2022年6月22日 (水曜日)

CASIOPEA 3rdとしての音の変化

正統派フュージョン&バカテクのバンドであるカシオペア(CASIOPEA)。2006年にすべての活動を一旦休止。2012年にCASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)として活動を再開。活動再開と同時に長年のオリジナル・メンバーであった、キーボード担当の向谷の脱退を受け、その後任として、大高清美の加入により現在の形態になる。ギターが野呂一生、ベースが鳴瀬喜博、キーボード大高清美、そしてドラムが神保彰(サポート)の4人編成。

フュージョンというよりは、ロック色が色濃くなり、ボンヤリ聴いていると「これってプログレッシブ・ロック」って思ってしまうほど。バカテクのプレグレ、という雰囲気。恐らく、大高のキーボードが、今回、さらに「キース・エマーソン」風になっているということ。成瀬と神保のリズム隊が、大高のキーボードに呼応して、ロックっぽくなっていること。それらが大きく作用している。

CASIOPEA 3rd & INSPIRITS『『4010』 Both Anniversary Gig』(写真左)。2017年12月24日、東京「EX THEATER ROPPONGI」にてのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 鳴瀬喜博 (b), 大高清美 (key), 神保彰 (ds, サポート)。ISSEI NORO INSPIRITS と、CASIOPEA 3rd & INSPIRITS 両バンド・メンバーによる白熱のライヴを収録している。

2017年のライヴ音源。カシオペアとしては、2012年に「CASIOPEA 3rd」として再出発して、5年目のライヴ・パフォーマンス。直近のT-スクエアは、スムース・ジャズ化していったのだが、CASIOPEA 3rd は、ジャズ・ロック化していったようだ。
 

Casiopea-3rd-inspirits4010-both-annivers

 
このライヴ音源を聴いてビックリしたのが「CASIOPEA 3rdとしてのバンド・サウンドの変化」。CASIOPEA 3rd 結成当初の「バカテクのプレグレ」から、ポップなジャズ・ロック志向に変化しているように感じる。切れ味鋭い、バカテクな正統派フュージョン・ジャズとしてのカシオペアの面影はほぼ無くなっている。

大高のキーボードが前面に押し出される割合が増えているのが理由だろう。ポップなジャズ・ロック化が悪いといっているのではない。CASIOPEA 3rdとなって、再びサウンドが変化し、加えて「バカテク」という要素が後退、オリジナル「カシオペア」の音世界がほぼ払拭されたサウンドに変化した、ということである。長年の「カシオペア」者の方々の中には、この変化を「良しとしない」向きもあるだろうな。それほど、大きくサウンドは変化している。

サポートメンバーとして活動に帯同してた神保が、2022年5月28日のビルボードライブ大阪公演をもって卒業。新メンバーを補充して、CASIOPEA 3rd としての活動は継続するそうだが、新メンバーを迎えて更に、CASIOPEA 3rdとしての音世界は変化するだろう。

T-スクエアといい、カシオペアといい、時代の流れに伴う「変化」だから仕方が無いこととは言え、デビュー当時からずっと聴き親しんできた僕としては、このバンド・サウンドの変化について、どこか寂しい印象は拭えない。あの頃の音はアルバムで聴き返すしか無いんだろうなあ。
 
 

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2022年5月16日 (月曜日)

Simon Phillips『Protocol V』

ホールズワースの初リーダー作や、マクラフリンのライブ盤を聴いていて、ふと、ギタリストがリーダーでは無いが、ホールズワースやマクラフリンの様な「ハードなクロスオーバー&ジャズロック」なバンドの存在を思い出した。ドラムのレジェンド、サイモン・フィリップスのソロ・プロジェクト 「プロトコル」である。

この「プロトコル」は、1988年から続いているのだが、これまでに4枚のアルバムをリリースしている。どれもが「ハードなクロスオーバー&ジャズロック」で、聴いていて、ホールズワースやマクラフリンの音世界を彷彿とさせる。そんなサイモン・フィリップスのソロ・プロジェクトが、今年の3月、前触れなく、5枚目のアルバムをリリースしたのだから、思わずビックリした。

Simon Phillips『Protocol V』(写真左)。2022年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Simon Phillips (ds), Otmaro Ruiz (key), Jacob Scesney (sax), Alex Sill (g), Ernest Tibbs (b)。

2017年の『プロトコルIV』以来、約5年振りとなる新盤。ドラマーのサイモン・フィリップスがリーダーのアルバムながら、内容は、エレギとサックスとキーボードがメインの「ハードなクロスオーバー&ジャズロック」である。

もともとはロック畑のドラマーで、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイトスネイクやザ・フーといった錚々たるグループで活躍してきたサイモン・フィリップス。ベースのアーネスト・ティブスは、前作にも参加した、サイモン・フィリップスの良き相棒。
 

Simon-phillipsprotocol-v

 
キーボードのオトマロ・ルイーズは、元ジョン・マクラフリン・バンドのメンバー。サックスのジェイコブ・セスニーは、ロベン・フォードやクリスチャン・スコットと共演し、ポストモダン・ジュークボックスにも参加している逸材。ギターのアレックス・シルは期待の若手。

サイモン・フィリップスは、今年で65歳。もうレジェンド級のドラマーなのだが、この新盤の音世界はとことん「尖っている」。まず、ギターのアレックス・シルの、とにかくプログレッシヴ・ロックっぽく、ハードでほどよく捻れたクロスオーバー風のエレギが「尖っている」。

同じフロントを担う、ジェイコブ・セスニーのサックスも、プログレッシヴ・ロックっぽく、ハードで捻れたクロスオーバー風のサックスが「尖っている」。ルイーズのキーボードは、しっかりと「クロスオーバー・ジャズ」に軸足をしっかり置いた、ジャジーなもの。決して、プログレッシヴ・ロック志向では無い。

そんなエレギとサックス、キーボードをサイモン・フィリップスのドラムが鼓舞し、リードする。サイモン・フィリップスのドラムはジャズロック。ジャジーでロックっぽい。フィリップスのドラムがジャジーになると、演奏全体はクロスオーバー志向となり、フィリップスのドラムがロックになると、演奏全体はロック志向になる。演奏全体をフィリップスのドラムがコントロールしているのが良く判る。

さすが、サイモン・フィリップスは、英国ロンドン出身のドラマー。この『Protocol V』の音は、プログレッシヴ・ロックとクロスオーバー・ジャズとの境界が曖昧な英国ジャズロックの音世界そのものであり、それがこの「プロトコル」の最大の個性。僕はこの音世界が意外と気に入っていて、意外とこの『Protocol V』、緩やかなヘビロテ盤になっている。
 
 

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2022年5月10日 (火曜日)

モントルーのマクラフリン集です

昨日、ジョン・マクラフリンのアルバムについて語った訳だが、ちょうど、もう一枚、マクラフリン関連のライヴ盤があることに気がついた。しかし、マクラフリンは、1942年生まれなので、今年で80歳の大台に乗る。21世紀に入ってからも、過激でダイナミックで尖ったエレギの「トップ集団」をキープしているのは凄い。

John McLaughlin & The Mahavishnu Orchestra『John McLaughlin: The Montreux Years』(写真左)。1984~2016年 歴代モントルー・ジャズ・フェスティヴァル出演時のライヴ音源を収録したベスト盤的内容。1984年のマハヴィシュヌ・オーケストラを率いての演奏から、1987年のパコ・デ・ルシアとのライヴ、そして新しい所では 2016年のフォース・ディメンションを率いてのライヴまでが収録されている。

マクラフリン自らが、膨大なライヴ音源の中から、選曲と編集を手掛けているらしく、演奏内容はどの曲もピカイチ。マクラフリン本人のエレギ・アコギはもとより、共演者のパフォーマンスもピカイチ。どの演奏も「どれだけ凄い人選をしてるん」と呆れるほどの、エモーショナルでダイナミックで尖り具合である。いかに、モントルー・ジャズ・フェスでの演奏は内容が濃かったか、である。
 

John-mclaughlin_the-montreux-years

 
マハヴィシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオ、ファイヴ・ピース・バンドなどの、その時代毎の先端を行くグループやユニットで活躍してきたマクラフリンだが、このモントルー・ライヴを聴いていると、これだけ個性の強いギターでありながら、バンドや共演者が異なれば、個性のベースはそのままに、しっかりとそのバンドの目指す音世界や共演者と目指す音世界に合わせて「音や弾き方」を微妙に変えているのには感心する。

特に「マハヴィシュヌ・オーケストラ」名義の演奏は、1970年代、一世を風靡したマハヴィシュヌでのエレギの音を忠実に再現している、というか、テクニック的に深化しているのが凄い。パコ・デ・ルシアとの共演では、あの「スーパー・ギター・トリオ」の時と同じ、アコギの音がブワーッと広がって、「ああ、これこれ、この音」と懐かしく思い出される。エレギ、アコギの音を聴いて、その時のバンドや共演者がすぐに浮かぶって、やっぱり凄い。

マクラフリンのギターの歴史を、モントルーのライヴ音源で振り返るって、やっぱり良い企画ですね。音もかなり良いし、演奏内容は充実してる、で聴き応え十分。やっぱり、マクラフリンって凄いな、って改めて思いました。脱帽です。
 
 

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2022年5月 7日 (土曜日)

ホールズワースの最高傑作です

現代においても、ジャズ・ギタリストには従来の伝統的なモダン・ジャズギター系と、クロスオーバー・ジャズより生まれ出でて発展した、クロスオーバー&フュージョン系のギターと2通りのスタイルに分かれる。どちらのスタイルも順調に深化を続けていて、有望な後継者もしっかりと出現していて頼もしい限りだ。

Allan Holdsworth『I.O.U.』(写真)。1979年の録音。1982年のリリース。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g, vln), Paul Williams (vo), Gary Husband (ds, p), Paul Carmichael (b)。借金までして自主制作した初ソロ・リーダー作。ハードで心地良く捻れて、ウネウネ・フレーズを擁して訴求力抜群なホールスワースのエレギが心ゆくまで堪能出来る。

この盤がアラン・ホールズワースの正式なソロ・デビュー盤になる。この『I.O.U.』の前に、CTIにて録音した『Velvet Darkness』があるが、ホールズワースは「この録音はリハーサル・テイクで、正式にリリースを許可した覚えは無い」ということで、自身のリーダー作として認めていない。
 
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確かに『Velvet Darkness』は荒削りな内容になっているので、それは「そういう理由やったんや」と思わず納得した。極的には『Velvet Darkness』は、ホールズワースとして納得いくものだった様で、よく聴けば、多くのトラックが、この『I.O.U.』に、より洗練され、完成度を上げて収録されていることが判る。とにかく、ホールズワースの初ソロ・リーダー作であり、かつ最高傑作の誉れ高い名盤である。

自身がもてるテクニックをふんだんに盛り込みつつ、しっかりとアレンジされた、ストイックでクールな演奏は、初リーダー作とはいえ、かなりのレベルにある。ホールズワースのエレギは、アームを駆使した捻れフレーズに、独特で流麗なレガート奏法をメインにバリバリ弾きまくっていて爽快。英国のプログレ・バンドを渡り歩いただけあって、基本はプログレ風、そこにジャジーな要素が加わるユニークな「ジャズロック」風フュージョン・ギターで、実に個性的。

バックのベース、ドラムのリズム隊も、ホールズワースのハードなエレギにしっかり耐え、なかなか迫力あるリズム&ビートを供給している。トリオでこれだけ迫力のある音が出せるなんて、凄いなあ。迫力だけじゃ無い、テクニックも優秀、歌心もあって、申し分の無いクロスオーバー&フュージョン系のエレギを聴くことが出来る。ホールズワースの才能の全てを感じ取る事ができる「ホールズワース入門」盤としても、なかなかイケる盤である。
 
 

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2022年4月13日 (水曜日)

エレ・マイルス発祥のアルバム

マイルス・デイヴィス(MIles Davis)は、ジャズを聴き始めた時からの「僕のアイドル」。特に、エレクトリック・マイルスの音世界は大好き。振り返ってみると、マイルスの主要な名盤については、当ブログで約10年から15年前に記事が集中していて、今、読み返すと、言葉足らずや表現足らず、情報足らずの部分が多々あるので、今回、補訂再掲することにした。まずは「エレ・マイルス」から。

MIles Davis『Miles in The Sky』(写真)。1968年1月16日、5月15–17日の録音。パーソネルは、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), George Benson (g), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。後に、あのソフト&メロウな歌うジャズ・ギタリストとして一世を風靡したジョージ・ベンソンが、マイルス・バンド初のエレクトリック・ギタリストとして採用されている。

さて、この『Miles in The Sky』は、マイルスが初めて電気楽器を導入したアルバム。つまりは、エレ・マイルス発祥のアルバムである。8ビートを積極的に採用したアルバムでもある。いわゆる「4ビートからの脱却」。この『Miles in The Sky』は、マイルスの電化、そして、8ビート化のアルバムとした方が座りが良い。

冒頭の「Stuff」。1968年5月17日の録音。この「Stuff」が、マイルス初の8ビート・ナンバー。とてもシンプルな8ビートで、今の耳には凄く判り易い。この8ビート・ナンバーは、Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds) という、マイルスの60年代黄金のクインテットでのエレ・マイルスな演奏。

ロン・カーターがエレクトリック・ベースを、ハービー・ハンコックがフェンダー・ローズを使用させられてのエレ・マイルス対応。初めてのエレ楽器に、意外と苦戦している様子が聴いてとれる。どう聴いても「確信」を持って弾いているとは思えない、ちょっと恐る恐る演奏している風情。微笑ましいといえば微笑ましい。

逆に、トニー・ウィリアムスだけが喜々として叩きまくっている。8ビートという新しく魅惑的な課題を与えられて、単に8ビートを刻むだけで無い、ビートの間に様々なパターンのフィル・インを小まめに挟んで、淡々としたクールなシンバル・ワークで絶妙なビートを叩き出していきながら、様々なバリエーションの8ビートを叩き出している。これが凄い。今の耳にも「聴いたことの無い」8ビートなドラミング。
 

Miles_in_the_sky
 

そこに、マイルスとショーターが自由にモーダルなフレーズを紡いでいく。基本のリズム&ビートの反復によるグルーヴ感が醸成され、供給する8ビートが単純でクールな分、エレクトリック・ジャズのファンキーでエモーショナルなグルーヴ感が判り易い。

2曲目の「Paraphernalia」が面白い。エレクトリック・ギターの入ったセッションであるが、エレクトリック・ギターの参入の効果、いわゆる「エレクトリック・ジャズ」の雰囲気はほとんど感じられない。この盤以前の「モーダルで限りなく自由度の高いメインストリーム・ジャズ」が展開されている。ただし、エレギのカッティングの音は印象的であり、クールである。

他の曲「Black Comedy」や「Country Son」は『Miles Smiles』や『Nefertiti』の延長線上の演奏ばかりだが、8ビートの採用とトニーのグルーヴ感溢れる変幻自在な8ビートが効果的に作用して、このモーダルな演奏の雰囲気は、エレクトリックな「ジャズ・ロック」。

といって、コマーシャルで売れ線を狙ったジャズ・ロックとは違って、その演奏内容は硬派で秀逸。マイルスの60年代黄金のクインテットの面目躍如。マイルスのブロウは自由度が高く、凄まじいばかりの切れ味。トニーのドラミングは自由奔放、ショーターはほとんどフリーだし、ハービーは実にクールな響きのバッキングが個性的だし、ロンのベースはいつになく攻撃的。

エレ・マイルス発祥のアルバムである『Miles in The Sky』。我々エレ・マイルス者にとっては、冒頭の「Stuff」は絶対に外せない。そして、ジョージ・ベンソンの参入は不発には終わったが、この盤のベンソンのエレギの響きは今でも新鮮に響く。よって、続く2曲目の「Paraphernalia」の存在も、エレ・マイルス者にとっては外せない。

ジャケット・デザインも秀逸。「名は体を表す」というが「ジャケットは内容を表す」である。アコ・マイルスからエレ・マイルスへの過渡期ならでは「中途半端さ」が、エレ・マイルスの骨格を浮かび上がらせている。なかなか聴いていて興味深い、エレ・マイルスを理解する上では必須のアルバムである。
 
 

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2022年3月31日 (木曜日)

ユッコの『Colorful Drops』

jazzLife誌の「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を読んでいて、久し振りに「ユッコ・ミラー」の名前に出会った。当音楽喫茶『松和』でも、2019年10月27日の記事で、この人の3rdアルバムを取り上げたことを思い出した。

このサックス奏者が出てきた時は、「我が国もここまできたか」とビックリするやら嬉しいやら。キャンディー・ダルファーを知った時、「ジャズもここまできたか」とビックリしたのだが、このユッコ・ミラー、和製キャンディー・ダルファーと形容するのがピッタリな、コンテンポラリーなジャズ・ロック&ジャズ・ファンクを得意としている。

そもそも「ユッコ・ミラー」とは何者か、である。エリック・マリエンサル、川嶋哲郎、河田健に師事。19歳でプロデビュー。 2016年9月、キングレコードからファーストアルバム「YUCCO MILLER」を発表し、メジャーデビュー。「サックスYouTuber」としても爆発的な人気を誇る、実力派サックス奏者である。確かに、彼女のサックスは正統派なもの。テクニックもブロウも確かなもの。決して、ヴィジュアル指向ではない。

ユッコ・ミラー(Yucco Miller)『Colorful Drops』(写真左)。2021年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、ユッコ・ミラー (as, ss, vo, ewi), 岡聡志 (g), 半田彬倫 (key, vln, program), 須藤満, 岡田治郎 (b), 則竹裕之, 渡邊シン (ds)。ユッコ・ミラーの 4thアルバムである。ジャケットを見て引いてはいけない。正統派な、現代のジャズ・ロックとジャズ・ファンクがギッシリと詰まっている好盤である。
 

Colorful-drops_yucco-miller

 
冒頭のジャズ・ファンク「Smoky Light」を聴けば、ユッコ・ミラーは素姓確かなサックス奏者であることが良く判る。続く「New Experience」はアップテンポの難曲なのだが、ユッコ・ミラーは元気一杯の明るいブロウを披露する。これが実に良い。3曲目のスローなファンク・チューン「Be Myself」では、大らかな吹き回しの中に、そこはかとなく漂う哀愁感に耳が引かれる。

ユッコ・ミラーのサックスは、音がしっかり出て淀みが無い。速いフレーズは流麗に、ゆったりしたフレーズは情感豊かに吹き上げる。聴いていて耳に付かない、聴き心地の良い音はしっかりと印象に残る。ジャズ・ファンクの中にそこはかとなく漂う「マイナーな哀愁感」は、ユッコ・ミラー独特の個性。僕は「日本人らしいなあ」としみじみと聴いた。

6曲目の「Stream」のユッコと半田のピアノとのデュエットも哀愁メロディー・オンリーで訴求し、8曲目のジャズ・スタンダード曲「Fly Me to the Moon」のボサノバ基調のカヴァーも秀逸。ユッコのボーカルも味があって良い。

先に書いたが「ジャケットを見て引いてはいけない」。正統派な、現代のジャズ・ロックとジャズ・ファンクがギッシリと詰まっている好盤である。フュージョン・ジャズ者の方々には一聴をお勧めしたい盤ですね。
 
 

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2022年3月11日 (金曜日)

増尾好秋『Masuo Live』を聴く

最近、増尾好秋のリーダー作をちょくちょく聴いている。増尾好秋といえば、僕はジャズを本格的に聴き始めた頃、1970年代後半では、既に、日本発、世界に通用するフュージョン・ギタリストとして、渡辺香津美と並んで我が国では「人気ギタリスト」的な存在だった。

増尾はコンテンポラリーな純ジャズ志向のジャズ・ギターから入っている。とあるコンテストにて、渡辺貞夫に認められ、1968年1月、渡辺貞夫のバック・ギタリストとして初レコーディングを経験している。ソニー・ロリンズのバック・バンドにパーマネント・メンバーとしても活動。

しかし、1970年代後半には、キングレコード傘下のフュージョン・レーベル、エレクトリック・バードの第一号アーティストとして契約。1980年代前半までは、フュージョンのギタリストとして人気を博した。1990年代辺りから、コンテンポラリーな純ジャズ志向な音世界に戻ったが、1980年代後半以降、しばらくプロデューサー業に集中していた。

この「プロデューサー業」に集中していた時期、特に1990年代から2008年までが良く無かったのか、2010年代は増尾はミュージシャン活動に100%戻っているが、世間では「増尾って誰?」という感じで、ベテラン・ジャズ者の方々の中には「ああ、増尾って、明るくハッピーなエレギを弾くフュージョン野郎ね」などと、偏った意見を述べたりする方もいるから困ったものだ。
 

Masuo-live_1

 
増尾好秋『Masuo Live』(写真)。1980年2月9日、東京厚生年金会館でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Yoshiaki Masuo, Motoaki Masuo (el-g), Victor Bruce Godsey (el-p, org), T.M. Stevens (el-b), Robbie Gonzales (ds), Shirley (perc, syn)。

フュージョン時代の増尾好秋のライヴ盤であるが、この内容を聴けば、先の「明るくハッピーなエレギを弾くフュージョン野郎ね」は、ちょっと的外れな評価と言わざるを得ない。凄くパワフルで疾走感溢れる、ガッツリ硬派でノリノリ、とびきりハイテクニックなエレギにビックリする。

これが増尾のエレギの本質かぁ、と心から感心する。ライヴでこそ、そのジャズマンの真価が分かる、というが、このライヴ盤の増尾がその好例である。「ソフト&メロウ」なフュージョン野郎はこのライヴにはいない。ガッツリ硬派でとことんパワフルなエレギであるが、弾きまくるフレーズに「歌心」がしっかり宿っているのが素晴らしい。

バックのメンバーも凄い。まず、T.M.スティーブンスのチョッパー・ベース(スラップ奏法)が冒頭から飛ばしまくる。ロビー・ゴンザレスのドラムも凄い。疾走感溢れる叩きまくり。それでいて五月蠅くない。ビクター・ブルース・ガッジーのキーボードも良い。全く「ソフト&メロウ」では無い、疾走感溢れ、歌心満載、増尾のエレギに挑みかかるような、意欲的なキーボード。

このライヴ盤、フュージョン・ジャズという切り口でのみ解釈するのには無理がある。途中、無調で静的なフリー・インプロビゼーションがあったり、アブストラクトにブレイクダウンしたりで、従来のメインストリーム系のエレ・ジャズが持つ要素も兼ね備えていて、このライヴ盤は、どちらかと言えば「コンテンポラリーな純ジャズ」志向のフュージョンと解釈した方が良い、と僕は思う。
 
 

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2022年2月23日 (水曜日)

TRIXの「アニソン」カヴァー盤

以前から思うんだが、1970年代以降のポップス曲などで、ジャズの新しいスタンダード曲になるものが、なかなか出てこない。ジャズやフュージョンでカヴァーはされるんだが、アレンジがチープで、それ軽音楽やん、ってツッコミたくなるような、平凡な演奏が多くて、そのまま21世紀に突入してはや20年。

AABAの形式ソングが、ジャズ・スタンダードになり易いかと思うんだが、確かに、1970年代以降のJポップの曲は、ちょっと複雑な形式の曲が多くて、ジャズ・スタンダードになりにくい。加えて、一番の問題はアレンジだと思う。カヴァー元の原曲の著名なメロディーにこだわるあまり、1曲まるまる、フロンド楽器にそのメロディーを忠実に演奏させてしまうので、全く以て「軽音楽」な演奏になって、おおよそ、ジャズやフュージョンにはならないことが多かった。

TRIX『CoverX』(写真左)。ちなみにパーソネルは、熊谷徳明 (ds), 須藤満 (b), 佐々木秀尚 (g) に、スペシャルサポートとして、宇都圭輝 (key) が加わる4人編成。結成以来、オリジナル曲をメインに演奏してきたTRIXの初のオール・カヴァー・アルバムになる。しかも、なんと「アニソン」をカヴァーしているのだ。その収録曲は以下の通り。

01. ルパン三世のテーマ‘78 (TVアニメ「ルパン三世」オープニング・テーマ)
02. 廻廻奇譚(TVアニメ「呪術廻戦」第1クールOPテーマ)
03. 残酷な天使のテーゼ(TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」OPテーマ)
04. となりのトトロ(映画「となりのトトロ」エンディング・テーマ)
05. はじめてのチュウ(TVアニメ「キテレツ大百科」主題歌)
06. ウィーアー!(TVアニメ「ワンピース」OPテーマ)
07. Cagayake! GIRLS(TVアニメ「けいおん!」OPテーマ)
08. 摩訶不思議アドベンチャー!(TVアニメ「ドラゴンボール」OPテーマ)
09. CHA-LA HEAD-CHA-LA(TVアニメ「ドラゴンボールZ」OPテーマ)
10. ようこそジャパリパークへ(TVアニメ「けものフレンズ」OPテーマ)
 

Coverx-trix

 
いやはや、選曲自体が実に良い。しかも、アレンジが抜群に良い。ちゃんとジャズしている。テーマが来て、テーマのコード進行に則った、楽器毎のアドリブ展開が来て、再びテーマが来て終わる。そんなジャズとして、基本的な演奏展開がしっかりとアレンジされている。つまり、アニソンをカヴァーしているのだが、フュージョン・ジャズの演奏として聴いていても、違和感が全く無い。

そんな優れたアレンジを基に、テクニック抜群のTRIXのメンバーが演奏しまくるのだから、どの曲も聴いていて爽快感抜群。カヴァー元の原曲の著名なメロディーを弾くにしても、一捻りも二捻りした魅惑のフレーズを捻りだし、元曲のメロディーに新しい彩りを添えているところがニクい。盤全体を聴き終えて「スカッ」とする。Jポップ曲のフュージョン系のカヴァーは、軽音楽風になってしまって「あ〜あ」と残念に思う演奏が多かったのだが、今回のこのTRIXのアニソン・カヴァーは違う。

ジャズ&フュージョンの新たなスタンダード曲化の切り口に「アニソン」がある、というのは「目から鱗」であった。確かにイケそう。メロディーもいろいろアレンジ出来そうだし、可能性はまだまだある。とにかく、この企画盤は面白い。この盤を聴いて「元歌へのリスペクトが感じられない」というのなら、元歌だけを聴いておけばよろしい、かと思う。
 
 
 
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2021年12月14日 (火曜日)

ユニークな英国のジャズロック

欧州ジャズと一派一絡げに言うが、欧州大陸とグレートブリテン島(英国)では、ジャズに対する考え方が違う。特に英国は独特である。ジャズと言えば「ビ・バップ」か「ハードバップ」。ハードバップから派生した、大衆ウケを狙ったファンキー・ジャズや、音楽として捉えるのに無理が伴うフリー・ジャズ、電気楽器を駆使したエレ・ジャズなどは、ジャズでは無い、と言い切る。

それでも英国にはジャズロックの痕跡は残っている。ロック畑のミュージシャンがジャズをやる、というアプローチ。高いテクニックが伴うので、そうそう現れ出でることは無かったが、プログレッシヴ・ロックのミュージシャンを中心に、ジャズロックへのアプローチが見られる。バンドとしては、Brand X, Soft Machine, Bill Bruford's Earthworks の3つが代表格。というか、この3つしかない(と思われる)。

Brand X『Morroccan Roll』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、John Goodsall (g), Robin Lumley (key), Percy Jones (b), Phil Collins (ds), Morris Pert (perc)。英国の数少ないジャズロック・バンド、ブランドXのセカンド盤。ドラムには、プログレバンド、ジェネシスのドラマー、フィル・コリンズが担当している。
 

Morroccan-roll

 
演奏を聴いてみて思うのは、これは「プログレッシヴ・ロック」では無い。リズム&ビートからジャズロックである。が、英国出身ということもあってか、ファンクネスは皆無。ジャジーな雰囲気もほとんど無く、インスト・メインの音作りからすると「プログレ」と判断されても仕方が無い。しかし、これは「クロスオーバーなジャズロック」である。

バカテクで疾走感溢れるインストはファースト盤『Unorthodox Behaviour』と変わらないが、このセカンド盤の方が、演奏自体が少しユッタリしていて、アドリブ展開にも余裕が感じられる。音的にも、タイトルからも想像出来る様に「エスニック」もしくは「アラビアン」な音の要素が散りばめられていて、音的にクロスオーバーな展開がこのセカンド盤の特徴。

まず、欧州大陸にはまず無い「ジャズロック」が、グレートブリテン島にはあった。英国にて突然変異的に現れたプログレが引き金だとは思うが、英国の「ジャズロック」はユニークだ。特にこのブランドXはロック色が強い。しかし、リズム&ビートは「ジャズロック」。何とも音志向の判断に戸惑う、英国の「ジャズロック」である。
 
 
 
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2021年11月21日 (日曜日)

ヴィーナスの硬派な純ジャズ・1

ヴィーナス・レコードは、硬派なジャズ者の方々から、どうにも評判が悪い。「昔の名前で出ています」的アプローチで、1950年代から1960年代に活躍したベテラン級のジャズマンをスカウトして、当時、絶対しかなったであろうスタンダード曲をハードバップ風に演奏させたりするから、「金の力で、ベテラン級ジャズマンにスタンダード曲を演奏させる」と硬派なジャズ者の方々はカンカン(笑)。

本当のところはそうでは無かった様ですが。それでも、確かに、このジャズマンがどうして今、スタンダード曲でハードバップをやるのか、という盤もあるにはありました。しかし、しっかりとしたコンテンポラリーな純ジャズ風の、内容の確かな盤も結構あるんですよね。そういう面については、ヴィーナス・レコードについても評価してあげないと、と思っています。

Lonnie Smith Trio『Foxy Lady - Tribute To Jimi Hendrix』(写真左)。1994年3月19日、NYの「Sound Designer Studio」での録音。ヴィーナス・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Lonnie Smith (org), John Abercrombie (e-g), Marvin "Smitty" Smith (ds)。早逝の天才ロック・ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス(ジミヘンと略)の曲を題材にした「トリビュート盤」。
 

Foxy-lady

 
ロニー・スミス(写真右)のオルガンは「アグレッシヴでプログレッシヴ」。ファンキーでポップな「甘い」要素はほとんど無い。そんなロニーが、ロックギタリストとして最も「アグレッシヴでプログレッシヴ」なジミヘンの楽曲をカヴァーする。誰の発想なのか判りませんが、なかなかの企画だと思うんですね。しかも、相棒となるギタリストが「アグレッシヴでプログレッシヴ」なジャズ・ギタリストのアバークロンビー。ドラムが「アグレッシヴでプログレッシヴ」なドラマー、スミッティースミス。

このトリオ編成を思い立った人って凄いと思う。ジミヘンのカヴァー演奏に最適なトリオ編成。ジミヘンの楽曲が持つ「アグレッシヴでプログレッシヴ」そして「サイケデリック」な響きを上手く、ジャズ演奏の中で表現していて感心することしきり。しかも、しっかりコンテンポラリーなジャズしていて、硬派なエレ・ジャズとしても秀逸な内容。思わず、これって、ヴィーナス・レコードからのリリースなの?、とレーベルを見直してしまう。

興味深いのは、ロニー、アバークロンビー、スミッティースミスのトリオ、そして、ジミヘンのカヴァー、と、とことん「アグレッシヴでプログレッシヴ」なんだが、ヴィーナス・レコードの深いエコーの録音と耽美的な音作りが、この「尖り」を、ちょっとジェントルな「尖り」にしていて、最終的に聴き易いレベルでの「尖ったコンテンポラリーなエレ・ジャズ」に落ち着いているところ。トリオの個性とレーベルの個性のマッチング良好な佳作である。
 
 
 
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