2022年10月30日 (日曜日)

イエロージャケッツの最新作です

思えば、このフュージョン・バンド、イエロー・ジャケッツとても息が長い。1977年、ラッセル・フェランテを中心に結成され、1981年のフュージョン・ブームの最盛期にメジャー・デビュー、昨年メジャー・デビュー40周年を迎えている。レコード会社も幾つか変わり、メンバーも、リーダーのラッセル・フェランテ以外は全て入れ替わっているが、このフュージョン・バンドの音志向は40年以上、大きな変化は無い。

Yellowjackets『Parallel Motion』(写真)。2021年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Bob Mintzer (sax), Dane Alderson (el-b, MIDI sequencing), Will Kennedy (ds), guest: Jean Baylor (Vo) track 8。1ヶ月に及ぶ久々の欧州ツアーの終了後、スタジオに入り、録音されたもの。前作より、ベースがデイン・アルダーソンにチェンジしている。

まことに上質のフュージョン・ジャズである。演奏テクニックは高く、フレーズを奏でる「歌心」も十分。アーバンでポップな曲作りは健在。スムース・ジャズの様な、耳当たりの良いイージーリスニング風の音作りでは無い、しっかりとリズム&ビートが効いて、フレーズの展開についても、テクニック的に随所に工夫が見られ、聴いていて飽きることは無い。
 

Yellowjacketsparallel-motion

 
ユッタリ目の曲が全編に渡って続くが、これが、イエロージャケッツの音志向なので戸惑うことも無い。各曲共に、メンバーそれぞれの持ち味が発揮され、フレーズの展開もバリエーション豊かで、マンネリに陥ることは無い。8曲目「If You Believe」でのジーン・ベイラーのヴォーカルもいいアクセント。ボーカル曲がこの1曲に留めていて、演奏のバリエーション不足をボーカルで誤魔化すことの無いところに、イエロージャケッツの矜持を感じる。

パフォーマンスについては、バンドメンバー各人、それぞれの個性を発揮していて高いレベルを維持しているが、特に、リーダーのラッセル・フェンテのキーボードが好調。これまた好調のミンツァーのサックスと併せて、キャッチャーで耽美的で躍動感のあるソロを聴かせてくれる。そして、アルダーソンのベースも魅力的なラインを供給していて良い感じ。このアルダーソンのベースラインが演奏全体を引き締め、演奏自体を印象的なものにしている。

イエロージャケッツのフュージョン・ジャズの良いところは、演奏自体が人間っぽくて血が通った音だ、というところ。現代のフュージョン・ジャズだからといって、打ち込みに頼ること無く、メンバーそれぞれの血の通った演奏で展開されているという、1970年代後半のフュージョン全盛期のフュージョン・ジャズの良いところをしっかりと継承しているところが実に良い。この新作も暫く、ヘビロテになりそうだ。
 
 

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2022年10月 2日 (日曜日)

今の耳に『Heavy Weather』

さて、Weather Report(以下、WRと略す)のアルバムを今の耳で聴き直すシリーズ。いよいよ佳境である。前作『Black Market』で、エレベのイノベーター、ジャコ・パストリアスを発見し、正式メンバーとした。そして次作。あのWRの大ヒットしたアルバムの登場である。

Weather Report『Heavy Weather』(写真)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Jaco Pastorius (b, ds : Teen Town), Alex Acuña (ds), Manolo Badrena (perc)。 前作で課題だった「ドラマー問題」は解決しておらず、前作でパーカッションを担当していたアレックス・アクーナがドラムを担当している。この盤でもドラムについてはウィーク・ポイントになっているが次作を待つしか無い。

前作では「エスニック&ユートピア」志向のザヴィヌル、「黒魔術的な音世界」志向のショーター、「ファンキー&パンク」志向のジャコと3者の音志向のバランスが取れ始めていたが、この『Heavy Weather』では、この3者の良きバランスが見事に定着している。が、盤全体の雰囲気は「フュージョン・ジャズ」。耳当たりの良いキャッチャーな、聴き味の良いフレーズ満載の「ソフト&メロウ」な楽曲が目白押し。

冒頭の「Birdland」は、ザヴィヌルの「エスニック&ユートピア」志向の楽曲で、ビートの効いた、明るくポジティブでキャッチャーなフレーズ満載の傑作。即興演奏の妙は皆無。フュージョン・ジャズの強烈な味付け。続く「A Remark You Made」は、珍しい、ショーターの「フュージョン・バラード」。この曲も即興演奏の妙は無く、フュージョン系のイージーリスニング・ジャズな趣き。この2曲を聴いて判る通り、この盤は、ザヴィヌル&ショーターからすれば「売りたい」盤だったことが窺い知れる。
 

Weather-reportheavy-weather

 
1人気を吐いているのがジャコ。3曲目の「Teen Town」でのエレベの即興は見事。ドラムについても、アクーナのドラムを排除して自らがドラムを叩く気合いの入れよう。この曲はジャコの代表的パフォーマンスの1曲。ラストの「Havona」も、変に捻れたテーマを持つ不思議な雰囲気を持つ曲。ストレート・アヘッドなエレ・ジャズ。この「Havona」でのバンドのテンションは凄い。これぞ、ウェザー・リポートの真骨頂だ。

5曲目の「Rumba Mamá」の存在は今もって全く理解不能。アフリカンな打楽器メインの短いパフォーマンス。このフュージョン志向のWR盤に、この曲が何故入っているのか、未だに理解出来ない。打楽器担当にもスポットライトを当てたかったのかもしれないが、この曲は、この『Heavy Weather』の音志向からすると、全くの「不要な曲」だろう。

この盤は、ザヴィヌルとジャコの共同プロデュース。ジャコはプロデュース面で、ザヴィヌル&ショーターの「この盤を売りたい」という意向に協調している。「売れる」為のプロデュース。この面でも、ジャコの加入の貢献度は高い。

そして、どの曲においても、ジャコのエレベのベースラインが突出している。実に独創性の高い、実にテクニカルなベースラインをガンガン供給する。フレットレス・エレベの粘りのビートがビンビンに効いている。ソフト&メロウなフュージョン志向の楽曲を質の良いジャズに留めているのは、ひとえにこのジャコの天才的なベースラインのお陰だろう。

この盤は、どちらかと言えば、WRのバンドの音志向からすると、ちょっと外れた「異質のアルバム」だと思う。言い換えると、一番、フュージョン・ジャズに接近した盤と言えるだろう。バンドの課題であった「打楽器隊」も解決には至っておらず、この盤は、エレ・ジャズの「名盤」とするには、ちょっと疑問符が付く。ただ、この盤は売れに売れた。WRとして、大ヒットした「佳作」と僕は評価した。
 
 

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2022年9月29日 (木曜日)

今の耳で聴く『Black Market』

1970年代から1980年代前半のジャズ界を駆け抜けた、伝説のスーパー・バンド『Weather Report』(以降、WRと略)。僕はほぼリアルタイムでWRを聴いてきた訳だが、リアルタイムで聴いていた当時と、あれから約50年が経って、年齢を重ね、様々なジャズを聴き進めてきた「今のジャズ耳」で聴くのと、ある部分、印象が全く異なる部分があるのに気がついた。WRのアルバムを順に聴き直してみると、意外とこの「印象が異なる部分」が、かなり興味深く聴けるのが面白い。

Weather Report『Black Market』(写真)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Alphonso Johnson (el-b), Jaco Pastorius (el-b, tracks 2 & 6), Narada Michael Walden (ds, tracks 1 and 2), Chester Thompson (ds, track 1, tracks 3–7), Alex Acuña (perc, tracks 2–5, track 7), Don Alias (perc, tracks 1 and 6)。WRの第2期黄金時代の幕開けを告げる、マイルストーン的な名盤である。

名盤とは言え、リズム・セクションの迷走は続いていた。ドラムは2人、パーカッションも2人が分担して叩いている。それぞれの曲における打楽器系の音を聴いても、決定力にかけるパフォーマンス。悪くは無いんだが、躍動感に欠けるというか、迫力に欠けるというか。こういったドラム系の人選はマイルス・ティヴィスが一番。1970年代のマイルス・バンドのドラム系の人選の成果を思うと、どうにもこの時点でのWRのドラム系の人選はイマイチな感じが拭えない。

そして、ベースである。前作『幻祭夜話』で、アルフォンソ・ジョンソンに恵まれたWR。アルフォンソのエレベは、WRとして申し分無く、ビトウスの抜けた穴をやっとこさ埋めた感じたしていた。そんなところに「俺は世界で最高のベーシストさ、俺を雇う気はないか」と、とんでもないベーシストが自らをWRに売りにやってきた。伝説のエレベのイノベーター、ジャコ・パストリアスである。

ジャコはこの盤では「Cannon Ball」と「Barbary Coast」の2曲のみで、エレベを弾いているのだが、これが凄い。それまでに聴いたことの無いエレベに我々は驚愕した。
 

Weather-reportblack-market

 
リズム&ビートを供給するリズム隊としてのベースとしてのパフォーマンスについても、音がソリッドで太っとく、躍動感溢れ、破綻の無い滅茶苦茶テクニカルなベースラインが凄い。しかし、もっと凄いのが、ソロ・パフォーマンス。まるでエレギを弾くかのようにエレベを弾く。つまり、リズム隊ばかりで無く、エレベでフロント楽器の役割を担うベーシストが出てきたのだ。

当時のWRは、フロント楽器を真っ当に担えるのは、ウェイン・ショーターのサックスのみ。ザヴィヌルのキーボードは伴奏力に優れるが、フロント楽器としてのソロ・パフォーマンスは苦手にしていたフシがあって、WRはフロント楽器の華やかさに欠けるところがあった。が、ジャコの登場で、その弱点は一気に克服されている。「Cannon Ball」と「Barbary Coast」の2曲における、ジャコの「リズム&ビートを供給するリズム隊としてのエレベ」と「フロント楽器の役割を担うエレベ」は傑出している。

ソング・ライティングについても充実してきた。今までは「エスニック&ユートピア」志向のザヴィヌル、「黒魔術的な音世界」志向のショーター、この2人の作曲がほとんどだったが、ここにジャコの「ファンキーで高速フロント・ベース」を活かした楽曲が加わって、収録曲の内容もバッチリ充実している。この『Black Market』では秀曲揃いで、そういう意味でも、この盤は聴き応えがある。

全体的には、キャッチャーでアーシーな曲がずらりと並ぶ。そんな曲のリズム&ビートをしっかり支え、濃厚なファンクネスを供給するリズム・セクションが是非とも必要になるのだが、ジャコを発見することにより、エレベの目星は付いた。あとはドラム。だがWRに最適なドラマーについては、課題として次作に持ち越すことになる。

それでも、この『Black Market』での混成リズム隊は意外と健闘している。だからこそ、この盤はWRの第2期黄金時代の幕開けを告げる、マイルストーン的な名盤として評価できるのだ。もっと最適なリズム隊を得た時のWRの音世界はどんなものになるのか。WRのポテンシャルは相当に高いことをこの盤を聴いて再認識する。
 
 

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2022年9月27日 (火曜日)

『幻祭夜話』を今一度、聴き直す

Weather Report(以降WRと略)のアルバムの聴き直しを進めている。暫く期間が空いたが、いよいよ「第2期黄金時代」の幕開けの時代に入る。

前作『Mysterious Traveller』で、ザヴィヌルは、WRの音楽的志向を「エスニック&ユートピア」に舵を切る。リズム&ビートは「ファンク」なんだが、メロディーにはエスニックの味付け。エスニック志向のエレ・ファンクと形容しても良いかもしれない。

しかし、デビュー時代から、相応しいドラマーが見つからない。ベースについても、ビトウスの抜けた穴は大きい。リズム隊に傷を残し、ザヴィヌル自身もシンセの扱いに苦労し、ショーターは徐々にWRの活動に興味を失いつつあった。しかし、そんな時でも『Mysterious Traveller』という売れ線のアルバムを残したのだから、WRのバンドとしてのポテンシャルはまだまだ高いものがあった。

Weather Report『Tale Spinnin'』(写真左)。1975年の作品。邦題は『幻祭夜話』。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (sax), Alphonso Johnson (el-b), Leon "Ndugu" Chancler (ds), Alyrio Lima (perc)。ベースはアルフォンス・ジョンソン、ドラムはレオン・チャンクラー、ドラムを補佐するパーカッションはアリリオ・リマで、リズム隊は落ち着いた。

ザヴィヌル自身、シンセの扱いに苦労し、フロント楽器としての振る舞いが上手く出来ないということを前作で理解したのか、ショーターのバンドへの興味を元に戻すべく、ザヴィヌル好みの「エスニック&ユートピア」な音世界に、ショーター好みの「黒魔術」的な音世界を加味することを決断。楽曲もショーターが2曲、ザヴィヌルが4曲。ザヴィヌルの4曲もショーター好みのフレーズを散りばめている。
 

Tale-spinnin

 
前作『Mysterious Traveller』に比べて、それぞれの曲の内容が桁外れに良い。冒頭の「 Man in the Green Shirt」や、4曲目の「Badia」そして、続く「Freezing Fire」など、「エスニック&ユートピア」+「黒魔術」の名曲である。中には「およよ」的な曲もあるが、前作に比べて、総じて楽曲の内容と質は飛躍的に向上している。

その結果、この『Tale Spinnin'』では、ショーターが活き活きとサックスを吹いているのが印象的。やはり、ショーターが腰を据えて吹く、モーダルなサックスは魅力抜群。ザヴィヌル好みの「エスニック&ユートピア」な音作りに、「黒魔術」的な音を積極的に取り込むことにより、この盤での音は、より「黒く」、より「ジャジー」になった。この盤で、WRの第2期黄金時代の音の志向は固まったのでは無いか。

リズム隊も地味ではあるが、落ち着いたリズム&ビートを供給していて及第点。フロントのザヴィヌルのキーボードとショーターのサックスと対等の立場に立ったインタープレイを展開するほどでは無いが、WR独特のグルーヴ感を醸し出すのには成功している。特に、アルフォンソのエレベの音、そして、リマのパーカッションが効いている。

ザヴィヌルの試行錯誤と深慮遠謀が良く判る、そして、なんだかんだと言いながら、ショーターの存在意義を再認識した『Tale Spinnin'』。「俺一人でもいける」〜「俺一人では駄目だ」〜「でも売れなきゃ駄目だ」という志向の揺らぎが、結局、WRの第2期黄金時代の音の志向固めにダイレクトに繋がったのだから、WRというバンドは強運のバンドだった。
 
 

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2022年8月28日 (日曜日)

土曜日の「Super Guitar Trio」

1981年のリリースで、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアという3人のギタリストによる、アコースティック・ギター3本だけの演奏を収録したライヴ盤があった。

超絶技巧なフュージョン系ギタリスト二人と、超絶技巧なフラメンコ・ギターの雄、3人でのライヴ・パフォーマンス。この3人の名前を見ただけでも「フュージョン(融合)」な取り合わせを感じて、今の耳で聴いても、素晴らしいライヴ・パフォーマンスの記録である。

そのライヴの記録とは『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』(写真右)。 超絶技巧の限りを尽くした、目眩くアコギの弾きまくり。それが1人では無く、3人がかりでやるのだから、そのパフォーマンスたるや、それはそれは、ど迫力で呆れるばかりのハイテクニックの嵐。

1981年と言えば「フュージョン・ジャズ」の全盛期のピーク。もともと、フュージョン・ジャズはギターが人気で、そのギターは超絶技巧、目眩く速弾きフレーズの弾きまくりが「目玉」。そんなフュージョン・ギターの最高峰の演奏が、この『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』であり、そんなライヴ盤が、フュージョン・ジャズの全盛期のピークにリリースされ、人気を博した。ジャズの歴史の中で、象徴的なライヴ盤だった様な気がする。

Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia『Saturday Night in San Francisco』(写真左)。1980年12月6日、米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia (g)。超絶技巧ギタリスト3人のライヴ・パフォーマンスの記録になる。
 

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先にご紹介した『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』は、このライヴ盤が録音された前日のライヴ音源。録音場所は同じ「米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場」。今回リリースされたライヴ音源は、既出の『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』の収録日の翌日、全く同じメンバー・会場でのライヴ録音の音源になる。

しかし、こんな音源が21世紀になって発掘されるとは驚きである。この6日の公演はこれまで録音されていないと思われていたのだが、アル・ディ・メオラ所有の16トラックのテープを見直し、12月6日の公演から未発表の8曲を見つけ出した、のこと。なんせ、12月5日の公演で演奏した当の本人達も、第二夜を演奏したことを覚えてなかったらしい。よく発掘したもんだ。

さて、内容的にはどうか、と聴けば、12月5日の『Friday Night In San Francisco』の伝説的パフォーマンスと勝るとも劣らない、素晴らしいパフォーマンスが展開されてるから、二度驚き、である。

曲のレベルも遜色無い。例えば、「金曜日版」の出だしが「Mediterranean Sundance」に対して、この「土曜日版」の出だしが「Splendido Sundance」と、全曲、同じハイレベルの楽曲が並んでいる。

特に、この「土曜日バージョン」は、3人それぞれのソロ・パフォーマンス、無伴奏のソロ曲が3曲、記録されている。しかし、3人のギター・テクニックの凄まじさたるや、感動を通り超して、呆れるほどの超絶技巧さ。しかも、歌心が溢れ、即興性の高いインタープレイは見事という他は無い。
 
 

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2022年8月18日 (木曜日)

小粋な Band of Other Brothers

フュージョン・ジャズは時代の徒花だった、あれは間違いだった、という声もあったが、現代のジャズをグローバルに俯瞰してみると、クロスオーバー&フュージョン・ジャズは、今も深化を続けている。新しいイノベーションが生まれる訳では無いが、演奏内容の精度や内容が「深まっている」。米国でも英国でも、クロスオーバー&フュージョン・ジャズはまだまだ「存命」である。

Band of Other Brothers『Look Up!』(写真左)。2021年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Will Lee (b), Keith Carlock (ds), Nir Felder (g) , Jeff Babko (key), Jeff Coffin (sax)。今年70歳。衰え知らずのフュージョン界のレジェンド・ベーシスト、ウィル・リーを筆頭に、LAやNYを拠点に活動するフュージョン畑の名手が集結。小粋なクロスオーバー&フュージョン・ジャズを繰り広げている。

バンド名が「Band of Other Brothers」。ドラムにキース・カーロックは、スティーリー・ダンのドラム担当で有名。ニア・フィルダーはコンテンポラリーな中堅ギタリスト。キーボードのジェフ・バブコはマーク・ジュリアナ’s BEAT MUSIC出身の鬼才。サックスのジェフ・コフィンはベラ・フレック&ザ・フレックトーンズの元メンバー。しかし、フュージョン畑の曲者ばかり集めていると感じる。

これだけの曲者の集まりだと、1つの「音の志向」にまとめるのが大変だと思うのだが、リーダー格のウィル・リーは、そこを上手くやっている様に感じる。とにかく、音のまとまりが素晴らしい。メンバー全員が1つの「音の志向」を見ていてブレが無い。よって、演奏には迷いやダレたところや手慣れたところが無く、適度なテンションの下、しっかりアレンジされ、しっかりまとまりのあるサウンドに仕上がっている。
 

Band-of-other-brotherslook-up

 
音の志向は、基本的には、仄かにファンクネスを感じる、アーバンでアダルトなフュージョン・ジャズ。音の雰囲気は、バブコのキーボードがリードしている。エレピ、アコピ共に、バブコ独特の音を出していて、これが、このバンドの「音の志向」作りに貢献している。とにかく、バブコのキーボードが目立つ。以前のフュージョン・ジャズの時代には無かった個性的な音だけに、このバンドのフュージョンな音作りは「新しく」感じる。

リズム&ビートは、ウィル・リーのベースとキース・カーロックのドラムの「賜」。ジャズ、ファンク、ブーガルーなグルーブを柔軟に適用し、心地良く8ビートにスイングする。カーロックのドラムがビートの前面に出る時は、音の雰囲気は「Steely Dan」っぽくなり、リーのベースがビートの前面に出る時は、音の雰囲気は「Crystal Green」っぽくなるから面白い。

メンバーそれぞれが「匠」の技を繰り出して演奏しているので、それぞれの収録曲の演奏は素晴らしく充実している。アレンジもこの曲者メンバーの集まりに見事に決まり、メンバーそれぞれの演奏がくっきり浮かび上がり、それがまた素晴らしい。かなり高いレベルのフュージョン・ジャズであり、フュージョン・ファンクである。

我が国では、あまり話題に上らなかった「Band of Other Brothers」の新盤であるが、 内容は素晴らしいので、フュージョン・ジャズ者の方々には是非お勧め。ながら聴きのフュージョン・ジャズ盤としてお勧めの優秀盤だと思います。そもそも「Band of Other Brothers」というバンド名も我が国では全く浸透していない。困ったもんです。
 
 
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2022年8月 9日 (火曜日)

スティックス・フーパーの新盤

1970年代、フュージョン・ジャズの中で一世を風靡したジャズ・ファンクなバンドが「クルセイダーズ(The Crusaders)」。ポップでファンキーなフュージョン・ジャズが素敵なバンドで、僕は大好きだった。

オリジナル・メンバーは、テキサス州のハイスクールで同級生だったウェイン・ヘンダーソン(トロンボーン)、ウィルトン・フェルダー (テナー・サックス)、ジョー・サンプル(キーボード)、スティックス・フーパー (ドラム)の4人。ベーシストはゲストだった。

このオリジナル・メンバーのうち、ドラム担当のスティックス・フーパー以外、既に逝去してしまった。スティックス・フーパーも、1938年8月生まれなので、今年で84歳になる。ここ10年以上、フーパーの名前を聞かないので、クルセイダーズ・サウンドって、もう歴史的な音になってしまったなあ、と思っていたら、スティックス・フーパーが突然、2010年以来、12年振りにリーダー作をリリースした。これはもう「ポチッとな」である(笑)。

Stix Hooper『Orchestrally Speaking』(写真左)。今年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、お馴染みのレジェンド Hubert Laws (fl), ロシア出身のEugene Maslov (p), スウェーデン出身のAndreas Oberg (g), 米国ニューオリンズ出身のJamelle Adisa (tp), 米国NY出身のScott Mayo (sax), 米国ロス出身のDel Atkins (b)。インターナショナルなボーダーレスのメンバー選定。
 

Stix-hooperorchestrally-speaking

 
大ベテランがリーダー作を録音する際にありがちな、旧知の仲良しメンバーが集ったセッションでは無く、インターナショナルなメンバー選定というところに、フーパーの「やる気」を強く感じる。

さて、出てくる音といえば、クルセイダーズ・サウンドからファンクネスを薄めて、フュージョン・ジャズではなく、スムース・ジャズ寄りのアレンジを加えた感じの音世界。それでも、ファンクネス漂うグルーヴ感は一貫して、それぞれの演奏の底にあって、このグルーヴ感こそが、クルセイダーズ・サウンドのグルーヴ感に通じるもので、それは、取りも直さず、フーパーのドラミングが醸し出しているのだ。

フーパーのドラミングは、スムース・ジャズっぽくなってはいるが、その叩き方、リズム&ビートの傾向は、クルセイダーズ時代の頃と変わらない。フーパーが1983年に脱退して以来、20年弱が経過しているが、クルセイダーズのフーパーのリズム&ビートは健在である。多国籍なバック・バンドの演奏も内容の濃い、素敵な演奏で、リーダーのフーパーの標榜する「スムース・ジャズなクルセイダーズ」な音をしっかりと現実のものとしている。

今年4月のリリースなんだけど、ネットを見渡すと、ワールドワイドで、このスティックス・フーパーの新盤は話題になっていない。フーパーって過去の人扱いなのかな。でも、知らないジャズマンのリーダー作だったとしても、この新盤を聴くと、この盤、意外といける、って感じること請け合い。クルセイダーズのファンだった方々には、特に一聴をお勧めしたい「小粋なスムース・ジャズ」盤です。
 
 

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2022年5月 7日 (土曜日)

ホールズワースの最高傑作です

現代においても、ジャズ・ギタリストには従来の伝統的なモダン・ジャズギター系と、クロスオーバー・ジャズより生まれ出でて発展した、クロスオーバー&フュージョン系のギターと2通りのスタイルに分かれる。どちらのスタイルも順調に深化を続けていて、有望な後継者もしっかりと出現していて頼もしい限りだ。

Allan Holdsworth『I.O.U.』(写真)。1979年の録音。1982年のリリース。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g, vln), Paul Williams (vo), Gary Husband (ds, p), Paul Carmichael (b)。借金までして自主制作した初ソロ・リーダー作。ハードで心地良く捻れて、ウネウネ・フレーズを擁して訴求力抜群なホールスワースのエレギが心ゆくまで堪能出来る。

この盤がアラン・ホールズワースの正式なソロ・デビュー盤になる。この『I.O.U.』の前に、CTIにて録音した『Velvet Darkness』があるが、ホールズワースは「この録音はリハーサル・テイクで、正式にリリースを許可した覚えは無い」ということで、自身のリーダー作として認めていない。
 
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確かに『Velvet Darkness』は荒削りな内容になっているので、それは「そういう理由やったんや」と思わず納得した。極的には『Velvet Darkness』は、ホールズワースとして納得いくものだった様で、よく聴けば、多くのトラックが、この『I.O.U.』に、より洗練され、完成度を上げて収録されていることが判る。とにかく、ホールズワースの初ソロ・リーダー作であり、かつ最高傑作の誉れ高い名盤である。

自身がもてるテクニックをふんだんに盛り込みつつ、しっかりとアレンジされた、ストイックでクールな演奏は、初リーダー作とはいえ、かなりのレベルにある。ホールズワースのエレギは、アームを駆使した捻れフレーズに、独特で流麗なレガート奏法をメインにバリバリ弾きまくっていて爽快。英国のプログレ・バンドを渡り歩いただけあって、基本はプログレ風、そこにジャジーな要素が加わるユニークな「ジャズロック」風フュージョン・ギターで、実に個性的。

バックのベース、ドラムのリズム隊も、ホールズワースのハードなエレギにしっかり耐え、なかなか迫力あるリズム&ビートを供給している。トリオでこれだけ迫力のある音が出せるなんて、凄いなあ。迫力だけじゃ無い、テクニックも優秀、歌心もあって、申し分の無いクロスオーバー&フュージョン系のエレギを聴くことが出来る。ホールズワースの才能の全てを感じ取る事ができる「ホールズワース入門」盤としても、なかなかイケる盤である。
 
 

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2022年4月16日 (土曜日)

日だまりのようなジャズです。

ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)は、メインストリーム志向のジャズ・ヴィブラフォン(ヴァイブ)の第一人者。伝説のカルテット、Modern Jazz Quartet(MJQ)のメンバー。しかし、1974年、ミルトが退団したいと申し出たのが発端で解散。理由は22年間、MJQで地道に音楽活動を続け、それなりの評価を得て来たにも拘わらず、新進のロック・ミュージシャンに較べ報酬が少ないことが不満だったから、とか。

が、解散後、ミルト・ジャクソンはロック・ミュージシャンに転身した訳ではない。逆に、純ジャズ志向のミルト・ジャクソンは、クリード・テイラーが設立したクロスオーバー&フュージョン・ジャズがメインのジャズ・レーベルの下で、解散前の1970年代前半に4枚のリーダー盤をリリースしている。その最初の一枚がこの盤。

Milt Jackson『SunFlower』(写真左)。1972年12月12, 13日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Freddie Hubbard (tp, flh), Herbie Hancock (p), Jay Berliner (g), Ron Carter (b), Billy Cobham (ds), Ralph MacDonald (perc)。このパーソネルに、ストリングス・オーケストラが加わる。アレンジは Don Sebesky (arr, cond)。

錚々たる面子による、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズだが、ミルト・ジャクソンのヴァイブが全面的にフィーチャーされている。ミルト・ジャクソンのヴァイブの個性がしっかり押し出されている。マイルドで優しいヴァイブの音色。途方も無く素晴らしい演奏テクニック。ブルージー&ジャジーな、そして、グルーヴ感溢れるパフォーマンス。
 

Sunflower_milt-jackson

 
そんなミルト・ジャクソンのパフォーマンスを聴いていて、「日だまりのようなジャズ」をイメージした。ホンワカして柔らかで、それでいて、芯がしっかり通っていて優しくて心地良い。ストリングス・オーケストラとエレピで優しく包んだ、どこか切なくなるような柔らかいミルトのヴァイブ。

そんな「日だまりのようなジャズ」は、1970年代、クロスオーバー&フュージョン・ジャズを牽引し、後のスムース・ジャズの源を作った、CTIレーベルのアルバムに多く聴くことが出来る。1950年代のハード・バップの様に熱くは無い。1960年代のファンキー・ジャズの様にノリノリでは無い。フリー・ジャズやアヴァンギャルド・ジャズの様に激しくない。聴いていて柔らかく心地良い、ソフト&メロウなモダン・ジャズ。

バックは決して甘きに流れない、一本芯の入った、玄人好みのバッキング。超一流のバックの面々。彼らの演奏テクニックが、甘きに流れてしまいそうな、イージーリスニングに陥りそうなソフト&メロウなジャズを、しっかりと、メインストリーム志向のモダン・ジャズに留めている。

聴き入っていると、ついつい、まどろんでしまいそうな儚さ。ほんわかして柔らかで、それでいて、芯がしっかり通っていて、優しくて心地良い、甘美で官能的な響き。1970年代ジャズの成果である、フュージョン・ジャズの音世界のひとつがここにある。
 
 

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2022年4月 7日 (木曜日)

最近出会った小粋なジャズ盤・6

ゲイリー・バートンの音楽が好きである。1960年代後半のサイケデリックなジャズも良いし、クロスオーバーなバートンも良い。1970年代以降のニュー・ジャズなバートンも良い。チックとのデュエットなどは至高の音だ。ゲイリー・バートンの参加作品はできる限り全部聴くことにしている。今でも、たまに「こんなバートン盤ってあったっけ」という盤に出くわすことがある。

このジャケットを見た時は、1960年代後半のクロスオーバー・ジャズ時代のゲイリー・バートンのアルバムかと思った。逆に、こなアルバムあったっけ、という疑問が頭をよぎる。ジャケットを見ると、メンバーの名前が印刷されているが、どう考えても1960年代後半の面子では無い。とにかく聴いてみることにした。

Gary Burton『Cool Nights』(写真左)。1991年のリリース。GRPレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Will Lee (b, perc), Peter Erskine (ds, perc), Wolfgang Muthspiel (g), Bob James (key), Bob Berg (ts)。錚々たるメンバーである。この面子から、フュージョン・ジャズ指向の盤だと察しが付く。
 

Cool-nights_gary-burton

 
GRPレコードのロゴがジャケットに無いジャケ写を見たので、1960年代後半のクロスオーバー・ジャズ時代のゲイリー・バートンのアルバムと勘違いしたが、この面子を見れば、これは1980年代後半以降のフュージョン・ジャズ指向の音作りだ、と思いつつ聴くと、やはり、上質のフュージョン・ジャズの音が満載。いずれも百戦錬磨の強者ばかりなので、詳細は割愛するが、とにかく上手い。但し、決して上手いだけでは無い。

しっかりとそれぞれの個性をそこはかとなく出しつつ、バートンのヴァイブとフレーズにあったバッキングをガッチリとやってのける。ベースのリー、キーボードのジェームス、ギターのムースピールなど、少し聴けば直ぐに判る強烈な個性を持ちながら、バートンのバッキングでは、バートンのヴァイブを引き立て、鼓舞する役割に徹している。ううん、これは真の「職人技」やなあ。

純ジャズっぽい8ビートを叩き出すアースキンのドラムが肝。この盤の音を「コンテンポラリーな純ジャズ志向」のフュージョン・ジャズな音に仕立て上げている。決して、ソフト&メロウなフュージョンの音ではない。意外と硬派で純ジャズ志向の演奏は聴いていて爽快。アーバンなグルーヴ感や趣味の良いブルージーな感覚も見え隠れして、聴き応え十分。1990年代のフュージョン・ジャズの優秀盤として、フュージョン者の方々は必聴でしょう。
 
 

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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
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