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2016年2月 6日 (土曜日)

キャノンボールのアルトの歌心

キャノンボールって、喧しいだけのアルト・サックスでは無い。陽気な明るい音の中にしっかりと歌心が潜んでいて、その歌心は意外とワンホーンな演奏の時に現れ出でるのだ。加えて、競う必要の無い、競う気にならないパートナーの場合も、しっかりとその歌心が現れ出でる。

これがキャノンボール・アダレイの聴き方のツボだと会得しているが、この聴き方のツボをしっかりと押さえているのが、このアルバムである。『Cannonball Adderley and the Poll-Winners』(写真左)。1961年5月の録音。ハードバップが成熟し、ファンキー・ジャズがブームの時代である。

ちなみにパーソネルが、Cannonball Adderley (as), Wes Montgomery (g), Victor Feldman (p, vib), Ray Brown (b), Louis Hayes (ds)。パーソネルを見た瞬間にあれっと思う。キャノンボールは東海岸中心のジャズメン、ウェス以下、他の4人は西海岸中心のジャズメン。キャノンボールが米国西海岸に巡業に来た時に、たまたま集まったメンバーがこのメンバーだったらしい。

偶然の産物っぽいパーソネルなんだが、アルバムのタイトル通り、当時、ジャズメンの人気投票で常に一位を争うプレーヤー達の競演となっている。キャノンボールからしてみると、自分以外西海岸のメンバーなので、競う必要の無い、競う気にならない。加えて、ホーンはキャノンボール一人、ワンホーンである。
 

The_poll_winners

 
ということは、このアルバムのキャノンボールは良い、ということになる。で、聴いてみると確かに良い。陽気な明るい音の中にしっかりと歌心のある、聴き応え満点のインプロビゼーションを体感することが出来る。西海岸中心のリズム・セクションがバックということもあって、バックの洒落たアンサンブルに合わせて、程良く抑制されたブロウも実に好ましい。

西海岸のメンバーも実に良い音を出している。ギターのウエスは弾きまくり。キャノンボールを惹き立てる為にバッキングに回ることが多い役回りに徹しているが、このバッキングについてもウエスは聴き応え満点。しっかり弾きしっかり唄う。意外とバックに回ったウエスも隅に置けないことが良く判る。

ピアノ兼ヴァイブのフェルドマンも趣味が良く、小粋なフレーズには思わず口元が緩む。そして、何と言っても、バッキングに回って、このアルバムの演奏全体の底を支え、ジャジーなリズム&ビートを供給する、ベースのブラウンとドラムのヘインズが素晴らしい。重心の低い、タイトで躍動的なベース&ドラムが、このアルバムに詰まった演奏を上手く支え、上手く鼓舞している。

良いアルバムです。そう言えば、映画「スイング・ガールズ」で、竹中直人扮する小澤先生が、このアルバムについて熱く語るシーンがありましたね。このアルバムって、結構、マニアックな存在で、この映画の関係者ってちゃんとジャズを判ってるなあ、と妙に感心したことを思い出しました。

 
 

震災から4年10ヶ月。決して忘れない。まだ4年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2016年1月27日 (水曜日)

キャノンボールのアルトの愛で方

年初からアルト・サックスを聴き込んでいて思うんだが、意外とアルト・サックスのジャズは奥が深い。まずは、意外とアルト・サックスの奏者が多い。しかも個性的な奏者が多くて、聴き進めていくとなかなかに面白い。そう言えば、アルト・サックスのジャズを聴き込むことはあまりなかったことに気がついた。

アルト・サックスのジャズを聴き込むと、必ずこの人にぶち当たる。キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)。ファンキーな健康優良児。大きな太った身体を揺らしながら、キンキンにアルト・サックスを吹き挙げる。とにかく喧しいくらいである。

僕は最初、このキャノンボールが喧しくて嫌いだった。とにかく五月蠅い。耳について耳について、キャノンボールのファンキー・ジャズのアルバムは暫く遠ざけた。が、である。大学時代の例の「秘密の喫茶店」のママさんに、このアルバムを聴かせて貰って、キャノンボールに対する考え方を改めた。

そのアルバムとは『Cannonball Adderley Quintet in Chicago』(写真左)。1959年2月の録音。マイルスの当時の6重奏団から、その親分のマイルスを抜いたクインテットでの演奏である。改めて、ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), John Coltrane (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。
 

Cannonball_in_chicago

 
1曲目の「Limehouse Blues」を聴いて、喧しい位にアルトを吹き上げる中に流麗な歌心が潜み流れていることに気がつく。これだけ流麗で明るいブルース。これはこれで「有りかな」と思う。そして、次の曲で「おおっ」と思う。

2曲目の「Stars Fell On Alabama」である。邦題「アラバマに星堕ちて」は、こってこてのバラード・ナンバー。これが絶品なのである。この演奏はコルトレーン抜き。カルテット形式、キャノンボールのワンホーン・カルテットである。ここでのキャノンボールのバラード・プレイは絶品。これだけの歌心溢れる、流麗で明るいバラードは他に無い。

3曲目以降、流麗で明るくて陽気なハードバップが展開される。陽気な中に歌心が溢れ、楽しい楽しいハードバップ。なるほど、キャノンボールって、喧しいだけのアルト・サックスや無かった。陽気な明るい音の中にしっかりと歌心が潜んでいて、その歌心は意外とワン・ホーンな演奏の時に現れ出でるのだ。

加えて、競う必要の無い、競う気にならないパートナーの場合も、しっかりとその「歌心」が現れ出でる。なるほどそうなんや。そうと判れば、キャノンボールの聴き方が決まったというもの。以降、キャノンボールのアルト・サックスは僕のお気に入り。大学時代の例の「秘密の喫茶店」のママさんに感謝、感謝である。

 
 

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2015年11月 4日 (水曜日)

心地良い晴れた朝のスタート盤

キャノンボール・アダレイのアルトは「時を選ぶ」。キャノンボールのアルトは、健康優良児的なポジティブでネアカな音色で、テクニックは優秀、爽快に吹きまくるアルトである。とにかく明るくて賑やか。

ということで、夜の静寂には絶対に合わない。五月蠅いことこの上無し。昼ご飯を食べた後の、微睡みの昼下がりにも合わない。耳障りなことこの上無し。キャノンボールのアルトは「朝」が良い。

朝日が眩しい朝。さあ今日も頑張るぞ、と気合いを入れる朝。そんな朝に、健康優良児的なポジティブでネアカな音色で、テクニックは優秀、爽快に吹きまくるキャノンボールのアルトが良く似合う。

そんなキャノンボールを聴きたい時にピッタリのアルバムは何か。僕は先ずはこのアルバムを選ぶ。『The Cannonball Adderley Sextet in New York』(写真左)。キャノンボール兄弟が絶好調でゴキゲンな、1962年1月、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライブ録音である。

ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Yusef Lateef (ts, fl, oboe), Joe Zawinul (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。キャノンボール兄弟に、テナーのユセフ・ラティーフ、ピアノのジョー・ザヴィヌル、ベースのサム・ジョーンズ、ドラムのルイ・ヘイズ。今の時代から振り返れば凄い面子ですなあ。
 

The_cannonball_adderley_sextet_in_n

 
この面子が、健康優良児的なポジティブでネアカなファンキー・ジャズをやるのである。それはそれは素晴らしくポジティブで明るい、健康優良児的で爽快感溢れるファンキー・ジャズがこれでもかと言わんばかりに展開される。とにかく、大ファンキー・ジャズ大会である。

ちょっとモーダルなユセフ・ラティーフのテナーがアーティステックな雰囲気を醸し出して、ファンキー・ジャズの権化の様なキャノンボール兄弟と絶妙なバランスを保っています。このフロントのバランスが、このアルバムを単なるファンキー・ジャズなアルバムと一線を画する、1962年当時の最先端のジャズの一翼を担うような好盤に仕立て上げています。

そうそう、ザヴィヌルのピアノも良いですよ。思いっきりこってこてファンキーなピアノがグイグイ迫ってきます。これだけ、黒々とした、こってこてファンキーなピアノはそうそうありません。聴き応え満点です。

朝日が眩しい朝。さあ今日も頑張るぞ、と気合いを入れる朝。そんな朝に、健康優良児的なポジティブでネアカな音色で、テクニックは優秀、爽快に吹きまくるキャノンボールのアルト。そのアルトを愛でるに最適なアルバムは『The Cannonball Adderley Sextet in New York』。

晩秋の心地良い晴れた朝のスタートは、この『The Cannonball Adderley Sextet in New York』で決まり、である。

 
 

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2014年10月30日 (木曜日)

晩秋にマイルスの「枯葉」が良い

晩秋になると、毎年、決まって聴くアルバムが幾枚かある。大体、収録されたお目当ての曲がメイン。秋がテーマの曲で「Autumn Leaves(枯葉)」と「Autumn In New York(ニューヨークの秋)」。

今年もまずは「Autumn Leaves(枯葉)」をお目当ての曲として、アルバムを物色する。まあ「枯葉」と言えば、まずはマイルスの名演でしょう。マイルスは「枯葉」が好きみたいで、何枚かのアルバムで演奏していて、それぞれ違った表情の「枯葉」が聴ける。

が、まずはこれでしょう。Cannonball Adderley『Somethin' Else』(写真左)。ブルーノートの1595番。あれれ、マスター、マイルスのリーダー作じゃないですよ。とまあ、ジャズ者初心者の突っ込みなら、まあ仕方なく受け止めますが、ジャズ歴5年以上のジャズ者方々からの突っ込みなら「お主、勉強不足じゃ」と活を入れますね(笑)。

このアルバムは、1958年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Cannonball Adderley (as), Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。ちゃんとマイルスがいます。見渡して見ると、なかなか考え抜かれた人選です。しかし、まずは、ブルーノート・レーベルでよく見るパーソネルでは無い。

このアルバムが作成された切っ掛けは「マイルスの恩返し」。1950年代前半、マイルスは麻薬にはまって演奏が不安定になり、仕事も干された状態になっていた時期がある。そんな時期に、マイルスの才能に敬意を払い、録音の機会を与えてくれたプロデューサーがアルフレッド・ライオン。ブルーノートの総帥である。

その後、マイルスは麻薬禍を自力で抜け出し復活。大手レコード会社のCBSに迎えられる。専属契約なので、他のレーベルには吹き込めない。しかし、マイルスはライオンへの恩義を忘れなかった。CBSに特例を認めさせ、マイルスはブルーノートへのレコーディングを計画する。
 

Somethin_else

 
パーソネルは、マイルス自らが人選したと聞く。さすがに、専属契約の無いマイルスが、ブルーノートでリーダーのアルバムを出す訳にはいかないので、そのリーダー役をアルトのキャノンボール・アダレイに担わせた。しかし、実質上は、マイルスのリーダー作である。

このアルバムの一番の目玉が、やはり冒頭の「Autumn Leaves(枯葉)」でしょう。本当にこの「枯葉」の演奏は良く出来ています。しかも、マイルスのペットが凄く良い雰囲気を出している。この演奏が、ジャズの「枯葉」の標準になっている、と言っても過言では無い。

他の曲も良いですよ。リーダー役を担ったアルトのキャノンボール・アダレイをフィーチャーした演奏が怒濤の如く続く。陽気にポジティブに吹きまくる「動」のアダレイ。そして、クールにアーティスティックに吹きまくる「静」のマイルス。この「動」と「静」のコントラストがマイルスの好み。

リズム・セクションの3人の音は、まったくもってブルーノートの雰囲気をバッチリと醸し出している。さすがはマイルス。このアルバムは、ブルーノート・レーベルのアルバムである。アルフレッド・ライオンの音でなければならない。マイルスは心得ていた。Hank Jones (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)のリズム・セクションの音は「ブルーノートの音」。

このアルバムは、ジャズ者初心者の方々にお勧めの一枚。高い演奏レベルと言い、アーティスティックなハードバップの響きと言い、アルバムにまつわるエピソードと言い、モダン・ジャズの面白いところ全てが体験できる「お徳用」な一枚です。ジャケットも渋くて格好良いです。

 
 

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2014年2月16日 (日曜日)

ファンキージャズとは何かの好例

中学時代、ブラスバンド部に在籍した経験があって、アルト・サックスを少し吹ける。ジャズでサックスを聴く際に、やはり、自分で演奏できる楽器を優先的に選んでしまうんですよね。という訳で、ジャズ・サックスで良く聴く楽器は「アルト・サックス」。

アルト・サックスで好きなジャズメンと言えば、アート・ペッパー、キャノンボール・アダレイ、フィル・ウッズ、ケニー・ギャレット、そして、渡辺貞夫あたりを愛聴している。そう、それから晩年のチャーリー・パーカーかな。思いを巡らせていて、キャノンボール・アダレイが突如として聴きたくなる。

今日、選んだ盤は、Cannonball Adderley『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』(写真左)。1959年10月18&21日、サンフランシスコのThe Jazz Workshopでのライブ録音である。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Bobby Timmons (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。

このライブ盤での演奏内容は「ファンキー・ジャズ」のお手本の様な、ファンキー・ジャズとは、と問われた時に、必ず、引き合いに出す一枚である。アルトとコルネットの音色、ピアノのユニゾン&ハーモニー、ドラムとベースの粘りのオフビート。どれもが、素晴らしくファンキー・ジャズしていて、いつ聴いても、このアルバムは「ファンキー・ジャズとは何か」を心ゆくまで味合わせてくれるのだ。

フロント楽器を構成する、キャノンボール&ナットのアダレイ兄弟がまず「ファンキー」。キャノンボールのアルトとナットのコルネットの吹き上げるユニゾン&ハーモニーの響きそのものが「ファンキー」。それも、このライブ盤では、上品でクールなファンクネスを醸し出していて、このライブ盤全体の「格」をワンランク上げている。
 

Cannonball_in_san_francisco

 
このゴスペルに通じる、アメリカン・アフリカンな響きを色濃く宿したユニゾン&ハーモニーは、ファンキー・ジャズ独特のものである。ジャジーでブルージーなファンクネスは、これぞジャズという響きがしていて、聴いていてとても心地の良いものだ。キャノンボール&ナットのアダレイ兄弟は「ファンキー兄弟」である。

そして、ボビー・ティモンズのピアノが、このライブ盤の演奏の「肝」の部分である。ファンキー・ジャズ専任のピアニストと評しても良い、ティモンズの叩き出すピアノのフレーズは、どれもが「ファンキー」。

滴り落ちるようなファンクネスを湛えつつ、ティモンズのピアノは、ゴスペルチックなユニゾン&ハーモニーを叩き出していく。左手のオフビートが、これまたファンクネスに強烈なアクセントを与えて、ティモンズのピアノはファンキー・ジャズ・ピアノの権化と化していく。

サム・ジョーンズのベースは、強烈な粘りがあって、強烈なオフ・ビートなウォーキング・ベースと粘りのあるピチカートが、演奏全体のファンクネスをガッチリとサポートする。よくよくこのライブ盤を聴いていると、このファンキーなサム・ジョーンズのベースがかなり「効いている」ことが良く判る。

ルイ・ヘイズのドラムは端正かつ適応性抜群。正確なドラミングを叩き出しつつ、そのシンバル・ワークを中心に、粘りのあるジャジーでブルージーでファンクネス溢れるリズム&ビートを叩きだしている。これだけファンクネスが強烈なドラミングを叩き出すとは、ヘイズの「ファンキー兄弟」への適応能力は抜群である。

この『In San Francisco』は、ファンキー・ジャズのアルバムの中でも、演奏内容のレベルも高く、決して、俗っぽく大衆に迎合した内容に陥らず、ジャズとしての品格を備えた立派なアルバムである。各メンバーのテクニックも優秀、収録曲の選曲&アレンジも良く、特に、ジャズ者初心者の方々に「ファンキー・ジャズとは何か」の好例としてお勧めしたい佳作です。

 
 

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2013年4月18日 (木曜日)

ナット・アダレイ、もう一枚!

我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、典型的なハードバップなジャズとして、ナット・アダレイの初期のアルバムをプッシュ。そして、コルネットの使い手、ナット・アダレイの再評価をプッシュして来ました。

これまで、ナット・アダレイの初リーダー作『That's Nat』(2013年3月25日のブログ・左をクリック)、ナット・アダレイのセカンド盤『Introducing Nat Adderley』(2012年11月16日のブログ・左をクリック)、そして、ハードバップの芳しき香りなサード盤『To the Ivy League from Nat』(2013年4月11日のブログ・左をクリック)と3枚のリーダー作をご紹介してきた。

で、あともう一枚、ご紹介したい。バリバリのハードバップから、ゴスペル的雰囲気漂うファンキー・ジャズへの移行が見え隠れする、なかなかの盤がある。Nat Adderley『Much Brass』(写真左)。ナットのリーダー作の5枚目。1959年3月の録音。ちなむにパーソネルは、Nat Adderley (cor), Slide Hampton (tuba-1, tb-2〜7), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b-2〜8, cello-1), Laymon Jackson (b-1, tuba-2〜8), Albert Heath (ds)。

1959年と言えば、確かにファンキー・ジャズが流行りだした頃。ナット・アダレイはいち早く、流行を取り入れている。先取性溢れる積極的なジャズメンと言える。そして、パーソネルを見渡すと、今回は、仲良し兄ちゃんのキャノンボール・アダレイが居ない。トロンボーンのスライド・ハンプトンはいるが、アルバム全体として、ほとんどナットのワンホーン作的雰囲気。

冒頭の「Blue Concept」からして、もうその音世界はハードバップ。そして、スライド・ハンプトンがチューバを吹いて、ナットのコルネットとスライドのチューバのユニゾン&ハーモニーが、まさにゴスペルチックな雰囲気を醸し出していて、この演奏のトーンは、まさにファンキー・ジャズ。ナットのミュートの効いたコルネットの切れ味鋭い音が、演奏全体を引き締めていて、コッテコテな状態にまではユルユルになってないけどね〜(笑)。
 

Much_brass

 
2曲目以降はタイトル通り「マッチ・ブラス」。ブラスと言えば「金管楽器」。フロントにブラス楽器をコルネット(アダレイ),ボントロ(スライド・ハンプトン)、チューバ(レイモン・ジャクソン)と3人揃えたユニークな編成の演奏が続く。3管ブラスのユニゾン&ハーモニー、そしてチェイス、コール・アンド・レスポンス。雰囲気は全く持って「ゴスペル&ファンキー」。

この盤、この3管ブラスが好調なんですよね。3管ブラスのユニゾン&ハーモニー、そしてチェイス、コール・アンド・レスポンスって、誰か一人でも不調だと「残念な」演奏になってしまうんですが、この盤は3管ブラスは良好。良い音出しています。

リズムセクションは、ピアノのウィントン・ケリー,ベースにサム・ジョーンズ,ドラムにアルバート・ヒースと言う、ハードバップ時代の名うての3人。それぞれ一流のジャズメンで、しっかりとフロントの3管ブラスをフォローしています。実に堅実かつファンキーなバッキング。そして、そんなリズムセクションの中で、ピアノのウィントン・ケリーが絶好調。

ファンキーで健康優良児的なハッピー・スインガーなウィントン・ケリーのピアノ。そこはかとなく漂う翳りも「漆黒のファンキー」で、このケリーのピアノが、この盤のファンキーな雰囲気作りに大きく貢献している。ややもすれば、この盤、ケリーのピアノを目当てに聴き込んでも良い位、ケリーは好調を維持している。

当然、リーダーのナット・アダレイは絶好調。この頃のナットって、本当に上手い。歌心もあるし、指は動くし、音はキッチリと締まって、ミストーンは無し。どうして、こんなに優秀なジャズ・トランペッターが、日本のジャズ本やジャズ雑誌で、マイナーな存在に甘んじていたのかが理解出来ない。

良いアルバムです。コッテコテ、べっちゃべちゃなファンクネスの手前、スッキリとした爽快感溢れるファンクネスが、この盤を包んでいて、実に良い雰囲気です。ジャズ者中級以上の方々にお勧めです。

 
 

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2013年4月11日 (木曜日)

ハードバップの芳しき香り・・・

何気なく聴いていると、これはなかなか良いと思う。完璧なハードバップな演奏。音の具合からして、これは古い。1950年代後半のハードバップど真ん中の演奏と見切る。良い雰囲気だ。このアルバムは何というアルバムだろう。気になり出す。

特徴的なアルトから解明に入る。ハイテクニックで思いっきり吹きまくる、ファンクネス溢れるアルトはどうもキャノンボールらしい。ということは、このトランペットはナットということか。なんて類推する。アルトも上手いがトランペットも上手い。かなりのテクニック。ナット・アダレイはこんなに上手いトランペッターやったんや、と改めて感心する。

でも、アルバム名が判らない。仕方が無いから、ジャズ喫茶の、はたまたレコード屋のプレイヤーの下に駆け寄る。ジャケットを見る。でも「???」。当時、僕はこのアルバムの存在を知らなかった。今から20年ほど前の出来事である。

さて、そのアルバムとは、Nat Adderley『To the Ivy League from Nat』(写真左)。1956年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Nat Adderley (cor), Cannonball Adderley (as), Junior Mance (p), Sam Jones (b,tracks 3-11,cello,tracks 2 & 3), Al McKibbon (b,tracks 1-3), Charles "Specs" Wright (ds)。初リーダー作『That's Nat』から数えて3枚目のリーダー作。

うむむ、やはりハードバップど真ん中の演奏やな。趣味の良い端正でファンクネス漂うピアノはジュニア・マンス。なるほど、納得。ぶっといベースは誰じゃ。サム・ジョーンズには納得。アル・マッキボンは辛うじて名前を知っている程度。不明を恥じる。さらに、堅実ドラムのチャールズ・ライトは知らない。更に不明を恥じる。
 

Ivy_league

 
しかし、アルバム全体の演奏のレベルは高い。恐らく、パッと集まって、パッと録音したと思われるが、これだけのレベルの演奏をサラサラとやってのける当時のジャズメンって、ミュージシャンとしてどれだけ優れているのかしら。結構、複雑なこともしているんですよ。それでもサラリとやってのけてしまう。一流ジャズメンって何時の時代も凄いよな〜。

リーダーのナット・アダレイは、トランペットでは無く、コルネットを使用している。コルネットはトランペットに比べまろやかで柔らかな音色で、音の移り変わりは滑らかだが、強弱の幅はトランペットより狭いのが特徴。このまろやかさと柔らかさという特徴が、このナットのリーダー作でも良く出ている。そういう意味で、このアルバムは、コルネットの特徴を聴くことの出来る好盤とも言える。

ナット・アダレイのコルネットは申し分無い。とにかく上手い。ナット・アダレイってこんなに上手かったんや、と心から感心する。歌心も豊か、強弱硬軟を自在に吹き分け、緩急も自在に吹きまくる。日本のジャズ本では、ナット・アダレイの代表作としては、リバーサイドの『Work Song』の一枚のみ紹介されることが多く、そういう扱いをずっと見ていたので、ナット・アダレイって大したトランペッターでは無い、なんて誤解をしていた時期もあった。

どうしてどうして、ナット・アダレイのトランペットは素晴らしいし、出来の良いアルバムを初リーダー作から、かなりの数を出している。今までの日本のジャズ本やジャズ評論家のナット・アダレイの扱いの低さの意味が判らない。まあ、やはりジャズのアルバムはどんどん実際に聴いてみるものである。

これも、ナット・アダレイの初期の佳作として、聴き応えのあるアルバムです。ジャケットもなかなか、ハードバップの芳しき香りが漂って、実に「ジャズ」な一枚です。

 
 

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2013年3月25日 (月曜日)

ナット・アダレイの初リーダー作

今までの日本のジャズ入門本のアルバム紹介には、かなりの偏りがあったのでは無いかと思っている。優れたジャズメンであっても、なかなか正統に評価されない、良いアルバムをリリースしていても、なかなか紹介されない。そんなジャズメンが沢山いる。

例えば、Nat Adderley(ナット・アダレイ)などはその一人だろう。ジャズ・トランペッターとして、テクニック、歌心、実績共に優秀。それでも、日本のジャズ本で紹介されるアルバムは、1960年1月録音、Riversideレーベルからの『Work Song』のみ。生涯、30枚以上のリーダー作をリリースしているのに、だ。当然、日本での人気はイマイチ。兄貴のキャノンボールの影に隠れた脇役的存在のレッテルを貼られたりで散々である。

しかし、最近、状況は変わりつつある。最近、1000円盤が流行っていて、この1000円盤でリリースされる盤を見渡すと、こんなアルバムをリイシューするのか、とレコード会社のビジネス感覚を疑いたくなるような、マニアックでレアな優秀盤が目白押しである。まず、ジャズ者初心者の方々が手を出すには躊躇するような、日本のジャズ本で紹介されたことの無いアルバムがズラリと並ぶ。

これでは、ジャズ者初心者の方々は困ってしまうでしょうね。なんせ、ジャズ本で紹介されていないんだから。一枚1000円とはいえ、そのアルバムに投資する訳ですから、変な内容の無いアルバムに当たってしまったら、ジャズ自体が嫌いになってしまう危険性もあります。

このSavoyレーベルから『That's Nat』(写真左)もそんな一枚です。今までだったら、このマニアックでレアな優秀盤が日本でリリースされることは無かったでしょうね。1000円盤の流行がもたらした、新しいリイシュー方針の成果です。でも、このアルバムが日本でリリースされた時は、一瞬、ビックリしました。ほんまかいな、と。

この『That's Nat』は、1955年7月26日の録音。2012年11月16日のブログ(左をクリック)でご紹介した『Introducing Nat Adderley』が、1955年9月6日の録音ですから、この『That's Nat』のほうが、ナット・アダレイの初リーダー盤になりますね。2012年11月16日のブログでは、『Introducing Nat Adderley』がナット・アダレイの初リーダー盤、とご紹介していますが、これは間違い。謹んで、ここに訂正させて頂きます。
 
Thats_nat
  
さて、この『That's Nat』、ナット・アダレイのトランペット(またはコルネット)を愛でるに相応しい、初々しい内容の初リーダー作となっています。とにかく、溌剌として思いっきりポジティブにトランペットを吹きまくるナット。音も真っ直ぐで美しく、テクニックは優秀。とにかく、ナット・アダレイはジャズ・トランペッターとして優秀。どのリーダー作を聴いても、ナットのトランペットは優秀です。

ちなみに、このアルバムのパーソネルは、Nat Adderley (cor), Jerome Richardson (ts,fl), Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。1955年の録音ですから、ビ・バップからハード・バップへの移行期、ビ・バップで活躍して、ハード・バップに適応しつつある、当時の中堅ミュージシャンを中心に人選されていて、このパーソネルを確認するだけでも、このアルバムの内容は保障されたようなもの。

リーダーのナット・アダレイのコルネットは絶好調。テナー&フルートのジェローム・リチャードソンも素晴らしいパフォーマンスを繰り広げ、ベースのウェンデル・マーシャルは堅実なウォーキング・ベースを披露する。このナット・アダレイを中心としたクインテットの中で、特に素晴らしい演奏を聴かせくれるのが、ピアノのハンク・ジョーンズとドラムのケニー・クラーク。

とりわけ、ハンク・ジョーンズのピアノは素晴らしい。「雅(みやび)」の漢字がピッタリな、実に典雅で実に小粋な「聴かせる」ピアノを披露してくれる。「雅」で「粋」なハンク・ジョーンズのピアノ。これぞジャズ・ピアノという感じの「聴かせる」ことを前提としたパフォーマンス。決して難しく無い、決して聴き苦しくない、典雅なピアノ。

収録された曲それぞれは、これまたマニアックな選曲で、渋いマニアックなスタンダードが中心。それでも、親しみ易い旋律を持った佳曲ばかりなので、聴いていて心地良い。明確で明朗なナット・アダレイのコルネットとジェローム・リチャードソンのテナー&フルートがフロントで輝かんばかりに響き渡る。

良いアルバムです。ジャズ者初心者の方々には、ちょっとマイナー過ぎるかな、と思いますが、ジャズを深く親しみ始めた、ジャズ者中堅の方々には絶対のお勧め盤です。「実は私、この盤を愛聴していまして」と自慢げにカミングアウトの「し甲斐」のある「知られざる優秀盤」です。
 
アルバム・ジャケットは、サヴォイ・レーベルらしく、かなり地味なんですが、でも、これはこれでジャズらしくて良いかな。
 
 

大震災から2年。でも、決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
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2012年11月16日 (金曜日)

ナット・アダレイのセカンド盤

ハードバップのアルバムって、一定のレベルをクリアした内容のアルバムであれば、その独特の雰囲気にドップリと浸ることが出来る。どのアルバムが良くて、どのアルバムが悪い、っていうことでは無くて、どのアルバムもハードバップ独特のジャジーな雰囲気を味わえるってこと。

これって、ハードバップの演奏というのが、僕達が感じる「ジャズ」に一番近い雰囲気を宿しているってことなんだろう。やっぱり、ジャズと言えば、このハードバップ時代のアルバムが一番フィットする。

このアルバムだって、聴けば「ジャズ」を感じることが出来る。Nat Adderley『Introducing Nat Adderley』(写真左)。アルトの職人、キャノンボール・アダレイの弟。トランペットとコルネットの名手。兄と同じく、ファンクネス溢れるブロウが身上。

1955年9月の録音。う〜ん、ハードバップ時代真っ只中ですね〜。この録音時期だけみても、このアルバム、期待出来ます。そして、パーソネルを紐解くと、Nat Adderley (cornet), Cannonball Adderley (as) Horace Silver (p), Paul Chambers (b), Roy Haynes (ds)。

このクインテット、素晴らしいメンバーですね。アダレイ兄弟をはじめとして、ファンキー・ピアノの元祖ホレス・シルバー、当時ファーストコール・ベーシストだったポール・チェンバース、そして、ハードバップ・ドラムの職人ロイ・ヘインズ。このパーソネルを見れば、ファンクネスがそこはかとなく漂う、正統派ハードバップな演奏が真っ先に浮かびます。
 

Introducing_nat_adderley1

 
そういう感じで、冒頭の「Watermelon」を聴けば、あ〜これは全くもってハードバップな演奏で、なんだか、ついつい口元が緩みます。テクニックもまだまだ、歌心もまだまだ、ただただ溌剌としていて活き活きとしているコルネット。それだけなんですが、それだけが良いんですね。裏表無い一生懸命さがとにかく良い。

そんな初リーダー作のナットと盛り立てるバックが、これまた良い。ハードバップの名手達が、ハードバップな雰囲気をプンプン漂わせながら、フロントのナットとキャノンボールの兄弟フロントを盛り立てる。これが良い。聴いていて、心からハードバップを聴いている気にさせてくれるのは、なにを隠そうこのバックの職人達の存在である。

この『Introducing Nat Adderley』というアルバムは、どちらかといえば地味なアルバムで、ジャズのアルバム紹介には、まずそのタイトルが挙がらないものです。今までのジャズ本のナット・アダレイの代表盤にも、まず挙がらないですよね。でも、このアルバム、実にハードバップしていて、ハードバップな演奏を愛でることが出来るアルバムなんですよね。

ハードバップのアルバムって、一定のレベルをクリアした内容のアルバムであれば、その独特の雰囲気にドップリと浸ることが出来る、ってことを実感出来る、ナット・アダレイの初リーダー盤です。

 
 

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2012年7月22日 (日曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その9

キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)とは、本名ジュリアン・エドウィン・アダレイ。太ったその姿を「Cannonball」に見立てて、それがニックネームとなり、芸名になった。

マイルス・デイビス・グループのメンバーとして一躍有名になり、その官能的かつファンキーなノリ・ノビのある、それでいて、その奥に繊細さ精緻さを兼ね備えるアルト・サックスが特徴。弟のコルネット奏者ナットともに結成したグループで、ファンキー・ジャズの代表者となった。

キャノンボールのアルトは、ノリ・ノビが素晴らしく、健康優良児的な明るくファンキーな演奏が身上。この健康優良児的なアルト奏者が、ほのぼのとした、ホンワカした雰囲気で聴かせるボサノバ・ジャズにチャレンジしたアルバムがある。そのアルバムとは『Cannonball's Bossa Nova』(写真)。

1962年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Sérgio Mendes (p), Durval Ferreira (g), Octavio Bailly, Jr. (b), Dom Um Romão (ds), Pedro Paulo (tp), Paulo Moura (as)。キャノンボール以外は、ブラジルの現地ミュージシャン。知らない名前ばかりなのは当たり前 w。

このアルバムは、かの敏腕プロデューサーのオリン・キープニュースのプロデュース。Capitol Recordsからのリリースになる。ファンキージャズの人気者キャノンボール・アダレイが、その対極的ともいえるボサノバ亜調の曲を演奏するというもの だ。直感として、ミスマッチと言えばミスマッチではある。
 

Cannonballs_bossa_nova

 
まあ、1963年と言えば、米国は空前のボサノバ・ブーム。猫も杓子も「ボサノバ」だった時代の流れからすると、よくある流行に乗った企画モノって感じがするが、易々とそうはさせずに、立派なジャズ・アルバムとして仕立て上げてしまうのが、キャノンボールの優れたところで、ジャズ・ジャイアントの一人である所以である。

バックを勤めるメンバーは、ブラジル人作曲家兼ピアニストのセルジオ・メンデスのバンドがサポート、太陽が眩しいリオのリズムをベースに、ボサノバ・フレーバーを振りまいている。キャノンボールは、そのボサノバ・フレーバーをバックに、類い希な歌心をもって、朗々とボサノバを歌い上げていくところがこのアルバムのハイライトだ。

アントニオ・カルロス・ジョビンの超有名スタンダードである「Corcovado」や「Once I Loved」やジョアン・ドナートの「Minha Saudades」のカヴァーは、ボサノバ・ジャズの第一人者であるスタン・ゲッツよりも、メリハリの聴いた歌心が溢れている分、キャノンボール・アダレイに軍配が上がると僕は思う。

とにかく、ここでのキャノンボール・アダレイのアルトは明るい。輝かんばかりに眩しいアルトの音色で、とかく、ソフトになりがちなボサノバを、メリハリつけて、しっかりと歌い込んでいく様が、実に爽快で、実に健康的で、僕はこのボサノバアルバムが大好きです。

 
 

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