今田 勝 ”アンダルシアの風”
台風10号の予報が「迷走」している。当初予報よりもどんどん西に西に進路予想がずれていく。テレビのワイドショーの天気予報のコーナーの気象予報士は概ね、変な解説に終始している。もはや、テレビの情報を鵜呑みできる状況では無い。
台風10号はどんどん西に逸れていくが、関東地方は当初予報は「曇り」だったのが、連日、ギラギラの真夏の太陽が照りつけ、猛暑日が続いている。「命を守る為の引き篭もり」も、もう一ヶ月を過ぎた。気がつけば、8月の最終週。来月からは9月である。
そろそろ「夏はボサノバ」でもないだろう。とはいえ、この酷暑な日々の連続では「熱いジャズ」は辛い。フリーなどはもってのほか。ということで、爽やか系のフュージョン・ジャズ盤を聴くことにした。和洋のフュージョン・ジャズ盤の優れどころを選盤する。
今田勝『アンダルシアの風』(写真左)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、今田 勝 (ac-p, el-p), 古野 光昭 (b), 守 新治 (ds), 今村 裕司 (perc), 渡辺 香津美 (g)。今田勝のトリオ(今田・吉野・守)にふたりのゲストが参加。全6曲の全てが、スパニッシュ・ジャズ&サンバ・ジャズ志向。
今田のトリオの演奏は、スパニッシュ&サンバなフレーズとリズム&ビートですっ飛ばすが、安易に当時流行のソフト&メロウに走らず、「スパニッシュとサンバとジャズの融合」レベルのクロスオーバー・ジャズな雰囲気が先行していて、甘々のイージーリスニングに陥っていないのは立派。
音の雰囲気はスパニッシュ。ラテン・ジャズと言えなくは無いが、1960年代に流行った、コッテコテ妖艶なラテン・ジャズではない。当時のコンテンポラリーな純ジャズ的演奏展開は意外と聴き応えがある。
今田のアコースティック・ピアノがメインの弾きっぷりが良い。こういうスパニッシュ&ラテンなフレーズを速弾きするには、アコースティック・ピアノより、エレクトリック・ピアノをメインに選んでしまいそうなんだが、今田はあくまで、アコースティック・ピアノがメインで弾く。
エレクトリック・ピアノも弾くには弾くんだが、音的には、アコースティック・ピアノの音志向を逸脱しないレベルのエレピの音質に留めている。当然、シンセには手を染めていない。この辺りに、和の純ジャズ出身の今田の矜持を感じる。
ゲストで入っている渡辺香津美のエレギはさすが。今田の示す音志向に合致した、クロスオーバーで、メインストリーム志向の8ビートなエレギのフレーズを連発する。今村裕司のパーカッションの参加も効果的。躍動感と清涼感溢れるパーカッションは、今田のスパニッシュ&ラテン志向の音を、よりスパニッシュ&ラテンな雰囲気を増強している。
ちょっと長いが一言で言うと「清々しい躍動感と爽快感がメインの、クロスオーバーな、スパニッシュ&サンバ・ジャズ志向のコンテンポラリーな純ジャズ」と表現したら良いだろうか。我が国のクロスオーバー・ジャズの好盤の一枚です。
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この作品から、ナウインの作品はなかなかハイソで良かったですね。今でも十分に通用しますし、私もこの時期には良く聴きます。今田さんって、ルックスがパンチにグラサンって反社っぽくて、違うビジュアルだったらもっと受けてたかも、と思うのは私だけでしょうか?
投稿: taka | 2024年8月28日 (水曜日) 09時30分