2023年2月10日 (金曜日)

ベツレヘムのブレイキー好盤

ベツレヘム・レーベルのアルバムを聴き直している。ベツレヘムにはボーカルのアルバムが多いのだが、ハードバップ系のアルバムにも優れた内容のアルバムが多くある。ベツレヘムのアルバムについては、あまりジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の特集記事に上がることが無いので、いわゆる「隠れ名盤」化しているものがほとんど。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Hard Drive』(写真左)。1957年10月 9,11日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Bill Hardman (tp), Johnny Griffin (ts), Junior Mance (p), Sam Dockery (p, track 3のみ), Spanky DeBrest (b)。

1950年代のジャズ・メッセンジャーズの「停滞の時代」のアルバムである。翌年、ブルーノート・レーベルに移って、大名盤『Moanin'』で再起〜躍進を遂げるわけだが、それまでは、ホレス・シルバーと袂を分かって以降、既存のジャズマンでメンバーを編成し、メンバーも流動的で、決定打に欠ける時代が続いた。

しかし、内容的にはそんなに悪い訳では無かった。既存のジャズマンのチョイスがまずまずで、ハードバップとして、意外と整った内容のアルバムを量産している。ただ、何かが足りない。決定打に欠ける。そんな「停滞の時代」だった。
 

Art-blakey-the-jazz-messengershard-drive

 
この『Hard Drive』もそんなアルバムの1枚。内容的には意外と充実している。まず、テナーのグリフィンが良い。バリバリ吹きまくっている。全編に渡って溌剌としたグリフィンが実に良い。トランペットのハードマンも健闘はしている。グリフィンに煽られているが、何とか、バリバリ吹きまくっている。

ジュニア・マンスがピアノを担当している。ファンキー・ピアノのマンスのドライブ感溢れる弾き回しが、この盤の「ハードバップらしさ」を増幅している。ファンクネスを湛えつつ跳ねるようなタッチでバリバリ弾きまくる。マンスのピアノが意外と良い雰囲気を醸し出している。

当然、ブレイキー御大もバッシバッシ叩きまくる。ブレイキー独特のアクセントで叩きまくるファンキー・ドラム。ただ、代名詞の「ナイアガラ・ロール」や、カカカカカッという個性的なリムショットは、まだ表舞台に出てきていない。そんなところが「何かが足りない」と感じる所以だろう。

2曲目の「Right Down Front」などは、ゴスペル風のファンキー・チューンで、翌年以降、流行となる「ファンキー・ジャズ」の先駆け的な演奏が素敵だ。他のハードバップ・チューンも粒が揃っていて、なかなかのもの。だけど、どこか、決定打に欠ける雰囲気が漂う。それでも、内容的には「ハードバップな優秀盤」で、これはこれで聴き応えは十分ある。ベツレヘムのジャズ・メッセンジャーズは聴く価値あり、だ。
 
 

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2023年1月12日 (木曜日)

明るくライトなメッセンジャーズ

昨日「柔道着のブレイキー(Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』)」について語ったついでに、Art Blakey and The Jazz Messengers(ジャズ・メッセンジャーズ)盤の落ち穂拾いを再開。

ブレイキーはジャズ・メッセンジャーズも含めて、とにかく多作のジャズ・レジェンド。しかも、凡作駄作の類は殆ど無い。全てのリーダー作を聴いて、その感想を記事にするにはかなりの労力と時間がかかる。故に、まだまだ全てのリーダー作を網羅するには至っていない。

ブレイキーは、ブルーノート・レーベルのお抱えドラマー的ポジションにいたので、ブルーノートにリーダー作が集中している。が、他のジャズ・レーベル、それも傍系のマイナーなレーベルにもリーダー作を残していたりして、全リーダー作の音源を押さえるのに骨が折れる。

Art Blakey and The Jazz Messengers『Soul Finger』(写真左)。1965年5月12, 13日、NYでの録音。Limelightレーベル(Mercury Records傘下の傍系レーベル)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard, Lee Morgan (tp), Gary Bartz (as), Lucky Thompson (ss), John Hicks (p), Victor Sproles (b)。いやはや、曲者揃いのパーソネル。

パーソネルだけ見ると、どんな音が出てくるのか、想像するのが困難。まず、トランペットが2本、それも、ハバードとモーガンである。前へ出すぎるハバードに頭にきて喧嘩しないのだろうか、心配になる(笑)。
 

Soul-finger

 
ベテランの曲者リード奏者トンプソンがソプラノを吹き、新進気鋭のゲイリー・バーツがアルト・サックスを吹く。新旧まぜこぜになって、ユニゾン&ハーモニーは大丈夫なんだろうか。ベースのスプロールズは1950年代半ばから1960年代まで活動したマイナーなベーシスト。リズム・セクションは大丈夫なのか。

で、出てくる音を聴くと、この盤も例の「柔道着のブレイキー(Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』」と同傾向の音の志向で、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音の雰囲気を踏襲した、ファンキーで小粋で、この盤ではとてもリラックスした展開が印象的。全体的な音のトーンは「明るくライトでポップ」。

ソフト&メロウなユニゾン&ハーモニー、流麗で優しいアドリブ展開。曲者揃いのパーソネルなのに、これだけソフト&メロウなファンキー・ジャズに仕上がってのが不思議。さすが、ブレイキー御大のリーダーシップの成せる技だろう。曲者揃いのパーソネルでありながら、キッチリと「ジャズ・メッセンジャーズの音」に仕上げている。

バンド演奏全体で、リフ、ユニゾン&ハーモニーをビシッと決めて、ブレイキーならではのドラム・ロールが、ソフト&メロウなファンキー・ジャズをビシッと締める。参加メンバーが大きく代わっても、ジャズ・メッセンジャーズの音志向は変わらない。
 
 

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2023年1月11日 (水曜日)

柔道着を着たブレイキー御大

ブルーノート・レーベルやECMレーベル、スティープルチェイス・レーベルのお陰か、ジャズ盤のジャケット・デザインは優れている、とされる向きがある。が、よくよく見直してみると、優れたデザインが約半分、残りの半分の3割がどっちつかずの平凡なデザイン、そして、後の2割はどうしてこうなるのか理解に苦しむ、どうみても「トホホ」なデザインである。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』(写真左)。1963年の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard, Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Charles Davis (bs), Wayne Shorter (ts), James Spaulding (as), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b), Julius Watkins (French horn), Bill Barber (tuba)。フロント6管+リズム・セクションの9人編成(ノネット)がメイン。

パーソネルを見渡すと、この11人編成の大所帯が面白い楽器構成になっている。フロント管がトランペット2本、トロンボーン1本、バリトン、テナー、アルトのサックスで計3本、ジャズ・メッセンジャーズとしては珍しいのだが、ここにフレンチホルンとチューバが加わる。誰のアイデアだったのだろうか。

リズム・セクションは、ブレイキー御大のドラムに、ピアノ、ベースのオーソドックスなもの。アレンジに、テナーのショーター、トロンボーンのフラー、ピアノのウォルトンの3人がそれぞれ分担して腕を振るっている。
 

Art-blakey-the-jazz-messengersgolden-boy

 
ブロードウェイのミュージカル『Golden Boy』での楽曲を元に、Colpixというレーベルからリリースされた企画盤。ミュージカルからの楽曲のジャズ化なので、曲の粒は揃っていてアルバム全体の構成は充実している。フロント6管+リズム・セクションの9人編成+リズム・セクションにフレンチ・ホルン、チューバが加わるので、しっかりとしたアレンジが施されている様子が良く判る。

フロント管のユニゾン&ハーモニーは、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音の雰囲気を踏襲した、ファンキーで小粋で迫力と覇気溢れるもの。3管フロントにトランペット、アルト・サックス、バリトン・サックスをそれぞれ1本、さらにフレンチ・ホルンとチューバを加えているので、音の彩りが華やかになり、迫力と音圧が増していて、豊かで豪華な音作りが良い感じ。

加えて、ハバード、モーガン、フラー、スポルディングのソロイストのパフォーマンスが好調で聴き応えがある。リズム・セクションも優れたバッキングでフロント管を支えている。我が国では馴染みのないミュージカルからの楽曲のジャズ化なので、馴染みが全く無いが、アルバム全体、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音志向をしっかり引き継いでいて、内容的に充実している。

ただし、である。このジャケットはなあ(笑)。柔道着を着こなしたブレイキー御大が腕組みをして仁王立ちのアップ。これだけ見たら、このアルバム、ジャズのアルバムとは思わないでしょうねえ(笑)。でも内容は良い感じのファンキー・ジャズであり、当時充実の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音が堪らない好盤。このジャケに怯むこと無く聴いて欲しい好盤です。
 
 

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2022年7月19日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・14

Art Blakey & The Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)は、僕の大好きなバンドの一つ。ドラマーのアート・ブレイキーが主宰するバンドで、1955年に旗揚げ、1990年にリーダーのブレイキーが亡くなるまでの、35年間の長きに渡って、第一線で活躍した。ジャズ・メッセンジャーズは、有望新人の登竜門的なバンドで、35年の活動期間の間に、相当数の一流ジャズマンを輩出している。

そんなジャズ・メッセンジャーズも旗揚げから、3年ほどは鳴かず飛ばず。しかし、Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Merrit (b) の優秀なメンバーに恵まれ、ブルーノートの4003番『Moanin'』(1958年10月30日の録音)で復活の狼煙を上げる。この時のバンド・メンバーは、メッセンジャーズ史上、最強の部類に入る。

『Art Blakey et les Jazz-Messengers au club St. Germain, Vols. 1-3』(写真)。1958年12月21日、仏パリの「サンジェルマン」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Blaakey (ds), Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Bobby Timmons (p), Jimmy Merrit (b)。メッセンジャーズ史上、最強のラインナップ。復活の狼煙、伝説の名盤『Moanin'』の録音の約2ヶ月後のパフォーマンス。この「僕なりのジャズ超名盤研究」の書き下ろしの為に、久し振りに聴き直してみた。
 

At-club-st-germain

 
邦題『サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』。LP時代に3枚のアルバムに分けて発売され、CDリイシュー時もその構成は踏襲されたが、出来れば、3枚一気に聴き通して欲しい。ここでのメッセンジャーズの演奏は最高に近い。ライヴ録音でありながら、エネルギッシュで迫力満点の演奏でありながら、ミスもほどんど無い。伝説の名盤『Moanin'』の名演の数々が霞むくらいだ。

メンバーそれぞれが、力量確かな一流ジャズマンなので、それぞれの演奏のバランスが抜群。それぞれのソロ演奏については、結構、時間をかけているのだが、内容が良いので「長い」と感じ無い。そして、メンバーそれぞれが、お互いのソロ演奏をよく聴き、よく理解していて、ソロをバトンタッチしていく際、繋がりがとても良く、独りよがりな展開にならない。3枚のライヴ盤、全12曲、捨て曲無し。どの演奏も「ファンキー・ジャズ」の代表的名演である。

ファンキー・ジャズ、ここに極まれリ、って感じの演奏の数々に思わず、じっくり聴き込んでしまいます。欧州でのモダン・ジャズの人気については、このライヴ盤の客席の掛け声など、熱い雰囲気が伝わってきて、熱狂的なものがあったことが判ります。ヘイゼル・スコット(Hazel Scott)が、ティモンズのソロの途中に感極まって「おお、神よ、憐れみを!(Oh Lord have mercy !)」と叫んだところなど、バッチリと録音されていて、その熱狂度合いを肌で感じることが出来ます。
 
 

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2022年6月20日 (月曜日)

ブレイキーとモンクの相性の良さ

ジャズの過去の優秀盤については、長年の間に「定期的に選盤しては再度聴く」盤と「長期間、選盤せず全く聴き直すことの無い」盤に分かれる。「長期間、選盤せず全く聴き直すことの無い」盤については、だいたい、新装リイシューされるタイミングで、その存在を思い出し、おもむろに聴き直して、再び感動する、この繰り返しである。

『Art Blakey's Jazz Messengers with Thelonious Monk』(写真左)。1957年5月14–15日の録音。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Art Blakey (ds), Bill Hardman (tp), Johnny Griffin (ts), Spanky DeBrest (b)。ドラマーのアート・ブレイキーが率いるグループ、ジャズ・メッセンジャーズとピアノのセロニアス・モンクのコラボレーションの記録である。

この盤は20年ほど前に「Deluxe Edition」で入手、10年ほど前に聴いて、そのまま「長期間、選盤せず全く聴き直すことの無い」盤になった盤である。今回、またまた「Deluxe Edition」で、CDリイシューされたタイミングで、その存在を思いだし、おもむろに聴き直した次第。もともと、アート・ブレイキーとセロニアス・モンクは相性が良く、その内容には期待が持てる盤ではある。

しかしながら、この時期のジャズ・メッセンジャーズは、ブルーノートとの長期契約を開始する寸前、1950年代の「低迷期の最後のメンバー編成」で、演奏内容に問題は無いのか、聴く前は不安になる。ジャズも知識が付くと、意外と聴く前に変な先入観を持つようになるから、十分に気をつけないといけない。
 

Art-blakeys-jazz-messengers-with-theloni

 
というのも、このジャズ・メッセンジャーズとセロニアス・モンクのコラボ盤、意外と骨太で硬派で内容の濃いハードバップがぎっしり詰まっているのだ。これには驚いた。もちろん、アート・ブレイキーとセロニアス・モンクは相性の良さは全編に渡って十分に感じられて、思わず、聴き込んでしまう。

ブレイキーのモンクのパフォーマンスに対する鼓舞の仕方、タイミングが絶妙。モンクの変則フレーズにしっかりと変則ビートでクイックに反応する、ブレイキーのテクニックの凄さ。そんなブレイキーのドラミングをバックに、モンクは気持ちよさそうに独特の変則フレーズを弾き上げて行く。ブレイキーのドラミングをバックにした時のモンクの弾き進めるフレーズには全く淀みが無い。

低迷期のメンバーとされた、メッセンジャーズのメンバー、それぞれもパフォーマンス好調。グリフィンはモンクの変則フレーズに乗って、ごりごりハードバップなフレーズをブリブリ吹きまくり、変則フレーズのモンクのバッキングに関わらず、ハードマンのトランペットもモンクのフレーズにしっかり乗って、ブリリアントで流麗に吹きまくる。このフロント2管のパフォーマンスに緩んだところは全く無い。

10年前に聴き直して以降、「長期間、選盤せず全く聴き直すことの無い」盤になっていた訳だが、今回、聴き直して、その内容の濃さにビックリした。以前はこの盤の何を聴いていたのやら。録音年は1957年、ハードバップ全盛期。この盤にもハードバップの良いところを十分に表現した、充実したパフォーマンスが記録されている。そして、改めて、ブレイキーとモンクの相性の良さを再認識した。ちなみに、このリイシュー盤、ボートラも充実していて捨て曲無し。良いリイシュー盤です。
 
 

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2022年3月 2日 (水曜日)

最強6重奏団のモード・ジャズ

Art Blakey and the Jazz Messengersは、その時台時代で、リーダーのブレイキー以外、メンバーを入れ替えているが、このセクステット(ブレイキー、ショーター、ハバード、フラー、ウォルトン、メリット)が意外と「最強」ではないか、と思うことがある。特に、このセクステットが奏でるモード・ジャズは味わい深いものが沢山ある。

Art Blakey and the Jazz Messengers『Buhaina's Delight』(写真左)。ブルーノートの4104番。1961年11月28日と12月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Jymie Merritt (b)。前作の名盤『Mosaic』と同一のセクステット(6人)編成。

いかついブレイキーの横顔アップのジャケでちょっと損なイメージの盤だが、前作の名盤『Mosaic』と同じ、音楽監督ウェイン・ショーターの下、ショーターらしいモーダルなジャズがこれでもか、と展開されている。収録曲を見ると、ショーターが3曲、フラーとウィルトンがそれぞれ1曲ずつ、スタンダード曲は当時流行っていたと思われる、ヘンリー・マンシーニ作の有名曲「Moon River」のみ。
 

Buhainas-delight

 
当時としては、Art Blakey and the Jazz Messengersが、1962年にリバーサイド・レーベルに移籍した後、1963年にブルーノートからリリースされた、当時としては「未発表音源」集なのだが、そんなイメージは全く無い。どこかのセッションからの未収録音源を寄せ集めているのでは無く、通常盤と同様、1961年11月28日と12月18日の2日間のセッションから収録しているのだから、新盤と捉えても良い、充実した内容である。

どこから聴いてもモーダルなジャズが楽しめる。メンバー全員がモードを理解し、前作『Mosaic』同様、実に優れた内容のモード・ジャズを展開している。特にフロント3管のユニゾン&ハーモニーはとても美しく録音されている。メンバーの自作曲は静的でブルージー。ファンキー・ジャズをぶっ放してたジャズ・メッセンジャースはもうここには無い。理知的で思索的なモード・ジャズがなかなか決まっている。

ラストの唯一のスタンダード曲「Moon River」のモーダルなアレンジがかなり「エグい」。原曲の美しさとムードを踏襲しつつ、きっちりモーダルなジャズに仕立て上げているジャズ・メッセンジャースの演奏力には感服する。疾走感溢れるタイトル曲「Bu's Delight」、印象的にメロディアスに展開する「Contemplation」など、聴きどころ満載。良いアルバムです。
 
 
 
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2022年2月14日 (月曜日)

初来日のジャズMの未発表音源

Art Blakey & The Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)の音が好きだ。バンドの活動が好調な時代も停滞した時代も、ハードバップの良いところが詰まっている。リーダーのアート・ブレイキーのスカウト力の賜なんだろうが、常にその時代時代毎の良いメンバーが集まっていて、ジャズ・メッセンジャーズならではの音が詰まっている。

Art Blakey & The Jazz Messengers『First Flight To Tokyo : The Lost 1961 Recordings』(写真左)。1961年1月14日、東京の「日比谷公会堂」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Wayne Shorter (ts), Lee Morgan (tp). Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。ジャズ・メッセンジャーズの第1の黄金期のラインナップである。

1961年の初来日ツアーの模様を収録した未発表ライヴ盤である。1961年の初来日ツアーのライヴ音源は、既出の正式な音源としては、1961年1月2日、東京の「サンケイホール」でのライヴ録音(写真右)がある。

この既出の正式なライヴ音源は、当時のジャズの歴史の記録として貴重な音源。我が国のジャズ者の方々が、ファンキー・ジャズだ、と思っていたら、全く異なる「モード・ジャズ」が鳴り響いた、当時の「ジャズの進化」の洗礼を思いっ切り浴びた記録である。
 

First-flight-to-tokyo

 
この今回の発掘ライヴ音源も、既出の正式なライヴ音源と変わらず、当時のジャズ演奏の最新のトレンドのひとつ「モード・ジャズ」に、真摯に取り組むジャズ・メッセンジャーズのライヴの記録である。

リーダーのブレイキー、そして、メッセンジャーズに「モード」を持ち込んだ張本人ショーターは問題無く、「モード」に適応している。しかし、鯔背な天才トランペッターのモーガン、ファンキー・ピアノの申し子のティモンズ、ハードバップど真ん中のベーシストのメリットは、モードの洗礼を浴びて、時々、苦戦している姿が聴いて取れる。

しかし、大歓迎を受けた日本での初のライヴ。メンバーは全員、真摯で全力投球、精魂込めたパフォーマンスを展開していて立派だ。それぞれのアドリブ・ソロは鬼気迫る迫力も持って展開され、ブレイキー御大も珍しく、ロングなドラム・ソロを敢行。その「熱」の入った演奏に、日本の聴衆もビビッとに反応している様は、これまた立派。

ちなみに、この盤は、この初来日ツアーを追いかけたドキュメンタリー映画『黒い炸裂』用に記録されたものだったが、権利等の問題で。この映画がお蔵入り。フィルムは破棄され、それ以降、演奏を記録したマスターテープの所在も長らく不明状態に。しかし、2017年、当時の映画スタッフの遺品からマスターテープが発見され、リリース至った、とのこと。まだまだあるんですね。そういう貴重な未発表音源って。それが聴ける我々はラッキーでした。
 
 
 
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2022年2月 8日 (火曜日)

「ライオンの狂気」第三弾である

ブルーノート・レーベルには、その音を聴いて驚愕するアルバムが幾枚かある。オーナー&プロデューサーのアルフレッド・ライオンのたっての希望で実現した「ライオンの狂気」と呼ばれるアルバム群。ジャズの原風景である「リズム&ビートの洪水」がメインの内容で、ジャズというよりは、今で言う「ワールド・ミュージック」なアルバム群である。

「ライオンの狂気」と呼ばれるアルバムは、まず、ブルーノートの1554番・1555番の、Art Blakey『Orgy In Rhythm, Vol.1&2』(1957年3月録音)。その次に、ブルーノートの4004番・4005番の、Art Blakey『Holiday for Skins vol.1 & 2』(1958年11月9日録音)。そして、今回ご紹介するこの盤の3種類。

Art Blakey『The African Beat』(写真左)。1962年1月24日の録音。ブルーノートの4097番。ちなみにパーソネルは、

Art Blakey(ds, timpani, telegraph drum, gong),
Ahmed Abdul-Malik (b),
Yusef Lateef (cow horn, fl, ts, mbira, oboe),
Curtis Fuller (timpani),
Chief Bey (double gong, conga, telegraph drum),
Robert Crowder (Batá drum, conga)
James Ola. Folami (conga)
Solomon G. Ilori (vo, talking drum, pennywhistle),
Montego Joe (corboro drum, log drum, bambara drum, double gong)
Garvin Masseaux (shekere, African maracas, conga)
 

The-african-beat

 
パーソネルを見渡すと、ジャズではあまりお目にかからない打楽器が多数、使用されている。それら珍しい打楽器の大本は「アフリカ」。タイトル通り、アフリカの打楽器中心の、アフリカン・ネイティヴな、ワールド・ミュージックど真ん中な即興演奏が繰り広げられている。

録音時期は1962年。まだハードバップが多様化し始めた時代に、このような、後の「ワールド・ミュージック」を先取りした演奏が記録されていたとは、驚きでしか無い。さすがは、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンである。ジャズの「源」である、アフリカン・ネイティヴなパーッカッション・ミュージックをしっかりと企画し、録音している。

この盤は「ライオンの狂気」と呼ばれる前2作に比べ、単なるリズム合戦からは脱却した、アフリカン・ネイティヴな、リード、パーカッション、ボイスの饗宴となっていて、しっかりとメロディーもあり、リズム&ビートも整ったもので、野趣溢れるパーッカシヴな音世界ではあるが、ワールド・ミュージックとして、今の耳にも十分に訴求する内容である。

アフリカの台地に響く音、草原を吹き抜ける風、人々の生活する雰囲気、動物たちのざわめき、そんなイメージが脳裏をよぎる、古さを感じさせない、ワールド・ミュージックど真ん中な即興演奏は実に魅力的。この「ワールド・ミュージック」志向の音世界が好きな方々には堪らない内容である。
 
 
 
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2022年2月 6日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・13

ジャズ名盤には、ジャズの歴史を彩る「エピソード」が必ず付いて回る。そのエピソードを知ることによって、よりジャズの歴史を理解することになる。この盤、マイルスの、ブルーノート・レーベルの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの恩義に報いる「サイドマン」参加盤である。

Cannonball Adderley『Somethin' Else』(写真左)。1958年3月9日の録音。ブルーノート・レーベルの1595番。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Miles Davis (tp), Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。キャノンボールのアルト・サックスと、マイルス・デイヴィスのトランペットがフロント2管のクインテット編成。マイルスがサイドマンとして入っている珍しい盤。

1950年辺り、マイルスは「ジャンキー」であった。マイルスは麻薬中毒の為、レコーディングもままならない状態に陥っていた。しかし、彼の才能を高く評価していたブルーノートの総帥アルフレット・ライオンは彼をサポート。1952年より、1年ごとにマイルスのリーダー作を録音することを約束。1952年〜1954年の録音から、2枚のリーダー作をリリースしている。

しかし、1955年、麻薬中毒から立ち直ったマイルスはコロムビア・レコードと契約をした。この契約により、ブルーノートへの録音は途切れることになる。が、マイルスは「ライオンの恩義」を忘れていない。自らがオファーして、このキャノンボールのリーダー作にサイドマンとして参加したのである。当然、ライオンは狂喜乱舞。当時の録音テープには、マイルスの名前を記していたという。
 
このキャノンボール盤の録音メンバーもマイルスが人選したらしい。ピアノに流麗なバップ・ピアノの名手、ハンク・ジョーンズ。ベースに堅実骨太のサム・ジョーンズ。ドラムに名手アート・ブレイキー。このリズム・セクションの人選が渋い。明らかに、マイルスが「ライオンの音の好み」を勘案して選んだメンバーだろう。マイルス自身がリーダーだったら、当時のマイルスの先進的な音からすると、こんな人選は絶対にしない。
 

Somethin-else

 
演奏内容は、当時のバリバリ「ハードバップ」な演奏。マイルスは既に「モード・ジャズ」に手を染めていたが、このブルーノートでの録音では、従来のハードバップな演奏に立ち戻っている。前進あるのみのマイルスが「一時後退」しているが、この後退はライオンの為の後退。ライオンにハードバップの究極な演奏をプレゼントしたい、そんなマイルスの気持ちの表れだろう。

この盤は、ハード・バップというジャズ・フォーマットの最高到達地点のひとつ。アーティスティックで高尚な響きが充満し、参加メンバー各人の最高のパフォーマンスを聴くことが出来る。ハンクの旨さ、ジョーンズの堅実さ、ブレイキーの天才的ドラミング、そして、そして、キャノンボールの情感タップリで、そこはかとなくファンキーな香りがかぐわしい、絶妙なアルト・サックス。

マイルスのトランペットは別格。マイルスの生涯に渡っての、最高の部類のパフォーマンスを聴くことが出来る。ミュートもオープンもベストに近いプレイ。しかし、気合いの入ったマイルスは凄い。ちなみにマイルスがブルーノートに残したパフォーマンスはどれもが素晴らしいものばかりである。

ジャズのスタンダード中のスタンダードとされる「枯葉」の決定的名演。曲想は既にハード・バップの先を行く、先進的な響きが素晴らしい、マイルス作の「サムシン・エルス」。芸術的で高尚な響きのスタンダードの定番曲「ラブ・フォー・セール」。情感タップリで、そこはかとなくファンキーな香りが芳しい「ダンシング・イン・ザ・ダーク」。収録曲のいずれもが、ハードバップの最高峰レベルの演奏で占められる。

この盤は、マイルスが、麻薬中毒の苦しい時代にマイルスを見捨てず、マイルスの才能と人格を信じてくれた、ライオンの恩義に報いた結果。そんな背景をしっかりと踏まえて、キャノンボール以下、録音メンバーが最高のパフォーマンスを聴かせてくれる。名盤中の名盤とはこういう盤のことを言うのだろう。
 
 
 
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2022年1月 5日 (水曜日)

「モード・ジャズ」の名盤の1枚

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズは、1954年から1990年の36年間、活動し続けた伝説のジャズ・バンド。リーダーはアート・ブレイキー。しかし、リーダー以外の他のメンバーはそれぞれの時代で、総替えイメージで入れ替わる。そして、このジャズ・メッセンジャーズに所属して活躍したジャズマンは、皆、一流のジャズマンとして独り立ちしている。

このジャズ・メッセンジャーズの、それぞれの時代毎の演奏のスタイル、トレンドを聴けば、ハードバップ系のジャズの演奏スタイルの変遷、1950年代前半のハードバップ誕生〜ファンキー・ジャズ〜モード・ジャズ〜1970年代のハードバップ〜新伝承派ジャズ〜ネオ・ハードバップまで、それぞれの時代の「音楽監督」の存在と共に、ジャズ演奏のスタイル、トレンドを押さえることが出来る。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Mosaic』(写真)。1961年10月2日の録音。ブルーノートの4090番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Jymie Merritt (b)。ハバード〜フラー〜ショーターの「伝説のフロント3管」のセクステット編成。この時点でのメッセンジャーズの音楽監督は、テナーのウェイン・ショーター。
 

Mosaic

 
僕はこの時代のメッセンジャーズの音が大好きだ。テクニック優秀、歌心もあり、出て来る音も迫力満点の「伝説のフロント3管」のユニゾン&ハーモニーは官能的でファンキー。ソロ・パフォーマンスに入れば、バリバリ「モーダルな」インプロビゼーション。メンバーそれぞれが自作曲を持ち寄り、モーダルなアレンジを施して演奏される「モーダルなハードバップ」演奏の数々。

モード・ジャズは、即興演奏の幅を拡げ、アドリブ・フレーズの類似化を避け、高度な演奏テクニックを要求する、とっても「ジャズ」らしい演奏スタイル。この難度の高いモード・ジャズを、物の見事に、何事も無いかの様にやってのける。バックのブレイキー〜ウォルトン〜メリットのリズム隊も、フロント3管のモーダルな演奏をガッチリとサポートしていて見事。

この盤については、モード・ジャズの名演を収めた、モード・ジャズの代表的名盤の1枚と言って良いだろう。音楽監督のショーターの手腕と、それを実現するブレイキーのリーダーシップの成せる技。ジャケットもブルーノートらしくて、良き時代のジャズをビンビンに感じさせてくれる。
 
 
 
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