2019年9月27日 (金曜日)

幻のコルトレーン・フォロワー

コルトレーンはジャズ・テナーマンの共通の指針である。コルトレーン存命中は、当然、本人がいるので、スタイルを真似ることはあまりなかったが、コルトレーンが、1967年7月に急逝した後、出てくる出てくる、コルトレーンのフォロワーが続々出てくる事態になる。とにかくコルトレーンの奏法は魅力的で、とにかくフォロワーになりたい。いわゆるジャズ界最高の「ミュージシャンズ・ミュージシャン」がコルトレーンなのだ。

猫も杓子もコルトレーン・スタイルになっていく訳だが、時代は1960年代後半から終盤、米国ではポップスやロックが台頭し、人気を獲得しつつあった。その結果、ジャズはその人気を落とし、徐々に売上も下降線。特に、コルトレーンのスタイルは硬派でストイックで自由度が高い。よって、音楽を気楽に聴いたり、なにかをしながらの「ながら聴き」には「ほぼ向かない」。

つまりは、コルトレーン・スタイルのテナー盤は売れない、という事態に陥る。逆に言うと、コルトレーンはジャズにとって良い時代に出現し、そして、ジャズ人気が大きく傾きだした頃、あの世に去って行ったことになる。当時、コルトレーン・スタイルのテナー盤は売れ行きが悪かったか、音源自体お蔵入りになったものが多かった。世知辛いものである。
 
 
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Tyrone Washington『Natural Essence』(写真左)。1967年12月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Tyrone Washington (ts), Woody Shaw (tp), James Spaulding (as, fl), Kenny Barron (p), Reggie Workman (b), Joe Chambers (ds)。タイロン・ワシントンは、当時、ブルーノート・レーベル期待の若手テナーマンだった。バックを張るメンバーも充実、満を持してのリーダー作である。

スタイルは明らかに「コルトレーン・テナー」。コルトレーンに比べると穏やかで端正な「コルトレーン・スタイル」なテナーである。圧倒的な「パワフルでフリー」なブロウ。流麗、またはアブストラクトな展開。聴き応え充分なテナーは聴き所満載。演奏曲をそれぞれ聴くと、アブストラクトでフリーな側面と、ポップで流麗で端正な側面を上手く合わせて配置している。この盤1枚でワシントンのテナーの個性をしっかりと確認することが出来る。

バックのメンバーも粒ぞろい。特に、ウッディ・ショウのトランペットとケニー・バロンのピアノが好調、好印象。そして、タイロン・ワシントンのテナーはコルトレーンの後継の一人として期待をかけても良い位の内容。しかし、ワシントンがこれだけの実力派テナー・マンであったにも関わらず、1974年に『Do Right』をリリースした後、忽然と姿を消した。聴衆の「嗜好の変化」とは残酷なものである。
 
 
 
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年9月12日 (木曜日)

顔の「どアップ」に好盤あり・1

ブルーノート・レーベルはジャケット・デザインにも定評がある。特に、1500番台、そして4000番台から4200番台は、優れたデザインのジャケットの宝庫。駄作が無いのが素晴らしい。特にジャズメンのポートレートの処理が素晴らしい。必要な部分をクローズアップして、不要な部分はバッサリ切り捨てる潔さ。そして、顔のどアップを「バーン」とジャケットに持ってくる大胆さ。

Bobby Hutcherson『Cirrus』(写真左)。1974年4月の録音。BN-LAシリーズの「257-G」。 ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib, marimba), Woody Shaw (tp), Emanuel Boyd, Harold Land (ts, fl), William Henderson (ac-p, el-p), Ray Drummond (b), Larry Hancock (ds), Kenneth Nash (perc)。

1970年代の録音である。知っている名前は、ヴァイブ担当でリーダーのハッチャーソンとトランペットのウッディ・ショウ、テナーのハロルド・ランドくらいである。後はほどんど馴染みが無い。どこかで見たかなあ、という程度。しかし、中身は意外としっかりしている。録音年の1974年といえば、ジャズ界はクロスオーバー・ジャズが流行。この番にどんな音が詰まっているのか、不安になる。
 

Cirrus-bobby-hutcherson

 
アルバムを聴き始めてビックリ。そんな時代に、立派な「新主流派のモーダルなジャズ」が展開されている。しかも、演奏自体が尖っておらず、マイルドで耳当たりの良いモード・ジャズ。1960年代初頭から始まったモード・ジャズ。この盤が録音された1974年、モード・ジャズは成熟の域に達していた。このアルバムに詰まっている音がその「痕跡」である。

この盤で、この成熟したモード・ジャズの中で、優れたパフォーマンスを発揮しているのが、ヴァイブ担当でリーダーのハッチャーソンとトランペットのショウ、テナーのランドの3人。ハッチャーソンとランドはハードバップ時代からの強者。ショウは新進気鋭の若手。この3人が成熟したモード・ジャズを、クールにマイルドで耳当たりの良い、それでいて、芯のあるモード・ジャズを展開している。

アルバム・ジャケットは、ハッチャーソンの顔の「どアップ」。決して不快な感じはしない、どこか爽快感漂う「どアップ」。僕がブルーノート・レーベルのアルバムを聴いてきた中で感じたこと。顔の「どアップ」のジャケットに好盤あり。
 
 
 
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2019年9月 9日 (月曜日)

おどろおどろしいジャケ・6

このジャケットも強烈である。ブルーノート・レーベルお得意の写真をアーティスティックにあしらったジャケットでは無く、なんと「イラスト」である。前知識無くこのジャケットを見れば、絶対にブルーノート・レーベルのアルバムだとは思わないだろう。というか、まず「ジャズ」のアルバムだとは思わない。

Jimmy McGriff『Black Pearl』(写真左)。ブルーノートの4374番。1971年、 New Jerseyの「the Golden Slipper Newark」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy McGriff (org), Ronald White (tp), Joseph Morris (as), Arthur "Fats" Theus (ts), William Thorpe (bs), O'Donel "Butch" Levy (g), Willie "Saint" Jenkins (ds)。リーダーでオルガンのマクグリフ以外、知らない名前ばかりだ。

内容はと言えば、当時流行の「ソウル・ジャズ」。それも、聴かせることメインのイージーリスニングっぽいものでは無く、ちょっと硬派でカッチリとした、ハードバップのイメージが残る「ソウル・ジャズ」である。マクグリフのオルガン自体が硬派でカッチリしている。しかし、ジミー・スミスの様に豪快に弾き回すのでは無く、小粋にソウルフルに弾き回す。これが実に良い雰囲気。
 
 
Black-pearl-jimmy
 
 
オドネル・リーヴィーの思いっ切りグルーヴを感じるギター・ワークも聴き逃せない。マクグリフのオルガンとリーヴィーのギター、この二人が織りなすグルーヴは明らかに「黒い」。黒人でないと出せない、東海岸ジャズだからこそ出せる、こってこてファンキーなグルーヴ感。意外と、音のエッジがソリッドなどで、決して「緩く」ならない。

収録曲はというと、ファンキー・ジャズなチューンとして、タイトル曲の「Black Pearl」や「Ode To Billy Joe」が良い雰囲気。はたまた、渋い渋〜いブルース曲の「Groove Alley」などは聴きもの。エリントンの定番曲「C Jam Blues」のソウル・ジャズ・バージョンは聴いていて、実に楽しい。ライブならではの演奏のノリも心地良く、聴衆の反応も「グッド」。

この「おどろおどろしい」イラストのジャケット・デザインからは想像出来ない、ちょっと硬派でカッチリとした、ハードバップのイメージが残る「ソウル・ジャズ」。マクグリフのオルガンも好調。フロントのホーン隊もグルーヴ感満点。オルガンがメインの「ソウル・ジャズ」の好盤です。ジャケット・デザインには目をつぶって「聴くべし」。
 
 
 
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2019年9月 8日 (日曜日)

おどろおどろしいジャケ・5

「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの宝庫になってしまったブルーノート・レーベルの4300番台。4300番台のアルバムの名誉の為に言っておくと、アルバムの内容的には水準以上のものが大多数。たまに「あれれ」という内容の盤もあるが、そこはさすがにブルーノート・レーベル、「腐っても鯛」(?)である。

しかし、このアルバムなどは、何故こういうジャケット・デザインになったか、全く理解に苦しむもの。この盤に出会ったのは、今から15年ほど前。この盤の内容を確認して、これはちょっと酷いなあ、と思ったことを覚えている。当時のアルバム・ジャケットのデザインを担当者に確認してみたい位だ。

Reuben Wilson『Blue Mode』(写真左)。ブルーノートの4343番。1969年12月12日の録音。ちなみにパーソネルは、 Reuben Wilson (org), John Manning (ts), Melvin Sparks (g), Tommy Derrick (ds)。ソウル・オルガンの雄、リューベン・ウィルソンのギター入りカルテット盤である。
 
 
Blue-mode-reuben-wilson   
 
 
内容的には、ソウル・ジャズというよりは、しっかりした内容のファンキー・ジャズ、意外と硬派なファンキー・オルガンを聴くことが出来る。これは恐らく、テナー・サックスのジョン・マニングの存在の影響だろう。マニングのテナーが意外と新主流派で硬派な吹きっぷりで、このモーダルな吹きっぷりに引き摺られて、バンドの演奏全体が、意外と硬派なファンキー・ジャズな雰囲気になったのかと。

パーソネルを見渡すと、知らない名前ばかりが並んではいるが、演奏のレベルそのものは水準以上。ブルーノート・レーベル4300番台には珍しく、聴き手に迎合すること無く、ファンクネスも適度に硬派なファンキー・ジャズを展開しているところは「聴きもの」かと思います。リューベン・ウィルソンの硬派なファンキー・ジャズ盤ですね。

というまずまず良い内容の盤なのに、この「おどろおどろしい」ジャケット・デザインは何なんだ。このジャケットを見て、この盤の購入を決める人って、ちょっと替わった人では無いかと。まず、レコード屋のカウンターに持って行くのに勇気が要る。まあ、今の目で見ると、かえって、この「おどろおどろしい」ジャケット・デザインが愛おしかったりするけど(笑)。
 
 
 
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2019年9月 7日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・4

そのジャケット・デザインのアート性が非常に高く評価されているブルーノート・レーベルではあるが、創始者&総帥のアルフレッド・ライオンがリバティ・レコードにその権利を売却してからの4300番台は、打って変わって「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの宝庫になった。

ブルーノート・レーベルの4300番台は、1968年から1972年に渡ってリリースされたシリーズで、内容的には、当時の流行のソウル・ジャズやジャズ・ファンクの新盤、そして、過去のハードバップ盤の発掘リイシュー。収録されたジャズの種類は大きく分けて、その3つになる。で、どうしたら、そんな「おどろおどろしい」ジャケットがあしらわれるか、その動機がよく判らない。

Brother Jack McDuff『Moon Rappin'』(写真左)。ブルーノートの4334番。1969年12月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Brother Jack McDuff (org), Unknown (tp), Bill Phillips (ts, fl), Unknown (bs, ts), Jerry Byrd (g), Richard Davis (el-b), Joe Dukes (ds)。トランペットとバリトン・サックスの担当の名前が判らない。ブルーノート・レーベルにしては珍しいこと。
 

Moon-rappin

 
この辺りになると、録音スタジオもブルーノート御用達の「Van Gelder Studio」では無くなってくる。この盤はNYの「Soundview Recording Studio」での録音である。確かにちょっと録音の響きというか雰囲気が異なる。中身はライトなオルガンによるソウル・ジャズ。アーシーさと流麗さがほどよくミックスされた、聴き易いオルガン・ジャズである。
 
決して、こってこてファンキーなオルガンを期待してはいけない。時は1960年代終盤。ポップな音で聴き易いアルバムでないと売れない。ファンクネスを迫力を持って聴かせる時代では無く、ライトでアーシーで流麗なオルガン・ジャズをソウルフルに聴かせることがトレンドの時代。そういう意味で、マクダフのオルガンもライトで聴き易い。
 
演奏全体は充実していて、キメるとことはバッチリ「キメて」いて、適度なアクセントとメリハリのある演奏は決して耳触りでは無い。ながら聴きにも十分使える、ライトで聴き易いオルガン・ジャズ。しかし、そんな内容のアルバムなのに、どうしてこんなジャケット・デザインになるのか。初めて、ジャケットを手に取って見た時は、さすがに「引き」ました(笑)。
 
 
 
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2019年8月31日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・3

 

しかし、ブルーノート・レーベルのジャケット・デザインって、4300番台に入って一気に崩れるんですよね。4200番台まではそんなに変なジャケット・デザインは無かった。しかし、4300番台に入って、いきなり崩れた。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの引退とリバティへの売却が原因なんだろう。アルバム制作の精神的支柱を失って、ジャケット・デザインが総崩れ、といったところと想像している。
 
今日も、合成写真を使った「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの盤をチョイス。まあ、これは「おどろおどろしい」ジャケット・デザインという程ではないが、どう頑張ったって、アルバムの内容に合致した、アルバムの内容を彷彿とさせるジャケット・デザインでは全く無い。このアルバムの内容を聴いて、どう考えたら、こういうジャケット・デザインを採用できるのか、当時の担当者にとくと訊いてみたい気持ちで一杯だ。

Grant Green『Carryin' On』(写真)。ブルーノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パーソネルを見渡せば、リーダーのぐりーんとドラムのムハンマド以外、全く知らない顔ばかり。ここまでくると、昔のブルーノートの録音パーソネルの充実は今何処、と溜息がでる。
 
 
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この盤は、ズバリ、リーダーのグラント・グリーンのギターを心ゆくまで堪能出来る盤である。意外と話題に上がることが少ないのだが、この盤のグリーンのギターって、こってこてのファンクネス、パッキパキのシングル・トーン、鼻歌を唄うような自然な雰囲気のフレーズの流れ、いわゆる「グラント・グリーンのギターの個性」をしっかりと聴き込める内容になっている。グラント・グリーン後期の好盤として再評価して欲しいですね。

ソウル・ジャズの雰囲気を基調としているが、ポップに過ぎず、メインストリームにして適度にリラックス。時代的に明らかにメインストリーム・ジャズ、いわゆるハードバップな内容では決して無い。といって過度にポップに偏らず、適度にポップな弾きっぷり。シングル・トーンでありながら、メロディーに流されず、しっかりと印象に残るアドリブ・フレーズ。ギターの底に流れるファンクネスによって、ソウル・ジャズな雰囲気が濃厚。
 
1950年代から活躍してきた、いわゆるハードバップな演奏をメインにしてきた、グリーンにとっては、この盤を録音した1960年代末は、ジャズマンとしてかなり厳しい環境ではなかったか、と思う。それでも、グリーンの素晴らしいところは、ポップに走らず、ソウルに迎合せず、あくまでメインストリーム・ジャズに軸足を残していたところ。今の耳に、しっかりと当時の「コンテンポラリーな純ジャズ」として鑑賞に耐える。なかなかの好盤である。ジャケット・デザインに惑わされるなかれ、である。 
 
 
 
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2019年8月30日 (金曜日)

おどろおどろしいジャケ・2

ブルーノートのジャケット・デザインのアート性は非常に高く評価されているのだが、4300番台には「これはなんだ」と首を傾げる凄まじいデザインのジャケットがある。昨日語った、ブルーノートの4300番台の「おどろおどろしい」ジャケット・デザイン。結構な数があるので、どんどん挙げていきますよ。

John Patton『Accent on The Blues』(写真)。ブルーノートの4340番。1969年8月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Marvin Cabell (ts, fl), James Blood Ulmer (g), Leroy Williams (ds)。後のアブストラクトでスビリチュアルなエレギで有名となった、ジェームス・ブラッド・ウルマーが参加している。ちょっと「ビックリ」。

まずは合成写真を使った、思いっ切りサイケデリックで、おどろおどろしいジャケットを探していこう。このジャケットも相当「きている」。中身はジャズである。オルガン・ジャズである。タイトルからブルースをメインにした曲選択をしている筈だ。なのに何故、こんなジャケットを選定するのか。まず、ぱっと見、何のアルバムか判らない。辛うじて、サイケなソウル・ミュージックかなあと思うくらい。
 
 
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しかし、中身は正統なオルガン・ジャズ。ちょうどハードバップ時代後期のしっかりと成熟したファンキー・ジャズな雰囲気がアルバム全体を包む。しかもメインは「ブルース風の曲」。決してポップには傾かない、しっかりと純ジャズの雰囲気を維持した、ちょっとライトで聴き易いトーンの演奏がズラリと並ぶ。4300番台にありながら、決してポップに傾いていないところがこの盤のユニークなところ。
 
パットンのオルガンは柔らかい温和な音。ジャズ・オルガンの最高峰、ジミー・スミスの様な切れ味良く攻撃的なフレーズは全く聴くことが出来ない。恐らく、後発のパットンはジミー・スミスのオルガンと比較されることを未然に避けたのはないか、と思われる。テクニックは確かだが、決して激情に身を任せず、切れ味を前面に出さない、柔らかくてエッジの角が取れたオルガンの音。これがパットンのオルガンだ。
 
そんなパットンのオルガンの傾向が、このアルバムで演奏されるブルース曲を通して、十分に確認出来る。ウルマーのギターも後の個性の片鱗を聴かせてくれていて、実にユニーク。演奏全体の雰囲気はハードバップ後期のファンキー・ジャズで、時代が進んでいる分、アーバンな雰囲気が色濃く漂う。おどろおどろしいジャケットだけど、中身はメインストリーム・ジャズ。意外と好盤です。
 
 
 
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2019年8月29日 (木曜日)

おどろおどろしいジャケ・1

ブルーノート・レーベルと言えば、そのジャケット・デザインのアート性が非常に高く評価されている。しかし、ブルーノート・レーベルの4300番台には、かなり「おどろおどろしい」ジャケットが沢山ある。どうして、そういうデザインを採用したのかはよく判らない。合成写真、イラストと表現手法は違えど、その「絵」の雰囲気は「おどろおどろしい」か「気色悪い」である(笑)。

4300番台がリリースされていた当時は、サイケデリック・アートやヒッピー・ムーヴメントが流行った時代。そういうトレンドに反応して、こういう「おどろおどろしい」ジャケット・デザインを採用したのだろうが、ジャズには全く合わない。しかも、その盤の内容にも、全く合致していないのだから始末が悪い。どうやって考えたら、こうなるのか。当時の担当者にその理由をしっかりと聞いてみたいものだ。

Lou Donaldson『Everything I Play Is Funky』(写真)。ブルーノートの4337番。1969年8月22日と1970年1月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Melvin Sparks (g), Idris Muhammad (ds) は録音両日共通。1970年1月9日は、Blue Mitchell (tp),Lonnie Smith (org), Jimmy Lewis (b) が加わる。1969年8月22日は、Eddie Williams (tp), Charles Earland (org) が加わる。2セッションでメンバーの多少の入り繰りはあるが、音の統一感は揺るがない。
 
 
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さすがに4300番台。ポップで楽しみやすいジャズを追求している。冒頭の「Everything I Do Gon' Be Funky (From Now On)」はアラン・トゥーサンの曲で、もうこれはソウルそのもの。ソウル・ジャズというよりは、モータウンに通じるソウル・ミュージックそのもの。ソウルは声帯で唄うが、ドナルドソンはアルト・サックスで唄う。演奏全体のファンクネスの濃さは半端ない。
 
2曲目「Hamp's Hump」以降、ソウル・ジャズな演奏がズッと続くのだが、5曲目の「West Indian Daddy」はいきなり「カリプソ・ジャズ」が展開される。これが楽しい。ファンクネスを控えめに、ポップ度を増して、ルーさんが楽しく旋律を吹き上げる。この曲が始まると、周りの雰囲気がパッと明るくなる様な気がする。良い曲、良い演奏だ。そして、ラストの「Minor Bash」に至っては、ルーさんが大の得意の「ファンキー・ジャズ」。
 
切れ味良く、適度なテンションを張りながら、アルト・サックスで唄うようにファンキーなフレーズを連発する。これぞルーさん、と思わず声をかけたくなる、ご機嫌な「ファンキー・ジャズ」。おどろおどろしいジャケットだけど、中身は「ルーさん」てんこ盛り。しかし、どうやったら、こんなサイケで、おどろおどろしいジャケットになるのかなあ。ブルーノートの4300番台は不思議なことだらけである。
 
 
 
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2019年8月23日 (金曜日)

4300番台の発掘リリース盤・3

この盤のジャケット・デザインを見れば、この盤がリリースされた1970年のジャズのトレンド、ソウル・ジャズやフラワー・ムーブメントをベースとしたサイケデリック・ジャズをベースとした内容ではないか、と想像する。しかし、いかに前進する改革精神旺盛なジャキー・マクリーンでも、まさか純ジャズを捨てて、売らんが為のトレンドの追求に走るかなあ、とも思う訳だ。

その盤とは、Jackie Mclean『Demon's Dance』(写真左)。BNの4345番。1967年12月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Woody Shaw (tp, flh), LaMont Johnson (p), Scotty Holt (b), Jack DeJohnette (ds)。フランシス・ウルフのプロデュース。まだ、ブルーノート・レーベルらしさが残っている時代の録音である。
 
この盤、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で採り上げられることが多い盤で、このジャケット・デザインから、ソウル・ジャズやフラワー・ムーブメントをベースとしたサイケデリック・ジャズを想起してしまい、なんでジャズ入門盤として相応しいか、よく理解出来ない時代が続いた。が、1990年代、紙ジャケ再発されて、やっと入手し、この盤を聴いて「あれ、これってモード・ジャズやん」と思った次第。
 
 
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慌てて録音年月日を確認したら1967年とある。発売が1970年、しかもこのジャケット・デザイン。何故、内容的には硬派なモード・ジャズなのに、このサイケデリックなジャケット・デザインになるのか。やはり、ブルーノート・レーベルの4300番台は理解に苦しむ盤が多い。しかし、確かにこの盤に録音されている音は、内容のある「新主流派の音=モーダルなジャズ」である。
 
パーソネルを見渡せば、トランペットのウッディ・ショウ、ドラムのジャック・ディジョネットが興味深い。どちらもほぼ完璧にモード・ジャズを演っている。特にディジョネットのドラミングは今の耳にも新しく響く。で、リーダーのマクリーンは、と聴けば、これもまたほぼ完璧にモード・ジャズを演っている。そう、このおどろおどろしい、サイケなジャケット盤、実はモード・ジャズの成熟した演奏を聴かせてくれる好盤なのだ。
 
年長のマクリーンが、ほぼ一回りも若い若手と組んで、年長のマクリーン自身が、モーダルでちょっとアバンギャルドな「新主流派ジャズ」の音世界を吹きまくるのに刺激されて、若手の他のメンバーが溌剌とした演奏を繰り広げる。モード・ジャズの成熟した演奏を楽しむ事の出来る好盤。モード・ジャズって何?、の答えにもなる様な、モード・ジャズのお手本の様な好盤でもある。
 
 
 
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2019年8月22日 (木曜日)

4300番台の発掘リリース盤・2

ブルーノートの4300番台は、ブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンが、ブルーノート・レーベルを大手レコード会社リバティーに売却した後、スタートしたシリーズ。大手レコード会社の配下なので、とにかく売上第一。そんな環境の中で、旧来のハードバップやモード・ジャズが発掘リリースされているのだ。これが僕には良く判らない。

Lee Morgan『The Sixth Sense』(写真左)。1967年11月と1968年9月の録音。BNの4335番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Frank Mitchell (ts), Billy Higgins (ds)は、2回に分かれた録音の両方に参加。1967年の録音については、Jackie McLean (as), Cedar Walton (p), Victor Sproles (b) が、1968年の録音には、Harold Mabern (p), Mickey Bass (b)が参加している。
 
1967年の録音はリーダーのモーガンとミッチェル、マクリーンの3管フロントのセクステット編成、1968年の録音はピアノとベースが替わり、フロントはリーダーのモーガンとミッチェルの2管のフロントのクインテット構成。2回に分かれた演奏は共に及第点の内容。特にピアノの演奏が個性的で、アルバム前半のウォルトンは堅実で典雅。アルバム後半のメイバーンは新主流派の響きを湛えた柔軟で硬派なバップなピアノ。
 
The-six-sense

 
一言で言えば、この盤は、リーダーのリー・モーガンのトランペットを心ゆくまで聴き込むことの出来る盤である。テナー・サックスのフランク・ミッチェルもフロントで健闘しているが、基本的にそのブロウは「普通」。それは、フロントに当時のベテラン、ジャキー・マクリーンのアルト・サックスが加わっても、さほど演奏のレベルと印象は変わらない。
 
逆に、モーガンのトランペットが意外にも元気だ。特にこの盤では、趣味良く展開されている。モーガンのトランペットについては、テクニックにもフレーズの展開にもブレが無い。モーガンがしっかりと吹いている。この盤、1970年にリリースされているので、約2年〜3年、お蔵入りになっていたことになる。録音当時、お蔵入りになった理由がどうにもこうにも判らない。

ハードバップ〜モード・ジャズについてはもう古い、という理由でずっとお蔵入りになっていたのなら理解出来るんだが。それでもリリースされて良かった。リーダーのモーガンのトランペットの素晴らしさがビンビンに伝わってくる。タイトルが「第六感」。ジャケットは意味不明な、モーガンの上半身の写真。それでも中身は上質のハードバップ〜モード・ジャズ。タイトルとジャケットに怯まず、一度は聴いて欲しい、モーガンの佳作です。
 
 
 
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