「Jay&Kai」のColumbia好盤
ジャズの演奏で大切なものは色々あるが、リーダーのフロント楽器の特性に応じた「アレンジ」は特に重要な要素。そして、その「アレンジ」に適したリズム・セクションの手配。この「アレンジ」と「適したリズム・セクション」がバッチリ合ったセッションは優れた結果になる。
J.J. Johnson and Kai Winding『Jay & Kai + 6: The Jay and Kai Trombone Octet』(写真左)。1956年4月の録音。ちなみにパーソネルは、J.J. Johnson, Kai Winding (tb, arr), Hank Jones (p), Milt Hinton, Ray Brown (b), Osie Johnson (ds), Candido Camero (conga, bongo) and The Six Trombonists (Urbie Green, Bob Alexander, Eddie Bert, Jimmy Cleveland (tb), Tom Mitchell, Bart Varsalona (b-tb))。
3日前のブログで、「トロンボーンはスライドを出し入れして音程を出すので、とにかく演奏するのが難しい楽器。まず、カイのテクニックは抜群なので、その最低要件は満たしているが、そんなハイ・テクニックを持ってしても、その曲毎に、スタートするキーや、スライド幅を出来るだけ少なくする様なアレンジが非常に重要になる。」と書いた。
この盤は「Jay & Kai」のColumbiaリリースの好盤。楽曲のアレンジを、トロンボーンの名手二人「Jay & Kai」自らが担当している。これって「無敵」に近いことで、トロンボーンの演奏を熟知した名手二人が、それぞれのトロンボーンの特性を踏まえて、それぞれのトロンボーンが映えるアレンジを施すのだ。確かに、この盤のアレンジはバッチリはまっていて、「Jay & Kai」のトロンボーンが映えに映えている。
アレンジの「キモ」は、The Six Trombonistsの存在。この6人のトロンボーンが効果的にバッキングし、「Jay & Kai」のトロンボーンを前面に押し出し、引き立てる。このトロンボーンのユニゾン&ハーモニーのアレンジも「Jay & Kai」が担当している様で、さすが、トロンボーンをどうやったら、トロンボーンで引き立てることが出来るか、を熟知している名手二人のアレンジである。
そして、もう一つの「キモ」である「適したリズム・セクション」については、小粋で味のある伴奏上手のピアニスト、ハンク・ジョーンズのピアノが要所要所で効いている。
ハンクの趣味の良い流麗な、バップなバッキングのリズム&ビートの躍動感が、「Jay & Kai」のトロンボーンを支え、鼓舞する。「Jay & Kai」のトロンボーンの特性を見抜いた、見事なバッキング。ヒントンとブラウンのベースは堅実、ドラムとコンガ、ボンゴのリズム隊も堅実に、躍動感溢れるリズム&ビートを供給する。
トロンボーンがフロントを担うセッションにおいて重要なファクターである「アレンジ」と「適したリズム・セクション」がバッチリ合った、「Jay & Kai」のセッションの記録。秋のこの季節にピッタリの、爽快でブリリアントなトロンボーンが主役の好盤です。
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