2021年11月 2日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・9

マイルス・デイヴィスは僕のジャズの「最大のアイドル」である。マイルスの足跡、イコール、ビ・バップ以降のジャズの歴史でもある。ジャズの演奏スタイルについては、揺るぎない「信念」があった。フリー、スピリチュアル、フュージョンには絶対に手を出さない。マイルスはアコースティックであれ、エレクトリックであれ、いつの時代も、メインストリームな純ジャズだけを追求していた。

Miles Davis Quintet『The Legendary Prestige Quintet Sessions』(写真左)。1955年11月16日(The New Miles Davis Quintet)と1956年5月11日、10月26日(マラソン・セッション)の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane(ts), Red Garland (p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) 。

マイルス・デイヴィス・クインテットのマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』と、デビュー盤『The New Miles Davis Quintet』のプレスティッジ・レーベルに残したスタジオ録音の音源を録音順に並べたもの(と思われる)と、NYのBasin Streetでのライヴ音源(1955年10月18日)と フィラデルフィアのライヴ音源(1956年12月8日)を収録。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源が録音順に並んでいる(と思われる)のが、この企画ボックス盤の良いところ。マラソン・セッションの録音の流れとスタジオの雰囲気が追体験出来るようだ。4部作は、プレスティッジお得意の仕業、アルバム毎の収録曲については、曲と演奏の雰囲気だけで、てんでバラバラにLPに詰め込んでいる。アルバムとしては良いのだろうが、録音時期がバラバラなのはちょっと違和感が残る。
 

The-legendary-prestige-quintet-sessions_

 
さて、このマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源は、CBSからリリースされた『'Round About Midnight』と併せて、「マイルスの考えるハードバップ」の完成形である。全てが一発録り、アレンジは既に用意されていたようで、それまでに、ライブ・セッションで演奏し尽くしていた曲ばかりなのだろう。

今の耳で聴いても、相当にレベルの高い演奏である。即興演奏を旨とするジャズとしては、この一発録りが最良。マイルスはそれを十分に理解して、このマラソン・セッションを敢行したと思われる。細かいことは割愛するが、一言で言うと「非の打ち所」の無い、珠玉のハードバップな演奏である。これぞジャズ、という演奏の数々。素晴らしい。

1955年10月から1956年12月に渡って、録音順に並んだ音源集なので、振り返ってみるとたった1年2ヶ月の短期間だが、マイルス・デイヴィス・クインテットのバンドとしての成熟度合いと、コルトレーンの成長度合いが良く判る。

バンド・サウンドとしてはもともとレベルの高いところからスタートしているが、段階的に深化、成熟していくのが良く判る。コルトレーンについては、たった1年2ヶ月であるが、最初と最後では全く別人といって良いほどの「ジャイアント・ステップ」である。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』をアルバム毎に分けて聴くも良し、録音順に追体験風に聴くも良し、これら「マイルスの考えるハードバップ」の完成形は、ジャズとして「欠くべからざる」音源である。ジャズ者としては、絶対に聴いておかなければならない音源である。
 
 
 
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【New】 2021.08.11 更新。

  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2021.08.11 更新。

  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2021.08.11 更新。

  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から10年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 

2021年2月20日 (土曜日)

ハートマンの歌唱が素晴らしい

ジャズの男性ボーカルは、フランク・シナトラ、メル・トーメ、ナット・キング・コールが専らの「お気に入り」。他のボーカリストについてはあまり聴かない、というか、他にメジャー・な存在がほとんどいないといえばいない。よって、この盤も最初は共演パートナーに惹かれてゲットした盤ではある。

『John Coltrane and Johnny Hartman』(写真左)。1963年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Hartman (vo), John Coltrane (ts), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)。ジョン・コルトレーンの「伝説のカルテット」に、ボーカルのジョニー・ハートマンが客演したイメージの共演盤である。

ジョニー・ハートマンは、1923年7月、米国ルイジアナ州生まれのジャズ・ボーカリスト。アール・ハインズ、エロル・ガーナーとの共演で頭角を現し、カントリーなどにも適応するが、メインはジャズ・ボーカル。この共演盤を録音した時点で40歳。ボーカリストとして油の乗りきった中堅でのパフォーマンスである。
 
 
John-coltrane-and-johnny-hartman
 
 
コルトレーンにとっては、名盤『Ballads』と同じ系統のアルバムになる。激しいシーツ・オブ・サウンドやフリーなブロウを封印し、内省的で耽美的でスローなブロウをメインに据えたパフォーマンスに終始している。この盤でのコルトレーンは限りなく美しく唄う様にブロウし、ハートマンに対抗するようにブロウする。

ハートマンについてはマイペース。バックがコルトレーンの「伝説のカルテット」なのだが、全く緊張感も気負いも感じられない。ただただ自然体で、ハートマンの個性を振り撒いて唄い上げていく。この盤でのハートマンの唄いっぷりは素晴らしく、聴き惚れるばかり。特に緩やかなバラードの歌唱は素晴らしい。

この盤、コルトレーンのテナーにばかり話題が集中するが、どうして、この盤はハートマンのバラードの歌唱が頭1つ抜きんでている。どうも、コルトレーンの「伝説のカルテット」は歌伴は似合わない。エルヴィンのドラムも不完全燃焼っぽい。マッコイのピアノだけがなんとか上手くハートマンの伴奏をしているのが微笑ましい。
 
 
 
 《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて        
【更新しました】 2021.02.09 更新。
 
  ・『TOTO』(宇宙の騎士) 1977
 
 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2021.02.09 更新
 
  ・Yes Songs Side A & Side B
 
 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.02.09 更新。
 
  ・そしてタツローはメジャーになる
 
 
Matsuwa_billboard
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 
東日本大震災から9年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 

2020年12月24日 (木曜日)

プレスティッジ時代の最高傑作

プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンのリーダー作って、異なるセッションの寄せ集めであったり、他人名義にサイドマンとして参加した音源の再編成であったり、「訳あり」の盤が多いのだが、デビュー作の『Coltrane』とこの盤だけは違う。しっかりとコルトレーンのリーダー作であり、しっかりとコルトレーンのリーダーとしての「意志」が入っている。

John Coltrane『Soultrane』(写真左)。1958年2月7日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。レッド・ガーランドのピアノを核としたリズム・セクションをバックにした、コルトレーンのテナー一本、ワンホーン・カルテット編成である。

1958年の2月に録音して10月にはリリースされているので、プレスティッジ・レーベルとしては珍しい、コルトレーンのリーダー作の出し方である。しかも、1958年2月7日のセッションの演奏で固められ、曲順もしっかり吟味されている様に感じる。当時のコルトレーンのテナー・サックスの才能の全てが記録されていて、プレスティッジ時代のベスト的内容である。
 
 
Soultrane_20201224202301  
 
 
出だし冒頭のTadd Dameron作「Good Bait」が「良い」。コルトレーンの悠然としたテナーが「良い」。ロリンズとは異なる、ストレートでシュッとした大らかさが「良い」。続く「I Want to Talk About You」は、コルトレーンのバラード表現の完成形を聴く様だ。バックを締めるガーランド・トリオが、これまた良い味を出している。右手シングルトーン、左手ブロックコードのシンプルなガーランドのピアノがコルトレーンのテナーに実に合う。

LPのB面に回って「"You Say You Care」のストレートな吹き回し、「Theme for Ernie」のスローな吹き回しも絶妙。そして、ラストの「Russian Lullaby」で、コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」が炸裂する。高速電光石火の「ロシアの子守唄」。高速でありながら、原曲の良きフレーズをしっかり浮き出させている「シーツ・オブ・サウンド」恐るべし、である。

このプレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作は「白眉の出来」。1958年2月7日時点のコルトレーンの最高のパフォーマンスがこの盤にしっかりと記録されている。曲の並びも良いし、シンプルなデザインのジャケットもプレスティッジとしては上の部類。このプレスティッジのコルトレーンは間違い無く「買い」である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.12.08 更新。

  ・ジョン・レノンの40回目の命日

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2020年12月23日 (水曜日)

コルトレーンの「扱いに困る」盤

プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作とされる盤の中には、リーダー作で無いのもある。アトランティックへ移籍後、爆発的に人気の出たコルトレーン。リーダー作として出す盤出す盤、結構、売れたらしい。そこで、プレスティッジ・レーベル、既に別人名義のコルトレーンの参加したセッションの音源を再編成して、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースする暴挙に出た。

John Coltrane『Dakar』(写真左)。1957年4月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Cecil Payne, Pepper Adams (bs), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。録音日を見ただけでは、プレスティッジ・レーベルには珍しく単一日のセッションで固めたコルトレーンのリーダー作みたいに見える。が、これが違うんだから、プレスティッジの暴挙には困惑する。

実はこの盤、コルトレーンがサイドマンとして参加した、既リリースの別人名義のセッションの音源を再編成、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースした「パチモン」盤である。1957年の4月、18日から20日にかけて3日間連続で「The Prestige All Stars」または「Mal Waldron Sextet」のサイドマンとして、としてプレスティッジに録音。この『Dakar』は、この3日連続録音の最終日の4月20日「The Prestige All Stars」名義のセッションを再編成したもの。
 
 
Darkar_john-coltrane  
 
 
しかも録音時の記録を見ると、1957年4月20日の「The Prestige All Stars」名義のセッションを「まるっと」そのまま、録音順に並べただけ。レーベルのプロデューサーとして何も考えずに、ただLPのA面B面に「まるっと」入る長さの演奏なので、思わず、偽りの「コルトレーン名義」盤として出しちゃいました、というイージーで罪作りな盤である。よって、この盤は正しくは「コルトレーン名義」のリーダー作ではない。

1957年に録音され「The Prestige All Stars」名義でリリースされた時は、セシル・ペインとペッパー・アダムスの2本のバリサクを「ウリ」にしたアルバム。バリサク2本+テナー1本の3管フロントはユニークだが、惜しむらくはアレンジ、アドリブともに、ちょっと定型的で創造性に欠けるきらいがある。先が読めちゃうので飽きが来るのだ。ただ、バリサク2本の音の迫力は凄い。バリサクの音を浴びる様に聴きたい時には最適な盤の一枚ではある。

この盤の全体の印象は、コルトレーンがメインというよりは、2本のバリトン・サックスが主軸のジャム・セッション、重厚なハードバップ演奏。コルトレーンのプレイを聴いても、コルトレーンの個性は確認出来るが、中途半端で中程度の出来。特別にコルトレーンを聴くアルバムでは無いだろう。ジャケ・デザインも適当。まったく、プレスティッジ・レーベルの暴挙には困ったものである。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.12.08 更新。

  ・ジョン・レノンの40回目の命日

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2020年12月15日 (火曜日)

John Coltrane『The Believer』

プレスティッジ・レーベルにおける「ジョン・コルトレーン」のリーダー作は、複数セッションの寄せ集め編集盤が多くて困る。しかも、リリース年が録音年よりかなり離れていたりする。コルトレーンは大人気のテナー・マンだっただけに、所有する音源を小出しに小出しにリリースして、金儲けに走ったようである。プレスティッジの総帥、ボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)は「せこい」(笑)。

小出し小出しにリリースするのは仕方が無いとして、様々な複数セッションから切り出して、寄せ集め編集して1つのアルバムとしてリリースするのには閉口する。そもそも「寄せ集め」のコンセプトが全く判らない。ウェインストックはプロデューサーとしての才能は全く無かったとみえる。プレスティッジ時代のコルトレーンは、彼のテナー・マンとしての進歩が「日進月歩」だっただけに、寄せ集め盤については、コルトレーンの演奏内容について違和感が付きまとうものが多いから困る。

John Coltrane『The Believer』(写真左)。 1964年4月のリリース。1964年4月のコルトレーンと言えば、インパルス・レーベルからの『Live at Birdland』のリリースと同時期。そんな時期にプレスティッジ・レーベルから、1957年から1958年録音の寄せ集め盤がリリースされた。その寄せ集め状況は以下の通り。

まずは、1957年12月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Ray Draper (tuba), Gil Coggins (p), Spanky DeBrest (b), Larry Richie (ds)。演奏曲は、4曲目「Filidé」と5曲目「Paul's Pal」。

チューバのレイ・ドレイパーとの2管フロントのクインテット。もともとチューバでジャズをやるのには無理がある。少し速い演奏になると、運指と息がついていけない。ドレイパーのソロはチューバがゆえ、健闘はしているのだが「たどたどしい」ソロがとても悩ましい。リズム・セクションは無名に近いメンバー。普通レベルのサポートに終始している。

コルトレーンだけがまともに吹いているが、周りのメンバーがこのレベルなので、コルトレーンとしても「普通の演奏」に留まっている。この2曲については、あまり聴きどころは無い。この盤は1964年のリリース。この頃には、もうコルトレーン絡みの音源は底をついていたのかもしれない。
 
 
The-believer  
  
 
次は、1958年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。演奏曲は、1曲目「The Believer」と2曲目「Nakatini Serenade」。

この2曲の演奏が一番充実している。トランペットのドナルド・バードとの2管フロントのクインテット。このセッションでのバードのトランペットが活き活きしていて、アドリブ・フレーズも迫力がある。当然、コルトレーンもこのトランペットに触発されて、素晴らしいブロウを繰り広げる。

シーツ・オブ・サウンドの原型らしき、高速アドリブ・フレーズも連発。この時期のベスト・プレイが展開される。ガーランドのピアノを核とするリズム・セクションも申し分無い。右手のシングルトーンが魅力のガーランドも何時になく、熱いソロを聴かせている。

最後に、1958年12月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Freddie Hubbard (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。演奏曲は、3曲目「Do I Love You Because You're Beautiful?」。

トランペットとの2管フロント立てのクインテットは、1958年1月10日の録音と変わらないが、トランペットが若きフレディー・ハバードに代わっている。ハバードのトランペットは高度なテクニックをひけらかす様に、ウケ狙いのフレーズを連発してコルトレーンに対抗しているが、これが「チープで薄っぺら」な印象でいけない。完全にコルトレーンの引き立て役になってしまっている。やはり、自分の「個性と魂」を込めたフレーズで対抗しないとなあ。非常に上手いんだけどなあ。

逆に、コルトレーンのブロウは全く申し分無い。ハバードの「ウケ狙い」のプレイなど気にかけず、ほぼ完成されたバラード・プレイを披露している。

ということで、この寄せ集め盤、譲って冒頭からの3曲が聴きもの。チューバが入る4〜5曲目は平凡。それでも、1958年1月10日録音の、冒頭の2曲のコルトレーン・クインテットの演奏だけでも手に入れる価値はあると思料。プレスティッジ・レーベルも罪作りなことをしてくれたものである。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.12.08 更新。

  ・ジョン・レノンの40回目の命日

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2020年12月 9日 (水曜日)

コルトレーンの初リーダー作です

初期のコルトレーンが気になりだした。特に、プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンをもう一度、聴き直したい、という気持ちがフツフツと湧いてきた。調べてみると、当ブログで、プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作をしっかりレビューしていないことに気がついた。ということで、プレスティッジ時代のコルトレーンを聴き直して行くことにした。

John Coltrane『Coltrane』(写真左)。1957年5月31日の録音。この盤は同一日セッションの音源オンリーで、1957年10月にリリースされている。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Johnnie Splawn (tp), Sahib Shihab (bs), Red Garland (p on 1-3), Mal Waldron (p on 4-6), Paul Chambers (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。基本はフロント3管(テナー、トランペット、バリサク)に、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控える。

この盤がコルトレーンの初リーダー作とされる。それにしては、ちょっと狙いがボンヤリとした、とっ散らかったパーソネルで、これはプレスティッジ・レーベルお得意の「エイヤっでジャズマン集めて、誰かをリーダーにして、ジャム・セッション分の一発録り」だったのではないか。コルトレーンの個性と特性をよく理解して、その上で人選をしっかりする、というプロデューサー的な動きが読み取れない人選である。
  
 
Coltrane-album
 
 
それでも、この盤のコルトレーンのパフォーマンスは申し分無い。テクニック的にも安定し、速いフレーズにも破綻の無い、どっしりと落ち着いた安定感が光る。アドリブ・フレーズも当時としては新しいイメージの、イマージネーション溢れる優れたもの。コルトレーンのテナー・サックスの個性と特性はこの盤を聴くと良く判るが、既に確立されており、この個性と特性をベースに発展していくことになる。

この盤でのコルトレーンの特に優れた点は「バラードの表現力」。あちらこちらで語り尽くされている感があるが、この盤の2曲目「Violets for Your Furs(コートにすみれを)」のバラード表現は絶品である。コルトレーンのジャズ・テナーの表現力が非常に高いことを証明している。この時点でのコルトレーンのテナー・サックスの力量は他のテナー・マンと比べて、頭ひとつ飛び抜けている。

ここから、コルトレーンはジャズと共に進化していく訳だが、プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンはまだまだ「進化前」。真の「進化」は、アトランティック・レーベルに移籍後の『Giant Step』を待たねばならない。しかし、進化前のプレスティッジ・レーベル時代のリーダー作は、ハードバップを極めていく「ハードバップなコルトレーン」を十分に楽しめる。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 
 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.12.08 更新。

  ・ジョン・レノンの40回目の命日

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2020年11月20日 (金曜日)

「やっつけ録音」が大当たり

一昨日、昨日と里芋の収穫の為にブログをお休みしました。里芋の収穫、今年の夏の天候不順と酷暑で出来はイマイチでしたねえ。残念です。ついでに、畑のメンテナンス(収穫終了となった作物を抜いたり、雑草を刈り取ったり)も実施したので、一日が終わった後には、ブログを更新するエネルギーは残っていませんでした。

さて、プレスティッジ・レーベルである。手当たり次第に暇そうなジャズメンに声をかけ、スタジオで繰り広げるジャム・セッション〜リハーサル無しの一発勝負の録音。録音時期の整合性を無視した、フィーリングだけを頼りにした「寄せ集め的なアルバム編集」。ブルーノートとは正反対のレーベル運営。そんなプレスティッジだが、その「いい加減さ」が良い方向に作用したアルバムもあるから面白い。

Red Garland『All Mornin' Long』(写真左)。1957年11月15日、NYのVan Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), George Joyner (b), Art Taylor (ds)。ピアノのレッド・ガーランド名義のリーダー作となっているが、内容的にはリーダー無しの「ジャム・セッション」。たまたま、ガーランドがリーダーになっちゃんだろう。
 
 
All-mornin-long  
 
 
ワッとメンバーを集めて、ジャム・セッションを録音し、適当に編集してリリースする。プレスティッジのお得意の「仕業」なんだが、この盤はそれが良い方向に作用している。ネーム的にもベースだけがちょっと弱いが、他は錚々たるメンバー。そんな錚々たるメンバーが順番にソロを取って、自分の個性全開でパフォーマンスしているが、それがとても素晴らしい出来なのだ。

特にコルトレーンが良い。素晴らしいテクニックと併せて、これだけのびのびとハードバップなマナーでテナーを吹き上げているコルトレーンはなかなか聴けない。ドナルド・バードのトランペットも負けていない。ブリリアントなトランペットをテクニック宜しく吹き上げる。ガーランドの右手シングル・トーンも良いし、テイラーのドラミングも味が合って惚れ惚れする。

ワッとメンバーを集めて録音したら、それはそれは素晴らしい内容のジャム・セッションが録れちゃった、という感じの内容で、この日の音源はこの盤に収録された3曲以外に他に7曲ほどあるが、どれもが負けず劣らず素晴らしい内容。この日のジャム・セッションは何かが降りてきていたんじゃないか、と思われるくらいで、プレスティッジの「やっつけ録音」も大当たりすることがあるという好例である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて       
【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980
 
 ★ まだまだロックキッズ    【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。




東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 
 

2020年11月14日 (土曜日)

安らぎのコルトレーンならこれ

頭がヘトヘトに疲れたら、上手くリラックスできるジャズが欲しくなる。そんな時に選ぶのが、コルトレーンのプレスティッジ時代のアルバム。リラックスして聴ける、それでいてしっかりと耳に心地良い刺激を残してくれる、ハード・バップ時代のコルトレーンは「上手くリラックス出来る」ジャズだ。安らぎが欲しい時のコルトレーンは、絶対に「プレスティッジ時代」。

John Coltrane『Settin' the Pace』(写真右)。1958年3月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)。名作『Soultrane』の1ヵ月後に同じメンバーで吹き込まれたアルバムである。プレスティッジには珍しく、同一日、同一パーソネルで固めている。お得意の「寄せ集めアルバム」で無いことはなによりである。

この盤では「安らぎのコルトレーン」が心ゆくまで堪能出来る。とりわけ、冒頭の1曲目「I See Your Face Before Me」と、2曲目「If There Is Someone Lovelier Than You」が「安らぎ」の名演。特に、1曲目「I See Your Face Before Me」の、イントロの後に出てくるコルトレーンのテナー・サックスの音色は安らぎに満ちて、美しく、思わずため息をついてしまうほどのロマンティシズムに満ちている。
 
 
Settin-the-pace
 
 
これほどまでに、優しく安らぐコルトレーンのテナーはそうそう無いだろう。後のインパルス時代の好盤『バラード』での、あっさり気味で素朴な雰囲気のテナー・サックスとは全く異なる、しっかりと情感を込めた、力強い、それでいて「安らぎ」溢れるテナーが、このアルバムの全てである。コルトレーンの名作と呼ばれる基本コレクションの次にコレクションに加えたい1枚である。

コルトレーンを聴くなら、必ず聴いて欲しい必ず聴いて欲しいプレスティッジの諸作。プレスティッジ・レーベルでのコルトレーンのリーダー作には外れが無い。そんなプレスティッジの諸作の中でも、この『Settin' the Pace』はお勧めの一枚。プレスティッジ以降のコルトレーンは、モードとフリーに傾いていって、エモーショナルなテナー&ソプラノ・サックスは聴いていてドッと疲れる。

ただなあ、ジャケットが「味もしゃしゃらもない」。中身は「名作・好盤」の類なのだが、このジャケットがなあ。何の工夫も無いというか、ただコルトレーンの顔写真にアルバム・タイトルを適当なタイポグラフィーであしらっただけというか、とにかく「名作・好盤」の風格に欠けることだけは確か。プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作の唯一の難点が「ジャケット」である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて       
【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980
 
 ★ まだまだロックキッズ    【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 
 

2020年11月12日 (木曜日)

コルトレーンのスタンダード集

プレスティッジ契約時に数多くの録音を行なったコルトレーンだが、彼のキャリアの中で、このプレスティッジ時代のコルトレーンが、一番「ジャズ」らしかったのではないかと思う。この後、レギュラー・カルテットを持って、フリーでエモーショナルな演奏を行ったインパルス時代のアルバムがジャズ入門書などで絶賛されて推薦盤となっているが、僕はちょっと違和感を感じる。

コルトレーンのフリーでエモーショナルな演奏は、構えて聴く類ものであって、リラックスして聴けるものでは無い。ましてや、ジャズ者初心者向けでは無いし、ジャズ入門書に載せるのにも注意がいる。決して、コルトレーンのフリーでエモーショナルな演奏が悪いとは言っていない。僕は、今ではこのスタイルのコルトレーンも好きだ。

でも、ジャズ者初心者の頃は、はっきり言うと「嫌いだった」。ジャズ者初心者の耳には、やかましくてメチャクチャに聴こえる。到底、音楽とは思えなかった。ましてや、何が何やら判らない。確かに「ジャズとしての即興演奏」の究極の姿のひとつ、というのは今では判るが、我々ジャズ者が通常聴くジャズ、初心者向けのジャズは「ジャズ」らしく、リラックスして素直に聴けるのが良い。

やはり「ジャズ」らしいコルトレーンは、インパルスの時代よりプレシティッジの時代に軍配が上がる。プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作には駄作は無い。というか、リーダー作ばかりで無く、サイドマンとしてプレスティッジに録音したコルトレーンのテナー・サックスには外れが無い。
 
 
Standard-coltrane  
 
 
プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作の難点はプレスティッジらしく「酷いジャケット」(笑)。アルバム・ジャケットは平凡で酷いデザインばかりだけど、このプレスティッジ時代のコルトレーンは、このデザイン・センスの欠片も無いジャケットに騙されてはいけない。

John Colrtane『Standard Coltrane』(写真左)。1958年7月11日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Wilbur Harden (tp, flh), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。このアルバムは、1958年7月11日の全8曲のセッションから、4曲を選曲したスタンダード・ソング集。取り上げられている曲も、実にマニアックで充実している。難点と言えば、曲数がちょっと少ないだけである。

コルトレーン・ジャズの発展途上段階のアルバムではあるが、そのとても優れた内容に改めて感服。これ、インパルス時代の「バラード」より内容が良いのではないか。ストレートにしっかりとした音で吹くテナー・サックス。そして、耳に付かない、適度な長さの高速早弾き「シーツ・オブ・サウンド」のテクニック。歌うように感情の抑揚をくっきり付けて、時には優しく時には激しく、聴いていて、全く飽きの来ないその構成力。

インパルス時代のコルトレーンも優れている。でも、プレスティッジ時代の隠れ好盤にもスポットライトを当てて欲しい。ジャケットの稚拙さとインパルス時代盲信主義だけで見過ごしてしまうには、あまりに惜しい。リラックスして聴きたい時のコルトレーンは「インパルス時代よりプレスティッジ時代を」ですね。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて       
【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980
 
 ★ まだまだロックキッズ    【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った


Matsuwa_billboard 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 
 

2020年11月11日 (水曜日)

ミスマッチのようで実は相性抜群

ジャズって面白いもので、演奏者の組み合わせを見て、そのそれぞれの演奏スタイルを思い浮かべて、どう考えてもミスマッチで「こんな組み合わせは聴きたく無いな、聴いたってロクなことは無い」と思うことがたまにある。が、意外と実はそんな組み合わせにこそ「組み合わせの妙」的な好盤が生まれることがある。ジャズには先入観って危険。まずは自分の耳で聴いてみることが大事である。

『Kenny Burrell & John Coltrane』(写真左)。1958年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), John Coltrane (ts), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。素敵なメンバーでのクインテット構成。特にリズム・セクションに「名盤請負人」トミフラのピアノと「燻し銀ドラマー」のコブが配置されているところがミソ。まあ、プレスティッジからのリリースなので、この素敵なメンバー構成も偶然なんだろうけど(笑)。

さて、このプレスティッジの企画盤『ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン』って、シーツ・オブ・サウンドが「ウリ」のエモーショナルで切れ味の良いコルトレーンのテナーと、夜の雰囲気が良く似合うブルージーな漆黒ギターのバレル、どう考えたって「合う訳が無い」と思うのだが、これが実は「合う」んですよね。
 
 
Kenny-burrell__john-coltrane
 
 
出だしの1曲目「Freight Trane」は「あ〜やっぱり合わないな」なんて、コルトレーンとバレルのミスマッチの予感を実際に確認して、直感は当たっていた、とほくそ笑んだりする。が、2曲目の「I Never Knew」、3曲目の「Lyresto」と聴き進めていくと、「ん〜っ」と思い始める。コルトレーンがバレルに合わせ始めるのだ。シーツ・オブ・サウンドで吹きまくるコルトレーンでは無く、ブルージーなバレルの漆黒ギターに合わせて、歌心溢れるブルージーなテナーに変身し始めるのだ。

そして、4曲目の優しいバラード曲「Why Was I Born?」。この演奏、コルトレーンとバレルのデュオなのだが「これが絶品」。ブルージーで黒くて優しくて骨のあるバレルの漆黒ギターの伴奏に乗って、コルトレーンが、それはそれは歌心溢れる優しいテナーを奏でる。すると、代わって、黒くて優しくて骨のあるバレルの漆黒ギターが「しっとり」と語りかける。この演奏を聴くだけの為に、このアルバムを手に入れても良い位の名演である。

こんな時、ジャズって柔軟な音楽だなって、改めて感心する。昔、ジャズ盤紹介本で、この盤ってミスマッチの極致の様に書かれていた記憶があるが、パーソネルを見ただけで評価したのではないだろうか。ようは「如何に相手の音をしっかり聴いて、最適の音でしっかり返すか」である。つまりはバレルとコルトレーン、ミスマッチのようで実は相性抜群。なんだかジャズの世界って、人間の男女の仲に良く似ている。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて       
【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980
 
 ★ まだまだロックキッズ    【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・The Band の「最高傑作」盤

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った



Matsuwa_billboard 
 
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 
 

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

AOR Blue Note LTシリーズ Blue Noteレーベル CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops R&B Riversideレーベル rock Savoyレーベル SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーマッド・ジャマル イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エディ・ハリス エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディド・レーベル キング・クリムゾン キース・ジャレット ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリスマスにピッタリの盤 クリフォード・ブラオン クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サザンロック サド=メル楽団 サム・リヴァース サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・マクラフリン ジョン・レノン ジョージ・ケイブルス ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・ヘンダーソン スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ナット・アダレイ ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バド・パウエル バリトン・サックス パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビリー・チャイルズ ビル・エバンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブレッカー・ブラザース プレスティッジ・レーベル プログレッシブ・ロックの名盤 ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・ゴルソン ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ワン・フォー・オール 上原ひろみ 僕なりの超名盤研究 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 夜の静寂にクールなジャズ 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2022年1月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

カテゴリー