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2013年10月12日 (土曜日)

硬派なフォーク・ロック路線へ

この9月から10月にかけて、書庫のCD棚の棚卸しとCDのデータベースの再構築を実施しました。2年半前の大震災の時、書庫のCD棚は完全崩壊したのですが、ジャズCDだけは再構築しました。しかし、70年代ロックとJポップのCDについては、とりあえず、CD棚に仮置きしたままでした。

さすがにあれから2年半。70年代ロックとJポップのCDについて、所有しているもの、所有していないものの判別がつきにくくなってきたこと、所有しているCDがどこにあるのか良く判らなくなってきたこと、この2点がかなり負担になってきたので、思い切って、書庫のCD棚の棚卸しとCDのデータベースの再構築を同時に実施することにしました。

そんな作業の中で、70年代ロックとJポップのCDについて、その全貌を再認識できたことは幸いでした。こんなアルバム持っていたんや、とか、そうそうこれは、生きているうちに聴き直さなきゃ、とか、聴き直したいCDがぞくぞくと再発見されました。

そんな中で、チューリップのアルバムの聴き直しを再開しました。そして、この『無限軌道』(写真左)というアルバムに、改めて感じ入りました。1975年3月のリリースのこのアルバム、僕は、この盤からチューリップのオリジナル・アルバムをリアルタイムで体験することになります。高校1年の3学期のことです。駅前のレコード屋に予約をいれて、発売日当日にゲットしました。

このアルバムは、ビートルズ・フレーバーがメインの音作りをベースとしたアイドル・バンド路線から自ら決別し、チューリップのオリジナリティーとサウンドを求めて、今から試行錯誤の旅に出る決意表明みたいなアルバムです。
 

Tulip_mugenkidou

 
1曲目の『心を開いて』がその決意表明にあたるのではないでしょうか。オリジナリティーの追求という点では、2曲目の『私は小鳥』と4曲目の『たえちゃん』。しかし、『私は小鳥』は、ポップな曲調を追求するあまり、当時の歌謡曲そのものになってしまいました。その当時、人気歌手だった『あべしずえ』が歌った曲です(あんまりヒットしなかったような思い出があるが)。

『たえちゃん』は、あまりにオリジナリティーに気を使うあまり、曲としては、まとまりが無く、冗長になっていますが、個々の音づくりには、評価できるものがあります。僕にとっては、1975年3月に初めて聴いて以来、この曲は常に隅におけない曲です。

8曲目は、18年後、リバイバルヒットとなった『サボテンの花』。このアルバムでの『サボテンの花』がオリジナル。アレンジがきめ細やかで地味なんですが、僕はこのアルバムのバージョンが一番好きです。可愛らしい曲といえば、10曲目の『ある昼下がり』。姫野さんがアコースティックギターをバックに、可愛く愛らしく歌う佳作だと僕は思っています。

試行錯誤の旅を今後もずっと続けて、二度とビートルズ・フレーバーがメインの音作りをベースとしたアイドル・バンド路線には戻ってこないぞ、という決意を感じるのが最後の『人生ゲーム』。歌詞の中に、サイモンとガーファンクルの『コンドルは飛んでいく』の日本語訳と良く似た部分があるのはご愛敬。当時、チューリップは、結構悩んでいたんだな、と密かに感じてしまう。

この『無限軌道』は、チューリップが硬派なフォーク・ロック路線を走り始めた、記念すべきターニング・ポイントとなったアルバムです。内容的には、前作の『ぼくがつくった愛のうた』とは似ても似つかぬ硬派な内容に、当時のファンや評論家は面食らったようですが、僕は、この『無限軌道』の内容はウエルカム。改めて、チューリップのファンになり直しました。

 
 

大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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2013年6月23日 (日曜日)

チューリップ初期の傑作盤

とても久し振りに、チューリップのアルバム聴き直しシリーズの第5弾。チューリップを語る上で、このアルバムは絶対に外せない。今回は、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」からのレビューに修正加筆して、ここに再掲したい。

さて、1970年代、日本のミュージックシーンには、ニューミュージックというジャンルも、Jポップというジャンルも無かった時代に遡る。その頃、日本のミュージックで、気の利いた優等生的な若者が聴く音楽がフォーク、ちょっと不良っぽく振る舞っていた若者が聴く音楽がロック、と大別されていた。

しかし、当時、高校生だった僕は、アコギ中心で何となく大人しい日本のフォークや、エレギで大音量でギンギン引きまくり、ボーカルが叫びまくる日本のロックはあんまり好きでは無かった。実は我が映研全体の風潮もそうだった。よって、部室では、海外のロック、プログレやハードロックばかりが流れていた。

そんな状況の中、ある日突然、プログレ鳴り響く、我が映研の部室に『TULIP(チューリップ)』という名の日本のロック・バンドのLPが持ち込まれた。当時、アイドル系として売れていた日本のロック・バンドである。当時、我が映研においては、あり得ない暴挙である。「先輩、どないしたんですか」、僕達はひっくり返った。

そもそも、我が映画研究部にチューリップのLPが持ち込まれたのは、先輩のつきあい始めた彼女がチューリップのファンで、その先輩が行きがかり上、チューリップのアルバムを聴かなけれねばならない羽目に陥ったからである(笑)。その時、持ち込まれたチューリップのアルバムが、この『TAKE OFF』(写真左)。

つまり、僕は先輩の恋の事情に巻き込まれて、チューリップを耳にした訳である(笑)。その当時、チューリップは『夏色の想い出』や『銀の指輪』でスマッシュヒットを飛ばしており、なんだか、ビートルズの物まねの様な、チャラチャラしたバンド的な印象が強かった。そこに、この『TAKE OFF』である。あまりよろしく無い先入観を持って、それでも、まあ聴いてみるか、という緩いノリで、LPに針を落とした(当時はレコードプレーヤーさ)。
 

Tulip_takeoff

 
出だし、である。「ダッ、ダッ、ダッ、・・・」とドラムの音、ギュワーンとギターの唸り、英語の歌詞。なんと格好良いではないか。耳に新鮮な音が飛び込んできた。そして同時に「どこかで聴いた音だ、どこかで聴いた音だ」と思った。そう、この格好良いリズム&ビートは、ビートルズそのものだった。

短くて格好良い1曲目「TAKE OFF」を経て、2曲目「明日の風」。ビートルズ風のあか抜けたアレンジに乗って、当時、アイドルだった姫野さんが、甘いボイスで唄う。3曲目は「そんな時」。当時、珍しかった12弦ギターの音が清々しい。どの曲もビートルズのフレイバーを様々にアレンジして、唯一無二のチューリップ・サウンドがてんこ盛り。

10曲目には、チューリップの名曲として名高い「青春の影」(写真右・シングルのジャケット)。シングルカットされたバージョンと違って、ストリングス控えめのシンプルなアレンジ。こちらの方が僕は好きです。そして、個人的にとても好きなメドレー「悲しみはいつも〜ぼくは陽気なのんきもの〜笑顔をみせて」。

今でもこれらの曲を聴くと、あの頃の風が頭の中を吹き抜けて、セピア色の懐かしさに包まれる。しかしながら、誤解する事なかれ。懐かしさだけで、このアルバムを聴いているわけではない。今でも、古さを感じさせない曲の構成、ビートルズのフォロワーらしいアレンジに関して、チューリップは1974年に、既に自分のものとしていたことに驚きを感じる。当時、日本のロック雑誌の権威、ミュージック・ライフ誌の「ベストアルバム・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのも頷ける。

確かに音は少し古びているかもしれない。アレンジも稚拙な部分があるかもしれない。それでも、ここにはそれらを補って余りある、今でも通用するアルバムコンセプトと音作りがある。チューリップの代表的名盤として、Jポップの古典的名盤として、お奨めできる内容である。

このあと、チューリップは、ビートルズ・フォロワーとしての総決算アルバムとして『僕が作った愛のうた』をリリース、レコード会社に押し付けられていたロック・アイドル路線とも訣別し、チューリップ自身のオリジナリティーとサウンドを求めて、長い長いチャレンジの旅に出ることになる。

 
 

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2012年3月24日 (土曜日)

財津さんのセルフカバー集・2

最近、いつも楽しみにして見ている音楽番組がある。NHKーBSの『SONGS』。1970年代から現在まで、様々なミュージシャンを招いたTVライブ形式の番組。常に、単独のミュージシャン、単独のバンドでの構成なので見応えがあるし、そのミュージシャン、バンドについて集中して楽しめる。たまに構成面で「?」なところもあるが、まあそれはスルーするとして、なかなか内容のある音楽番組である。

その『SONGS』に財津和夫が出演していた。財津和夫と言えば、チューリップのリーダー。僕が、日本において、ミュージシャンとして、コンポーザーとして尊敬する一人である。番組の中で、その財津さんが往年の自作の名曲をカバーしていた。番組で流れた曲は、「愛していたい」「サボテンの花」「青春の影」「Wake Up」「会いたい」「手紙にかえて」の6曲。

財津さんはセルフ・カバーがお好きな様で、以前にも何枚かセルフ・カバー集をリリースしている。番組でも、そのセルフ・カバー集についても触れられていて、『サボテンの花 ~ grown up』(写真左)というセルフ・カバー集に、あの沢田知可子の名唱で有名な「会いたい」も入っているらしい。

この「会いたい」は、昔、沢田知可子が歌っているのをテレビで見て、この曲は「絶対に財津和夫の曲」とピタリと言い当て、それ以来、周りからは「財津オタク」と一目置かれる存在になってしまった「曰く付き」の曲である(笑)。財津節が満載の、このベタな「お涙頂戴」曲を、作曲した財津さん本人のセルフ・カバーで聴いてみたいと思っていたので、早速、この『サボテンの花 ~ grown up』というタイトルのセルフ・カバー集を入手した。

さて、改めて、そのセルフ・カバー集『サボテンの花 ~ grown up』である。やけに「ベタ」なタイトルで、ちょっと「トホホ」な気分になったが、収録されている曲はなかなかのもので、高校時代からの長年の「財津者」としては、聴く前からワクワクである。その収録された曲は以下の通り。

1. WAKE UP
2. 娘が嫁ぐ朝
3. 君でなければ
4. 生きるといふこと
5. 恋人への手紙
6. サボテンの花
7. バイバイもうさよならさ
8. 届かぬ夢
9. 切手のないおくりもの
10. 会いたい
11. 心の旅
12. 恋と愛の間
13. サボテンの花
14. 青春の影    

Zaitsu_saboten_hana

いや〜、財津者(財津マニア)からすると、実に興味深いセルフ・カバー曲が多々ある。へえ〜っと思ったのが「切手のないおくりもの」。1978年6月、NHKの歌番組「みんなのうた」で放送された名曲。作詞・作曲した本人のセルフ・カバーは、やはり実に味わい深いものがあります。

他にも、財津さんのソロのヒットシングル「WAKE UP」、シングルのみの「娘が嫁ぐ朝」、シングルのB面だった名曲「恋人への手紙」。アルバム『無限軌道』に収録されていた「生きるといふこと」。セカンドアルバム『君のために生まれ変わろう』に収録されていた「バイバイもうさよならさ」。アルバム『日本』に収録されていた「届かぬ夢」。そして、沢田知可子が歌った「会いたい」。チューリップ者、財津者にとっては「狂喜乱舞」状態ですね(笑)。

特に、アルバム『無限軌道』に収録されていた「生きるといふこと」。セカンドアルバム『君のために生まれ変わろう』に収録されていた「バイバイもうさよならさ」。アルバム『日本』に収録されていた「届かぬ夢」の3曲は、実にマニアックである。恐らく、かなりディープなチューリップ者でないと、この辺りの曲は、どんな曲だったか、思い浮かばないだろう。

財津さんのセルフ・カバーの優れているところは、どの曲もオリジナルよりも、セルフ・カバーの方が、内容的にグレードアップしていること。このセルフ・カバー集『サボテンの花 ~ grown up』に収録されているいずれの曲も、オリジナルよりも内容的に充実している。

また、何度もセルフ・カバーされた「サボテンの花」や「心の旅」「青春の影」なども、前のセルフ・カバーの時よりも、全体的に充実度がアップしているのだから面白い。

チューリップ者、財津者の方々に対しては、このセルフ・カバー集『サボテンの花 ~ grown up』はお勧めの一枚です。高校時代からリアルタイムで、チューリップを財津和夫を聴き続けて来た自分としても、このセルフ・カバー集はとても楽しめるアルバムとなっています。

個人的には「生きるといふこと」「届かぬ夢」「バイバイもうさよならさ」のセルフ・カバーがお気に入りで、「恋人への手紙」「娘が嫁ぐ朝」は多感な頃、リアルタイムに聴いたシングルなので、この財津さんのセルフ・カバーの歌声を聴くと、当時の風景を思い出して、実に感慨深い想いがします。

 
 

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2012年2月12日 (日曜日)

チューリップ初のライブ盤である

実は、僕が初めて自腹を切って買ったチューリップのアルバムは『Live!! Act Tulip』(写真左)。購入した時期はハッキリと覚えている。1974年9月。高校1年生の秋の始めの季節である。

このライブ盤は、73年9月23日、渋谷公会堂で行われた初の単独ライブ、渋谷公会堂の動員記録を更新した熱狂のライブを収録したものである。シングル「心の旅」がオリコンシングルチャートで1位を獲得したのが1973年9月10日。オリジナル発売日は1973年12月1日、チューリップの最初の絶頂期での発売である。

いやはや、このライブ盤、これほど、客の歓声、叫び声が調整されていないライブ盤も珍しい(笑)。当時の熱狂感そのままに、女性ファンの黄色い声など、普通にステレオで音量を上げて聴いていると、気恥ずかしくなる。購入当時、僕はまだ高校1年生。そりゃあまあ、恥ずかしかったですね〜(笑)。最後の最後にファンの「もう死にそう・・」という声が入っていて、この部分には、あまりのリアリティに背筋がゾクッとしたものです。

収録された曲は全12曲。興味深いのは、当時のライブって、自分達の持ち歌に加えて、当時、流行っていた楽曲のカバーなんかを織り交ぜているんですよね。このライブ盤でも、ビートルズの「イエスタデイ」、サイモン&ガーファンクルの「4月になれば彼女は」が入っています。当時、オリジナルが最優先だった僕は、このカバーの存在が、どうしても好きになれなかった(笑)。

さて、このライブ盤に収録された全12曲は以下の通り。前述のカバーの2曲と、1973年10月5日に「心の旅」の次のシングルとしてリリースされた「夏色のおもいで」(写真右)が目を惹く。ちなみに「夏色のおもいで」松本隆の作詞家デビュー曲。また、チューリップの楽曲の中でメンバー以外が作詞した唯一の曲でもある。
 
Live_act_tulip
 
1. 夢中さ君に
2. 新しい地球を作れ
3. 早くおいで
4. 道化者
5. 二人で山へ行こう
6. 僕のお嫁さん
7. 心の旅
8. 思えば遠くへ来たものだ
9. イエスタデイ
10. 4月になれば彼女は
11. 夏色のおもいで
12. メドレー:夢中さ君に~魔法の黄色い靴~道化者~心の旅

オリジナル・アルバムよりピックアップされた楽曲は、どれも、オリジナルよりアップテンポだったり、力強かったりで、当時のチューリップは、ライブにおいても既に相当の実力を持っていた、ということが窺い知れる。今でも、オリジナル曲の演奏については、結構、気に入っている。死ぬまでに一度、自らの手でカバーしたいなあ、とぼんやり思っている(笑)。

しかし、このライブ盤の客の歓声、特に女性ファンの黄色い声については「閉口」するなあ(笑)。当時のチューリップは、完全にアイドル・グループ扱いされていますよね〜。しかし、この後、チューリップは自らの手で、このアイドル・グループ路線から訣別し、硬派なフォーク・ロック・バンドとして、独自の個性的な道を歩んでいくことになるのですが、その話はまた後ほど・・・。

ということで、このライブ盤はチューリップ・マニア向け。逆に、チューリップ・マニアであれば、このアルバムは、突っ込みどころ満載だし、感心するところも多々あるし、意外に楽しめます。

 
 

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2012年2月11日 (土曜日)

オリジナルに匹敵するベスト盤

「この曲が売れなかったら福岡に帰る」。そんな悲壮な決意の中、1973年4月20日にリリースしたシングル「心の旅」が1973年9月10日付のオリコンシングルチャートで1位を獲得した。一躍、チューリップは「時の人」になる。

そんな背景の中でリリースされた『TULIP BEST』(写真)。1973年6月5日のことである。面白いのは、この「心の旅」のヒットに乗じて、急遽、アルバムをリリースする必要に迫られて作成された「急造ベストアルバム」では無く、「心の旅」がヒットの兆しを見せたタイミングで発売された「用意周到なベストアルバム」なんですね。いかにもチューリップらしい仕業です。

このアルバムはタイトルを見て判るように、先にリリースされた、ファーストアルバム『魔法の黄色い靴』、セカンドアルバム『君のために生まれかわろう』の2枚からの選曲と、新たに「僕のお嫁さん」「道化者」「二人で山へ行こう」を加え、シングルでリリースされた「心の旅」とそのB面「夢中さ君に」を合わせた「変則ベストアルバム」です。

ベストアルバムとは言っても、先にリリースされた2枚のオリジナルアルバムからの選曲も良好で、しかも、LPのA面、B面と曲の並び順も考えられたもので、ベストアルバムとは言いながら、これはこれで、オリジナルアルバムと同等、若しくはそれ以上のクオリティが素晴らしく、僕は、このベストアルバムについては、オリジナルアルバムと同等の扱いをしてきました。

Tulip_best

チューリップらしからぬ「心の旅」を先頭に持ってきたことが成功要因だろう。いきなりサビのコーラスから入る、当時としては斬新な構成を持った曲ではあったが、その頃のチューリップの音世界からは、ちょっと異質な聴き心地がする曲だったことは事実。その曲を一曲目に持ってきて、聴き手に「ガツン」と一発かまして、従来の「チューリップ・ワールド」に引きずり込んでいく。

2曲目以降、オリジナルアルバムからの再掲曲も新しく書き下ろした曲も、ひとつの「チューリップ・ワールド」の中で、どの曲も違和感無く繋がっている。特に、LP時代のA面を占める「心の旅」「僕のお嫁さん」「道化者」「二人で山へ行こう」「風よ」「千鳥橋渋滞」の流れは素晴らしく、僕は今でも、前奏から間奏、エンディングも含めて、このA面の曲の全てを口ずさめる位、当時、本当に良く聴き込んだものだ。

とは言え、B面の「魔法の黄色い靴」「一人の部屋」「夢中さ君に」「君のために生まれかわろう」「田舎へ引っ越そう」「電車」の流れも捨てがたい魅力が溢れてはいるのですが、ラス前の「田舎へ引っ越そう」とラストの「電車」の2曲の据わりが、僕にとってかなり違和感があって、ラス前、ラストの曲なので、もう少し、盛り上がって大団円、という感じのメリハリのある曲を持ってきて欲しかったな。

良い選曲のアルバムで、先にリリースされた2枚のオリジナルアルバムの存在を知らない方々にとっては、このベストアルバムは、完全にオリジナルアルバムに感じると思います。それほどまでに良く出来た「用意周到なベストアルバム」です。

この『TULIP BEST』に収録された曲は全て好きですが、特に「僕のお嫁さん」「千鳥橋渋滞」「魔法の黄色い靴」と、「道化者」〜「二人で山へ行こう」のメドレーがお気に入りです。

 
 

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2012年1月29日 (日曜日)

チューリップ・マニアの「踏み絵」

デビューアルバム『魔法の黄色い靴』から、僅か半年後に発売されたセカンドアルバム『君のために生れかわろう』(写真左)。1972年12月20日のことであった。といっても、僕はこのアルバムはさすがにリアルタイムには聴いていない。耳にしたのは、その3年後、高校2年の冬であった。

このセカンド・アルバムは、全13曲でありながら、トータルの収録時間は30分弱。LPのA面、B面それぞれで15分弱とかなり短い。デビューアルバムから僅か半年での制作が故、曲のアレンジや構成に時間をかけることが出来なかったと思われる。しかし、今では考えられない制作スパンである。

かなりの「急造アルバム」ではあるが、それぞれの曲については、チューリップの「音」を構成する様々な個性のパーツが、宝石の原石の様に加工されないそのままのイメージで、そこかしこに転がっている。チューリップというバンドの個性、特徴を感じ取るには、格好のオリジナル・アルバムとなっている。

でも、当時はなかなか手を出せなかったなあ。このアルバム・ジャケットがなあ。なにか「こっ恥ずかしくて」、レコード屋のカウンターになかなか持っていけなかった(笑)。

まあ、タイトルが「君のために生まれかわろう」やからなあ。高校時代の僕には、大変勇気がいることでした、このアルバムを購入するのは・・・。いつも通っていたレコード屋では無くて、となり駅のレコード屋まで、わざわざ買いに出かけたなあ(笑)。

さて、デビューアルバム『魔法の黄色い靴』では、当時の様々な洋楽の要素がごった煮で入っていたが、このセカンドアルバム『君のために生れかわろう』では、ビートルズの要素に的を絞って、チューリップの個性に昇華させている。練られていない部分もあるにはあるが、概ね、成功裡にチューリップの個性として反映されている。見事である。
 
Kiminotameni_umarekawarou
 
チューリップマニアからすると、このセカンドアルバムは、絶対に外せない「キー・アルバム」であるが、当時、このセカンドアルバムのセールスは全く芳しく無かった。
 
加えて、このアルバムからシングル・カットされた『一人の部屋』についても同様。特に、このシングル・カットされた「一人の部屋」は、今の耳で聴いても傑作だと思うんですがね〜。曲全体がちょっとシンプル過ぎるのが「玉に瑕」ですが・・・。

このセカンドアルバムのリリースは、1972年。日本の音楽界は、歌謡曲とフォーク・ソングの時代。このビートルズ基調のフォーク・ロック若しくは、ポップ・ロックな感覚は「新しすぎた」のかもしれない。

少なくとも、微妙にビートルズと距離を置きつつ、洋楽中心に音楽に親しんでいる輩でないと理解しにくかったかもしれない。ビートルズ・マニアからすると、チューリップを聴くと、直接的に「ビートルズのパクリやん」で終わる。そうやないんやけどな〜。ビートルズの要素に的を絞って、チューリップの個性に昇華させているんやけどなあ。

このアルバムは、チューリップ・マニアにとっては「原点」の様なアルバムである。いつかきっと、チューリップ・マニアを自認するからには、どこかでこのアルバムを手に入れ、このアルバムを聴き込む時期が必ず来る。

そして、このアルバムが良ければ、チューリップ・マニアとして、以降ずっと、チューリップを聴き続けるだろうし、このアルバムが気に入らなければ、チューリップから離れていく。そういう意味では、この『君のために生れかわろう』というアルバムは、チューリップ・マニアとしての「踏み絵」の様なアルバムである。

 
 

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2012年1月28日 (土曜日)

チューリップのデビュー盤である

最近のことであるが、NHKの「SONGS」のスペシャルに財津和夫さんが登場した。財津和夫さんと言えば、伝説のフォーク・ロック・グループ「チューリップ」のリーダーであり、Jポップ界を代表するメロディーメーカーの一人でもある。

僕は高校時代から、尊敬する日本のミュージシャンとして、吉田拓郎、財津和夫、小田和正の3人が絶対的存在。その一人が出演している。元気そうで安心したのと、やはり、「財津者」の僕としては、財津さんの音世界はしっくりくる。良い番組でした。

そして、久し振りに「チューリップ」のアルバムを聴き直したくなった。なにを隠そう、松和のマスターこと私は「チューリップ」のマニアである。1973年の大ヒット「心の旅」を耳にして以来、チューリップはずっと好きなバンドのひとつ。特に、高校時代から大学時代にかけては、密かにチューリップ者として、アルバムを買い続け、聴き続けた。

しかし、僕の周りには、チューリップ者はいなかったなあ。「心の旅」のヒットくらいしか認知度が無く、よってアルバムを愛で、アルバムの魅力を語る友人は皆無。後に「サボテンの花」がドラマのタイアップ曲として、リバイバル・ヒットした時は、大いに溜飲が下がった思いがしたものだ(笑)。

そんなチューリップのデビューアルバムが『魔法の黄色い靴』(写真左)。当時、フォーク・ロック・バンドのデビュー・アルバムとしては、なかなかに金のかかったもので、ダブル・ジャケット仕様に、ポスターなどが同梱されており、当時のレコード会社の期待度の高さが窺い知れる。確かに、このデビュー・アルバム、チューリップの個性がぎっしり詰まった、当時のJポップ・シーンには無かった、斬新でハイレベルなロック・ポップなアルバムであった。

兎にも角にも、タイトル曲であり、デビュー・シングルでもあった「魔法の黄色い靴」が素晴らしい。この曲をFMで耳にしたのは、1974年。荒井由実の ポップな曲が流れ始めている中で、この「魔法の黄色い靴」も流れていた。聴いたことが無い「コード進行」、それまでのフォーク・ソングには無い「歌い 方」、全く新しい響きを湛えた「コーラス」。今の耳で聴いても、この曲は斬新。フォーク・ロックの名曲である。

Tulip_yellow_magical_shoes

そして、2曲目の「あいつが去った日」より、「千鳥橋渋滞」「ハーモニー」「おいらの気楽な商売」「私の小さな人生」と、LP時代のA面を飾る、素晴らしいフォーク・ロックの名演がズラリと並ぶ。どの曲も、当時のJポップ・シーンには無かった、洒落ていて、かつ、ポップ度の高い曲で、1970年代前半のフォーク・ソング全盛時代においては、ちょっと浮いた存在だった。でも、この洒落たところが良いんですよね。

まだ、1970年代前半は、録音の機材や録音方法も発展途上の時代、アレンジなどもまだまだテクニック不足で、演奏全体の雰囲気は地味で洗練されておらず、完成度は低いのですが、それをカバーして余りある曲のユニークさと斬新さが素晴らしい。

これらの曲を今の録音環境とアレンジのテクニックで、完全リメイクして欲しいですね〜。曲それぞれの内容が良いので、その出来はかなり期待できるのでは無いかと思います。

LPのB面の「もう笑わなくっちゃ」「言葉が出ない」「思えば遠くへきたものだ」「どうして僕は淋しいんだ」「風」の流れも、チューリップ・マニアには堪えられない内容なんですが、A面に比べると、ちょっと「力尽きた」感はあるかな。アレンジにやっつけ感があって、演奏自体も荒さが目立ちます。実に惜しい。曲自体は良いんですよ。

でも、ラストの「大魔法の黄色い靴」には聴く度に感心する。このアルバムのタイトル曲「魔法の黄色い靴」にオーケストラのアレンジを施して、チューリップのメンバー、そして、スタッフも交えての「大合唱曲」としてリプライズしているんだが、これが素晴らしい出来なのだ。これだけ、ストリングスのアレンジに耐える楽曲もなかなか無い。やっぱりこの「魔法の黄色い靴」は名曲なんだと痛く感心したのを昨日のことの様に覚えている。 

一般万民にお勧めする内容のアルバムでは無いんですが、Jポップ、フォーク・ロックのマニアの方には一度聴いて頂きたいアルバムではあります。勿論、チューリップ・マニアの方々にはマスト・アイテムでしょう。

デビュー・アルバムだから、出来はイマイチなのではと懸念しているのであれば、全く心配はいりません。チューリップのメンバーの個性がキラキラ煌めいていて、チューリップ・マニアであれば、かなり楽しめる内容です。

 
 

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2012年1月22日 (日曜日)

財津さんのセルフカバー集

NHKーBSの人気音楽番組「SONGS」を観た。出演は財津和夫。いや〜、お懐かしいやら嬉しいやら。僕は、財津さんとチューリップの大ファンなのですよ。

僕は高校時代から、尊敬する日本のミュージシャンとして、吉田拓郎、財津和夫、小田和正の3人が絶対的存在。その一人が出演している。元気そうで安心したのと、やはり、「財津者」の僕としては、財津さんの音世界はしっくりくる。良い番組でした。

財津さんによる、チューリップ時代の曲のセルフカバーにはなかなかの味わいがあって、僕はとても好きだ。既に、何枚か、セルフカバー集が出ているが、どれも聴き応えのある出来になっている。

前々から、結構、良く聴くセルフカバー集が、1992年12月にリリースされた『CALL』(写真左)。これももう20年前になるのか。ということは、この財津さんのセルフカバー集を20年間もの間、聴き続けていることになるのか。なんだか、感無量やなあ(笑)。

全11曲中、10曲がセルフカバーで、懐かしのチューリップの名曲がきら星のごとく並んでいます。チューリップ者としては、どのアルバムの何曲目に入っているか、暗記している位の名曲です。

特に1曲目の『銀の指輪』、3曲目の『ぼくがつくった愛のうた』、そして、みんなが知っている10曲目『心の旅』。チューリップ時代は財津さんがメインボーカルを取らずに、姫野さんがメインボーカルを取った名曲で、このアルバムでは、財津さんがメインボーカルを取ったバージョンが聴けるので、とても有り難いやら嬉しいやら(笑)。
 
Zaitsu_call
 
そして、8曲目の『魔法の黄色い靴』は、もう、涙無しには聴けません。この「魔法の黄色い靴」は、何を隠そう僕がチューリップの並み居る名曲の中で、最高傑作と信じて疑わない曲なんですね。

今、聴いても、斬新なコード進行・洗練された曲想・ユニークな歌詞。こんな曲が、1972年に作られていたとは今での驚きです。この「魔法の黄色い靴」との出会いは、未だにショッキングな出来事として記憶しています。

このアルバム『CALL』は、チューリップのリーダーであった財津和夫さんがセルフカバーしているだけあって、原曲のイメージを尊重しつつ、しっかりとしたリニューアル感覚が感じ取れるアレンジが秀逸で、チューリップの名曲達が、全く、新しい面もちで生まれ変わっています。

チューリップ者の方で、まだ、この財津さんのアルバムを聴いていない方は、ぜひ、ご一聴を。昔のアレンジと録音状態をしっているチューリップ者の方でしたら、結構、万感の想いを込めて、耳を傾けられるのではないかと思います。
 
とりわけ、チューリップ者の方は、2曲目の『ハーモニー』、6曲目の『一人の部屋』などは、涙涙涙ではないでしょうか(笑)。

ちなみにラストの「誰が許すの君のわがままを」は当時の新曲です。シングルカットもされましたね。チューリップのセルフカバー曲の中に、ぽつんと浮いた感じの存在ですが、「財津節」が心ゆくまで堪能できて、この新曲も良い出来だと思います。

 
 

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2008年2月16日 (土曜日)

Live Act Tulip 2007を見て...

寒い日が続くが、今日は朝から良い天気。真冬に比べると、朝の日差しは豊かで力強い。近頃は、日差しの豊かさを感じて、着実な春への歩みを実感しますね〜。しかし、今朝は、西風が強く寒かったなあ。

バーチャル音楽喫茶『松和』では「懐かしの70年代館」を運営しているが、70年代の日本の音楽、いわゆるフォークソングやニューミュージックも、僕の得意分野、守備範囲である。

さて、最近、団塊の世代向けの音楽番組が多い。ジャンル的にはフォークソングが中心なので、僕としては、懐かしいねえ、と右から左へ聞き流すだけなんだが、ニューミュージックのジャンルへ差し掛かってくると、俄然、色めき立つ。

先週、BSフジで「Live Act Tulip 2007~run~」のライブ録画を放映していた。Tulip=チューリップ、1971年に福岡で結成したバンド、「心の旅」「銀の指環」「青春の影」「サボテンの花」「虹とスニーカーの頃」等多数の70 年代を代表するヒット曲を多数リリース。

いや〜、チューリップは好きですねえ。今も好きですよ。アルバムも、オリジナル・メンバー期のアルバム、デビューアルバムの『魔法の黄色い靴』から『Someday Somewhere』まで、全て「紙ジャケ」で持ってます(笑)。ビートルズ基調のポップス&ロックに日本的情緒を織り交ぜたチューリップの音楽性は、僕の大のお気に入りです。

Live_act_tulip_2007

そこで、この「Live Act Tulip 2007~run~」のライブ録画である。メンバーは、再結成時の財津和夫・安部俊幸・上田雅利・姫野達也・宮城伸一郎。ベースの宮城伸一郎だけが、オリジナルメンバーの吉田彰から変わっているだけ。2007年10月21日東京国際フォーラムで行なわれたライブである。

これが、マニアにとっては、なかなか含蓄のある内容でして、結構、熱中して最後まで見てしまいました。なんせ演奏された曲がマニア好み。オープニングが「心を開いて」(『無限軌道』収録)でジーンときて、2曲目は「あの娘は魔法使い」(『MELODY』収録)で狂喜乱舞、3曲目「悲しきレイン・トレイン」(シングル集『チューリップ・ガーデン』収録)で感慨にふけり、以降、「明日の風」(『TAKE OFF』収録)、「ここはどこ」(『僕がつくった愛のうた』収録)などなど、ズラズラっと、マニア好みの曲が並びます。

ソロのコーナーを挟んで、またまた、マニア語のみの曲のオンパレード。個人的には「ブルー・スカイ」「風のメロディ」「約束」「ぼくがつくった愛のうた(いとしのEmily)」「Someday Somewhere」「銀の指環」などが好きな曲で、かなり満足。多感な頃に聴いた曲はやっぱり良いねえ。ラストは、お決まりの「夢中さ君に」があって、アンコールの「魔法の黄色い靴」の大合唱があって・・・。

そして、アンコールのラストが「二人で山へ行こう」。これって、かなりマニア度が高い曲ですぞ。この曲がアンコールのラストなんて。チューリップもなかなかやるなあ。マニアの心を良く判ってるやないか(笑)。

この「Live Act Tulip 2007~run~」はDVDとして発売されています(写真左)。BSフジでの放映より、ちょっと収録曲数が多いかな。チューリップの方々、このライブ録画、チューリップのマニアとしては、まずまずの内容、まずまずの出来ですぞ。ちょっと演奏の音は細いですが、一見の価値ありと思います。

時は流れて、約30年後。財津さんの髪の毛は白くなったが、意外と、上田さんと阿部さんは、あまり変わらないのが頼もしい。でも、姫野さんが、あんなに太るとは思わなかった。時の流れとは恐ろしいものである(笑)。
 
 
 
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2007年2月13日 (火曜日)

70年代Jポップを振り返って・1

先日までの3連休で、故郷に「帰省」していた訳だが、故郷に「帰省」する度に決まって、70年代のJポップが聴きたくなる。70年代前半のフォークから、70年代後半のニューミュージック、70年代通じて、異端と扱われつつ、健闘した「日本のロック」。どれも、高校〜大学時代に、リアルタイムで聴いたものばかり。

当時は、「フォーク、ニューミュージック」などを鑑賞するには、個人的に複雑な状況があって、高校時代、僕はバリバリのロック小僧で、英国のロックでなければ、ロックにあらず、みたいなところがあって、日本のフォーク、ニューミュージックなどは、「軟弱ソング」として、聴く耳持たず、って感じだった。

が、なんかのきっかけで、その一端に触れたりすることがあるんだが、後に「名盤」と呼ばれるアルバムに出会うと、「日本のニューミュージックなんかでも、なかなか良いなあ、心地よいなあ」と心の中で、密かに思ったりするんだが、「いやいや、そんな軟弱なことでどうする」と必死の思いで打ち消そうとする別の自分がいたりする(笑)。特に「日本語ロック」に至っては、バッサリと一言「認めない」。今から思えば、なんて心の狭いことだろう、と苦笑いするのだが、当時は、結構、「くそ真面目に」思っていたりしたのだ。

Tulip_takeoff

そんな「ツッパった」状況の中、心密かに「これはいいかも」と、心を揺さぶられた「日本のロック」のアルバムが、幾つかある。今回の「帰省」で聴きたくなったアルバムの一枚でもある、チューリップの「Take Off(離陸)」。

まずは、チューリップが「日本のロック」のバンドか、と異論を唱える方も、未だにあるでしょうね(笑)。「チューリップ」とは、1970年代を中心に活躍した日本の音楽グループ。1970年結成、1989年解散。ロックでもフォークでもない新しい音楽分野「ニューミュージック(Jポップスの草分け)」を開拓したバンドのひとつです。

オリジナル・メンバーは、財津和夫 (vo&g&key)、吉田彰 (b)、安部俊幸 (g)、上田雅利 (ds)、姫野達也 (vo&g&key) の5人。「チューリップ」というと、ビートルズから影響を受けたメロディー・ラインとアレンジが特徴。口の悪い方々からは「ビートルズのコピー・バンド」と言われております(笑)。メロディアスでポップな作風が特徴で、僕は単純にそこが好きです。そして、洋楽の影を追いながらも、そこはかとなく、日本的な情緒を加えているところがチューリップの「隠し味」ですね。

その「チューリップ」の、当時、大飛躍のアルバムが「Take Off(離陸)」。1974年4月のリリースですが、このアルバムの内容が素晴らしい。当時のポップ・ロックの最先端を行く、メロディーとアレンジは、客観的に見て、素晴らしいものがあります。

曲のアレンジ面についても、先に書いた「ビートルズ」からの影響からは逃れられないものの、その完成度は高く、単なるアイドル・バンドでは無い、しっかりとした「正統派のJポップ・バンド」としての実力を、充分に感じられる作品だと思います。当時、ロック雑誌・ミュージック・ライフの「国内年間ベストアルバム」に選ばれたのも頷けます。

特に、後半の「悲しみはいつも〜ぼくは陽気なのんきもの〜笑顔をみせて」と続くメドレーは、正にチューリップ版『Abbey Road(アビーロード)』のB面メドレーとも言えるもの。当時のソング・ライティングの全体レベルからすると、このメドレーなどは突出していたと思います。

加えて、名曲「青春の影」が収録されています。これは、完全に「The Long And Winding Road」からの影響が丸出しですが、それまでの仮の姿であった「アイドル・バンドのイメージ」を完全に払拭する出来で、緩やかな空間の中で財津さんが柔らかな優しい声で歌い上げる「チューリップ」を代表する名曲になっています。この曲に感動して、当時、僕は「隠れチューリップ・ファン」になりました。

70年代のJポップ、意外と捨てたもんじゃないですよ。今の耳で聴くと、結構、「イケル」アルバムが多いです。まあ、歳を取って、許容量が増えたとも言えるのかな(笑)。
 
 
 
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