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2017年9月14日 (木曜日)

セルビアはベオグラードのジャズ

欧州を旅して思うのだが、訪れたどの国にもジャズがある。地元のエンタメ系の雑誌やお店の案内カードを見ていると、必ず、ジャズのライブ・ハウスの紹介がある。ということで、その国を訪れたら、必ず、その国のジャズを探し、その国のジャズを聴く。すると、それぞれ、国によってジャズの音が違うのだ。国毎の個性とでも言うのだろうか。これって、意外と面白い。

アップル・ミュージックなど、ダウンロード・サイトが充実してきたお陰で、様々な国のジャズを聴ける様になった。ネットの中でも、様々な国のジャズに関する情報が充実してきており、知識レベルの情報の入手も楽になった。良い時代になった。昔は、米国ジャズでも情報不足の感があって、情報を得るのに雑誌を読んだり、本を読んだり。大変でした。

Bojan Zulfikarpasic『Solobsession』(写真左)。今日聴いた欧州ジャズ。ピアニストである。2008年の作品。まず、リーダーの名前を何て呼んだら良いか、判らない(笑)。「Bojan Zulfikarpasic=ボヤン・ズルフィカルパシチ」と読むそうだ。ボヤンは判る。でも、セカンド・ネームが判らない。この名前からすると「北欧系」か、と思うが、冒頭の演奏を聴くと「違う」。

北欧系独特の響きの拡がりとクリスタル感が希薄。加えて、ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。そうすると、英国系若しくは仏蘭西系は無い。ましてや独系でも無い。ん〜、どこのジャズなん?
  

Bojan_zulfikarpasicsolobsession

 
実は、旧ユーゴスラビア、ベオグラード出身でフランスを舞台に活躍するジャズ・ピアニストとのこと。名前が長いので、通称「Bojan Z」で通しているらしい。なるほど、ベオグラードだから、今の国名で言うと「セルビア」。この盤に詰まっていろ音は「セルビア」のジャズ、東欧のジャズである。

この『Solobsession』は、ボヤンのソロ・ピアノ盤である。よって、ボヤンのピアノの個性が露わになる。ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易く、ピアノの響きを美しい。テクニックも優秀。緩急自在なインプロビゼーションで、アルバム全編を一気に聴き切ってしまう。

ピアノの特殊奏法を駆使した演奏、プログレの様な変拍子の演奏、フリーキーな展開をところどころ「チラ見せ」しつつ、どこかポップな響きのインプロビゼーションは今風のスピリチュアルな響き。今までにありそうで無かったピアノ・ソロで、一度填まると、暫く、病みつきになるほどの個性。

しかし、アルバム・ジャケットの雰囲気と「Bojan Zulfikarpasic」という姓名の文字の雰囲気から、これ「北欧ジャズ」系ね、と思ってしまうんだが、これがまあ、全く違うんですね。でも、タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易い。と良い方に転んで、この盤の魅力にドップリと填まってしまいます。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年9月11日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・89

今日は、昨日のコンサート明けの「お疲れ休み」。そうそう、昨日はとある中堅ミュージシャンのコンサートに参戦していて、ブログは急遽お休みしました。3時間20分超、立ちっぱなしのコンサートに参戦して、家に帰りついたのが22時過ぎ。さすがにブログは打てません(笑)。

さて、午前中はまだ良かったんですが、今日の午後は昨日のコンサートの疲れで、ずっと伏せっていました(笑)。そんな時はゆったりとした、聴いて耳当たりの良いジャズが良いですよね。さて、何が良いか。ピアノ・ソロはありきたりだし、ソロかデュオ盤が良いんでしょうが、ということで選んだ盤がこれ。

Courtney Pine『Song(The Ballad Book)』。2015年のリリース。ちなみにパーソネルは、Courtney Pine (b-cl), Zoe Rahman (p)。Courtney Pine=コートニー・パイン。1964年生まれのジャマイカ系イギリス人。サックス奏者。しかし、この盤では「バス・クラリネット」一本で吹きまくる。これが実にユニーク。
 

Courtney_pine_song

 
女流ジャズピアニスト最注目のゾーイ・ラーマンとのデュオ。ピアノとバス・クラリネットとのデュオ。バス・クラリネットと言えば「エリック・ドルフィー」が浮かぶが、僕の記憶の中では、他にこの組合せの盤を知らない。が、僕はこの盤を聴いて、心から感心した。バス・クラリネットのソロの音色は静的ではあるが「スピリチュアルでエモーショナル」。

バス・クラリネットの音がこんなに心地良いものと感じたのは久し振り。エリック・ドルフィー以来。しかも、ピアノとのデュオが実に合う。素早いフレーズには不向きな感じだが、ゆったりとしたフレーズには、本当に「その威力を発揮する」。ダニー・ハサウェイ、デューク・エリントン、サム・リバース、サド・ジョーンズ、ブライアン・マクナイトのヒット曲などを演奏していますが、どれもが「スピリチュアルでエモーショナル」。

この盤、とっても良いです。バス・クラリネットの音色がこんなに「スピリチュアルでエモーショナル」だとは思わなかった。そういう意味では、1960年代早々から、バス・クラリネットを吹いていたエリック・ドルフィーは先見の明があった。そして、バス・クラリネットの魅力を再発掘したコートニー・パインは素晴らしい。ジャズ者中堅〜ベテランの方々に、一度は聴いて欲しい好盤。

 
 

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2017年8月28日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・88

長年ジャズを聴いていると、勘が働くことがある。この盤って絶対良いよ、と言いたげなジャケット。よく「ジャケ買い」という言葉があるが、それに近い感覚かな。なんか良い音するぜ、とピピッと来る。そういう時は迷わず「ポチッ」として良いのだ(笑)。

最近のそんな一枚がこれ。Eric Ineke『Let There Be Life, Love and Laughter』(写真左)。まず、リーダーのEric Ineke=エリック・イネケとは誰か。オランダの正統派ベテラン・ドラマー。1947年4月生まれなので、今年で70歳になる。この盤はイネケの70歳の誕生日に作られた盤で、1968年から2014年のキャリアの中から8曲選んだもの、とのこと。

この8曲が面白い。Eddie“Lockjaw”Davis(ts), Dexter Gordon(ts), Johnny Griffin(ts), Grant Stewart(ts), David Liebman(ts), Clifford Jordan(ts), Lucky Thompson(ts), George Coleman(ts)、と8人の個性溢れるベテラン・テナーマンとのライブ演奏を集力しているのだ。名前を見るだけで、その癖のある、一筋縄ではいかない、実に魅力的なテナーマン達。キャリアが長く共演テナーマンが多いイネケだから出来る、実に面白い内容の企画盤である。
 

Let_there_be_life_love_and_laughter

 
これだけ個性あるテナーマンがフロントに入れ替わり立ち替わり立つのであるが、これが面白い事に、アルバム全体がしっかりと一定のトーン、演奏の雰囲気で統一されているのだ。聴き通してみると判るのだが、やはりリーダーのイネケのドラミングがそんな「統一感」の源なのだ。

ちょっとラフで半拍ほど遅れて入るオフビートなんだが、しっかりとグルーブ感を醸し出していて、細波のようにシンプルなビートがアルバム全編に渡って溢れている。このグルーブ感がフロントのテナーをしっかりとサポートし、しっかりと鼓舞する。テナー・ソロを惹き立てる、伴奏上手なドラミング。イネケのドラミングの実力の高さを思い知る。

リーブマンによるライナーノーツが書かれているが、そこには「エリック・イネケがドラムなら、必ずスイングする」と書かれている。う〜ん、この一言に尽きるなあ。細波の様にパルスの拡がりでスイングするイネケのドラミング。ハイハットの多用、呼応するように合いの手の様に入るラフなスネア。米国には無い、独特な個性の和蘭のドラミングである。

 
 

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2017年8月17日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・87

昨日は「とあるバンドの武道館ライブ」に参戦していて、ブログを書くことができませんでした。でも、久し振りの「生の音」に触れることが出来て、実に有意義で楽しい夜でした。ライブには足を運ばないとね。活きた音を体感するからこそ、ステレオから出てくる音も楽しめるというもの。 

さて、ジャズの世界に戻ります。最近、1980年代の、フュージョン・ブームが下火になりつつある頃の「メインストリーム・ジャズ」に興味があって、アルバムを探し漁っています。個人的にはジャズを聴き初めて5〜10年経った頃。何と無く、ジャズが判ってきて、個人的な好き嫌いもハッキリしてきた頃かと思います。

Art Farmer『Maiden Voyage』(写真左)。1983年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Masahiko Satoh (key, arr), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds) のジャズ・カルテットをベースに、ストリングスがバックにつきます。日本ジャズの鬼才と言われる佐藤允彦のモダンなストリング・アレンジに乗って、ファーマーのフリューゲル・ホルンが飛翔する。そんな雰囲気が素敵な企画盤です。
 

Maiden_voyage_art_farmer

 
この盤を聴くと、ちょうど録音時期が1983年。フュージョン・ブームが下火になりつつあって、メインストリーム・ジャズに回帰しそうな、そんな雰囲気の強いアルバムがリリースされ始めた時期。それらの演奏には、フュージョン・ジャズの良いところを上手く伝統的なメインストリーム・ジャズに反映して、1980年代前半ならではの「新しい響き」を湛えた演奏内容になっているところが個性的です。

特に、佐藤允彦のストリング・アレンジが振るっている。特にタイトル曲「処女航海」のストリングス・アレンジは絶品。美しい、の一言。と言って、イージーリスニング風にはなっておらず、あくまでジャズの範疇に収まっているところが、この企画盤の優れたところ。僕は当時、この盤を聴いて、ジャズの新しい「伸びしろ」を感じて、まだまだジャズは深化するなあ、と明るい希望を持ったことを覚えています。

かつてデンオン(現デノン)から発売されていた日本制作の企画盤ですが、日本発の企画盤らしからぬ、内容はとても充実しています。フュージョン・ジャズのブームの後の、未来志向のメインストリーム・ジャズのひとつのプロトタイプを提示してくれた、なかなかの内容だと思います。なかなか入手するのが難しいのですが、一度は聴いて欲しい好盤です。

 
 

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2017年8月10日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・86

昨日は「真夏の台風一過」で晴れ渡りはしたものの、思いっきり蒸し暑い一日になった。で、今日は朝はまだ蒸し暑かったが、夕方になって、涼しい乾いた東風が吹き始めて、一気に涼しくなった千葉県北西部地方。窓を開け放していると肌寒いくらい。これだけ涼しくなると、ジャズも聴きやすくなって、日頃あまり手にしないアルバムを聴いてみたくなったりする。

今日のそんなアルバムがこれ。Elements(MarkEgan & Danny Gottlieb)『Elements』(写真)。January, 1982年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Mark Egan (b), Danny Gottlieb (ds, perc), Clifford Carter (key), Bill Evans (sax)。フュージョン後期の「粋なメンバー」が集う。

バンド名は「Elements」。1982年、米国で結成されたフュージョン、若しくはジャズ・ロックがメインのバンドである。ベースのマーク・イーガン、ドラムのダニー・ゴットリーブが双頭リーダー。歴代メンバーとして、サックスのビル・エヴァンス、ギターのスティーヴ・カーン、ピアノのギル・ゴールドスタインがいる。いわゆる「伝説のフュージョン・バンド」である。
 

Markegan_danny_gottliebelements

 
しかし、このバンド(Elements)のファースト盤『Elements』を聴くと、それまでの「ソフト&メロウ」をウリにした聴き心地の良いフュージョン・ジャズの音世界では全く無く、フュージョン基調ではあるが、音のメインは「メインストリーム・ジャズ」。意外と硬派なコンテンポラリー・ジャズな内容に、今の耳でも「聴き惚れる」。

今で言う「スピリチュアル」な自由度の高いアドリブあり、フォーキーな「ネイチャー・ジャズ」っぽい展開あり、はたまた硬派な「モード・ジャズ」っぽい展開あり、そういう面では、このアルバムはもはや「フュージョン・ジャズ」では無い。ちょっと、パット・メセニー・グループ(PMG)を想起させる様な音の雰囲気もあり、あれれ、と思ったら、イーガンもゴットリーブもPMG出身でした。

このアルバムの存在、約30年もの間、ずっと忘れていた。PMGを集中して聴いていた1980年代は意識していたのだが、1990年代に入ってすっかり忘れてしまっていた。今回、30年ぶりに聴いて、疾走感と爽快感溢れるリズムと、浮遊感が半端無いフェンダー・ローズやキーボードの音色が心地良く、すっかりこのバンドの虜になりました。

 
 

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2017年7月30日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・85

バイオリン。ジャズにおいて、数は少ないが「バイオリン・ジャズ」は存在する。ブルージーな雰囲気を醸し出し、オフビートを強調したフレーズを連発するには、バイオリンという楽器は「向いていない」。それと、それなりの音を出そうとすると、なんせ楽器の値段が高い。バイオリンを弾き回すには、それなりの基礎教育が必要。そんなこんなの理由から、バイオリン・ジャズは数が少ない。

それでも、年に何枚かはバイオリン・ジャズの好盤がリリースされる。絶滅危惧種的なリリース数の少なさだが、基本的にリリースされるアルバムのレベルは水準以上。聴き応えのあるアルバムが基本的にリリースされている。しかし、バイオリン・ジャズは基本的に黒く無い。クラシックっぽく流麗でメロディアス。

昨年、こんなバイオリン・ジャズのアルバムがリリースされた。Jerry Goodman『Violin Fantasy』(写真左)。Jerry Goodman=ジェリー・グッドマン。どっかで聞いたことのある名前なんだが....。この盤のバイオリンの音を聴いて、これって、1970年代前半、クロスオーバー・ジャズの音。そうか、第一期マハヴィシュヌ・オーケストラのバイオリン奏者であった。
 

Jerry_goodman_violin_fantasy

 
このアルバムの演奏を聴いていると、これってジャズか、と感じる。ジャズ+ロックのクロスオーバー・ジャズ的な音ではあるが、どちらかと言えば、1970年代前半、ロック界を席巻した「プログレッシブ・ロック」の音世界に近い。調べてみたら、ゲストに、ドイツを拠点とするプログレ・バンドのNEKTARや、トニー・レヴィン、ビリー・シャーウッド、リック・ウェイクマンが参加している。

じっくり聴いていると、音の基本は「マハヴィシュヌ・オーケストラ」の音に近い。1970年代前半のクロスオーバー・ジャズのテイストが実に懐かしい。曲自体の構成力も確固たるものがあり、その構成力に応える演奏隊のテクニックも実に高いものがある。全編に渡って演奏充実。聴き始めたら一気に聴き切ってしまうほどの内容の濃さ。

この盤、ジェリー・グッドマンとして、1988年の『It's Alive』以来、約28年ぶりにリリースしたソロ名義でのアルバムとのこと。収録曲は新録曲とカバー曲が半々という構成で、今から思えば「企画盤」の色合いが強いのですが、なんせ28年ぶりのソロ名義のアルバムなので、全く気になりません。プログレ・テイストの濃い壮大なロック・シンフォニーがベースのクロスオーバー・ジャズ。僕には大好物です。

 
 

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2017年7月20日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・84

ジャズはビートルズをカヴァーするのが好きである。ジャズの世界では、ビートルズの楽曲のカヴァー盤が大量に存在する。ビートルズの楽曲をカヴァーするだけで「売れる」と思ったんだろうなあ。実に安直なアプローチ(笑)。結局、今の耳で振り返って、アレンジと演奏のレベルが高かったものだけが残った。まあ、カヴァー盤なんてそんなもんである。

Bill Frisell『All We Are Saying...』(写真左)。2011年6〜7月の録音。捻れギタリストの最右翼、ジャズというジャンルを超えた、聴いたことも無い不思議な怪しげな捻れフレーズを連発する「変体ギタリスト」、ビル・フリゼールのアルバムである。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g), Greg Leisz (g), Jenny Scheinman (vln), Tony Scherr (b), Kenny Wollesen (ds)。フリーゼル以外、知らない人ばかり(笑)。

ジャケットを見れば「おやっ」と思う。このイラストって「ジョン・レノン」じゃないのか。で、収録された曲名を見渡すと、おお、なんと、このアルバム、ジョン・レノンの楽曲のカヴァー盤ではないか。ジャズの世界では、ビートルズのカヴァー盤って山ほどアルのだが、アフター・ビートルズ、いわゆるビートルズ・メンバーのソロ時代の楽曲のカヴァー盤ってあまり無い。
 

All_we_are_saying

 
ジョンの楽曲の特徴と個性を良く理解した、とっても良い選曲ですよね。「You've Got Hide Your Love Away」「Hold On」「Julia」「Mother」は、ジャズでカヴァーがあまりされていない曲だと思うんだが、これがまあ、優れたアレンジで、きっちり、コンテンポラリーなジャズの演奏に仕上がっている。やっぱり、カヴァー盤って、アレンジが大事だよね。

こうやって、ジョンの楽曲のジャズ・カヴァーの演奏を聴いていると、ジョンの楽曲の旋律って、ジャズに向いているなあ、と思う。ジャズをやる方として、アドリブへの展開が面白くなるようなコード進行をしている、ということ。フリゼール、目の付けどころが違う。そう言えば、ジョンと並んで、ジョージの楽曲もジャズでカヴァーされることがある。やっぱり、ジョージの楽曲の旋律もジャズに向いているんだよね。

フリゼールのギター、思い切り捻れた「変体ギター」なので、ジョンの楽曲をどれだけ捻ってくるのか、と最初は構えて聴き始めるのだが、以外と素直なトーンで弾き進めているところが印象的。米国ルーツ・ジャズな雰囲気がとっても素朴で良い。楽曲も持つ特徴的なフレーズはしっかりシンプルに弾き進め、アドリブで捻れに捻る。メリハリの効いた展開で、ジョンの楽曲のカヴァー盤としては秀逸な出来です。

 
 

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2017年6月29日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・83

我が国では「企画盤」の評価はイマイチ。「企画盤」というと「作られた感じ」が強くするのだろうか、即興を旨とするジャズの世界ではこの「作られた感」がどうにも駄目らしい。「企画盤」になると、人工的だとか商業主義だとか、あまり良い評価は得られない。ジャズについては「偶発的に発生する優れた即興」を最高のものとする習わしがあって、我が国では「企画盤」はうけない。

例えば、こういう企画盤も基本的に評価がイマイチ。というか、ピックアップすらしてくれない。アルバム紹介本についても、日本ではこのブラスバンドの名前が挙がることはないし、ましてやアルバムの名前が挙がることも無い。その「ブラスバンド」の名前とは「Supersax(スーパーサックス)」。

Supersax『Salt Peanuts』(写真左)。Med FloryとBuddy Clarkの2人が中心となり、ビ・バップの創始者の一人、アルトサックスの巨匠Charlie Parkerに捧げたブラスバンド「Supersax(スーパーサックス)」の1974年リリースのセカンド盤。スーパーサックスとは、Charlie Parkerの名演奏を、サックス・アンサンブルで再現しようとしたユニークな企画系のバンドである。
 

Salt_peanuts1

 
発想が素晴らしい。2アルト、2テナー、1バリトンの5人のサックス・セクションが、原曲のメロディだけでなく、パーカーのアドリブソロのラインまで、一糸乱れぬアンサンブルで再現するのだ。疾走感溢れ、心地良く複雑に捻れたチャーリー・パーカーのアドリブラインを忠実にサックス・アンサンブルで実現する。その迫力とパンチ力たるや、凄まじいものがある。

冒頭は、Charlie Parlerのビ・バップの名曲「Yard Bird Suite」を、重厚なサックス・アンサンブルで完璧にカバー。2曲目は、Dizzy Gillespie作の「Groovin' High」、そしてラストの「Salt Peanuts」等、ビ・バップの名曲を圧倒的な迫力で吹き上げていく。聴けば判るが、スーパーサックスのメンバーは全てテクニックが高い。実質的なリーダーはMed Floryですが、他のメンバーも全員リーダー盤を持っている実力者揃いです。

ジャケットを見れば、明らかに時代を感じるデザインではあるが、中身はなかなか硬派で、サックスの音色を愛でるに効果的な企画盤です。このサックス・アンサンブルの企画盤が我が国では、知る人ぞ知る、マニアな盤の位置付けに甘んじているのか理解に苦しみますが、どうして、聴けばスカッとする爽快感溢れる好盤です。

 
 

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2017年5月20日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・82

ピアノ・トリオを欲する耳になって1週間ほどが経つ。ピアノ・トリオって聞くと、響きの良い趣味の良い耳当たりの良い演奏を思い浮かべる人が多いが、ピアノ・トリオって、そんなに単純なものではない。バリバリ尖った、ジャズ者初心者の方々が聴くと、椅子から転げ落ちてしまう位の硬派な演奏もある。

そういうバリバリ尖った硬派な演奏内容のピアノ・トリオって思いを巡らした頭に浮かんだアルバムがこれである。Connie Crothers『Perception』(写真左)。1974年の録音。ちなみにパーソネルは、Connie Crothers (p), Joe Solomon (b), Roger Mancuso (ds)。リーダーのコニー・クローザースの初リーダー作になります。

このアルバムに出会ったのは、今からかれこれ5年ほど前。それでも、リーダーのコニー・クローザース以下、ドラマーもベーシストも知らない人であった。さすがは「SteepleChaseレーベル」である。侮れない。こんな女性ピアニストがいたんや。聴けば判るが、思いっきり尖って、思いっきり硬派なジャズ・ピアノを弾きまくる「奇才」である。

この人のピアノを聴いて、真っ先に頭に浮かぶピアニストが「レニー・トリスターノ」。調べたら、そもそも、リーダーのピアニスト、コニー・クローザーズはレニー・トリスターノの第2世代の子弟であったそうだ。そうでしょうね。このアルバムのピアノを聴けば絶対にそう推測しますよね。しかし、トリスターノのフォロワーであるピアニストの存在は、現代においては珍しいと言えば珍しい。
 

Connie_crothers_perception

 
加えて、よくよく聴いていると、モンクのピアノの雰囲気も入っている。間を活かしたタイム感覚はトリスターノというよりはモンクですね。トリスターノ+モンクの雰囲気で、限りなくフリーに近いメインストリームなジャズ・ピアノを展開します。

時にアブストラクトにブレイクダウンする部分もあり、ジャズ・ピアノに響きの良い趣味の良い耳当たりの良い演奏を求める向きには「ちょっと」という内容です。しかし、ジャズ・ピアノ好きには、これはこれで堪らない。聴き始めるとついつい耳を傾け、最後まで一気に聴き切ってしまいます。

ピアノ・ソロとトリオ演奏の2つの演奏形式が収録されていますが、ピアノ・ソロの方に、コニー・クローザースの個性がより露わに表現されていると思います。この盤が1970年代にリリースされた故、あまり着目されなかったのが実に惜しい。ジャズ・ピアノのスタイリストの一人として貴重な存在であったと思います。

ただ、彼女のディスコグラフィーを見直すと、このリーダー作から2012年まで、2〜3年に1枚の割合でリーダー作をリリースしていたようなので、米国ではある程度、評価されていたのかな、と安心しました。ちなみに、コニー・クローザースは惜しくも昨年8月に逝去しました。享年75歳でした。

 
 

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2017年5月13日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・81

ジャズは昔から「異種格闘技」が得意である。ラテン音楽のリズムやフレーズを取り込んだり、ボサノバやサンバのリズムやフレーズを取り込んだり、果てはロックの要素を取り込み、R&Bと融合し、最終的には「クロスオーバー・ジャズ」や「フュージョン・ジャズ」というジャンルを確立したり、極言すると「ジャズは融合の音楽」である。

21世紀に入ると、この「融合」はバリエーションを広げ続け、こんな楽器とコラボしてジャズやんの、なんて組合せもある。例えば、2007年リリースのデュオ作品『The Enchantment』は、ピアノのレジェンド、チック・コリアのバンジョーのベラ・フレックとのデュオ作品。バンジョーですよ、カントリー&ウエスタンの花形楽器のバンジョーとピアノで即興演奏をする。この組合せにはビックリした。

ビックリしていたら、今回、こんなデュオが出てきた。ブルーグラス界(いわゆるカントリー&ウエスタンですね)を代表するChris Thileと、ジャズ・ピアニスの重鎮 Brad Mehldauの組合せ。パーソネルは、Chris Thile (mandolin, vo) & Brad Mehldau (p, vo)。クリス・シーリはマンドリンを弾き、ボーカルを担当する。そして、ブラッド・メルドーはピアノを弾き、ボーカルも担当している。
 

Chris_thile_brad_mehldau1

 
そのアルバムとは『Chris Thile & Brad Mehldau』(写真左)。今年の1月のリリース。ブルーグラスのマンドリンの弾き語りをどうやってジャズ・ベースのピアノとデュオ演奏するのか、と首を捻るのであるが、聴いてみると、クリス・シーリのマンドリンがしっかりとジャズのビートに適応して、ブルーグラス側がジャズに歩み寄っている風情。としつつ、ブラッド・メルドーはマンドリンの繊細な響きに寄り添うように、優しくインプロビゼーションする。

ボーカル曲も多く収録されており、純粋なジャズというよりはカントリー、ブルーグラス系も混ざったようなポップスの様な風情ですが、底に流れるリズム&ビートとコード進行がジャズの雰囲気をしっかりと残していて、良い感じのフュージョン・ジャズに仕上がっています。純ジャズのデュオではありませんが、融合の音楽としてのジャズの面目躍如的な内容です。

ジャズの「異種格闘技」としての成功例でしょう。さすが伴奏上手なブラッド・メルドー、マンデリンの繊細な音によく対応しています。美しい旋律、ビート感を強調したリズムの採用、そして、親しみのある旋律を持つ楽曲の選曲。聴いて楽しいポップなフュージョン・デュオ盤に仕上がっています。

 
 

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