松岡 直也 ”Long for The East”
松岡 直也は、我が国におけるラテン・ジャズの第一人者。フュージョン・ブームの折には「ラテン・フュージョン」で一世を風靡した。聴けば直ぐに「松岡 直也のラテン・ジャズ」と判るくらい、松岡の個性溢れるアレンジが秀逸。コンテンポラリーな純ジャズ志向、フュージョン・ジャズ志向の「両刀使い」で、我々の耳を楽しませてくれた。惜しくも、2014年4月29日に76歳で逝去している。
松岡 直也『Long for The East』(写真)。1984年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、松岡 直也 (p, syn), 津垣 博通 (key), 和田アキラ (g), 高橋ゲタ夫 (b), 広瀬 徳志 (ds), ウィリー長崎, カルロス菅野 (perc), 久保田 利伸, 楠瀬 誠志郎 (vo)。和ラテン・ジャズの第一人者、松岡 直也の個人名義アルバムの16枚目。
アルバムの冒頭「The Latin Man」は、ボーカル入りラテン・フュージョン。ボーカルが入って、いよいよ、和フュージョンも、米国フュージョンの如く、俗っぽいポップス・ミュージック化するのか、と暗然たる思いで聴き始めたら、なかなかにスケールの広い、日本人離れしたブラコンっぽい歌唱に耳を奪われる。なんと、このボーカル、ソロ・デビュー前の「久保田利伸」とのこと。コーラスには楠瀬 誠志郎が参加して、これまた良い味を出している。
松岡のピアノ、シンセが大活躍。ラテンのフレーズを散りばめたアドリブ・フレーズは見事。シンセの使い方はセンスがよくて、陳腐な音色になっていないところが、これまた見事。ピアノやシンセの音色を「映えさせる」アレンジが、これまた見事。フュージョンにおけるラテン・ジャズというと、ちょっと陳腐で俗っぽい内容に陥りそうなんですが、そうはならず、小粋で躍動感&爽快感溢れる、クールでスマートな「ラテン・フュージョン」となっているところが秀逸。
サイドマンでは、土方のギターが素晴らしいパフォーマンスを披露している。千変万化な「芳醇で切れ味の良い」音色。クールでスマートな「ジャズロック志向」フレーズ展開。聴く者を圧倒する「高テクニック」。松岡のピアノ&シンセと絡むh土方のギターは、とってもスリリング。5曲目「The End Of The Way」に参加している、当時、プリズムから復帰した和田のギターも印象的。
アルバム全体を覆う、メランコリックで叙情的な響きが印象的。アレンジが優秀なので、インスト曲に飽きがこない、リピートに耐える演奏の数々。アルバム全体にラテン・テイストで統一感を醸し出し、リズム&ビートは「ジャズ・ロック」。僕はこのアルバムについては、松岡直也の名盤の一枚、と評価している。ジャケも秀逸。
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私もこの作品好きです!正確にはこのアルバムまでの数作がフェイバリットですね。松岡さんの凄いところは、現地に行った訳でもないのに自身の耳だけでラテンを理解し、発展させた事です。よく考えるとこんな人は他に居ません。和風の哀愁を漂わせたラテン、フュージョンチックに仕上げてみんな後に続く事ができました。当時は近いとこに今田勝ナウインがありましたが、ラテンチックにとどまっています。日本で本格的なラテンが当たり前に聴けるのは、松岡さんの功績と思います。
ちなみに、本作発表直後のサンプラザライブに行きましたが、ボーカルはコンガ兼でカルロスさんでした。カルロスさんも熱帯JAZZで松岡さんの意志を継いでくれています。
投稿: taka | 2024年8月28日 (水曜日) 09時25分