2019年7月 7日 (日曜日)

アコースティック・バンドの再始動

最近、チックの活動はちょっと活発。チック・コリアは1941年生まれなので、今年で78歳。健康にだけは留意して欲しいと思うばかり。僕は既に40年以上、チック・コリアのマニアなので、最近のコンスタントにアルバムをリリースする状況はとても嬉しい。しかも、そのタッチは衰え知らずなので、ファンとしては喜ばしい限りである。

Chick Corea Akoustic Band『Live』(写真左)。改めてパーソネルは、Chick Corea (p), John Patitucci (b), Dave Weckl (ds)。伝説のトリオの再始動を捉えたCD2枚組ライヴ盤。2018年1月13日、米・フロリア州セントピーターズバーグのSPCミュージック・ホールでの公演を収録したもの。1989年発表の第1弾『スタンダーズ&モア』はグラミー賞2部門受賞、全米ジャズ・チャートNo.1を記録。この3人でのアルバムは『ラウンド・ミッドナイト (原題:Alive)』(1991年発表)以来、28年振り3枚目。
 
僕はチック・コリアはエレもアコも大好きなので、今回の再始動ライブ盤は手放しで大歓迎。30年前、第1弾の『スタンダーズ&モア』が出た時は、テクニック優先で情緒に欠ける、ダイナミックな演奏が過ぎて情緒に欠ける、またアコースティック・トリオに戻って訳分からん、とか、当時の年配のジャズ評論家の方々の評価はイマイチだったなあ。
 
 
Live-ccab  
 
 
でも、今の耳で聴いても、かなり優秀な、時代の先端を行くピアノ・トリオだったと思います。今回のライブ盤、3人とも約30年振りなので、当然ながら30歳、歳を取った訳だ。当初のアコースティック・バンドの切れ味とダイナミズムはそのままに、成熟さと流麗さが加わって、現代のピアノ・トリオとして十分通用する内容になっている。この現代のピアノ・トリオとして通用する、という部分が凄い。決して「懐メロ」になっていないことが、とりわけ素晴らしい。
 
馴染みの深い曲がメインとなっているので、とても楽しい。もともとリズム感やタイム感が完璧な3人による再会セッションなので、「決め」の部分などがバッチリ決まっている。ライブでこれだけ完成度の高い演奏を繰り広げるのは流石である。というか、現代のジャズ・シーンの中でもそうそうはいない。初めて聴く人は、このトリオの演奏に「スリリングさ」を結構感じてくれるのではないか、と思っている。
 
コリアの曲とスタンダード曲と半々くらいの収録だが、スタンダード曲がなかなかマニアックで良い選曲だ。このスタンダード曲の演奏でよりこのアコースティック・バンドの真髄を感じることが出来る。録音も良く、それぞれの楽器が最高のバランスで録れている。しかし、チックにパティトゥッチのベースとウェックルのドラムはバッチリ合うなあ。30年前のチックの慧眼には感服する。
 
 
 
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年1月14日 (月曜日)

チック者に納得のライブ盤です

我らがチック・コリア。2013年9月と2010年の東京から、2012年秋から冬にかけての欧州ツアーから、それぞれライブ音源をセレクトした結果、CD3枚組になってしまったという、かなりボリューミーなライブ盤をリリースした。Chick Corea『Trilogy』(左をクリック)である。全く濃い内容のピアノ・トリオ盤でライブ感も心地良く、とても良い内容だった。

当時73歳のチックがこれだけのピアノ・トリオ盤をリリースした訳だが、昨年12月、またまた、チック・マクブライド・ブレイドの強力トリオのライブ盤がリリースされた。Chick Corea『Trilogy 2』(写真左)である。パーソネルは当然、Chick Corea (p), Christian McBride (b), Brian Blade (ds)。今回はCD2枚組。

チックは現在77歳。CD2枚組のライブ盤を出すとは、まだまだ若い。で、『Trilogy 2』の収録曲を見てみると、2016年のツアーのライブが半分、あと半分は前作と同じ2010年や2012年の収録もあったりして、全てが『Trilogy』以降の録音という訳では無い。しかし、全編聴き終えてみて、先ずチック御大が、チック者である我々を納得させてくれるプレイを展開しているので、録音年のことなどどうでもよくなる。
 

Trilogy_2

 
収録された曲がとても魅力的だ。チックの名曲「500 Miles High」「La Fiesta」「Now He Sings, Now He Sobs」にはもう惚れ惚れするしかない。面白いところでは、マイルスの「All Blues」や、ドーハムの「Lotus Blossom」、スティーヴィー・ワンダーの「Pastime Paradise」をチョイスしているところ。チックの旺盛なチャレンジ精神をビンビンに感じる。

そして、このトリオのポテンシャルを実感出来るのが、セロニアス・モンク作の「Crepuscule with Nellie」「Work」の2曲。このモンクらしい曲を、創造性豊かに、即興演奏の粋を尽くして、イマージネーション豊かに演奏している。特に、2016年の演奏は秀逸。フル・アコースティックで伝統的なピアノ・トリオ演奏でありながら、時代の最先端を行く、コンテンポラリーなピアノ・トリオがここにある。

チック・コリアの最新盤。チック・マクブライド・ブレイドの強力トリオのライブ盤。これがまあ、素晴らしい内容で、チックはまだまだ衰えていない。マクブライドのベース、ブレイドのドラムも超一級品。懐古趣味の微塵も無い、現代のピアノ・トリオの最強盤。CD2枚組のボリュームですが、聴き始めたらあっという間です。優れたライブ盤として、ジャズ者万民にお勧め。

 
 
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2018年2月28日 (水曜日)

フリー・ジャズなチック・コリア

チック・コリアには様々な「顔」がある。コンテンポラリーな純ジャズな「顔」もあれば、ハード・フュージョンな「顔」もある、マイルスも認める、先鋭的なエレ・ジャズなキーボード奏者の「顔」もあれば、デュオをやらせれば天下一品な、デュオ上手な「顔」もある。しかも、どの「顔」でも、その演奏ジャンルで超一流の成果を残すのだから素晴らしい。器用貧乏ならぬ「器用なレジェンド」である。

そんな器用なレジェンド、チック・コリアであるが、初期の頃、フリー・ジャズに身を投じている。チック・コリアという名前がジャズ者の間に広まった切っ掛けが、エレ・マイルス・バンドへの参加。あの帝王マイルスがその才能を認め、自らのバンドに参加させ、ツアーにも出ているのだ。これって凄いこと。そして、エレ・マイルス・バンドを辞した後、チックはフリーに身を投じる。

Circle『Paris Concert』(写真左)。1971年2月21日、パリの「Maison de l'O.R.T.F.」での録音。ちなみにパーソネルは、Anthony Braxton (reeds, perc), Chick Corea (p), David Holland (b, cello), Barry Altschul (ds,perc)。バンド名「サークル」とは、チック・コリアが、サックス奏者アンソニー・ブラクストンと出会って結成した「フリー寄りのユニット」である。
 

Paris_concert

 
このフリー寄りのユニット、サークルのライブ盤はECMレーベルからリリースされている。聴けば判るのだが、フリーな演奏の部分は、ECMジャズのフリー、所謂、欧州のフリー・ジャズである。抑制の美が個性、クールな響きが美しいフリー・ジャズ。恐らく、マイルス・バンドから独立したチックの最初の狙いが、この「欧州のフリー・ジャズ」だったのだろう。

このサークルという「フリー寄りのユニット」は、1970年秋から僅か半年だけの活動という超短命。超短命だったが故に、チックの失敗作とされることが多いのですが、どうして、このライブ盤の演奏を聴くと、結構「イケてる」限りなく自由度の高い純ジャズが展開されています。特に、スタンダード曲は、今の耳で聴くと「これってフリー」と思ってしまう、自由度の高いモードジャズ風な演奏に思わずドキッとします。

つまりは、チックの判断は「フリーは欧州ではウケるかもしれないが、メジャーにはなれない。そして、米国では売れない」と判断したんでしょう。チックの良いところは「駄目」と判断したら瞬時に切り捨てるところ。未練など微塵も無い。しかし、このライブ盤など、残されたサークルの音源を聴くと、これはこれでレベルの高いフリー・ジャズに仕上がっているのだから、チックは恐ろしい。

 
 

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2018年1月 9日 (火曜日)

チックとクジャラのデュオ演奏

チックとボラーニのデュオ盤について語っていて、あれ〜、そう言えば、なんかもう一枚、一風変わったチックのデュオ盤があったぞ、と思い至った。何だっけ。引っ掛かる思い出は、ちょうど社会人駆け出しのバブル期の頃なんだが。ちょうど1980年代半ばくらいにリリースされた盤と狙いを定め、チックのディスコグラフィーを確認する。

で、やっと判った。この盤である。Chick Corea & Steve Kujala『Voyage』(写真左)。邦題『果てしない旅』。1984年、ECMレーベルからのリリース。ECMの1282番。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Steve Kujala (fl)。チック・コリアとスティーブ・クジャラ、ピアノとフルートのデュオである。

スティーブ・クジャラって、何者やったっけ。あんまり聞かない名前である。調べてみたら、スティーブ・クジャラはチック・コリアによって見いだされたフルート奏者、とのこと。聴けば、クジャラのフルート、実に巧い。流麗かつ静的なエモーション。クラシックか、と問えば、その即興性溢れるプレイは、やはりジャズ寄り。
 

Chick_corea_steve_kujala_voyage

 
さて、このデュオ盤『Voyage』である。ジャズでもクラシックでも通りそうなこの内容は、サウンド面から感じるのは、アドリブもあるクラシック、というような趣き。チックの個性と相まって「クラシカル&ラテン」な雰囲気が濃厚。演奏の底にジャジーなビート感は希薄。ジャズとはかけ離れた「希薄なビート感」の中で、ジャズの真骨頂である「自由度の高いインタープレイ」が展開される。

この硬軟自在、緩急自在、変幻自在なジャズ的なインプロビゼーションでありながら、ジャズの様に温度感は高く無く、どちらかと言えば、温度感の低い展開が、このデュオ演奏の聴きどころであり、このデュオ演奏の個性である。このジャズ的な自由度の高いインプロビゼーションでありながら、アドリブもあるクラシック演奏という趣きは聴く人を選ぶだろう。

希薄なビート感、それでいて自由度の高いインタープレイ。明らかに欧州系ジャズの音世界。やはり、この音の内容って、ECMレーベルならではやなあ、と感心する。そして、相手をしっかりと選んで、相手の特質と特徴を十分に理解し、極上のデュオ演奏を繰り広げるチックって、やはりデュオ演奏の名手やなあ、と改めて思う。

 
 

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2018年1月 8日 (月曜日)

チックとボラーニのデュオ演奏

チック・コリアはデュオが得意。何故かは判らないけど、チックはデュオが得意。といって、誰彼も、という訳では無い。有名どころでは「ゲイリー・バートン」とのデュオは素晴らしい。最近、このブログでご紹介した「小曽根 真」とのデュオも絶品だ。そうそう、異種格闘技だけど、バンジョーのベラ・フレックとのデュオも良かった。

デュオ演奏なので、基本的に相手をしっかり選ぶ、というか、相性が大切ってことなんだろうが、今回、更にチックとの相性が良いデュオ相手が出現した。Stefano Bollani(ステファノ・ボラーニ)である。現在のイタリアを代表するジャズ・ピアニストの一人。ジャズ、ラテン、クラシックと幅広いジャンルを弾きこなすところは、チックと同じ。ちょっと個性が同じ過ぎるのでは、という懸念がが心をよぎる。

Chick Corea & Stefano Bollani『Orvieto』(写真左)。2010年12月の録音。2011年のリリース。いまから6年ほどの前のリリース。チックが25年以上の時を経てECMに吹き込み。ジャズ、ラテン、クラシックと幅広いジャンルを弾きこなす、イタリアの俊英ピアニスト、ステファノ・ボラーニとのデュオ盤である。
 

Chick_corea_stefano_bollani_orvieto

 
リリース当時は、あまり興味が湧かなかった。ピアノの同士のデュオは、お互いがお互いを慮って、なかなか丁々発止とした展開にはならない。特に同じタイプの場合、フレーズがぶつかる可能性が高い。チックとボラーニも同じ事が言えるのでは、と思い、実は、ほとんど聴かずにお蔵入りになった。しかし、今回、ふとこのデュオ盤のことを思い出し、聴き込んで「これは素晴らしい」と感じ入った次第。

「4本の手を持つ人間の一部になったような気分だ」とボラーニが語ったとか。同じタイプのピアニストが故に、しっかりと役割分担を確認し、それをしっかり守ったら、これほどまでに大胆で細心な、一人の人間が4本の手で弾きまくる様な、意思統一された展開が実現されるんやなあ、と、とにかく感心することしきり。

さすがECMレーベルからのリリース。ECMらしさが満載。音の響き、クラシックに影響を受けた、欧州的でメロディアスな展開。しかしながら、現代音楽風の聴き難さは全く無くて、そういう面ではECMとしては珍しい盤かもしれない。即興色が濃いので、ジャズ者初心者の方々にはちょっと辛いかも。ジャズ者中級者以上向けかな。

 
 

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2018年1月 3日 (水曜日)

チックと小曽根のDuoコンピ盤

明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。当ブログも今日から再開です。しかし、寒いですね。大晦日から2日の午前中まではちょっと穏やかな、厳冬も一休みの感じの栃木路でしたが、千葉県北西部地方に帰り着き、今日は朝から寒い寒い。昼前から強風吹き荒れ、散歩も中止。のんびり、ジャズ本を読んでいます。

さて、年の初めのジャズ音盤鑑賞は、やっぱり一番お気に入りのジャズメンのアルバムから入るのが基本でしょう。ということで、今週は、チック・コリアのアルバムを聴き進めています。一番のお気に入りのジャズメンでありながら、当ブログのご紹介していないアルバムがまだまだあります。そんな中の一枚がこの盤。

Chick Corea & Makoto Ozone『Duets』(写真左)。小曽根の過去作の中から、チックとの共演曲を中心に収録したコンピレーション盤。これは実に有り難いコンピ盤で、もともと小曽根のピアノって、チックに影響されたところが見え隠れしていて、その辺を確かめつつ、小曽根のピアノを愛でるに、格好の音源になっています。
 

Chick_corea_makoto_ozone_duets

 
二人の歯切れが良く、高いテクニックと音楽性に裏打ちされた共演は実に心地良い。この歯切れの良い硬質のタッチ、スピード感溢れるアドリブ・フレーズの展開など、小曽根のピアノは、チックのスタイルとの類似性があるなあ、と感じます。ただ、チックほど尖っていなくて、チックの尖り具合からすると、適度にジェントルで、エッジが少しラウンドしていて、ちょっと暖かみのあるタッチが個性です。

チックと小曽根の共演については、チック者の我々にとっては、相当に聴き応えがあります。本作品は、小曽根の過去作『トレジャー』(2002)、『Live & Let Live - Love For Japan』(2011)のチックとの共演曲を収録、加えて、『トレジャー』録音時のセッションから、これまで未発表だったピアノ・デュオによる即興演奏トラック4曲を初収録しています。いずれのトラックも聴き応え十分。

幾枚かに分散している音源を一気に聴き通せるのですから、こういうコンピ盤は良い企画だと思います。小曽根からしても「自身の師と仰ぐ」ジャズ・ピアニストはチック・コリア、としているので、その類似性については「納得」です。とっても聴き心地の良いピアノ・デュオです。コンピ盤といって侮るなかれ。チックと小曽根の相性の良さが十分に感じられる好盤です。

 
 

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2017年12月23日 (土曜日)

チックとガッドの新プロジェクト

チック・コリアは、僕のお気に入りピアニストの筆頭。1941年生まれなので、今年で76歳。結構な高齢になってきたのだが、まだまだ現役。もはや「生きたレジェンド」状態なのだが、まだまだ時代の最先端をいく、コンテンポラリーな純ジャズを中心に活動している。そんなチックがドラムのスティーヴ・ガッドと組んで、新しいバンドを立ち上げた。

Chick Corea & Steve Gadd『Chinese Butterfly』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Steve Gadd (ds), Lionel Loueke (g), Steven Wilson (sax, fl), Carlitos Del Puerto (b), Luisito Quintero (per)。チック・コリアとスティーヴ・ガッドという巨匠二人による新プロジェクトのデビュー盤。日本で11月22日発売。世界に先駆けて日本大幅先行発売である(海外は来年の1月18日のリリース予定)。

もともとチックは、ガッドのドラムと相性が良い。たまにしか組まないのだが、組んだ時のパフォーマンスはどれもが素晴らしい出来。切れ味良く固いタッチのチックのピアノに、縦ノリの柔軟度の高いガッドのドラミングは、硬のチック、軟のガッドという対比で相性が良いのだと理解している。
 

Chinese_butterfly  

 
このチックとガッドの新しいコラボの成果である『Chinese Butterfly』においても、その相性は抜群で、演奏全体の雰囲気としては、アコに拘らずエレに偏らない、アコとエレが見事に融合したフレッシュなサウンドが良い。現代のコンテンポラリーな純ジャズとは「かくあるべし」と言う感じの示唆に富んだ展開の数々が魅力的。

ジョン・マクラフリン作が1曲目、ルエケとチック・コリア作が7曲目、他は全曲コリア作。どの演奏もチックとガッドの相性がとても良いことが良く判る。メロディアスでメリハリが効いていて、硬軟自在、変幻自在、まあ、チックとガッドが組んでのコンテンポラリーな純ジャズである。悪かろう筈が無い。

6曲目「Return To Forever」の再演では、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのフィリップ・ベイリーがゲスト参加している。この辺が今回の新プロジェクトのキモなのかなあ、と睨んでいる。現在における成熟した「Return to Forever」を再現するつもりなのかなあ、とボンヤリと感じた次第。次作が楽しみである。

 
 

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2017年12月15日 (金曜日)

第1期RTFの裏の好盤です。

なんやかんや言いつつ、エレベ(エレクトリック・ベース)については、スタンリー・クラークがずっとお気に入りである。スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)。1951年6月生まれ。今年で66歳。チック・コリア(Chick Corea)の下、あの伝説のエレジャズ・バンド「リターン・トゥー・フォーエバー(Return to Forever=RTFと略)」のオリジナル・メンバーとして有名。

クラークは、アコベもエレベもいける両刀遣い。どちらの楽器に関しても一流である。テクニックがどうの、という次元を超越した、とにかく格好良いベーシストです。とりあえずペンタで速弾き、3フィンガー高速6連弾き、エモーショナルコード弾き、スラップしまくる、弦を手で叩きまくる、などなどの必殺技を繰り出す繰り出す。後進のベーシストに多大な影響を与えました。

Stanley Clarke『Children of Forever』(写真)。1972年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Clarke (b), Chick Corea (key), Pat Martino (g), Lenny White (ds), Arthur Webb (fl), Dee Dee Bridgewater, Andy Bey (vo)。ギターにパット・マルティーノ、ボーカルにディー・ディー・ブリッジウォーターの参加が目を惹く。
 

Children_of_forever

 
スタンリー・クラークの「RTF」在籍時にリリースした初リーダー作。内容的に「第1期RTF」の雰囲気そのままです。ボーカルが違う、ギターいたっけ、というところはありますが、基本は明らかに「RTF」。キーボードがチック、ドラムが後のRTFメンバーのレニー・ホワイト、加えて、エキゾチックでスピリチュアルなボーカル入り、そして、主役のクラークのベースがブンブン唸るので、どうしても「第1期RTF」を想起します。

しかし、出来は良い。確かにチック・コリア主導で事実上はチックのリーダー盤といって差し支えない内容ではあるが、ベースは絶対にスタンリー・クラークでないと成立しない音世界ではあるので、チックの影響が色濃いとはいえ、クラークのリーダー作として差し支えない。パット・マルティーノのギターもなかなかの活躍。ボーカルのディーディーとベイのボーカルの雰囲気がフュージョン。

スピリチュアル&クロスーオーバーな音作りが、今の耳にはユニークです。特にアコピのアコベの存在が面白い効果を醸し出していて、唯一無二のコンテンポラリーな純ジャズに仕上がっています。「RTF」の延長的な作品であるため、ファンの間ではこれをクラークのソロとカウントしないらしいが、それでも、RTFの裏の好盤のして、この盤は聴き応えがあります。

 
 

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2017年4月 4日 (火曜日)

CCEB・伝説のライヴ音源

久々に「チック者」にとって、嬉しいアルバム・リリースが続いている。エレクトリック・バンドもの、チックのキャリアを振り返るバラエティもの、2種類のアルバムがリリースされた。ほんま、我々「チック者」にとってはウハウハである(笑)。

特に、エレクトリック・バンドものについては涙涙である。かれこれ、本格的なエレクトリック・バンドものは久々ではないか。確か2013年の『The Vigil』以来、4年ぶりである。そのアルバムとはライブ盤。The Chick Corea Elektric Band(CCEB)『Live In Tokyo 1987』(写真左)。

もともとは以前、1988年にリリースされた『GRPスーパーライヴ!』に収められたEBの驚異的なパフォーマンスを単独でリリース。1987年10月8日の昭和女子大人見記念講堂での伝説のライヴ音源である。ちなみに僕はこの『GRPスーパーライヴ!』を所有していない。噂で、このライブ音源でのCCEBは凄いぞ、と聞いていたが、残念ながら音源を所有していない。
 

Live_in_tokyo_1987

 
21世紀も17年経って、やっとこの伝説の音源を所有する機会に恵まれたことになる。で、当然ながら、このライブ音源のCCEBの演奏は凄い。余裕がありながら鬼気迫るものがある。切れ味抜群、ノリ抜群。チックのキーボード・ワーク絶妙、飛翔感が半端無い。運指も正確無比。チックのライブでのベスト・パフォーマンスのひとつと言っても良い内容。

サイドメンも抜群のパフォーマンス。パティトゥッチのエレベの躍動感。デイヴ・ウェックルのポリリズミックなドラミング、切れ味抜群のギャンバレのギター、官能的で疾走感溢れるマリエンサルのサックス。リーダーのチックのみならず、サイドメン全員のパフォーマンスが一様に優れているライブ音源でそうそう無い。

いやはや、噂に違わぬ素晴らしい内容のライブ音源です。1988年にリリースされた『GRPスーパーライヴ!』は中古でもそうそう手に入るものでは無いので、今回の分割リイシューは有り難い。リマスターも施されているみたいで音も良い。惜しむらくは、1987年10月8日、東京昭和人見記念講堂にいたかった(笑)。生で見たかった、生で聴きたかった。

 
 

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2016年11月23日 (水曜日)

チックとハービーの連弾ライブ盤

最近、久し振りにこの連弾ライブのアルバムを聴いた。この連弾ライブのアルバムは同じツアーの音源から編集されたLP2枚組の2種類しか無い。その二人とは「Herbie Hancock & Chick Corea」。1978年2月、この2人は唐突に連弾ライブのツアーを敢行した。

1978年2月の頃は、ハービーのあの大人気となった「V.S.O.P.」での活動が一段落した頃。ジャズ界では「フュージョン・ジャズ」の人気がピークの頃。しかしながら、この大人気となった「V.S.O.P.」のお陰で、にわかに「アコースティック・ジャズ」が再び脚光を浴び始めた。その時流に乗った連弾ツアーだったのだろう。

日本でもこの連弾ツアーの様子はジャズ雑誌を通じて速報され、「当代二大人気ピアニストによる世紀の競演」などと大いに煽られ、この様子を捉えたライブ盤が出るとなった時には、レコード屋で予約を入れたほどである。僕は当時、ピッカピカのジャズ者1年生。この人気ピアニスト二人の連弾ライブは「取っ付き易かった」。

まずは『An Evening With Herbie Hancock & Chick Corea In Concert』(写真左)。1978年11月のリリース。当時、ハービーが所属していた大手レコード会社Columbiaからのリリースであった。LP2枚組のボリュームで、ジャケットも大手レコード会社ならではの整然としたもの。

こちらの連弾ライブは一言で言うと「バランスが良い」。ステレオで聴くと、左チャンネルがはービー、右チャンネルがチックである。Columbiaからのリリースなので、ハービーが前面に出た演奏を選んで選曲している様だが、ハービーばかりが目立ってはいない。バランス良く、ハービーとチック、半々に目立っている。

選曲も冒頭からの2曲「Someday My Prince Will Come」と「Liza (All the Clouds'll Roll Away)」という馴染みのあるスタンダード曲が収録されているので親しみ易い。さすが、大手のレコード会社Columbiaからのリリース。とにかくバランスが良い。よって、この2枚組LP、売れましたね〜。
 

Chickharbie_duo_live

 
もう一方は『CoreaHancock:An Evening With Chick Corea & Herbie Hancock』(写真右)。こちらは1979年のリリース。当時、チックが所属していたレコード会社Polydorからのリリース。タイトルをよく見ると、チックの名前がハービーの名前の前にある。ちなみに先のColumbia盤は、ハービーの名前がチックの名前の前にある。意外とどちらが前でどちらが後か、しっかり意識している。

加えて、こちらはColumbia盤に遅れて1979年のリリース。Columbia盤の人気に驚き、慌てて追いリリースした様でもあるLP2枚組。音源は1978年2月のライブでの公演ツアーでのものなのだが、当然、Columbia盤とは異なった日時での演奏である。後発リリースである。そりゃ〜当たり前やな。

こちらはPolydorレコードの意向なのか、チックが前面に出ている。明らかにチックが目立っている。選曲からしてそうだ。パルトークの「Mikrokosmos For Two Pnos, Four Hands': Ostinato」が収録さている。これはピアノのテクニックの優劣がモロに出る難度の高い楽曲である。この難曲を当時の若きチックはバンバン弾きまくる。相対するハービーもテクニシャンではあるが、この選曲は明らかに「チック持ち」である。

ラストの2曲、ハービーの「Maiden Voyage」、チックの「La Fiesta」の収録はColumbia盤と同じではあるが、演奏内容は全く異なる。こちらのPolydor盤では、明らかにチックが弾けている。ハービーも負けじと応戦しているが、このチックの弾け方には「お手上げ」の様子。

このPolydor盤は、明らかにチックを「贔屓」にした編集である。先のColumbia盤ではチックとハービーは拮抗していたから、やはり、この連弾ライブ、チックに有利、ハービーに不利だった感じがする。それ故なのか、この二人の連弾ライブは再結成されることは無かった。まあ、これだけ有名で優れたピアニストの二人である。再び、連弾ライブをする意義・意味・動機が無いんでしょうね。

 
 

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