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2017年4月28日 (金曜日)

ジャケットに惚れて入手した盤

実はこの盤はジャケットに惚れて入手した。イラストっぽいジャズメン達も良し、タイポグラフィーも良し。とにかくデザインが良い。とてもジャズっぽい。見た瞬間に「これは」と思った。ジャズ盤のジャケットって、こんなデザイン的に優れたものが多い。

ジャケットのデザインが優れたジャズ盤の内容に外れは無い。この盤もその格言に外れることは無い。1996年当時の優れた内容のネオ・ハードバップ。パーソネルを見渡すと、オールスター・ジャムセッションか、と思うんだが、どうして、しっかりとアレンジされた、一期一会のまさにジャズらしい演奏がぎっしりと詰まっている。これには感心した。

そのジャズ盤とは、Jerry Bergonzi & Bobby Watson『Together Again For The First Time』(写真左)。1996年の作品。ちなみにパーソネルは、Jerry Bergonzi (ts), Bobby Watson (as/ss), Kenny Barron (p), David Finck (b on 1-4,6,9), Curtis Lundy (b on 5,7,8), Victor Lewis (ds)。

バーガンジィーのテナー、ワトソンのアルト&ソプラノの2管フロントのクインテット構成。全編に渡って、バーガンジィーのテナーとワトソンのアルト&ソプラノの2管による応酬は聴き応え十分。破綻無く、とても端正で流麗。アドリブフレーズは歌心満載で聴いていてウキウキする。
 

Together_again_for_the_first_time1

 
そうそう、ジェリー・バーガンジーとは、いわゆるボストン派テナー・サックスの重鎮。圧倒的なテクニックと鮮やかなアドリブ・フレーズが個性。1947年生まれなので、今年で70歳になる。この盤の録音時は49歳。ベテランの域に達しつつある充実の頃。

バックのリズム・セクションも良い。ピアノがケニー・バロン、これがまあ、端正で堅実なバッキングを繰り広げている。この盤の安定はバロンのピアノによるところが大きいのでは。そして、ビクター・ルイスのドラミングが素敵だ。凄くハードバップしている。この盤の爽快感とスピード感はルイスのドラミングによるところが大きい。

1996年の時代に、これだけ内容のあるネオ・ハードバップな演奏が繰り広げられていたとは改めて感心した。ジャズって確実に進化していたんですね。しっかりとアレンジされた、一期一会のまさにジャズらしい演奏は、その爽快感とスピード感がゆえ、1950年代のハードバップには無いものです。1996年の時代だからこそ為し得た、ジャズの成果だと感じます。

ジャケットに惚れて入手して、その盤聴いて感心する。ジャズ盤をずっとコレクションして聴き続けてきて、なんだか幸せだなあ、と思う瞬間です。

 
 

震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月27日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・19

ジャズの企画盤でよく採用されるのが「ミュージカルもの」。ジャズはミュージカルで流れる楽曲を、まとめてジャズ化する企画が多い。そんな「ミュージカルもの」の中でも、採用される機会が圧倒的に多いのが「My Fair Lady」と「West Side Story」。

どちらもミュージカルも収録された楽曲がとても美しくとても楽しい。名曲がてんこ盛りって感じで、丸ごとジャズ化したくなる。特に「West Side Story」は、レナード・バーンスタインが音楽を担当しているので、もともとジャズの要素を織り込んできてるので、圧倒的にジャズ化し易い。

アルト・サックスの使い手に「Richie Cole(リッチー・コール)」がいる。1948年生まれ。今年で69歳になる。もう大ベテラン。このリッチー・コールって、1970年代終盤に突如現れ出でて、老舗ジャズ雑誌で採り上げられて、褒めあげられたり貶されたり。ジャズ雑誌の一人芝居によって、時代の寵児となった「リッチー・コール」という印象がある。

テクニックに優れる速弾きが「軽薄」とされ、明朗な音色で吹き上げる様を捉えて「単調」と揶揄され、ビ・バップものをやればパーカーの物真似といじられ、バラードをやれば「深みがない」と切り捨てられる。とにかく散々な扱いだった。けど、僕は当時、ジャズ者初心者でしたが、このリッチー・コールのアルト、判り易くて好きでした。
 

West_side_story_richie_cole

 
Richie Cole『West Side Story』(写真左)。1996年3月の録音。ヴィーナス・レコードからのリリース。しかし、なかなか目の付け所の良い企画盤だ。明朗な音色でハイテクニックでアルト・サックスを吹き上げるリッチ・コールが「ウエストサイド物語」をやる。これってなかなか良い企画じゃないのか。

アルバムを聴けば、その意を強くする。リッチー・コールのアルト・サックスは明朗で切れ味抜群。ウエストサイド物語に収録された様々な魅力的な楽曲をしっかりとジャズ化し、しっかりとジャズとして吹き上げていく。とにかく判り易い。よって聴いていてとっても楽しい。明るくて楽しいのだから、もう「無敵」である。

バックのジャズメン達も好演している。アレンジも良好。そう言えば、この盤でのリッチー・コールのアルト・サックスのプレイはオーソドックスでハイテクニックで明朗なもの。良い感じのアルト・サックスである。でも、これって、1970年代終盤当時のリッチー・コールの音と変わらないと思うのだが。 

我が国ではあまり話題にならない、というか全く話題にならない、リッチー・コールの『ウエストサイド物語』ですが、どうして、かなり良い内容ですよ。判り易くて聴き易い。この『ウエストサイド物語』、そう言えば、ジャズ喫茶での流し聴きに最適ですね。そう言えば、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ながら聴き盤」としてヘビロテでした(笑)。

 
 

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2017年4月26日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・104

ジャズで「サックス」と言えば、テナー・サックスばかりでは無い。アルト・サックスにも優れたジャズメンが沢山いる。アルト・サックスは、テナー・サックスに比べると小ぶり。その分、担当する音階はテナーより高い。アルト・サックスはサックスの中で最も標準的な楽器とされる。

ジャズの世界で、そんなアルト・サックスの使い手と問われて、僕の頭の中に「いの一番」に浮かぶジャズメンは「アート・ペッパー(Art Pepper)」である。僕はジャズを聴き始めた、今を去ること40年前から、ずっと「アート・ペッパー」の大ファンである。とにかく、ペッパーのアルト・サックスは「テクニックに優れる」。

そして、音色がブリリアントで健康的な官能美がたまらない。加えて、鼻歌を歌うが如く、止めどなく出てくる、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。豊かなイマージネーション、そして、誠実な吹きっぷり。どれを取っても「良い」。そんなペッパーのアルトが大好きだ。しかも、ペッパーのリーダー作には駄作が無い。どのリーダー作でもペッパーのアルトは「良く鳴っている」。

Art Pepper『Mucho Calor』(写真左)。タイトルはスペイン語で付けられているので、『ムーチョ・カロール(Mucho Calor)』と読んで欲しい。日本語表記ではなぜか『ムーチョ・カラー』という読み方が定着しているがこれは間違い。英語に訳すと「Much Heat」が一番近しく「とっても熱い」という意。
 

Mucho_calor  

 
加えて、ラテン風アレンジもののアルバムであることを売りにしている盤である。ジャケ裏に「a presentation in latin jazz」と明記されている。ちなみにパーソネルは、Conte Candoli (tp), Jack Costanza (bongos), Chuck Flores (ds), Russ Freeman (p), Mike Pacheko (bongos), Art Pepper (as), Bill Perkins (ts), Ben Tucker (b)。オクテット構成。1958年4月の録音。

冒頭のタイトル曲「Mucho Calor」から、ボンゴ、コンガの音が全開。掛け声なんかもかかったりして、この盤って、1960年代からつい最近まで、恐らく日本では「キワモノ扱い」の盤だったのではなかろうか、と思ってしまう。日本ではパーカッションの音色について評価が低い。併せて、ラテン・ジャズについても「俗っぽい」という一言で片付けられることが「ほとんど」。

しかし、2曲目以降、聴き進むにつけ、その評価の低さは「不遜」であると確信する。もともと米国西海岸ジャズだって、東海岸ジャズ偏重の日本ジャズ界のなかでは評価が低かった。そう、この盤は、アート・ペッパーをリーダーとして、米国西海岸ジャズの雄を集めて構成された八重奏団なのだ。

アルバム全体を聴き通して、洒落たアレンジが施された、スムースでちょっとライトな感覚のお洒落なジャズ感満載で、このアルバムって、明かな「米国西海岸ジャズ」の音世界である。そこに、ブリリアントで健康的な官能美豊かなペッパーのアルトが滑る様に、アドリブをぶっ込んでくる。ジャズである。この盤を「キワモノ」として避けてはならない。今では「ジャズ者御用達の好盤」の一枚である。

 
 

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2017年4月25日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・52

オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。と昨日、書いた。確かにそうやなあ、と思う。昼ご飯が終わった後、食後の珈琲を飲みつつ、天気が良ければ、外の陽射しを楽しみつつ、ちょっと微睡みながら聴くオールド・スタイルのテナーは絶品である。

オールド・スタイルのテナーと言うことで昨日は「ベン・ウェブスター」のリーダー作を聴いた。オールド・スタイルのテナーと言えば、オールド・スタイルのテナーの次に、コールマン・ホーキンスが浮かぶ。ウェブスターは情感溢れるテナーが個性だが、ホーキンスのテナーは元気一杯、明朗に吹きまくるテナーが魅力。

そんな明朗に吹きまくるホーキンスのテナーが楽しめるリーダー作がこれ。Coleman Hawkins『The Hawk Flies High』(写真左)。1957年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Idrees Sulieman (tp), JJ Johnson (tb), Hank Jones (p), Barry Galbraith (g), Oscar Pettiford (b), Jo Jones (ds)。ギター、トロンボーンも入ったセプテット構成。Riversideレーベルからのリリース。
 

The_hawk_flies_high

 
ホーキンスは収録された全ての曲において、明朗に吹きまくっている。豪快かつ大らかに吹きまくるホーキンスは、とっても頼もしい。加えて、トランペットのシュリーマンが凄く元気に吹きまくる。とにかくすっごく元気なトランペットが明らかに目立っている。ピアノのハンクは渋いバッキングを披露し、J.J.のトロンボーンもアンサンブルの良いアクセントになっている。

1957年の録音だが、演奏の内容は当時のハードバップ最先端にはほど遠い、どちらかと言えば、スイング時代からビ・バップ時代へ移行する時期の、オールド・スタイルのモダン・ジャズという風情。昭和30年代のジャズ喫茶の雰囲気がプンプンする。決して、テクニックに過ぎることは無く、ジャズとして楽しい演奏を繰り出していく。

ホーキンスは明朗に吹きまくるテナーなんだが、そこはかとなく、ブルージーでマイナーな雰囲気が漂うところが良い。春の儚さと良く似た雰囲気。楽しゅうてやがて悲しき、というか、楽しゅうてやがてブルージー。そんなホーキンスのテナーは、ジャズ喫茶の昼下がりによく似合う。

 
 

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2017年4月24日 (月曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・51

ジャズにおいて、テナー・サックスはフロント楽器の花形である。ジャズのフロント楽器と言えば、テナー・サックスとトランペットが人気を二分する。特に、テナー・サックスは、音が太く大きく、音の表現のバリエーションが豊か。リード楽器が故に、長い時間、ソロを取ることが出来るところは無敵である。

ジャズの世界で、テナー・サックス奏者は多い。様々な個性、スタイルのテナー奏者がキラ星の如く顔を並べ、ほんと飽きない。飽きないどころが、どんどんテナー奏者の個性の「沼」にずぶずぶと填まっていく。あれも良い、これも良い、としている間に自分の好みが判らなくなる(笑)。

オールド・スタイルのテナーも良い。Ben Webster『Soulville』(写真左)。1957年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Ray Brown (b), Herb Ellis (g), Stan Levey (ds), Oscar Peterson (p)。アーリー・ジャズ期から活躍したベン・ウェブスターのワンホーン、ギター入りクインテット。ヴァーヴ・レコードからのリリースだけど、ジャケットは「やっつけ」(笑)。
 

Soulville_ben_webster  

 
ウエブスターが難しいこと無く、ただ漆黒のブルージーなテナーを吹き上げる。太く力強く、時に優しく、時に繊細に、そして、時々、豪快にテナーを吹き上げる。とっても味のあるテナー・サックスに惚れ惚れする。モードだのコードだの、ビ・バップだのハードバップだの、何処吹く風。ウエブスターは悠然と自分のテナーを吹き上げる。

伴奏上手のオスカー・ピーターソンが何時になく神妙にバッキングし、ウエブスターを支え、レイ・ブラウンのベースがビートの底をガッチリ支える。そして、小粋なハーブ・エリスのギターが渋くファンキーにウエブスターのテナーの音色に彩りを添える。スタン・リービーの乾いたドラムが意外と個性的。バックを支えるジャズメン達は、皆、ウエブスターを支え惹き立てる。

ハードバップ時代の演奏ですが、スイング時代の演奏の様でもあり、時代を超えた、ベン・ウエブスターならではのモダン・ジャズな演奏がここにあります。収録されたどの演奏も明らかに「モダン・ジャズ」。音質に問題のある箇所もあるんだけど気にしない。オールド・スタイルのテナーには昼下がりが良く似合う。

 
 

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2017年4月23日 (日曜日)

グリフィンとドリューの好演

いきなり初夏の陽気が数日続いたと思ったら、天候は不安定になって、昨日から4月上旬の気候に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと身体がついていかない。我が千葉県北西部地方、今年の春は気候が不順でいけない。

せめてジャズは不順は避けたい。こういう天候不順で体調が優れない時は、鉄板の「ハードバップ」な演奏が良い。ハードバップとはいえ、1950年代後半から1960年代前半の伝統的なハードバップでは無く、1980年代の「純ジャズ復古」以降の洗練され尽くしたハードバップが安心で良い。しかし、そんなアルバムあったっけ?

Johnny Griffin Quartet feat. Kenny Drew『Catharsis』(写真左)。1989年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Griffin (ts), Kenny Drew (p), Jens Melgaard (b), Ole Steenbert (ds)。リトル・ジャイアント、ジョニー・グリフィンのカルテット。ベースとドラムは、ごめんなさい、僕は知りません。しかし、ピアノには大ベテラン、ケニー・ドリューが座る。
 

Catharsis_1

 
録音場所はコペンハーゲン。といって、スティープルチェイスの本拠地モンマルトルでは無い。しかし、音の雰囲気は確かに北欧。欧州ジャズらしい、スッキリとしてはいるが、音に芯の入った切れ味の良いもの。グリフィンの豪快で切れ味の良いテナーが心地良く響くところが良い感じ。

アルバム全体の演奏は明らかに「ハードバップ」。モーダルなアドリブ・ラインもあるが、全体の傾向は明らかに伝統的はハードバップ。エネルギッシュでパワフルなグリフィンのテナーが素晴らしい。加えて、そんなグリフィンに呼応するように力の入ったバップ・ピアノを披露するケニー・ドリューも聴きものだ。グリフィン〜ドリューの掛け合い、アドリブの応酬。

僕は知らないとしたドラムとベースも堅調。しっかりとリズム&ビートの底を支えています。1980年代後半、二人のレジェンド(グリフィンとドリュー)が、これだけ洗練し尽くされたハードバップを演奏していたとは、ちょっと驚きです。当時のグリフィン・カルテットの実力の高さが窺い知れます。

 
 

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2017年4月22日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・80

我が千葉県北西部地方、不安定な天気が続いている。曇ったと思ったら晴れ間が覗き、ちょっと濃い灰色の雲が近づいてきたと思ったら、パラパラとにわか雨が降ってくる。こういう日はなんとなく気分が優れず、なんとなく憂鬱な雰囲気に包まれる。

憂鬱な雰囲気につつまれる中で聴くジャズもなんとなく、アンニュイな雰囲気に包まれる。なんか乗らないなあ、なんて思って、アルバムの棚を眺めながら・・・・、あれっ、こんなアルバム持ってたっけ、と不謹慎な思いを持ってしまうアルバムが出てくる。決して声を出して言えない。声を出して言おうものなら、嫁はんに聞かれたら絶対に怒られる(笑)。

そんな、ちょっとした驚きをもって発掘したアルバムが、松本英彦『Four Wings』(写真左)。1979年10月の録音。パーソネルは、松本英彦 (ts, fl /1926年生まれ), 菅野邦彦 (p/1936年生まれ), 鈴木勲 (b/1933年生まれ), ジョージ大塚 (ds/1937年生まれ) 。このパーソネルは一期一会セッションで、結果的にはラストとなった貴重な記録になります。

こんなアルバム、持ってたんや〜、と思いつつ、アルバムを手に取ると、1979年の録音。加えて、パーソネルは基本的に日本ジャズのベテラン中心の構成。ふ〜ん、あんまし期待できへんなあ、と思いながらも、ジャケットのデザインの趣味の良さから、とにかく聴いてみることにした。
 

Four_wings

 
日本のジャズ界において伝説のカルテット、リーダーのスリーピーこと松本英彦を筆頭に、スガチンのピアノ、オマスズのベース、ジョージのドラム。ちょっとレトロな響きのジャズが出てくるかな、と思いつつ、CDプレイヤーのスタートボタンを押すと、冒頭の「Speak Low」の楽器の音の生々しさ、演奏全体を包む強烈なスイング感に思わず身を乗り出します。

ハードバップなモダンジャズの良いところを全て集めたような、非常に内容のある演奏がギッシリ詰まっています。加えて、日本人のモダンジャズらしく、ファンクネスは希薄、切れ味の良い乾いたオフビートが底に流れている。いや〜びっくりしました。このアルバムの演奏内容は「目から鱗」です。

当時53歳、既に大ベテランの域に達していた松本英彦がこんな緊張感溢れる、先進的な内容のアルバムを出していたなんて、とにかくビックリ。とりわけ、菅野邦彦 (p), 鈴木勲 (b) の参加が効いているなあ、と思います。二人の先進的なハードバップな演奏が、受け狙いのドラミングに傾きがちなジョージ大塚のドラミングを堅実かつ味のあるドラミングに変身させているようです。

この菅野・鈴木・大塚のリズム・セクションがこのアルバムの先進性を決定付けている。そんなリズム隊をバックに悠然とスリーピーこと松本英彦がテナーをフルートを吹き上げている。誠に上質のハードバップ。一期一会の好盤です。日本ジャズも隅に置けない。

 
 

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2017年4月21日 (金曜日)

ながら聴きのジャズも良い・18

やっと4月の中旬らしい気候に落ち着いた感がある。寒くも無く暑くも無い。ちょうど良い塩梅の気候。何かしながらの音楽。ながら聴きに良い季節である。この季節、僕は本を読みながらのジャズの「ながら聴き」が好み。ちょっとだけ窓を開けて、微かな春風の流を感じながらの「ながら聴き」。

僕は「ながら聴き」のジャズについては、フュージョン・ジャズのアルバムを選盤することが多い。爽やかでシンプルで明るいフュージョン・ジャズが「ながら聴き」にピッタリ。そんな盤ってあるのか。あるんですよね、これが(笑)。落ち着いた大人のフュージョン・ジャズが良いですね。あまり「はっちゃき」なのは耳についていけない。

Jim Beard『Song of the Sun』(写真左)。1990年の作品。新生CTIレーベルからのリリース。リーダーのジム・ビアードは、1980年代後半〜1990年代のN.Y.ジャズ・シーンで最も注目すべきキーボード奏者の一人。基本はジャズ。ジャズに軸足を置きながらのモーダルなキーボード・プレイが特徴。
 

Song_of_the_sun1

 
アルバムを聴き通すとこのアルバムの雰囲気に思わず「ニヤリ」とする。1970年代から1980年代を駆け抜けた伝説のフュージョン・バンド「ウェザー・リポート」の後期の音をスッキリとシンプルにした、判り易い「ウェザー・リポート」といった雰囲気。とりわけ、ビアードのキーボード・プレイは秀逸で、バラエティーに富んでいて、とても楽しめる。

パーソネルを見渡すと、うへへ〜と思わず笑みが漏れる。サックスにMichael Brecker、Bob Mintzer、Wayne Shorter、Lenny Pickettを使い分ける。ベースはVictor Bailey、Anthony Jackson、Batundi Panoを使い分け。ドラムにDennis Chambersの名前が見える。ハーモニカにはToots Thielemans。これって、フュージョン全盛時代の主要ジャズメンばかりである。

アルバムに収録された演奏は、ビアードの優れた編曲で整えられたシンプルで破綻の無いもの。あまりに整然としていて、ファンクネスに欠けるところがちょっと惜しい。それでも、アルバム全体の音世界は、小粋で成熟した上質のフュージョン・ジャズ。時は1990年、遅れてきたフュージョン・ジャズの好盤としてお勧め。特に「ながら聴き」にピッタリである。

 
 

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2017年4月20日 (木曜日)

80年代サンボーンの代表盤

フュージョン・ジャズの雄、アルト・サックスの代表格、デイヴィッド・サンボーンの聴き直しを続けている。前回は1988年の『Close-Up』をご紹介したのだが、順番として、このアルバムを忘れていた。面目ない。

David Sanborn『A Change of Heart』(写真左)。1987年の作品。ど派手なジャケットに度肝を抜かれる。サンボーンの素晴らしさを知らない人は、このジャケット、手にするにはかなりの勇気がいる。もうちょっと何とかならなかったのかなあ。さすがに1980年代、バブリーな時代のデザイン感覚を再認識する。

しかし、内容的には、良きにつけ悪きにつけ、1980年代のサンボーンを代表する内容に仕上がっているのではなかろうか。全編に渡って、マーカス・ミラーの硬質に弾けるエレベとハイラム・ブロックのねちっこいエレギをバックに、それはそれは気持ち良さそうにアルトを吹き上げるデヴィット・サンボーン。
 

A_change_of_heart

 
この盤、サンボーンのアルトがとっても良い音で鳴っている。ど派手なアレンジ。メタリックな輝きに満ちたブロウ。もともとサンボーンは懐の深いミュージシャンではあるんだが、この盤の内容を見渡すと、ダンスナンバーあり、ハードナンバーあり、泣きのバラードあり、とバラエティーに富んだ内容がとても楽しい。

しかし、そんなバラエティーに富んだ演奏内容なんだけど、サンボーンのソウル&ファンキーでメタリックな輝きに満ちたブロウは終始一貫している。これが素晴らしい。1980年代のサンボーンをアルトの「これ一枚」を選べと言われたら、この『A Change of Heart』を挙げるかな。それほど、この盤でのサンボーンのアルトは輝きに満ちている。

1980年代の音なので、はしたないほどにデジタルっぽい音だし、リズムは明らかに打ち込み中心で人工的。こういう面では1980年代のサンボーン盤はあまり好んで聴くことは少ないのだが、この盤については、1980年代のサンボーンのアルトを確認したい時、必ず手にする盤ではあります。サンボーン者にとっては好盤です。

 
 

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2017年4月19日 (水曜日)

「音が良い」ということは尊い

アルバム鑑賞において「音が良い」ということは尊いことである。ジャズ発祥約100年、ジャズには古い録音が多々ある。古い録音であればあるほど録音の質は落ちる。それでも演奏が良いと録音の質には目をつぶって、我慢してその素晴らしい演奏に耳を傾ける。

硬派なジャズ者の方々の中には「ジャズの良し悪しに録音の質は関係無い」と言い切る人もいる。でも、ですね。録音の質が良ければ良いほど、楽器演奏のテクニックの良さ、楽器の出す音の響き、ニュアンスの豊かさの詳細がダイレクトに伝わってくる。録音の質の良さは、ダイレクトにその「ジャズの良さ」を明確に伝えてくれる。

まあ、一言で言うと「ジャズも録音の質が良いに越したことは無い」ということですね。録音の質の良し悪しって、ジャズにとっては、その「ジャズの良し悪し」の正しい理解をしっかりサポートしてくれる、そんな役割でしょうか。

『The Earl Klugh Trio, Volume. One』(写真左)。1991年のリリース。ちなみにパーソネルは、Earl Klugh (ac-g), Ralphe Armstrong (ac-b), Gene Dunlap (ds)。ありそうで無かった「ナイロン弦でのジャズ・ギター」。そんなありそうでなかったことを実現したナイロン弦の名手アール・クルーが1991年リリースしたトリオ編成のアルバム。
 

The_earl_klugh_trio_volume_2

 
アール・クルーと言えば、フュージョン・ジャズの人、というイメージが強い。アコースティックな純ジャズを好んでやるタイプでは無い。そもそもアコギという楽器自体、意外と「音の表現力」という面で、他の楽器と比べて劣るところがある。しかも、ナイロン弦である。音の表現の幅は意外と狭い。そういう面で、アコースティックな純ジャズで勝負するにはちょっとハンデが大きい。

しかし、アール・クルーは敢えて、この盤ではドラム+アコベとのトリオ編成で、かつスタンダード曲を全面的に取り上げ、内容的にかなり純ジャズなアルバムになっています。演奏の質はライトでアーバンなフュージョン・タッチなものですが、出てくる音は間違い無く「純ジャズ」なのが凄く良い。

この盤、抜群に録音の質が良い。アコベがブンブン唸りを立てて響き、ドラムのスネア、シンバルの音は生々しくダイナミズム抜群。そこにアール・クルーのテクニック豊かな「ナイロン弦なジャズ・ギター」がフロントに座る。オール・アコースティック楽器での音の響き、ニュアンス豊かなスタンダード演奏の饗宴。躍動感、透明感抜群の純ジャズである。

決して黒く無く、決してファンクネス過多でも無い。ライトでアーバンな、落ち着いた大人の純ジャズ、という面持ちが実に良い。アール・クルーのメロディラインは美しく音色も繊細。それをこの盤は「録音の質の良さ」でしっかりと豊かに聴かせてくれる。好盤です。

 
 

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