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2017年5月25日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・21

朝から天気の悪い日。朝からポツポツ景気の悪い、弱い雨が降ってきて、梅雨の季節がもうすぐそこまで来ている気配が濃厚。まだまだ、ピアノ・トリオを欲する日が続く。今日は、デトロイトが生んだジャズ・レジェンドの一人、ローランド・ハナのトリオ作を選択。

ローランド・ハナ(Sir Roland Hanna)は1932年生まれだから、生きていれば85歳。2002年に惜しくも逝去している。享年70歳。ハナのリーダー作って、実は僕にとってはあまり強い印象が無くて、今まで、しっかり聴き込んだアルバムは10枚に満たない。よって、ハナって寡作なんやなあ、なんて誤解していたんだが、ディスコグラフィーを見るとかなりの多作。

恐らく、復刻される機会が少ないピアニストなんだと思う。彼はクラシック界の一流ピアニストにも匹敵する演奏技術の持ち主。いわゆる、昔のジャズ・ピアニストによくある、テクニック的にはやや難があるが、その強烈な癖のある響きや手癖が良い、っていう感じでは無い。つまり強烈な個性で印象に残るタイプでは無く、テクニック・歌心・スイング感など、総合力で聴かせるタイプのピアニストである。
 

The_piano_of_roland_hanna_easy_to_l

 
そんなハナの特徴がよく理解できるリーダー盤が『The Piano of Roland Hanna : Easy to Love』(写真左)。1959年9月25日録音。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), Ben Tucker (b), Roy Burnes (ds)。良い意味で「地味」で「渋い」メンバーが集結したピアノ・トリオ。

ハナのピアノは総合力で勝負するタイプ。卓抜したテクニックと強烈なスイング感、流麗で耳当たりの良いアドリブ・フレーズ。良く回る指と力強くダイナミックなタッチで、ガンガン弾きまくる。基本的には、ビ・バップなスタイル。モードなんて何処吹く風(笑)。バップなピアノを引っさげて、総合力で勝負する「端正で堅実なピアニスト」の面目躍如。

タッチが明確でスイング感が抜群なので「ながら聴き」に最適なピアノ・トリオ盤で、学生時代から結構「ながら聴き」の音源として重宝させていただいています。テクニック優秀なので、聴き心地、耳当たりが良い。これが「ながら聴き」にピッタリ。何気に、バックのベースとドラムも活躍していて、隅に置けないピアノ・トリオの好盤です。

 
 

震災から6年2ヶ月。決して忘れない。まだ6年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年5月24日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・59

ピアノ・トリオを欲する耳になって久しい。毎日、ピアノ・トリオに耳を傾けている。ピアノ・トリオを聴き続けていると、結局、この二人のトリオ演奏に辿り着く。一人は「Bud Powell(バド・パウエル)」、もう一人は「Bill Evans(ビル・エバンス)」。どちらも、ピアノ・トリオを語る上で、絶対に外せない二人である。

今日はその外せない二人のうちの一人「Bud Powell(バド・パウエル)」のトリオ演奏を聴く。モダン・ジャズ・ピアノの父とされるバド・パウエルについては、正式なアルバムから逝去後の発掘音源まで、相当数のアルバムがリリースされている。

ちなみに、パウエルの最盛期は1940年代後半から50年代初頭にかけてとされる。しかしながら、麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、統合失調症を患う50年代中期以降にも意外な好盤があるのだ。1940年代後半から50年代初頭は「煌めく」ような鬼気迫るハイ・テクニック、ハイ・テンションな演奏。しかし、50年代中期以降は味わいのある、フレーズを聴かせる様な演奏がメイン。

例えばこれ。Bud Powell『Swingin' With Bud』(写真左)。1957年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p), George Duvivier (b), Art Taylor (ds)。聴けば判るのだが、程良いテンションの下、パウエルの適度にリラックスした魅力的なプレイが聴ける。唸り声も控えめ、全編に渡って破綻するところが無い。恐らく、体調面が良い時期の録音だったんだろう。
 

Swingin_with_bud_1

 
選曲も良い感じで、リラックスした寛ぎの演奏とアップテンポの電光石火な演奏とが交互に出てきますが、まずは、このリラックスした寛ぎの演奏が良い。ハイ・テクニックに走ることは全く無く、テクニックは着実な面を前面に押し出して、フレーズが良く判る、タッチのしっかりとしたプレイが良い。

逆にアップテンポの曲は、この時期には珍しく破綻することは無く、指がもつれたりすることも無い。実にしっかりとしたハイ・テク ニックで弾きまくる。しかし、鬼気迫るハイテンションなものでは無い。良い感じでリラックスした堅実なもの。だから、パウエルの紡ぎ出す、魅惑的なアドリブ・フレーズがとってもよく判る。

パウエルはビ・バップの祖の一人とされるので、パウエルの持ち味は、「煌めく」ような鬼気迫るハイ・テクニック、ハイ・テンションな演奏だ、とされることが多いが、この盤でのアドリブ・フレーズの流麗さを鑑みると、意外と味わいのある、フレーズを聴かせる様な演奏がパウエルの本質ではないのか、と思ったりする。

排気量の大きい車がゆったりと悠然とした速度で走るかの様な、実に余裕度の高い、ビ・バップなピアノです。「オブリヴィアン」「ショウナフ」「ソルト・ピーナッツ」等、パウエル十八番の演奏も聴き応えがあります。バド・パウエルが、かの有名盤『クレオパトラの夢』の前年に残した隠れ好盤です。

 
 

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2017年5月23日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・105

なんだか、外は凄い風である。気温はもはや7月上旬並みなので、肌寒くは無い。心地良い温度なんだが、なんせ風の勢いが強すぎる。風を切る音がうるさくて、外を歩く分にはイヤフォンで音楽が楽しめない。体感気温は心地良いんだけどなあ。

今日は珍しい楽器のジャズを聴いていた。クラリネットである。学校のブラスバンドではメインの木管楽器なのだが、ジャズではマイナーな楽器の部類になる。それでも、1920年代から30年代、スイング・ジャズの時代には、クラリネットはフロントのメイン楽器だった痕跡がある。

ベニー・グッドマンが筆頭だろう。そして、ウディ・ハーマン、アーティ・ショウ、バディ・デフランコと続く。ビッグバンドジャズのフロント楽器の印象が強い。ダイナミックな迫力満点のビッグバンドジャズの中で、その正反対の繊細で上品な音色のクラリネットが惹き立つんでしょう。しかし、1940年代のビ・バップ以降のジャズシーンでは、クラリネットは少数派になっていきました。

しかし、ハードバップの時代、クラリネットのジャズとして印象に残っているのは「ジミー・ジュフリー」。学生時代、1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスを記録したドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」で、ジミー・ジュフリーの演奏を見て聴いて感動したのが最初。それ以降、ジミー・ジュフリーのリーダー作は都度都度聴いてきました。
 

The_jimmy_giuffre_quartet_in_person

 
今日聴いたのは、The Jimmy Giuffre Quartet『In Person』(写真左)。1960年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Giuffre (cl, ts), Jim Hall (g), Buell Neidlinger (b), Billy Osborne (ds)。ジミー・ジュフリーの繊細で上品なクラリネットの音色に、ジム・ホールのギターが実に効いています。

この盤を聴くと、クラリネットの表現力の豊かさに驚きます。様々なニュアンスの音が出る。そして、繊細で上品な音から、ちょっとアブストラクトでフリーキーな音まで、音色の幅が広い。そんなバリエーション溢れるニュアンスと音色のクラリネットがメインのジャズ。アカデミックで趣味の良い、室内楽的な上品で繊細な雰囲気の純ジャズが展開されます。

このライブ盤では、対位法など小難しいアレンジは一切無し。判り易くシンプルな演奏がとても良い。クラリネットがメインのハードバップ・ジャズの好盤としてなかなかの内容です。サイドメンでジュフリーのクラリネットをサポートするジム・ホールのギターもなかなかに渋くて良い。

繊細で上品なクラリネットとギターで、ファンクネス仄かに香り、上品でアカデミックなジャズを展開する様はほんと良い感じです。

 
 

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2017年5月22日 (月曜日)

自由自在にベースを操るビトウス

昨日、Gerry Gibbs & Thrasher Peopleのウェザー・リポートのカヴァーを聴いていて、やっぱりウェザー・リポートはええなあ、と再認識。今から40年ほど前、ジャズを聴き始めた頃、チック・コリアのバンドと双璧のお気に入りバンド。僕は特に初期の頃の、硬派でメインストリームなエレジャズがお気に入り。

で、ふとビトウスの初リーダー作が脳裏に浮かんだ。そうだあれを聴こう、ということで、Miroslav Vitous『Infinite Search』(写真左)。邦題『限りなき探求』。1969年の作品になる。1969年と言えば、ジャズ界ではエポック・メイキングな年で、マイルス・デイヴィスがエレ・ジャズの傑作『Bitches Brew』を発表した年である。

このビトウスの『限りなき探求』も明確なエレ・ジャズ。雰囲気的にはジャズ・ロック寄りである。冒頭のエディ・ハリスの名曲「Freedom Jazz Dance」がこのアルバムの雰囲気を代表する演奏であるが、ヴィトウスの超重量級のアコベと、マクラフリンのノイジーでフリー寄りなエレギが突出していて、雰囲気は明確に、アーティスティックな「ジャズ・ロック」。
 

Infinite_search

 
僕は、このビトウスのブンブン、ビンビンと叩く様に、ハイ・テクニックに弾きまくるアコベを聴いて、ジャズ・ベースに関する認識を改めました。リズム&ビートをキープするだけが、ジャズ・ベースの役割では無い。ソロも前面に押し出てバンバンいけるし、ベース中心のインプロビゼーションも可能。

思い起こせば、当時、このミロスラフ・ビトウス、そして、チックの盟友スタンリー・クラークと新しいスタイルと奏法を引っさげた、ニュータイプのベーシストが出現したんですよね。どちらも、明確なエレ・ジャズ志向、雰囲気的にはジャズ・ロック寄り。ブンブン、ビンビンと叩く様に、ハイ・テクニックに弾きまくるアコベ。ジャズ・アコベの進化形。

現代の最先端のコンテンポラリーな純ジャズに通じる、新しい響き、新しい雰囲気が実に魅力的なアルバムです。自由自在にベースを操るビトウスは圧巻です。最後にパーソネルを記しておきましょう。Miroslav Vitous (b), Joe Henderson (ts), John McLaughlin (g), Herbie Hancock (p), Jack DeJohnette (ds), Joe Chambers (ds)。参加ミュージシャンも大物ばかりです。

 
 

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2017年5月21日 (日曜日)

このドラマーは僕にとって初顔

ピアノ・トリオが聴きたい耳になって、今度は最近作を聴きたくなる。今のピアノ・トリオの状況はどうなんだろう。と、ジャズ雑誌のディスク・レビュー欄を1年間ぐらい振り返ってみる。さすがに知らない名前が多くなったなあ、と感じる。でも、ということは、まだまだジャズは深化しているということ。喜ばしいことではある。

今日の選盤はこれ。Gerry Gibbs & Thrasher People『Weather or Not』(写真左)。今年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、Hans Glawischnig (b), Gerry Gibbs (ds, per), Alex Collins (p, org)。日本ではほとんど馴染みの無い、ドラマーのジェリー・ギブスがリーダーのピアノ・トリオ盤。

CD2枚組の構成。1枚目は「The Music Of Weather Report」。ウェザー・リポートのカヴァー12曲を収録。2枚目は「The Music Of Gerry Gibbs (The Life Suite 1981-2016) 」。リーダーのドラマ−、ジェリー・ギブスのオリジナル曲集。 この1枚目のウェザー・リポートのカヴァー集が良い。かなりの「聴きもの」になっている。
 

Weather_or_not_1

 
曲目を見渡すと、ウェザー・リポート4枚目の『Mysterious Traveller』から9枚目『Mr. Gone』まで、いわゆるウェザー・リポート黄金時代の名曲が選ばれている。特に面白いのは『Mr. Gone』から3曲選曲されていること。『Mr. Gone』と言えば、僕は大好きだったが、一般的にはリリース当時はあまり評判の芳しく無かった盤。やっと『Mr. Gone』が再評価されつつあるのか、と嬉しくなる。

とにかくアレンジが素晴らしい。ウェザー・リポートの特徴を上手くピアノ・トリオに置き換えているところがニクい。冒頭の「Teen Town」を聴けばそれが良く判る。ジャコのエレベ高速フレーズをピアノで再現。決して、オリジナルと「タイマン」で勝負することは無い。アレンジの妙で勝負する。これ、なかなか粋ですよ。

2枚目のギブスの自作曲集については、メインストリームな純ジャズを踏襲したコンテンポラリーな内容は、ギブスの作曲の才が優れたものであることを証明している。ギブスのドラミングはピーター・アースキンばりの今様のもの。いやいや、なかなか粋なドラマーである。他のアルバムも聴きたくなった。

 
 

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2017年5月20日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・82

ピアノ・トリオを欲する耳になって1週間ほどが経つ。ピアノ・トリオって聞くと、響きの良い趣味の良い耳当たりの良い演奏を思い浮かべる人が多いが、ピアノ・トリオって、そんなに単純なものではない。バリバリ尖った、ジャズ者初心者の方々が聴くと、椅子から転げ落ちてしまう位の硬派な演奏もある。

そういうバリバリ尖った硬派な演奏内容のピアノ・トリオって思いを巡らした頭に浮かんだアルバムがこれである。Connie Crothers『Perception』(写真左)。1974年の録音。ちなみにパーソネルは、Connie Crothers (p), Joe Solomon (b), Roger Mancuso (ds)。リーダーのコニー・クローザースの初リーダー作になります。

このアルバムに出会ったのは、今からかれこれ5年ほど前。それでも、リーダーのコニー・クローザース以下、ドラマーもベーシストも知らない人であった。さすがは「SteepleChaseレーベル」である。侮れない。こんな女性ピアニストがいたんや。聴けば判るが、思いっきり尖って、思いっきり硬派なジャズ・ピアノを弾きまくる「奇才」である。

この人のピアノを聴いて、真っ先に頭に浮かぶピアニストが「レニー・トリスターノ」。調べたら、そもそも、リーダーのピアニスト、コニー・クローザーズはレニー・トリスターノの第2世代の子弟であったそうだ。そうでしょうね。このアルバムのピアノを聴けば絶対にそう推測しますよね。しかし、トリスターノのフォロワーであるピアニストの存在は、現代においては珍しいと言えば珍しい。
 

Connie_crothers_perception

 
加えて、よくよく聴いていると、モンクのピアノの雰囲気も入っている。間を活かしたタイム感覚はトリスターノというよりはモンクですね。トリスターノ+モンクの雰囲気で、限りなくフリーに近いメインストリームなジャズ・ピアノを展開します。

時にアブストラクトにブレイクダウンする部分もあり、ジャズ・ピアノに響きの良い趣味の良い耳当たりの良い演奏を求める向きには「ちょっと」という内容です。しかし、ジャズ・ピアノ好きには、これはこれで堪らない。聴き始めるとついつい耳を傾け、最後まで一気に聴き切ってしまいます。

ピアノ・ソロとトリオ演奏の2つの演奏形式が収録されていますが、ピアノ・ソロの方に、コニー・クローザースの個性がより露わに表現されていると思います。この盤が1970年代にリリースされた故、あまり着目されなかったのが実に惜しい。ジャズ・ピアノのスタイリストの一人として貴重な存在であったと思います。

ただ、彼女のディスコグラフィーを見直すと、このリーダー作から2012年まで、2〜3年に1枚の割合でリーダー作をリリースしていたようなので、米国ではある程度、評価されていたのかな、と安心しました。ちなみに、コニー・クローザースは惜しくも昨年8月に逝去しました。享年75歳でした。

 
 

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2017年5月19日 (金曜日)

好調ベニー・グリーンを感じる

ピアノ・トリオが聴きたい。一昨日辺りから、その欲求がかなり高まってきた。恐らく、心身が疲れてきているのだろう。昔から、心身が疲れてくると、ピアノ・トリオが聴きたくなる。特に、バリバリ弾きまくるピアノ・トリオが良い。

Benny Green『Happiness! Live at Kuumbwa』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Benny Green (p), David Wong (b), Rodney Green (ds)。 2016年6月のライブ録音。場所は、カリフォルニア州サンタ・クルーズにあるクンブワ・ジャズ・センター。リーダーでありピアニストであるベニー・グリーンのホーム・グラウンドである。

僕はベニー・グリーンのピアノが好きだ。1963年4月生まれ。今年で54歳になる。基本はバップ・ピアノ。ビ・バップな雰囲気で、テクニック溢れ、強いタッチでバリバリ弾きまくる。加えて、1963年生まれなので、ジャズの演奏傾向として、モードな演奏が得意。バリバリ、バップなピアノでモードな演奏を弾きまくる。これが爽快なのだ。

さすがにベニー・グリーンのホーム・グラウンドである「クンブワ」。雰囲気が凄く良い。冒頭のグリーンのMCに対する反応なんて、ほんと良い感じ。そんな良い感じのライブ会場で、ベニー・グリーンのトリオはのっけからリラックスした演奏を繰り広げる。
 

Happiness_benny_green

 
このリラックス度合いが絶妙で、バップなピアノはテクニックが高ければ高いほど、鬼気迫る感じで緊張を強いられがちだが、このグリーンのピアノは違う。程良くリラックスしているので、緊張を強いられることは無い。逆に、心地良いテンションが聴く耳を和ませてくれる。

前作の『Live in Santa Cruz』(2015年12月26日のブログ・左をクリック)とはうって変り、今回の新作ライブ盤はスタンダード・ナンバーが中心。

これがなかなか聴きもの。ホレス・シルヴァー、フレディ・ハバード、シダー・ウォルトン、サド・ジョーンズ、デューク・ピアソン、ウェス・モンゴメリーといった、ジャズ・レジェンド達の知る人ぞ知る、渋い佳曲が並ぶ。

好調ベニー・グリーンをビンビンに感じます。デヴィッド・ウォンのベース、ロドニー・グリーンのドラムも好調。実に良い雰囲気のピアノ・トリオのライブ盤です。好盤です。

 
 

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2017年5月18日 (木曜日)

ながら聴きのジャズも良い・20

しばらく、サックスやトランペットがフロントのカルテットやクインテットなジャズを聴き続けてきたような気がした。ちょっと耳が疲れてきたとでも言うのでしょうか。そろそろ、サックスやトランペットをお休みして、一番大好きなピアノ・トリオの盤を聴きたくなった。

といっても、このところ、なんだか心身共に疲れ気味なので、ハードなピアノ・トリオよりは、マイルドで優しいピアノ・トリオが聴きたい。が、あまりにマイルドでイージー・リスニング的なカクテル・ピアノっぽいのは逆に「イライラ」するから敬遠したい。適度に芯があって、硬派ではあるがマイルドで優しいピアノ。ということで、選んだ盤がこれ。

Eddie Higgins『Portrait In Black and White』(写真左)。1996年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Higgins (p), Don Wilner (b), James Martin (ds)。

Eddie Higgins(エディ・ヒギンス)といえば、ヴィーナス・レコードのハウス・ピアニスト。マイルドで優しい雰囲気のピアノ・トリオ盤を多数リリースしている。中にはあまりにマイルドすぎて、イージー・リスニング的なカクテル・ピアノ風になってしまっている盤もある。しかし、エディ・ヒギンスのピアノって、意外と硬派でバップなピアノなんですね。

しかしながら、ヒギンスのピアノには突出した個性が見当たらない。つまり一聴して「ああ、これは誰それのピアノだ」と判る位の個性や特徴が希薄。流麗かつ耳当たりの良いアドリブ・フレーズなので、どうしても、イージー・リスニング的なカクテル・ピアノ風に解されることが多い。でも、まともにアルバムを聴くと判るのだが、ヒギンスのピアノは硬派でバップだ。
 

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1932年生まれなので、ハードバップ時代は新進気鋭の若手、1960年代から70年代は中堅のピアニストだったはずだが、1958年の初リーダー作から、この『Portrait In Black and White』が録音されて1996年まで38年の間に、わずか12枚のリーダー作を数えるだけなのだ。如何に地味なピアノ・スタイルの持ち主なのかが理解出来る。

この『Portrait In Black and White』辺りの盤が、そんな硬派でバップなヒギンスのピアノを感じることができる好盤だと思う。聴けば判るのだが、確かに突出した個性は無い。しかし、演奏全体の雰囲気より、総合力で勝負できるピアニストであることは確かである。どこがどうってことは無いんだが、トータルで、随所随所に聴きどころが散りばめられた、破綻の無い素性の良い流麗なピアノである。

そうなれば、演奏する曲の選曲も重要な要素になってくる。そういう面では、ヴィーナス・レコードと組んだのは大正解だった。日本人のジャズ者にターゲットを絞った選曲と音作りは大正解だった。その最初の成果がこの『Portrait In Black and White』である。この盤には、ヒギンスのピアノの個性、いわゆる総合力で勝負するジャズ・ピアノという個性が十分に理解出来る。

アルバム・ジャケットも後のヴィーナス盤の様な「エロエロ」したところは無く、なかなか雰囲気のあるジャケットで良し。エディ・ヒギンスって、イージー・リスニング的なカクテル・ピアノでしょ、と敬遠する向きには、是非とも聴いて貰いたい。意外と良いですよ。

 
 

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2017年5月17日 (水曜日)

夜の静寂にクールなジャズ・1

ジャズには、汗が飛び散らんばかりに熱気を帯びて吹きまくる演奏もあれば、その反対に、グッとムーディーにそしてアーバンなムードを湛えたクールな演奏もある。夜、寝る前の一時、夜の静寂の中、耳を傾けるジャズは後者の「クールな演奏」のジャズが良い。心からリラックス出来て、寝付きが良くなる。

Charlie Haden『Nocturne』(写真左)。2000年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Charlie Haden (b), Gonzalo Rubalcaba (p), Ignacio Berroa (ds) のピアノ・トリオを中心に、Joe LovanoとDavid SanchezのサックスとFederico Britos Ruizのバイオリンが客演し、加えて、2曲目の「Noche de Ronda (Night of Wandering)」にのみ、Pat Methenyのアコギが単独で参加する。

アルバム・タイトルの「Nocturne」とは「夜想曲」のこと。「夜想曲」とは「夜の情緒を表現しようとする曲」のこと。そんな「夜想曲」な曲想、曲調の曲をズラリ11曲、収録している。落ち着いたリズム&ビートに乗って、趣味良くムーディーにアーバンな雰囲気を醸し出しつつ、限りなくクールな演奏を繰り広げる。

「夜想曲」の演奏の底をしっかりと支えて、曲全体のとりまとめをするのは、リーダーであるベースの哲人、チャーリー・ヘイデン。骨太でゴリッとした安定のベースはヘイデンならではのもの。このアルバムでは、ヘイデンのベースがとっても良い音で録れてます。聴いていて惚れ惚れしますね〜。ジャズ・ベース、ここに極まれり、です。
 

Nocturne_1

 
そして、このアルバムの最大のハイライトは、ゴンサロ・ルバルカバのピアノ。ラテンチックな躍動感溢れるピアノが得意なゴンサロなんですが、このアルバムでは、実にリリカルな、それでいて音の芯が太く、音のエッジが程良くラウンドしている、どっしりとした重心の低いピアノで聴かせてくれる。全編に渡って、ゴンサロのピアノ、聴きものです。

イグナシオ・ベローアというパーカッショニストも実に良い。ゴンサロと同じキューバ出身とのこと、実にムーディーなパーカッションである。パットのアコギもむっちゃ雰囲気あるし、フェデリコ・ブリトス・ルイスのバイオリンもクールでムーディー。そうそう、ジョー・ロヴァーノとダヴィッド・サンチェスのテナーも凄く良い。

アルバム・タイトルが、ほんとにシックリ来る演奏です。こういうグッとムーディーにそしてアーバンなムードを湛えたクールな演奏ができるのもジャズなんですね。そんな演奏をガッチリとサポートし、まとめ上げているのが、チャーリー・ヘイデンのベース。

夜の静寂にピッタリのジャズです。ベースの哲人が、ピアノにゴンサロ、ドラムにベローアを従え、テナーやギター等を客演に「夜想曲」を奏でる。秀作です。

 
 

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2017年5月16日 (火曜日)

初リーダー作は個性と志向満載

我々は通常、アルバムというものを通じて、そのミュージシャンやグループの個性や志向を感じ、愛でる。

70年代ロックやJポップは、ファースト・アルバムというよりは、セカンド・アルバムの方が、そのミュージシャンやグループの個性がハッキリ出ていることが多いと感じている。だから、学生時代から(今を去ること40年以上前・笑)70年代ロックやJポップのミュージシャンやグループのアルバムはセカンド・アルバムを重視してきた。

しかし、ジャズの世界では、初リーダー作というものが、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出していて、僕はジャズでは「ファースト・アルバム」を重視している。逆に、初リーダー作で、その個性や志向をハッキリ出せないジャズメンは大成しない。ジャズは「即興演奏と個性」を楽しむものだからなあ。

そんな、そのジャズメンの個性や志向をハッキリ出ている初リーダー作の好例がこの盤。Art Farmer『Early Art』(写真左)。1954年1月と11月の録音。1月の録音のパーソネルは、Art Farmer (tp),Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p),  Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。11月のパーソネルは、Art Farmer (tp), Wynton Kelly (p), Addison Farmer (b), Herbie Lovelle (ds)。
 

Early_art_1

 
1月の録音は、当時の若き新進気鋭のテナーマン、ソニー・ロリンズとフロントを張った、リズム・セクションも錚々たるメンバーのクインテット構成。11月の録音は、ファーマーのワンホーン・カルテット。リズム・セクションは、1月のセッションに比べるとちょっと地味になる。けど、ファーマーのワンホーンは魅力。

この1954年1月の録音部分が、アート・ファーマーの初リーダー・セッションということになる。まあ、1954年の録音は皆、初リーダー作としても良いのではないか。それほど、これらのセッションでは、アート・ファーマーのトランペットの個性と志向がバッチリと記録されていて、聴いていてとても楽しい。

とにかく溌剌としているところが良い。ファーマーのトランペットの個性である、音が心地良くラウンドしているところも、この初リーダー・セッションで如実に表れている。淀みなく流れるような流麗なアドリブ・フレーズも、既にこのアルバムでハッキリと聴いてとれる。アート・ファーマーのトランペットの個性と志向が満載のアルバムである。

ジャケットはファーマーのアップでシンプルなものだが、意外とジャズっぽくて渋い。アート・ファーマーの個性と志向満載のアルバム。好盤です。

 
 

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