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2019年2月14日 (木曜日)

ショーター翁の素晴らしき3枚組

ジャズ界のレジェンドはどこまで歳を取っても「超一流」である。老いの衰えから来るレベルダウンがあってもおかしくないのだが、意外とジャズ界のレジェンドは「老い知らず」である。現役の若手のみならず現役の中堅までも置き去りにして、バリバリ吹きまくる。そのレジェンドとは「ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)」。

ウェイン・ショーターはジャズ界のテナー・サックスのレジェンドの一人である。ショーターは1933年生まれ。今年で86歳になる。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズで頭角を現し、マイルスの1960年代黄金のクインテットの一角を担う。1970年代から1980年代半ばまで、伝説のエレジャズ・バンド、ウェザー・リポートの双頭リーダーを務めた。

以降、ソロになってからも、コンテンポラリーな純ジャズでの最先端をいく演奏成果の数々は、その年齢を全く感じさせない素晴らしいものばかり。年齢を重ねる毎に枯れていくどころか、張りのある若い頃のテナーのまま、深みがグッと増して、若い頃の自分のテナーを遙かに超えている。今年で86歳の翁が、である。
 

Emanon

 
Wayne Shorter『Emanon』(写真)。2016年の録音。ちなみにパーソネルは、Wayne Shorter (sax), Danilo Perez (p)、John Patitucci (b), Brian Blade (ds), Orpheus Chamber Orchestra。CD2枚組。オリジナルカルテット+オーケストラで1枚、ロンドンでのカルテット単独のライブが2枚、という構成の3枚組CD盤である。

オーケストラとの共演は意外と平凡なイメージ。良くあるパターンですからね。でも、自由度の低いオーケストラの演奏をバックに自由に吹きまくるショーターのサックスは素晴らしい。硬軟自在、変幻自在、遅速自在、縦横無尽にショーターのサックスが乱舞する。アドリブ展開のイマージネーションの豊かさたるや、唖然とする。

しかし、やはり聴きどころはカルテット単独のライブの2枚。相当にぶっ飛んだ、最先端を行くネオ・ハードバップ&フリー・ジャズ。限りなく自由度の高いショーターのテナーとブレイドのドラム。自由に乱舞するテナーとドラムをしっかりとサポートする、パティトゥッチのベースとペレスのピアノ。硬派でキレッキレ、キラキラ煌めく様なカルテット演奏。いやいや、ショーター翁、凄いリーダー作を出したもんだ。もっともっと聴き込みたい。先ずは速報まで。

 
 
東日本大震災から7年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2019年1月 3日 (木曜日)

「自由への讃歌」の秀逸カヴァー

「初ジャズ」は、それなりに相応しい楽曲が入っている盤が良い。昨日ご紹介した「お琴」入りジャズはちょっと「出来レース」っぽい感じで、小っ恥ずかしい感じがするのだが、毎年、この楽曲が入っている盤は絶対に正月にかける、という盤がある。華やかというか、心にグッとくるというか、印象的な楽曲が入った盤をよく選ぶ。

その楽曲のひとつが「Hymn to Freedom」。邦題「自由への讃歌」。1962年、オスカー・ピーターソンが発表した曲。黒人たちの人権を訴える公民権運動の真っ只中、その応援歌として作られた。アルバム『Night Train』のラストに入っている。これが絶品で、ゴスペル調のファンキーで印象的な曲だ。「When every heart joins every heart And together yearns for liberty ....」から始まる歌詞も付けられて、ゴスペル・コーラスの名曲としても知られている。

昨年までは、このピーターソンのアルバム『Night Train』をかけていた訳であるが、昨年、この「Hymn to Freedom」(自由への讃歌)」のカヴァーバージョンの収録されているアルバムに気がついて、最近はこの盤の「Hymn to Freedom」(自由への讃歌)」もよく聴く様になった。ピーターソンのオリジナル演奏よりも、R&B色が濃く、ジャズ・ファンクなアレンジが実に素敵である。
 

Yesterdaytoday_tomorrow  

 
その盤とは、Gene Harris『Yesterday, Today & Tomorrow』(写真左)。1973年6月の録音。ちなみに、Gene Harris (p), Johnny Hatton (b), Carl Burnett (ds, perc)。ジーン・ハリスのピアノをメインにしたトリオ「スリー・サウンズ」のアルバムである。1973年の録音なので、トリオ演奏のアレンジはファンキー・ジャズというよりは、よりR&B調の強い「ジャズ・ファンク」な演奏に仕上がっている。

このジャズ・ファンクなアレンジに、この「Hymn to Freedom」(自由への讃歌)」という曲がとてもよく映える。聴いていて心地良く、かつ心にメインの旋律がアドリブの旋律が心に響く。曲の特性を前面に押し出した、ファンクネスが濃く漂うが決してくどくなく、耳に心地良く響く。こんなカヴァー演奏があったなんて、昨年、発見した時はビックリした。

冒頭の曲が、これも僕の大好きなスタンダード曲「On Green Dolphin Street」だったり、ジョージ・ハリソンの名曲「Something」のカヴァーもあったりで、収録された楽曲のどれもが、心地良いジャズ・ファンクなアレンジが施されており、なかなか聴いていて楽しい。新年に相応しい好盤だと思います。

 

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2018年12月21日 (金曜日)

グリーンの隠れた代表作です。

マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズ「Blue Note Classic LT series」。こんな音源があったんや、とか、こんな演奏が残ってたのか、なんて、聴いてビックリすることもしばしば。どうしてお蔵入りになったのか不思議なくらいな良質セッションがズラリと並ぶ。

Grant Green『Nigeria』(写真)。LT-1032番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Sonny Clark (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。いや〜、魅力的なパーソネルですね〜。4人とも、僕の大好きなジャズメンばかり。収録された曲は全て1962年1月13日の録音。つまり、1枚のアルバム全ての音源がお蔵入りになった、ということになる。

しかし、興味深い盤である。1962年という、ハードバップからファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、フリー・ジャズと、ジャズが多様化していった、ジャズがポップス化していった時代に、コッテコテ硬派なハードバップなジャズメンで固めた「スタンダード曲集」。リーダーのギタリスト、グラント・グリーンがピアノのソニー・クラークをフィーチュア、ロリンズの名曲「Airegin」やおなじみのスタンダードを演奏している。
 

Nigeria_grant_green

 
スタンダード曲集なので、イージーリスニング風な演奏内容なのかと思いきや、めっちゃ硬派ですっきりファンキーなハードバップな内容にビックリする。グリーンのパッキパキ硬質なシングルトーンが、なかなか小粋で渋いスタンダード曲の旋律を弾き進めていく。そして、アドリブ部に突入すれば、自由度高く、イマージネーション豊かに展開する。スタンダード曲を硬派にストイックにアレンジして、硬質なシングルトーンで決める。これが格好良い。

意外とストレートアヘッドなジャズが展開されていて、思わず聴き入ってしまう。冒頭の「Airegin」や「It Ain't Necessarily So」が、むっちゃ格好良い。そして、どの曲でもドラムのブレイキーの好演が耳を惹く。グリーンのギターとクラークのピアノが、ブレイキーのドラムに鼓舞された、徐々にノリ良く、白熱している様子が聴いていてよく判ります。

この音源がアルバム一枚分まるごとお蔵入りとはなあ。意味分からん(笑)。スタンダード曲をあまりに硬派にストイックにハードバップし過ぎたのでしょうか。確かに、この盤の演奏の数々、スタンダード曲がメインなんですが意外と骨太な演奏で、ながら聴きには全く向きません。聴き始めると思わず耳を峙たせて、思わず聴き入ってしまいます。グリーンの隠れた代表作と言って良い好盤です。

 
 
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2018年12月19日 (水曜日)

ジミー・スミスの未発表音源集

希少なブルーノートの未発表音源を収めた『ブルーノートBNLT999シリーズ』。それぞれの盤を聴き進めて行くと「おおこれは」と思わず耳をそばだててしまう音源にしばしば出会う。この音源って、どの時代の録音だろう、とか、どのアルバムの未発表音源なんだろう、とか想像しながら聴くのがとても楽しい。

Jimmy Smith『Confirmation』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), George Coleman (tracks: A1, B), Lou Donaldson (tracks: A2) (as), Art Blakey (ds), Kenny Burrell (g), Tina Brooks (tracks: A2) (ts), Trombone – Curtis Fuller (tracks: A1, B) (tb), Lee Morgan (tp)。録音日は「Confirmation」が1958年2月25日、その他2曲は 1957年8月25日。

聴いてみて、なんかどっかで聴いた編成やなあ、とか、どっかの盤で聴いたよな、という感覚を持ったので、これって、ブルーノートでの既発表のアルバムの未発表音源だなあ、と。で、どのアルバムの未発表音源なのか、とライナーノーツなどを読みあさる。収録された3曲とも、ジミー・スミスのオールスター・ジャム・セッション収録の『House Party』『The Sermon!』の未発表音源。
 

Comfirmation_jimmy_smith  

 
聴いていて、このテナーは誰か、このアルトは誰か、と思うのだが、全く判らない。これは誰かと思ったテナーはティナ・ブルックス、これは誰かと思ったアルトはジョージ・コールマンでした。この盤、録音の少ないブルックスや、アルトを吹いている初期のコールマンの演奏が聴けるんですね。アルト・サックスのジョージ・コールマンなんて、想像も出来ませんでした。

『House Party』『The Sermon!』の未発表音源なので、内容は素晴らしいです。お蔵入りになったのは、かなりの長尺演奏なのと、ジミー・スミスがあまり目立っていないところかと想像しています。ジミー・スミスって、かなり自己顕示欲が旺盛な方だったらしいので、自分が思いっきり目立たない音源ってオミットだったのでしょうか。本当だったら、その未発表音源となった理由って、人間臭くて僕は好きです。

目立たない、と言っても、要所要所で素晴らしいソロを展開しているので、この未発表音源についても、ジミー・スミスのオルガンは素晴らしいです。他のサイドメンの演奏も負けずに素晴らしい。そんな内容ある演奏で、しかも長尺。かなり迫力のある演奏で、この盤のリリースによって陽の目を見たのは、幸運なことだったと思います。

 
 
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2018年12月15日 (土曜日)

バリバリ新主流派のグリーン

1970年代中盤から80年代にかけて、マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズが「Blue Note Classic LT series」(略称:BNLT)。ジャズの常識として、未発表音源と言えば、正式にリリースされた音源に比べると、何かどこかに問題があってお蔵入りになった音源というイメージがある。しかし、このBNLTシリーズは違う。

音源によっては正式にリリースされた音源を内容的に凌駕するものはざらにあるし、そのジャズメンの違った側面が聴かれる興味深い音源もある。未発表音源だからといって、何かどこかに問題があってお蔵入りになったという訳ではないものが殆ど。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンに未発表音源盤を一枚一枚手に取って、お蔵入りになった理由をとくと訊きたいくらいだ。

さて、この未発表音源盤は「そのジャズメンの違った側面が聴かれる興味深い音源」の類である。Grant Green『Solid』(写真)。LT-990番。1964年6月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), James Spaulding (as), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Elvin Jones (ds)。ジャズ者のベテランの方々であれば、このパーソネルを見渡せば、ちょっとした違和感を感じるのではないだろうか。
 

Solid_grant_green_7

 
そう、グラント・グリーンを取り巻くメンバーは、いわゆる「新主流派」の代表ジャズメンばかり。従来のハードバップとは異なる、モーダルな演奏をメインにした先進的な演奏を想像する。聴いてみれば判るのだが、この盤の演奏の雰囲気は明らかに「モード・ジャズ」。グラント・グリーンはファンクネス溢れる、パッキパキなシングルトーンが個性の「ファンキー・ジャズ」なギタリスト。そんなグリーンが新主流派のメンバーに混じって、モード・ジャズをやるのだ。

これがまあ意外にも、内容の濃い硬派でシリアスなモード・ジャズなのだ。リーダーのグラント・グリーンが全く以て「モード・ジャズ」に適応している。特に急速ナンバーでは、コルトレーン・カルテットから招聘したマッコイのピアノ、エルヴィンのドラムを向こうに回して、丁々発止とモード・ジャズを展開する。このモード・ジャズに適応したグラント・グリーンを聴いて、彼のテクニックの高さを痛感した。

決して、お気楽なファンキー・ギタリストでは無かったグラント・グリーン。そんなグリーンの新境地を記録した意欲盤。当時特有の新主流派的な演奏が耳新しく響く。これだけ、グリーンのギターの従来からのイメージを覆しているのだ。当時は評価が定まらなかったのだろう。セールスを重んじるようになった時代、お蔵入りもやむなし、である。しかし、こうやってカスクーナに発掘され、音源化されたことは幸運だった。

 
 
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2018年12月14日 (金曜日)

BNLTシリーズのモーガンは無敵

1970年代中盤から1980年代にかけて、マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズが「Blue Note Classic LT series」。略称は「BNLT」。ジャケットは、統一感のある当時のUSA盤LPが基本(写真右)。どうしてお蔵入りになったのか不思議なくらいな良質セッションがズラリと並ぶ。

Lee Morgan『Sonic Boom』(写真)。LT-987番。1967年4月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), David Newman (ts), Cedar Walton (p), Ron Carter (b), Billy Higgins (ds)。当時はお蔵入り。ノリノリでソウルフルでハードにバリバリ吹きまくるモーガン。どこがお蔵入りなのかが判らない。天才モーガン、ここにあり。

1967年4月の録音だから、その3ヶ月後、ジャズ界ではジョン・コルトレーンが逝去。ジャズ界はポップなソウル・ジャズや相対するフリー・ジャズが「ない交ぜ」になって混沌とした時代。そんな時代に、こんなコッテコテのモーダルなハードバップな演奏があったとは。ハードバップ初期から大活躍してきたリー・モーガンが新主流派の音にしっかりと馴染んでいる。
 

Sonic_boom_lt987

 
1967年のリー・モーガンのリーダー作と言えば『The Sixth Sense』(BN4335番)が正式にリリースされただけ。他の録音は全てお蔵入り。そのお蔵入り音源の1つがこの『Sonic Boom』。この『Sonic Boom』の出来を聴けば、他の録音の内容も推して知るべし。なぜこれだけ優れた内容の「ファンキー+モード・ジャズ」が軒並みお蔵入りになったのか。謎は深まるばかりです。

モーガンにとって、テナーのデヴィッド・ニューマンの参加が良い刺激となっているようだ。ニューマンのテナーは典型的な「テキサス・テナー」。骨太でスピード感豊かに大らかにスケールの大きいテナーを吹き上げる。ノリノリ元気印のヒギンスのドラミングはフロント楽器を思いっきり鼓舞する。

そこにバイタルでソウルフルでハードなモーガンのトランペットが思いっきり絡んでくる。もうノリノリのモーガン。この盤でのモーガンは無敵である。ファンキーでソウルフルなトランペットがモーダルに舞い、モーダルに飛翔する。BNLTシリーズのモーガンは捨て曲無し。しかし・・・。当時、何故お蔵入りになったのか。やはり「謎」である。

 
 
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2018年10月14日 (日曜日)

ベニー・グリーン盤で活を入れる

このところ、ここ千葉県北西部地方は天気が悪い。全国の天気予報を見ると、どうも西日本は概ね秋晴れが広がっているのに、関東地方だけが天気が悪い。よくよく振り返れば、先週からほとんど晴れ間を拝んだイメージが無い。これだけ曇天が続くと気が滅入る。気が滅入ると精神的に暗くなる。これでは人としての生活に支障をきたす訳で、なんとか気持ちを持ち上げたくなる。

そういう時は好きな音楽を聴く。子供の時からズッとそうしてきた。今では好きな、自分にとって耳当たりの良く、気持ちに活を入れる様なジャズが一番良い。ジャズの中ではやはりピアノ・トリオになる。自分のジャズ盤のカタログを見ていて、今日は「これだ」という盤をチョイスする。ということで、今回、目についてチョイスしたピアニストが「ベニー・グリーン(Benny Green)」。

ベニー・グリーンは1963年4月、NYC生まれ。今年で55歳になる。バリバリ中堅のハードバップ・ピアニスト。端正でタッチの明確な、加えてメロディアスなアドリブフレーズが個性の「パウエル派」ピアニストである。彼の指回し、フレーズの展開は「バド・パウエル」の影響を受けていて、現代のハードバップなパウエルって感じのピアノが爽快である。
 

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今日の選盤は、The Benny Green Trio『That's Right』(写真左)。1992年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Benny Green (p), Christian McBride (b), Carl Allen (ds)。 ベースがマクブライド、ドラムがアレン、これはかなり強力な布陣。ピアノがどんな弾き回しをしても、柔軟に対応するテクニックの高さが魅力。

端正でタッチが明確なところは「総合力で勝負」するタイプかな、とも思ったが、速い指回しと流麗なアドリブ・フレーズは、底にファンクネスが色濃く漂い、左手のベースラインが実にブルージー。フレーズそのものに重力感があって、暫く聴けば「ベニー・グリーン」かな、と判る位、明確な個性。聴いていて、胸がスカッとする。

この盤でも、ビ・バップな雰囲気でテクニック溢れ、強いタッチでバリバリ弾きまくる。雰囲気がガラッと変わったな、と思ったら、今度はモーダルな雰囲気でバリバリ弾きまくる。変幻自在、硬軟自在な指回しに惚れ惚れする。我が国ではあまり人気が無いように感じるが、この人のアルバムにはバラツキが無い。どの盤でも、ピアニスト「ベニー・グリーン」を感じることが出来ます。僕のお気に入りのピアニストの一人です。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年10月 9日 (火曜日)

品の良い端正なソウルジャズ盤

ブルーノート・レーベルは硬派なジャズ・レーベルだと思われているが、実はそれぞれの時代のトレンドをいち早く押さえた、先取的なレーベルでもある。1960年代後半からのジャズ・ファンク、1970年代「ニューノート」の異名で知られる70年代のフュージョンの時代にユニークな盤がてんこ盛りである。同時代のソウルやファンクとも共鳴する新しい感覚のブラック・ミュージックを積極的にアルバム化している。

ということで、ファンキーなソウルジャズ盤である。The Three Sounds『Soul Symphony』(写真左)。1969年8月の録音。ブルーノートの4341番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Henry Franklin (b), Carl Burnett (ds) のピアノ・トリオが「The Three Sounds」、このピアノ・トリオをメインに、David Duke, Art Maebe (french horn), Buddy Collette (fl), Fred Robinson (g), Alan Estes (perc)が客演する。

ブルーノートの栄えある1500番台のラスト、1600番で鳴り物入りレビューした、ジーン・ハリス(写真右)率いるピアノ・トリオ「The Three Sounds」。ブルーノートのお抱えピアノ・トリオとして鳴らしてきたスリーサウンズが、なんとこってこてファンキーなソウルジャズに変身している。僕はこの盤を初めて聴いた時、スリー・サウンズとは全く判らなかった。アルバム・ジャケットを見てビックリ。
 

Soul_symphony

 
ファンキーなソウルジャズとは言っても、1969年なのでまだまだ端正で品の良いソウルジャズである。ストリングスが入ったり、コーラスが入ったりで、アレンジも豪華。それでも、ファンクネスはタップリ、オフビート芳しい、ユルユルなノリのミッドテンポ。思わず、ゆらゆらと体が揺れる。品の良い端正なソウルジャズ。そんなジャズロックをアコースティックなピアノ・トリオをメインにやるのだから、その音はかなりユニーク。

タイトル曲の「Soul Symphony」は26分越えの大作。端正で品の良いソウルジャズなんが、演奏の途中、何度もファンキーな転調を経て、バラエティーに富んだ展開が素晴らしい。そんなソウルジャズな演奏がてんこ盛りなんだが、ピアノ・トリオがしっかりとジャジーな音を展開させているところが良い。そこが「品の良い」という印象を受けるところなんだと思う。

じっくり聴くも良し、ながらで聴くも良し、とっても聴き心地の良いソウルジャズです。アルバム・ジャケットは、1969年のリリースなんで、もはやブルーノートらしさは全く無い「ふぁんき〜」なデザインなんだが、このデザインに怯んではならない。我が国の硬派なジャズ者の方々からは忌み嫌われるソウルジャズですが、決して俗っぽくはありません。中身の音は素性の良いソウルジャズです。

 
 

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2018年10月 8日 (月曜日)

ホレス・パーランの不運な好盤

ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンは、是が非でもパーランに良いデビューをさせたかった。1960年はパーランのリーダー作デビューの年には、4枚のリーダー作がリリースされている。2枚は純粋なピアノ・トリオ。1枚は、2管フロントのクインテット。そして、最後の1枚がこのコンガ入りの変則ピアノ・トリオ。

ただ、なかなか上手くいかなかったのか、デビュー翌年の1961年に2枚のリーダー作がリリースされたが、次の1962年はリーダー作のリリースが無く、1963年の1枚がブルーノート・レーベル最後のリリースとなっている。以来、2018年9月25日のブログ(左をクリック)でご紹介した『Arrival』のリリース年である1973年まで、なんと10年間、沈黙したのである。

そのブルーノート・レーベル最後のリーダー作が、Horace Parlan『Happy Frame of Mind』。1963年2月15日の録音。ブルーノートの4134番。ちなみにパーソネルは、Horace Parlan (p), Johnny Coles (tp), Booker Ervin (ts), Grant Green (g), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。トランペットとテナー、そしてギターをフロントに据えたセクステット構成。
 

Happy_frame_of_mind  

 
セクステット構成と言えば、ジャズからしてかなり重厚な編成になる。音の厚みはかなりのものになるが、主役のピアノが前面に出る機会はトリオ構成に比べてかなり減る。しかし、収録曲6曲中、パーラン作の曲は2曲のみ。パーランの作曲能力をアピールする訳でも無く、パーランのピアノの個性を前面に押し出すことも無く、なんともはや中途半端なプロデュースである。ただ、この盤でもパーランのピアノの個性は良く判る。

右手の転がる様なフレーズのストロークが短く、この短いストロークを連続させることで流麗なイメージを創り出している。左手のブロックコードは、右手の流麗なフレーズに向けたアクセントとして響く。パーランのピアノは申し分無い。何故、もっとトリオ構成でリーダー作を出さなかったのだろう。バックのジャズメンも良い音出している。間の使い方が絶妙なコールズのトランペット、独特なフレーズで個性的なテナーのアーヴィン、そして、グリーンのシンプルでパキパキなファンキー・ギター。

ハードバップとして流麗で良い雰囲気でまとめられてはいる。ハードバップ好きからすると聴いて楽しめる盤ではあるが、突出した特徴や個性が希薄な分、地味な存在に甘んじている不運な盤である。ホレス・パーランというピアニストをメジャーな存在に押し上げるにはちょっと弱いかな。この盤以降、パーランのリーダー作はブルーノートからのリリースは途絶え、10年間の冬眠に入るのだ。

 
 

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2018年10月 6日 (土曜日)

ユルユルのグルーヴ感が堪らない

ブルーノート・レーベルはジャズの基本レーベルのひとつ。ジャズの歴史の殆どを網羅するレーベルは、実はブルーノート・レーベルしかない。他のレーベルはジャズの歴史の部分部分をサポートする存在。ブルーノート・レーベルがジャズのレーベルの中で「No.1」とされる所以である。

そんなブルーノート・レーベルの約80年の歴史は決して平坦なものでは無かった。1979年に一旦活動を停止、1984年、EMIの傘下でジャス・レーベルとして復活。以降、ネオ・ハードバップから、それぞれの時代の最先端のジャズのアルバムをリリースし続けている。ブルーノート・レーベルの特徴は、その「それぞれの時代の最先端のジャズ」を記録してきたこと。時にはユニークな盤をリリースしていたりする。

特に1960年代後半からのジャズ・ファンク、1970年代「ニューノート」の異名で知られる70年代のフュージョンの時代にユニークな盤がてんこ盛りである。同時代のソウルやファンクとも共鳴する新しい感覚のブラック・ミュージックを積極的にアルバム化している。これが面白い。硬派なジャズ者の方々からすると「これはジャズではない」のだが、僕は「これもジャズ」と思っている。
 

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Reuben Wilson『Set Us Free』(写真左)。1971年7月23日の録音。パーソネルは書かない。もうこの時代のジャズ・ファンクの盤になると、参加ジャズメンの名前は知らない名前ばかり。当時のスタジオ・ミュージシャン辺りが集結したイメージである。しかも、ジャズには無かった楽器も散見される。この盤ではハープが参加している。でも、ジックリ見渡せば、ベースにリチャード・デイヴィス、エレギにデヴィッド・スピノザが見える。

リーダーのリューベン・ウィルソンはオルガン奏者。ジミー・スミスばりの硬派なオルガン奏者では全く無い。正反対の「ユルユル」なオルガンである。しかし、この「ユルユル」が不思議なグルーヴを醸し出す。この不思議なグルーヴを、これまた「ユルユル」のエレギとサックスとコンガが増幅する。この独特の「ユルユル」のグルーヴ感が堪らない。

そこにファンクネスてんこ盛り。このファンクネスが心地よさを増幅する。女性コーラス・グループして、メロウさも増幅。「踊れる、グルーブ感がある」ものとして発掘され、再評価を受けた過去の楽曲である「レア・グルーヴ」。この盤も「レア・グルーヴ」。現代のクラブ・シーンでサンプリングされている。

 
 

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