2019年2月 3日 (日曜日)

Tower of Powerの50周年新盤

今からもう47年ほど前になるのか。ロックを聴き始めた頃、ブラス・ロックがお気に入りのひとつ。恐らく、中学でブラスバンドに入ってサックスを吹いていたことも影響していたんだと思う。バンド名を挙げると、Chicago、Chase、そして、Tower of Power、Average White Band かな。

ブラス・ロックは、まずフロント楽器である金管楽器のユニゾン&ハーモニーが魅力。そして、ブラス・ロックの命は疾走感と切れ味。そこに、R&Bな味わいが付いて、ファンクネス溢れ、ブラック・ミュージックの要素が漂い、アーバンな雰囲気が濃厚になる。ボーカルが入って、ソウルフルなイメージが良いアクセントになる。

Tower of Power『Soul Side of Town』(写真左)。R&B系のブラス・ロック・バンドである「タワー・オブ・パワー」の最新作。昨年6月のリリースになる。タワー・オブ・パワーは、1970年のデビューになるから、もう50年弱のキャリアになる。その50年弱のキャリアを総括した様な、タワー・オブ・パワーの「音の全要素」がこの新盤に詰まっている。
 

Soul_side_of_town

 
50周年を記念した新盤の為のレコーディング・セッションは2012年以降の6年間に計4回にわたって行われ、トータルで28曲が出来あがり、新作にはその中から14曲が収録されたとのこと。若い頃の「怒涛のブラス・ロック」では無い、パンチは効いていて疾走感もふんだんにあるが、どこか余裕を持った大人のブラス・ロックという雰囲気が実に「粋」である。

アルバム全編に渡って、溌剌なリズムと鮮やかなホーンの切れ味が溢れている。そこに、華やかなユニゾン&ハーモニーや伸びやかなボーカルが色づけとして加わって、実にファンキーであり、実にソウルフルなブラス・ロックに仕上がっている。リズムやフレーズも「今」の音であり、決して「懐メロ」では無い。懐古趣味など微塵も無いところが潔くて清々しい。

いや〜、現役感バリバリのタワー・オブ・パワー。2018年になって、タワー・オブ・パワーの新盤が聴けるとは思っていませんでした。昔の若かりし頃の「怒涛のブラス・ファンク」という力業を押し出すのでは無く、聴きやすさが前面に押し出た「大人のブラス・ロック」。今の耳にとても魅力的に響きます。往年のブラス・ロック者の方々にも一聴をお勧めします。

 
 

東日本大震災から7年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年6月17日 (日曜日)

サザンロック系のAORなエレギ

「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」という単行本を読みつつ、ポーカロのお仕事を追体験している。ジェフ・ポーカロは、ロックバンド、TOTOの元ドラマー。セッション・ミュージシャンとしても数多くのレコーディングに参加しており、AORからフュージョン・ロックまで、幅広いジャンルで活躍した。プロとしてのキャリアは20年余りにも拘らず参加作品は200作を超えているが、1992年8月5日、38歳の若さで早逝している。

そんなポーカロのお仕事を追うと、こんなアルバムあったんや、とか、ああ懐かしいアルバムやなあ、とか、とても興味深いアルバムに沢山出会う。ポーカルって、AORやフュージョン・ロックにおいて、重要なアルバムやヒットアルバムに結構、名を連ねている。このアルバムもポーカルのドラムなんや、と改めてビックリするアルバムの何と多いことか。

『Les Dudek』(写真左)。1976年のリリース。当時の日本盤のキャッチコピーは「デュアン・オールマンの生まれ変わり」。確かに、サザンロック風のエレギで、デュアンより、スッキリ明るい音色で、ブルース・ギターの香りは残ってはいるが、アーバンで端正なAOR系のエレギという雰囲気。伸びやかで良く唄うギターで、フュージョン・ジャズの耳にしっかりとフィットします。
 

Les_dudek

 
Les Dudek=レス・デューデックとは、米国の東海岸ロード・アイランド出身のギタリスト。オールマンズのアルバム『Brothers & Sisters』に参加、「Ramblin' Man」ではディッキー・ベッツと共にギターを弾き、「Jessica」ではアコギを担当。ああ、あのアコギ、デューデックだったのね、とビックリ。その後、ボズ・スキャッグスのバックバンドやスティーヴ・ミラー・バンドでギターを担当、僕は、ボズの『Silk Degrees』のパーソネルでその名を知りました。

さて、アルバム『Les Dudek』に戻ると、スライド・ギターも心地良く、ライトなサザン・ロック風のテイストがなんとも粋である。1970年代のサザン・ロック者からすると、このギターは「アリ」ですね。ドラムのポーカロも得意のシャッフル・ビートを叩きつつ、サザン・ロック風のリズミカルで躍動感のあるパーカッシヴなドラミングも織り交ぜて、かなり高度なお仕事をこなしていて素晴らしいです。

このアルバムの存在、「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」という単行本で再発見するまで、すっかり忘れていました。聴き直してみて、ああ懐かしい、1970年代後半のサザン・ロック系のAORな雰囲気がとても芳しい。そして、思い出した。ジャケットのゴールドのレスポールのネックの先にとまるオウムの存在を(笑)。不思議なジャケットですが、AORからフュージョン・ロックの好盤です。ジャズの合間の耳休めにピッタリ。

 
 

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2018年6月10日 (日曜日)

スワンプ・ロックの始まりです

「ジャズの合間の耳休め」盤には、あまりジャズからかけ離れた音楽を聴くのはちょっと憚られる。ジャズの合間の耳休めに聴く盤としては、米国ルーツ・ミュージック系のアルバムが良い、と書いた。ここ「バーチャル音楽喫茶・松和」では、1970年代ロックも守備範囲になっているのだが、1970年代のロックの中で、米国ルーツ・ロックと呼ばれるものは何か。

いの一番に浮かぶのは、1960年代末期に発生し、1970年代中盤まで流行した「スワンプ・ロック(Swamp Rock)」だろう。そもそも「スワンプ」とは「アメリカ南部の湿地帯」を指す言葉。さまざまな南部の音楽をミックスしたロックが「スワンプ」。ゴスペルやブルース、それにカントリーやリズム&ブルースといった南部産の音楽をロックに取り込んだものが「スワンプ」。

このスワンプ・ロックは、ブルース・ロックやサイケデリック・ロックに相対するように、1960年代末期に出現した。このスワンプ・ロックを真っ先に体現したバンドが「デラニー&ボニー」。この「デラニー&ボニー」の演奏は、当時、英国のロック・ミュージシャンに多大な影響を与えた。例えば、エリック・クラプトンやジョージ・ハリスンがスワンプ・ロックに鞍替えしている位である。
 

Accept_no_substitute  

 
そんな「デラニー&ボニー」の代表的な好盤が、Delaney & Bonnie『Accept No Substitute』(写真)。1969年5月のリリース。邦題は「オリジナル・デラニー&ボニー」。ゴスペルやソウル、R&B、カントリーなどの音楽要素を柔軟に取り込んだ、南部ロックの傑作として名高いアルバム。加えて、ソング・ライティングとアレンジに長けており、捨て曲なしの好盤である。

バックバンドのメンバーを見ていくと、レオン・ラッセル、カール・レイドル、ボビー・ウィットロック、ジム・ゴードン、ジム・ケルトナー、ジム・プライス、ジェリー・マギー、リタ・クーリッジとお決まりのメンバー。このメンバーでツアーに出たら、そこにエリック・クラプトン、ディブ・メイスン、はてはジョージ・ハリスンまでが参加するという、夢の様な話。

特に、ボニーのソウルフルな歌唱は特筆すべきもので、とても白人の歌声とは思えない、ファンクネス溢れ、シンプルでソウルフルな歌唱である。コーラス・アレンジも秀逸で、ゴスペルの要素を非常に巧く取り込んでいる。この1969年作の『Accept No Substitute』が実質的にスワンプ・ロックの始まりだと言えます。有名な家族写真風のジャケも秀逸で、アルバムの中の音の雰囲気をダイレクトに聴き手に伝えてくれます。

 
 

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2018年6月 8日 (金曜日)

見事な技、見事な表現力である

パット・メセニーがサイドマンのアルバムを聴いている。パットは伴奏上手。パットのギターは自らがリーダーのアルバムとサイドマンで参加したアルバムとで、雰囲気がガラッと変わる。特にサイドマンの時は、参加したそのセッションのリーダーの楽器を惹き立てるように、また、同じ雰囲気でユニゾン&ハーモニーをかまし、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げる。

その好例がこのアルバム。Joni Mitchell『Shadows And Light』(写真)。1979年9月、カルフォルニアはSanta Barbara Bowlでのライブ録音。ジョニ・ミッチェルは米国の女性シンガーソングライターの草分けで、その浮遊感と神秘性のある歌詞と曲が彼女の最大の個性。その音楽性は複雑で高難度。通常のロック畑のスタジオ・ミュージシャンではちょっと不足な面が出てしまう。

そこで、ジョニは思い切って、ジャズ畑の一流ミュージシャンを招聘することを思い立つ。1970年代、1972年リリースの『For the Roses』から、クロスオーバー・ジャズ畑から、ジャズメンを採用し始める。そして、1979年の『Mingus』では、参加ミュージシャンは全てがジャズ畑からの招聘となった。確かに、彼女の複雑で高難度な音楽性を的確に表現出来るのは、ジャズ端のミュージシャンをおいて他に無い、と思う。
 

Shadows_light

 
さて、このジョニのライブ盤『Shadows And Light』の、バックバンドのパーソネルは、Pat Metheny (g), Jaco Pastorius (b), Don Alias (ds, perc), Lyle Mays (el-p, syn), Michael Brecker (sax)。いやはや、錚々たるメンバーでは無いか。録音当時、ジャズ界では、これらのメンバーは、人気&実力、共に既に超一流。そんなメンバーがバックを務めるのだ。悪かろう筈が無い。

そんなサイドメンの中で、特筆すべきは、ギターのパットとエレベのジャコ。この2人のテクニックと表現力は群を抜いている。ジョニの複雑で高難度な音楽性を、高度なテクニックと表現力で、的確に表現していく。特に彼女の楽曲が持つ浮遊感と神秘性をパットはギターシンセで、ジャコはフラットレスのエレベで表現していく。これがこのライブ盤での最大の聴きもの。ジョニの楽曲を惹き立て、ジョニのボーカルを浮き立たせるバッキング。

パットもジャコも自分たちの音を出すより、ジョニの楽曲にあった、ジョニの楽曲が表現する音世界を具現化するような音を選び、フレーズを紡ぎ上げる。見事な技であり、見事な表現力である。さぞかし、フロント・ボーカルを張ったジョニは唄いやすかっただろう。このライブ盤でのパットとジャコのバッキングは何度聴いても飽きないし、聴く度に感動する。

 
 
 

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2018年5月20日 (日曜日)

カントリー・ロックの雄です。

米国ルーツ・ロックの話題は続く。1970年代前半、米国ルーツ・ロックのトレンドは「フォーク・ロック」もしくは「カントリー・ロック」。カントリー&フォークのテイストをロック・ビートに乗せる。1960年代の終わり、ウッドストック以降、ロックが音楽ビジネスとして取り上げられ始めた頃、米国ルーツ・ロックの初めとして、「フォーク・ロック」もしくは「カントリー・ロック」は流行した。

フォーク&カントリー・ロックの代表と言えば「Eagles(イーグルス)」。1971年、リンダ・ロンシュタットのバックバンド(Linda Ronstadt & Her Band)の編成のために、名うてのミュージシャンが集められた後、このバックバンドが独立しデビュー、米国西海岸ロックの雄でありながら、世界的レベルの成功を収めた伝説のロックバンドである。

彼らの当初の個性は、ファースト盤を聴けば良く判る。そのファースト盤とは『Eagles』(写真)。邦題『イーグルス・ファースト』。1972年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Glenn Frey (vo, g), ,Don Henley (vo, ds), Bernie Leadon (vo, g, banjo), Randy Meisner (vo, b)。今から振り返れば、米国西海岸ロックの伝説のメンバーである。
 

Eagles_first  

 
冒頭の「Take It Easy」は、ジャクソン・ブラウンとグレン・フライの共作。バーニー・レドンの奏でるバンジョーとスティール・ギターが絶妙なカントリー・テイストを醸し出し、この楽曲をカントリー・ロックの名曲たらしめている。この曲、実は前奏からカントリー・フレーバー満載で、ロックビートとの絶妙なバランスが素晴らしい。

が、2曲目の「Witchy Woman」から、ハードロックなテイストが入り込んでくる。3曲目の「Chug All Night」などは、ライトなハードロックという印象。イーグルスというバンド、活動初期から中盤までのヒット曲は「フォーク&カントリー・ロック」のテイストを前面に押し出しているが、実は結構「ハードロック」な要素を好みとしている。僕達は当時「カントリー・ハード・ロック」と呼んでいた位だ。

この「ハードロック」な要素を前面に押し出した名作が『Hotel California』。この盤に至っては「フォーク&カントリー・ロック」な要素は完全に後退している。が、このファースト盤では「フォーク&カントリー・ロック」のテイスト満載、西海岸ロックの代表的バンドの当初の姿をしっかりと留めている。米国ルーツ・ロックの好盤の一枚。

 
 

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2018年5月19日 (土曜日)

米国ルーツ・ロックのデッド

ジャズの合間の耳休めには「米国ルーツ・ロック」が良い。1960年代終盤から1970年代、様々な米国ルーツ・ロックの好盤がリリースされた。米国ルーツ・ロックは、その名の通り、米国ルーツ・ミュージックの要素を取り込んだロックのこと。もちろん、ジャズも「米国ルーツ・ミュージック」のひとつ。

そういう面から、米国ルーツ・ミュージックは、ジャズの合間の耳休めにピッタリなのだ。このアルバムは、今を去ること約40年前、大学時代に聴いて「これは」と感心した、米国ルーツ・ロックなアルバムである。Grateful Dead『American Beauty』(写真左)。1970年のリリースになる。

タイトルが言い得て妙で、米国ルーツ・ミュージックの要素をふんだんに取り入れた「米国ルーツ・ロック」の好盤である。もともと「米国ルーツ・ロック」は大好きな私である。この盤に出会った時は、これはもう心はウキウキ、これは楽しい「米国ルーツ・ロック」の好盤。フォーク、カントリー、ブルース、そしてジャズ。米国ルーツ・ミュージックのおおよそがこの盤に詰め込まれている。
 

American_beauty

 
加えて、とってもリラックスしたロックである。後の「レイドバック」を先取りした様な、良い具合にリラックスしたロックである。決してダラダラはしていない。適度なテンションを張りつつも、どこか余裕のある演奏がとても素敵である。米国ルーツ・ミュージックの要素を大々的に取り入れたロックなので、これまでのデッドの音の個性であった「サイケ色」はほぼ前面的に払拭されている。

デッドのドラマー、ミッキー・ハート曰く「宇宙旅行から地上に帰って来て、土を耕して自分たちの足で踏ん張ったんだ」。言い得て妙ですね。この盤の底に漂っている「アーシー」な雰囲気を的確に言い当てています。そう、この盤のリズム&ビートはそこはかとなくアーシー。これが実に良い。聴いている耳に、このアーシーさが心地良く響く。

我が国では全くと言って良いほど、人気の無いグレイトフル・デッドですが、この『American Beauty』をメインとする「米国ルーツ・ロック」志向のアルバムは、聴きどころ満載、聴き応え満点の好盤揃いです。そうそう、「米国ルーツ・ロック」の好盤ですが、この盤ではアコースティック楽器の音がとても良いところが、隠れた「聴きどころ」です。お楽しみあれ。

 
 

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2018年5月13日 (日曜日)

ジャズの合間にゴスペル・ロック

ジャズの合間の耳休めには、米国ルーツ・ミュージックを融合したロックやR&Bが良い。というのは、私、松和のマスターの主観。実際、ハードな純ジャズやフリー・ジャズを聴き続けて、ちょっとジャズに耳がもたれた時、米国ルーツ・ミュージックを融合したロックやR&Bが耳に優しい。

ジャズと違和感の無い米国ルーツ・ミュージックのジャンルに「ゴスペル」がある。ゴスペルとは簡単に言うと、米国の黒人教会文化が生んだ「魂の歌」。神のことばや神から受けた恵みを感謝したり、伝えたいという思いが歌となったものが「ゴスペル」。ジャズでは、このゴスペルの特徴である「コール・アンド・レスポンス」や音の重ね方について、特にファンキー・ジャズのジャンルで取り込んで活用している。

ロックの世界でも、ゴスペルの要素はよく取り込まれている。特に、1960年代末から1970年代前半のトレンドでもあった「スワンプ・ロック」にとりわけ活用され、同時期に流行ったソウル・ミュージックにも、しっかりと取り込まれている。いわゆる、アフリカン・アメリカンの「魂のフレーズ」なのだ。
 

Right_on_be_free  

 
The Voices of East Harlem『Right On Be Free』(写真)。1970年の作品。ロックをベースにしたゴスペル・ミュージックである。イーストハーレムのゴスペル・グループが、1970年にリリースした1st.アルバムになる。リロイ・ハットソン、カーティス・メイフィールドが絡む前のストレートでパワフルな「ゴスペル・ロック」。ゴスペルの良いところをロックで強調した様な音世界。

ゴスペルのパワフルな歌唱をそのままに、ロックのビートに乗って、さらにその高揚感が高まっている。ロックの伴奏自体が切れ味が良く、曲の要所要所で「決め」の部分がバッチリと決まっていて、爽快感すら漂ってくる。重厚なコーラスが音の厚みに貢献し、しっかりと聴き応えのある音に仕上がっている。

すっきりとしたファンクネスが良い感じ。レアグルーヴ的な要素も随所に聴かれ、1970年の作品とは言え、音の古さをあまり感じ無い。レアグルーヴ〜ニュー・ソウル好きには必聴の好盤。ジャズの合間の耳休めにもピッタリのゴスペル・ロック盤です。聴いていて、思わず体が動き始め、クラップ・ハンドしてしまう。ゴスペルの魅力満載ですね。

 
 

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2018年5月12日 (土曜日)

ハサウェイの傑作ライブ盤

1970年代、ジャズは多様化が進む。純粋なジャズだけの音もあるにはあるが、ロックの要素を取り入れたクロスオーバー・ジャズが幅を利かせ、その後、大ブームとなったフュージョン・ジャズが席巻する。ジャズの音の要素は他のジャンルにも広がっていく。ソウル・ミュージック、その後のR&Bにジャズのテイストは浸透していった。

ジャズを聴いていて、耳が少々、ジャズに疲れた時は「ジャズの合間の耳休め」の盤を選盤して耳を傾ける。しかし、それがあまりにジャズからかけ離れていては駄目だ。ジャズ周辺のフュージョン周辺の音が良い。その演奏のテイスト、その演奏の雰囲気。ジャズに通じるノリと演奏テクニック。芳しきファンクネス、そして、ソウル。

Donny Hathaway『Live』(写真左)。1972年の作品。全米18位。早逝したR&Bの天才歌手、ダニー・ハサウェイの傑作ライブ盤である。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch, Cornell Dupree, Mike Howard (g), Willie Weeks (b), Fred White (ds), Earl DeRouen (conga, ds)。フィル・アップチャーチ、コーネル・デュプリーなど、後のフュージョンの名うてミュージシャンが参加している。
 

Donny_hathaway_live  

 
アルバムの前半(1〜4曲目)には、1971年8月にハリウッドのトルバドールで行われた公演からの抜粋が収録され、後半(5〜8曲目)には10月にニューヨークのビター・エンドで行われた公演から抜粋されている。これが、とっても良い雰囲気のライブ・パフォーマンスなのだ。バックのシンプルな演奏もさることながら、聴衆のレスポンス、パフォーマンスが見事。

ファンクネス溢れ、米国ルーツ・ミュージック、とりわけ、ブルース、ソウル・ミュージック、ゴスペルの要素を取り入れつつ、ジャズをベースとした演奏をバックに、ハサウェイはソウルフルにそれぞれの曲を唄い上げていく。従来のジャズ・ボーカルよりも、ポップでソウルフルでスピリチュアルな歌唱。

特にカバー曲が秀逸。冒頭の「What's Going On」、4曲目の「You've Got a Friend」、7曲目の「Jealous Guy」など、思わず惚れ惚れして聴き込むほどの出来の良さ。一分の遅れも隙もなくプレーヤーと一体化した観客、一緒になって大声で歌う瞬間。このライブ盤は、その場で自分も聴いていると錯覚させてくれるほどの「ライブ感」に満ちあふれている。

 
 

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2018年4月23日 (月曜日)

ロックとジャズとR&Bと

ジャズの合間の耳休めには、あんまりジャズからかけ離れない様にしている。70年代ロックを本格的に聴く時は、初めにジャズは聴かない。いきなり70年代ロックで入る。ジャズを聴いている合間の耳休めは、ジャズからあんまり離れない。クロスオーバー系のロックや、フュージョン系のロックを聴く。

1960年代終わり頃から1970年代にかけて、ブラス・ロックなるジャンルがあった。フロント楽器が金管楽器。3〜4管編成で、重厚なブラスのユニゾン&ハーモニーが特徴。バックのリズム・セクションがロック系のエレギ、エレベ、そしてドラム。このブラス・ロックをベースにジャズとR&Bの要素を織り交ぜた、ロックとジャズとR&Bのクロスオーバー・ミュージックがあった。Blood, Sweat & Tears(以降、BS&Tと略)である。

Blood, Sweat & Tears『Child Is Father to the Man』(写真)。邦題『子供は人類の父である』。1968年のリリース。ちなみに、当時のBS&Tのメンバーを並べてみると、Randy Brecker (tp, flh), Bobby Colomby (ds, perc), Jim Fielder (b), Dick Halligan (tb), Steve Katz (g), Al Kooper (key), Fred Lipsius (as), Jerry Weiss (tp, flh)。ランディー・ブレッカーがおる。アル・クーパーがおる。フロントのブラスが4管。いわゆる「ブラス・ロック」の編成である。
 

Child_is_father_to_the_man  

 
音の味付けは「R&Bとジャズ」。ブラス・ロックの音の傾向は「クロスオーバー・ジャズ」。しかし、リズム&ビートはロック。このBS&Tの音世界はシカゴと並んで、ロックとジャズとR&Bのクロスオーバー・ミュージックの創始であった。ロック基調な分、ファンクネスは控えめだが、ブルージーな雰囲気は色濃く、フレーズはシンプルで判り易い。ボーカルもクセの無いストレートな歌唱で、これまた判り易い。

1968年のリリースという背景もあって、当時のミュージック・シーンの混沌とした感じやサイケデリックな音が、ところどころ顔を出す。この辺が純粋なジャズと全く異なるところで、ヒッピー・ムーブメントの影響をダイレクトに感じるのだ。アルバム・ジャケットを見てもそれを強く感じる。

アル・クーパーのボーカルが魅力的。明らかにロックのボーカルで、ジャズの様にこってこてファンキーでウェットな歌唱にはならない。しかし、このアルバム、聴くべきは「ブラス・ロック」の真髄の部分。洒落たホーンアレンジ、ジャジーなアドリブ展開、重厚なブラスのユニゾン&ハーモニー。「ブラス・ロック」は、ジャズの合間の耳休めに最適な音楽ジャンルのひとつである。

 
 

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2018年3月19日 (月曜日)

クラプトンの武道館ライヴ盤

ジャズの合間の耳休め・・・。クラプトンのギターを愛でるにはライヴ音源が良い。スタジオ録音では、これはこれで良いんだが、スタジオ録音という環境上、確実・堅実なプレイが優先されて迫力に欠ける。ライヴ音源は、大観衆を相手に、そのライヴ・パフォーマンスの流れの中でアドリブを展開するので、荒々しさはあるが迫力がある。

70年代クラプトンのエレギの魅力は「ブラッキー」。複数本のストラトをばらして、良い部品だけをピックアップして再作成された手作り特性ストラト。その漆黒のボディーから「ブラッキー」と呼ばれる。この「ブラッキー」の音が最大の魅力。この魅力的な音を心ゆくまで堪能するにはやはりライヴ音源が良い。

そういうライヴ盤と言えば、イチ押しは、Eric Clapton『Crossroads 2: Live In The Seventies』(紹介記事はここをクリック)。70年代の未発表ライヴ音源を中心とした4枚組CDボックス盤である。これがまあ、絶品のライブアルバムなのだ。70年代クラプトンが好きな方は必聴。あの名盤ライブ盤『E.C. Was Here』と収録曲がほぼ被っているので、他の演奏を含めて、この4枚組盤がベストチョイスだ。
 

Just_one_night

 
しかし、CD4枚組はいかにも「トゥーマッチ」である、という向きもあろう。この4枚組は選曲的には渋くて、クラプトンのヒット曲や人気曲を選曲している訳では無い。クラプトンのライヴなら「ベスト盤」的な選曲を望む向きもあろう。そういう向きには、このライヴ盤が良い。Eric Clapton『Just One Night』(写真左)。1979年12月3日、東京の日本武道館でのライヴ音源。1980年のリリース当時はLP2枚組。ちなみにCDも2枚組。

まず音が良い。ブラッキーの音が生々しく聴こえる。クラプトンのボーカルも生々しい。バックの音の分離も良い。もともと武道館は音があまり良く無いという印象なんだが、このライヴ盤はとても音が良い。選曲も「ベスト盤」的な選曲で、人気曲「Wonderful Tonight」や「Blues Power」「Cocaine」なども収録され、クラプトン者で無くても楽しめる。

70年代クラプトンを心ゆくまで愛でることの出来るライヴ盤は、まずは絶対に『Crossroads 2: Live In The Seventies』、そして、一歩譲って、この武道館ライヴ音源の『Just One Night』。それでも「トゥーマッチ」な場合は『E.C. Was Here』。この3つのライヴ盤を聴くことで、70年代クラプトンの本質をしっかりと感じることができるのだ。

 
 

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