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2018年2月16日 (金曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・44

実は「Impulse!レーベル」のアルバムもカタログ順にコレクションし続けてきて、なんとかカタログ順にずっと聴き続けることが出来るまでになった。インパルス! レーベルは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人と謳われた「クリード・テイラー」が、1960年に設立したジャズレーベルである。

コルトレーンの後期〜逝去するまで、そして、コルトレーンの影響を受けたフリー・ジャズのアルバムが有名だが、デューク・エリントン、カウント・ベイシー、ギル・エヴァンスといった、当時のジャズ・レジェンドのアルバムや、アレンジに長けたアルバムなど、正統派な純ジャズの小粋で内容のあるアルバムをリリースした、ジャズの歴史の中で、欠かすことの出来ないレーベルの1つです。

Ray Charles『Genius + Soul = Jazz』(写真左)。Original seriesのカタログ番号2番。1960年12月の録音。「ソウルの神様」Ray Charles(レイ・チャールズの Hammond B-3 オルガンとボーカルをメインに、バックにビッグバンドを従えた、実にゴージャズなアルバムである。
 
Genius_soul_jazz_2
 
ビッグバンドのアレンジは、Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)とRalph Burns(ラルフ・バーンズ)とが、ほぼ均等に分担して担当している。特に、Q(クインシー・ジョーンズ)のアレンジ担当の曲は、明らかにQのアレンジと判る、とても個性的なもの。ビッグバンドに参加したメンバーは、それぞれ、名うての名手揃いで、実にパンチのある、メリハリの効いたビッグバンド・サウンドを聴かせてくれる。

そんなビッグバンド・サウンドに負けずに、しっかりバックに従えて、レイのオルガンがうねり歩く。ファンクネスだだ漏れ、こってこてソウルフルなレイのオルガン。これ、聴きものです。むっちゃ格好良いオルガンです。レイのボーカル曲はほとんど無く、この盤はレイのソウルフルなオルガンを聴き倒す盤である。

この盤も、Impulse!レーベルの特徴である見開きのジャケットで、黒とオレンジ色で統一されたデザインが特徴的。良い感じのデザインである。「Impulse!レーベル」は隅に置けないレーベル。他には無い、レイ・チャールズの「オルガン」に着目して、ビッグバンドをバックにした、とてもゴージャスなオルガン・ジャズ盤をものにした。

 
 

東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年12月22日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・61

ジャズはやっぱりライブだろう。即興演奏が個性のジャズである。やはり、一期一会のライブ演奏が一番、ジャズを感じることが出来る。ライブ演奏を体感するには、ライブスポットやコンサートに出かける必要があるのだが、仕事を持っている以上、そんなに時間の自由は無い。

そうすると、ライブ盤の存在が実に貴重な存在になる。ライブの雰囲気や内容を追体験できるライブ盤は、とても大切な存在である。『Jazz At the Santa Monica Civic '72』(写真)。ジャズの白眉のライブ盤の一枚である。

キーマンは「ノーマン・グランツ」。ジャズ界の敏腕プロデューサーで、1940〜50年代のジャズシーンは、この人抜きには語れない。スイング時代から継続されるビッグバンドやジャズ・ボーカルなど、ベーシックなモダン・ジャズの隆盛はグランツ抜きには語れない。そんなグランツ、1960年代には、フリー・ジャズが台頭した米国ジャズ・シーンに愛想を尽かし、欧州に移住。

グランツのジャズは「明るく楽しいエンタテインメント」。眉間にしわをよせた様な、小難しいフリー・ジャズなどとは相容れ無い。しかしながら、フリー・ジャズが迷走を始めた1970年代初頭から、片隅に追いやられていたベテラン・ジャズメンたちが復権を果たす訳だが、それにひと役かったのが、グランツがジャズシーンへ復帰して創設したレーベル「Pablo」。

1972年8月、グランツは西海岸のサンタモニカ・シビック・オーティトリアムで、JATP復活のコンサートを大々的に行った。その時の模様をライブ録音したアルバムが、この『Jazz At the Santa Monica Civic '72』。メインアクトはカウント・ベイシー・オーケストラ、オスカー・ピーターソン・トリオ、エラ・フィッツジェラルド、トミー・フラナガン・トリオ(エラの伴奏を担当)。
 

Jazz_at_the_santa_monica_civic_72

 
すっごく良い雰囲気のジャズ演奏が全編に渡って展開される。どの演奏をとっても「モダン・ジャズ」なのだ。どの演奏にもエンタテインメント漂い、モダンでダイナミックでポップ。聴いていて単純に楽しい。全く小難しく無い。

全編2時間35分、ジャズの良いところがギッシリとこのライブ盤に詰まっている。どこから聴いても「モダン・ジャズ」。しかも、演奏のレベルは高度。テクニックも優秀。それでもそれが耳につくことは無い。ただただ聴いていて楽しい。LP時代は、LP3枚組のボックス・アルバムとして発売された。

LPの1〜2枚目には、カウント・ベイシー・オーケストラやオスカー・ピーターソン等が収録されていて、これはこれでとってもポップで楽しいのだが、とりわけ、その内容が素晴らしいのが、3枚目のエラ・フィッツジェラルド。カウント・ベイシー・オーケストラ+トミー・フラナガン・トリオという豪華なバックを従えて、歌いまくるエラはとても素敵だ。ポップで楽しいエラ。僕はこのライブ盤でエラを見直した。

ただ単に部屋で流しているだけで、ジャズの良いところが追体験できる。ライブ盤として白眉の出来。「ジャズを聴かせて」と要求されたら、この盤をかける。逆にこのライブ盤を聴いて、ジャズを感じることが出来なかったら、他の何を聴いても、その人はジャズを感じることは出来ないだろう。このライブ盤には「モダン・ジャズ」がギッシリと詰まっている。

 
 

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2017年12月16日 (土曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・43

ジャズのライブでの花形的存在が「ビッグバンド」。ジャズとして、商業ベースに乗ったビッグバンドの出現から、そろそろ100年、経つのではないだろうか。何時の時代にもビッグバンドは存在し、ビッグバンドはジャズにとって不可欠な存在であった。ジャズをずっと聴き続けていると、時々、ビッグバンドに耳を傾けてスカッとしたい瞬間が必ずやってくる。

Christian McBride Big Band『Bringin' It』(写真左)。2017年9月のリリース。グラミー賞を受賞した『The Good Feeling』から6年振り。クリスチャン・マクブライド、待望のビッグ・バンド第二弾! オーソドックスな、従来からの伝統的なビッグバンド・ジャズの音世界が心地良い。ジャケットも良好。このジャケットを見ただけで、中の音の優れ度合いが想像できる位だ。

6年振りの第2弾とのこと。前作『The Good Feeling』の出来が非常に良かっただけに、第2作目のリリースまで、6年も空いたのが意外。やはり、ビッグバンドはコストがかかり過ぎるのかな。でも、今回の第2弾『Bringin' It』を聴いていると、しっかりと準備し、人選もしっかりとして、用意周到、満を持してのリリースであることをビンビンに感じる。
 

Bringin_it_1

 
ジャズのビッグバンドともなれば、ユニゾン&ハーモニーの迫力とドライブ感、切れ込むアドリブフレーズ、というど迫力な感じがするのだが、このクリスチャン・マクブライドのビッグバンドは、従来のジャズのビッグバンドのコモンセンスとちょっと趣が違う。大阪弁で言う「シュッとしている」、そして、迫力よりは「小粋でお洒落」でカッチリしている。

マクブライドはベース奏者として、従来通りの高い実力を発揮しつつ、バンドリーダーとしての統率力を遺憾なく発揮している様だ。このビッグバンドのアレンジはとても個性的。しっかりとジャズの伝統に根ざしながら、最近のコンテンポラリーな純ジャズの要素を積極的に採り入れ、融合させている。ある意味、本作はマクブライドから純ジャズ者の方々への贈り物であろう。

純ジャズを基本とした演奏の数々は聴き応え十分。米国ルーツ・ミュージックの要素をそこはかと無く取り込みながら、クリスチャン自身のアレンジも、ビッグバンドとしてのクォリティも、前作と比較して、かなりのレベルでのパワーアップが図られているところに好感を覚える。本当にジャズの伝統、ジャズの基本に忠実で真摯なビッグバンド・ミュージックである。

 
 

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2017年7月17日 (月曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・42

今を去ること40年前、本格的にジャズを聴き始めてから今に至るまで、ビッグバンドの基本と評される2大ビッグバンド、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団の演奏に馴染めなくて困っている。どうにもこうにも、音の響き、音の重ね方が古い感じがして、勉強の為に聴き込むことはするが、楽しんで聴くことは、2〜3枚の例外を除いてあまり無い。

恐らく、ビッグバンドの何たるかを僕は理解していないんだろうな、と劣等感を覚えたこともあるが、今では完全に開き直って、好きなものは好きだし、苦手なものは苦手、趣味でジャズを聴いているのだから、苦手なものを我慢して聴くことは無い、と思うことにしている。但し、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団はビッグバンドの基本中の基本である、ということは頭では理解している。

では、ビッグバンドの音は嫌いか、と問われると否であって、ビッグバンドの音は大好きだ。ジャズ盤を聴き込む中で、ビッグバンドは、ある一定のスパンで必ず聴く。大体、聴くことの多いビッグバンドは、ノリの良いアレンジが新しい雰囲気のものやソロイストの自由度の高いもの、演奏の切れ味の良いもの、疾走感、爽快感を感じられるもの、大体がマニアックな存在のアルバムを好んで聴く傾向にある。
 

Oliver_nelson_bb_live_from_los_ange

 
Oliver Nelson Big band『Live from Los Angeles』(写真左)。1967年6月の録音。テナー奏者&アレンジャーのオリバー・ネルソン(写真右)が率いるビッグバンドのライブ演奏である。パーソネルを見渡すと、米国西海岸ジャズの中堅どころを中心に選んだ、メインストリーム・ジャズがメインのビッグバンドである。

リーダーがオリバー・ネルソンであるが故、アレンジが当時として新しい雰囲気であることが感じ取れる。音の重ね方が特に新しく感じる。ソロイストのアドリブ・スペースも従来より自由度が高く、1967年の演奏ということもあって、1940年代から培われてきたビッグバンドのアレンジの集大成的な形式美を感じる。

ソロイストの自由度を従来のものより多めにとることで、バンド全体の演奏の躍動感が増していて、とってもノリの良いビッグバンド演奏になっている。ぐいぐいスイングし、切れ味抜群、爽快感抜群のとってもポジティブな演奏で、聴いていてとっても楽しい。そう、このビッグバンドの演奏はポジティブで楽しい。とっても現代的なビッグバンドのノリである。

 
 

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2017年6月26日 (月曜日)

音のクオリティは「ヤバい」

Jaco Pastorius『Truth, Liberty & Soul (Live in NYC: The Complete 1982 NPR Jazz Alive! Recording)』(写真左)。長いタイトルだ。1982年6月27日のニューヨーク、クール・ジャズ・フェスティヴァルでの演奏14曲を全て収録。

もともとはNPRの放送音源で「Jazz Alive」という番組のために収録されたものとのこと。ブートで出回ったこともあるらしいが、エアチェック音源で音質が劣悪。しかし、今回の音源は違う。実はオリジナル音源は24チャンネル録音で思いっきりクオリティが高い。今回、このオリジナル音源を基にアルバム化されたのだ。とにかく音が抜群に良い。

演奏は「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの演奏。基本的には既出の「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの演奏と変わらない。高いクオリティ、高いテクニック、圧倒的なダイナミズム。他のアルバムと変わらない。というか、この「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドは、コンスタントに優れたパフォーマンスを維持していた、ということがよく判る。

が、昔からの「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドを聴き込んで来たファンからすると、この新作ライブ盤は嬉しいには嬉しいが、目新しさに乏しいのは否めない。音は良いのだが、魅力的な収録曲や優れたパフォーマンスは、既出のアルバムと変わらないからなあ。
 

Truth_liberty_soul

 
従来より「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの突出した個性と優れたパフォーマンスを体感するに最適なライブ盤は、Jaco Pastorius『Invitation』(写真右)が定番である。

1982年9月、「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの来日コンサートを収録したライブ盤で、元々は日本国内限定発売で『Twins I』と『Twins II』として2枚のライブ盤として発売されたが、世界発売向けに米国のワーナー・ブラザース・レコードが1枚のアルバムにまとめてコンピレーション化したアルバムである。

これがほんと、よくまとまっている。LP1枚分なので、演奏時間も長からず短からず。ちょうど良い塩梅で、「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドの突出した個性と優れたパフォーマンスをしっかりと体感することができる優れもの。「ワード・オブ・マウス」ビッグバンドを初体験するには、この『Invitation』をお勧めした。

といって、この新作『Truth, Liberty & Soul (Live in NYC: The Complete 1982 NPR Jazz Alive! Recording)』の内容が劣っているといっているのでは無い。この盤の音のクオリティは「ヤバい」。ジャコのエレベの音も生々しく、ダイナミズム溢れるもので、ジャコがエレベのイノベーターである所以を再認識できる。これはこれでやはり「買い」なのである。

 
 

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2017年1月16日 (月曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・41

久し振りに、ジャズ・オーケストラが聴きたくなった。ジャズ・オケが聴きたくなったら、まずは「ギル・エバンス(Gil Evans)」。マイルスが認め、一目置き続けた「音の魔術師」。木管楽器をも駆使した独特のユニゾン&ハーモニーを醸し出し、「間」と「拡がり」を活かした独特の音世界が個性。僕には堪らない個性である。

木管楽器をも駆使した独特のユニゾン&ハーモニーを醸し出し、「間」と「拡がり」を活かした独特の音世界、これを体感するのにピッタリなアルバムがこれ。Gil Evans『Svengali』(写真左)。1973年の録音。NYのトリニティ協会での録音。なるほど、魅力的で好適なエコーがかかっているのは、協会での録音だからなのか、などと感心する。

タイトルは「Svengali」=スベンガリと読むらしい。「人の心を操る人物」の意味らしく、とある小説の中では「ヒロインを催眠術でたぶらかす音楽家の名前」とある。ギル・エバンスは「音の魔術師」と呼ばれるので、この「スベンガリ」というタイトルは意外と言い得て妙では無いか、と感じている。加えて、ギルの名のアナグラムでもあるらしい。面白いタイトルだ。
 

Svengali1

 
さて、このアルバムは、1973年の録音なので、エレピ、シンセ、エレギも積極的に導入している。加えて、木管楽器などを特別に取り入れた、ギル独特のユニゾン&ハーモニー。「ギル・エバンス」のジャズ・オケ独特の響きと流れを惜しげも無く展開している。冒頭のビリー・ハーパー作「Thoroughbred」を聴けば、それが良く判る。何処から聴いても「ギル・エバンス」印のジャズ・オケの音。独特である。

バンド・メンバーのソロも魅力的で、ハンニバル・マーヴィン・ピーターソンの熱く燃えるようなトランペット、若き日のデイヴィッド・サンボーンのストレートで切れ味良く尖ったアルト・サックス、激しく熱く硬派なビリー・ハーパーのテナー・サックスなどなど。オケの総帥、ギル・エバンスはソロイストに限りなく自由を与えている。それに呼応して、いずれのソロもどれもが素晴らしい。

ジャズ・オーケストラの伝統的な部分をしっかり踏まえながら、その時その時のジャズのトレンドを大胆に導入、木管楽器などを特別に取り入れ、ギル独特のユニゾン&ハーモニーをベースに展開するジャズ・オケな演奏は実に見事。ジャケット・デザインはイマイチですが、ギル・エバンスの入門盤として、ジャズ者初心者の方々にもお勧めの好盤です。

 
 

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2016年12月22日 (木曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・40

今年も残り9日。いよいよ暮れも押し詰まってきました。しかし、2016年の新盤はまだまだ、聴き残しがあります。どんどん聴いていきましょう(笑)。さあ、今日は「セロニアス・モンク」トリビュート。

僕は、セロニアス・モンクの楽曲が好きだ。ピアノのプレイも好きだが、それにも増して好きなのが、彼の書いた名曲の数々。一聴して直ぐに彼の作と判るほど、個性に溢れた楽曲の数々。聴いていて惚れ惚れするし、聴いていて思わず「ええなあ」と呟いてしまう。それくらいに僕は彼の手になる楽曲が好きだ。

そして、いつの時代も「セロニアス・モンク」トリビュートな盤がリリースされる。このリリースは途絶えることは無い。忘れた頃に、必ず、誰かが「セロニアス・モンク」トリビュートな盤をリリースする。しかも、それは良い内容のものばかりだ。

まあ、モンクの楽曲はテクニックが無いと演奏出来ないし、モンクの楽曲は歌心が無いジャズメンには荷が重い。歌心のあるジャズメンは、モンクの難解な曲を唄う様に演奏することが出来る。つまりは「セロニアス・モンク」トリビュートな盤は、テクニックがあって歌心が備わったジャズメンでないと演奏出来ない、ということ。
 

Presents_monkestra_vol

 
で、今年2016年、なかなか優れた「セロニアス・モンク」トリビュートな盤が出た。John Beasley『Presents MONK'estra, Vol. 1』(写真左)。来年、生誕100年を迎えるセロニアス・モンクの楽曲を17ピースのビッグ・バンドにアレンジしたアルバム。

ジョン・ビーズリーはピアニスト。彼は今回、モンケストラ(MONK'estra)というオーケストラを組織した。そして、そのオーケストラの演奏用に施したアレンジが素晴らしい。モンクの楽曲の個性と特徴を損なうこと無く、逆に全面に押しだしアピールするような、とにかく優れたアレンジに惚れ惚れする。

ジョン・ビーズリーのピアノも良い。モンクの楽曲を自らのピアノの個性の上に乗っけて、モンクの楽曲の個性と特徴を損なうことなく、ビーズリーのピアノの個性と融合した、唯一無二なアドリブフレーズを連発する。歯切れ良く、テクニカルではあるが耳に付かない、素直で爽やかなピアノ・タッチが、モンクの楽曲を惹き立たせる。

収録された演奏のどれもが良い。内容的に優れているので、一気に聴き切ってしまう。なかなか秀逸な「セロニアス・モンク」トリビュートな盤です。ジャケット・デザインも良好で「ジャケ買い」にも最適。今年リリースの中で、指折りの「セロニアス・モンク」トリビュート盤です。

 
 

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2016年11月27日 (日曜日)

ビートルズのカヴァー集・3

1962年10月のデビューから、一気に世界最高のロックバンドにまでのし上がったビートルズ。その人気は凄まじく、ジャズの世界でも、ボサノバ・ジャズの流行の後、1960年代半ばからビートルズの解散する1970年くらいまで、猫も杓子もビートルズのカヴァー曲を、という時代があった。

例えば、ジャズ・ビッグバンドの老舗中の老舗のこのバンドですら、ビートルズ曲のカヴァーに手を染め、ビートルズ曲のカヴァー盤までリリースしている。Count Basie『Basie's Beatle Bag』(写真左)。1966年のリリース。1964年がビートルズの初の北米上陸だったから、全米では人気絶頂の時期でのリリースになる。

いやはや、あのジャズ・ビッグバンドの老舗カウント・ベイシー楽団である。あのカウント・ベイシー楽団までもが、ビートルズのカヴァー集を出すのか、とこのアルバムの存在を知った時には、改めて、当時のビートルズの人気の凄さを再認識したものだ。

ただ、このアルバムを聴いていて、ジャズ・ビッグバンドの老舗カウント・ベイシー楽団としての矜持をほのかに感じるのは、このカヴァー集のアレンジは、そんなに趣向を凝らした、優れたものでは無いということ。恐らく、このアルバム、レコード会社からの強い要請があって、あんまり乗り気のしないまま、制作されたのでは無いか、と想像している。
 

Basies_beatle_bag

 
選曲も、とにかくビートルズのヒット曲ばかりがズラリと並ぶ。ビートルズの楽曲はコードのチョイス〜進行がかなりユニークなものが多く、ジャズとしてアレンジして良い曲と、ジャズとしてアレンジすると魅力が半減する曲とが混交している。ヒット曲だからといって、全てがジャズ化に向いているか、というとそうでは無い。

そういう意味でカヴァーする楽曲の選定からアレンジまで、あんまり「力」が入っていないように感じるカヴァー盤ではある。がしかし、じゃあ、これが全くの平凡盤かというとそうでないところに、これまた、老舗カウント・ベイシー楽団としての矜持をほのかに感じるのだ。

アレンジは平凡なんだが、それぞれの楽曲でのアドリブ・ソロはなかなか気合いが入っている。先にも書いたが、ビートルズの楽曲はコードのチョイス〜進行がかなりユニークで、このジャズには全く無いであろう、ユニークなコード進行をベースにアドリブ・ソロに突入すると、結構、テクニックと経験がものを言う。そこが恐らくジャズメンのプロ意識とプライドを擽るのではないだろうか。

アルバム・ジャケットもジャズ・ビッグバンドらしからぬもの。楽団の総帥、カウント・ベイシー翁を囲む子供たち。このデザインがなぜ、ビートルズの楽曲のカヴァー集のデザインなのか、甚だ疑問である。何か当時の狼狽・困惑を良く表していると思って、思わず苦笑してしまう(笑)。

 
 

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2016年8月 1日 (月曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・39

スタン・ゲッツは「ラッキー・マン」であった。1961年、当時注目されていたブラジル音楽のボサノバを採り入れたアルバム『ジャズ・サンバ』をチャーリー・バードと共に録音。それによってジャズ界におけるボサノバ奏者の第一人者となる。1963年には『ゲッツ/ジルベルト』を録音し、グラミー賞4部門を独占。

スタン・ゲッツ=ボサノバ・ジャズという図式が出来上がった。ここまで来ると、ゲッツは商売人である。そこで、ゲッツは大量にボサノバ・ジャズのアルバムを量産する。まるで「ボサノバの商人」である。ボサノバの第一人者達とのコラボを繰り広げ、様々なフォーマットでボサノバ・ジャズを録音する。

Stan Getz『Big Band Bossa Nova』(写真左)。1962年8月の録音。ボサノバ・ジャズの雄、スタン・ゲッツがジャズ・ビッグバンドをバックに吹き込んだアルバムである。Gary McFarland(ゲイリー・マクファーランド)のアレンジでのビッグバンド。ビッグバンドをバックにしたボサノバ・ジャズで「もう一発当てよう」という、ゲッツとレコード会社の魂胆がみえみえである(笑)。
 

Big_band_bossa_nova1  

 
バックのビッグバンドが良い音を出している。ギターの名手ジム・ホールが参加しているが、このアルバムでは、全編ガットギターで主にコード弾きに徹していて、前面に出て目立つことは無い。が、しっかりとボサノバのリズムを小気味良く刻んでいる。ボサノバのギターのコード弾きというより、ジャズのギターのコード弾きでボサノバの雰囲気を出す、という感じが実に印象的。

そこにスタン・ゲッツのテナーが入ってくる。スタン・ゲッツのボサノバ・テナーは相変わらずで、マンネリ感が漂う感じが否めなくも無い。スタン・ゲッツのボサノバ・テナーを聴くというよりは、マクファーランドの優れたビッグバンドがボサノバ・ジャズを演奏する中に、スタン・ゲッツのテナーが客演する、と形容した方がピッタリする内容だと僕は思う。

それほど、このアルバムでのビッグバンドは良く鳴っている。マクファーランドのアレンジが良いのだろう。ボサノバ・ジャズを題材にしたビッグバンド・ジャズの好例ではないだろうか。

 
 

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2016年4月14日 (木曜日)

和蘭が誇る欧州のビッグバンド

最近、ビッグバンドのジャズ盤から、ちょっと遠ざかっていた。それでも好きなものは好きなので、ネットであれこれ情報を集めていたら、このビッグバンドに出くわした。「良いよ、これ」という評判にグッと惹かれて探してみたら、これがなかなか良い。

Jazz Orchestra of the Concertgebouw & Jan Van Duikeren『Scribblin'』(写真左)。オランダが誇る欧州のビッグバンドのライブ盤である。人気トランペッター、ヤン・ヴァン・ダウケレンの曲、演奏をフィーチュアした、コンポーザー・シリーズ第4作目とのこと。

聴いてみると、あらまあ、素晴らしいビッグバンド演奏の数々。テクニックに優れ、一糸乱れぬユニゾン&ハーモニー。ダイナミック・レンジの広いメリハリの付いた展開。音の強弱の差が大きく、抑揚がダイナミックで聴き応えがある。いやいや、こんなビッグバンドがあったなんて、「びっくりポン」である(笑)。

しかも、アレンジが素晴らしい。従来のビッグバンドとは全く似ても似つかぬ、ファンクなリズム&ビートに乗ったダンサフルな演奏もあれば、ロックの様な展開のバラードもある。従来の「ジャズ」のアレンジの傾向を踏襲しない、ロックやファンクなど、他の音楽ジャンルの音の雰囲気を取り込んだ、現代的なビッグバンドの演奏である。
 

Joc_scribblin_2

 
テクニックに優れ、恐らく、かなり練習を積んでいると思われる。とにかく疾走感が半端でない。一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーが実に「高速」なのだ。よく合うよな〜、と単純に感心する。

従来のビッグバンドなアレンジも秀逸。スイング感が半端でない。実にスインギーにビッグバンド全体が揺れる。ヤン・ヴァン・ダウケレンのリリカルなフリューゲル・ホーンも魅力的だ。

オランダが誇る欧州のトップ・ビッグ・バンド、ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ (JOC)。「コンセルトヘボウ」という名を冠しているようにクラシックの殿堂として知られるコンサートホールが運営に携わる公的なビッグバンド。こんなに凄い演奏をするビッグバンドとは知らんかった。

この『Scribblin'』ってアルバム、ジャケット・デザインも秀逸。JOCの音のイメージにピッタリ。調べれば、この『Scribblin'』以外にも2〜3枚のアルバムが出ているみたいで、残りのアルバムも全て聴いてみたいなあ。いや〜、久し振りに魅力的なビッグバンドに出会いました。ほんと「びっくりポン」です(笑)。

 
 

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