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2024年8月30日 (金曜日)

Milt Jackson名盤 ”Bags’ Opus”

ミルト・ジャクソンはジャズ・ヴァイブの神様。愛称は「バグス」。このバグスのリーダー作を棚卸しがてら、聴き直しているのだが、バグスのリーダー作の中での名盤・好盤の類について、当ブログでまだまだ記事化されていないものがある。これはいかん、ということで、バグスのリーダー作の記事化のコンプリートを目指して、せっせとアルバムを聴き直している。

Milt Jackson『Bags' Opus』(写真左)。1958年12月28–29日の録音。United Artists レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Connie Kay (ds)。バグスのヴァイブ、ファーマーのトランペット、ゴルソンのテナーがフロントの、バックには、トミフラのピアノ、ポルチェンのベース、ケイのドラムという、燻銀ピアノ・トリオがリズム隊として控えている。

このパーソネルを見て感じるのは、ハードバップ・ジャズのそれぞれの楽器の人気ジャズマンがズラリと顔を並べていて、これはもう、内容充実のハードバップ盤だということ。冒頭の「Ill Wind」で、この曲は、ファーマーのトランペットとゴルソンのテナー抜きの、バグスがメインのカルテットで、しみじみと始まるのが実に良い。バグスのヴァイブの流麗でブルージーで唄うような、染み渡るようなフレーズが映えに映える。
 

Milt-jacksonbags-opus

 
この盤には、ベニー・ゴルソンがいる。ハードバップのアレンジの最高峰の一つ「ゴルソン・ハーモニー」の創始者で、この盤でも、ゴルソン本人の作編曲で、「I Remember Clifford」と「Whisper Not」の2大名曲を、バグスのヴァイブがフロントで聴くことが出来る。これがまあ、名演中の名演で、他の演奏と印象が全く異なる。「I Remember Clifford」と「Whisper Not」って、ヴァイブの音が合うんですねえ。ファンクネス漂い、哀愁感タップリ、歌心満載。改めて感心。

ジョン・ルイス作の「Afternoon In Paris」も、曲の持ち味をしっかり踏まえて、アドリブをかます、バグスのヴァイブは見事だし、バラード曲「Thinking Of You」をやらせれば、バグスの面目躍如、自家薬籠中のもの、情感溢れ、耽美的でリリカル、それでいて、ファンクネスが実に芳しい、バグスならではの優れたバラード演奏を聴くことが出来る。ソロを取っても、バックに回っても、バグスのヴァイブは素晴らしいパフォーマンス。

タイトルの「Opus」から、バグスの名盤のひとつ『Opus De Jazz』を想起して、この『Bags' Opus』って、『Opus De Jazz』の二番煎じかと思ったら、全く違った。思い違いも甚だしい。『Opus De Jazz』が1955年10月の録音なので、この3年間で、バグスは確実に進化していた、ということ。バグスのパフォーマンスについては、この『Bags' Opus』の方が、『Opus De Jazz』の名演に比べて、演奏の深みが増している。
 
 

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