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2017年12月 6日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・114

ファンキー・ジャズにおいて、米国ルーツ・ミュージックの中で切っても切れない音楽要素が「ゴスペル」。米国の黒人教会で歌われている歌唱。誰か一人が歌い出し、皆が総立ちになり、手を叩いたりステップを踏んだりしながら、声を張り上げて全身全霊で歌う様は、生で聞けば圧巻。

この「ゴスペル」の歌唱の中で「コール・アンド・レスポンス」や「コーラスの独特な響き」「躍動するビート感覚」をジャズに織り込むと、不思議とあらまあ、ファンキー・ジャズになるのである。もともと「ゴスペル」の音世界は「ファンクネスがこってこて」なので、この「こってこてなファンクネス」の存在がファンキー・ジャズに不可欠な要素なのだ。

このゴスペルの要素を大々的に導入して、ジャズ・ピアノソロとして1枚のアルバムに仕立て上げた盤が、Cyrus Chestnut『Spirit』(写真左)。ピアノ・トリオでの演奏活動を中心に行なっているチェスナットが、珍しくソロ・ピアノを選択したアルバムです。タイトル通り、この盤ではスピリチュアル〜ゴスペル系の曲を集めたもの。
 

Cyrus_chestnut_spirit  

 
トリオ演奏の時の様に、豪快にスイングするプレイとは異なった、ゆったりしたテンポで、ゴスペル独特のファンクネス溢れる、黒く美しい旋律をシンプルに弾き進めるチェスナットは意外と魅力的です。恐らく、ゴスペルって、チェスナットのルーツ音楽の1つなんでしょうね。実にエモーショナルに、実に厳かに、ゴスペルちっくな曲をソロ・ピアノで弾き進めていきます。

ソロ・ピアノであるが故の静的な厳かな響きと旋律。静謐なスピリチュアル・ジャズ。9曲目のサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」のカバーが目を惹きますが、他の曲はゴスペルや賛美歌のオーソドックスな名曲みたいで、ほんと、米国ルーツ・ミュージック好きの私にとっては、もう耳が惚れ惚れしてしまう、印象的なソロ・ピアノ集です。

トリオ演奏の時の様に、豪快にスイングするプレイが身上のチェスナットが、これだけ陰影豊か、硬軟自在、緩急自在にソロ・ピアノを弾き進めるとは思いませんでした。チェスナットのポテンシャル、恐るべしです。こってこてファンキーなゴスペルの要素がてんこ盛りのこの盤、ファンキー・ジャズの最右翼に位置する好盤だと思います。

 
 

東日本大震災から6年8ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年11月 8日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズには、一流ジャズメン達がリーダーになって、気合いを入れて創作するアルバムもあるが、気心知れたジャズメン達が、ちょっと集まって、ジャムセッション風に録音して制作するアルバムもある。そして、意外に、この気心知れたジャズメン達がちょっと集まって録音したアルバムが、実に滋味に富んだ、実に心地良いモダン・ジャズなアルバムになっていたりするから面白い。

例えば、Paul Desmond『First Place Again』(写真)。1959年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Paul Desmond (as), Jim Hall (g), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)。ピアノの代わりにギターが入ったカルテット構成。この構成とこのパーソネルを見るだけで、この盤に詰まっている音が期待出来る。

ポール・デスモンドは、デイブ・ブルーベックのカルテットに参加して人気のアルト奏者。そこに、ジャズ・ギターの名手ジム・ホールが加わり、ベースとドラムは、モダン・ジャズ・カルテットから、パーシー・ヒースとコニー・ケイが参加。いや〜、当時、人気の一流ジャズメンばかり、しかもバリバリの中堅。粋で渋い、聴くからにジャズらしい音を出す4人である。
 

First_place_again

 
選曲も渋くて、スタンダード曲かトラディショナル曲で占められる(CD再発の時にデスモンド作が入るがオリジナルLPには無い)。冒頭のコール・ポーター作の「I Get a Kick Out of You」や、ジョン・ルイス作の「Two Degrees East, Three Degrees West(2度東3度西)」など、聴いていて惚れ惚れする。典型的なモダン・ジャズ、典型的なハードバップである。

ここまで来ると、もう理屈やないなあ、と思ってしまう。優秀な一流ジャズメン達が、ちょっと集まって録音すると、きっと適度にリラックスした演奏になるんだろう、本当に和やかで優れた内容である。聴く側も適度にリラックスして、微笑みを湛えながら、ちょっと足でリズムを取りながら、首は左右に微かに触れてスイングする。そんな雰囲気の演奏が実に心地良い。

ポール・デスモンドのアルトが興味深い。ブルーベック・カルテットの時には、丸くて和やかで温和なアルトを吹いているのだが、ブルーベック・カルテットを離れて、一人で他流試合に参加した時には、結構、力強いアルトを吹く。どちらが彼の本質なのか、聴いていてとても興味深い。最初から最後まで、心地良いモダン・ジャズがてんこ盛り。隠れ好盤です。

 
 

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2017年9月18日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・112

台風は関東から去った。台風一過の良い天気というのは簡単だが、北海道に到達しつつ勢力は衰えること無く、逆に発達したりしているので、北海道は予断を許さない。九州を中心に被害は大きかった。中学の頃に体験したが、水害って後始末が大変。災害に遭われた地域の方々にはお見舞い申し上げます。

さて、ジャズ盤紹介本を読んでいて、このテナー奏者の名前をすっかり忘れていたことに気がついた。Joe Van Enkhuizen=ジョー・ヴァン・エンキューゼン、和蘭のテナー奏者である。骨太で朗々とブラスを響かせながら吹き上げるテナーは実に聴き応えがあって、このテナーでミッドテンポからスローテンポの曲を朗々と吹かれると、もうドップリ聴き耳立てて、思わず聴き込んでしまう。

Horace Parlan, Joe Van Enkhuizen, Rufus Reid & Al Harewood『Joe Meets the Rhythm Section』(写真左)。入手が比較的し易くて、そんなジョー・ヴァン・エンキューゼンのテナーを堪能出来る盤である。ワンホーンのカルテット構成。カルテット4人が平等に4人名義のアルバムであるが、メインは、ホレス・パーランとジョー・ヴァン・エンキューゼン。
 

Joe_meets_the_rhythm_section

 
改めてパーソネルは、Horace Parlan (p), Joe Van Enkhuizen (ts), Rufus Reid (b), Al Harewood (ds)。1986年7月の録音。エンキューゼンのワン・ホーン、ホレス・パーランのピアノ・トリオがリズム・セクションを務める。ベースがルーファス、ドラムがヘアウッドなので、このリズム・セクションには間違いは無い。

やはり、聴きものは、エンキューゼンのテナー。ほんと良い音出している。和蘭のテナーマンなので、さすがにファンクネスは希薄。しかし、骨太で朗々とブラスを響かせながら吹き上げる中、仄かな色気が漂って、実に硬派で男気溢れる妖艶テナーである。このテナーで、小粋なミューシャンズ・チューンを中心に、鯔背に聴かせるのだから堪らない。

バックのホレス・パーランのピアノ・トリオも良好。エンキューゼンのテナーを盛り立てつつ、自らもちょっと捻りを効かせた、小粋なピアノ・トリオのパフォーマンスを聴かせてくれる。ジャズ盤紹介本などに全く出てこない盤ですが(ネットでは若干コメントされているのが心強い)良い内容の盤です。ダウンロード・サイトから比較的入手し易いので、一聴をお勧めします。

 
 

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2017年8月12日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・111

日本のジャズ、演奏する方も以前からレベルが高い。さすがに1960年代は米国ジャズが世界の先端を走っていたので、遅れはとっていた。が、1970年代になって、情報の流通のスピードが上がってからは、米国ジャズと同等のレベルの演奏水準になり、日本ジャズ独特の個性を獲得していた。

我が国で、1970年代後半から1980年代前半に渡ってブームが続いた「フュージョン・ジャズ」についても同様で、日本のフュージョン・ジャズのレベルって世界レベルを実現していた。そんなジャズメンの中に「深町純」がいた。シンセを駆使したプログレ指向のクロスオーバー・ジャズからスタートして、フュージョン・ブームの中、幾枚かの好盤をリリースしている。そんな中の一枚がこれ。

深町純『On The Move』(写真左)。1978年のリリース。深町純が単身でニューヨークへ乗り込み、現地のミュージシャンたちと作り上げた好盤である。参加ミュージシャンは、当時、フュージョン・ジャズの第一線で活躍していた優れどころばかりがズラリと名を連ねる。
 

On_the_move

 
特に目立つのは、全編に渡ってドラムを担当したスティーヴ・ガッド、全8曲中6曲に参加した、サックスのマイケル・ブレッカー、ベースのアンソニー・ジャクソン。独特の低音の響きを4曲に渡って供給するバリサクのロニー・キューバー。2曲のみの参加だが、印象的なフレーズで記憶に残るヴァイブを担当したマイク・マイニエリ。他、フュージョン・ジャズのアルバムの中で、どっかで聴いたことのある音がてんこ盛り。

そんな中、やはり深町純のキーボードが一番、印象に残る。アナログ音源電子ピアノの Yamaha CP-30、恐らくミニ・ムーグ、そしてメロトロンまで使用して、実に趣味の良い、かつ当時として最高レベルのキーボードの選択&プレイが素晴らしい。使用楽器としては、今の時代から見るともはや骨董品レベルなんだが、音に古さを感じさせないところに、深町純のセンスの高さが感じられる。

当時、米国東海岸中心のミュージシャンをチョイスしてのフュージョン・ジャズなんだが、ファンクネスを全く感じ無いところに、日本フュージョン・ジャズの個性が漂っている。不思議ですよね。日本人はリーダーの深町純だけなのにね。それだけ、バックのミュージシャンのテクニックと表現力が超一流だということでしょう。この盤、明らかに日本フュージョン・ジャズの代表的アルバムの一枚です。

 
 

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2017年8月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・110

欧州の国々を旅行すると良く判るんだが、どの国にもジャズがある。その国独特のジャズが存在していて、ジャズのライブ・スポットもあるし、レストランなんかで、BGMでジャズが流れていたりする。もともと米国発祥のジャズが、この大西洋を渡った欧州で脈々とその歴史を継いでいるのだ。

今日は「フレンチ・ジャズ」。芸術の都「パリ」が控えるフランス。新しいアートについては、敏感に反応し、良いものについては、臆すること無く、積極的に取り込む。諸手を挙げて評価する。そんなフランスである。1940年代のビ・バップから1950年代のハードバップに敏感に反応し、米国から渡り住んできた、多くのジャズメンを暖かく迎えた。そんなフランスのジャズである。

Georges Arvanitas『Bird of Paradise』(写真左)。1988年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Georges Arvanitas (p), Jacky Samson (b), Charles Saundrais (ds)。ピアノ・トリオである。トリオのメンバーはオール・フランス。出てくる音は確かに「フランスやな〜」って感じの音だから、ジャズって面白い。
 

Georges_arvanitas_bird_of_paradise

 
感性のピアノ・トリオである。決して、理詰めでは無い。感覚最優先の力強いネオ・ハードバップな音作り。アレンジは最低限に留め、三者対等のインプロビゼーションを感性のおもむくまま、ちょっとラフなアンサンブルとアドリブ展開。ゆるゆるだけど決めるところはバシッと決める。品良く跳ねるようなオフビートを感じて、僕はこのトリオ演奏を「シャンパン・トリオ」と呼ぶ(笑)。

全16曲が収録されているが、6曲がアルヴァニタスのピアノ・ソロ。このソロがこれまた味わい深い。米国でもなければ、欧州の他の国のジャズ・ピアノの雰囲気とも全く違う雰囲気の、このフランス独特の(と言って良いだろう)ジャズ・ピアノの響きとフレーズ。力強いがどこかラフな雰囲気が漂いつつ、感性のおもむくまま、決めるところは決める。

ジョルジュ・アルヴァニタス (Georges Arvanitas)は、1931年6月生まれ。惜しくも2005年9月に逝去。享年74歳。フランスはマルセイユ生まれのジャズ・ピアノ奏者である。当初はクラシックのピアニストとして訓練を受けただけある、確かなテクニックに裏打ちされたバップなピアノは実に魅力的。もっともっと彼のピアノが聴きたい。そんな気持ちで一杯になりました。

 
 

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2017年8月 5日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・109

昨日の夕方から空気が入れ替わったのか、夜の間に降った雨が湿気をしっかり残して、朝から思いっきり蒸し暑い千葉県北西部地方。これだけ蒸し暑いと身体に堪える。というか、今の身体は以前の様な耐性が無く、気温の変化や湿度の高さについては「かなり辛い」。ちょっと伏せりながら、気を紛らしたくてジャズを聴いたりしている。

Dave Brubeck Quartet『Paper Moon』(写真左)。1981年9月の録音。ちなみにパーソナルは、Dave Brubeck (p), Jerry Bergonzi (ts), Chris Brubeck (b), Randy Jones (ds)。ディブ・ブルーベック・カルテットというと、アルトのポール・デスモンドが定番なんだが、ここでは、テナーにジェリー・バーガンジを迎えたカルテットで吹き込んだアルバムになる。

アルトのデスモンドは、柔らかで優しい音色の流麗なフレーズが個性のアルトなので、ブルーベックのスクエアに跳ねるようにカクカクとスイングするピアノとの対比が独特で素敵な雰囲気を醸し出していた。が、ここでのテナーのバーガンジはコルトレーン・スタイル(フリー・ジャズに走る前の)のテナーで、硬派で実直なフレーズが特徴。これって、ブルーベックのピアノにあうんかいな、とちょっと不安になる。
 

Paper_moon

 
冒頭の「Music, Maestro, Please!」を聴けば、そんな不安は杞憂だったことが判る。コルトレーン・スタイルの硬派で実直なテナーが、ブルーベックのスクエアに跳ねるようにカクカクとスイングするピアノに違和感無く、スッポリと収まる。デスモンドのアルトとは「正反対の対比の妙」だったが、バーガンジのテナーとは「融合と協調の妙」である。雰囲気の似通ったピアノとテナーの競演が見事である。

こうやって聴いていると、我が国でのブルーベックに対する酷評、スイングしないピアニストだとか、そもそもジャズ・ピアノじゃない、とか結構酷いこと言われてるんだけど、それらが如何に「お門違い」の評価なのかが良く判る。ブルーベックは伴奏上手だし、ブルーベックのピアノは、彼独特のスイング感があって、やはり素敵だ。スクエアに跳ねるようにカクカクするスイング感。

この盤、選曲がふるっていて、なかなか小粋なスタンダード曲が選曲されていて、これが実に良い。ブルーベックについては、何時の時代にも言えることなんだが、アレンジがとても良好。コンコード・レーベルからのリリースで、独特の録音の雰囲気とも相まって、このカルテットの醸し出す心地良いテンションと共に、聴き応えのあるスタンダード集になっています。好盤です。

 
 

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2017年6月30日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・108

小学校の高学年の頃から、今で言う「R&B」な音楽が好きであった。今から50年ほど前になるのだが、オフビートの黒人中心の音楽に何故か心を惹かれた。1960年代後半から1970年代前半には「ソウル・ミュージック」と日本では呼ばれた。いわゆる「魂」の歌というイメージから「ソウル」。今から思えば、かなりこじつけなジャンル言葉である。

『King Curtis Live at Fillmore West』(写真左)。1971年3月5〜7日、当時のロックの殿堂「フィルモア・ウエスト」でのライブ録音。アレサ・フランクリンのフィルモア・ウエストでのライブでのバックをつとめたキング・カーティスのアレサが登場する前の演奏のライブ。所謂「前座」の演奏なんですが、これが「前座」ですか〜(笑)。

演奏の雰囲気は、バックの演奏は「ソウル・ジャズ」。カーティスの歌唱は明らかに「R&B」。時は1971年、ジャズのトレンドは「クロスオーバ−」。このキング・カーティスのライブ盤、内容は、ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージックである。後のフュージョン・ミュージックの個性「ソフト&メロウ」なんて欠片も無い。あるのは汗飛び散るブラック・ファンクなソウル・ミュージック。
 

King_curtis_live_at_fillmore_west

 
むっちゃ雰囲気の良いR&Bコッテコテのカーティスのパフォーマンス。圧倒的な迫力溢れるボーカル、押し引きをわきまえたノリ、グループ感溢れんばかりのリズム&ビート。もうノリノリ、爆発するファンクネス。逆にスローな曲も良い。特に「青い影」のカバーは絶品。黒くアーバンなリズム・セクション。情感溢れるカーティスのパフォーマンス。絶品である。

当時としては斬新なエフェクトをかけたエレクトリック・サウンドを駆使してのブロウ、ファンクネス濃厚なリズム・セクション。後のR&Bの演奏展開のお手本となった個性的な演奏がこのライブ盤にギッシリと詰まっています。うねるホーン・セクションも隅に置けない。R&B/ソウルの代表的名盤ですね。

ソウル・ジャズ+R&Bのクロスオーバー・ミュージックのノリが心地良い。収録曲も全てが魅力的で楽しい。R&Bの雰囲気濃厚なので、硬派なジャズ者の方々からは「これはジャズではない」レッテルを貼られそうな盤ですが、そういう器量の狭いことを言っていけない。ジャンルを超越した「聴いて楽しいノリの良い音楽」がここにあります。とにかく一聴あるのみ、です。 

 
 

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2017年6月18日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・107

2日ほど、栃木路に逗留していた。このところ、梅雨入りしたとは言え、全くその気配は無く、とにかく暑い夏の様な気候があるだけ。ただ、カラッとした暑さなので強烈な不快感は無い。と、今日は打って変わって朝から肌寒い。昼には千葉県北西部地方に帰ってきたが、昼過ぎからは雨。

雨の日は部屋の中でノンビリしながらのジャズが良い。Gary Bartz『Shadows』(写真左)。1991年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Bartz (as, ss), Willie Williams (ts), Benny Green (p), Christian McBride (b), Victor Lewis (ds)。絶対、良い音するぞ、って感じのワクワクするような面子である。

リーダーのゲイリー・バーツと言えば、スピリチュアル・ファンク・ ジャズというべき世界を探求したサックス奏者。担当楽器はアルトとソプラノのサックス。しかし、ここで演奏されているのは正統な「ネオ・ハードバップ」。そう、バックのリズム・セクション、ピアノのグリーン、ベースのマクブライド、ドラムのルイス。この3人のリズム&ビートが、正統かつ最先端の「ネオ・ハードバップ」なのだ。
 

Gary_bartz_shadows

 
アブストラクトでフリーなフレーズに行きそうで行かない、ググッと正統な「ネオ・ハードバップ」に踏みとどまった様な、雰囲気はスピリチュアルではあるが、基本はバップなアルト&ソプラノ・サックスの音がとても素敵である。とにかく、むっちゃ魅力的に担当楽器を吹き輝かせるバーツはとても格好良い。

相対するテナーのウイリー・ウイリアムスのテナーも負けていない。とにかく良い音をさせて、ネオ・ハードバップなフレーズをクールにグイグイと吹き上げていく。バーツ共々、ほんと良い音させている。この盤はこの二人のサックスのサックスらしい「ネオ・ハードバップ」な音色を愛でる盤である。

バックのグリーン、マクブライド、ルイスのリズム・セクションも超強力。これだけ重力級の「ネオ・ハードバップ」なリズム・セクションの音を聴くことはそうそうに無い。ゴリゴリ、バリバリな超弩級の低音を響かせながら、フロントの二人を鼓舞し支えていく。この盤に詰まっている「ネオ・ハードバップ」の音はとても美しい。心がわくわくする。

 
 

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2017年6月 4日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・106

この盤は確実に「ジャケ買い」であった。このジャケットを見た時は、この盤の素性は全く知らない。ただ、このジャケットにグッと心を掴まれた。このトランペッターは誰だ。ジャケットの文字を見たら、トム・ハレルとある。トム・ハレルの名前は知っている。あと、サイドメンの名前が連なる。総合力勝負のピアニストのケニー・バロンの名が見える。

「これはイケるに違いない」。で、即ポチである。そのアルバムとは、Tom Harrell『Moon Alley』(写真左)。1985年12月の録音。意外と古い録音。ちょうど、純ジャズ復古の時代、老舗のジャズ・レーベルが復活し、純ジャズが復権していった頃。なるほど。その時代が故にパーソナルがふるっている。

ちなみにパーソネルは、Tom Harrell (tp, flh), Kenny Garrett (as, fl), Kenny Barron (p), Ray Drummond (b), Ralph Peterson (ds)。いやいや、今の目でみれば錚々たるメンバーではないか。新しい響きのアルトはケニー・ギャレット。切れ味の良い、躍動感としなやかさが共存した、新しい感覚のリズム&ビートが魅力のドラモンドのベースとピーターソンのドラム。
 

Moon_alley1

 
そして、サイドメンの絶品は、総合力勝負のピアニスト、ケニー・バロン。伴奏の職人、バロンの流麗で洒脱なバッキングは、耳に好印象を残してくれる。高テクニックを擁しながらもグッと押さえて、程良い音数で印象的にフレーズを紡ぎ上げつつ、フロントのトランペットとアルトを推し上げる。

しかしながら、リーダーなので当然ではあるが、トム・ハレルのトランペットが素晴らしく良い。力強く躍動感溢れ、紡ぎ出すフレーズは流麗そのもの。トランペットそのものが実に魅力的に鳴っている。日本ではあまり名前が通っていないが、ハレルのトランペットは一級品。切れ味良く、エッジは程良く心地良く立っていて、聴いていてとっても心地良い。

基本はネオ・ハードバップ。コードとモードを程良くブレンドしつつ、躍動感溢れる、雄弁なソロを繰り出していく。リズム・セクションも強力。こういうネオ・ハードバップの好盤をつい最近まで知らなかった。いやはや、ジャズは奥が深い、ジャズは裾野が広い。いや〜、ほんとジャズって良いですね。

 
 

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2017年5月23日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・105

なんだか、外は凄い風である。気温はもはや7月上旬並みなので、肌寒くは無い。心地良い温度なんだが、なんせ風の勢いが強すぎる。風を切る音がうるさくて、外を歩く分にはイヤフォンで音楽が楽しめない。体感気温は心地良いんだけどなあ。

今日は珍しい楽器のジャズを聴いていた。クラリネットである。学校のブラスバンドではメインの木管楽器なのだが、ジャズではマイナーな楽器の部類になる。それでも、1920年代から30年代、スイング・ジャズの時代には、クラリネットはフロントのメイン楽器だった痕跡がある。

ベニー・グッドマンが筆頭だろう。そして、ウディ・ハーマン、アーティ・ショウ、バディ・デフランコと続く。ビッグバンドジャズのフロント楽器の印象が強い。ダイナミックな迫力満点のビッグバンドジャズの中で、その正反対の繊細で上品な音色のクラリネットが惹き立つんでしょう。しかし、1940年代のビ・バップ以降のジャズシーンでは、クラリネットは少数派になっていきました。

しかし、ハードバップの時代、クラリネットのジャズとして印象に残っているのは「ジミー・ジュフリー」。学生時代、1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスを記録したドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」で、ジミー・ジュフリーの演奏を見て聴いて感動したのが最初。それ以降、ジミー・ジュフリーのリーダー作は都度都度聴いてきました。
 

The_jimmy_giuffre_quartet_in_person

 
今日聴いたのは、The Jimmy Giuffre Quartet『In Person』(写真左)。1960年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts), Jim Hall (g), Buell Neidlinger (b), Billy Osborne (ds)。ジミー・ジュフリーの繊細で上品なクラリネットの音色に、ジム・ホールのギターが実に効いています。

この盤を聴くと、クラリネットの表現力の豊かさに驚きます。様々なニュアンスの音が出る。そして、繊細で上品な音から、ちょっとアブストラクトでフリーキーな音まで、音色の幅が広い。そんなバリエーション溢れるニュアンスと音色のクラリネットがメインのジャズ。アカデミックで趣味の良い、室内楽的な上品で繊細な雰囲気の純ジャズが展開されます。

このライブ盤では、対位法など小難しいアレンジは一切無し。判り易くシンプルな演奏がとても良い。クラリネットがメインのハードバップ・ジャズの好盤としてなかなかの内容です。サイドメンでジュフリーのクラリネットをサポートするジム・ホールのギターもなかなかに渋くて良い。

繊細で上品なクラリネットとギターで、ファンクネス仄かに香り、上品でアカデミックなジャズを展開する様はほんと良い感じです。

 
 

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