2024年2月29日 (木曜日)

縦ノリのグルーヴ 『Gaddabout』

久々にフュージョン・ジャズ盤をチョイス、である。

年配のジャズ者ベテランの方々からは、概ね「ジャズの徒花」扱いされるフュージョン・ジャズであるが、クロスオーバー・ジャズも含めて、内容のある、聴き応えのある傑作、好盤は多々ある。ジャズの裾野は広く、ジャズは柔軟。フュージョン・ジャズの中にも「良い音楽」は沢山ある。

Steve Gadd『Gaddabout』(写真左)。1984年7月、NY「A&R Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Steve Gadd (ds, vo), Lew Soloff (tp), George Young (sax), Ronnie Cuber (bs), Jeff Mironov (g), Richard Tee (key, syn), Neil Jason (b), David Matthews (arr)。

日本のフュージョン・ジャズ・レーベルの「Electric Bird」から、1984年のリリース。「Electric Bird」は日本のジャズ・レーベルながら、フュージョン系の好盤を多数リリースしている。今回の『Gaddabout』は、そんな中の一枚。

パーソネルを見渡すと、バリサクにロニー・キューバー、キーボードにリチャード・ティー、そして、ドラムにリーダーのスティーヴ・ガッド。後に、ガッドが1986年に結成する「The Gadd Gang」のメンバー5人中、3人がこのセッションに参加している。そして、この盤に詰まっている「音」がファンキー&ソウルフル、縦ノリのグルーヴが、まさに「The Gadd Gang」のプロトタイプ。
 

Steve-gaddgaddabout

 
トランペットにルー・ソロフ、サックスにジョージ・ヤングは、マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)のフロント2管。アレンジに、MJQのリーダー&ピアノ担当のデヴィッド・マシューズなので、その縁での召集だったのだろうか。この2管がキューバーのバリサクと組んで、見事なフロント3管を形成している。

このフロント3管のアンサンブル、ユニゾン&ハーモニー、そして、ソロ・パフォーマンスが見事で訴求力抜群。この盤での一番の聴きもの。ガッドの縦乗りグルーヴに鼓舞されて、ファンキー&ソウルフルなフレーズを、ダイナミックに骨太に吹き上げている。これがとても良い。

ジェフ・ミロノフのギターがユニーク。職人ワザが光るカッティング。ソウルフルな泣きのフレーズ。渋いバッキングで、バンド全体にファンキーな風味を色濃くする。ニール・ジェイソンのジャズ・ファンクなエレベもファンクネス濃厚。重心の低いベース・ラインが演奏全体の「底」をガッチリ支えている。

「gadabout=ブラブラ歩き」に引っかけたタイトルも「粋」。気ままに鼻歌交じりに楽しくドラムを叩きまくるガッドが素敵。ガッド独特の縦乗りのグルーヴが、ファンキー&ソウルフルな曲想にバッチリ。

フュージョン・ジャズの好盤の一枚です。こんなに内容のある、素敵なフュージョン・ジャズ盤が、日本のレーベル「Electric Bird」からリリースされたことを嬉しく思います。「Electric Bird」はなかなか隅におけないフュージョン・ジャズのレーベルですね。
 
 

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2023年12月14日 (木曜日)

Al Di Meola『Flesh On Flesh』

12月、師走である。今のところ、今年は総じて暖かい冬。それでも、時々、冷える日が出てきた。天気が優れず、冷えた日は体にさわらぬよう、なるべく外出しない様にしている。部屋の中でストレッチなどしながら、ジャズを聴いている。

12月に暖かい室内で聴くジャズ。僕は結構フュージョン・ジャズを聴く。師走の慌ただしい雰囲気の中、流麗で聴き心地の良い、それでいて、しっかりジャズしているフュージョン盤を聴くことが多い。

Al Di Meola『Flesh On Flesh』(写真左)。2002年3-4月の録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola (g), Gonzalo Rubalcaba (key), Anthony Jackson (b), Gumbi Ortiz (per), Mario Parmisano (p, synth, marimba), Alejandro Santos (fl, b-fl), Jean Valdes, Guillermo Ruiz (as), Williams Polledo(tp), Ernie Adams(ds), Monserat(vo)。

しばらくの間、ラテン・フュージョンまっしぐらのディメオラ。もう超絶技巧なクロスーオーヴァー志向のギター・フュージョンには戻らないだろうな、と思っていたら、なんと、この盤で戻ってきた。しかも、録音時、ディメオラは48歳。年齢的にも脂が乗り切った、ジャズマンとしてバリバリの中堅。実に味のある、余裕のあるクロスーオーヴァー志向のギター・フュージョンを引っ提げて戻ってきた。
 

Al-di-meolaflesh-on-flesh

 
ゴンサロ・ルバルカバがキーボードを担当、ベースにアンソニー・ジャクソンを起用。この辺りにディメオラの本気を感じる。超絶技巧なクロスーオーヴァー志向のギター・フュージョンなので、当然、出てくる音は、超絶技巧が映える凝った曲とアレンジ、そして、ディメオラ独特のエキゾチック&エスニックなフレーズと響き。若きディメオラが戻ってきた様な演奏の数々。

冒頭の「Zona Desperata」を聴けば、それが良くわかる。ドラマチックで哀愁感濃厚で密度の高いクロスオーヴァー・ジャズ。続く2曲目「Innamorata」は、さらに哀愁感が増して、ディメオラらしい大掛かりな展開。いや〜、若き日のディメオラが成熟して帰ってきた様な音世界。

そして、ラストは「Senor Mouse」。チック・コリア率いる、第二期リターン・フォーエヴァー(RTF)の名曲である。ディメオラ、RTFは過去のもの、今は全く関わりがない、なんて言っていたのに、ここで「Senor Mouse」である。これが名演。ディメオラとしては、スタジオ録音では初出なのだが、余裕綽々の超絶技巧な弾き回しで、ディメオラのエレギが良い音を出している。

エレクトリックとアコースティックと両刀使いで、ディメオラのギターが映えに映える。久しぶりのディメオラの超絶技巧なクロスーオーヴァー志向のギター・フュージョン。

でもまあ、この妖艶なジャケットですから、そんな硬派でバリバリのギター・フュージョンが展開されているなんで、思いもしませんぜ(笑)。この妖艶なジャケットに惑わされずに、この盤を存分にお楽しみ下さい。
 
 

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2023年12月 3日 (日曜日)

マリーン・ウィズ・シーウインド

クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、1970年代から1980年代前半までが流行期。特に1970年代後半から1980年代前半までがピークで、クロスオーバー&フュージョン・ジャズ専門の月刊誌までが発刊されていた。

そんな、クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、現在までに相当数のクロスオーバー&フュージョン盤がリイシューされてきた。しかし、「あれはどこへ行った」と探し回る位の「クロスオーバー&フュージョンの好盤」でも、今までリイシューされないもの多数存在する。まあ、セールスにならないリスクはあるから仕方ないことではあるが...。

Marlene with Seawind『Summer Night』(写真)。1982年の作品。ちなみにパーソネルは、Marlene (vo), Kim Hutchcroft (sax), Lew McCreary (tb, tracks: A3), Flugelhorn – Gary Grant, Jerry Hey (tp, flh), Larry Williams (key), Bud Nuanez (g), Ken Wild (b), Bob Wilson (ds, perc), Ron Kalina (harmonica, tracks: A4)。

ハワイアン・クロスオーバー&フュージョンの大御所バンド・シーウインドをバックに、フィリピン出身の天才歌姫マリーンが唄いまくった、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの秀作。 CBS/Sonyレコードからのリリース。和フュージョン・ジャズ盤の名盤の一枚。主な録音はハリウッドで行われている。当時、アルバム制作については、気合が入っていたんやろうなあ。
 

Marlene-with-seawindsummer-night

 
シーウインドの爽やかファンキーで躍動感溢れる、切れ味の良いブリリアントなホーン・セクションに乗って、マリーンが若々しく、パンチのあるボーカルを披露する。バックがシーウインドなんで、クロスオーバー&フュージョンの範疇で語られることが多いが、マリーンのボーカルは素直でポップなもので、ボーカルから聴くと、AORの秀作と評価しても良い内容。

リリースは1982年で、クロスオーバー&フュージョンやAORのブームは下降線に転じた時期で、新作はマンネリ基調の退屈なアルバムがリリースされがちな環境だったが、この盤は違った。まず、バックのシーウインドが素晴らしく内容のある演奏を繰り広げている。これが最大の聴きもので、シーウインドの演奏だけを切り出しても秀作として評価できるパフォーマンスである。

そんなシーウインドをバックに唄うのだ。マリーンは気合が入っているし、実に気持ちよさそうに唄っている様がこの盤から伝わってくる。特に、アップテンポで始まる冒頭のタイトル曲「Summer Night」が秀逸な出来。ブルー・アイド・ソウル系バンド曲のカヴァーだが、これが実に良い。この冒頭の一曲がこの盤全体の雰囲気を代表する名演、名唱。

リリース当時は、貸しレコード屋で借りてカセットにダビングして所有していた盤で、カセット・デッキが壊れた後、長らく聴くことの出来なかったアルバム。最近、サブスク・サイトにアップされているのを見つけて、思わず再聴。良いクロスオーバー&フュージョン盤に再会できました。
 
 

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2023年11月29日 (水曜日)

ホールズワースの個性全開

アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)のリーダー作の落穂拾い。というか、当ブログ記事として扱っていなかった、ホールズワースのリーダー作を聴き直している。見直してみたら、ホールズワースのリーダー作の半分以上が、当ブログの記事として扱っていない。思わず、計画立てての聴き直しである。

Allan Holdsworth『Metal Fatigue』(写真左)。1985年の作品。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g), Paul Williams (vo, tracks 1, 4), Paul Korda (vo, track 6), Alan Pasqua (key), Chad Wackerman (ds, tracks 1–4), Gary Husband (ds, track 5), "Mac Hine" (drum machine, track 6), Jimmy Johnson (b, tracks 1–4, 6), Gary Willis (b, track 5)。基本的に知らない名前ばかり(笑)。

ホールズワースの4枚目のリーダー作。まだ、一部では「悪名高い」SynthAxe(シンタックス)には手を染めていない、純粋にエレギ一本で勝負している。しかも、ホールズワースのエレギが「捻れに捻れている」。変態拗れ(ねじれ)エレギと形容されるホールズワースのエレギだが、この盤では、とても気持よく、清々しいばかりに「捻れている」(笑)。
 

Allan-holdsworthmetal-fatigue  

 
ハーモナイザーとディストーションを効かせたヘビーなサウンドがメインで、曲によってはボーカルが入っていて、どこか「英国プログレッシヴ・ロック(プログレ)」風な響きがユニーク。さすが、ジャズとロックの境目が曖昧な英国クロスオーバー+フュージョンである。それでも、ホールズワースの変態捻れギターは、当時の英国プログレには存在しないので、これは「プログレ」ではないな、ということになる。

しかし、ホールズワースのエレギは気持ちよく捻れている。アタッチメントの選び方、使い方が上手くて、ホールズワースにしか出せない音がとんでもなく個性的。収録された曲それぞれがなかなかの出来で、様々な志向&嗜好がてんこ盛りな内容にも関わらず、曲の良さ、という点でアルバム全体に統一感がある不思議なアルバムである。

3つのセッションを合わせて作成したアルバム。色々な音の要素が散りばめられている「万華鏡」の様な内容だが、ホールズワーズの変態捻れエレギの個性は、それぞれの曲の中で一貫していて、どこから聴いても「ホールズワースしか作れない」アルバムに仕上がっているところが、このアルバムの「肝」。ホールズワースの名盤の一枚。
 
 

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2023年10月29日 (日曜日)

久々のマンジョーネ『虹への旅』

「哀しみのベラヴィア」や「サンチェスの子供たち」、そして「フィルソー・グッド」など、フュージョン・ジャズにおけるヒット曲を持つチャック・マンジョーネ。1970年代後半から1980年代前半、フュージョン・ジャズのブームをリアルタイムで体験したフュージョン者の方々であれば知らない人はいないはず。

トランペット&フリューゲルホーンの両刀使いではあるが、印象的なのはフリューゲルホーンの方だろう。柔らかだが芯があって伸びが良く、ミッドテンポに乗って、中低音域から高低音域の真ん中レベルの音程で、朗々とゆたっりとフレーズを吹き上げていく様は、マンジョーネ独特なもの。

Chuck Mangione『Journey To A Rainbow』(写真)。1983年の作品。邦題『虹への旅』。ちなみにパーソネルは、Chuck Mangione (flh, el-p, syn), Chris Vadala (fl, sax), Peter Harris (g), Gordon Johnson (el-b), Everett Silver (ds)。マンジョーネ以外、知らない名前ばかり。スタジオ・ミュージシャンで固めたのか、の5人編成。 
 
この盤を聴いてつくづく思うのは、マンジョーネのフリューゲルホーンの音が、すごく聴き心地が良くて印象的だなあ、ってこと。まず、マンジョーネのフリューゲルホーンは「音が魅力的」。

朗々とゆったりと鳴って、音のエッジが丸くて暖かい。音がス〜っと伸びていく。そして何より音に翳りがなく明るい。それじゃあ、イージーリスニングでしょ、と思われるのだが、それがそうではなくて、どこかジャジーな響きがして、決して、イージーリスニングでは無いのだから不思議。
 

Chuck-mangionejourney-to-a-rainbow

 
この人のフリューゲルホーンは、高速な吹き回しやハイノートは無く(元々、フリューゲルホーンは苦手)、テクニック的にアピールするところはほぼ無い。演奏曲もミッドテンポの曲が多く、マンジョーネのフリューゲルホーンは、中低音域から高低音域の真ん中レベルの音程をキープして、ゆったり朗々と吹き上げていく。

おそらく、演奏する曲自体が、そんなマンジョーネのフリューテルホーンの特性を活かした楽曲でありアレンジなんだろう。マンジョーネのフュージョン盤が、どの盤もすごく聴き心地が良くて印象的なのは、マンジョーネのフリューゲルホーンの個性とそれを活かす楽曲とアレンジがバッチリ合っているからなんだろう。決して「無理をしていない」のだ。加えて、アレンジに様々な工夫が凝らされていて、アルバムを通して飽きることが無い。

この『Journey To A Rainbow』も同様の内容の、マンジョーネ節満載の好盤である。まず冒頭のタイトル曲が良い感じ。親しみやすく美しいフレーズ、いわゆる「マンジョーネ節」が良い。そして、興味深いのは、4曲目「Buttercorn Lady」。かつて、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに在籍中の1966年にチャックが作曲した楽曲。

そう、マンジョーネって、元は純ジャズの出身。将来有望な若手ジャズマンの登竜門的存在であった、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズに在籍していたのだから、基本的には、素性はまともなトランペット&フリューゲルホーン奏者である。

決して、ゲテモノでもなければ、ラッキーな「一発屋」でもない。マンジョーネは、素性確かなフュージョン・フリューゲルホーンのスタイリストである。これだけ朗々と印象的なフレーズを吹き上げるフリューゲルホーンは、彼をおいて他にない。だからこそ、今の時代にも、マンジョーネのリーダー作は好盤として聴き親しむことが出来るのだ。
 
 

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2023年10月 8日 (日曜日)

レジェンド・アルパートの新盤。

1970年代は「クロスオーバーからフュージョン」の時代。この「クロスオーバーからフュージョン」に台頭を現したジャズマンも多くいた。そして、21世紀に入って、そんな1970年代に台頭を現し、21世紀に入っても第一線で活躍を続けている「猛者」もいる。もう若くても70歳代だとは思うのだが、最近のジャズマンは息が長い。

例えば、ハーブ・アルパートと言えば、ポップス系ジャズのトランペッター&コンポーザー。また、A&Mレコードの創始者の一人。なお、A&Mの「A」はアルパート(Alpert)を指す。ちなみに、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』のテーマソングである「ビター・スウィート・サンバ」は、ハーブ・アルパートの作。そんなハーブ・アルパートは、現在88歳。米寿である。

Herb Alpert『Wish Upon A Star』(写真左)。2023年9月のリリース。ハーブ・アルパートの通算49作目となる新録音アルバム。2011年以降、第一線に復帰し、「生けるレジェンド」として活躍するアルバートの元気溌剌としたトランペットが聴ける好盤である。アルパート、まだまだ現役である。

このアルバムでは、ジェリー・リードの「East Bound And Down」、エルヴィス・プレスリーの「(Marie's The Name) His Latest Flame」、ビートルズの「And I Love Her」、キャット・スティーヴンスの「Father And Son」、カーペンターズの「We've Only Just Begun」、ジャズ・スタンダード曲「When You Wish Upon A Star」など、我々が長年なれ親しんできた名曲のカヴァーがメイン。
 

Herb-alpertwish-upon-a-star

 
かといって、イージーリスニング志向と問われれば、答えは「No」で、アレンジが優秀がゆえ、聴き味の良い、上質のフュージョン・ジャズに仕上がっているのは立派。

この盤でのアルパートは、今年88歳とは思えない、溌剌としたトランペットを聴かせてくれる。往年の正確無比でハイテクニック、ハイノートも何その、バリバリ流麗で歌心溢れるブロウは、歳をとることによる影響はあるにせよ、概ね健在である。これには驚くばかり。

アルパートのトランペットは、透明感のある、明るくて、ちょっと哀愁感漂う音色。そして、ブリリアントで心地良い吹きっぷりが身上なのだが、この盤でもそんなアルパートの個性はしっかり感じることが出来る。1970年代のフュージョン・ジャズのアルパートを聴き親しんだ僕からすると懐かしい限り。

演奏の基本がしっかりしているのとアレンジが秀逸で、名曲のカヴァーがメインとはいえ、易きに流れていないところにアルパートの一流ジャズマンとしての矜持を感じる。ながら聴きに最適の「フュージョン・トランペット」の佳作です。とにかく、アルバートのトランペットの響きが懐かしくて良い。
 
 

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2023年9月27日 (水曜日)

「CASIOPEA-P4」の2nd.盤

日本のフュージョン・ジャズ(和フュージョン・ジャズ)の名盤・好盤を聴き直していると、必ず、ぶち当たるフュージョン・ジャズのグループが2つある。ひとつは、1977年結成の「CACIOPEA(カシオペア)」、もうひとつは、1976年結成の「T-SQUARE(ティー・スクエア)」。和フュージョン・ジャズの老舗中の2つの老舗バンド。

その老舗バンドのひとつ、カシオペアは、バリバリ硬派な、思いっ切りハイ・テクニックな、疾走感と切れ味抜群のフュージョン・バンドだった。デビューは1977年。幾度かのメンバー変遷と2006年から2011年までの活動休止期間を経て、第1期〜第2期「CACIOPEA」、第3期「CASIOPEA 3rd」、第4期「CASIOPEA-P4」とバンド名をマイナーチェンジしながら、現在も活動中。

CASIOPEA-P4『New Beginning(Live at EX THEATER ROPPONGI Dec.11.2022)』(写真左)。2022年12月11日、EX THEATER ROPPONGIでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 大高清美 (key), 鳴瀬喜博 (b), 今井義頼(ds)。CASIOPEA-P4名義の2枚目のアルバムになる。

もともと、カシオペアは、フロント楽器がギターで、バックにリズム・セクションという編成で、長らくギター・サウンドが前面に押し出された「ギター・バンド」志向なフュージョン・ミュージックが身上だった。
 

Casiopeap4_new-beginning

 
が、CASIOPEA-P4になって、野呂のギターはそのままだが、大高のキーボードがフロントの一定の割合をコンスタントに担う様なサウンド構成に変化している。今回のこのライヴ盤は、そんなギター+キーボードが双頭フロントのバリバリ硬派な、思いっ切りハイ・テクニックな、疾走感と切れ味抜群のフュージョン・バンドのパフォーマンスが、CD2枚組の中にギッシリ詰まっている。

CASIOPEA-P4名義の初アルバム『NEW TOPICS』では、キーボードがかなり前面に出ていた印象があるが、このライヴ盤では、イーブン・イーブンの割合になっていて、バランスが取れている印象。

1970年代のプログレッシブ・ロック、もしくは、キーボードがメインのジャズ・ロックの様な音志向に変化はしたが、このライヴ盤を聴く限り、デビュー当時のバンドのキャッチ・フレーズである「スリル・スピード・スーパーテクニック」はしっかり踏襲されている。

逆に、キーボードが前面に出たことによって、アダルト・オリエンテッドな雰囲気が濃厚になって、大人のフュージョン・ジャズという雰囲気がとても魅力的。まだまだ、我が国における、最高峰のエレ・ジャズ・バンドの位置をキープしている。僕はこのCASIOPEA-P4の音を好ましく聴いた。
 
 

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2023年9月26日 (火曜日)

T-SQUARE45周年記念アルバム

最近、日本のフュージョン・ジャズ(和フュージョン・ジャズ)の名盤・好盤を聴き直しているのだが、意外と内容充実の盤が多い。演奏テクニックは申し分無く、歌心もあり、オリジナルの楽曲もメロディーラインの魅力的な佳曲ばかりで、十分、世界と渡り合えるレベルのアルバムを量産していたことを再認識している。

そんな和フュージョンの名盤・好盤を聴き直していくと、必ず、ぶち当たるフュージョン・ジャズのグループが2つある。ひとつは、1977年結成の「CACIOPEA(カシオペア)」、もうひとつは、1976年結成の「T-SQUARE(ティー・スクエア)」。和フュージョン・ジャズの老舗中の2つの老舗バンド。フュージョン・バンド・ブームの中、この2つのグループで人気を二分して大いに盛り上がっていた。

T-SQUARE『Vento De Felicidade 〜しあわせの風〜』(写真左)。2023年5月31日のリリース。T-SQUARE45周年記念アルバム。現メンバーの伊東たけしと坂東慧に加え、歴代のメンバーの中から、安藤正容、河野啓三、仙波清彦、久米大作、田中豊雪、長谷部徹、則竹裕之、須藤満、本田雅人、松本圭司、宮崎隆睦、サポート・メンバーの田中晋吾、白井アキト、外園一馬、山崎千裕が顔を揃えている。加えて、ゲストとして、渡辺香津美と鳥山雄司、TOKUが参加。
 

Tsquarevento-de-felicidade

 
『WISH』では、確実にスムース・ジャズ化したT-SQUARE。アルバムの出来はそつなく優秀、よく聴けば、T-SQUAREらしさは押さえられている。しかし、今回の「スムース・ジャズ志向」の耳当たりの良いサウンドは、恐らく「賛否両論」だろう、と感じた。ポップス度、ロック志向が強かったサウンドが、一気にスムース・ジャズ化したのだから無理は無い。

以前は「ポップ・インストゥルメンタル・バンド」とは言っても、ジャズ度はほどよく漂い、演奏のフレーズには、どこかジャズ・ライクな捻りや「引っ掛かり」があったりして、ポップでロックな雰囲気はあるが、基本的にはフュージョン・ジャズの音志向を貫いていたと思う。と思っていたら、この最新盤では、そんな従来からのT-SQUAREサウンドが戻って来ている。

爽快感に溢れた、落ち着いた雰囲気の、大人の「ポップでロックなフュージョン・ジャズ」、大人のT-SQUAREサウンドが、実に心地良く響いてくる。従来からのT-SQUAREサウンドが戻って来て、安心して聴ける、T-SQUARE45周年記念アルバム。もう結成から45年経ったなんて思えない、フレッシュで若々しい明るいサウンドが、とても気持ち良い。気分爽快な和フュージョン・ジャズ盤である。
 
 

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2023年6月20日 (火曜日)

高中正義のフュージョン傑作盤

時は6月、季節は「夏」である。夏が来れば、必ず聴くギタリストがいる。高中正義である。「夏だ、海だ、高中だ」という凄いベタなキャッチコピーが懐かしい。そのキャッチコピーの影響では無いのだが、夏になると、高校時代からリアルタイムで高中のギター盤を聴いている。確かに高中のギター盤は夏に聴くのが一番合う。

高中正義『An Insatiable High』(写真)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、高中正義 (g), Lee Ritenour (g), Abraham Laboriel, Chuck Rainey (b), 深町純, Patrice Rushen (key), 村上秀一, Harvey Mason, Ed Greene (ds), 浜口茂外也, Steve Forman, Paulinho da Costa (perc)。ホーン隊にはタワー・オブ・パワーの面々が揃う。

パーソネルを見れば「あれっ」と思う。そう、この盤、高中とジェントル・ソウツとの共演アルバムである。ジェントル・ソウツといえば、高中と同じフュージョン・ギタリスト、リー・リトナー率いる、米国西海岸を代表するフュージョン・バンド。なんと、1977年に高中は米国に渡って、リトナーとの共演を実現していたんですね。

高中盤にありがちな、コマーシャルなところ、砕けたところ、おどけたところは一切無い。ハイテクニックな弾き回しは控えめに、がっつり余裕をかました、官能的で瑞々しい、スッ〜と伸びのある高中のエレギが全編で鳴り響く。高中の「がっつり聴かせる」エレギである。リー・リトナーとのギター・コンビネーションも良好。内容の濃い、高中印の「硬派なフュージョン・ジャズ盤」である。
 

An-insatiable-high

 
冒頭の「Sexy Dance」から高中サウンド全開。緩やかなシャッフル・ビートに乗って、躍動的でメロディアスなテーマが流れると、そこはもう高中ワールド。2曲目は永遠の名曲「Malibu」。ユッタリとした拡がりのあるアンサンブル。ラッシェンのキーボードが大活躍。そこに高中のエレギが滑る様に入ってくる。ラッシェンのキーボードをバックに「映える」高中のエレギ。

3曲目のタイトル曲「An Insatiable High」は、高中お得意の疾走感溢れるスピーディーなナンバー。リトナーの蝉アコ・エレギのサウンドと高中のソリッドなエレギのサウンドのコンビネーションが素晴らしいのだが、演奏全体の雰囲気は「高中サウンド」。リトナーが「高中サウンド」のツボをしっかり押さえて、「高中サウンド」に貢献している。見事である。

冒頭の3曲だけで、この盤は素晴らしい「高中サウンド」が詰まった傑作だと確信する。リトナーをはじめとするジェントル・ソウツのメンバーは、この「高中サウンド」に馴染み、貢献するべくプレイしている。ジェントル・ソウツの懐の深さ、恐るべしである。

演奏全体のまとまり度合いは高く、テクニックはハイレベル。極上のフュージョン・サウンド。しかも、高中オリジナルなフュージョン・サウンドである。
 
 

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2023年6月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・263

唄って弾きまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン(George Benson)。その弾きっぷりは「ウエス・モンゴメリー」のファンキー・ギターの再来。その唄いっぷりはソウルフル&ムーディー。唄って弾きまくるその底には「R&B」の黒さが流れ、ソウル・ミュージックのファンクネスが流れる。今の耳で振り返れば、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックの発祥である。

George Benson『Tell It Like It Is』(写真左)。1969年の4ー5月の録音。 A&M/CTIレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。ドラムとパーカッションはほぼ固定。曲によって、ギターとサックス、ベースを使い分けている。後のフュージョン・ジャズの担い手ジャズマンが集結している。

George Benson (g, vo), Lew Soloff (tp), Jerome Richardson (tracks 1–5, 8, 10 & 11), Arthur Clarke, Sonny Fortune (sax, tracks 1–5), Joe Farrell Joe Henderson (sax, tracks 8, 10 & 11), Bob Porcelli, Hubert Laws (sax, tracks 6, 7 & 9), Rodgers Grant (p, tracks 6, 7 & 9), Richard Tee (p, tracks 1–5, 8, 10 & 11), Bob Bushnell (b, tracks 1–5), Jerry Jemmott (b, tracks 1–7 & 9), Jim Fielder (b, tracks 8, 10 & 11), Leo Morris (ds), Paul Alicea, Angel Allende, Johnny Pacheco (perc)。

ラテンとソウル、R&B、カリビアンとエレ・ジャズを融合させた、クロスオーバー・ジャズな音作り。リーダーのジョージ・ベンソン自体は、易きに流れず、かなり硬派でメインストリーム志向のファンキー・ギターを弾きまくっている。ウエスばりのオクターヴ奏法で弾きまくり、ソウルフルでソフト&メロウなヴォーカルを披露している。
 

George-bensontell-it-like-it-is

 
Booker T & M.G.'sの名曲をカヴァーした、ご機嫌なラテン・ジャズ「Soul Limbo」から始まり、Jerry Butlerのカヴァー、ソウルフルでR&Bな「Are You Happy?」、ベンソンのヴォーカルが心地良い「Tell It Like It Is」、こってこてラテンな「Land Of 1000 Dances」、
Dontcha Hear Me Callin' To Ya」「Water Brother」は小粋なジャズ・ファンク。

グルーヴィーなブラスのユニゾン&ハーモニーも芳しい、ソウルフルなカントリー・ナンバー「My Woman's Good to Me」でのベンソンの歌唱にグッとくる。「Jama Joe」のホットなラテン曲でギターを弾きまくるベンソンは熱い。

ラス前の、スティヴィー・ワンダーの名曲のカヴァー「My Cherie Amour」でのベンソンのオクターヴ奏法に思わず仰け反り、ラストのオールドR&Bチューンのカヴァー「Out in the Cold Again」でのベンソンのソフト&メロウな唄いっぷりに惚れ惚れする。

このベンソンの『Tell It Like It Is』というアルバム、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズまで、お洒落なアレンジに乗って、マニアックで玄人好みの演奏がてんこ盛り。

米国ルーツ・ミュージックと融合したクロスオーバーなジャズを、熱いギターとソフト&メロウなボーカル、そして、小粋なアレンジで聴かせてくれる。とにかく単純に聴いていて楽しく、思わず足踏みし腰が揺れる。そんなソウルフルな傑作だと思います。
 
 

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