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2024年5月10日 (金曜日)

異種格闘技な「和フュージョン」

我が国のフュージョン・ジャズ・バンドの代表格が、「CASIOPEA(カシオペア)」と「T-SQUARE(T-スクエア)」(デビューから1988年までは「THE SQUARE」)。この2つのバンドが、我が国のフュージョン・ブームを牽引していた様に思う。

「T-スクエア」は、純国産フュージョン・ジャズの音作り。我が国の音楽シーンから引用される独特のアレンジや展開、他のジャンルとの融合のバリエーションが、米国フュージョン・ジャズには無い、我が国のフュージョン・ジャズ独特なものだった。

この「和フュージョン」独特の個性を音にしていたのが、当時の「ザ・スクエア」。この米国フュージョン・ジャズの音志向を忠実に踏襲しないところが好き嫌いの分かれ目で、この純国産な「和フュージョン・ジャズ」の音作りは認めない、という向きが当時にはあった様に思う。

が、今の耳で聴いてみると、この「ザ・スクエア」の音も、優れた内容のフュージョン・ジャズ、エレ・ジャズロックをベースとした、いわゆる「融合音楽」の一つで、例えば、カシオペアの音志向と比較しても、優劣はつけ難い、と僕は思っている。

THE SQUARE『MAGIC』(写真左)。1981年8-9月の録音。ちなみにパーソネルは、安藤まさひろ (g), 伊東たけし (as, lyricon), 久米大作 (key), 田中豊雪 (b), 清水永二 (ds)。以上が「ザ・スクエア」。ゲストとして、仙波清彦 (conga), 御厨裕二 (g), キャサリーン (vo), 金子マリ、タンタン、サンディー (chor), 中西ストリングス。特別参加として、タモリ(tp)。

ザ・スクェア名義の5作目のアルバムになる。このアルバムこそが、当時の「ザ・スクエア」の音志向の特異性、独特の個性を表している好盤だと思う。
 

The-squaremagic

 
音を聴けば、たちどころに判るが、まず、サックスになり変わって、フロントで大活躍するのが「リリコン」。このリリコンの活用、そして、シンセの積極活用が、当時、テクノ・ポップが流行っていた我が国のフュージョンらしいアレンジ。

冒頭のボーカル入り人気曲「IT'S MAGIC」は、キャサリーンのボーカルがとても可愛い、和風のディスコ・ミュージック。ビートがどう聴いても「和」している。そして、ボーカル&コーラスが、どう聴いても、当時のニュー・ミュージックの影響が感じられる。なんとか米国フュージョン風に、と工夫を凝らしているが、結果、どう聴いても、我が国のフュージョンらしい独特のアレンジが楽しい。

シンセ・ドラム活用や、リズム&ビートは、どう聴いても、当時、わが国で流行っていた「テクノ・ポップ」の影響が感じられる。なんせ、収録された曲の中にも、ラスト曲のタイトルが「かわいいテクノ」とあったりする。

ザ・スクエアの演奏のベースは、フュージョン・ジャズなので、この盤は、フュージョン・ジャズの最たるもの、エレなジャズロックに和風ディスコ、ニュー・ミュージック、テクノポップが融合した音楽成果と評価できる。異種格闘技が大好きだった「YMO」もびっくりである(笑)。それでも、フュージョン・ジャズの好盤として、このアルバムはまとまっているので、当時のザ・スクエアの力量たるや恐るべし、である。

そして、特別参加として、タモリさんが、7曲目「サンシャイン・サンシャイン」とラストの「かわいいテクノ」で、トランペットとバックグラウンド・ボーカルで参加している。これも異種格闘技のバリエーションの一つ、我が国ならでは「融合音楽」の成果であろう。

とにかく、今の耳にも古さを感じさせない、和フュージョン・ジャズの好盤として、十分、評価できる内容である。
 
 

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