2020年11月20日 (金曜日)

「やっつけ録音」が大当たり

一昨日、昨日と里芋の収穫の為にブログをお休みしました。里芋の収穫、今年の夏の天候不順と酷暑で出来はイマイチでしたねえ。残念です。ついでに、畑のメンテナンス(収穫終了となった作物を抜いたり、雑草を刈り取ったり)も実施したので、一日が終わった後には、ブログを更新するエネルギーは残っていませんでした。

さて、プレスティッジ・レーベルである。手当たり次第に暇そうなジャズメンに声をかけ、スタジオで繰り広げるジャム・セッション〜リハーサル無しの一発勝負の録音。録音時期の整合性を無視した、フィーリングだけを頼りにした「寄せ集め的なアルバム編集」。ブルーノートとは正反対のレーベル運営。そんなプレスティッジだが、その「いい加減さ」が良い方向に作用したアルバムもあるから面白い。

Red Garland『All Mornin' Long』(写真左)。1957年11月15日、NYのVan Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), George Joyner (b), Art Taylor (ds)。ピアノのレッド・ガーランド名義のリーダー作となっているが、内容的にはリーダー無しの「ジャム・セッション」。たまたま、ガーランドがリーダーになっちゃんだろう。
 
 
All-mornin-long  
 
 
ワッとメンバーを集めて、ジャム・セッションを録音し、適当に編集してリリースする。プレスティッジのお得意の「仕業」なんだが、この盤はそれが良い方向に作用している。ネーム的にもベースだけがちょっと弱いが、他は錚々たるメンバー。そんな錚々たるメンバーが順番にソロを取って、自分の個性全開でパフォーマンスしているが、それがとても素晴らしい出来なのだ。

特にコルトレーンが良い。素晴らしいテクニックと併せて、これだけのびのびとハードバップなマナーでテナーを吹き上げているコルトレーンはなかなか聴けない。ドナルド・バードのトランペットも負けていない。ブリリアントなトランペットをテクニック宜しく吹き上げる。ガーランドの右手シングル・トーンも良いし、テイラーのドラミングも味が合って惚れ惚れする。

ワッとメンバーを集めて録音したら、それはそれは素晴らしい内容のジャム・セッションが録れちゃった、という感じの内容で、この日の音源はこの盤に収録された3曲以外に他に7曲ほどあるが、どれもが負けず劣らず素晴らしい内容。この日のジャム・セッションは何かが降りてきていたんじゃないか、と思われるくらいで、プレスティッジの「やっつけ録音」も大当たりすることがあるという好例である。
 
 
 

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2020年11月14日 (土曜日)

安らぎのコルトレーンならこれ

頭がヘトヘトに疲れたら、上手くリラックスできるジャズが欲しくなる。そんな時に選ぶのが、コルトレーンのプレスティッジ時代のアルバム。リラックスして聴ける、それでいてしっかりと耳に心地良い刺激を残してくれる、ハード・バップ時代のコルトレーンは「上手くリラックス出来る」ジャズだ。安らぎが欲しい時のコルトレーンは、絶対に「プレスティッジ時代」。

John Coltrane『Settin' the Pace』(写真右)。1958年3月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts) Red Garland (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)。名作『Soultrane』の1ヵ月後に同じメンバーで吹き込まれたアルバムである。プレスティッジには珍しく、同一日、同一パーソネルで固めている。お得意の「寄せ集めアルバム」で無いことはなによりである。

この盤では「安らぎのコルトレーン」が心ゆくまで堪能出来る。とりわけ、冒頭の1曲目「I See Your Face Before Me」と、2曲目「If There Is Someone Lovelier Than You」が「安らぎ」の名演。特に、1曲目「I See Your Face Before Me」の、イントロの後に出てくるコルトレーンのテナー・サックスの音色は安らぎに満ちて、美しく、思わずため息をついてしまうほどのロマンティシズムに満ちている。
 
 
Settin-the-pace
 
 
これほどまでに、優しく安らぐコルトレーンのテナーはそうそう無いだろう。後のインパルス時代の好盤『バラード』での、あっさり気味で素朴な雰囲気のテナー・サックスとは全く異なる、しっかりと情感を込めた、力強い、それでいて「安らぎ」溢れるテナーが、このアルバムの全てである。コルトレーンの名作と呼ばれる基本コレクションの次にコレクションに加えたい1枚である。

コルトレーンを聴くなら、必ず聴いて欲しい必ず聴いて欲しいプレスティッジの諸作。プレスティッジ・レーベルでのコルトレーンのリーダー作には外れが無い。そんなプレスティッジの諸作の中でも、この『Settin' the Pace』はお勧めの一枚。プレスティッジ以降のコルトレーンは、モードとフリーに傾いていって、エモーショナルなテナー&ソプラノ・サックスは聴いていてドッと疲れる。

ただなあ、ジャケットが「味もしゃしゃらもない」。中身は「名作・好盤」の類なのだが、このジャケットがなあ。何の工夫も無いというか、ただコルトレーンの顔写真にアルバム・タイトルを適当なタイポグラフィーであしらっただけというか、とにかく「名作・好盤」の風格に欠けることだけは確か。プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作の唯一の難点が「ジャケット」である。
 
 
 

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2020年11月12日 (木曜日)

コルトレーンのスタンダード集

プレスティッジ契約時に数多くの録音を行なったコルトレーンだが、彼のキャリアの中で、このプレスティッジ時代のコルトレーンが、一番「ジャズ」らしかったのではないかと思う。この後、レギュラー・カルテットを持って、フリーでエモーショナルな演奏を行ったインパルス時代のアルバムがジャズ入門書などで絶賛されて推薦盤となっているが、僕はちょっと違和感を感じる。

コルトレーンのフリーでエモーショナルな演奏は、構えて聴く類ものであって、リラックスして聴けるものでは無い。ましてや、ジャズ者初心者向けでは無いし、ジャズ入門書に載せるのにも注意がいる。決して、コルトレーンのフリーでエモーショナルな演奏が悪いとは言っていない。僕は、今ではこのスタイルのコルトレーンも好きだ。

でも、ジャズ者初心者の頃は、はっきり言うと「嫌いだった」。ジャズ者初心者の耳には、やかましくてメチャクチャに聴こえる。到底、音楽とは思えなかった。ましてや、何が何やら判らない。確かに「ジャズとしての即興演奏」の究極の姿のひとつ、というのは今では判るが、我々ジャズ者が通常聴くジャズ、初心者向けのジャズは「ジャズ」らしく、リラックスして素直に聴けるのが良い。

やはり「ジャズ」らしいコルトレーンは、インパルスの時代よりプレシティッジの時代に軍配が上がる。プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作には駄作は無い。というか、リーダー作ばかりで無く、サイドマンとしてプレスティッジに録音したコルトレーンのテナー・サックスには外れが無い。
 
 
Standard-coltrane  
 
 
プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作の難点はプレスティッジらしく「酷いジャケット」(笑)。アルバム・ジャケットは平凡で酷いデザインばかりだけど、このプレスティッジ時代のコルトレーンは、このデザイン・センスの欠片も無いジャケットに騙されてはいけない。

John Colrtane『Standard Coltrane』(写真左)。1958年7月11日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Wilbur Harden (tp, flh), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。このアルバムは、1958年7月11日の全8曲のセッションから、4曲を選曲したスタンダード・ソング集。取り上げられている曲も、実にマニアックで充実している。難点と言えば、曲数がちょっと少ないだけである。

コルトレーン・ジャズの発展途上段階のアルバムではあるが、そのとても優れた内容に改めて感服。これ、インパルス時代の「バラード」より内容が良いのではないか。ストレートにしっかりとした音で吹くテナー・サックス。そして、耳に付かない、適度な長さの高速早弾き「シーツ・オブ・サウンド」のテクニック。歌うように感情の抑揚をくっきり付けて、時には優しく時には激しく、聴いていて、全く飽きの来ないその構成力。

インパルス時代のコルトレーンも優れている。でも、プレスティッジ時代の隠れ好盤にもスポットライトを当てて欲しい。ジャケットの稚拙さとインパルス時代盲信主義だけで見過ごしてしまうには、あまりに惜しい。リラックスして聴きたい時のコルトレーンは「インパルス時代よりプレスティッジ時代を」ですね。
 
 
 

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2020年11月11日 (水曜日)

ミスマッチのようで実は相性抜群

ジャズって面白いもので、演奏者の組み合わせを見て、そのそれぞれの演奏スタイルを思い浮かべて、どう考えてもミスマッチで「こんな組み合わせは聴きたく無いな、聴いたってロクなことは無い」と思うことがたまにある。が、意外と実はそんな組み合わせにこそ「組み合わせの妙」的な好盤が生まれることがある。ジャズには先入観って危険。まずは自分の耳で聴いてみることが大事である。

『Kenny Burrell & John Coltrane』(写真左)。1958年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), John Coltrane (ts), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。素敵なメンバーでのクインテット構成。特にリズム・セクションに「名盤請負人」トミフラのピアノと「燻し銀ドラマー」のコブが配置されているところがミソ。まあ、プレスティッジからのリリースなので、この素敵なメンバー構成も偶然なんだろうけど(笑)。

さて、このプレスティッジの企画盤『ケニー・バレル&ジョン・コルトレーン』って、シーツ・オブ・サウンドが「ウリ」のエモーショナルで切れ味の良いコルトレーンのテナーと、夜の雰囲気が良く似合うブルージーな漆黒ギターのバレル、どう考えたって「合う訳が無い」と思うのだが、これが実は「合う」んですよね。
 
 
Kenny-burrell__john-coltrane
 
 
出だしの1曲目「Freight Trane」は「あ〜やっぱり合わないな」なんて、コルトレーンとバレルのミスマッチの予感を実際に確認して、直感は当たっていた、とほくそ笑んだりする。が、2曲目の「I Never Knew」、3曲目の「Lyresto」と聴き進めていくと、「ん〜っ」と思い始める。コルトレーンがバレルに合わせ始めるのだ。シーツ・オブ・サウンドで吹きまくるコルトレーンでは無く、ブルージーなバレルの漆黒ギターに合わせて、歌心溢れるブルージーなテナーに変身し始めるのだ。

そして、4曲目の優しいバラード曲「Why Was I Born?」。この演奏、コルトレーンとバレルのデュオなのだが「これが絶品」。ブルージーで黒くて優しくて骨のあるバレルの漆黒ギターの伴奏に乗って、コルトレーンが、それはそれは歌心溢れる優しいテナーを奏でる。すると、代わって、黒くて優しくて骨のあるバレルの漆黒ギターが「しっとり」と語りかける。この演奏を聴くだけの為に、このアルバムを手に入れても良い位の名演である。

こんな時、ジャズって柔軟な音楽だなって、改めて感心する。昔、ジャズ盤紹介本で、この盤ってミスマッチの極致の様に書かれていた記憶があるが、パーソネルを見ただけで評価したのではないだろうか。ようは「如何に相手の音をしっかり聴いて、最適の音でしっかり返すか」である。つまりはバレルとコルトレーン、ミスマッチのようで実は相性抜群。なんだかジャズの世界って、人間の男女の仲に良く似ている。
 
 
 

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2020年11月10日 (火曜日)

逆「ジャケ買い」のトレーン

プレスティッジって、ブルーノートと並んで、ジャズ・レーベルの老舗中の老舗なんだが、プレスティッジほど、いい加減なレーベルはないのではないか。内容、質については、そのセッションの偶発性、演奏するジャズマンのパフォーマンスに因るところが大きく、アルバムによってバラツキがある。

そして、手当たり次第に暇そうなジャズメンに声をかけ、スタジオで繰り広げるジャム・セッション〜リハーサル無しの一発勝負の録音。録音時期の整合性を無視した、フィーリングだけを頼りにした「寄せ集め的なアルバム編集」。ブルーノートとは正反対のレーベル運営。

そんなプレスティッジだが、ジョン・コルトレーンについては「プレスティッジのコルトレーン」を愛聴している。ハードバップのマナーに則ったコルトレーンのテナー・サックスはそれはそれは極上のもの。テクニックも申し分無く、この頃のコルトレーンは、高速のシーツ・オブ・サウンドを多発することなく、エモーショナルな雄叫びは全く無く、素直でバップなブロウを心ゆくまで堪能出来る。

John Coltrane『Lush Life』(写真左)。1〜3曲目が1957年8月の録音で、4曲目が1958年1月の録音、5曲目が1957年5月の録音。そして、パーソネルは、1〜3曲目が、John Coltrane (ts), Earl May (b), Art Taylor (ds)。4曲目が、John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。5曲目が、John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Albert Heath (ds)。プレスティッジらしく、収録されたセッションはバラバラである。

加えて、このアルバム、プレスティッジのアルバムらしく、ジャケットがイマイチ。コルトレーンの写真は良いとして、この「LUSH LiFE JOhN COLTRaNE」という、いい加減なロゴはなんなんだ。
 
 
Lush-life  
 
 
このアルバム・ジャケット、LPサイズだと、結構、ドン引きする。このジャケットでは購入意欲が湧かないなあ。CDのサイズになって、やっとなんとか我慢して購入できるレベル(笑)。

しかしながら、このアルバム、ハードバップ時代のコルトレーンの「隠れ好盤」だと思う。冒頭の「LIke Someone In Love」なんぞ、ピアノレスの演奏でコルトレーンのテナー・サックスが心ゆくまで堪能できる代物。真っすぐで力強い音色、それでいて、どこかエッジが丸い、少し優しい響きのするコルトレーンのテナー。この時代のコルトレーンが、一番、彼の素晴らしいテナーをシンプルに堪能できる。

表題曲の「Lush Life」も絶品。この頃のコルトレーンって、バラードを吹かせるとピカイチ。13分56秒と長尺な演奏だが、コルトレーンのテナーは、聴き手を飽きさせない。素晴らしいテクニックと表現力。是非、一度は聴いていただきたい名演である。

このアルバムでのコルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」は、早弾きされても喧しくなく、耳につかない。適度な早さと長さの「シーツ・オブ・サウンド」は、そのエモーショナルな雰囲気が良い方向に出ていて心地良い。

40歳過ぎるまで、この『Lush Life』っていうアルバムはジャケットにドン引きして、なかなか手に入れるには至らなかった。が、40歳過ぎて、思い切って入手して何度も聴き返してみると、あら不思議、「思い切って手に入れて良かった」と心から思える、「ジャケ買い」とは正反対の、逆「ジャケ買い」隠れ好盤である。人は見かけによらず、と言うが、このアルバムは「見かけによらず」である。
 
 
 

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2019年10月22日 (火曜日)

またまたコルトレーンの未発表盤

21世紀に入って、今年は2019年。コルトレーンが亡くなったのが1967年。既に、コルトレーンが亡くなってから52年が経過する。さすがにもう未発表音源のリリースは無いだろうと思っていた。しかし、今年も再び、未発表音源の発掘そしてリリース。未だにコルトレーンの未発表音源の発掘があるんやなあ、と改めて感動した。

今回は「未発表音源の発掘〜リリース」というよりは、公にされていた音源ではあるが、オリジナル音源の流用と思われていたものらしい。今回のアルバムのリリースの資料を読むと、「1964年6月、カナダ国立映画制作庁の委嘱で、フランス語映画「Le chat dans le sac (英題:The Cat in the Bag)』(日本未公開)の為に、黄金のカルテットを率いてルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音された音源」とのこと。

しかし、である。資料は続く。「当時、映画の為に使用された5曲は、いずれもコルトレーンのオリジナル曲の再演であったため、熱心なファンの間でも映画にはオリジナル・ヴァージョンが使用されているものと思われており、映画用に再録音されたものであるとは長らく知られていなかった」。つまり、映画に使用された音源はオリジナル・ヴァージョンでは無く、映画用に再演され新たに録音されたもの、だった訳。
 
 
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John Coltrane『Blue World』(写真左)。1964年6月24日、NY New Jerseyの「Van Gelder Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、 John Coltrane (ts, ss), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds), McCoy Tyner (p)。黄金のカルテットである。セッションの全音源(合計8テイク)がフル・ヴァージョンでまとめられている。ジャケット・デザインも良好。

今回はオリジナルでおなじみの楽曲ですが、確かにオリジナル・ヴァージョンを意識して聴くと、確かに「違う」。熟成されたワインの如く、オリジナル・ヴァージョンよりも、リラックスした雰囲気の演奏で、穏やかに聴こえます。熟れた演奏と形容したら良いのか。明らかにオリジナル・ヴァージョンの演奏時より、円熟、熟達のレベルで充実している様に感じます。

ライナーノーツの抜粋では「コルトレーンが既に録音した曲をふたたびスタジオ録音することはなかったという意味で、このアルバムは貴重な存在なのだ」としている。本レコーディング・セッションに関する当時のレコード会社にスタジオ使用の記録が残っていなかったらしい。そりゃ〜、この映画のために、改めて録音したという事実は、コルトレーン研究家の間でも知られていなかった訳ですね。
 
 
 
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2018年7月 7日 (土曜日)

驚きのコルトレーンの未発表音源

鬼籍に入ったジャズのレジェンド達については、多くのマニアが存在する。よって、それぞれのレジェンドの死後も、生前の録音音源が発掘され、未発表音源としてリリースされる。リリースに関して、本人の意向も全くお構いなしに、である。本人はあの世に行ってしまっているので、意志の確認のしようも無い訳だが、それにしても余りに不躾では無いのか、と思ったりする。しかも、その未発表音源って、オークションにかけるとそれなりの値段が付くのだから、胡散臭くて仕方が無い。

まあ、どんな音源であっても、購入に至るマニアが存在するのだから、仕方が無いと言えば仕方が無い。商売になるのであれば、レコード会社はその音源を商品化し、リリースするんだろう。でも、未発表音源というのは、生前、ミュージシャン本人にとって、何かリリースしたくない問題があったからこその未発表音源であって、そういうことからすると、不躾にリリースし続けるのは如何なものか、と思ってしまう。

John Coltrane『Both Directions at Once : The Lost Album』(写真左)。未発表音源のリリースでは一番有名ではないか、と思われるジョン・コルトレーン。コルトレーンの死後、約50年、つまり半世紀が経過している訳で、さすがにもう無いだろう、と思っていたら、またまた発掘されてリリースされた。いやはや、まだあるもんなんですなあ。それも、全くの「未発表音源」。この音源テープは、妻のナイーマが所有していたそうで、2005年、ナイーマの遺族からのオークションへの出品で、この音源が発見された次第。
 

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1963年3月6日の録音。『John Coltrane & Johnny Hartman』の録音前日に録音されたものだと言う。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (sax), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds), McCoy Tyner (p) 。伝説のカルテットである。また、この音源は過去に海賊盤などでも一切世に出たことがない、完全な「未発表音源」であること。失敗録音では無く、当時、コルトレーンが作曲した新曲を含む、リリースを前提に録音された音源であるということに価値がある。しかし、何故、この音源が未発表になったんだろう。

1962〜3年辺りというと、過去に所属したレーベル(プレスティッジ、アトランティック)より、ストックされていた音源が一気にリリースされていたこともあり、インパルスからすると、同じ様な内容のアルバムをリリースしても、コスト倒れになる可能性があって、知らず知らずのうちにリリースのタイミングを逸したのでは無いかと推測されている。

聴けば確かに、このまま収録順を決めてアルバム化できるだけの完成度の高い「未発表曲」ばかりである。当時、既にフリーに傾きつつあった、限りなくフリーに近いモーダルな熱いブロウでは無く、『Ballads』『Duke Ellington & John Coltrane』『John Coltrane & Johnny Hartman』など、バラード曲メインの落ち着いた、モーダルな内容であることにちょっと驚く。聴き易い、魅力的なサックスを吹き上げていくコルトレーンがこの盤に溢れている。

 
 

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2017年9月25日 (月曜日)

サイドメン・コルトレーンの威力

ジャズメンの中でも、歴史に名を残すレジェンド級のジャズメンは「出す音の威力」が違う。ブリッと吹くだけで、プッと吹くだけで、ピロピロと弾くだけで、その演奏の雰囲気がガラッと変わり、そのレジェンドの個性にドバ〜ッと染まる。

しかも、サイドメンとは言え、ちょっと全面にでると、そのリーダーの個性を消してしまうことにもなりかねない。レジェンド級のジャズメンはそれも十分心得ていて、決して、そのリーダーの個性を消すようなパフォーマンスはしない。あくまでも、そのリーダーの個性を惹き立てるように、サイドメンとして振る舞うのだ。

例えば、Sonny Clark『Sonny's Crib』(写真左)というアルバムがある。1957年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Clark (p), Donald Byrd (tp), Curtis Fuller (tb), John Coltrane (ts), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。バードのトランペット、フラーのトロンボーン、そして、コルトレーンのテナーの3管フロントのセクステット構成。

リーダーはソニー・クラーク。哀愁感溢れるマイナーで端正なフレーズが特徴のピアニスト。加えて、作曲とアレンジの才に長ける。この盤はLPでいうA面の3曲がスタンダード曲でクラークのアレンジの才が、B面の2曲が自作曲で作曲の才が確認できる構成になっている。さすがはブルーノート。アルバム制作に確固たる思想と方針を持っている。
 

Sonnys_crib_2

 
この盤の演奏で「耳を惹く」のが、コルトレーンのテナー。サイドメンに回っても、さすがはレジェンド級、ブリッと吹くだけで、コルトレーンと判る。この盤を録音した頃はもうシーツ・オブ・サウンドに手を染め始めていた頃。しかし、コルトレーンは、ハードバップのマナーで、基本的にコードに忠実にアドリブ・ラインを紡いでいく。

LP時代のA面の3曲では、リーダーのソニー・クラークのアレンジを惹き立たせる様に、クラークのピアノの個性を踏まえつつ、流麗かつ端正にアドリブ・ラインを吹き上げる。LP時代のB面の2曲では、ソニー・クラークの自作曲の魅力を引き出すように、マイナーで端正な旋律をストレートに吹き上げる。この盤、コルトレーンが参加して吹くだけで、その内容と魅力は倍増している様に感じる。

そんなコルトレーンのブロウに呼応するように、ドナルド・バードが何時になく、破綻の無いブリリアントで端正なトランペットを響かせる。そして、ブラスの輝く様な響きを宿しつつウォームな音色でフラーのトロンボーンが寄り添い包んでいく。リーダーの個性を惹き立たせるコルトレーンのプレイの指針がフロント全体に行き渡る。

この『Sonny's Crib』では、コルトレーンのサイドメンとしての力量が良く判る。リーダーの個性を惹き立たせるコルトレーンのサイドメンとしてのパフォーマンスによって、リーダーのソニー・クラークのアレンジと作曲の才、そして、ピアニストとしての個性がとても良い方向に出ていて立派だ。とっても魅力的なハードバップ盤として、長年の愛聴盤です。

 
 

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2015年2月27日 (金曜日)

ハードバップ期の最高のバンド

やっと体調が回復基調になって、ほっと一息である。風邪が原因のお腹の不調。丸2日間、伏せっていたことになる。暖かくして、とにかく伏せっていれば治ると言われたが、術後の不安は大きい。とにかく伏せっていたのだが、耳だけは元気なので、寝室に備え付けのサブのステレオで、日頃、なかなかまとめて聴けないボックス盤を聴いていた。

そのボックス盤とはMiles Davis『The Complete Columbia Recordings of Miles Davis with John Coltrane』(写真)。CD6枚組の魅力的なボックス盤である。タイトルから判る通り、コロンビア・レーベルに残された、マイルスとコルトレーンのセッションの記録である。録音時期としては、1955年10月26日から1961年3月21日まで。ジャズの歴史でいう「ハードバップ期」のほぼ全体を網羅する。

アルバムとしては『'Round About Midnight』『Milestones』『Kind of Blue』『Someday My Prince Will Come』『Miles Davis at Newport 1958』『Jazz at the Plaza/1958 Miles』を網羅する。加えて、LP時代の未発表音源集『Circle in the Round』とCD4枚組のコンピ・ボックス盤『The Columbia Years 1955ー1985』に収録された音源を含んでいる。

このCD6枚組ボックス盤を聴き通して感じるのは、さすがアコースティック・マイルスは他のどのコンボよりも優れており、クールであるということ。そして、マイルス・バンドの演奏は、まず最優先事項として、常にマイルスのトランペットがクールに美しく、前面に出ているということ。リーダー盤としては当たり前のことだが、マイルス・バンドは、このリーダーのマイルスを一番に押し出すことに徹底している。この徹底度合いは他のバンドには無い。

といって、サイドメンは後ろに引っ込んで地味にやっているかと言えばそうではない。あらん限りのテクニックとノウハウを駆使して、かなり高度でかなりクールなバッキングを展開しているのだ。そういうことが出来る、ジャズメンとしての優れ者の集まりが、当時のマイルス・バンドであり、アコースティック・マイルスの音世界なのだ。
 

Miles_coltrane_columbia

 
コルトレーンは、確かにマイルス・バンド加入当初のプレイは「へたくそなテナー」と揶揄されても仕方ないな、というところもあるが、マイルスと年を重ねるにつれ、どんどんテクニックは高みに達し、演奏ノウハウもバリエーション豊かに溜まってく。そして、コード奏法を凌駕して、マイルスの薫陶を得て、モード奏法を体得する。そう、コルトレーンはモード奏法を「体得」している。 

そして、Disc5、Disc6の、アルバムで言う『Miles Davis at Newport 1958』『Jazz at the Plaza/1958 Miles』辺りのコルトレーンのアドリブはとてつもなく長い。ある逸話が残っている。

コルトレーンがマイルスに相談する。「アドリブが長いと言われるので、適当なところでアドリブを止めたいのだが、どうやって止めて良いのか判らない」。マイルスが苦笑いしながらコルトレーンにアドバイスする。「トレーン、そういう時は、マウスピースから口を離すのさ。そうすればアドリブは止められる」。

そういう逸話が良く理解出来るほど、コルトレーンのアドリブは長い。そして、シーツ・オブ・サウンドが度を超えて吹きまくられている。少し五月蠅いくらいだ。しかし、そこにマイルスのペットが入ってくると、バンドの音世界はガラッと変わる。クールで美しい、優雅なハードバップにガラッと変わる。なるほど、コルトレーンのテナーはマイルスを惹き立たせる最高のパーツなのだ。そして、コルトレーンがこのことに我慢できなくなった時、マイルスの下から離れていくのだ。

そして、このCD6枚組ボックス盤に収録された別テイク毎の演奏のバリエーションを聴いていると、ジャズって本当に「即興の音楽」だということが判る。そして、優れたジャズメンの集まりでは、そのアドリブの展開のバリエーションが豊富で、本当によくこれだけ色々なパターン、展開でアドリブを展開するもんだなあ、とただただ感心してしまう。

このCD6枚組ボックス盤には、ハードバップ期の最高のバンドの演奏がギッシリと詰まっている。なにかと批判されることの多いボックス盤だが、手に入れて聴くとなかなかに楽しめる。意外とお勧めのボックス盤である。

 
 

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2014年11月 6日 (木曜日)

コルトレーンの聴き直し・最終回

さて、3年ほど前から進めてきた「コルトレーン盤の聴き直し」。いよいよ最終回である。最後のアルバムは、John Coltrane『Live at the Village Vanguard Again!』(写真左)。

このライブ盤は1966年5月28日、ニューヨークの有名ライブ・スポット、ヴィレッジ・バンガードでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ss, ts, b-cl, fl), Pharoah Sanders (ts, fl), Alice Coltrane (p), Jimmy Garrison (b), Rashied Ali (ds), Emanuel Rahim (per)。

コルトレーンが逝去したのは1967年7月だから、逝去の1年ほど前のライブ録音になる。つまり、この時代のコルトレーンは、フリー・ジャズ真っ只中。高速シーツ・オブ・サウンドが昂じて、フリー・ジャズへの完全な宗旨替えは、1965年6月録音の問題作『Ascension』で決定的になった。

それまでは伝説のカルテット、John Coltrane (ts, ss), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)。しかし、1965年6月の『Kulu Se Mama』辺りで伝説のカルテットは崩壊。代わって、Pharoah Sanders (ts, fl), Alice Coltrane (p), Rashied Ali (ds)にとって代わる。ベースのギャリソンだけがコルトレーンに最後まで付き添ったことになる。

この『Live at the Village Vanguard Again!』は、どうにも苦手なライブ盤の一枚である。つまり、何が良いのか、良く判らないのだ。このライブ盤って、晩年のコルトレーンの名盤とされるが、何回聴いても、僕はそうは思えない。何ともマンネリ化した、ちょっと耳障りで単調なフリー・ジャズにしか聴こえないのだ。

昔、ジャズ者初心者の頃、この『Live at the Village Vanguard Again!』は名盤として、ジャズ盤紹介本に掲げられていた。これを聴かずしてジャズ者というなかれ、そんな雰囲気が強く漂う書きっぷりに心動かされた。
 

Coltrane_vanguard_again

 
で、ジャズ者初心者2年目辺りで手に入れたんだが、これがまあ、当時の耳には、ほとんど雑音にしか聴こえない(笑)。ジャズの経験が浅いが故のことだろうと諦めて、このライブ盤はお蔵入り。それから15年。ジャズを聴き始めて17年目、ふと思い出して、このライブ盤を聴き直してみた。

しかし、これがまあ、相変わらず「良く判らない」。確かにジャズを長年聴き続けてきて、何を演奏しているか、は判る。テクニックの優劣も判る。それでも、このクインテットのフリーキーな演奏は「良質なもの」とは思えなかった。特に、ファラオ・サンダースの「ブヒブヒグスグス」と馬の嘶きの様な、ワンパターンでフリーキーなフレーズが許せない。

しかも、コルトレーンの演奏はあまり目立ったところが無いし、フリーキーなフレーズは画一的。主役がこれではなあ、と思いつつ、アリスのピアノに耳を移せば、「なんじゃこりゃ」的なハープの音色の様な「ピロピロ」なピアノにガッカリする。これはジャズのリズム・セクションを担うピアノの音では無いし、ピアノのビートでも無い。 

ベースのギャリソンの超ロングなベースソロには飽き飽きするし、エマニュエルのパーカッションは目立たない。唯一、ラシッド・アリのドラムだけが新しい響きを宿していて、唯一、何とか聴き応えがする演奏である。かの有名なコルトレーンの十八番曲「My Favorite Things」も新しいメンバーのイマージネーションでは支えきれないほどに崩れに崩れて、ほとんど壊滅状態に聴こえてしまう。

僕の耳が悪いのかなあ。それから時ある毎にこのライブ盤を聴くが、どうもいけない。やはり、コルトレーンのプレイは伝説のカルテットでのプレイが一番だったし、伝説のカルテットのリズム・セクションが、一番コルトレーンに合っていた。このメンバーでの、このフリーキーなプレイは退屈である。

振り返れば、この『Live at the Village Vanguard Again!』には苦労させられた。袋小路に迷い込んだような、晩年のコルトレーンのフリー・ジャズはどうにも僕には合わない。そして、1967年7月、突然、コルトレーンは鬼籍に入る。僕のコルトレーンの最後のアルバムは『A Love Supreme』やったんやなあ、と改めて判った次第。

 
 

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