貞夫さんの「35年ぶりの邂逅」
和ジャズの重鎮といえば「渡辺貞夫」さん。貞夫さんは今年で90歳。しかし、ジャズマンは年齢では計れない。未だ、第一線で活躍している。しかも、貞夫さんのアルト・サックスには「衰え」が無い。いつでもどこでも「バップ」なアルト・サックスが爽快である。
『渡辺 貞夫 meets 新日本フィルハーモニー交響楽団』(写真左)。2023年4月29日、すみだトリフォニーホールにてライヴ録音。パーソネルは、渡辺貞夫 (as), マルセロ木村 (g), 養父貴 (g), 小野塚晃 (p, key), コモブチキイチロウ (b), 竹村一哲 (ds), 村田陽一 (cond), with 新日本フィルハーモニー交響楽団。
35年前、1988年に錦糸公園にて、新日本フィルとの公演を実施。以来、35年ぶりの新日本フィルとの奇跡の邂逅の記録。ジャズ・バンド側は、貞夫さんのアルト・サックス、マルセロ木村と養父貴のギター2本、そして、ピアノ・トリオがリズム・セクションに控えるセクステット編成。そして、新日本フィルが共演。ジャズになるんかいな、と心配になる。
ジャズはリズム&ビートが「キモ」。切れ味良いオフビート、切れ味の良いブレイク。クラシックのオーケストラは、弦楽器がメイン。音の伸び、音の連続が「キモ」。ジャズ・バンドの方は切れ味の良いリズム&ビートで疾走する。オーケストラ側は音の伸び・つながりが全面に出る。
オーケストラの音の伸び・つながりの「広がり」に包まれて、ジャズの音にラップがかかったようになって、切れ味の部分が丸くなることがある。聴き味は良いのだが、ビートが効いていない分、イージーリスニング風の音作りになる。これだと、貞夫さんの爽快な「バップ」なアルト・サックスを全面的に活かせない。
イージーリスニングな貞夫さんのアルト・サックスは聴きたく無いなあ、と思いながら、この盤を聴き始めたのだが、冒頭1曲目の「Nice Shot」を聴いて、それは杞憂だということが良く判った。新日本フィルの演奏の切れ味が抜群なのだ。ジャズの切れ味良いオフビート、切れ味の良いブレイクにバッチリ合わせてくる。歯切れ良く、エッジの立った、爽快感のあるパフォーマンス。素晴らしい。
この素晴らしいオーケストラの音である。貞夫さんの爽快な「バップ」なアルト・サックスが映えに映える。以降、「Mzuri」「Tsumagoi」「Boa Noite」「Only in My Mind」「Eye Touch」「Requiem for Love」「Sun Dance」「My Dear Life」とお馴染みの曲が演奏が爽快感を振りまいて疾走する。
ラス前「Sun Dance」でノリノリ、そして、ラストは「My Dear Life」で大団円。とりわけ、貞夫さんのアルト・サックスが、往年の輝きそのまま、ブリリアントで切れ味良く、歌心満載。本当に、いつ聴いても良い貞夫さんのアルト・サックス、やはり、これが一番。まだまだ現役、まだまだ第一線のアルト・サックスが映えに映える、秀逸な内容のジャズ・ウィズ・ストリングスである。
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