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2019年2月 3日 (日曜日)

Tower of Powerの50周年新盤

今からもう47年ほど前になるのか。ロックを聴き始めた頃、ブラス・ロックがお気に入りのひとつ。恐らく、中学でブラスバンドに入ってサックスを吹いていたことも影響していたんだと思う。バンド名を挙げると、Chicago、Chase、そして、Tower of Power、Average White Band かな。

ブラス・ロックは、まずフロント楽器である金管楽器のユニゾン&ハーモニーが魅力。そして、ブラス・ロックの命は疾走感と切れ味。そこに、R&Bな味わいが付いて、ファンクネス溢れ、ブラック・ミュージックの要素が漂い、アーバンな雰囲気が濃厚になる。ボーカルが入って、ソウルフルなイメージが良いアクセントになる。

Tower of Power『Soul Side of Town』(写真左)。R&B系のブラス・ロック・バンドである「タワー・オブ・パワー」の最新作。昨年6月のリリースになる。タワー・オブ・パワーは、1970年のデビューになるから、もう50年弱のキャリアになる。その50年弱のキャリアを総括した様な、タワー・オブ・パワーの「音の全要素」がこの新盤に詰まっている。
 

Soul_side_of_town

 
50周年を記念した新盤の為のレコーディング・セッションは2012年以降の6年間に計4回にわたって行われ、トータルで28曲が出来あがり、新作にはその中から14曲が収録されたとのこと。若い頃の「怒涛のブラス・ロック」では無い、パンチは効いていて疾走感もふんだんにあるが、どこか余裕を持った大人のブラス・ロックという雰囲気が実に「粋」である。

アルバム全編に渡って、溌剌なリズムと鮮やかなホーンの切れ味が溢れている。そこに、華やかなユニゾン&ハーモニーや伸びやかなボーカルが色づけとして加わって、実にファンキーであり、実にソウルフルなブラス・ロックに仕上がっている。リズムやフレーズも「今」の音であり、決して「懐メロ」では無い。懐古趣味など微塵も無いところが潔くて清々しい。

いや〜、現役感バリバリのタワー・オブ・パワー。2018年になって、タワー・オブ・パワーの新盤が聴けるとは思っていませんでした。昔の若かりし頃の「怒涛のブラス・ファンク」という力業を押し出すのでは無く、聴きやすさが前面に押し出た「大人のブラス・ロック」。今の耳にとても魅力的に響きます。往年のブラス・ロック者の方々にも一聴をお勧めします。

 
 

東日本大震災から7年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年3月 3日 (土曜日)

こってこてのソウル・ジャズ

ソウル・ジャズ。1960年代、ブルースや教会音楽を基本にした曲を元にしたジャズの流行の演奏スタイル。ブルースのフィーリングが強く、ゴスペルの要素を折り込んで、黒人音楽的要素を前面に押しだしたところが特徴。ポップで大衆的な雰囲気で、高揚感が漂い、今の耳で聴くと、スピリチュアルな側面が見え隠れする、ファンキーなジャズという雰囲気。

僕がジャズを聴き始めた1970年代後半では、ソウル・ジャズは異端であり、俗っぽく、本気で聴くジャズでは無い、とされた。僕の印象としては、演奏自体はソウル・ミュージックからR&B基調の音なので、違和感は無い、というか大好きなのだが、ボーカルが入るところがどうにも気恥ずかしくて、ステレオやカセットテレコから音を出しながら聴くということが出来なかった。

全く、許容量の少ないことであった(笑)。でも、である。50歳を過ぎることから、このソウル・ジャズについては、全く拘ること無く聴くことが出来ようになった。恐らく、年齢がそうさせたのだろう。もともと子供のころから、ソウル・ミュージック、特にモータウン系が好きだったので、ソウル・ジャズのボーカルについても実は全く抵抗が無かった。
 

Talk_to_the_people  

 
Les McCann『Talk to the People』(写真左)。ソウル・ジャズの中核的存在、キーボード奏者レス・マッキャンの好盤。1972年3月30日の録音。もう米国の最大のポップ・ミュージック・ジャンルは「ロック」の時代である。そこにこの「こってこてのソウル・ジャズ」。この盤、聴けば判るが、徹頭徹尾、こってこてのソウル・ミュージックである。バックの演奏は確かにファンキー・ジャズではあるが、ボーカルが入ると、これはもう「ソウル」でしょう。

演奏を聴いていると、思わず足でリズムを取り始め、体が動き始め、遂には踊り出してしまう。そして、このソウル・ジャズ盤、聴きどころは、レス・マッキャンのフェンダー・ローズ。ローズ独特の丸く揺れる鋭角な音が実にソウルフル。ゴスペル的な和音を重ねつつ、徐々にクレッシェンドしている様は、まさに「高揚感溢れるスピリチュアル」なもの。リズム&ビートはダンサフル。

若い頃は自らの耳で確かめること無く、つまりはジャズ雑誌の硬派な評論に左右されていたんだなあ、と今になって苦笑している。ということで、この盤である。これが実に良い雰囲気の、ポップでブルージー、ゴスペルチックでスピリチュアル。聴いて楽しいソウル・ジャズ。週末の晴れた朝、ゆったりと気持ちを高めたい朝。このソウル・ジャズは最適のBGMである。

 
 

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2017年12月25日 (月曜日)

ソウルのクリスマス・ソング集

音楽についてはちょっと変わった子供だった気がする。時は1970年、小学6年生の時だと記憶している。親父のラジオをくすねて、こっそり聴き始めた音楽放送。NHKだったと思う。夜の10時過ぎだったか、洋楽・軽音楽を中心に様々な音楽を流していた。これを聴くのが、ほんと楽しくてねえ。歌謡曲には無いビートと旋律。ラジオを通じて米国を感じていた。

そんな色々な西洋音楽の中で、妙に心に響く音楽があった。まずは、フランク・シナトラやナット・キング・コールなどの男性ジャズ・ボーカル。ダンディズム溢れる彼らの歌声はむっちゃ格好良かった。そして、ソウル・ミュージックである。このオフ・ビートの「ノリ」、心地良いファンクネス。日本の歌謡曲より、格好良く心地良い音世界がそこにあった。

ソウル・ミュージック。米国においてアフリカ系アメリカ人のゴスペルとブルースから発展、1960年代を頂点とする,アメリカ黒人の現代的な大衆音楽。以前よりR&Bと呼ばれ、後にブラコンと呼ばれる。ゴスペル由来のコード進行、たたみかけるような覚えやすいリズム、コール・アンド・レスポンス、即興の多用、ジャズにも通じる黒人の感性を洗練されたサウンドで表現する音楽形態である。ソウル・ミュージック好きが切っ掛けとなって、ジャズも好きになり、短い間だがジャズ・ピアノも教えて貰った。
 

Soul_christmas_2

 
中学に入って、ブラスバンドでアルト・サックスも吹けるようになった。どうにも黒人系の音楽が大好きで堪らない。自分でも変わった子供だ、と思った(笑)。オフビート、ゴスペル、コール・アンド・レスポンス、そして、ファンクネス溢れるボーカル。どれもが心に響くソウル・ミュージックの要素。

そんなソウル・ミュージックをベースとしたクリスマス盤が『Soul Christmas』(写真左)。ジャケット違いで曲数も多い「ソウル・クリスマス」盤もあるが、「ジ・オリジナル」と付くのはこの盤。1968年当時のジャケットもレトロっぽくて懐かしい。スタックスと袂を分かつ前のアトランティック配給の数々のアーティストを集め、クリスマスの曲を実に楽しそうに演奏している。

レイ・チャールズ、クラレンス・カーターやジョー・テックス、ソロモン・バーク等々、ソウル・ミュージックを彩るスターの数々。そうそう、キング・カーティス、オーティス・レディング、カーラ・トーマス、ウィリアム・ベル、ブッカー・T&MGズの曲ももちろん入っています。

ジャズの合間の耳休め。とっても楽しいソウル・ミュージックのクリスマス・ソング集。今年はこの盤で「メリー・クリスマス」。

 
 

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2017年8月18日 (金曜日)

現代のソウル・ジャズを発見

1960年代初め、流行りだした「ファンキー・ジャズ」。1960年代後半、このファンキー・ジャズのファンクネスが爽やかに強調されて「ソウル・ジャズ」に昇華する。モータウン・ミュージックが一般的になって「ソウル・ミュージック」と呼ばれ、後に「R&B」という音楽ジャンルが確立する。ソウル・ジャズとソウル・ミュージック。切っても切れない仲である。

ということで、ソウル・ジャズと言えば、1960年代後半の産物。1970年前後からはクロスオーバー・ジャズが出現して、ソウル・ジャズの要素は「クロスオーバー」や「フュージョン」の名の下に収斂されていった。今や「ソウル・ジャズ」は絶滅種であって、改めて「ソウル・ジャズ」を看板に掲げて演奏するジャズは無いだろう、と思っていた。しかし、である。Apple Musicを徘徊していて「あった」。

Chris Hazelton's Boogaloo 7『Soul Jazz Fridays』(写真左)。2016年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Chris Hazelton (Org), Nick Howell - (tp, tb), Nick Rowland (as, ts), Brett Jackson (bs), Matt Hopper (g), Danny Rojas (ds), Pat Conway (congas, perc)。オルガンあり、コンガあり、バリサクあり。ソウル・ジャズを構成するキーとなる楽器がしっかりと配置されている。
 

Soul_jazz_fridays  

 
そして、なんとタイトル自身が「ソウル・ジャズ」の看板を掲げている。もうジャズの世界では絶滅種としていた「ソウル・ジャズ」がリアルタイムで演奏されている。「ソウル・ジャズ」が現代のジャズの世界で生き存えているのだ。うへ〜、と喜びつつ、ついつい「ポチッ」とゲット。そして、この盤を聴くと、この盤に「今」のジャズをベースとして、「今」のソウル・ジャズがギッシリと詰まっている。

まさに「現代のソウル・ジャズ」が疾走する。そして、今時のジャズにしては珍しいのだが、バンド名にもあるブーガルーの曲調を強調したナンバーが意外と格好良い。漂うファンクネスも、1960年代後半の粘りのあるファンクネスでは無く、この盤に漂うファンクネスは爽快感抜群。爽やかなファンクネスを撒き散らして、ブーガルーが練り歩く。まったくクールでファンクな盤である。

Chris Hazelton's Boogaloo 7=クリス・ハザルトンズ・ブーガルー・セヴン、現代のジャズにおいて、ファンキー・ジャズの救世主的存在ですね。クールでダンサフル。聴いて楽しい、思わず身体が揺れ、思わず踊り出す。そんな楽しいソウル・ジャズな盤です。ジャケット・デザインもクール。意外とこの盤、我がバーチャル音楽喫茶『松和』でヘビロテになってます (^_^)v。

 
 

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2017年7月10日 (月曜日)

ソウル・ジャズの人気ライブ盤

意外とソウル・ジャズが好きだ。結構、俗っぽいので「ソウル・ジャズなんてな〜」と思って控えようかと思うんだが、あの独特のノリとファンクネスが忘れられず、やっぱり聴いてしまう(笑)。肩肘張らずに笑顔で「ノリノリ」で聴けるところが良いよね。ソウル・ジャズって、ジャズのこと、何も知らなくても十分楽しめるから隅に置けない。

ソウル・ジャズの好盤と言えば、このアルバムが良く出てくる。僕も最初、ジャズ盤紹介本で読んで、誰か判らんなあ、と思いつつ、紹介本で絶賛されているもんだから、手に入れて聴いてみて、ありゃ〜これは、コッテコテのソウル・ジャズではないの。良い感じです。Les McCann & Eddie Harris『Swiss Movement』(写真)。

1969年6月。スイスはモントルー・ジャズ・フェスでのライブ録音。ソウルフルなテナー奏者エディ・ハリスとソウルフルなピアノ奏者レス・マッキャンが初共演。ジャズメンによる、コッテコテのR&B大会の様相。これが「ソウル・ジャズ」だ、と言わんばかりの独特のノリとファンクネス。
 

Swiss_movement

 
冒頭、ロバータ・フラックの名唱でも知られる、ソウルフルな「Compared To What」から、リズミカルな演奏が心地良い「Cold Duck Time」と1〜2曲目の流れを聴くだけで、これは本当のコッテコテの「ソウル・ジャズ」であることを確信する。聴いていて、自然と身体がスイングし、足でリズムを取りつつ、顔はいつの間にか笑顔でニコニコ、強調されたオフビートのリズムでクラップハンド。

我が国では「踊れるジャズ」は敬遠される傾向があって、どういう訳か全然人気のない2人、レス・マッキャンとエディ・ハリス。このライブ盤もなかなか表に出ることは無かった。つい10年位前からかなあ、このライブ盤がジャズ盤紹介本で取り上げられるようになったのは。ソウル・ジャズって俗っぽいという評価だが、そんなことは全く無い。とにかく聴いていて楽しい。それが一番ではないか。

このライブ盤に収録されたライブ演奏について面白いエピソードがある。このライブ演奏、レス・マッキャンとエディ・ハリスのスケジュールが合わず、なんとリハーサル無しの一発勝負でライブ録音されたらしい。いや〜リハ無しの一発勝負でこれだけノリの良い、コッテコテのソウル・ジャズが展開できるなんて、やはりジャズのフィールドで培われた「即興の底力」ですね〜。素晴らしい。

 
 

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2017年6月30日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・108

小学校の高学年の頃から、今で言う「R&B」な音楽が好きであった。今から50年ほど前になるのだが、オフビートの黒人中心の音楽に何故か心を惹かれた。1960年代後半から1970年代前半には「ソウル・ミュージック」と日本では呼ばれた。いわゆる「魂」の歌というイメージから「ソウル」。今から思えば、かなりこじつけなジャンル言葉である。

『King Curtis Live at Fillmore West』(写真左)。1971年3月5〜7日、当時のロックの殿堂「フィルモア・ウエスト」でのライブ録音。アレサ・フランクリンのフィルモア・ウエストでのライブでのバックをつとめたキング・カーティスのアレサが登場する前の演奏のライブ。所謂「前座」の演奏なんですが、これが「前座」ですか〜(笑)。

演奏の雰囲気は、バックの演奏は「ソウル・ジャズ」。カーティスの歌唱は明らかに「R&B」。時は1971年、ジャズのトレンドは「クロスオーバ−」。このキング・カーティスのライブ盤、内容は、ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージックである。後のフュージョン・ミュージックの個性「ソフト&メロウ」なんて欠片も無い。あるのは汗飛び散るブラック・ファンクなソウル・ミュージック。
 

King_curtis_live_at_fillmore_west

 
むっちゃ雰囲気の良いR&Bコッテコテのカーティスのパフォーマンス。圧倒的な迫力溢れるボーカル、押し引きをわきまえたノリ、グループ感溢れんばかりのリズム&ビート。もうノリノリ、爆発するファンクネス。逆にスローな曲も良い。特に「青い影」のカバーは絶品。黒くアーバンなリズム・セクション。情感溢れるカーティスのパフォーマンス。絶品である。

当時としては斬新なエフェクトをかけたエレクトリック・サウンドを駆使してのブロウ、ファンクネス濃厚なリズム・セクション。後のR&Bの演奏展開のお手本となった個性的な演奏がこのライブ盤にギッシリと詰まっています。うねるホーン・セクションも隅に置けない。R&B/ソウルの代表的名盤ですね。

ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージックのノリが心地良い。収録曲も全てが魅力的で楽しい。R&Bの雰囲気濃厚なので、硬派なジャズ者の方々からは「これはジャズではない」レッテルを貼られそうな盤ですが、そういう器量の狭いことを言っていけない。ジャンルを超越した「聴いて楽しいノリの良い音楽」がここにあります。とにかく一聴あるのみ、です。 

 
 

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2012年8月16日 (木曜日)

暑かった夏のポップなR&B盤

暑いですね〜。猛暑と言って良いでしょうね。こんな暑い夏をガンガンに感じると、遠い昔、僕が大学時代の頃、汗をダラダラかきながら聴いた、とあるポップなR&B盤のことを思い出す。

そのアルバムの名は『I Am』(写真)。邦題は『黙示録』。モーリス・ホワイト率いる「Earth, Wind & Fire(アース・ウィンド・アンド・ファイアー、以降EWFと略す)」のアルバム。記録によると、最高時ビルボードポップチャート3位、R&Bチャート1位を記録、とある。大ヒットアルバムである。

確か、1979年6月のリリースだと記憶する。その前の大ヒットアルバム『All 'N All(太陽神)』の内容が抜群で、僕の中でもヘビロテになったEWF。流行に安易に乗った形で、あまり気持ちは良く無かったが、良いものは良いので仕方が無い(笑)。

次のオリジナル・アルバムである『黙示録』はレコード屋で予約して、リリース日当日に手に入れた。なかなかに優れた長岡秀星のイラストがあしらわれたジャケットとも相まって、聴く前から、なぜかワクワクした思い出がある。このアルバムもまた、僕の中でヘビロテと化す。

ディスコ・ブームに乗って、この前のスタジオ録音盤『太陽神』収録の「Fantasy(宇宙のファンタジー)」や、ベスト盤『The Best of Earth, Wind & Fire, Vol. 1』収録の「September」が 街中で、はたまたFMで流れまくっている時代で、当然、この『黙示録』も大ヒットした。そして、この『黙示録』からは「Boogie Wonderland」が巷で流れまくった。

Ewf_i_am

さて、この『黙示録』、前のスタジオ録音盤『太陽神』と比較すると、かなりポップな雰囲気が強い。前作『太陽神』は、シンセやパーカッションを効果的に活かした、「プログレッシブ」な雰囲気のする、アーティスティックなR&Bというアルバムだった。アルバム全体の曲の構成もトータル・アルバムを意識した作りで、これまた実にアーティスティックだった。

しかし、この『黙示録』では、そのアーティスティックな雰囲気は後退し、逆に、聴き易い、ポップな雰囲気が前面に押し出た、聴いて楽しいR&Bアルバムに仕上がっていた。そのポップな雰囲気を最大限に振りまいていたのが、先にご紹介した、シングルカットされて大ヒットした「Boogie Wonderland」。米6位、英4位を記録した。

The Emotions の女性ボーカルが強調されて、ポップな雰囲気が最大限に前面に押し出され、もうほとんどディスコ・チューンと化した「Boogie Wonderland」。この「Boogie Wonderland」に代表される様に、この『黙示録』は、ポップなR&Bアルバムの代表格として大ヒットした。

僕はこの「Boogie Wonderland」は好きになれなかった。あまりにポップ過ぎる。ジャズ感覚でいうと「コーニー」だ。前作『太陽神』のアーティスティックな雰囲気がお気に入りだったので、どうしても、この『黙示録』は徹底的に聴き込む気になれなかった。それでも、今でも時たま、無性に聴きたくなる。冒頭「In The Stone」の、高らかに鳴り響くブラスの輝きを感じる度に、心がワクワクする。

この『黙示録』は、やはりポップなR&Bアルバムとしては実に優れていて、発売当時、「ながら聴き」のヘビロテになった。1979年6月のリリース。そして、来る1979年の夏。暑い夏のさなか、汗をダラダラと流しながら、本を読みながら聴いたEWFの『黙示録』。暑かった夏の「ポップなR&B盤」の思い出である。

 
 

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2012年7月 1日 (日曜日)

これぞ「真の天才の成せる技」

1976年の秋、R&B系のアルバムで、とてつもないアルバムがリリースされた。ボリュームは「LP2枚組+EP1枚」という超弩級のボリューム。Stevie Wonder『Songs In The Key Of Life』(写真)である。

1972年『Talking Book』、1973年『Innervisions』、1974年『Fulfillingness' First Finale』の怒濤の3部作は凄かった。とてつもないソロ・アルバムがぞろりと3枚並ぶ。いずれも甲乙付け難い名盤である。スティーヴィー・ワンダーは天才だと確信した。

しかし、1976年秋、衝撃が走った。『Songs In The Key Of Life(キー・オブ・ライフ)』のリリースである。これには心底驚いた。天才の成せる技の出現にリアルタイムで立ち会った、そんな神々しい雰囲気があった。

当時、新しいアルバムの音源はFM放送で、アルバムの幾つかの曲をチョイスしてオンエアしていた。これが当時、高校3年生、貧乏高校生だった僕の、必須の「無料」の音源だった。
 
この『キー・オブ・ライフ』の冒頭の「Love's in need of love today(ある愛の伝説)」が流れた時、僕はその前奏の音を聴いて「ひっくり返った」。通常の名曲などという次元を超えた、奇跡の様な音世界である。

FM番組雑誌を舐めるように見渡して、『キー・オブ・ライフ』からの選曲を、片っ端からチェックしてエアチェックしまくった。「Sir Duke(愛するデューク)」、「Isn't She Lovely(可愛いアイシャ)」、「As(永遠の誓い)」、「Saturn(土星)」、そして「Ebony Eyes(エボニー・アイズ)」。それぞれの曲をFMで初めて聴く度に「ひっくり返った」。 通常の名曲などという次元を超えた、奇跡の様な曲である。
 

Songs_in_the_key_of_life

 
FM番組を舐めるようにチェックして、漏れなくエアチェックしても、このアルバムの3分の1の曲の音源がゲット出来ない。しかし、このアルバムは「LP2枚組+EP1枚」の超弩級のボリューム。
 
なんてことしてくれたんだスティービー。高校生時代の1ヶ月の小遣いが3000円程度。この「LP2枚組+EP1枚」のアルバムは、確か5000円くらいしたと記憶している。どう考えても買えへんやん(泣)。でも、ここまで来たら、絶対にこのアルバムの全曲21曲の全てが聴きたい。

結果として、1976年の秋の発売だったが、アルバムの入手は1977年の1月まで待つことになった。つまりはお年玉をあてにしてゲットしようという魂胆。お年玉を注ぎ込んで、やっとのことで入手した「LP2枚組+EP1枚」の『Songs In The Key Of Life』。まずは、聴き込む為にカセットにダビング。EP1枚に収録された4曲には閉口したが、なんとかカセットに収まった。それから暫くは『Songs In The Key Of Life』三昧の毎日。至福の時であった。

真の天才の成せる技とは、このことを言うのだろう。「LP2枚組+EP1枚」に収録された全21曲、捨て曲は全く無し。どれもが名曲と呼ぶに相応しい内容。同一コンセプトの曲は無く、曲のコンセプトについてはバラエティに富んでいるが、アルバム全体の統一感は抜群。21曲を収録した超弩級のボリュームでありながら、全曲通して聴いても、長いなあとも思わないし、聴き疲れない。

1970年代のスティーヴィー・ワンダーの最高傑作は、と問われれば、僕は、絶対のこのアルバム『Songs In The Key Of Life』を推します。感じるままに、気負い無く、自然と湧き出る音世界を粛々と記録した。そんな真の天才の成せる技がこのアルバムにギッシリと詰まっています。

 
 

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2012年6月28日 (木曜日)

やっぱりスティービーは天才だ

このアルバムを聴いた時、僕は「やっぱり、この人は天才だ」と改めて思った。このアルバムには心底、感動した。凄いと思った。なんだか別次元の音世界を体験した感じになった。

そのアルバムとは『Fulfillingness' First Finale(ファースト・フィナーレ)』(写真)。1974年のリリース。スティービーのなんと、17作目のオリジナル・アルバム。ジャケットデザインと共に、その内容も含めて、申し分の無いアルバム。

前作『Innervisions』を聴いた時も「この人は天才だ」と思った。アルバムを聴きながら「なんやこれは」を連発した。前作の『Innervisions』は「動」の世界。次々と傑作を発表し続ける、怖い者無しの快進撃を続けるスティービー。その圧倒的な自負をもって、どや顔なスティービー。堂々とした「動」の世界。

しかし、その次作『Fulfillingness' First Finale』は「静」の世界。そこはかとなく流れる「諦念感」にも似た静かな感情の世界。ファンクネス溢れる曲の底にも、静的な冷静な音世界が横たわっている。その「諦念感」にも似た静的な感情の世界。これが、実にアーティスティックであり、実にクール。R&B、ソウル・ミュージックの音世界を全く別次元の音世界へと誘ったスティービーの傑作。

First_finale

その「諦念感」にも似た静かな感情の世界には理由がある。その「動」の世界の傑作『Innervisions』発売後、スティービーは生死に関わるほどの大きな事故に遭う。幸いにも一命は取り留め、後遺症等の多くの不安を抱えながらも、創作活動に復帰し、この『Fulfillingness' First Finale』を完成させた。

生死に関わるほどの大きな事故の体験。「死」なんて考えてもみなかったところに、いきなり急に体験した「死」の感情。その「もうだめかも」という状態から幸いにも復帰して、創作活動に復帰した訳だが、その底に感じる「諦念感」。僕も、昨年11月に同様の経験をしたので、本当に良く理解出来る。

しかし、その「諦念感」にも似た静かな感情の世界こそが、このスティービーの傑作『Fulfillingness' First Finale』を、それまでのソウル・ミュージックの傑作の数々を遙かに超えた、全く別次元の音世界を宿した、傑作アルバムに昇華させた。

自然体でリラックスした、包み込むような大らかな展開。独りよがりにならない、聴いていて心地良い、キャッチャーなフレーズとアレンジ。創り手と聴き手が一体となるような、リズム&ビート。べたな表現をすると、このアルバムでのスティービーの音世界は「神の領域」に一歩足を踏み入れたような、そんな神々しさがある。

このアルバムを聴いた時、僕は「やっぱり、この人は天才だ」と改めて思った。1976年、高校3年の夏のことである。

 
 

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2012年6月27日 (水曜日)

スティービーは天才である・・・

このアルバムを聴いた時、この人は天才だと思った。当時のジャンルのネーミングは「ソウル・ミュージック」。その後、R&Bとも呼ばれたジャンル。僕が中学生の頃は「モータウン・ミュージック」とも呼ばれた。

その頃の「ソウル・ミュージック」は一発狙い。シングル・ヒット狙いとして、良く出来た、キャッチャーなフレーズを散りばめた、ダンサフルでファンキーな音世界。LPアルバムとして、曲を揃えて世に問うなんてことは無かった。

しかし、Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)は違った。このアルバムを聴いた時、僕は「この人は天才だ」と思った。そのアルバムとは『Innervisions』(写真左)。1973年のリリース。スティービーのなんと、16作目のオリジナル・アルバム。ジャケットデザインと共に、その内容も含めて、申し分の無いアルバム。

捨て曲無し。アルバム全体の雰囲気を統一して、コンセプト・アルバムとしても評価出来る、当時として先進的な内容。ほとんどの楽器をスティーヴィー自身が演奏。ヒット曲狙いの「ソウル・ミュージック」が、ここまでアーティスティックな表現を実現出来るとは・・・。ほとほと感心したことを、昨日のことの様に覚えている。1976年、高校3年の春のことである。
 
Innervisions
 
アフリカン・アメリカンの音楽のルーツをしっかり押さえた、アーシーでファンキーな音世界。ソウルあり、ブラコンあり、ファンキーあり、そして、ゴスペルあり。そこに、歌詞をのせて唄うスティービーは、徹頭徹尾、何から何まで「神々しい」。

スティービーについては、その歌唱は言うまでも無いが、キーボードの使い方、特に、シンセサイザーの使い方が素晴らしい。マルチ楽器奏者の側面を、このアルバムでは前面に押し出してはいるが、スティービーの一番優れた才能を見せてくれる楽器は「キーボード」。
 
とりわけ、シンセの使い方は唯一無二。スティービーにしか出せない、個性的な音が、このアルバムの中で、しばしば聴くことができる。

スティーヴィーは1973年当時、弱冠23歳。若き天才である。曲作りもボーカルもキーボードもその他の楽器も、その才能は素晴らしいが、僕は、この人のアレンジの才能に「ひれ伏す」。一点の曇りも無い「完璧なアレンジ」。この『Innervisions』でのアレンジは完璧。天才の成せる技である。

 
 

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