2024年4月13日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・270

オスカー・ピーターソンは、ジャズを本格的に聴き始めた頃からの「お気に入りピアニスト」。「鍵盤の皇帝」と呼ばれるほどの超絶技巧とスイング感。高速フレーズをバリバリ弾きまくる。ドライブ感&グルーヴ感抜群。歌心溢れるバラード表現も秀逸。

『Con Alma: The Oscar Peterson Trio – Live in Lugano, 1964』(写真左)。1964年5月26日のライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。スイス南部にある都市ルガーノの「Teatro Apollo」で行ったコンサートの模様を収録した未発表音源。

「The Trio」=「黄金のトリオ」と表現された、ピーターソン=ブラウン=シグペンのピアノ・トリオ。この「黄金のトリオ」は、1959年から1965年まで行動を共にした訳ですが、この未発表のライヴ音源は、そのトリオの最終期、1964年のライヴ音源。トリオとして脂の乗り切った、円熟の極みにあったトリオの極上のパフォーマンスが記録されている。
 

Con-alma-the-oscar-peterson-trio-live-in

 
収録曲がなかなかで、冒頭の「Waltz for Debby」はビル・エヴァンスの十八番、4曲目の「Con Alma」はレイ・ブライアントの十八番なんだが、このライヴでは、ピーターソンならではのアレンジと弾き回しで、まるで弾き慣れたピーターソンの十八番の様に聴こえるから面白い。ベースのブラウンもドラムのシグペンも嬉々としてピーターソンのパフォーマンスをサポートする。

この頃のピーターソンの弾き回しは、ダイナミックでワイド・レンジで硬質タッチで超絶技巧な弾き回し。そんな弾き回しで、歌心溢れるバラードを展開し、小粋なスタンダード曲をキャッチーに、より魅力的に聴かせる。素晴らしいテクニック。恐らく、歴代のジャズ・ピアニストの中で、テクニックに関して、この時期のピーターソンがピカイチだろう。

上手すぎて面白くない、とか、バリバリ弾きまくる様を捉えて「侘び寂びがない」とか、スインギーなピアノを捉えて「スイングの権化」とか、なにかと「揶揄される」ピーターソンであるが、どうして、ピーターソンのピアノは、ジャズ・ピアノの歴史の中で、頂点に君臨する一人である。このライヴ音源を聴いて、改めてそう思う。
 
 

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2023年12月 1日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・269

Niels Lan Doky(ニルス・ラン・ドーキー、以降「ラン・ドーキー」と略)は、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。ラン・ドーキーは北欧ジャズの範疇に入るのだが、彼のピアノは、北欧ジャズのピアノの雰囲気とはちょっと異なる。

北欧ジャズのピアノは、押し並べて「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」。ファンクネスは皆無、間とフレーズの広がりを活かした透明度の高い音の展開がメイン。しかし、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感が特徴の展開。と言って米国ジャズのピアノでは全く無い。音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。当然、ファンクネスは皆無。オフビートは軽め。クラシック風の端正なタッチが、やはり「欧州的」。何故か、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを「欧州的」にした様な響きがユニーク。

Niels Lan Doky『The Target』(写真左)。1986年11月17, 18日の録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Jack De Johnette (ds)。録音当時、23歳の若き精鋭、ニルス・ラン・ドーキーの2枚目のリーダー・アルバム。ピアノ・トリオ編成。ラン・ドーキーのピアノの個性が良く判る。
 

Niels-lan-dokythe-target

 
どういう経緯でそうなったかは判らないが、ベースに北欧出身のアコベの名手中の名手ペデルセン、ドラムにポリリズミックなドラムの名手デジョネットがバックのリズム隊を担当している。

このリズム隊、全く申し分無いどころか、若き精鋭にとっては最高のリズム隊に恵まれている。特に、ペデルセンの、唄うが如く、ソリッドで力感溢れるベースラインは素晴らしい。デジョネットの緩急自在、硬軟自在、変幻自在なドラミングも見事。

ラン・ドーキーは、彼独特の「音符を敷き詰めた速い弾き回し。エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感。ファンクネスは皆無、オフビートは軽め、欧州ジャズ的なクラシック風の端正なタッチ」が溢れんばかりに表現されている。

北欧出身でありながら、北欧ジャズ・ピアノらしからぬ「欧州的なピアノ」。音符を敷き詰めた速い弾き回しではあるが、決して「シーツ・オブ・サウンド」の焼き直しでは無い、ラン・ドーキー独特の「高速な弾き回し」。クラシックに端を発したか如く、端正で正確なタッチがいかにも「欧州ジャズ」らしい。若き日のラン・ドーキーのピアノ・トリオ盤。今の耳で聴き直して、なかなかの充実した内容だと感じます。
 
 

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2023年11月15日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・268

クリス・ポッター(Chris Potter)。米国シカゴ出身、1971年1月1日生まれ。今年で52歳になる、ジャズ・サックス奏者の中堅。純ジャズのみならず、フュージョン、ファンク的なアプローチにも長けている、オールマイティーなサックス奏者だが、やはり、メインストリーム系の純ジャズを吹かせたら、現代ジャズ・サックス奏者の先頭集団に値するパフォーマンスを披露してくれる。

Chris Potter『Got the Keys to the Kingdom: Live at the Village Vanguard』(写真左)。2022年2月、ニューヨークのライヴ・ハウス「The Village Vanguard」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chris Potter(ts), Craig Taborn (p), Scott Colley (b), Marcus Gilmore (ds)。ポッターのテナーがワンホーン・フロントの、いわゆる「ワンホーン・カルテット」編成。演奏楽器もしっかり「アコースティック」のみで編成されている。

ワンホーン・カルテットのパフォーマンスは、フロント1管の演奏内容が聴き取り易い。この盤では、フロント1管の、ポッターのテナーのパフォーマンスの内容をじっくりと味わい尽くすことが出来る。

加えて、本ライヴ盤は収録されている6曲全てがカヴァー、オリジナル曲は無い。ジャズ・スタンダード、アマゾン民謡、ボサノヴァ、静的なスピリチュアル・ジャズなどを演奏している。このオリジナル曲の無いライヴ音源というのは、アレンジ、楽曲の解釈、アドリブ展開の仕方などが、他のサックス奏者のライヴ・パフォーマンスと比較し易い。そのライヴ盤のリーダーが吹くサックスの力量と才能を推し量り易くなる。
 

Chris-pottergot-the-keys-to-the-kingdom-

 
力感溢れる、高テクニックで悠然とブロウするポッターのテナーは実に魅力的。実に硬派でクールで歌心満載のポッターのテナーは、メインストリーム系の純ジャズでのパフォーマンスにおいて「映えに映える」。ポッターのテナーの力量と才能がハイレベルであることを十分に確認することができる。

ネオ・ハードバップな、ネオ・モーダルな正統派なテナーで、スタンダード曲やボサノバ曲を悠然とブロウし、テクニックを駆使して、アブストラクトな展開、フリーな展開にも対応する。高速フレーズも難なくこなす。圧倒的である。ポッターのテナーの優れたところは「オリジナリティー」を保持していること。コルトレーン風の吹き方をしそうな展開でも、ポッターはそうはならない。ポッター・オリジナルな展開を吹き上げていく。これは「見事」というほか無い。

バックのリズム・セクションも優秀。ECMでお馴染みのフリー〜スピリチュアル系、ミネソタ州ミネアポリス出身のピアニスト、クレイグ・テイボーン。お爺さんがロイ・ヘインズ、ヴィジェイ・アイヤーのトリオでドラムを担当するマーカス・ギルモア。ポッターと何作も共演しているお馴染みのベーシスト、スコット・コリー。このリズム隊が、適応力抜群なネオ・ハードバップなリズム&ビートを叩き出す。

クリス・ポッターのテナーは純ジャズにこそ、ネオ・ハードバップにこそ、最高に「映える」。そんな事実をこのビレバガでのライヴ盤はしっかりと伝えてくれる。ポッターのメインストリーム系のテナーを愛でるに最適な一枚。良いライヴ盤です。
 
 

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2023年11月 4日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・267

イタリアン・ジャズの至宝であり重鎮であるピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(以下、エンリコと略)。1949年12月生まれだから、今年で74歳になる。大ベテランの域であり、今までの実績から「生けるレジェンド」的存在。ビル・エヴァンスのバップでリリカルで耽美的なピアノを欧州仕様にした様な、正統派かつ硬派なモダン・ジャズ・ピアニストである。

Enrico Pieranunzi Latin Jazz Quintet『Live At Birdland』(写真左)。2008年11月1日、NYのバードランドでの録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Diego Urcola (tp), Yosvany Terry (as, ss, per), John Patitucci (b, elb), Antonio Sanchez (ds)。録音当時、2008年のエンリコ・ピエラヌンツィのニュー・プロジェクトのライヴ録音。

エンリコがラテン・ジャズに寄り道したかの様なバンド名。しかも、バードランドでのライヴ・パフォーマンスの記録。おおよそ、こってこてなラテン・ジャズが展開される、いわゆる「楽しくコマーシャルで娯楽志向」なライヴ盤だと思って、あまり聴く気が起きなかった。

が、リズム隊を見ると、硬派で正統派な現代の純ジャズ志向のベーシストのジョン・パティトゥッチ。そして、これまた、硬派で正統派な現代の純ジャズ志向のドラマーのアントニオ・サンチェスが名を連ねている。これは意外と、現代の硬派でメインストリーム志向の純ジャズではなかろうか、と思わす拝聴である。

冒頭「Talk Introduction」から「Danza 2」「Choro Del Infinito Hombre」と続く演奏を聴いて、まず「これのどこがラテン・ジャズ」なんや、と首をかしげる。というか、「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」が展開されるのだ。
 

Enrico-pieranunzi-latin-jazz-quintetlive

 
ラテンの雰囲気は、ところどころのキーの進行に見え隠れするが、全く「ラテン・ジャズ」色は前に出てこない。ネオ・ハードバップ〜ネオ・モードなアコースティック・ジャズが展開される。

特に前半は、トランペットのディエゴ・ウルコラ(アルゼンチン出身)と、サックスのヨスヴァニー・テリー(キューバ出身)のパフォーマンスが見事。この二人のフロント2管の大活躍で、前半はエンリコのピアノはあまり目立たない。

ありゃ〜?、と思って聴き進めると、明確にラテン・フレイバーの演奏が出てきたりし出して、エンリコのピアノがグイグイ前面に出てくる様になる。明らかにラテンなフレーズが出てきても「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」な雰囲気は変わらない。ネオ・ハードバップ〜ネオ・モードな展開の中で、乾いた「ラテンなフレーズ」が見え隠れする。

不思議な雰囲気のライヴ盤。ラテン・ジャズ基調でありながら、俗っぽくて判り易い、こってこてなラテン・フレーヴァーは皆無。演奏全体の雰囲気は「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」。そんな雰囲気の中で、ストイックなラテン・フレーズが展開される。欧州ジャズが考えるラテン・ジャズ、とでも形容したら良いだろうか。

バンド名に惑わされてはいけない。「ラテン」が付いているからといって、いわゆる「楽しくコマーシャルで娯楽志向」の、こってこてなラテン・ジャズが展開される訳ではない。そんな要素は皆無。現代のネオ・ハードバップ〜ネオ・モードなアコースティック・ジャズの好盤として聴かれるのが良いだろう。充実した内容の好盤である。
 
 

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2023年9月15日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・266

キャノンボール・アダレイは、ファンキーで明るいアルト・サックスが身上。しかし、デビューから暫くは、エマーシー・レーベルの下、明るい明確なアルト・サックスをメインに、ストリングスやジャズオケをバックにした、大衆受け狙いの「イージーリスニング・ジャズ」志向のリーダー作を連発。

リヴァーサイド・レーベルに移籍して、ハードバップなジャズにやっと立ち戻ったが、ファンキー・ジャズには未だ至らす。しかし、1959年の『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』で一気にファンキー・ジャズ志向に大転換。以降、暫く、キャノンボール・アダレイは、ファンキー・ジャズ一直線で、売れっ子人気ジャズマンの仲間入り。

Cannonball Adderley『Them Dirty Blues』(写真左)。1960年2月1日はNY、1960年3月29日はシカゴでの録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Bobby Timmons (p, tracks 5–9) , Barry Harris (p, tracks 1–4), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。

ピアノをバップなピアニストであるバリー・ハリスとファンキーなピアニストであるボビー・ティモンスとで使い分けているが、編成の基本はアダレイ兄弟がフロント2管のクインテット編成。こってこてバップなピアニストのハリスが、とってもファンキーなピアノを弾いている。こってこてファンキーなティモンズのピアノよりファンキーなのでは、と思う位、ファンキーなハリスのピアノが効いている。
 

Cannonball-adderleythem-dirty-blues  

 
ナット・アダレイのファンキー・チューンの名曲、冒頭の「Work Song」が突出して良い出来。コール・アンド・レスポンスでゴスペルチックなテーマ、展開部は徹底的にファンキーなフレーズで埋め尽くす。根明でストレートなキャノンボールのアルト・サックスと、根明でブリリアントなナットのトランペットが映えに映える。

ちなみに、CDリイシュー盤では、バリー・ハリスがピアノを弾いているテイクと、ボビー・ティモンズがピアノを弾いているテイクとを聴き比べることが出来る。聴き比べると判るのは、LP時代、正式に採用されたのは、バリー・ハリスがピアノを弾いたテイク。ハリスがこってこてファンキーに切れ味良く、ファンキーなバップ・ピアノよろしく、フロントのアダレイ兄弟をバッキングしている。うん、やはり、これはハリスのテイクの方が良い。

2曲目以降もファンキー・ジャズ志向の演奏がてんこ盛り。ハリスのファンキー・ピアノが目立っているが、ティモンズのソウルフルなファンキー・ピアノが良い味を出している。

この『Them Dirty Blues』、スタジオ録音での、アダレイ兄弟のファンキー・ジャズ志向を決定付けたエポック・メイキングな盤という位置づけで、ファンキー・ジャズの名盤の1枚として良いのではないか。アルバムのどの曲を聴いても「ファンキー・ジャズ」。アダレイ兄弟の「ファンキー・ジャズ事始め」を、『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』と併せて聴いて確かめたい。
 
 

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2023年9月14日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・265

この盤はジャズ者初心者の頃、バイト代を叩いて買った思い出の「名盤」。

当時、ブルーノートのLPは値が張った。他のレーベルでは「廉価盤」と銘打って、LPの通常の値段の千円ほど安い、手に入れやすい価格の盤があったのだが、ブルーノートにはそれが無い。

学生時代のバイト代では、ブルーノートのLPは1ヶ月に1枚がせいぜい。他のLPも買いたいので、これは「廉価盤」で数枚買う、という感じで、ブルーノートのLPは、ジャズ者初心者の僕にとっては、特別な存在だった。

Kenny Burrell『Midnight Blue』(写真左)。1963年1月8日の録音。ブルーノートの4123番。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), Stanley Turrentine (ts), Major Holley (b), Bill English (ds), Ray Barretto (conga)。

リーダーのバレルのギターとタレンタインのテナーがフロント2管の、コンガ入り、キーボードレスのクインテット編成。バレルのギターとタレンタインのテナーの相性が抜群で、2つの楽器の相乗効果で、漆黒ファンクネスがだだ漏れ。
 

Kenny-burrellmidnight-blue

 
ブルージーでアダルト・オリエンテッドなファンキー・ジャズ。バレルの漆黒ギターとタレンタインの漆黒テナーが、アーバンな夜の雰囲気を醸し出す。コンガが良いアクセントとなった小粋な曲もあって、アルバム全体を通して、大人のファンキー・ジャズをとことん楽しむ事が出来る名盤。

とにかく、バレルのギターが良い。ブルージーでファンクネス濃厚。そして、どこか洗練された都会的な雰囲気が底に流れている。タイトルの「Midnight」が言い得て妙。都会の深夜のブルージーで漆黒な雰囲気がアルバム全体を覆っているのだ。

この盤は理屈で、蘊蓄で聴く名盤では無い。この盤は雰囲気で、直感で聴くべき名盤である。

特に、CDリイシュー時のボートラ含め、1963年1月8日のセッションの全てを欲しい。セッション全曲、捨て曲無し。充実仕切ったバレル・クインテットのセッションの全てを味わい尽くして欲しい。

この盤は、ジャズ者初心者、ジャズを聴き始めて2年位で手に入れた盤だが、まず、このジャケットに惚れた。そして、LPに針を落として、冒頭の名演「Chitlins con Carne」でドップリ感じ入り、そのまま、一気に聴き切った後、直ぐにA面の戻して、繰り返し聴き直した思い出のある名盤。

ジャズ者初心者でもこの盤の良さが直ぐに判る、ジャズ者初心者にとても優しいジャズ名盤である。
 
 

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2023年7月18日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・264

暑い。酷暑である。特に、ここ千葉県北西部地方は、暫く、全くまとまった雨が降っていない。カラカラのはずが湿度が高くて蒸し暑いのなんの。特に昨日、今日と身の危険を感じるほどの酷暑である。千葉県はもう梅雨は明けていると思うのだが、梅雨明け宣言の単位が「関東地方」らしく、北関東は暫く天気が不安定だったので、梅雨明け宣言できないらしい。何とも意味の無い「梅雨明け宣言」である。

これだけの酷暑だと、まず、外を歩くのは危険。よってエアコンをつけて、応接間でジッとしながらジャズを聴く訳だが、こういう酷暑の季節は、いかにエアコンの効いた部屋とは言え、難しいジャズは敬遠したくなる。やはり、聴いて判り易く、聴いて心地良いハードバップ時代の好盤が良い。フリー・ジャズなど以ての外である(笑)。

Donald Byrd『Byrd's Word』(写真)。1955年9月29日の録音。サボイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Frank Foster (ts), Hank Jones (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke (ds)。バップ〜ジャズファンクなトランペッター、ドナルド・バードのリーダー作。バードのトランペットとフォスターのテナーがフロント2管のクインテット編成。
 

Donald-byrdbyrds-word_20230718201301

 
バードは1932年生まれなので、この盤の録音時は23歳。若き日のプロフェッサー=ドナルド・バードである。全編、バードの溌剌としたブリリアントなトラペットが実に良い音を出している。奏でるフレーズは、そこかしこにビ・バップの面影を残しているが、ロングなアドリブ展開においては、ファンクネス溢れ流麗で知的な響きのする、バードのトランペットの個性が全開である。

フロント管の相棒、フランク・フォスターも元気一杯、バードのトランペットと迫力あるユニゾン&ハーモニーを奏でていて、なかなか良い感じ。ベースのポルチェンは弱冠20歳。若き天才は今までに無い、多彩なベースラインを展開している。ハンク・ジョーンズのピアノは「典雅」。元気一杯のフロント管にリリカルで耽美的な雰囲気を被せて「小粋」。そして、この盤のリズム&ビートを仕切るのがクラークのドラム。典型的なバップなドラミングで、バンド全体のビートをガッチリ引き締める。

単純に「良い雰囲気のハードバップ盤」だと思います。ハードバップ初期の「それまでのビ・バップと新しい響きのバップ」が混在している雰囲気がとてもジャズっぽくて、良い感じ。安心安定のモダン・ジャズ盤です。ちなみにジャケがちょっと「とほほ」な感じですが、このトーンがサボイ・レーベルの特徴なんで、これはこれで味があって良いです。でも、このジャケで損をしているところはあるんだろうな。
 
 

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2023年6月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・263

唄って弾きまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン(George Benson)。その弾きっぷりは「ウエス・モンゴメリー」のファンキー・ギターの再来。その唄いっぷりはソウルフル&ムーディー。唄って弾きまくるその底には「R&B」の黒さが流れ、ソウル・ミュージックのファンクネスが流れる。今の耳で振り返れば、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックの発祥である。

George Benson『Tell It Like It Is』(写真左)。1969年の4ー5月の録音。 A&M/CTIレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。ドラムとパーカッションはほぼ固定。曲によって、ギターとサックス、ベースを使い分けている。後のフュージョン・ジャズの担い手ジャズマンが集結している。

George Benson (g, vo), Lew Soloff (tp), Jerome Richardson (tracks 1–5, 8, 10 & 11), Arthur Clarke, Sonny Fortune (sax, tracks 1–5), Joe Farrell Joe Henderson (sax, tracks 8, 10 & 11), Bob Porcelli, Hubert Laws (sax, tracks 6, 7 & 9), Rodgers Grant (p, tracks 6, 7 & 9), Richard Tee (p, tracks 1–5, 8, 10 & 11), Bob Bushnell (b, tracks 1–5), Jerry Jemmott (b, tracks 1–7 & 9), Jim Fielder (b, tracks 8, 10 & 11), Leo Morris (ds), Paul Alicea, Angel Allende, Johnny Pacheco (perc)。

ラテンとソウル、R&B、カリビアンとエレ・ジャズを融合させた、クロスオーバー・ジャズな音作り。リーダーのジョージ・ベンソン自体は、易きに流れず、かなり硬派でメインストリーム志向のファンキー・ギターを弾きまくっている。ウエスばりのオクターヴ奏法で弾きまくり、ソウルフルでソフト&メロウなヴォーカルを披露している。
 

George-bensontell-it-like-it-is

 
Booker T & M.G.'sの名曲をカヴァーした、ご機嫌なラテン・ジャズ「Soul Limbo」から始まり、Jerry Butlerのカヴァー、ソウルフルでR&Bな「Are You Happy?」、ベンソンのヴォーカルが心地良い「Tell It Like It Is」、こってこてラテンな「Land Of 1000 Dances」、
Dontcha Hear Me Callin' To Ya」「Water Brother」は小粋なジャズ・ファンク。

グルーヴィーなブラスのユニゾン&ハーモニーも芳しい、ソウルフルなカントリー・ナンバー「My Woman's Good to Me」でのベンソンの歌唱にグッとくる。「Jama Joe」のホットなラテン曲でギターを弾きまくるベンソンは熱い。

ラス前の、スティヴィー・ワンダーの名曲のカヴァー「My Cherie Amour」でのベンソンのオクターヴ奏法に思わず仰け反り、ラストのオールドR&Bチューンのカヴァー「Out in the Cold Again」でのベンソンのソフト&メロウな唄いっぷりに惚れ惚れする。

このベンソンの『Tell It Like It Is』というアルバム、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズまで、お洒落なアレンジに乗って、マニアックで玄人好みの演奏がてんこ盛り。

米国ルーツ・ミュージックと融合したクロスオーバーなジャズを、熱いギターとソフト&メロウなボーカル、そして、小粋なアレンジで聴かせてくれる。とにかく単純に聴いていて楽しく、思わず足踏みし腰が揺れる。そんなソウルフルな傑作だと思います。
 
 

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2023年5月19日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・262

ディヴ・リーブマンが元気そうでなにより。そんな思いを持てるような、リーブマンがここ5年ほどの間に、様々な演奏フォーマット&内容のリーダー作を結構な数、リリースしている。頼もしい限りである。

Dave Liebman『Trust and Honesty』(写真左)。2022年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ss, ts), Ben Monder (g), John Hébert (b)。リーダーのリーブマン、この盤ではピアノもドラムも使わないトリオ形式を選択している。ほとんど馴染みの無い編成での演奏なので、ついつい触手が伸びる。

なぜピアノもドラムも使わなかったか。この盤を聴けば直ぐに判る。この盤、全曲バラード曲で占められた企画盤なのだ。バラード曲をリーブマンがソプラノ&テナー・サックスで、心ゆくまで吹きまくる。

サックスだけがフロント楽器を務めるワンホーンであれば、リズムを刻むのはドラムよりギターの方が良い。ベースラインをしっかりと押さえる必要があるのでアコースティック・ベースは必須。
 

Dave-liebmantrust-and-honesty

 
ということで、今回は敢えてピアノとドラムはオミットして、心ゆくまでリーブマンが吹きまくり、そのリーブマンの奏でるフレーズだけを愛でる。それが狙いの演奏形態。これがスバリ大当たり。とても聴き応えのあるバラード曲集になっている。

リーブマンはサックスのバーチュオーゾの一人なので、バラード表現にも長けたものがある。「Stella By Starlight」や「Come Rain or Come Shine」「Lover Man」等の有名なスタンダード曲もさることながら、ちょっと玄人好みのスタンダード曲「Moon and Sand」「Bye Bye Blackbird」「Blue in Green」の出来が素晴らしい。リーブマンのバラード表現を堪能出来る。

バックのリズム隊、ギターのモンダーとベースのエベールは、実に息の合ったリズム&ビートで、リーブマンのサックスをサポートし、鼓舞し、引き立てる。サックスがワン・ホーンのバラード曲集での「ギター+ベース」の変則リズム隊は「絶対にアリ」と強く思わせる、説得力のあるリズム隊である。

ジョン・コルトレーンの『バラード(ballads)』、マイケル・ブレッカーの『ニアネス・オブ・ユー(Nearness Of You)』に比肩する、とても優れた内容のリーブマンのバラード集。後世における「名盤」候補。しみじみ聴ける好盤です。
 
 

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2023年5月 6日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・261

「小粋なジャズ盤」の探索は続く。手持ちの音源をザッと見直しながら、小粋なジャズか否か、の取捨選択を繰り返しつつ、こんな盤あったんや、と聴いたはずだが、内容を忘れてしまった盤については、しっかり聴き直しつつ、「小粋なジャズ盤」の探索を続けている。

Joey Baron『Down Home』(写真左)。1997年の録音。ちなみにパーソネルは、Joey Baron (ds), Arthur Blythe (as), Bill Frisell (g), Ron Carter (b)。1955年、米国リッチモンド生まれのドラマー、ジョーイ・バロンがリーダーのカルテット編成。豪快なトーンと強烈な個性的アルト・サックスのブライスと、変則チックな自由で捻れたギターのフリゼールがメンバーに入っている。

このパーソネルだと、さぞかし捻れて限りなくフリーな即興インタープレイを想起するのだが、これがまあ、至極オーソドックスな、メンインストリーム志向の純ジャズを展開しているから面白い。当然、過去のハードバップの焼き直しでは無く、新しい響きを宿した、ネオ・ハードバップ志向のファンキー・ジャズがメイン。
 

Joey-barondown-home

 
スインギーな展開から、ファンクネス濃厚な展開、そして、浮遊感溢れるニュー・ジャズ的な展開まで、現代の「ネオ・ハードバップ」の走りのような展開のジャズが繰り広げられている。過去のハードバップやモード・ジャズの焼き直しでは全く無いところがこの盤の個性的なところ。リーダーでドラマーのバロンの志向がもろに反映されているのだろう。全く趣味の良いメインストリーム・ジャズである。

豪快トーンと限りなく自由度の高いモーダルなアルト・サックスのブライスと、変態チックに捻れるギターのフリゼールが、オーソドックスでハードバップ志向のパフォーマンスが面白い。さすが、ところどころに個性的で新鮮な響きやフレーズを織り込みながら、オーソドックスな展開でグイグイ攻める。アンサンブルもインタープレイも、なかなか締まった展開で聴き応えがある。

アバンギャルド・ジャズの中核ジャズマン、ジョン・ゾーンとの共演がメインだったジョーイ・バロンが、この盤では、一転、メンインストリーム志向の純ジャズなドラミングを披露しているのがとても興味深い。録音年は1997年。21世紀以降にジャズの演奏トレンドの1つとなる「ネオ・ハードバップ」の先駆けの様な内容は、聴いていてなかなか楽しめる。
 
 

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