2022年1月13日 (木曜日)

BN4000番台の「異質」な存在

ブルーノート・レーベルは、ニューヨークに拠点を置く老舗ジャズ・レーベル。当然、東海岸の「モダン・ジャズ」がメイン。しかし、1500番台にも、4000番台にも、ブルーノートのカタログの中で、明らかに異質なアルバムが「1枚だけ」存在する。これが実に不思議な存在で、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの、カタログに入れた「真実」を訊きたい気持ちで一杯である。

1500番台では、Gil Melle『Patterns In Jazz』、ブルーノートの1517番が有名な「異質なアルバム」だろう。東海岸のハードバップの最先端のアルバムがひしめく中で、爽やかでお洒落なウエストコースト・ジャズ。西海岸で録られた音源を持って来たのかと思いきや、1956年4月の録音だが、しっかりと、Hackensackの「Van Gelder Studio」で録音されている。ブルーノートの確固たる意志で録音されたものだが、1500番台のアルバムの中で明らかに違和感がある。

Kenny Clarke, Francy Boland & Co. 『The Golden 8』(写真左)。1961年5月、西ドイツ(当時)のケルンでの録音。ルディ・ヴァン・ゲルダーはマスタリング担当。ブルーノートの4092番。ちなみにパーソナルは、Kenny Clarke (ds), Francy Boland (p), Dusko Gojkovic (tp), Raymond Droz (alto horn), Derek Humble (as), Karl Drevo (ts), Chris Kellens (euphonium), Jimmy Woode (b)。
 

The-golden-8  

 
ケニー・クラークをリーダーとしたオクテット編成。音の雰囲気はもはや「ビッグバンド」。ブルーノートの4000番台は、ハードバップの多様化をタイムリーに捉えたアルバムがてんこ盛りなのだが、そんな中に、やや古風な「ビッグバンド」志向なオクテット編成の演奏がいかにも「異質な存在」である。しかもバリバリ正統派なビッグバンド志向の音に、ブルーノートらしく無くて、ちょっと戸惑ってしまう。

リーダーでドラムのクラークとベースのウッドは米国出身だが、ピアノのボランはベルギー、トランペットのゴイコヴィッチはボスニア、アルト・ホルンのドローはスイス、アルト・サックスのハンブルは英国、テナー・サックスのドレヴォはオーストリア、ユーフォニウムのケレンスはベルギー。米国2人、欧州6人の欧州ジャズのオクテットなので、出てくる音にファンクネスは殆ど感じられない。端正で統制の取れた、如何にも欧州らしい「ビッグバンド」志向な音が、これまた、ブルーノートらしく無くて、ちょっと戸惑ってしまう。

メンバーの中に、若き日のバルカンの至宝トランペッター、ダスコ・ゴイコヴィッチが参加していたり、オクテットの演奏レベルは高い。アフロキューバンなリズムとモードを採用しているところが、欧州ジャズの中ではユニークで、ここから、クラーク=ボラン・ビッグバンドに発展していく、記念すべき盤でもある。しかし、欧州ジャズな「ビッグバンド」志向なオクテットは、ブルーノート4000番台の中では「異質」ではある(笑)。
 
 
 
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2022年1月 4日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・226

現在のNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」には、キーになる音楽として、ジャズが出てくる。ルイ・アームストロング(愛称:サッチモ)が演奏し、ボーカルを取る「On The Sunny Side Of The Street」。今、放送中の2代目主人公(女性)の名前が「るい」。ルイ・アームストロングのファーストネームが名前の由来。その主人公が、大阪に出てきてトランペッターに出会う。

そのトランペッターは「サッチモ」ライクなトランペットを吹く。大阪、そして「サッチモ」ライクなトランペット。このトランペッターのモデルは「南里文雄」では無いかと思い立った。南里文雄は大阪出身の伝説のジャズ・トランペッター。彼は1953年にルイ・アームストロングと共演、その折、サッチモ本人から「日本のサッチモ」とあだ名が付けられたほど。和ジャズ初期の伝説のトランペッターである。

南里文雄『栄光のトランペット』(写真左)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、南里文雄 (tp), 前田憲男 (p, arr), 横内章次 (g), 原田政長 (b), 石川晶 (ds), with 宮間利之とニューハード。リーダーのトランペッター、南里文雄がフロント1管のギター入りクインテットがメイン、日本を代表するビッグバンドのひとつ「宮間利之とニューハード」がバックを務める。

アレンジは、ジャズな音の使い手、前田憲男が担当。デキシーランド・ジャズが基調の音世界なのだが、古さ、レトロさを感じさせない、意外と今風のモダンな「ビッグバンド・アレンジ」には、ほとほと感心する。
 

Golden-trumpet

 
この盤を聴けば、南里文雄のトランペットの個性が良く判る。基本は「デキシーランド・ジャズ(ニューオーリンズ・ジャズ)」。この盤のバックにはビッグバンドが控えるが、確かにビッグバンドをバックにすると、更に「映える」トランペットである。バップな影は全く無い。冒頭の「Battle Hymn Of The Republic(リパブリック讚歌)」を聴けば、それがとても良く判る。

テクニック優秀、歌心もバッチリ、端正で流麗、ブラスの音の輝きがキラキラ眩しい、凄く素敵なトランペットである。しかも、実に良く「鳴る」。3曲目の「Stardust」などのバラード演奏は「素晴らしい」一言。思わず、どこで聴いていても、足を止めて、じっくり聴き入ってしまうくらいだ。

南里のトランペットは確かにバップでは無い。また、ジャズの奏法のトレンド(例えばモードとかフリーとか)からは超然としている、普遍的な「純ジャズ」のトランペットである。

ジャズ・トランペットの基本的な音がこの盤に詰まっている。ジャズ者の方々には一度はこの盤に耳を傾けて欲しいな、と思っている。全編に渡って、南里のトランペットを心ゆくまで楽しめる名盤だと思う。
 
 
 
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2021年12月18日 (土曜日)

サン・ラ・アーケストラの新盤

サン・ラ(Sun Ra)。米国アラバマ州出身のバンドリーダー&キーボーディスト。ジャズとしては、基本はフリー、スピリチュアル、アヴァンギャルドの類なのだが、ニューオリンズ、スウィング、ビバップ、ドゥーワップ、R&B、アフロ・キューバンなど、様々な音要素も融合していて、ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズにも通じる独特の音世界が個性だった。

とにかく「変人」だった。独特の音楽性を持ったジャズだけでなく、自らを土星生まれと語り、独自の宇宙哲学とパフォーマンスがユニーク。超現実的宇宙音楽の創造者を自認していた。しかし、奏でる音は実に真っ当なジャズであり、音だけ聴いていたら、かなりハイレベルのアヴァンギャルド・ジャズ、もしくは、ワールド・ミュージック志向のニュー・ジャズな趣きは、かなり聴き応えがある。

Sun Ra Arkestra『Swirling』(写真左)。2021年12月のリリース。15人編成の「サン・ラ・アーケストラ」の新盤。サン・ラの1993年の他界(宇宙への帰還)後、現サン・ラー・アーケストラによるこの20年間での最初のスタジオ録音アルバムである。1950年代の最初期からのメンバーであるサックス奏者の「マーシャル・アレン」が中心になって、アーケストラをとりまとめている。
 

Swirling_sun-ra-arkestra

 
本作『Swirling(渦を巻く)』は、内容的には、往年のアーケストラのレパートリーをスタジオで実演したもの。ライヴ録音が主なサン・ラー・アーケストラにとっては異色の企画。アレン作の「Swirling」と、フレッチャー・ヘンダーソンの「Queer Notions」以外、「Astro Black」「Rocket No.9」「Angels And Demons At Play」から「Darkness」までサン・ラの作曲作品で統一されている。

改めて、今回、サン・ラ・アーケストラの演奏を聴いてみて、やっぱり「ええなあ」と思った。ゲテモノ扱いされるのが常な「サン・ラ」だが、音的には正統な「融合」の音楽、いわゆる「ジャズ」を地で行っている音作り。特に即興性を重視していて、アヴァンギャルド志向の演奏には定評がある。そんな中に、ポップなドゥーワップ、R&B、アフロが入ってきたり、伝統的なニューオリンズ、スウィング、ビバップな手法が入ってきたりで、聴いていてかなり楽しい。

15人編成のアーケストラで、一斉にアヴァンギャルド&スピリチュアルな演奏を繰り広げるのだが、不思議な統一感と一体感があって、意外と聴きやすい。60年以上の活動歴のサン・ラ・アーケストラ。ゲテモノ扱いされがちなのだが、正統な「融合のジャズ」を展開する、唯一無二のジャズ・オーケストラである。
 
 
 
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2021年6月12日 (土曜日)

新しくポップなビッグバンド

もうこのベーシストも今年で49歳。中堅ジャズマンである。初デビュー盤『Gettin' to It(邦題:ファースト・ベース)』が1994年の録音。弱冠22歳での初リーダー作だったのだが、この時のこの人のベースにはほとほと参った。伝統的なベースだが、テクニックは抜群。特にソリッドに弾ける様な大音量の重低音は、そのテクニックがかなり高度なものだということを教えてくれる。

そのベーシストとは「クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)」。若き頃は「ファースト・コール・ベーシスト」。歳がいって、落ち着いて、今では、バンドやビッグバンドを主宰するその手腕、純ジャズに留まらずフュージョンやヒップホップなどボーダーレスな音の取り込みなど、プロデュース能力をバリバリに発揮する「伝統的な優秀テクニックなベーシスト」。

Christian McBride Big Band『For Jimmy, Wes and Oliver』(写真左)。2020年9月のリリース。ちなみにメインバンドのパーソネルは、Christian McBride (b), Joey DeFrancesco (org), Mark Whitfield (g), Quincy Phillips (ds)。2011年の『Good Feeling』、2017年の『Bringun' It』が、グラミー賞のベスト・ラージ・ジャズ・アンサンブル部門を受賞するという快挙を成し遂げたクリスチャン・マクブライドのビッグ・バンドの最新作。
 

For-jimmy-wes-and-oliver-cmbb
 

ビッグバンド演奏にオルガンが参入している。オルガン担当は「ジョーイ・デフランセスコ」。タイトルとメインバンドの構成からも判る様に、ジミー・スミスとウエス・モンゴメリーの共演盤『Further Adventures of Jimmy and Wes』『The Dynamic Duo』と、これらの盤のアレンジを担当した、オリヴァー・ネルソンへのオマージュ盤である。

ファンキーかつゴスペル的なデフランセスコのオルガン、ファンキーでオクターブ奏法も芳しいホィットフィールドのギター。そして、バックを司るビッグバンドを、骨太でソリッドで弾ける様な重低音を響かせながらコントロールするマクブライドのベース。まず、ソロイストとしてこの3人が大活躍。マクブライドと共にリズムを作り出すフィリップスのドラムは、このビッグバンドのレギュラーとして、バンドサウンド全体のリズム&ビートを束ねる。

『The Dynamic Duo』からの「Night Train」「Down by the Riverside」、『Further Adventures of Jimmy and Wes』からの「Road Song」「Milestones」がやはり聴きもの。ビッグバンドのサウンドながら、軽快で爽快でポップ。新しいビッグバンド・サウンドがこの盤に詰まっている。
 
 
 

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2021年4月30日 (金曜日)

「モンク者」の必聴アルバム

ジャズライフ誌の「2020年度 Disc Grand Prix 年間グランプリ」で、その対象になった好盤を眺めていて、いつの時代にも、内容の優れた「モンクもの」はあるなあ、と妙に感心した。

「モンクもの」とは、ジャズ・ピアノの奇才「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」の楽曲や奏法を研究し、新たな付加価値を付けたり、新たな解釈を付けたりして演奏するものなんだが、これが何時の時代にも必ずある。ジャズの世界で、モンクの存在は「ミュージシャンズ・ミュージシャン」の最右翼に位置する存在なのだなあ、と改めて感じ入る。

John Beasley『MONK’estra Plays John Beasley』。2020年8月のリリース。セロニアス・モンクの楽曲をビッグ・バンドにアレンジしたプロジェクト「モンケストラ」での演奏。パーソネルは以下の通り。

John Beasley (p), John Patitucci (ac-b), Vinnie Colaiuta (ds), Bob Sheppard (ts), Ralph Moore, Danny Janklow (sax), Adam Schroeder (bs), Francisco Torres, Wendell Kelly (tb), Ulysses Owens, Jr., Terreon Gully (ds), Bijon Watson, Kye Palmer Brian Swartz (tp), Benjamin Shepherd (b), Gregoire Maret (harmonica), Joey DeFrancesco (org), Hubert Laws (woodwinds), Jubilant Sykes (vo), Joey De Leon (congas) 。
 

Monkestra-plays-john-beasley_1

 

「モンケストラ」とは錚々たる顔ぶれである。リーダーのジョン・ビーズリーはピアニスト。ベースにジョン・パティトゥッチ、ドラムにビニー・カリウタとは超強力。このピアノ・トリオを核に、現代のメインストリーム系純ジャズの名うてのミュージシャンが集って、とても演奏力の高い、ドライブ感溢れるビッグバンドを形成している。

モンクの楽曲は、そのフレーズが幾何学模様的にあっちこっちに音が飛ぶ。リズム&ビートについては、変則拍子を伴って、絶妙な「間」とユニークなタイム感覚が個性。音があっちこっちに跳んだり、スクエアにスイングしたり、いきなり「間」が訪れ、いきなり高速フレーズが走る。これらをビッグバンドで一糸乱れぬアンサンブルで表現しようって言うんだから、凄いというか「無謀」である(笑)。

しかしこの「モンケストラ」、セロニアス・モンクの楽曲を4曲アレンジし演奏、そして、ビーズリー自身のモンクの音楽の自由なスピリッツと共鳴するヒップな楽曲を8曲、事も無げに、スカッとアンサンブルをかまして、疾走感と爽快感溢れるビッグバンドな演奏を繰り広げている。見事である。

モンク・ミュージックの優秀な即興性と自由なスピリッツをものの見事に「モンケストラ」は表現している。今風のモーダルでネオ・ハードバップな響きも満載、より洗練されより深化したモンク・ミュージックを展開している。聴き応え十分。この盤「モンク者」には必聴アイテムですね。
 
 
 

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  ・Journey『Infinity』1978

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  ・Yes Songs Side C & Side D
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  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2021年1月22日 (金曜日)

邦題「フレッド アステアを歌う」

若い頃、ジャズ者初心者の頃、ジャズ・ボーカルが苦手だった僕も、今ではそこそこジャズ・ボーカルは聴くようになった。女性ボーカルは基本的に「コンテンポラリーな」ボーカルを好んで聴く。例えば、ダイアナ・クラールやケイコ・リーなど。男性ボーカルは「正統派な」ボーカル、例えば、フランク・シナトラやメル・トーメを好んで聴く傾向にあるようだ。

『Mel Tormé Sings Fred Astaire』(写真左)。1956年11月10-11日、ロスでの録音。西海岸ジャズに強い「ベツレヘム・レーベル」からのリリース。ちなみにパーソネルは、Mel Tormé (vo), Marty Paich (arr, cond), Herb Geller (as), Jack Montrose (ts), Jack DuLong (bs), Pete Candoli, Don Fagerquist (tp), Max Bennett (b), Alvin Stoller (ds), Bob Enevoldsen (valve-tb), Vince DeRosa (French horn), Albert Pollan (tuba)。

邦題「フレッド アステアを歌う」。ミュージカル映画の大スター、フレッド・アステアが歌った、ガーシュインやアービングバーリン作品を、マーティー・ペイチ楽団のバッキングで、メル・トーメが歌う企画盤。マーティー・ペイチのアレンジが好調で、アルバム全体の音作りは、明らかに米国西海岸ジャズの雰囲気をふんだん湛えている。
 
 
Sings-fred-astaire
 
 
メル・トーメについては、一般的な知名度はシナトラに譲るが、ジャジーな歌のうまさは抜群。朗々として健康的な唄声はシナトラの対極に位置して、実に個性的。「ベルベット・ヴォイス」と称されるトーメの唄声は、その卓越した表現力や歌唱力と合わせて、実に魅力的なもの。そんなトーメが、ガーシュイン兄弟5曲、アービング・バーリン4曲を含む12曲を唄いまくる。

白人独自のヴォーカルを洗練させていったトーメの面目躍如である。とにかく「二枚目」な唄声は聴き易く判り易い。もともと、フレッド・アステアのリズム感に溢れ、判り易い歌唱スタイルは、後進のメル・トーメらに多大なる影響を与えた、とされる。そんな話を実感出来るトーメの歌唱である。ポップでソフト&メロウな歌唱はずっと聴いていても飽きない。

バックのマーティー・ペイチ楽団の演奏も名手揃いで、何気に優れていて良い感じ。アレンジも正統派なもので安心して聴ける。グルーヴィー&スウィンギンなバッキングは、この盤の聴きどころのひとつ。ジャケットがかなりレトロなので、なかなか触手が伸びないが、内容はポップで判り易い。ジャズ・ボーカルの好盤の一枚としてお勧め。
 
 
 

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  ・『The More Things Change』1980

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  ・The Band『Stage Fright』

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  ・僕達は「タツロー」を聴き込んだ

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2021年1月 7日 (木曜日)

前田憲男&WBのスタンダード集

振り返れば、1978年、ジャズを本格的に聴き始めてから、和ジャズについては、ほどなく触手を伸ばしている。当時、和ジャズは国際レベルで見て、米国ジャズ、欧州ジャズに比肩する、かなりの高レベルに達していた。当時、ジャズはフュージョン・ジャズ全盛だったが、我が国では、意外とコンテンポラリーな純ジャズが演奏されていたように思う。

ビッグバンド・ジャズも優れたバンドが多くあった様に思う。プロだけで無く、アマチュアにも優れたビッグバンドがあって、よくまあビッグバンドの運営について採算がとれるもんだ、と感心していたほどだ。高橋達也と東京ユニオン、原信夫とシャープスアンドフラッツ、宮間利之とニュー・ハード等々、ジャズ者初心者の頃、よく聴いたもんだ。

前田憲男とウィンドブレイカーズ『I'll Remember April』(写真左)。1981年の録音。フュージョン・ジャズ志向のビッグバンド、前田憲男とウィンドブレイカーズのスタンダード集。ちなみにパーソネルは、前田憲男 (p, key, org, arr), 数原晋 (tp), 伏見哲夫 (tp), 原田靖 (tb), 西篠孝之介 (ts), 稲垣次郎 (ts, fl), 砂原俊三 (bs), 沢田駿吾 (g), 荒川康男 (b), 猪俣猛 (ds)。
 
 
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リーダー前田のオルガンとエレクトリック・キーボードが軽快でポップで良い雰囲気を醸し出している。ピアノの硬質な音とは違う、丸くソフトでメロウなオルガンとエレクトリック・キーボードの音が、ちょっとフュージョンしていて聴き心地が良い。が、演奏自体はしっかりとアレンジされたスタンダード曲の、正統派なビッグバンドの演奏である。

このウインドブレイカーズの音の特徴は「切れ味とダイナミズム」。この「切れ味とダイナミズム」をそのままアコースティック楽器メインでやると、ちょっと音のキツい、耳が少し疲れるビッグバンドの音になる懸念がある。そこを、オルガンとエレクトリック・キーボードの丸くソフトでメロウな音を使い、聴き心地の良い柔らかな音で緩和している。

ハードバップ時代に流行ったスタンダード曲、1980年代に入って「手垢の付いた」感のあるスタンダード曲が、ポップで新しい響きを伴った、躍動感溢れる楽曲に変身しているところが実にニクい。一糸乱れぬアンサンブルも見事で、僕は、この前田憲男とウィンドブレイカーズのビッグバンドな音が大好きだった。今、聴いても良いですね。好盤です。
 
 
 

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  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

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2021年1月 5日 (火曜日)

敏子=タバキンBB『インサイツ』

今日も、秋吉敏子=ルー・タバキン ビッグバンド(Toshiko Akiyoshi-Lew Tabackin Big Band、1973年-1982年)の話題を。

デビュー盤『孤軍』については、よく聴いた。ジャズについては、まだ本格的に聴いていない時期だったが(プログレ小僧でした・笑)、何故かNHK-FMでよくかかっていて、これ幸いとエアチェックして繰り返し聴いていた。恐らく、これが僕の「ビッグバンドをしっかり聴いた」初めての機会だと思う。完璧に統制のとれた、一糸乱れぬアンサンブルが凄く印象に残った。

そして、そのビッグバンドの存在を全く忘れた頃に「第5弾」が届く。これも、NHK-FMでかかっていたのを偶然聴いたのが切っ掛け。

Toshiko Akiyoshi - Lew Tabackin Big Band『Insights(インサイツ)』(写真)。1976年6月22-24日 ハリウッド、RCAスタジオ"A"での録音。敏子=タバキンBBの5th.盤になる。この盤も何故か、NHK-FMでよくかかったので、エアチェックして結構聴いた思い出がある。

この盤については、前作よりもソロイストの演奏パートが拡大されて、ソロイストのパフォーマンスがフィーチャーされている。デビュー盤『孤軍』は「アンサンブル」が印象に残ったが、今回は「ソロ・パフォーマンス」が印象に残る。そういう意味では、従来のビッグバンドらしさが備わって、よりスタンダードとなり得るビッグバンドに進化したと見て良いかと思う。
 
 
Insights  
 
 
さて、この盤でも、賛否両論だった「日本人のアイデンティティ」がしっかり反映されている。LP時代、B面全てを費やした、21分を超える大作「Minamata(ミナマタ・水俣)」がそれに当たる。「公害」という社会問題を題材にした曲。その中で、日本的な童謡が差し込まれ、「能」の調べ、日本の舞踏民謡に似たフレーズが引用される。

これを是とするか否とするか。この盤の「日本人のアイデンティティ」については、この盤を問題作と捉え、議論の的になっていた。俗っぽく、明らかに米国での「ウケ狙い」と聴くか、純粋に「融合」が個性のジャズの一フレーズと聴くか。ジャズに、日本の童謡、能の調べ、舞踏民謡のフレーズを織り込むことに意味があるのか、無いのか。永遠の課題だろう。

ルー・タバキンのテナー・サックスとフルートが大活躍。先鋭的でバイタルなテナー・サックスは、2曲目の「Transience」でふんだんに聴くことが出来る。エモーショナルで伝統的、重心が低くダイナミックなテナー・サックスは素敵だ。

フルートは、次の3曲目「Sumie(墨絵)」で聴ける。ちょっとだけ「尺八」に似た音色のフルートが実に印象的。フレーズの「拡がり」と「間」で、タイトルの「墨絵」を表現しているイメージ。

賛否両論だった「日本人のアイデンティティ」を差し引いても、この盤もビッグバンドのアルバムとしては上質なもの。敏子=タバキンBBの個性が明確に反映された盤として、大いに評価されて然るべき好盤である。
 
 
 

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2021年1月 4日 (月曜日)

敏子=タバキンBBのデビュー盤

ジャズ盤をコレクションし、聴き進めて行く上で、ビッグバンドは結構、後回しになった。深い理由は無い。パッと思いついたバンド名が、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団の2つ。どちらもスイング時代から第一線で活躍する老舗ビッグバンドで、聴き進める上でなんだか敷居が高く感じて、ずっと敬遠した。後回しのそれが真相だろう。

それでも、ジャズを聴き始めた頃、結構、お気に入りになって聴き進めたビッグバンドがある。秋吉敏子=ルー・タバキン ビッグバンド(Toshiko Akiyoshi-Lew Tabackin Big Band、1973年 - 1982年)である。1973年、穐吉敏子(秋吉敏子)と夫ルー・タバキンによって、ロサンゼルスで結成されたビッグバンドである。

当時、日本人がリーダーのビッグバンドなんて、米国で認められる訳が無いと思っていた。ジャズは米国のものであり、とりわけビッグバンドは米国のもので他国のものは認めない。1970年代に入ってもそんな風潮が強かった。秋吉敏子=ルー・タバキンビッグバンドとて、例外では無かった。一部の評論家からは「ケチョンケチョン」で、心ない評論が後を絶たなかったことを覚えている。

Toshiko Akiyoshi-Lew Tabackin Big Band『Kogun(孤軍)』(写真)。1974年4月、ハリウッド、セイジ&サンド・スタジオでの録音。秋吉敏子=ルー・タバキン ビッグバンドのデビュー盤。この盤で、このビッグバンドを知った。当時、プロモーションも兼ねてだろう、NHK-FMで良く流れていた。

冒頭の「Elegy」を聴けば、このビッグバンドのコンセプトが良く判る。冒頭、秋吉敏子のビ・バップ・マナーのピアノが鳴る。そして、その後、完璧に統制のとれた、一糸乱れぬアンサンブルが疾走する。ファンクネスは控えめ、切れ味の良いビ・バップを聴く様な、疾走感溢れるビッグバンドのアンサンブル。ビ・バップの音の個性をビッグバンドに置き換えた様な演奏。
 
 
Kogun  
 
 
演奏の特徴のもう1つは「間」を活かした演奏である、ということ。「間」と「空間」を活かした演奏が、このビッグバンドのもう1つの個性。ハイ・テクニックなビッグバンドが故に出来る、ピタッとカミソリで切ったような音の「間」。そして、無を想起する「空間」。この特徴は、米国のビッグバンドには聴かれなかったもので、今でも耳に新しい響きを感じる。

そして、当時、賛否両論だった「日本人のアイデンティティ」。タイトル曲「Kogun(孤軍)」の冒頭に出てくる、「ヨ~、ポンッ」といった「能」の調べの引用。ラストの「Henpecked Old Man」に出てくる、例えば「八木節」の様な、日本の舞踏民謡に似たフレーズの引用。これを「どう聴くか」によって、この盤の評価は分かれていた様な思い出がある。俗っぽく、明らかに米国での「ウケ狙い」と聴くか、純粋に「融合」が個性のジャズの一フレーズと聴くか。

資料には「タイトル曲の「孤軍」は当時ルバング島で発見された小野田少尉をモチーフとしたもので、日本人である自分がアメリカという異国でジャズを創作して演奏するという苦闘をそこに重ねている」とある。そんな完全アウェー、「孤独」な環境の中で、自らの実力を認めさせるには、「日本人のアイデンティティ」の引用が必要だったのかも知れない。

そんな「日本人のアイデンティティ」の引用を全て差し引いても、このビッグバンドの音は素晴らしい。完璧に統制のとれた一糸乱れぬアンサンブルと、完全にコンロールされた途方も無いドライブ感、そして、疾走感。このビッグバンドには、他のビッグバンドに無い、特別な個性が溢れている。
 
 
 

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2020年12月 6日 (日曜日)

聴き心地満点「ベーカーの休日」

ウエストコースト(米国西海岸)ジャズは「聴かせる」ことに重きを置いているように思える。優秀なアレンジ然り。テーマ部の魅力的なユニゾン&ハーモニー然り。流麗なアドリブ・フレーズ然り。東海岸ジャズの「飛び散る汗と煙」のイメージ、手に汗握る、テンションの高いアドリブとは全く正反対の演奏アプローチ。

Chet Baker『Baker's Holiday』(写真左)。1965年5月、なんとNYでの録音。ちなみにパーソネルは、Chet Baker (flh, vo), Leon Cohen, Henry Freeman, Wilford Holcombe, Seldon Powell, Alan Ross (reeds), Hank Jones (p), Everett Barksdale (g), Richard Davis (b), Connie Kay (ds), Jimmy Mundy (arr)。リーダーのチェット・ベイカーはここではフリューゲルホーンを吹いている。

ソニー・クリス盤の時にもコメントしたが、1965年の録音なので、ジャズの世界では西海岸ジャズ、東海岸ジャズの区別が無くなって、西海岸ジャズ出身のチェット・ベイカーが、東海岸のNYに出向いての録音になったのだろう。但し、演奏のテイストは「西海岸ジャズ」。優れたアレンジで「楽しく聴かせる」ジャズを表現しているところは見事だ。
 
 
Bakers-holiday-1965
 
 
まず、フロントのリード楽器5人でビッグバンドをイメージした、分厚い重厚なアンサンブルを実現している。一聴すると「ビッグバンドがバックかな」と思うのだが、切れ味良くブリリアントな金管楽器の音が薄い。逆に金管楽器の音が薄いので、バックの演奏が柔らく響いて、チェットのボーカルがしっかりと浮かび上がる。アレンジの勝利だろう。

金管楽器はチェットのフリューゲルホーン1本。このチェットのフリューゲルホーンが上手い。ボーカルの上手さは以前から定評があるのだが、チェットはトランペット&フリューゲルホーンを吹かせても上手い。音がしっかりと太く流麗で、切れ味良くブリリアント。速いテクニカルなフレーズは滅多に吹かないが、しっかりと1音1音を丁寧に押さえた、暖かで柔軟なフレーズが実に心地良く耳に響く。

ギターを加えたピアノ・トリオの「リズム隊」も良い伴奏を提供していて、とりわけチェットのボーカルを引き立てていて立派。さすが伴奏上手のハンク・ジョーンズのピアノである。聴かせる「西海岸ジャズ」の雰囲気全開のスタンダード集。リラックスして聴けるジャズ。要所要所でチェットのボーカルがキラリと輝き、要所要所でチェットのフリューゲルホーンがブリリアントに響く。味のある小粋なジャズ盤です。
 
 
 

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