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2017年3月29日 (水曜日)

これだけ硬派なラテン・ジャズ

気が乗らない朝にシビアな純ジャズなんてとんでもない。余計に気が重くなる。気が乗らない朝には、時々、ラテン・ジャズが聴きたくなる。のー天気でファンキーでノリノリなラテン・ジャズで一気に気持ちを盛り上げるのだ。

ラテン・ジャズと言えば、8分音符や16分音符を中心としたスクエアなビートで演奏するジャズで、コンガやボンゴ、ティンバレスなどのラテン・パーカッションが入る。基本的には、中米の音楽を中心に発展したアフロ・キューバンなものが一般的。ブラジル系については、ボサノバ・ジャズ、ジャズ・サンバとして、ラテン・ジャズとは区別される。

さて、ラテン・ジャズの代表的ミュージシャンと言えば、モンゴ・サンタマリア(Mongo Santamaria)。コッテコテのラテン・ジャズで、とにかく思いっきり俗っぽく、思いっきりアフロ・キューバンっぽく、ラテン・ジャズを展開する印象がある。例えば、ハービー・ハンコックの名曲「ウォーター・メロン・マン」などがその良い例。この曲の印象が強くて、なかなか他のアルバムに触手が伸びなかった。
 

At_the_black_hawk_mongo_santamaria

 
が、である。ジャズ盤の紹介本をペラペラめくっていて、このアルバムに気がついた。Mongo Santamaria『At the Black Hawk』(写真左)。1962年、サンフランシスコのライブハウス「Black Hawk」でのライブ録音。Black Hawkで録音された2つのライブLP「Mighty Mongo」「!Viva Mongo!」をまとめてCD化したもの。

このライブ盤を聴いて、それまでのモンゴ・サンタマリアの印象がガラッと変わった。実直なメインストリーム・ジャズな雰囲気をしっかりと宿したラテン・ジャズである。コッテコテの思いっきり俗っぽいラテン・ジャズな演奏もところどころあるのだが、その合間合間に、純ジャズの雰囲気を宿したラテン・ジャズがある。これがとても良い。

これだけ硬派なラテン・ジャズであれば、諸手を挙げて「ウエルカム」である。特に、ラテン・ジャズ・アレンジが施されたジャズ・スタンダード「Tenderly」「All The Things You Are」辺りが聴きどころ。俗っぽさに流されず、安きに流されず、アーティスティックにラテン・ジャズをやる。気が乗らない朝に純ジャズの雰囲気を宿したラテン・ジャズ。気持ちがグッと持ち直します。

 
 

震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年3月28日 (火曜日)

ジャズ・フルートの新人登場

フルートという楽器はジャズの世界ではマイナーな楽器である。

楽器の性格上、演奏表現の幅が狭く、極端な音の強弱や抑揚が付けにくい。ス〜と伸びた綺麗な音色がフルートの身上なので、どうにも、その雰囲気がジャズに合わない感じなのだ。よって、純ジャズというよりは、フュージョン・ジャズやスムース・ジャズの音世界に合っているなあ、と僕は感じている。

ハービー・マン、ヒューバート・ローズ、がそんなフュージョン・ジャズで活躍し、かなりの人気を博したフルート奏者と言える。純ジャズ系では、ジェレミー・スタイグ、エリック・ドルフィーがいるが、どちらもエモーショナルにフルートを吹きまくる、いわゆるフリー・ジャズの範疇。音楽鑑賞という面からすれば「異端」であり「マイナー」な存在である。

そんなジャズ・フルートの世界に、日本人女性の新人が現れ出でたのであるからビックリした。酒井麻生代『Silver Painting』(写真左)。昨年のリリース。人気のクラシック曲をお洒落で心地良いスムース・ジャズのアレンジで聴かせてくれる。

確かに、このアプローチは「あり」やなあ。ジャズ・フルートの先達の一人、ヒューバート・ロウズが、結構、人気クラシック曲をフュージョン・ジャズのアレンジで聴かせてくれた記憶がある。例えば、6曲目の「Pavane Op.50(パバーヌ)」は、確か『The Rite of Spring(春の祭典)』というアルバムの冒頭で演奏していた筈。改めて収録された曲を並べてみると、以下の様になる。
 

Silver_painting
 

  1. シシリエンヌ(フォーレ)
  2. 花のワルツ(チャイコフスキー)
  3. ジムノペディ(サティ)
  4. 24のカプリース(パガニーニ)
  5. ダッタン人の踊り(ボロディン)
  6. パヴァーヌ(フォーレ)
  7. 悲愴第2楽章(ベートーベン)
  8. 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
  9. シチリアーノ(バッハ)
10. 月の光(ドビュッシー)
 

ふむふむ、確かにスムース・ジャズのアレンジで、しっとりと優雅に聴かせてくれる楽曲がほどよく選曲されている。酒井のほどよい太さでス〜と伸びた綺麗な音色が十分に活かされる、明かに「企画とアレンジ」の勝利である。アレンジが良く、それぞれの楽器の演奏レベルが高いので、最初から最後まで、飽きずにダレずに聴き通せる。

とても爽やかな演奏が基本の盤なので、晴れた朝のジャズ喫茶のスタート盤に合うんじゃないですかね。 ちなみに、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「今日のスタート」盤に選定されています。基本的に僕は、演奏家のルックスを加味して評価するタイプじゃ無いので、演奏のみを聴いて、このジャズ・フルートのアルバムについては及第点。聴き心地の良い好盤だと思います。

 
 

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2017年3月26日 (日曜日)

米国プログレの代表格な一枚

米国のプログレッシヴ・ロック・グループ「Happy The Man(ハッピー・ザ・マン)」。略して「ハピマン」。1974年結成、1979年解散。僕はこのグループについては後に知った。1995年辺り、もう一度、1970年代のプログレッシブ・ロックの好盤をコレクションしよう、と思い立ってからである。

もともと、米国にはプログレッシブ・ロックは流行らない、と言われてきた。ピンク・フロイドの『狂気』など、判り易いプログレ盤は売れに売れたが、キング・クリムゾンや初期のジェネシスなど、小難しいプログレは大々的には受けなかった。そういう環境の中で、ハピマンは1977年、世界的にプログレ・ブームが去った頃、いきなりデビューした。

そのデビュー盤がバンド名をそのまま冠した『Happy The Man』(写真左)。1977年の作品。米音楽誌Rolling Stoneのプログレ・アルバムTOP50の50位にランクされた好盤である。いや〜1977年当時はその存在すら知りませんでした。そもそも、米国にプログレ・バンドがあるなんて思ってもみなかったからなあ(笑)。
 

Happy_the_man1

 
改めて聴いてみると、1970年代プログレ特有のシンフォニックな要素をふんだんに取り入れつつ、当時、流行のピークだったフュージョン・ジャズの要素を合わせたテクニカルなプログレ・ロックに仕上がっていて、非常に聴き応えがある。プログレ御用達楽器のシンセサイザーも上手く取り入れられていて、全体の印象はアーティスティック。

米国のプログレだからといって、ポップでコーニーな部分は全く無く、正統派のプログレッシブ・ロックとして、歴史に残る好盤である。英国・欧州中心のプログレッシブ・ロックの旬が1976年辺りまで。その翌年、米国に突如として、プログレッシブ・ロックの好盤が生まれ出でた。歴史の不思議な「符号」を感じずにはいられない。

米国プログレの代表格。都会的で爽やか、知的・繊細・緻密な中に、ちょっとしたユーモアを滲ます、そして、限りなくテクニカル。当時のフュージョン・ジャズに通じる、米国プログレ独特の個性がこの盤に詰まっている。ジャズとしても、ジャズ・ロックもしくはロック寄りのテクニカルなフュージョンとして十分に聴ける。好盤です。

 
 

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2017年3月25日 (土曜日)

懐かしの『フィルモアの奇蹟』

私こと松和のマスター、もともとアルバムのコレクターであるが、基本的に「ジャズ」が中心。当然、聴くアルバムもジャズが中心なんだけど、さすがにずっとジャズを聴き続けると「耳にもたれる」ことがある。そんな時は、70年代ロックやJポップのアルバムに走る。所謂「ジャズの合間の耳休め」盤である。

70年代ロックの「ジャズの合間の耳休め」盤については、ジャンル的にはプログレッシブ・ロック、そして、米国ルーツ・ミュージック系ロックが多い。ソフト&メロウに傾く時にはAOR系、R&B系を選択することもしばしば。そういうことから、実は70年代ロックのアルバムについてもかなりの数、コレクションが進んでいる。

今日の「ジャズの合間の耳休め」盤はこれ。『The Live Adventures of Mike Bloomfield and Al Kooper』(写真)。邦題『フィルモアの奇蹟』。1968年9月にフィルモア・ウェストでのライブ音源。1969年に連名でリリースしている。ボリュームはLP2枚組。このライブ盤は、ブルーズナンバー中心であるが、サイモンとガーファンクルやトラフィック、ザ・バンドなどのカバーも織り込みつつ、基本的に米国ルーツ・ミュージック系ロックである。

これが「いい」。ライブ・セッションの楽しさ、素晴らしさがギッシリと詰まったアルバムで、特に、当時、白人NO.1ブルース・ギタリストと謳われたマイク・ブルームフィールドのプレイが尋常では無い。インスピレーションをトリガーに、ブルージーでエモーショナルなエレギが炸裂しまくりである。
 

The_live_adventures_of_mike_bloomfi

 
選曲も米国ルーツ・ミュージックと呼ばれるものが目白押しで、レイ・チャールズの「アイ・ワンダー・フー」及び「メリー・アン」、エルヴィス・プレスリーの歌唱で知られる「ザッツ・オール・ライト」、アルバート・キングの「激しい恋はもうたくさん」、加えて、サイモン&ガーファンクルの「59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー)」、トラフィックの「ディア・ミスター・ファンタジー 」、そして、ザ・バンドの「ザ・ウエイト」などなど。聴いて惚れ惚れする楽曲ばかり。

ライブ・セッションなので、どこかで「ダレる」ところがあってもよさそうなものだが、これが「無い」。上手く編集しているのかもしれないが、音源に残された演奏を聴いていても「ダレる」要素や前触れが全く見えない。テンションもほどよく、聴き始めたら、一気に聴き切ってしまう位の充実度。

このライブ盤、これだけ優れた内容を誇りながら、僕がこのライブ盤を聴いた1976年当時、カバーがほとんどでオリジナル曲が少ないということで、我が国では意外と評価が低かった記憶がある。ロックにおける「オリジナル至上主義」も大概にせんとなあ、とこのライブ盤を聴いて感じた当時の記憶が甦って来た。

しかし、今の耳で聴けば判るが、決してそんな事は無い。当時の米国西海岸ロック・シーンの熱気も十分感じられる、「米国ルーツ・ミュージック」系ロックの好盤でしょう。とにかくマイク・ブルームフィールドのエレギに尽きる。

 
 

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2017年3月24日 (金曜日)

キャンディドらしい音・5

キャンディド・レーベルには「よくぞ録音してくれた」的なマニア盤も存在する。何故かなかなか録音の機会に恵まれない優秀なジャズメンや、そもそも録音の機会が少ないユニークなジャズメンにスポットを当てて、しっかりと録音している。プロデューサーのナット・ヘントフの功績であろう。

例えばこのアルバム、『The Toshiko-Mariano Quartet』(写真左)。1960年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Toshiko Akiyoshi (p), Charlie Mariano (as), Eddie Marshall (ds), Gene Cherico (b)。我らが日本人ピアニスト穐吉敏子と、当時、夫婦の間柄であった、アルトサックス奏者チャーリー・マリアーノとの共同リーダー作である。

内容的には新しい響きを宿しているハードバップである。マリアーノのアルトは硬質でテクニカル。フレーズは幾何学的でクール。モードでは無いのだが、響き的にはモーダルな雰囲気が漂っている。これが意外に新しい。ユニーク。ジャズ・アルトと言えばパーカーが絶対だが、このマリアーノのアルトは、パーカーの影響下から少し距離を置いている。
 

Toshikomariano_quartet

 
穐吉敏子のピアノも新しい響きを宿していて聴き応えがある。もともと穐吉のピアノは、筋金入りのビ・バップなピアノ。明らかにパウエル派のバップ・ピアノなんだが、この盤での穐吉のピアノは、そんなバップ・ピアノな雰囲気に加えて、モーダルなフレーズが見え隠れする。加えて、テクニックが凄い。高速なアドリブ・フレーズが凄い。

5曲目の「Long Yellow Road」が特に素晴らしい。そこはかと漂う愁い。音の「間」とマイナーな余韻。激しさと静謐さが入り交じり、何処か狂おしさもある、何処か侘しさもある。演奏全体を覆う「侘び寂び」、アドリブ・フレーズに忍ぶ「いとおかし」の空気。これぞ「日本人の創るジャズ」の好例。

これだけ、内容的に優れた演奏を繰り広げる「Toshiko-Mariano Quartet」ではあるが、あまり録音の機会は多く無かった。そういう面では、このキャンディド・レーベルでの録音は貴重なものであることは疑いない。キャンディドらしく、録音も良好。もっともっと聴かれても良い好盤だと思います。

 
 

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2017年3月23日 (木曜日)

キャンディドらしい音・4

キャンディド・レーベル(Candid Label)の「お抱えジャズメン」的存在の一人が「セシル・テイラー(Cecil Taylor)」。フリー・ジャズ・ピアノの先駆者である。このセシル・テイラーの初期の頃の演奏が、キャンディド・レーベルで聴けるのだ。アルバム数は3枚。しかし、セシル・テイラー初期の録音である。この3枚を聴けば、彼の個性の生い立ちが何と無く理解出来るのだ。

Cecil Taylor『Jumpin' Punkins』(写真左)。1961年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Cecil Taylor (p), Archie Shepp (ts), Buell Neidlinger (b) は全曲に渡って固定。ドラムが全4曲中3曲は Denis Charles, 1曲のみ Billy Higgins。3曲目の「I Forgot」のみ、Clark Terry (tp), Roswell Rudd (tb), Steve Lacy (ss), Charles Davis (bs)が加わって、厚みのあるアンサンブルを聴かせてくれる。

冒頭のタイトル曲「Jumpin' Punkins」の最初の部分を聴くと、あれれ、と思う。録音の時は1961年。フリー・ジャズ・ピアノの先駆者セシル・テイラーも人の子、やっぱりこの頃は、堅実なハードバップ的な演奏に終始していたんやなあ、なんて思ったりする。まあ、フリー・ジャズの基本は「正統な純ジャズ」で、正統な純ジャズが出来ない者はフリー・ジャズは出来ない。
 

Jumpin_punkins

 
と感慨に耽っていると、いきなりフリーなインプロビゼーションに突入して思わずビックリする。正統な純ジャズ部分と正反対の、アートでアブストラクトなフリーなインプロビゼーション。明らかにセシル・テイラー独特のフレーズであり、唯一無二である。フリー・ジャズの黎明期、オーネットとはアプローチの全く異なるセシル・テイラーの個性がこの盤に詰まっている。

当時、セシル・テイラーは32歳。ジャズメンとしてはまだまだ若手だと思うんだが、この時点で、セシル・テイラーの個性は確立されている。これが確認出来ることが、キャンディド・レーベルの価値である。この時点でのセシル・テイラーを積極的に録音したレーベルの運営思想については頭が下がる。

ラストのエリントン・ナンバー「Things Ain't What They Used to Be(昔はよかったね)」のアレンジ、アドリブ展開部のフリーキーなアプローチは斬新で、キャンディド・レーベルの面目躍如。プロデューサーのナット・ヘントフの慧眼、恐るべしである。こんなフリー・ジャズの黎明期の録音を聴けば、フリー・ジャズは本来何をしたかったのかが、何となく理解出来る。

 
 

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2017年3月22日 (水曜日)

キャンディドらしい音・3

このアルバムもキャンディド・レーベル(Candid Label)らしいアルバムだろう。収録された演奏といい、録音された音といい、アルバム・ジャケットのデザインといい、この盤も明らかに「キャンディド・レーベル」ならではの盤である。アルバムとしての佇まいはとても良い雰囲気である。

Richard Williams『New Horn In Town』(写真)。1960年9月の録音。CJM 8003番。ちなみにパーソネルは、Richard Williams (tp), Leo Wright (as, fl), Richard Wyands (p), Reginald Workman (b), Bobby Thomas (ds)。フロントがトランペットとアルトサックスの2管フロントのクインテット構成。

この番、音が良い。リチャード・ウィリアムスのトランペットがとっても良く鳴っている。ブリリアントに朗々とトランペットが鳴る。トランペットの音がこれほど良く朗々と鳴っている盤も珍しい。バックバンドの音もキャンディドの音らしく、音の厚みと中低音域の充実した音圧が心地良い。
 

New_horn_in_town

 
アップテンポの曲では優れたテクニックを駆使して、よどむこと無く流麗な運指でトランペットを吹き進めていく。スローテンポのバラードでは、ブラスの音をブリブリ振るわせるように響かせながら、説得力のある堅実なフレーズを滑らかに力強く吹き上げる。いや〜リチャード・ウィリアムスって上手いね〜、とほとほと感心する。

そんなトランペットの演奏の中で、特にバラードプレイが秀逸である。2曲目の「I Remember Clifford」、6曲目の「Over the Rainbow」のバラードプレイは落涙ものである。主旋律を捻ること無く素直に朗々と吹き上げ、アドリブ・フレーズではスローテンポではあるが、揺らぎの無い堅実で芯のある音で惹き付ける。

フロントの相棒、レオ・ライトのアルトも大健闘、バックのリズム・セクションも良好なパフォーマンスを繰り広げていて、アルバム・トータルの出来としても上々。ハードバップなトランペットの好盤の一枚です。ジャズ盤の紹介本には、なぜかその名前が挙がることが少ない盤ですが、ジャズ者万民にお勧めの好盤です。

 
 

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2017年3月21日 (火曜日)

キャンディドらしい音・2

キャンディド・レーベル(Candid Label)のアルバムは「ならでは」の特徴がある。音はジャズメンの志向、意向をストレートに演奏に反映したもので、当時として先進的な、挑戦的な内容のものが多い。加えて、音の厚みと中低音域の充実した音圧は、キャンディド・レーベルならではのもの。そして、ジャケット・デザイン。ロゴタイプが独特なものが多い。

例えば、このアルバムも明かに「キャンディド・レーベル」らしい。Pee Wee Russell & Coleman Hawkins『Jazz Reunion』(写真左)。1961年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Emmett Berry (tp), Bob Brookmeyer (tb), Pee Wee Russell (cl), Coleman Hawkins (ts), Nat Pierce (p), Milt Hinton (b), Jo Jones (ds)。

スイング時代から活躍してきた、当時でベテランの域に達していた「オールド・スタイル」のジャズメンにスポットを当てたメンバー構成とみた。演奏スタイルは1961年の録音なので「ハードバップ」ではあるが、アドリブ・ソロをとる各楽器の雰囲気は、ほんのりと「スイング」な雰囲気が漂っている。故事成語で喩えると「温故知新」の様な演奏内容である。
 

Jazz_reunion

 
楽器はそれぞれ良く鳴っている。特に双頭リーダーの、ピー・ウィー・ラッセルのクラリネットとコールマン・ホーキンスのテナーはとても良く鳴っている。響きは「スイング」なれど、演奏の内容は明確な「ハードバップ」ど真ん中。音も太いので迫力満点、抑揚強弱もメリハリ良く効いていて、演奏自体に聴き応えがある。これぞ「ジャズ」的な、典型的なハードバップ。

とりわけ、ピー・ウィー・ラッセルのクラリネットがこんなに素晴らしいとは思わなかった。明らかに嬉しい誤算。スイング時代のクラリネット名手であるピー・ウィー・ラッセルが、1961年になって、ハードバップという当時のジャズのトレンドなフォーマットの中で、これだけ素晴らしいインプロビゼーションを聴かせてくれるとは思わなかった。

収録された演奏といい、録音された音といい、アルバム・ジャケットのデザインといい、この盤は明らかに「キャンディド・レーベル」ならではの盤である。もう一人のリーダー、ホーキンスのテナーもボボボボッとオールドスタイルよろしく、素敵に鳴っていて、これも聴きもの。良いアルバムです。キャンディド・レーベル入門盤の一枚としてお勧めです。

 
 

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2017年3月20日 (月曜日)

キャンディドらしい音・1

キャンディド・レーベル(Candid Label)。ポップス・シンガーとして有名なアンディ・ウィリアムスを社長とするケーデンス・レコードのジャズ専門の子会社として1960年にスタート。監修者にジャズ評論家として名高いナット・ヘントフを迎え、ジャズメンの志向、意向をストレートに演奏に反映することをポリシーに活動したが活動期間はわずか2年。

活動期間はわずか2年と短いが、キャンディド・レーベルに残されたアルバムはいずれも内容が濃い。キャンディドならではのアルバムも存在する。代表的なものとしては、チャールズ・ミンガスやセシル・テイラーや、あるいはブッカー・リトルやブッカー・アービンのリーダー作はいずれもキャンディドらしい内容である。

わずか2年の活動の中でアルバム化されたアルバムは27枚。そんな僅か27枚については、全てのアルバムを俯瞰して見ると、いかにもキャンディド・レーベルらしいものばかりである。例えば、Benny Bailey『Big Brass』(写真左)。CJM 8011番。1960年11月の録音。

ちなみにパーソネルは、Benny Bailey (tp), Julius Watkins (French horn), Les Spann (fl, g), Phil Woods (as, b-cl), Tommy Flanagan (p), Buddy Catlett (b), Art Taylor (ds)。 フレンチ・ホルンの参加がユニーク。ピアノのトミフラ、アルトのウッズ、ドラムのテイラーなど、要所要所に粋なジャズメンが脇を固める。
 

Big_brass

 
クインシー・ジョーンズ・オーケストラの花形ソリストとして活躍したビ・バップ出身のトランペッター、ベニー・ベイリーのリーダー作である。ベイリーのリーダー作は20枚弱とそんなに多く無い。1960年代は5枚程度。この『Big Brass』は初リーダー作になる。ベイリーの艶やかなトランペットの音色が実に印象的。

加えて、ジュリアス・ワトキンスのフレンチ・ホルンとのアンサンブルにより、ベイリーのトランペットのフレーズに厚みが加わる。アルバム全体を通じて優れたアレンジが印象的で、アルバム全体にとても内容の整ったハードバップな雰囲気が蔓延している。音の厚みと中低音域の充実した音圧は、キャンディド・レーベルならではのもの。

「現代のジャズにおいては、ラウドでビッグな音やハイノートをヒットするばかりが良きトランペットとは限らない」という言葉が頭をよぎる。1950年代半ばまではラウドでビッグな音やハイノートをヒットするばかりが良きトランペットであった。しかし、1960年代に入るに従い、その基準は揺らぎ、ジャズ・トランペットは深化していった。そんなジャズ・トランペットの深化を感じるベイリーの初リーダー作である。

ちなみに新生キャンディド・レーベルは「英キャンディド」としてロンドンに本社をおき、ステイシー・ケントやジム・トムリンソン等の新録音等を活発に始めている。

 
 

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2017年3月17日 (金曜日)

現代ヴァイブのイノベーター

ヴァイブと言えば「ミルト・ジャクソン」。僕の場合、その次は「ゲイリー・バートン」。ミルトは絶対的存在で、特にリラックスしたい時に良く聴くが、もう一人の絶対的存在が、このバートン。「4本マレット奏法」を発展させた、バートンの「マレット・ダンプニング奏法」には常に感心する。

この「マレット・ダンプニング奏法」で、ヴァイブがコード楽器としてピアノと比べても遜色なく同じレベルで演奏出来る様になったのだ。つまりはヴァイブがピアノと同等の役割を果たすということで、このアルバムに必ず行き着く。

Gary Burton『New Vibe Man in Town』(写真左)。1961年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Gene Cherico (b), Joe Morello (ds)。リーダーのバートンのヴァイブをメインのトリオ編成。ヴァイブのトリオ編成って、この盤で初めて体験した。

「マレット・ダンプニング奏法」でヴァイブがピアノと同等の役割を果たすからこそ、ヴァイブをメインのトリオ編成、ヴァイブ=ベース=ドラムの編成が成立する。というか、バートンはこのアルバムで、それをしっかりと証明しているのだ。そういう意味で、このアルバムの存在は、ヴァイブのイノベーションの状況を切り取った、歴史的なアルバムと言える。
 

New_vibe_man_in_town1

 
というのも、このアルバムは、ヴァイブのイノベーター、ゲイリー・バートンの栄えある初リーダー盤である。わくわくしつつ、冒頭の「Joy Spring」の最初のフレーズがシングル・マレットなので「な〜んだ、この時点ではまだダンプニングは無いんだ」と思うんだが、アドリブ部に入る頃に、スッと「マレット・ダンプニング奏法」が入ってくる。

ヴァイブのシングル・トーンが、和音になり、ユニゾン&ハーモニーがブワ〜っと拡がる。豊かで柔らかなユニゾン&ハーモニー、それを余韻に、シングル・トーンの旋律がクッキリと浮き出る。ダンプニングでその旋律が、三次元に何倍にも拡がる。ヴァイブにも、こんな立体的な演奏が可能なんや、とビックリするやら感心するやら。

現代ヴィブラフォン奏法のイノベーションの瞬間がこの盤に詰まっている。この先進的で高度な演奏が、1961年の、ハードバップ後期、ファンキー・ジャズな時代に生まれ出でていたのだ。「ジャズの多様性」を改めて再認識する。

 
 

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