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2017年1月20日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・76

まず、ジャケットが良い。この線画の漫画チックな人物イラストが良い。見ていてほのぼのする。「The Poor People Of Beverly Hills」とタイトルを読んで、思わず口元が緩む。こういう印象のジャケットって絶対に内容は外れない。いわゆる「ジャケ買い」OKなアルバムである。

Terry Gibbs『A Jazz Band Ball』(写真左)。1957年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Max Bennett (b), Mel Lewis (ds), Lou Levy (p), Terry Gibbs (vib, marimba), Larry Bunker, Victor Feldman (vib, xylo), Marty Paich (arr)。テリー・ギブス、ヴィクター・フェルドマン、ラリー・バンカー。3人のヴィブラフォン(マリンバ、シロフォンも)の名手が顔を揃える。

なんてユニークなアルバムなんだろうか。なんせヴァイブ奏者が3人なんて、そんなジャズ盤、見たり聴いたりしたことがありません。しかも、この3人のヴァイブ奏者が丁々発止とやりあうんですから、これはもう堪らない。ヴァイブ3人のアドリブ・バトル、聴き応え満点です。これって、所謂ジャズの醍醐味ですよね〜。
 

A_jazz_band_ball

 
西海岸の幻のレーベル「モード」の、 西海岸の洗練と実験性が同居したプロジェクトでもある「Jazz Band Ball」の第二弾アルバムだそうで、何と無くその意味、判ります。まず、ヴァイブ3人のジャム・セッションなんて、実験的チャレンジ以外の何者でもありませんよね。しかも、その3人のアドリブ・バトルのレベルが高い。聴いていて思わずワクワクします。躍動感溢れるヴァイブのバトル。良いですね〜、ジャズですね〜(笑)。

マーティ・ペイチがアレンジを担当する。このペイチのアレンジが効いている。ペイチのアレンジあっての、ヴァイブ3人のジャム・セッション、その3人のアドリブ・バトルなんだな〜、ということを実感する。加えて、ルー・レヴィのピアノ、マックス・ベネットのベース、メル・ルイスのドラムスのリズム・セクションも堅実でご機嫌。しっかりとヴァイブ3人のアドリブ・バトルを支えるのだ。

米国西海岸ジャズの範疇の演奏なので、爽快感と清涼感が半端ない。しっかりとアレンジされた3人のヴァイブのバトルなんだが、演奏の雰囲気は自由でシンプル。ジャズの基本をしっかりと聴かせてくれる好盤です。

 
 

震災から5年10ヶ月。決して忘れない。まだ5年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年1月14日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・75

レジェンド級のジャズ・ジャイアントの残したリーダー作の中では、幾枚か「異色盤」とされるユニークな内容のアルバムが必ずある。この「異色盤」については、その内容を紐解くことによって、リーダーであるジャズ・ジャイアントの本来の個性を再認識することが出来るものが多い。

Bud Powell『A Portrait of Thelonious』(写真左)。1961年12月、パリでの録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), Pierre Michelot (b), Kenny Clarke (ds)。Cannonball Adderley のプロデュース。同時期に欧州に渡っていた、ビ・バップなドラマー、ケニー・クラークが、ベースはフランスのビ・バップなベーシスト、ピエール・ミシュロが参加している。

ビ・バップの祖の一人、モダンジャズ・ピアノの祖、バド・パウエルの晩年の録音。37歳の録音だが、この録音の5年後、42歳で鬼籍に入ることになる。麻薬に溺れ、精神状態に支障を来し、欧州はパリに活動の場を移したパウエルが、この異国の地パリで録音した、これまた珍しい「セロニアス・モンク」の自作曲を中心に収録したアルバムである。

これまた珍しい、というのは、セロニアス・モンクの自作曲というのは、独特のタイム感覚と独特の旋律を持つ楽曲ばかりで、ハイテクニックのもと、高速アドリブ・フレーズを旨とするビ・バップには意外と合わないところがあって、特に、バド・パウエルのプレイ・スタイルには絶対に合わない、と思ってしまうのだ。
 

A_portrait_of_thelonious1

 
で、興味津々でこのアルバムを聴くと、思わず「クスリ」と笑ってしまう。あの癖のある、独特のタイム感覚と独特の旋律を持ったセロニアス・モンクの楽曲が、パウエルの手によって解体され、なんとパウエルの自作曲の様に、パウエルのプレイスタイルにフィットした曲の様に様変わりしているのだ。モンクの楽曲の個性がパウエルの強烈な個性にとって変わってしまっている。

このアルバムに収録されたセロニアス・モンクの自作曲については、パウエルの手にかかると、モンクの曲と直ぐには判らない位に、デフォルメされている。しかしながら、このパウエルの強烈な個性によるデフォルメについて、違和感が全く無いところが凄い。デフォルメされた後のフレーズの響きが良好で、全く別の曲の様な魅力的な響きを宿しているところが面白い。

この『A Portrait of Thelonious』を録音した当日のパウエルは、体調面・精神面共に比較的調子が良かったとのことであるが、このアルバムの聴くとそれに納得する。とはいえ、もはやパウエルは晩年のパウエル。指がもつれたり、ミスタッチをしたりする箇所もあるが。ピアノの響き、フレーズの響きが良好で全く気にならない。

晩年のプレイを聴くにつけ、最盛期のハイ・テクニックを駆使して弾きまくった、煌びやかな「ビ・バップ」なプレイに隠れてしまった、パウエルのピアノの歌心、ピアノやフレーズの響きの個性がとっても良く判る。思わず「こんなアルバムあったんや」と呟いてしまう、パウエル晩年の好盤です。

 
 

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2017年1月 6日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・74

ジャズのアルバムの世界を彷徨っていると「あれ、これは何だ」と叫んでしまう様なアルバムにヒョコッと出会うことがある。このアルバムもそんなアルバム。見た時、思わず「おおっ」と叫んでしまった。

Delta Saxophone Quartet『Crimson ! 』(写真左)。これだけ見れば、なんのアルバムか、判らないよな。でも「Crimson」という文字を見て、プログレバンドの「キング・クリムゾン」を想起した僕はちょっと「プログレ」ヺタクなんだろうか(笑)。

まさかねえ、と思いながら、収録曲を見れば「おおっ」。やっぱり、これ、キング・クリムゾンの楽曲のカヴァー盤なのだ。うわ〜、こんなアルバムあったんや〜。いやいや、プログレッシブ・ロックの雄、現役のレジェンド「キング・クリムゾン」の楽曲が、ジャズにアレンジされ、カヴァーされる時代になったんですね。

Delta Saxophone Quartetとは。サックス奏者4人を中心に1984年に結成。4人のメンバー構成は、 Graeme Blevins (soprano sax), Pete Whyman (alto sax), Tim Holmes (tenor sax), Chris Caldwell (baritone sax)。今回のアルバムは、このサックス4人組に、Gwilym Simcock (piano)が加わる。

しかし、キング・クリムゾンの楽曲がジャズでカヴァーされるとは思わなかった。しかし、収録曲を見渡せば、キング・クリムゾンの楽曲の中でも、ジャズのアレンジにフィットする楽曲をしっかりと選んでいることが判る。そんな収録曲は以下の通り。
 

Crimson

 
 
1. A Kind of Red (Gwilym Simcock)
2. VROOOM/Coda: Marine 475 from THRAK
3. The Night Watch from Starless And Bible Black,
4. Dinosaur from THRAK
5. Two Hands from Beat
6. The Great Deceiver from Starless And Bible Black

 
1曲目の「A Kind of Red」だけが、Gwilym Simcockの自作曲。その他はキング・クリムゾンのオリジナル。1995年の「THRAK」から2曲、1974年の「Starless And Bible Black」から2曲。1982年の「Beat」から1曲。実に良い曲を選んでいる。かつ、確かにジャズにアレンジし易い曲ばかりだ。

特に僕は、3曲目の「The Night Watch」が一番だ。というか、キング・クリムゾンのオリジナルの「The Night Watch」が大好きなので、もうこのジャズ・アレンジのこの曲が、もう良くて良くて(笑)。他の曲も良い塩梅。サックス4本のアンサンブルで、キング・クリムゾンの楽曲をジャズにアレンジして演奏する。これが全く良くて良くて(笑)。

演奏のスタイルが、所謂21世紀のニュー・ジャズ風だからこそ、キング・クリムゾンの楽曲がフィットする。フリーよりの演奏から、モーダルな演奏まで、ジャズの先端をいく演奏内容がとても格好良い。それにしても、この盤には参った。キング・クリムゾンの楽曲のカヴァー盤。いや〜まさに「こんなアルバムあったんや〜」。

 
 

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2017年1月 5日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・73

ジャズ喫茶というもの、一歩足を踏み入れると、そこは決して気を許すことは出来ない空間。珈琲を頼んで、流れてくるジャズの音に耳を傾ける。ああ、これは知っている盤だ、という時は良い。盤が代わる。流れてくるジャズに不意打ちを食らう。「誰や、これ」。

ジャズ喫茶では、リクエストが無い時、そのジャズ喫茶ならではの選盤で個性的なジャズを披露していく。そんな意外な選盤の中でも知っている場合は気持ち良い。「これ知ってるぜ」。しかし、そんな個性的な選盤の中で「これは判らん」という盤が出てくると焦る。「誰や、これ」。

そんなジャズ喫茶「御用達」の個性的な選盤の一枚がこれ。Misha Mengelberg『Four In One』(写真左)。2000年の録音。Misha Mengelberg=ミシャ・メンゲルベルク と読む。担当楽器は「ピアノ」。ちなみにパーソネルは、Brad Jones (b), Han Bennink (ds), Misha Mengelberg (p), Dave Douglas (tp)。ワンホーン・カルテットである。
 

Misha_mengelbergfour_in_one

 
聴けば判る。もの凄く骨太で硬派でメインストリームな純ジャズ。爽快である。ハードバップ風のコードの展開もあれば、新主流派ばりのモードな展開もある。特に、モーダルな演奏には充実感が漂う。そして、アブストラクトでフリーな展開も見え隠れして、これはこれで、また聴きものなのだから堪らない。

この盤、ジャケットを見れば判るが、このジャケット写真では、絶対にジャズ者初心者は手を出さないだろうな(笑)。ジャズ者ベテランだって手を出さない。でも、中に入っている音は極上のメインストリーム・ジャズである。これだけ、ジャケット写真と内容とのギャップが激しい盤もなかなか無い。このジャケット見たら、絶対に中身は「アブストラクトなフリージャズ」オンリーだと思うジャズ者が大半だろう。

こういう個性的な、意外性のある、それでいて中身は「骨太で硬派でメインストリームな純ジャズ」なアルバムが聴ける、ということが「ジャズ喫茶ならでは」な瞬間である。そういうことが必ずあるから、ジャズ喫茶は面白いし、ジャズ喫茶はいつになっても外せない。

 
 

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2016年12月12日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・72

Char(チャー)。本名は、竹中 尚人(たけなか ひさと)。1976年、アルバム『Char』でデビュー。 1977年6月にリリースされた『気絶するほど悩ましい』は歌謡ロック路線のヒット作となり、アイドル系ギタリストとして人気を博す。僕は、この『気絶するほど悩ましい』でCharを知り、デビュー盤『Char』に行き着いた。

僕はこの人のギターが好きである。70年代のデビュー当時から好きである。テクニック高く、シャープで切れ味の良い、それでいて骨太で硬派なこの人のギターは、世界のロックに対抗できるレベルのギターである。とにかく聴いていて気持ちが良い。

そんなCharが、初の全曲インストルメンタルアルバムをリリースしている。Char『Sacred Hill 〜聖なる丘〜』(写真左)。2002年9月のリリース。音を聴いていると、少し湿っていてくすんでいる。これってブリティッシュな音やん、と思ってネットの情報を見ていたら、やっぱり英国録音。なかなか良い音で録れている。
 

Sacred_hill

 
全曲ギター・インストのアルバム。テイストは「フュージョン」。それもロック寄りのフュージョン。これだけ、バリバリにギターだけを弾きまくる盤、聴いていて、ジェフ・ベックの『Blow By Blow』 そして『Wired』を思い出す。しかも、このCharのギターはその「ジェフ・ベック」の神的ギターと比べて全く遜色が無い。

聴いていて嬉しくなる。日本人ギタリストの手によって、あの「ジェフ・ベック」と全く遜色の無い、目眩く神的なギター・インストが堪能出来るのだ。壮大な展開が心地良い「Sacred Hills」、今様の新しい響きが格好良い「Heavy Head Wind」、スティーヴィー・ワンダーのロマンティックなカバーがこれまた格好良い「You And I」。格好良いギター・インスト満載である。

明らかに自由度の高いアドリブ・ソロが眩しい。譜面に起こして作曲しつつ、理詰めでフレーズをイメージするという手法ではなく、インスピレーション勝負な直感フレーズが素晴らしい。官能的でスピリチュアルなところは、先の「ジェフ・ベック」を超えている。この盤、日本発のフュージョン盤として愛でることが出来る。好盤である。

 
 

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2016年12月11日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・71

B.B.KIng。1925年生まれ、惜しくも昨年2015年5月の逝去している。米国の有名なブルース・ギタリストの一人。「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において第6位。幼少時に教会でゴスペルを歌っていた経験があることから、ゴスペルシンガーのような強力な歌声が魅力のボーカリストでもある。

が、僕は昔々、40年ほど前、高校時代からFMで、このB.B.KIngの演奏やボーカルをしばしば耳にしたのだが、当時はその良さがサッパリ判らなかった。ロックギタリストの音に比べれば地味、テクニックも目を見張る程の驚愕ものでは無く、ボーカルはオーソドックス。どこが良いのか、サッパリ判らず、アルバムに手を伸ばすことも無かった。

しかし、このアルバムを聴いて、その印象派ガラッと変わった。B.B.KIng『Midnight Believer』(写真左)である。1978年のリリース。聴けば直ぐに判るのだが、このアルバムは、B.B.KIngの「フュージョン盤」だと理解している。パーソネルを見渡して、ちょっとビックリするんだが、この盤は、B.B.KIngとクルセイダーズとの共作です。
 

Midnight_believer

 
へ〜っ、当時、B.B.KIngサイドは思い切ったチョイスをしたもんだ。ということで、内容的には、B.B.KIngの十八番であるブルースを超えて、完全にフュージョン仕立てのブルースになっています。特に、ジョー・サンプルは大活躍してます。B.B.KIngとの共演ということで気合いが入っていたのでしょうね。

しかし、あくまでベースはB.B.KIngのブルースで、そこにクルセイダーズがしっかりとサポートに回っているという感じの音作りで、僕はこの盤で、やっとB.B.KIngのブルースに親近感を覚えました。というか、この盤を切っ掛けにB.B.KIngのアルバムに耳を傾ける様になった、記念すべき盤です。

まあ、今の耳で聴き直してみて、完全にブルースというジャンルの音世界を完全に超越していて、明らかにフュージョン仕立てのブルースになっています。が、これはこれで、アーバンで小洒落た今様のブルースが聴けて、なかなか「乙なもの」があります。B.B.KIngとしては、異色のアルバムですが、僕にとっては、この盤は「あり」ですね。

 
 

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2016年11月 9日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・70

寒くなった。今日は北風ビュービュー。今日はここ千葉県北西部地方では「木枯らし一号」が吹きました。とにかく寒い。そんな寒い日、こういうほのぼのとしたハードバップ盤に出会うと、なんか心が温かくなってホッとします。特に、トロンボーンの音は丸くて柔らかくて暖かい。寒くなってきたら、トロンボーンの音が恋しくなる時があります。そんな時に、この盤はジャズトミートです。

Kai Winding『Trombone Summit』(写真左)。1980年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Albert Mangelsdorff, Bill Watrous, Jiggs Whigham, Kai Winding (tb), Mads Vinding (b), Allan Ganley (ds), Horace Parlan (p)。タイトルどおり、トロンボーンがフロントに4本。バックのピアノ・トリオも渋い。

僕はこのアルバムの存在を最近知った。1980年の録音でMPSレーベルからのリリース。1980年と言えば、僕は「ジャズ者2年生」。でも当時、まだまだMPSレーベルのレコードは入手が困難だった。まず、MPSレーベルの存在は知ってはいたが、カタログの内容を全く知らない。1980年当時は、その存在を知らないのは当たり前。

最近になって、MPSレーベルのレコードが組織的にリイシューされる様になって、その一環でこのアルバムの存在を知った次第。トロンボーンがフロントに4本配備されているアルバムなので、まずこの盤は企画盤か、と警戒した。しかし、MPSレーベルのアルバムなので「日本の企画盤のようなことはないだろう」と思い返した。
 

Tronbone_summt1

 
で、聴いてみて納得。確かに「日本の企画盤のようなこと」は無かった。トロンボーン4本それぞれがテクニック優秀、歌心満載。加えて、バックのピアノ・トリオが優秀。マッズ・ヴィンディングのベースがブンブン唸りを立てて、ホレス・パーランの音数の少ない印象的なタッチが心地良く、アーラン・ガンリーのドラミングは堅実至極。

演奏のスタイルは「ハードバップ」。なんの捻りも無い、ストレートな「ハードバップ」である。ポップやファンキーを強調することも無い、モードな展開をすることも無い、コード中心の「シンプルなハードバップ」。1980年当時としては、全く古いスタイルかも知れない。でも、この盤の演奏メンバーは心から楽しむ様に、旧来の「ハードバップ」な展開を奏でている。

その潔さがとっても良い。トロンボーン4本を据えたジャズとしてアレンジも良好。最初「企画盤か」と尻込みしたことなんて全く何処吹く風。聴いていてとっても楽しい、聴いていてグッと味わいのある好盤です。この晩秋から初冬の季節に、心から暖まるジャズとしてお勧めです。

 
 

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2016年10月26日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・69

こういう音源がいきなり「コロッ」と出てくるから、ジャズは隅に置けない。必ず、ジャズ情報誌やネットでのジャズCDのリリース情報、それも国内だけでは無く、米国やドイツなど、海外の情報もしっかりとチェックしておく必要がある。

Barney Kessel『Live At The Jazz Mill』(写真左)。今年いきなり、こんな「未発表音源」がリリースされた。ジャズ・ギターのレジェンドの一人、バーニー・ケッセルのライブ音源。1954年の録音。当時ジャック・ミラーというジャズ・ファンがテープ・レコーダーに残していたもの。

ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Pete Jolly (p), Gene Stoffell (b), Art Kile (ds)。米国西海岸のジャズメン中心のチョイスと見える。まだ、時代は1954年。ハードバップの萌芽期。バックのリズム・セクションは、ビ・バップの「リズム&ビートを刻み続ける役割」を忠実に果たしている。
 

Barney_kessel_live_at_the_jazz_mill

 
このライブ盤では、明確にギターのバーニー・ケッセルだけが突出している。テープ・レコーダーでの録音なので、音は中の下程度。ちょっと「もやって」いて、音の輪郭もぼけている。それでも、ケッセルの弾き出すアドリブ・フレーズは迫力満点。音はイマイチではあるが、これだけケッセル節を楽しめる盤はなかなか無い。

バーニー・ケッセルのギターは、チャーリー・クリスチャンの延長線上にある、とジョンスコは言った。このライブ盤の高速アドリブ・フレーズを聴きながら、そんなジョンスコの「ケッセル評」を思い出した。確かに、ケッセルのギターの基本は「ビ・バップ」。しかし、その「ビ・バップ」に留まらない、イマージネーションと展開の妙を演奏のそこかしこに感じる。

Arizona州 Phoenixのライブ・ハウス「The Jazz Mill」での私蔵ライブ音源。音は「イマイチ」だが、ケッセル節は堪能できる、そんなジャズ者中級盤。ジャケットもオールディーズな雰囲気で「マル」。久し振りに「ケッセル節」を堪能させてもらいました。

 
 

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2016年10月18日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・68

僕はこの盤の存在を暫くの間、知らなかった。ジャズを聴き始めて20年経って、世の中が21世紀になった頃、この盤の存在を知った。二人のベテラン・サックス奏者の競演。ジャケットを見ても「これは渋い」と思わず唸りたくなる。見るからにハードバップな出で立ち。聴いてビックリ「こんなアルバムあったんや」。

Gene Ammons & Sonny Stitt『Boss Tenors』(写真左)。ジャケットにもあるが、1961年8月、シカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Sonny Stitt (ts, as), John Houston (p), Buster Williams (b), George Brown (ds)。リズム・セクションが渋い。超有名なメンバーではないが、出てくる音は堅調そのもの。

そんな堅調なリズム・セクションをバックに、ボス・テナーの二人、ジーン・アモンズ(写真右)とソニー・スティットが思いっきり吹きまくる。恐らく、向って右がジーン・アモンズ、向って左がソニー・スティットではないかなあ。まあ、どちらもで良い。どちらもドッシリ腰が据わっていて、ダイナミックで大らかなサックスである。
 

Boss_tenors

 
どちらもパーカー譲りの節回しではあるが、パーカーよりも大らかで音の隙間が大きい。アドリブ・ラインもミッド・テンポで悠々と吹き回していく。ビ・バップのマナーで吹き回すが、ハードバップの特徴を最大限活かして、豪快ではあるが彩り豊かなテナーを長時間、聴かせてくれる。

スティットの伸びやかなアルトとテナー、そして、アモンズの太いテナーの音色が好対照で、これが「良い」。掛け合いも良い、ユニゾン&ハーモニーも良い、チェイスも良い、良いことずくめの二人のベテラン・サックス奏者の競演である。訊けば、ジャズ研などで2本のテナーの競演モデルとして、お手本の一枚らしい。などほどなあ、と感心する。

アモンズもスティットも日本の評論家筋からすると、あまり覚えめでたくない。全く不思議なんだが、そんな評論家筋の蘊蓄は置いておいて、実際に自分の耳でこの二人のベテラン・サックス奏者の競演盤を聴いて欲しい。ハードバップ好きなら、即ゲットの一枚です。

 
 

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2016年10月 1日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・67

ジャズという音楽ジャンルは、とにかく裾野が広い。こんなミュージシャンが、こんなミュージシャンと共演しているんや、とパーソネルを見てびっくりすることがよくある。どう考えても「ロック畑」オンリーなミュージシャンがジャズをやったりする。しかも、それが「聴き応え十分」だから始末が悪い。誰が演奏しているのだか、さっぱり判らなくなる。

Bill Bruford, Eddie Gomez & Ralph Towner『If Summer Had It's Ghosts』(写真左)。最近出会った「さっぱり判らない」ミュージシャンの組合せ盤がこれ。1997年2月の録音。3人のミュージシャンの共同リーダー作。

ドラムのBill Bruford(ビル・ブルーフォード・写真右)は、英国のプログレ・バンド「イエス」そして「キング・クリムゾン」のドラマーであり、アースワークスを率いて、エレクトリックなコンテンポラリー・ジャズもこなすレジェンド。

ベースのEddie Gomezは、長年ビル・エバンス・トリオの常任ベーシストとして活躍。ドラムのスティーブ・ガッドと組んで、フュージョン・ジャズでも活躍。特に純ジャズ系の演奏では結構なセッションの数をこなしてきたレジェンドである。

ギターのRalph Townerは、ECMレーベルを中心に活躍してきた「ニュー・ジャズ」な響きを湛えたアコギが個性。多作では無く、他のセッションへの参加も少ないが、この個性的なアコギは、ジャズ・ギターにおけるスタイリストの一人として認知されている。

冒頭のタイトル曲「If Summer Had Its Ghosts」を聴けば、実に良く出来たコンテンポラリーな純ジャズな演奏にウットリする。素晴らしいなあ。特に、ブルーフォードのドラミングが効いている。他のジャズ・ドラマーに無い、乾いた小気味良いポリリズム、ファンクネス皆無の切れ味の良いオフビート。ブルーフォードのドラミングの面目躍如。
 

If_summer_had_its_ghosts1

 
そんなブルーフォードのドラミングに、エディ・ゴメスの独特の骨太で硬質なベースがしっかりとアクセントを付ける。リズム&ビートに彩りを添える、唄う様なエディ・ゴメスのベース。唯一無二の個性的なリズム・セクション。

そこに、硬質でクリスタルな響きを湛えて、ラルフ・タウナーのアコギが旋律を奏でる。タウナーはストローク・プレイに独特の響き(特に12弦)があって直ぐに彼のプレイと判る。決して黒っぽく無い、明らかに欧州ジャズ的なクラシックな響きが心地良い。ブルーフォード+ゴメスのリズム・セクションの音の「質」にぴったり合ったタウナーのアコギ。

で、このアルバムを聴き進めていて、どうにもこのアルバムで出てくるピアノが誰のピアノなのかが判らない。聴いていて、かなり素性の良い、テクニックも申し分無いジャズ・ピアノである。しっかりとタッチに個性があり、アドリブ・フレーズは流麗で端正。明らかに欧州ジャズ系のピアノの音なんだが誰だか判らない。

そして、遂にパーソネルをカンニングすると、なんと「ラルフ・タウナー」のピアノではないか。そう言えば、タウナーってピアノも弾くって聞いたことがある。しかし、こんなに上質で端正な正統派なジャズ・ピアノを弾きこなすとは思わなかった。実は僕はタウナーのピアノを、このアルバムで初めて聴いた。感心した。

ジャケットを見ると、これECMレーベルのアルバムか、って思うんだが、実は英国の「Summerfold」からのリリース。しかし、このジャケットのイメージって、ECMレーベルのパクリのような雰囲気やなあ。まあ、アルバムの中身の音もECM風なので良しとしますか(笑)。 

 
 

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