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2018年5月 7日 (月曜日)

ネイチャーな響きは「ECM」盤

「ネイチャー(自然)」な響きを持つジャズと言えば、欧州ジャズ、特に「ECMレーベル」の諸作を思い出す。ECMレーベルには、自由度の高い「ニュー・ジャズ」傾向の、スイング感や4ビート感を強調しない、印象的なフレーズやリズムをメインに、自然の景観や雰囲気を想起させるアルバムが多数存在する。

特に1970年代、1960年代からのメインストリーム・ジャズ、1960年代終わり頃から現れ出でたクロスオーバー・ジャズ、そして、1970年代半ばからのジャズ界最大のブームとなった、フュージョン・ジャズが渦巻く中で、ECMレーベルはそんなジャズ界のトレンドには我関せず、ECMレーベル独特の音世界を有した「ニュー・ジャズ」なアルバムをリリースし続けた。

そんなECMレーベルのアルバムの中に、メインの演奏トレンドとして存在する「ネイチャー(自然)」な響きを持つニュー・ジャズ。スイング感や4ビート感に全く依存しない、欧州独特のジャズの音世界。ECMレーベルの真骨頂とも言うべき音世界で、これに填まると、とことんである。実は私もこのECMレーベルの「ネイチャー(自然)」な響きを持つニュー・ジャズにゾッコンである。
 

The_colours_of_chloe

 
Eberhard Weber『The Colours of Chloë』(写真左)。1974年の作品。ECM1042番。ちなみにパーソネルは、Eberhard Weber (b, cello, ocarina, voice), Rainer Brüninghaus (p, syn), Peter Giger (ds), Ralf Hübner (ds,track 2), Ack van Rooyen (flh), Gisela Schäuble (voice), celli of the Südfunk Orchestra, Stuttgart。完全に欧州系ニュー・ジャズの担い手中心の布陣と見受けられる。ほどんど馴染みの無い名前ばかり。

ECMレーベルらしい音が詰まった好盤である。フォーキーでネイチャーな響きが芳しい、ファンクネス皆無の即興演奏。欧州ジャズ的な響き。ECM独特のエコーが美しい。そして、演奏の底をウェーバーのベースが支える。アルバム全体に、ジャズだけでは無い、ジャズ・ロックやプログレ、ミニマル・ミュージック、果ては環境音楽まで、様々な音の要素が渾然一体となって、独特の音世界を形成している。

「ネイチャー(自然)」な響きを持つジャズは、ECMの十八番。この『The Colours of Chloë』は、その代表的な一枚。ECMレーベルの音を感じるには最適な一枚でしょう。ジャケットもユニーク。ジャズ盤なのか現代音楽盤なのかプログレ盤なのか、一見、判断に苦しむ、絵画風のアート・ワークはウェーバーの妻マイヤによるもの。これも僕は以前より気に入っています。

 
 

東日本大震災から7年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年4月 4日 (水曜日)

ECMレーベルの録音の個性

ジャズ・レーベルの中でも、ブルーノートとECMは録音された音の個性がとっても強い。どんな盤でも暫く聴いていると「これって、ブルーノートちゃう?」とか「これってECMでしょ」となるほど、録音された音の個性が強い。これは、レーベルの総帥プロデューサーの明確な音への意向とそれに応える録音エンジニアの成果である。

例えば、Dave Holland Quartet『Conference of the Birds』(写真左)。1972年11月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Holland (b), Sam Rivers, Anthony Braxton (reeds, flute), Barry Altschul (perc, marimba)。ピアノレスのサックス2管フロントの変則クインテット。しかも、フロント2管がリバースとブラックストン。濃い。めっちゃ濃いフロントである。

冒頭の「Four Winds」を聴けば、恐らく、ジャズ者中級者の方はECMレーベルの音と判るのではないか。それほど、個性的な音である。演奏内容としては、モードジャズを極端に適用して自由度を最大限に増幅した「ニュー・ジャズ」的な演奏と、欧州ジャズお得意のファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧なフリー・ジャズ的な演奏が交互に出てくるもの。
 

Conference_of_the_birds

 
欧州的なファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧な自由度の高いインプロビゼーション中心の純ジャズって、他のレーベルでもよくあるもの。それでいて、なぜECMだけが聴き分けられるのか。僕の場合は「演奏に被るエコー」と「ドラムやパーカッションの音の粒立ちと倍音の奥行き」を判断基準としている。つまりは独特の録音環境と、レーベルとして厳格に仕様を定めた「個性的なミックスとマスタリング」にあると睨んでいる。

この盤もフロント2管、リバースとブラックストンのテナーにかかるエコーが独特である。米国ジャズ盤にない、深くて濃いエコー。これがまあトゥーマッチ寸前、絶妙のレベルでのエコー。これ素晴らしい仕事です。そして、アルトシュルのパーカッションの粒立ちの良さと響きの奥行き。これがECMレーベル独特のものなのだ。長年ECMレーベルを聴き親しんでいると必ず判別できる。

そんな音の個性を纏って、ファンクネス皆無な、クールで切れ味の良い怜悧なフリー・ジャズ的な演奏が展開されるこの盤。欧州ジャズの美味しいところがギッシリ詰まっていて、初期のECMレーベルの音を明確に表現している好盤として良いかと思う。しかし、その自由度の高い演奏はジャズ者初心者の方々にはちょっと重荷かも。この盤は謹んで、ジャズ者中級者以上の方々にお勧めしたい。

 
 

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2017年12月20日 (水曜日)

アンサンブルの良さが際立つ

リターン・トゥー・フォーエヴァー(Return to Forever=以降RTF)のオリジナル・メンバーであり、チック・コリアの盟友である「スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)。エレベとアコベ、両刀使い。エレベのブンブン唸りとチョッパー、そして、ギターの様に旋律を奏でる弾き回しは、エレベのイノベーターの一人として差し支えないだろう。

アコベも上手い。弦と胴をブンブン唸らせながら、低音から高音まで、フルスケールでアドリブ・ソロを弾く様は、これはこれで素晴らしいもの。そんな両刀使いのベースを堪能出来る、スタンリー・クラークのソロ・サード盤がこれ。Stanley Clarke『Journey to Love』(写真)。 1975年の作品。パーソネルからチック・コリアの名前がアコピのみに後退し、キーボードには、ジョージ・デュークの名前がフィーチャーされている。

冒頭から「ファンキー・フュージョン」なエレ・ジャズが展開される。クラークのファンキーなエレベが心地良い。音の雰囲気は、チックがいないにも関わらず、第2期RTFのファンキー・フュージョンの雰囲気を踏襲しているようだ。不思議なんですが、スタンリー・クラークだって、RTFのオリジナル・メンバーであり、作曲だってする。当然、アレンジにも参加するだろう。
 

Journey_to_love

 
そういう意味で、クラークのソロ盤に第2期RTFの音の雰囲気が漂うって、当たり前のことだと思うんだが、如何だろう。このクラークのソロ第3弾は、上質のファンキー・フュージョンなエレ・ジャズがギッシリと詰まっているのだ。本家の第2期RTFの演奏と比較しても遜色は無い。逆に、クラークのベース・ソロがフューチャーされているので、クラークのベースを感じるには打って付けのアルバムである。

パーソネルを見渡していると、ジャズの世界ではちょっと異質のギタリストの名前があるのに気が付く。あの三大ロック・ギタリストの一人「Jeff Beck(ジェフ・ベック)」がタイトル曲と「Hello Jeff」に客演している。ベックは自身のライヴでクラークの曲「Power」を演奏したことがあり、その後クラークの自宅を訪れて共演を希望したという。

ふむふむ。ジェフ・ベックのストラトが響き渡ってますね。さすが、ロック・インストって感じで弾きまくっています。トーンの特異さで聴かせてしまう独特の演奏は聴きものです。そして、全編に渡ってアレンジが実に上手い。演奏全体のアンサンブルの良さが際立つ好盤です。フュージョン・ジャズの傑作の一枚として、もっと採り上げられても良い好盤だと思います。

 
 

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2017年12月16日 (土曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・43

ジャズのライブでの花形的存在が「ビッグバンド」。ジャズとして、商業ベースに乗ったビッグバンドの出現から、そろそろ100年、経つのではないだろうか。何時の時代にもビッグバンドは存在し、ビッグバンドはジャズにとって不可欠な存在であった。ジャズをずっと聴き続けていると、時々、ビッグバンドに耳を傾けてスカッとしたい瞬間が必ずやってくる。

Christian McBride Big Band『Bringin' It』(写真左)。2017年9月のリリース。グラミー賞を受賞した『The Good Feeling』から6年振り。クリスチャン・マクブライド、待望のビッグ・バンド第二弾! オーソドックスな、従来からの伝統的なビッグバンド・ジャズの音世界が心地良い。ジャケットも良好。このジャケットを見ただけで、中の音の優れ度合いが想像できる位だ。

6年振りの第2弾とのこと。前作『The Good Feeling』の出来が非常に良かっただけに、第2作目のリリースまで、6年も空いたのが意外。やはり、ビッグバンドはコストがかかり過ぎるのかな。でも、今回の第2弾『Bringin' It』を聴いていると、しっかりと準備し、人選もしっかりとして、用意周到、満を持してのリリースであることをビンビンに感じる。
 

Bringin_it_1

 
ジャズのビッグバンドともなれば、ユニゾン&ハーモニーの迫力とドライブ感、切れ込むアドリブフレーズ、というど迫力な感じがするのだが、このクリスチャン・マクブライドのビッグバンドは、従来のジャズのビッグバンドのコモンセンスとちょっと趣が違う。大阪弁で言う「シュッとしている」、そして、迫力よりは「小粋でお洒落」でカッチリしている。

マクブライドはベース奏者として、従来通りの高い実力を発揮しつつ、バンドリーダーとしての統率力を遺憾なく発揮している様だ。このビッグバンドのアレンジはとても個性的。しっかりとジャズの伝統に根ざしながら、最近のコンテンポラリーな純ジャズの要素を積極的に採り入れ、融合させている。ある意味、本作はマクブライドから純ジャズ者の方々への贈り物であろう。

純ジャズを基本とした演奏の数々は聴き応え十分。米国ルーツ・ミュージックの要素をそこはかと無く取り込みながら、クリスチャン自身のアレンジも、ビッグバンドとしてのクォリティも、前作と比較して、かなりのレベルでのパワーアップが図られているところに好感を覚える。本当にジャズの伝統、ジャズの基本に忠実で真摯なビッグバンド・ミュージックである。

 
 

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2017年12月15日 (金曜日)

第1期RTFの裏の好盤です。

なんやかんや言いつつ、エレベ(エレクトリック・ベース)については、スタンリー・クラークがずっとお気に入りである。スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)。1951年6月生まれ。今年で66歳。チック・コリア(Chick Corea)の下、あの伝説のエレジャズ・バンド「リターン・トゥー・フォーエバー(Return to Forever=RTFと略)」のオリジナル・メンバーとして有名。

クラークは、アコベもエレベもいける両刀遣い。どちらの楽器に関しても一流である。テクニックがどうの、という次元を超越した、とにかく格好良いベーシストです。とりあえずペンタで速弾き、3フィンガー高速6連弾き、エモーショナルコード弾き、スラップしまくる、弦を手で叩きまくる、などなどの必殺技を繰り出す繰り出す。後進のベーシストに多大な影響を与えました。

Stanley Clarke『Children of Forever』(写真)。1972年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Clarke (b), Chick Corea (key), Pat Martino (g), Lenny White (ds), Arthur Webb (fl), Dee Dee Bridgewater, Andy Bey (vo)。ギターにパット・マルティーノ、ボーカルにディー・ディー・ブリッジウォーターの参加が目を惹く。
 

Children_of_forever

 
スタンリー・クラークの「RTF」在籍時にリリースした初リーダー作。内容的に「第1期RTF」の雰囲気そのままです。ボーカルが違う、ギターいたっけ、というところはありますが、基本は明らかに「RTF」。キーボードがチック、ドラムが後のRTFメンバーのレニー・ホワイト、加えて、エキゾチックでスピリチュアルなボーカル入り、そして、主役のクラークのベースがブンブン唸るので、どうしても「第1期RTF」を想起します。

しかし、出来は良い。確かにチック・コリア主導で事実上はチックのリーダー盤といって差し支えない内容ではあるが、ベースは絶対にスタンリー・クラークでないと成立しない音世界ではあるので、チックの影響が色濃いとはいえ、クラークのリーダー作として差し支えない。パット・マルティーノのギターもなかなかの活躍。ボーカルのディーディーとベイのボーカルの雰囲気がフュージョン。

スピリチュアル&クロスーオーバーな音作りが、今の耳にはユニークです。特にアコピのアコベの存在が面白い効果を醸し出していて、唯一無二のコンテンポラリーな純ジャズに仕上がっています。「RTF」の延長的な作品であるため、ファンの間ではこれをクラークのソロとカウントしないらしいが、それでも、RTFの裏の好盤のして、この盤は聴き応えがあります。

 
 

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2017年6月26日 (月曜日)

音のクオリティは「ヤバい」

Jaco Pastorius『Truth, Liberty & Soul (Live in NYC: The Complete 1982 NPR Jazz Alive! Recording)』(写真左)。長いタイトルだ。1982年6月27日のニューヨーク、クール・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏14曲を全て収録。

もともとはNPRの放送音源で「Jazz Alive」という番組のために収録されたものとのこと。ブートで出回ったこともあるらしいが、エアチェック音源で音質が劣悪。しかし、今回の音源は違う。実はオリジナル音源は24チャンネル録音で思いっきりクオリティが高い。今回、このオリジナル音源を基にアルバム化されたのだ。とにかく音が抜群に良い。

演奏は「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの演奏。基本的には既出の「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの演奏と変わらない。高いクオリティ、高いテクニック、圧倒的なダイナミズム。他のアルバムと変わらない。というか、この「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドは、コンスタントに優れたパフォーマンスを維持していた、ということがよく判る。

が、昔からの「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドを聴き込んで来たファンからすると、この新作ライブ盤は嬉しいには嬉しいが、目新しさに乏しいのは否めない。音は良いのだが、魅力的な収録曲や優れたパフォーマンスは、既出のアルバムと変わらないからなあ。
 

Truth_liberty_soul

 
従来より「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの突出した個性と優れたパフォーマンスを体感するに最適なライブ盤は、Jaco Pastorius『Invitation』(写真右)が定番である。

1982年9月、「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの来日コンサートを収録したライブ盤で、元々は日本国内限定発売で『Twins I』と『Twins II』として2枚のライブ盤として発売されたが、世界発売向けに米国のワーナー・ブラザース・レコードが1枚のアルバムにまとめてコンピレーション化したアルバムである。

これがほんと、よくまとまっている。LP1枚分なので、演奏時間も長からず短からず。ちょうど良い塩梅で、「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの突出した個性と優れたパフォーマンスをしっかりと体感することができる優れもの。「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドを初体験するには、この『Invitation』をお勧めした。

といって、この新作『Truth, Liberty & Soul (Live in NYC: The Complete 1982 NPR Jazz Alive! Recording)』の内容が劣っているといっているのでは無い。この盤の音のクオリティは「ヤバい」。ジャコのエレベの音も生々しく、ダイナミズム溢れるもので、ジャコがエレベのイノベーターである所以を再認識できる。これはこれでやはり「買い」なのである。

 
 

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2017年5月22日 (月曜日)

自由自在にベースを操るビトウス

昨日、Gerry Gibbs & Thrasher Peopleのウェザー・リポートのカヴァーを聴いていて、やっぱりウェザー・リポートはええなあ、と再認識。今から40年ほど前、ジャズを聴き始めた頃、チック・コリアのバンドと双璧のお気に入りバンド。僕は特に初期の頃の、硬派でメインストリームなエレジャズがお気に入り。

で、ふとビトウスの初リーダー作が脳裏に浮かんだ。そうだあれを聴こう、ということで、Miroslav Vitous『Infinite Search』(写真左)。邦題『限りなき探求』。1969年の作品になる。1969年と言えば、ジャズ界ではエポック・メイキングな年で、マイルス・デイヴィスがエレ・ジャズの傑作『Bitches Brew』を発表した年である。

このビトウスの『限りなき探求』も明確なエレ・ジャズ。雰囲気的にはジャズ・ロック寄りである。冒頭のエディ・ハリスの名曲「Freedom Jazz Dance」がこのアルバムの雰囲気を代表する演奏であるが、ヴィトウスの超重量級のアコベと、マクラフリンのノイジーでフリー寄りなエレギが突出していて、雰囲気は明確に、アーティスティックな「ジャズ・ロック」。
 

Infinite_search

 
僕は、このビトウスのブンブン、ビンビンと叩く様に、ハイ・テクニックに弾きまくるアコベを聴いて、ジャズ・ベースに関する認識を改めました。リズム&ビートをキープするだけが、ジャズ・ベースの役割では無い。ソロも前面に押し出てバンバンいけるし、ベース中心のインプロビゼーションも可能。

思い起こせば、当時、このミロスラフ・ビトウス、そして、チックの盟友スタンリー・クラークと新しいスタイルと奏法を引っさげた、ニュータイプのベーシストが出現したんですよね。どちらも、明確なエレ・ジャズ志向、雰囲気的にはジャズ・ロック寄り。ブンブン、ビンビンと叩く様に、ハイ・テクニックに弾きまくるアコベ。ジャズ・アコベの進化形。

現代の最先端のコンテンポラリーな純ジャズに通じる、新しい響き、新しい雰囲気が実に魅力的なアルバムです。自由自在にベースを操るビトウスは圧巻です。最後にパーソネルを記しておきましょう。Miroslav Vitous (b), Joe Henderson (ts), John McLaughlin (g), Herbie Hancock (p), Jack DeJohnette (ds), Joe Chambers (ds)。参加ミュージシャンも大物ばかりです。

 
 

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2017年5月17日 (水曜日)

夜の静寂にクールなジャズ・1

ジャズには、汗が飛び散らんばかりに熱気を帯びて吹きまくる演奏もあれば、その反対に、グッとムーディーにそしてアーバンなムードを湛えたクールな演奏もある。夜、寝る前の一時、夜の静寂の中、耳を傾けるジャズは後者の「クールな演奏」のジャズが良い。心からリラックス出来て、寝付きが良くなる。

Charlie Haden『Nocturne』(写真左)。2000年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Haden (b), Gonzalo Rubalcaba (p), Ignacio Berroa (ds) のピアノ・トリオを中心に、Joe LovanoとDavid SanchezのサックスとFederico Britos Ruizのバイオリンが客演し、加えて、2曲目の「Noche de Ronda (Night of Wandering)」にのみ、Pat Methenyのアコギが単独で参加する。

アルバム・タイトルの「Nocturne」とは「夜想曲」のこと。「夜想曲」とは「夜の情緒を表現しようとする曲」のこと。そんな「夜想曲」な曲想、曲調の曲をズラリ11曲、収録している。落ち着いたリズム&ビートに乗って、趣味良くムーディーにアーバンな雰囲気を醸し出しつつ、限りなくクールな演奏を繰り広げる。

「夜想曲」の演奏の底をしっかりと支えて、曲全体のとりまとめをするのは、リーダーであるベースの哲人、チャーリー・ヘイデン。骨太でゴリッとした安定のベースはヘイデンならではのもの。このアルバムでは、ヘイデンのベースがとっても良い音で録れてます。聴いていて惚れ惚れしますね〜。ジャズ・ベース、ここに極まれり、です。
 

Nocturne_1

 
そして、このアルバムの最大のハイライトは、ゴンサロ・ルバルカバのピアノ。ラテンチックな躍動感溢れるピアノが得意なゴンサロなんですが、このアルバムでは、実にリリカルな、それでいて音の芯が太く、音のエッジが程良くラウンドしている、どっしりとした重心の低いピアノで聴かせてくれる。全編に渡って、ゴンサロのピアノ、聴きものです。

イグナシオ・ベローアというパーカッショニストも実に良い。ゴンサロと同じキューバ出身とのこと、実にムーディーなパーカッションである。パットのアコギもむっちゃ雰囲気あるし、フェデリコ・ブリトス・ルイスのバイオリンもクールでムーディー。そうそう、ジョー・ロヴァーノとダヴィッド・サンチェスのテナーも凄く良い。

アルバム・タイトルが、ほんとにシックリ来る演奏です。こういうグッとムーディーにそしてアーバンなムードを湛えたクールな演奏ができるのもジャズなんですね。そんな演奏をガッチリとサポートし、まとめ上げているのが、チャーリー・ヘイデンのベース。

夜の静寂にピッタリのジャズです。ベースの哲人が、ピアノにゴンサロ、ドラムにベローアを従え、テナーやギター等を客演に「夜想曲」を奏でる。秀作です。

 
 

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2017年1月23日 (月曜日)

ながら聴きのジャズも良い・15

植田典子とは誰か。ネットのレビューからの転載になるが「1997年バークリー音楽大学卒業、1998年よりニューヨークを拠点に活動するジャズ・ベーシスト。現代のNYのファースト・コール・ベーシストの一人」とある。ふ〜ん、知らなかった。

しかし、この盤の音を聴くと合点がいく。むっちゃ魅力的な音が鳴り響くアコベである。ブンブンブンと胴と弦が唸りを上げる。それも、実に上品なベース音である。ネットのレビューには「哀愁とガッツ」とある。なるほど、女性ベーシストならではの音の響きが実に「典雅」。

植田典子トリオ『Debut』(写真左)。2015年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、植田典子 (b), テッド・ローゼンタール(p), クインシー・デイヴィス (ds)。正統なピアノ・トリオである。ジャケットもなかなか良い感じのデザインで、これまた正統なジャズ盤のイメージである。
 

Debut

 
これだけベースが正統な純ジャズ基調なのである。当然、ローゼンタールのピアノも、クインシー・デイヴィスのドラムも正統な純ジャズ路線ど真ん中である。現代のネオ・ハードバップな音世界を踏襲しながら、モードありコードあり、メインの旋律はあくまで「哀愁感溢れるマイナーな響き」。

このトリオの音は圧倒的に「絵に描いた様な純ジャズなピアノ・トリオ」。はたまた、このアルバムは「現代の純ジャズの教科書」の様なアルバムである。ピアノ・トリオの美味しいところが、アルバム一杯にガッツリと盛り込まれている。現代のジャズ・ピアノ・トリオとはこれ、と差し出したくなるような演奏内容である。

良いアルバムです。これだけ「現代の純ジャズの教科書」な内容だと、スピーカーに対峙して聴き込むというよりは、静かな部屋の中で、本でも読みながらの「ながら聴き」に最適なアルバムだと思います。ピアノ・トリオの音の響きがとっても素敵なアルバムです。

 
 

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2016年11月30日 (水曜日)

ヴィトウスの新盤は良い感じ

久し振りにMiroslav Vitous(ミロスラフ・ヴィトウス)の新作を見つけた。これは即ゲット、即聴きである。

ミロスラフ・ヴィトウスは、意外と僕のお気に入りのベーシストである。初の出会いは「Weather Report」。このウェザー・レポート発足時、ジョー・ザビヌル、ウェイン・ショーターと同列のリーダー格。今から思えば、このウェザーのファースト盤とセカンド盤の音作りについては、ヴィトウスの占める割合が大きかったと感じている。

そんなヴィトウスの新盤。Miroslav Vitous『Ziljabu Nights』(写真左)。2016年6月25日のライブ録音。ちなみにパーソネルは、Miroslav Vitous (b), Aydin Esen (key), Roberto Gatto (ds), Gary Campbell (sax), Robert Bonisolo (sax)。正直に言うと、ヴィトウス意外は全く知らない顔である。

が、冒頭の「Ziljabu」を聴いただけで「ああ、これはウェザー初期の音世界である」としみじみ感動。あの頃のアコースティックとエレクトリックを融合した、柔軟なリズム&ビートとモーダルで限りなく自由度の高い「最先端のメインストリーム・ジャズ」。しかも、あの頃よりも演奏レベルは「より高く」、アドリブの展開は「より自由」。
 

Ziljabu_nights

 
2曲目「Morning Lake」以降も、その音世界は「ウェザー初期の音世界」。う〜ん、この音世界、実は大好きなのだ。今でも、ウェザー・リポートのアルバムで、ちょくちょく聴く回数が多いのは「ファースト盤とセカンド盤」そして「Mr.Gone」。どうも、僕のウェザーの好みはマイナーな部類である。

特に感じ入ったのは、ラストの「Stella By Starlight Variations」。あらら、最後の最後で「どスタンダード曲」が出てきて、ガッツリと聴衆の印象を掴む作戦か、と思いきや、その演奏を聴くと「あらビックリ」。捻れてシュールでシンプルな「ヴィトウスの音世界」。いい、これはいい。

ミロスラフ・ヴィトウス、1947年生まれ、今年で69歳。チェコ、プラハが生んだ偉大なベーシスト。彼の音世界は、ウェザーのファースト盤をリリースした1971年当時とちっとも変わっていない。どころか、この新盤を聴いて、その彼の音世界はグレードアップしていると強く感じた。ジャズの今日、ジャズの明日はまだまだ明るい、そう感じた。

 
 

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