2022年11月12日 (土曜日)

ブルー・トレイン 65周年記念盤

ネットのジャズ関連の記事を眺めていて、「歴史的発掘!永遠の名盤『ブルー・トレイン』65周年記念完全盤が登場!」というタイトルが目に飛び込んできた。またまた「歴史的発掘」か。幾度と無くこのフレーズは繰り返されてきた感がある。マスターテープは切れ切れになっている訳では無いので、「歴史的発掘」が幾度と繰り返されることは無いとは思うのだが(笑)。

またか、とも思う。しかも「65周年」記念というところにも、中途半端感は拭えない。それでも、正式なアルバムリリースでは完全初出となる「別テイク7曲のうち4曲」が収録されているから、聴きたいなあ、という気持ちにもなる。別テイクは、1本のマスターテープに連続で録音されている筈なので、こんなに切れ切れにリリースしなくても、という思いにも駆られる(笑)。

John Coltrane『Blue Train / The Complete Masters』(写真)。1957年9月15日の録音。ブルーノートの1577番。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Kenny Drew (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。伝説に残るセクステット編成である。

1枚目は、もともとのステレオ版『Blue Train』に、最新リマスタリングを施している。この手のリマスタリングについては、もう満腹感満載で(笑)、以前の「RVGリマスタリング」の衝撃ほどの感動は全く無い。CDのリマスタリングについては限界が来ていると思うので、ふ〜ん、こんな音にもリマスタリング出来るのね、と思うのみ。こんなにリマスタリングで捏ねくり回すのなら、いっそのこと、LPバージョンの音を聴いた方が良いなあ、とも思う。

2枚目は、初出音源含む、別テイク7曲を収録。これが意外と聴きもので、Blue Train [Alternate Take 7]、Blue Train [Alternate Take 8] と併せて、本テイクを聴くと、この曲を完成するのに、かなりの試行錯誤を経ていることが良く判る。
 

Blue-train_the-complete-masters  

 
イントロのユニゾン&ハーモニーの音の組みあわせの試行錯誤。それぞれのアドリブ展開の内容の試行錯誤。特に、コルトレーンのアドリブ展開の内容が各テイクによって全く違うことに驚く。演奏レベルは最高、それでいて各テイク毎に展開とテイストが違う。コルトレーンの凄まじき演奏テクニックの成せる技。他のジャズマンのアドリブも同様だが、コルトレーンが突出している。

用意周到にリハーサルを重ねて本録音に臨ませる方針のブルーノート・レーベル。この素晴らしい録音マナーが、この別テイクから垣間見える。「ブルー・トレイン」1曲でも少なくとも「Take8」。8回取り直しているんですよ。8回取り直そうとするミュージシャン側の粘りも凄いが、それに応えるレーベル側のプロデュースも半端ない。当時のブルーノートが良い録音を残すのは当たり前か、と感心する。

「ブルー・トレイン」1曲で、これだけの試行錯誤を重ねているのだ。演奏する側の演奏テクニックも相当高いものがあるのだろうし、アレンジ能力も優れたものがある。それでも、様々なバリエーションを織り交ぜて、最低8テイクを重ねているのだから凄い。今回の別テイク集を聴いていて、改めて、ジャズは「アート(芸術)の音楽」であるということを実感する。

そして、今回のもう1つの目玉が、別盤仕立ての「モノラル・バージョン」。僕は『Blue Train』のモノラル盤を初めて聴いたのだが、モノラルはモノラルで味わい深い。ステレオ盤の音を聴き馴れているのだが、ステレオは横に音が広がる。モノラルは奥に音が広がる。音の塊に奥行きがグッと出て、狭いライブハウスで、目の前で演奏を浴びる様に聴いている雰囲気に思わず仰け反る。これはこれで「アリ」やな。

手垢の付いた「歴史的発掘の記念盤」。またかいな、とも思うんだが、今回の様に、初出の別テイク音源や、聴く機会の無かったモノラル音源がついてくれば、やっぱり触手は伸びるなあ。そして、改めて、この『Blue Train』というアルバムの素晴らしさと、ブルーノート・レーベルの録音方針の素晴らしさを再認識する。やはり、歴史的名盤は「格が違う」。
 
 

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2022年5月27日 (金曜日)

また、コルトレーンの未発表音源

ジョン・コルトレーンの人気は未だ衰えない様だ。またまた「未発表音源」が発掘され、正式盤としてリリースされた。「John Coltrane奇跡のライブ音源発見」「音楽史を揺るがす大発見」と、宣伝のキャッチコピーは凄い表現を採用している。ちょっと大袈裟過ぎやしないか、と感じつつ、思わず訝しく思ってしまう(笑)。

John Coltrane『A Love Supreme : Live In Seattle』(写真左)。1965年10月2日、ワシントン州シアトル、ペントハウスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane, Pharoah Sanders (ts). Carlos Ward (as), McCoy Tyner (p), Donald Rafael Garrett, Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)。

コルトレーンの「黄金のカルテット」に、ファラオ・サンダース(ts) ~カルロス・ワード(as)~ドナルド・ギャレット(b) が加わった、計7名のセプテット編成。「至上の愛」は難度の高い曲と記憶するが、黄金のカルテットに3名のサポートを加えた7名編成で、分厚いアンサンブルが展開される。メンバーそれぞれの演奏力の高さが聴いて取れる。

演奏される『至上の愛』は、コルトレーンの生涯で、たった2回しか公のステージで演奏されなかったと伝えられる組曲。その組曲の幻の3回目のライヴ音源の発掘である。これまで『至上の愛』は、スタジオ盤と65年のフランスのジャズ・フェスティヴァルでのライヴ録音の2種類の演奏がリリースされていた。が、今回発掘されたシアトルでのライヴ演奏が録音されていたことは記録に残っていなかった、とのこと。

今回のライヴ盤の『至上の愛』は、4つのインタールードを挟み、4パートから成る組曲すべてが収録された貴重な音源。僕は、スタジオ録音盤の『至上の愛』しか聴いたことが無かったので、ライヴでの『至上の愛』は、スタジオ録音盤をどこまでライヴで再現しているか、が興味の中心だった。
 

John-coltranea-love-supreme-live-in-seat

 
スタジオ録音盤は、スタジオ録音であるが故、何度も取り直しが出来る。編集も比較的柔軟に対応出来る。よって、スタジオ録音盤の『至上の愛』は理路整然とした、リハーサルをしっかり積んだ、破綻の無い整った演奏だった。今の耳で聴けば、スピリチュアル性はしっかり担保されていたが、アヴァンギャルド性はちょっと後退気味な表現だった。

さて、今回のライヴ盤ではどうか。ちょっと録音が悪い分、大人しい感じの演奏に聴こえる。それでも、7人編成でこれだけ厚みのあるアンサンブルが取れるのは凄いこと。よくこれだけ難しい組曲を、ここまで理路整然とライヴ演奏出来るものだ、と感心する。さすがライヴ演奏だけあって、それぞれの演奏に個々の想いと個性が反映されていて、アヴァンギャルド性もしっかり担保されている。

録音バランスもあまり良く無く、エルヴィンのドラムがやたら前面に出てくる。主役=リーダーのコルトレーンのサックスがちょっと引っ込み気味なのが残念だが、音的には、しっかりとコルトレーンしていて、『至上の愛』はやっぱりコルトレーン率いる黄金のカルテットの演奏に限るなあ、と改めて思ったりする。

ライヴ音源なので、エルヴィンのドラム、タイナーのピアノ、ギャリソンのベースのロングソロもしっかり収録されている。しかし、これだけ、思いっ切り強烈な個性を持ったジャズマン達が、コルトレーン・ミュージックの志向を汲んで、コルトレーンの音世界を表現するのだから恐れ入る。どれだけの演奏テクニックを持っているんだか、感心することしきり、である。

このライヴ盤は、コルトレーン入りの黄金のカルテットによる『至上の愛』のライヴ演奏が聴けるところに最大の価値がある。録音の音質、バランスの問題はあるにせよ、生きているうちに『至上の愛』のライヴ演奏が聴けたことは幸いであった。ペントハウスのショーを録音した故ジョー・ブラジルと、50年後にテープを発見したスティーブ・グリッグスの2人に「感謝」である。
 
 

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2022年5月 6日 (金曜日)

フォーチュンの「トレーンの魂」

ジャズにおいて、テナー・サックスの最高峰と言えば「ジョン・コルトレーン&ソニー・ロリンズ」。ロリンズはまだ存命中だが、コルトレーンは、1967年7月、今から55年前、早々に鬼籍に入ってしまっている。

それでも、コルトレーンはテナー・サックスの改革者の1人として、未だにフォロワーは多数、現在、第一線で活躍しているテナー・マンは、必ず一度はコルトレーン・ライクなブロウにチャレンジしているはずである。

コルトレーンには存命中からフォロワーが多数いて、「ストレートなブロウのスタイルの踏襲」派、「フリー&スピリチュアル・ジャズへの傾倒」派、と大きく分けて2種類に分類されるだろう。どちらのフォロワーも、どこかで「コルトレーン・トリビュート盤」をリリースしていて、コルトレーン・ライクなブロウにチャレンジした成果を披露している。

Sonny Fortune『In The Spirit of John Coltrane』(写真)。1999年7月9ー10日の録音。邦題『コルトレーンの魂』。ちなみにパーソネルは、Sonny Fortune (sax), John Hicks (p), Santi Debriano (b), Ronnie Burrage (ds)。何故か良くわからないが、どこか過小評価されてきたサックス奏者、ソニー・フォーチュンの「コルトレーン・トリビュート盤」である。
 

In-the-spirit-of-john-coltrane_1

 
演奏曲はフォーチュン作が7曲、コルトレーン作が2曲。フォーチュンのオリジナルは、コルトレーン作の「Countdown」や「Moment's Notice」からコード進行を借用している様で、しっかりとコルトレーンの楽曲の影響下で書かれている。

収録曲全9曲の楽曲の全てが「コルトレーンの楽曲の雰囲気」で統一されているのはそのためだ。といって、フォーチュンのサックスは、コルトレーンの単なるコピーでは無いので、コルトレーンのリーダー作、といった感じは全くしない。

コルトレーンの音世界をフォーチュン独特のサックスで表現している。その成果は見事。やや軽めの切れ味の良いストレートなブロウ。シーツ・オブ・サウンドなど、高速ブロウでの確かなテクニック、バラード演奏時の歌心。フォーチュンならではのブロウは聴き応え十分。

ジョン・ヒックスのピアノ、サンティ・ディブリアーノのベース、そしてロニー・バラージのドラムによるリズム・セクションが大健闘。また、ゲスト・ミュージシャンも充実していて、コルトレーン作の「オーレ」には、ラシッド・アリとレジー・ワークマンが、フォーチュン作の「フォー・ジョン」にはバタ・ドラムスのスティーブ・ベリオとフリオ・コラッツォが加わっていて、素敵な演奏を繰り広げている。

ジャケ写については、現在、米国Shanachieから発売されている音源のジャケットはイラスト(写真左)、日本キングのパドルホイールから1999年に発売されたCDはフォーチュンの横顔のアップ(写真右)。どちらも雰囲気のある良いジャケです。
 
 

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2021年11月 2日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・9

マイルス・デイヴィスは僕のジャズの「最大のアイドル」である。マイルスの足跡、イコール、ビ・バップ以降のジャズの歴史でもある。ジャズの演奏スタイルについては、揺るぎない「信念」があった。フリー、スピリチュアル、フュージョンには絶対に手を出さない。マイルスはアコースティックであれ、エレクトリックであれ、いつの時代も、メインストリームな純ジャズだけを追求していた。

Miles Davis Quintet『The Legendary Prestige Quintet Sessions』(写真左)。1955年11月16日(The New Miles Davis Quintet)と1956年5月11日、10月26日(マラソン・セッション)の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane(ts), Red Garland (p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) 。

マイルス・デイヴィス・クインテットのマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』と、デビュー盤『The New Miles Davis Quintet』のプレスティッジ・レーベルに残したスタジオ録音の音源を録音順に並べたもの(と思われる)と、NYのBasin Streetでのライヴ音源(1955年10月18日)と フィラデルフィアのライヴ音源(1956年12月8日)を収録。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源が録音順に並んでいる(と思われる)のが、この企画ボックス盤の良いところ。マラソン・セッションの録音の流れとスタジオの雰囲気が追体験出来るようだ。4部作は、プレスティッジお得意の仕業、アルバム毎の収録曲については、曲と演奏の雰囲気だけで、てんでバラバラにLPに詰め込んでいる。アルバムとしては良いのだろうが、録音時期がバラバラなのはちょっと違和感が残る。
 

The-legendary-prestige-quintet-sessions_

 
さて、このマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源は、CBSからリリースされた『'Round About Midnight』と併せて、「マイルスの考えるハードバップ」の完成形である。全てが一発録り、アレンジは既に用意されていたようで、それまでに、ライブ・セッションで演奏し尽くしていた曲ばかりなのだろう。

今の耳で聴いても、相当にレベルの高い演奏である。即興演奏を旨とするジャズとしては、この一発録りが最良。マイルスはそれを十分に理解して、このマラソン・セッションを敢行したと思われる。細かいことは割愛するが、一言で言うと「非の打ち所」の無い、珠玉のハードバップな演奏である。これぞジャズ、という演奏の数々。素晴らしい。

1955年10月から1956年12月に渡って、録音順に並んだ音源集なので、振り返ってみるとたった1年2ヶ月の短期間だが、マイルス・デイヴィス・クインテットのバンドとしての成熟度合いと、コルトレーンの成長度合いが良く判る。

バンド・サウンドとしてはもともとレベルの高いところからスタートしているが、段階的に深化、成熟していくのが良く判る。コルトレーンについては、たった1年2ヶ月であるが、最初と最後では全く別人といって良いほどの「ジャイアント・ステップ」である。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』をアルバム毎に分けて聴くも良し、録音順に追体験風に聴くも良し、これら「マイルスの考えるハードバップ」の完成形は、ジャズとして「欠くべからざる」音源である。ジャズ者としては、絶対に聴いておかなければならない音源である。
 
 
 
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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

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2021年2月20日 (土曜日)

ハートマンの歌唱が素晴らしい

ジャズの男性ボーカルは、フランク・シナトラ、メル・トーメ、ナット・キング・コールが専らの「お気に入り」。他のボーカリストについてはあまり聴かない、というか、他にメジャー・な存在がほとんどいないといえばいない。よって、この盤も最初は共演パートナーに惹かれてゲットした盤ではある。

『John Coltrane and Johnny Hartman』(写真左)。1963年3月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Hartman (vo), John Coltrane (ts), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds)。ジョン・コルトレーンの「伝説のカルテット」に、ボーカルのジョニー・ハートマンが客演したイメージの共演盤である。

ジョニー・ハートマンは、1923年7月、米国ルイジアナ州生まれのジャズ・ボーカリスト。アール・ハインズ、エロル・ガーナーとの共演で頭角を現し、カントリーなどにも適応するが、メインはジャズ・ボーカル。この共演盤を録音した時点で40歳。ボーカリストとして油の乗りきった中堅でのパフォーマンスである。
 
 
John-coltrane-and-johnny-hartman
 
 
コルトレーンにとっては、名盤『Ballads』と同じ系統のアルバムになる。激しいシーツ・オブ・サウンドやフリーなブロウを封印し、内省的で耽美的でスローなブロウをメインに据えたパフォーマンスに終始している。この盤でのコルトレーンは限りなく美しく唄う様にブロウし、ハートマンに対抗するようにブロウする。

ハートマンについてはマイペース。バックがコルトレーンの「伝説のカルテット」なのだが、全く緊張感も気負いも感じられない。ただただ自然体で、ハートマンの個性を振り撒いて唄い上げていく。この盤でのハートマンの唄いっぷりは素晴らしく、聴き惚れるばかり。特に緩やかなバラードの歌唱は素晴らしい。

この盤、コルトレーンのテナーにばかり話題が集中するが、どうして、この盤はハートマンのバラードの歌唱が頭1つ抜きんでている。どうも、コルトレーンの「伝説のカルテット」は歌伴は似合わない。エルヴィンのドラムも不完全燃焼っぽい。マッコイのピアノだけがなんとか上手くハートマンの伴奏をしているのが微笑ましい。
 
 
 
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  ・Yes Songs Side A & Side B
 
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  ・そしてタツローはメジャーになる
 
 
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2020年12月24日 (木曜日)

プレスティッジ時代の最高傑作

プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンのリーダー作って、異なるセッションの寄せ集めであったり、他人名義にサイドマンとして参加した音源の再編成であったり、「訳あり」の盤が多いのだが、デビュー作の『Coltrane』とこの盤だけは違う。しっかりとコルトレーンのリーダー作であり、しっかりとコルトレーンのリーダーとしての「意志」が入っている。

John Coltrane『Soultrane』(写真左)。1958年2月7日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。レッド・ガーランドのピアノを核としたリズム・セクションをバックにした、コルトレーンのテナー一本、ワンホーン・カルテット編成である。

1958年の2月に録音して10月にはリリースされているので、プレスティッジ・レーベルとしては珍しい、コルトレーンのリーダー作の出し方である。しかも、1958年2月7日のセッションの演奏で固められ、曲順もしっかり吟味されている様に感じる。当時のコルトレーンのテナー・サックスの才能の全てが記録されていて、プレスティッジ時代のベスト的内容である。
 
 
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出だし冒頭のTadd Dameron作「Good Bait」が「良い」。コルトレーンの悠然としたテナーが「良い」。ロリンズとは異なる、ストレートでシュッとした大らかさが「良い」。続く「I Want to Talk About You」は、コルトレーンのバラード表現の完成形を聴く様だ。バックを締めるガーランド・トリオが、これまた良い味を出している。右手シングルトーン、左手ブロックコードのシンプルなガーランドのピアノがコルトレーンのテナーに実に合う。

LPのB面に回って「"You Say You Care」のストレートな吹き回し、「Theme for Ernie」のスローな吹き回しも絶妙。そして、ラストの「Russian Lullaby」で、コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」が炸裂する。高速電光石火の「ロシアの子守唄」。高速でありながら、原曲の良きフレーズをしっかり浮き出させている「シーツ・オブ・サウンド」恐るべし、である。

このプレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作は「白眉の出来」。1958年2月7日時点のコルトレーンの最高のパフォーマンスがこの盤にしっかりと記録されている。曲の並びも良いし、シンプルなデザインのジャケットもプレスティッジとしては上の部類。このプレスティッジのコルトレーンは間違い無く「買い」である。
 
 
 

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2020年12月23日 (水曜日)

コルトレーンの「扱いに困る」盤

プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作とされる盤の中には、リーダー作で無いのもある。アトランティックへ移籍後、爆発的に人気の出たコルトレーン。リーダー作として出す盤出す盤、結構、売れたらしい。そこで、プレスティッジ・レーベル、既に別人名義のコルトレーンの参加したセッションの音源を再編成して、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースする暴挙に出た。

John Coltrane『Dakar』(写真左)。1957年4月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Cecil Payne, Pepper Adams (bs), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。録音日を見ただけでは、プレスティッジ・レーベルには珍しく単一日のセッションで固めたコルトレーンのリーダー作みたいに見える。が、これが違うんだから、プレスティッジの暴挙には困惑する。

実はこの盤、コルトレーンがサイドマンとして参加した、既リリースの別人名義のセッションの音源を再編成、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースした「パチモン」盤である。1957年の4月、18日から20日にかけて3日間連続で「The Prestige All Stars」または「Mal Waldron Sextet」のサイドマンとして、としてプレスティッジに録音。この『Dakar』は、この3日連続録音の最終日の4月20日「The Prestige All Stars」名義のセッションを再編成したもの。
 
 
Darkar_john-coltrane  
 
 
しかも録音時の記録を見ると、1957年4月20日の「The Prestige All Stars」名義のセッションを「まるっと」そのまま、録音順に並べただけ。レーベルのプロデューサーとして何も考えずに、ただLPのA面B面に「まるっと」入る長さの演奏なので、思わず、偽りの「コルトレーン名義」盤として出しちゃいました、というイージーで罪作りな盤である。よって、この盤は正しくは「コルトレーン名義」のリーダー作ではない。

1957年に録音され「The Prestige All Stars」名義でリリースされた時は、セシル・ペインとペッパー・アダムスの2本のバリサクを「ウリ」にしたアルバム。バリサク2本+テナー1本の3管フロントはユニークだが、惜しむらくはアレンジ、アドリブともに、ちょっと定型的で創造性に欠けるきらいがある。先が読めちゃうので飽きが来るのだ。ただ、バリサク2本の音の迫力は凄い。バリサクの音を浴びる様に聴きたい時には最適な盤の一枚ではある。

この盤の全体の印象は、コルトレーンがメインというよりは、2本のバリトン・サックスが主軸のジャム・セッション、重厚なハードバップ演奏。コルトレーンのプレイを聴いても、コルトレーンの個性は確認出来るが、中途半端で中程度の出来。特別にコルトレーンを聴くアルバムでは無いだろう。ジャケ・デザインも適当。まったく、プレスティッジ・レーベルの暴挙には困ったものである。
 
 
 

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2020年12月15日 (火曜日)

John Coltrane『The Believer』

プレスティッジ・レーベルにおける「ジョン・コルトレーン」のリーダー作は、複数セッションの寄せ集め編集盤が多くて困る。しかも、リリース年が録音年よりかなり離れていたりする。コルトレーンは大人気のテナー・マンだっただけに、所有する音源を小出しに小出しにリリースして、金儲けに走ったようである。プレスティッジの総帥、ボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)は「せこい」(笑)。

小出し小出しにリリースするのは仕方が無いとして、様々な複数セッションから切り出して、寄せ集め編集して1つのアルバムとしてリリースするのには閉口する。そもそも「寄せ集め」のコンセプトが全く判らない。ウェインストックはプロデューサーとしての才能は全く無かったとみえる。プレスティッジ時代のコルトレーンは、彼のテナー・マンとしての進歩が「日進月歩」だっただけに、寄せ集め盤については、コルトレーンの演奏内容について違和感が付きまとうものが多いから困る。

John Coltrane『The Believer』(写真左)。 1964年4月のリリース。1964年4月のコルトレーンと言えば、インパルス・レーベルからの『Live at Birdland』のリリースと同時期。そんな時期にプレスティッジ・レーベルから、1957年から1958年録音の寄せ集め盤がリリースされた。その寄せ集め状況は以下の通り。

まずは、1957年12月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Ray Draper (tuba), Gil Coggins (p), Spanky DeBrest (b), Larry Richie (ds)。演奏曲は、4曲目「Filidé」と5曲目「Paul's Pal」。

チューバのレイ・ドレイパーとの2管フロントのクインテット。もともとチューバでジャズをやるのには無理がある。少し速い演奏になると、運指と息がついていけない。ドレイパーのソロはチューバがゆえ、健闘はしているのだが「たどたどしい」ソロがとても悩ましい。リズム・セクションは無名に近いメンバー。普通レベルのサポートに終始している。

コルトレーンだけがまともに吹いているが、周りのメンバーがこのレベルなので、コルトレーンとしても「普通の演奏」に留まっている。この2曲については、あまり聴きどころは無い。この盤は1964年のリリース。この頃には、もうコルトレーン絡みの音源は底をついていたのかもしれない。
 
 
The-believer  
  
 
次は、1958年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。演奏曲は、1曲目「The Believer」と2曲目「Nakatini Serenade」。

この2曲の演奏が一番充実している。トランペットのドナルド・バードとの2管フロントのクインテット。このセッションでのバードのトランペットが活き活きしていて、アドリブ・フレーズも迫力がある。当然、コルトレーンもこのトランペットに触発されて、素晴らしいブロウを繰り広げる。

シーツ・オブ・サウンドの原型らしき、高速アドリブ・フレーズも連発。この時期のベスト・プレイが展開される。ガーランドのピアノを核とするリズム・セクションも申し分無い。右手のシングルトーンが魅力のガーランドも何時になく、熱いソロを聴かせている。

最後に、1958年12月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Freddie Hubbard (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。演奏曲は、3曲目「Do I Love You Because You're Beautiful?」。

トランペットとの2管フロント立てのクインテットは、1958年1月10日の録音と変わらないが、トランペットが若きフレディー・ハバードに代わっている。ハバードのトランペットは高度なテクニックをひけらかす様に、ウケ狙いのフレーズを連発してコルトレーンに対抗しているが、これが「チープで薄っぺら」な印象でいけない。完全にコルトレーンの引き立て役になってしまっている。やはり、自分の「個性と魂」を込めたフレーズで対抗しないとなあ。非常に上手いんだけどなあ。

逆に、コルトレーンのブロウは全く申し分無い。ハバードの「ウケ狙い」のプレイなど気にかけず、ほぼ完成されたバラード・プレイを披露している。

ということで、この寄せ集め盤、譲って冒頭からの3曲が聴きもの。チューバが入る4〜5曲目は平凡。それでも、1958年1月10日録音の、冒頭の2曲のコルトレーン・クインテットの演奏だけでも手に入れる価値はあると思料。プレスティッジ・レーベルも罪作りなことをしてくれたものである。
 
 
 

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2020年12月 9日 (水曜日)

コルトレーンの初リーダー作です

初期のコルトレーンが気になりだした。特に、プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンをもう一度、聴き直したい、という気持ちがフツフツと湧いてきた。調べてみると、当ブログで、プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作をしっかりレビューしていないことに気がついた。ということで、プレスティッジ時代のコルトレーンを聴き直して行くことにした。

John Coltrane『Coltrane』(写真左)。1957年5月31日の録音。この盤は同一日セッションの音源オンリーで、1957年10月にリリースされている。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Johnnie Splawn (tp), Sahib Shihab (bs), Red Garland (p on 1-3), Mal Waldron (p on 4-6), Paul Chambers (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。基本はフロント3管(テナー、トランペット、バリサク)に、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控える。

この盤がコルトレーンの初リーダー作とされる。それにしては、ちょっと狙いがボンヤリとした、とっ散らかったパーソネルで、これはプレスティッジ・レーベルお得意の「エイヤっでジャズマン集めて、誰かをリーダーにして、ジャム・セッション分の一発録り」だったのではないか。コルトレーンの個性と特性をよく理解して、その上で人選をしっかりする、というプロデューサー的な動きが読み取れない人選である。
  
 
Coltrane-album
 
 
それでも、この盤のコルトレーンのパフォーマンスは申し分無い。テクニック的にも安定し、速いフレーズにも破綻の無い、どっしりと落ち着いた安定感が光る。アドリブ・フレーズも当時としては新しいイメージの、イマージネーション溢れる優れたもの。コルトレーンのテナー・サックスの個性と特性はこの盤を聴くと良く判るが、既に確立されており、この個性と特性をベースに発展していくことになる。

この盤でのコルトレーンの特に優れた点は「バラードの表現力」。あちらこちらで語り尽くされている感があるが、この盤の2曲目「Violets for Your Furs(コートにすみれを)」のバラード表現は絶品である。コルトレーンのジャズ・テナーの表現力が非常に高いことを証明している。この時点でのコルトレーンのテナー・サックスの力量は他のテナー・マンと比べて、頭ひとつ飛び抜けている。

ここから、コルトレーンはジャズと共に進化していく訳だが、プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンはまだまだ「進化前」。真の「進化」は、アトランティック・レーベルに移籍後の『Giant Step』を待たねばならない。しかし、進化前のプレスティッジ・レーベル時代のリーダー作は、ハードバップを極めていく「ハードバップなコルトレーン」を十分に楽しめる。
 
 
 

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2020年11月20日 (金曜日)

「やっつけ録音」が大当たり

一昨日、昨日と里芋の収穫の為にブログをお休みしました。里芋の収穫、今年の夏の天候不順と酷暑で出来はイマイチでしたねえ。残念です。ついでに、畑のメンテナンス(収穫終了となった作物を抜いたり、雑草を刈り取ったり)も実施したので、一日が終わった後には、ブログを更新するエネルギーは残っていませんでした。

さて、プレスティッジ・レーベルである。手当たり次第に暇そうなジャズメンに声をかけ、スタジオで繰り広げるジャム・セッション〜リハーサル無しの一発勝負の録音。録音時期の整合性を無視した、フィーリングだけを頼りにした「寄せ集め的なアルバム編集」。ブルーノートとは正反対のレーベル運営。そんなプレスティッジだが、その「いい加減さ」が良い方向に作用したアルバムもあるから面白い。

Red Garland『All Mornin' Long』(写真左)。1957年11月15日、NYのVan Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), George Joyner (b), Art Taylor (ds)。ピアノのレッド・ガーランド名義のリーダー作となっているが、内容的にはリーダー無しの「ジャム・セッション」。たまたま、ガーランドがリーダーになっちゃんだろう。
 
 
All-mornin-long  
 
 
ワッとメンバーを集めて、ジャム・セッションを録音し、適当に編集してリリースする。プレスティッジのお得意の「仕業」なんだが、この盤はそれが良い方向に作用している。ネーム的にもベースだけがちょっと弱いが、他は錚々たるメンバー。そんな錚々たるメンバーが順番にソロを取って、自分の個性全開でパフォーマンスしているが、それがとても素晴らしい出来なのだ。

特にコルトレーンが良い。素晴らしいテクニックと併せて、これだけのびのびとハードバップなマナーでテナーを吹き上げているコルトレーンはなかなか聴けない。ドナルド・バードのトランペットも負けていない。ブリリアントなトランペットをテクニック宜しく吹き上げる。ガーランドの右手シングル・トーンも良いし、テイラーのドラミングも味が合って惚れ惚れする。

ワッとメンバーを集めて録音したら、それはそれは素晴らしい内容のジャム・セッションが録れちゃった、という感じの内容で、この日の音源はこの盤に収録された3曲以外に他に7曲ほどあるが、どれもが負けず劣らず素晴らしい内容。この日のジャム・セッションは何かが降りてきていたんじゃないか、と思われるくらいで、プレスティッジの「やっつけ録音」も大当たりすることがあるという好例である。
 
 
 

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