2023年11月17日 (金曜日)

R・ブライアントの初リーダー作

ジャズ演奏の中では、ピアノの演奏が一番お気に入り。子供の頃、10年間ほどピアノを習っていたということもあって、ピアノについては聴くだけでは無く、弾く難しさも多少理解できるので、ジャズ・ピアノは他の楽器より、その内容が理解し易い。そういう点からも、ジャズ・ピアノが一番好きなんだろうな、と思う。

ジャズ・ピアニストについては、好きなピアニストは多々いるが、ジャズを聴き始めた50年ほど前から、レイ・ブライアントがお気に入りのピアニストの一人。で、その「レイ・ブライアントの初リーダー作」を追い求めていたのだが、やっとその音源を確保することが出来たのが5年ほど前。今日は、その「レイ・ブライアントの初リーダー作」のお話を。

Betty Carter And Ray Bryant『Meet Betty Carter And Ray Bryant』(写真)。1955年5月13日の録音。ちなみにパーソネルは、Betty Carter (vo), Ray Bryant (p), Jerome Richardson (fl), Wendell Marshall (b), Philly Joe Jones (ds)。レイ・ブライアントのディスコグラフィーからすると、この盤が初リーダー作になるという。

この盤の構成が面白くて、ブライアントのトリオ演奏と、ベティ・カーターのボーカル入りのトリオ演奏と交互に入っている。ベティ・カーターも共同名義のアルバムなので、年齢からして、ベティ・カーター先攻で始まると思って構えていたら、ブライアントのトリオ演奏が冒頭に来るので、ちょっと拍子抜け(笑)。

しかし、この冒頭のトリオ演奏「Sneaking Around」はブライアント作の曲で、これがなかなか「イケる」。この冒頭の「Sneaking Around」から、3曲目「What Is This Thing Called Love?」のブライアント・トリオの演奏を聴いていると、レイ・ブライアントのピアノの演奏スタイルは、この初リーダー作時点で確立されていたことが判る。
 

Betty-carter-and-ray-bryantmeet-betty-ca

 
オフビートでファンキーな弾き回しが見事な右手、低音を効果的にゴーンと入れて、演奏のベースラインに強烈なファンクネスとアーシーな雰囲気を醸し出す左手。演奏のフレーズに「ダウン・トゥ・アース」な雰囲気をしっかりと漂わせる。このアーシーでダウン・トゥ・アースなピアノの弾き回しが僕は大好き。そんな「ブライアント節」が、この初リーダー作のトリオ演奏に既にしっかりと存在している。

そして、ベティ・カーターについても、この盤が初リーダー作になるらしいが、そんな雰囲気は微塵もない。既にベテランの様な堂々とした唄いっぷり。ボーカルに張りとパンチがあって歯切れが良いところは「若さ」から来るのか、とも思うが、とにかく唄いっぷりは堂々としている。そんな堂々とした唄いっぷりを支えているのが、ブライアント・トリオの小粋なバッキング。

レイ・ブライアントは伴奏上手、という印象は以前から持っているが、この初リーダー作にして、その「伴奏上手」が炸裂しているとは思わなかった。確かに「伴奏上手」。カーターのボーカルを邪魔することなく、効果的にサポートし鼓舞する。カーターはとても唄いやすそうで、自然体で流れる様に唄い上げている。

最後に、この盤は当初。LPでのリリース時には、収録曲は全12曲。CDリイシューの際に、LP時代の内容をそのままに復刻しているCDと、ボーナストラックを加えて、曲順もLP時代と全く変えてリイシューしているCDとある。

この盤を聴く時は、LP時代の内容をそのままに復刻しているCDを聴いて欲しい。サブスクの場合は、冒頭の1曲目が「Sneaking Around」で始まり、12曲目が「Can't We Be Friends?」のもの。これ、ボートラが後ろにくっついている場合があるが、このボートラは無視して下さい(笑)。
 
 

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2023年6月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・263

唄って弾きまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン(George Benson)。その弾きっぷりは「ウエス・モンゴメリー」のファンキー・ギターの再来。その唄いっぷりはソウルフル&ムーディー。唄って弾きまくるその底には「R&B」の黒さが流れ、ソウル・ミュージックのファンクネスが流れる。今の耳で振り返れば、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックの発祥である。

George Benson『Tell It Like It Is』(写真左)。1969年の4ー5月の録音。 A&M/CTIレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。ドラムとパーカッションはほぼ固定。曲によって、ギターとサックス、ベースを使い分けている。後のフュージョン・ジャズの担い手ジャズマンが集結している。

George Benson (g, vo), Lew Soloff (tp), Jerome Richardson (tracks 1–5, 8, 10 & 11), Arthur Clarke, Sonny Fortune (sax, tracks 1–5), Joe Farrell Joe Henderson (sax, tracks 8, 10 & 11), Bob Porcelli, Hubert Laws (sax, tracks 6, 7 & 9), Rodgers Grant (p, tracks 6, 7 & 9), Richard Tee (p, tracks 1–5, 8, 10 & 11), Bob Bushnell (b, tracks 1–5), Jerry Jemmott (b, tracks 1–7 & 9), Jim Fielder (b, tracks 8, 10 & 11), Leo Morris (ds), Paul Alicea, Angel Allende, Johnny Pacheco (perc)。

ラテンとソウル、R&B、カリビアンとエレ・ジャズを融合させた、クロスオーバー・ジャズな音作り。リーダーのジョージ・ベンソン自体は、易きに流れず、かなり硬派でメインストリーム志向のファンキー・ギターを弾きまくっている。ウエスばりのオクターヴ奏法で弾きまくり、ソウルフルでソフト&メロウなヴォーカルを披露している。
 

George-bensontell-it-like-it-is

 
Booker T & M.G.'sの名曲をカヴァーした、ご機嫌なラテン・ジャズ「Soul Limbo」から始まり、Jerry Butlerのカヴァー、ソウルフルでR&Bな「Are You Happy?」、ベンソンのヴォーカルが心地良い「Tell It Like It Is」、こってこてラテンな「Land Of 1000 Dances」、
Dontcha Hear Me Callin' To Ya」「Water Brother」は小粋なジャズ・ファンク。

グルーヴィーなブラスのユニゾン&ハーモニーも芳しい、ソウルフルなカントリー・ナンバー「My Woman's Good to Me」でのベンソンの歌唱にグッとくる。「Jama Joe」のホットなラテン曲でギターを弾きまくるベンソンは熱い。

ラス前の、スティヴィー・ワンダーの名曲のカヴァー「My Cherie Amour」でのベンソンのオクターヴ奏法に思わず仰け反り、ラストのオールドR&Bチューンのカヴァー「Out in the Cold Again」でのベンソンのソフト&メロウな唄いっぷりに惚れ惚れする。

このベンソンの『Tell It Like It Is』というアルバム、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズまで、お洒落なアレンジに乗って、マニアックで玄人好みの演奏がてんこ盛り。

米国ルーツ・ミュージックと融合したクロスオーバーなジャズを、熱いギターとソフト&メロウなボーカル、そして、小粋なアレンジで聴かせてくれる。とにかく単純に聴いていて楽しく、思わず足踏みし腰が揺れる。そんなソウルフルな傑作だと思います。
 
 

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2023年5月 8日 (月曜日)

マントラの50周年記念アルバム

ジャズの世界でも、ピンのボーカルは数あれど、ボーカルのグループは「稀少」。ピンであれば、何もかもが「自分次第」なので、何かとやり易いのだが、グループの場合、メンバー同士の声質の相性が良くないといけないそ、そのグループの個性を活かした高度なアレンジが必要で、意外とグループの結成〜運営の難度が高いのが原因だと睨んでいる。

The Manhattan Transfer with the WDR Funkhausorchester『Fifty』(写真左)。2022年9月のリリース。唯一無二のジャズ・コーラス・グループ、マンハッタン・トランスファー(略して「マントラ」)の50周年記念アルバム。ドイツのケルン放送管弦楽団との共演盤である。

マントラの現メンバーは、Alan Paul, Janis Siegel, Cheryl Bentyne, Trist Curless の4人。グループの創設者でありリーダーであった Tim Hauser が、2014年10月16日、72歳で逝去。交代メンバーとして、Trist Curless が加入して、現在も、結成時どおり、4人のコーラス・グループとして活動している。

そんなマントラも結成50周年。僕は、1975年リリースの『The Manhattan Transfer(マンハッタン・トランスファー・デビュー!)』からリアルタイムで聴き続けてきたので、それでも48年になる。リーダーのティム・ハウザーが亡くなった時には、マントラも解散やろなあ、と残念に思ったのだが、トリスト・カーレスを交代メンバーとして迎えて、活動を継続したのには、心底、心強く思ったものだ。

この盤は、キャリア50年間の中でのマントラ自身のヒット曲の数々を、ドイツのケルン放送管弦楽団と共演して再録音した「マントラ with ストリングス」。


The-manhattan-transfer-with-the-wdr-funk

 
with ストリングス作品は、まずアレンジが一番の「キモ」。アレンジが陳腐だとイージーリスニングな軽音楽風に成り下がって、聴くに耐えない状態に陥る。が、この盤ではヴィンス・メンドーザ等の優秀なオーケストラ・アレンジャーが腕を振るっていて、マントラの個性を損なうこと無く、コンテンポラリー・ジャズな雰囲気をしっかり維持した内容になっている。

加えて、バックがストリングスなりのボーカル・アレンジも必要になるのだが、これも、アマンダ・テイラー等のヴォーカル・アレンジャーが腕を振るっていて、マントラのボーカル&コーラスの個性、アーバンで小粋でどこかコケティッシュな雰囲気、独特のコーラスの重ね方とフレーズの取り回し、それらを十分に活かした、ちょっと聴くだけで「マントラ」と判るボーカル・アレンジは素晴らしいものがある。

マントラのボーカル&コーラス自体は全く変わりなく、卓越したチームワーク&歌唱力で唄いまくる。その統率&規律がとれた一糸乱れの無いコーラス・ワークは圧倒的。そんなボーカル&コーラスが、ストリングスの力で、更に魅力を引き立たせ、この個性を前面に押し出し浮き出した、今までのマントラ盤に無い魅力が詰まった好盤である。

この盤の魅力って、マントラとして初録音となる、ジョージ&アイラ・ガーシュウィン作の有名スタンダート曲「The Man I Love」を聴けば良く判るかと思う。この歌唱はマントラとして最高の部類に入るのでは無いか、と思っている。

マントラ健在。そんな気持ちを強く持った傑作盤。しかし、2022年暮れから2023年にかけて「ファイナル・ワールド・ツアー」を敢行することがアナウンスされている。マントラも「レジェンド」の域に達したのか、と感慨深く思ったり残念にも思ったり。それだけ、唯一無二の稀少なジャズ・ボーカル・グループなんですよね、マントラって。
 
 

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2023年2月15日 (水曜日)

「たなかりか」のボーカルが良い

前のブログで「Disc Grand Prix 年間グランプリ」でも、日本のジャズ・ミュージシャンの優秀盤が結構な数、上がっている」と書いた。このジャズ・ライフ誌の年間グランプリは、ジャズ評論家の方々が、忌憚の無い、自らが良いと感じたアルバムをノミネートしている雰囲気が伝わってきて、ノミネートされたアルバムに関して、以前の様な商業主義は殆ど感じ無い。

たなかりか『Japanese Songbook "Winter" with Jazz standards』(写真左)。2022年の作品。ちなみにパーソネルは、たなかりか (vo), 鈴木正人 (b), ハタヤテツヤ (key), 小沼ようすけ (g), 坂田 学 (ds)。ジャパニーズ・ポップスを日本語のままジャズ・カバーする、たなかりかのプロジェクト「ジャパニーズ・ソングブック」の10周年を記念した企画盤。

ジャケット・デザインを見て、ちょっと「眉をひそめる」。これって、バブル時代に量産された、聴き心地が良いだけの「お洒落なイージーリスニング・ジャズ」では無いのか。でも、それでは、ジャズ・ライフ誌の年間グランプリにそのタイトルが上がる筈が無い。でもなあ、このジャケはなあ。でも、パーソネルを見れば、現代の和ジャズの腕利き達がズラリと並ぶ。やっぱり、これは大丈夫や、と聴き始める。

アルバム構成は2枚組で、Disc1:ジャパニーズ・ポップス“冬”の名曲。Disc2:プロジェクト初収録のジャズ・スタンダード。Disc1に収録されたジャパニーズ・ポップスは「冬」をテーマに選曲。Disc2は、人気のジャズ・スタンダード曲集。どちらも、ライトでコンテンポラリーな純ジャズ志向にアレンジされていて、聴き応え十分。

Disc1は「12月のエイプリル・フール(EPO)」から始まって、冬の定番「恋人がサンタクロース(松任谷由実)」、そして、「氷の世界(井上陽水)」「白い恋人達(桑田佳祐)」「ネイティブダンサー(山口一郎)」「恋人よ(五輪真弓)」と続き、「CHRISTMAS TIME IN BLUE(佐野元春)」で締める。
 

Japanese-songbook-22winter22-with-jazz-s

 
ジャパニーズ・ポップス“冬”の名曲の選曲が、僕にとっては素晴らしい。全て学生時代から社会人の生活の中でリアルタイムに聴いた名曲ばかりで「僕好み」の曲が並ぶ。それらが、ライトでコンテンポラリーな純ジャズ志向にアレンジされて、たなかりかが軽快に情感込めて唄い上げる。「恋人がサンタクロース」「氷の世界」「恋人よ」など、涙涙の絶品、絶唱である。

そして、Disc2の人気のジャズ・スタンダード曲集が、これまた絶品。「Fly me to the moon」「My favorite things」「L-O-V-E」「Come rain or come shine」「Bye bye blackbird」「Devil may care」「That’s all」の全7曲。これまた「僕好み」のスタンダード曲がズラリ。特に「Fly me to the moon」「L-O-V-E」「Bye bye blackbird」など、涙涙の絶品、絶唱である。

たなかりかのボーカルは素姓良く、力感もあり、アーバンでスマート。ストレートな歌唱は、現代のコンテンポラリーな純ジャズ志向のアレンジにピッタリで、違和感無く適応している。表現力も豊かで、決して単調にならず、CD2枚組、全14曲を一気に聴かせるパワーを秘めている。

良質な「現代の和ジャズのコンテンポラリーなボーカル」を聴かせてもらった気分。「ジャパニーズ・ソングブック」10周年は「伊達では無い」。バックのリズム・セクションも素晴らしい。フロントのボーカルとバックのリズム隊が一体となった、たなかりかのボーカルの力量がダイレクトに伝わってくる好盤である。
 
 

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2022年12月14日 (水曜日)

クリスの "バードランドの子守唄"

ベツレヘム・レーベルのアルバムを、Bethlehem 6000 series (12 inch LP)」のカタログから、カタログ番号順に聴き直している訳だが、カタログを見渡すと、ジャズ・ボーカルのアルバムが散見される、というか、資料によると、全カタログの4分の1がジャズ・ボーカルのアルバムとのこと。他のジャズレーベルと比べると、かなりボーカル盤が多いということになる。

ベツレヘムの創始者、ガス・ウィルディは、他社とは違うことをやらなければ、レコード・ビジネスで勝負していけない、と思っていたらしく、その切っ掛けは、レーベル初期の「クリス・コナーのアルバムのヒット」だろう。このクリス・コナーのアルバムのヒットによって、ボーカル重視路線が固まったと思う。しかも、ベツレヘム・レーベルは、名の売れたボーカリストよりは、新人を発掘して世に出すことに力を入れていた、とのことだが、カタログを見渡すとその傾向が良く判る。


Chris Connor『Sings Lullabys of Birdland』(写真)。録音日時とパーソネルは3つ分かれる。1-5曲目が、1954年8月9 & 11日の録音で、バックは、Ellis Larkin (p) Trio。6-8曲目が、1953年12月17 &18日の録音で、バックは、Sy Oliver (arr.cond) 's Orchestra。9ー14曲目が、1954年8月21日の録音で、バックは、Vinnie Burke (b) Jazz String Quartet。録音場所は全てNY。
 

Chris-connorsings-lullabys-of-birdland

 
この盤が、その「クリス・コナーのアルバムのヒット」の1枚。聴くと判るが、とても馴染み易い、女性ジャズ・ボーカルである。正統派なジャズ・ボーカルの特徴である、フェイクやビブラート、シャウトなどがほとんど無い。クリスの声はハスキーで明確、パワフルでメロー。耳に優しく、耳に馴染む、しっとりした、どこか爽やかな歌声。

選曲も良い。3つのセッション(3つの10" LP盤)の寄せ集めではあるが、クリスのボーカルを前面に出した録音がメインなので、それぞれアレンジやバックの演奏が異なるのだが、しっかりとした統一感があって、寄せ集め感が無いのも良い。1曲当たり、3分程度と短いが、クリスのボーカルを愛でる上では気にならない。とにかく、聴いていて心地良い女性ボーカル盤である。

聴き終えて、クリスのボーカルの良さが沁みてくる、なるほどクリスの代表盤、と感心する内容です。良い意味で「ながら聴き」も出来るジャズ・ボーカル盤。当時、クリスのボーカルは、ジャズファン以外の他のジャンルのボーカル好きにも訴求したのではないか、と思います。当時、ヒットしたのが良く判りますね。
 
 

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2022年9月28日 (水曜日)

歌伴上手なシアリングである

やっと涼しくなってきた。日中、陽射しが強い日はまだまだ蒸し暑かったが、今日は強い北風が日中から吹いて、カラッとした秋らしい好天となった。涼しくなってくると、夜、ジャズ・ボーカルを聴く気になってくる。しかし、ベッタベタ、重厚で本格的なジャズ・ボーカルは苦手なので、健康的で明るいキュートな歌声を探すことになる。

The George Shearing Quintet with Nancy Wilson『Swingin's Mutual』(写真左)。1960年6ー7月、1961年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Nancy Wilson (vo), George Shearing (p), Dick Garcia (g), Warren Chiasson (vib), Ralph Peña (b), Vernel Fournier (ds), Armando Peraza (perc)。ナンシー・ウィルソンのボーカルとジョージ・シアリング・クインテットとの共演である。

小粋なジャズ盤を探索していて、ストックしておいた盤の中に、ボーカル盤は無いか、と探したら、この盤が最初に目に付いた。ナンシー・ウィルソンか。1960年、キャノンボール・アダレイの後押しでメジャー・デビュー。後に米国の国民的スターになったウィルソンの24歳の時、デビュー盤からの3作目。

ナンシーのボーカルは、パワフルで軽快、スイング感溢れ、情感豊かに可憐に歌い上げる、エレガントなボーカル。癖が無く、「こぶし」も回らず、ストレートな歌唱。これが良いのですね。癖を前面に出して、ビブラート豊かに「こぶし」を回して唄う、ジャズ・ボーカルはちょっと苦手です。
 

George-shearing-with-nancy-wilsonswingin

 
そして、バックに控えるのが、ジョージ・シアリング率いるクインテット。シアリングは1912年生まれ。クール・ジャズの第一人者として活躍した盲目のピアニスト。スイングから中間派、そして、ハードバップとジャズの数々のスタイルを弾きこなした職人的ピアニストである。

シアリングのピアノには「癖」がない。端正で流麗、緩急自在で揺らぎは無い。元祖「総合力勝負」のピアニストだと思うのだが、この歯切れの良いタッチでの端正さと流麗さが個性といえば個性。アドリブも端正で癖が無い。この元祖「総合力勝負」なピアニストは歌伴にも優れている。この盤でも「歌伴上手」なシアリングのピアノが、全編に渡って、とても印象的に響いている。

冒頭には、僕の大好きなスタンダード曲「On Green Dolphin Street」が入っているから、更に良い。この曲、演奏するにも唄うにも難曲の類だと思うんだが、ナンシーは全く揺らぐこと無く、しっかりビートに乗って、端正に流麗にメリハリをバッチリ効かせて唄い上げていく。この1曲だけでもこの盤は「買い」ですね(笑)。

ナンシーの魅力的でキュートな歌唱、スインギーで端正で流麗なシアリングの歌伴。聴きどころ満載で一気に聴き切ってしまう。スッキリとした味わい深いボーカル盤。シアリングのピアノを楽しむにも恰好の「小粋なジャズ盤」である。
 
 

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2022年7月11日 (月曜日)

『この素晴らしき世界』を聴く

今日は猛暑がぶり返した千葉県北西部地方。湿度も高くて、朝からグロッキー気味。これだけ暑いとシビアなジャズは聴けない。ボサノバ・ジャズも良いんだが、選盤としては「ありきたり」。最近、ネットを徘徊していて、この人のアルバムを見つけた。ルイ・アームストロング、愛称は「サッチモ」。久し振りに、サッチモのボーカルを聴きたくなった。

Louis Armstrong『What a wonderful world』(写真左)。1968年、NYとラスベガスでの録音。パーソネルは、Louis Armstrong (vo, tp), Tyree Glenn (tb), Joe Muranyi (cl), Marty Napoleon (p), Buddy Catlett (b), Danny Barcelona (ds)。伝説のトランペッター&ボーカリスト、ルイ・アームストロング(愛称:サッチモ)の大ベストセラー盤。

邦題『この素晴らしき世界』。ベタな話だが、冒頭のタイトル曲がダントツに良い。味のあるダミ声、ダミ声だが優しい響き、音程のしっかりとれたボーカル。ジャズを聴き始めた頃、僕はサッチモのボーカルが苦手だった。ダミ声がどうにも駄目で、暫く遠ざけていた。サッチモのボーカルが「良い」と感じたのは、40歳を過ぎる頃だったか。ジャズ・ボーカルに対する「耳」も肥えて、サッチモのボーカルの良さをダイレクトに感じることが出来た。
 

Louis-armstrongwhat-a-wonderful-world

 
さて、このタイトル曲『What a wonderful world(この素晴らしき世界)』、ポジティヴな哀愁感漂う伴奏に乗って、優しいダミ声、正統派なサッチモのボーカルが流れてくる。聴けばいつも、心がホッとし、気分が明るくなり、なんだか晴れ晴れする。聴くといつも思うんだが、サッチモのボーカルは説得力がある。声という「楽器」を聴いているが如く、である。

冒頭のタイトル曲ばかりがもてはやされるが、2曲目「Cabaret」以降、ラストの「Hellzapoppin'」まで、聴き応えのあるサッチモのボーカルとバックの小粋な伴奏が続く。どの曲も良くアレンジされ、サッチモのボーカルも好調、ダレた曲、平凡な出来の曲は全く無く、心地良いテンションの中、心ゆくまで、サッチモのボーカルを堪能することが出来る。

サッチモ入門盤としてお勧めの内容。久し振りに聴いて、改めて、その内容の良さに感心した。ちなみに愛称「サッチモ」の由来であるが、WIkipedia等によると、サッチモという愛称は「satchel mouth」(がま口のような口)というのをイギリス人記者が聞き違えたとする説と「Such a mouth!」(なんて口だ!)から来たとする説などがあるそうです。とにかく、ルイの印象的な「口」に関するニックネームみたいですね。お後がよろしいようで(笑)。
 
 

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2022年7月 2日 (土曜日)

ウィスパー・ヴォイスの妖精

暑い。とにかく暑い。酷暑である。この3日間、日中、外出するのは憚れる。夜になっても熱帯夜の連続。エアコンが無ければ、とうの昔に干上がっている(笑)。来週月曜日以降は、台風の影響で天気が悪化し、陽射しが滞るので、酷暑は一旦回避出来るとのこと。ほんまかいな、とも思うが、台風の影響が出てくることは間違い無い。

これだけ暑くて湿度が高くなると、エアコンの効いている部屋の中とは言え、熱気溢れるジャズや、難度の高いジャズは聴くのがしんどくなる。フリー・ジャズや激しいスピリチュアル・ジャズなど以ての外。リラックスして聴けるボサノバ・ジャズや、ライトなジャズ・ボーカル、爽やかなフュージョン・ジャズが良い。

『Blossom Dearie』(写真左)。1956年9月11–12日の録音。ちなみにパーソネルは、Blossom Dearie (p, vo), Herb Ellis (g), Ray Brown (b), Jo Jones (ds)。誰が呼んだか、良い意味で「元祖かまととシンガー」(笑)、ウィスパー・ヴォイスの妖精、ブロッサム・ディアリーのデビュー盤である。
 
ブロッサム・ディアリーは、米国のジャズ・シンガーであり、ピアニスト。「ビ・バップのベティ・ブープ(アニメの架空の少女キャラクター)」と評される、キュートでチャーミングな歌唱が個性。
 

Blossom-dearie_1

 
従来の女性ジャズ・ボーカルは、しっかりと音の座った、少し太めの中音域中心の力強い歌声が主流だった。もちろん、歌唱テクニックは相当に高い。パワフルな声量と圧倒的な歌唱力がメインだったが、ディアリーの歌声はその「正反対」。硬派なジャズ・ボーカル者の方々からすると、「認めたくない」ボーカリストの類だろう。

ディアリーの歌声はキュートであり、可愛らしい子供のような、チャーミングを絵に描いたような独特の歌声が特徴。聴いていて爽やかであり、温和であり、心地良くジャジー。

ややもすれば、歌唱の「凄み」に欠けるところがあるディアリーのボーカルだが、その「凄み」の部分をバックの一流ジャズマン達がしっかりと補い、ディアリーのキュートなボーカルの良いところを前面に押し出し、ディアリーのボーカルのキュートな雰囲気によって、甘きに流れそうな演奏全体のイメージを、キッチリと引き締めている。

ディアリーのキュートで個性的なボーカルと控えめだがツボを押さえたピアノ、そして、バックのリズム隊の演奏の水準の高さによって、この盤はライトでリラクゼーション溢れる、爽やかで聴いていて心地良いボーカル・アルバムに仕上がっている。酷暑の夏に聴くに相応しい、女性ボーカルの優秀作だと思う。
 
 

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2022年2月20日 (日曜日)

サッチモのディズニー・ソング集

ルイ・アームストロング(Louis Armstrong・愛称「サッチモ」)に関連するトリビュート盤を聴きながら、サッチモの盤で、今まで一番聴いてきた盤ってどれかな、と考え始めた。『Ella and Louis』(1956年)か、いや『Louis Armstrong Plays W.C. Handy』(1954年)もよく聴いた。しかし、一番よく聴いたのは、この盤だろう。

Louis Armstrong『Disney Songs The Satchmo Way』(写真)。邦題『サッチモ・シングス・ディズニー』。1968年5月、ロサンゼルスでの録音。ディズニー映画の主題歌や挿入歌をチョイス、ニューオーリンズ・ジャズ・スタイルのアレンジで、サッチモの味のあるボーカルと相まって、とても楽しい内容になっている。

サッチモのダミ声っぽい渋いボーカルが、ディズニー・ソングに合うのだろうか、という疑義が頭を掠めるが、これが意外とマッチしている。サッチモの歌声の「暖かさ」と「優しさ」が、ディズニー映画のキャラや主題歌に合うんだと思う。これって大人も子供も楽しめる雰囲気で、とにかく聴いていて、とても楽しい気分になること請け合いである。
 

Disney-songs-the-satchmo-way

 
サッチモのトランペットも良い音していて、ディズニー・ソングに花を添える。サッチモのトランペットは、とてもジャジー。このトランペットの音ひとつで、このディズニー・ソングのカヴァー集を「ジャズ」に染める。サッチモのトラペットが鳴り響くからこそ、このディズニー・ソングのそれぞれは「ジャズ」の楽曲として成立している。

特に、『白雪姫』より「Heigh-Ho(ハイ・ホー)」、『メリー・ポピンズ』より「Chim Chim Cher-ee(チム・チム・チェリー)」、『シンデレラ』より「Bibbidi-Bobbidi-Boo(ビビディ・バビディ・ブー)」、『ピノキオ』より「 When You Wish Upon A Star(星に願いを)」などが、サッチモのボーカルにバッチリ合っていて、何回聴いても楽しい。

この盤、僕がジャズを本格的に聴き始めた今から40数年前、某大手レコード屋の「ジャズの初心者向け入門盤」の一覧リストの中にあって、ディズニー・ソングが好きな僕は思わず購入してしまった思い出の盤。冒頭の「Zip-A-Dee-Doo-Dah」でのサッチモのダミ声ボーカルに初めて出会った時、仰け反ってしまった記憶がある(笑)。でも、直ぐに愛聴盤の一枚になりました。サッチモのボーカルの良さが判って「よかった、よかった」である。
 
 
 
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2021年12月25日 (土曜日)

アビー・リンカーンの代表作

改めて、リヴァーサイド・レーベルのカタログを眺めていると、なかなか他のレーベルでは聴けない、リヴァーサイド・レーベルならでは、のアルバムを結構あることが判る。リヴァーサイドの総帥プロデューサー、オリン・キープニュース、結構、良い仕事してます。

Abbey Lincoln『That's Him!』(写真左)。1957年10月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Abbey Lincoln (vo), Kenny Dorham (tp), Sonny Rollins (ts), Wynton Kelly (p, (except "Don't Explain"), b, ("Don't Explain")), Paul Chambers (b, (except "Don't Explain"), Max Roach (ds)。当時、新進気鋭の女性ヴォーカリスト、アビー・リンカーンの2枚目のリーダー作。

まず、パーソネルが凄い。当時の「ビッグ・ネーム」なジャズマンばかり。よく集めましたねえ。リーダーのアビー・リンカーンが一番マイナーな存在なのが面白い。ちなみにアビー・リンカーンは1930年生まれ。この盤の録音時は27歳。まだまだ若手の駆け出しである。

3大女性ジャズ・ヴォーカリストと称される「サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ」のネクスト世代。ちょっとこぢんまりした印象は否めない。が、この盤では、堂々とガッツのあるヴォーカルを聴かせてくれる。この盤にも参加しているマックス・ローチのレコーディングに多数参加、ローチの強い政治色の影響を受け、後に結婚している(1970年に離婚)。
 

Thats-him_abbey-lincoln

 
アビー・リンカーンのヴォーカルは、力感溢れる、ストレートで豪快な唄いっぷり。唄いっぷりを聴いていると、ビリー・ホリディの影響を強く受けているのが良く判る。強い政治的思想を持った人で、彼女の歌には、そんな信念と情念を感じる。強い説得力を持ったアビー・リンカーンのボーカルは聴き応え満点。そんな彼女の唄いっぷりは、冒頭の有名曲「Strong Man」で、十分に確認出来る。

バックのスーパーなメンバーも当然、凄い音を連発。特に、ロリンズのテナー・サックスは、充実していて、大きい音で、大らかでダンディズム溢れる、力強いフレーズを連発。後に「夫君」となるマックス・ローチも、何時になく変幻自在なドラミングで、その高いテクニックを惜しみなく披露している。

ただ、この盤を聴いていて「偉いなあ」と思うのは、そんなスーパーなバック・メンバーだが、アビーのヴォーカルの邪魔は絶対にしない。逆にアビーを引き立てる役割を積極的に買って出ているようなのだ。ウィントン・ケリーのピアノも、変幻自在、硬軟自在なバッキングをしていて、こんなに歌伴上手なピアニストだったんだ、と改めて感心した次第。

実はこの盤には面白いエピソードがあって、ラストの「Don't Explain」の録音時、ベーシストのポール・チェンバースが泥酔状態に陥り、演奏不能状態になってしまった。誰がベースをやるのか、と思いきや、ピアノのウィントン・ケリーがベースを代理演奏している(よってバックにピアノはいない)。これが、ちょっと単調だが味のあるベースで、意外と「聴きもの」なのが、これまた面白い。
 
 
 
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