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2016年6月21日 (火曜日)

やっぱりロリンズはロリンズ

ジャズ盤を聴くのが趣味なので、サックスのリーダー盤もよく聴く。新盤旧盤含めて、かなりの種類のサックスを聴いてきたが、このライブ盤を聴くと、やっぱり、サックスはこの人やなあ、と感動するのだ。

Sonny Rollins『Road Shows, Volume 3』(写真左)。2001年から2012年の間、全6カ所、6曲のライブ・パフォーマンスを厳選している。詳細は以下の通り。結構バラエティーに富んライブ会場である。

#1: recorded November 11, 2001 at Saitama City Culture Center,
   Saitama, Japan
#2: recorded May 15, 2006 at Halle aux Grains, Toulouse, France
#3: recorded July 25, 2012 at Palais Longchamp, Marseille, France
#4: recorded September 19, 2009 at Blanche M. TouhillPerforming
     Arts Center, St Louis, MO
#5: recorded August 11, 2007 at Le Chapiteau, Marciac, France
#6: recorded July 25, 2012 at Palais Longchamp, Marseille, France

 
そして、選曲が以下の通り。これがまた、バラエティーに富んでいて、スタンダードあり、新曲あり、自作曲あり。

1. Biji
2. Someday I'll Find You
3. Patanjali
4. Solo Sonny
5. Why Was I Born?
6. Don't Stop The Carnival
 

Road_shaw_vol3

 
このライブ盤でのロリンズは、どこから聴いても「ロリンズ」なのだ。1曲目「Biji」の最初のサックスの「ブリッ」という音だけで、もう「これはロリンズだ」と判ってしまう。これって凄い。出てくるサックスの音が、完璧な「ロリンズ音」なのだ。

そして、その「吹きっぷり」。とにかく朗々と豪快。パワフルできめ細やか。そして、そのスタミナたるや、もはや「驚異」である。2001年で71歳、2012年で82歳。この6曲のパフォーマンスを聴いて、これが70歳から80歳のおじいちゃんなのか、とつくづく驚いてしまう。なんて「テナー・タイタン」なんや〜。

このライブ集を聴いて思うのは、やっぱり「ロリンズはロリンズ」、そして、やっぱり「テナーはロリンズ」。最近でも優れた若手サックス奏者はいる。それだけ聴けば、このサックスが先端やなあ、なんて思ったりするが、そこにこのロリンズのライブ音源をぶつけると、やっぱり、まだまだ「テナーはロリンズ」だということに落ち着く。それほど、ロリンズのテナーは素晴らしい。

ロリンズのライブ・パフォーマンスと言えば「カデンツァ」の存在だが、このロリンズの「カデンツァ」は好調であればあるほど、現れ出でる。この収録された6曲のほとんどで「カデンツァ」が要所要所で炸裂している。テネシーワルツだとか、おおスザンナだとか、出てくる出てくる、楽しい「カデンツァ」。

やっぱりロリンズはロリンズ。良いですね。なかなかの好ライブ集だと思います。ロリンズ者意外にも、ジャズ中級者以上のジャズ者の皆さんに一度は聴いて貰いたい、ロリンズのパフォーマンスです。このロリンズのパフォーマンスに、ジャズのトレンド、奏法の流行は全く関係無し。まさに潔く個性的な「生きたレジェンド」。

 
 

震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年3月30日 (水曜日)

80年代のロリンズを表した好盤

ソニー・ロリンズの聴き直しを再開している。1980年代半ば、ジャズ界は、ウィントン・マルサリスを中心とする「新伝承派」が、純ジャズ復古の大号令をかけて、ネオ・ハードバップ、ネオ・モーダルな演奏を繰り広げつつあった時代。

しかし、我らがロリンズは、そんなジャズ界のトレンドなど「何処吹く風」。今から振り返ると、この1980年代半ば、という時代は、ロリンズにとっては、揺るぎの無いロリンズだけの「永遠のスタイル」を確固たるものにした時代ではなかったか、と思っている。

1987年のロリンズと言えば、Sonny Rollins『Dancing in the Dark』(写真左)。1987年9月の録音になる。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Jerome Harris (el-b, g), Marvin "Smitty" Smith (ds)。ドラムに、マーヴィン・スミッティ・スミスが座る。

冒頭の「Just Once」のロリンズのテナーを聴くだけで「ああ、ロリンズってええなあ」と心から思ってしまう。フュージョンっぽい、聴き心地の良いポップなバックを従えて、ロリンズは鼻歌を歌うように、大らかにテナーを吹き上げる。しみじみと聴き入ってしまう。

続いて、転がる様に元気で明るいロリンズのオリジナル「O.T.Y.O.G.」。ここでもロリンズは吹きまくる吹きまくる。なんて体力なんだ。3曲目のバラード「Promise」での、ジェローム・ハリスのエレベのソロを聴くと、エレベでのジャズもありやなあ、と思い返す。純ジャズにエレベは合わないのでは無い。エレベにはエレベなりの弾き方があるんやなあ、と感じ入る。
 

Dancing_in_the_dark1

 
そして、やって来ました十八番のカリプソ。4曲目「Duke Of Iron」はご機嫌で陽気なカリプソ・ジャズ大会。やはり、ロリンズのカリプソは良い。陽気で大らかでダイナミックなカリプソ・ジャズ。ロリンズの面目躍如である。

グループ・サウンドとしては、やはりマーヴィン・スミッティ・スミスのドラミングに新しい雰囲気を感じる。ロリンズの傍らでフロントをとるクリフトン・アンダーソンのトロンボーンが効いている。決して、音的にロリンズのテナーの邪魔をしない、ロリンズのテナーに寄り添う様なユニゾン&ハーモニーは絶品。

マーク・ソスキンのピアノは控えめだが、趣味の良いフレーズでロリンズのテナーにアクセントを付ける。ロリンズのテナーを惹き立てせるピアノ。ピアノ嫌いのロリンズが敢えて採用したソスキンのピアノ。このアルバムのソスキンのピアノを聴けば、その理由が良く判る。

アルバムを通して、大らかで明るくて元気なロリンズのテナーが印象的な好盤です。ジャズ盤の紹介本でも、ロリンズ盤の紹介本でも、あまりクローズアップされないアルバムなんですが、どうしてどうして、グループ・サウンドとしても充実していて、1980年代のロリンズを良く表した好盤だと思います。

 
 

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2016年3月26日 (土曜日)

圧倒的に吹きまくるロリンズ

ロリンズの全アルバムの聴き直しを再開した。1986年のライブ盤からの再開。ジャズ界は「純ジャズ復古」のムーブメントの真っ只中を進んでいたのだが、ロリンズは、最早そんなトレンドなどには左右されない。ロリンズはもう「ロリンズ節」としか言いようのない、ロリンズ独自のフレーズを吹きまくっている。

そんなロリンズ節吹きまくりのライブ盤がこれ。Sonny Rollins『G-Man』(写真左)。1986年8月16日、ニューヨークのソーガティズにある「Opus 40」でのコンサートでのライブ録音である。Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Bob Cranshaw (el-b), Marvin "Smitty" Smith (ds)。テナーとトロンボーンの2管フロントのクインテット構成である。

収録された曲は全てロリンズのオリジナル。スタンダード皆無のストイックな内容です。このライブ盤でのロリンズはとにかく吹きまくります。まず、冒頭のタイトル曲「G-Man」を聴き通してビックリ。約15分の長尺演奏なんですが、なんとロリンズのソロだけが延々と続きます。マンネリや繰り返しにならない創造性豊かなフレーズにもビックリですが、15分間、ソロを吹きまくる体力にもビックリです。

2曲目の「Kim」はロリンズお得意の大らかで朗々とした「ゴキゲン調」の演奏ですが、トロンボーンやピアノのソロが好調です。この日のロリンズ・バンドの好調さがこの2曲目の演奏を聴いていて良く判ります。そして、この「ゴキゲン調」をバックで煽り鼓舞するドラミングがこれまた見事。マーヴィン・スミッティ・スミスの面目躍如ですね。
 

Sonny_rollins_gmen

 
3曲目の「Don't Stop The Carnival」は、これまたロリンズお得意の「カリプソ調」の演奏。この演奏で、ボブ・クランショウのエレベの響きに耳を奪われます。前の1〜2曲目の演奏でも、このクランショウのエレベの響きの素晴らしさに気がつくのですが、この3曲目の演奏で、その「気づき」が「確信」に変わります。実はこのライブ盤でのクランショウのエレベは素晴らしい。アコベにひけをとらないエレベの響き。このレベルであれば、純ジャズにおいてエレベも「アリ」ですね。

ラストの「Tenor Madness」はハードバップ時代のロリンズの名曲ですが、バンド全体が一体となって、ソロ・フレーズを吹きまくり、弾きまくり、叩きまくります。この一体となった演奏野中で、ロリンズは限りなく自由なアドリブ・フレーズを吹きまくります。決してアブストラクトに、決してフリーキーにならないロリンズの自由なアドリブ。一瞬、コルトレーンの自由なアドリブを思い出しました。

実はこのライブ盤、録音状態はまあまあなレベルでそれだけが「玉に瑕」なのが実に惜しい。それでも、まずまず聴けるレベルではあるので、まずはロリンズ者(ロリンズ・ファン)の方々にはマスト・アイテムでしょう。これだけ圧倒的迫力を持って、全編吹きまくるロリンズは実に魅力的です。

 
 

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2015年3月11日 (水曜日)

ロリンズは豪快に吹きまくる

ブルーノート・レーベルのソニー・ロリンズの第2弾になる。『Sonny Rollins, Vol. 2』(写真左)。ブルーノートの1558番。1957年4月の録音。ちなみにパーソネルは、J.J. Johnson (tb), Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p), Thelonious Monk (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。

自作曲の2曲「Reflections」と「Misterioso」に限って、ピアノにセロニアス・モンクが座る。 それ以外は、ファンキー・ピアニスト、ホレス・シルバーが担当する。ホレス・シルバーとソニー・ロリンズって、ブルーノートならではの組合せ。ありそうで無い。相性はどうなんだろう。

よくよく見れば、ベースには、ポール・チェンバース、ドラムにアート・ブレイキ−。ソニー・ロリンズとベースのチェンバース、ドラムのブレイキーの組合せは、これまた珍しい。ブルーノートならではの組合せ。これもありそうで無い。特に、ロリンズとチェンバースの組合せは珍しいのではないか。

そんなブルーノート・レーベルならではのスペシャルなパーソネルの下、アルバムの中では「大ハードバップ大会」が繰り広げられている。時は1957年。ハードバップのトレンドがピークに差し掛かる時代。この『Sonny Rollins, Vol. 2』では、絵に描いた様なハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。
 

Sonny_rollins_vol2

 
冒頭の自作曲「Why Don't I?」から、ロリンズは飛ばしまくる。そうそう、ロリンズはこうでなくては。『Sonny Rollins, Vol. 1』のロリンズは、他のメンバーに遠慮していたのか、大変、お行儀の良いテナーで、なんだか歯がゆい感じがズッとする、ロリンズに冠してはちょっと不完全燃焼な盤だったが、この『Sonny Rollins, Vol. 2』は違う。

続く自作曲「Wail March」でもロリンズは豪快に吹きまくる。そして、3曲目がモンクの「Misterioso」。この難曲をロリンズはいともたやすく、豪快に吹き上げていく。これだけ豪快な「Misterioso」もなかなか無い。モンクの曲と言えば、続く4曲目の「Reflections」も良い。この2曲で、ロリンズのテナーのテクニックは確かなものであることを確信する。

こうやって、この『Sonny Rollins, Vol. 2』を聴いていると、意外とベースのチェンバース、ドラムのブレイキーとの相性が非常に良いことが判る。特に、ブレイキーはノリにノっていて、バッシバッシと大はしゃぎである(笑)。それでも、ブレイキーのリズム&ビートは揺らぎと破綻が無く、堅実かつ豪快に叩きまくる。これがロリンズの豪快なテナーにバッチリなのだ。

ちょっと意外感のある、大変お行儀の良い『Sonny Rollins, Vol. 1』に比べて、この『Sonny Rollins, Vol. 2』では、ロリンズの有るべき姿を確認することが出来る。初期の頃のロリンズを愛でるには『Sonny Rollins, Vol. 2』でしょう。やはり、ロリンズは豪快にブロウし、悠然とスイングするのが良い。

 
 

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2015年3月 9日 (月曜日)

ブルーノート謹製ハードバップ

人呼んで「テナー・タイタン」。ソニー・ロリンズは、ブルーノート・レーベルに4枚のリーダー作を残している。どれもが水準以上の内容で、さすがロリンズ、さすがアルフレッド・ライオンである。そんな若きソニー・ロリンズがブルーノートに残した成果を聴き直してみた。

まずは、これだろう。『Sonny Rollins, Vol.1』(写真左)。1956年12月の録音。ブルーノートの1542番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Sonny Rollins (ts), Wynton Kelly (p), Gene Ramey (b), Max Roach (ds)。ブルーノートにおけるロリンズの初リーダー作。

冒頭の「Decision」を聴くと、ちょっと「あれれ」と思う。リーダーのロリンズのテナーが目立たない。まずはトランペットが目立つ。輝かしいブラスの響きを湛えつつ吹きまくる、吹きまくる。初めは「リー・モーガン」かと思ったら違った。なんと「ドナルド・バード」である。

ええ〜、ドラルド・バードってこんなにバイタルに吹きまくるトランペッターだったかなあ。とにかく、このソニー・ロリンズのリーダー作で、俺が主役じゃ、と言わんばかりに、全編に渡ってトランペットを吹きまくる。場面によっては五月蠅い位だ。

そして、相変わらず、ドラムのマックス・ローチは冗長なドラムソロで目立ちたがる。マックス・ローチは基本的に目立ちたがり屋で、バックに回っているときも、結構、バシャバシャ叩いていて、ちょっと五月蠅いくらい。これがバップ・ドラミングだ、と言われればそれまでだが、ちょっと五月蠅い。
 

Sonny_rollins_vol1

 
加えて、哀愁のハッピー・スインガーであるピアノのウィントン・ケリーも何時になく弾きまくっている。これまた、根っからのハッピー・スインガーが弾きまくるのだから、目立つ目立つ。これまた五月蠅い位に弾きまくる。

どうもロリンズは人が良すぎる。参加したサイドメンが目立ちまくるリーダー作なんて聴いたことが無い。1曲目の「Decision」を聴いて先が思いやられる展開である。

しかし、2曲目の「Bluesnote」でロリンズも吹きまくり始める。まあ、バードのトランペット、ローチのドラム、ケリーにピアノが目立ちまくっているのは「そのまま」なのだが、そんな中にロリンズが割って入り始める。プロデューサーのアルフレッド・ライオンのサジェスチョンがあったのだろうか。

3曲目の「How Are Things In Glocca Morra?」以降、ロリンズの吹きまくりのスペースがどんどん広がっていって、やっとリーダー作らしく、ロリンズが吹きまくる。なんだかホッとする。ロリンズのテナーは、豪快に吹きまくってこそのテナーなので、他に吹きまくられているロリンズは「らしくない」。

ただ、この『Sonny Rollins, Vol.1』は、内容的には、絵に描いた様なハードバップ・ジャズで、テーマ部のユニゾン&ハーモニーも、アドリブ部の展開も、典型的なハードバップな音が満載。アレンジもカッチリしていて実に端正な音作りがなされており、まさに徹頭徹尾「ハードバップ」な音なのだ。

僕は、この『Sonny Rollins, Vol.1』は、ロリンズを聴くというよりは、ハードバップを聴くアルバムとして、皆にお勧めしている。このアルバムには、良質で端正なブルーノート・レーベル謹製の「ハードバップ」が詰まっている。

 
 

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2015年2月 6日 (金曜日)

音を楽しめるフリーなジャズ演奏

久し振りに改めてこのライブ盤を聴いてみた。このライブ盤を聴く度に「フリー・ジャズとは一体なんなんだ」と強く思う。ジャズのフリー・インプロビゼーションとは一体なんなのだ。そして、ジャズ・ミュージシャンの技量とは如何なるものなのか。そんな考えに思いを馳せたりする。

そのアルバムとは、Sonny Rollins『The Solo Album』(写真左)。1985年7月15日、ニューヨーク近代美術館におけるソロ・パフォーマンスを収録したライブ盤。完全なソロ、たった一人で、サックス一本で、約28分の長時間インプロビゼーションを2本立て続けに演奏し続けるのだ。

ロリンズのソロは凄い。メロディーもあるし、歌心もある。つまり、テナー一本のソロでありながら、そのソロ・パフォーマンスは旋律があり、音を楽しむことが出来る。つまり、ロリンズのソロ・パフォーマンスは「音楽」である。ところどころで「どこかで聴いたことがあるフレーズ」を交えて、聴衆をちょっとニンマリとさせながら、ロリンズは悠然とフリー・インプロビゼーションを吹き進めていく。

このロリンズの『The Solo Album』では、全くのフリーな吹奏である。つまりは「フリー・ジャズ」。しかし、それまでのフリー・ジャズの語法とは全く異なる。馬の嘶きの様な、人の叫びの様な激情のブロウは全くほとんど聴くことは無い。テクニックを誇示するような高速フレーズを吹きまくることも無い。モードに走ることも無ければ、不協和音に頼ることも無い。
 

Sonny_rollins_solo_album

 
ロリンズは悠然と、メロディーのある、歌心もある、旋律があり、音を楽しむことができるフレーズを吹き上げていく。しかも、1曲約28分という超ロングプレイ。この1曲約28分の間、聴き手を全く飽きさせること無く吹き終えるなんて、なんて素晴らしいインプロバイザーなんだろうか。汲めども尽きぬ魅力的なフレーズの連続。そこかしこに「ロリンズ節」を織り交ぜて、堂々のブロウ。

恐らく、メロディーのある、歌心もある、旋律があり、音を楽しむことができるフレーズをゆったりとした展開で吹き進めるからこそ、1曲約28分のソロ・パフォーマンスを2本も続けて吹くことが出来るのだろう。汲めども尽きぬ魅力的なフレーズの連続だからこそ、聴き手も飽きずに、ロリンズを鼓舞し続けることが出来るのだ。吹き手と聴き手の共同作業であり相乗効果である。

これまでのフリー・ジャズの定番的な語法である「馬の嘶きの様な、人の叫びの様な激情のブロウ」では、「テクニックを誇示するような高速フレーズ」では、1曲約28分のソロ・パフォーマンスを吹ききることは出来ないだろう。ましてや、2本続けて吹くなど、絶対に無理だ。

このライブ盤を聴く度に「これまでのフリー・ジャズとはなんだったのか」という思いを強くする。このロリンズのソロ・パフォーマンスは、フリーなジャズに対する、難解なジャズに対する「アンチテーゼ」の様に響く。音を楽しめる「フリー・インプロビゼーション」。ロリンズのジャズ・ミュージシャンとしての技量の広さと大きさを実感する。

 
 

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2015年1月28日 (水曜日)

ネアカなゴキゲン・ジャズです。

ソニー・ロリンズの聴き直しシリーズ。1984年に突入する。1983年がリリースが無くて、2年ぶりの1984年のアルバムと言えば、Sonny Rollins『Sunny Days, Starry Nights』(写真左)。

ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Clifton Anderson (tb), Mark Soskin (p), Russell Blake (el-b), Tommy Campbell (ds)。ロリンズ以外、知らないメンバーばかりになった。

これまでのアルバムのパーソネルはどちらかと言えば、有名どころを集めたオールスター・バンド的なものだったので、このロリンズ以外知らないメンバーばかりのバンドにはちょっと戸惑った。大丈夫なのか、と不安になった。しかし、今の耳で聴いてみると、ロリンズのオリジナル・バンドという感じで、ロリンズにピッタリ合ったバッキングが良い感じです。

ロリンズはと言えば、このアルバムでも「我が道を行く」。こうやって、ロリンズのアルバムを年代順に聴き直してみると、1981年の『No Problem』、1982年の『Reel Life』、そして、この1984年の『Sunny Days, Starry Nights』の3枚は、ロリンズの「我が道を行く」シリーズである。バックのメンバーが誰であろうが、周りのトレンドがフュージョン・ジャズ一色だろうがお構いなし。
  
Sunny_days_starry_nights
 
この『Sunny Days, Starry Nights』なんぞは、ロリンズお得意のカリプソ・ナンバーが2曲も入っている。カリプソがやりたかったんだろうな〜、ロリンズ。思いっきりご機嫌なカリプソ・ナンバーが魅力。ロリンズのテナーは思いっきり飛ばしています。

そして、スタンダード・ナンバーが2曲、「I'm Old Fashioned」と「I'll See You Again」なんですが、これがまた、カリプソ・ナンバーに負けない位の「ご機嫌」なアレンジで、ロリンズが豪快にテナーを吹き上げています。むっちゃネアカな「I'm Old Fashioned」は聴きものです。聴いていて「とても楽しい」。

とにかく、全編、ネアカなゴキゲン・ジャズのオンパレード。振り返れば、1981年の『No Problem』、1982年の『Reel Life』、そして、この1984年の『Sunny Days, Starry Nights』の3枚が、このネアカなゴキゲン・ジャズのシリーズであった。ロリンズの「我が道を行く」ネアカなゴキゲン・ジャズ3部作。そのラストの『Sunny Days, Starry Nights』は思いっきり楽しい。

しかし、この3部作を聴き通すと、ちょっと飽きが来る。しかし、次のアルバム、1985年には、ロリンズはとんでもないアルバムをリリースする。そのロリンズの「とんでもない」アルバムについては、また後日。 
 
 
 

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2015年1月27日 (火曜日)

あくまでも超然とマイペース

今日もソニー・ロリンズの聴き直しシリーズの続きである。今日は、1982年8月録音の、Sonny Rollins『Reel Life』(写真左)。「Reel」とは「フィルム・テープなどの巻き枠」の意だろう。ジャケット写真を見ればそう思う。リールの上に、ロリンズが小さくチョコンと座っている(笑)。

ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Bobby Broom (g), Yoshiaki Masuo (g), Bob Cranshaw (el-b), Jack DeJohnette (ds, cong, maracas)。日本のジャズ・ギタリスト、増尾好秋がカムバックして、ボビー・ブルームと共にツイン・ギターを形成。ドラムにジャック・デジョネットが座る。ベースはロリンズのお気に入り、エレベのクランショウ。

ツイン・ギターに、デジョネットのポリリズムが絡むのだから、このバックに相対して、ロリンズはバリバリ吹きまくるのか、と思えばそうでは無く、あくまでもロリンズはマイペースで吹いている。まあ、この頃のロリンズは、バックによって吹き方やアプローチを変えるなんてことは無く、あくまでも超然とマイペースで吹く。そう、もはや「超然」とした存在なのだ。

冒頭のタイトル曲「Reel Life」は、出だしで、茫洋とノンビリしたロリンズのブロウに面食らうが、すぐにご機嫌なネアカな純ジャズが展開。ツイン・ギターも好調にバッキングし、デジョネットのドラミングはあくまでロリンズのサポートに徹する。こんなに殊勝で自分を前に出さないデジョネットも珍しい。
 

Sonny_rollins_reel_life

 
2曲目「McGhee」と6曲目の「Best Wishes」では豪快なブロウで度肝を抜かれ、3曲目の「Rosita's Best Friend」のロリンズお得意のカリプソ調の底抜けに明るい演奏に心躍らされる。やっぱり、ロリンズのカリプソは良いな〜。この頃のアルバムには、必ず1曲はカリプソ調の楽曲を取り入れている。

4曲目の「Sonny Side Up」の格好良い展開に、切れ味良くアドリブ・フレーズを展開するロリンズは凄いな〜と思い、5曲目「 My Little Brown Book」の豪快なバラードを聴いて、やっぱりロリンズのバラードは良いな〜と感心する。とにかく、このアルバムのロリンズは、どの曲でもポジティブにネアカにテナーを吹きまくる。

全体が明るい雰囲気で覆われている分、ポップな感触が実に心地良いアルバムである。フュージョン・ジャズの最後期のポップな純ジャズのロリンズ。やはりこのアルバムでも、ロリンズは「我が道を行く」である。

 
 

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2015年1月26日 (月曜日)

ロリンズは「我が道を行く」

ソニー・ロリンズの聴き直しシリーズ。2008年から延々と続いているのであるが、やっと、1979年5月の録音、『Don't Ask』まで来た。次のアルバム『Love At First Sight』は、2009年8月29日のブログ(左をクリック)でご紹介したので、その次のアルバムへ。

1981年12月の録音。1980年代に入って2枚目のアルバムになる。そのアルバムとは、Sonny Rollins『No Problem』(写真)。ロリンズが自由に吹きまくるポップなジャズ盤です。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Bobby Hutcherson (vib), Bobby Broom (g), Bob Cranshaw (b), Tony Williams (ds)。錚々たるメンバーである。

錚々たるメンバーなのだが、アルバム全体はロリンズ色で染まっている。ピアノレスのクインテットなので、ロリンズのブロウには、かなりの自由が与えられている。そして、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブが、演奏全体にポップな雰囲気を醸し出している。1981年と言えばフュージョン末期。ソフト&メロウなフュージョン・シーンの中での、ロリンズなりのポップなジャズがこの盤に満載。

ポップでキャッチャーな曲が多くて、リラックスして聴けるところがこの盤の良いところ。冒頭のタイトル曲など、ゆったりとした親しみのあるメイン・テーマから、途中4ビートに変わったり、なかなか聴き応えのあるポップな純ジャズな演奏になっています。2曲目の「Here You Come Again」もポップな雰囲気が魅力のブロウ。
 

Sonny_rollins_no_problem_2  

 
4曲目の「Coconut Bread」は、ロリンズお得意のカリプソ・ナンバー。少し速いフレーズで疾走感溢れるブロウを聴かせてくれます。6曲目の「Illusions」は短めのバラード曲ですが、これがジックリと聴かせてくれる、さすがはロリンズというブロウ。そして、ラストの「Joyous Lake」はこれまたご機嫌なノリノリのポジティブな演奏。

この『No Problem』は、ロリンズのポップで明るい純ジャズなアルバムですね。バックのメンバーも錚々たるメンバーなのですが、ロリンズ・ジャズに合わせて、ロリンズ・ジャズに染まって、独特の明るいポジティブなグルーブを醸し出しています。さすがですね。

この頃のロリンズは「我が道を行く」という雰囲気のブロウで、ジャズのトレンドやブームなど関係無し、ロリンズならではのブロウを吹き続けるという、自由人「ロリンズ」という感じの演奏が魅力です。

もはや、フレーズがどうの、テクニックがどうの、吹き方がどうの、という次元を超えていて、聴いていてワクワクします。プロデューサーがソニー・ロリンズ自身というのも納得です。

 
 

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2014年12月19日 (金曜日)

ロリンズ自然体のフュージョン盤

2008年から延々と続いているのであるが、ソニー・ロリンズのリーダー作の聴き直しを再開した。再開は1970年代終盤のアルバムからである。今回のアルバムは、Sonny Rollins『Don't Ask』(写真左)。

1979年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts, lyricon), Mark Soskin (p, key, syn), Larry Coryell (el-g), Jerome Harris (el-b), Al Foster (ds), Bill Summers (conga, per)。ギター好きのロリンズは、このアルバムで、エレギの鬼才、ラリー・コリエルを選んでいる。

コリエルを選んで、さぞかしハードなエレ・ジャズが展開されるかと思いきや、実にポップな純ジャズが展開される。このアルバムのポップさは、ロリンズのリーダー作の中でも屈指のポップさ。聴き心地の良いこと、この上無し。歌心満点のロリンズのブロウが映えに映える。

ロリンズのマイルストーン第8作。「Easy Living」以来2年ぶり。1979年当時は、ジャズ界はフュージョン・ジャズのピーク。ソフト&メロウなフュージョン、聴き易さ満点のエレ・ジャズが席巻し、そんな中でのロリンズのリーダー作である。しかし、さすがはロリンズ。フュージョン・ジャズには染まらなかった。

冒頭の「Harlem Boys」が実に良い雰囲気を醸し出す。聴き易いポップなフレーズがフュージョンっぽいが、ロリンズは決して、フュージョンに迎合しない。バックのリズム・セクションも同じだ。叩き出すリズム&ビートはしっかりとした純ジャズ基調。ジェローム・ハリスのエレベとアル・フォスターのドラムが意外と硬派に純ジャズなビートを叩き出す。
 

Dont_ask

 
エレギの鬼才、コリエルの参加は2曲目から。2曲目はこれが聴きもの。コリエルとロリンズのデュオ演奏。コリエルの鋭く素早い反応のギター・フレーズに対して、ロリンズがしっかと受け止めつつ、ロリンズ節を前面に押し出して、堂々と応じているところが実に良い。横綱相撲のロリンズが悠然と吹きまくる。

そうそう4曲目の有名スタンダード曲「My Ideal」もコリエルとロリンズのデュオ演奏。ロリンズの悠然としたブロウに、エレギの鬼才、コリエルの切れ味の良いエレギが反応素早く応える。悠然自若としたロリンズに、エレギの鬼才、コリエルの切れ味鋭いフレーズが寄り添うように伴奏する。これも「聴きもの」。

このアルバムのロリンズは、当時、大流行したフュージョン・ジャズに迎合すること無く、純ジャズな演奏を繰り広げるが、演奏の雰囲気は実にポップ。聴き易く、心地良く、耳当たりが良い。そういうところはフュージョン・ジャズ。演奏するフレーズの雰囲気だけがフュージョン・ジャズの「ええとこ取り」をしている。

ロリンズの個性が全開、ジャズのトレンドを超越した、ロリンズ節の世界がこのアルバムに満載です。ロリンズの自然体のジャズ。ロリンズの自然体のフュージョン・ジャズでしょう。とてもポップな演奏で、ジャズ者の方々以外にも、十分にアピールする演奏集だと思います。

 
 

震災から3年9ヶ月。決して忘れない。まだ3年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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