前提だったはず。リアルタイムでの録音は、当時の流行を反映しているので、そこそこ売れたとは思うのだが、発掘リリースの音は、ハードバップやモード・ジャズ。時代遅れではあるのだが、やはり売れ筋やったんやろな。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Roots & Herbs』(写真左)。BNの4347番。 1961年2月と5月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Bobby Timmons, Walter Davis, Jr. (p), Jymie Merritt (b)。フロント2管のクインテット構成。プロデューサーは、この頃はもちろん、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオン。
 
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ウェイン・ショーターがテナー・サックス担当。ということは、この盤の音は「モード・ジャズ」。パーソネルを見渡すと、ジャズ・メッセンジャーズの音楽監督が、ベニー・ゴルソンから、ウェイン・ショーターに交代した頃。もしかしたら、まだ、モード・ジャズがジャズ・メッセンジャーズとして、熟れてなかったのかなあ、と思ったが、この盤の音を聴くと「それは違う」。
 
とっても魅力的な、とっても個性的なモード・ジャズが展開されている。しかも、どのモード・ジャズな演奏にもファンクネスが色濃く漂う。不思議な響き、ミステリアスな響きの、ファンキーがかったモード・ジャズ。この頃のショーターって、音楽監督になって覇気が溢れていたのだろう、自作のモード曲のミステリアス度、斬新度が非常に高い。一聴して直ぐに「モードやなあ」と判るほどの尖りぶり。
 
この『Roots & Herbs』、ブルーノート・レーベルのモード・ジャズ盤として「隠れ好盤」な一枚である。という非常に優れた内容でありながら、このジャケットはどうだろう。いや〜酷いジャケットですねえ。往年のブルーノート・レーベルの優れたデザインのジャケットはどこへ行ったのか。とにかく、ブルーノート4300番台のジャケット・デザインは押し並べて劣悪。これが実に残念。でも、この盤、モード・ジャズの好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2018年11月11日 (日曜日)

ブレイク前夜のメッセンジャーズ

この金曜日の夜から急遽、里芋と柚の収穫に行ってきました。故に、金・土曜日の2日間、当ブログをお休みしました。今日から再開です。よろしくお願いします。 

ジャズ盤の紹介本とかジャズの歴史本の記事を読んでいて、結構、誤解を招く表現があるよな、と昔から思っている。例えば、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズについては、ブレイキーとシルバーが袂を分かって以降、ベニー・ゴルソンが音楽監督に就いて、かのヒット曲「モーニン」が売れるまで低迷期が続いたとある。

そういう評価の下、1958年のArt Blakey And The Jazz Messengers『Moanin' 』まで、ジャズ・メッセンジャーズのアルバムは聴く価値なし、とバッサリ切り捨てたりするんだが、いやいや、聴いてみてから切り捨てて欲しいんだよな〜。確かに、この頃のブレイキーって、アル中だったとかで素行が悪かったらしいが、スタジオ録音盤はなかなか内容は充実しているのだ。

例えば、Art Blakey and The Jazz Messengers『Hard Bop』。1956年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Bill Hardman (tp), Jackie McLean (as), Sam Dockery (p), Spanky DeBrest (b)。
 

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メンバーはアルトのマクリーン以外、あまり見かけない名前が並びますが、意外と元気溌剌なハードバップが展開されています。ジャズ・メッセンジャーズって、若き有望なジャズメンの登竜門的バンドという定説がありますが、この盤では、若き日のジャキー・マクリーンがとっても良いアルトを吹いています。トランペットのビル・ハードマンも頑張ってます。マクリーンのアルトとの双頭フロントが良い感じ。

僕は全く知らない名前なんですが、ピアノのサム・ドッカリーも健闘しています。座長のアート・ブレイキーのドラミングは好調です。ナイアガラ・ロールと形容されるローリングや、フロントを鼓舞する時のお決まりの「カカカカカ」というスティックでスネアの縁を叩く音など、ブレイキーの十八番が素敵。アルバム全体の演奏の雰囲気、ちょっとしたミストーンなど気にしない、って感じの「勢いあるハードバップ」が魅力。

この盤の演奏内容を「低迷期だから聴く価値なし」と切り捨てるには勿体ない内容だと僕は思います。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズが、バンドなりのハードバップを成熟させていく過程を聴いているようで、この、ブレイキーとシルバーが袂を分かって以降、ベニー・ゴルソンが音楽監督に就いて、ヒット曲「モーニン」が売れるまで、の時期のアルバムは意外と聴きものだと感じています。

 
 

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2017年6月25日 (日曜日)

ドラムの個性は演奏の個性

ドラム。打楽器である。素人目には「誰が叩いても同じ音がする」ように感じる楽器だが、実はそうでは無い。叩き方も様々、叩き方が変わると音も変わる。叩き方もそれぞれドラマーによって「癖」があって、それが個性になる。単に「叩く」だけの楽器なのだが、意外と奥が深い。

ジャズにおいても、聴き込むにつけ、ドラムの個性を感じるのが楽しい。ジャズ者初心者の頃はフロント楽器、サックスとかトランペットとかに耳が行ってドラムの妙技に耳を傾ける事はほとんど無い。ピアノ・トリオを聴くにしたって、メインのピアノを聴くことが多く、ドラムとベースは付けたしになることが多い。

しかし、ジャズにおいて、ドラムの個性はとてもバラエティーに富んでいて、大いに楽しめる。初心者の頃は、どうしてもフロント楽器の音に耳を奪われてしまうので、なかなかドラムの音に耳を傾ける事が少ないのだが、ジャズを聴き込むにつれ、ドラムの音の個性に気がつき、その個性を聴き分けることが出来るようになる。

例えば、この盤。Art Blakey『Paris Jam Session』(写真左)。1959年12月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Jymie Merritt (b) は全曲に渡って、Walter Davis Jr. (p) は3-4曲目のみに参加、Barney Wilen (as), Bud Powell (p) は1-2曲目のみに参加。
 

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ジャズ・ドラムのレジェンドの一人、アート・ブレイキー率いる「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」がパリに訪れた時に、フランス出身のアルト・サックス奏者、バルネ・ウィランとパリに移住していた、モダン・ジャズ・ピアノの祖、バド・パウエルをゲストに迎えたセッションを記録したもの。

これ、バルネ・ウィランとバド・パウエルがゲスト参加した1〜2曲目が聴きもの。フランス出身のアルト・サックス奏者とモダン・ジャズ・ピアノの祖、バド・パウエルが参加している。フロント楽器にフランス出身のアルトの音、ピアノには、ビ・バップ・スタイルのピアノの音が「混入」しているのにも関わらず、その演奏の音は「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」になっている。

明らかに演奏全体の音の雰囲気を決定付けているのが、アート・ブレイキーのドラミング。個性溢れるアート・ブレイキーのドラミングがバックに流れると、そのジャズの演奏は「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」の音になる。「ナイアガラ瀑布」と形容されるドラム・ロール、ドラミングの合間に入る「カカカカカ」という合いの手。フロントを鼓舞するスネアの音。これらは明らかに「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」の音なのだ。

ドラムの音に耳を傾け、注意深く聴き込めば、ジャズ・ドラムの音は、意外と演奏全体の雰囲気を決定付ける重要な要素の一つになっていることに気がつく。そう、ジャズ・ドラムは面白い。このジャズ・ドラムの音に耳を傾け、ジャズ・ドラム毎の音の個性の違いに気がつく様になると、ジャズ鑑賞の耳は「ジャイアント・ステップ」することになる。

 
 

東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年3月15日 (火曜日)

毎度毎度、この「呟き」である

「なんで、このアルバムが当時、お蔵入りになったんやろう」。ブルーノートのLTシリーズのアルバムを聴く度に、毎度毎度、このつぶやきである(笑)。それほど、今の耳で聴くと、そのアルバムの良さが十分に感じることが出来るアルバムが満載のシリーズである。そんなブルーノートのLTシリーズの聴き直し、今日はこのアルバムを選択。

Art Blakey and The Jazz Messengers『Africaine』(写真)。1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Jymie Merritt (b), Walter Davis, Jr. (p), Wayne Shorter (ts), Dizzy Reece (congas)。なぜか英国のトランペッターのディジー・リースがコンガを叩いている。

ウェイン・ショーターのジャズ・メッセンジャーズ初録音作品である。確かにこのアルバムの聴きものは、ウェイン・ショーターのテナー。アドリブ・フレーズがとても変わっている。フレーズが飛んだり跳ねたりで、明らかにコードがベースの流麗でテクニカルなフレーズでは無い。メロディアスでない分、実にストイックな響きが前面に出る。

そして、このアルバムのパーソネルの面白いところは、ピアノがウォルター・デイヴィスJr.であること。端正で硬質でシンプルな響きのピアノが個性のウォルター・デイヴィスJr.。ファンキー・ジャズの雄として売ってきたジャズ・メッセンジャーズにとっては「異質」のピアニストではないのか。
 
 

Africaine
 
 
トランペットのリー・モーガン、ベースのジミー・メリット、そしてリーダーの御大アート・ブレイキーの3人が変わらないのに、ピアノがウォルター・デイヴィスJr.に変わっただけで、当時のジャズ・メッセンジャーズの個性だったファンクネスがすっ飛んでいる。悪い意味ではない。端正で硬質な、モード・ジャズに対応可能なストイックな響きの音に仕上がっているのだ。

バンドにとって、ピアノが音作りの「鍵」をここまで握っているとは思わなかった。そんな端正で硬質な、モード・ジャズに対応可能なストイックな響きのバックに、フレーズが飛んだり跳ねたりで、明らかにコードがベースの流麗でテクニカルなフレーズでは無い「ショーターのテナー」がフロントで吹きまくるのだ。

逆に、ブレイキーのドラムが前面に出てこない。バッキングに回ったブレイキーのドラミングも素晴らしいのだが、ここでは主役でなければならない。そういう意味で、ストイックで硬質で端正なバンド・サウンドでは、ブレイキーのドラムが前に出にくい。加えて、リー・モーガンのトランペットもモーダルな雰囲気は似合わない。当時のジャズ・メッセンジャーズの音の個性としては、あまりにストイックで硬質で端正過ぎる。

今の耳で聴くと、これはこれで、ジャズ・メッセンジャーズとしてはユニークな響きが充満していて「アリ」だと思うのだが、ブルーノートの総帥、プロデューサーのアルフレッド・ライオンはそうは評価しなかった。当時のジャズ・メッセンジャーズの持つ音の個性を基に、「ウケる音楽」を前提に評価した結果だろう。う〜ん、ブルーノート恐るべし、である。
 
 
 
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2015年6月24日 (水曜日)

1963年のメッセンジャーズ

最近、ウェイン・ショーターのアルバムを聴き直しているんだが、ショーターと言えば、若かりし頃、Art Blakey and The Jazz Messengersの音楽監督として活躍した時期がある。1960年代前半のこと。マイルス・バンドに加入する直前の頃である。

特にこのジャズ・メッセンジャーズの三管フロント黄金時代の印象的なアルバムとして、僕が勝手に呼んでいるんだが「三管フロント・リバーサイド3部作」がある。『Ugetsu』『Caravan』『Kyoto』の3枚。この3枚のアルバムは、3管のユニゾン&ハーモニーのアレンジを含めて、音楽監督のショーターの才能が遺憾なく発揮された秀作揃いである。

今日は、この「三管フロント・リバーサイド3部作」の最初の一枚、Art Blakey and The Jazz Messengers『Ugetsu』(写真左)について語りたい。

1963年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Curtis Fuller (tb), Freddie Hubbard (tp), Reggie Workman (b)。バードランドにおけるライブ録音。ジャズ・メッセンジャースの三管フロント黄金時代のパーソネルである。

タイトルの「Ugetsu」は日本の古典「雨月物語」の「うげつ」。6曲目には「On the Ginza」、つまり「銀座にて」という曲がある。1961年正月の初来日以来、ジャズ・メッセンジャーズは完璧な日本贔屓になっていた。よっぽど、日本での公演や接待に感じ入った様で、このアルバムにも、日本にちなんだ曲が2曲収録されている。
 

Ugetsu  

 
1950年代後半のジャズ・メッセンジャーズ黄金時代から、ベニー・ゴルソンという優れた音楽監督が去り、代わって、ウェイン・ショーターという若い才能を加え、トランペットは、リー・モーガンからフレディ・ハバード、ピアノは、ボビー・ティモンズからシダー・ウォルトン、ベースは、ジミー・メリットからレジー・ウォークマンに交代して、サウンドはモーダルで新鮮なものに変化していった。

オリジナルの全6曲中、半分の3曲がショーター作の曲。このショーターの曲が、ジャズ・メッセンジャーズの音に新しい響きを与えている。本当に良い曲書くなあ。そして、音楽監督としてのショーターのアレンジがこれまた良い。1950年代後半、前音楽監督のベニー・ゴルソンが育んだ「メッセンジャーズの音」をしっかり踏襲しつつ、新たな洗練された響きを織り込んでいる。

このゴルソンが育んだ「メッセンジャーズの音」をしっかり踏襲しつつ、というアレンジが粋なのだ。ショーターの類い希なアレンジ・センスを感じる。そして、三管フロント、トランペット、テナーサックス、トロンボーンの特質を活かした、モダンなユニゾン&ハーモニーが憎い。

良いハードバップ盤です。新しい響きを織り交ぜ、当時のジャズの最先端を行く音世界は、ジャズ・メッセンジャーズの面目躍如です。三管フロントのジャズがこんなにモダンな響きを獲得するとは思いませんでした。アレンジの才と演奏者の才。それぞれが上手く噛み合った好盤です。

 
 

震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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