2023年9月18日 (月曜日)

充実の『アフリカン・ワルツ』

リヴァーサイド・レーベルのキャノンボール・アダレイは、自らの個性を前面に出し、活き活きとしたパフォーマンスを発揮し、数々の傑作をものにしている。ひとえに、リヴァーサイドの総帥プロデューサーのオリン・キープニュースの賜物である、と僕は思っている。キャノンボールは本当に良いレーベルに巡り会えた。

Cannonball Adderley『African Waltz』(写真左)。1961年2, 5月の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ビッグバンドをバックにしたキャノンボール・アダレイの企画盤。

ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley, Joe Newman, Ernie Royal, Clark Terry, Nick Travis (tp), immy Cleveland, George Matthews, Arnett Sparrow, Melba Liston (tb), Bob Brookmeyer (valve-tb), aul Faulise (b-tb), Don Butterfield (tuba), George Dorsey (as, fl), Oliver Nelson (ts, fl), Jerome Richardson (ts, fl, piccolo), Arthur Clarke (bs), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Charlie Persip, Louis Hayes (ds), Michael Olatunji (congas, bongos), Ray Barretto (congas),

要所要所に一流ジャズマンを配置した、内容のあるスキルフルなビッグバンドをバックにした、充実の企画盤。ビッグバンドをバックにしたキャノンボールと言えば、エマーシー時代の「ウケ狙いのイージーリスニング・ジャズ」を想起して、ちょっと眉をひそめるのだが、この盤を聴けば、それは杞憂であったことにホッとする。
 

Cannonball-adderleyafrican-waltz

 
アレンジが良い。アーニー・ウィルキンスのアレンジとのことだが、1960年代のジャズ黄金期の「録音の為のビッグバンド」といった音作りがとても良い。ウィントン・ケリーのピアノ、サム・ジョーンズのベース、チャーリー・パーシップとルイス・ヘイズのドラム、この1960年代ならではのリズム・セクションが、当時の最先端のハードバップらしいリズム&ビートを供給する。これが意外と洒脱なのだ。

ホーン隊は逆に、実に「俗っぽい」。どこから聴いても、下世話なスイングの雰囲気を引き継いだ、どこから聴いても、モダン・ジャズらしい、大衆受けするユニゾン&ハーモニー。新しさは無いが、ジャズ黄金期のブラスの響き、ブリリアントな音の輝きが「どジャズ」していて、とても良い。

そんなビッグバンドをバックに、キャノンボール・アダレイの初のシングルヒット曲「African Waltz」が展開される。これがまた実に良い。ただ、この「African Waltz」は、アドリブ・パートが無くて、ジャズの曲調を借りたビッグバンドをベースとしたイージーリスニング志向の演奏。それでも、曲自体が良くて、音的にもアフリカ色が散りばめられていて良い感じ。

他の曲も、スタンダード曲、若しくは、ミュージシャンズ・チューンがほとんどだが、演奏自体のレベルは良好。さすが、メンバーがメンバーだけに、それぞれのアドリブ・パートや要所要所のユニゾン&ハーモニーは聴き応え十分。

エマーシー時代とは一線を画した、リヴァーサイドでの内容のあるスキルフルなビッグバンドをバックにした、充実の企画盤。本当に、キャノンボールって、リヴァーサイドに移籍して良かったなあ、とこの盤を聴く度に、つくづく思うのだ。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年9月15日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・266

キャノンボール・アダレイは、ファンキーで明るいアルト・サックスが身上。しかし、デビューから暫くは、エマーシー・レーベルの下、明るい明確なアルト・サックスをメインに、ストリングスやジャズオケをバックにした、大衆受け狙いの「イージーリスニング・ジャズ」志向のリーダー作を連発。

リヴァーサイド・レーベルに移籍して、ハードバップなジャズにやっと立ち戻ったが、ファンキー・ジャズには未だ至らす。しかし、1959年の『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』で一気にファンキー・ジャズ志向に大転換。以降、暫く、キャノンボール・アダレイは、ファンキー・ジャズ一直線で、売れっ子人気ジャズマンの仲間入り。

Cannonball Adderley『Them Dirty Blues』(写真左)。1960年2月1日はNY、1960年3月29日はシカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Bobby Timmons (p, tracks 5–9) , Barry Harris (p, tracks 1–4), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。

ピアノをバップなピアニストであるバリー・ハリスとファンキーなピアニストであるボビー・ティモンスとで使い分けているが、編成の基本はアダレイ兄弟がフロント2管のクインテット編成。こってこてバップなピアニストのハリスが、とってもファンキーなピアノを弾いている。こってこてファンキーなティモンズのピアノよりファンキーなのでは、と思う位、ファンキーなハリスのピアノが効いている。
 

Cannonball-adderleythem-dirty-blues  

 
ナット・アダレイのファンキー・チューンの名曲、冒頭の「Work Song」が突出して良い出来。コール・アンド・レスポンスでゴスペルチックなテーマ、展開部は徹底的にファンキーなフレーズで埋め尽くす。根明でストレートなキャノンボールのアルト・サックスと、根明でブリリアントなナットのトランペットが映えに映える。

ちなみに、CDリイシュー盤では、バリー・ハリスがピアノを弾いているテイクと、ボビー・ティモンズがピアノを弾いているテイクとを聴き比べることが出来る。聴き比べると判るのは、LP時代、正式に採用されたのは、バリー・ハリスがピアノを弾いたテイク。ハリスがこってこてファンキーに切れ味良く、ファンキーなバップ・ピアノよろしく、フロントのアダレイ兄弟をバッキングしている。うん、やはり、これはハリスのテイクの方が良い。

2曲目以降もファンキー・ジャズ志向の演奏がてんこ盛り。ハリスのファンキー・ピアノが目立っているが、ティモンズのソウルフルなファンキー・ピアノが良い味を出している。

この『Them Dirty Blues』、スタジオ録音での、アダレイ兄弟のファンキー・ジャズ志向を決定付けたエポック・メイキングな盤という位置づけで、ファンキー・ジャズの名盤の1枚として良いのではないか。アルバムのどの曲を聴いても「ファンキー・ジャズ」。アダレイ兄弟の「ファンキー・ジャズ事始め」を、『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』と併せて聴いて確かめたい。
 
 

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2023年8月20日 (日曜日)

硬派でバップなキャノンボール

エマーシー・レコード時代は「大衆受けする売れるジャズ」を余儀なくされたキャノンボール・アダレイ。ビッグバンドや弦オケをバックにした、ゴージャズな「イージーリスニング志向のジャズ」盤を幾枚かリリースする。小コンボのリーダー作も3枚ほどあるが、当時、成熟しつつあるハードバップな雰囲気では無く、どこか聴き易い柔和なトーンで滑らかな吹奏に終始している。

Cannonball Adderley『Portrait of Cannonball』(写真左)。1958年7月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Blue Mitchell (tp), Bill Evans (p), Sam Jones (b), Philly Joe Jones (ds)。キャノンボールのアルト・サックスと、ミッチェルのトランペットがフロント2管のクインテット編成。

この盤から、やっとエマーシーを離れ、リヴァーサイド・レーベルに移籍したキャノンボール。水を得た魚のように、伸び伸びとエネルギッシュに、ブリリアントな響きを振り撒きながら、お得意のファンキーなアルト・サックスを吹きまくっている。フロントの相棒、ミッチェルのトランペットとの相性も良く、エマーシー時代とはちょっと違う、エネルギッシュで切れ味良く、ファンキーな吹奏を繰り広げている。
 

Cannonball-adderleyportrait-of-cannonbal

 
リズム・セクションがとても良好。当時、リヴァーサイドの専属ピアニストだったビル・エヴァンス、ソリッドで躍動感溢れる重音ベースのサム・ジョーンズ、ミスター・ハードバップ・ドラマーのフィリージョーのトリオが実にストレート・アヘッドでバップなリズム&ビートを叩き出す。とても切れ味の良い、ストイックで硬派なバップ・ビート。このリズム隊が、この盤を上質のハードバップ盤に仕立て上げている。

キャノンボールのアルト・サックスとミッチェルのトランペットは、双方の個性通り、ファンキーな吹奏なんだが、前述の様な「ストレート・アヘッドでバップなリズム&ビート」を叩き出すリズム隊に合わせて、ファンキー度合い控えめ。ストレート・アヘッドな純ジャズ志向の、切れ味良いバップな吹奏を繰り広げるキャノンボール&ミッチェルは意外と珍しい。

リヴァーサイドに移籍して、いきなり、どっぷりファンキー・ジャズなアルバムにしなかったところに、リヴァーサイドの総帥プロデューサー、オリン・キープニュースの深慮遠謀を感じる。キャノンボールは決して「コマーシャルなジャズマン」では無い、第一線級の優れたハードバッパーなのだ、と主張するように、ストイックで硬派でバップなキャノンボールがこの盤の中で躍動している。
 
 

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2023年8月19日 (土曜日)

全曲「春」にちなんだ企画盤

1958年7月録音の『Portrait of Cannonball』で、やっと、メインストリームな純ジャズをメインとする「リヴァーサイド・レーベル」に移籍したキャノンボール。このリヴァーサイドで、当時のモダン・ジャズの最前線、小コンボでの演奏を実現した。さすが希有なインプロヴァイザー、キャノンボール・アダレイ、小コンボでのソロ・パフォーマンスは素晴らしい。 

Kenny Dorham & Cannonball Adderley『Blue Spring』(写真)。1959年1月20日 (#5-6) , 2月18日 (#1-4) の2セッションからの選曲。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Cannonball Adderley (as), David Amram (French horn), Cecil Payne (bs), Cedar Walton (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds, tracks 1-4), Philly Joe Jones (ds, tracks 5-6)。

基本の編成は、ドーハムのトランペットとキャンボールのアルト・サックスのフロント2管、ウォルトンのピアノ、チェンバースのベース、そして、コブとフィリージョーの2人が別々に担当するドラムのクインテット編成。アレンジの彩りにフレンチ・ホルンやバリトン・サックスが入っている。

この盤、タイトルからも判る様に、全曲「春」にちなんだ曲ばかりを集めた企画盤。こういうコンセプトがハッキリしたセッションにドーハムは強い。迷いがなくなるのだろう。
 
Kenny-dorham-cannonball-adderleyblue-spr  
 
かつ、この盤はミドル・テンポの曲がメイン。ミドル・テンポの曲にドーハムは強い。速いテンポの曲では、時々フレーズがふらつく、拠れるの悪い癖が出るが、ミッド・テンポでは全くそんなことは無く、堂々と柔らかくてブリリアントなフレーズを吹き上げていく。

ただ、ドーハムのトランペットは、モノトーンっぽくて、すんだようなフレーズが主なので、どこかメリハリと抑揚に欠ける嫌いがあるのだが、この盤ではそんな「気になる」ところを、キャノンボールの明るくメリハリの効いた切れ味の良いアルト・サックスをフロント管のパートナーに充てることで、良い意味でクリアしている。

確かに、ドーハムのトランペットとキャノンボールのアルト・サックスとのコントラストが実に良い雰囲気を出している。リヴァーサイドの総帥プロデューサーのオリン・キープニュースの手腕が映えに映えた内容になっているのだから見事という他ない。

良い雰囲気のハードバップ盤です。バリバリと丁々発止としたバップなパフォーマンスは無いんですが、アレンジも良好、コンセプトもしっかりしていて、聴かせるハードバップな内容に仕上がっています。歌心溢れるドーハムとキャノンボール。良い内容の良いハードバップ盤だと思います。
 
 

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2023年8月18日 (金曜日)

曲解続きのキャノンボールの個性

ファンキー・アルト・サックスの名手、キャノンボール・アダレイのリーダー作を振り返ってみると、デビュー当時は意外と恵まれなかったんやなあ、とつくづく思う。

初デビュー作は「サボイ・レーベル」からのリリースだったので、これは他のジャズマンとあまり変わらない。しかし、リーダー作2作目にして、いきなり大手レーベルである「エマーシー・レコード」と契約し、メジャー・デビューである。なんてラッキー・ボーイなんだ、と思われるかもしれないが、エマーシーから押し付けられたのは「ビッグバンドをバックにしたイージーリスニング志向のジャズ」。

次に押し付けられたのは「ストリングスをバックにしたイージーリスニング志向のジャズ」。とにかく「大衆受けする売れるジャズ」を余儀なくされた訳で、いわゆる「コマーシャルなジャズマン」の部類に位置づけられた。リヴァーサイド・レーベルに移籍して、ファンキー・ジャズ志向のアルバムを出したらこれが大ヒット。「コマーシャルなジャズマン」な印象に拍車がかかる。

Cannonball Adderley『Jump for Joy』(写真左)。1958年8月20 & 21日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Emmett Berry (tp), Leo Kruczek, Gene Orloff (vin), Dave Schwartz (viola), George Ricci (cello), Bill Evans (p), Barry Galbraith (g), Milt Hinton (b), Jimmy Cobb (ds), Richard Hayman, Bill Russo (arr)。再び「弦オケ」をバックにしたジャズに立ち返っている。

この盤は、キャノンボールにとって、大手レーベル、エマーシーからの最終作になるのだが、エマーシーは最後まで、キャノンボールの資質と個性を読み違えた。最後まで「イージーリスニング志向の大衆受けする売れるジャズ」にキャノンボールをアダプトした。

確かにキャノンボールのアルト・サックスは、切れ味良く、音が大きく、フレーズが明確。楽曲の持つフレーズがクッキリ浮かび上がる様なアルト・サックスを吹く。
 

Cannonball-adderleyjump-for-joy

 
しかし、それはスモール・コンボでのアドリブ展開の時に最大限に活きる個性で、「イージーリスニング志向の大衆受けする売れるジャズ」で最大限に活きる個性では無い。

実際、キャノンボールは、火の噴くような激しい吹奏を封じて、甘いトーンで滑らかな吹奏に終始している。これは、ちょっとテクニックのあるアルト奏者だったら誰でも勤まるだろう。つまりは、エマーシーは、キャノンボールの資質と個性を見抜けなかった訳である。

ただ、この『Jump for Joy』では「弦オケ」のアレンジが甘くない。ホーンやストリングスのフレーズは意外とスリリングで、底が抜けた様な明るさは無い。意外と硬派でシビアなアレンジが施されていて、意外と聴き応えがある。アレンジはリチャード・ハーマンとビル・ロッソ。この盤では意外と「良い仕事」をしている。

バックのリズム隊についても、ピアノにビル・エヴァンス、ベースにミルト・ヒントン、ドラムにジミー・コブといった一流どころを投入していて、リズム&ビートはハードバップしていて、意外としっかりしている。だからこそ「弦オケ」が邪魔なんだよな〜。このリズム隊をバックに、キャノンボールがワンホーンで吹きまくった方が、ジャズ・ファンへの訴求度は高かった様に思うのだが、いかがだろう。

しかし、このエマーシー時代の「ストリングスをバックにしたイージーリスニング志向のジャズ」=「大衆受けする売れるジャズ」をメインにリーダー作を出し続けたという事実は、キャノンボールはコマーシャルなジャズマン、という「誤解」を、ジャズ・ファンに持たせてしまった。キャノンボールは決して「コマーシャルなジャズマン」では無い。硬派な正統派ハードバッパーだと思うのだが、どうにもいけない。

でも、この『Jump for Joy』については、キャノンボールは、バックが「弦オケ」だろうがお構いなし。ポジティヴで切れ味良く、音が大きくてフレーズが明確、テクニック優秀、歌心満載なアルト・サックスを吹きまくっていて、キャノンボールのアルト・サックスだけ取れば、この盤、全く問題無く聴ける。キャノンボールにだけ着目すれば、なかなかの「佳作」である。
 
 

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2023年7月27日 (木曜日)

硬派でバップなキャノンボール

キャノンボール・アダレイ。1959年以降、ファンキー&ソウル・ジャズでヒット作をリリースして人気ジャズマンになった訳だが、人気者になればなるほど、我が国では「ファンクの商人」と揶揄され、硬派なジャズ者の方々から煙たがられた。しかし、キャノンボールのジャズは確かなもの。デビュー当時のハードバップをバリバリ吹きまくるキャノンボールをもっと評価しても良いと僕は思っている。

彼が人気者になった、ファンキー&ソウル・ジャズだって、そのベースには、ハードバップ時代のバリバリ硬派にアルト・サックスを吹きまくる実績があったからこそ。どうも、以前は、ジャズというもの、コマーシャルに走るのは「恥」という傾向が我が国のジャズ・シーンにはあったように思う。僕には全く理解出来なかったけど。

Cannonball Adderley『Cannonball's Sharpshooters』(写真左)。1958年3月4日と6日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Junior Mance (p), Sam Jones (b), Jimmy Cobb (ds)。アルト・サックスのキャノンボール・アダレイがチーダーのクインテット編成。小コンボ編成のハードバップな演奏に変わっての3作目。
 

Cannonball-adderleycannonballs-sharpshoo

 
この盤は、前年の『ソフィスティケイテッド・スウィング』や、それに続く『キャノンボール・アンルート』の流れの中にある盤で、硬派にハードバップにアルト・サックスを吹きまくるキャノンボールを確認することが出来る。スタンダード曲を伸び伸び、切れ味良く吹き上げるキャノンボールは、自由奔放でブリリアント。このストイックに硬派にアルト・サックスを吹きまくるキャノンボールは聴き応え十分。

フロントのパートナー、弟ナットのコルネットも良い味を出している。破綻無く切れ味良くブリリアントなトランペットを随所で吹きまくる。マンスのピアノは小粋だし、ジョーンズのベースは堅実。コブのドラミングは、この盤のハードバップな要素をしっかり把握し、しっかりとハードバップなリズム&ビートを供給する。

『ソフィスティケイテッド・スウィング』『キャノンボール・アンルート』に続く、小コンボでハードバップな演奏なんだが、スタンダード曲とミュージシャンズ・チューンズを混在して選曲したこの盤の演奏は「小粋」そのもの。録音年は1958年、ハードバップが成熟した頃の録音。良い内容で聴き応え満点。いかにも「やっつけ」なジャケだけが減点対象。もうちょっとましなジャケにならんかったのかいな、とこの盤を聴く度に思う。
 
 

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2023年7月26日 (水曜日)

小コンボのキャノンボールは良い

初リーダー作より、レーベルのエマーシーから、ムーディーなモダン・ジャズを余儀なくされたキャノンボール。キャノンボールは意外と硬派にハードバップに吹きまくるのだが、如何せん、ウィズ・ストリングスあり、ビッグバンド・ジャズなアレンジのゴージャスな編成ありで、全体的な印象としては「イージーリスニング・ジャズ」志向。

やっと、エマーシー移籍後の4作目のリーダー作『Sophisticated Swing』で、クインテット編成の小コンボでの、硬派でハードバップな演奏を実現した。メインストリーム系の純ジャズとして聴くには、まずは少人数コンボでのパフォーマンスが聴きたい。キャノンボールのアルト・サックスを、やっとクインテット編成で聴くことが出来た訳である。

Cannonball Adderley『Cannonball Enroute』(写真)。1957年2月と3月の録音。EmArcyレーベル上位のMercuryレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Junior Mance (p), Sam Jones (b), Jimmy Cobb (ds)。キャノンボール・アダレイの6枚目のリーダー作。但し、録音時はお蔵入り。4年後の1961年にリリースされている。
 
Cannonball-adderleycannonball-enroute  
 
エマーシー移籍後の4作目のリーダー作で、ようやくクインテット編成の小コンボでの、硬派でハードバップな演奏を実現した『Sophisticated Swing』のアウトテイクと追っかけ録音で構成されたのが本盤。1961年のリリースなので、マイルスのバンドに参加し、ファンキー・ジャズに転身して録音した『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』の大ヒットもあって、人気の一流ジャズマンの地位を確立してからの「便乗リリース」盤である。

『Sophisticated Swing』のアウトテイクと追っかけ録音だからといって、内容には遜色は無い。溌剌として流麗、そこはかとなくファンクネス漂い、テクニック上々。歌心溢れ、ちょっと五月蠅いくらいにブラスの音が鳴り響くキャノンボールのアルト・サックス。弟のナット・アダレイのコルネットも元気溌剌、兄のキャノンボールに負けず劣らず、素晴らしい吹奏を聴かせてくれる。

バックのリズム・セクションも好調。クインテット編成の小コンボでのキャノンボールの演奏は素晴らしい。明確にハードバップで、明確にモダン・ジャズ。ムーディーなモダン・ジャズは、キャノンボールには似合わない。『Sophisticated Swing』と同様、聴き応え十分な、ファンキー・ジャズ一歩手前の正統なハードバップ演奏が実に良い。『Sophisticated Swing』と併せて聴きたい。
 
 

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2023年7月 2日 (日曜日)

クインテットのキャノンボール

リーダー作デビュー2枚目にして、大手ジャズ・レーベルのエマーシーに移籍したキャノンボール・アダレイ。大人数編成のビッグバンド仕様や、ウィズ・ストリングスなど、ジャズをあまり知らない一般の音楽ファンにもしっかり訴求する、耳当たりと聴き心地の良いアルバムを続けざまに3枚、リリースしている。

キャノンボールのアルト・サックスは溌剌として流麗バップなフレーズを吹きまくって良い感じなんだが、どうにも、純ジャズのパフォーマンスとして聴くにはちょっと物足りなかったのは否めない。

Cannonball Adderley『Sophisticated Swing』(写真左)。1957年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Junior Mance (p), Sam Jones (b), Jimmy Cobb (ds)。キャノンボールのアルト・サックスとナットのコルネット、兄弟2管フロントのクインテット編成。

エマーシー移籍4枚目にして、やっとクインテット編成の、本格的純ジャズな少人数コンボでのリーダー作をリリース。やっぱりメインストリーム系の純ジャズとして聴くには、まずは少人数コンボでのパフォーマンスが聴きたい。キャノンボールのアルト・サックスを、やっとクインテット編成で聴くことが出来た訳である。
 

Cannonball-adderleysophisticated-swing

 
キャノンボールのアルト・サックスは申し分無い。溌剌として流麗、そこはかとなくファンクネス漂い、テクニック上々。歌心溢れ、ちょっと五月蠅いくらいにブラスの音が鳴り響く。ワンフレーズ聴いて、これってキャノンボールね、と判る位の個性溢れるアルト・サックス。少人数コンボでは、そんなキャノンボールが目立ちに目立つ。

目立つと言えば、フロント管の相棒、弟のナット・アダレイのコルネットも元気溌剌としていて、兄のキャノンボールに負けず劣らず、素晴らしい吹奏を聴かせてくれる。ナットも上手いんだよね〜。このアダレイ兄弟の2管フロントって無敵ですね。

バックのリズム・セクションも良い味出している。ジュニア・マンスのピアノがこれまた溌剌としたバップ・ピアノで聴いていて気持ちが良い。切れ味の良い、そこはかとなくファンクネス漂う弾きっぷりで、フロントのアダレイ兄弟をしっかりと引き立てる。ベースのサム・ジョーンズのベースは堅実、ジミー・コブのドラムは、切れ味良くファンキーなリズム&ビートを趣味良く叩き出している。

「古き良きアメリカ」を彷彿とさせる、オープン・スポーツカーと若きシュッとした金髪の白人女性というジャケ写も雰囲気があって良い。こういう良好なジャケのジャズ盤に外れはありませんね。聴き応え十分な、ファンキー・ジャズ一歩手前の正統なハードバップ演奏がてんこ盛りの好盤です。
 
 

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2023年6月25日 (日曜日)

大衆音楽志向なキャノンボール

キャノンボール・アダレイの初期のアルバムの落ち穂拾いの3日目。キャノンボールは初リーダー作こそ、サヴォイ・レーベルからだったが、2枚目のリーダー作から、いきなり大手のジャズ・レーベル「エマーシー」からのリリースになる。それからは、リヴァーサイド・レーベルの専属になる。

ハードバップ期において、若手有望株の登竜門と言われた「ブルーノート」からは、マイルスの下、1枚のリーダー作(実質はマイルスがリーダー)しかリリースしていない。それだけ、デビューした時には、その個性とテクニックが完成〜確立されていて、十分に聴き手に訴求し、レーベルからしても「売れる」アルト・サックス奏者だったのだろう。

Cannonball Adderley『In The Land of Hi-Fi with Julian Cannonball Adderley』(写真左)。1956年6月8, 18日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Jerome Richardson (ts, fl), Danny Bank (bs), Nat Adderley (cornet), Ernie Royal (tp), Bobby Byrne, Jimmy Cleveland (tb), Junior Mance (p), Keter Betts (b), Charles "Specs" Wright (ds), Ernie Wilkins (cond, arr)。

この盤も2枚目のリーダー作、エマーシーからの第1弾と同じ大編成での録音。この盤は「テンテット(10人編成)」である。この盤も大編成の録音で、アレンジの志向、音の雰囲気としては「ビッグバンドで豪華」なもの。
 

Cannonball-adderleyin-the-land-of-hifi-w

 
但し、エマーシーからの第1弾のアレンジを担当していたのは、クインシー・ジョーンズだったので、そのアレンジは粋でジャジーでモダンなものだったが、この盤のアレンジはアーニー・ウィルキンスが担当しており、そのアレンジは破綻は無いし、稚拙でも無いのだが、イージーリスニングっぽいビッグバンドな雰囲気で俗っぽい。

バックの演奏は、あくまでキャノンボールのアルト・サックスを引き立てるだけの演奏で、バンド全体で、丁々発止としたインタープレイが展開されることは無い。演奏時間は1曲当たり数分程度と短く、一般大衆の方々が聴くに我慢できる長さに抑えられている。如何にジャズ者以外の一般大衆に「売りたかった」かが、このバックバンドのアレンジを聴くと良く判る。

しかし、この盤でも、そんなバックのアレンジにはお構いなく、キャノンボールは伸び伸びと「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」が個性のアルト・サックスを吹きまくる。ただ、ハードバップの醍醐味の1つである「インタープレイ」「ロングなアドリブ展開」が無いので、スリルは希薄、聴き心地だけが優先されているのは「モダン・ジャズ」としてはちょっとなあ、という感じ。

スイング時代の演奏志向の演奏を聴いている感じは否めない。それでも、キャノンボールのアルト・サックスは魅力的なフレーズをバンバン繰り出し、ジャズとしての心地良いテンションやアドリブ展開の妙を積極的に醸し出していて、単に聴き心地の良い「イージーリスニング・ジャズ」になっていないところが良い。
 
 

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2023年6月24日 (土曜日)

キャノンボール with Strings

キャノンボール・アダレイ(Julian Edwin "Cannonball" Adderley・1928年9月15日 - 1975年8月8日)。米国フロリダ州タンパ生まれのジャズ・アルト・サックス奏者。あだ名の『キャノンボール』の由来は、キャンニバル(cannibal:大食漢)に由来する。マイルス・デイヴィスの下での活躍、そして、ソウル・ジャズ、ファンキー・ジャズの立役者の一人、として知られる。

キャノンボールのアルト・サックスは「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」が個性。この個性が、リーダー作の第1作、第2作を聴くと、既に、その個性は確立〜完成されているのが判る。その時、キャノンボールは27歳。若き天才の1人だろう。

『Julian Cannonball Adderley and Strings』(写真左)。1955年10月の録音。エマーシー・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Richard Hayman (musical director), Bill Russo (arr), オーケストラの名称は不明。キャノンボール・アダレイの「ウィズ・ストリングス」盤である。

「ウィズ・ストリングス」盤でも、リズム&ビートを司るリズム・セクション(ピアノ・ベース・ドラム)が入ることが多いのだが、この盤ではリズム・セクションは不在。オーケストラがリズム&ビートを供給している。加えて、キャノンボールのアルト・サックスはタイム感覚が優れている。恐らく、オーケストラやリズム・セクションがいなくても、リズム&キープはしっかりキープ出来るはずである。
 

Julian-cannonball-adderley-and-strings

 
リーダー作デビュー時点で、個性を確立〜完成させていたキャノンボール。この「ウィズ・ストリングス」盤でも、その個性・テクニックを遺憾なく発揮している。滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。ストリングスの調べをバックに、伸び伸びと楽しげにアルト・サックスを吹きまくっている。

バックのストリングスのアレンジは「ベタな弦アレンジ」で、どちらかと言えば「イージー・リスニング」風で甘めで凡庸。悪くは無いが、ジャズとして聴くと物足りない。が、チャーリー・パーカーの「ウィズ・ストリングス」盤のストリングス・アレンジよりは遙かに良い出来なので、耳にはつかない。逆に、キャノンボールのアルト・サックスの邪魔にならない、伴奏ストリングスとしては「まあ良し」である。

というか、バックのストリングスの良し悪しを感じること無く、ただただ、シンプルに、キャノンボールの「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」に耳を傾けるだけで十分に楽しめる、キャノンボールのソロ・パフォーマンスを愛でる盤である。

「ウィズ・ストリングス盤」をリリースすることは、ジャズマンにとって一流の証し、人気ジャズマンの証と言われるが、キャノンボールは、リーダー作の第3作目にして「ウィズ・ストリングス盤」を披露する栄誉に浴したといえる。それほど、キャノンボールのアルト・サックスは完成され、抜きん出ていたのだろう。確かに、この盤でのキャノンボールのパフォーマンスは素晴らしい。
 
 

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