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2017年11月 7日 (火曜日)

ザ・プレイヤーズの4thアルバム

「ザ・プレイヤーズ」という伝説のフュージョン・バンドがあった。このバンドは純日本のメンバー構成。ピアニスト兼作編曲家の鈴木宏昌のバンド「コルゲン・バンド」を前身とし、和製ウェザー・リポートの異名をと持つ。まあ、この異名はさておき、オリジナルのパーソネルは、鈴木宏昌 (key), 松木恒秀 (g), 岡沢章 (b), 渡嘉敷祐一 (ds), 穴井忠臣 (per), 山口真文 (ss, ts)。

そのザ・プレイヤーズの4thアルバムが、The Players『Space Travel』(写真)。1982年のリリース。サックスが、山口真文より、ボブ斎藤にメンバーチェンジ。数原 普(tp)と西山健治(tb)がホーンセクションとして参加し、音の厚みが増している。テクニック優秀、音は厚いが流麗。リズム・セクションは、メインストリーム・ジャズ寄りの切れ味の良いフュージョン風。

ウェイン・ショーターからの影響が顕著な山口真文のサックスが、フュージョン〜スムース・ジャズ系のボブ斎藤のサックスに変わっただけで、ザ・プレイヤーズの音世界はガラッと変わる。
 

Space_travel

 
ザビヌル主導のウェザー・リポートからコマーシャルな要素を差し引いた、硬派で実直でジャジーなウェザー・リポートな音、これがこの「ザ・プレイヤーズ」の音世界だったが、この『Space Travel』では、アーバンなフュージョン・ジャズな、硬派なスムース・ジャズな雰囲気の音世界にガラッと変わっている。

その確かな演奏力、演奏の構築力、そして、アドリブ・フレーズの爽快感。とにかく、硬派で実直真面目な、ファンクネス皆無な日本人のフュージョン・ジャズの特徴は変わらない。これだけ、ハイ・レベルのフュージョン・ジャズが日本人の手によって創作されたことに誇りを感じる。本場米国のフュージョン・ジャズのレベルに全くひけを取らない。

そんな好盤なのですが、2016年まで全くCD化されませんでした。理由がよく判らない。現在ではタワーレコードまたはソニー・ミュージック・ショップ限定で細々と販売されているみたいです。しかも価格は3,000円弱。高い。どうにもこうにも、いつ無くなるか、いつ廃盤になるか判りませんね。これだけの好盤が勿体ないことです。

 
 

東日本大震災から6年7ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年10月26日 (木曜日)

80年代の「ブラジルの渡辺貞夫」

ナベサダさん(渡辺貞夫)には、ビ・バップの顔、フュージョン&スムースの顔、そして、ブラジルの顔がある。日本人ジャズメンとして、いち早く、ボサノバ&サンバの「ブラジル音楽」に着目し、早くも、1966年12月には『JAZZ & BOSSA』を吹き込んで、日本中にボサノバブームを巻き起こした。

そんなナベサダさんが、1980年代に残した「ブラジルの顔」の面での好盤がある。Sadao Watanabe『ELIS』(写真左)。988年の作品。1960年代後半、音楽に文化に魅せられ続けたブラジルで実現した20年振りの念願のレコーディング。歌姫、エリス・レジーナに捧げたアルバム。米のラジオ&レコード誌ジャズ・チャート4週連続1位を獲得した好盤である。

ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), セザール・カマルゴ・マリアーノ (key), エイトール・テイシェイラ・ペレイラ (g), ニコン・アスンサゥン (b), パウリーニョ・プラーガ (ds), パペーチ (perc), そして、ゲスト参加のトッキーニョ (g, vo)。う〜ん、トッキーニョ以外、知らない名前ばかりだ。しかし、この盤を聴けば判るが、凄く上手い。ブラジルのミュージシャンのレベルの高さに驚く。
 

Watanabe_sadao_elis

 
ブラジルの歌姫「エリス・レジーナ」の追悼盤。この『ELIS』の魅力は、ほのぼのとした情の深い音。優しく愛情たっぷりな柔和な音。聴いていてなんだか、心から「ほっこり」としてしまう、そんな素晴らしい感覚が満載のフュージョン・ジャズ盤。バックのリズム・セクションが素晴らしく優秀なので、ナベサダさんは安心しきって、芯のある力感溢れる、とびきり優しいフレーズを吹き上げる。

しかし、ブラジルって凄いなあ。改めて「音楽王国」であることを再認識。なに、このハイレベルのバッキング。さすが、ボサノバ&サンバの原点。セザールのアレンジも実に良好。なるほど、米のラジオ&レコード誌ジャズ・チャート4週連続1位も納得の内容である。収録された全ての演奏の内容が良い。甲乙付けがたい演奏が満載。

このナベサダさんの「ブラジルの顔」、とても素敵である。ボサノバ&サンバな曲については、とってもダンサフル。芯のある力感溢れる、とびきり優しいフレーズと相まって、実にメリハリのある、飽きの来ない、充実の内容になっている。そして、1980年代のナベサダさんのアルバムは、どれも「デジタル臭く無い」。アナログっぽくて柔軟な音はもっと評価されても良い。好盤です。

 
 

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2017年10月25日 (水曜日)

硬派で熱いワシントン・ジュニア

Grover Washington Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア)と言えば、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの代表ジャズメンの一人。1980年の『Winelight』がその代表盤。シングルカットされた「Just the Two of Us(クリスタルの恋人たち)」は大ヒットした。

しかし、ワシントン・ジュニアは、デビュー当時からずっと「ソフト&メロウ」なアルト・サックスを吹いていた訳では無い。ワシントン・ジュニアは意外と多作の人で、このソフト&メロウの代名詞的アルバム『Winelight』までに、先行して10作のリーダー盤がある。この頃のワシントン・ジュニアって、結構、ソウルフルでエモーショナルなアルトを吹いていたのだ。

それがよく判るライブ盤が、Grover Washington jr.『Live At the Bijou』(写真)。1977年5月、ペンシルベニア州フィラデルフィアの「Bijou Cafe」でのライブ録音。パーソネルを見渡しても、当時のフュージョン・ジャズにおける有名なジャズメンの名は見当たらない。つまり、ワシントン・ジュニアは、クロスオーバーからフュージョンへの主要ラインから、少し「外れていた」と思える。
 

Live_at_the_bijou_cafe

 
このライブ盤『Live At the Bijou』を聴けば、それが良く判る。出てくる音は、クロスオーバーでも無ければフュージョンでも無い。演奏は電気楽器が交じったクロスオーバー風だが、ワシントン・ジュニアのサックスは、バラードチックな曲では限りなくソウルフルに、アップテンポの曲では限りなくフリーでエモーショナルに吹き上げる。意外に硬派なメインストリームなジャズの響き。

このライブ盤には、ソフト&メロウなワシントン・ジュニアはいない。ソウルフルでエモーショナルなワシントン・ジュニアがいる。実に硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズが展開されている。このライブ盤でのワシントン・ジュニアのサックスは芯の入った重心の低い、男気溢れるテナーを吹き上げる。なんと、バリサクやテナーまでも吹いている。力感溢れるワシントン・ジュニアのサックスは熱い。

このライブ盤のプロデューサーはクリード・テイラー。ワシントン・ジュニアの本質である「硬派でハードなエレクトリック・ソウル・ジャズ」な個性をこのライブ盤で見事に浮き上がらせている。『Winelight』の印象しか無いフュージョン者の方々には、この『Live At the Bijou』のテナー奏者が「グローヴァー・ワシントン・ジュニア」であることを見抜けないだろう。しかし、この盤は明らかに、ワシントン・ジュニアの好盤の一枚である。

 
 

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2017年10月19日 (木曜日)

クライスバーグを聴かねば

1980年代後半、マンネリがたたって、飽きられ廃れたフュージョン・ジャズ。ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは、その音世界の洗練度合いを向上させて「スムース・ジャズ」というサブ・ジャンルを形成するに至り、これが一定の人気を維持している。

しかし、21世紀になった今でも、1970年代後半から1980年代前半が全盛期の「フュージョン・ジャズ」の雰囲気をしっかりとキープした好盤が一定量リリースされ続けている。「時代の徒花」なんて揶揄する評論家の方々もいらっしゃるが、やはり、フュージョン・ジャズの音作りと演奏全体の雰囲気に魅力があるということだろう。

Jonathan Kreisberg『The South of Everywhere』。2007年のリリース。「ジョナサン・クライスバーグ」。長い名前だ。1972年生まれだから、今年で45歳。中堅である。元プログレバンドのテクニシャン・ギタリストが、ギターをホーンのように使用した奏法を多用した演奏が印象的。聴いていて、フュージョンやなあ、と心から思えるアルバムである。
 

The_south_of_everywhere

 
「ジョナサン・クライスバーグ」は我が国での知名度は低い。不思議である。これだけ手を抜かない、ハイテクニックで流麗なエレギ。アダム・ロジャース、カート・ローゼンウィンケルと並ぶコンテンポラリー系ギタリストを代表する一人。しかし、この盤などを聴いて貰えれば、この気持ち、判って貰えると思います。

クライスバーグ自身のオリジナル6曲にスタンダード2曲の構成。時に流麗に、時には攻撃的に展開するクライスバーグのギターは聴き所満載です。もともとロック畑のギタリストである。今のフュージョン・ギタリストのフレーズの中に、おやっと思うくらいに明確なロックなフレーズがとっても素敵である。エレギの取り回し、アドリブ・フレーズはしっかりとフュージョン・ジャズの雰囲気をキープしている。

現代のコンテンポラリーなジャズの中で、注目すべきギタリストの一人だと思います。クライスバーグの持つ、ギタリストとしてのテクニックと感性は素晴らしい。クライスバーグをもっと聴き込まねば、とこの盤『The South of Everywhere』を聴いて自省した次第です。

 
 

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2017年10月17日 (火曜日)

一聴瞭然なフュージョンの音

1970年代後半から1980年代前半がフュージョン・ジャズのブームだったんだが、この頃のアルバムを聴くと、フュージョン・ジャズにはフュージョン・ジャズなりの「音の雰囲気」がある。口で言葉で表現するのはちょっと難しいのだが、アルバムの音を聴いていただければ「一目瞭然」ならぬ「一聴瞭然」である。

John Tropea『Short Trip to Space』。1977年の作品。ジャズ者駆け出しの頃、学生時代、ヘビロテだったトロペイの好盤。ソロ第2弾。当時、邦題は訳の判らん『宇宙楽園』。ギター・フュージョンのお手本みたいな盤である。アレンジは、クロスオーバー・ジャズの寵児デオダート。ホーン&ストリングスを贅沢に使った、明らかにフュージョン・アレンジの先鞭をつけたような、ソフト&メロウな雰囲気。

トロペイは、フル・アコースティック・ギターを抱えたフュージョン・ギタリストの一人。他に、スタッフのエリック・ゲイル、ウェスト・コーストの名手デヴィッド・T・ウォーカーがいる。これが独特の音で、ウォームなソフト&メロウな音にウットリする。この音が「フュージョン・ジャズ」の音世界の特徴である。
 

Short_trip_to_space

 
加えて、ダンサフルな「ディスコ・ミュージック」を意識したメリハリのある音作りも「フュージョン・ジャズ」の音世界の特徴。あからさまにやると、ちょっと耳につくが、上品にやると、実にリズミカルでダンサフルな、小粋で程良いビートの効いた音になる。しかも、R&Bからの影響というよりは、ソウル・ミュージックからのフレーズの引用というところが工夫である。自然と「ソフト&メロウ」となる。

しかも、この盤は音が分厚い。親友デヴィッド・スピノザとのツイン・ギター、スティーヴ・ガッド、リック・マロッタのツイン・ドラム、ドン・グロルニックのキーボード、ウィル・リーのベース。加えて、ブレッカー・ブラザースを含む豪華なホーン・セクション。名うての名手達が一堂に会して、様々なバリエーションのフュージョン・ジャズを繰り広げている。 

この盤の優秀なところは、大向こうを張った派手なアレンジとか、目の覚めるような超絶技巧なテクニックを前面に押し出すのではなく、余裕のある、聴き応えのある、悠然とした演奏をメインに据えているところ。「せせこましく」無く、大味な音でも無い。メリハリの効いた明らかに優秀な「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズの音。フュージョン者におかれては、一聴をお勧めしたい。

 
 

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2017年10月16日 (月曜日)

チャック・ローブを偲んで ・・・

我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、フュージョン・ジャズも分け隔て無く聴く。特に、僕がジャズを聴き始めた頃は1970年代後半で、ジャズ界は「猫も杓子もフュージョン・ジャズ」の大ブームであった。アコースティック楽器メインの純ジャズなんて「古い」と言われて、片隅に追いやられていた。

それだけ、当時のフュージョン・ジャズは多くのファンを持っていた。1980年代に入って、さすがにマンネリ化して、飽きられ廃れたが、マンネリ化して飽きられただけである。フュージョン・ジャズの黄金期、1970年代後半から1980年代初頭にかけての、フュージョン・ジャズには好盤が多い。フュージョン・ジャズ自体のコンセプトに問題があった訳では無い。

それでも1980年代後半、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズは、その音世界の洗練度合いを向上させて「スムース・ジャズ」というサブ・ジャンルを形成するに至り、これが一定の人気を維持している。しかし、21世紀になった今でも、フュージョン・ジャズの雰囲気をしっかりと維持した好盤がリリースされたりして、フュージョン者の耳を楽しませてくれる。
 

Unspoken

 
Chuck Loeb『Unspoken』。2016年のリリース。このアルバムは、聴けば判るのだが、しっかりと、1970年代後半のフュージョン・ジャズの雰囲気をキープしている。今でも、フュージョン・ジャズは生きている。このギター・フュージョン盤がそれを証明している。スムース・ジャズとは一線を引く、フュージョン・ジャズの雰囲気。

フュージョン独特の軽快・爽快なリズムに乗って、チャックの華麗なエレギのフレーズが煌めく様に乱舞する。チャックのギターは、目立つように、大ぶりな高速フレーズを弾きまくるのでは無い、音を選んで、シンプルなフレーズをメインに、短く印象的なアドリブ・フレーズを積み上げていく。そんな「粋」なフュージョン・ギターである。そして、アレンジが秀逸。

ボーカルをフィーチャーした、ソフト&メロウな曲もあり、アルバムとしてのバランスも良い。実は、今年7月31日、チャック・ローブは他界しました。享年61歳。ジャズメンとしては、まだまだ、これから成熟、老練の域に入る年頃だったのに実に残念です。このチャックのギターの個性が堪能出来る盤『Unspoken』が遺作になりました。合掌。

 
 

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2017年10月12日 (木曜日)

不思議ちゃんな企画盤である

Electric Bird(エレクトリック・バード)。純日本のジャズ・レーベルである。1980年代、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求したレーベル。日本のジャズ・レーベルなので、企画に問題があることが多い。このElectric Birdにも「これはなあ〜」と溜息が出るような「不思議ちゃんな企画盤」がある。

Dizzy Gillespie『Closer To The Source』(写真左)。1985年の作品。当時「あのディジー・ガレスピーがフュージョン・ジャズをやった」と話題になったアルバムである。バックに、Sonny Fortune (as), Branford Marsalis (ts), Kenny Kirkland (key), Hiram Bullock (g), Marcus Miller (el-b), Buddy Williams (ds) らの名前がある。加えて、Stevie Wonder (syn,harmonica) が参加。う〜ん、さすがバブル時代の企画盤である。

しかし、である。ディジーのトランペットであるが、バックがフュージョン系メインストリーム・ジャズであるが故、ちょっと聴くと「チャック・マンジョーネ」を想起してしまう。ちょっとディジーに失礼やね(笑)。よくよく聴くと、音にしっかりと芯が入っていて、音が限りなくブリリアント、トランペットが凄くよく鳴っている感じが「これは只者ではないぞ」と襟元を正したりするのだ。
 

Closer_to_the_source

 
さすがはディジー、バックの音がフュージョン系メインストリーム・ジャズであろうがなかろうが、我関せず、ディジーならではのトランペットを朗々と鳴らしまくる。そういう意味では、この盤、ディジーのトラペットのお陰で「平凡なフュージョン・ジャズ盤」とならずに、グッと内容が締まったフュージョン系メインストリーム・ジャズの好盤に仕上がっている。ディジーのトランペットさまさまである。

よくよく聴くと、バックの音は、フュージョン系メインストリーム・ジャズとは言うが、どちらかと言えば「フュージョン・ジャズ」寄り。ファンキーな雰囲気も色濃く見え隠れして、よくまあ、ディジーが収録をOKしたもんだ、と感心することしきり。この盤、もっと純ジャズ寄りにアレンジしたら、もっと素晴らしいフュージョン系メインストリーム・ジャズの好盤に仕上がっていたのでは、と思います。

しかし、当時として、ジャズ・トランペットのレジェンド、ビ・バップ創始者の一人、ディジー・ガレスピーににフュージョン・ジャズをやらせるなんて、凄く乱暴な発想であり企画ではある。ディジーのレベルのトランペットになれば、何もバックの音をフュージョン仕立てにする必要も無いでしょうにね。「これはなあ〜」と溜息が出るような「不思議ちゃんな企画盤」である。

 
 

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2017年10月10日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・27

さあ、今日から、我がバーチャル音楽喫茶『松和』復活です。音楽の再生環境に重大な問題が起きて、そのリカバリー対応に忙殺され、ブログが全く更新出来ませんでした。のべ3日間、再現テスト、リカバリー処理と電話で付きっきり対応。始めはこちらのハードかソフトの問題とされましたが、状況証拠を総合して、やっと先方のサーバー側の問題が濃厚となり、米国にエスカレーションされました。あとは朗報待ちです。

さて、ジャズのアルバムの聴き込みはCD中心にならざるを得ず、日頃なかなか聴き込めなかったアルバムを選択。ちょうど、1980年代前半、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求した「Electric Bird」レーベルのアルバムを大量に買い込んでいたので、これを順番に一気聴き中。

Jim Hall And David Matthews Orchestra『Concierto De Aranjuez』(写真)。1981年の作品。邦題は『新アランフエス協奏曲』。リーダーのギタリスト、ジム・ホールがCTIレーベルから、1975年にリリースした『CONCIERTO』(邦題・アランフェス協奏曲)の再現盤。再現盤のアレンジ担当は、当時、日本のフュージョン・レーベル御用達の「デヴィッド・マシューズ」。
 

Concierto_de_aranjuez

 
演奏の雰囲気は、フュージョン・ジャズっぽいだが、演奏の基本は「メインストリーム・ジャズ」。ソフト&メロウなフュージョンに走らず、ちょっと純ジャズっぽい雰囲気を宿した、フュージョン系メインストリーム・ジャズな音作り。フュージョン・ジャズの成果を上手く取り入れつつ、ライトな純ジャズっぽい雰囲気も漂わせて、なかなかお洒落な内容がグッド。アレンジが優秀で、ながら聴きに最適な「聴き心地」の良さ。

曲目を見ると「Red Dragon Fly(赤とんぼ)」や「El Condor Pasa(コンドルは飛んでいく)」が入っていて、アルバムのリリース当時は、この辺の曲が気恥ずかしくて、この盤を実は敬遠していた時期がある。今の耳で聴くと、アレンジがそこそこ優秀なので、ながら聴きにはあまり気にならない。といって、繰り返し聴くと、やっぱりちょっと「気恥ずかしい」感じがするのだが(笑)。

タイトルの「アランフェス協奏曲」の再現もなかなかの出来。ジム・ホールのプログレッシブな純ジャズ・ギターが実に良い雰囲気を醸し出している。真剣に聴き込むタイプのアルバムでは無いが、朝の早い時期とか夕暮れ時に、ジャズ喫茶でながら聴き風に流しておくのに良い感じのアルバムである。ながら聴きに最適ということで、これはこれでありかな、と思います。

 
 

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2017年10月 3日 (火曜日)

デビティは「ソフト&メロウ」

フュージョン・ジャズの前身が「クロスオーバー・ジャズ」。クロスオーバー・ジャズの前身が「イージーリスニング・ジャズ」。1960年代後半辺りから、着実に進歩し、着実に発展、そして、1970年代後半から1980年代前半にかけて一世を風靡した「フュージョン・ジャズ」。フュージョン・ジャズの個性は、バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」。

David T. Walker『Press On』(写真左)。 1973年の作品。ジャケットも渋い。David T. Walker(デヴィッド・T・ウォーカー=略して「デビティ」)は、モータウン黄金期を支えた世界一ソウルフルなギタリスト。ジャズ、ファンク、R&Bの数々の名盤を支えてきたギタリストである。デビティのエレギは「メローギター」、そして、ソウルフルな「フィルインフレーズ」。

1973年の作品なんですが、この『Press On』でのデビティのエレギは「フュージョン・ジャズ」。バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」。伸びの良いトーンと流麗なアドリブ・フレーズの弾き回し。ちょっとくすんだ切れ味の良い弦の響き。これが1973年、ジャズのトレンドは「クロスオーバー・ジャズ」の時代に、フュージョン・ジャズな音を完全に先取りしている。
 

Press_on

 
グルービー満載のタイトル曲の「Press On」、4曲目、The Delfonicsの名曲「Didn't I Blow Your Mind ThisTime」のカヴァーでは、バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」なデビティのエレギが炸裂。ビートルズのカヴァー、5曲目の「With a Little Help from My Friends」では、途中、ホーン・セクションが絡んで、どんどん熱くファンキーな展開になっていくところが格好良い。原曲よりファンキーな、6曲目の「Superstition」。

収録されたいずれの楽曲も雰囲気は統一されていて「フュージョン・ジャズ」。決して「クロスオーバー・ジャズ」では無い。ちなみにパーソネルを見渡して見ると、リーダーのDavid T. Walker (g), Harvey Mason (ds), Charles Larkey (b), Joe Sample (key), Bobbye Hall (cong) など。明らかに、フュージョン・ジャズを代表するミュージシャンがズラリ。しかし、この盤は1973年にリリースされている、というところが凄いのだ。

フュージョン・ジャズを3〜4年も先取りした、デビティの『Press On』。Ode3部作の2作目にあたり、この盤『Press On』を聴くと、残りの『David T. Walker』(1971年作品)、『On Love』(1976年作品)も一気に聴きたくなります。バカテクで流麗で「ソフト&メロウ」なエレギの音。伸びの良いトーンと流麗なアドリブ・フレーズの弾き回し。デビティのエレギは「ソフト&メロウ」です。

 
 

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2017年10月 2日 (月曜日)

1990年代のフュージョン盤

1970年代後半から1980年代前半に、一世を風靡した「フュージョン・ジャズ」。1980年代後半、メンストリーム・ジャズ復古の煽りを受けて衰退するが、1990年代は「スムース・ジャズ」を中心にしっかりと生き残る。1990年代は、フュージョン・ジャズは、米国では「スムース・ジャズ」と呼ばれて、意外と人気のジャンルとなっていた。

そんな1990年代のスムース・ジャズの好盤の一枚が、Norman Brown『Just Between Us』(写真左)。1992年の作品。Norman Brown(ノーマン・ブラウン)とは誰か。1970年、米国はカンサス・シティ生まれ。ということは今年で47歳。ジャズ界ではバリバリの中堅である。

ノーマン・ブラウンは、ソウルの名門モータウンが、1992年にジャズ・レーベルとして立ち上げた「MoJazzレーベル」の第一号アーティスト。2002年度のグラミー賞で「ベスト・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」を獲得している。米国では名の通ったフュージョン・ギタリストだが、残念ながら、我が国ではあまり知られていないようだ。
 

Just_beetween_us

 
聴けば判るが、ウエスやベンソン、捻りをいれて「ジミヘン」の影響が色濃い。つまりは70年代ロック小僧好みのフュージョン・ギタリスト。彼のエレギは、基本は、明らかに「ジョージ・ベンソン」のフォロワーの音で、ピッキングの正確さは群を抜いている。速いフレーズも緩やかなフレーズもパッキパキで覇気溢れる弾き回し。聴いていてスカッとする。

この盤の音の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。フレーズは流麗だけど、ブラウンのギターはちょっとゴツゴツしていて捻れていて、スムース・ジャズという雰囲気では無い。1970年代後半のパッキパキ尖ったフュージョン・エレギの雰囲気。フレーズとリズムは流麗で、スムース・ジャズや、と言われれば「そうかいな」とも思うが、ブラウンのエレギの音を聴く限り、この盤の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。

アース(ウインド&ファイアー)のホーンセクションがまるごと参加、アースのナンバーをカヴァーした4曲目「Love's Holiday」、リード・ヴォーカルにステーヴィー・ワンダーが参加した6曲目「Too High」など、コッテコテ「ソウル系」のカヴァー曲がむっちゃ格好良い。スムース・ジャズと言うよりも、フュージョン、あるいはソウル、ファンクのエッセンスが芳しい、魅力的な「1990年代のフュージョン盤」です。

 
 

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