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2016年12月24日 (土曜日)

Xmas週間の「ジャズ喫茶盤」

クリスマス・イヴである。といって、クリスマス・ソングばかりをかけるのも野暮である。ジャズのアレンジだからといって、クリスマス・ソングというのは意外とシンプルなものが多いので、飽きるといえば飽きる。ということで、クリスマス週間だからといって、クリスマス・ソング関連のジャズばかりを聴いている訳では無い。

ただし、この時期にハードなモード・ジャズや、ましてや、アブストラクトなフリー・ジャズを聴くのも野暮である。この時期は、ちょっと敬虔な雰囲気のする、透明度の高いメロディアスなジャズが良い。ちょっと小粋な「ジャズ喫茶盤」。

ということで、この時期に聴くに適したアルバムの一枚を。Dave Pike『Pike’s Peak』(写真左)。1961年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Pike (vib), Herbie Lewis (b), Walter Perkins (ds), Bill Evans (p)。ジャズ・ヴァイブの名手、デイヴ・パイクの生涯最高の好盤。ビル・エバンスがバックを務めていることで有名な盤。

ヴァイブの硬質で透明感のある音は、ちょっと敬虔な雰囲気が漂う。加えて、ディブ・パイクのヴァイブは流麗で疾走感がある。ファンクネスが希薄でクリスタル感が高い。この季節にぴったりフィットする。内容的に普通であれば、それはそれで、この季節にピッタリなんて思わないのだが、この盤、内容的になかなか優れているから良いのだ。
 

Pikes_peak_2

 
当時、次世代を担うヴァイブ・プレヤーとして将来を期待され登場したアーティストの1人だったことが良く判る。特に、アドリブ・プレイのイマージネーションが豊かで、とめどもなく、新しいフレーズが湧き出てくるようだ。

伴奏のビル・エバンスも良い。バップなピアノでガンガン弾きまくる。ちなみにエバンスは耽美的なピアニストでは無い。基本的にはバップなピアニストである。この盤でもバップなピアノでバンバンに伴奏しまくる。エバンスは伴奏上手。フロントのパイクのヴァイブをしっかりと支える。

時代的にジャズ・ロック系やファンキー・ジャズ系に走りそうなんだが走らない。オーソドックスな、メンストリーム系のジャズな内容に好感度は上がる。アルバムでの選曲は、意外とポップな選曲からコルトレーンの「Impressions」と全く同じ曲があったりで、バラエティに富んではいますが、演奏が流麗なので、とても聴き易い。

ちなみに,Pike’s Peakはロッキー山脈の名峰であり,4000mを越える山頂まで登山鉄道で登ることができることで有名。その「Pike’s Peak」にかけた、このアルバム・タイトル。確かに、ディブ・パイクといヴィブラフォン奏者の最高作であることは間違い無い。良いアルバムです。

 
 

震災から5年9ヶ月。決して忘れない。まだ5年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2014年12月27日 (土曜日)

エバンス者には「聴く価値あり」

久し振りにBox盤を一気聴きした。一気聴きとは言っても、1日1枚、計8日でCD8枚。8枚組Box盤を8日間で一気聴きしたことになる。現在、頭の中はビル・エバンスだらけである(笑)。

そのBox盤とは、Bill Evans『The Secret Sessions』(写真左)。ビル・エバンスの熱狂的ファンが私的に録音した音源。マイク・ハリス&エヴァリン・ハリス夫妻が、ズタ袋の中に隠し持った小型テレコによって私的に録音されたもの。録音場所は固定されていて、これが、ニューヨークのライブスポット、Village Vanguard(ビレッジ・ヴァンガード)と言うのだからビックリ。

しかも、1966年から1975年の間、約10年に渡る間、ずっとビル・エバンス・トリオの演奏を、つまりは「隠し撮り」していた。10年間に渡るビル・エバンス・トリオの変遷が記録されているのだ。エヴァンスが同クラブに出演すると、週2回出かけてテープを回す。赴任先の西海岸からトンボ帰りをしてまで録音を続けたとか。

ファンの気持ちもここまでくると「執念」を感じる。しかし、その「執念」のお陰で、1966年から1975年の間、約10年の間のビル・エバンス・トリオのライブ・スポットでの演奏、つまりは正式なレコーディングでは無い「生の、真の姿の、普段の」演奏の様子を追体験することが出来るのだ。これは素晴らしいことである。

でも、しかし当然のことながら、この録音って、ビル・エバンスによって正式に認められた録音では無い。つまりは違法録音。それでも、その内容の重要性に、エバンスの死後、エバンス財団が許可を出して、Milestones社長であるOrrin Keepknewsがリリースに踏み切ったという曰く付き。これも素晴らしいことである。

素晴らしいことが積み重なって、今、僕達は、このBox盤『The Secret Sessions』を通じて、当時のビル・エバンス・トリオの、正式なレコーディングでは無い「生の、真の姿の、普段の」演奏の様子を追体験することが出来るのだ。

しかも、小型テレコでの録音とは言え、あのUHER(ウーヘル)製の小型テレコでの録音なので、音は意外と良い状態なんですね。もっとチープな音質を想像していたので、この音質にはビックリしました。十分に鑑賞に耐えるレベルです。特に、1970年代に入ってからは、テープの質も向上したんでしょう。想像以上にかなり良い音で録音されています。
 

Bill_evans_secret_sessions

 
さて、この『The Secret Sessions』を一気聴きして感じるのは、正式なレコーディングでは無い「生の、真の姿の、普段の」演奏でありながら、その時その時のビル・エバンス・トリオの演奏のレベルは相当に高いものだ、ということ。そして、コンスタントに高いレベルの演奏内容を維持しつつ、しかも、アレンジやテンポ、演奏の雰囲気などが、ビル・エバンス・トリオならでは個性で、その個性がずっと維持されていること。

さすが、一流のレベルのジャズメンの演奏って、普段の演奏でもそのレベルは高く、その個性は確実に維持されているんですね。実は、個々の演奏毎に、また時期を跨がって、もっとバラツキがあると思っていました。が、そんなバラツキなんてどこにも無い。いや〜、プロのジャズ演奏のレベルの高さを再認識しました。

そして、このBox盤『The Secret Sessions』に収録されている1966年から1975年の間、ベースはほとんどエディ・ゴメスが務め、ドラムが定期的に変わっていく、というパーソネルの変遷で、ビル・エバンス・トリオが演奏する音の傾向や個性が変化するのは、「ドラムの存在と個性」が重要な鍵を握っている、ということがよく判ります。

ビル・エバンスにとっては、ベーシストは、スコット・ラファロ、エディ・ゴメス、マーク・ジョンソンが絶対的な存在であって、この3人のベーシストは良く似通ったところがあって、僕が思うに、ビル・エバンスに合ったベーシストは、この3人のベーシストの音しかない。ビル・エバンス・トリオにとって、ベースの音は変化してはいけないのだ。

しかし、ドラムは違う。その時、その時期によって、ドラムを変えることによって、トリオの音の個性や変化させる、ドラムはビル・エバンス・トリオにとっての「変化の源、変化の鍵」なのだ。この1966年から1975年の間のこのBox盤『The Secret Sessions』に記録されている音を聴けば、それがよく判る。

収録された10年間、エバンスのピアノ・タッチは全く変わりません。これも、このBox盤を聴き通して、初めて実感出来る感覚です。ビル・エバンス者、いわゆるマニア向けのBox盤なんですが、逆に、ビル・エバンス者にとっては、一度は聴く価値のあるライブBox盤だと思います。

 
 

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2014年5月25日 (日曜日)

1966年『The Secret Sessions』

このボックス盤がリリースされた時は、よくまあこれだけのライブ音源が発掘されたもんだ、と感心したもんだった。

しかも、とあるファンがズタ袋の中に隠し持った小型テレコによって私的に録音されたものということで、驚きは倍増。よく正式盤としてリリースされたもんだ。

そのボックス盤とは、Bill Evans『The Secret Sessions : Recorded at the Village Vanguard 1966 - 1975』(写真左)。全104曲入りの8枚組ボックス盤。全ての音源はこのボックス盤によって初めて世に紹介された演奏ばかりである。

マイク・ハリス&エヴァリン・ハリス夫妻が私的に録音した音源なので、タイトルは『The Secret Sessions』。なるほどね。しかし、ファンの気持ちもここまでくると「執念」を感じるなあ。エヴァンスが同クラブに出演すると、週2回出かけてテープを回す。赴任先の西海岸からトンボ帰りをしてまで録音を続けたとか。

でも、この録音って、エバンスによって正式に認められた録音じゃないんですよね。つまりは違法録音。それでも、その内容の重要性に、エバンスの死後、エバンス財団が許可を出して、Milestones社長であるOrrin Keepknewsがリリースに踏み切ったという曰く付き。

しかし、小型テレコでの録音とは言え、UHER(ウーヘル)製の小型テレコでの録音なので、音は意外と良い状態なんですね。もっとチープな音質を想像していたので、この音質にはビックリしました。十分に鑑賞に耐えるレベルです。
 

Bill_evans_secret_sessions

 
さて、この『The Secret Sessions』を聴き直し始めました。今週は1966年の録音をまとめ聴き。まずは、1966年3月の録音。パーソネルは、Bill Evans (p), Teddy Kotick (b), Arnie Wise (ds)。

特に取り立てて特徴のあるトリオ演奏ではありません。平均的なビル・エバンス・トリオの演奏。テディ・コティックのベースも平均点。それでも、エバンスのピアノは端正なタッチで、エバンス節全快。エバンスのパフォーマンスの質は変わらないなあ、と妙に感心しました。

次のセッションは1966年7月3日。パーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Arnie Wise (ds)。ここで初めて、ベースにエディ・ゴメスが登場しますが、恐らく加入早々のトリオ演奏なんでしょう。まだ、ゴメスは後ろに引っ込んで控えめの演奏に終始しています。やはり、いかに優秀なベーシストとはいえ、慣れが必要なんだなあ、と変に感心してしまいます。 

このBill Evans (p), Eddie Gomez (b), Arnie Wise (ds)のトリオ演奏が、10月21日、11月10日、11月12日と続きます。7月のセッションから3ヶ月経って、さすがゴメスはトリオに溶け込んで、ベース・ソロも堂々としてきました。まだ硬いところはありますが、この録音からは、ゴメスはエバンスとの相性が良いベーシストであることが判ります。

この1966年の5つのセッション聴き進めて、さすがビル・エバンスだなあ、と感心しました。演奏のレベルが変わらない。アドリブのイマージネーションも豊か。さすが超一流のジャズ・ピアニスト。端正なタッチ、エバンス節全快なアドリブ。

まあ、この演奏レベルであれば、天国のエバンスも、この『The Secret Sessions』のリリースを苦笑いしながら許してくれるのではないでしょうか。

 
 

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2014年3月25日 (火曜日)

エバンスのホームグラウンド

ビル・エバンスは、彼の音楽遍歴の中で、節目となる時期には、必ず、ビレッジ・バンガードに帰って来る。そういう意味で、ビレッジ・バンガードは、ビル・エバンスのホームグラウンド的位置づけのライブ・ハウスである。

1974年、ビル・エバンスは、Fantasyレーベルと契約を結ぶ。その節目の時期に『Since We Met』(写真左)と『Re: Person I Knew』(写真右)の2枚のビレッジ・バンガードでのライブ盤を残している。パーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)。1974年1月11,12日のライブ録音である。

エバンス+ゴメス+モレルのトリオは、1969年頃からの活動で、このビレッジ・バンガードでのライブ盤を出した時期は、1974年なので、既に5年余りが経過しており、その演奏内容は既に成熟の域に達している。ライブ収録されたどの曲も、ピアノ・トリオの演奏として素晴らしい出来である。

エバンスのピアノは、全体の傾向としてはアグレッシブなタッチではあるが、要所要所では繊細でリリカルな表現を織り交ぜていて、雄弁であり、バリエーションとメリハリ豊かなピアノである。聴き応え十分であり、ジャズ・ピアノのお手本として、聴きどころ満載である。

ゴメスのベースは太くて明確で、これまた雄弁。ゴメスが紡ぎ出すフレーズは、しっかりとエッジが立っていてメロディアス。ゴメスのベースは、エバンスのピアノと対等に渡り合う、柔軟かつ応用力のあるインプロバイザーである。とにかく、ベースラインが明確かつ雄弁。
 

Since_we_met_re_person

 
当初、叩きすぎなどと揶揄されたモレルのドラムは、ここに来て、エバンスのピアノとゴメスのベースとのバランスを良く考えた、良い塩梅なリズム&ビートを供給する。エバンスとゴメスのインプロビゼーションは明確にして雄弁。それに対して、叩きすぎず、少なすぎず、エバンスとゴメスのインプロビゼーションのリズム&ビートを支える、とっても良い塩梅のドラミングを繰り出して立派だ。

収録された曲を見渡すと、エバンスの自作曲と小粋なスタンダート曲とを上手く織り交ぜており、聴いていて楽しく、聴いていて興味深い。スタンダード曲については、エバンス独特の選曲基準があるみたいで、エバンスが弾いて「なるほど」と唸らせる、エバンスのピアノ、エバンスのアレンジが映えるスタンダード曲を上手く選曲している。

この『Since We Met』と『Re: Person I Knew』は、2枚一気に聴き通すことをお勧めする。それぞれに収録された演奏は甲乙付けがたい。どちらがどう、というものではない。1974年の節目の時期のビレッジ・バンガードのライブ音源として、一気に聴き通したい。

この1974年1月のビレッジ・バンガードのライブ以降、1980年9月15日に鬼籍に入るまで、ビル・エバンスのジャズメンの歴史としては、後期&晩年に当たる活動期になる。そういう意味でも、ビル・エバンスは、節目となる時期に、必ず、ビレッジ・バンガードに帰って来るのだ。

つまりは、この『Since We Met』と『Re: Person I Knew』の2枚のライブ盤は、そのビレバガに帰ってきた瞬間を捉えた、優れたライブ盤なのだ。このライブ盤は、エバンスのトリオ演奏として外せないライブ盤ですね。良い内容です。

 
 

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2014年3月13日 (木曜日)

ジャケットに怯んではならない

昔、ジャケットに驚いて、一度は断念したアルバムである。それほど、このアルバムのジャケットは酷い。どうしたらこうなるのか、このジャケットをデザインした人、このデザインを採用した人に訊いてみたい。

Bill Evans 『Symbiosis』(写真左)。このジャケット・デザインは酷い。恐らく、ジャズのアルバム・ジャケットのワースト10に絶対入るであろう、そのケバさ、その趣味の悪さ。それでも、このアルバムは、かのモダン・ジャズ・ピアノの祖、ビル・エバンスのアルバムである。

しかも、このアルバム、タイトルは中身を語る。「Symbiosis」とは、和訳すると「共存、共生」。ビル・エバンスとオーケストラとの共演である。1974年2月の録音。ビル・エバンスは、オーケストラとの共演作を作りたくて仕方が無い。しかし、当時契約していたファンタジー・レコードには金が無い。でも、エバンスはどうしてもオーケストラとの共演作を作りたくて仕方が無い。

そんな予算的な問題をドイツのMPSレーベルが請け負うことになり、米国からは遠く離れた欧州からのリリースとなりました。ということで、このアルバム、商業的な成功には全く無縁だったそうです。でも、欧州のレーベルからのリリースが売れなかった理由じゃないでしょう。絶対にこのアルバム・ジャケットが原因だ(笑)。

しかし、内容はと言えば、それはそれは素晴らしいものです。オーケストラのアレンジは、クラウス・オガーマン。このオガーマンのアレンジが実に良く出来ている。エバンスのアコピ、エレピを全面に押し出し、エバンスの個性をしっかりと聴かせる、ジャズにおけるオーケストラの伴奏の王道を行く、古さを感じさせない、クールでお洒落なアレンジです。
 

Bill_evans_symbiosis

 
そして、このオガーマンのオーケストラをバックに、ビル・エバンスが、アコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノの両方を上手く使い分けつつ弾きまくります。それはそれは、気持ちよさそうに、アグレッシブに弾きまくります。これだけ、流麗に抑揚を付けて弾きまくるエバンスも珍しい。よっぽど嬉しかったんでしょうね、オーケストラとの共演が・・・。

オーケストラに乗った、エバンスの演奏の基本は、勿論、エバンス・トリオ。ベースはエディ・ゴメス(Eddie Gomez)、ドラムは、マーティ・モレル(Marty Morell)。特に、このオーケストラの共演で素晴らしい演奏を聴かせてくれるのは、エバンスのエレピ。このアルバムでのエバンスのエレピは秀逸。

あまり語られることが無いのだが、エバンスのエレピは素晴らしい。エバンスは、アコピとエレピで、明らかに弾き方を変えている。特に、エレピについてはエレピ用の弾き方する。このエレピ用の弾き方が秀逸。エレピの響きを活かしつつ、アドリブ・フレーズが間延びしないような運指が素晴らしい。惚れ惚れする。

ジャケットにびびってはいけません(笑)。このアルバム、そのジャケット故に、セールス的にはあまり振るわず、廃盤状態になりがちなアルバムです。しかし、ビル・エバンス者には勿論のこと、ジャズ・ピアノ者の方々にも、是非とも聴いて頂きたいアルバムです。これほど、エレピ、アコピがテンション良く、心地良く響くアルバムはなかなかありませんぜ。

 
 

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2014年1月 4日 (土曜日)

今年の聴き始め・純ジャズ編

今年の個人的なテーマは「初心に帰ろう」。さて、私こと、バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターの純ジャズのアルバム・コレクションの初心って何だったのか、と振り返って見ると、このアルバムが真っ先に思い浮かぶ。

純ジャズの世界では、やはりこのアルバムやなあ。Bill Evans『Portrait in Jazz』(写真左)。ビル・エバンスの名盤中の名盤。現代のピアノ・トリオの演奏展開を決定付けたアルバムである。

ビル・エバンスのこのピアノ・トリオの以前と以降のそれぞれの演奏展開を聴き比べてみると判る。ビル・エバンスのピアノ・トリオは、ピアノ、ベース、ドラムの演奏が同等の立場で繰り広げられている。これが「ミソ」。

とりわけ、ベースの演奏が実に特徴的で、それまでのベース奏法のスタンダードであった、ビートをキープする、所謂「ウォーキング・ベース」なる奏法を採用していない。ピアノと同等の立場で、ピアノのインプロビゼーションに絡むように、創造的で柔軟なインプロビゼーションを展開する。

それまでのピアノ・トリオの演奏展開と言えば、あくまでピアノが主役。ピアノが創造的で柔軟なインプロビゼーションを展開する傍らで、ベースとドラムはあくまで「リズム&ビート」をキープする役割。ソロを渡されても、ベースとドラムはあくまで「リズム&ビート」をキープしながらのアドリブ展開に終始する。

が、このビル・エバンスのトリオは違った。確かに、ベースとドラムは「リズム&ビート」をキープはしている。が、明確な「拍」を入れずに「間」を活かした、スペーシーなインプロビゼーションをベースに「リズム&ビート」をキープしているところが新しい。
 

Portrait_in_jazz_2

 
そして、ビル・エバンスのピアノは、そんなリズム・セクションの「リズム&ビート」をキープをベースに、自由度と柔軟性の高いインプロビゼーションを展開している。明らかに、それまでのピアノ・トリオの演奏展開とは異なる、モダンでクール、そして、実にアーティスティックな響きは、このアルバムを聴けば、直ぐに判る。

実はジャズを聴き始めて、ハードバップ時代のピアノ・トリオを聴くにつけ、ベースとドラムはあくまで「リズム&ビート」をキープする役割に留まり、ピアノだけが創造的で柔軟なインプロビゼーションを展開する、という画一的な演奏展開がつまらない、と感じた。これでは、ジャズは創造的とは言い難い、と感じた矢先での、この『Portrait in Jazz』との出会いだった。

このアルバムを聴き終えて、これは何だ、と感じた。ジャズの最大の特徴のひとつである「自由なインプロビゼーション」というものを初めて感じた気がした。初めて、ジャズが創造的な音楽ジャンルだ、ということを感じた瞬間だったような気がする。

今を去ること35年前の出来事である。当時、僕は二十歳。このBill Evans『Portrait in Jazz』というアルバムに出会って、ジャズは面白い、ジャズは聴き込むに足る音楽ジャンルだ、ということを思いっきり感じた。そして35年間、ジャズのアルバム・コレクションにドップリ浸かり、未だその「音の迷宮」を彷徨っている(笑)。

つまりは、このBill Evans『Portrait in Jazz』ってアルバム、僕にとっては、ちょっとだけ罪作りなアルバムである、ってこと(笑)。今年もよろしくお願いいたします。

 
 

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2013年12月 7日 (土曜日)

季節限定のエバンスのXmas盤

いわゆるジャズ・ジャイアントと呼ばれる偉大なジャズ・ミュージシャン達は、あまり、クリスマス特集的なアルバムを出していない。

まあ、マイルス・デイヴィスの「サンタが街にやってくる」なんて、なんだかとても変だし、ソニー・ロリンズの「赤鼻のトナカイ」なんて、イメージするのにも苦労する。まして、かのセロニアス・モンクの「ホワイト・クリスマス」なんて、どう考えたって想像が出来無い(笑)。

まあ、それだけ、クリスマスソングというのは、ジャズの世界では「その演奏するキャラクターを選ぶ」ってことが判るわけだが、それでは面白くない。「なんか無いかしら」と思って探してみたら、結構、身近なところにあったあった。

確か、ビル・エバンスが、「サンタが街にやってくる」を演っていたような気がして、数年前に、そのことについて、このブログで語ったような、と記憶をたどると、今回、ご紹介するBill Evans『Trio 64』(写真左)に行き着いた。

この『Trio 64』、パーソネルは、Bill Evans (p), Gary Peacock (b), Paul Motian (ds)。ベースの哲人(と僕が勝手に呼んでいる)、ゲイリー・ピーコックが唯一エバンスと組んだ、由緒あるトリオ・アルバムである。録音日を見れば、1963年12月18日。クリスマス・シーズン真っ只中での録音である。

このパーソネルを見ても判るとおり、実に由緒ある実に硬派で純ジャズなピアノ・トリオ盤だと思うのだが、1曲だけ、これは、と思わせる選曲をしている。

4曲目に「Santa Claus Is Coming To Town」の選曲。邦題は「サンタが街にやって来る」。録音日が1963年12月18日なので、クリスマスも近く、セッションの合間に遊び程度にやるのは判るが、アルバム自体、クリスマス特集のアルバムでもないのに、この曲を正式にアルバムに収録している。しかし、この「サンタが街にやって来る」の選曲は、エバンス自身のよるものらしく、収録を望んだのもエバンスだったとのこと。
 

Bill_ebans_trio64_2

 
この「Santa Claus Is Coming To Town」の存在が、この実に由緒ある実に硬派で純ジャズなピアノ・トリオ盤を「ピアノ・トリオの名盤」とするには、ちょっと微妙な位置づけにしている。逆に、この「Santa Claus Is Coming To Town」の存在で、このクリスマスのシーズンに限ってではあるが、このトリオ盤をクリスマス特集のアルバムとして、楽しむことが出来る(笑)。

さて、この実に由緒ある実に硬派で純ジャズなピアノ・トリオ盤を、「クリスマス特集のアルバム」として、鑑賞してみるとどうだろうか。

1曲目の「Little Lulu」は、当時、TV漫画の人気キャラクターをテーマにしたもの。実にクリスマスのシーズンにピッタリの、実に愛らしく可愛い曲で、愛でるようなリズミカルなタッチでエバンスが絶妙のアドリブを見せる。

そして、問題の4曲目の「Santa Claus Is Coming To Town」は、この曲をジャズでやるとこうなるのね的な、なかなかに素晴らしいアレンジで聴かせてくれる。

しかも、ピーコックのベース、モチアンのドラムをバックに付けて、である。なんと、ゴージャズで硬派な「サンタが街にやって来る」であろうか(笑)。聴き応えは満点。つまりは、ビル・エバンスのようなジャズ・ジャイアントの類の人って、なにをやらせても一流の仕事をする、ということ。

このアルバム、「Little Lulu」と「Santa Claus Is Coming To Town」の存在ばかりで無く、この愛らしい2曲以外の曲も、このクリスマスのシーズンに実にフィットする、ジャズ・スタンダードばかり。
 
歴代のビル・エバンス・トリオのアルバムの中で、クリスマスのシーズンにピッタリの盤として、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、この季節によく愛聴される1枚ではあります。意外と雰囲気があって良いですよ。

 
 

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2013年7月23日 (火曜日)

意外性のある楽しいトリビュート

暑い夏は、シンプルにビル・エバンスが良い。エバンスものと言っても、ビル・エバンスのトリビュート・アルバム『Portrait of Bill Evans』(写真左)。とにかく、ジャズの知識や経験があればあるほど、意外性のある楽しいアルバム。

ビル・エバンスのトリビュート・アルバムと言えば、ビル・エバンスが亡くなって以来、何十枚と出てきた。 企画物が多く、ビル・エバンスに影響を受けたジャズ・ピアニストをチョイスし、ビル・エバンスっぽく演奏させる。そんな、安直なトリビュート・アルバムが多かったので、実のところ、それらのビル・エバンス・トリビュートのアルバムには、なかなか触手が伸びなかったのが正直なところ。

しかしながら、このアルバムは、それらお決まりの「ビル・エバンスのトリビュート・アルバム」とは、ちょっと違う雰囲気のアルバムなのだ。

参加メンバーを見ても、良い意味で「実に怪しい」(笑)。まず、参加メンバーの中で目を引くのは、フュージョンの大御所、ボブ・ジェームスとデイブ・グルーシン。そして、ブラジルの美人ピアニストであるイリアーヌ。今をときめく新進気鋭のピアニスト、ブラッド・メルドー。そして、ジャズ・ピアニストの巨人、ハービー・ハンコック。

ボブ・ジェームスもデイブ・グルーシンも、昔々、彼らが駆け出しのジャズ・ピアニストの頃、確かに、彼らはビル・エバンスに多大な影響を受けたピアニストだったのだ。イリアーヌも最近の彼女のインタビュー記事で、ビル・エバンスからの影響を認める発言をしているし、ハービー・ハンコックの新人駆け出しの頃のプレイは、明らかに、ビル・エバンスの影響を受けていた。

とは言いながら、では、エバンスに影響を受けたので、トリビュート盤なので、エバンスのように演奏します、というような安直なアプローチをするミュージシャン達では無い。自分たちの個性を十分踏まえながらの、実に楽しく興味ある、独自の演奏を繰り広げているのは立派。
 
 
Portrait_of_bill_evans
  
 
冒頭の「ナーディス」がその良い例だ。フュージョン畑のボブ・ジェームスとは思えないピアノが鳴り響き「おお、これはストレート・アヘッドな純ジャズか」と思うと、リチャード・ボナのエレクトリック・ベースが響き渡って、重厚なフュージョン・テイストの「ナーディス」に早変わり。

それでも、フュージョン的な音にならず、フュージョン・テイストではありながらも、しっかりと「純ジャズ」している演奏はさすがだ。特に、ボナのベース・ソロは、エバンス・トリオのスコット・ラファロを彷彿とさせて、実に立派。

ボブ・ジェームスと同じテイストがデイブ・グルーシン。彼は、その独特のハーモニー感覚で、「ワルツ・フォー・デビー」と「エミリー」を演奏して見せる。これがまた良いのですね。アドリブ・フレーズには、グルーシン独特の手癖が見え隠れして、意外と個性のかたまりの様な演奏に惹かれる。

ハービーは、相変わらずのファンク打ち込みモードで、見た目に全くエバンスとは関係ない自作の楽曲でエバンスへのトリビュートの意を表している。ハービー曰く、エバンスが生きていたら、きっと、こんなジャズをやりたかったはずだ、とのコンセプトでの自作曲の提供らしい。ちょっとした違和感を感じる。

逆に、エバンス・タッチに忠実にトリビュートするのはイリアーヌ。バックに、ドラムのジャック・デジョネット、ベースにマーク・ジョンソンと、エバンスのビアノ・トリオを経験したベテラン2人を擁して、それはそれは美しいピアノ・トリオで花を添える。

そして、驚異のピアノ・ソロで気を吐くのは、ブラッド・メルドー。 その特徴的な左手で、唯一無二、他に追従を許さない個性的かつ芸術的なソロで、エバンスをトリビュートしてみせる。

とにかく、ジャズの知識や経験があればあるほど、意外性のある楽しいアルバムです。お勧めです。
 
 
 

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2012年9月 4日 (火曜日)

エヴァンスの「安心の一枚」

ジャズ・ジャイアンツ、ジャズの有名ミュージシャンのアルバムの中には、代表作として挙げられることは少ないが、我々、ジャズ者から愛聴されている「ヘビロテ盤」が必ずある。いわゆる、ジャズ・ジャイアンツの「隠れ名盤」である。

ビル・エバンス。ジャズ・ピアノにとっての最大のジャズ・ジャイアンツである。このビル・エバンスの多くのリーダー作の中で、代表作として挙げられることは少ないが、僕にとっての「ヘビロテ盤」が何枚かある。

その一枚が『Eloquence』(写真左)。ビル・エヴァンスの死後、1982年に発表された未発表曲盤。それまでの正式にリリースされたリーダー作から収録漏れした音源から編集されたコンピレーションである。エヴァンスのアコピとエレピ+ベースのエディ・ゴメスのデュエット編成とエヴァンスのピアノ・ソロの2タイプの演奏から成っている。

エヴァンスのアコピとエレピ+ベースのエディ・ゴメスのデュエット、冒頭の「Gone With The Wind」から、エヴァンスのアコピのジャジーさとリリカルさ、そして、ゴメスのベースのメロディアスな強靱さが際立つ。加えて、エヴァンスのエレピの素晴らしさ。この曲を聴き通すだけでも、この未発表盤の価値があるというもの。

このエヴァンスの個性満載の冒頭の「Gone With The Wind」の様な演奏が2曲目以降、7曲続く。どの曲も、エヴァンスの個性をビンビンに感じることが出来て、しかも、肩肘張らずにリラックスしてエヴァンスのピアノを楽しむ事が出来る。良い感じなんですよね。水が静かに流れるように、耳にエヴァンスのピアノが心地良く流れ込んでいく。

Evans_eloquence

ラス前「But Not For Me〜Isn't It Romantic〜The Opener」、ラスト「When In Rome〜It Amazes Me」のメドレーなど圧巻ですね。エヴァンス者にとっては堪らないメドレーです。本当にエヴァンスのソロ演奏は凄い。

決して、大向こうを張った派手なパフォーマンスを展開するのでも、超絶技巧なテクニックを駆使しまくるのでも無い。シンプルで普通にピアノを弾き進めてのソロ・パフォーマンスなんですが、これがまあ、滋味溢れるというか、ジャジーで洒脱で素晴らしい。「粋」と「鯔背」。ジャズ・ピアノのスタイリストとしての第一人者の面目躍如。

エヴァンスのジャズ人生の中で、特別なポジションを占めるアルバムでは無いんですが、これが実に良いんですよね〜。冒頭の「Gone With The Wind」を聴き始めたら、ついつい、最後まで聴き通してしまう。そんな不思議な魅力と説得力が詰まった、僕にとっての「ヘビロテ盤」、エヴァンスの「安心の一枚」です。

この盤を聴く度に、いつも思う。ビル・エヴァンスの後期のパフォーマンス、ファンタジー時代のエヴァンスも聴き応え充分だと。良いアルバムです。ジャズ・ピアノに親しみ始めたら、聴いて見て下さい。本当に、滋味溢れる、ジャジーで洒脱で素晴らしいアルバムです。長く長くつきあえる、親友のようなアルバムです。

アルバム・ジャケットは2種類あります。日本盤のものが左、海外盤が右。どちらもアート的には「?」なんですが、まあいいでしょう。このジャケットからすると、ジャケ買いするアルバムではなさそうです(笑)。

 
 

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2012年8月19日 (日曜日)

フェンダー・ローズなエバンス

1971年録音の『The Bill Evans Album』(写真左)は、ちょっと異質のアルバム。アコースティック・ピアノ専門然としているビル・エバンスがエレピ、それもフェンダー・ローズを弾いているアルバムなのだ。

僕は、このエバンスがエレピを弾いているアルバム『The Bill Evans Album』を初めて聴いたのは、学生時代、ジャズ者初心者の頃、ジャズを聴き始めて3年位経った頃だと記憶している。当時は僕も頑なというか、音楽の幅についての「許容量」が少なかったというのか、このエレピを弾くエバンスは「許せない」と思った(笑)。

1970年代初頭、時はジャズ・ロックからクロスオーバー・ジャズの走りの時代で、ジャズの世界でも電気楽器、特にエレギとエレピが横行し始めていたので、エバンスもその流行に便乗したのだ、と感じた。

しかも、このいい加減な感じのアルバム・ジャケットのエバンスの似顔絵を見ていると、なんだかこのアルバムは「いい加減」に製作されたというか、聴く者を小馬鹿にした感じというか、どうも、このアルバムは好きになれなかった。確かに、アルバム・ジャケットのデザインから来る音の印象って大事ですよね。

しばらくの間(20年位)、このアルバムの存在は完全に無視して、ビル・エバンスに関しては、アコピのみのリーダー作をせっせと蒐集していった。で、このエレピを弾くエバンスのリーダー作のみとなって、仕方なく、正式リーダー作のコンプリートを目指して、この『The Bill Evans Album』を入手した次第。
 
The_bill_evans_album
 
しかし、である。ジャズを聴き始めて20数年が経過した、年齢にして40歳を越えた頃というのは、ジャズの音世界についての頑なさも柔らかくなり、音楽の幅についての「許容量」も増している。エレピを弾く、フェンダー・ローズを弾くエバンスが、なかなかに良いのに気が付いた。

というか、ビル・エバンスは、エレピについても奏者として第一人者である、と思った。特に、フェンダー・ローズの扱いが抜群である。変に音をいじるのではなく、フェンダー・ローズの標準の音のみで、シンプルにかつ、電気楽器独特の、フェンダー・ローズ独特の音の伸びを上手く活かした、フレーズを弾きこなす部分と音の伸びを活かした「間」の部分のバランスが絶妙なのだ。

アルバム冒頭の「Funkallero」の前奏の部分を聴くだけでも、ビル・エバンスはエレピの、フェンダー・ローズの優れた使い手であることが良く判る。6曲目の「Re: Person I Knew」もそうだ。フェンダー・ローズの音の特性を良く理解して、音の伸びを活かした「間」の部分のフレーズの取り扱いが絶妙なのだ。

この『The Bill Evans Album』では、ビル・エバンスはアコースティック・ピアノも弾いている。既にスタイリストとしての境地に達していた彼のアコピのスタイルに、今回、エレピが加わることによって、更に、彼のアコピの表現やスタイルに、幅というか新しいバリエーションが生まれているのが面白い。

今では、この当時流行りのフェンダーローズにチャレンジした『The Bill Evans Album』は、エバンスのアルバムの中でも、僕のお気に入りの一枚になっている。とにかく、ビル・エバンスは、エレピについて、フェンダー・ローズについて、奏者として第一人者である。ビル・エバンス独特の「エレピの表現」がこの『The Bill Evans Album』に息づいている。

 
 

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