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2017年6月18日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・107

2日ほど、栃木路に逗留していた。このところ、梅雨入りしたとは言え、全くその気配は無く、とにかく暑い夏の様な気候があるだけ。ただ、カラッとした暑さなので強烈な不快感は無い。と、今日は打って変わって朝から肌寒い。昼には千葉県北西部地方に帰ってきたが、昼過ぎからは雨。

雨の日は部屋の中でノンビリしながらのジャズが良い。Gary Bartz『Shadows』(写真左)。1991年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Bartz (as, ss), Willie Williams (ts), Benny Green (p), Christian McBride (b), Victor Lewis (ds)。絶対、良い音するぞ、って感じのワクワクするような面子である。

リーダーのゲイリー・バーツと言えば、スピリチュアル・ファンク・ ジャズというべき世界を探求したサックス奏者。担当楽器はアルトとソプラノのサックス。しかし、ここで演奏されているのは正統な「ネオ・ハードバップ」。そう、バックのリズム・セクション、ピアノのグリーン、ベースのマクブライド、ドラムのルイス。この3人のリズム&ビートが、正統かつ最先端の「ネオ・ハードバップ」なのだ。
 

Gary_bartz_shadows

 
アブストラクトでフリーなフレーズに行きそうで行かない、ググッと正統な「ネオ・ハードバップ」に踏みとどまった様な、雰囲気はスピリチュアルではあるが、基本はバップなアルト&ソプラノ・サックスの音がとても素敵である。とにかく、むっちゃ魅力的に担当楽器を吹き輝かせるバーツはとても格好良い。

相対するテナーのウイリー・ウイリアムスのテナーも負けていない。とにかく良い音をさせて、ネオ・ハードバップなフレーズをクールにグイグイと吹き上げていく。バーツ共々、ほんと良い音させている。この盤はこの二人のサックスのサックスらしい「ネオ・ハードバップ」な音色を愛でる盤である。

バックのグリーン、マクブライド、ルイスのリズム・セクションも超強力。これだけ重力級の「ネオ・ハードバップ」なリズム・セクションの音を聴くことはそうそうに無い。ゴリゴリ、バリバリな超弩級の低音を響かせながら、フロントの二人を鼓舞し支えていく。この盤に詰まっている「ネオ・ハードバップ」の音はとても美しい。心がわくわくする。

 
 

東日本大震災から6年3ヶ月。決して忘れない。まだ6年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年6月 4日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・106

この盤は確実に「ジャケ買い」であった。このジャケットを見た時は、この盤の素性は全く知らない。ただ、このジャケットにグッと心を掴まれた。このトランペッターは誰だ。ジャケットの文字を見たら、トム・ハレルとある。トム・ハレルの名前は知っている。あと、サイドメンの名前が連なる。総合力勝負のピアニストのケニー・バロンの名が見える。

「これはイケるに違いない」。で、即ポチである。そのアルバムとは、Tom Harrell『Moon Alley』(写真左)。1985年12月の録音。意外と古い録音。ちょうど、純ジャズ復古の時代、老舗のジャズ・レーベルが復活し、純ジャズが復権していった頃。なるほど。その時代が故にパーソナルがふるっている。

ちなみにパーソネルは、Tom Harrell (tp, flh), Kenny Garrett (as, fl), Kenny Barron (p), Ray Drummond (b), Ralph Peterson (ds)。いやいや、今の目でみれば錚々たるメンバーではないか。新しい響きのアルトはケニー・ギャレット。切れ味の良い、躍動感としなやかさが共存した、新しい感覚のリズム&ビートが魅力のドラモンドのベースとピーターソンのドラム。
 

Moon_alley1

 
そして、サイドメンの絶品は、総合力勝負のピアニスト、ケニー・バロン。伴奏の職人、バロンの流麗で洒脱なバッキングは、耳に好印象を残してくれる。高テクニックを擁しながらもグッと押さえて、程良い音数で印象的にフレーズを紡ぎ上げつつ、フロントのトランペットとアルトを推し上げる。

しかしながら、リーダーなので当然ではあるが、トム・ハレルのトランペットが素晴らしく良い。力強く躍動感溢れ、紡ぎ出すフレーズは流麗そのもの。トランペットそのものが実に魅力的に鳴っている。日本ではあまり名前が通っていないが、ハレルのトランペットは一級品。切れ味良く、エッジは程良く心地良く立っていて、聴いていてとっても心地良い。

基本はネオ・ハードバップ。コードとモードを程良くブレンドしつつ、躍動感溢れる、雄弁なソロを繰り出していく。リズム・セクションも強力。こういうネオ・ハードバップの好盤をつい最近まで知らなかった。いやはや、ジャズは奥が深い、ジャズは裾野が広い。いや〜、ほんとジャズって良いですね。

 
 

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2017年5月23日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・105

なんだか、外は凄い風である。気温はもはや7月上旬並みなので、肌寒くは無い。心地良い温度なんだが、なんせ風の勢いが強すぎる。風を切る音がうるさくて、外を歩く分にはイヤフォンで音楽が楽しめない。体感気温は心地良いんだけどなあ。

今日は珍しい楽器のジャズを聴いていた。クラリネットである。学校のブラスバンドではメインの木管楽器なのだが、ジャズではマイナーな楽器の部類になる。それでも、1920年代から30年代、スイング・ジャズの時代には、クラリネットはフロントのメイン楽器だった痕跡がある。

ベニー・グッドマンが筆頭だろう。そして、ウディ・ハーマン、アーティ・ショウ、バディ・デフランコと続く。ビッグバンドジャズのフロント楽器の印象が強い。ダイナミックな迫力満点のビッグバンドジャズの中で、その正反対の繊細で上品な音色のクラリネットが惹き立つんでしょう。しかし、1940年代のビ・バップ以降のジャズシーンでは、クラリネットは少数派になっていきました。

しかし、ハードバップの時代、クラリネットのジャズとして印象に残っているのは「ジミー・ジュフリー」。学生時代、1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスを記録したドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」で、ジミー・ジュフリーの演奏を見て聴いて感動したのが最初。それ以降、ジミー・ジュフリーのリーダー作は都度都度聴いてきました。
 

The_jimmy_giuffre_quartet_in_person

 
今日聴いたのは、The Jimmy Giuffre Quartet『In Person』(写真左)。1960年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts), Jim Hall (g), Buell Neidlinger (b), Billy Osborne (ds)。ジミー・ジュフリーの繊細で上品なクラリネットの音色に、ジム・ホールのギターが実に効いています。

この盤を聴くと、クラリネットの表現力の豊かさに驚きます。様々なニュアンスの音が出る。そして、繊細で上品な音から、ちょっとアブストラクトでフリーキーな音まで、音色の幅が広い。そんなバリエーション溢れるニュアンスと音色のクラリネットがメインのジャズ。アカデミックで趣味の良い、室内楽的な上品で繊細な雰囲気の純ジャズが展開されます。

このライブ盤では、対位法など小難しいアレンジは一切無し。判り易くシンプルな演奏がとても良い。クラリネットがメインのハードバップ・ジャズの好盤としてなかなかの内容です。サイドメンでジュフリーのクラリネットをサポートするジム・ホールのギターもなかなかに渋くて良い。

繊細で上品なクラリネットとギターで、ファンクネス仄かに香り、上品でアカデミックなジャズを展開する様はほんと良い感じです。

 
 

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2017年4月26日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・104

ジャズで「サックス」と言えば、テナー・サックスばかりでは無い。アルト・サックスにも優れたジャズメンが沢山いる。アルト・サックスは、テナー・サックスに比べると小ぶり。その分、担当する音階はテナーより高い。アルト・サックスはサックスの中で最も標準的な楽器とされる。

ジャズの世界で、そんなアルト・サックスの使い手と問われて、僕の頭の中に「いの一番」に浮かぶジャズメンは「アート・ペッパー(Art Pepper)」である。僕はジャズを聴き始めた、今を去ること40年前から、ずっと「アート・ペッパー」の大ファンである。とにかく、ペッパーのアルト・サックスは「テクニックに優れる」。

そして、音色がブリリアントで健康的な官能美がたまらない。加えて、鼻歌を歌うが如く、止めどなく出てくる、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。豊かなイマージネーション、そして、誠実な吹きっぷり。どれを取っても「良い」。そんなペッパーのアルトが大好きだ。しかも、ペッパーのリーダー作には駄作が無い。どのリーダー作でもペッパーのアルトは「良く鳴っている」。

Art Pepper『Mucho Calor』(写真左)。タイトルはスペイン語で付けられているので、『ムーチョ・カロール(Mucho Calor)』と読んで欲しい。日本語表記ではなぜか『ムーチョ・カラー』という読み方が定着しているがこれは間違い。英語に訳すと「Much Heat」が一番近しく「とっても熱い」という意。
 

Mucho_calor  

 
加えて、ラテン風アレンジもののアルバムであることを売りにしている盤である。ジャケ裏に「a presentation in latin jazz」と明記されている。ちなみにパーソネルは、Conte Candoli (tp), Jack Costanza (bongos), Chuck Flores (ds), Russ Freeman (p), Mike Pacheko (bongos), Art Pepper (as), Bill Perkins (ts), Ben Tucker (b)。オクテット構成。1958年4月の録音。

冒頭のタイトル曲「Mucho Calor」から、ボンゴ、コンガの音が全開。掛け声なんかもかかったりして、この盤って、1960年代からつい最近まで、恐らく日本では「キワモノ扱い」の盤だったのではなかろうか、と思ってしまう。日本ではパーカッションの音色について評価が低い。併せて、ラテン・ジャズについても「俗っぽい」という一言で片付けられることが「ほとんど」。

しかし、2曲目以降、聴き進むにつけ、その評価の低さは「不遜」であると確信する。もともと米国西海岸ジャズだって、東海岸ジャズ偏重の日本ジャズ界のなかでは評価が低かった。そう、この盤は、アート・ペッパーをリーダーとして、米国西海岸ジャズの雄を集めて構成された八重奏団なのだ。

アルバム全体を聴き通して、洒落たアレンジが施された、スムースでちょっとライトな感覚のお洒落なジャズ感満載で、このアルバムって、明かな「米国西海岸ジャズ」の音世界である。そこに、ブリリアントで健康的な官能美豊かなペッパーのアルトが滑る様に、アドリブをぶっ込んでくる。ジャズである。この盤を「キワモノ」として避けてはならない。今では「ジャズ者御用達の好盤」の一枚である。

 
 

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2017年4月 3日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・103

最近の愛読書である『僕が選んだ「いい音ジャズ」201枚 〜オーディオファンも聴いておきたい優秀録音盤』。音楽鑑賞の場合、音が良いに越したことは無い。演奏が良ければ音は二の次、なんていう意見もあるが、僕はジャズにおいては「音の良さ」を追求したい。ジャズにおいては楽器の鳴る音も聴きどころ、だと思っている。

そんな「音の良いジャズ」のアルバムをチョイスした本がこの「いい音ジャズ」なんだが、この本にチョイスされたアルバムはどれもが確かに音が良い。単に音が綺麗にとれているのでは無くて、ジャズ演奏の躍動感や楽器の鳴りなど、ジャズ演奏を楽しむのに必須の「音的な要素」をしっかりと捉えているのだ。

Tubby Hayes『Tubby's Groove』(写真左)。1959年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Tubby Hayes (ts, vib), Terry Shannon (p), Jeff Clyne (b), Phil Seamen (ds)。リーダーのタビー・ヘイズは、英国はロンドン出身のハード・バップ系のテナー奏者、加えてヴァイブ奏者。そんな英国ジャズを代表するテナー奏者のリーダー作である。
 

Tubbys_groove

 
音が良い。凄く音が良い。ヘイズのテナーの音が生々しい。生き物のように呼吸するように唄う様にヘイズのテナーが鳴っている。透明度抜群に響くヴァイブの音も生々しい。これが1959年の録音なん?、とビックリする。時はハードバップ時代の真っ只中。ジャズ独特の「ブルーノート」が黒くてファンキー。この盤のジャケットのイメージそのまま。

この音の感覚を「Groove」と形容するのが一般的。「Groove」って何と問われたら、この盤をかけたりする。黒くてブルージーでファンキーなジャズ独特の「ノリ」、それが「Groove」。このタビー・ヘイズのリーダー作には、その「Groove」感がギッシリと詰まっている。この「Groove」感が生々しい音で記録されている。英国ジャズ万歳である。 

この盤でのヘイズのテナーは凄い。他のメンバーを置き去りにして、漆黒のファンキー・グルーブなテナーを吹きまくる。あっと言う間の40分間。そう言えばタイトルは「タビーのグルーブ」。けだし名タイトルである。こういう盤があるからジャズのアルバム漁りは止められない。最近の我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「隠し球」的なアルバムである。

 
 

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2017年3月 6日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・102

昔からジャズという音楽ジャンルは、クラシックと双璧の「音楽芸術」の側面があると思っている。ダンスや「飲み」の傍らでの「娯楽音楽」の側面もあるが、テクニックの素晴らしさ、アドリブ・フレーズの素晴らしさなど「音楽芸術」の側面もかなり大きなパーセンテージを占める。

ジャズがこの世に出現してから、そろそろ100年になるんだが、まだまだジャズはマンネリにならない。我が国では1970年あたりから「ジャズは死んだ」と言われ続けているが、はや21世紀になって10年以上経つが、まだまだジャズは進化し続けている。本当に面白いなあ、と思うのは、さすが即興の音楽と言われるジャズ、同じ曲を採用しても同じパターンの演奏が全く無いこと。

ジャズの演奏スタイルは、楽器演奏であるが故、ある程度限定されるんだが、それでも、その組合せと演奏者の個性の掛け合わせで、無限のバリエーションが存在する。そういう面では、まだまだジャズは進化し続けるのだろう。

Danilo Perez, John Pattituci & Brian Blade『Children of the Light』(写真左)。 2015年の作品。ちなみにパーソネルは、Brian Blade (ds), John Patitucci (b), Danilo Perez (p)。この作品は「Doctor」と呼ばれる、ウェイン・ショーターへ捧げた作品。
 

Children_of_the_light1

 
ドラムのブライアン・ブレードのリーダー作なので、ドラムが小粋にハイテクにところどころ前面に出ながら、ピアノが旋律を決め、ベースがビートの底を支える。高度なテクニックと豊かなフレーズ感で、このピアノ・トリオの響きは「新しい」響きに満ちている。ソリッドな透明感とダイナミズムが共存する、ネオ・モーダルなピアノ・トリオ演奏である。

そう、このピアノ・トリオは、現在のウェイン・ショーターのバンドからショーター抜いたピアノ・トリオ。なるほど、アルバム全編に渡って、ショーターは演奏者としては存在しないのだが、ショーターの雰囲気、ショーターの個性が蔓延している。高度なテクニックと魅惑的な楽器の響きが、ショーターの音世界を増幅する。伝統的な響きと新しい響きが交差し、新たな音を創出する。

こういう演奏を聴くと、まだまだ「ジャズは死なないなあ」と思うのだ。エンタテインメント性は希薄であるが、アーティスティックな要素は濃厚である。ジャズに「芸術」を求めたい時には、このアルバム、なかなか良い雰囲気だ。

アレンジも程良く、楽器の響きは濃密で、聴き応えはまるでテンションの高いクラシックの演奏を聴いている感じ。決して、楽しんだり、ながら聴きする盤では無いが、スピーカーに対峙してジックリと聴けば聴くほどに聴き応えが増す、そんな優秀盤である。

 
 

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2017年2月20日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・101

外ではちょっと強めではあるが、暖かい雨が降っている。温かい雨。いよいよ春が近づいてきたなあ、という実感が嬉しい。今年の冬は寒かったからね。こういう暖かいワクワクする雨の日には、ポジティブな、切れ味の良いハードバップ、ストレートアヘッドなジャズ盤が良い。

この盤の存在を知った時、やはり老舗のジャズ喫茶のマスターは隅に置けないなあと思った。とてもブリリアントに気持ち良く鳴る、切れ味の良いトランペット。小気味良く躍動感のあるリズム・セクション。そのトランペットのリーダーの名を聞いて、どっかで聞いた名前なんだが、と首を捻ったのが2年前。

Charles Tolliver『The Ringer』(写真左)。1969年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Tolliver (tp), Stanley Cowell (p), Steve Novosel (b), Jimmy Hopps (ds)。盟友カウエルらとのカルテット編成。そうか、ピアノはカウエルか。どうりで、モーダルな響きがすると思った。
 

The_ringer

 
この盤、とにかくトリバーのトラペットが素敵。とっても良く鳴るトランペットで、実にクリアな響きなのだ。こんなに伸びの良い、気持ち良く鳴るトランペットは他にありそうで無い。全編、気持ち良く鳴って格好良い。こういうシンプルに素敵なトランペットはなかなか無い。

カウエルのピアノも素敵だ。聴けば判るが、当時として明らかに新しい音がする。ハードバップなピアノ・フレーズとは確実に一線を画する、モーダルで個性的な和音の重ね方がユニークだ。そんな新しいストレートアヘッドなフレーズがバックに鳴り響く。このバックのリズム・セクションの音だけでも「聴きもの」だ。

こういうアルバムを、ヒョコッと紹介してくれるのだから、老舗のジャズ喫茶のマスターは隅に置けない。いや〜、勉強になりました。そう、チャールズ・トリバーって、ジャッキー・マクリーンのグループへの参加でデビューを果たしていて、ブルーノートにその演奏を残していたことを思い出しました。他のアルバムも早速聴いてみようと思います。

 
 

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2017年2月10日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・100

このアルバムは良い。聴いていてとても楽しい。しかも、聴いていて、双方のテクニックが優れていて、双方のアドリブ感覚が素晴らしい、ということが良く判る。ジャズって、聴いていて楽しいことがとっても大事。そういう意味では、このアルバムはジャズとして「満点」である。

Eddy Louiss & Michel Petrucciani『Conférence De Presse... L'Intégrale』(写真左)。  Eddy Louiss (org), Michel Petrucciani (p)。1995年、フランスは Dreyfus Jazz からのリリース。ありそうでなかなか無いオルガンとピアノのデュオ。

オルガンとピアノ。どちらも鍵盤楽器。鍵盤楽器同志がデュオをやったら、変に被ったらデュオの良さがすっ飛んでしまう。テクニックが優秀で、アドリブ展開での反応が優れていないと上手くいかない。そういう意味で、アドリブ展開の反応がとびきり優れているオルガン奏者って、なかなかいない。

Eddy Louiss(エディ・ルイス)は、フランスのオルガン奏者。僕はこのデュオ盤で、エディ・ルイスの存在を知った。テクニック優秀、オルガンの奏法として、かなりプログレッシブなオルガニストである。オーソドックスな奏法からアブストラクトな奏法まで、幅広くオールマイティーに弾きまくる、実に優れたオルガン奏者である。
 

Conference_de_presse

 
そんなエディ・ルイスが、ジャズ・ピアノの巨匠、ミシェル・ペトルチアーニとデュオを組んで、丁々発止とやりあう、ほんと、聴いていてとても楽しいデュオ盤である。ボリューム的にCD2枚組の分厚さ。トータル2時間ちょっとの収録時間なのだが、全く飽きない。聴き始めて、あっと言う間の2時間ちょっとである。

ピアノは打楽器と旋律楽器の両方を兼ねることが出来、ピアノだけで「ひとりオーケストラ」が出来る位の幅広い表現が可能な唯一の楽器なのだが、ペトルチアーニのピアノは、そのピアノの特性を最大限引き出し最大限の表現を見せつける。硬質なタッチに卓越したテクニック。耽美的でありつつダイナミズム満載。僕の大のお気に入りのピアニストの一人である。

ペトルチアーニのピアノが、ピアノの表現方法の全てを出しつつ、思いっきり疾走する。左手でベースラインを小粋に紡ぎ、右手でリズム&ビートを叩き出す。遠慮の無い全てを出し尽くペトルチアーニのピアノ。そこにルイスのオルガンが、あっさりとしたファンクネスを滴らせながら、官能的に弾き進んで行く。相性抜群。インタープレイの息もピッタリ。魅惑的なユニゾン&ハーモニー。

飽きない。全く飽きない。あっと言う間の2時間ちょっと。この優れたデュオ盤を聴いて、フランスは Dreyfus Jazz を改めて見直す。ジャズ喫茶の空間にピッタリの乾いたファンクネスが素敵な一枚。ジャズ喫茶御用達の一枚。

 
 

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2017年2月 6日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・99

ジャズのアルバムって、なにも1950年代から1960年代のジャズ・ジャイアント達の定盤ばかりが好盤ではない。ジャズの裾野は広い。優秀な一流ジャズメンの数は意外と多い。何気なくダウンロード・サイトなどを彷徨っていると、これは、と思わず口元綻ぶ好盤に出会うことがよくある。

英国ジャズのアルバム・カタログを手にダウンロード・サイトを彷徨っていて、John Taylor(ジョン・テイラー)というピアニストに出会った。どこかで聞いたことのある名前やなあ、とつらつら記憶を辿っていたら、そうでした、ECMで素敵なアルバムを出しているピアニストであることを思い出した。

ジョン・テイラーは、1942年英国マンチェスター生まれ。惜しくも2015年に鬼籍に入りました(72歳没)。そうそう、僕はこのジョン・テイラーについては、1973年の作品『 Decipher(邦題:覚醒)』が愛聴盤だったことも思い出しました。明確に欧州的な、しっかりした骨太のタッチでありながら、リリシズム溢れるピアノが個性。
 

Whiripool1

 
そんな彼の2007年リリースの盤にバッタリと出会った。John Taylor『Whirlpool』(写真左)。ピアノ・トリオ盤である。ちなみにパーソネルは、John Taylor (p), Palle Danielsson (b), Martin France (ds)。ベースが、これまたECM御用達のベーシスト、パレ・ダニエルソンである。このトリオ盤、きっと内容は良いぞ、と期待する。

リリカルで耽美的な、豊かな響きの流麗なピアノ。骨太でソリッドなアコースティック・ベースが唸りを上げてベースラインを支える。そして、そこに切れ味の良くエッジの立った、とってもテクニック豊かなドラムがビートを供給する。ファンクネスはほぼ皆無。透明感溢れる旋律。明らかに欧州的な音世界。

ピアノ、ベース、ドラムが対等に渡り合う、丁々発止と繰り広げられるインタープレイが素晴らしい。全8曲、全編計55分の長さですが、決して飽きない、どころかあっと言う間の55分です。適度なテンション、緩みの無いアドリブ展開、豊かな曲想の収録曲。それらが相まって、聴きどころ満載の好盤に仕上がっています。

 
 

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2017年1月12日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・98

ジャズって、有名なジャズメンもいれば、そうでない、知る人ぞ知るジャズメンもいれば、全く無名のジャズメンもいる。それでは、有名なジャズメンだけが良い演奏をするのか、と言えばそうでは無く、知る人ぞ知るジャズメンだって、全く無名のジャズメンだって、これはっ、と驚くほどの好演を残している場合も多々ある。

そういうところがジャズの不思議で面白いところで、有名なジャズメンではないから、とスルーすると残念なことになってしまうこともある。まあ、ジャズ者初心者の頃は「有名なジャズメン」中心に「推薦盤」を攻めるのが安心で良いだろう。しかし、ジャズ者ベテランの域に差し掛かると、知る人ぞ知るジャズメンに触手を伸ばして、ジャズの奥深さを感じるのも良い経験である。

さて、そんな「知る人ぞ知る」ジャズメンの一人が「Wardell Gray」=ワーデル・グレイ。ファッツ・ナヴァロなど初期ビ・バップ中で、早くからテナー・サックスをプレイしていた男。1921年生まれ。1955年5月、34歳の若さで亡くなった天才テナー奏者である。活動期間は約10年程度。40年代末にデクスター・ゴードンとバンドを組んでテナー・バトルを繰り広げたころ、全米では大変な人気があったそうだ。

生涯、リーダー作は約20枚ほど残してはいるようだが、ジャズ盤紹介本に出てくるアルバムは、ほぼ「これだけ」と言ってもよいだろう。というか、僕はこの盤しか所有していない。『Wardell Gray Memorial, Vol. One and Two』(写真)。

このメモリアル盤は、ジャズ盤紹介本に時々出てくる。ジャズを聴き初めて2年位、僕も彼の名前はジャズ盤紹介本で知った。しかし、この「メモリアル・アルバム」をレコード屋で見かけたことは無い。この「メモリアル・アルバム」を手にすることが出来る様になったのは、CDで復刻されてから。それまでは「幻の名盤」扱いだった。
 

Wardell_gray_memorial

 
ワーデル・グレイのテナーは、太すぎず細すぎず、良い音で鳴る。ああ、テナー・サックスが心地良く鳴っているなあ〜、って心から感じる。そして、アドリブ・フレーズが良い。イマージネーション豊かに、唄うが如く、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げていく。加えて、ビ・バップ奏者ならではの躍動感が良い。

そんなワーデル・グレイのテナーを心ゆくまで楽しめるアルバムがこの『Wardell Gray Memorial, Vol. One and Two』の2枚。ワーデル・グレイを偲んで編まれた名演集。録音年は1950年4月25日、1950年8月27日、1952年1月21日の3つに分かれる。録音年によって、録音の音質も変わる。

このメモリアル・アルバムの録音の音質が良好なトラックのワーデル・グレイが好きだ。彼のテナーの特質である、太すぎず細すぎず、良い音で鳴るところが心底楽しめる。音質が良いので、イマージネーション豊かに唄うが如くのアドリブ・フレーズを心から堪能出来る。音質が良いので、ビ・バップ奏者ならではの躍動感もダイレクトに伝わってくる。

僕は、このメモリアル・アルバムの録音の音質が良好なトラックをチョイスして、iTunesでプレイリストを組んで、ステレオで聴くのが最近のトレンド。といって、音質がイマイチのトラックも、イマージネーション豊かに唄うが如くのアドリブ・フレーズについては十分に味わえる。同じ曲のテイク違いも沢山入っているが、アドリブ・フレーズのバリエーションが豊かなので飽きることは無い。

知る人ぞ知るテナー奏者、ワーデル・グレイ。彼のテナーを味わう最適な「メモリアル・アルバム」の2枚。さり気なく、ジャズ喫茶で流すというシチュエーションが良い感じですね。

このアルバムの収録の最後の年、1952年の3年後、1955年5月25日に巡業先のラスベガスの郊外で変死体となって発見されることになる。死因はオーバードーズ。ジャズメンによくありがちな最期であるが、惜しいテナーマンを早々に亡くしたもんだ。ジャズ界には往々にある悲劇のひとつである。 

 
 

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