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2017年2月 2日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・47

日中の気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう時は暖かい部屋の中で、コクのある珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター。

アコースティック・ギターの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤を探す。

『Di Meola Plays Piazzolla』(写真左)。1996年のリリース。超絶技巧なエレギで一世を風靡したアル・ディ・メオラ(Al Di Meola)。そんなアル・ディ・メオラがアコギを弾きまくる。

しかも、タンゴの革命児、モダン・タンゴの父と言われる、アルゼンチン出身のBandoneon奏者&作曲家 Astor Piazzolla(アストル・ピアソラ)の名曲を弾きまくるという、凄い内容の企画盤。

ディ・メオラがタンゴを弾く。どんなタンゴになるんだ、と思いながら聴く。と、これが「絵に描いた様なタンゴ」な演奏にはならない。さすがはディ・メオラ。自ら迎合することは絶対に無い。
 

Di_meola_plays_piazzolla1

 
ピアソラ・トリビュートなアルバムながら、正統なタンゴ演奏にはならず、ピアソラの名曲の旋律の美しさを、ディ・メオラ独特のフュージョン・ジャズなフィーリングで弾きまくる。

エレギだと、あまりの超絶技巧な弾きっぷりに、ちょっとお腹いっぱいになってしまいがちなディ・メオラであるが、これがアコギになると、あ〜ら不思議。お腹にもたれることも無く、スッキリすんなり心地良く耳に響くのだ。ディ・メオラの超絶技巧さが良い方向に作用している。

そんなスッキリすんなり心地良く耳に響くアコギの音色に乗って、ピアソラの哀愁感溢れる名曲の旋律が駆け抜けていく。アコギの音色にタンゴの哀愁感が良く似合う。程良く抑制されたアコギの音色がタンゴの哀愁感を増幅させる。

ドラムは無い。ベースも無い。伴奏にピアノが入り、パーカッションがリズムを刻むのみ。バンドネオンの哀愁感溢れる音色が良いアクセント。基本的にディ・メオラのアコギがメイン。超絶技巧なディ・メオラのギターにはそれで十分。心地良い音の密度である。

 
 

震災から5年10ヶ月。決して忘れない。まだ5年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年2月 1日 (水曜日)

R&B系のフュージョンもう一丁

R&B系のフュージョン・ジャズと言えば、やはり僕にとっては、伝説のフュージョン・バンド「Stuff」そして、フュージョン・ジャズの筆頭ドラマー、スティーブ・ガッド率いる「Gadd Gang」、この2つのグループが決定的存在である。

この「Stuff」と「Gadd Gang」共通のギタリストといえば、コーネル・デュプリー(Cornell Dupree)である。デュプリーのエレギは明らかにファンキー、そしてR&Bなリズム感、いわゆる「ファンキー&ソウルフル」なフュージョン・エレギである。

「Stuff」にしたって「Gadd Gang」にしたって、醸し出すR&B系のフュージョン・ジャズな雰囲気は、このデュプリーのエレギが決め手の一つである。デュプリーの「ファンキー&ソウルフル」なフュージョン・エレギがあってこそ、「Stuff」にしたって「Gadd Gang」にしたって、R&B系のフュージョン・ジャズの代表的バンドとして君臨できるのである。

そんなデュプリーの晩年のアルバムがこれ。Cornell Dupree『Doin' Alright』(写真左)。2011年のリリース。「ファンキー&ソウルフル」なR&B系のフュージョン・ジャズの代表的ギタリスト、デュプリーの個性全開。「デュプリーならではの魅力満載なアルバム」である。とにかくご機嫌なR&B基調の演奏がズラリ。
 

Doin_alright_cornell_dupree

 
収録曲はオリジナル楽曲の他、レイ・チャールズ、ジミー・リード、ジミー・マクグリフ、キング・カーティス&キングピンズ、ハンク・クロフォード、ブルック・ベントン…等。R&B系のフュージョン・ジャズ好きにとっては笑いが止まらない。

もうたまらん内容である。やれ歳をとった老齢のプレイだの、フレーズが出てこないだの、ピッキングがいまいちだの、調子最悪だの、内容的に何かと揶揄されているみたいだけれど、いいじゃないか、とにかくデュプリーがデュプリーらしい盤である。それで良いではないか。

テキサス・ファンク&ブルース・グルーヴの極みである。細かいことを言わずに、盤全体の「デュプリーならではの魅力」をバクッと感じ取り楽しむアルバムだと思います。バリバリのデュプリーが聴きたければ、若い頃の好盤に耳を傾ければ良い。僕はデュプリーが楽しそうに「ファンキー&ソウルフル」なフュージョン・エレギを弾き楽しんでいる、この盤の雰囲気が大好きである。

ちなみに本作はコーネルが亡くなる2ヵ月前、テキサス州オースティンで録音された正真正銘のラスト・アルバム。2011年5月8日、肺気腫の為、鬼籍に入る。合掌。

 
 

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2017年1月31日 (火曜日)

R&B系のフュージョンは良い

R&B系のフュージョン・ジャズが大好きである。思いっきりファンキーで思いっきり黒い、リズム&ビートの効いたダンサフルなフュージョン・ジャズ。古き良き時代のブルースやR&Bを基調としたフュージョン・ジャズ。これが大好きで、今でも時々聴き直す。

もともと大学に入った時、当時のロックの先行きに見切りをつけて、ジャズかモータウン系、いわゆるR&Bに走るか、悩んだクチである。思いっきりファンキーでオフビートなR&Bは大好きなのだ。結局、インストがメインのジャズに走ったんだが、当時から今まで、R&Bは大好きだ。

Joe Sample & David T. Walker『Swing Street Cafe』(写真左)。クルセイダースのキーボード奏者ジョー・サンプルとソフト&メロウなフュージョン・ギタリスト、デヴィッド・T・ウォーカーの双頭リーダーのバンドである。この二人が組むと、ソフト&メロウなAOR系のフュージョン・ジャズをやってるのか、と思うのだがこれが全く違う。

この盤、曲目を見渡して「Hallelujah, I Love Her So」や「C.C. Rider」「Honky Tonk」などの曲名が目につく。もしや、これって、コッテコテR&B系のフュージョン・ジャズをやってるのか、なんてちょっと嬉しくなる。そして、盤から出てくる音を聴いて、思わず「うひょ〜」と歓喜の雄叫びを上げるのだ(笑)。
 

Swing_street_cafe1

 
徹頭徹尾、コッテコテのR&B系のフュージョン・ジャズである。リリカルな切れ味の良いピアノが個性のジョー・サンプルが、これだけファンキーでR&Bなピアノを弾きまくるとは思わなかった。そして、ソフト&メロウなギタリストであるデヴィッド・T・ウォーカーも、思いっきりファンキーでR&Bチックなギターを弾きまくる。

徹底してR&Bなフュージョン・ジャズ。ラスト前の「Honky Tonk」で、そのノリと興奮は頂点に達する。ノリノリであり、ソウルフルであり、黒くてダンサフル。ベースにジェイムズ・ジェマーソン、ドラムにアール・パーマーというモータウン・レコーディング仲間。否が応でも「R&B」基調になる。

このアルバム、録音されたのが1978年、マスタリングが1981年、リリースが1982年。R&B系のフュージョン・ジャズである。当時、流行のソフト&メロウなフュージョン・ジャズでは無い。どういうマーケティングを経てのリリースかは判らないが、売れたのかなあ。

こればっかり聴き続けると、ちょっと飽きがきますが、ハードでシリアスはジャズを聴き続けた後、耳直しに聴く「R&B系のフュージョン・ジャズ」は格別です。あっけらかんと難しいことを考えず、ただただR&B系のリズム&ビートに身を委ねる。良い感じです。

 
 

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2017年1月19日 (木曜日)

プログレなフュージョン盤です

CASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)がお気に入りで良く聴く。特に、新参入のキーボードが殊の外お気に入り。向谷の後任である大高清美である。基本はオルガニスト。ジャズ・オルガンというよりは、プログレ・オルガンといって良いほどの手癖が魅力。

そんな大高清美がスーパー女子高生ドラマー・川口千里とユニットを組んでいる。その名は「Kiyo*Sen」(キヨセン)。キャッチフレーズが「<仲良く★激しく★美しく>最強の女子力ユニット」。このユニット、オルガンとドラムなので、あとベースがいれば、オルガン・トリオが成立する。

そんな「Kiyo*Sen」がファースト・アルバムをリリースしたのが2014年。Kiyo*Sen『Chocolate Booster』(写真左)である。2014年のリリース。改めてパーソネルは、大高清美(Organ、Keyboards、Programming), 川口千里(Drums、Percussion), 矢堀孝一(Guitar / M-4(Guitar Solo)、M-5、M-9)。一部にエレギがゲスト参加。

アルバム全体で一貫した「オルガン+エレギの思いっきりプログレ」なフュージョン・ジャズ。まず、大高清美のオルガン、シンセの音の雰囲気が思いっきり「プログレ」なのだ。具体的に言えば「キース・エマーソン」。あの体育会系プログレバンドEL&Pのレジェンドなキーボード奏者である「キース・エマーソン」の音色、手癖がところどころに出てくる。プログレ者からするとこれが堪らない。
 

Chocolate_booster  

 
加えて、大高のキーボードの疾走感は半端無い。バカテクをひけらかされて「うぇ〜」という感じでは無い、なんかちょっと余裕をかました感じで、シュッと引き切ってしまう様な「清々しさ漂う疾走感」。アドリブ・フレーズもキャッチャーで、疾走感と相まって、サラッとしていて聴いていて気持ちが良い。

そんな大高の疾走感溢れるキーボードを更に煽り、更に鼓舞しつつ、自らも飛ぶように叩きまくる川口千里のドラミングも見事。重量感がありつつ、適度にスインギー。この娘のドラムは「ロックなドラム」では無い。この娘のドラムは「フュージョンなドラム」だ。疾走感に加えてスインギーな雰囲気漂い、オフビートなドラミングが大高のキーボードにしっかりとフィットする。

ゲストの矢堀孝一のエレギの雰囲気も実に良い。これがまあ、これまた「プログレ」なエレギの響きなのだから堪らない。プログレっぽくて、フュージョンぽいエレギのフレーズが面白い。このエレギの参入をアルバム全体の中で良い「アクセント」になっている。

ベースが入っていたほうが良い、という見方もあるが、実は僕もそう思う。但し、重量感を増す方向でのベースの参入は疑問。演奏のベースラインをしっかり押さえた「爽やかなベース」が良いだろう。

良い雰囲気のオルガン・フュージョン。オルガン・フュージョン自体が珍しいので、この盤、異色のフュージョン盤として、お勧めのアルバムです。ふふっ、「プログレ」オルガン・フュージョンですかね(笑)。

 
 

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2017年1月17日 (火曜日)

良い感じのスムース・ジャズです

スムース・ジャズだってジャズである。フュージョン・ジャズもそうだったが、演奏の基本は「ジャズ」。スムース・ジャズと聴くと、スムース・ジャズは「ジャズじゃない」と切り捨てるジャズ者の方々もいるが、それはそれで感じ方、考え方の違いなので、いざ仕方ない。

ところで、バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターこと私にとっては、スムース・ジャズは守備範囲。専門的に聴き込むことは無いが、スムース・ジャズを聴かなかったり否定したりはしたことが無いです。音楽として捉えると「良いものは良い、悪いものは悪い」。良い感じのスムース・ジャズについてはウエルカム。

さて、そんな良い感じのスムース・ジャズの一枚が、Chuck Loeb『Listen』(写真左)。1999年の作品。チャック・ローブはギタリスト。主にスムース・ジャズ、フュージョン・ジャズがメイン。平穏でムーティーな音色とフレーズが特徴。大上段に振りかぶって、仰々しいアドリブ・フレーズを展開する、なんてことは決して無い。暖かく丸くて流麗なアドリブ・フレーズ。
 

Listen_chuck_loeb

 
この『Listen』では、全ての楽曲のおいて、スムース・ジャズが貫かれている。ローブのアルバムは、全編スムース・ジャズというアルバムは少なくて、アレンジ的に捻りをいれて、バラエティーに富んだ内容を追求する向きが強いのであるが、このアルバムは違う。大向こうを張った大袈裟なチャレンジも皆無。

徹頭徹尾、スムース・ジャズしながら、アレンジは控えめに、ストレード・アヘッドなスムース・ジャズを展開する。そして、ローブはただただエレギを弾きまくる。このただただ弾きまくるところがこのアルバムの特徴で、チャック・ローブのエレギを愛でるのに最適な「弾きまくり」を聴くことの出来る好盤なのである。

これぞスムース・ジャズのど真ん中を行く好盤でしょう。リズム&ビートもシンプルで好ましいもの。これだけ、メインのエレギが太く爽やかに響くスムース・ジャズ盤も珍しい。加えて、この盤のローブのエレギは絶好調で、チャック・ローブのエレギの個性を理解するのに最適な盤とも言えると思います。

 
 

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2017年1月13日 (金曜日)

PMGの原点回帰的なアルバム

これだけ寒くなると、どんなに激しいジャズを聴いても汗をかかない。これだけ寒くなると、透明度の高いフュージョン・ジャズが耳に映える。基本的に冬はジャズ鑑賞に適したシーズンであると言えるのでは無いか。

ということで、Pat Metheny Group(以降PMGと略)の聴き直しを進めている。切れ味良く、透明度の高いフュージョン・ジャズ。PMGの真骨頂である。そんなPMGの音が僕は大好きである。で、一昨年から聴き直しを進めていて、結構、こちらの時代に近づいてきた。

Pat Metheny Group『Speaking of Now』(写真左)。2002年のリリース。ベーシスト兼ヴォーカリストにリチャード・ボナを起用している。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g), Lyle Mays (key), Steve Rodby (b), Antonio Sanchez (ds), Cuong Vu (tp), tRichard Bona (ac-g,b,vo,per)。魅力的なメンバー構成です。出てくる音に期待感が高まりますね。

で、出て来る音を聴けば、往年のPMG者からすると、涙涙のPMGの原点回帰である。米国の大自然を彷彿とさせる、フォーキーでネイチャー・ジャズ(僕が勝手に名付けている)な音の響き。独特の浮遊感と疾走感。あの「Still Life」の頃の音が、PMGならではの個性的な音世界が、この『Speaking of Now』に戻って来ている。
 

Speaking_of_now1

 
音世界の基本は「Still Life」の頃なんだが、音の広がりが違う。この『Speaking of Now』のほうが音の広がりがある。ぶわ〜と横に奥に広がる様な、山水画の様な音の広がり。そこに、パットのエレギがズバっと切り込んでくる。クオン・ブーのトランペットがそれに反応する。官能的で印象的なメイズのキーボードが彩りを添え、ボナのボーカルが郷愁を誘う。

リズム・セクションが実に個性的だ。PMGの音世界の基本的骨格を担う、サンチェスのドラムとロドヒーのベース。この二人の複雑でありながらシンプルなリズム&ビートが、まさに明らかにPMGのリズム&ビートなのだ。この複雑でありながらシンプルなリズム&ビートは他のフュージョン・バンドには無い。

全ての曲の曲調に統一感があって、トータル・アルバムとして聴き応え十分。そういえばこの盤、グラミーのBest Contemporary Jazz Albumを受賞してますよね。ジャズの重要要素である「ジャジーな雰囲気」「ファンキーな雰囲気」が希薄で、米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界。僕はこの「PMGの原点回帰」的なアルバムが大好きです。

 
 

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2017年1月10日 (火曜日)

ワールド・フュージョンな音世界

パット・メセニーの聴き直しを進めている。パット・メセニーがお気に入りだ、と言うと、「え〜っ、マスター、パットがええの?」と聞き返されることが時々ある。どうも、パット・メセニーは、ジャズ者の方々の中では、かなり極端に好き嫌いが分かれるようだ。

確かに、ジャズの重要要素である「ジャジーな雰囲気」「ファンキーな雰囲気」が希薄で、特にパット・メセニー・グループ(以降PMGと略す)米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界が特徴。これが、硬派なジャズ者の方々には「これはいかん」ところで、パットは好きじゃない、ということになる。

そんなパット・メセニーは、PMGでのパットと単独のパットと、これまた演奏する内容が全く異なったりするから、これがまた嫌われる要素になる。硬派なジャズ者の方々から「二股かけんなよ」ということで、パットは好きじゃない、ということになる(笑)。

さて、PMGの音世界の最大の特徴が「米国の大自然を彷彿とさせる様な、ネイチャーな音世界」であるが、その雰囲気が一番、極端に触れたアルバムが、このアルバムである。Pat Metheny Group『Imaginary Day』(写真左)。1997年10月のリリース。

このアルバムは、明らかにワールド・ミュージックに大々的に取り入れた「ワールド・フュージョン」と呼んで良いほどの内容である。世界の様々な地域の音世界が取り込まれていて、聴いていてとても楽しい。
 

Imaginary_day

 
というのも、僕はワールド・ミュージックが大好きで、ワールド・ミュージック好きの僕にとって、このアルバムは「とても美味しい」。オリエンタルな響きあり、ケルト音楽を彷彿とさせる響きあり、牧歌的な響きあり、様々な国の音楽の香りがとても芳しい。

そして、何より、このアルバムが優れている点は、この様々な国の音楽、いわゆるワールド・ミュージックな要素をしっかりとPMGの音世界として取り込み昇華させているところである。聴き応え満点である。

このPMGの音世界をジャズとするかどうか、という議論もあるみたいだが、バックのリズム&ビートはジャズっぽくもあり、もともとジャズは融合の音楽である、と言う観点からしても、ワールド・ミュージックに大々的に取り入れた「ワールド・フュージョン」的なアプローチは「ジャズらしい」と僕は感じていて、これはこれで「アリ」かな、と。

1950年代の4ビートのハードバップを「純ジャズ」とするなら、このPMGのアルバムはその対極に位置する内容ですね。これもジャズ、されどジャズ。肩肘張らずに、極上の「ワールド・フュージョン」を愛でるのもよいものです。

 
 

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2016年12月19日 (月曜日)

ハマーのキーボードはセンス抜群

このキーボード奏者の奏でるフレーズは独特で相当に個性的。1曲聴くだけで「それ」と判るほどの強烈な個性で、エスニックな雰囲気、ワールドミュージック的に妙に捻れた音感が独特。そのキーボード奏者の名前は「ヤン・ハマー(Jan Hammer)」。

このキーボード奏者を、僕は高校時代から、EL&Pのキース・エマーソン、YESのリック・ウェイクマンと同列に置いている。シンセサイザーの使い方も実に高度で、他のキーボードにも精通している。その精通度合いとセンスの良さはこのアルバムを聴けば納得する。

Jan Hammer『The First Seven Days』(写真左)。1975年のリリース。時々、ドラムやシーケンサーのリズムが入るが、基本的にはキーボード・オンリーの演奏がメイン。アコピからシンセサイザー、エレピ、そしてメロトロンまで、ありとあらゆるキーボードを駆使して、多重録音にて目眩くキーボード・ミュージックの世界を現出している。

まず、シンセの使い方のセンスが抜群。ムーグとオーバーハイムを併用している様だが、とにかくセンスが良い。ロックの世界においてはダントツ、ジャズの世界でも指折りのレベルである。加えて、アレンジが素晴らしい。シーケンサーを駆使して「テクノ・ポップ」の先駆的な音が出てきたり、ジョー・ザビヌルのWR的な音が出てきたり、内容的には当時の最先端をいく演奏。
 

The_first_seven_days_drive

 
アルバム全体の演奏は「クロスオーバー・ジャズ」基調のもの。ロックでは無い。ロックとしては内容が高度過ぎる。このアルバムはキーボード好きのジャズ者の方々は傾聴に値する内容。逆にこのアルバムがアルバム紹介本に挙がらないのが、大いに不満である。

そして、そんなセンスの良いキーボードの使い手が、メロディアスなスムース・ジャズに手を染めたアルバムが、これ。Jan Hammer『Drive』(写真右)。1994年のリリース。シンセでいろいろな音を万華鏡の様に紡ぎ出す様は、昔ながらのヤン・ハマーですが、アルバムのコンセプトは「スムース・ジャズ」。

このアルバムは、ヤン・ハマーのセンスの良いキーボード・プレイをバックに回した、とっても趣味の良いスムース・ジャズの音世界。安易にテクニックに走らず、曲の持つ旋律をセンスの良いキーボード・プレイで、しっかりとバッキングしながら、広がる様な音世界を通して、雰囲気で聴かせるという、なかなか粋なアプローチが新鮮です。

我が国では、このヤン・ハマーは過小評価されている様で、ネットをググってもヤン・ハマーの記事があまり無いのが残念です。マルチ・キーボード奏者として、ピカイチのセンスの持ち主だと思います。再評価して頂きたいキーボード奏者の一人ですね。

 
 

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2016年12月12日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・72

Char(チャー)。本名は、竹中 尚人(たけなか ひさと)。1976年、アルバム『Char』でデビュー。 1977年6月にリリースされた『気絶するほど悩ましい』は歌謡ロック路線のヒット作となり、アイドル系ギタリストとして人気を博す。僕は、この『気絶するほど悩ましい』でCharを知り、デビュー盤『Char』に行き着いた。

僕はこの人のギターが好きである。70年代のデビュー当時から好きである。テクニック高く、シャープで切れ味の良い、それでいて骨太で硬派なこの人のギターは、世界のロックに対抗できるレベルのギターである。とにかく聴いていて気持ちが良い。

そんなCharが、初の全曲インストルメンタルアルバムをリリースしている。Char『Sacred Hill 〜聖なる丘〜』(写真左)。2002年9月のリリース。音を聴いていると、少し湿っていてくすんでいる。これってブリティッシュな音やん、と思ってネットの情報を見ていたら、やっぱり英国録音。なかなか良い音で録れている。
 

Sacred_hill

 
全曲ギター・インストのアルバム。テイストは「フュージョン」。それもロック寄りのフュージョン。これだけ、バリバリにギターだけを弾きまくる盤、聴いていて、ジェフ・ベックの『Blow By Blow』 そして『Wired』を思い出す。しかも、このCharのギターはその「ジェフ・ベック」の神的ギターと比べて全く遜色が無い。

聴いていて嬉しくなる。日本人ギタリストの手によって、あの「ジェフ・ベック」と全く遜色の無い、目眩く神的なギター・インストが堪能出来るのだ。壮大な展開が心地良い「Sacred Hills」、今様の新しい響きが格好良い「Heavy Head Wind」、スティーヴィー・ワンダーのロマンティックなカバーがこれまた格好良い「You And I」。格好良いギター・インスト満載である。

明らかに自由度の高いアドリブ・ソロが眩しい。譜面に起こして作曲しつつ、理詰めでフレーズをイメージするという手法ではなく、インスピレーション勝負な直感フレーズが素晴らしい。官能的でスピリチュアルなところは、先の「ジェフ・ベック」を超えている。この盤、日本発のフュージョン盤として愛でることが出来る。好盤である。

 
 

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2016年12月11日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・71

B.B.KIng。1925年生まれ、惜しくも昨年2015年5月の逝去している。米国の有名なブルース・ギタリストの一人。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において第6位。幼少時に教会でゴスペルを歌っていた経験があることから、ゴスペルシンガーのような強力な歌声が魅力のボーカリストでもある。

が、僕は昔々、40年ほど前、高校時代からFMで、このB.B.KIngの演奏やボーカルをしばしば耳にしたのだが、当時はその良さがサッパリ判らなかった。ロックギタリストの音に比べれば地味、テクニックも目を見張る程の驚愕ものでは無く、ボーカルはオーソドックス。どこが良いのか、サッパリ判らず、アルバムに手を伸ばすことも無かった。

しかし、このアルバムを聴いて、その印象派ガラッと変わった。B.B.KIng『Midnight Believer』(写真左)である。1978年のリリース。聴けば直ぐに判るのだが、このアルバムは、B.B.KIngの「フュージョン盤」だと理解している。パーソネルを見渡して、ちょっとビックリするんだが、この盤は、B.B.KIngとクルセイダーズとの共作です。
 

Midnight_believer

 
へ〜っ、当時、B.B.KIngサイドは思い切ったチョイスをしたもんだ。ということで、内容的には、B.B.KIngの十八番であるブルースを超えて、完全にフュージョン仕立てのブルースになっています。特に、ジョー・サンプルは大活躍してます。B.B.KIngとの共演ということで気合いが入っていたのでしょうね。

しかし、あくまでベースはB.B.KIngのブルースで、そこにクルセイダーズがしっかりとサポートに回っているという感じの音作りで、僕はこの盤で、やっとB.B.KIngのブルースに親近感を覚えました。というか、この盤を切っ掛けにB.B.KIngのアルバムに耳を傾ける様になった、記念すべき盤です。

まあ、今の耳で聴き直してみて、完全にブルースというジャンルの音世界を完全に超越していて、明らかにフュージョン仕立てのブルースになっています。が、これはこれで、アーバンで小洒落た今様のブルースが聴けて、なかなか「乙なもの」があります。B.B.KIngとしては、異色のアルバムですが、僕にとっては、この盤は「あり」ですね。

 
 

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