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2017年9月23日 (土曜日)

カントリー・ロックの先駆的な盤

涼しくなった。特に昨日の雨で、明らかに空気が入れ替わったのを感じる。昨晩はまだそれほどでもなかったが、今朝の明け方は明らかに気温が下がった。秋の空気に変わった。しかし、この時期の関東地方には雲が残る。朝はあいにくの雨。しかし、昼頃から日が射し始め、秋の涼しい一日になった。

さて、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の当ブログは、週末は「70年代ロック・Jポップ」の日。先週から、ジャズの合間に耳休めに良く聴く「カントリー・ロック」を掘り下げている。今日は、このカントリー・ロックの起源となるアルバムを取り上げたい。

The Byrds『Sweetheart of the Rodeo』(写真左)。邦題『ロデオの恋人』。1968年にリリースされた、ザ・バーズの6作目のスタジオ盤。カントリー・ロックの先駆的アルバムとされる。メンバーのグラム・パーソンズは、ロック・シーンにおけるカントリー・ミュージックの強力な推進者で、このパーソンズ主導の中で、このカントリー・ロックの先駆的アルバムが生み出された。
 

Sweetheart_of_the_rodeo

 
カントリー・ミュージックの聖地、ナッシュビルで半分の曲を録音して、正面からカントリーにアプローチした、初めてのロック盤である。米国で、保守的な音楽の最右翼であった「カントリー・ミュージック」。若者中心に急速に台頭してきた革新的な音楽であった「ロック」。これが融合したのですから、米国においては、かなりのカルチャーショックだったと思います。

さて、アルバムを聴いてみると、確かに内容充実の「カントリー・ロック」の名演が並びます。かなりジックリ腰を据えて、曲作りからアレンジまで、よく考えて作られています。単なるアイデア先行の融合では無い、しっかりと意志を持ったカントリーとロックの融合です。アルバムの先頭から最後までダレることがありません。1968年という時期に、これだけ内容充実のカントリー・ロックが創作されていたとは驚きです。

『ビートルズに対するアメリカの回答』と比喩されたバーズの異色盤。カントリー・ロックの生みの親であるパーソンズはカントリー志向をめぐってメンバーと対立し、アルバム発売を待たずにバーズを脱退。しかしながら、このアルバム、結果的にカントリー・ロックの先駆者としてバーズの名を高めたアルバムとなったのだから皮肉なものだ。ロックの世界には、こういう逸話はごまんとある。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年9月22日 (金曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・64

ジャズ者の中で「そのジャズメンの絶頂期」の演奏しか聴かない、という方がいる。絶頂期のプレイこそがそのジャズメンの一番優れている演奏で、それ以外は「絶頂期に比べて劣る」演奏だから聴かないという。そもそも、素人と我々が何を持って、そのジャズメンの「絶頂期」を認定するのか、合点がいかぬ。

いわゆる、そのジャズメンの若かりし頃、若しくは歳を取って老いた頃の演奏は成熟していない、若しくは衰えた演奏なので、全く取るに足らない、ということになる。まあ、それはそれで1つの考え方なんだろうけど、僕は同意しかねるなあ。ジャズメンの若かりし頃、年老いた頃にも、それぞれに個性と良さがあると思っているので、僕はそのジャズメンの演奏人生の全てを聴くようにしている。

Barry Harrys『Barry Harrys In Spain』(写真左)。1991年12月5日、マドリッドでの録音。ちなみにパーソネルは、Barry Harris (p), Chuck Israels (b), Leroy Williams (ds)。リーダーのバリー・ハリスは、1929年生まれだから、62歳の時の演奏になる。リロイ・ウィリアムス、チャック・イスラエルのサポートが目を惹く。このピアノ・トリオ、絶対良いよ、と直感する。

バリー・ハリスと言えば、スタイルは「バップ・ピアニスト」。ビ・バップの演奏マナーをハードバップに活かした演奏が個性で、テクニック溢れる流麗な指捌きと簡潔なアドリブ・フレーズが個性。そういう意味では、絶頂期は『Barry Harris at the Jazz Workshop』の頃、1960年辺りになる。
 

Barry_harrys_in_spain_1

 
それではこの1991年、62歳でのパフォーマンス、『Barry Harrys In Spain』は取るに足らない盤なんだろうか。否、この1991年の『Barry Harrys In Spain』でのバリー・ハリスのパフォーマンスは、31歳の頃、1960年の絶頂期に匹敵する内容の濃さである。もちろん、1960年の頃に比べれば、指捌きやアドリブ・フレーズの閃きは劣る。しかし、それでも、この1991年の音は豊かで深い。

しかも、1960年の頃は優れたバップ・ピアニストだったハリスが、この盤ではモードな演奏にも手を染め、1960年の頃に比べて、個性の裾野が広がっている。これを「指捌きやアドリブ・フレーズの閃き」が絶頂期と比較して劣るから、と切り捨てるか。それはあまりに短絡的だろう。この盤でのバリー・ハリスのピアノは絶頂期に比べて豊かで深い。

バップ・ピアニストのハリスが 、ウェイン・ショーター作の「Sweet Pea」を演奏するなんて、思ってもみなかった。ここでは、バップ・ピアニストのハリスがモーダルなフレーズを難なく弾きこなしている。しかも、音の表現に深みがある。これは歳を取り、様々な経験を積むことにより獲得した「奥の深い」深みなんだろう。

良いピアノ・トリオ盤です。チャック・イスラエルのベース音が素敵に響き渡り、リロイ・ウィリアムスのアグレッシブなドラミングが演奏全体をグイグイ引っ張ります。晩年のハリスの演奏は絶頂期の頃と比較して、負けず劣らず「深み」のある演奏が個性です。これはこれで正統なハリスの演奏。晩年には晩年の良さがあります。

 
 

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2017年9月21日 (木曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・63

今週は台風一過の夏の戻りから始まって、少し夏の様な蒸し暑い日があったが、徐々に秋の空気に入れ替わりつつあるのが実感出来るのが朝夕の涼しさ。特にここ千葉県北西部地方では、朝の空気がヒンヤリしてくる。このヒンヤリを感じると「ああ、そろそろ秋やなあ」と思うのだ。

とにかく今年の夏は天候不順で蒸し暑かった。僕はこの湿気が実に苦手で、もう今年はバテバテ。つい最近まで体調が著しく悪かった。が、この朝の涼しさを感じて、夏の上着を着て通勤出来る様になると、やっと音楽鑑賞の世界も気合いが入ってくる。気合いが入ってくると、ジャズではやはり得意の「ジャズ・ピアノ」盤のチョイスになる。

Bobby Timmons『In Person』(写真左)。1961年10月の録音。ファンキー・ジャズのブーム、真っ只中である。ちなみにパーソネルは、Bobby Timmons (p), Ron Carter (b), Albert Heath (ds)。ピアノ・トリオ編成なのだが、リーダーのティモンズはファンキーなピアニスト、ヒースはバップなドラマー、カーターは新主流派なベーシスト。3人の間に演奏スタイルや個性の共通点は無い。
 

Trio_in_person

 
ティモンズは「こってこてファンキー」なピアノが身上。例えば、ジャズ・メッセンジャーズ盤『Moanin"』での漆黒どファンキーなピアノは凄く印象に残る。最早オーバーファンク振り切れのファンキー・ピアノ。それがバップなドラムとモーダルなベースとくむのだ。どうなるのか。この盤を聴けば判るのだが、実に上品で格調の高い、当時の新しいジャズの響きを宿した「ファンキー・ピアノ」がこの盤に詰まっている。

別にティモンズの奏法が個性が変わった訳では無いのだが、新主流派でモーダルな響きとアプローチを基本とするロンのベースに、ヒースのドラムが上手く適応して、当時として新しいジャズの雰囲気、響きを醸し出す。そこにオーバーファンク気味のティモンズのファンキー・ピアノが融合する。するとまあ、実に格調の高い、当時の新しいジャズの響きを宿した「ファンキー・ジャズ」なピアノ・トリオの演奏が実に爽快で実に魅惑的である。

正装に身を包んだトリオの3人。そんなジャケット写真の雰囲気そのままの「実に格調の高い、当時の新しいジャズの響きを宿したファンキーな「ピアノ・トリオ」。特にスタンダード曲が聴きもの。格調高いファンキー・ジャズの雰囲気に身を包んだ、ちょっとユニークな、端正でオフビートなスタンダード曲が聴けます。僕はこの盤がお気に入りです。

 
 

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2017年9月20日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・59

Gary Burton=ゲイリー・バートンは、ヴィブラフォン奏者。1960年代後半、若かりし頃は、ヴァイブ引っさげ、尖ったジャズロックをガンガンやって、時々、アバンギャルドな雰囲気の硬派なジャズをやったり、とにかく尖ったヴァイブ奏者だった。1970年代は、ピアノのチック・コリアと組んで、ピアノとヴァイブのデュオ演奏で一世を風靡した。

が、バークリー音楽院で教鞭を執る立場にあったこと、かつ、1980年代になって、人間的に充実した落ち着きを身につけたのか、リーダーとしてバンド全体を上手くまとめながら、純ジャズ復古の波にも上手く乗りつつ、内容充実のメインストリームな純ジャズ盤をコンスタントにリリースするようになる。

僕はこのバートンのジャズメンとしての変遷をリアルタイムで体験してきて、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、バンドを通じて有望な若手を発掘するバンドリーダーとして活躍するバートンを頼もしく思ってきた。若い才能の発掘者として、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、もっとバートンは評価されて然るべきだと思っている。
 

Gary_burton_depature

 
Gary Burton & Friends『Departure』(写真左)。1996年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), John Scofield (g), John Patitucci (b), Fred Hersch (p), Peter Erskine (ds)。フレッド・ハーシュのピアノ・トリオをリズムセクションに、バートンのヴァイブとジョンスコのギターがフロントを張るクインテット構成。

とっても魅力的な、リラックスしたセッションが繰り広げられる。そんな中で、ジョンスコのギターが冴えまくっている。彼は特に、こういうスタンダードで純ジャズなセッションで、その実力を遺憾なく発揮するタイプなのだが、このバートンのリーダー作でも、そんなジョンスコがガンガンに弾きまくっている。

パティトゥッチのベースとアースキンのドラムが供給するリズム&ビートは安定の極み。ハーシュのピアノはリリカルで耽美的なフレーズを醸し出す。意外とこのリズム・セクションの今までに無い独特の個性が、このスタンダードなアルバムを惹き立てている様です。これもバートンのリーダーシップの成せる技。素敵なジャケット共々、お勧めの好盤です。

 
 

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2017年9月19日 (火曜日)

地域の拡がりとしての深化

世界的に見て、ジャズ人口って増えているんだろうか。少なくとも、ジャズの裾野は広がっている。基本的には米国中心だったジャズだが、欧州各国に渡り、日本にも中南米にも渡り、豪州にも渡り、もはやジャズは世界的な拡がりを持つ、クラシックに比肩する裾野の拡がりを持った音楽ジャンルになっている。

例えば、David Sanchez『The Departure』(写真左)。1993年11〜12月の録音。ちなみにパーソネルは、David Sanchez (sax), Tom Harrell (tp), Danilo Perez (p), Andy Gonzalez, Peter Washington (b), Leon Parker (ds), Milton Cardona (per)。サックス&トランペット2管フロントのパーカッション入りセクステット。

硬派なメインストリーム・ジャズである。胸の空くような、切れ味の良い自由度の高い演奏がてんこ盛りである。演奏に耳を傾けていると、そこはかとなく「中南米」な雰囲気が見え隠れする。明らかに米国や欧州、日本などのジャズとは雰囲気が違う。それもそのはず。リーダーのDavid Sanchez=デビッド・サンチェスはプエルトリコ出身のテナー奏者なのだ。 
 

David_sanchez_the_departure

 
このアルバム『The Departure』は、サンチェスのデビュー盤。ジャズは初リーダー作に、そのジャズメンの個性がはっきりと表れるというが、確かにこのアルバムを聴くと、他のジャズメンとは異なる個性がそこかしこに感じるのだ。僕にとってはまだまだ勉強しなければならないジャンルである「ラテン・アメリカの伝統音楽」な雰囲気が独特の個性である。

僕がジャズを聴き始めた頃、今から40年ほど前、メインストリームなジャズに、ラテン・アメリカの伝統音楽の要素が融合されるなんて、思ってもみなかった。明らかにジャズ表現のバリエーションが深化していると感じる。ジャズは世界的な地域の拡がりの中で、各国の伝統音楽と融合し、そのバリエーションを深化させている。

明らかに新しい響きのするメインストリーム・ジャズ。サンチェスのサックスが理知的で爽快。とても良く考えられたサックスの展開。もう一方のフロント、トム・ハレルのトランペットも良い音を出している。こういう硬派でメインストリームなジャズが、プエルトリコの優れたサックス奏者によって創造される。ジャズの国際化、地域の拡がりとしてのジャズの深化を目の当たりにする。そんな実感をひしひし感じる好盤である。

 
 

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2017年9月18日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・112

台風は関東から去った。台風一過の良い天気というのは簡単だが、北海道に到達しつつ勢力は衰えること無く、逆に発達したりしているので、北海道は予断を許さない。九州を中心に被害は大きかった。中学の頃に体験したが、水害って後始末が大変。災害に遭われた地域の方々にはお見舞い申し上げます。

さて、ジャズ盤紹介本を読んでいて、このテナー奏者の名前をすっかり忘れていたことに気がついた。Joe Van Enkhuizen=ジョー・ヴァン・エンキューゼン、和蘭のテナー奏者である。骨太で朗々とブラスを響かせながら吹き上げるテナーは実に聴き応えがあって、このテナーでミッドテンポからスローテンポの曲を朗々と吹かれると、もうドップリ聴き耳立てて、思わず聴き込んでしまう。

Horace Parlan, Joe Van Enkhuizen, Rufus Reid & Al Harewood『Joe Meets the Rhythm Section』(写真左)。入手が比較的し易くて、そんなジョー・ヴァン・エンキューゼンのテナーを堪能出来る盤である。ワンホーンのカルテット構成。カルテット4人が平等に4人名義のアルバムであるが、メインは、ホレス・パーランとジョー・ヴァン・エンキューゼン。
 

Joe_meets_the_rhythm_section

 
改めてパーソネルは、Horace Parlan (p), Joe Van Enkhuizen (ts), Rufus Reid (b), Al Harewood (ds)。1986年7月の録音。エンキューゼンのワン・ホーン、ホレス・パーランのピアノ・トリオがリズム・セクションを務める。ベースがルーファス、ドラムがヘアウッドなので、このリズム・セクションには間違いは無い。

やはり、聴きものは、エンキューゼンのテナー。ほんと良い音出している。和蘭のテナーマンなので、さすがにファンクネスは希薄。しかし、骨太で朗々とブラスを響かせながら吹き上げる中、仄かな色気が漂って、実に硬派で男気溢れる妖艶テナーである。このテナーで、小粋なミューシャンズ・チューンを中心に、鯔背に聴かせるのだから堪らない。

バックのホレス・パーランのピアノ・トリオも良好。エンキューゼンのテナーを盛り立てつつ、自らもちょっと捻りを効かせた、小粋なピアノ・トリオのパフォーマンスを聴かせてくれる。ジャズ盤紹介本などに全く出てこない盤ですが(ネットでは若干コメントされているのが心強い)良い内容の盤です。ダウンロード・サイトから比較的入手し易いので、一聴をお勧めします。

 
 

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2017年9月17日 (日曜日)

R&B指向のカントリー・ロック

台風が鹿児島に上陸し、徐々に速度を速めながら、関東地方に近づいている。台風が近づくにつれ、体調が思わしく無い。どうも、術後、体質が変わったみたいで、気候の急変に敏感に体が、悪い方に反応するようになった。台風が去るまでは、大人しく静養あるのみ、である。

さて、今日は日曜日。我がバーチャル音楽喫茶『松和』の当ブログは「70年代ロック・Jポップ」の日。今日も「カントリー・ロック」。今日はこのアルバムを。Bonnie Raitt『Give It Up』(写真左)。1972年の作品。Bonnie Raitt=ボニー・レイットは、女性カントリー・ブルース歌手&ギタリスト。唄い手がメインだが、スライド・ギターの名手でもある。

僕はこのボニー・レイットという女性歌手が好きで、米国ルーツ・ロックの草分けと認識している。特にこの盤のテイストは、カントリー・ロックがメインで、そこにブルージーなスライド・ギターを絡めたり、デキシーランド調のジャズ・ブラスなアレンジを忍ばしたりと、米国ルーツ・ロック好きには堪えられない内容になっている。
 

Give_it_up

 
アコースティック・ギターを活かしたミッドテンポからスローテンポの楽曲が、なかなか良い雰囲気を醸し出している。このフォーク・ロック的雰囲気の楽曲が、アップテンポのカントリー・ロック調の楽曲と良い対比なっていて、アルバム全体の流れが引き締まっている。

ブルースやR&B指向のちょっと重心の低めな楽曲もあるが、リズム&ビートが、カントリー・ロック基調なので、ドップリ重くならないところがミソ。ジャズっぽいところも妙に軽快なところがあって、気楽に聴き続けられるところが実に良い。基本的に全体の雰囲気が軽快なので、ブルースやR&B指向の楽曲を重く引き摺らないところが、この盤の良いところ。

ジャケの「明るく爽やかな女性カントリー・ロック・シンガー」って雰囲気はちょっと違う。雰囲気としては、ギターを持ったじゃじゃ馬娘って感じ。カントリー・ロック基調ではあるが、黒っぽく、ブルース・フィーリング溢れる楽曲がズラリと並んでいる。決して軽快で明るい女性カントリー・ロックをイメージしてはならない。そのギャップで「怪我をします」(笑)。

 
 

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2017年9月16日 (土曜日)

カントリー・ロックの道標的な盤

夕方から台風の影響で小雨が降り始めた。それでも、朝は曇り時々晴の千葉県北西部地方。グッと涼しくなって、かつ湿度が下がって、10月上旬〜中旬の気候、一言で言って爽やか。さて、週末の土日。我がバーチャル音楽喫茶『松和』の当ブログは「70年代ロック・Jポップ」の日。今日は「カントリー・ロック」。

米国ルーツ・ミュージックであるカントリーやフォーク、ブルーグラスとロックの融合で出来たロックのサブ・ジャンル。1960年代後半、バーズやボブ・ディランがアルバムの中に、カントリー・ロック調の楽曲の収録が先駆けとなり、1970年代、米国西海岸中心に、CCRやイーグルスがその人気を確立した。

僕はこのイーグルスが「カントリー・ロック」体験の最初だった。1975年のこと。アルバムは『One of These Night』だった。そこから、当時プログレ小僧だった僕は、一気に米国ルーツ・ロック指向へ転身。大学に進んで、CCRに染まり、そして、このアルバムに出会った。Gram Parsons『GP』(写真左)。1973年の作品である。

グラム・パーソンズは、元バーズのギタリスト。バーズのアルバム『Sweetheart Of The Rodeo(ロデオの恋人)』(1968年作品)に参加、カントリーロックという新たな流れを生み出したことで知られる。この『GP』というアルバムは、そんなグラム・パーソンズが1973年にリリースした、生前唯一のソロ・アルバムである。
 

Gp

 
冒頭の「Still Feeling Blue」から、ラストの「Big Mouth Blues」まで、カントリー・ロック満載である。ペダル・スチール・ギターが「カントリー・ロック」独特の響きを醸し出す。リズムはちょっと早めのカントリー・ビートがメイン。演奏は電気楽器中心のロックなもの。ロックを基本をして、カントリー、フォーク、ブルーグラスの要素を上手く融合させている。

これだけ、徹頭徹尾、カントリー・ロックな演奏で固めたアルバムは、当時、初めてだったのではないか。とにかく、カントリー・ロック好きには堪らない内容の好盤である。しかしながら、カントリーの要素が全面に強く出た「カントリー・ロック」なので、一般ウケは悪かった様で、セールス的には成功しなかった。

僕は、このグラム・パーソンズのソロ・アルバムを「カントリー・ロックの道標」的なアルバムだと思っている。これ以上、カントリーの要素を全面に出してしまうと、単なる「ロックアレンジを施したカントリー・ミュージック」になってしまう。そんな限界点を僕達に聴かせてくれた、そんな「道標」の様なアルバムだと感じている。

後に「カントリー・ロックの女王」として有名になったエミルー・ハリスがデュエットに、バック・ボーカルに大活躍している。このアルバム、セールス的には成功しなかったのだが、カントリー・ロックの最高地点を示し、エミルー・ハリスを見出したことで、このアルバムはロックの歴史に残る好盤だろう。

ちなみに、グラム・パーソンは、このアルバムのリリースから約8ヶ月後、麻薬の過剰摂取により死去。1974年にリリースされた『Grievous Angel』が遺作となった。

 
 

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2017年9月15日 (金曜日)

たった2つの楽器で奏でる音世界

涼しい。しかも湿度が低くなって、実に過ごしやすい夜である。これだけ、湿度が落ち着いて涼しくなると、ステレオから出てくる音も澄んでくる様に聴こえるのだから不思議だ。細かいニュアンスが判り易くなる様な気がして、この秋の気候になってくると、少人数のジャズに触手が伸びる様になる。

Joe Bonner『Suburban Fantasies』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Joe Bonner (p), Johnny Dyani (b)。1983年2月18日の録音。ジャケットのデザインも良い。スティープルチェイスからのリリース。アメリカ人ピアニストJoe Bonnerと南アフリカ人ベーシストJohnny Dyaniのデュオ盤。

Joe Bonner=ジョー・ボナー。あまりその名を聞くことが少ないピアニスト。このデュオ盤を聴けば、そのピアニストとしての個性が良く判る。剛直さとロマンチシズムを併せ持ち、ダイナミズムと繊細さが共存する、意外と他にありそうでないピアノ。
 

Suburban_fantasies

 
デュオの相方、ダラー・ブランドと活動していたベースのJohnny Dyani=ジョニー・ダイアニ。フォーキーでアーシーなピアニストの相棒だったダイアニ。腰の据わった重心の低いベースで、ボナーのピアノを支える。どっしりとしたアーシーなベース。ブンブンと重低音を振り撒きながら、リズム&ビートを供給していく。

ボナーのアドリブ・フレーズの基本は「ブルース」。しかし、くすんではいないし、粘ってもいない。フレーズの冴えと美しさ、そして切れ味は独特の個性。音もクッキリ、タッチも硬質。それでいてメロディアスな展開。スティープルチェイス的な音。欧州ジャズの音世界。

流麗なピアノの音色と重厚なベース。このたった2つの楽器で奏でる音世界が実に豊か。流麗な音の詰まったインプロビゼーション、そして、しっかりと「間」を活かした魅力的な「タメ」。硬軟自在、柔軟性溢れるデュオ演奏に思わず聴き惚れる。こんな、ほとんど無名のデュオ盤が転がっているのだから、ジャズは隅に置けない。

 
 

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2017年9月14日 (木曜日)

セルビアはベオグラードのジャズ

欧州を旅して思うのだが、訪れたどの国にもジャズがある。地元のエンタメ系の雑誌やお店の案内カードを見ていると、必ず、ジャズのライブ・ハウスの紹介がある。ということで、その国を訪れたら、必ず、その国のジャズを探し、その国のジャズを聴く。すると、それぞれ、国によってジャズの音が違うのだ。国毎の個性とでも言うのだろうか。これって、意外と面白い。

アップル・ミュージックなど、ダウンロード・サイトが充実してきたお陰で、様々な国のジャズを聴ける様になった。ネットの中でも、様々な国のジャズに関する情報が充実してきており、知識レベルの情報の入手も楽になった。良い時代になった。昔は、米国ジャズでも情報不足の感があって、情報を得るのに雑誌を読んだり、本を読んだり。大変でした。

Bojan Zulfikarpasic『Solobsession』(写真左)。今日聴いた欧州ジャズ。ピアニストである。2008年の作品。まず、リーダーの名前を何て呼んだら良いか、判らない(笑)。「Bojan Zulfikarpasic=ボヤン・ズルフィカルパシチ」と読むそうだ。ボヤンは判る。でも、セカンド・ネームが判らない。この名前からすると「北欧系」か、と思うが、冒頭の演奏を聴くと「違う」。

北欧系独特の響きの拡がりとクリスタル感が希薄。加えて、ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。そうすると、英国系若しくは仏蘭西系は無い。ましてや独系でも無い。ん〜、どこのジャズなん?
  

Bojan_zulfikarpasicsolobsession

 
実は、旧ユーゴスラビア、ベオグラード出身でフランスを舞台に活躍するジャズ・ピアニストとのこと。名前が長いので、通称「Bojan Z」で通しているらしい。なるほど、ベオグラードだから、今の国名で言うと「セルビア」。この盤に詰まっていろ音は「セルビア」のジャズ、東欧のジャズである。

この『Solobsession』は、ボヤンのソロ・ピアノ盤である。よって、ボヤンのピアノの個性が露わになる。ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易く、ピアノの響きを美しい。テクニックも優秀。緩急自在なインプロビゼーションで、アルバム全編を一気に聴き切ってしまう。

ピアノの特殊奏法を駆使した演奏、プログレの様な変拍子の演奏、フリーキーな展開をところどころ「チラ見せ」しつつ、どこかポップな響きのインプロビゼーションは今風のスピリチュアルな響き。今までにありそうで無かったピアノ・ソロで、一度填まると、暫く、病みつきになるほどの個性。

しかし、アルバム・ジャケットの雰囲気と「Bojan Zulfikarpasic」という姓名の文字の雰囲気から、これ「北欧ジャズ」系ね、と思ってしまうんだが、これがまあ、全く違うんですね。でも、タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易い。と良い方に転んで、この盤の魅力にドップリと填まってしまいます。

 
 

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