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2024年9月の記事

2024年9月30日 (月曜日)

増尾好秋 ”Sunshine Avenue”

フュージョン・ジャズ全盛時代の1970年代後半、増尾好秋の『Sailing Wonder』、『Sunshine Avenue』、『Good Morning』の3枚のアルバムは、勝手に「増尾好秋のフュージョン3部作」と呼んで愛聴していた。机に向かって勉強するにも、麻雀するにも、いきつけの喫茶店で寛ぐにも、この「増尾好秋のフュージョン3部作」をヘビロテにしていた時期があった。

増尾好秋『Sunshine Avenue』(写真)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、Yoshiaki Masuo (el-g, ac-g, solina, perc), Victor Bruce Godsey (ac-p, el-p, clavinet, vo), T.M.Stevens (el-b, piccolo bass), Robbie Gonzales (ds), Charles Talerant (perc), Papo "Conga" Puerto (congas), Jorge Dalto (ac-p), Shirley Masuo (perc), Michael Chimes (harmonica)。

前作『Sailing Wonder』が、クロスオーバー&ジャズロック志向の素敵なアルバムだった。そして、次作『Good Morning』は、フュージョン・ジャズに傾倒した名盤だった。この間に位置する『Sunshine Avenue』は、増尾好秋の考える「ジャズ・ファンク、ジャズロック、R&B志向のフュージョン」が、ごった煮に収録されている。

ボーカル入りの演奏もあったりして、とっ散らかった雰囲気もあるのだが、増尾のギターの音色、フレーズに一貫性があって、この増尾のギターが、とっ散らかし気味の音志向の中で一本筋を通していて、この増尾のギター一本で、アルバム全体の統一感を司っているのだから、増尾のギターは、決して「隅におけない」。
 

Sunshine-avenue 

 
バックのメンバーは、『Sailing Wonder』の様な、フュージョン・ジャズの名うての名手達を集った、オールスターの「一過性」のセッション・メンバーでは無く、バンド・メンバーとして、一定期間、恒常的に活動し、共にバンド・サウンドを育み、バンド・サウンドを成熟させるメンバーを厳選した様である。

この『Sunshine Avenue』でのバンド・メンバー、T.M.スティーヴンス (b)、ヴィクター・ブルース (key)、ロビー・ゴンザレス (ds)、シャーリー増尾 (perc) は、次作『Good Morning』に、ほぼ継続されている。

VictorI Bruce Godsey (ac-p, el-p), T.M. Stevens (el-b, piccolo-b),Robbie Gonzales (ds, congas), Shirley Masud (perc), Dele (hammond-org), Margaret Ross (harp), Josan (back-vo)。

この厳選したバンド・メンバーで、当時のエレ・ジャズのトレンドであった「ジャズ・ファンク、ジャズロック、R&B志向のフュージョン」をやってみた、というのが、このアルバムの内容では無いだろうか。ちなみに、この『Sunshine Avenue』で培ったフュージョン・ジャズな音志向を、次作『Good Morning』にしっかり引き継いでいる。

興味深いのNY録音で、NYのメンバー中心の演奏なんだが、出てくる増尾好秋の考える「ジャズ・ファンク、ジャズロック、R&B志向のフュージョン」は、どれもが、ファンクネスは限りなくライト、歌心が溢れまくる流麗でキャッチャーなメロディー、軽めのオフビートとグルーヴなど、和フュージョン・ジャズの個性と特徴をしっかりと押さえていること。増尾のプロデュース力が、この盤でも存分に発揮されていて立派だ。
 
 

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2024年9月29日 (日曜日)

増尾の和フュージョンの名盤

1970年代後半から1980年代前半、和フュージョンの全盛期のギタリストと言えば、まずは「渡辺香津美」そして「増尾好秋」。この2人が代表格で、和フュージョンのギターを牽引していた印象が強い。特に、増尾好秋は、フュージョン・ジャズに転身しつつ、その演奏の軸足は「ジャズ」にしっかり残していた様に思う。

増尾好秋『Good Morning』(写真)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、Yoshiaki Masuo (g, perc, vo), Motoaki Masuo (g, syn), VictorI Bruce Godsey (ac-p, el-p), T.M. Stevens (el-b, piccolo-b),Robbie Gonzales (ds, congas), Shirley Masuo (perc), Dele (hammond-org), Margaret Ross (harp), Josan (back-vo)。

増尾好秋が一番、フュージョン・ジャズに傾倒した名盤。もともと、渡辺貞夫に認められ、1968年から1971年まで、渡辺貞夫のグループに在籍。1971年に渡米。1973年から1976年までソニー・ロリンズのバンドに在籍した、メインストリームな純ジャズ畑を歩いてきた増尾である。

いきなりコマーシャルに、ジャズロックへの転身や、他のジャンルとの融合に走ることなく、電気楽器を活かしたジャズを目指しつつ、8ビートや、フュージョン・ジャズの「肝」である「ソフト&メロウな音志向」の取り込みをしつつ、1970年度の終わりに、この盤の成果にたどり着いた。
 

Good-morning

 
増尾好秋の歌心溢れるギター・ワークと流麗なメロディ・センスが光る、内容の濃い、上質のフュージョン・ジャズ盤に仕上がっている。フュージョン・ジャズといえば、聴き心地の良い「ソフト&メロウ」な演奏、という印象が強いが、この盤はそれだけに留まらない。疾走感溢れるジャズロックな演奏もあれば、ハードバップ時代のジャム・セッションをエレでやった様な演奏もあって、バラエティーに富んでいる。

一番感心するのは、ほぼ、米国フュージョン畑の名手を招聘しているにも関わらず、ファンクネスは限りなくライト、歌心が溢れまくる流麗でキャッチャーなメロディー、軽めのオフビートとグルーヴなど、和フュージョン・ジャズの個性と特徴をしっかりと押さえていること。増尾好秋のセルフ・プロデュースとアレンジが、バッチリ効いている。

サイドマンに目を転じると、弟でサウスポーのギタリストである増尾元章の貢献が大きい。兄の義昭とギター合戦を演じたり、流麗でソフト&メロウな「フュージョンど真ん中」の楽曲を提供したりと貢献度大である。

「モンスター・ベース」と異名を取ったT.M.スティーヴンスのエレベの参加も効いている。ややもすれば、ソフト&メロウにどっぷり浸かりそうな、流麗なフュージョン・テイストのバラード曲に、粘りのあるソリッドなエレベのラインを差し込んで、意外と硬派な演奏に昇華させている貢献度は高い。

増尾好秋の歌心溢れるギター・ワークと流麗なメロディ・センス、加えて、セルフ・プロデュースとアレンジ、そして、優れたサイドマンの参加が功を奏した、和フュージョン・ジャズの名盤だと思う。
 
 

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2024年9月28日 (土曜日)

仲村裕美『’Swonderful』を再聴

1970年代後半から1980年代前半の、フュージョン・ブームの10年間の「和フュージョン」の好盤を発掘しては聴き直している。

「発掘」とは言っても、未発表音源を探し当てて聴くなんていう「マイケル・カスクーナ」ばりの、未発表音源発掘のインディー・ジョーンズでは無く、1970年代後半から、1980年代前半の当時、聴き親しんでいたアルバムで、しばらくの間、忘れ去っていた盤を、所有のライブラリーから再度、引き摺り出して聴き直す、という、「温故知新」的な作業である。

Hiromi Nakamura(仲村裕美)『'S Wonderful』(写真左)。1983年の作品。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

Masanori Sasaji (key, syn), Naoki Kitajima, (key, p), Hirotaka Izumi, Masao Nakajima (key), Kazumasa Akiyama, Masahiro Ando, Kiyotsugu Amano (g), Mike Dunn, Romy Kinoshita, Tatsuhiko Hizawa, Toyoyuki Tanaka (b), Tohru Hasebe, Masaki Hiyama, Kenji Kishida (ds), Takeshi Ito, Kazuo Suzuki (sax), Kenji Nakazawa (tp), Michio Kagiwada (tb), Yasushi Kozuka (vln)。

それぞれの楽器で複数のミュージシャンが分担して、セッションに臨んでいる。パーソネルの名前を見渡してみて、馴染みのある名前があまり見当たらない。当時のテクニック優秀のスタジオ・ミュージシャン大集合といった雰囲気である。

じっくり見ると、マライアの笹路正徳がキーボードで、初期SHOGUNメンバーでパラシュートのマイク・ダンがベースで参加しているのが判る。他の多くは馴染みの無いメンバーだが、演奏内容は水準以上。なかなか充実したフュージョン・ジャズなサウンドを供給していて立派。
 

Hiromi-nakamuras-wonderful

 
美人ジャズシンガーの誉高い「仲村裕美」の1983年のセカンド盤。収録された曲を見渡せば、この盤は、フュージョン・ジャズなテイストの「ジャズ・スタンダード曲集」。なかなか良い選曲で、仲村裕美が、またまた素性の良いストレートな歌唱で、フュージョンなノリのジャズ・スタンダード曲を唄い上げていく。今回、聴き直してみて、彼女のボーカルってなかなかのもので、ついつい引き込まれてしまった。

1曲目のタイトル曲「'S Wonderful」は有名スタンダード曲。しかし、アレンジが優秀で、「どこかで聴いたことがある」感が無い。結構、新鮮なアレンジが施されていて、なかなか粋な「'S Wonderful」に仕上がっている。仲村裕美のボーカルの素性の良さがダイレクトに伝わってくる。

3曲目の「On The Sunny Side Of The Street」も有名スタンダード曲。4ビートのスインギーな名曲を、8ビートのフュージョン・ジャズにアレンジして、ポップなボーカルで、仲村裕美が明るくポジティヴに唄う。こんな「On The Sunny Side Of The Street」も良い感じだ。

6曲目の「Laughter In The Rain」は、二ール・セダカの「雨に微笑んで」のカバー。やはり、フュージョン風のアレンジがバッチリ効いている。

続く7曲目の「Unchained melody」は、ライチャス・ブラザーズのヴァージョンが、1990年に公開された映画「ゴースト/ニューヨークの幻」で起用された馴染みの曲。やはり、アレンジが良い。原曲のイメージを損なわず、原曲の甘さに流されない、意外と硬派なフュージョン・ジャズに仕立て上げている。

このLP盤の帯紙のキャッチが「太陽の匂いがするジャズ・ギャル、ナウなスタンダー集セカンド・アルバム」。思わず「赤面」もののキャッチに思わず苦笑い。まだ、そんな表現がまかり通る時代だったんですね。「ギャル」「ナウな」など、ほとんど死語ですが、このアルバムの内容は、今の耳にも十分に鑑賞に耐える、上質のフュージョン・ボーカル盤です。意外と「掘り出し物」でした。
 
 

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2024年9月27日 (金曜日)

ライフタイムの「フリーの成熟」

そういえば、トニー・ウィリアムスって、フリー・ジャズが好きだったな。そんな思い出がある。マイルス楽団にいた頃も、親分マイルスのいないところで、フリーなドラミングに走ったり、自らのリーダー作では、公然とフリー・ジャズを展開して、とにかく「ブイブイ」言わせていた。

The Tony Williams Lifetime『(Turn It Over)』(写真左)。1970年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Tony Williams (ds, vocals on "This Night This Song", "Once I Loved", "A Famous Blues"), John McLaughlin (g, vocals on "A Famous Blues"), Larry Young (org), Jack Bruce (b, lead vocals on "One Word")。

そんなトニー・ウィリアムスが主宰する「ライフタイム」の第2弾。内容的には、先のライフタイムのデビュー作の、電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「先進的なフリー・ジャズ」は変わらない。というか、グッと洗練された「成熟イメージ」。

ベース・ラインの強化を狙ったのか、英国の伝説のブルース・ロック・グループ「クリーム」から、ジャック・ブルースをベーシスト兼ボーカル担当として招聘している。

確かに、デビュー作では、ベース・ラインはオルガンのラリー・ヤングが担当していたのだが、まず、右手でフリーなフレーズを弾きながら、定型のベース・ラインを供給するなんて出来ないので、実は影が薄かった、というか、放棄されていたイメージがある。
 

The-tony-williams-lifetimeturn-it-over

 
この2作目では、ジャック・ブルースがエレベで定型のベース・ラインを供給しているので、トニー+マクラフリン+ヤングのフリーな展開の底に、どっしりとした安定感がある。この辺りが、グッと洗練された「成熟イメージ」として、耳に響くのだろう。

しかし、ロック畑のブルースが、よくここまで、フリーな演奏のベース・ラインを弾きこなせるなあ、と感心する。英国では「ロックとジャズの境界が曖昧」だが、ブルースのエレベのプレイを聴いていて、それが良く判る。

この盤の特徴として、ボーカル入りのナンバーが多く採用されていること、があげられる。ボーカルの雰囲気は「サイケデリック」

。当時、流行だったサイケデリック・ロックからの影響だろうが、フリー・ジャズにサイケデリック、当時、米国で、若者中心に人気のあった「フリーとサイケ」の組み合わせ、そのものを反映しているところが、なんだか「抜け目が無い」。が、先進的なフリー・ジャズが、信条の「ライフタイム」としては、あまり成功しているとは思えない。

この盤は、トニー・ウィリアムスが主宰する「ライフタイム」の音世界である、電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「先進的なフリー・ジャズ」の成熟を聴くことが出来る。逆に言うと、これ以上の発展は難しいくらいの成熟度である。実際に、次作ではメンバー構成がガラッと変わることになる。
 
 

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2024年9月26日 (木曜日)

トニーの先進的なフリー・ジャズ

トニー・ウィリアムスのドラミングがお気に入りだった。純ジャズのドラミングも、クロスオーバーでのドラミングも、どちらも僕にとっては「お気に入り」。超ハイテクニックで叩きまくるが、どれだけ速く叩こうが、複雑に叩こうが、リズム&ビートはしっかりとキープされ、独特のデジタルチックなグルーヴもしっかり確保されている。フロント楽器によって、叩き方、叩く内容を変化させる器用さも素晴らしい。

The Tony Williams Lifetime『Emergency!』(写真左)。1969年5月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Tony Williams (ds, vo), Larry Young (org)。早逝のウルトラ・テクニカルなレジェンド・ドラマー、トニー・ウィリアムスが立ち上げたトリオ「Lifetime」のデビュー盤。

ギターに、ジョン・マクラフリン。マハヴィシュニヌ・オーケストラを立ち上げる前の「ライフタイム」への参加である。オルガンに、ラリー・ヤング。「オルガンのコルトレーン」と形容された、オルガンで、シーツ・オブ・サウンドとモーダルなフレーズを弾きまくる猛者である。ドラムには、もちろん、トニー・ウィリアムス。

ところで、この盤、「フュージョン・ジャズの先駆け」とか、「クロスオーバー・ジャズの発祥」などと評価されているが、僕は違うと思う。

まず、聴き手のニーズに合わせて、ソフト&メロウを基調とした、R&Bなどと融合したフュージョン・ジャズの先駆け、とは全く異なる内容だと思う。このライフタイムの演奏は、ソフト&メロウなんて論外だし、R&Bの影のかけらもない。何をもって、フュージョン・ジャズの先駆けと評価するのか、全く理解できない。

そして、基本ジャズとロックの融合がメインのクロスオーバー・ジャズの発祥、については、エレギを使用しているところはロックに似ているが、演奏全体のリズム&ビートは「ジャズ」の域を出ていない。それぞれの楽器のフレーズだって、ロックっぽいものは全く無い。ジャジーなフレーズがてんこ盛りである。
 

The-tony-williams-lifetimeemergency

 
冒頭のタイトル曲「Emergency」を聴くと、この演奏って、フュージョン・ジャズでもなければ、クロスオーバー・ジャズでも無い。この演奏は、電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「先進的なフリー・ジャズ」である。

トニー・ウィリアムスのフリーなドラミングには、一定のリズム&ビートとグルーヴがキープされていて、このトニーのドラミングのビートに乗ってフリーに演奏することが「最低限のルール」のようで、トニーのドラミングがしっかりしているので、意外とフリー・ジャズな演奏に聴こえないのだが、この盤全体の演奏は「フリー・ジャズ」である。

そして、そんなトニーのドラミングに乗って、ギターのマクラフリンも、オルガンのヤングも「フリー・ジャズな演奏」を展開するが、二人のフリーな演奏は、限りなく自由度の高いモーダルなフレーズからスタートして、その延長線上の先でフリーに展開する手法に則っているので、意外とメロディアス。聴き通すことに「苦痛は伴わない」。

激情に駆られて、無手勝流に吹きまくる、馬の嘶きの様なフリーキーな吹奏とは一線を画する、マクラフリンとヤングならではのユニークなもの。

フリー・ジャズな演奏が基本なのだが、ビートとグルーヴがしっかりしているのと、フロント楽器のフレーズがモードから派生してフリーに展開する手法をとっているので、「聴かせる音楽」として成立しているのが、このライフタイムのフリー・ジャズの特徴であり個性である。

しかし、当時、これだけ尖った内容の電気エフェクトがかかったエレギとオルガンをフロントにした「フリー・ジャズ」をアルバム化したなあ、と感心する。

そして、このアルバムを制作&リリースしたのは、1950年代から、聴き手のニーズに合わせて「聴かせるジャズ」「聴いて楽しいジャズ」を制作してきた、大手ジャズ・レーベルの「ヴァーヴ」というから、驚きである。

しかし、よくヴァーヴがこんなに尖ったフリー・ジャズな盤を制作したなあ。当時の「時代」がそうさせたのだろうか。
 
 

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2024年9月25日 (水曜日)

次を見据えるマクリーン、である

いきなり涼しくなった千葉県北西部地方。今日の最高気温なんざぁ、23℃。先週の水曜日の最高気温が36℃だったから、一週間で、一気に13℃下がったことになる。これだけ涼しくなると、ハードなジャズもOK。モードだろうが、フリーだろうが、これだけ涼しくなれば大丈夫。ということで、いきなり、純ジャズ、モード・ジャズに走る。

Jackie Mclean『Right Now!』(写真左)。1965年1月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Larry Willis (p), Bob Cranshaw (b), Clifford Jarvis (ds)。前作、前々作のメンバーを一新し、それでも、ピアノのウィリスは録音当時23歳、クランショウは録音当時32歳、ドラムのジャーヴィスは録音当時24歳。マクリーンが録音当時34歳で最年長。若手中心のメンバー構成は変わらない。

この盤では、マクリーン流のモード・ジャズを完全に自家薬籠中のものとしている。迷いや澱みは全く無い。マクリーン自ら確信を持って吹きまくる「マクリーン流モーダル・フレーズ」の数々。特にこの盤、マクリーンのワンホーン・カルテットなので、「マクリーン流モーダル・フレーズ」の個性がとてもよく判る。明らかに、コルトレーンの物真似でないことは明白。

冒頭の「Eco」が典型的なモード・ジャズ。この演奏で、マクリーンの目指した「マクリーンの考えるモード・ジャズ」の姿が良く判る。ハードバップのコードをベースとしたアドリブ・パフォーマンスそのままに、ベースをモードに変えたイメージの、ハードバップから聴いても違和感のない、モーダルなパフォーマンス。
 

Jackie-mcleanright-now

 
モードになって、イメージがガラッと変わるコルトレーンとは、この辺りがちょっと違う。どちらかといえば、マイルスのアプローチに近いが、マクリーンはマイルスに比べて、かなりエモーショナル。マイルスはあくまでクールでヒップ。激情にかられて、エモーショナルにトランペットを吹くことは無い。

2曲目の「Poor Eric」は、静的で淡く広がる様なモーダル・フレーズを駆使したスローな演奏。音が無限に広がっていく様なフレーズは、モードで無いと表現できない。この静的で淡く広がる様な音のイメージは、モードならでは、である。モード奏法を採用することで獲得出来た、新しい吹奏表現。ジャズの表現の幅がグッと広がったんやなあ、と実感する。

CDでのリイシューでは、4曲目の「Right Now」のAlternate Versionが追加されているが、この演奏が興味深い。バックは懸命にモーダルな演奏で、マクリーンをサポートするのだが、当のマクリーンは、半分、完璧フリーな吹奏でアドリブ・フレーズを展開する。一生懸命モードをやってるバック置き去りの「掟破り」(笑)。録音当時、未発表音源となったのが良く判る。が、マクリーンは、完全にフリーな吹奏にチャレンジしている。

マクリーンは進化するアルト・サックス奏者というが、この盤では、マクリーン流モード・ジャズを自家薬籠中のものにした、どころか、フリー・ジャズな吹奏にも、チャレンジし始めているところが垣間見える。進化するアルト・サックス奏者であるマクリーンが、既に次のステップを見据えていることを示唆する、興味深いアルバムである。
 
 

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2024年9月24日 (火曜日)

「進化する人」の面目躍如な盤

ジャキー・マクリーンは「進化の人」。一つのジャズの演奏トレンドで実績を上げたからと言って、その演奏トレンドに安住することは無かった。メンバーを厳選し、若手からも新しいアイデアを学び、自分のものとしつつ、ジャズの新しい演奏トレンドに挑戦し、自分の演奏スタイルに取り入れていく。1960年代のマクリーンは「モード・ジャズへ挑戦し、自家薬籠中のものとする」が目標。

Jackie Mclean『Action Action Action』(写真左)。1964年9月16日の録音。ブルーノートの4218番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Charles Tolliver (tp), Bobby Hutcherson (vib), Cecil McBee (b), Billy Higgins (ds)。

マクリーンのアルト・サックスと、当時、新進気鋭のチャールズ・トリヴァーのトランペットがフロント2管のクインテット編成。ハッチャーソンのヴァイブがいるので、モードからフリーをやるには、ピアノはフレーズがぶつかる可能性がある。だからピアノレス。

1970年代のメインストリーム・ジャズで活躍する、トランペットのチャールス・トリヴァー(録音当時22歳)と、ベースのセシル・マクビー(録音当時29歳)が参加している。ドラムのビリー・ヒギンスも録音当時28歳。ヴァイブのハッチャーソンだって、録音当時まだ23歳。リーダーのジャキー・マクリーンだって、録音当時33歳。実に若い、新進気鋭のクインテットである。

このメンバーの中で、年齢的に、ハードバップの洗礼をガッツリ受けているのは、マクリーンだけ。ヒギンスはかすっている程度。残りのトリヴァー、マクビー、ハッチャーソンについては、ハードバップは二十歳前で、その成果を聴いて学ぶ立場。ハードバップの流行の中で、実際にバリバリ演奏していた訳ではない。
 

Jackie-mcleanaction-action-action  

 
この盤の演奏は「モード・ジャズ」なんだが、新主流派のモード・ジャズとはちょっと異なる、完璧にモーダルな演奏なのだ。というのも、新主流派のモード・ジャズは、担い手は、ハードバップで活躍していた一流ジャズマン。

ハードバップに相対するモード・ジャズという表現がメインで、ハードバップとモード・ジャズが混在しつつ、そんな中でモード・ジャズの特質を全面に押し出す、という演奏傾向があると僕は感じる。モード・ジャズに相対するハードバップが必ず存在するのだ。

しかし、このマクリーン盤は、ハードバップの影が相当に薄い。テーマ部から、モーダルなフレーズを流しつつ、アドリブ部では純粋なモーダルな展開をベースに、純粋なアドリブ・フレーズを吹きまくる。それも、限りなく自由度の高いモーダルなフレーズを連発、時に、フリーに傾くこともある、当時としては、先進的なモード・ジャズがこの盤に詰まっている。

前作『Destination... Out!』で、「マクリーンの考えるモード・ジャズ」のほぼ完成を見た訳だが、この『Action Action Action』では、それをさらに一歩進めて、「マクリーンの考えるモード・ジャズ」を自家薬籠中のものとしている。「進化する人」の面目躍如。やはり、ジャキー・マクリーンは「進化の人」である。
 
 

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2024年9月23日 (月曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・31

ジャズの「奏法&演奏トレンド」の中で、よく出てくるものが「モード・ジャズ」。モード奏法をメインに展開するジャズのことだが、ジャズを聴き始めて、ジャズの勉強を始めて、まず、ぶち当たるのが「モード奏法」。

モード・ジャズとは「コード進行よりもモード (旋法)を用いて演奏される」ジャズ。1950年代後半以降、従来の和声(コード)に基づく即興演奏を、より自由に発展させるために編み出された奏法。ジャズの奏法の中で、言葉で説明すると何が何だか判らない奏法なんだが、音を聴くと「たちどころに判る」不思議な奏法である。

僕は、このモード奏法を、マイルスの『マイルストーン』と、ハンコックの『処女航海』で体感した。コードに合わせてアドリブを展開するハードバップの響きでは無い、基音をベースとしてアドリブを展開する、新しい響きのモード・ジャズが、この2枚のアルバムに詰まっていた。そして、マイルスの『カインド・オブ・ブルー』を聴いて、その盤に詰まっている「モード奏法」の凄さを理解した。

Herbie Hancock『Maiden Voyage』(写真左)。1965年3月15日の録音。ブルーノートの4195番。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (p), Freddie Hubbard (tp), George Coleman (ts), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。邦題『処女航海』。マイルス・スクールで、直接、帝王マイルスの薫陶を受けた(ハバードは除く)若き精鋭達で構成されたクインテットの名演集。

この盤の演奏は、若き精鋭たちの「モード・ジャズ」の記録である。全ての曲がモード奏法で展開される。ハードバップの演奏とは全く雰囲気、響き、フレーズが全く異なる「モード奏法」が、聴いていてとてもよく判る。
 

Herbie-hancockmaiden-voyage

 
この盤はブルーノート・レーベルで製作されリリースされているが、当時のブルーノートは、リハーサルにまでギャラを払うことで有名で、演奏者達は何の拘りも無く、しっかりとリハーサルを積む。なんせギャラが出るのだ。

しかし、演奏者達は一流のジャズマン達で、リハーサルをしっかり積めば、本番の演奏の内容・精度は非常に高いものになる。恐らく、それが、総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオンの狙いだったのだろう。

この『処女航海』というアルバムも、しっかりリハを積んだと感じる、内容・精度ともに非常に高いパフォーマンスが展開される。しかも、この盤の演奏は「モード」を基調としている。モードを基調として演奏について、しっかりリハを積んで本番に望んでいる。結果、この盤での「モード奏法」は、モード奏法の最高のサンプルの一つであり、モード奏法を体感するのに最適なアルバムとなっている。

モード奏法は、その奏法に関する手法は多種多様。バンド全体で統一感のあるモード奏法を展開するには、「モード奏法の基本的考え方」をメンバーで共有する必要がある。ブルーノートは、リハにギャラを払うくらいにリハの重要性を認識していて、特にモードの演奏に必要な「モード奏法の基本的考え方」のメンバー間共有を、このリハの中でしっかりさせていたと睨んでいる。

なぜなら、1960年代のモード・ジャズといえば、まずはブルーノートを聴け、と言われるくらい、ブルーノートの4000番台から4200番台には、モード・ジャズの優れたアルバムが沢山あるのだ。

この『処女航海』は、「ハンコックの考えるモード・ジャズ」に則ったモード・ジャズが展開されており、それが実に優れた内容となって、この『処女航海』はジャズ名盤として、21世紀に入っても語り継がれているのだ。
 
 

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  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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2024年9月22日 (日曜日)

『Live Under the Sky ’83』

伝説的ジャズ・フェスティヴァル「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」の1983年でのライヴ・パフォーマンスの記録。ソニー・ロリンズのピアノレス、ギター入りカルテットの演奏で、ギターにパット・メセニーが参加。アルフォンソ・ジョンソンがエレベで、ドラムにポリリズムの名手、デジョネットが参入。

Sonny Rollins『Live Under the Sky '83』(写真左)。1983年7月31日、東京・読売ランド「Open Theatre East」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Pat Metheny (g, g-synth), Alphonso Johnson (el-b), Jack DeJohnette (ds)。

冒頭の22分の長尺演奏「Jack in the Box」の始まりから、聴衆は大盛り上がりのノリノリ状態。これが、1983年の日本のジャズの野外ライヴでのノリである。日本人もこの頃になると、野外ライヴで盛り上がり、ノリノリになっていて、このロリンズのライヴも、会場のとても良い雰囲気でのライヴ・パフォーマンスになっている。

ロリンズは吹きまくる。野外ライヴは「お祭り」。豪快にノリノリでシンプルに吹きまくる。これがロリンズの真骨頂。コードやモードなど、フリーやスピリチュアルなど関係なく、モダン・ジャズのテナーを吹きまくる。当時、ロリンズは53歳。天才ロリンズの心身共に充実した中堅の時代。「お祭り」向きに、豪快なテナーを吹きまくる。
 

Sonny-rollinslive-under-the-sky-83

 
バックの3人も、そんなロリンズに追従する。アルフォンソはエレベをブンブン言わせつつ、ファンキーなベースラインをこれでもか、と供給し、パット・メセニーは、いつになく、エモーショナルな「バップ」なギターを弾きまくる。ドラムのデジョネットに至っては、もうポリリズミックなドラムを叩きまくり、である。

続く「Coconut Bread」は、疾走感溢れるカリプソ・ナンバー。ロリンズお得意の陽気なカリプソ・ナンバー。これはもう演奏メンバーも皆、ノリノリ。特に、メセニーがギターシンセを熱くエモーショナルに弾きまくっている。こんなに熱いバップ・フレーズを弾きまくるメセニーは珍しい。会場のとても良い雰囲気が、メセニーにそんな熱いギター・シンセを弾かせたのだろう。

ラストは「Moritat (aka. Mack the Knife)」は、ジャズフェスならではの大サービス。あのロリンズの大名盤「サキソフォン・コロッサス」の中の有名曲。しかし、この「Moritat」では、お祭り仕様では無く、コンテンポラリーな純ジャズ仕様の、ガッツリ硬派なメインストリームな演奏を展開する。

メセニーのエレギはコンテンポラリーな創造性豊かなフレーズを聴かせてくれるし、デジネットのドラミングはポリリズムの極致。アルフォンソのエレベは硬派で正統派なソロ・パフォーマンスを聴かせてくれる。ロリンズはといえば....、あくまでマイペースのロリンズ節の連発(笑)。

もともとはブートレグの音源なので、音質はやや劣るが、鑑賞に耐える範囲にとどまっている。そんな音質を云々するよりは、このライヴ音源の演奏の熱気、会場の熱気の記録が素晴らしい。
 
 

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2024年9月21日 (土曜日)

グラスパーの ”Code Derivation”

ロバート・グラスパー(Robert Glasper)は、米国ヒューストン出身のアメリカ人のジャズ・ピアニスト。1978年4月5日生まれだから、今年で46歳。ジャズ界の中では中堅も中堅。一番脂が乗った、一番充実した年頃である。

僕はこのグラスパーについては、2012年の第55回グラミー賞で最優秀R&Bアルバム賞を受賞したアルバム『ブラック・レディオ』で出会っている。内容的には明らかに21世紀の「ニュー・ジャズ」。

ジャズをベースに、R&B、ヒップホップ、ラップ、ネオソウル、ゴスペル、ブルースなど、米国ルーツ・ミュージックから、ストリート・ミュージックまでの音楽要素を融合した、独自の「グラスパー・サウンド」を確立している。

Robert Glasper『Code Derivation』(写真左)。2024年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、以下の通り。

ジャズ・サイドとして、Robert Glasper (p, key), Walter Smith III, Marcus Strickland (sax), Keyon Harrold (tp), Mike Moreno (g), Vicente Archer (b), Kendrick Scott (ds)。

ラップ、ヒップホップとサンプリング・サイドとして、Jamari (rap), MMYYKK (rap), Oswin Benjamin (rap), Taylor McFerrin (vo, prod), Hi-Tek (prod), Black Milk (prod), Kareem Riggins (prod), Riley Glasper (prod)。

宣伝のキャッチを見ると「ジャズとヒップホップの違いと両者に共通する遺伝子にフォーカスしたアルバム」とある。
 

Robert-glaspercode-derivation

 
グラスパー曰く「ジャズは文字どおり、ヒップホップの原点なんだ。だから“Derivation(起源)”という言葉をアルバム・タイトルに使った。俺はこの2つのジャンルの巨匠たちとプレイしてきた。だから、自分のバンドで、友人たちと書いたジャズの曲を、友人であるドープなプロデューサーたちにサンプリングしてもらうというプロジェクトをやりたかったんだ」。

そんな理屈はともかく、このアルバムの基本は明確に「ジャズ」。現代のエレクトリックで静的で「スピリチュアル」なジャズの「縦横に広がる音世界」をバックに、モーダルなフレーズが展開され、ヒップホップをメインとした音要素とボーカルが有機的に融合した「グラスパー・サウンド」が展開されている。

現代の最先端を行くリズム&ビートを伴いつつ、サックス、トランペットの奏でるフレーズは、どこか懐かしい、1960年代のモーダルな響き、クロスオーバー・ジャズな、少しサイケでスピリチュアルな響き。サンプリングを駆使した音作りらしいが違和感は全く無い。しっかりとした、現代のコンテンポラリーな「ニュー・ジャズ」が展開されている様で、しっかりとした聴き応えを感じる。

クールでスピリチュアルなリズム&ビートが良い。とても充実している。やはり、ジャズの命は「リズム&ビート」。この「グラスパー・サウンド」独特のリズム&ビートが、この盤の音世界の「キモ」。

各楽器の響きとフレーズは明らかに「ジャズ」。そこにラップやヒップホップが絡むのだが、これがまあ「違和感ゼロ」。グラスパーの言う「ジャズは文字どおり、ヒップホップの原点」という意味が、このアルバムの演奏の数々を聴いて、実に良く理解できる。

実験的な側面を持つ企画盤であるが、そんな「実験臭さ」は全く感じない。僕は、このアルバムを、21世紀の、現代のコンテンポラリーなニュー・ジャズと聴いた。ジャズの最大の特質である「融合」を最大限に生かして、新しい「融合ジャズ」の音世界を聴かせてくれる。
 
 

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2024年9月20日 (金曜日)

ジョンアバとジョンスコの共演

ジョン・アバークロンビー(John Abercrombie、以降「ジョンアバ」と略)。基本、ECMレーベルのハウス・ギタリスト的位置付け。欧州ジャズらしい、彼しか出せない叙情的なサスティーン・サウンドが、とにかく気持ち良い。

ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降「ジョンスコ」と略)。不思議に「ねじれた」というか、ちょっと外れた、というか、とにかく一聴するだけで「ジョンスコ」と判る、とても個性的なギター。時には「変態ギター」とも言われる。でも悪い意味での「変態」では無い。良い意味での「変態」である。

John Abercrombie & John Scofield『Solar』(写真)。1982年5月と1983年12月の録音。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g, el-mandolin (track: 3, 5)). John Scofield (g), George Mraz (b (track: 3, 5, 7)), Peter Donald (ds (track: 3, 5, 7))。ジョンアバとジョンスコのデュオと、ジョンアバ・ジョンスコの2フロント・ギターの変則カルテット編成の2パターンを収録している。

ジョンアバとジョンスコ、どちらも米国出身のギタリストだが、ジョンアバは欧州的な抒情的なギターが個性、ジョンスコは個性的な、良い意味での「捻れた変態エレギ」を駆使して、新しいジャズ・ギターのイメージを拡げてきた。恐らく、現代のジャズ界の中での、コンテンポラリーな「エレクトリック・ジャズ・ギター」の最高峰の二人だと思う。

そんな二人がデュオをやり、フロント2ギターを二人で張って、ドラムとベースを従えたカルテット演奏をやる。これが絶品。ジョンアバとジョンスコ、二人のエレギが、こんなに相性が良いとは思わなかった。
 

John-abercrombie-john-scofieldsolar

 
まず、ジョンスコが「ねじれた」ギターを控えた形でジョンアバと相対しているのが、良い効果を生んでいる。ジョンアバの抒情的なギターは基本は「バップ」。ジョンスコは、このジョンアバの基本である「バップ」に適合して、素晴らしい二人のパフォーマンスを生み出している、と僕は思っている。

ジョンスコがバップに適合すると、そのギターの雰囲気はジョンアバに近しいものになる。近しいものになると、二人のデュオは「極上」なものに昇華する。どちらかのギタリストが他方のギタリストに合わせると、音色も似通ったものになって、デュオとしては失敗に近い形にあるのだが、この二人はそうはならない。

ジョンアバの「バップ」は、抒情的でダンディズム溢れるギターで、ジョンスコの「バップ」は、ジャズ・ファンク、そして、ワールド・ミュージック志向なフレーズが見え隠れするワールド・ワイドなギター。この二人のギター、雰囲気は似ているが、そのパフォーマンスは「似て非なるもの」。この二人のデュオの共演が大成功している。

演奏されるそれぞれの曲については、哀愁があってメロディアスに展開していくもの、フォーキーで爽快感のある米国の広大なプレーリーを想起するようなもの、ウェス風の流麗でファンキーでハードバップなもの、お得意の浮遊感が素敵な静かなバラード、ロック・ビートを活かしたシンプルでクールな感覚、落ち着いたメロディアスなエレギを弾き上げていく様な素敵な展開など、バラエティーに富んでいる。

コンテンポラリーなエレクトリックなジャズ・ギター好き、ひいてはジャズ・ギターを弾きたい人まで、広く「ジャズ・ギターの必聴盤」の一枚だと思います。そうそう、この盤、ジャケットのバージョンが複数あるので、気をつけてくださいね。
 
 

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2024年9月19日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・30

ジョン・コルトレーンは、ジャズの歴史上、最重要レジェンドの一人。ジャズ・テナーのスタイリストで、コルトレーン・スタイルのテナーは、コルトレーン逝去以降、ジャズ界のテナー吹奏のスタンダードとなっている。

逆に、そんな最重要な存在であるが故、コルトレーン入門盤のチョイスは重要で、変に難解な盤を聴いてしまうと、ジャズ者初心者としては、以降、コルトレーンを敬遠する可能性がある。ジャズ者の先輩としては、ジャズ者初心者のうちに、コルトレーンはしっかりと聴いて欲しい。敬遠されては困る。

John Coltrane『A Love Supreme』(写真左)。邦題『至上の愛』。1964年12月9日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts,vocals), McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds, gong, timpani)。

コルトレーンの超有名盤である。コルトレーン・ミュージックの神髄、コルトレーンの最高傑作との評価されるアルバムで、我が国ではコルトレーン信者が数多であるが故、語り尽くされた感のあるアルバムである。とにかく、皆「絶賛」のアルバムである。

どこがどう凄いか。ネットの中でも多くの方々が熱く語っておられるので、それらを読んでいただいた方が早いと思うのだが、一応、ここでも、このアルバムの評価ポイントを押さえておきたい。

「聴きどころ」は3つ。1つ目は「卓越したアレンジ&作曲能力」、2つ目は「独特なバラード解釈」、3つ目は「高速ブロウ=シーツ・オブ・サウンド」。この3つの個性・特徴がコルトレーンの魅力なんだが、この「聞きどころ」の全てを、この『至上の愛』というアルバムは包含している。
 

John-coltranea-love-supreme

 
が、このアルバムの最大の特徴は、このアルバム全体を覆う「宗教性」。コルトレーンはこのアルバムを『神への小さな捧げもの』と呼んでいる。このコルトレーンの『A Love Supreme』は、全体が一つの曲で、「承認」「決意」「追求」「讃歌」という四つの楽章からなる組曲の構成で、この組曲形式のアルバムのテーマは「神」であり、宗教的な組曲ともいうべき作品。

ジャズのアルバムとして、テーマを「神」とする企画は「異質」であり、ジャズとしてメインストリームなものではない。このアルバムは、コルトレーン個人としての「宗教的な告白と祈りの音楽」である。このアルバムでは、コルトレーンは「A Love Supreme♪」という祈りの唄声を披露し、家族~友人への感謝を込めた「自筆ライナーノーツ」まで手がけている。

この「自己の音楽性を追求している感」と、前述の「個性・特徴がコルトレーンの3つの魅力」の全てを、この『至上の愛』というアルバムは包含しているところを、グローバル・レベルで評価されていて、このアルバムはコルトレーンの最大の名盤、とされる。ジャズ盤紹介本などでは、この『至上の愛』を、ジャズ者初心者向けの推薦盤としているものも沢山ある。

が、「宗教性」を全面に押し出した企画盤であるが故、ジャズ者初心者の方々に向けては難度が高い。コルトレーンの「3つの聴きどころ」である、「卓越したアレンジ&作曲能力」「独特なバラード解釈」「高速ブロウ=シーツ・オブ・サウンド」、この3つの個性・特徴を愛でることの出来るコルトレーンのリーダー作は他にも沢山ある。

確かに、演奏の内容はジャズの最高峰の演奏である。伝統的なジャズ演奏の最高峰の演奏内容である。しかし、いきなり「A Love Supreme♪」と19回も唱和する「宗教性」の強いアルバムでの、初めてのコルトレーン体験はきついだろうなあ、と聴き直してみて、改めて思う。ジャズ者初心者の方々が、このアルバムに手を出す時は、この盤の背景、内容を予習して、その予習内容を良く理解してから、ジックリと聴き込んで欲しい。
 
 

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2024年9月18日 (水曜日)

ナットのエレ・ジャズ・ファンク

9月も半ばを過ぎたというのに「暑い」毎日である。熱中症を警戒の「引き篭もり」の日々がまだ継続中。確実に運動不足になりつつあるのでが、これはこれで仕方がない。涼しくなったら、せっせとウォーキングをしてリカバリーする予定。

「引き篭もり」の部屋の中で聴くジャズ。硬派な純ジャズをメインに聴き続けてきたら、流石に「飽きてきた」。ふっと思い出したのが「CTIジャズ」。純ジャズの耳安めに、8月中は「ボサノバ・ジャズ」を聴いていたが、9月に入って、流石にボサノバでもないよな、ということで止めた。そう、9月の純ジャズの耳休めは「CTIジャズ」である。

Nat Adderley『You, Baby』(写真)。1968年3, 4月、Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Nat Adderley (cornet), Jerome Richardson (ss, fl), Joe Zawinul (el-p), Ron Carter (b), Grady Tate (ds) が演奏のメインのクインテット。ナットのトランペットとリチャードソンのソプラノ&フルートがフロント2管。

そこに、以下の伴奏隊がつく。Harvey Estrin, Romeo Penque, Joe Soldo (fl), George Marge (fl, oboe), Al Brown, Selwart Clarke, Bernard Zaslav (viola), Charles McCracken, George Ricci, Alan Shulman (cello), Bill Fischer (arr, cond)。フルートが大活躍、オーボエの独特な音色、弦はチェロとヴィオラだけのユニークな編成。

聴いてズバリ、CTIサウンドによる「エレクトリック・ジャズ・ファンク」である。イージーリスニング志向でありながら、甘いサウンドでは無い。意外と硬派でしっかりと趣味の良いビートの効いたソフト&メロウなジャズ・ファンクである。
 

Nat-adderleyyou-baby

 
そんなビートの効いたソフト&メロウなジャズ・ファンクな雰囲気の中で、ナットの繊細で流麗な電気コルネットが、ファンクネスを漂わせながら、ソウルフルなフレーズを奏でていく。バリバリと吹くのでは無い、繊細に流麗にリリカルに電気コルネットを吹き上げる。このナットのコルネットのプレイが印象的。

エレピを担当するのは、ジョー・ザヴィヌル。ナットとは、兄のキャノンボールのバンドで一緒だったが「犬猿の
仲」だったらしい。しかし、この盤では、ザヴィヌルの流麗で耽美的でファンキーなエレピが実に良い雰囲気を醸し出している。このザヴィヌルのエレピの音色とフレーズが、この盤の「趣味の良いビートの効いたソフト&メロウなジャズ・ファンク」の音作りを決定付けている。

収録されたどの曲も「趣味の良いビートの効いたソフト&メロウなジャズ・ファンク」として良い雰囲気を醸し出しているが、2曲目のカントリーのヒット曲「By the Time I Get to Phoenix」や、3曲目のナット作「Electric Eel」や、4曲目のザヴィヌル作の「Early Chanson」辺りは聴き応え十分。

8曲目の「New Orleans」は、ソウルフルな演奏が印象的。9曲目「Hang On In」は8ビートの流麗なバラード、そして、ラストの「Halftime」は、マーチングを融合させたジャズ・ファンクで大団円。

ナットの吹くセルマー社の電化コルネットが実に効果的に響く、CTIの「エレクトリック・ジャズ・ファンク」の佳作の一枚。内容的に硬派なジャズ・ファンクなので、「スピーカーに対峙してジックリ聴き込む」にも十分に耐える好盤です。
 
 

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2024年9月17日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・29

ジャズを聴き始めの「ジャズ者初心者」の方々向けに、様々な入門盤紹介本や、初心者向けのジャズ盤紹介本が刊行されている。どれもがほぼ同じアルバムを言葉を変えて紹介しているので、どの紹介本を買ってもあまり変わりがない。

これって、差し障りのない、全方向のオールマイティーな盤を選択している訳で、ジャズを聴いてみたい、聴いてみようという向きには「隔靴掻痒」の感は否めない。

Oscar Peterson『We Get Requests』(写真左)。1964年10月19日、11月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Ray Brown (b), Ed Thigpen (ds)。邦題『プリーズ・リクエスト』。ピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」の名盤であり、長年所属したヴァーヴ・レコードでの最終作である。

あまりにテクニックが優秀で破綻がなく、テクニックをひけらかすことも無い。ドライブ感が相当に高く、スイング感が半端ない。歌心も趣味が良く、耽美的でリリカルなもの、バップばりばりの疾走感のあるもの、何でも弾きこなす才能の高さは唯一無二。

このジャズ・ピアニストとして「優等生」なピーターソンについて、20世紀の我が国のジャズ評論家筋では評判が良くない。どころか「スイングの権化」と揶揄する評論家が出てくる始末。この我が国での偏った評価が、ジャズ者の「聴くべきピアニスト」から除外されるケースを引き起こしているから厄介である。
 

Oscar-petersonwe-get-requests  

 
ただし、この『プリーズ・リクエスト』を聴けば、それが偏った評価であることに気が付く。この盤でのピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」は、ピアノ・トリオの最高峰の一つであり、ピアノ・トリオの目標となる優れたユニットである。

収録された全10曲中、ピーターソンのオリジナルは10曲目の「Goodbye J.D.」だけ。残りの9曲はジャズ・スタンダード曲。このジャズ・スタンダード曲が聴きもので、アレンジが絶妙。そのアレンジも、そんじょそこらのものでは無く、このピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」だけが完璧に演奏出来る、かなり高度なアレンジである。

ジャズ・ピアノ・トリオが、メンバーを厳選して相性が合えば、相当な表現力と訴求力を発揮することが出来ることを、このピーターソンの「黄金の“ザ・トリオ”」の演奏が証明している。

優れた演奏とは、一聴すると「シンプル、単純」に聴こえて、ジャズ者初心者ほど「誰でも演奏できるレベルで聴く価値なし」と思ってしまうのだが、それは間違い。テクニックが優秀な演奏ほど、優れたアレンジに出会うと、耳当たりの爽快な、スイング感&ドライブ感抜群の「聴きやすい」演奏に昇華する。

その耳当たりの爽快な、スイング感&ドライブ感抜群の「聴きやすい」演奏こそが、ジャズを聴き始めの「ジャズ者初心者」の方々にピッタリの入門盤なのだ。この『プリーズ・リクエスト』は、ジャズ者初心者向けのジャズ・ピアノ・トリオ入門盤の最初の一枚、と僕は評価している。
 
 

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2024年9月11日 (水曜日)

チック&オリジンの ”Change”

確かに、チックって、いつも、質の良い「ジャズの新しい何か」を提示してくれるのだが、世の中に受けないと思ったら、一旦、さっさと撤収することが多いので、このチックの提示する「ジャズの新しい何か」に違和感を感じた方々は、やっぱりチックもそう思って引っ込めた、と勘違いしているきらいがある。

Chick Corea & Origin『Change』(写真左)。1999年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, marimba), Bob Sheppard (b-cl, fl, bs, as, ss, ts), Steve Wilson (cl, fl, as, ss), Steve Davis (tb), Avishai Cohen (b), Jeff Ballard (ds), チック・コリア&オリジンとしては初のスタジオ録音。

リード楽器 x2+トロボーンのフロント3管のセクステット編成。まるで、1960年代のジャズ・メッセンジャーズの様な編成である。しかし、出てくる音は全く異なる。今回、改めて聴いてみて、21世紀に入って、その演奏トレンドが顕著となる「ネオ・ハードバップ」の走りの様な内容に、ちょっとビックリ。

モード&コードのごった煮な展開は1960年代と同じだが、限りなくフリーに展開しているところが耳に新しい。それも、激情に任せた、本能に赴くままの展開ではなくて、あくまで理知的に、あくまでクールに、限りなくフリー&スピリチュアルに展開しているところが新鮮。
 

Chick-corea-originchange

 
モードな展開も、コードな展開も理知的でクール。出てくるフレーズはファンクレス。欧州の純ジャズ的な透明度の高い、理路整然としたクールな展開。米国出身のジャズマンが中心のセクステットで、欧州の純ジャズ的な展開をする。この辺りは、21世紀に入って、ECMレーベルが標榜した「メインストリーム・ジャズのボーダーレス化」に通じるものがある。

米国ジャズの面々が欧州な純ジャズをやるのだから、この盤がリリースされた当時は、皆、違和感を感じたのだろうな。故に、このチック・コリア&オリジンは全く話題にならなかったどころか、チックはもう終わった、なんて揶揄されたものだ(笑)。

このチックがオリジンで提示した「ジャズの新しい何か」は、最終的に、トリオ演奏に焼き直されて、2006年の『Super Trio』で再提示され、今度は世の中から受けに受け、評価されるのだから、面白いといえば面白いし、当時、チックはもう終わった、なんて揶揄した方々については、意外と無責任やなあ、とも思ったりする。

チックのピアノのフレーズはどこから切っても「チック流」の響きが満載だし、リズム隊としては、ジェフ・バラードの変幻自在、硬軟自在なドラミングは、後の「ネオ・ハードバップ」の響きが満載。オリジンとしての個性的なグループサウンズの響きはしっかりとキープされていて、スタジオ盤として、良好な出来だと思う。
 
 

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2024年9月10日 (火曜日)

良い, Senri Oe『Class of ’88』

大江 千里(おおえ せんり、英語: Senri Oe)、1960年9月生まれ。今年で64歳。1983年に、シンガーソングライターとしてプロ・デビュー。「十人十色」「格好悪いふられ方」「Rain」「ありがとう」などのシングルがヒット。Jポップの世界でメジャーな存在となる。

が、2008年ジャズピアニストを目指し渡米、NYのTHE NEW SCHOOL FOR JAZZ AND CONTEMPORARY MUSICに入学。2012年、1stアルバム「Boys Mature Slow」でジャズ・ピアニストとして本格デビューを果たしている。以降、6枚のオリジナルジャズアルバムをリリース。そして、昨年の5月、大江千里デビュー40周年記念アルバムをリリース。

Senri Oe『Class of '88』(写真左)。2023年5月のリリース。NYブルックリンの「The Bunker Studio」での録音。Senri Oe "大江千里" (p), Matt Clohesy (b)、Ross Pederson (ds)。

ピアノの大江千里をリーダーにした、ピアノ・トリオ編成の、デビュー40周年記念アルバムである。ジャケ担当は江口寿史。素晴らしいジャケ・イラスト。この大江千里のアルバムの内容に直結している様なイメージで秀逸。

宣伝文句には「Jポップ時代の名曲のセルフカバーと新曲が収録された作品」とあるが、それがこのトリオ盤の評価には直結しないだろう。「Jポップ時代の名曲のセルフカバー」が、当アルバムの「売り」なんだろうが、このアルバムをしっかり聴けば良く判るが、「Jポップ時代の名曲のセルフカバー」など、あまり関係がないことに気が付く。
 

Senri-oeclass-of-88  

 
収録されたどの曲も、印象的なフレーズを伴った、流麗な曲ばかり。どれが「Jポップ時代の名曲のセルフカバー」で、どれが自作曲なのか、ほとんど関係が無い。とにかく「良い曲」がズラリと並んでいる。

そんな「良い曲」を「良いアレンジ」で料理して、ピアノ・トリオ演奏で聴かせる。ジャズ・ピアニスト大江千里の面目躍如な想像の成果。「Jポップ時代の名曲」は、ピアノ・トリオ演奏の素材でしかない。

ミッドテンポがメインの、耽美的でリリカルでスピリチュアルなフレーズ。温和で温厚で耽美的なスピリチュアルな響きが印象的。これが、大江千里のピアノの個性と理解する。今までのジャズ・ピアノの歴史の中に無かった、「温和で温厚で穏やか」な、耽美的スピリチュアル・ジャズな響き。大江千里のピアノは、どれもが普遍的に「温和で温厚で穏やか」。これが意外と癖になる。

この盤の大江千里のジャズ・ピアノを聴けば、彼が「彼なりの個性」と「彼ならではの響き」を獲得していることに気づく。この盤には、Jポップ時代のシンガーソングライターの大江千里は全く存在しない。存在しているのは、努力の結果、自分なりの個性と響きを獲得した、ジャズ・ピアニストの大江千里。

この盤は、デビュー40周年記念アルバムとはいえ、現時点での、リアルタイムでの「ジャズ・ピアニストの大江千里」を愛でる盤である。
 
 

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2024年9月 9日 (月曜日)

ソウルフルなグラント・グリーン

昨日から、ブルーノート御用達、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなグラント・グリーンのギターに着目、まだ、当ブログで記事化していないリーダー作を順に聴き直している。特にグリーンのキャリアの後半に未記事化のリーダー作が集中しているので、せっせと聴き直し、である。

Grant Green『Alive!』(写真左)。1970年8月15日、ニュージャージーの「クリシェ・ラウンジ」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Neal Creque (org, tracks 2 & 5), Ronnie Foster (org, tracks 1, 4) Idris Muhammad (ds), Joseph Armstrong (congas)。

爽快なライヴ盤。グラント・グリーンの「独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーな」ギターの周りを固めるのは、サックスにクロード・バーティ、オルガンにロニー・フォスター&ニール・クリーク 、ドラムにアイドリース・ムハマッド、ヴァイヴにウィリー・ビヴェンズ、コンガにジョセフ・アームストロング。

ハードバップ期からファンキー・ジャズ期に活躍したジャズマンの名前はなく、どちらといえば、R&B畑のミュージシャンがジャズに参入しているイメージで、演奏全体の雰囲気は、R&B志向が漂うソウル・ジャズ。そう、この盤には、ソウル・ジャズをやるグラント・グリーンが存在しているのだ。
 

Grant-greenalive

 
ファンキー・ジャズのグリーンに比べると、確かにポップになってはいるが、基本はジャズ。R&B志向は強いが、唄うようなアドリブ・フレーズは確実にジャジー。主旋律はR&Bの如く唄う様に、ちょっと上質のイージーリスニング・ジャズっぽく弾くが、アドリブ展開はメインストリーム志向のソウル・ジャズ。

グリーンのギターの「独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーな」本質は変わらないのだが、バックを固める、R&B畑のジャジーな演奏が、良い「ソウル・ジャズ」なグルーヴを醸し出していて、このグルーヴに乗ったグリーンのギターが「ソウル・ジャズ」に染まっていくのが良く判る。

ソウルフルなグラント・グリーンがこのライブ盤に溢れている。CDリイシューでは、オリジナルLPには未収録だった3曲がボートラとして追加されているが、このボートラは邪魔にならない。

オリジナルLPに収録されても、全く違和感の無い、熱くソウルフルな演奏で、この盤はCDリイシュー盤で聴きたい。ラストのハンコック作の「Maiden Voyage(処女航海)」のソウル・ジャズなバージョンには思わず、喝采の声をあげたくなる。
 
 

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2024年9月 8日 (日曜日)

ヴァーヴのグラント・グリーン

9月になった。それでも、真夏日の日々は変わらない。まだまだ、長時間の外出は控えねばならない。熱中症の警戒しての昼下がりの「引き籠もり」の日は続く。引き篭もりの折には、ジャズを聴く。8月は「ボサノバ・ジャズ」だったが、9月になっても、ボサノバ・ジャズはなあ、ということで、なぜか「ファンキー・ジャズ」である(笑)。

Grant Green『His Majesty King Funk』(写真左)。1965年5月26日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Harold Vick (ts), Larry Young (org), Ben Dixon (ds), Candido Camero (bongo, congas)。グラント・グリーンといえば、キャリアのほぼ大半がブルーノート所属の、ブルノートのハウス・ギタリスト的な存在だった。パーソネルだけを見れば、ブルノートからのリリースかと思う。

が、この盤は、パーソネルはブルノートのイメージを借りているが、当時の大手レコード会社であった「ヴァーヴ」からのリリースである。グラント・グリーンの1950年代〜1960年代のディスコグラフィーの中で、この版だけがヴァーヴ・レコードからのリリース。プロデューサーは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人「クリード・テイラー」である。

ブルーノートでのグラント・グリーンのリーダー作においては、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギターを弾きまくるのが、グリーンの身上。しかし、この盤については、聴き易さを追求した様な、ポップで親しみ易く判り易い、一般大衆向け、イージーリスニング志向のファンキー・ジャズに仕立て上げられている。これは、プロデューサーのクリード・テイラーの仕業であろう。
 

Grant-greenhis-majesty-king-funk

 
この盤と同様な「イージーリスニング志向のファンキー・ジャズ」のコンセプトで、同時期にブルーノートからは『I Want to Hold Your Hand』が出ているが、こちらは、レノン=マッカートニーの「I Want to Hold Your Hand(抱きしめたい)」の、ビートルズ・ナンバーのカヴァーを目玉にした、グリーンのギターの力量とテクニックの素晴らしさが実感できる秀逸な内容だった。これは、やはり、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの優れた手腕の賜物だろう。

さて、この『His Majesty King Funk』、ヴァーヴのクリード・テイラーとしては、二匹目のドジョウならぬ「二人目のウエス・モンゴメリー」を、グラント・グリーンに求めたのではないだろうか。しかしながら、グリーンは自らの「身上」の根底を曲げることはなかった様で、クリード・テイラーの指導よろしく、ちょっとポップでイージーリスニング志向に傾いてはいるが、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギターを弾きまくるスタイルは変えていない。

しっかり耳を傾ければ、グリーンのギター自体は、ブルーノート時代と変わっていないことが判るのだが、ちょっとポップでイージーリスニング志向の雰囲気が漂う分、この盤は、一部では「聴く価値無し」と酷評されている。が、ポップでイージーリスニング志向に傾いた「独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキー」なグラントのギターは、意外と聴き心地が良い。こういうグリーンもたまにあっても良いのでは、と僕は気軽に思っている。

このヴァーヴの『His Majesty King Funk』は、ブルーノートの『I Want to Hold Your Hand』と併せて、ポップでイージーリスニング志向に傾いた「独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキー」なグラントのギターを楽しむ、グリーンの「企画盤」の一枚だと僕は評価している。「気軽に聴けるグリーン盤」の一枚でしょう。
 
 

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2024年9月 7日 (土曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・28

今日で「僕なりのジャズ超名盤研究」シリーズの三日連続の記事化。小川隆夫さん著の『ジャズ超名盤研究』の超名盤を参考にさせていただきつつ、「僕なりのジャズ超名盤研究」をまとめてみようと思い立って、はや2年。やっと第1巻の終わりに差し掛かってきた。

Lee Morgan『The Sidewinder』(写真左)。1963年12月21日の録音。ブルーノートの4157番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), Barry Harris (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。リリース当時、ビルボード・チャートで最高25位を記録し、ブルーノート・レーベル空前のヒット盤となった。ジャズ史上においても、屈指のヒット盤である。

この盤も、僕がジャズ者初心者の頃、よく聴いた。なんせ、冒頭のタイトル曲「The Sidewinder」が、8ビート・ジャズで格好良いのなんのって。この曲が、8ビートを取り入れた「ジャズロック」の走りで、「実はブルースなんだが、8ビートに乗っているので、スピード感溢れる切れの良いブルースに仕上がった」という逸話を知ったのは、ジャズを聴き始めて10年くらい経ってから。

ただ、この盤、冒頭の「The Sidewinder」が、8ビートのジャズロックなブルースだからといって、全編、ジャズロックのオンパレードかと思いきや、それが違うのだからややこしい。この盤の評論にも「この盤は、いち早くロックのリズムを取り入れ、それに成功したジャズ盤」と堂々と書いているものもあるが、これって、2局目以降の演奏を聴かずに書いたとしか思えない。
 

Thesidewinder_1

 
ジャズ者初心者にとって、この盤を全編8ビートの「ジャズロック」が満載だと勘違いすると、この盤は辛い。2局目以降は、2曲目以降、4ビートの曲もあるし、6拍子の曲もあって、様々なリズム・アプローチを試みたハードバップ盤の様相で、この盤は「様々なリズム・アプローチを試みたファンキー・ジャズ盤」と言える。

加えて、トランペットのモーガン、テナーのジョーヘン、共にアドリブ展開は「モード」を基本として、吹きまくっている。それぞれ、モーガンなりのモード展開、ジョーヘンなりのモード展開で、疾走感溢れるアドリブ・フレーズを吹きまくっていて、それまでのコードがメインのハードバップとは、音やフレーズの響きが全く異なる。当時としては、新鮮な響きを宿した、新しいハードバップとして捉えられていたのではなかろうか。

よって、この盤、キャッチャーでポップな、冒頭のジャズロック曲「The Sidewinder」に惑わされがちだが、ジャズ者初心者の入門盤としては、ちょっと難易度が高いと思う。

逆に、ジャズを聴き始めて、ジャズに興味が湧いて、様々なスタイルのジャズを聴いてみたいと思った時に、様々なビートに乗った、聴きやすい「モード・ジャズ」を体験するには最適の盤だと思う。特に、8ビートに乗った「モード・ジャズ」は、聴いていて「モード」をとても理解し易いと僕は思う。

ジャズロックを始めとした「様々なリズム・アプローチを試みたファンキー・ジャズ盤」として、この盤は内容充実であり、そういう切り口でこの盤は、ジャズの「超名盤」だと言える。ゆめゆめ、ジャズロック曲「The Sidewinder」が入っているから「超名盤」だとは解釈しないで欲しい。それだけ、この盤、ジャズロック曲「The Sidewinder」以外が充実しているのだ。
 
 

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2024年9月 6日 (金曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・27

この盤は、僕がジャズ者初心者の頃、よく聴いた。確か、当時、大手レコード屋が、ジャズ者初心者向けにアルバム紹介の冊子を配っていて、それをもらって、片っ端から「購入しては聴く」を繰り返していた。全40枚あったと思う。

そんな中に、このアルバムはあった。ジャケは「秋の公園のベンチで日向ぼっこをして寛ぐ老人の男性」の写真をあしらっていて、ちょっと違和感があったが、思い切って購入したのを覚えている。

Horace Silver『Song for My Father』(写真左)。1963年10月31日、1964年10月26日 の2回のセッションの寄せ集め。ここでは、CDリイシュー時のボートラの扱いは割愛する。ちなみにパーソネルは、当然、以下のの2つの編成に分かれる。

1963年10月31日の録音(#3, 6)が、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Roy Brooks (ds)。1964年10月26日(#1. 2. 4. 5)の録音が、Horace Silver (p), Carmell Jones (tp), Joe Henderson (ts), Teddy Smith (b), Roger Humphries (ds)。

この盤の大ヒット・チューン、冒頭のタイトル曲「Song for My Father」は、1964年10月26日のパーソネルでの演奏。併せて、2曲目「The Natives Are Restless Tonight」、4曲目「Que Pasa」、5曲目「Que Pasa」も同じパーソネルでの演奏。カーメル・ジョーンズのトランペットが効いている。ねじれたモーダルな演奏に走らない、ストレートアヘッドなファンキー・テナーを聴かせるヘンダーソンも聴き逃せない。
 

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一方、3曲目「Calcutta Cutie」と5曲目は「Lonely Woman」は、1963年10月31日の録音で、パーソネルは、お馴染みの、ミッチェルのトランペット、クックのテナーがフロントの、伝説のシルバー・クインテット。手慣れた、聴き慣れた、シルバー流ファンキー・ジャズな音世界が広がる。

どちらのセッションの演奏も、どこか理知的な雰囲気が漂う、シルバー流のファンキー・ジャズなんだが、ファンキー度合いは、1964年のセッションの方が濃い。併せて、1964年のセッションは、ポップでメジャーな雰囲気で開放感がある。同じクインテットの演奏でも、1964年のセッションの演奏では、いわゆる「イメチェン」に成功している。

冒頭の「Song for My Father」が、かなりポップでコマーシャルなファンキー・ジャズなんだが、2曲目以降は、ジャズ者初心者が聴いても判り易い、理知的なシルバー流のファンキー・ジャズが続くので、アルバム全体に統一感もあって、よくまとまったシルバーのリーダー作だと思う。やはり、この盤は、ジャズ者初心者にピッタリのファンキー・ジャズ盤だと言える。

ちなみに、本作のタイトル曲「Song For My Father」はホレス・シルバーが自分の父親に捧げたもの。この盤のジャケ写の「帽子を被った葉巻のおじいさん」が実はホレス・シルヴァーの父君そのものである。

ブルーノート・レーベルって、モダン・ジャズの硬派でならしたレーベルなんだが、こういうジャケ写での「粋な計らい」をする、お茶目なレーベルでもある。
 
 

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2024年9月 5日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・26

ほんと、久しぶりにボサノバ・ジャズの元祖的アルバム『Getz / Gilberto』を、メインのステレオ装置で、しっかりとスピーカーに対峙して聴いた。僕なりのジャズ超名盤研究の第26回目である。

前にこの『Getz / Gilberto』を記事にしたのが、2006年7月。あれから、18年が経過した。それまでに、ボサノバ・ジャズのアルバムは、沢山、新規にリリースされたし、リイシューについても、今まで、ほとんど再発されなかった盤が、結構な数、リリースされた。そんなアルバムについては、標準以上のレベルのものが多く、ボサノバ&サンバ・ジャズは、ほぼ、ジャズの一ジャンルとして定着した感がある。

『Getz / Gilberto』(写真左)。1963年3月の録音。パーソネルは、Stan Getz (ts)、João Gilberto (g, vo)、Antonio Carlos Jobim (p)、Tommy Wiliams (b)、Milton Banana (ds)、Astrud Gilberto (vo)。今から振り返ると、なんとも言えない、このパーソネルで「ジャズ」をやったのか、と感心する。

ジョアン・ジルベルトは、ボサノヴァというジャンルを創成した功労者、生みの親。ジョアンを「ボサノバの神」などと呼ぶ人もいる位。この「ボサノヴァの神」がギターとボーカルを担当して、ジャズのリズム&ビートに乗って、ボサノバをやるのだ。かなり無理があったと思う。逆に、ジョアンの音楽性の柔軟度の高さに敬意を表したい。ジョアンの懐の深さがあったからこそ、このボサノバ・ジャズの元祖的アルバムが世に出たと僕は思う。
 

Getz-gilberto_1

 
アントニオ・カルロス・ジョビンは、ボサノバを代表するピアニスト。この人も、ボサノバでは「神」の様な存在であり、そんなジョビンが、よく、ボサノバ調のジャジーなリズム&ビートを捻り出しているなあ、と感心する。このジョビンのピアノが、以降のボサノバ・ジャズにおける良き「お手本」となっている。ボサノバ・ジャズのリズム&ビートは、ジョビンのピアノから派生したと言っても過言ではない。

アストラット・ジルベルトは、当時、ジョアンの妻君。ボーカリストとして全くの素人。ゲッツは、このアストラットの「英語による唄声」に大いなる魅力を感じて、大プッシュしたらしいが、ジョアンはかなり難色を示したらしい。それはそうで、ボサノバは英語では唄わない。しかし、英語で唄うボサノバ・ジャズのボーカルについては、このアストラットの「イパネマの娘」の素人ボーカルが「お手本」になったのは事実だろう。しかし、素人なので、やっぱり上手くはない。

ゲッツのテナーについては、ジョアンはうるさくてしかたがなかったらしいが、それもそのはず、ゲッツのテナーの音がやけに「大きい」。目立ちたい、前へ出たい、という意図が丸見え。これがジョアンの癇に障ったのだろう。確かに、ボサノバのアンニュイで気怠い雰囲気に合っていない。前に出たがらない、奥ゆかしい吹奏であれば、ボサノバ・ジャズにおける管楽器の「お手本」になったのだろうが、これだけ、テナーが大きい音で前へ出ているのは、どう聴いても、後の「お手本」なり損ねている。

いろいろ、良い点、課題点が山積した、初めての本場ボサノバと本場ジャズとの邂逅。初めての試みなので仕方がない。絶対的名盤とは言い難いが、後のボサノバ・ジャズの「基本・基準」となったことは確か。そんなボサノバ・ジャズの「超名盤」である。
 
 

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2024年9月 4日 (水曜日)

ポール・ウィナーズの第4弾です

昨日、ご紹介した、当時の楽器別ジャズ人気投票で1位(Poll Winner)を獲得した3人が、テンポラリーなトリオ、ポール・ウィナーズ・トリオ。

このトリオは、1957年から1960年の3年間で、全4枚のアルバムを出している。最初が『The Poll Winners』、2枚目が『The Poll Winners Ride Again!』、3枚目が昨日、ご紹介した『Poll Winners Three!』。せっかくなんで、最後の一枚を今日、取り上げる。

The Poll Winners『Exploring the Scene!』(写真)。1960年8,9月、ロスでの録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。楽器別ジャズ人気投票で1位を獲得した3人の「職人芸的トリオ演奏」の4作目。ポール・ウィナーズ・トリオとして、一旦、打ち止めのアルバムである。

冒頭の「Little Susie」を聴けば、演奏の洗練度合い、テクニックの精度とバリエーション、小粋なフレーズ回しなど、前3作に比べて、格段にレベルが上がっていて、もうこれ以上の演奏はないだろう、そして、この演奏レベルをコンスタントに維持し続けるのは難しい、との判断での「ポール・ウィナーズ・トリオとしての最終作」だと推察する。
 

The-poll-winnersexploring-the-scene

 
それほどまでに、トリオ演奏のレベルは高い。米国西海岸ジャズのレベルの高さ、テクニックの高さ、アレンジの優秀度の高さがこの盤を通して、ビンビンに感じる。東海岸ジャズとは趣きが異なる、西海岸ジャズ独特の個性が、この盤にギッシリ詰まっている。とにかく、米国西海岸ジャズを代表するジャズマン3人の演奏内容は、実にインクレディブルである。

選曲については、当時の「ミュージシャンズ・チューン」を中心に選んでいて、ファンキーな「Little Susie」や「Doodlin」「This Here」が、軽妙なアレンジで小粋に演奏されている。マイルスの「So What」のアレンジはいかにも西海岸ジャズらしい。こんなに小洒落て小粋で捻りの効いたアレンジの「So What」は聴いたことがない。

「The Golden Striker」のレイ・ブラウンのベースのボウイングによる旋律演奏も味がある。メインの演奏部の疾走感も半端ない。バラード曲「Misty」の味わい深い、耽美的かつリリカルな演奏には、思わずじっくり聴き入ってしまう。

米国東海岸ジャズには「無い」トリオ演奏。このポール・ウィナーズ・トリオの諸作は、洒脱で小粋で流麗な、「聴かせる」米国西海岸ジャズの特徴・特質がてんこ盛り。1980年代後半まで、我が国では、米国西海岸ジャズは過小評価されてきたが、このポール・ウィナーズ・トリオの演奏をしっかり聴けば、その過小評価は無くなるだろう。もっともっと広く聴かれるべきポール・ウィナーズ・トリオである。
 
 

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2024年9月 3日 (火曜日)

ポール・ウィナーズの第3弾です

台風10号が迷走し、その影響が関東地方にまで及んで、天気が不安定なこと極まりない。天気を見ながら、散歩に行くことはあるが、雨模様の日は、一日、しっかり引き篭もり。猛暑が少しだけ和らいだと思ったら、天気不安定で、再び引き篭もりである。

引き篭もりの部屋で聴くのはジャズ。酷暑の夏にハードなジャズはしんどいので、軽妙なボサノバ・ジャズなんぞを聴き流していたのだが、気がつけば、なんと9月である。9月になれば、もはやボサノバ・ジャズも無いよな、ということで、ライトで小粋なジャズをということで、米国ウエストコースト・ジャズに走ることにする。

『Poll Winners Three!』(写真)。1959年11月2日、ロスでの録音。ちなみにパーソネルは、Barney Kessel (g), Ray Brown (b), Shelly Manne (ds)。当時の楽器別ジャズ人気投票で1位(Poll Winner)を獲得した3人が、テンポラリーなトリオ、ポール・ウィナーズ・トリオを組んで録音した企画盤の第3弾。第3弾だからと言って、マンネリな雰囲気は全く無い。
 

Poll-winners-three

 
第1作、第2作と比べて、収録されたスタンダード曲が、一部を除いて、なかなか渋い、マニアックな選曲になっている。が、それがとても良い。この「隠れ名曲」っぽい、渋いスタンダード曲を、聴かせるアレンジを施しつつ、小粋に演奏する様は実に軽妙。加えて、3人それぞれのテクニックが途方もないレベルで、しかし、耳障りにならない流麗さで、歌心満点に演奏する様は実に爽快。

ジャジーによく唄うケッセルのギターには思わず聴き惚れる。唄うが如くの流麗なフレーズを弾きまくるブラウンのベースには思わず、そば耳を立ててしまう。そんな二人の弾き回しを鼓舞し、ブラウンのウォーキング・ベースと共に、演奏全体のリズム&ビートを仕切るマンのドラムには、思わず感嘆の声を上げる。ほんと、この3人、上手い、の一言。

米国ウエストコースト・ジャズの良いところがギッシリ詰まった、素晴らしいトリオ演奏。洗練された三人の絶妙なインタープレイ、効果的にアレンジされたユニゾン&ハーモニー、3者3様の途方もない演奏テクニック。どれをとっても、前の2作より、さらに深化したパフォーマンスがてんこ盛りの秀作。いいアルバムです。
 
 

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2024年9月 2日 (月曜日)

バグスのサボイ・レーベル最終盤

ジャズを聴き始めた頃から、ミルト・ジャクソン、愛称「バグス」のヴァイブがお気に入りで、ずっとバグスのリーダー作を追いかけてきた。が、バグスの初期のリーダー作の多くが、サボイ・レーベルからリリースされていた、なんて情報は、ジャズ雑誌やジャズ盤紹介本には全く無くて、『Opus de Jazz』だけが唯一だと思っていた時期が長く続いた。

Milt Jackson『Jackson's Ville』(写真左)。1956年1月23日の録音。サボイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Lucky Thompson (ts), Hank Jones (p), Wendell Marshall (ds), Kenny Clarke (ds)。バグス初期のリーダー作のうち、サボイ・レーベルに残した最後のアルバムになる。

1956年1月23日のセッションは、先行の『The Jazz Skyline』と、この『Jackson's Ville』に分けてリリースされている。内容的に充実したセッションだったらしく、リーダーのバグスのヴァイブは絶好調、フロント・パートナーのトンプソンのテナーも好調。ピアノのハンク・ジョーンズ率いるリズム・セクションも、味のあるハードバップど真ん中のリズム&ビートを叩き出して好調。
 

Milt-jacksonjacksons-ville  

 
ビ・バップ時代からの生き残りがメンバーのハードバップなので、完成度は高いが、演奏内容や出てくるフレーズに耳新しさは無い。ほぼ成熟した感の強いハードバップ演奏が繰り広げられている。トンプソンにしろ、ハンクにしろ、出てくるフレーズは、ビ・バップの延長線上にあって、手慣れた感が見え隠れるするパーフォーマンス。故に、逆に取れば、絵に描いた様なハードバップな演奏で、安心安定感溢れる、水準レベルの演奏が聴き心地満点。

そんな中、バグスのヴァイブのフレーズは、ちょっと深化した深みのあるフレーズで唄いまくる。恐らく、MJQ(Modern Jazz Quartet)への参加が、いい刺激になり、いい経験になっているのだろう。MJQへの参加はバグスにとっては「損な選択」という評論もあったが、僕は逆だと思っている。単独リーダー作でのソロは、他のビ・バップ時代からの生き残りのジャズマンと比較して、明らかに創造的で新鮮でマンネリ感は全くない。

この『Jackson's Ville』でも、そんな創造的で新鮮なフレーズを弾きまくるバグスの超絶技巧なヴァイブ・プレイを楽しむことが出来る。アレンジもなかなかで、冒頭のビ・バップの名曲「Now's the Time」や、エリントンの名曲「In a Sentimental Mood」や「Mood Indigo」「Azure」が、ミッドテンポの、小粋で洒落た曲想にアレンジされていて、聴き応え十分。バグスのキャリア初期のハードバップな好盤である。
 
 

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2024年9月 1日 (日曜日)

バグスの多彩な才能の記録です

ジャズ・ヴァイブの神様、ミルト・ジャクソン(愛称「バグス」)のキャリア初期のリーダー作は、概ね、サボイ・レーベル(Savoy Label)からのリリースになる。ブルーノートの『Milt jackson』、プレスティッジの『Milt Jackson Quartet』は、どちらも該当レーベルからの単発。サボイからの最終作『Jackson's Ville』までのリーダー作9作中の6作までがサボイからのリリース。改めて「へ〜っ」と思ってしまう。

Milt jackson『Meet Milt Jackson』(写真左)1949年12月23日、1954年11月1日、1955年2月7日、1956年1月5日の4セッションからの寄せ集め収録。1956年のリリース。当然、パーソネルは複雑で、整理すると、

1949年12月23日(tracks 6–9)は、Milt Jackson (vib), Bill Massey (tp), Julius Watkins (French horn), Billy Mitchell (ts), Walter Bishop Jr. (p), Nelson Boyd (b), Roy Haynes (ds)。珍しいフレンチ・ホルンが入ったセプテット編成。

1954年11月1日(track 5)は、Milt Jackson (vib, p, vo), Frank Morgan (as), Walter Benton (ts), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。バグスが唄い、ピアノを弾く、変則クインテット編成。

1955年2月7日(track 4)は、Milt Jackson (vib, p), Frank Wess (ts, fl), Charlie Fowlkes (bs), Eddie Jones (b), Kenny Clarke (ds)。バグスがピアノを弾く、変則クインテット編成。

1956年1月5日(tracks 1–3)は、Milt Jackson (vib), Lucky Thompson (ts), Wade Legge (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。スタンダードなクインテット編成。
 

Milt-jacksonmeet-milt-jackson

 
既出の4セッションから未収録だった演奏を寄せ集めているのだが、当盤のリリースが1956年なので、冒頭「They Can't Take That Away from Me」から、3曲目の「Flamingo」までが、当時、一番ホットな「1956年1月5日」の演奏で、収録曲が進むにつれ、録音年月日が過去に遡っていくという、ちょっと面白い曲の収録順となっている。

当然、後半6曲目「Hearing Bells」から、ラストの「Bubu」は、1949年12月23日の録音なので、1956年1月5日の録音と比べると、演奏自体、まだまだ、こなれていない、ちょっと硬くてギクシャクした演奏になっているが、これは仕方がない。

初期のバグスのサボイにおけるリーダー作は、内容的に優れたものが多いが、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介などで無視されている。ネット上でも、取り上げる人は僅少。

しかし、この盤を聴いてみると、バグスの多彩な才能が聴いて取れる。本業のヴァイブはもとより、ピアノの腕前もなかなかのもの、加えて、この盤ではボーカルまで披露していて、これもなかなかのもの。

4セッションからの寄せ集め収録の盤ではあるが、バグスのヴァイブについては、既に、1949年12月23日において、テクニック、歌心、フレーズの個性、いづれも、ほぼ完成の域に達しているので、4つのセッションを横断するバグスのヴァイブについては一貫性があって、アルバム全体に統一感がある。グループサウンズ自体は、その時代の標準レベルなので、古い演奏ほど、内容が伴わないのは致し方ない。

このアルバムの副題に「Vibist, Pianist. Vocalist」とあるのは「言い得て妙」。この盤は若き日のバグスの多彩な才能の記録である。
 
 

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