2022年11月30日 (水曜日)

ロイド「Trio of Trios」の第二弾

3つのトリオによる3枚のアルバムからなる新プロジェクト「トリオ・オブ・トリオズ」の第一弾は『Trios: Chapel』(左をクリック)。2018年12月4日、テキサス州サンアントニオのコーツ・チャペルでのライヴ録音。良い意味であざとくもあるが、この10年間辺りの流行である「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」を志向した、現代のモダン・ジャズである。

Charles Lloyd『Trios: Ocean』(写真左)。2020年9月9日、ロイドの故郷であるカリフォルニア州サンタ・バーバラの150年の歴史を持つロベロ・シアターでの録音。コロナ・パンデミックの最中、観客無しでライブ配信されている。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (as, ts, fl), Gerald Clayton (p), Anthony Wilson (g)。

3つのトリオによる3枚のアルバムからなる新プロジェクト「トリオ・オブ・トリオズ」の第二弾。共演のジェラルド・クレイトンは、西海岸ベースの伝説的存在ジョン・クレイトンの息子。アンソニー・ウィルソンは著名なバンドリーダー&トランペッター、作曲・編曲家のジェラルド・ウィルソンの息子。この「Trio of Trios」の第二弾は、有名なミュージシャンを父に持つ2人のミュージシャンとの共演になる。
 

Charles-lloydtrios-ocean

 
この盤は、ジャズは「即興演奏の賜物」を再認識させてくれる。冒頭の「The Lonely One」は、クレイトンとウィルソンの伴奏に合わせてキーとテンポが決まった瞬間から、サックス、ギター、ピアノの3者対等な、自由度の高いモーダルなインタープレイが展開される。反芻的でありながら神秘的。静的でクールなスピリチュアルな音世界が厳かに展開される。

「Hagar of the Inuits」は、ブルース的なグルーヴを醸し出しつつ、ここでも、サックス、ギター、ピアノの3者対等な、自由度の高いモーダルなインタープレイが展開される。とりわけ、ウィルソンのギター・ソロが印象的。続く「Jaramillo Blues」もブルース志向で、明るいトーンが印象的。ブルース志向の自由度の高いインタープレイが実に「スピリチュアル」。クレイトンのピアノが演奏全体を仕切っているのにも感心した。

今回の「Trio of Trios」の第二弾は、自由度の高いモーダルなインタープレイがメインだが、ブルース曲を中心に純ジャズな雰囲気を強く感じつつ、曲によっては、ECM的な「ニュー・ジャズ」なサウンド志向も見え隠れする、ユニークな「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」を表現していて、実に興味深い。
 
 

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2022年11月25日 (金曜日)

タル・ファーロウの初リーダー作

僕のジャズ盤週集で、一番後回しになった楽器が「ギター」。もともと、アルバム蒐集はロックから入ったので、ロックギターの派手派手しいフレーズがお気に入りになっていて、純ジャズのギターは、コード弾きと一本弾きのシンプルというか、地味なものだったので、どうしても、純ジャズ系のギターの盤には触手が伸びなかったのが正直なところ。

それでも、年齢を重ねて、ジャズを聴き始めて20年位経った頃、やっと純ジャズ系のギターのシンプルさが良い方向に聴こえる様になってきて、一本弾きのアドリブ・フレーズが、実は超絶技巧、小粋に唄うものだ、ということが判った瞬間、ジャズ・ギター盤の蒐集が本格的に始まった。以来、ジャズ・ギターの週集もやっと、人並みになったかなあ、と思う今日この頃。

『Tal Farlow Quartet』(写真左)。1954年4月11日の録音。ブルーノートの5042番。ちなみにパーソネルは、Don Arnone, Tal Farlow (g), Clyde Lombardi (b), Joe Morello (ds)。

純ジャズ・ギターの最高テクニシャンの1人、タル・ファーロウの初リーダー作。何故か、タル・ファーロウとドン・アルノーンの2ギター+ピアノレスの変則カルテットの編成。それでも、ピアノが無い分、ギターのパフォーマンスが十分に楽しめる。

2ギターの意味が聴けば判る。ドン・アーノンをサイド・ギターに据え、タルの縦横無尽のソロ・プレイの妙技を全面に押し出した恰好。
 

Tal-farlow-quartet

 
なるほど、時にソロ、時にコード弾きとなると、タルのソロのテクニックの部分が薄まるので、サイド・ギターを据えて、基本的にはリズム(コード弾き)を担当させて、タルには、心ゆくまでソロを弾きまくらせるプロデュース。さすがはブルーノートである。

聴けば聴くほど、その超絶技巧さに舌を巻くタルのギター・ソロ。チャーリー・クリスチャン直系、ビ・バップあがりの驚異的な速さソロ・フレーズのスピード。この速さで、ハードバップの特徴の1つである「ロングなアドリブ・ソロ」をやるのだから圧巻である。

冒頭の「Lover」の高速弾き回しを聴くだけで、思わず「ごめんなさい」(笑)。2曲目のバラード「Flamingo」の、ハーモニクスを効果的に活かしつつ、情感溢れる正確無比な弾き回しに、これまた思わず「ごめんなさい」(笑)。以降、胸が空くような圧倒的速弾きパフォーマンス。いや〜、聴いていて思わず感動して「頭が下がる」。

タルの弾き回しの特徴の1つ、巨大な手を一杯に広げて縦横無尽にフレーズを紡ぎ出す様は「オクトパス・ハンド」と呼ばれるのだが、このダイナミックなフレーズの拡がりもこの盤で堪能出来る。

もともと10インチ盤でのリリースなので、曲数は6曲、トータル24分と短いが、そんなことは全く気にならない。圧倒的な超絶技巧、かつダイナミックなタルの純ジャズ・ギターの弾き回しである。
 
 

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2022年11月12日 (土曜日)

ブルー・トレイン 65周年記念盤

ネットのジャズ関連の記事を眺めていて、「歴史的発掘!永遠の名盤『ブルー・トレイン』65周年記念完全盤が登場!」というタイトルが目に飛び込んできた。またまた「歴史的発掘」か。幾度と無くこのフレーズは繰り返されてきた感がある。マスターテープは切れ切れになっている訳では無いので、「歴史的発掘」が幾度と繰り返されることは無いとは思うのだが(笑)。

またか、とも思う。しかも「65周年」記念というところにも、中途半端感は拭えない。それでも、正式なアルバムリリースでは完全初出となる「別テイク7曲のうち4曲」が収録されているから、聴きたいなあ、という気持ちにもなる。別テイクは、1本のマスターテープに連続で録音されている筈なので、こんなに切れ切れにリリースしなくても、という思いにも駆られる(笑)。

John Coltrane『Blue Train / The Complete Masters』(写真)。1957年9月15日の録音。ブルーノートの1577番。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。伝説に残るセクステット編成である。

1枚目は、もともとのステレオ版『Blue Train』に、最新リマスタリングを施している。この手のリマスタリングについては、もう満腹感満載で(笑)、以前の「RVGリマスタリング」の衝撃ほどの感動は全く無い。CDのリマスタリングについては限界が来ていると思うので、ふ〜ん、こんな音にもリマスタリング出来るのね、と思うのみ。こんなにリマスタリングで捏ねくり回すのなら、いっそのこと、LPバージョンの音を聴いた方が良いなあ、とも思う。

2枚目は、初出音源含む、別テイク7曲を収録。これが意外と聴きもので、Blue Train [Alternate Take 7]、Blue Train [Alternate Take 8] と併せて、本テイクを聴くと、この曲を完成するのに、かなりの試行錯誤を経ていることが良く判る。
 

Blue-train_the-complete-masters  

 
イントロのユニゾン&ハーモニーの音の組みあわせの試行錯誤。それぞれのアドリブ展開の内容の試行錯誤。特に、コルトレーンのアドリブ展開の内容が各テイクによって全く違うことに驚く。演奏レベルは最高、それでいて各テイク毎に展開とテイストが違う。コルトレーンの凄まじき演奏テクニックの成せる技。他のジャズマンのアドリブも同様だが、コルトレーンが突出している。

用意周到にリハーサルを重ねて本録音に臨ませる方針のブルーノート・レーベル。この素晴らしい録音マナーが、この別テイクから垣間見える。「ブルー・トレイン」1曲でも少なくとも「Take8」。8回取り直しているんですよ。8回取り直そうとするミュージシャン側の粘りも凄いが、それに応えるレーベル側のプロデュースも半端ない。当時のブルーノートが良い録音を残すのは当たり前か、と感心する。

「ブルー・トレイン」1曲で、これだけの試行錯誤を重ねているのだ。演奏する側の演奏テクニックも相当高いものがあるのだろうし、アレンジ能力も優れたものがある。それでも、様々なバリエーションを織り交ぜて、最低8テイクを重ねているのだから凄い。今回の別テイク集を聴いていて、改めて、ジャズは「アート(芸術)の音楽」であるということを実感する。

そして、今回のもう1つの目玉が、別盤仕立ての「モノラル・バージョン」。僕は『Blue Train』のモノラル盤を初めて聴いたのだが、モノラルはモノラルで味わい深い。ステレオ盤の音を聴き馴れているのだが、ステレオは横に音が広がる。モノラルは奥に音が広がる。音の塊に奥行きがグッと出て、狭いライブハウスで、目の前で演奏を浴びる様に聴いている雰囲気に思わず仰け反る。これはこれで「アリ」やな。

手垢の付いた「歴史的発掘の記念盤」。またかいな、とも思うんだが、今回の様に、初出の別テイク音源や、聴く機会の無かったモノラル音源がついてくれば、やっぱり触手は伸びるなあ。そして、改めて、この『Blue Train』というアルバムの素晴らしさと、ブルーノート・レーベルの録音方針の素晴らしさを再認識する。やはり、歴史的名盤は「格が違う」。
 
 

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2022年10月29日 (土曜日)

Z世代のジャズデュオの出現!

ジャズは常に「深化」している。新しい演奏スタイルや演奏トレンドが出ることはまず無い時代になったが、新しい他ジャンルの音楽との融合とか、新しいテクノロジーの採用とか、今までのジャズをよりバリエーション豊かに、多様化に拍車をかける様な、新しい響きが芳しいジャズが、今でも時折、出現する。

そして、そういうジャズは、しっかりとジャズの「肝」である即興演奏を展開する。これがまた、今までに聴いたことの無い展開だったりして、これはこれで楽しめる。過去の、旧来のジャズ盤を聴き直すのも良いとは思うが、それではジャズは骨董品化してしまう気がして、それはそれで好きだが、逆に、努めて、今の最新のジャズの音は必ず聴く様にしている。

Domi & JD Beck『NOT TiGHT』(写真左)。2022年7月、ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Domi Louna (key), JD Beck (ds)。さすがはブルーノート、最新のジャズ・エレクトロニカ、現代のジャズ・エレクトロニカの秀作。アルバムのキャッチーコピーは「Z世代のジャズデュオ Domi & JD Beck、待望のデビューアルバム」。
 

Domi-jd-becknot-tight

 
演奏を聴いてみて「驚愕」。なんだこれ、超絶技巧の限りを尽くした様な演奏。加えて、この若さと小悪魔的可愛さのなりで、ハービー・ハンコックやアンダーソン・パーク、サンダーキャット、フライング・ロータス、ルイス・コール、ザ・ルーツなど名だたるアーティストと共演。ポップでキャッチャーで、適度なテンションの中、意外と迫力のあるビートの効いたジャズ・エレクトロニカが展開されている。

1970年代前半のマイルスのエレ・ファンクを、最新の機材・楽器をベースに、エレクトロニカに落とし込んだような、ライトだが質感溢れるファンキーなリズム&ビート。ローファイ新世代独特の無機質なファンクネスと躍動感溢れるグルーヴ。このビートとグルーヴ感が癖になる。演奏の底に流れているのは「アーバンなジャジーな雰囲気」で、演奏の展開は「即興演奏の妙」を伴ったジャズを感じる。

スペイシーでメロウで浮遊感溢れる、限りなく自由度の高いフレーズは、まるで「モーダルなエレクトロニカ」。いやはや、恐るべき才能が現れ出でた。これってジャズなのか、と訝しく思われるジャズ者の方々もおられるだろうが、1970年代以降のエレ・マイルスに違和感を持たないジャズ者の方々はすんなり受け入れられるジャズ・エレクトロニカの秀作だと思います。しっかりチャレンジして下さい。
 
 

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2022年10月24日 (月曜日)

ミッチェルの「お蔵入り」盤です

ファンキーで流麗で明快なトランペッターのブルー・ミッチェル。彼って、ブルーノート・レーベル専属になって初めてのリーダー作が「お蔵入り」になった、気の毒なトランペッターでもある。その「お蔵入り」のジャケットも、ブルーノートのジャケットの平均レベルからすると、明らかに「イケてない」ジャケットで、とにかく気の毒の極みである。

Blue Mitchell『Step Lightly』(写真)。1963年8月の録音。ブルーノートの4142番。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Leo Wright (as), Joe Henderson (ts), Herbie Hancock (p), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。リーダーのブルー・ミッチェルのトランペット、レオ・ライトのアルト、ジョー・ヘンダーソンのテナーがフロント3管、ハンコックをピアノに据えたリズム・セクションのセクステット編成。

リーダーのミッチェルとベースのテイラー、ドラムのブルックスが、元祖ファンキー・ジャズのホレス・シルヴァー・クインテットの出身。残りの他の3人がどちらかと言えば、モーダルなジャズの推進者で、ファンキー・ジャズとモード・ジャズの混成部隊での演奏になる。恐らく、レーベル側は、ファンキーとモードの「化学反応」を期待したんだろう。が、この盤では、ファンキーとモードが分離している様に聴こえる。
 

Blue-mitchellstep-lightly

 
とにかく、全編、ヘンダーソンのモードに捻れたフレーズが目立つ。そして、ハンコックのピアノとライトのアルトがそれに引き摺られるように、モーダルな音志向に傾いていく。リーダーのミッチェルとベースのテイラー、ドラムのブルックスは、完璧にファンキー・ジャズな音志向でバリバリやりまくるので、ファンキー・ジャズが前面に出れば出るほど、ヘンダーソン、ハンコック、ライトのモードなフレーズが目立ってしまう。

ボーッと聴いていると、ヘンダーソンのリーダー作なのか、と誤解してしまうくらいに、ヘンダーソンのテナーが目立ちに目立つので、ブルー・ミッチェルのファンキーで流麗で明快なトランペットの影が薄くなってしまう。ハンコックもハンコックで、こってこてファンキーなフレーズも弾けるだろうに、ヘンダーソンに合わせがちになるって、ちょっとこれは確かに、僕がプロデューサーでも、この盤は「お蔵入り」にしたくなるなぁ。

ミッチェルのトランペットは好調で申し分無いのに勿体ない録音である。このミッチェルの「ブルーノートでの初リーダー作」は、見事にブルーノートお得意の、カタログ番号もジャケットも確定しているのに「お蔵入り」、になってしまい、初めて世に出たのは、1980年になってからである。ただ、この盤は、聴いていて、当時「お蔵入り」になったのが何となく判る盤ではある。まあ、ヘンダーソンにファンキーなテナーを吹かせる、というのは無謀なんだろうな。とにかく、気の毒な「幻のブルーノートでの初リーダー作」である。
 
 

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2022年10月23日 (日曜日)

聴いて楽しく、体が揺れる盤

ブルーノート・レーベル時代のブルー・ミッチェルのリーダー作って、ファンキー・ジャズというよりは、その先、ジャズロックやソウル・ジャズを志向していたと思うのだ。聴いて楽しい、聴いて踊れるジャズ。そんなエンタテイメント志向のジャズを目指していたように思うし、それをしっかり実現していた。

Blue Mitchell『Down with It!』(写真左)。1965年7月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Chick Corea (p), Gene Taylor (b), Al Foster (ds)。昨日ご紹介した前リーダー作『The Thing to Do』と同じメンバーでの演奏。前作が1964年7月の録音だから、約1年後の同一メンバーでの録音になる。

いきなり、ジャズロック風の「Fungii Mama」で幕を開ける。これが、演奏自体のかなり充実していて、曲の良さもあって、聴き応えのある演奏になっている。この1曲だけでも、この盤は「買い」だと思わせるくらいの、典型的なジャズロック。

うへ〜と思っていたら、2曲目は、ちょっとモーダルなファンキー・ジャズ「Mona's Mood」になって、グッとクールでアーバンな雰囲気にガラッと変わる。でも、演奏の底に濃厚に漂っているのは、軽快でカラッとした「ファンクネス」。ミッチェル&クックのフロント2管のファンキーなユニゾン&ハーモニーが、そのファンクネスを更に深める。
 

Blue-mitchelldown-with-it_1
 

3曲目は素敵なモーダルなバラード「Alone, Alone and Alone」。我が国のトランペットの第一人者、日野皓正作の名バラードである。間と音の拡がりを活かした、いかにも「和ジャズ」風なモーダルなバラード。ミッチェルのトランペットに哀愁感が漂い、ブリリアントで柔和な吹き上げと共に、映えに映える。

4曲目「March On Selma」以降は、ミッドテンポの落ち着いた雰囲気の、クールでアーバンなファンキー・ジャズ〜ジャズロックな曲が続いて、来ていて、思わず体が揺れるし、無意識に足でリズムを取っていたりする。

このバンド・メンバーの、特にリズム・セクションのノリが凄く良い。チックのファンキーな躍動感溢れるピアノも良いし、とりわけ、アル・フォスターのドラミングがジャズロックにばっちりフィットしている。ジーン・テイラーのファンキー・ベースが、このバンドの演奏の「底」をガッチリと押さえている。

名盤という類の盤では無いが、聴いて楽しい、聴いて体が揺れる、クールでアーバンなファンキー・ジャズ〜ジャズロック盤である。楽しむジャズとして良い雰囲気をしていて、聴き込んで、1965年のジャズの流行スタイルがとても良く判る。好盤である。
 
 

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2022年10月22日 (土曜日)

ミッチェルの初ブルーノート盤

ブルー・ミッチェルのリーダー作は、ポップでキャッチャーな、明るく乗りの良いファンキー・ジャズ〜ジャズ・ファンクがメイン。特に、ブルーノート・レーベルに残したリーダー作に、その良いところが余すこと無く記録されている。ファンキーで円やかで流麗なトランペッターの個性をしっかり着目し、録音に残しているところは、さすが、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンである。

Blue Mitchell『The Thing to Do』(写真左)。1964年7月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Chick Corea (p), Gene Taylor (b), Al Foster (ds)。録音日で見ると『Step Lightly』が初ブルーノート盤に見えるが、実はこの『Step Lightly』は当時、お蔵入り。発売されたのが1980年になってから。今回ご紹介する『The Thing to Do』は1965年の発売なので、当時の初ブルーノート盤になる。

リーダーのブルー・ミッチェルのトランペットと、ジュニア・クックのテナーの2管フロント。当時のホレス・シルヴァー・クインテットのフロント管の2人である。アルバム全体の雰囲気は、ソウル・ジャズの一歩手前、成熟したノリノリなファンキー・ジャズである。

バックのリズム・セクションの人選が面白い。ピアノに若き日のチック・コリア。モンゴ・サンタマリアのバンドで頭角を現し始めた頃のチックをいち早く、ブルーノートは採用している。さすがである。ブルー・ミッチェルの下で、ファンキーなピアノを弾くチックは堂々としたもの。ファンキーなフレーズを難なくこなしている。チックはファンキーなピアノも上手い。この盤で再認識である。

ベースが、これまた当時のホレス・シルヴァー・クインテットのベーシストであった、ジーン・テイラー。ミッチェル&クックのフロント2管との呼吸はピッタリ、ファンキーなベースラインをブンブンに弾き進めている。
 

Blue-mitchellthe-thing-to-do

 
そして、一番ユニークなのが、ドラムのアル・フォスター。エレ・マイルスのドラマーとして有名だったアルだが、ファンキーなドラムを叩かせたら上手いのだ。マイルスの下で、エレ・ファンクなビートを刻んでいたアルだが、ファンクネス濃厚なドラミングはお手のものだった、ということがこの盤を聴けば良く判る。しかし、アルフレッド・ライオンって、よくアル・フォスターをブルー・ミッチェルのリーダ作に持って来たもんだ。その豪腕、恐るべしである。

いきなり、カリプソ調の明るく楽しい曲「Fungii Mama」から始まる。これが、あっけらかんとしていて明るくて、リズミカルな演奏。体が自然に動き、足でリズムを取り始める。特に、チックを始めとするリズム・セクションの躍動感が心地良い。

続くファンキーで小粋でスローな「Mona's Mood」も良い雰囲気。イントロのミッチェル&クックのフロント2管のユニゾン&ハーモニーなんて「ファンキー・ジャズ」そのもの。スローでファンクネス濃厚に漂う雰囲気の中、流麗で明快なミッチェルのトランペットが伸びの良いフレーズを吹き上げていく。

3曲目の「The Thing to Do」は、ハードボイルドなジャズロック風、4曲目の「Step Lightly」は、スローで硬派なファンキー・ジャズ。そして、ラストの「Chick's Tune」は、ファンクネス濃厚だが、切れ味の良いモード・ジャズ。ファンキー・ジャズの担い手、ホレス・シルヴァー・クインテット出身の3人を含め、メンバー全員、魅力的な、ファンキーでモーダルなフレーズを連発している。覇気溢れる、爽快溢れるモード・ジャズである。

ハードバップ全盛期に、内容の濃い、成熟したファンキー・ジャズ盤。リーダーのブルー・ミッチェルも、実に楽しそうにトランペットを吹きまくっていて、聴いていて気持ちが良い。若き日のチック・コリアがピアニストとして、参加しているのも見逃せない。とにかく、聴いていてとても楽しいアルバムである。
 
 

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2022年10月16日 (日曜日)

ロイド「Trio of Trios」の第一弾

1960年代後半から1970年代前半にかけて、チャールス・ロイドは売れた。ロイドのテナーは「こじんまりしたコルトレーン」、言い換えれば「期待を裏切らない、予想を外さないコルトレーン」。アブストラクトにも振る舞うんだが、徹底的に、ということは無く「安全運転のコルトレーン」。

どうにもコルトレーンのコピーのイメージがつきまとう。当時のジャズ者の方々は、ロイドに「判り易いコルトレーン」を求めていた様に思う。ロイドもそれに応えた。しかし、人気を獲得したのもいきなりだったが、飽きられるのも早かった。1970年代後半以降、ほぼ忘れ去られた状態のテナーマンであった。

が、1989年、ECMレーベルに出会って復活。テナーの音志向は「北欧ジャズ」。しかし、テナーの音は、北欧ジャズの「クリスタルな切れの良い」音よりも暖かでエッジが丸い。加えて、米国ジャズ譲りの、クールな熱気をはらんだテナーは、欧州のテナーマンには無い独特の個性だった。21世紀に入って顕著になった、米国ジャズの「欧州ジャズへの接近」を先取りしていたと言える。

そして、2015年、ECMレーベルを離れて、ブルーノート・レーベルに移籍。欧州ジャズ志向のロイドのテナーはどうなるんだ、と思っていたら、当時、流行始めていた「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」に音の志向を大きく変えていた。

1960年代後半の「判り易いコルトレーン」、ECM時代の「欧州ジャズへの接近」、そして、現在の「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」と、それぞれの時代の「流行」をよく読んで、音の志向を変えている。機を見て敏なる、というか、意外と変わり身の早いテナーマンである。まあ、それぞれの音の志向が、水準以上のパフォーマンスを持って表現されるのだから、テナーマンとしての実力は一流である。
 

Charles-lloydtrios-chapel

 
Charles Lloyd『Trios: Chapel』(写真左)。2018年12月4日、テキサス州サンアントニオのコーツ・チャペルでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, Alto-fl), Bill Frisell (g), Thomas Morgan (b)。資料によると、3つのトリオによる3枚のアルバムからなる新プロジェクト「トリオ・オブ・トリオズ」の第一弾、とのこと。

この「トリオ・オブ・トリオズ」の第一弾は、ドラムレス、テナー、ギター、ベースの変則トリオ編成。ギターは、捻れスピリチュアル・エレギの達人、ビル・フリゼール。ベースは、フリゼールとの共演実績もある若手ベーシスト、トーマス・モーガン。コーツ・チャペルという、会場の礼拝堂の音響特性上、ドラムやパーカッションは排除したらしい。

ビリー・ストレイホーン作曲の「Blood Count」で始まるのだが、演奏の志向は「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」。ストレイホーンの楽曲を静的なスピリチュアル・ジャズにアレンジするところなどは、良い意味で実に「あざとい」。キューバのシンガーソングライター、ボラ・デ・ニエベの「Ay Amor」も、感情豊かにテナーを吹き上げて、スピリチュアルな響きが濃厚。アルト・フルートで演奏するオリジナル「Beyond Darkness」も、フルートの音色が聴き手の感情を揺さぶる。

限りなく自由度の高い、3人三様のインタープレイが素晴らしい。フリゼールのエレギの音はもともとスピリチュアルだし、トーマス・モーガンのベースは、自由度高く、スピリチュアルに展開するロイドとフリゼールをガッチリ受け止め、しっかりと的確なビートを提供している。適度なテンションの下、発想豊かで歌心溢れるインタープレイは、このトリオ3人の相性の良さが窺い知れる。

今から「トリオ・オブ・トリオズ」の第二弾が楽しみである。良い意味であざとくもあるが、「静的でクールなスピリチュアル・ジャズ」なロイドは充実している。このライヴ盤も、現代のモダン・ジャズとして一聴すべき好盤だろう。
 
 

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2022年9月18日 (日曜日)

ジョン・パットンの初リーダー作

ビッグ・ジョン・パットン(Big John Patton)こと、ジョン・パットン(John Patton)。1935年、米国カンサスシティ生まれ。ハードバップ、および、ソウル・ジャズで活躍したオルガニスト。基本的に、1960年代、ブルーノートのハウス・オルガニスト的存在だった。リーダー作も多く、他のセッションにも結構な数、参加している。

ジョン・パットンのオルガンは、エモーショナルだが、癖が無く、シンプル&ストレート。1950年代のブルーノートのハウス・オルガニストは、かのジミー・スミスであったが、ジミー・スミスのオルガンは、とにかく個性的。レスリー・スピーカーを駆使して、音を増幅して、ダイナミック、かつ、大仰な表現でオフェンシブにガンガン弾くんだが、ジョン・パットンのオルガンはその「逆」と考えて良いだろう。

Big John Patton『Along Came John』(写真左)。1963年4月5日の録音。ブルーノートの4130番。ちなみにパーソネルは、John Patton (org), Fred Jackson, Harold Vick (ts), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。一昨日ご紹介したお蔵入り盤『Blue John』より前の録音。ジョン・パットンの初リーダー作である。

収録曲を見渡すと、全6曲中、スタンダード曲は「I'll Never Be Free」の1曲のみ。3曲が、ドラムのベン・ディクソンの作、残りの2曲がパットン作。ジョン・パットンのオルガンの個性が判り易くなる様に、バンド・メンバーの曲でほとんどを占めている。
 

Big-john-pattonalong-came-john

 
これが大正解で、有名スタンダード曲をオルガンでやると、どこか、イージー・リスニング風に聴こえる時がある。特に、パットンのオルガンの様な、癖が無く、シンプル&ストレートなオルガンは誤解される危険性がある。

バンド・メンバーの自作曲をメインに、気心しれたメンバーで、リラックスして楽しげに、パットンはオルガンを弾き進めている。癖が無く、シンプル&ストレートなオルガンだが、エモーショナルな表現に長けていて、決して単調にはならない。ファンクネスも適量で、オーバー・ファンクな表現に偏ることも無い。実に趣味の良い、小粋なオルガンである。

ギターにグラント・グリーン、ドラムにベン・ディクソン、気心知れた仲間の様なメンバーがパットンのオルガンにピッタリ合ったパフォーマンスを供給する。フレッド・ジャクソンとハロルド・ヴィックという、ちょっと癖のあるテナー奏者が個性的なブロウを披露していて、パットンの癖が無く、シンプル&ストレートなオルガンとの対比が面白い効果を出している。

アルバム全体の印象は「真摯で硬派な」オルガン・ジャズ。オルガン・ジャズが陥り易い、イージーリスニング・ジャズ風な演奏を極力避けているような、エンターテイメント性を排除したファンキー・ジャズといった面持ちは、ジョン・パットンは硬派で実直な、純ジャズ志向のオルガニストであることを感じさせてくれる。
 
 

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2022年9月16日 (金曜日)

ジョン・パットンのお蔵入り盤

最近、やっと、オルガン・ジャズ盤については、「聴き直し」のフェーズに入っている。そもそも、アルバムというのは期間をおいて、複数回、聴くのが、僕自身の「習わし」。短期間に集中して聴くと、その時の「ジャズ耳」の感覚だけで判断するので、ちょっと偏った印象になる。自らの「ジャズ耳」も年齢と共に成熟していくので、10年位おいて、再度、聴き込むのが、良い塩梅だと思っている。

Big John Patton『Blue John』(写真左)。1963年7月11日と8月2日の録音。ブルーノートの 4143番。ちなみにパーソネルは、John Patton (org), Tommy Turrentine (tp), George Braith (ss, stritch), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。カタログ番号まで割り振りされながら、録音当時はリリースされず、1986年になって、やっと日の目をみている。ブルーノートお得意の、なぜか「お蔵入り」盤である。

ジョン・パットンのオルガンは、ストレートな音でシンプルな弾き回し。ジミー・スミスの様に、ダイナミックに派手派手しく、どファンキーに弾くオルガンとは「正反対」の音。但し、オルガン独特の音が、嫌が応にもファンクネスを振り撒き、ストレートな音はアドリブ・フレーズの弾き回しがクッキリと浮き出る感じで、聴いていて何だか「スッとする」。
 

Big-john-pattonblue-john

 
そんなジョン・パットンのオルガンがバックに回ると、これがまた、ファンキーで伴奏上手なオルガンに早変わり。そんな伴奏上手なオルガンをバックに、ちょっと捻れて癖のあるジョージ・ブライスのサックスが、とても良い感じで吹き進めていく。そして、ファンクネスだだ漏れのシングルトーンなグリーンのギターが、演奏全体のファンクネスを増幅する。ディクソンのドラムは、そんなフロントの曲者達に、正確なリズム&ビートを供給して盛り立てる。

ジョン・パットンとオルガンとグラント・グリーンのギターが、ちょっと薄めの「こってこてなファンクネス」を供給しているのと、あまりに個性的なブライスのサックスがあるので、イージーリズニング・ジャズ風にはならないが、アルバム全体の印象は「ポップ」。このポップな軽さが、ちょっとブルーノートには合わなかったかなあ、とも思う。

演奏の内容は決して悪く無い。ブライスのサックスの好き嫌いはあると思うが、グラント・グリーンのギターが、ブライスの破天荒な音を、しっかりと「締めて」いるので、あまりブライスの個性的過ぎるサックスは耳に付かない。それでも、当時のブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、この盤を「お蔵入り」にした。あの世に行って、ライオンに会えたら、その理由をしっかり訊いてみたい。
 
 

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